JP2015083438A - ハイブリッド車両の制御装置 - Google Patents

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Sachiyo Nakamura
幸代 中村
覚 藤本
Satoru Fujimoto
藤本  覚
田添 和彦
Kazuhiko Tazoe
和彦 田添
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Abstract

【課題】エンジン始動応答性向上とエネルギー損失低減とを両立することができるハイブリッド車両の制御装置を提案すること。【解決手段】車両を駆動するための動力源として、エンジン1と、少なくとも1つのモータ/ジェネレータ3(駆動用モータ)とを有し、エンジン1及びモータ/ジェネレータ3の動力を用いて走行するHEV(ハイブリッド車走行)モードと、モータ/ジェネレータ3の動力のみを用いて走行するEV(電気自動車走行)モードとを有するハイブリッド車両の統合コントローラ16(制御装置)において、EVモードで、エンジン1の始動が要求される前にエンジン1を非自立的に回転させ、モータ/ジェネレータ3の回転数ωcl2iからは独立した回転数ωe_PreRotにエンジン回転数ωeを維持する制御手段(ステップS5,S11,S12等)を備えることとした。【選択図】図1

Description

本発明は、ハイブリッド車両の制御装置に関する。
従来、エンジン及び駆動用モータの動力を用いて走行するハイブリッド車走行モードと、駆動用モータの動力のみを用いて走行する電気自動車走行モードとを有するハイブリッド車両の制御装置が知られている。例えば特許文献1に記載の制御装置は、電気自動車走行モードで停車している車両の発進時におけるエンジンの始動応答性を向上するため、エンジンの始動が要求される前に、エンジンと駆動用モータとの間で動力を伝達可能な状態としておき、エンジンの始動が要求されると、駆動用モータを動力源としてクランキングを実行する。
特開2010−201962号公報
しかし、従来の技術にあっては、エンジンの始動応答性の向上とエネルギーロスの低減とを両立することが困難であった。本発明は、エンジンの始動応答性の向上とエネルギーロスの低減とを両立することができるハイブリッド車両の制御装置を提案することを目的とする。
この目的のため、本発明のハイブリッド車両の制御装置は、電気自動車走行モードで、エンジンの始動が要求される前にエンジンを非自立的に回転させ、駆動用モータの回転数からは独立した回転数にエンジン回転数を維持することとした。
よって、エンジンの始動が要求される前にエンジンを非自立的に回転させることでエンジンの始動応答性を向上し、駆動用モータの回転数からは独立した回転数にエンジン回転数を維持することでエネルギーロスを低減することができる。
実施例1の制御装置が適用されたハイブリッド車両の全体システム図である。 実施例1の統合コントローラにて実行される制御処理の流れを示すフローチャートである。 図2のステップS4で目標駆動トルクを演算するときに用いるマップである。 図2のステップS5におけるEVモード中エンジン回転維持指令演算処理の流れを示すフローチャートである。 図4のステップS502におけるエンジン回転数目標値演算処理の流れを示すフローチャートである。 実施例1のエンジン回転数制御系を示すブロック図である。 図2のステップS6における目標走行モード演算処理の流れを示すフローチャートである。 図2のステップS7における第1クラッチ目標制御モード演算処理の流れを示すフローチャートである。 図2のステップS8における第2クラッチ目標制御モード演算処理の流れを示すフローチャートである。 図2のステップS9で変速段指令値を演算するときに用いるマップである。 図2のステップS11におけるモータトルク指令値演算処理の流れを示すフローチャートである。 図11のステップS1103でHEVモードにおける第2クラッチのスリップ回転数目標値を演算するときに用いるマップである。 図11のステップS1103でエンジン始動モードにおける第2クラッチのスリップ回転数目標値を演算するときに用いるマップである。 図2のステップS13における第2クラッチトルク容量指令値演算処理の流れを示すフローチャートである。 実施例1の第2クラッチ制御系を示すブロック図である。 図2のステップS14における第1クラッチ電流指令値演算処理の流れを示すフローチャートである。 図16のステップS1401で第1クラッチストローク目標値を演算するときに用いるマップである。 実施例1の第1クラッチ制御系を示すブロック図である。 図2のステップS15で第2クラッチ電流指令値を演算するときに用いるマップである。 図2のステップS15で第2クラッチ電流指令値を演算するときに用いるマップである。 従来例の制御装置における課題を説明するための、EVモードで走行中にHEVモードへ遷移する際における各変数の特性を示すタイムチャートである。 比較例の制御装置における課題を説明するための、EVモードで走行中にHEVモードへ遷移する際における各変数の特性を示すタイムチャートである。 実施例1の制御装置における作用を説明するための、EVモードで走行中にHEVモードへ遷移する際における各変数の特性を示すタイムチャートである。
以下、本発明の実施の形態を、実施例に基づき詳細に説明する。
[実施例1]
[構成]
まず、構成を説明する。図1は、本実施例の制御装置が適用されたハイブリッド車両のシステムの構成を示す全体システム図である。以下、図1に基づき、駆動系及び制御系の構成を説明する。本実施例のハイブリッド車両は所謂パラレル式であり、その駆動系は、エンジン1と、第1クラッチ2と、モータ/ジェネレータ(駆動用モータ)3と、第2クラッチ4と、変速機5と、ファイナルギヤFGと、左駆動輪LT及び右駆動輪RTとをこの順に有している。
この駆動系は、電気自動車走行モード(以下、「EVモード」という。)、ハイブリッド車走行モード(以下、「HEVモード」という。)、エンジン始動モード等の走行モードを有している。「EVモード」は、モータ/ジェネレータ3の動力のみを用いて走行するモードである。「HEVモード」は、エンジン1及びモータ/ジェネレータ3の動力を用いて走行可能なモードであり、モータアシスト走行モード(狭義のHEVモード)・走行発電モード・エンジン走行モードの何れかを選択可能である。「エンジン始動モード」は、「EVモード」から、要求駆動トルクの増加等により「HEVモード」へ遷移する際(「EVモード」から「HEVモード」への過渡状態で)、エンジン1を始動するモードである。なお、エンジン1が「始動」するとは、エンジン1が自立回転していない状態から自立回転した状態へ変化することをいう。具体的には、エンジン1の始動が要求された後、クランキングが行われた状態で、燃料供給や点火が行われ、完爆するまでの過程を、エンジン1が始動するという。上記完爆した状態(クランキング用の動力供給を終了してもエンジン1が自立して回転できる状態)を、エンジン1の始動が完了した状態という。
エンジン1は車両を駆動するための第1の動力源であり、例えば希薄燃焼可能なエンジンを用いることができる。エンジン1は、スロットルアクチュエータによる吸入空気量と、インジェクタによる燃料噴射量と、点火プラグによる点火時期の制御により、エンジントルクが指令値と一致するように制御される。エンジン1の出力軸(クランクシャフト)にはエンジン回転により油圧を発生するオイルポンプが設けられている。また、エンジン1には始動用モータ6が設けられている。始動用モータ6は、例えば多相交流モータであり、車載バッテリー(後述する高電圧バッテリー8よりも低電圧のバッテリー)から供給される電力を用いて駆動され、その動力をエンジン1のクランクシャフトへ伝達可能に設けられている。始動用モータ6は、エンジン1の始動(クランキング)の際に必要なクランキングトルクをエンジン1へ伝達することが可能に設けられている。始動用モータ6は、例えばモータ/ジェネレータ3の動力を使用できないような場合でも、エンジン1を始動させ、車両の駆動力源としてエンジン1を使用可能とする。
第1クラッチ2は、エンジン1とモータ/ジェネレータ3との間の位置に介装され、これらの間の動力伝達を断接するエンジン動力伝達手段である。この第1クラッチ2としては、例えば、ダイアフラムスプリングの付勢力により常時締結する乾式クラッチを用いることができる。第1クラッチ2は、エンジン1〜モータ/ジェネレータ3間の締結/半締結/解放を行う。この第1クラッチ2が完全締結状態ならモータトルク(モータ/ジェネレータ3の動力)+エンジントルクが第2クラッチ4へと伝達され(HEVモード)、解放状態ならモータトルクのみが第2クラッチ4へと伝達される(EVモード)。なお、半締結/解放の制御は、油圧アクチュエータに対するストローク制御にて行われる。
モータ/ジェネレータ3は車両を駆動するための第2の動力源であり、例えば三相交流による同期モータを用いることができる。モータ/ジェネレータ3は、発進時や走行時に駆動トルク制御や回転数制御を行う駆動用モータとして機能すると共に、制動時や減速時に回生ブレーキ制御による車両運動エネルギーのバッテリー8への回収を行うジェネレータとして機能する。
第2クラッチ4は、モータ/ジェネレータ3と車両の駆動軸(左右駆動輪LT,RT)との間の位置に介装され、エンジン1及び/又はモータ/ジェネレータ3と車両の駆動軸(左右駆動輪LT,RT)との間の動力伝達を断接する総動力伝達手段である。この第2クラッチ4としては、例えば、クラッチ油圧(押付力)に応じて伝達トルク(クラッチトルク容量)が発生する湿式クラッチを用いることができる。第2クラッチ4は、変速機5及びファイナルギヤFGを介し、エンジン1及びモータ/ジェネレータ3(第1クラッチ2が締結されている場合)から出力されたトルクを左右駆動輪LT,RTへと伝達する。モータ/ジェネレータ3を回転数制御させることで第2クラッチ4のスリップ締結状態を維持することができる。第2クラッチ4のクラッチトルク容量をコントロールすることで、第2クラッチ4を経過して左右駆動輪LT,RTへ伝達されるトルクが、車両状態やドライバー操作に応じて決まる要求駆動トルクとなるように制御することができる。
変速機5は有段式の自動変速機であり、複数の遊星歯車から構成される。変速機5内部のクラッチ及びブレーキをそれぞれ締結/解放して力の伝達経路を変えることにより変速する。
本実施例のハイブリッド車両の制御系は、図1に示すように、高電圧インバータ7と、高電圧バッテリー8と、エンジン回転数センサ9と、第2クラッチ入力回転数センサ10(=モータ回転数センサ)と、第2クラッチ出力回転数センサ11と、ストローク位置センサ12と、クラッチ油温センサ13と、アクセルポジションセンサ14と、統合コントローラ16と、変速機コントローラ17と、クラッチコントローラ18と、エンジンコントローラ19と、モータコントローラ20と、バッテリーコントローラ21とを備えている。各コントローラ16〜21は双方向通信可能な通信線で互いに接続されている。
高電圧インバータ7は、直流/交流の変換を行い、モータ/ジェネレータ3の駆動電流を生成する。高電圧バッテリー8は、高電圧インバータ7を介してモータ/ジェネレータ3に電力を供給すると共に、モータ/ジェネレータ3からの回生エネルギーを、高電圧インバータ7を介して蓄積する。
エンジン1の出力軸に設けられたエンジン回転数センサ9は、現在のエンジン回転数ωeを検出する。第2クラッチ4の入力軸(モータ/ジェネレータ3の出力軸)に設けられた第2クラッチ入力回転数センサ10は、現在の第2クラッチ4の入力回転数ωcl2i(モータ/ジェネレータ3の出力回転数=モータ回転数)を検出する。第2クラッチ4の出力軸(変速機5の入力軸)に設けられた第2クラッチ出力回転数センサ11は、現在の第2クラッチ4の出力回転数ωcl2o(変速機5の入力回転数)を検出する。第1クラッチ2に設けられたストローク位置センサ12は、第1クラッチ2(の油圧アクチュエータ)のストローク位置(第1クラッチストロークxscl1)を検出する。変速機5に設けられたクラッチ油温センサ13は、変速機5内の油温、すなわち変速機5内のクラッチないしブレーキの作動油の温度を検出する。車両のアクセルペダルに設けられたアクセルポジションセンサ14は、運転者の加速意思を示す指標となるアクセル開度Apoを検出する。車両に設けられた道路勾配センサ15は、車両が位置する道路の勾配Slopeを検出する。道路勾配センサ15として、例えば車両に作用する前後加速度を検出する加速度センサや、ジャイロセンサ等を用いることができる。なお、GPSや地図情報データベースを用いて道路勾配Slopeを検出することとしてもよい。
統合コントローラ16は、アクセル開度Apoや車速Vspから目標駆動トルクTd *を演算する。そして、その結果に基づき各アクチュエータ(エンジン1、第1クラッチ2、モータ/ジェネレータ3、第2クラッチ4、変速機5)に対する指令値を演算し、各コントローラ17〜21へと送信する。
変速機コントローラ17は、統合コントローラ16からの変速指令を達成するように変速制御を行なう。
クラッチコントローラ18は、第2クラッチ入力回転数センサ10と第2クラッチ出力回転数センサ11とクラッチ油温センサ13からのセンサ情報を入力すると共に、統合コントローラ16からの第1クラッチ油圧指令値と第2クラッチ油圧指令値に対して、このクラッチ油圧(電流)指令値を実現するようにソレノイドバルブの電流を制御する。
エンジンコントローラ19は、エンジン回転数センサ9からのセンサ情報を入力すると共に、統合コントローラ16からのエンジントルク指令値Te *を達成するようにエンジントルク制御を行なう。
モータコントローラ20は、モータ/ジェネレータ3と始動用モータ6の制御を行う。統合コントローラ16からのモータトルク指令値やモータ回転数指令値を達成するようにモータ/ジェネレータ3や始動用モータ6を制御する。
バッテリーコントローラ21は、高電圧バッテリー8の充電状態を管理し、その情報(バッテリー充電量SOC)を統合コントローラ16へと送信する。
次に、統合コントローラ16の処理内容を図2に示すフローチャートを用いて説明する。尚、図2に示す処理内容は一定サンプリングで実行される。
ステップS1では、バッテリー充電量SOCや第2クラッチ4の入力回転数ωcl2i、第2クラッチ4の出力回転数ωcl2o、エンジン回転数ωe、車速Vsp(変速機出力回転数に同期した値として第2クラッチ4の出力回転数ωcl2o等から算出可能)といった他のコントローラが計測した車両状態を受信する。
ステップS2では、第1クラッチストロークxscl1、アクセル開度Apo、道路勾配Slopeを、それぞれ各センサ12,14,15からのセンサ信号を用いて計測する。
ステップS3では、第1クラッチ2と第2クラッチ4が締結しているか否かを判定する。
まず、第1クラッチ2のスリップ回転数(エンジン回転数ωeと第2クラッチ入力回転数ωcl2iの差分の絶対値)からスリップフラグfslipcl1を以下のように演算する。
1) |ωecl2i| < ωslip_cl1_thが所定時間続いた場合
fslipcl1=0(締結) (1)
2) |ωecl2i| ≧ ωslip_cl1_thの場合
fslipcl1=1(非締結) (2)
ただし、
ωslip_cl1_th:第1クラッチ締結判定閾値
である。
次に、第2クラッチ4のスリップ回転数(第2クラッチ入力回転数ωcl2iと出力回転数ωcl2oの差分の絶対値)からスリップフラグfslipcl2を以下のように演算する。
1) |ωcl2icl2o| > ωslip_cl2_thが所定時間続いた場合
fslipcl2=1(非締結) (3)
2) |ωcl2icl2o| ≦ ωslip_cl2_thの場合
fslipcl2=0(締結) (4)
ただし、
ωslip_cl2_th:第2クラッチ締結判定閾値
である。
ステップS4では、アクセル開度Apoと車速Vspから目標駆動トルクTd *を演算する。この目標駆動トルクTd *は、例えば図3に示すような目標駆動トルク演算マップに基づき演算する。
ステップS5では、EVモード中にエンジン始動要求が出されるか否かを予測し、始動が予測される場合には予めエンジン1を非自立的に回転させてエンジン回転数ωeを(モータ/ジェネレータ3の回転数ωcl2iからは独立した)所定回転数ωe_PreRotに維持するために、エンジン1に入力すべきトルク(エンジン入力トルク)を演算する。以下、EVモードで、エンジン1の始動が要求される前にエンジン1を非自立的に回転させ、所定回転数ωe_PreRotにエンジン回転数ωeを維持することを、予備回転という。以下、図4に示すフローチャートを用いて説明する。
ステップS501では、車両状態やドライバー操作量から、エンジン始動が近々要求されるかどうかの予測をする。予測方法としては様々な方法が考えられるが、例えば、検出されるバッテリー充電量SOCが所定値SOC_EngPreRot_Start(>SOC_th_l)より低下した場合、検出される道路勾配Slopeが登坂の所定値SLope_EngPreRot_Startより増加した場合、検出されるアクセル開度Apoが所定値Apo_EngPreRot_Start(<Apo_th_h)より増加した場合、検出されるアクセル開度Apoの近似微分から算出したアクセルペダル踏み込み速度V_Apoが所定値V_Apo_EngPreRot_Startより増加した場合等に、エンジン始動が要求されると予測することができる。上記パラメータのうち任意の1つを用いて、又は任意の複数を組み合わせて、予測を行うことができる。
ステップS502では、エンジン始動要求が予測される間のエンジン回転数ωe_PreRotの目標値であるエンジン回転数目標値(予備回転)ωe_PreRot *を演算する。このとき、車両状態やドライバー操作量から、エンジン始動後に早期の加速が要求されるかどうかを判定し、判定結果によってエンジン回転数目標値(予備回転)ωe_PreRot *を決定する。以下、図5のフローチャートを用いて説明する。
ステップS5021では、車両状態やドライバー操作量から、上記加速要求があるか否かを判定する。例えば、ステップS501におけるエンジン始動要求の予測要因が、道路勾配Slope、アクセル開度Apo、アクセルペダル踏み込み速度V_Apoといった駆動力の増加を要求するものである場合、車両加速が要求されていると判定する。これらのうち任意の複数を組み合わせて予測を行うこともできる。
ステップS5022では、エンジン回転数目標値(予備回転)基準値ωe_PreRot_base *を演算する。
1) エンジン始動が予測される場合
(i) 車両加速要求なし
ωe_PreRot_base * = ωe_PreRot_mode (5)
(ii) 車両加速要求あり
ωe_PreRot_base * = ωe_PreRot_mode + Δωe_AccelReq (6)
2) エンジン始動が予測されない場合
ωe_PreRot_base * = 0 (停止) (7)
ただし、
ωe_PreRot_mode:エンジン回転数目標値(予備回転)基準演算値
ωe_PreRot_mode > ωe_ploss_h かつ、ωe_PreRot_mode > ωe_fric_h
Δωe_AccelReq:加速要求時エンジン回転数上乗せ量
ωe_ploss_l 〜 ωe_ploss_h:ポンピングロス高負荷域
ωe_fric_l 〜 ωe_fric_h:高摩擦域
である。
ステップS5023では、エンジン回転数目標値(予備回転)ωe_PreRot *を演算する。エンジン回転数目標値(予備回転)基準値ωe_PreRot_base *が、共振回転数域ωe_res_l_PreRot〜ωe_res_h_PreRotの範囲に入る場合、これを共振回転数域外へ補正する。本実施例では、下記のように車両加速要求の有無により補正値を切り替える。なお、共振回転数域ωe_res_l_PreRot〜ωe_res_h_PreRotとは、エンジン1のピストン往復運動により生じるトルク変動の振動数と車体の共振振動の振動数とが一致する(すなわち車体の共振が生じる)エンジン回転数の近傍の回転数領域であり、例えば実験により予め計測されている。
1) エンジン回転数目標値(予備回転)基準値ωe_PreRot_base *が共振回転数域の範囲に入る場合
(i) 車両加速要求あり
ωe_PreRot * = ωe_res_h_PreRot (8)
(ii) 車両加速要求なし
ωe_PreRot * = ωe_res_l_PreRot (9)
ただし、ωe_res_l_PreRotが高負荷域ωe_ploss_l 〜 ωe_ploss_hや高摩擦域ωe_fric_l 〜 ωe_fric_hの範囲に入る場合は、ωe_PreRot * = ωe_res_h_PreRotとする。
2) エンジン回転数目標値(予備回転)基準値ωe_PreRot_base *が共振回転数域の範囲に入らない場合
ωe_PreRot * = ωe_PreRot_base * (10)
図4のステップS503では、エンジン回転数目標値(予備回転)ωe_PreRot *を実現するための、エンジン入力トルク指令値(予備回転)TPreRotを演算する。エンジン回転を維持する駆動源は様々なものが考えられるが、1) 始動用モータ6を用いる場合、2) 第1クラッチ2とモータ/ジェネレータ3を用いる場合、3) 第1クラッチ2とモータ/ジェネレータ3、さらに始動用モータ6の双方を用いて(双方を切替えて使用し)エンジン1を回転する場合が考えられる。
1) 始動用モータ6でエンジン1を回転する場合
エンジン回転数目標値(予備回転)ωe_PreRot *とエンジン回転数ωeを一致させるエンジン回転数制御系は様々なものが考えられるが、本実施例ではPI制御を用いたFB補償器の例を図6に示す。エンジン回転数目標値(予備回転)ωe_PreRot *とエンジン回転数ωeの差分をPI制御系に入力し、エンジン入力トルク指令値(予備回転)TPreRotを下式に基づき演算する。実際の演算では、タスティン近似等で離散化して得られた漸化式を用いて算出する。
Figure 2015083438
ただし、
KP_PreRot:エンジン回転数制御(予備回転)比例ゲイン
KI_PreRot:エンジン回転数制御(予備回転)積分ゲイン
s:微分演算子
である。
上記エンジン入力トルク指令値(予備回転)TPreRotを始動用モータトルク指令値TSSG_PreRot *に入力する。
TSSG_PreRot * = TPreRot (12)
2) 第1クラッチ2とモータ/ジェネレータ3でエンジン1を回転する場合
エンジン回転数制御系は式(11)と同様にする。エンジン入力トルク指令値(予備回転)TPreRotを、第1クラッチトルク容量指令値Tcl1 *に入力する。
Tcl1 * = TPreRot (13)
3) 始動用モータ6、及び、第1クラッチ2とモータ/ジェネレータ3でエンジン1を回転する場合
(i) 第2クラッチ4の入力回転数ωcl2i < 発進終了第2クラッチ入力回転数ωcl2i_VStartのとき
Tcl1 * = TPreRot (14)
(ii) 第2クラッチ4の入力回転数ωcl2i ≧ 発進終了第2クラッチ入力回転数ωcl2i_VStartのとき
TSSG_PreRot * = TPreRot (15)
ステップS504では、車両のタコメータに表示するエンジン回転数であるタコメータ用エンジン回転数ωe_tachometerを演算する。エンジン始動要求予測によりエンジン1を予備回転する場合は、タコメータ用エンジン回転数ωe_tachometerに、実際のエンジン回転数ωeを表記しない。
1) エンジン始動要求予測によりエンジン回転数ωeを維持している場合
ωe_tachometer = 0 (16)
2) 上記以外
ωe_tachometer = ωe (17)
ステップS6では、目標走行モードModedrive *を演算する。以下、図7に示すフローチャートを用いて説明する。
ステップS601では、EVモードで走行可能であるか否かを判断する。アクセル開度Apoが所定値Apo_th_h以下で、かつバッテリー充電量SOCが所定値SOC_th_l以上であれば、EVモードで走行可能と判断してステップS603へ進む。それ以外はステップS602へ進む。
ステップS602では、エンジン始動制御を行なう必要があるか否かを判断する。第1クラッチ2が締結(fslipcl1=0)、かつエンジン回転数ωeがアイドル可能回転数ωe_idle以上であればエンジン始動制御は不要と判断してステップS604へ、それ以外はステップS605へそれぞれ進む。
ステップS603では、目標走行モードModedrive *に0(EVモード)をセットする。
ステップS604では、目標走行モードModedrive *に2(HEVモード)をセットする。
ステップS605では、目標走行モードModedrive *に1(エンジン始動モード)をセットする。
図2のステップS7では、第1クラッチ2の目標制御モードModecl1 *を演算する。以下、図8に示すフローチャートを用いて説明する。
ステップS701では、目標走行モードModedrive *が0(EVモード)であるか否かを判断する。0であればステップS702へ、それ以外であればステップS706へそれぞれ進む。
ステップS702では、エンジン始動前にエンジン回転数ωeを所定回転数ωe_PreRotに維持する(エンジン予備回転を実施する)か否かを判断する。エンジン予備回転を実施するのであればステップS703へ、それ以外であればステップS707へ進む。
ステップS703では、ステップS503にて記述した指定3)に従い、エンジン予備回転を実施する際、始動用モータ6と、第1クラッチ2及びモータ/ジェネレータ3とを切替えて使用するか否かを判断する。例えば、始動用モータ6が(故障やバッテリー充電量不足等により)使用不可能な状態ではなく、かつ、エンジン始動要求が予測されるときの車両の走行状況が停車中であり、エンジン予備回転を車両発進時に実施するような状況であれば、始動用モータ6と、第1クラッチ2及びモータ/ジェネレータ3とを切替えて使用すると判断し、ステップS704へ進む。それ以外であればステップS705へ進む。
ステップS704では、第2クラッチ4の入力回転数ωcl2iが、発進終了第2クラッチ入力回転数ωcl2i_VStartより低回転であるか否かを判断する。低回転であればステップS708へ、それ以外であればステップS707へ進む。
ステップS705では、ステップS503にて記述した指定1)に従い、エンジン予備回転を実施する際、始動用モータ6(のみ)を使用するか否かを判断する。例えば、始動用モータ6が使用不可能な状態ではなく、モータ/ジェネレータ3のエンジン始動配分モータトルクTeng_start(最大出力可能モータトルクTm_maxと第2クラッチトルク容量指令値Tcl2_base *の差分)が小さいような状況であれば、始動用モータ6(のみ)を使用すると判断し、ステップS707へ進む。それ以外であれば、第1クラッチ2及びモータ/ジェネレータ3(のみ)を使用すると判断し、ステップS708へ進む。
ステップS706では、目標走行モードModedrive *が2(HEVモード)であるか否かを判断する。2であればステップS709へ進む。それ以外、すなわち目標走行モードModedrive *が1(エンジン始動モード)であればステップS708へ進む。
ステップS707では、第1クラッチ2の目標制御モードModecl1 *に0(解放モード)をセットする。
ステップS708では、第1クラッチ2の目標制御モードModecl1 *に1(スリップモード)をセットする。
ステップS709では、第1クラッチ2の目標制御モードModecl1 *に2(締結モード)をセットする。
ステップS8では、第2クラッチ4の目標制御モードModecl2 *を演算する。以下、図9に示すフローチャートを用いて説明する。
ステップS801では、目標走行モードModedrive *が0(EVモード)であるか否かを判断する。0であればステップS802へ、それ以外はステップS803へそれぞれ進む。
ステップS802では、第2クラッチ4を締結すべきか否かを判断する。車速Vspが所定値Vsp_th以下、又は目標駆動トルクTd *が0以下であれば締結すべきと判断してステップS806へ、それ以外はステップS807へそれぞれ進む。
ステップS803では、目標走行モードModedrive *が2(HEVモード)であるか否かを判断する。2であればステップS804へ、それ以外はステップS807へそれぞれ進む。
ステップS804では、第2クラッチ4を解放すべきか否か判断する。目標駆動トルクTd *が0以下であれば解放すべきと判断してステップS808へ、それ以外はステップS805へそれぞれ進む。
ステップS805では、第2クラッチ4を締結すべきか否かを判断する。車速Vspがロックアップ可能車速Vsp_th_lu以上で、かつ第2クラッチ4のスリップ回転数が所定値ωslip_cl2_th2(>ωslip_cl2_th)以下であれば締結すべきと判断してステップS806へ、それ以外はステップS807へそれぞれ進む。
ステップS806では、第2クラッチ4の目標制御モードModecl2 *に2(締結モード)をセットする。
ステップS807では、第2クラッチ4の目標制御モードModecl2 *に1(スリップモード)をセットする。
ステップS808では、第2クラッチ4の目標制御モードModecl2 *に0(解放モード)をセットする。
ステップS9では、アクセル開度Apo、車速Vspから変速段指令値SHIFT*を演算する。この変速段指令値SHIFT*は、例えば図10に示すような変速段指令値演算マップに基づき演算する。
ステップS10では、目標走行モードModedrive *、目標駆動トルクTd *、エンジン回転数ωeに基づきエンジントルク指令値Te *を以下のように演算する。エンジントルク指令値Te *は様々な演算方法が考えられるが、本実施例では可能な限り駆動用モータトルク(モータ/ジェネレータ3が出力する駆動トルク。以下、モータトルクTmという。)を活用し、目標駆動トルクTd *に対して不足した分をエンジントルクで補足する設定とする。
1) EVモードの場合
Te * = 0 (18)
2) エンジン始動モードの場合
(i) エンジン回転数ωe<エンジン点火可能回転数 のとき
Te * = 0 (19)
(ii) エンジン回転数ωe≧エンジン点火可能回転数 のとき
Te *= Td *- Tm_max (20)
ただし、
Tm_max:最大出力可能モータトルク(SOCが低下すれば負値になる)
である。
3) HEVモードの場合
Te *= Td *- Tm_max (21)
ステップS11では、モータトルク指令値Tm *を演算する。以下、図11に示すフローチャートを用いて説明する。
ステップS1101では、第2クラッチ4の目標制御モードModecl2 *が2(締結モード)であるか否かを判断する。2であればステップS1104へ、それ以外はステップS1102へそれぞれ進む。
ステップS1102では、モータ/ジェネレータ3で第2クラッチ4のスリップ回転数を制御すべきか否か判断する。スリップフラグfslipcl2が1(非締結)であればモータ/ジェネレータ3でスリップ回転数を制御すべきと判断してステップS1103へ、それ以外はステップS1106へそれぞれ進む。
ステップS1103では、目標走行モードModedrive *、第2クラッチ4の出力回転数ωcl2o、及びアクセル開度Apoからモータ/ジェネレータ3の回転数目標値ωcl2i *を演算する。まず、以下に基づき第2クラッチ4のスリップ回転数目標値ωcl2_slp *を演算する。
1) 目標走行モードModedrive *が0(EVモード)の場合
ωcl2_slp * = ωcl2_slp_EV (22)
ただし、
ωcl2_slp_EV:EVモード用スリップ回転数(第2クラッチ4の耐久性やモータ回転数制御性能などから総合的に判断する固定値)
である。
2) 目標走行モードModedrive *が2(HEVモード)の場合
ωcl2_slp * = fcl2_slp_cl1OPcl2o,APO) (23)
ここで、fcl2_slp_cl1OP()は第2クラッチ出力回転数計測値ωcl2oとアクセル開度Apoを入力とした関数である。実際には例えば図12に示すようなマップによって設定する。このようにすることで、所望のロックアップ回転数(スリップが0になる出力回転数)をアクセル開度Apoに応じて設定することができる。
3) 目標走行モードModedrive *が1(エンジン始動モード)の場合
ωcl2_slp * = fcl2_slp_cl1OPcl2o,APO) + fcl2_Δωslp(Teng_start) (24)
ここで、fcl2_Δωslp()はエンジン始動時のためのスリップ回転数増加量を演算する関数であり、エンジン始動配分モータトルク Teng_start(最大出力可能モータトルクTm_maxと第2クラッチトルク容量指令値Tcl2_base *の差分)を入力とする。実際には例えば図13に示すようなマップを用いることにより、エンジン始動配分モータトルクTeng_startが低下した場合には、スリップ回転数目標値ωcl2_slp *を高めに(増加量を多く)設定する。これにより、第1クラッチ2からの外乱を完全に打ち消すことができず回転数が低下しても急な締結を防止でき、その結果、加速度変動を生じることなくエンジン1を始動できる。
次に、スリップ回転数目標値ωcl2_slp *と第2クラッチ4の出力回転数ωcl2oから下式に基づき入力回転数目標値ωcl2i *を演算する。
ωcl2i *cl2_slp *cl2o (25)
最後に、(25)式から算出した入力回転数目標値ωcl2i *が、予め計測した回転数域ωe_res_l〜ωe_res_hの範囲に入る場合には、入力回転数目標値ωcl2i *を前記回転数域の最大値ωe_res_hに更新する。
ただし、
ωe_res_l:非共振回転数_低(<共振回転数)
ωe_res_h:非共振回転数_高(>共振回転数)
である。
ステップS1104では、第2クラッチ4の締結制御時のモータトルク指令値Tm *を以下のように演算する。ただし、目標走行モードModedrive *が1(エンジン始動モード)の場合は、第2クラッチ4が締結制御になることはないので、説明を省略する。
1) 目標走行モードModedrive *が0(EVモード)の場合
(i) 第1クラッチ2の目標制御モードModecl1 *が0(解放モード)の場合
Tm * = Td * (26)
(ii) 第1クラッチ2の目標制御モードModecl1 *が2(締結モード)の場合
Tm * = Td * + Tcl1_on (27)
ただし、
Tcl1_on:エンジン連れ回し分トルク(予め設定)
である。
すなわち、例えば、エンジン予備回転を実施する際、始動用モータ6と、第1クラッチ2及びモータ/ジェネレータ3とを切替えて使用する場合であって、第2クラッチ4の入力回転数ωcl2iが発進終了第2クラッチ入力回転数ωcl2i_VStart未満であるときに、第1クラッチ2の目標制御モードModecl1 *を1(スリップモード)とする代わりに、2(締結モード)とすることとしてもよく、このような場合に、上記のようにモータトルク指令値Tm *を設定することができる。
(iii) 第1クラッチ2の目標制御モードModecl1 *が1(スリップモード)の場合
Tm * = Td * + TPreRot (28)
2) 目標走行モードModedrive *が2(HEVモード)の場合
Tm * = Td * - Te * (29)
ステップS1105では、第2クラッチ4の入力回転数目標値ωcl2i *と入力回転数ωcl2iが一致するようにスリップ制御用のモータトルク指令値Tm *を演算する。演算(制御)方法はさまざま考えられるが、例えばPI制御を用いて下式に基づき演算する。実際の演算はタスティン近似等で離散化して得られた漸化式を用いて算出する。
Figure 2015083438
ただし、
KPm:モータ制御用比例ゲイン
KIm:モータ制御用積分ゲイン
s:微分演算子
である。
ステップS1106では、スリップ移行制御用のモータトルク指令値Tm *を下式に基づき演算する。
Tm * = Tm_z1 * + ΔTm_slp (31)
ただし、
Tm_z1 *:モータトルク指令値の前回値
ΔTm_slp:締結→スリップ移行時トルク容量変化率(アクセル開度Apoが大きいほど大きく設定する)
である。
図2のステップS12では、第1クラッチトルク容量指令値Tcl1 *を以下のように演算する。
1) 目標制御モードModecl1 *が0(解放モード)の場合
Tcl1 * = 0 (32)
2) 目標制御モードModecl1 *が1(スリップモード)の場合
(i)モータ/ジェネレータ3の動力を用いてエンジン1の予備回転を維持しているとき(ステップS704でYES、又はステップS705でNOのとき)
Tcl1 * = TPreRot (33)
ただし、
TPreRot:エンジン入力トルク指令値(予備回転)
である。
(ii) 上記(i)以外のとき(ステップS706でNOのときのエンジン始動モード)
Tcl1 * = Tcrank (34)
ただし、
Tcrank:エンジン1のクランキングに最低限必要なトルク
である。
3) 目標制御モードModecl1 *が2(締結モード)の場合
Tcl1 * = Tcl1_max (35)
ただし、
Tcl1_max:第1クラッチ最大トルク容量
である。
ステップS13では、第2クラッチトルク容量指令値Tcl2 *を以下のように演算する。以下、図14に示すフローチャートを用いて説明する。
ステップS1301では、第2クラッチ4の目標制御モードModecl2 *が2(締結モード)であるか否かを判断する。2であればステップS1305へ、それ以外はステップS1302へそれぞれ進む。
ステップS1302では、第2クラッチ4の目標制御モードModecl2 *が1(スリップモード)か否かを判断する。1であればステップS1303へ、それ以外はステップS1308へそれぞれ進む。
ステップS1303では、第2クラッチ4がスリップしているか否か判断する。スリップフラグfslipcl2が1(非締結)であればスリップしていると判断してステップS1304へ、それ以外はステップS1307へそれぞれ進む。
ステップS1304では、基本第2クラッチトルク容量指令値Tcl2_base *を以下のように演算する。
1) 目標走行モードModedrive *が0(EVモード)又は1(エンジン始動モード)の場合
Tcl2_base * = min(Td_evmax ,Td *) (36)
ただし、
min(A,B):AとBの内、小さい方の値を出力
Td_evmax:EV走行時の最大駆動トルク
である。
2) 目標走行モードModedrive *が2(HEVモード)の場合
Tcl2_base * = Td * (37)
ステップS1305では、締結制御用の第2クラッチトルク容量指令値Tcl2 *を下式に基づいて算出する。
1) Tcl2_z1 * < Tcl2_maxの場合
Tcl2 *= Tcl2_z1 * + ΔTcl2_LU (38)
2) Tcl2_z1 * ≧ Tcl2_maxの場合
Tcl2 * = Tcl2_max (39)
ただし、
Tcl2_max:第2クラッチ最大トルク容量
ΔTcl2_LU:スリップ→締結移行時のトルク容量変化率
Tcl2_z1 *:第2クラッチトルク容量指令値の前回値
である。
ステップS1306では、スリップ制御用の第2クラッチトルク容量指令値Tcl2 *を算出する。以下、図15に示す第2クラッチ4の制御ブロック図を用いて説明する。本制御系は、フィードフォワード(F/F)補償とフィードバック(F/B)補償とからならなる2自由度制御手法で設計している。F/B補償部については様々な設計方法が考えられるが、今回はその一例としてPI制御としている。
まず初めに下式に示す位相補償フィルタGFF(s)に基づき基本第2クラッチトルク容量指令値Tcl2_base *に位相補償を施し第2クラッチ4のF/Fトルク容量指令値Tcl2_FFを演算する。実際の演算はタスティン近似等で離散化して得られた漸化式を用いて算出する。
Figure 2015083438
ただし、
τcl2:第2クラッチモデル時定数
τcl2_ref:第2クラッチ制御用規範応答時定数
である。
次に目標走行モードModedrive *に応じて第2クラッチトルク容量目標値Tcl2_tを以下のように演算する。
1) 目標走行モードModedrive *が0(EVモード)の場合
Tcl2_t = Tcl2_base * (41)
2) 目標走行モードModedrive *が1(エンジン始動モード)の場合
Tcl2_t = Tcl1 * + Tcl2_base * (42)
3) 目標走行モードModedrive *が2(HEVモード)の場合
Tcl2_t = Tcl2_base * - Te * (43)
補足説明:第2クラッチトルク容量目標値Tcl2_tは、スリップ制御中のモータトルクTmが理想状態で出力するトルクを表している。F/B補償部は、定常状態でTcl2_tとスリップ制御中のモータトルク指令値Tm *(実際のモータトルクTmとほぼ同値)が一致するように第2クラッチトルク容量を補正する。
次に下式に示す第2クラッチ規範モデルGcl2_REF(s)に基づき第2クラッチトルク容量規範値Tcl2_refを演算する。
Figure 2015083438
次に第2クラッチトルク容量規範値Tcl2_refと前述した回転数制御用のモータトルク指令値Tm *から下式に基づき第2クラッチ4のF/Bトルク容量指令値Tcl2_FBを演算する。
Figure 2015083438
ただし、
KPcl2:第2クラッチ制御用比例ゲイン
KIcl2:第2クラッチ制御用積分ゲイン
である。
また、下式のように入力回転数変化によって生じるトルク(イナーシャトルク)を考慮することにより、入力回転数が変化している場合にも精度よくトルク容量を制御できる。
Figure 2015083438
ここで、Tine_estはイナーシャトルク推定値であり、例えば、入力回転数変化量(微分値)に入力軸周りの慣性モーメント(第1クラッチ2が締結状態か非締結状態かで可変)を乗算して求める。
そして第2クラッチ4のF/Fトルク容量指令値Tcl2_FFとF/Bトルク容量指令値Tcl2_FBを加算し、最終的なスリップ制御用の第2クラッチ容量指令値Tcl2 *を演算する。
ステップS1307では、スリップ移行制御用の第2クラッチトルク容量指令値Tcl2 *を下式に基づいて算出する。
Tcl2 * = Tcl2_z1 * - ΔTcl2_slp (47)
ただし、
Tcl2_z1 *:第2クラッチトルク容量指令値の前回値
ΔTcl2_slp:締結→スリップ移行時トルク容量変化率
である。
ステップS1308では、解放制御用の第2クラッチトルク容量指令値Tcl2 *を下式に基づいて算出する。
Tcl2 * = 0 (48)
図2のステップS14では、第1クラッチトルク容量指令値Tcl1 *から、第1クラッチ2にかかる油圧を制御するソレノイドバルブへの電流指令値Icl1 *を演算する。以下、図16に示すフローチャートを用いて説明する。
ステップS1401では、第1クラッチトルク容量指令値Tcl1 *から、予め取得したクラッチトルク容量-ストローク特性により作成した図17に示すようなマップを用いて、第1クラッチストローク目標値xscl1 *を演算する。
ステップS1402では、ストローク指令値xscl1 *とストローク計測値より油圧指令値Pcl1 *を以下に基づき演算する。なお、本実施例では第2クラッチ4の制御(図15参照)と同様、図18に示すような2自由度制御手法を採用している。
まず初めに、ストローク指令値から、下式に示すような規範応答伝達特性と後述する油圧補正後の制御対象伝達特性の逆系からなる位相補償フィルタを用いてF/F油圧指令値Pcl1_FFを演算する。
Figure 2015083438
ただし、
C:第1クラッチ機構部粘性係数
Kcl1_ref:油圧補正後の制御対象バネ定数
ζcl1_ref:第1クラッチ規範応答減衰係数
ωcl1_ref:第1クラッチ規範応答固有振動数
M:クラッチ質量
である。
次に、ストローク指令値xscl1 *から下式に示すような規範応答伝達特性を表すフィルタを用いてストローク規範値xscl1_refを演算する。
Figure 2015083438
次に、ストローク規範値xscl1_refとストローク計測値xscl1の偏差xscl1_errから、下式に基づきF/B油圧指令値Pcl1_FBを演算する。
Figure 2015083438
ただし、
KPgain_cl1:比例ゲイン
KIgain_cl1:積分ゲイン
KDgain_cl1:微分ゲイン
である。
そして最後にF/F油圧指令値Pcl1_FFとF/B油圧指令値Pcl1_FBを加算し油圧指令値Pcl1 *とする。
ステップS1403では、クラッチ機構部の反力(油圧)‐ストローク特性の傾き(ダイアフラムスプリングのバネ特性)が設計者の所望する特性となるように油圧指令値に補正を施す。以下、詳細な方法について説明する。図17に示す特性に基づき作成したマップを用いてストローク計測値xscl1から演算した第1クラッチ油圧推定値Pcl1_estと、規範バネ特性を用いてストローク計測値xscl1から演算した反力規範値Pcl1_refとの差分から、油圧補正値Pcl1_hoseiを演算する。
Pcl1_hosei = Pcl1_ref - Pcl1_est = Kref・xscl1 - fxscl1-p(xscl1) (52)
ただし、
fxscl1-p():油圧‐ストローク特性を示す関数
である。
以上より算出した油圧補正値Pcl1_hoseiと油圧指令値Pcl1 *から下式に基づき最終油圧指令値Pcl1_comを演算する。
Pcl1_com = Pcl1 * - Pcl1_hosei (53)
ステップS1404では、最終油圧指令値から、後述する第2クラッチ4と同様、予め取得した特性に基づき作成したマップ(図20参照)を用いて電流指令値Icl1 *を算出する。
ステップS15では、第2クラッチトルク容量指令値Tcl2 *から第2クラッチ4にかかる油圧を制御するソレノイドバルブへの電流指令値Icl2 *を演算する。実際には予め取得した特性に基づき作成した図19,図20に示すようなマップを用いて算出する。これにより、油圧や電流に対してクラッチトルク容量が非線形な特性を有している場合でも、制御対象を線形としてみなすことができるため、前述したような線形制御理論を適用することができる。
ステップS16では、算出された指令値を各コントローラ17〜21へと送信する。
[作用]
次に、作用を説明する。まず、従来例と比較例の制御装置における課題を説明し、続いて、本実施例の制御装置における作用を説明する。
[従来例の制御装置における課題]
従来、エンジン及び駆動用モータの動力を用いて走行するハイブリッド車走行(HEV)モードと、駆動用モータの動力のみを用いて走行する電気自動車走行(EV)モードとを有するハイブリッド車両の制御装置が知られている。例えば特許文献1に記載の従来例は、本実施例と同様の駆動系を有するハイブリッド車両の制御装置であって、EVモード(第1クラッチ解放)で停車した状態からドライバーがアクセルを踏み込んでエンジンを始動しながら発進する場合、停車状態を検知して第1クラッチを締結し、発進時にエンジン始動要求が入ったらクランキング開始(エンジン回転数上昇)とする。このように、第1クラッチを締結しながら発進することで、第1クラッチが解放状態からクランキングに最低限必要なクラッチトルク容量となるまでの時間が必要なくなりエンジンが始動するまでの時間が短縮するため、EVモードからHEVモードへの移行に要する時間が短縮する。しかし、停車状態からの発進時に限らない走行中においてもEVモードからHEVモードへの遷移が行われるところ、上記従来例にあっては、停車状態検知後の発進時以外のEVモード走行では、第1クラッチを解放した状態としている。よって、このような発進時以外のEVモード走行場面では、エンジン始動要求後に第1クラッチが解放状態からスリップ締結状態となる構成であるため、クランキングが開始するまでに時間を要し、エンジンの始動応答性を確保することができない。
以下、図21を用いて説明する。図21は、従来例において発進時以外でEVモードで走行中、エンジン始動モードを経過してHEVモードへ遷移する場合の、アクセル開度、駆動用モータ回転数、エンジン回転数、第1クラッチのストローク量(締結状態)、駆動用モータトルクの各特性を示すタイムチャートである。時刻t10以前、EVモードであり、第1クラッチを解放し、エンジンを停止した(エンジン回転数がゼロである)状態で、駆動用モータとしてのモータ/ジェネレータのトルクを用いて走行している。時刻t10で、アクセル開度が所定の閾値を越えるため、エンジン始動要求が出され、エンジン始動モードへ移行する。時刻t10以後、第1クラッチをスリップ締結させる。時刻t11で、第1クラッチのトルク容量がクランキングに最低限必要な値まで増加するため、モータ/ジェネレータのトルクを増大させ、このトルクを用いてエンジンのクランキングを開始する。これにより、エンジン回転数がゼロから上昇する。その後、エンジンの点火が行われ、エンジンが完爆してエンジン回転数がアイドル回転数以上となる。時刻t12で、エンジン回転数がモータ/ジェネレータの回転数に略一致した状態が所定時間経過するため、エンジン始動モードからHEVモードへ移行する。このように、エンジン始動要求が出される時刻t10以降、第1クラッチのトルク容量がクランキングに最低限必要な値まで増加する時刻t11まで、クランキングが開始されない。よって、この時間の分だけ、エンジンの始動時間が延びるため、エンジンの始動応答性を確保することができない。
[比較例の制御装置における課題]
従来例の上記問題を解決するため、従来例と同様の駆動系を有するハイブリッド車両において、発進時以外のEVモード走行中に、従来例における停車検知後と同様、第1クラッチを締結しておく制御構成とすることも考えられる。以下、これを比較例という。比較例では、発進時以外のEVモード走行場面であっても、第1クラッチを締結することで、駆動用モータの動力を用いて予めエンジンを回転させておく。これにより、エンジン始動要求が出されるとほぼ同時にクランキングを実施できるため、従来例のような問題が生じず、エンジンの始動応答性を向上し、車両が加速するまでの時間を短縮することができる。しかし、比較例にあっては、EVモードでエンジンの始動要求前に非自立的に回転させるエンジンの回転数が駆動用モータの回転数から独立しておらず、駆動用モータとエンジンが同回転数のままEVモード走行を実施することになる。よって、駆動用モータにエンジンを回転させるための負荷(エンジンの摩擦抵抗や吸気抵抗といった負荷)がかかり続け、この負荷の分だけ駆動用モータの動力が余計に必要になる。また、駆動用モータの回転数の変化に応じてエンジン回転数が変動するため、このエンジン回転数変動のための負荷(イナーシャトルク)の分だけ駆動用モータの動力が必要になる。よって、エネルギー損失が増大するため、エンジンの始動応答性とエネルギーロスの低減(燃費向上)とを両立することができない。
以下、図22を用いて説明する。図22は、比較例における図21と同様のタイムチャートである。時刻t10以前、EVモードであり、駆動用モータとしてのモータ/ジェネレータのトルクを用いて走行すると共に、第1クラッチを完全締結し、(第1クラッチにより伝達される)モータ/ジェネレータのトルクを用いてエンジンを非自立的に回転させている。エンジン回転数とモータ/ジェネレータの回転数は同じである。モータ/ジェネレータのトルクは、走行に必要な駆動トルクと、エンジンを回転させるための負荷(エンジン負荷)分のトルクとの合計である。時刻t10で、アクセル開度が所定の閾値を越えるため、エンジン始動要求が出され、エンジン始動モードへ移行する。エンジンは既に回転しているため、クランキングは実質的に既に行われ(開始され)ている。よって、エンジンの点火を行い、エンジンを始動する。このように、エンジン始動要求が出される時刻t10以降、従来例のように第1クラッチのトルク容量の増加及びエンジン回転数の上昇を待たなくてもよいため、エンジンの始動時間を短縮し、エンジンの始動応答性を向上することができる。しかし、時刻t10以前、図22の斜線部分で示すように、モータ/ジェネレータがエンジン負荷分のトルクを出力し続ける必要がある。また、駆動用モータの回転数が変化する場合には、これに伴うエンジン回転数の変動を実現するための負荷分のトルクも出力する必要がある。よって、エネルギー損失が増大し、燃費が低下するおそれがある。
[本実施例の制御装置における作用]
本実施例の制御装置は、(発進時以外の走行中を含む)EVモードで、比較例と同様、エンジン1の始動が要求される前にエンジン1を非自立的に回転させると共に、比較例と異なり、モータ/ジェネレータ3の回転数ωcl2iからは独立した回転数ωe_PreRotにエンジン回転数ωeを維持する。よって、比較例と同様、発進時以外のEVモード走行場面であっても、予めエンジン1を回転させておくことにより、エンジン1の始動応答性を向上し、車両が加速するまでの時間を短縮することができる。また、比較例と異なり、モータ/ジェネレータ3の回転数ωcl2iからは独立した回転数ωe_PreRotにエンジン回転数ωeを維持することにより、エンジン負荷(フリクションロスやポンピングロス)が少ないエンジン回転数ωeとしたり、エンジン回転数ωeの変動を抑制してイナーシャ分の負荷を小さくしたりすることが可能になる。よって、エネルギー損失を減少し、エネルギーロスを低減することができる。
以下、図23を用いて説明する。図23は、本実施例における図21と同様のタイムチャートである。時刻t3以前、EVモードである。時刻t1以前、第1クラッチ2を解放し、エンジン1を停止した(エンジン回転数ωeがゼロである)状態で、モータ/ジェネレータ3のトルクTmを用いて走行している(図7のステップS601でYES→S603。図8のステップS701でYES→S702でNO→S707)。時刻t1で、アクセル開度Apoが所定値Apo_EngPreRot_Start以上となるため、エンジン始動が近々要求されると予測し、エンジン予備回転を実施すると判断して、予備回転用のエンジン回転数目標値ωe_PreRot *やエンジン入力トルク指令値TPreRotを演算する(図4のステップS501〜S503)。図23は、一例として始動用モータ6でエンジン1を回転する場合を示す。よって、時刻t1以後のエンジン予備回転中も、第1クラッチ2は解放状態のままである(図8のステップS701でYES→S702でYES→S703でNO→S705でYES→S707)。時刻t2で、始動用モータ6のトルクを増大させ、このトルクを用いてエンジン予備回転を開始する。これにより、エンジン回転数ωeがゼロから上昇する。その後、エンジン回転数ωeは、エンジン入力トルク指令値TPreRotに応じた始動用モータ6のトルクTSSG_PreRot *を用いて、目標値ωe_PreRot *に維持される。
時刻t3で、アクセル開度Apoが所定値Apo_th_hを越えるため、エンジン始動要求が出され、エンジン始動モードへ移行する(図7のステップS601でNO→S602でNO→S605)。エンジン1は既に回転しているため、クランキングは実質的に既に行われ(開始され)ている。よって、必要であれば始動用モータ6を用いてエンジン回転数ωeを更に上昇させ、エンジン1の点火を行い、エンジン1を始動する。時刻t3以後、エンジン1が完爆してエンジン回転数ωeがアイドル可能回転数ωe_idle以上となる。また、始動用モータ6のトルクを制御しつつ、第1クラッチ2をスリップモードとして解放状態から締結状態へ遷移させる(図8のステップS701でNO→S706でNO→S708)。時刻t4で、第1クラッチ2が締結し、かつエンジン回転数ωeがアイドル可能回転数ωe_idle以上であると判断するため、エンジン始動モードからHEVモードへ移行する(図7のステップS601でNO→S602でYES→S604。)。始動用モータ6の制御を終了し、第1クラッチ2を締結モードとする(図8のステップS701でNO→S706でYES→S709)。
このように、エンジン始動要求が出される時刻t3以前に、比較例と同様、エンジン1が予め回転され(いわばクランキングが既に開始され)ているため、時刻t3以降、時間をおかずに、エンジン1を点火して始動することが可能である。よって、エンジン1の始動時間を短縮し、エンジン1の始動応答性を向上することができる。また、時刻t3以前に、エンジン回転数ωeはエンジン負荷が少ない目標値ωe_PreRot *に維持されているため、エネルギー損失は少ない。すなわち、モータ/ジェネレータ3の回転数ωcl2iからは独立した回転数ωe_PreRotにエンジン回転数ωeを維持するようにしたことで、モータ/ジェネレータ3がどのような回転数のときでも、エンジン回転数ωeを負荷の比較的小さな回転数に制御することが可能となり、またエンジン回転数ωeの変動も抑制することができる。よって、EV走行中にエンジン1を連れ回してもエネルギーロスを抑制することが可能となる。図23の斜線部分で示すように、始動用モータ6が出力するトルクは、エンジン負荷等が省かれた小さい値に抑制されるため、エネルギー損失を低減することができる。なお、「エンジン回転数ωeを維持する」とは、エンジン回転数ωeの多少の変動を許容しつつ維持するものを含む。また、エンジン1の予備回転数ωe_PreRotを維持するための具体的な制御は上記に限らない。また、エンジン1を予備回転させる場面としては、発進後にEVモードで走行中であってもよいし、停車した状態からEVモードで発進する際であってもよい。
本実施例のハイブリッド車両は、エンジン1とモータ/ジェネレータ3との間の動力伝達を断接する第1クラッチ2と、エンジン1及び/又はモータ/ジェネレータ3と車両の駆動軸との間の動力伝達を断接する第2クラッチ4とを有し、HEVモードでは、第1クラッチ2によりエンジン1とモータ/ジェネレータ3との間で動力を伝達した状態で走行する。このように第1クラッチ2を備えたことで、モータ/ジェネレータ3の動力を用いてエンジン1を非自立的に回転させる(クランキングしたり予備回転する)ことが可能である。また、エンジン始動時にエンジン1とモータ/ジェネレー3タとの間で動力を伝達した状態であっても、第2クラッチ4を備えたことで、車両の駆動輪LT,RTに動力を円滑に(変動を抑制しつつ)伝達することができる。なお、上記形式のパラレル式ハイブリッド車両に限らず、例えば、パラレル式にシリーズ(シリアル)式を併用したハイブリッド車両(例えば、エンジンの動力を動力分割機構により2分割し、一方は車輪を駆動するために用い、他方は発電機を駆動して駆動用モータへの電力供給等に用いるもの)に本実施例の制御装置を適用してもよい。また、ハイブリッド車両は、ハイブリッドモードにおいてエンジンの(始動後の)回転数と駆動用モータの回転数とが一致する形式でなくてもよい。なお、エンジン1は、ガソリンエンジンに限らず、ディーゼルエンジンであってもよい。変速機5は、有段式に限らず、無段式であってもよい。自動変速機に限らず、手動変速機であってもよい。第1,第2クラッチ2,4の形式はそれぞれ乾式や湿式どちらでもよい。第2クラッチ4としては、図1に示すように、独立のクラッチをモータ/ジェネレータ3と変速機5の間の位置に設ける以外に、変速機5の各変速段にて締結される摩擦締結要素として用いられるクラッチやブレーキを流用してもよい。また、変速機5と左右駆動輪LT,RTの間の位置に第2クラッチ4を設けてもよい。また、駆動用モータ(モータ/ジェネレータ3)は1つに限らない。言換えると、第2クラッチ4は、エンジン1と2以上の駆動用モータとの動力を合成して出力軸へ伝達するものであってもよい。
エンジン1の始動が要求される前にエンジン1を非自立的に回転させる動力源として、図23のように、モータ/ジェネレータ3とは別に設けられた始動用モータ6を用いる場合(図8のステップS701でYES→S702でYES→S703でNO→S705でYES→S707)には、エンジン回転数ωe_PreRotを精度よく制御できる。よって、エネルギー損失をより効果的に低減することができる。また、モータ/ジェネレータ3が出力するトルクTmのうち、エンジン1を非自立的に回転させるためのトルクが不要になる分だけ、車両を駆動するためのモータトルクTmを増加することが可能になる。また、エンジン予備回転中は第1クラッチ2を解放状態とするため、第1クラッチ2をスリップ締結状態とする場合における摩擦によるエネルギー損失や第1クラッチ2の耐久性低下を抑制することができる。
なお、上記動力源としてモータ/ジェネレータ3を用い、第1クラッチ2により伝達される動力を制御しつつエンジン1を非自立的に回転させる場合(図8のステップS701でYES→S702でYES→S703でNO→S705でNO→S708)には、始動用モータ6を持たないシステム、又は始動用モータ6を使用できない状態においても、モータ/ジェネレータ3の回転数ωcl2iからは独立した値にエンジン回転数ωeを維持することができる。また、第1クラッチ2をスリップ締結させてエンジン回転数ωeを維持する構成であるため、エンジン始動とほぼ同時にエンジン1の動力を出力軸へ伝達することができる。よって、より速やかな車両加速が可能となる。
さらに、上記動力源を車両の走行状況に応じて決定する(切替える)場合には、上記各利点をより効果的に得ることができる。例えば、本実施例では、車両停止時に第1クラッチ2を締結し、発進が終了するまで(発進後、第2クラッチ4の入力回転数ωcl2iが発進終了第2クラッチ入力回転数ωcl2i_VStart未満である間)は第1クラッチ2及びモータ/ジェネレータ3を用いてエンジン1を予備回転する(図8のステップS701でYES→S702でYES→S703でYES→S704でYES→S708)。発進が終了すると(ωcl2iがωcl2i_VStart以上となったら)第1クラッチ2を解放し、始動用モータ6を用いてエンジン1を予備回転する(ステップS704でNO→S707)。これにより、エンジン始動要求(加速要求)の頻度が高い発進直後では上記のようにより速やかな車両加速を可能とする一方、それ以降のEVモード走行中では上記のようにエネルギーロスを効果的に抑制しつつ、エンジン始動時間を短縮することができる。なお、上記動力源を決定する(切替える)際の車両の走行状況は、上記のような発進の場面に限られない。言換えると、車両の発進時という走行状況に限らず、他の走行状況に応じて(例えばエンジン始動要求ないし加速要求の頻度が高いことを示す他の走行状況に応じて)、予備回転を実施するための動力源を決定してもよい。「車両の走行状況」には、車両の状態の他、ドライバーの操作量等も含まれる。
また、エンジン1の始動要求が近々あると判定されていない場合にも予備回転を実施することとしてもよい。本実施例では、エンジン1の始動が要求されると予測される場合にエンジン1の予備回転を実施し、エンジン1の始動が要求されないと予測される場合には予備回転を実施しない(図4のステップS501,S502、図8のステップS701でYES→S702でNO→S707)。このように、エンジン始動要求が予測されない期間は予備回転を実施せず、エンジン1を停止させる(回転させない)ことで、エンジン1を回転させるために必要なエネルギーを節約して、エネルギー損失をより低減することができる。「エンジン1を回転させない」とは、エンジン回転数ωeがゼロである以外に、エンジン1を停止させた状態で微小な回転を許容するものを含む。なお、実施例で例示した以外のパラメータを用いて、エンジン1の始動が要求されるか否かを予測することとしてもよい。
本実施例では、検出されるバッテリー充電量SOCが所定値SOC_EngPreRot_Startより低下した場合に、エンジン1の始動が近々要求されると予測する。この場合、SOC低下によるエンジン始動に備えて予めエンジン回転を維持することにより、上記のようにエネルギー損失を低減しつつ、SOC低下によるエンジン始動の時間を短縮することができる。
又は、検出される道路勾配Slopeが登坂の所定値SLope_EngPreRot_Startより増加した場合に、エンジン1の始動が近々要求されると予測する。この場合、勾配増加に起因するエンジン始動に備えて予めエンジン回転を維持することにより、上記のようにエネルギー損失を低減しつつ、勾配増加に起因するエンジン始動の時間を短縮することができる。
又は、検出されるアクセル開度Apoが所定値Apo_EngPreRot_Startより増加した場合に、エンジン1の始動が近々要求されると予測する。この場合、アクセル開度増加によるエンジン始動に備えて予めエンジン回転を維持することにより、上記のようにエネルギー損失を低減しつつ、アクセル開度増加によるエンジン始動の時間を短縮することができる。なお、アクセル開度Apoに代えて、又はこれと共に、検出されるスロットル開度を用いてもよい。
又は、算出されるアクセルペダル踏み込み速度V_Apoが所定値V_Apo_EngPreRot_Startより増加した場合に、エンジン1の始動が近々要求されると予測する。この場合、アクセルペダル踏み込み速度増加に起因するエンジン始動に備えて予めエンジン回転を維持することにより、上記のようにエネルギー損失を低減しつつ、アクセルペダル踏み込み速度増加に起因するエンジン始動の時間を短縮することができる。
予備回転におけるエンジン回転数ωe_PreRotとして、具体的には、上記のように、始動後のエンジン回転数ωe(本実施例の形式のハイブリッド車両では、モータ/ジェネレータ3の回転数ωcl2iと同じ回転数)よりもエンジン負荷が小さい回転数領域にエンジン回転数ωeを維持する(図4のステップS502)。すなわち、図5のステップS5022において、エンジン回転数目標値(予備回転)基準値ωe_PreRot_base *は、ポンピングロスや摩擦といったエンジン負荷要素が小さくなる回転数以上とする一方、不必要に高回転にするとエネルギーロスにつながるため、高負荷領域(ωe_ploss_l 〜 ωe_ploss_h、ωe_fric_l 〜 ωe_fric_h)より僅か上の回転数領域に設定する。このように、始動前のエンジン回転を、エンジン1の静摩擦領域などを避け、負荷の小さい回転数で維持することで、エネルギーロスを抑制することができる。
また、車両加速要求がある場合は、通常(車両加速要求がない場合)よりも、予備回転におけるエンジン回転数目標値ωe_PreRot *を高く設定する。具体的には、図5のステップS5022において、エンジン回転数目標値(予備回転)基準演算値ωe_PreRot_modeにΔωe_AccelReqを上乗せする。すなわち、予備回転におけるエンジン回転数ωe_PreRotを、通常よりも、始動後のエンジン回転数ωe(本実施例の形式のハイブリッド車両では、モータ/ジェネレータ3の回転数ωcl2iと同じ回転数)に近い回転数に維持する。エンジン回転数ωe_PreRotをエンジン始動要求後に即点火を可能にする回転数に近づけたり、モータ/ジェネレータ3の回転数ωcl2iに近づけたりすることで、エンジン始動要求後における早期のエンジン始動(車両加速)を可能にする。このように、加速が要求される状況では、始動前のエンジン回転数ωeを始動後に近い回転数で維持することで、エンジン始動時間をより短縮することを優先している。一方、加速が要求されない状況では、始動前のエンジン1の回転を負荷のより少ない回転数で維持することで、エネルギーロスの抑制を優先している。これにより、良好な車両特性を実現することができる。なお、エンジン回転数目標値ωe_PreRot *を高く設定するための方法としては、Δωe_AccelReqを上乗せするものに限らない。また、車両加速が要求されているか否かの判定の閾値(所定値)は、エンジン1の始動が近々要求されるか否かの予測の閾値(所定値SLope_EngPreRot_Start等)と同じであってもよいし、異なっていてもよい。また、エンジン始動要求の予測と車両加速要求の判定を、同時に行ってもよいし、別々のタイミングで行ってもよい。例えば、エンジン1の始動が要求されると予測して予備回転を開始した後、車両加速が要求されていると判定したときに、維持するエンジン回転数ωe_PreRotを変更してもよい。また、車両加速が要求されているか否かに限らず、他の要求(を示す車両状態やドライバー操作量)に応じて、予備回転において維持するエンジン回転数ωe_PreRotを変更してもよい。
また、予備回転におけるエンジン回転数ωe_PreRotを、車体の共振が生じうるエンジン回転数領域として予め設定された共振回転数域外に維持する。すなわち、図5のステップS5023において、エンジン回転数目標値(予備回転)基準値ωe_PreRot_base *が共振回転数域ωe_res_l_PreRot 〜 ωe_res_h_PreRotの範囲に入る場合、これを共振回転数域外へ補正したものを、エンジン回転数目標値(予備回転)ωe_PreRot *とする。これにより、予備回転においてエンジン1と車体との共振が発生することによる乗り心地の悪化を予防することができる。本明細書で「共振回転数域外」とは、共振回転数域の境界点ωe_res_l_PreRote_res_h_PreRotに挟まれる領域以外の領域であり、境界点ωe_res_l_PreRote_res_h_PreRotを含む。本実施例では、共振回転数域外としての境界点ωe_res_l_PreRote_res_h_PreRotにωe_PreRot *を設定する。
上記のような車両加速要求の有無を判定するため、実施例で例示した以外のパラメータを用いることとしてもよい。本実施例では、検出される道路勾配Slopeが登坂の所定値より増加した場合に、車両加速が要求されていると判定する。この場合、勾配増加により車両駆動力が要求される状況で、始動前のエンジン回転数ωeをより始動後のエンジン回転数ωeに近く維持することによって、(上記のようにエネルギー損失を低減しつつ、)エンジン始動時間をさらに短縮することができる。
又は、検出されるアクセル開度Apoが所定値より増加した場合に、車両加速が要求されていると判定する。この場合、アクセル開度増加により加速が要求される状況で、始動前のエンジン回転数ωeをより始動後のエンジン回転数ωeに近く維持することによって、(上記のようにエネルギー損失を低減しつつ、)エンジン始動時間をさらに短縮することができる。なお、アクセル開度Apoに代えて、又はこれと共に、検出されるスロットル開度を用いてもよい。
又は、算出されるアクセルペダル踏み込み速度V_Apoが所定値より増加した場合に、車両加速が要求されていると判定する。この場合、アクセルペダル踏み込み速度増加により加速が要求される状況で、始動前のエンジン回転数ωeをより始動後のエンジン回転数ωeに近く維持することによって、(上記のようにエネルギー損失を低減しつつ、)エンジン始動時間をさらに短縮することができる。
なお、エンジン1を予備回転させる場合は、予備回転中のエンジン回転数ωeをドライバーに対して表示させない(図4のステップS504)。このように、駆動力に直結しないエンジン回転を表示させないことで、ドライバーに違和感を与えないようにすることができる。なお、ドライバーに対してエンジン回転数ωeを表示させる手段は、タコメータに限らない。
[効果]
以下、実施例1のハイブリッド車両の制御装置が奏する効果を列挙する。
(1)車両を駆動するための動力源として、エンジン1と、少なくとも1つのモータ/ジェネレータ3(駆動用モータ)とを有し、エンジン1及びモータ/ジェネレータ3の動力を用いて走行するHEV(ハイブリッド車走行)モードと、モータ/ジェネレータ3の動力のみを用いて走行するEV(電気自動車走行)モードとを有するハイブリッド車両の統合コントローラ16(制御装置)において、EVモードで、エンジン1の始動が要求される前にエンジン1を非自立的に回転させ、モータ/ジェネレータ3の回転数ωcl2iからは独立した回転数ωe_PreRotにエンジン回転数ωeを維持する制御手段(ステップS5,S11,S12等)を備える。
よって、エンジン1の始動が要求される前にエンジン1を非自立的に回転させることでエンジン1の始動応答性を向上しつつ、モータ/ジェネレータ3の回転数ωcl2iからは独立した回転数ωe_PreRotにエンジン回転数ωeを維持することでエネルギーロスを低減することができる。
(1−1)ハイブリッド車両は、エンジン1とモータ/ジェネレータ3(駆動用モータ)との間の動力伝達を断接する第1クラッチ2(エンジン動力伝達手段)と、エンジン1及び/又はモータ/ジェネレータ3と車両の駆動軸との間の動力伝達を断接する第2クラッチ4(総動力伝達手段)とを有し、HEVモードでは、エンジン1とモータ/ジェネレータ3との間で動力を伝達した状態で走行する。
よって、パラレル式の中でも上記形式の駆動系を有するハイブリッド車両に本制御を適用することができる。
(2)エンジン1の始動が要求されるか否かを予測するエンジン始動要求予測手段(ステップS501)を備え、制御手段(ステップS5,S11,S12等)は、エンジン1の始動が要求されると予測される場合にエンジン1を予め非自立的に回転させ、エンジン1の始動が要求されないと予測される場合にエンジン1を非自立的に回転させない。
よって、エンジン始動要求が予測されない期間はエンジン1を停止させることで、エネルギーロスを抑制することができる。
(3)モータ/ジェネレータ3(駆動用モータ)に電力を供給するバッテリー8の充電量SOCを検出するバッテリー充電量検出手段(ステップS1)を備え、エンジン始動要求予測手段(ステップS501)は、検出されるバッテリー充電量SOCが所定値SOC_EngPreRot_Startより低下した場合に、エンジン1の始動が要求されると予測する。
よって、SOC低下によるエンジン始動に備えて予めエンジン回転を維持することにより、SOC低下によるエンジン始動の時間の短縮と、余分なエネルギーロスの抑制との両立が可能となる。
(4)道路勾配を検出する道路勾配検出手段(ステップS2)を備え、エンジン始動要求予測手段(ステップS501)は、検出される道路勾配Slopeが登坂の所定値SLope_EngPreRot_Startより増加した場合に、エンジン1の始動が要求されると予測する。
よって、勾配増加に起因するエンジン始動に備えて予めエンジン回転を維持することにより、勾配増加に起因するエンジン始動の時間の短縮と、余分なエネルギーロスの抑制との両立が可能となる。
(5)アクセル開度Apoを検出するアクセル開度検出手段(ステップS2)を備え、エンジン始動要求予測手段(ステップS501)は、検出されるアクセル開度Apoが所定値Apo_EngPreRot_Startより増加した場合に、エンジン1の始動が要求されると予測する。
よって、アクセル開度増加によるエンジン始動に備えて予めエンジン回転を維持することにより、アクセル開度増加によるエンジン始動の時間の短縮と、余分なエネルギーロスの抑制との両立が可能となる。
(6)アクセルペダルの踏み込み速度V_Apoを検出するアクセルペダル踏み込み速度検出手段(ステップS2,S501)を備え、エンジン始動要求予測手段(ステップS501)は、検出されるアクセルペダル踏み込み速度V_Apoが所定値V_Apo_EngPreRot_Startより増加した場合に、エンジン1の始動が要求されると予測する。
よって、アクセルペダル踏み込み速度増加に起因するエンジン始動に備えて予めエンジン回転を維持することにより、アクセルペダル踏み込み速度増加に起因するエンジン始動の時間の短縮と、余分なエネルギーロスの抑制との両立が可能となる。
(7)始動が要求される前に非自立的に回転させるエンジン1の回転数ωe_PreRotを、始動後のエンジン回転数ωeよりも、エンジン1を回転させるための負荷が小さい回転数領域に維持する。
このように、始動前のエンジン回転を、エンジン1の静摩擦領域などを避け、負荷の小さい回転数で維持することで、エネルギーロスを抑制することができる。
(8)始動が要求される前に非自立的に回転させるエンジン1の回転数ωe_PreRotを、エンジン1と車体の共振が生じうるエンジン回転数領域として予め設定された共振回転数域(ωe_res_l_PreRot 〜 ωe_res_h_PreRot)外に維持する。
よって、エンジン1と車体との共振による乗り心地の悪化を防止することができる。
(9)車両加速が要求されているか否かを判定する加速要求判定手段(ステップS5021)を備え、制御手段(ステップS5,S11,S12等)は、車両加速が要求されていると判定された場合に、始動が要求される前に非自立的に回転させるエンジン1の回転数ωe_PreRotを、車両加速が要求されていると判定されない場合よりも、始動後のエンジン回転数ωeに近い回転数に維持する。
このように、加速が要求される状況であるか否かに応じて、エンジン始動時間の短縮を優先するか、それともエネルギーロスの抑制を優先するかを決定することで、良好な車両特性を実現することができる。
(10)道路勾配Slopeを検出する道路勾配検出手段(ステップS2)を備え、加速要求判定手段(ステップS5021)は、検出される道路勾配Slopeが登坂の所定値より増加した場合に、車両加速が要求されていると判定する。
よって、勾配増加により車両駆動力が要求される状況において、始動前のエンジン回転数ωe_PreRotを、より始動後の回転数ωeに近く維持することで、エネルギーロスを抑制しながら、始動時間をさらに短縮することができる。
(11)アクセル開度Apoを検出するアクセル開度検出手段(ステップS2)を備え、加速要求判定手段(ステップS5021)は、検出されるアクセル開度Apoが所定値より増加した場合に、車両加速が要求されていると判定する。
よって、アクセル開度増加により加速が要求される状況において、始動前のエンジン回転数ωe_PreRotを、より始動後の回転数ωeに近く維持することで、エネルギーロスを抑制しながら、始動時間をさらに短縮することができる。
(12)アクセルペダルの踏み込み速度V_Apoを検出するアクセルペダル踏み込み速度検出手段(ステップS2,S501)を備え、加速要求判定手段(ステップS5021)は、検出されるアクセルペダル踏み込み速度V_Apoが所定値より増加した場合に、車両加速が要求されていると判定する。
よって、アクセルペダル踏み込み速度増加により加速が要求される状況において、始動前のエンジン回転数ωe_PreRotを、より始動後の回転数ωeに近く維持することで、エネルギーロスを抑制しながら、始動時間をさらに短縮することができる。
(13)モータ/ジェネレータ3(駆動用モータ)とは別にエンジン始動用の始動用モータ6を有し、制御手段(ステップS5,S12等)は、エンジン1の始動が要求される前に、始動用モータ6を動力源としてエンジン1を非自立的に回転させる。
このように始動用モータ6を用いる場合、エンジン回転数ωe_PreRotを精度よく制御し、エネルギー損失をより効果的に低減することができる。
(14)エンジン1とモータ/ジェネレータ3(駆動用モータ)との間の動力伝達を断接する第1クラッチ2(エンジン動力伝達手段)を有し、制御手段(ステップS5,S11,S12等)は、エンジン1の始動が要求される前に、第1クラッチ2により伝達される動力を制御しつつ、モータ/ジェネレータ3を動力源としてエンジン1を非自立的に回転させる。
この場合、始動用モータ6を持たないシステム、又は始動用モータ6を使用できない状態においても、モータ/ジェネレータ3の回転数ωcl2iからは独立した値にエンジン回転数ωeを維持することができる。
(15)エンジン1とモータ/ジェネレータ3(駆動用モータ)との間の動力伝達を断接する第1クラッチ2(エンジン動力伝達手段)と、エンジン始動用の始動用モータ6とを有し、制御手段(ステップS5,S11,S12等)は、エンジン1の始動が要求される前に始動用モータ6を動力源としてエンジン1を非自立的に回転させるか、又は、エンジン1の始動が要求される前に、第1クラッチ2により伝達される動力を制御しつつモータ/ジェネレータ3を動力源としてエンジン1を非自立的に回転させるかを、車両の走行状況に応じて決定する。
このように車両の走行状況に応じて動力源を決定することで、速やかな車両加速とエネルギーロスの低減とを高次元で両立させた良好な車両特性を実現することができる。
(16)エンジン1の始動が要求される前にエンジン1を非自立的に回転させる場合は、ドライバーに対してエンジン回転数ωeを表示させない(ステップS504)。
このように駆動力に直結しないエンジン回転を表示させないことで、ドライバーに違和感を与えないようにすることができる。
[他の実施例]
以上、本発明を実施するための形態を、図面に基づく実施例により説明したが、本発明の具体的な構成は、実施例に限定されるものではなく、発明の要旨を逸脱しない範囲の設計変更等があっても本発明に含まれる。
1 エンジン
2 第1クラッチ(エンジン動力伝達手段)
3 モータ/ジェネレータ(駆動用モータ)
4 第2クラッチ(総動力伝達手段)
6 始動用モータ
8 バッテリー
16 統合コントローラ(制御装置)

Claims (16)

  1. 車両を駆動するための動力源として、エンジンと、少なくとも1つの駆動用モータとを有し、
    前記エンジン及び前記駆動用モータの動力を用いて走行するハイブリッド車走行モードと、
    前記駆動用モータの動力のみを用いて走行する電気自動車走行モードとを有するハイブリッド車両の制御装置において、
    前記電気自動車走行モードで、前記エンジンの始動が要求される前に前記エンジンを非自立的に回転させ、前記駆動用モータの回転数からは独立した回転数にエンジン回転数を維持する制御手段を備える
    ことを特徴とするハイブリッド車両の制御装置。
  2. 請求項1に記載のハイブリッド車両の制御装置において、
    前記エンジンの始動が要求されるか否かを予測するエンジン始動要求予測手段を備え、
    前記制御手段は、前記エンジンの始動が要求されると予測される場合に前記エンジンを予め非自立的に回転させ、前記エンジンの始動が要求されないと予測される場合に前記エンジンを非自立的に回転させないことを特徴とするハイブリッド車両の制御装置。
  3. 請求項2に記載のハイブリッド車両の制御装置において、
    前記駆動用モータに電力を供給するバッテリーの充電量を検出するバッテリー充電量検出手段を備え、
    前記エンジン始動要求予測手段は、前記検出されるバッテリー充電量が所定値より低下した場合に、前記エンジンの始動が要求されると予測することを特徴とするハイブリッド車両の制御装置。
  4. 請求項2に記載のハイブリッド車両の制御装置において、
    道路勾配を検出する道路勾配検出手段を備え、
    前記エンジン始動要求予測手段は、前記検出される道路勾配が登坂の所定値より増加した場合に、前記エンジンの始動が要求されると予測することを特徴とするハイブリッド車両の制御装置。
  5. 請求項2に記載のハイブリッド車両の制御装置において、
    アクセル開度を検出するアクセル開度検出手段を備え、
    前記エンジン始動要求予測手段は、前記検出されるアクセル開度が所定値より増加した場合に、前記エンジンの始動が要求されると予測することを特徴とするハイブリッド車両の制御装置。
  6. 請求項2に記載のハイブリッド車両の制御装置において、
    アクセルペダルの踏み込み速度を検出するアクセルペダル踏み込み速度検出手段を備え、
    前記エンジン始動要求予測手段は、前記検出されるアクセルペダル踏み込み速度が所定値より増加した場合に、前記エンジンの始動が要求されると予測することを特徴とするハイブリッド車両の制御装置。
  7. 請求項1ないし6のいずれかに記載のハイブリッド車両の制御装置において、
    始動が要求される前に非自立的に回転させる前記エンジンの回転数を、前記始動後のエンジン回転数よりも、前記エンジンを回転させるための負荷が小さい回転数領域に維持することを特徴とするハイブリッド車両の制御装置。
  8. 請求項1ないし7のいずれかに記載のハイブリッド車両の制御装置において、
    始動が要求される前に非自立的に回転させる前記エンジンの回転数を、前記エンジンと車体の共振が生じうるエンジン回転数領域として予め設定された共振回転数域外に維持することを特徴とするハイブリッド車両の制御装置。
  9. 請求項1ないし8のいずれかに記載のハイブリッド車両の制御装置において、
    車両加速が要求されているか否かを判定する加速要求判定手段を備え、
    前記制御手段は、車両加速が要求されていると判定された場合に、始動が要求される前に非自立的に回転させる前記エンジンの回転数を、車両加速が要求されていると判定されない場合よりも、前記始動後の前記エンジンの回転数に近い回転数に維持することを特徴とするハイブリッド車両の制御装置。
  10. 請求項9に記載のハイブリッド車両の制御装置において、
    道路勾配を検出する道路勾配検出手段を備え、
    前記加速要求判定手段は、前記検出される道路勾配が登坂の所定値より増加した場合に、車両加速が要求されていると判定することを特徴とするハイブリッド車両の制御装置。
  11. 請求項9に記載のハイブリッド車両の制御装置において、
    アクセル開度を検出するアクセル開度演算手段を備え、
    前記加速要求判定手段は、前記検出されるアクセル開度が所定値より増加した場合に、車両加速が要求されていると判定することを特徴とするハイブリッド車両の制御装置。
  12. 請求項9に記載のハイブリッド車両の制御装置において、
    アクセルペダルの踏み込み速度を検出するアクセルペダル踏み込み速度検出手段を備え、
    前記加速要求判定手段は、前記検出されるアクセルペダル踏み込み速度が所定値より増加した場合に、車両加速が要求されていると判定することを特徴とするハイブリッド車両の制御装置。
  13. 請求項1ないし12のいずれかに記載のハイブリッド車両の制御装置において、
    前記駆動用モータとは別に前記エンジン始動用の始動用モータを有し、
    前記制御手段は、前記エンジンの始動が要求される前に、前記始動用モータを動力源として前記エンジンを非自立的に回転させることを特徴とするハイブリッド車両の制御装置。
  14. 請求項1ないし12のいずれかに記載のハイブリッド車両の制御装置において、
    前記エンジンと前記駆動用モータとの間の動力伝達を断接するエンジン動力伝達手段を有し、
    前記制御手段は、前記エンジンの始動が要求される前に、前記エンジン動力伝達手段により伝達される動力を制御しつつ、前記駆動用モータを動力源として前記エンジンを非自立的に回転させることを特徴とするハイブリッド車両の制御装置。
  15. 請求項1ないし12のいずれかに記載のハイブリッド車両の制御装置において、
    前記エンジンと前記駆動用モータとの間の動力伝達を断接するエンジン動力伝達手段と、
    前記エンジン始動用の始動用モータとを有し、
    前記制御手段は、前記エンジンの始動が要求される前に前記始動用モータを動力源として前記エンジンを非自立的に回転させるか、又は、前記エンジンの始動が要求される前に、前記エンジン動力伝達手段により伝達される動力を制御しつつ前記駆動用モータを動力源として前記エンジンを非自立的に回転させるかを、車両の走行状況に応じて決定することを特徴とするハイブリッド車両の制御装置。
  16. 請求項1ないし15のいずれかに記載のハイブリッド車両の制御装置において、
    前記エンジンの始動が要求される前に前記エンジンを非自立的に回転させる場合は、ドライバーに対してエンジン回転数を表示させないことを特徴とするハイブリッド車両の制御装置。
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