JP5391654B2 - ハイブリッド車両の制御装置 - Google Patents

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Description

本発明は、電気自動車モードからハイブリッド車モードへのモード遷移の際、電気自動車モードの走行用駆動源であるモータジェネレータを用いてエンジンを始動するハイブリッド車両の制御装置に関する。
従来、駆動系にエンジン・第1クラッチ・モータジェネレータ・第2クラッチを有するハイブリッド車両のエンジン始動方法としては、モータジェネレータの動力のみで走行中にドライバーがアクセルペダルを踏み込んでエンジン始動する場合、エンジン始動要求と同時に第2クラッチをスリップさせ、スリップ回転数が十分大きくなってから、第1クラッチを半締結してクランキングし、エンジンを始動する。そして、エンジン回転数がモータ回転数まで引上げられ、エンジン回転数がモータ回転数に一致すると、第1クラッチと第2クラッチを締結し、エンジンとモータジェネレータの動力による走行(ハイブリッド車モード)に移行する。このとき、エンジン始動に伴うトルク変動の駆動輪への伝達は、第2クラッチをスリップさせることで低減するようにしたものが知られている(例えば、特許文献1参照)。
特開2007−69790号公報
しかしながら、従来のハイブリッド車両の制御装置にあっては、第1クラッチを半締結し、クランキングによりエンジン始動を行うとき、第1クラッチのトルク容量を超えるようなエンジントルクが生じると、エンジン回転数がモータ回転数を超えてしまう場合がある。この場合、第1クラッチの入出力軸差回転の符号が逆転することによって、第1クラッチの伝達トルクの作用方向が瞬時に逆転し、トルクの急変が発生する。このときモータジェネレータは回転数制御モードであり、第1クラッチで生じたトルク変動を打ち消すように補償が施されるものの補償が遅れてしまい、トルクの急変に起因してエンジン始動ショックが発生してしまう、という問題があった。
本発明は、上記問題に着目してなされたもので、第1クラッチを半締結し、モータジェネレータを用いたクランキングによりエンジン始動を行うとき、第1クラッチでのトルクの急変に起因して発生するエンジン始動ショックを防止することができるハイブリッド車両の制御装置を提供することを目的とする。
上記目的を達成するため、本発明のハイブリッド車両の制御装置では、エンジンとモータジェネレータを断続する第1クラッチを有し、前記第1クラッチを締結して前記エンジンと前記モータジェネレータの動力で走行するハイブリッド車モードと、前記第1クラッチを開放して前記モータジェネレータの動力のみで走行する電気自動車モードと、前記モータジェネレータの動力のみで走行しながら同一のモータジェネレータの動力を使ってエンジンクランキングを行なうエンジン始動モードと、を切り替えて走行する。
前記電気自動車モードを選択中、エンジン始動要求があると、前記第1クラッチを半締結して前記エンジンのクランキングを開始するエンジン始動制御手段を設けた。
前記エンジン始動制御手段は、前記エンジンのクランキング開始域から前記第1クラッチを締結するまでの間、モータ回転数がエンジン回転数以上の回転数を維持するように、前記モータジェネレータを回転数制御するモータ回転数制御部を有する。
前記モータ回転数制御部は、前記モータジェネレータへの制御指令値となるモータ回転数目標値を、エンジン回転数検出手段により実測したエンジン回転数計測値に、前記第1クラッチの入出力軸間での第1クラッチスリップ回転数目標値を加算して求める。
よって、本発明のハイブリッド車両の制御装置にあっては、電気自動車モードを選択中、エンジン始動要求があると、エンジン始動制御手段において、第1クラッチを半締結してエンジンのクランキングが開始される。そして、モータ回転数制御部において、エンジンのクランキング開始域から第1クラッチを締結するまでの間、モータ回転数がエンジン回転数以上の回転数を維持するように、モータジェネレータが回転数制御される。
すなわち、第1クラッチを半締結し、クランキングによりエンジン始動を行うとき、第1クラッチのトルク容量を超えるような初爆のエンジントルクが生じると、エンジン回転数がモータ回転数を超えようとする。しかし、エンジンに比べて制御応答性の高いモータジェネレータは、エンジン点火前のクランキング開始域から、事前にモータ回転数がエンジン回転数以上の回転数を維持するように回転数制御される。このため、第1クラッチを締結するまでエンジン回転数がモータ回転数を超えることが無く、回転数差の逆転により発生する第1クラッチでのトルクの急変が未然に回避される。
この結果、第1クラッチを半締結し、モータジェネレータを用いたクランキングによりエンジン始動を行うとき、第1クラッチでのトルクの急変に起因して発生するエンジン始動ショックを防止することができる。
加えて、モータジェネレータへの制御指令値となるモータ回転数目標値が、エンジン回転数検出手段により実測したエンジン回転数計測値に、第1クラッチスリップ回転数目標値を加算して求められる。したがって、第1クラッチスリップ回転数目標値が確保され、モータ回転数がエンジン回転数を下回ることが防止される。
以下、本発明のハイブリッド車両の制御装置を実現する最良の形態を、図面に示す実施例1に基づいて説明する。
まず、構成を説明する。
図1は、実施例1の制御装置が適用された後輪駆動によるパラレル方式のFRハイブリッド車両(ハイブリッド車両の一例)を示す全体システム図である。
実施例1におけるFRハイブリッド車両の駆動系は、図1に示すように、エンジンEngと、フライホイールFWと、第1クラッチCL1と、モータジェネレータMGと、第2クラッチCL2と、自動変速機ATと、プロペラシャフトPSと、ディファレンシャルDFと、左ドライブシャフトDSLと、右ドライブシャフトDSRと、左後輪RL(駆動輪)と、右後輪RR(駆動輪)と、を有する。なお、FLは左前輪、FRは右前輪である。
前記エンジンEngは、ガソリンエンジンやディーゼルエンジン等の希薄燃焼可能なエンジンであり、エンジンコントローラ1からのエンジン制御指令に基づいて、スロットルアクチュエータによる吸入空気量と、インジェクタによる燃料噴射量と、点火プラグによる点火時期の制御により、エンジントルクが指令値と一致するように制御される。なお、エンジン出力軸には、フライホイールFWが設けられている。
前記第1クラッチCL1は、前記エンジンEngと前記モータジェネレータMGの間に介装され、エンジンEng〜モータジェネレータMG間の締結/開放を行なう乾式クラッチである。この第1クラッチCL1は、第1クラッチコントローラ5からの第1クラッチ制御指令に基づいて、第1クラッチ油圧ユニット6により作り出された第1クラッチ制御油圧により、半クラッチ状態を含み締結(油圧OFF)・開放(油圧ON)が制御される。なお、第1クラッチCL1が完全締結状態ならモータトルク+エンジントルクが、開放状態ならモータトルクのみが、第2クラッチCL2へと伝達される。
前記モータジェネレータMGは、ロータに永久磁石を埋設しステータにステータコイルが巻き付けられた同期型モータジェネレータであり、モータコントローラ2からの制御指令に基づいて、インバータ3により作り出された三相交流を印加することにより制御される。このモータジェネレータMGは、バッテリ4からの電力の供給を受けて回転駆動する電動機として動作することもできるし(以下、この状態を「力行」と呼ぶ)、ロータがエンジンEngや駆動輪から回転エネルギーを受ける場合には、ステータコイルの両端に起電力を生じさせる発電機として機能し、バッテリ4を充電することもできる(以下、この動作状態を「回生」と呼ぶ)。なお、このモータジェネレータMGのロータは、ダンパーを介して自動変速機ATの変速機入力軸に連結されている。
前記第2クラッチCL2は、前記モータジェネレータMGと左右後輪RL,RRの間に介装され、クラッチ油圧(押し付け力)に応じて駆動輪である左右後輪RL,RRへの伝達トルクを発生させる湿式多板ブレーキや湿式多板クラッチである。この第2クラッチCL2は、ATコントローラ7からの第2クラッチ制御指令に基づいて、第2クラッチ油圧ユニット8により作り出された制御油圧により、スリップ締結とスリップ開放を含み締結・開放が制御される。なお、第1クラッチ油圧ユニット6と第2クラッチ油圧ユニット8は、自動変速機ATに付設されるAT油圧コントロールバルブユニットCVUに内蔵している。
前記自動変速機ATは、例えば、第1遊星歯車列PG1と第2遊星歯車列PG2と第3遊星歯車列PG3を有し、前進5速/後退1速や前進7速/後退1速等の有段階の変速段を、車速VSPやアクセル開度APO等に応じて自動的に切り換える有段変速機である。そして、前記第2クラッチCL2は、専用クラッチとして新たに追加したものではなく、自動変速機ATの各変速段にて締結される複数の摩擦締結要素のうち、トルク伝達経路に配置される最適なクラッチやブレーキを選択している。なお、自動変速機ATの出力軸は、プロペラシャフトPS、ディファレンシャルDF、左ドライブシャフトDSL、右ドライブシャフトDSRを介して左右後輪RL,RRに連結されている。
実施例1のFRハイブリッド車両は、第1クラッチCL1の締結・開放状態に応じ、電気自動車走行モード(以下、「EVモード」という。)と、ハイブリッド車走行モード(以下、「HEVモード」という。)の2つの走行モードと、「エンジン始動モード」を有する。「EVモード」は、第1クラッチCL1を開放状態とし、モータジェネレータMGの動力のみで走行するモードである。「HEVモード」は、第1クラッチCL1を締結状態とし、エンジンEngとモータジェネレータMGの動力で走行するモードである。「エンジン始動モード」は、「EVモード」から「HEVモード」へのモード遷移時、モータジェネレータMGの動力のみで「EVモード」により走行しながら同一のモータジェネレータMGの動力を使って、エンジンEngのクランキングを行なうモードである。
次に、ハイブリッド車両の制御系を説明する。
実施例1におけるFRハイブリッド車両の制御系は、図1に示すように、エンジンコントローラ1と、モータコントローラ2と、インバータ3と、バッテリ4と、第1クラッチコントローラ5と、第1クラッチ油圧ユニット6と、ATコントローラ7と、第2クラッチ油圧ユニット8と、ブレーキコントローラ9と、統合コントローラ10と、を有して構成されている。なお、エンジンコントローラ1と、モータコントローラ2と、第1クラッチコントローラ5と、ATコントローラ7と、ブレーキコントローラ9と、統合コントローラ10とは、情報交換が互いに可能なCAN通信線11を介して接続されている。
前記エンジンコントローラ1は、エンジン回転数センサ12(エンジン回転数検出手段)からのエンジン回転数情報と、統合コントローラ10からの目標エンジントルク指令と、他の必要情報を入力する。そして、エンジン動作点(Ne,Te)を制御する指令を、エンジンEngのスロットルバルブアクチュエータ等へ出力する。
前記モータコントローラ2は、モータジェネレータMGのロータ回転位置を検出するレゾルバ13からの情報と、統合コントローラ10からの目標MGトルク指令および目標MG回転数指令と、他の必要情報を入力する。そして、モータジェネレータMGのモータ動作点(Nm,Tm)を制御する指令をインバータ3(高電圧インバータ)へ出力する。なお、このインバータ3に接続されるバッテリ4(高電圧バッテリ)には、図外のバッテリコントローラにより、バッテリ4への充電容量をあらわすバッテリ充電量SOCを監視していて、このバッテリ充電量SOCの情報は、モータジェネレータMGの制御情報に用いられると共に、CAN通信線11を介して統合コントローラ10へ供給される。
前記第1クラッチコントローラ5は、油圧アクチュエータ14のピストン14aのストローク位置を検出する第1クラッチストロークセンサ15からのセンサ情報と、統合コントローラ10からの目標CL1トルク指令と、他の必要情報を入力する。そして、第1クラッチCL1の締結・開放を制御する指令を、AT油圧コントロールバルブユニットCVU内の第1クラッチ油圧ユニット6に出力する。
前記ATコントローラ7は、アクセル開度センサ16と、車速センサ17と、他のセンサ類18(変速機入力回転数センサ、インヒビタースイッチ、第2クラッチ出力回転数センサ等)からの情報を入力する。そして、Dレンジを選択しての走行時、アクセル開度APOと車速VSPにより決まる運転点がシフトマップ上で存在する位置により最適な変速段を検索し、検索された変速段を得る制御指令をAT油圧コントロールバルブユニットCVUに出力する。なお、シフトマップとは、アクセル開度と車速に応じてアップシフト線とダウンシフト線を書き込んだマップをいう。上記自動変速制御に加えて、統合コントローラ10から目標CL2トルク指令を入力した場合、第2クラッチCL2の締結・開放を制御する指令を、AT油圧コントロールバルブユニットCVU内の第2クラッチ油圧ユニット8に出力する第2クラッチ制御を行う。
前記ブレーキコントローラ9は、4輪の各車輪速を検出する車輪速センサ19と、ブレーキスイッチセンサ20からのセンサ情報と、統合コントローラ10からの回生協調制御指令と、他の必要情報を入力する。そして、例えば、ブレーキ踏み込み制動時、ブレーキストロークBSから求められる要求制動力に対し回生制動力だけでは不足する場合、その不足分を機械制動力(液圧制動力やモータ制動力)で補うように、回生協調ブレーキ制御を行う。
前記統合コントローラ10は、車両全体の消費エネルギーを管理し、最高効率で車両を走らせるための機能を担うもので、モータ回転数Nmを検出するモータ回転数センサ21や他のセンサ・スイッチ類22からの必要情報およびCAN通信線11を介して情報を入力する。そして、エンジンコントローラ1へ目標エンジントルク指令、モータコントローラ2へ目標MGトルク指令および目標MG回転数指令、第1クラッチコントローラ5へ目標CL1トルク指令、ATコントローラ7へ目標CL2トルク指令、ブレーキコントローラ9へ回生協調制御指令を出力する。
図2は、実施例1の制御装置が適用されたFRハイブリッド車両の統合コントローラ10にて実行されるエンジン始動制御処理を示すフローチャートである(エンジン始動制御手段)。なお、図2に示す処理内容は一定サンプリングで実行されることとする。以下、各ステップについて説明する。
ステップS1では、バッテリ充電量SOC、第2クラッチCL2の入力回転数ωcl2i、第2クラッチCL2の出力回転数ωcl2o、エンジン回転数ωe、車速VSPといった他のコントローラが計測した車両状態を受信し、ステップS2へ進む。
ステップS2では、アクセル開度APOをアクセル開度センサ16から、第1クラッチストロークxScl1を第1クラッチストロークセンサ15から、ブレーキSW信号Bswをブレーキスイッチセンサ20から、それぞれ計測し、ステップS3へ進む。
ステップS3では、アクセル開度APO、車速VSPから目標駆動トルクTd*を演算し、ステップS4へ進む。
ここで、目標駆動トルクTd*は、例えば、図3に示すようなアクセル開度APOと車速VSPをパラメータとする目標駆動トルク演算マップに基づき演算する。
ステップS4では、バッテリ充電量SOCや目標駆動トルクTd*および車速VSPといった車両状態から、第1クラッチCL1の目標制御モードCL1MODE(0:解放、1:スリップ、2:締結)と、第2クラッチCL2の目標制御モードCL2MODE(0:解放、1:スリップ、2:締結)の設定を行ない、ステップS5へ進む。
なお、各クラッチCL1,CL2の目標制御モードCL1MODE,CL2MODEの詳しい演算処理は、図9に示す後述のフローチャートにより行う。
ステップS5では、第1クラッチCL1の目標制御モードCL1MODEと、目標駆動トルクTd*に基づき、エンジントルク指令値Te*を下記のように演算し、ステップS6へ進む。演算式は、
1) CL1MODE=0またはCL1MODE=1の場合
Te*=0 (1)
2) CL1MODE=2の場合
Te*=Td*−Tm_max (2)
となる。
ただし、
Tm_max:最大出力可能モータトルク(SOCが低下すれば負値になる)
である。
ここで、CL1MODE=2(HEVモード)の場合のエンジントルク指令値Te*は、さまざまな演算方法が考えられるが、本実施例では可能な限りモータトルクを活用し、目標駆動トルクTd*に対して不足した分をエンジントルクで補足する設定とする。
ステップS6では、第1クラッチトルク容量指令値Tcl1 *を下記のように演算し、ステップS7へ進む。演算式は、
1) CL1MODE=0の場合
Tcl1 *=0 (3)
2) CL1MODE=1の場合
Tcl1 *=Tcrank (4)
3) CL1MODE=2の場合
Tcl1 *=Tcl1_max (5)
となる。
ただし、
Tcrank:クランキングトルク
Tcl1_max:第1クラッチ最大トルク容量
である。
ステップS7では、第2クラッチCL2がスリップ状態か否かの判断を行う。第2クラッチCL2のスリップ回転数ωcl2slp(第2クラッチ入力回転数ωcl2i−第2クラッチ出力回転数ωcl2o)の絶対値が所定値ωcl2slp_th2以上となった場合、スリップ状態と判断してステップS8へ、それ以外の場合はステップS12へ、それぞれ進む。
ステップS8では、ステップS7での第2クラッチCL2がスリップ状態であるとの判断に続き、基本第2クラッチトルク容量指令値Tcl2_base *を下記のように演算し、ステップS9へ進む。演算式は、
1) CL1MODE=0またはCL1MODE=1の場合
Tcl2_base *=min(Td_evmax,Td*) (6)
2) CL1MODE=2の場合
Tcl2_base *=Td* (7)
となる。
ただし、
min(A,B):AとBの内、小さい方の値を出力
Td_evmax:EV走行時の最大駆動トルク
である。
ステップS9では、以下に述べる演算処理により、第2クラッチ入力回転数目標値ωcl2i *を演算し、ステップS10へ進む(モータ回転数制御部)。
ここで、「第2クラッチ入力回転数」は、「モータ回転数」に相当するため、第2クラッチ入力回転数目標値ωcl2i *は、モータ回転数目標値と読み替えることができる。
すなわち、第2クラッチCL2への入力回転数が、変速機入力回転数となる変速段選択時、第2クラッチ入力回転数=モータ回転数である。また、第2クラッチCL2への入力回転数が、変速機入力回転数とならない変速段選択時、変速機入力軸から第2クラッチCL2までのトルク伝達経路におけるギア比を考慮することで、第2クラッチ入力回転数にギア比を加味したものがモータ回転数となる。
なお、説明のし易さのためCL1MODE=2から説明する。
1) CL1MODE=2の場合
第2クラッチスリップ回転数目標値ωcl2_slp *と第2クラッチ出力回転数計測値ωoから、下記の式(8)に基づき第2クラッチ入力回転数目標値ωcl2i *を演算する。演算式は、
ωcl2i *=ωcl2_slp *+ωo (8)
となる。
このとき、第2クラッチスリップ回転数目標値ωcl2_slp *は、下記の式(9)に基づき演算される。演算式は、
ωcl2_slp *=fcl2_slp_cl1OP(ωo,APO) (9)
となる。
ここで、fcl2_slp_cl1OP(ωo,APO)は、第2クラッチ出力回転数計測値ωoとアクセル開度APOを入力とした関数である。実際には、例えば、図4に示すような「HEVモード」における目標スリップ回転数を演算するマップの一例によって設定する。このようにすることで、所望のロックアップ回転数(スリップが0になる出力回転数)をアクセル開度APOに応じて設定することができる。
2) CL1MODE=0の場合
“CL1MODE=2”と同様に式(8)に基つぎ第2クラッチ入力回転数目標値ωcl2i *を演算する。このとき、第2クラッチスリップ回転数目標値ωcl2_slp *は、下記の式(10)に基づき演算される。演算式は、
ωcl2_slp *=fcl2_Δωslp(Teng_start) (10)
となる。
ここで、fcl2_Δωslp(Teng_start)は、エンジン始動時のためのスリップ回転数増加量を演算する関数であり、エンジン始動配分モータトルクTeng_start(最大出力可能モータトルクTm_maxと第2クラッチトルク容量指令値Tcl2_base *の差分)を入力とする。実際には、例えば、図5に示すようなエンジン始動モードにおける目標スリップ回転数(増加分)を演算するマップの一例を用いることにより、エンジン始動配分モータトルクTeng_startが低下した場合には、目標第2クラッチスリップ回転数目標値ωcl2_slp *を高め(増加量を多く)に設定する。
3) CL1MODE=1の場合
CL1MODE=1(スリップ)である場合(第1クラッチCL1を半締結にしてエンジンEngのクランキングを開始する時点から第1クラッチCL1を完全締結して「HEVモード」へ移行するまでの間)、モータ回転数がエンジン回転数以上の回転数を維持するように、モータジェネレータMGを回転数制御する。
まず、第1クラッチスリップ回転数目標値ωcl1_slp *から下記の式(11)に基つぎ第2クラッチ入力回転数目標値ωcl2i *を演算する。演算式は、
ωcl2i *=ωcl1_slp *+fωcl2_start(t) (11)
となる。
このとき、第1クラッチスリップ回転数目標値ωcl1_slp *は、CL1MODEが1に遷移する直前の第1クラッチスリップ回転数計測値(=第2クラッチ入力回転数計測値ωcl2iとエンジン回転数計測値ωeの差分)に値がセットされる。fωcl2_start(t)は、第2クラッチ回転数増加量の関数で、CL1MODEが1に遷移した際に出力がゼロに初期化され、時間tとともに出力が増加する特徴を有する。その他の目標値算出方法としては、fωcl2_start(t)の代わりにエンジン回転数推定値ωe #を使用しても良い。エンジン回転数推定値ωe #は、下記の式(12)に基づき演算され、CL1MODEが1に遷移した際にωe #はエンジン回転数計測値ωeに初期化される。演算式は、
ωe #=∫(Tcl1 */JEng)dt (12)
となる。
ただし、
JEng:エンジン回転系イナーシャ
Tcl1 *:第1クラッチトルク容量指令値
である。
さらに、CL1MODEが1に遷移後にωe≧ωe #が一度成立すると、エンジン回転数計測値ωeに第1クラッチスリップ回転数目標値ωcl1_slp *を加える下記の式(13)に基づき第2クラッチ入力回転数目標値ωcl2i *を算出する。演算式は、
ωcl2i *=ωcl1_slp *+ωe (13)
となる。
このとき、第1クラッチスリップ回転数目標値ωcl1_slp *は、下式に基づき演算する。演算式は、
ωcl1_slp *=ωcl1_slp_z1 *×Gcl1_slp (14)
となる。
ただし、
ωcl1_slp_z1 *:第1クラッチスリップ回転数目標値前回値
Gcl1_slp:第1クラッチスリップ回転数調整値(0<Gcl1_slp<1)
である。
上記のとおり、第1クラッチスリップ回転数調整値Gcl1_slpを0<Gcl1_slp<1に設定することによって、第1クラッチスリップ回転数目標値ωcl1_slp *はゼロに漸近するように減少する。
次に、算出した第2クラッチ入力回転数目標値ωcl2i *に対して、下記の式(15)に基づき上限側の変化率制限を実施する。演算式は、
ωcl2i *=ωcl2i_z1 *+min{(ωcl2i *−ωcl2i_z1 *),dωcl2i_lim} (15)
となる。
ただし、
ωcl2i_z1 *:第2クラッチ回転数目標値前回値
cl2i_lim:第2クラッチ回転数変化率上限値
min{A,B}:AとBの内、小さい方の値を出力
である。
第2クラッチ回転数変化率上限値dωcl2i_limは、変速段毎に定義される定数で、例えば、変速段毎にエンジン始動実験を行い、第2クラッチCL2の回転数上昇に伴う変速機出力軸トルクの変化量が許容値以下になるように調整しても良い。また、例えば、図1に示すような、前進5速後退1速の自動変速機ATの内部構造に基づき導出される以下の関係式から算出しても良い。演算式は、
cl2i_lim=β1×[{Tm_ev *+(dTATo_lim1)}−Tcl1 *]+β2×Tcl2 * (16)
となる。
ただし、
Tm_ev *:モード切換直前のEVモータトルク指令値
dTATo_lim:変速機出力軸トルク変化量許容値
Tcl1 *:第1クラッチトルク容量指令値
Tcl2 *:第2クラッチトルク容量指令値
α112:変速段毎に設計値に基づき算出される定数
である。
上記変速機出力軸トルク変化量許容値dTATo_limは、実走行での車両の加速変動から運転者のフィーリングによって決定される。また、式(16)中の{Tm_ev *+(dTATo_lim1)}は、モータトルク上限値をあらわす。
以上の1)、2)、3)で算出した第2クラッチ入力回転数目標値ωcl2i *に上下限制限を施し、最終的な第2クラッチ入力回転数目標値ωcl2i *とする。なお、上下限制限値は、エンジン回転数の上下限値とする。
ステップS10では、第2クラッチ入力回転数目標値ωcl2i *と第2クラッチ入力回転数計測値ωcl2iが一致するようにスリップ制御用のモータトルク指令値Tm*を演算し、ステップS11へ進む。
演算(制御)方法はさまざま考えられるが、例えば、PI制御を用いて下式に基づき演算する。実際の演算はタスティン近似等で離散化して得られた漸化式を用いて算出する。演算式は、
Tm*={(KPm・s+KIm)/s)}・(ωcl2i *−ωcl2i) (17)
となる。
ただし、
KPm:モータ制御用比例ゲイン
KIm:モータ制御用積分ゲイン
s:微分演算子
である。
ステップS11では、基本第2クラッチトルク容量指令値Tcl2_base *とスリップ制御用のモータトルク指令値Tm*、エンジントルク指令値Te *、第1クラッチトルク容量指令値Tcl1 *、第1クラッチCL1の目標制御モードCL1MODE、などからスリップ制御用の第2クラッチトルク容量指令値Tcl2 *を演算し、ステップS18へ進む。以下、図6に示す第2クラッチCL2の回転数制御系のブロック図を用いて説明する。
本制御系は、フィードフォワード(F/F)補償とフィードバック(F/B)補償とからならなる2自由度制御手法で設計している。F/B補償部については様々な設計方法が考えられるが、今回はその一例としてPI制御としている。
まず、はじめに下式に示す位相補償フィルタGFF(s)に基づき、基本第2クラッチトルク容量指令値Tcl2_base *に位相補償を施し、第2クラッチCL2のF/Fトルク容量指令値Tcl2_FFを演算する。実際の演算は、タスティン近似等で離散化して得られた漸化式を用いて算出する。演算式は、
(Tcl2_FF)/(Tcl2_base *)=GFF(s)=(τcl2・s+1)/(τcl2_ref・s+1) (18)
となる。
ただし、
τcl2:第2クラッチモデル時定数
τcl2_ref:第2クラッチ制御用規範応答時定数
である。
次に、第1クラッチCL1の目標制御モードCL1MODEに応じて、第2クラッチトルク容量目標値Tcl2_tを以下のように演算する。なお、ステップS4より、本演算部(CL2MODE=1の場合)でCL1MODE=0になることは有り得ないので、CL1MODE=0の場合については省略する。演算式は、
1) CL1MODE=1の場合
Tcl2_t=Tcl1 *+Tcl2_base * (19)
2) CL1MODE=2の場合
Tcl2_t=Tcl2_base *−Te* (20)
となる。
ここで、補足説明をすると、第2クラッチトルク容量目標値Tcl2_tは、スリップ制御中のモータトルクが理想状態で出力するトルクを表している。F/B補償部は、定常状態で第2クラッチトルク容量目標値Tcl2_tとスリップ制御中のモータトルク指令値(実際のモータトルクとほぼ同値)が一致するように、第2クラッチCL2のトルク容量を補正する。
次に、下式に示す第2クラッチ規範モデルGcl2_REF(s)に基づき、第2クラッチトルク容量規範値Tcl2_refを演算する。演算式は、
(Tcl2_ref)/(Tcl2_t)=Gcl2_REF(s)=1/(τcl2_ref・s+1) (21)
となる。
次に、第2クラッチトルク容量規範値Tcl2_refと前述した回転数制御用のモータトルク指令値Tm*から、下式に基づき第2クラッチCL2のF/Bトルク容量指令値Tcl2_FBを演算する。演算式は、
Tcl2_FB={(KPcl2s+KIccl2)/s}×(Tcl2_ref−Tm*) (22)
となる。
ただし、
KPcl2:第2クラッチ制御用比例ゲイン
KIccl2:第2クラッチ制御用積分ゲイン
である。
また、下式のように入力回転数変化によって生じるトルク(イナーシャトルク)を考慮することにより、入力回転数が変化している場合にも精度よくトルク容量を制御できる。演算式は、
Tcl2_FB={(KPcl2s+KIccl2)/s}×(Tcl2_ref−Tm*−TIcl2_est) (23)
となる。
ここで、TIcl2_estはイナーシャトルク推定値であり、例えば、入力回転数変化量(微分値)に入力軸周りの慣性モーメントを乗算して求める。
そして、第2クラッチCL2のF/Fトルク容量指令値Tcl2_FFとF/Bトルク容量指令値Tcl2_FBを加算し、最終的なスリップ制御用の第2クラッチ容量指令値Tcl2 *を演算する。
ステップS12では、ステップS7での第2クラッチCL2のスリップ検知無しであるとの判断に続き、前述したスリップ制御用のモータトルク指令値Tm*ならびに第2クラッチトルク容量指令値Tcl2 *を演算するための内部状態変数を初期化し(指令値が滑らかに切り替わるように積分項をリセットし)、ステップS13へ進む。
ステップS13では、第2クラッチCL2の目標制御モードがCL2MODE=2(締結モード)か否かの判断を行なう。CL2MODE=2の場合はステップS14へ、それ以外はステップS16へ、それぞれ進む。
ステップS14では、ステップS13での第2クラッチCL2が締結モードであるとの判断に続き、締結制御用の第2クラッチトルク容量指令値Tcl2 *を以下のように演算し、ステップS15へ進む。演算式は、
1) Tcl2_z1 *<Tcl2_maxの場合
Tcl2 *=Tcl2_z1 *+ΔTcl2_LU (24)
2) Tcl2_z1 *≧Tcl2_maxの場合
Tcl2 *=Tcl2_max (25)
となる。
ただし、
Tcl2_max:第2クラッチ最大トルク容量
ΔTcl2_LU:スリップ→締結移行時のトルク容量変化率
Tcl2_z1 *:第2トルク容量指令値前回値
である。
ステップS15では、第1クラッチ制御モードCL1MODEと目標駆動トルクTd*に基づき、締結制御用のモータトルク指令値Tm*を以下のように演算し、ステップS18へ進む。
なお、ステップS4より、本演算部(CL2MODE=2の場合)でCL1MODE=1になることは有り得ないので、CL1MODE=1の場合については省略する。演算式は、
1) CL1MODE=0の場合
Tm*=Td* (26)
2) CL1MODE=2の場合
Tm*=Td*−Te* (27)
となる。
ステップS16では、ステップS13での第2クラッチCL2が締結モードでないとの判断に続き、スリップ移行制御用の第2クラッチトルク容量指令値Tcl2 *を以下のように演算し、ステップS17へ進む。
1) CL1MODE=0またはCL1MODE=1の場合
i) Tcl2_z1 *≧Tm_z1 *
演算式は、
Tcl2 *=f(APO) (28)
となる。この式(28)は、第2トルク容量指令値前回値Tcl2_z1 *がモータトルク指令値前回値Tm_z1 *以上である場合、第2クラッチトルク容量指令値Tcl2 *を、Tcl2 *=(Tm_ev *〜Td_evmax)の範囲で、アクセル開度APOが大きいほど小さい値に演算する式に設定している。
ii) Tcl2_z1 *<Tm_z1 *
演算式は、
Tcl2 *=Tcl2_z1 *−ΔTcl2slp (29)
となる。この式(29)は、モータトルク指令値前回値Tm_z1 *が第2トルク容量指令値前回値Tcl2_z1 *を超えても第2クラッチCL2がスリップしない場合、第2クラッチCL2へのトルク容量指令値である第2クラッチトルク容量指令値Tcl2 *を、モータジェネレータMGへのモータトルク指令値Tm*の増加勾配より緩やかな勾配にて減少させることをあらわす。
2) CL1MODE=2の場合
演算式は、
i) CL2MODE=0の場合
Tcl2 *=0 (30)
ii) CL2MODE=1の場合
Tcl2 *=Tcl2_z1 *−ΔTcl2_slp (31)
となる。
ただし、
Tm_ev *:モード切換直前のEVモータトルク指令値
Tm_z1 *:モータトルク指令値前回値
Tcl2_z1 *:第2クラッチトルク容量指令値前回値
ΔTcl2_slp:締結→スリップ移行時トルク容量変化率
である。
ステップS17では、スリップ移行制御用のモータトルク指令値Tm*を、以下のように演算し、ステップS18へ進む。なお、ステップS4より、本演算部(CL2MODE=0またはCL2MODE=1の場合)でCL1MODE=0になることは有り得ないので、CL1MODE=0の場合については省略する。
1) CL1MODE=1の場合
第2クラッチCL2のトルク容量が、一定になったか否かを判断するため、第2クラッチトルク容量指令値Tcl2 *に第2クラッチトルク容量推定モデルGcl2_est(s)を施し、第2クラッチトルク容量推定値Tcl2_estを演算する。演算式は、
(Tcl2_est)/(Tcl2 *)=Gcl2_est(s)=1/(τcl2_ref・s+1) (32)
となる。
以下、スリップ移行制御用の第2クラッチトルク容量指令値Tcl2 *と第2クラッチトルク容量推定値Tcl2_estの偏差の絶対値が所定値以下ではあれば一定、所定値以上であれば一定でない、と判断する。
i) 第2クラッチCL2のトルク容量が一定でない場合
演算式は、
Tm*=Tcl2 * (33)
となる。この式(33)は、「EVモード」から「エンジン始動モード」に切り替わった後、第2クラッチCL2のトルク容量が一定でない場合、モータジェネレーMGへのモータトルク指令値Tm*を、第2クラッチCL2への第2クラッチトルク容量指令値Tcl2 *までステップ的に増加させることをあらわす。
ii) 第2クラッチCL2のトルク容量が一定の場合
演算式は、
Tm*=Tm_z1 *+ΔTm_slp (34)
となる。この式(34)は、「EVモード」から「エンジン始動モード」に切り替わった後、第2クラッチトルク容量指令値Tcl2 *を、モード切り替え直前のEV駆動トルク相等以上の値で一定とし、第2クラッチCL2のスリップを検知するまでモータジェネレータMGへのモータトルク指令値Tm*を徐々に増加させ、モータトルクによりスリップさせることをあらわす。
ただし、
ΔTm_slp:締結→スリップ移行時トルク容量変化率
である。この締結→スリップ移行時トルク容量変化率ΔTm_slpは、アクセル開度APOが大きいほど、モータジェネレータMGへのモータトルク指令値Tm*の単位時間当たりの増加量(増加比率)が大きくなるように設定している。
2) CL1MODE=2の場合
演算式は、
Tm*=Td*−Te* (35)
となる。
ステップS18では、第2クラッチトルク容量指令値Tcl2 *から第2クラッチCL2にかかる油圧を制御するソレノイドバルブへの電流指令値Icl2 *を演算し、ステップS19へ進む。
実際には、予め取得した特性に基づき作成した図7に示す第2クラッチトルク容量−油圧変換マップと、図8に示す第2クラッチトルク油圧−電流変換マップを用いて算出する。これにより、油圧や電流に対してクラッチトルク容量が非線形な特性を有している場合でも、制御対象を線形としてみなすことができるため、前述したような線形制御理論を適用することができる。
ステップS19では、第1クラッチトルク容量指令値Tcl1 *から第1クラッチCL1にかかる油圧を制御するソレノイドバルブへの電流指令値Icl1 *を演算し、ステップS20へ進む。
なお、第1クラッチトルク容量指令値Tcl1 *から電流指令値Icl1 *を演算する処理は、図11に示す後述するフローチャートにより行う。
ステップS20では、算出されたエンジントルク指令値Te*をエンジンコントローラ1へ送信し、算出されたモータトルク指令値Tm*をモータコントローラ2へ送信し、算出された第1クラッチ電流指令値Icl1 *を第1クラッチコントローラ5へ送信し、算出された第2クラッチ電流指令値Icl2 *をATコントローラ7へと送信し、エンドへ進む。
図9は、実施例1の制御装置が適用されたFRハイブリッド車両の統合コントローラ10にて実行される各クラッチの目標制御モード演算処理(図2のステップS4)を示すフローチャートである。以下、各ステップについて説明する。
ステップS401では、バッテリ充電量SOCと目標駆動トルクTd*からエンジンEngを始動する(またはエンジン停止を禁止する)必要があるか否かを判断する。バッテリ充電量SOCが所定値SOCth1以下となった場合にEV走行は困難なため、あるいは、目標駆動トルクTd*が、EV走行時の最大駆動トルクTd_evmax(最大モータトルクTm_maxとクランキングトルクTcrankの差分)以上となった場合にEV走行は困難なため、エンジンEngを始動する必要があると判断してステップS403へ、それ以外の場合はステップS402へ、それぞれ進む。
ステップS402では、ステップS401でのエンジン始動要求無しとの判断に続き、エンジン始動完了フラグfENGFINISHとクランキング開始許可フラグfCRANKOKをそれぞれ0でリセットし、ステップS409へ進む。
ステップS403では、ステップS401でのエンジン始動要求有りとの判断に続き、エンジン始動完了フラグfENGFINISHを以下のようにセットする。第1クラッチストロークxscl1が所定値xscl1_th1以下(なお、第1クラッチストロークxscl1は、値が小さいほどクラッチトルク容量が大きくなる。特性の一例としては図10を参照)、かつ、第1クラッチCL1のスリップ回転数ωcl1slp(第2クラッチ入力回転数ωcl2i−エンジン回転数ωe)の絶対値が、所定値ωcl1slp_th1以下の場合は、fENGFINISHを1(エンジン始動完了)に、それ以外は0(エンジン始動未完了)にセットする。
ステップS404では、前述したエンジン始動完了フラグfENGFINISHに基づき、エンジン始動が完了したか否かを判断する。fENGFINISHが1の場合はエンジン始動完了と判断してステップS407へ、それ以外の場合はステップS405へ、それぞれ進む。
ステップS405では、クランキング開始許可フラグfCRANKOKを以下のようにセットする。第2クラッチCL2のスリップ回転数ωcl2slp(第2クラッチ入力回転数ωcl2i−第2クラッチ出力回転数ωcl2o)が所定値ωcl2slp_th1以上となった場合はfCRANKOKを1(クランキング開始許可)に、それ以外は0(クランキング開始不許可)にセットする。
ステップS406では、前述したクランキング開始許可フラグfCRANKOKに基づき、クランキング開始を許可するか否かを判断する。fCRANKOKが1の場合はクランキング開始許可と判断してステップS411へ、それ以外の場合はステップS410へ、それぞれ進む。
ステップS407では、第2クラッチCL2のロックアップを許可するか否かを判断する。車速VSPが所定値VSP_th1以上の場合はロックアップ許可を判断してステップS414へ、それ以外の場合はステップS408へそれぞれ進む。
ステップS408では、ブレーキSW信号Bswからブレーキ中かどうかを判断する。Bswが1(ブレーキON)の場合はステップS413へ、それ以外の場合はステップS412へ、それぞれ進む。
ステップS409では、エンジン始動要求無しとの判断に基づくステップS402でのフラグリセットに続いて、CL1MODEを0(解放)に、CL2MODEを2(締結)にそれぞれセットする(EVモード)。
ステップS410では、エンジン始動未完了で、かつ、クランキング開始不許可であるとの判断に続いて、CL1MODEを0(解放)に、CL2MODEを1(スリップ)にそれぞれセットする(エンジン始動モードでのクランキング前)。
ステップS411では、エンジン始動未完了で、かつ、クランキング開始許可であるとの判断に続いて、CL1MODEを1(スリップ)に、CL2MODEを1(スリップ)にそれぞれセットする(エンジン始動モードでのクランキング中)。
ステップS412では、エンジン始動完了であるが、ロックアップ不許可で、かつ、ブレーキ中でないとの判断に続いて、CL1MODEを2(締結)に、CL2MODEを1(スリップ)にそれぞれセットする(エンジン始動完了後のWSC走行モード)。
ステップS413では、エンジン始動完了であるが、ロックアップ不許可で、かつ、ブレーキ中であるとの判断に続いて、CL1MODEを2(締結)に、CL2MODEを0(解放)にそれぞれセットする(エンジン始動完了後のニュートラル減速モード)。
ステップS414では、エンジン始動完了であり、かつ、ロックアップ許可であるとの判断に続いて、CL1MODEを2(締結)に、CL2MODEを2(締結)にそれぞれセットする(HEVモード)。
図11は、実施例1の制御装置が適用されたFRハイブリッド車両の統合コントローラ10にて実行される第1クラッチ電流指令値演算処理(図2のステップS19)を示すフローチャートである。以下、各ステップについて説明する。
ステップS191では、第1クラッチトルク容量指令値Tcl1 *から、予め取得した第1クラッチトルク容量−ストローク特性により作成したマップ(図10)を用いて、第1クラッチストローク指令値xscl1 *を演算する。
ステップS192では、第1クラッチストローク指令値xscl1 *とストローク計測値より、油圧指令値Pcl1 *を以下に基づき演算する。なお、本実施例1では図2のステップS11と同様に、2自由度制御手法を採用している(図12)。
まず、はじめに、第1クラッチストローク指令値xscl1 *から、下式に示すような規範応答伝達特性と後述する油圧補正後の制御対象伝達特性の逆系からなる位相補償フィルタを用いてF/F油圧指令値Pcl1_FFを演算する。演算式は、
(Pcl1_FF)/(xscl1 *)=Gcl1_FF(s)={(Ms2+Cs+Kcl1_ref2 cl1_ref}/{s2+2ζcl1_refωcl1_refs+ω2 cl1_ref} (36)
となる。
ただし、
C:第1クラッチ機構部粘性係数
Kcl1_ref:油圧補正後の制御対象バネ定数
ζcl1_ref:第1クラッチ規範応答減衰係数
ωcl1_ref:第1クラッチ規範応答固有振動数
M:クラッチ質量
である。
次に、第1クラッチストローク指令値xscl1 *から、下式に示すような規範応答伝達特性を表すフィルタを用いてストローク規範値xscl1_refを演算する。演算式は、
(xscl1_ref)/(xscl1 *)=Gcl1_ref(s)=(ω2 cl1_ref)/(s2+2ζcl1_refωcl1_refs+ω2 cl1_ref) (37)
となる。
次に、ストローク規範値xscl1_refとストローク計測値xscl1の偏差xscl1_errから、下式に基づきF/B油圧指令値Pcl1_FBを演算する。演算式は、
(Pcl1_FB)/(xscl1_err)=Gcl1_FB(s)=(KPgain_cl1・s+KIgain_cl1+KDgain_cl1・s2)/s (38)
となる。
ただし、
KPgain_cl1:比例ゲイン
KIgain_cl1:積分ゲイン
KDgain_cl1:微分ゲイン
である。そして、最後にF/F油圧指令値Pcl1_FFとF/B油圧指令値Pcl1_FBを加算し、油圧指令値Pcl1 *とする。
ステップS193では、クラッチ機構部の反力(油圧)−ストローク特性の傾き(ダイアフラムスプリングのバネ特性)が設計者の所望する特性となるように油圧指令値に補正を施す。以下、詳細な方法について説明する。
ストローク計測値xscl1から、図10に示す特性に基づき作成したマップを用いて演算した第1クラッチ油圧推定値Pcl1_estと規範バネ特性を用いて演算した反力規範値Pcl1_refとの差分から、油圧補正値Pcl1_hoseiを演算する。演算式は、
Pcl1_hosei=Pcl1_ref−Pcl1_est=Kref・xscl1−fxscl1-p(xscl1) (39)
となる。
ただし、
xscl1-p(xscl1):油圧‐ストローク特性を示す関数
である。
以上より算出した油圧補正値Pcl1_hoseiと油圧指令値Pcl1 *から、下式に基づき最終油圧指令値Pcl1_comを演算する。演算式は、
Pcl1_com=Pcl1 *−Pcl1_hosei (40)
となる。
ステップS194では、最終油圧指令値Pcl1_comから、第2クラッチCL2と同様、予め取得した特性に基づき作成したマップ(図8参照)を用いて電流指令値Icl1 *を算出する。
次に、作用を説明する。
まず、「エンジン始動制御比較例の課題」の説明を行い、続いて、実施例1のFRハイブリッド車両の制御装置における作用を、「エンジン始動制御作用」、「エンジン始動時のモータ回転数制御作用」、「モータ回転数制御でのモータ回転数目標値の変化率制限作用」、「比較例と実施例1のシミュレーション結果の対比作用」に分けて説明する。
[エンジン始動制御比較例の課題]
図13は、エンジン始動制御比較例におけるエンジン始動要求・目標&実モータ回転数・AT出力軸回転数・エンジン回転数・第1クラッチトルク容量(指令値)・実第1クラッチ伝達トルク・エンジントルク・モータトルク・AT入力軸トルクの各特性を示すタイムチャートである。
エンジン、エンジン始動用の第1クラッチ、モータ、駆動力制御が可能な第2クラッチを有する自動変速機、が順に配置された駆動システムを有するハイブリッド車両にて、モータジェネレータの動力のみによる「EVモード」での走行中、ドライバーがアクセルペダルを踏み込むことで、「HEVモード」へモード遷移するためにエンジンを始動するエンジン始動制御比較例について図13に基づいて説明する。
「EVモード」での走行中にエンジン始動要求があると、エンジン始動要求(時刻t0)から第2クラッチのスリップが検知(時刻t1)されるまでは、エンジン始動要求に基づき第2クラッチをスリップさせる制御を行い、スリップ回転数が十分大きくなることで第2クラッチのスリップが検知される。
第2クラッチのスリップ検知(時刻t1)からエンジントルクが発生(時刻t2)するまでは、第1クラッチを半締結してエンジンクランキングを行い、エンジンが所定の回転数以上になると点火し、エンジンを始動する。このとき、第1クラッチが持つトルク容量分、モータトルクにより補償し、AT入力軸トルクを一定に保つ。
エンジントルクが発生(時刻t2)すると、エンジンがモータ回転数まで引上げられ、基本的に、エンジン回転数がモータ回転数に一致すると、第1クラッチと第2クラッチが締結され、「HEVモード」による走行に移行する。このとき、エンジン始動に伴うトルク変動の駆動輪への伝達は、第2クラッチをスリップさせることで低減するようにしている。
また、変速機として、例えば、前進5速後退1速や前進7速後退1速等の有段階の変速比を車速やアクセル開度等に応じて自動的に切り換える自動変速機を使用し、さらに、第2クラッチとして、自動変速機の変速に使用する摩擦締結要素を変速段に応じて選択し、これを流用している。
しかしながら、比較例のように、第1クラッチを半締結し、クランキングによりエンジン始動を行うシステムでは、エンジン回転数が所定回転数以上になり点火が開始される時刻t2以降において、図13のエンジントルク特性に示すように、第1クラッチのトルク容量を超えるようなエンジントルク(初爆トルク)が生じることがある。そして、図13の目標&実モータ回転数特性とエンジン回転数特性の点線枠に示すように、時刻t3において、エンジン回転数が目標&実モータ回転数を超えてしまう場合がある。このとき、図13の第1クラッチトルク容量(指令値)特性と実第1クラッチ伝達トルク特性の点線枠に示すように、第1クラッチの入出力軸差回転の符号が逆転することによって、第1クラッチトルク容量(指令値)は一定であるにもかかわらず、第1クラッチの実伝達トルクの作用方向が瞬時に逆転する。そして、図13のモータトルク特性の点線枠に示すように、モータトルクが時刻t3から急低下するというように、モータトルクの急変が発生する。
このモータトルクの急変が発生するとき、モータは回転数制御モードであり、回転数を目標値に追従(保持)させるために、第1クラッチで生じたトルク変動を打ち消すように補償が施される。しかし、トルク変動の発生に対し事後的にフィードバック補償するものであるため補償が遅れてしまい、図13のAT入力軸トルク特性の点線枠に示すように、AT入力軸トルクが時刻t3にてステップ的に立ち上がってから急低下するというように、AT入力軸トルクが急変してしまう。
さらに、比較例では、このAT入力軸トルク変動に対して、第2クラッチをスリップさせることでAT入力軸からAT出力軸へのトルク伝達を遮断しようとしているが、比較例のように、自動変速機に内蔵された摩擦締結要素を第2クラッチとして流用した場合、第2クラッチをスリップさせた状態(伝達トルク容量を低下させた状態)であっても、自動変速機の内部機構(遊星歯車列によるギアトレーン)に起因して、AT入力軸トルク変動がAT出力軸に伝わり、車両の前後加速度が変動し、エンジン始動ショックが発生する。
[エンジン始動制御作用]
まず、図2に示すフローチャートを用い、実施例1のFRハイブリッド車両におけるエンジン始動制御作用を説明する。
「EVモード」での走行中には、図2のフローチャートにおいて、ステップS1→ステップS2→ステップS3→ステップS4→ステップS5→ステップS6→ステップS7→ステップS12→ステップS13→ステップS14→ステップS15→ステップS18→ステップS19→ステップS20へと進む流れが繰り返される。
すなわち、エンジン始動要求(時刻t0)の前は、ステップS14において、締結制御用の第2クラッチトルク容量指令値Tcl2 *が演算され、ステップS15において、第1クラッチ制御モードCL1MODEと目標駆動トルクTd*に基づき、締結制御用のモータトルク指令値Tm*が演算される。
この「EVモード」での走行中にドライバーがアクセルペダルの踏み込み操作をし、各クラッチCL1,CL2の目標制御モードの演算処理(図9)により、CL1MODEが0(解放)、CL2MODEが1(スリップ)にそれぞれセットされると、図2のフローチャートにおいて、ステップS1〜ステップS13から、ステップS16→ステップS17→ステップS18→ステップS19→ステップS20へと進む流れが繰り返される。
すなわち、エンジン始動要求(時刻t0)からスリップ検知(時刻t1)までは、ステップS16において、モード切り替え直前のEV駆動トルク相等以上の一定値によるスリップ移行制御用の第2クラッチトルク容量指令値Tcl2 *が演算され、ステップS17において、第2クラッチCL2のスリップを検知するまで徐々に増加させるスリップ移行制御用のモータトルク指令値Tm*が演算される。
そして、第2クラッチCL2のスリップが検知されると、図2のフローチャートにおいて、ステップS1〜ステップS7から、ステップS8→ステップS9→ステップS10→ステップS11→ステップS18→ステップS19→ステップS20へと進む流れが繰り返される。
すなわち、第2クラッチCL2のスリップが検知(時刻t1)されると、ステップS6において、クランキングトルクTcrankによる第1クラッチトルク容量指令値Tcl1 *が演算され、ステップS8において、基本第2クラッチトルク容量指令値Tcl2_base *が演算され、ステップS9において、第2クラッチ入力回転数目標値ωcl2i *(モータ回転数目標値)が演算され、ステップS10において、スリップ制御用のモータトルク指令値Tm*が演算され、ステップS11において、スリップ制御用の第2クラッチトルク容量指令値Tcl2 *が演算される。
このように、実施例1のFRハイブリッド車両におけるエンジン始動制御では、第2クラッチCL2を締結した「EVモード」での走行中、エンジン始動要求があると、第2クラッチCL2をスリップさせ、第2クラッチCL2のスリップが検知されると、開放されている第1クラッチCL1を半締結してエンジンEngのクランキングが開始される。したがって、比較例と同様に、エンジン始動に伴うトルク変動の左右後輪RL,RRへの伝達は、第2クラッチCL2をスリップさせることで低減される。
[エンジン始動時のモータ回転数制御作用]
図14は、実施例1のFRハイブリッド車両の制御装置におけるエンジン始動制御でのエンジン始動要求・目標&実モータ回転数・AT出力軸回転数・エンジン回転数・目標スリップ回転数・第1クラッチトルク容量(指令値)・実第1クラッチ伝達トルク・エンジントルク・モータトルク・AT入力軸トルクの各特性を示すタイムチャートである。以下、エンジンEngを始動する際のモータ回転数制御作用を、図14を用いて説明する。
「EVモード」での走行中にエンジン始動要求があると、エンジン始動要求(時刻t0)から第2クラッチCL2のスリップが検知(時刻t1)されるまでは、エンジン始動要求に基づき、ステップS16での第2クラッチトルク容量制御と、ステップS17でのモータトルク制御により、第2クラッチCL2のスリップを促す制御が行われ、スリップ回転数が十分大きくなることで第2クラッチCL2のスリップが検知される。
そして、第2クラッチCL2のスリップが検知(時刻t1)されると、図14の第1クラッチトルク容量特性に示すように、第1クラッチCL1を半締結し、モータジェネレータMGをスタータモータとして用いることで、エンジンEngのクランキングを開始する。クランキングが開始されると、図14のエンジン回転数特性に示すように、エンジンEngの回転数が上昇し、エンジン回転数が所定の回転数以上になると(時刻t2)、エンジンEngの点火を開始し、エンジンEngを始動する。
一方、第2クラッチCL2のスリップが検知され、時刻t1にてエンジンEngのクランキングが開始されると、図14の目標&実モータ回転数特性に示すように、クランキング開始時(時刻t1)から第1クラッチCL1を締結して「HEVモード」へ移行(時刻t4)するまでの間、目標&実モータ回転数がエンジン回転数以上の回転数を維持するように、モータジェネレータMGが回転数制御される。
したがって、図14の目標&実モータ回転数特性とエンジン回転数特性の点線枠に示すように、時刻t2でのエンジンEngの点火による初爆にてエンジントルクが上昇しても、エンジン回転数が目標&実モータ回転数を超えてしまうということがない。そして、時刻t3において、エンジン回転数が目標&実モータ回転数と一致し、その後、エンジン回転数と目標&実モータ回転数が同一回転数にて推移する。なお、クランキング開始時(時刻t1)からエンジン回転数が目標&実モータ回転数と一致(時刻t3)までは、第1クラッチCL1が持つトルク容量分が、AT入力軸トルクを一定に保つようにモータトルクにより補償される。ただし、AT入力軸トルクは、時刻t1から時刻t4までの間、目標&実モータ回転数がエンジン回転数以上の回転数を維持するように、モータ回転数を引き上げる制御が行われることにより、図14のAT入力軸トルク特性に示すように、モータ回転数の引き上げ分だけ、AT入力軸トルクが嵩上げされることになる。
すなわち、比較例で述べたように、第1クラッチCL1を半締結し、クランキングによりエンジン始動を行うとき、エンジン点火開始域の初爆により第1クラッチCL1のトルク容量を超えるようなエンジントルクが生じると、エンジン回転数がモータ回転数を超えようとする。しかし、エンジンEngに比べて制御応答性の高いモータジェネレータMGは、エンジンEngを点火する前のクランキング開始時(時刻t1)から、事前にモータ回転数がエンジン回転数以上の回転数を維持するように回転数制御される。このため、図14の目標&実モータ回転数特性とエンジン回転数特性に示すように、エンジン回転数が目標&実モータ回転数を超えることが無く、図14の実第1クラッチ伝達トルク特性の点線枠に示すように、伝達トルク符号が逆転しない。このため、図14のモータトルク特性とAT入力軸トルク特性の点線枠に示すように、モータトルクのステップ状の急変、並びに、AT入力軸トルクのステップ状の急変を未然に回避できるという作用を示す。
上記のように、モータ回転数制御部(ステップS9)において、エンジンEngのクランキング開始時から第1クラッチCL1を締結して「HEVモード」へ移行するまでの間、モータ回転数がエンジン回転数以上の回転数を維持するように、モータジェネレータMGが回転数制御される。したがって、第1クラッチCL1を半締結し、モータジェネレータMGを用いたクランキングによりエンジン始動を行うとき、第1クラッチCL1でのトルクの急変に起因して発生するエンジン始動ショックが防止される。
また、モータ回転数制御部(ステップS9)において、モータジェネレータMGへの制御指令値となるモータ回転数目標値(=第2クラッチ入力回転数目標値ωcl2_slp)を、エンジン回転数センサ12により実測したエンジン回転数計測値ωeに、第1クラッチCL1の入出力軸間での第1クラッチスリップ回転数目標値ωCL1_slp *(=目標スリップ回転数)を加算して求めている。したがって、モータ回転数とエンジン回転数の差回転数として、第1クラッチスリップ回転数目標値ωCL1_slp *分が確保され、モータ回転数がエンジン回転数を下回ることが防止される。
さらに、モータ回転数制御部(ステップS9)において、第1クラッチスリップ回転数目標値ωCL1_slp *(=目標スリップ回転数)を、エンジン回転数が上昇するにしたがって、徐々にゼロに漸近させるように減少させるようにしている。したがって、図14の目標&実モータ回転数特性とエンジン回転数特性と目標スリップ回転数特性に示すように、目標スリップ回転数がエンジン点火の開始時刻t2からゼロに向かって徐々に低下するのに対応し、エンジン回転数がモータ回転数に徐々に収束しながら一致する特性が得られる。この結果、エンジン始動時のエンジン回転数上昇特性のバラツキにかかわらず、エンジン回転数がモータ回転数に徐々に近づきながらモータ回転数に滑らかに一致することで、エンジン始動に伴うAT入力軸トルクの変動が確実に抑えられる。
[モータ回転数制御でのモータ回転数目標値の変化率制限作用]
図15は、実施例1のFRハイブリッド車両の制御装置におけるエンジン始動制御でのエンジン始動要求・第1クラッチトルク容量(指令値)・第2クラッチトルク容量(指令値)・エンジントルク・目標&実モータ回転数(変化率制限前後)・エンジン回転数・モータトルク(変化率制限前後)・AT出力軸トルク(変化率制限前後)の各特性を示すタイムチャートである。以下、図15を用いてモータ回転数制御でのモータ回転数目標値の変化率制限作用を説明する。
上記のように、エンジンEngのクランキングを開始(時刻t1)した後、モータジェネレータMGの回転数を引き上げてエンジン回転数以上のモータ回転数を保つ回転数制御を行うと、モータ回転数を引き上げた分だけ、AT入力軸トルクが嵩上げされる。したがって、エンジン回転数の上昇勾配が大きくなるエンジン点火を開始した後の領域(時刻t2以降の領域)、目標モータ回転数(=モータ回転数目標値)の変化率を制限しないと、場合によってはAT出力軸トルクが許容変化幅を超えてしまうことがある。
すなわち、図15の変化率制限前の目標モータ回転数特性(点線)に示すように、エンジン回転数の上昇勾配に沿って目標モータ回転数を上昇させると、目標モータ回転数の立ち上がり勾配が急激となる。この目標モータ回転数の急激な立ち上がり勾配に伴って、図15の変化率制限前のモータトルク特性(点線)に示すように、モータトルクが大幅に上昇する。そして、モータトルクが大幅に上昇すると、図15の変化率制限前のAT出力軸トルク特性(点線)に示すように、AT出力軸トルクが許容変化幅を超えてしまう。
これに対し、実施例1では、AT出力軸トルクが許容変化幅から求めたモータ回転数変化率上限値により目標モータ回転数を制限する構成を採用している。このため、図15の変化率制限前の目標モータ回転数特性(実線)に示すように、目標モータ回転数の立ち上がり勾配が変化率制限前に比べ緩やかとなる。この目標モータ回転数の緩やかな立ち上がり勾配に伴って、図15の変化率制限前のモータトルク特性(実線)に示すように、モータトルクの上昇幅が抑えられる。そして、モータトルクの上昇幅が抑えられることで、図15の変化率制限前のAT出力軸トルク特性(実線)に示すように、AT出力軸トルクを許容変化幅dTATout内に制限することができる。
上記のように、モータ回転数制御部(ステップS9)において、自動変速機ATの変速機出力軸で許容されるトルク変化幅以下になるように、目標モータ回転数の上限側変化率が制限される。したがって、AT出力軸トルクが許容変化幅内に制限されることで、車両前後加速度によるエンジン始動ショックレベルを、乗員に違和感を与えることのない低いレベルに抑えることができる。
また、モータ回転数制御部(ステップS9)において、自動変速機ATの変速機出力軸トルク変化量許容値dTATo_limに基づいてモータ回転数制御で使用できるモータトルク上限値を算出し、さらに、モータトルク上限値と第1クラッチトルク容量指令値Tcl1 *と第2クラッチトルク容量指令値Tcl2 *と自動変速機ATで選択されている変速段毎に定義される定数α112を用い、目標モータ回転数の上限側変化率を制限するモータ回転数変化率上限値を算出する。したがって、第1クラッチCL1のトルク容量の大きさ、第2クラッチCL2のトルク容量の大きさ、自動変速機ATにて選択されている変速段にかかわらず、確実にAT出力軸トルクが許容変化幅内に制限される。
[比較例と実施例1のシミュレーション結果の対比作用]
図16は、エンジン始動制御比較例におけるクラッチトルク容量特性(第1クラッチ、第2クラッチ)・軸回転数特性(目標モータ、実モータ、エンジン、AT出力軸)・伝達トルク特性(エンジン、モータ、AT出力軸、第1クラッチ)を示すシミュレーション結果図である。図17は、実施例1のFRハイブリッド車両の制御装置におけるエンジン始動制御におけるクラッチトルク容量特性(第1クラッチ、第2クラッチ)・軸回転数特性(目標モータ、実モータ、エンジン、AT出力軸)・伝達トルク特性(エンジン、モータ、AT出力軸、第1クラッチ)を示すシミュレーション結果図である。以下、図16と図17を用い比較例と実施例1のシミュレーション結果の対比作用を説明する。
まず、図16により比較例の動作を説明する。
比較例は、エンジン始動要求と同時に第1クラッチを半締結させてクランキング(時刻t1)させる。そして、エンジンは、所定の回転数以上になると点火し、エンジントルクを発生(時刻t2)する。
この場合、時刻t2の後、初爆のエンジントルクによってエンジン回転数が上昇し、図16の軸回転数特性の点線枠(時刻t3、領域A)に示すように、エンジン回転数がモータ回転数を超えてしまう。このとき、第1クラッチCL1の入出力軸差回転の符号が逆転することによって、図16の伝達トルク特性の点線枠(時刻t3、領域B)に示すように、第1クラッチCL1の伝達トルクの作用方向が瞬時に逆転し、トルクの急変がAT出力軸(=車両)に伝達する。
次に、図17により実施例1の動作を説明する。
実施例1は、時刻t2までは比較例動作と同様である。時刻t2で初爆のエンジントルクによってエンジン回転数が一気に上昇するが、図17の軸回転数特性の点線枠(領域C)に示すように、事前にモータ回転数を上昇させているため、エンジンがモータの回転数を超えない。これによって、図17の伝達トルク特性の点線枠(領域D)に示すように、AT出力軸(=車両)でのトルクの急変が回避される。
さらに、図17の軸回転数特性の点線枠(領域C)に示すように、エンジンとモータのスリップ回転数を徐々にゼロにし、その後、第1クラッチCL1を時刻t4にて締結するようにしている。これによって、時刻t2から時刻t3までの間、AT出力軸(=車両)には、従来のようなトルクの急変を発生することなく、スムーズに時刻t4から「HEVモード」に移行できている。
次に、効果を説明する。
実施例1のFRハイブリッド車両の制御装置にあっては、下記に列挙する効果を得ることができる。
(1) エンジンEngとモータジェネレータMGを断続する第1クラッチCL1を有し、前記第1クラッチCL1を締結して前記エンジンEngと前記モータジェネレータMGの動力で走行するハイブリッド車モード(HEVモード)と、前記第1クラッチCL1を開放して前記モータジェネレータMGの動力のみで走行する電気自動車モード(EVモード)と、前記モータジェネレータMGの動力のみで走行しながら同一のモータジェネレータMGの動力を使ってエンジンクランキングを行なうエンジン始動モードと、を切り替えて走行するFRハイブリッド車両の制御装置において、前記電気自動車モード(EVモード)を選択中、エンジン始動要求があると、前記第1クラッチCL1を半締結して前記エンジンEngのクランキングを開始するエンジン始動制御手段(図2)を設け、前記エンジン始動制御手段(図2)は、前記エンジンEngのクランキング開始域から前記第1クラッチCL1を締結するまでの間、モータ回転数がエンジン回転数以上の回転数を維持するように、前記モータジェネレータMGを回転数制御するモータ回転数制御部(ステップS9)を有する。このため、第1クラッチCL1を半締結し、モータジェネレータMGを用いたクランキングによりエンジン始動を行うとき、第1クラッチCL1でのトルクの急変に起因して発生するエンジン始動ショックを防止することができる。
(2) 前記モータ回転数制御部(ステップS9)は、前記モータジェネレータMGへの制御指令値となるモータ回転数目標値(第2クラッチ入力回転数目標値ωcl2_slp)を、エンジン回転数検出手段(エンジン回転数センサ12)により実測したエンジン回転数計測値ωeに、前記第1クラッチCL1の入出力軸間での第1クラッチスリップ回転数目標値ωCL1_slp *を加算して求める。このため、モータ回転数とエンジン回転数の差回転数として、第1クラッチスリップ回転数目標値ωCL1_slp *分が確保され、モータ回転数がエンジン回転数を下回ることを防止することができる。
(3) 前記モータ回転数制御部(ステップS9)は、前記第1クラッチスリップ回転数目標値ωCL1_slp *を、エンジン回転数が上昇するにしたがって、徐々にゼロに漸近させるように減少させる。このため、エンジン始動時のエンジン回転数上昇特性のバラツキにかかわらず、エンジン回転数がモータ回転数に徐々に近づきながらモータ回転数に滑らかに一致することで、エンジン始動に伴うAT入力軸トルクの変動を確実に抑えることができる。
(4) 前記モータジェネレータMGと駆動輪(左右後輪RL,RR)を断続する第2クラッチCL2を設け、前記エンジン始動制御手段(図2)は、前記第2クラッチCL2を締結した電気自動車モード(EVモード)での走行中、エンジン始動要求があると、第2クラッチCL2をスリップさせ、前記第2クラッチCL2のスリップが検知されると、開放されている前記第1クラッチCL1を半締結して前記エンジンEngのクランキングを開始する。このため、エンジン始動時、モータ回転数制御による第2クラッチCL2のクラッチ入力側でのトルク変動の抑制作用に、スリップ制御による第2クラッチCL2のクラッチ出力側での変動トルクの伝達抑制作用が加わることにより、エンジン始動ショックを整然と防止することができる。
(5) 前記第2クラッチCL2は、有段階による複数の変速段を持つ自動変速機ATに内蔵された複数の摩擦締結要素のうち、選択されている変速段毎に生成されるトルク伝達経路に締結状態で存在する摩擦締結要素を流用したものであり、前記モータ回転数制御部(ステップS9)は、前記自動変速機ATの変速機出力軸で許容されるトルク変化幅以下になるように、目標モータ回転数の上限側変化率を制限する。このため、車両前後加速度によるエンジン始動ショックレベルを、乗員に違和感を与えることのない低いレベルに抑えることができる。
(6) 前記モータ回転数制御部(ステップS9)は、前記自動変速機ATの変速機出力軸トルク変化量許容値dTATo_limに基づいてモータ回転数制御で使用できるモータトルク上限値を算出し、さらに、前記モータトルク上限値と第1クラッチトルク容量指令値Tcl1 *と第2クラッチトルク容量指令値Tcl2 *と前記自動変速機ATで選択されている変速段毎に定義される定数α112を用い、前記目標モータ回転数の上限側変化率を制限するモータ回転数変化率上限値を算出する。したがって、第1クラッチCL1のトルク容量の大きさ、第2クラッチCL2のトルク容量の大きさ、自動変速機ATにて選択されている変速段にかかわらず、確実にAT出力軸トルクを許容変化幅内に制限することができる。
以上、本発明のハイブリッド車両の制御装置を実施例1に基づき説明してきたが、具体的な構成については、この実施例1に限られるものではなく、特許請求の範囲の各請求項に係る発明の要旨を逸脱しない限り、設計の変更や追加等は許容される。
実施例1では、エンジン始動制御手段のモータ回転数制御部として、第1クラッチCL1を半締結にするエンジンEngのクランキング開始時から第1クラッチCL1を締結して「HEVモード」へ移行するまでの間、モータ回転数がエンジン回転数以上の回転数を維持するように、モータジェネレータMGを回転数制御する例を示した。しかし、モータ回転数制御は、少なくともクランキング開始時点からエンジン点火開始時点までのクランキング領域にて開始するものであれば良い。また、エンジン始動要求と同時に第1クラッチを半締結にしてクランキング開始する例であれば、エンジン始動要求時からモータ回転数制御を行っても良い。
実施例1では、エンジン始動制御として、第2クラッチCL2を締結したEVモードでの走行中、エンジン始動要求があると、第2クラッチCL2をスリップさせ、第2クラッチCL2のスリップが検知されると、開放されている第1クラッチCL1を半締結してエンジンEngのクランキングを開始する例を示した。しかし、第2クラッチのスリップ制御を行わずに、EVモードでの走行中、エンジン始動要求があると、直ちに開放されている第1クラッチを半締結してエンジンのクランキングを開始する例としても良い。
実施例1では、第2クラッチを駆動系に有するFRハイブリッド車両への適用例を示したが、第2クラッチを駆動系に有さず第1クラッチ(エンジンクラッチ)のみを持つFRハイブリッド車両やFFハイブリッド車両の制御装置に対しても適用することができる。実施例1では、第2クラッチとして自動変速機に内蔵された摩擦締結要素を利用する例を示したが、変速機の上流位置や下流位置に独立の第2クラッチを設けたハイブリッド駆動系を持つ車両に対しても適用することができる。
実施例1の制御装置が適用された後輪駆動によるパラレル方式のFRハイブリッド車両(ハイブリッド車両の一例)を示す全体システム図である。 実施例1の制御装置が適用されたFRハイブリッド車両の統合コントローラ10にて実行されるエンジン始動制御処理を示すフローチャートである。 アクセル開度APOと車速VSPをパラメータとして目標駆動トルクを演算する目標駆動トルク演算マップの一例を示す図である。 HEVモードにおける目標スリップ回転数を演算するマップの一例を示す図である。 エンジン始動モードにおける目標スリップ回転数(増加分)を演算するマップの一例を示す図である。 第2クラッチ回転数制御系を示す制御ブロック図である。 第2クラッチトルク容量−油圧変換マップの一例を示す図である。 第2クラッチトルク油圧−電流変換マップの一例を示す図である。 実施例1の制御装置が適用されたFRハイブリッド車両の統合コントローラ10にて実行される各クラッチの目標制御モード演算処理(図2のステップS4)を示すフローチャートである。 第1クラッチのクラッチトルク容量とクラッチストロークとダイアフラムスプリング反力の関係特性の一例を示す図である。 実施例1の制御装置が適用されたFRハイブリッド車両の統合コントローラ10にて実行される第1クラッチ電流指令値演算処理(図2のステップS19)を示すフローチャートである。 第1クラッチストローク制御系を示す制御ブロック図である。 エンジン始動制御比較例におけるエンジン始動要求・目標&実モータ回転数・AT出力軸回転数・エンジン回転数・第1クラッチトルク容量(指令値)・実第1クラッチ伝達トルク・エンジントルク・モータトルク・AT入力軸トルクの各特性を示すタイムチャートである。 実施例1のFRハイブリッド車両の制御装置におけるエンジン始動制御でのエンジン始動要求・目標&実モータ回転数・AT出力軸回転数・エンジン回転数・目標スリップ回転数・第1クラッチトルク容量(指令値)・実第1クラッチ伝達トルク・エンジントルク・モータトルク・AT入力軸トルクの各特性を示すタイムチャートである。 実施例1のFRハイブリッド車両の制御装置におけるエンジン始動制御でのエンジン始動要求・第1クラッチトルク容量(指令値)・第2クラッチトルク容量(指令値)・エンジントルク・目標&実モータ回転数(変化率制限前後)・エンジン回転数・モータトルク(変化率制限前後)・AT出力軸トルク(変化率制限前後)の各特性を示すタイムチャートである。 エンジン始動制御比較例におけるクラッチトルク容量特性(第1クラッチ、第2クラッチ)・軸回転数特性(目標モータ、実モータ、エンジン、AT出力軸)・伝達トルク特性(エンジン、モータ、AT出力軸、第1クラッチ)を示すシミュレーション結果図である。 実施例1のFRハイブリッド車両の制御装置におけるエンジン始動制御におけるクラッチトルク容量特性(第1クラッチ、第2クラッチ)・軸回転数特性(目標モータ、実モータ、エンジン、AT出力軸)・伝達トルク特性(エンジン、モータ、AT出力軸、第1クラッチ)を示すシミュレーション結果図である。
符号の説明
Eng エンジン
FW フライホイール
CL1 第1クラッチ
MG モータジェネレータ
CL2 第2クラッチ
AT 自動変速機
PS プロペラシャフト
DF ディファレンシャル
DSL 左ドライブシャフト
DSR 右ドライブシャフト
RL 左後輪(駆動輪)
RR 右後輪(駆動輪)
1 エンジンコントローラ
2 モータコントローラ
3 インバータ
4 バッテリ
5 第1クラッチコントローラ
6 第1クラッチ油圧ユニット
7 ATコントローラ
8 第2クラッチ油圧ユニット
9 ブレーキコントローラ
10 統合コントローラ
11 CAN通信線
12 エンジン回転数センサ(エンジン回転数検出手段)
13 レゾルバ
14 油圧アクチュエータ
14a ピストン
15 第1クラッチストロークセンサ
16 アクセル開度センサ
17 車速センサ

Claims (5)

  1. エンジンとモータジェネレータを断続する第1クラッチを有し、前記第1クラッチを締結して前記エンジンと前記モータジェネレータの動力で走行するハイブリッド車モードと、前記第1クラッチを開放して前記モータジェネレータの動力のみで走行する電気自動車モードと、前記モータジェネレータの動力のみで走行しながら同一のモータジェネレータの動力を使ってエンジンクランキングを行なうエンジン始動モードと、を切り替えて走行するハイブリッド車両の制御装置において、
    前記電気自動車モードを選択中、エンジン始動要求があると、前記第1クラッチを半締結して前記エンジンのクランキングを開始するエンジン始動制御手段を設け、
    前記エンジン始動制御手段は、前記エンジンのクランキング開始域から前記第1クラッチを締結するまでの間、モータ回転数がエンジン回転数以上の回転数を維持するように、前記モータジェネレータを回転数制御するモータ回転数制御部を有し、
    前記モータ回転数制御部は、前記モータジェネレータへの制御指令値となるモータ回転数目標値を、エンジン回転数検出手段により実測したエンジン回転数計測値に、前記第1クラッチの入出力軸間での第1クラッチスリップ回転数目標値を加算して求める
    ことを特徴とするハイブリッド車両の制御装置。
  2. 請求項に記載されたハイブリッド車両の制御装置において、
    前記モータ回転数制御部は、前記第1クラッチスリップ回転数目標値を、前記エンジン回転数計測値が上昇するにしたがって、徐々にゼロに漸近するように減少させることを特徴とするハイブリッド車両の制御装置。
  3. 請求項1又は2に記載されたハイブリッド車両の制御装置において、
    前記モータジェネレータと駆動輪を断続する第2クラッチを設け、
    前記エンジン始動制御手段は、前記第2クラッチを締結した電気自動車モードを選択中、エンジン始動要求があると、前記第2クラッチをスリップさせ、前記第2クラッチのスリップが検知されると、開放されている前記第1クラッチを半締結して前記エンジンのクランキングを開始することを特徴とするハイブリッド車両の制御装置。
  4. 請求項3に記載されたハイブリッド車両の制御装置において、
    前記第2クラッチは、有段階による複数の変速段を持つ自動変速機に内蔵された複数の摩擦締結要素のうち、選択されている変速段毎に生成されるトルク伝達経路に締結状態で存在する摩擦締結要素を流用したものであり、
    前記モータ回転数制御部は、前記自動変速機の変速機出力軸で許容されるトルク変化幅以下になるように、前記モータ回転数目標値の上限側変化率を制限することを特徴とするハイブリッド車両の制御装置。
  5. 請求項4に記載されたハイブリッド車両の制御装置において、 前記モータ回転数制御部は、前記自動変速機の変速機出力軸トルク変化量許容値に基づいてモータ回転数制御で使用できるモータトルク上限値を算出し、さらに、前記モータトルク上限値と第1クラッチトルク容量指令値と第2クラッチトルク容量指令値と前記自動変速機で選択されている変速段毎に定義される定数を用い、前記モータ回転数目標値の上限側変化率を制限するモータ回転数変化率上限値を算出することを特徴とするハイブリッド車両の制御装置。
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