JP4462178B2 - ハイブリッド車両の制駆動力制御装置 - Google Patents
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Description
前記第1クラッチを開放し、前記モータジェネレータのみを動力源として走行する電気自動車走行モードでの走行中、前記エンジンの始動要求があった場合、前記第2クラッチをスリップ状態とし、前記第1クラッチの引き摺りトルクにより停止状態のエンジンをすり上げ始動するハイブリッド車両の制駆動力制御装置において、
前記エンジンの始動時、前記第2クラッチがスリップして入力側回転数が出力側回転数より高くなっている状態のときにドライバーが制動力要求した場合、駆動力の減少を、前記第2クラッチの伝達トルク容量を低下させることにより実現し、制動力の発生を、前記第2クラッチを締結し第2クラッチ入力トルクを制御することによって実現することを特徴とする。
例えば、エンジン始動後であって、第2クラッチの入力側回転数が出力側回転数より高くなっているスリップ状態のとき、伝達トルクの向きはエンジンやモータジェネレータ側から駆動輪へ向かう。
よって、アクセル足離し等の制動力要求により第2クラッチへの入力トルクが低下している状況では、第2クラッチの締結トルク容量を低下させることにより、駆動力を減少させることができる。
また、アクセル足離し等の制動力要求により第2クラッチへの入力トルクが低下している状況では、容量が残っている第2クラッチの締結トルク容量を高めることにより、制動力を発生させることができる。
この結果、エンジン始動時であって、第2クラッチがスリップ状態のとき、ドライバーが制動力要求した場合、確実に駆動力を減少し制動力を発生させることができる。
図1は実施例1の制駆動力制御装置が適用された後輪駆動によるハイブリッド車両を示す全体システム図である。
実施例1におけるハイブリッド車の駆動系は、図1に示すように、エンジンEと、フライホイールFWと、第1クラッチCL1と、モータジェネレータMGと、第2クラッチCL2と、自動変速機ATと、プロペラシャフトPSと、ディファレンシャルDFと、左ドライブシャフトDSLと、右ドライブシャフトDSRと、左後輪RL(駆動輪)と、右後輪RR(駆動輪)と、を有する。なお、FLは左前輪、FRは右前輪である。
実施例1におけるハイブリッド車両の制御系は、図1に示すように、エンジンコントローラ1と、モータコントローラ2と、インバータ3と、バッテリ4と、第1クラッチコントローラ5と、第1クラッチ油圧ユニット6と、ATコントローラ7と、第2クラッチ油圧ユニット8と、ブレーキコントローラ9と、統合コントローラ10と、を有して構成されている。なお、エンジンコントローラ1と、モータコントローラ2と、第1クラッチコントローラ5と、ATコントローラ7と、ブレーキコントローラ9と、統合コントローラ10とは、互いに情報交換が可能なCAN通信線11を介して接続されている。
そして、統合コントローラ10は、前記エンジンコントローラ1への制御指令によるエンジンEの動作制御と、前記モータコントローラ2への制御指令によるモータジェネレータMGの動作制御と、前記第1クラッチコントローラ5への制御指令による第1クラッチCL1の締結・開放制御と、前記ATコントローラ7への制御指令による第2クラッチCL2の締結・開放制御と、を行う。
前記統合コントローラ10は、目標駆動力演算部100と、モード選択部200と、目標充放電演算部300と、動作点指令部400と、変速制御部500と、を有する。
[制駆動力制御作用]
エンジン始動の際に、第2クラッチをスリップ状態としてからエンジンを始動させることを前提とする場合、エンジン始動時の第2クラッチがスリップ中に、ドライバーがアクセルペダルから足を離したり、ブレーキペダルを踏む等の操作をした際に、第2クラッチのスリップ方向により伝達トルクの向きが決まってしまう。すなわち、第2クラッチの入力側回転数が出力側回転数より高くなっているスリップ状態のとき、伝達トルクの向きはエンジンやモータジェネレータ側から左右後輪へ向かう。そのため、ドライバーからの制動力要求があるにもかかわらず、制動力が出せない。
よって、アクセル足離しやブレーキ踏み込み操作等の制動力要求により第2クラッチCL2への入力トルクが低下している状況では、第2クラッチCL2の締結トルク容量を低下させることにより、第2クラッチCL2を介して伝達されるエンジンEやモータジェネレータMGからのトルクは、第2クラッチCL2の締結トルク容量により規定され、駆動力を減少させることができる。
また、アクセル足離しやブレーキ踏み込み操作等の制動力要求により第2クラッチCL2への入力トルクが低下している状況では、容量が残っている第2クラッチCL2の締結トルク容量を高めることにより駆動系が連結され、左右後輪RL,RRにいわゆるエンジンブレーキが作用し、制動力を発生させることができる。
この結果、エンジン始動時であって、第2クラッチCL2がスリップ状態のとき、ドライバーが制動力要求した場合、確実に駆動力を減少し制動力を発生させることができる。
ドライバー要求が駆動力要求から制動力要求に切り替えられ、エンジンEの始動制御により第2クラッチCL2がスリップ中であり、かつ、第2クラッチCL2の油圧が閾値以上であるとき、図7のフローチャートにおいて、ステップS1→ステップS2→ステップS3→ステップS4→ステップS5→ステップS6→ステップS7→ステップS8へと進み、ステップS8において、第2クラッチ入力トルクをスリップ量に応じて低下すると共に、第2クラッチCL2への油圧を低下する駆動力の減少制御を実行する。
この駆動力の減少制御は、ステップS9およびステップS10による第2クラッチCL2のスリップ収束条件が成立するまで継続され、第2クラッチCL2のスリップ収束条件が成立すると、ステップS10からステップS11→ステップS12へ進み、ステップS11において、第2クラッチCL2を締結すると共に、第2クラッチCL2への入力トルクを制御することにより制動力を制御する。
時点(1)では、エンジン始動要求により、エンジン始動シーケンスを開始して第2クラッチ油圧を駆動力相当まで低下させる。
時点(2)では、第2クラッチ入力トルクを増加させて、第2クラッチCL2をスリップさせる。
時点(3)では、第2クラッチCL2がスリップを開始すると共に、第1クラッチCL1への油圧の立ち上げを開始する。
時点(4)では、第1クラッチCL1の油圧を増加させて、エンジン回転数を引き上げる。
時点(5)では、エンジンEが完爆したので、第1クラッチ油圧をさらに増加させて第1クラッチCL1を締結する。
時点(6)では、エンジン回転数とモータジェネレータ回転数とが一致し、第1クラッチCL1の締結が完了する。このとき、第2クラッチCL2は、締結トルク容量が駆動力相当しかないので、第1クラッチCL1の締結ショックは駆動輪には伝達しない。
時点(7)では、ドライバーがアクセルペダルから足を離して制動力を要求したので、第2クラッチCL2の油圧を低下させることにより、駆動力を低下させる。
時点(7)と時点(9)との期間(8)では、駆動力を第2クラッチCL2の油圧により減少制御しつつ、第2クラッチCL2のスリップ量を減少させる。
時点(9)では、第2クラッチCL2の締結トルク容量が残っているので、第2クラッチCL2の締結を開始する。
時点(9)以降の期間(10)では、第2クラッチCL2が締結されたので、制動力は第2クラッチCL2への入力トルクにより制御する。
少を、第2クラッチC L 2の伝達トルク容量を低下させることにより実現し、制動力の発生を、第2クラッチC L 2を締結し第2クラッチ入力トルクを制御することによって実現する。
例えば、第2クラッチC L 2をスリップ状態としてからエンジンEを始動させることが前提であるため、エンジン始動時で第2クラッチC L 2の入力側回転数が出力側回転数より高くなっているスリップ中にドライバーがアクセルペダルから足を離す、ブレーキペダルを踏む等の操作をした際に、制動力を発生させるために第2クラッチC L 2を締結すると、駆動力ショックが発生する。
これに対し、第2クラッチCL2の入力側回転数が出力側回転数より高くなっているスリップ状態のとき、駆動力の減少を、第2クラッチC L 2の伝達トルク容量を低下させることにより実現し、制動力の発生を、第2クラッチC L 2を締結し第2クラッチ入力トルクを制御することによって実現することで、制動力を発生する際の駆動力ショックを低減することができる。
ドライバー要求が駆動力要求から制動力要求に切り替えられ、エンジンEの始動制御により第2クラッチCL2がスリップ中であり、かつ、第2クラッチCL2の油圧が閾値未満であるとき、図7のフローチャートにおいて、ステップS1→ステップS2→ステップS3→ステップS4→ステップS5'→ステップS6→ステップS7→ステップS13へと進み、ステップS13において、モータジェネレータMGの回転数を出力軸側の回転数より引き下げると共に、第2クラッチCL2への油圧を低下する駆動力の減少制御を実行する。
この駆動力の減少制御は、ステップS14での第1クラッチCL2のスリップ方向が逆転するまで継続され、スリップ方向が逆転すると、ステップS14からステップS15へ進み、再び第2クラッチCL2の油圧を増加させ、第2クラッチCL2の油圧により制動力を制御する。そして、第2クラッチCL2の油圧が閾値以上になると、ステップS15からステップS16→ステップS17へと進み、第2クラッチCL2の入力トルクを低下させ、第2クラッチCL2のスリップ量を減少させる。さらに、ステップS18およびステップS19による第2クラッチCL2のスリップ収束条件が成立すると、ステップS19からステップS20→ステップS21へ進み、ステップS20において、第2クラッチCL2の入力トルクを制動力相当としして第2クラッチCL2を再締結し、その後、第2クラッチCL2への入力トルクを制御することにより制動力を制御する。
時点(1)では、エンジン始動要求により、エンジン始動シーケンスを開始して第2クラッチ油圧を駆動力相当まで低下させる。
時点(2)では、第2クラッチ入力トルクを増加させて、第2クラッチCL2をスリップさせる。
時点(3)では、第2クラッチCL2がスリップを開始すると共に、第1クラッチCL1への油圧の立ち上げを開始する。
時点(4)では、第1クラッチCL1の油圧を増加させて、エンジン回転数を引き上げる。
時点(5)では、エンジンEが完爆したので、第1クラッチ油圧をさらに増加させて第1クラッチCL1を締結する。
時点(6)では、エンジン回転数とモータジェネレータ回転数とが一致し、第1クラッチCL1の締結が完了する。このとき、第2クラッチCL2は、締結トルク容量が駆動力相当しかないので、第1クラッチCL1の締結ショックは駆動輪には伝達しない。
時点(7)では、ドライバーがアクセルペダルから足を離して制動力を要求したので、第2クラッチCL2の油圧を低下させることにより、駆動力を低下させる。
時点(8)では、駆動力がゼロになるのに同期して第2クラッチCL2の油圧がゼロになるので、これに同期して第2クラッチCL2のスリップの向きが逆になるようにモータジェネレータMGの回転数を制御する。
時点(9)(=時点(8))では、第2クラッチCL2の油圧が低下しているため、第2クラッチCL2を締結できない。
時点(9)以降の期間(10)では、再び第2クラッチCL2の油圧を増加させて、第2クラッチCL2の油圧により制動力を制御する。
期間(10)に続く期間(11)では、第2クラッチCL2の入力トルクを低下させ、第2クラッチCL2のスリップ量を減少させる。
時点(12)では、第2クラッチCL2の入力トルクを制動力相当として第2クラッチCL2を再締結し、ここからは制動力を第2クラッチCL2への入力トルクによって制御する。
例えば、第2クラッチC L 2をスリップ状態としてからエンジンEを始動させることが前提であるため、エンジン始動時で第2クラッチC L 2の入力側回転数が出力側回転数より高くなっているスリップ中にドライバーがアクセルペダルから足を離す、ブレーキペダルを踏む等の操作をした際に、第2クラッチ油圧が低下していると、第2クラッチC L 2を締結することができず、制動力の制御が行えない。
これに対し、第2クラッチC L 2のスリップ方向を逆向きとする制御を加えることで、第2クラッチ油圧が低下していて、第2クラッチC L 2を締結することができない際も、制駆動力の制御を行うことができる。
実施例1のハイブリッド車両の制駆動力制御装置にあっては、下記に列挙する効果を得ることができる。
FW フライホイール
CL1 第1クラッチ
MG モータジェネレータ
CL2 第2クラッチ
AT 自動変速機
PS プロペラシャフト
DF ディファレンシャル
DSL 左ドライブシャフト
DSR 右ドライブシャフト
RL 左後輪(駆動輪)
RR 右後輪(駆動輪)
FL 左前輪
FR 右前輪
1 エンジンコントローラ
2 モータコントローラ
3 インバータ
4 バッテリ
5 第1クラッチコントローラ
6 第1クラッチ油圧ユニット
7 ATコントローラ
8 第2クラッチ油圧ユニット
9 ブレーキコントローラ
10 統合コントローラ
100 目標駆動力演算部
200 モード選択部
300 目標充放電演算部
400 動作点指令部
500 変速制御部
Claims (2)
- エンジンとモータジェネレータとの間に第1クラッチを介装すると共に前記モータジェネレータと駆動輪との間に第2クラッチを介装してハイブリッド駆動系を構成し、
前記第1クラッチを開放し、前記モータジェネレータのみを動力源として走行する電気自動車走行モードでの走行中、前記エンジンの始動要求があった場合、前記第2クラッチをスリップ状態とし、前記第1クラッチの引き摺りトルクにより停止状態のエンジンをすり上げ始動するハイブリッド車両の制駆動力制御装置において、
前記エンジンの始動時であって、前記第2クラッチがスリップして入力側回転数が出力側回転数より高くなっている状態のとき、ドライバーが制動力要求した場合、駆動力の減少を、前記第2クラッチの伝達トルク容量を低下させることにより実現し、制動力の発生を、前記第2クラッチを締結し第2クラッチ入力トルクを制御することによって実現する制駆動力制御手段を設けたことを特徴とするハイブリッド車両の制駆動力制御装置。 - 請求項1に記載されたハイブリッド車両の制駆動力制御装置において、
前記制駆動力制御手段は、前記第2クラッチの伝達トルク容量を低下させて駆動力を減少させた後、前記第2クラッチの締結容量が十分ではなく前記第2クラッチが締結できないときは、前記モータジェネレータの回転数を出力側回転数よりも引き下げ、制動力は前記第2クラッチをスリップさせたまま前記第2クラッチの伝達トルク容量によって制御することを特徴とするハイブリッド車両の制駆動力制御装置。
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