JP6529350B2 - 立体構造物製造システムおよび立体構造物 - Google Patents
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Description
特許文献1には、薄片を積層して立体構造物を形成する立体造形方法が記載されている。
非特許文献1には、立体構造物の断面の輪郭が印刷され輪郭に沿って切れ目を入れた紙を積層し接着することで、立体構造物を生成する方法が記載されている。
また、上記立体構造物製造システムにおいて、前記像形成装置が、多重転写方式の像形成装置であってもよい。
また、上記立体構造物製造システムにおいて、前記像形成装置が、多重定着方式の像形成装置であってもよい。
また、上記立体構造物製造システムにおいて、前記像形成装置は、前記積層装置において積層された前記シート同士の間に位置する前記現像剤を単位面積当たりの付着量を、1.29mg/cm2以上としてもよい。
また、上記立体構造物製造システムにおいて、前記積層装置は、積層された前記シートの一面上に押し当てて前記現像剤を加熱溶融させ前記シート同士を接着する面状ヒーターを有し、前記面状ヒーターは、前記シートとの接触面側に離形層が設けられていてもよい。
積層方向に対し少なくとも一方の端部において、端部側の前記現像剤の層が厚い。
以下、図面を参照しながら本発明の第1実施形態について詳しく説明する。
図1は、本発明の第1実施形態に係る立体構造物M1の外観を表す斜視図である。この立体構造物M1は、立体構造物製造システムSy1(図4参照)で、製造されたものである。
図3は、本実施形態に係る立体構造物製造システムSy1の論理構成を示す概略ブロック図である。立体構造物製造システムSy1は、データ生成部Sy11と立体構造物生成部Sy12とを含んで構成される。立体構造物生成部Sy12は、第1領域生成部Sy121と第2領域生成部Sy122とを含んで構成される。
第1領域生成部Sy121は、データ生成部Sy11が生成した第1データに基づいて、第1領域M11を生成する。第2領域生成部Sy122は、データ生成部Sy11が生成した第2データに基づいて、第2領域M12を生成する。
図4は、本実施形態に係る立体構造物製造システムSy1の構成を示す概略図である。この図において、立体構造物製造システムSy1は、3次元設計装置C100、像形成装置100、3次元ユニット(積層装置)L100、及び抽出装置G100を具備する。像形成装置100には、3次元ユニットL100が装着されている。なお、3次元ユニットL100は、像形成装置100から脱着可能である。
像形成装置100は、三次元デジタルデータに基づいて、各立体物形成シートSh1に立体構造物M1の断面を表す像を印刷することで、各立体物形成シートSh1の面上に現像剤による像(「現像剤像」とも称する)を形成する。なお、現像剤像は、例えば、図形や模様、色彩、記号、文字等又はこれらの結合である。また、シートの主面(おもて面又は裏面)を単に「面」と称し、シートの側面については「側面」と記載する。
ここで、現像剤の一部又は全部は、樹脂シートには、染み込まない。つまり、現像剤像は、立体物形成シートSh1の面に垂直な方向に厚みを有している。したがって、印刷後の各立体物形成シートSh1には、立体物形成シートSh1で構成される樹脂層と、現像剤像で構成される現像剤像層と、が形成されている。なお、以下の説明において、現像剤像が印刷された立体物形成シートSh1をプリントシートP11と称する場合がある。像形成装置100は、各プリントシートP11を、排出口91(排紙口、図6参照)から順次排出する。
3次元ユニットL100は、供給された各プリントシートP11を、供給された順序で積層する。3次元ユニットL100は、積層されたプリントシートP11同士を、各プリントシートP11の面に形成された現像剤により接着させ、中間構造物M2(図10参照)を生成する。中間構造物M2は、例えば、外形が立方体であり、内部に立体構造物M1が存在している。生成された中間構造物M2は、3次元ユニットL100から取り出され、抽出装置G100へ搬送される。
抽出装置G100は、中間構造物M2から、立体構造物M1以外の部分を取り除くことで、立体構造物M1を抽出する。これにより、立体構造物M1が製造される。
(ステップS11)像形成装置100は、3次元設計装置C100から3次元デジタルデータを取得する。その後、ステップS12へ進む。
(ステップS12)像形成装置100は、1又は複数の供給トレイ81、82各々について、セットされた立体物形成シートSh1の情報(「供給可能シート情報」とも称する)を、取得する。ここで、供給可能シート情報には、例えば、シートの種類を識別する識別情報、シートの種別(例えば、サイズや材質)及びシートの厚さh1(cm:センチメートル)が含まれている。その後、ステップS13へ進む。
(ステップS14)像形成装置100は、供給トレイ81、82の1つから、1枚の立体物形成シートSh1を、自装置内へ供給する。その後、ステップS15へ進む。
(ステップS16)3次元ユニットL100は、ステップS15で生成されたプリントシートP11を、積層する。その後、ステップS17へ進む。
(ステップS17)3次元ユニットL100は、今回のステップS16で積層したプリントシートP11を、それよりも前のステップS16で積層したプリントシートと接着させる。その後、ステップS18へ進む。
(ステップS19)抽出装置G100は、ステップS14〜S18で生成された中間構造物M2から、立体構造物M1以外の部分を取り除くことで、立体構造物M1を抽出する。その後、処理を終了する。
図6は、本実施形態に係る像形成装置100の構成説明図である。像形成装置100は、外部から取得したデータ(3次元デジタルデータを含む)に応じて、所定の用紙や立体物形成シートSh1(各々を単に、「シート」とも称する)に対して多色、単色、透明の像を形成するものである。像形成装置100は、装置本体200および自動原稿処理装置300を含んで構成されている。
現像器2は、磁性キャリアと非磁性トナーを含む2成分現像剤を用いた2成分現像方式の現像器である。現像器2は、バイアス印加部24および現像容器26並びに現像容器26の内部に設けられた現像ローラ(現像用部材)21、攪拌スクリュ28、29および高さ規制部材23を備える。また、現像容器26の内部には、現像剤(トナー)25が収容されている。
現像ローラ21は、支持軸により固定支持されたマグネットローラ21aと、マグネットローラ21aの周面に沿って回転自在に支持された現像スリーブ21bと、を備える。マグネットローラ21aは、周面に沿って複数の磁極を備える。マグネットローラ21aの周面は、感光体ドラム3の周面に対向するように配置される。本実施形態では、マグネットローラ21aは、2つのS極と3つのN極から構成されている。マグネットローラ21aは、クラッチ27bを介しモータ27aに接続されており現像剤25を拘束しつつ搬送する。現像スリーブ21bは、厚みが0.4mmのステンレススチールからなる円筒状を呈しており、バイアス印加部24に接続されている。
なお、本実施形態では、表面に現像剤25を担持し搬送する現像用部材として、ローラ形状を有する現像ローラを採用した例を示すが、現像用部材はこれに限らない。例えば現像用部材は、ベルト状の現像ベルトであってもよい。
現像バイアスとして、直流成分と交流成分とが重畳された電圧を現像ローラ21に印加することで、現像剤25は、感光体ドラム3と現像ローラ21との間を往復する方向に振動する。これにより、感光体ドラム3に付着した現像剤25が均され、感光体ドラム3に厚さを均一に現像できる。
中間転写ベルト61に現像剤25を転写する工程は、第1層目を転写する第1工程と、第2層目を転写する第2工程と、第3層目を転写する第3工程と、を有する。
図8(A)に示すように、第1工程において、1層目の現像剤25が転写される。中間転写ベルト61に転写された現像剤25は、粒子同士の隙間(欠落部分)として空隙部25bが形成される場合がある。空隙部25bを介して、中間転写ベルト61は、露出する。
図8(B)に示すように、第2工程において、2層目の現像剤25が転写される。2層目の現像剤25は、1層目の現像剤25に形成された空隙部25bを塞ぐことができる。しかしながら、1層目と2層目とで現像剤の隙間(欠落部分)が重なった部分には、空隙部25bが残る。
図8(C)に示すように、第3工程において、3層目の現像剤25を転写することで、残留した空隙部25bが完全にふさがれる。
中間転写ベルト61とシートとの接触位置において転写ローラ10により積層現像剤像がシートに転写される。
一方、シートの両面に印刷が行われる場合には、上記のようにしておもて面に印刷が行われたシートは、3次元ユニットL100へ排出される直前に後端が搬送ローラ12bで保持される。そして、搬送ローラ12bが逆転しシートはシート反転路R2へ送給され、搬送ローラ12c,12dによってシート搬送路R1へ供給される。これによってシートは表裏が反転し、レジストローラ13,転写ローラ10および定着ユニット7を経て裏側に印刷(裏面印刷)が行われた後、3次元ユニットL100へ排出される。
図9は、本実施形態に係る3次元ユニット(積層装置)L100の概略外観図である。3次元ユニットL100は、外部から供給されたプリントシートP11を積層し、積層したプリントシートP11を接着させることで、中間構造物(図10、図11参照)を生成するものである。
入力・表示部L200は、ボタンスイッチと、液晶ディスプレイと、その上に形成されたタッチパネルなどで構成されている。
供給口L301は、上述のように像形成装置100の排出口91に位置する。供給口L301には、排出口91から排出された各プリントシートP11が、順次、供給される。
図10は、本実施形態に係る中間構造物M2の外観を示す斜視図である。中間構造物M2は、プリントシートP11が積層され、互いに隣り合うプリントシートP11同士が接着されたものである。中間構造物M2は、外形が立方体であり、その内部には立体構造物M1が存在している。
第1領域M111、M112、・・・は、現像剤像で構成されている。
第3領域M220、M221、M222、・・・は、立体物形成シートSh1で構成されている。
図12は、本実施形態に係る3次元ユニットL100の構成説明図である。3次元ユニットL100は、搬送部L300、積層部L400を含んで構成されている。
搬送部L300は、供給口L301、搬送ベルト従動ローラL302、搬送ベルトL303、及び搬送ベルト駆動ローラL304を含んで構成されている。積層部L400は、整合・積層部L410、加熱部(面状ヒータ)L420、載置台L431、および昇降機構L430を含んで構成されている。
整合・積層部L410は、積層されるプリントシートP11をその積層方向に揃えるものである。整合・積層部L410は、例えば板(「整合板」とも称する)であり、整合板は、搬送ベルトL303の搬送方向に垂直に設けられている。
載置台L431は、シートを搭載して積層させる。昇降機構L430は、載置台L431上に乗せられた物体を、上下に移動させる電動昇降装置である。昇降機構L430は、台上の物体を、昇降機構L430から面状ヒーターL420へ向かう順方向、及びその逆方向へ移動させる(矢印Y22参照)。
3次元ユニットL100では、上記の動作が繰り返され、最終的に、中間構造物M2が生成される。
また、面状ヒーターL420は、プリントシートP11との接触面側に離形層L420aが設けられていてもよい。これにより、プリントシートP11の現像剤像が形成された側を上面として積層する場合であっても、溶融した現像剤が面状ヒーターL420の下面から容易に離脱する。
図13は、本実施形態に係る抽出装置G100の概略外観図である。抽出装置G100は、外部から供給された中間構造物M2から、立体構造物M1以外の部分を取り除くことで、立体構造物M1を抽出するものである。
入力・表示部G200は、ボタンスイッチと、液晶ディスプレイと、その上に形成されたタッチパネルなどで構成されている。
供給口G301は、中間構造物M2が抽出装置G100内に搬送される入口である。
供給管G411は、抽出装置G100から伸びる管であり、外部の容器(図示せず)に接続されている。
排出管G432は、抽出装置G100から伸びる管であり、外部の容器(図示せず)に接続されている。
図14は、本実施形態に係る抽出装置G100の構成説明図である。抽出装置G100は、物質供給部G410、物質貯留部(貯留部)G420、物質排出部G430、昇降部G440、及びセンサ部G450を含んで構成されている。物質供給部G410は、供給管G411及び供給ポンプG412を含んで構成されている。物質排出部G430は、排出ポンプG431及び排出管G432を含んで構成されている。
供給ポンプG412は、電動式のポンプである。供給ポンプG412は、制御部500の指示により、外部の容器から溶解液等の物質(溶解液)M31を吸上げ、供給管G411を介して物質貯留部G420へ供給する。立体物形成シートSh1が樹脂シートの場合には、物質M31は、例えば、水とエタノールの混合液である。この一例として、物質M31は、水とエタノールを1対4の割合で混合したものである。ただし、物質M31はこれに限らず、少なくとも一定条件の下、立体物形成シートSh1を溶かす物質であればよい。
排出管G432は、一端が物質貯留部G420に接続され、排出ポンプG431を介して、他端が外部の容器に接続されている。
排出ポンプG431は、電動式のポンプである。排出ポンプG431は、制御部500の指示により、物質M31を物質貯留部G420から吸上げ、排出管G432を介して外部の容器へ排出する。
昇降部G440は、昇降部G440の台上に乗せられた物体を、上下に移動させる電動昇降装置である。昇降部G440は、台上の物体を、物質貯留部G420の底に向かう順方向、及びその逆方向へ移動させる(矢印Y31参照)。
これにより、抽出装置G100は、非接着部分の溶解を早め、接着部分の溶解を遅らせることができ、中間構造物M2から立体構造物M1を抽出できる。つまり、立体構造物M1が生成される。生成された立体構造物M1は、昇降部G440により逆方向へ移動(上昇)させられ、物質M31から引き上げられる。
図15は、立体構造物抽出処理によって、中間構造物M2から、積層方向の一端にある第3領域M220(立体物形成シートSh1)と、第3領域M221、M222、M223のうち符号A3を付した鎖線で囲まれた部分と、が取り除かれたことを表している。
図16(A)〜(C)は、中間構造物M2から立体構造物M1を抽出する過程を、図10のy軸の負方向から正方向に見た図である。図16(A)は、図15(A)に対応する正面図である。図16(B)は、立体構造物抽出処理中の中間構造物M2を表し、中間構造物M2が物質M31に浸されている。図16(C)は、図15(B)に対応する正面図である。
図16(C)では、非接着部分が、物質M31により溶解され、接着部分が残っている。そして、残った接着部分(第2領域)と現像剤像の部分(第1領域)によって、立体構造物M1が構成されている。
以下、本実施形態の実施例1について説明をする。
図17は、本実施例1に係る3次元デジタルデータが表す立体構造物M1aの一例を示す概略図である。図示するように、立体構造物M1aは、10面体であり、z軸に垂直な断面が正方形である。また、この立体構造物M1aは、表面及び断面は、赤色である。
「初期」の画像は、中間構造物M2の画像である。この画像のように、中間構造物M2では、上面から、積層方向で一番上のトナーによる像(「トナー像」とも称する)が観察できた。このトナー像は、立体構造物M1aの上面であり、赤い正方形であった。側面からは、主に、立体物形成シートSh1が観察できた。また、立体物形成シートSh1のうち非接着部分は、接着されていなかった。
「30分」後、非接着部分が溶け始めた。「60分」後、「90分」後には、非接着部分がさらに溶けて、下位の層も見え始めた。下位の層では、トナー像の正方形がより大きくなっているので、上面から、より大きな正方形が観察できた。「120」分後には、非接着部分がほとんどなくなり、図17の3次元デジタルデータが表す立体構造物M1aが生成された。
以上のように、本実施形態では、立体構造物製造システムSy1は、シートSh1に現像剤25を転写し定着させて立体構造物のスライス像を形成する像形成装置100を備える。像形成装置100は、現像剤25に由来し構造物の一部を構成している第1領域M11を生成する。
また、立体構造物製造システムSy1は、3次元ユニット(積層装置)L100と抽出装置G100とを備える。3次元ユニットL100は、シートSh1を積層して現像剤25によりシートSh1同士を接着させた中間構造物M2を形成する。また、抽出装置G100は、中間構造物M2を物質(溶解液)M31に浸漬させ接着された部分以外のシート(すなわち非接着部分A41)を除去する。これにより、3次元ユニット(積層装置)L100および抽出装置G100は、構造物において、第1領域M11とは別の一部を構成している第2領域M12を生成する。
また、立体構造物M1は、第2領域M12の材料や色、製造装置、製造タイミングを、第1領域M11のものとは異なるものとすることができる。これにより、立体構造物M1は、第1領域M11のみならず、第2領域M12によっても、製造時間、製造費用、又は立体構造物M1の性質等を調整できる。
以上のように、この立体構造物M1は、その製造や構造に多様性を持たすことができる。
これにより、立体構造物M1では、各第2領域M121、M122、・・・は各第1領域M111、M112・・・よりも、又は、第2領域M12は、第1領域M11よりも、積層方向の厚さに寄与できる。例えば、立体構造物製造システムSy1は、より第1領域M11を生成するために積層を行う時間を短くできる。
これにより、中間構造物M2は、立体構造物M1以外の部分(非接着部分)が、立体構造物M1のサポート材として機能する。サポート材とは、積層方向に面積が拡大するような形状(空中に浮かんだ部分がある形状)の立体構造物M1(図1参照)を作製する場合、空中に浮かんだ部分の下の部分に何も無いと、造形物が落下してしまい空中に留まる事が出来ないため、一時的にサポート材を置いて、その上に本来の材料を積んでいき(図10参照)、立体構造物M1の造形完了後は取り除いてしまう部分を言う。
このように、中間構造物M2において、立体物形成シートSh1(第3領域)は、サポート材と第2領域M12の両方を兼ねている。つまり、積層部L400は、立体構造物M1のサポート材として機能している立体物形成シートSh1を積層する。その結果、中間構造物M2は、中間構造物M2は、第2領域M121、M122、・・・を含み、立体構造物M1のサポート材として機能している第3領域を有している。これにより、立体構造物製造システムSy1は、別途、サポート材を生成する必要がなく、中間構造物M2、つまり、サポート材付きの立体構造物M1の製造時間をより短くできる。
これにより、第1領域M11は、物質M31に対して、第2領域M12と接触している部分(接着部分)を保護することができ、非接着部分(サポート材)のみを相転移させることができる。また、非接着部分が相転移するので、立体構造物製造システムSy1では、非接着部分を容易に回収できる場合や非接着部分を再利用できる場合がある。また、立体構造物製造システムSy1では、カッター等で切り目を入れる装置や過程を省くことができる。また、本実施形態では、化学的に非接着部分を除去するので、立体構造物M1は、カッター等で物理的に除去する場合と比較して、除去面が滑らかになる場合がある。
このように、第1領域M11は、接着剤としての機能も兼ねている。これにより、立体構造物製造システムSy1では、例えば接着剤を塗布する装置や過程を省くことができる。なお、「第1領域M112は、・・・接着させている」とは、第1領域M112自体が接着剤となって、他の物体同士を接着させることをいう。例えば、「第1領域M112は、・・・接着している」には、第1領域M112の少なくとも1つの主面上に接着剤を塗布するもの、つまり、接着剤が接着しているものは、含まなくてもよい。
なお、例えば、第1領域M112に接着剤を塗布して接着した場合には、界面が接着剤と第1領域M112の間に界面ができ、界面にて剥がれやすくなる場合がある。本実施形態では、第1領域M112は、自らが接着剤となるので、その内部には界面が存在していない。
このように、第1領域M11は、着色剤としての機能も兼ねている。これにより、立体構造物製造システムSy1では、例えば着色剤を塗布する装置や過程を省くことができる。なお、本実施形態では、第1領域M11を、例えば、カラーの現像剤とし、また、立体物形成シートSh1を樹脂シートとすることで、樹脂シートの面上に現像剤の層が形成される。また、現像剤は、溶けることで接着機能を発揮、つまり、接着機能を有する。また、カラーの現像剤は、着色物質である。このように、カラーの現像剤は、第1領域M11を形成するとともに、接着剤及び着色剤としても機能している。さらに、カラーの現像剤としては、複数の色(例えば、ブラック(K)、シアン(C)、マゼンタ(M)、イエロー(Y))が用いられるので、第1領域M11は、様々な色で着色できる。
図19(A)は、本実施形態において、シートSh1に転写した現像剤25の模式図である。また、図19(B)は、図19(A)の現像剤25を定着ユニット7によりシートSh1に定着させ現像剤像25Aを形成したプリントシートP11の模式図である。
図19(A)に示すように、シートSh1にピンホールを抑制して転写された現像剤25は、図19(B)に示すように、定着工程を経た後においても、ピンホールが生じない。
本実施形態によれば、現像剤25のピンホール発生を抑制することにより、立体構造物M1の内部のシートSh1が溶解されることを抑制できる。これにより、所望の形状および強度を有する立体構造物M1を製造することができる。
以下、図面を参照しながら第2実施形態について詳しく説明する。第2実施形態の立体構造物製造システムの各構成の概略は、第1実施形態と同様であるが、像形成装置400の構成が異なる。
像形成装置400は、ロータリードラム420と、感光体ドラム403と、転写ドラム460と、定着ユニット7と、を有している。また、像形成装置400は、図示略の帯電器、露光ユニットおよびクリーナユニット(図6の帯電器5、露光ユニット1およびクリーナユニット4にそれぞれ相当)を有する。
第1実施形態と同様に、シートSh1には、現像剤25が3層以上、転写される。また、シートSh1には、スライス像内における現像剤25の単位面積当たり1.29mg/cm2以上の現像剤が転写される。本実施形態においては、シートSh1を転写ドラム460の表面に吸着させた状態で、複数回の回転を行い、同一のスライス像を複数回転写することで複数層の転写を行うことができる。また、これにより、現像剤25の単位面積当たりの付着量を1.29mg/cm2以上とすることができる。
以下、図面を参照しながら第3実施形態について詳しく説明する。第3実施形態の立体構造物製造システムの各構成の概略は、第1実施形態と同様であるが、像形成装置600の構成が異なる。
像形成装置600は、ロータリードラム620と、感光体ドラム603と、転写ローラ610と、定着ユニット7と、を有している。また、像形成装置600は、図示略の帯電器、露光ユニットおよびクリーナユニット(図6の帯電器5、露光ユニット1およびクリーナユニット4にそれぞれ相当)を有する。そして、シートSh1が搬送経路661に沿って搬送される。
定着ユニット7は、定着ローラ71および加圧ローラ72を有する。定着ローラ71と加圧ローラ72との間には、搬送経路661に沿って搬送されるシートSh1が通過する。
以下、図面を参照しながら本発明の第4実施形態について詳しく説明する。本実施形態に係る立体構造物製造システムSy1の各装置の構成は、第1実施形態と同じである。
本実施形態では、立体構造物製造システムSy1は、例えば、互いに別の種類の現像剤を重ねて印刷すること、現像剤像の上に現像剤以外の物質を塗布すること、又は、両面印刷を用いることによって、複数の層から構成されている第1領域M111i、M112i、・・・を生成する。
図22において、第1領域M111iは、領域M111i−1及び領域M111i−2から構成されている。ここで、領域M111i−1及び領域M111i−2は、第3領域M220の面上に形成されたものであり、それぞれが層を形成している。つまり、第1領域M111i、M112i、・・・は、複数の層から構成されている。
また、領域M111i−2は、領域M111i−1の側面をも覆ってもよい。
また、像形成装置は、全てのシートSh1のおもて面に現像剤を転写および定着させた後に、全てのシートSh1の裏面に現像剤を転写および定着させてもよい。この場合表面に現像剤が定着されたSh1は、一旦、像形成装置から排出され、供給トレイ81に再度収容される。
例えば、図22(A)において、シートSh1に由来する第3領域M220の裏面(−z側の面)には、現像剤に由来する領域M111i−1が形成されている。また、第3領域M220の下側(−z側)に位置し、シートSh11に由来する第3領域M221のおもて面(+z側)には、領域M111i−2が形成されている。領域M111i−1および領域M111i−2は、互いに重なり合って第1領域M111iを構成する。したがって、第1領域M111iは、領域M111i−1の現像剤層と領域M111i−2の現像剤層が重なり合っている。領域M111i−1の現像剤層の層数と領域M111i−2の現像剤層の層数との和が、3層以上である。また、領域M111i−1の現像剤層の単位面積当たりの付着量と領域M111i−2の現像剤層の付着量との和が、1.29mg/cm2以上である。
以下、図面を参照しながら本発明の第5実施形態について詳しく説明する。本実施形態に係る立体構造物製造システムSy1の各装置の構成は、第1実施形態と同じである。
図23は、本発明の第5実施形態に係る立体構造物M1jの説明図である。
図23において、第1領域M11jは、第1領域M111j、M112j、・・・の複数の層から構成されている。現像剤25に由来する第1領域M111j、M112j、・・は、積層位置に応じて厚さが異なる。また、本実施形態において、立体構造物M1jを製造する立体構造物製造システムSy1の像形成装置100は、シートSh1の積層位置に応じて転写される現像剤25に由来する第1領域M111j、M112j、M113j、・・・の厚さを変更する。
なお、上述した各図において、座標(x軸、y軸、z軸)は、共通である。また、上述した各図において、断面図は、正面図と同様である。
Claims (8)
- シートに現像剤を転写させて立体構造物のスライス像を形成する像形成装置と、
前記シートを積層して前記現像剤により前記シート同士を接着させた中間構造物を形成する積層装置と、
前記シートを溶解させる溶解液を用いて前記中間構造物の接着された部分以外の前記シートを除去する抽出装置と、を備え、
前記像形成装置は、前記シート上に前記現像剤を3層以上の同一の前記スライス像の形状に重ねて転写する、立体構造物製造システム。 - 前記像形成装置が、タンデム方式の像形成装置である、請求項1に記載の立体構造物製造システム。
- 前記像形成装置が、多重転写方式の像形成装置である、請求項1に記載の立体構造物製造システム。
- 前記像形成装置が、多重定着方式の像形成装置である、請求項1に記載の立体構造物製造システム。
- シートに現像剤を転写させて立体構造物のスライス像を形成する像形成装置と、
前記シートを積層して前記現像剤により前記シート同士を接着させた中間構造物を形成する積層装置と、
前記シートを溶解させる溶解液を用いて前記中間構造物の接着された部分以外の前記シートを除去する抽出装置と、を備え、
前記像形成装置は、前記シートの両面に前記現像剤を転写可能であり、
前記シートの両面に転写される前記現像剤は、積層された前記シート同士を互いに接着する接着剤として機能する、立体構造物製造システム。 - シートに現像剤を転写させて立体構造物のスライス像を形成する像形成装置と、
前記シートを積層して前記現像剤により前記シート同士を接着させた中間構造物を形成する積層装置と、
前記シートを溶解させる溶解液を用いて前記中間構造物の接着された部分以外の前記シートを除去する抽出装置と、を備え、
前記像形成装置は、前記シートの両面に前記現像剤を転写可能であり、
前記像形成装置は、前記積層装置において積層された前記シート同士の間に位置する前記現像剤を3層以上とする、立体構造物製造システム。 - 前記像形成装置は、前記積層装置において積層された前記シート同士の間に位置する前記現像剤を単位面積当たりの付着量を、1.29mg/cm2以上とする、請求項5に記載の立体構造物製造システム。
- 前記積層装置は、積層された前記シートの一面上に押し当てて前記現像剤を加熱溶融させ前記シート同士を接着する面状ヒーターを有し、
前記面状ヒーターは、前記シートとの接触面側に離形層が設けられている、請求項5〜7の何れか一項に記載の立体構造物製造システム。
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