JP6528126B2 - ノイズフィルタ - Google Patents

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本発明は、デジタル機器やAV機器、情報通信端末等の各種電子機器に使用されるコモンモードノイズ等を除去するノイズフィルタに関するものである。
従来のこの種のノイズフィルタは、複数の絶縁体層と、複数の絶縁体層と交互に積層された複数の内部導体と、積層方向で隣接する内部導体同士を接続して形成された第1のコイルと、積層方向で隣接する他の内部導体同士を接続して形成された第2のコイルとを備えていた。
なお、この出願の発明に関する先行技術文献情報としては、例えば、特許文献1が知られている。
特開2001−60514号公報
上記した従来のノイズフィルタは、薄型化により絶縁体層の厚みを薄くした場合、第1のコイル、第2のコイルをそれぞれ構成する積層方向で隣接する2つの内部導体間で短絡する可能性があるという課題を有していた。
本発明は上記従来の課題を解決するもので、薄型化されても短絡を防止できるノイズフィルタを提供することを目的とするものである。
上記目的を解決するために本発明は、第1のコイル、第2のコイルを構成する内部導体間の絶縁体層の密度を、他の絶縁体層の密度より高くした。
本発明のノイズフィルタは、第1のコイル、第2のコイルを構成する内部導体間の絶縁体層の密度を高くしているため、この絶縁体層の厚みを薄くしても各コイルを構成する内部導体間で短絡する可能性を低減できるという効果を奏するものである。
本発明の実施の形態1におけるノイズフィルタの分解斜視図 本発明の実施の形態2におけるノイズフィルタの分解斜視図
(実施の形態1)
図1は本発明の実施の形態1におけるノイズフィルタの一例であるコモンモードノイズフィルタの分解斜視図である。
本発明の実施の形態1におけるコモンモードノイズフィルタは、図1に示すように、第1〜第7の絶縁体層1a〜1gと、第1〜第7の絶縁体層1a〜1gと交互に積層された第1〜第4の内部導体2〜5と、積層方向で隣接する第1の内部導体2と第2の内部導体3を接続して形成された第1のコイル6と、積層方向で隣接する第3の内部導体4と第4の内部導体5を接続して形成された第2のコイル7とを備えている。また、第1のコイル6を構成する第1の内部導体2と第2の内部導体3の間の第3の絶縁体層1cの密度、第2のコイル7を構成する第3の内部導体4と第4の内部導体5の間の第5の絶縁体層1eの密度を、他の絶縁体層の密度より高くしている。
上記構成において、前記第1〜第7の絶縁体層1a〜1gは、下から順に積層され、Cu−Znフェライト等のフェライト系非磁性材料からなるシート状の第2〜第6の絶縁性層1b〜1fと、Ni−Cu−Znフェライト等のフェライト系磁性材料からなるシート状の第1、第7の絶縁体層1a、1gとで構成される。
なお、図1では、第1、第7の絶縁体層1a、1gの枚数を2枚としているが、他の枚数でもよい。また、第2、第6の絶縁体層1b、1fを磁性材料で構成してもよく、全ての絶縁体層を非磁性材料のみ、または磁性材料のみで構成してもよい。
そして、前記第1の内部導体2〜第4の内部導体5は、Ag等の導電体をめっき、印刷等することによって形成され、第1の内部導体2は第2の絶縁体層1bの上面、第2の内部導体3は第3の絶縁体層1cの上面、第3の内部導体4は第4の絶縁体層1dの上面、第4の内部導体5は第5の絶縁体層1eの上面にそれぞれ形成される。
ここで、第1の内部導体2、第4の内部導体5はL字状、第2の内部導体3、第3の内部導体4は渦巻状になっている。
さらに、積層方向に隣接する第1の内部導体2と第2の内部導体3は、第3の絶縁体層1cに形成されたビア電極8aを介して接続され、第1のコイル6が構成される。同様に、積層方向に隣接する第3の内部導体4と第4の内部導体5は、第5の絶縁体層1eに形成されたビア電極8bを介して接続され、第2のコイル7が構成される。よって、ビア電極8a、8bは、他より密度が高い第3の絶縁体層1c、第5の絶縁体層1eに設けられる。
次に、第1〜第7の絶縁体層1a〜1gの製造方法について説明する。
まず、非磁性材料、磁性材料からなる粉末に、有機溶剤を加えたものを、混練、分散(粉砕)してスラリーを形成する。次に、バインダー、有機溶剤を加える。この後、スラリーをフィルム上に塗工・乾燥して得られたセラミックグリーンシートを成形して、第3、第5の絶縁体層1c、1eを形成する。
また、他の第1、第2、第4、第6、第7の絶縁体層1a、1b、1d、1f、1gは、非磁性材料、磁性材料からなる粉末を予め400〜700℃で熱処理を行い、熱処理前に比べて5〜25%比表面積を減少させたセラミックグリーンシートを成形して形成する。
そして、第1〜第7の絶縁体層1a〜1g、第1の内部導体2〜第4の内部導体5を図1に示したように積層し、約900℃で焼成する。
予め熱処理を施したセラミックグリーンシートは、セラミック粉末同士の結合によりセラミックグリーンシートの内部の粒子の表面積が下がるため、多くの空隙がシートの内部に生まれセラミックグリーンシートの密度が低下する。その結果、圧縮変形率が大きいセラミックグリーンシートが得られる。
したがって、第3、第5の絶縁体層1c、1e、すなわち第1のコイル6を構成する第1の内部導体2と第2の内部導体3の間、第2のコイル7を構成する第3の内部導体4と第4の内部導体5の間の絶縁体層の密度が、他の第1、第2、第4、第6、第7の絶縁体層1a、1b、1d、1f、1gの密度より高くなっている。このとき、第1、第2、第4、第6、第7の絶縁体層1a、1b、1d、1f、1gの密度に対し、第3、第5の絶縁体層1c、1eの密度は0.5%〜5%高い。なお、ここでの密度は焼成後の密度を言い、焼成後の第3、第5の絶縁体層1c、1eの密度は第1、第2、第4、第6、第7の絶縁体層1a、1b、1d、1f、1gの密度より高く、グリーンシート状態でも第3、第5の絶縁体層1c、1eの密度は第1、第2、第4、第6、第7の絶縁体層1a、1b、1d、1f、1gの密度より高い。
上記したように本発明の一実施の形態におけるコモンモードノイズフィルタにおいては、第3、第5の絶縁体層1c、1eの厚みを薄くしても第1のコイル6を構成する第1の内部導体2と第2の内部導体3の間、第2のコイル7を構成する第3の内部導体4と第4の内部導体5の間で短絡する可能性を低減できるという効果が得られるものである。
また、第1、第2、第4、第6、第7の絶縁体層1a、1b、1d、1f、1gのように、圧縮変形率が大きいセラミックグリーンシートに内部電極を形成し積層、加圧すると、内部電極がセラミックグリーンシート内部に喰い込みやすくなり、内部電極を有する積層面において十分な密着性が得られる。
本実施の形態においては、第1〜第4の内部導体2〜5は、それぞれ片面に密度の高い第3の絶縁体層1cまたは第5の絶縁体層1eが形成されているが、他の片面には、密度が低く圧縮変形率が大きい第2、第4、第6の絶縁体層1b、1d、1fが形成されている。このため、密度が高い第3、第5の絶縁体層1c、1eを使用しているにもかかわらず、第1〜第4の内部導体2〜5の絶縁体層内への喰い込みが良く、デラミネーションの発生を抑えることもできる。
なお、第3、第5の絶縁体層1c、1eの密度を高くする方法として、事前の熱処理をしないこと以外にも、分散(粉砕)時間を長くして、非磁性材料または磁性材料からなる粉末を微粉化(例えば平均粒径(D50)が0.4μm〜0.6μmとなるように)してもよい。この場合は、シートが緻密になるため、密度が高くなる。
また、上記本発明の実施の形態1においては、ノイズフィルタの一例としてコモンモードノイズフィルタについて説明したが、第1の内部導体2、第4の内部導体5を渦巻状にして、コモンモードとノーマルモードの両方のノイズを除去できる2モードノイズフィルタとしてもよい。
(実施の形態2)
図2は本発明の実施の形態2におけるノイズフィルタの分解斜視図である。なお、この本発明の実施の形態2においては、上記した本発明の実施の形態1と同様の構成を有するものについては、同一符号を付しており、その説明は省略する。
本発明の実施の形態2が上記した本発明の実施の形態1と相違する点は、図2に示すように、第1のコイル6を構成する第1、第2の内部導体2、3と、第2のコイル7を構成する第3、第4の内部導体4、5とを交互に配置した点である。
さらに、磁性材料からなる第1の絶縁体層1aと隣接する第4の内部導体5との間の第2の絶縁体層1bの密度、磁性材料からなる第7の絶縁体層1gと隣接する第1の内部導体2との間の第6の絶縁体層1fの密度が、他の第1、第3〜第5、第7の絶縁体層1a、1c〜1d、1gの密度より高くなっている。
そして、第2〜第6の絶縁性層1b〜1fはフェライト系非磁性材料からなり、第1、第7の絶縁体層1a、1gはフェライト系磁性材料からなる。よって、第1〜第4の内部導体2〜5は非磁性材料からなる第2〜第6の絶縁体層1b〜1fで囲まれ、この非磁性材料からなる第2〜第6の絶縁体層1b〜1fは磁性材料からなる第1、第7の絶縁体層1a、1gで挟まれる。
なお、第1のコイル6を構成する第1、第2の内部導体2、3が、第2のコイル7を構成する第3、第4の内部導体4、5を挟むように配置してもよい。
コイルが磁性体の磁界をより多く受けるようにするために、磁性体(第1、第7の絶縁体層1a、1g)にコイル6、7を近づけようとすると、第2の絶縁体層1b、第6の絶縁体層1fの厚みを薄くせざるを得なくなるが、その厚みを薄くすると積層時の圧力で破損する可能性があった。そこで、第2の絶縁体層1b、第6の絶縁体層1fの密度を高くすれば、その厚みを薄くしても積層時の圧力で破損する可能性を低減できる。
また、第1、第4の内部導体2、5は、それぞれ片面に密度の高い第2の絶縁体層1bまたは第6の絶縁体層1fが形成されているが、他の片面には、密度が低く圧縮変形率が大きい第3、第5の絶縁体層1c、1eが形成されている。このため、実施の形態1と同様に、密度が高い第2、第6の絶縁体層1b、1fを使用しているにもかかわらず、第1〜第4の内部導体2〜5の絶縁体層内への喰い込みが良く、デラミネーションの発生を抑えることもできる。
本発明に係るノイズフィルタは、薄型化されても短絡を防止できるという効果を有するものであり、特にデジタル機器やAV機器、情報通信端末等の各種電子機器のノイズ対策として使用されるコモンモードノイズフィルタ等において有用となるものである。
1a〜1g 絶縁体層
2〜5 内部導体
6 第1のコイル
7 第2のコイル

Claims (2)

  1. 複数の絶縁体層と、前記複数の絶縁体層と交互に積層された複数の内部導体と、積層方向で隣接する前記内部導体同士を接続して形成された第1のコイルと、積層方向で隣接する他の前記内部導体同士を接続して形成された第2のコイルとを備え、前記第1のコイル、第2のコイルを構成する前記内部導体の片面に設けられた前記絶縁体層の密度を、前記第1のコイル、第2のコイルを構成する前記内部導体の他の片面に設けられた前記絶縁体層の密度より高くしたノイズフィルタ。
  2. 複数の絶縁体層と、前記複数の絶縁体層と交互に積層された複数の内部導体と、前記内部導体同士を接続して形成された第1のコイルと、他の前記内部導体同士を接続して形成された第2のコイルとを備え、前記第1のコイルを構成する前記内部導体と前記第2のコイルを構成する前記内部導体とを交互に配置、または前記第1のコイルを構成する前記内部導体が前記第2のコイルを構成する前記内部導体を挟むように配置し、前記第1のコイル、第2のコイルを構成する前記内部導体を非磁性材料からなる前記絶縁体層で囲み、前記非磁性材料からなる前記絶縁体層を磁性材料からなる前記絶縁体層で挟み、前記磁性材料からなる前記絶縁体層と隣接する前記内部導体における前記磁性材料からなる前記絶縁体層側の片面に設けられた前記絶縁体層の密度を、前記内部導体の他の片面に設けられた前記絶縁体層の密度より高くしたノイズフィルタ。
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