本明細書において提供するものは、FRαに特異的に結合する抗体である。提供される抗体をコードし得る関連ポリヌクレオチド、提供される抗体を発現する細胞の他、関連ベクターおよび検出可能な抗体標識も記載する。さらに、提供される抗体を使用する方法を記載する。たとえば、提供される抗体は、癌を診断すること、癌の進行、退行、または安定を監視すること、対象者における癌の診断を開発すること、患者を癌について治療すべきか否かを判断すること、または、対象者がFRα発現癌を患っており、したがって、FRα特異的抗癌療法での治療に適するかも知れないか否かを判断すること、に使用されてよい。
葉酸受容体アルファ(FRα)特異的抗体
本明細書に記載するものは、単離した抗体、および、FRαに特異的に結合する抗原結合フラグメントである。いくつかの実施形態において、抗体および抗原結合フラグメントは、マウスIgGまたはその誘導体である。
いくつかの実施形態において、抗体または抗原結合フラグメントは、配列番号2と実質的に同じまたは同一の軽鎖CDR1アミノ酸配列を含んでよい。いくつかの実施形態において、抗体または抗原結合フラグメントは、配列番号3と実質的に同じまたは同一の軽鎖CDR2アミノ酸配列を含んでよい。いくつかの実施形態において、抗体または抗原結合フラグメントは、配列番号4と実質的に同じまたは同一の軽鎖CDR3アミノ酸配列を含んでよい。いくつかの実施形態において、抗体または抗原結合フラグメントは、配列番号6と実質的に同じまたは同一の重鎖CDR1アミノ酸配列を含んでよい。いくつかの実施形態において、抗体または抗原結合フラグメントは、配列番号7と実質的に同じまたは同一の重鎖CDR2アミノ酸配列を含んでよい。いくつかの実施形態において、抗体または抗原結合フラグメントは、配列番号8と実質的に同じまたは同一の重鎖CDR3アミノ酸配列を含んでよい。前記抗体または抗原結合フラグメントは、配列番号2と実質的に同じまたは同一の軽鎖CDR1アミノ酸配列、配列番号3と実質的に同じまたは同一のCDR2アミノ酸配列、および、配列番号4と実質的に同じまたは同一のCDR3アミノ酸配列を含んでよい。前記抗体または抗原結合フラグメントは、配列番号6と実質的に同じまたは同一の重鎖CDR1アミノ酸配列、配列番号7と実質的に同じまたは同一のCDR2アミノ酸配列、および、配列番号8と実質的に同じまたは同一のCDR3アミノ酸配列を含んでよい。前記抗体または抗原結合フラグメントは、配列番号2と実質的に同じまたは同一のCDR1アミノ酸配列、配列番号3と実質的に同じまたは同一のCDR2アミノ酸配列、および、配列番号4と実質的に同じまたは同一のCDR3アミノ酸配列を有する軽鎖を含んでよく、また、配列番号6と実質的に同じまたは同一のCDR1アミノ酸配列、配列番号7と実質的に同じまたは同一のCDR2アミノ酸配列、および、配列番号8と実質的に同じまたは同一のCDR3アミノ酸配列を有する重鎖を有してよい。
記載した抗体または抗原結合フラグメントは、配列番号5と実質的に同じまたは同一のアミノ酸配列を含む軽鎖可変領域を含んでよい。いくつかの実施形態において、配列番号37と実質的に同じまたは同一の配列を含む単離ポリヌクレオチドが、この軽鎖可変領域アミノ酸配列をコードしてよい。記載した抗体または抗原結合フラグメントは、配列番号9と実質的に同じまたは同一のアミノ酸配列を含む重鎖可変領域を含んでよい。いくつかの実施形態において、配列番号41と実質的に同じまたは同一の配列を含む単離ポリヌクレオチドが、この重鎖可変領域アミノ酸配列をコードしてよい。記載した抗体または抗原結合フラグメントは、配列番号5と実質的に同じまたは同一のアミノ酸配列を含む軽鎖可変領域、および、配列番号9と実質的に同じまたは同一のアミノ酸配列を含む重鎖可変領域を含んでよい。いくつかの実施形態において、天然型または非還元型のFRαに結合することが可能な、9F3.H9.H3.H3.B5.G2(9F3)抗体またはその抗原結合フラグメントが提供される。
いくつかの実施形態において、前記9F3抗体は、2011年5月19日にアメリカン・タイプ・カルチャー・コレクション(10801 University Blvd. Manassas,Virginia 20110−2209)に寄託され、PTA−11887の受託番号を割り当てられた抗体産生細胞によって産生される。いくつかの実施形態において、前記抗体またはその抗原結合フラグメントは、前記寄託された抗体産生細胞によって産生される抗体のFαに結合親和性を有する。いくつかの実施形態において、記載した抗体またはその抗原結合フラグメントは、前記寄託された抗体産生細胞によって産生される抗体の、軽鎖CDRおよび重鎖CDRを含む。いくつかの実施形態において、前記抗体またはその抗原結合フラグメントは、前記寄託された抗体産生細胞によって産生される抗体の、軽鎖可変領域および重鎖可変領域を含む。
天然型または還元型のFRαに特異的に結合する抗体または抗原結合フラグメントをコードする単離ポリヌクレオチドも記載する。いくつかの実施形態において、前記単離ポリヌクレオチドは、配列番号2と実質的に同じまたは同一の軽鎖CDR1配列を有する抗体またはその抗原結合フラグメントをコードし、たとえば配列番号34を含む。いくつかの実施形態において、前記単離ポリヌクレオチドは、配列番号3と実質的に同じまたは同一の軽鎖CDR2配列を有する抗体またはその抗原結合フラグメントをコードし、たとえば配列番号35を含む。いくつかの実施形態において、前記単離ポリヌクレオチドは、配列番号4と実質的に同じまたは同一の軽鎖CDR3配列を有する抗体またはその抗原結合フラグメントをコードし、たとえば配列番号36を含む。いくつかの実施形態において、前記単離ポリヌクレオチドは、配列番号6と実質的に同じまたは同一の重鎖CDR1配列を有する抗体またはその抗原結合フラグメントをコードし、たとえば配列番号38を含む。いくつかの実施形態において、前記単離ポリヌクレオチドは、配列番号7と実質的に同じまたは同一の重鎖CDR2配列を有する抗体またはその抗原結合フラグメントをコードし、たとえば配列番号39を含む。いくつかの実施形態において、前記単離ポリヌクレオチドは、配列番号8と実質的に同じまたは同一の重鎖CDR3配列を有する抗体またはその抗原結合フラグメントをコードし、たとえば配列番号40を含む。前記単離ポリヌクレオチドは、配列番号2と実質的に同じまたは同一のCDR1配列、配列番号3と実質的に同じまたは同一のCDR2配列、および、配列番号4と実質的に同じまたは同一のCDR3配列、を有する軽鎖を有する抗体またはその抗原結合フラグメントをコードしてもよく、たとえば配列番号34、たとえば配列番号35、および、たとえば配列番号36を含む。前記単離ポリヌクレオチドは、配列番号6と実質的に同じまたは同一の重鎖CDR1、配列番号7と実質的に同じまたは同一のCDR2、および、配列番号8と実質的に同じまたは同一のCDR3、を有する抗体またはその抗原結合フラグメントをコードしてもよく、たとえば配列番号38、たとえば配列番号39、および、たとえば配列番号40を含む。前記単離ポリヌクレオチドは、配列番号2と実質的に同じまたは同一の軽鎖CDR1、ヌクレオチド配列によるコーディングが配列番号3と実質的に同じまたは同一のCDR2、および、ヌクレオチド配列によるコーディングが配列番号4と実質的に同じまたは同一のCDR3、ならびに、配列番号6と実質的に同じまたは同一の重鎖CDR1;配列番号7と実質的に同じまたは同一のCDR2、および、配列番号8と実質的に同じまたは同一のCDR3、を有する抗体またはその抗原結合フラグメントをコードしてもよく、たとえば配列番号34、たとえば配列番号35、および、たとえば配列番号36、ならびに、たとえば配列番号38、たとえば配列番号39、および、たとえば配列番号40を含む。CDRの抗原結合配置は、また、抗体様タンパクをCDRの骨組として使用して設計してもよい。このように設計された抗原結合タンパクは、本開示の範囲内である。
本明細書に記載のポリヌクレオチドは、配列番号5と実質的に同じまたは同一のアミノ酸配列を含む軽鎖可変領域区分を有する抗体または抗原結合フラグメントをコードしてもよく、たとえば配列番号37を含む。いくつかの実施形態において、記載した単離ポリヌクレオチドは、配列番号9と実質的に同じまたは同一のアミノ酸配列を含む重鎖可変領域区分を有する抗体または抗原結合フラグメントをコードしてもよく、たとえば配列番号41を含む。いくつかの実施形態において、記載した単離ポリヌクレオチドは、配列番号5と実質的に同じまたは同一のアミノ酸配列を含む軽鎖可変領域区分、および、配列番号9と実質的に同じまたは同一のアミノ酸配列を含む重鎖可変領域区分、を有する抗体または抗原結合フラグメントをコードしてもよく、たとえば配列番号37、および、たとえば配列番号41を含む。本明細書において提供する可変領域区分をコードすることが可能な前記単離ポリヌクレオチドは、抗体または抗原結合フラグメントを産生するために、同じまたは異なるベクターに含まれてよい。本明細書に記載のポリヌクレオチドは、天然型または還元型のFRαに結合することが可能な、9F3抗体またはその抗原結合フラグメントをコードしてよい。
本明細書には、天然型または還元型のFRαに特異的に結合する単離抗体および抗原結合フラグメントを記載する。いくつかの実施形態において、前記抗体または抗原結合フラグメントは、マウスIgGまたはその誘導体である。前記抗体または抗原結合フラグメントは、ヒトの、ヒト化された、またはキメラのものであってよいが、本明細書に例示する抗体または抗原結合フラグメントは、マウスのものである。いくつかの実施形態において、抗体または抗原結合フラグメントは、配列番号10と実質的に同じまたは同一の軽鎖CDR1アミノ酸配列を含んでよい。いくつかの実施形態において、抗体または抗原結合フラグメントは、配列番号11と実質的に同じまたは同一の軽鎖CDR2アミノ酸配列を含んでよい。いくつかの実施形態において、抗体または抗原結合フラグメントは、配列番号12と実質的に同じまたは同一の軽鎖CDR3アミノ酸配列を含んでよい。いくつかの実施形態において、抗体または抗原結合フラグメントは、配列番号14と実質的に同じまたは同一の重鎖CDR1アミノ酸配列を含んでよい。いくつかの実施形態において、抗体または抗原結合フラグメントは、配列番号15と実質的に同じまたは同一の重鎖CDR2アミノ酸配列を含んでよい。いくつかの実施形態において、抗体または抗原結合フラグメントは、配列番号16と実質的に同じまたは同一の重鎖CDR3アミノ酸配列を含んでよい。前記抗体または抗原結合フラグメントは、配列番号10と実質的に同じまたは同一のCDR1アミノ酸配列、配列番号11と実質的に同じまたは同一のCDR2アミノ酸配列、および、配列番号12と実質的に同じまたは同一のCDR3アミノ酸配列を有する軽鎖を含んでよい。前記抗体または抗原結合フラグメントは、配列番号14と実質的に同じまたは同一のCDR1アミノ酸配列、配列番号15と実質的に同じまたは同一のCDR2アミノ酸配列、および、配列番号16と実質的に同じまたは同一のCDR3アミノ酸配列を有する重鎖を含んでよい。前記抗体または抗原結合フラグメントは、配列番号10と実質的に同じまたは同一のCDR1アミノ酸配列、配列番号11と実質的に同じまたは同一のCDR2アミノ酸配列、および、配列番号12と実質的に同じまたは同一のCDR3アミノ酸配列を有する軽鎖、ならびに、さらに、配列番号14と実質的に同じまたは同一のCDR1アミノ酸配列、配列番号15と実質的に同じまたは同一のCDR2アミノ酸配列、および、配列番号16と実質的に同じまたは同一のCDR3アミノ酸配列を有する重鎖を含んでよい。
記載した抗体または抗原結合フラグメントは、配列番号13と実質的に同じまたは同一のアミノ酸配列を含む軽鎖可変領域を含んでよい。いくつかの実施形態において、配列番号45と実質的に同じまたは同一の配列を含む単離ポリヌクレオチドが、この軽鎖可変領域アミノ酸配列をコードしてよい。記載した抗体または抗原結合フラグメントは、配列番号17と実質的に同じまたは同一のアミノ酸配列を含む重鎖可変領域を含んでよい。いくつかの実施形態において、配列番号49と実質的に同じまたは同一の配列を含む単離ポリヌクレオチドが、この重鎖可変領域をコードしてよい。記載した抗体または抗原結合フラグメントは、配列番号13と実質的に同じまたは同一のアミノ酸配列を含む軽鎖可変領域、および、配列番号17と実質的に同じまたは同一のアミノ酸配列を含む重鎖可変領域を含んでよい。いくつかの実施形態において、天然型FRαまたは還元型FRαのいずれかに結合することが可能な19D4.B7(19D4)抗体またはその抗原結合フラグメントが、提供される。
いくつかの実施形態において、19D4抗体は、2011年5月19日にアメリカン・タイプ・カルチャー・コレクション(10801 University Blvd. Manassas,Virginia 20110−2209)に寄託され、PTA−11884の受託番号を割り当てられた抗体産生細胞によって産生される。いくつかの実施形態において、前記抗体またはその抗原結合フラグメントは、前記寄託された抗体産生細胞によって産生される抗体のFRαに結合親和性を有する。いくつかの実施形態において、開示した抗体またはその抗原結合フラグメントは、前記寄託された抗体産生細胞によって産生される抗体の軽鎖CDRおよび重鎖CDRを含む。いくつかの実施形態において、前記抗体またはその抗原結合フラグメントは、前記寄託された抗体産生細胞によって産生される抗体の軽鎖可変領域および重鎖可変領域を含む。
天然型FRαまたは還元型FRαのいずれかに特異的に結合する抗体または抗原結合フラグメントをコードする、単離ポリヌクレオチドも開示する。いくつかの実施形態において、前記単離ポリヌクレオチドは、配列番号10と実質的に同じまたは同一の軽鎖CDR1配列を有する抗体またはその抗原結合フラグメントをコードし、たとえば配列番号42を含む。いくつかの実施形態において、前記単離ポリヌクレオチドは、配列番号11と実質的に同じまたは同一の軽鎖CDR2を有する抗体またはその抗原結合フラグメントをコードし、たとえば配列番号43を含む。いくつかの実施形態において、前記単離ポリヌクレオチドは、配列番号12と実質的に同じまたは同一の軽鎖CDR3を有する抗体またはその抗原結合フラグメントをコードし、たとえば配列番号44を含む。いくつかの実施形態において、前記単離ポリヌクレオチドは、配列番号14と実質的に同じまたは同一の重鎖CDR1を有する抗体またはその抗原結合フラグメントをコードし、たとえば配列番号46を含む。いくつかの実施形態において、前記単離ポリヌクレオチドは、配列番号15と実質的に同じまたは同一の重鎖CDR2を有する抗体またはその抗原結合フラグメントをコードし、たとえば配列番号47を含む。いくつかの実施形態において、前記単離ポリヌクレオチドは、配列番号16と実質的に同じまたは同一の重鎖CDR3を有する抗体またはその抗原結合フラグメントをコードし、たとえば配列番号48を含む。前記ポリヌクレオチドは、配列番号10と実質的に同じまたは同一のCDR1、配列番号11と実質的に同じまたは同一のCDR2、および、配列番号12と実質的に同じまたは同一のCDR3、を有する軽鎖を有する抗体またはその抗原結合フラグメントをコードしてよく、たとえば配列番号42、たとえば配列番号43、および、たとえば配列番号44を含む。前記ポリヌクレオチドは、配列番号14と実質的に同じまたは同一のCDR1、配列番号15と実質的に同じまたは同一のCDR2、および、配列番号16と実質的に同じまたは同一のCDR3、を有する重鎖を有する抗体またはその抗原結合フラグメントをコードしてよく、たとえば配列番号46、たとえば配列番号47、および、たとえば配列番号48を含む。前記ポリヌクレオチドは、配列番号10と実質的に同じまたは同一の軽鎖CDR1、ヌクレオチド配列によるコーディングが配列番号11と実質的に同じまたは同一のCDR2、および、ヌクレオチド配列によるコーディングが配列番号12と実質的に同じまたは同一のCDR3、ならびに、配列番号14と実質的に同じまたは同一の重鎖CDR1、配列番号15と実質的に同じまたは同一のCDR2、および、配列番号16と実質的に同じまたは同一のCDR3、を有する抗体またはその抗原結合フラグメントをコードしてよく、たとえば配列番号42、たとえば配列番号43、および、たとえば配列番号44、ならびに、たとえば配列番号46、たとえば配列番号47、および、たとえば配列番号48を含む。CDRの抗原結合配置は、また、抗体様タンパクをCDRの骨組として使用して設計してもよい。このように設計された抗原結合タンパクは、本開示の範囲内である。
本明細書に記載のポリヌクレオチドは、配列番号13と実質的に同じまたは同一のアミノ酸配列を含む軽鎖可変領域区分を有する抗体または抗原結合フラグメントをコードしてよく、たとえば配列番号45を含む。いくつかの実施形態において、記載したポリヌクレオチドは、配列番号17と実質的に同じまたは同一のアミノ酸配列を含む重鎖可変領域区分を有する抗体または抗原結合フラグメントをコードしてよく、たとえば配列番号49を含む。いくつかの実施形態において、記載したポリヌクレオチドは、配列番号13と実質的に同じまたは同一のアミノ酸配列を含む軽鎖可変領域区分、および、配列番号17と実質的に同じまたは同一のアミノ酸配列を含む重鎖可変領域区分、を有する抗体または抗原結合フラグメントをコードしてよく、たとえば配列番号45、および、たとえば配列番号49を含む。本明細書において提供する可変領域区分をコードすることが可能な前記ポリヌクレオチドは、抗体または抗原結合フラグメントを産生するために、同じまたは異なるベクターに含まれてよい。本明細書に記載のポリヌクレオチドは、天然型FRαまたは還元型FRαに結合することが可能な19D4抗体またはその抗原結合フラグメントをコードしてよい。
本明細書には、天然型FRαまたは還元型FRαに結合することが可能な、FRαに特異的に結合する単離抗体または抗原結合フラグメントを記載する。いくつかの実施形態において、前記抗体または抗原結合フラグメントはマウスのIgGまたはその誘導体である。前記抗体または抗原結合フラグメントは、ヒトの、ヒト化された、またはキメラのものであってよいが、本明細書に例示する抗体または抗原結合フラグメントは、マウスのものである。いくつかの実施形態において、抗体または抗原結合フラグメントは、配列番号18と実質的に同じまたは同一の軽鎖CDR1アミノ酸配列を含んでよい。いくつかの実施形態において、抗体または抗原結合フラグメントは、配列番号19と実質的に同じまたは同一の軽鎖CDR2アミノ酸配列を含んでよい。いくつかの実施形態において、抗体または抗原結合フラグメントは、配列番号20と実質的に同じまたは同一の軽鎖CDR3アミノ酸配列を含んでよい。いくつかの実施形態において、抗体または抗原結合フラグメントは、配列番号22と実質的に同じまたは同一の重鎖CDR1アミノ酸配列を含んでよい。いくつかの実施形態において、抗体または抗原結合フラグメントは、配列番号23と実質的に同じまたは同一の重鎖CDR2アミノ酸配列を含んでよい。いくつかの実施形態において、抗体または抗原結合フラグメントは、配列番号24と実質的に同じまたは同一の重鎖CDR3アミノ酸配列を含んでよい。前記抗体または抗原結合フラグメントは、配列番号18と実質的に同じまたは同一のCDR1アミノ酸配列、配列番号19と実質的に同じまたは同一のCDR2アミノ酸配列、および、配列番号20と実質的に同じまたは同一のCDR3アミノ酸配列、を有する軽鎖を含んでよい。前記抗体または抗原結合フラグメントは、配列番号22と実質的に同じまたは同一のCDR1アミノ酸配列、配列番号23と実質的に同じまたは同一のCDR2アミノ酸配列、および、配列番号24と実質的に同じまたは同一のCDR3アミノ酸配列、を有する重鎖を含んでよい。前記抗体または抗原結合フラグメントは、配列番号18と実質的に同じまたは同一のCDR1アミノ酸配列、配列番号19と実質的に同じまたは同一のCDR2アミノ酸配列、および、配列番号20と実質的に同じまたは同一のCDR3アミノ酸配列、を有する軽鎖、ならびに、さらに、配列番号22と実質的に同じまたは同一のCDR1アミノ酸配列、配列番号23と実質的に同じまたは同一のCDR2アミノ酸配列、および、配列番号24と実質的に同じまたは同一のCDR3アミノ酸配列を有する重鎖を含んでよい。
記載した抗体または抗原結合フラグメントは、配列番号21と実質的に同じまたは同一のアミノ酸配列を含む軽鎖可変領域を含んでよい。いくつかの実施形態において、配列番号53と実質的に同じまたは同一の配列を含む単離ポリヌクレオチドが、この軽鎖可変領域アミノ酸配列をコードしてよい。記載した抗体または抗原結合フラグメントは、配列番号25と実質的に同じまたは同一のアミノ酸配列を含む重鎖可変領域を含んでよい。いくつかの実施形態において、配列番号57と実質的に同じまたは同一の配列を含む単離ポリヌクレオチドが、この重鎖可変領域アミノ酸配列をコードしてよい。記載した抗体または抗原結合フラグメントは、配列番号21と実質的に同じまたは同一のアミノ酸配列を含む軽鎖可変領域、および、配列番号25と実質的に同じまたは同一のアミノ酸配列を含む重鎖可変領域を含んでよい。いくつかの実施形態において、天然型FRαまたは還元型FRαのいずれかに結合することが可能な、24F12.B1(24F12)抗体またはその抗原結合フラグメントが提供される。
いくつかの実施形態において、24F12抗体は、2011年5月19日にアメリカン・タイプ・カルチャー・コレクション(10801 University Blvd. Manassas,Virginia 20110−2209)に寄託され、PTA−11886の受託番号を割り当てられた抗体産生細胞によって産生される。いくつかの実施形態において、前記抗体またはその抗原結合フラグメントは、前記寄託された抗体産生細胞によって産生される抗体のFRαに結合親和性を有する。いくつかの実施形態において、開示した抗体またはその抗原結合フラグメントは、前記寄託された抗体産生細胞によって産生される抗体の軽鎖CDRおよび重鎖CDRを含む。いくつかの実施形態において、前記抗体またはその抗原結合フラグメントは、前記寄託された抗体産生細胞によって産生される抗体の軽鎖可変領域および重鎖可変領域を含む。
FRαに特異的に結合する抗体または抗原結合フラグメントをコードするポリヌクレオチドも記載する。いくつかの実施形態において、前記単離ポリヌクレオチドは、配列番号18と実質的に同じまたは同一の軽鎖CDR1配列を有する抗体またはその抗原結合フラグメントをコードし、たとえば配列番号50を含む。いくつかの実施形態において、前記単離ポリヌクレオチドは、配列番号19と実質的に同じまたは同一の軽鎖CDR2を有する抗体またはその抗原結合フラグメントをコードし、たとえば配列番号51を含む。いくつかの実施形態において、前記単離ポリヌクレオチドは、配列番号20と実質的に同じまたは同一の軽鎖CDR3を有する抗体またはその抗原結合フラグメントをコードし、たとえば配列番号52を含む。いくつかの実施形態において、前記単離ポリヌクレオチドは、配列番号22と実質的に同じまたは同一の重鎖CDR1を有する抗体またはその抗原結合フラグメントをコードし、たとえば配列番号54を含む。いくつかの実施形態において、前記単離ポリヌクレオチドは、配列番号23と実質的に同じまたは同一の重鎖CDR2を有する抗体またはその抗原結合フラグメントをコードし、たとえば配列番号55を含む。いくつかの実施形態において、前記単離ポリヌクレオチドは、配列番号24と実質的に同じまたは同一の重鎖CDR3を有する抗体またはその抗原結合フラグメントをコードし、たとえば配列番号56を含む。前記ポリヌクレオチドは、配列番号18と実質的に同じまたは同一のCDR1、配列番号19と実質的に同じまたは同一のCDR2、および、配列番号20と実質的に同じまたは同一のCDR3、を有する軽鎖を有する抗体またはその抗原結合フラグメントをコードしてよく、たとえば配列番号50、たとえば配列番号51、および、たとえば配列番号52を含む。前記ポリヌクレオチドは、配列番号22と実質的に同じまたは同一の重鎖CDR1、配列番号23と実質的に同じまたは同一のCDR2、および、配列番号24と実質的に同じまたは同一のCDR3、を有する抗体またはその抗原結合フラグメントをコードしてよく、たとえば配列番号54、たとえば配列番号55、および、たとえば配列番号56を含む。前記ポリヌクレオチドは、配列番号18と実質的に同じまたは同一の軽鎖CDR1、ヌクレオチド配列によるコーディングが配列番号19と実質的に同じまたは同一のCDR2、および、ヌクレオチド配列によるコーディングが配列番号20と実質的に同じまたは同一のCDR3、ならびに、配列番号22と実質的に同じまたは同一の重鎖CDR1、配列番号23と実質的に同じまたは同一のCDR2、および、配列番号24と実質的に同じまたは同一のCDR3、を有する抗体またはその抗原結合フラグメントをコードしてよく、たとえば配列番号50、たとえば配列番号51、および、たとえば配列番号52、ならびに、たとえば配列番号54、たとえば配列番号55、および、たとえば配列番号56を含む。CDRの抗原結合配置は、また、抗体様タンパクをCDRの骨組として使用して設計してもよい。このように設計された抗原結合タンパクは、本開示の範囲内である。
本明細書に記載のポリヌクレオチドは、配列番号21と実質的に同じまたは同一のアミノ酸配列を含む軽鎖可変領域区分を有する抗体または抗原結合フラグメントをコードしてよく、たとえば配列番号53を含む。いくつかの実施形態において、記載したポリヌクレオチドは、配列番号25と実質的に同じまたは同一のアミノ酸配列を含む重鎖可変領域区分を有する抗体または抗原結合フラグメントをコードしてよく、たとえば配列番号57を含む。いくつかの実施形態において、記載したポリヌクレオチドは、配列番号21と実質的に同じまたは同一のアミノ酸配列を含む軽鎖可変領域区分、および、配列番号25と実質的に同じまたは同一のアミノ酸配列を含む重鎖可変領域区分、を有する抗体または抗原結合フラグメントをコードしてよく、たとえば配列番号53、および、たとえば配列番号57を含む。本明細書において提供する可変領域区分をコードする前記ポリヌクレオチドは、抗体または抗原結合フラグメントを産生するために、同じまたは異なるベクターに含まれてよい。本明細書に記載のポリヌクレオチドは、天然型FRαまたは還元型FRαのいずれかに結合することが可能な24F12抗体またはその抗原結合フラグメントをコードしてよい。
本明細書には、天然型、非還元型、又は化学的に保存されている型のいずれかの、FRαに特異的に結合する単離抗体または抗原結合フラグメントを記載する。いくつかの実施形態において、前記抗体または抗原結合フラグメントはマウスのIgGまたはその誘導体である。前記抗体または抗原結合フラグメントは、ヒトの、ヒト化された、またはキメラのものであってよいが、本明細書に例示する抗体または抗原結合フラグメントは、マウスのものである。いくつかの実施形態において、抗体または抗原結合フラグメントは、配列番号26と実質的に同じまたは同一の軽鎖CDR1アミノ酸配列を含んでよい。いくつかの実施形態において、抗体または抗原結合フラグメントは、配列番号27と実質的に同じまたは同一の軽鎖CDR2アミノ酸配列を含んでよい。いくつかの実施形態において、抗体または抗原結合フラグメントは、配列番号28と実質的に同じまたは同一の軽鎖CDR3アミノ酸配列を含んでよい。いくつかの実施形態において、抗体または抗原結合フラグメントは、配列番号30と実質的に同じまたは同一の重鎖CDR1アミノ酸配列を含んでよい。いくつかの実施形態において、抗体または抗原結合フラグメントは、配列番号31と実質的に同じまたは同一の重鎖CDR2アミノ酸配列を含んでよい。いくつかの実施形態において、抗体または抗原結合フラグメントは、配列番号32と実質的に同じまたは同一の重鎖CDR3アミノ酸配列を含んでよい。前記抗体または抗原結合フラグメントは、配列番号26と実質的に同じまたは同一のCDR1アミノ酸配列、配列番号27と実質的に同じまたは同一のCDR2アミノ酸配列、および、配列番号28と実質的に同じまたは同一のCDR3アミノ酸配列、を有する軽鎖を含んでよい。前記抗体または抗原結合フラグメントは、配列番号30と実質的に同じまたは同一のCDR1アミノ酸配列、配列番号31と実質的に同じまたは同一のCDR2アミノ酸配列、および、配列番号32と実質的に同じまたは同一のCDR3アミノ酸配列、を有する重鎖を含んでよい。前記抗体または抗原結合フラグメントは、配列番号26と実質的に同じまたは同一のCDR1アミノ酸配列、配列番号27と実質的に同じまたは同一のCDR2アミノ酸配列、および、配列番号28と実質的に同じまたは同一のCDR3アミノ酸配列、を有する軽鎖、ならびに、さらに、配列番号30と実質的に同じまたは同一のCDR1アミノ酸配列、配列番号31と実質的に同じまたは同一のCDR2アミノ酸配列、および、配列番号32と実質的に同じまたは同一のCDR3アミノ酸配列を有する重鎖を含んでよい。
記載した抗体または抗原結合フラグメントは、配列番号29と実質的に同じまたは同一のアミノ酸配列を含む軽鎖可変領域を含んでよい。いくつかの実施形態において、配列番号61と実質的に同じまたは同一の配列を含む単離ポリヌクレオチドが、この軽鎖可変領域アミノ酸配列をコードしてよい。記載した抗体または抗原結合フラグメントは、配列番号33と実質的に同じまたは同一のアミノ酸配列を含む重鎖可変領域を含んでよい。いくつかの実施形態において、配列番号65と実質的に同じまたは同一の配列を含む単離ポリヌクレオチドが、この重鎖可変領域アミノ酸配列をコードしてよい。記載した抗体または抗原結合フラグメントは、配列番号29と実質的に同じまたは同一のアミノ酸配列を含む軽鎖可変領域、および、配列番号33と実質的に同じまたは同一のアミノ酸配列を含む重鎖可変領域を含んでよい。いくつかの実施形態において、天然型、非還元型、又は化学的に保存されている型のFRαに結合することが可能な、26B3.F2(26B3)抗体またはその抗原結合フラグメントが提供される。
いくつかの実施形態において、26B3抗体は、2011年5月19日にアメリカン・タイプ・カルチャー・コレクション(10801 University Blvd. Manassas,Virginia 20110−2209)に寄託され、PTA−11885の受託番号を割り当てられた抗体産生細胞によって産生される。いくつかの実施形態において、前記抗体またはその抗原結合フラグメントは、前記寄託された抗体産生細胞によって産生される抗体のFRαに結合親和性を有する。いくつかの実施形態において、開示した抗体またはその抗原結合フラグメントは、前記寄託された抗体産生細胞によって産生される抗体の軽鎖CDRおよび重鎖CDRを含む。いくつかの実施形態において、前記抗体またはその抗原結合フラグメントは、前記寄託された抗体産生細胞によって産生される抗体の軽鎖可変領域および重鎖可変領域を含む。
天然型、非還元型、又は化学的に保存されている型のFRαに特異的に結合する抗体または抗原結合フラグメントをコードするポリヌクレオチドも開示する。いくつかの実施形態において、前記単離ポリヌクレオチドは、配列番号26と実質的に同じまたは同一の軽鎖CDR1配列を有する抗体またはその抗原結合フラグメントをコードし、たとえば配列番号58を含む。いくつかの実施形態において、前記単離ポリヌクレオチドは、配列番号27と実質的に同じまたは同一の軽鎖CDR2を有する抗体またはその抗原結合フラグメントをコードし、たとえば配列番号59を含む。いくつかの実施形態において、前記単離ポリヌクレオチドは、配列番号28と実質的に同じまたは同一の軽鎖CDR3を有する抗体またはその抗原結合フラグメントをコードし、たとえば配列番号60を含む。いくつかの実施形態において、前記単離ポリヌクレオチドは、配列番号30と実質的に同じまたは同一の重鎖CDR1を有する抗体またはその抗原結合フラグメントをコードし、たとえば配列番号62を含む。いくつかの実施形態において、前記単離ポリヌクレオチドは、配列番号31と実質的に同じまたは同一の重鎖CDR2を有する抗体またはその抗原結合フラグメントをコードし、たとえば配列番号63を含む。いくつかの実施形態において、前記単離ポリヌクレオチドは、配列番号32と実質的に同じまたは同一の重鎖CDR3を有する抗体またはその抗原結合フラグメントをコードし、たとえば配列番号64を含む。前記ポリヌクレオチドは、配列番号26と実質的に同じまたは同一のCDR1、配列番号27と実質的に同じまたは同一のCDR2、および、配列番号28と実質的に同じまたは同一のCDR3、を有する軽鎖を有する抗体またはその抗原結合フラグメントをコードしてよく、たとえば配列番号58、たとえば配列番号59、および、たとえば配列番号60を含む。前記ポリヌクレオチドは、配列番号30と実質的に同じまたは同一の重鎖CDR1、配列番号31と実質的に同じまたは同一のCDR2、および、配列番号32と実質的に同じまたは同一のCDR3、を有する抗体またはその抗原結合フラグメントをコードしてよい、たとえば配列番号62、たとえば配列番号63、および、たとえば配列番号64を含む。前記ポリヌクレオチドは、配列番号26と実質的に同じまたは同一の軽鎖CDR1、ヌクレオチド配列によるコーディングが配列番号27と実質的に同じまたは同一のCDR2、および、ヌクレオチド配列によるコーディングが配列番号28と実質的に同じまたは同一のCDR3、ならびに、配列番号30と実質的に同じまたは同一の重鎖CDR1、配列番号31と実質的に同じまたは同一のCDR2、および、配列番号32と実質的に同じまたは同一のCDR3、を有する抗体またはその抗原結合フラグメントをコードしてよい、たとえば配列番号58、たとえば配列番号59、および、たとえば配列番号60、ならびに、たとえば配列番号62、たとえば配列番号63、および、たとえば配列番号64を含む。CDRの抗原結合配置は、また、抗体様タンパクをCDRの骨組として使用して設計してもよい。このように設計された抗原結合タンパクは、本開示の範囲内である。
本明細書に記載のポリヌクレオチドは、配列番号29と実質的に同じまたは同一のアミノ酸配列を含む軽鎖可変領域区分を有する抗体または抗原結合フラグメントをコードしてよく、たとえば配列番号61を含む。いくつかの実施形態において、記載したポリヌクレオチドは、配列番号33と実質的に同じまたは同一のアミノ酸配列を含む重鎖可変領域区分を有する抗体または抗原結合フラグメントをコードしてよく、たとえば配列番号65を含む。いくつかの実施形態において、記載したポリヌクレオチドは、配列番号29と実質的に同じまたは同一のアミノ酸配列を含む軽鎖可変領域区分、および、配列番号33と実質的に同じまたは同一のアミノ酸配列を含む重鎖可変領域区分、を有する抗体または抗原結合フラグメントをコードしてよく、たとえば配列番号61、および、たとえば配列番号65を含む。本明細書において提供する可変領域区分をコードすることが可能な前記ポリヌクレオチドは、抗体または抗原結合フラグメントを産生するために、同じまたは異なるベクターに含まれてよい。本明細書に記載のポリヌクレオチドは、天然型、非還元型、又は化学的に保存された型のFRαに結合することが可能な、26B3抗体またはその抗原結合フラグメントをコードしてよい。
FRαに特異的に結合する抗体または抗原結合フラグメントを発現する細胞と共に、抗体をコードする、または、抗原結合フラグメントをコードするポリヌクレオチドを含むベクターを提供する。記載したベクターを発現することが可能な細胞も提供する。これらの細胞は、哺乳類細胞(CHO−K1細胞など)、昆虫細胞(Sf7細胞など)、酵母細胞、植物細胞、または細菌細胞(E.coliなど)であってよい。記載した抗体は、また、本明細書に記載のハイブリドーマ細胞によっても産生される。
癌を診断するためのモデル
本明細書では、対象者における上皮性起源の乳癌、甲状腺癌、結腸直腸癌、卵管癌、卵巣癌または肺癌を診断する方法を提供する。いくつかの実施形態において、記載した方法は、対象者に由来する試料に存在するFRαのレベルを決定すること;および、観察されたFRαのレベルを対照試料中のFRαのレベルと比較することによって、前記対象者がFRαを発現する癌を患っているかを評価することを含み、ここで、前記対象者に由来する試料におけるFRαのレベルと、対照試料中のFRαのレベルとの差が、前記対象者がFRαを発現する癌を患っているか否かの目安になる。
いくつかの実施形態において、前記対照試料は、FRαを発現する癌を患っていない対象者に由来してよい。いくつかの実施形態において、前記対照試料は、FRαを発現する癌を患っている対象者に由来してよい。前記対照試料がFRαを発現する癌を患っていない対象者に由来するいくつかの実施形態において、前記試料に存在するFRαの量が、対照試料について観察される量に対して、増加していることが観察されるということは、評価される前記対象者がFRαを発現する癌を患っていることの目安になる。前記対照試料がFRαを発現する癌を患っていない対象者に由来するいくつかの実施形態において、前記試料に存在するFRαの量が、対照試料について観察される量に対して、減少していることまたは類似していることが観察されるということは、評価される前記対象者がFRαを発現する癌を患っていないことの目安になる。前記対照試料がFRαを発現する癌を患っている対象者に由来するいくつかの実施形態において、前記試料に存在するFRαの量が、対照試料について観察される量に対して、類似していることが観察されるということは、評価される前記対象者がFRαを発現する癌を患っていることの目安になる。前記対照試料がFRαを発現する癌を患っている対象者に由来するいくつかの実施形態において、前記試料に存在するFRαの量が、対照試料について観察される量に対して、減少していることが観察されるということは、評価される前記対象者がFRαを発現する癌を患っていないことの目安になる。
いくつかの実施形態において、前記対象者に由来する試料におけるFRαのレベルは、前記試料を、本明細書に記載の抗体などの、FRαに結合する抗体に接触させることによって評価される。対象者がFRα産生の増加に関連しない癌を患っているかを判断するために、類似の方法を使用してよい。FRαの存在について評価される試料は、尿、血液、血清、血漿、唾液、腹水、循環細胞、循環癌細胞、組織に関連しない細胞(つまり、遊離細胞)、組織(たとえば、手術摘出癌組織、細針吸引生検を含む生検)、組織プレパラートなどに由来してよい。
いくつかの実施形態において、記載した方法は、対象者に由来する試料に存在する細胞または組織に関連するFRαのレベルを決定すること;および、観察されたFRαのレベルを対照試料中のFRαのレベルと比較することによって、対象者がFRαを発現する癌を患っているかを評価することを含み、ここで、前記対象者に由来する試料におけるFRαのレベルと、対照試料中のFRαのレベルとの差が、前記対象者がFRαを発現する癌を患っていることの目安になる。いくつかの実施形態において、前記対象者に由来する試料におけるFRαのレベルは、前記試料を、本明細書に記載の抗体などの、FRαに結合する抗体に接触させることによって評価される。FRαの存在について評価される試料は、循環細胞、循環癌細胞、組織に関連しない細胞(つまり、遊離細胞)、組織(たとえば、手術摘出癌組織、細針吸引生検を含む生検)、組織プレパラートなどであってよい。
いくつかの実施形態において、記載した方法は、対象者に由来する試料に存在する細胞または組織に関連しないFRαのレベルを決定すること;および、観察されたFRαのレベルを対照試料中のFRαのレベルと比較することによって、前記対象者がFRαを発現する癌を患っているかを評価することを含み、ここで、前記対象者に由来する試料におけるFRαのレベルと、対照試料中のFRαのレベルとの差が、前記対象者がFRαを発現する癌を患っていることの目安になる。いくつかの実施形態において、前記対象者に由来する試料におけるFRαのレベルは、前記試料を、本明細書に記載の抗体などの、FRαに結合する抗体に接触させることによって評価される。FRαの存在について評価される試料は、尿、血液、血清、血漿、唾液、腹水、組織プレパラートなどであってよい。
記載した方法の様々な実施形態において、前記癌はFRαを発現する癌であってよい。特定の実施形態において、前記FRαを発現する癌は、卵巣癌である。いくつかの実施形態において、前記FRαを発現する癌は、子宮内膜癌である。いくつかの実施形態において、前記FRαを発現する癌は、結腸直腸癌である。いくつかの実施形態において、前記FRαを発現する癌は、乳癌である。いくつかの実施形態において、前記FRαを発現する癌は、甲状腺癌である。いくつかの実施形態において、前記FRαを発現する癌は、卵管癌である。他の実施形態において、前記FRαを発現する癌は、腺癌などの非小細胞肺癌である。上記に代えて、記載した方法は、扁平上皮癌などの、FRαを発現しない癌を特定するために使用されてよい。たとえば、記載した方法は、腺癌などのFRαを発現する肺癌と、扁平上皮癌などのFRαを発現しない肺癌とを、識別するのに使用することができるであろう。記載した方法は、線維腺腫などのFRαを発現する乳癌と、嚢肉腫などのFRαを発現しない乳癌とを、識別するのに使用することができるであろう。さらに、記載した方法は、乳頭癌などのFRαを発現する甲状腺癌と、髄様癌などのFRαを発現しない甲状腺癌とを、識別するのに使用することができるであろう。本明細書に記載のいくつかの実施形態において、対象者におけるFRαを発現する癌細胞の検出は、前記対象者がFRαに対する治療薬で治療されてよいことを判断するために使用されてよい。いくつかの実施形態において、FRαに対する前記治療薬は、ファーレツズマブなどの抗体であってよい。
様々な側面において、FRαのレベルは、前記試料をFRαに結合する抗体またはその抗原結合フラグメントに接触させることによって、決定される。いくつかの実施形態において、前記試料は、FRαに結合する2種以上の抗体またはその抗原結合フラグメントに接触させてよい。いくつかの実施形態において、前記試料は、FRαに結合する第1の抗体またはその抗原結合フラグメントに接触させ、次いで、FRαに結合する第2の抗体またはその抗原結合フラグメントに接触させてよい。本明細書に記載のものなどの抗体を、このために使用してよい。たとえば、前記抗体は、
(a)抗体9F3、抗体19D4、抗体24F12、もしくは抗体26B3のいずれか1つと同じエピトープに結合する、抗体もしくはその抗原結合フラグメント;
(b)抗体9F3、抗体19D4、抗体24F12、もしくは抗体26B3のいずれか1つ、もしくはその抗原結合フラグメント;
(c)抗体9F3、抗体19D4、抗体24F12、もしくは抗体26B3のいずれか1つの、重鎖CDRもしくは軽鎖CDRを含む抗体もしくはその抗原結合フラグメント;
(d)抗体9F3、抗体19D4、抗体24F12、もしくは抗体26B3のいずれか1つの、表1に記載の、重鎖可変領域区分および軽鎖可変領域区分を含む、抗体もしくはその抗原結合フラグメント;または
(e)ATCCに寄託され、PTA−11887、PTA−11884、PTA−11886、もしくはPTA−11885の受託番号を有する細胞株のいずれか1つによって産生される抗体のアミノ酸配列を有する抗体、もしくはその抗原結合フラグメント
で構成される群から選択される。
特定の実施形態において、FRαのレベルは、ウエスタンブロット分析、ラジオイムノアッセイ、免疫蛍光、免疫沈降、平衡透析、免疫拡散、電気化学発光(ECL)イムノアッセイ、免疫組織化学、蛍光活性化細胞分類(FACS)、またはELISAによって決定される。
本発明の前述の特徴の様々な実施形態において、対照試料は、健康な対象者のFRαの標準対照レベルである。他の実施形態において、対照試料は、既知の濃度のFRαタンパク(たとえば、遺伝子組み換えまたは精製FRαタンパク試料)であってよい。いくつかの実施形態において、試験される対象者の観察されたFRαレベルは、FRαを発現する癌を有することが知られている対象者に由来する試料において観察されるFRαレベル、または、FRαの既知の濃度と比較されてよい。
癌を監視する方法
本明細書では、対象者におけるFRαを発現する癌を監視する方法を提供する。記載した方法は、癌の治療の前、癌の治療の後、または、癌の治療の前と後の両方に、使用してよい。いくつかの実施形態において、記載した方法は、対象者に由来する試験試料に存在するFRαのレベルを決定すること;および、観察されたFRαのレベルを、より前の時点での前記対象者の試験試料におけるFRαのレベルと比較することによって、FRαを発現する癌が進行しているか、退行しているか、または安定を保っているかを評価することを含み、ここで、前記試験試料と、より前の試料とのFRαのレベルの差が、癌が進行しているか、退行しているか、または安定を保っているか、の目安となる。その際、試験試料のFRαのレベルが、より前の試料について観察されたレベルに対して、上昇することは、FRαを発現する癌の進行を示すかも知れない。逆に、試験試料のFRαのレベルが、より前の試料について観察されたレベルに対して、減少することは、FRαを発現する癌の退行を示すかも知れない。したがって、より前の試料について観察されたレベルに対して、試験試料のFRαのレベルに有意な差がないことは、FRαを発現する癌について、安定の状態を示すかも知れない。いくつかの実施形態において、前記対象者に由来する試料におけるFRαのレベルは、前記試料を、本明細書に記載の抗体などの、FRαに結合する抗体に接触させることによって評価される。FRαの存在について評価する試料は、尿、血液、血清、血漿、唾液、腹水、循環細胞、循環癌細胞、組織に関連しない細胞(つまり、遊離細胞)、組織(たとえば、手術摘出癌組織、細針吸引生検を含む生検)、組織プレパラートなどに由来してよい。
いくつかの実施形態において、記載した方法は、対象者に由来する試験試料に存在する細胞または組織に関連するFRαのレベルを決定すること;および、観察されたFRαのレベルを、同様に、より前の時点に前記対象者から得た試料におけるFRαのレベルと比較することによって、FRαを発現する癌が進行しているか、退行しているか、または安定を保っているかを評価することを含み、ここで、試験試料と、より前の試料とのFRαのレベルの差が、癌が進行しているか、退行しているか、または安定を保っているか、の目安を提供する。その際、試験試料のFRαのレベルが、より前の試料について観察されたレベルに対して、上昇することは、FRαを発現する癌の進行を示すかも知れない。逆に、試験試料のFRαのレベルが、より前の試料について観察されたレベルに対して、減少することは、FRαを発現する癌の退行を示すかも知れない。したがって、より前の試料について観察されたレベルに対して、試験試料のFRαのレベルに有意な差がないことは、FRαを発現する癌について、安定の状態を示すかも知れない。いくつかの実施形態において、前記対象者に由来する試料におけるFRαのレベルは、前記試料を、本明細書に記載の抗体などの、FRαに結合する抗体に接触させることによって評価される。FRαの存在について評価する試料は、循環細胞、循環癌細胞、組織に関連しない細胞(つまり、遊離細胞)、組織(たとえば、手術摘出癌組織、細針吸引生検を含む生検)、組織プレパラートなどであってよい。
いくつかの実施形態において、記載した方法は、対象者に由来する試験試料に存在する細胞または組織に関連しないFRαのレベルを決定すること;および、観察されたFRαのレベルを、同様に、より前の時点に前記対象者から得た試料におけるFRαのレベルと比較することによって、FRαを発現する癌が進行しているか、退行しているか、または安定を保っているかを評価することを含み、ここで、試験試料と、より前の試料とのFRαのレベルの差が、癌が進行しているか、退行しているか、または安定を保っているか、の目安を提供する。その際、試験試料のFRαのレベルが、より前の試料について観察されたレベルに対して、上昇することは、FRαを発現する癌の進行を示すかも知れない。逆に、試験試料のFRαのレベルが、より前の試料について観察されたレベルに対して、減少することは、FRαを発現する癌の退行を示すかも知れない。したがって、より前の試料について観察されたレベルに対して、試験試料のFRαのレベルに有意な差がないことは、FRαを発現する癌について、安定の状態を示すかも知れない。いくつかの実施形態において、前記対象者に由来する試料におけるFRαのレベルは、前記試料を、本明細書に記載の抗体などの、FRαに結合する抗体に接触させることによって評価される。FRαの存在について評価する試料は、尿、血液、血清、血漿、唾液、腹水、組織プレパラートなどであってよい。
記載した方法の様々な実施形態において、前記癌は、FRαを発現する癌であってよい。特定の実施形態において、前記FRαを発現する癌は、卵巣癌である。いくつかの実施形態において、前記FRαを発現する癌は、子宮内膜癌である。いくつかの実施形態において、前記FRαを発現する癌は、結腸直腸癌である。いくつかの実施形態において、前記FRαを発現する癌は、乳癌である。いくつかの実施形態において、前記FRαを発現する癌は、甲状腺癌である。いくつかの実施形態において、前記FRαを発現する癌は、卵管癌である。他の実施形態において、前記FRαを発現する癌は、腺癌などの非小細胞肺癌である。
様々な側面において、FRαのレベルは、前記試料をFRαに結合する抗体またはその抗原結合フラグメントに接触させることによって、決定される。いくつかの実施形態において、前記試料は、FRαに結合する2種以上の抗体またはその抗原結合フラグメントに接触させてよい。いくつかの実施形態において、前記試料は、FRαに結合する第1の抗体またはその抗原結合フラグメントに接触させ、次いで、FRαに結合する第2の抗体またはその抗原結合フラグメントに接触させてよい。本明細書に記載のものなどの抗体を、このために使用してよい。たとえば、前記抗体は、
(a)抗体9F3、抗体19D4、抗体24F12、もしくは抗体26B3のいずれか1つと同じエピトープに結合する、抗体もしくはその抗原結合フラグメント;
(b)抗体9F3、抗体19D4、抗体24F12、もしくは抗体26B3のいずれか1つ、もしくはその抗原結合フラグメント;
(c)抗体9F3、抗体19D4、抗体24F12、もしくは抗体26B3のいずれか1つの、重鎖CDRもしくは軽鎖CDRを含む抗体もしくはその抗原結合フラグメント
で構成される群から選択される。
特定の実施形態において、FRαのレベルは、ウエスタンブロット分析、ラジオイムノアッセイ、免疫蛍光、免疫沈降、平衡透析、免疫拡散、電気化学発光(ECL)イムノアッセイ、免疫組織化学、蛍光活性化細胞分類(FACS)、またはELISAによって検出される。
要約した主題の追加の特徴は、発明の詳細な説明および提供した実施例ならびに関連する図面において、より詳しく説明する。
以下の説明は、FRαに特異的に結合する抗体およびその抗原結合フラグメントの特徴を、明らかにする。また、これらの抗体および抗原結合フラグメントをコードすることが可能な関連ポリヌクレオチド、前記抗体および抗原結合フラグメントを発現する細胞の他、関連ベクター、および、検出可能な抗体標識、を記述する。さらに、前記抗体および抗原結合フラグメントを使用する方法を記載する。たとえば、提供する抗体および抗原結合フラグメントは、卵巣癌、乳癌、甲状腺癌、結腸直腸癌、子宮内膜癌、卵管癌、もしくは肺癌を診断するため、卵巣癌、乳癌、甲状腺癌、結腸直腸癌、子宮内膜癌、卵管癌、もしくは肺癌の進行、退行、もしくは安定を監視するために、または、患者が癌の治療を受けるべきか否かを決定するため、もしくは、対象者が、FRαを発現する癌を患っており、したがって、FRα特異的抗癌療法での治療に適しているか否かを決定するために、使用してよい。
定義
説明の特徴に関連する様々な用語を、本明細書および特許請求の範囲の全体にわたって使用する。これらの用語は、他に示さない限り、当技術分野におけるそれらの普通の意味を有する。他の特別に定義する用語は、本明細書において提供する定義と整合するように、解釈すべきである。
本明細書および添付の特許請求の範囲において使用する単数形の「a」、「an」および「the」は、内容がそうではないと明確に述べていない限り、複数の指示対象も含む。したがって、たとえば、「細胞(a cell)」の表現は、2つ以上の細胞の組み合わせなどを含む。
本明細書において使用する「約」の用語は、量、期間などの測定可能な値を指すときは、特定された値からの±10%までの変動を含むことを意味し、これは、そのような変動が開示した方法を実施するのに適しているからである。他に示さない限り、本明細書および特許請求の範囲で使用する、含有物の量、分子量などの特性、反応条件などのすべての数字は、すべての例において、「約」という用語で修飾される、と理解すべきである。したがって、逆であると示されない限り、本明細書および添付の特許請求の範囲において示される数値パラメータは、本発明によって得ようとする所望の特性に基づいて変動し得る近似値である。最低限でも、また、特許請求の範囲への均等論の適用を制限しようとするのではなく、各数値パラメータは、少なくとも、記載した有効桁数に照らして、かつ、通常の四捨五入によって、解釈すべきである。
本発明の広い範囲を説明する数値範囲およびパラメータは近似値ではあるが、具体的な実施例において説明する数値は、可能な限り正確に記載する。ただし、いかなる数値も、それぞれの試験方法に見られる標準偏差に必然的に起因する何らかの誤差を、本来的に含む。
「単離」は、生物学的要素(核酸、ペプチドまたはタンパクなど)が、その要素が天然に生じる有機体の他の生物学的要素から、すなわち、染色体上および染色体外の他のDNAおよびRNAならびにタンパクから、実質的に分離され、離れて産生され、または、精製されることを意味する。「単離」されている核酸、ペプチドおよびタンパクは、したがって、標準の精製法によって精製された核酸およびタンパクを含む。「単離」された核酸、ペプチドおよびタンパクは、組成物の一部となり得、そのような組成物が、その核酸、ペプチドまたはタンパクの天然環境の一部でない場合、依然として単離されたままであり得る。この用語は、また、ホスト細胞における遺伝子組み換え発現によって調製された核酸、ペプチドおよびタンパク、ならびに、化学的に合成された核酸も包含する。
同義的に「核酸分子」または「核酸」とも呼ばれる「ポリヌクレオチド」は、あらゆるポリリボヌクレオチドまたはポリデオキシヌクレオチドを指し、これらは、非修飾のRNAもしくはDNAまたは修飾したRNAもしくはDNAであってよい。「ポリヌクレオチド」には、一本鎖および二本鎖のDNA、一本鎖領域と二本鎖領域とが混在するDNA、一本鎖および二本鎖のRNA、一本鎖領域と二本鎖領域とが混在するRNA、ならびに、一本鎖の、または、より一般には、二本鎖のもしくは一本鎖領域と二本鎖領域とが混在するDNAおよびRNAを含む混成分子、が含まれるが、これらに限られるわけではない。さらに、「ポリヌクレオチド」は、RNAもしくはDNAまたはRNAとDNAの両方を含む三本鎖領域を指す。ポリヌクレオチドの用語には、また、1つ以上の修飾塩基を含有するDNAまたはRNA、および、安定性その他の理由で修飾された骨格を有するDNAまたはRNAも含まれる。「修飾」塩基には、たとえば、トリチル化された塩基およびイノシンなどの、普通ではない塩基が含まれる。DNAおよびRNAには様々な修飾を施してよく、したがって、「ポリヌクレオチド」は、化学的、酵素的または代謝的に修飾されたポリヌクレオチドの、一般に天然に見られる型の他、ウイルスおよび細胞に特徴的なDNAおよびRNAの化学型、を包含する。「ポリヌクレオチド」は、また、しばしばオリゴヌクレオチドと呼ばれる、比較的短い核酸鎖も包含する。
「実質的に同じ」の意味は、その用語が使用される文脈に応じて、相違し得る。重鎖および軽鎖ならびにそれらをコードする遺伝子においては、天然配列の変動が存在し易いので、アミノ酸配列または本明細書に記載した抗体もしくは抗原結合フラグメントをコードする遺伝子に、それらの結合特性(たとえば、特異性および親和性)にほとんどあるいは全く影響することなく、ある程度の変動が生じることが予想されるであろう。このような予想は、部分的には遺伝子コードの縮退により、また、コードされるタンパクの性質を認め得るほどには変化させない、保存的なアミノ酸配列変動という進化の成功にもよる。したがって、核酸配列の文脈において、「実質的に同じ」は、2つ以上の配列間の、少なくとも65%の同一性を意味する。好ましくは、この用語は、2つ以上の配列間の、少なくとも70%の同一性、より好ましくは、少なくとも75%の同一性、より好ましくは、少なくとも80%の同一性、より好ましくは、少なくとも85%の同一性、より好ましくは、少なくとも90%の同一性、より好ましくは、少なくとも91%の同一性、より好ましくは、少なくとも92%の同一性、より好ましくは、少なくとも93%の同一性、より好ましくは、少なくとも94%の同一性、より好ましくは、少なくとも95%の同一性、より好ましくは、少なくとも96%の同一性、より好ましくは、少なくとも97%の同一性、より好ましくは、少なくとも98%の同一性、より好ましくは、少なくとも99%の同一性、または、より高い同一性を指す。このような同一性は、nBLASTアルゴリズム(Altschul et al.,(1990) Proc.Natl.Acad.Sci.USA 87:2264−8;Karlin and Altschul(1993)Proc.Natl.Acad.Sci.USA90:5873−7)を使用して決定することができる。
タンパクのアミノ酸配列において生じ得る、タンパク機能に大きく影響しない変動の程度は、核酸配列のそれよりもはるかに低く、これは、同じ縮退原理がアミノ酸配列には当てはまらないからである。したがって、抗体または抗原結合フラグメントの文脈において、「実質的に同じ」は、記載した抗体または抗原結合フラグメントに対する、90%,91%,92%,93%,94%,95%,96%,97%,98%,または99%の同一性を有する抗体または抗原結合フラグメントを意味する。他の実施形態は、本明細書に記載の抗体もしくは抗原結合フラグメントと有意な同一性を共有しない、骨格、骨組、もしくは他の非結合領域を有するが、結合を生じさせるために必要な、本明細書に記載のそのような配列に対して90%,91%,92%,93%,94%,95%,96%,97%,98%,もしくは99%の同一性を有する、1つ以上のCDRもしくは他の配列を取り込んでいるFRα特異的抗体または抗原結合フラグメントを含む。
「ベクター」は、他の核酸断片を操作可能に挿入して、その断片の複製または発現を生じさせることが可能な、プラスミド、ファージ、コスミドまたはウイルスなどのレプリコンである。
細胞は、外因性のまたは異種のDNAなどの核酸が、細胞内に導入されているときに、「形質転換」されている。形質転換DNAは、細胞のゲノムに統合(共有結合)されても、されなくてもよい。たとえば、原核生物、酵母および哺乳動物細胞において、形質転換DNAは、プラスミドなどのエピソーム要素上に保持されてよい。真核細胞に関しては、安定に形質転換された細胞すなわち「安定細胞」は、その形質転換DNAを含有する娘細胞の集団を含む細胞株、またはクローンを確立するその真核細胞の能力によって、証明される。「クローン」は、単一細胞または有糸分裂による、共通の祖先に由来する細胞の集団である。「細胞株」は、何代にもわたるインビトロでの安定した成長が可能な、初代細胞のクローンである。本明細書において提供するいくつかの実施形態において、細胞はDNAの遺伝子導入によって形質転換される。
「発現」または「産生」の用語は、本明細書において同義に使用され、遺伝子産物の生合成を指す。これらの用語は、RNAへの遺伝子の転写を包含する。これらの用語は、1つ以上のポリペプチドへのRNAの翻訳も包含し、さらに、天然に産する転写後または翻訳後の修飾も包含する。抗体またはその抗原結合フラグメントの発現または産生は、細胞の細胞質内において、または、細胞培養の成長培地などの細胞外環境に対して、なされてよい。
「処理」または「治療」の用語は、あらゆる客観的または主観的パラメータを含む、症状の軽減、緩和、減少などの、損傷、病状もしくは疾病の緩解もしくは改善のあらゆる成功または成功の証を指し、その疾病を患者にとって耐え易いものにすること、悪化もしくは減退の速度を遅くすること、悪化の終点をより消耗的でないものにすること、対象者の身体的もしくは精神的な幸福を改善すること、または、生存の期間を引き延ばすことを含む。治療は、身体的検査、神経学的検査、または精神医学的評価を含む客観的または主観的なパラメータによって、評価されてよい。
「抗体」は、別に指定しない限り、各アイソタイプの種々の単量体型または多量体型を含む、免疫グロブリンのすべてのアイソタイプ(IgG,IgA,IgE,IgM,IgD,およびIgY)を指す。
抗原結合フラグメントは、特定の抗原に結合親和性を示すかも知れない、あらゆるタンパク様構造である。いくつかの抗原結合フラグメントは、完全抗体の一部であって、親抗体分子の抗原結合特異性を維持する一部から成る。たとえば、抗原結合フラグメントは、少なくとも1つの可変領域(重鎖可変領域もしくは軽鎖可変領域のいずれか)、または、特定の抗原に結合することが知られている抗体の1つ以上のCDRを含んでよい。好適な抗原結合フラグメントの例には、二重特異性抗体および一本鎖分子の他に、Fab,F(ab’)2,Fc,Fabc,およびFv分子および一本鎖(Sc)抗体、個々の抗体軽鎖、個々の抗体重鎖、抗体鎖またはCDRと他のタンパクとのキメラ融合、タンパクの骨組、重鎖単量体または二量体、軽鎖単量体または二量体、1つの重鎖および1つの軽鎖で構成される二量体などが含まれるが、これらに限られるわけではない。すべての抗体アイソタイプは、抗原結合フラグメントを産生するために使用されてよい。さらに、抗原結合フラグメントは、注目の所与の抗原に対する親和性をもたらす向きで、ポリペプチド断片を首尾よく組み込むことが可能な非抗体タンパク様骨格、たとえば、タンパクの骨組、を含んでよい。抗原結合フラグメントは、遺伝子組み換えで生成してもよいし、完全抗体の酵素的または化学的な開裂によって生成してもよい。「抗体またはその抗原結合フラグメント」の表現は、所与の抗原結合フラグメントがその表現で述べる抗体の1つ以上のアミノ酸区分を組み込んでいることを表すために、使用されてよい。
抗体または抗体フラグメントに関連して用いるときの「特異的結合」は、免疫グロブリン遺伝子または免疫グロブリン遺伝子のフラグメントによってコードされるドメインを介した、注目のタンパクの1以上のエピトープへの結合を表すが、これは、抗原分子の混合群を含有する試料において他の分子を実質的に認識し結合する、ということではない。一般に、抗体は、表面プラズモン共鳴アッセイまたは細胞結合アッセイで測定して、約1x10−8M未満のKdで、同種抗原に結合する。
「対象者」の用語は、ヒト、ならびに、すべての脊椎動物、たとえば、非ヒト霊長類、マウス、ウサギ、ヒツジ、イヌ、ネコ、ウマ、ウシ、ニワトリ、両生類、爬虫類などの、哺乳類および非哺乳類を含む非ヒト動物を指す。記載した方法の多くの実施形態において、対象者はヒトである。
本明細書において使用する「葉酸受容体アルファ」(FRα、FRアルファ、FOLR−1またはFOLR1ともいう)の用語は、葉酸に対する高親和性受容体のアルファアイソフォームを指す。膜結合FRαは、グリコシルホスファチジルイノシトール(GPI)アンカーによって、細胞表面に付着する。可溶型のFRαは、膜固定葉酸受容体に対するプロテアーゼまたはホスホリパーゼの作用によってもたらされてよい。ヒトFRαのアミノ酸配列は、本明細書において、配列番号1として示される。変異体、たとえば、天然に産する対立遺伝子多型または少なくとも1つのアミノ酸置換を含有する配列は、本明細書において使用するこの用語に包含される。当技術分野における熟練者には理解されるように、ヒトFRαの細胞結合型および非細胞結合型は、配列番号1の変異型を包含してよい。
本明細書において使用する「試料」の用語は、対象者から分離した類似の液体、細胞または組織(たとえば、手術摘出した癌細胞、細針吸引生検を含む生検)の他、対象者内の液体、細胞または組織、の集合を指す。いくつかの実施形態において、試料は生体液である。生体液は、一般に生理的温度で液体であり、対象者に存在する、対象者から抜き取った、対象者から搾り出した、または他の方法で対象者から抽出した、天然液体を含んでよい。特定の組織、器官または局所領域に由来する一定の生体液、および他の生体液は、対象者または生物学的起源においてより全体的または全身的に位置してよい。生体液の例には、血液、血清および漿膜液、血漿、リンパ液、尿、唾液、嚢胞液、涙、糞便、痰、分泌性の組織または器官の粘膜分泌物、膣分泌物、非固形癌に関連するものなどの腹水、ならびに、気管支洗浄などによって採取される、胸膜、心膜、腹膜、腹部および他の体腔の液が、含まれる。
生体液には、また、対象者または生物学的起源に接触した溶液、たとえば、細胞または器官培養の培地、細胞または器官馴化培地、洗浄液など、も含まれてよい。本明細書において使用する「試料」の用語は、対象者から除去した物質、または対象者に存在する物質を包含する。
FRαを発現する癌の進行に関連して使用する「進行」の用語は、癌がより軽度の状態からより重度の状態に変化することを含む。これは、癌の数または重度、転移の程度、癌が成長するまたは広がる速度などの上昇を含み得る。たとえば、「卵巣癌の進行」は、そのような癌がより軽度の状態からより重度の状態に進行すること、たとえば、ステージIからステージIIへ、ステージIIからステージIIIへなどの進行、を含む。
FRαを発現する癌の退行に関連して使用する「退行」の用語は、癌がより重度の状態からより軽度の状態に変化することを含む。これは、癌の数または重度、転移の程度、癌が成長するまたは広がる速度などの低下を含み得る。たとえば、「卵巣癌の退行」は、そのような癌がより重度の状態からより軽度の状態に退行すること、たとえば、ステージIIIからステージIIへ、ステージIIからステージIへなどの退行、を含む。
FRαを発現する安定した癌に関連して使用する「安定」の用語は、臨床的に関連する期間にわたって、進行癌または退行癌と認定するに足るほど大きく変化しない、または変化しなかった病状を表すことを意図している。
本明細書において記載する実施形態は、当然ながら変動し得る、特定の方法、試薬、化合物、組成物または生物系に限定されない。
FRα特異的抗体および抗原結合フラグメント
本明細書では、単離モノクローナル抗体、および、FRαに特異的に結合する抗原結合フラグメントを記載する。抗体分子の一般的な構造は、重鎖および軽鎖を含む抗原結合ドメイン、ならびに、補体結合および抗体受容体との結合を含む様々な機能を奏するFcドメイン、を含む。
記載した抗体または抗原結合フラグメントには、すべてのアイソタイプ、IgA,IgD,IgE,IgGおよびIgM、ならびに、四本鎖免疫グロブリン構造の合成多量体が含まれる。記載した抗体または抗原結合フラグメントには、また、一般に雌ニワトリまたはシチメンチョウの血清および雌ニワトリまたはシチメンチョウの卵黄に見られる、IgYアイソタイプも含まれる。
実施例の欄に開示した抗体または抗原結合フラグメントは、マウス由来である。類似の抗体は、遺伝子組み換え手段によって得られる種に由来してもよい。たとえば、抗体または抗原結合フラグメントは、キメララット、ヤギ、ウマ、ブタ、ウシ、ニワトリ、ロバ、ヒトなどのものであってよい。ヒトへの投与で使用するために、非ヒト由来の抗体または抗原結合フラグメントは、ヒト患者への投与に際してより低抗原性になるように、遺伝子的または構造的に変えられてよい。
いくつかの実施形態において、抗体または抗原結合フラグメントは、キメラである。本明細書において使用される「キメラ」は、非ヒト哺乳類、齧歯類または爬虫類の抗体アミノ酸配列に由来する少なくとも1つの可変領域の少なくとも何らかの部分を有しながら、抗体またはその抗原結合フラグメントの残余の部分がヒトに由来する、抗体またはその抗原結合フラグメントを指す。たとえば、キメラ抗体は、ヒトFcを有するマウス抗原結合ドメイン、または他のそのような構造のドメインを含んでよい。
いくつかの実施形態において、抗体はヒト化抗体である。ヒト化抗体は、キメラ免疫グロブリン、免疫グロブリン鎖、または、非ヒト免疫グロブリンに由来する最小の配列を含有するそのフラグメント(たとえば、Fv,Fab,Fab’,F(ab’)2もしくは抗体の他の抗原結合サブ配列)であってよい。大部分については、ヒト化抗体は、受容側の相補性決定領域(CDR)に由来する残基が、所望の特異性、親和性および容量を有する、マウス、ラットまたはウサギなどの非ヒト種(供与側抗体)のCDRに由来する残基で置換された、ヒト免疫グロブリン(受容側抗体)である。一般に、ヒト化抗体は、CDR領域のすべてまたはほとんどすべてが非ヒト免疫グロブリンのものに相当し、フレームワーク領域のすべてまたはほとんどすべてがヒト免疫グロブリン配列のものである、少なくも1つの、そして一般には2つの、可変領域のほとんどすべてを含むであろう。ヒト化抗体は、免疫グロブリン定常領域(Fc)の少なくとも一部、通常は、ヒト免疫グロブリンの少なくとも一部、を含んでよい。
本明細書に記載する抗体または抗原結合フラグメントは、様々な形態で存在することができるが、表1に示した抗体可変領域区分またはCDRの1つ以上を含むであろう。表1に記載した抗体のアイソタイプは、保存された配列を有することが知られている各抗体の定常領域を記載するために、括弧内に示されている。
本明細書では、FRαに特異的に結合する単離抗体または抗原結合フラグメントを詳細に説明する。いくつかの実施形態において、抗体または抗原結合フラグメントは、マウスIgGまたはその誘導体である。抗体または抗原結合フラグメントは、ヒトの、ヒト化した、またはキメラのものであってよいが、本明細書において例示する抗体または抗原結合フラグメントはマウスのものである。いくつかの実施形態において、抗体または抗原結合フラグメントは、配列番号2と実質的に同じまたは同一の軽鎖CDR1アミノ酸配列を含んでよい。いくつかの実施形態において、抗体または抗原結合フラグメントは、配列番号3と実質的に同じまたは同一の軽鎖CDR2アミノ酸配列を含んでよい。いくつかの実施形態において、抗体または抗原結合フラグメントは、配列番号4と実質的に同じまたは同一の軽鎖CDR3アミノ酸配列を含んでよい。いくつかの実施形態において、抗体または抗原結合フラグメントは、配列番号6と実質的に同じまたは同一の重鎖CDR1アミノ酸配列を含んでよい。いくつかの実施形態において、抗体または抗原結合フラグメントは、配列番号7と実質的に同じまたは同一の重鎖CDR2アミノ酸配列を含んでよい。いくつかの実施形態において、抗体または抗原結合フラグメントは、配列番号8と実質的に同じまたは同一の重鎖CDR3アミノ酸配列を含んでよい。抗体または抗原結合フラグメントは、配列番号2と実質的に同じまたは同一の軽鎖CDR1アミノ酸配列、配列番号3と実質的に同じまたは同一のCDR2アミノ酸配列、および、配列番号4と実質的に同じまたは同一のCDR3アミノ酸配列を含んでよい。抗体または抗原結合フラグメントは、配列番号6と実質的に同じまたは同一のCDR1アミノ酸配列、配列番号7と実質的に同じまたは同一のCDR2アミノ酸配列、および、配列番号8と実質的に同じまたは同一のCDR3アミノ酸配列を有する重鎖を含んでよい。抗体または抗原結合フラグメントは、配列番号2と実質的に同じまたは同一のCDR1アミノ酸配列、配列番号3と実質的に同じまたは同一のCDR2アミノ酸配列、および、配列番号4と実質的に同じまたは同一のCDR3アミノ酸配列を有する軽鎖、ならびに、さらに、配列番号6と実質的に同じまたは同一のCDR1アミノ酸配列、配列番号7と実質的に同じまたは同一のCDR2アミノ酸配列、および、配列番号8と実質的に同じまたは同一のCDR3アミノ酸配列を有する重鎖を含んでよい。
記載した抗体または抗原結合フラグメントは、配列番号5と実質的に同じまたは同一のアミノ酸配列を含む軽鎖可変領域を含んでよい。いくつかの実施形態において、配列番号37と実質的に同じまたは同一の配列を含む単離ポリヌクレオチドが、この軽鎖可変領域アミノ酸配列をコードしてよい。記載した抗体または抗原結合フラグメントは、配列番号9と実質的に同じまたは同一のアミノ酸配列を含む重鎖可変領域を含んでよい。いくつかの実施形態において、配列番号41と実質的に同じまたは同一の配列を含む単離ポリヌクレオチドが、この重鎖可変領域アミノ酸配列をコードしてよい。記載した抗体または抗原結合フラグメントは、配列番号5と実質的に同じまたは同一のアミノ酸配列を含む軽鎖可変領域、および、配列番号9と実質的に同じまたは同一のアミノ酸配列を含む重鎖可変領域を含んでよい。
いくつかの実施形態において、抗体は、2011年5月19日にアメリカン・タイプ・カルチャー・コレクション(10801 University Blvd. Manassas,Virginia 20110−2209)に寄託され、PTA−11887の受託番号を割り当てられた抗体産生細胞によって産生される。いくつかの実施形態において、前記抗体またはその抗原結合フラグメントは、前記寄託された抗体産生細胞によって産生される抗体のFRαに結合親和性を有する。いくつかの実施形態において、開示した抗体またはその抗原結合フラグメントは、前記寄託された抗体産生細胞によって産生される抗体の軽鎖CDRおよび重鎖CDRを含む。いくつかの実施形態において、前記抗体またはその抗原結合フラグメントは、前記寄託された抗体産生細胞によって産生される抗体の軽鎖可変領域および重鎖可変領域を含む。
FRαに特異的に結合する抗体または抗原結合フラグメントをコードする単離ポリヌクレオチドも開示する。いくつかの実施形態において、前記単離ポリヌクレオチドは、配列番号2と実質的に同じまたは同一の軽鎖CDR1配列を有する抗体またはその抗原結合フラグメントをコードし、たとえば配列番号34を含む。いくつかの実施形態において、前記単離ポリヌクレオチドは、配列番号3と実質的に同じまたは同一の軽鎖CDR2を有する抗体またはその抗原結合フラグメントをコードし、たとえば配列番号35を含む。いくつかの実施形態において、前記単離ポリヌクレオチドは、配列番号4と実質的に同じまたは同一の軽鎖CDR3を有する抗体またはその抗原結合フラグメントをコードし、たとえば配列番号36を含む。いくつかの実施形態において、前記単離ポリヌクレオチドは、配列番号6と実質的に同じまたは同一の重鎖CDR1を有する抗体またはその抗原結合フラグメントをコードし、たとえば配列番号38を含む。いくつかの実施形態において、前記単離ポリヌクレオチドは、配列番号7と実質的に同じまたは同一の重鎖CDR2を有する抗体またはその抗原結合フラグメントをコードし、たとえば配列番号39を含む。いくつかの実施形態において、前記単離ポリヌクレオチドは、配列番号8と実質的に同じまたは同一の重鎖CDR3を有する抗体またはその抗原結合フラグメントをコードし、たとえば配列番号40を含む。前記単離ポリヌクレオチドは、配列番号2と実質的に同じまたは同一のCDR1、配列番号3と実質的に同じまたは同一のCDR2、および、配列番号4と実質的に同じまたは同一のCDR3、を有する軽鎖を有する抗体またはその抗原結合フラグメントをコードしてよく、たとえば配列番号34、たとえば配列番号35、および、たとえば配列番号36を含む。前記単離ポリヌクレオチドは、配列番号6と実質的に同じまたは同一の重鎖CDR1、配列番号7と実質的に同じまたは同一のCDR2、および、配列番号8と実質的に同じまたは同一のCDR3、を有する抗体またはその抗原結合フラグメントをコードしてよく、たとえば配列番号38、たとえば配列番号39、および、たとえば配列番号40を含む。前記単離ポリヌクレオチドは、配列番号2と実質的に同じまたは同一の軽鎖CDR1、ヌクレオチド配列によるコーディングが配列番号3と実質的に同じまたは同一のCDR2、および、ヌクレオチド配列によるコーディングが配列番号4と実質的に同じまたは同一のCDR3、ならびに、配列番号6と実質的に同じまたは同一の重鎖CDR1、配列番号7と実質的に同じまたは同一のCDR2、および、配列番号8と実質的に同じまたは同一のCDR3、を有する抗体またはその抗原結合フラグメントをコードしてよく、たとえば配列番号34、たとえば配列番号35、および、たとえば配列番号36、ならびに、たとえば配列番号38、たとえば配列番号39、および、たとえば配列番号40を含む。CDRの抗原結合配置は、また、抗体様タンパクをCDRの骨組として使用して設計してもよい。このように設計された抗原結合タンパクは、本開示の範囲内である。
本明細書において記載したポリヌクレオチドは、配列番号5と実質的に同じまたは同一のアミノ酸配列を含む軽鎖可変領域区分を有する抗体または抗原結合フラグメントをコードしてよく、たとえば配列番号37を含む。いくつかの実施形態において、記載した単離ポリヌクレオチドは、配列番号9と実質的に同じまたは同一のアミノ酸配列を含む重鎖可変領域区分を有する抗体または抗原結合フラグメントをコードしてよく、たとえば配列番号41を含む。いくつかの実施形態において、記載した単離ポリヌクレオチドは、配列番号5と実質的に同じまたは同一のアミノ酸配列を含む軽鎖可変領域区分、および、配列番号9と実質的に同じまたは同一のアミノ酸配列を含む重鎖可変領域区分、を有する抗体または抗原結合フラグメントをコードしてよく、たとえば配列番号37、および、たとえば配列番号41を含む。本明細書において提供する可変領域区分をコードすることが可能な前記単離ポリヌクレオチドは、抗体または抗原結合フラグメントを産生するために、同じまたは異なるベクターに含まれてよい。
本明細書では、FRαに特異的に結合する単離抗体または抗原結合フラグメントを記載する。いくつかの実施形態において、抗体または抗原結合フラグメントは、マウスIgGまたはその誘導体である。抗体または抗原結合フラグメントは、ヒトの、ヒト化した、またはキメラのものであってよいが、本明細書において例示する抗体または抗原結合フラグメントはマウスのものである。いくつかの実施形態において、抗体または抗原結合フラグメントは、配列番号10と実質的に同じまたは同一の軽鎖CDR1アミノ酸配列を含んでよい。いくつかの実施形態において、抗体または抗原結合フラグメントは、配列番号11と実質的に同じまたは同一の軽鎖CDR2アミノ酸配列を含んでよい。いくつかの実施形態において、抗体または抗原結合フラグメントは、配列番号12と実質的に同じまたは同一の軽鎖CDR3アミノ酸配列を含んでよい。いくつかの実施形態において、抗体または抗原結合フラグメントは、配列番号14と実質的に同じまたは同一の重鎖CDR1アミノ酸配列を含んでよい。いくつかの実施形態において、抗体または抗原結合フラグメントは、配列番号15と実質的に同じまたは同一の重鎖CDR2アミノ酸配列を含んでよい。いくつかの実施形態において、抗体または抗原結合フラグメントは、配列番号16と実質的に同じまたは同一の重鎖CDR3アミノ酸配列を含んでよい。抗体または抗原結合フラグメントは、配列番号10と実質的に同じまたは同一のCDR1アミノ酸配列、配列番号11と実質的に同じまたは同一のCDR2アミノ酸配列、および、配列番号12と実質的に同じまたは同一のCDR3アミノ酸配列を有する軽鎖を含んでよい。抗体または抗原結合フラグメントは、配列番号14と実質的に同じまたは同一のCDR1アミノ酸配列、配列番号15と実質的に同じまたは同一のCDR2アミノ酸配列、および、配列番号16と実質的に同じまたは同一のCDR3アミノ酸配列を有する重鎖を含んでよい。抗体または抗原結合フラグメントは、配列番号10と実質的に同じまたは同一のCDR1アミノ酸配列、配列番号11と実質的に同じまたは同一のCDR2アミノ酸配列、および、配列番号12と実質的に同じまたは同一のCDR3アミノ酸配列を有する軽鎖、ならびに、さらに、配列番号14と実質的に同じまたは同一のCDR1アミノ酸配列、配列番号15と実質的に同じまたは同一のCDR2アミノ酸配列、および、配列番号16と実質的に同じまたは同一のCDR3アミノ酸配列を有する重鎖を含んでよい。
記載した抗体または抗原結合フラグメントは、配列番号13と実質的に同じまたは同一のアミノ酸配列を含む軽鎖可変領域を含んでよい。いくつかの実施形態において、配列番号45と実質的に同じまたは同一の配列を含む単離ポリヌクレオチドが、この軽鎖可変領域アミノ酸配列をコードしてよい。記載した抗体または抗原結合フラグメントは、配列番号17と実質的に同じまたは同一のアミノ酸配列を含む重鎖可変領域を含んでよい。いくつかの実施形態において、配列番号49と実質的に同じまたは同一の配列を含む単離ポリヌクレオチドが、この重鎖可変領域アミノ酸配列をコードしてよい。記載した抗体または抗原結合フラグメントは、配列番号13と実質的に同じまたは同一のアミノ酸配列を含む軽鎖可変領域、および、配列番号17と実質的に同じまたは同一のアミノ酸配列を含む重鎖可変領域を含んでよい。
いくつかの実施形態において、抗体は、2011年5月19日にアメリカン・タイプ・カルチャー・コレクション(10801 University Blvd. Manassas,Virginia 20110−2209)に寄託され、PTA−11884の受託番号を割り当てられた抗体産生細胞によって産生される。いくつかの実施形態において、前記抗体またはその抗原結合フラグメントは、前記寄託された抗体産生細胞によって産生される抗体のFRαに結合親和性を有する。いくつかの実施形態において、開示した抗体またはその抗原結合フラグメントは、前記寄託された抗体産生細胞によって産生される抗体の軽鎖CDRおよび重鎖CDRを含む。いくつかの実施形態において、前記抗体またはその抗原結合フラグメントは、前記寄託された抗体産生細胞によって産生される抗体の軽鎖可変領域および重鎖可変領域を含む。
FRαに特異的に結合する抗体または抗原結合フラグメントをコードする単離ポリヌクレオチドも開示する。いくつかの実施形態において、前記単離ポリヌクレオチドは、配列番号10と実質的に同じまたは同一の軽鎖CDR1配列を有する抗体またはその抗原結合フラグメントをコードし、たとえば配列番号42を含む。いくつかの実施形態において、前記単離ポリヌクレオチドは、配列番号11と実質的に同じまたは同一の軽鎖CDR2を有する抗体またはその抗原結合フラグメントをコードし、たとえば配列番号43を含む。いくつかの実施形態において、前記単離ポリヌクレオチドは、配列番号12と実質的に同じまたは同一の軽鎖CDR3を有する抗体またはその抗原結合フラグメントをコードし、たとえば配列番号44を含む。いくつかの実施形態において、前記単離ポリヌクレオチドは、配列番号14と実質的に同じまたは同一の重鎖CDR1を有する抗体またはその抗原結合フラグメントをコードし、たとえば配列番号46を含む。いくつかの実施形態において、前記単離ポリヌクレオチドは、配列番号15と実質的に同じまたは同一の重鎖CDR2を有する抗体またはその抗原結合フラグメントをコードし、たとえば配列番号47を含む。いくつかの実施形態において、前記単離ポリヌクレオチドは、配列番号16と実質的に同じまたは同一の重鎖CDR3を有する抗体またはその抗原結合フラグメントをコードし、たとえば配列番号48を含む。前記ポリヌクレオチドは、配列番号10と実質的に同じまたは同一のCDR1、配列番号11と実質的に同じまたは同一のCDR2、および、配列番号12と実質的に同じまたは同一のCDR3、を有する軽鎖を有する抗体またはその抗原結合フラグメントをコードしてよく、たとえば配列番号42、たとえば配列番号43、および、たとえば配列番号44を含む。前記ポリヌクレオチドは、配列番号14と実質的に同じまたは同一の重鎖CDR1、配列番号15と実質的に同じまたは同一のCDR2、および、配列番号16と実質的に同じまたは同一のCDR3、を有する抗体またはその抗原結合フラグメントをコードしてよく、たとえば配列番号46、たとえば配列番号47、および、たとえば配列番号48を含む。前記ポリヌクレオチドは、配列番号10と実質的に同じまたは同一の軽鎖CDR1、ヌクレオチド配列によるコーディングが配列番号11と実質的に同じまたは同一のCDR2、および、ヌクレオチド配列によるコーディングが配列番号12と実質的に同じまたは同一のCDR3、ならびに、配列番号14と実質的に同じまたは同一の重鎖CDR1、配列番号15と実質的に同じまたは同一のCDR2、および、配列番号16と実質的に同じまたは同一のCDR3、を有する抗体またはその抗原結合フラグメントをコードしてよく、たとえば配列番号42、たとえば配列番号43、および、たとえば配列番号44、ならびに、たとえば配列番号46、たとえば配列番号47、および、たとえば配列番号48を含む。CDRの抗原結合配置は、また、抗体様タンパクをCDRの骨組として使用して設計してもよい。このように設計された抗原結合タンパクは、本開示の範囲内である。
本明細書に記載のポリヌクレオチドは、配列番号13と実質的に同じまたは同一のアミノ酸配列を含む軽鎖可変領域区分を有する抗体または抗原結合フラグメントをコードしてよく、たとえば配列番号45を含む。いくつかの実施形態において、記載したポリヌクレオチドは、配列番号17と実質的に同じまたは同一のアミノ酸配列を含む重鎖可変領域区分を有する抗体または抗原結合フラグメントをコードしてよく、たとえば配列番号49を含む。いくつかの実施形態において、記載したポリヌクレオチドは、配列番号13と実質的に同じまたは同一のアミノ酸配列を含む軽鎖可変領域区分、および、配列番号17と実質的に同じまたは同一のアミノ酸配列を含む重鎖可変領域区分、を有する抗体または抗原結合フラグメントをコードしてよく、たとえば配列番号45、および、たとえば配列番号49を含む。本明細書において提供する可変領域区分をコードすることが可能なポリヌクレオチドは、抗体または抗原結合フラグメントを産生するために、同じまたは異なるベクターに含まれてよい。
本明細書では、FRαに特異的に結合する単離抗体または抗原結合フラグメントを記載する。いくつかの実施形態において、抗体または抗原結合フラグメントは、マウスIgGまたはその誘導体である。抗体または抗原結合フラグメントは、ヒトの、ヒト化した、またはキメラのものであってよいが、本明細書において例示する抗体または抗原結合フラグメントはマウスのものである。いくつかの実施形態において、抗体または抗原結合フラグメントは、配列番号18と実質的に同じまたは同一の軽鎖CDR1アミノ酸配列を含んでよい。いくつかの実施形態において、抗体または抗原結合フラグメントは、配列番号19と実質的に同じまたは同一の軽鎖CDR2アミノ酸配列を含んでよい。いくつかの実施形態において、抗体または抗原結合フラグメントは、配列番号20と実質的に同じまたは同一の軽鎖CDR3アミノ酸配列を含んでよい。いくつかの実施形態において、抗体または抗原結合フラグメントは、配列番号22と実質的に同じまたは同一の重鎖CDR1アミノ酸配列を含んでよい。いくつかの実施形態において、抗体または抗原結合フラグメントは、配列番号23と実質的に同じまたは同一の重鎖CDR2アミノ酸配列を含んでよい。いくつかの実施形態において、抗体または抗原結合フラグメントは、配列番号24と実質的に同じまたは同一の重鎖CDR3アミノ酸配列を含んでよい。抗体または抗原結合フラグメントは、配列番号18と実質的に同じまたは同一のCDR1アミノ酸配列、配列番号19と実質的に同じまたは同一のCDR2アミノ酸配列、および、配列番号20と実質的に同じまたは同一のCDR3アミノ酸配列を有する軽鎖を含んでよい。抗体または抗原結合フラグメントは、配列番号22と実質的に同じまたは同一のCDR1アミノ酸配列、配列番号23と実質的に同じまたは同一のCDR2アミノ酸配列、および、配列番号24と実質的に同じまたは同一のCDR3アミノ酸配列を有する重鎖を含んでよい。抗体または抗原結合フラグメントは、配列番号18と実質的に同じまたは同一のCDR1アミノ酸配列、配列番号19と実質的に同じまたは同一のCDR2アミノ酸配列、および、配列番号20と実質的に同じまたは同一のCDR3アミノ酸配列を有する軽鎖、ならびに、さらに、配列番号22と実質的に同じまたは同一のCDR1アミノ酸配列、配列番号23と実質的に同じまたは同一のCDR2アミノ酸配列、および、配列番号24と実質的に同じまたは同一のCDR3アミノ酸配列を有する重鎖を含んでよい。
記載した抗体または抗原結合フラグメントは、配列番号21と実質的に同じまたは同一のアミノ酸配列を含む軽鎖可変領域を含んでよい。いくつかの実施形態において、配列番号53と実質的に同じまたは同一の配列を含む単離ポリヌクレオチドが、この軽鎖可変領域アミノ酸配列をコードしてよい。記載した抗体または抗原結合フラグメントは、配列番号25と実質的に同じまたは同一のアミノ酸配列を含む重鎖可変領域を含んでよい。いくつかの実施形態において、配列番号57と実質的に同じまたは同一の配列を含む単離ポリヌクレオチドが、この重鎖可変領域アミノ酸配列をコードしてよい。記載した抗体または抗原結合フラグメントは、配列番号21と実質的に同じまたは同一のアミノ酸配列を含む軽鎖可変領域、および、配列番号25と実質的に同じまたは同一のアミノ酸配列を含む重鎖可変領域を含んでよい。
いくつかの実施形態において、抗体は、2011年5月19日にアメリカン・タイプ・カルチャー・コレクション(10801 University Blvd. Manassas,Virginia 20110−2209)に寄託され、PTA−11886の受託番号を割り当てられた抗体産生細胞によって産生される。いくつかの実施形態において、前記抗体またはその抗原結合フラグメントは、前記寄託された抗体産生細胞によって産生される抗体のFRαに結合親和性を有する。いくつかの実施形態において、開示した抗体またはその抗原結合フラグメントは、前記寄託された抗体産生細胞によって産生される抗体の軽鎖CDRおよび重鎖CDRを含む。いくつかの実施形態において、前記抗体またはその抗原結合フラグメントは、前記寄託された抗体産生細胞によって産生される抗体の軽鎖可変領域および重鎖可変領域を含む。
FRαに特異的に結合する抗体または抗原結合フラグメントをコードするポリヌクレオチドも記載する。いくつかの実施形態において、前記単離ポリヌクレオチドは、配列番号18と実質的に同じまたは同一の軽鎖CDR1配列を有する抗体またはその抗原結合フラグメントをコードし、たとえば配列番号50を含む。いくつかの実施形態において、前記単離ポリヌクレオチドは、配列番号19と実質的に同じまたは同一の軽鎖CDR2を有する抗体またはその抗原結合フラグメントをコードし、たとえば配列番号51を含む。いくつかの実施形態において、前記単離ポリヌクレオチドは、配列番号20と実質的に同じまたは同一の軽鎖CDR3を有する抗体またはその抗原結合フラグメントをコードし、たとえば配列番号52を含む。いくつかの実施形態において、前記単離ポリヌクレオチドは、配列番号22と実質的に同じまたは同一の重鎖CDR1を有する抗体またはその抗原結合フラグメントをコードし、たとえば配列番号54を含む。いくつかの実施形態において、前記単離ポリヌクレオチドは、配列番号23と実質的に同じまたは同一の重鎖CDR2を有する抗体またはその抗原結合フラグメントをコードし、たとえば配列番号55を含む。いくつかの実施形態において、前記単離ポリヌクレオチドは、配列番号24と実質的に同じまたは同一の重鎖CDR3を有する抗体またはその抗原結合フラグメントをコードし、たとえば配列番号56を含む。前記ポリヌクレオチドは、配列番号18と実質的に同じまたは同一のCDR1、配列番号19と実質的に同じまたは同一のCDR2、および、配列番号20と実質的に同じまたは同一のCDR3、を有する軽鎖を有する抗体またはその抗原結合フラグメントをコードしてよく、たとえば配列番号50、たとえば配列番号51、および、たとえば配列番号52を含む。前記ポリヌクレオチドは、配列番号22と実質的に同じまたは同一の重鎖CDR1、配列番号23と実質的に同じまたは同一のCDR2、および、配列番号24と実質的に同じまたは同一のCDR3、を有する抗体またはその抗原結合フラグメントをコードしてよく、たとえば配列番号54、たとえば配列番号55、および、たとえば配列番号56を含む。前記ポリヌクレオチドは、配列番号18と実質的に同じまたは同一の軽鎖CDR1、ヌクレオチド配列によるコーディングが配列番号19と実質的に同じまたは同一のCDR2、および、ヌクレオチド配列によるコーディングが配列番号20と実質的に同じまたは同一のCDR3、ならびに、配列番号22と実質的に同じまたは同一の重鎖CDR1、配列番号23と実質的に同じまたは同一のCDR2、および、配列番号24と実質的に同じまたは同一のCDR3、を有する抗体またはその抗原結合フラグメントをコードしてよく、たとえば配列番号50、たとえば配列番号51、および、たとえば配列番号52、ならびに、たとえば配列番号54、たとえば配列番号55、および、たとえば配列番号56を含む。CDRの抗原結合配置は、また、抗体様タンパクをCDRの骨組として使用して設計してもよい。このように設計された抗原結合タンパクは、本開示の範囲内である。
本明細書に記載のポリヌクレオチドは、配列番号21と実質的に同じまたは同一のアミノ酸配列を含む軽鎖可変領域区分を有する抗体または抗原結合フラグメントをコードしてよく、たとえば配列番号53を含む。いくつかの実施形態において、記載したポリヌクレオチドは、配列番号25と実質的に同じまたは同一のアミノ酸配列を含む重鎖可変領域区分を有する抗体または抗原結合フラグメントをコードしてよく、たとえば配列番号57を含む。いくつかの実施形態において、記載したポリヌクレオチドは、配列番号21と実質的に同じまたは同一のアミノ酸配列を含む軽鎖可変領域区分、および、配列番号25と実質的に同じまたは同一のアミノ酸配列を含む重鎖可変領域区分、を有する抗体または抗原結合フラグメントをコードしてよく、たとえば配列番号53、および、たとえば配列番号57を含む。本明細書において提供する可変領域区分をコードすることが可能なポリヌクレオチドは、抗体または抗原結合フラグメントを産生するために、同じまたは異なるベクターに含まれてよい。
本明細書では、FRαに特異的に結合する単離抗体または抗原結合フラグメントを記載する。いくつかの実施形態において、抗体または抗原結合フラグメントは、マウスIgGまたはその誘導体である。抗体または抗原結合フラグメントは、ヒトの、ヒト化した、またはキメラのものであってよいが、本明細書において例示する抗体または抗原結合フラグメントはマウスのものである。いくつかの実施形態において、抗体または抗原結合フラグメントは、配列番号26と実質的に同じまたは同一の軽鎖CDR1アミノ酸配列を含んでよい。いくつかの実施形態において、抗体または抗原結合フラグメントは、配列番号27と実質的に同じまたは同一の軽鎖CDR2アミノ酸配列を含んでよい。いくつかの実施形態において、抗体または抗原結合フラグメントは、配列番号28と実質的に同じまたは同一の軽鎖CDR3アミノ酸配列を含んでよい。いくつかの実施形態において、抗体または抗原結合フラグメントは、配列番号30と実質的に同じまたは同一の重鎖CDR1アミノ酸配列を含んでよい。いくつかの実施形態において、抗体または抗原結合フラグメントは、配列番号31と実質的に同じまたは同一の重鎖CDR2アミノ酸配列を含んでよい。いくつかの実施形態において、抗体または抗原結合フラグメントは、配列番号32と実質的に同じまたは同一の重鎖CDR3アミノ酸配列を含んでよい。抗体または抗原結合フラグメントは、配列番号26と実質的に同じまたは同一のCDR1アミノ酸配列、配列番号27と実質的に同じまたは同一のCDR2アミノ酸配列、および、配列番号28と実質的に同じまたは同一のCDR3アミノ酸配列を有する軽鎖を含んでよい。抗体または抗原結合フラグメントは、配列番号30と実質的に同じまたは同一のCDR1アミノ酸配列、配列番号31と実質的に同じまたは同一のCDR2アミノ酸配列、および、配列番号32と実質的に同じまたは同一のCDR3アミノ酸配列を有する重鎖を含んでよい。抗体または抗原結合フラグメントは、配列番号26と実質的に同じまたは同一のCDR1アミノ酸配列、配列番号27と実質的に同じまたは同一のCDR2アミノ酸配列、および、配列番号28と実質的に同じまたは同一のCDR3アミノ酸配列を有する軽鎖、ならびに、さらに、配列番号30と実質的に同じまたは同一のCDR1アミノ酸配列、配列番号31と実質的に同じまたは同一のCDR2アミノ酸配列、および、配列番号32と実質的に同じまたは同一のCDR3アミノ酸配列を有する重鎖を含んでよい。
記載した抗体または抗原結合フラグメントは、配列番号29と実質的に同じまたは同一のアミノ酸配列を含む軽鎖可変領域を含んでよい。いくつかの実施形態において、配列番号61と実質的に同じまたは同一の配列を含む単離ポリヌクレオチドが、この軽鎖可変領域アミノ酸配列をコードしてよい。記載した抗体または抗原結合フラグメントは、配列番号33と実質的に同じまたは同一のアミノ酸配列を含む重鎖可変領域を含んでよい。いくつかの実施形態において、配列番号65と実質的に同じまたは同一の配列を含む単離ポリヌクレオチドが、この重鎖可変領域アミノ酸配列をコードしてよい。記載した抗体または抗原結合フラグメントは、配列番号29と実質的に同じまたは同一のアミノ酸配列を含む軽鎖可変領域、および、配列番号33と実質的に同じまたは同一のアミノ酸配列を含む重鎖可変領域を含んでよい。
いくつかの実施形態において、抗体は、2011年5月19日にアメリカン・タイプ・カルチャー・コレクション(10801 University Blvd. Manassas,Virginia 20110−2209)に寄託され、PTA−11885の受託番号を割り当てられた抗体産生細胞によって産生される。いくつかの実施形態において、前記抗体またはその抗原結合フラグメントは、前記寄託された抗体産生細胞によって産生される抗体のFRαに結合親和性を有する。いくつかの実施形態において、開示した抗体またはその抗原結合フラグメントは、前記寄託された抗体産生細胞によって産生される抗体の軽鎖CDRおよび重鎖CDRを含む。いくつかの実施形態において、前記抗体またはその抗原結合フラグメントは、前記寄託された抗体産生細胞によって産生される抗体の軽鎖可変領域および重鎖可変領域を含む。
FRαに特異的に結合する抗体または抗原結合フラグメントをコードするポリヌクレオチドも記載する。いくつかの実施形態において、前記単離ポリヌクレオチドは、配列番号26と実質的に同じまたは同一の軽鎖CDR1配列を有する抗体またはその抗原結合フラグメントをコードし、たとえば配列番号58を含む。いくつかの実施形態において、前記単離ポリヌクレオチドは、配列番号27と実質的に同じまたは同一の軽鎖CDR2を有する抗体またはその抗原結合フラグメントをコードし、たとえば配列番号59を含む。いくつかの実施形態において、前記単離ポリヌクレオチドは、配列番号28と実質的に同じまたは同一の軽鎖CDR3を有する抗体またはその抗原結合フラグメントをコードし、たとえば配列番号60を含む。いくつかの実施形態において、前記単離ポリヌクレオチドは、配列番号30と実質的に同じまたは同一の重鎖CDR1を有する抗体またはその抗原結合フラグメントをコードし、たとえば配列番号62を含む。いくつかの実施形態において、前記単離ポリヌクレオチドは、配列番号31と実質的に同じまたは同一の重鎖CDR2を有する抗体またはその抗原結合フラグメントをコードし、たとえば配列番号63を含む。いくつかの実施形態において、前記単離ポリヌクレオチドは、配列番号32と実質的に同じまたは同一の重鎖CDR3を有する抗体またはその抗原結合フラグメントをコードし、たとえば配列番号64を含む。前記ポリヌクレオチドは、配列番号26と実質的に同じまたは同一のCDR1、配列番号27と実質的に同じまたは同一のCDR2、および、配列番号28と実質的に同じまたは同一のCDR3、を有する軽鎖を有する抗体またはその抗原結合フラグメントをコードしてよく、たとえば配列番号58、たとえば配列番号59、および、たとえば配列番号60を含む。前記ポリヌクレオチドは、配列番号30と実質的に同じまたは同一の重鎖CDR1、配列番号31と実質的に同じまたは同一のCDR2、および、配列番号32と実質的に同じまたは同一のCDR3、を有する抗体またはその抗原結合フラグメントをコードしてよく、たとえば配列番号62、たとえば配列番号63、および、たとえば配列番号64を含む。前記ポリヌクレオチドは、配列番号26と実質的に同じまたは同一の軽鎖CDR1、ヌクレオチド配列によるコーディングが配列番号27と実質的に同じまたは同一のCDR2、および、ヌクレオチド配列によるコーディングが配列番号28と実質的に同じまたは同一のCDR3、ならびに、配列番号30と実質的に同じまたは同一の重鎖CDR1、配列番号31と実質的に同じまたは同一のCDR2、および、配列番号32と実質的に同じまたは同一のCDR3、を有する抗体またはその抗原結合フラグメントをコードしてよく、たとえば配列番号58、たとえば配列番号59、および、たとえば配列番号60、ならびに、たとえば配列番号62、たとえば配列番号63、および、たとえば配列番号64を含む。CDRの抗原結合配置は、また、抗体様タンパクをCDRの骨組として使用して設計してもよい。このように設計された抗原結合タンパクは、本開示の範囲内である。
本明細書に記載のポリヌクレオチドは、配列番号29と実質的に同じまたは同一のアミノ酸配列を含む軽鎖可変領域区分を有する抗体または抗原結合フラグメントをコードしてよく、たとえば配列番号61を含む。いくつかの実施形態において、記載したポリヌクレオチドは、配列番号33と実質的に同じまたは同一のアミノ酸配列を含む重鎖可変領域区分を有する抗体または抗原結合フラグメントをコードしてよく、たとえば配列番号65を含む。いくつかの実施形態において、記載したポリヌクレオチドは、配列番号29と実質的に同じまたは同一のアミノ酸配列を含む軽鎖可変領域区分、および、配列番号33と実質的に同じまたは同一のアミノ酸配列を含む重鎖可変領域区分、を有する抗体または抗原結合フラグメントをコードしてよく、たとえば配列番号61、および、たとえば配列番号65を含む。本明細書において提供する可変領域区分をコードすることが可能なポリヌクレオチドは、抗体または抗原結合フラグメントを産生するために、同じまたは異なるベクターに含まれてよい。
設計した抗原結合タンパクをコードするポリヌクレオチドも、本開示の範囲内である。いくつかの実施形態において、記載したポリヌクレオチド(および、それらがコードするペプチド)は、リーダー配列を含む。当技術分野において公知のあらゆるリーダー配列を採用してよい。リーダー配列は、制限部位または翻訳開始部位を含んでよいが、これらに限られない。
本明細書に記載の抗体または抗原結合フラグメントは、記載した抗体または抗原結合フラグメントの生物学的特性(たとえば、結合親和性または免疫エフェクター活性)を維持する、単数または複数のアミノ酸置換、削除または追加を有する変異体を含む。熟練者は、単数または複数のアミノ酸置換、削除または追加を有する変異体を生産するかも知れない。これらの変異体には、(a)1個以上のアミノ酸残基が、保存的または非保存的アミノ酸で置換された変異体、(b)1個以上のアミノ酸がペプチドに追加され、またはペプチドから削除された変異体、(c)1個以上のアミノ酸が置換基を含む変異体、および、(d)ポリペプチドが、たとえば、抗体へのエピトープ、ポリヒスチジン配列、ビオチン部位などの、そのペプチドに有用な特性をもたらす、融合相手、タンパクタグ、もしくは他の化学部位などの、他のペプチドまたはポリペプチドに融合した変異体、が含まれてよい。本明細書に記載した抗体または抗原結合フラグメントは、保存的位置または非保存的位置のいずれかにおいて、1つの種に由来するアミノ酸残基が他の種の対応残基に代わる変異体を含んでよい。他の実施形態において、非保存的位置のアミノ酸残基が保存的または非保存的残基で置換される。遺伝子的(抑圧、削除、変異など)、化学的、および酵素的な技術を含む、これらの変異体を得る技術は、当技術分野において通常の技術を有する者にとって公知である。
本明細書に記載の抗体または抗原結合フラグメントは、IgM,IgD,IgG,IgAおよびIgEなどの、他のいくつかの抗体アイソタイプを含んでよい。抗体またはその抗原結合フラグメントの特異性は、アミノ酸配列、およびCDRの配置によって大きく決定される。したがって、1つのアイソタイプのCDRは、抗原特異性を変化させることなく、他のアイソタイプに移転されてよい。これに代えて、抗原特異性を変化させることなく、ハイブリドーマを1つの抗体アイソタイプから他へと切り換える(同型転換)技術が確立されている。したがって、このような抗体アイソタイプは、記載した抗体または抗原結合フラグメントの範囲内である。
本明細書に記載の抗体または抗原結合フラグメントは、約1x10−8M未満の解離定数(KD)を含む、FRαに対する結合親和性(Mで表す)を有する。1つの実施形態において、抗体9F3は、FRαに、7.15x10−10Mの親和性を有する。1つの実施形態において、抗体19D4は、FRαに、5.67x10−10Mの親和性を有する。1つの実施形態において、抗体24F12は、FRαに、1.02x10−10Mの親和性を有する。1つの実施形態において、抗体26B3は、FRαに、2.73x10−11Mの親和性を有する。1つの実施形態において、抗体9F3は、FRαに、約6.5x10−10M〜約8x10−10Mの親和性を有する。1つの実施形態において、抗体19D4は、FRαに、約5x10−10M〜約6.5x10−10Mの親和性を有する。1つの実施形態において、抗体24F12は、FRαに、約0.5x10−10M〜約2x10−10Mの親和性を有する。1つの実施形態において、抗体26B3は、FRαに、約1x10−11M〜約3.5x10−11Mの親和性を有する。
本明細書に記載のポリヌクレオチドを含むベクターも提供される。前記ベクターは、発現ベクターであり得る。したがって、注目のポリペプチドをコードする配列を有する遺伝子組み換え発現ベクターは、本開示の範囲内であると考えられる。発現ベクターは、次のものに限定されないが、制御配列(たとえば、プロモーター、エンハンサー)、選択マーカー、ポリアデニル化シグナルなどの、1つ以上の追加の配列を含有してよい。多種多様なホスト細胞を形質転換するためのベクターが公知であり、これには、プラスミド、ファージミド、コスミド、バキュロウイルス、バクミド、細菌人工染色体(BAC)、酵母人工染色体(YAC)の他、細菌、酵母およびウイルスのベクターが含まれるが、これらに限られない。
本明細書記載の範囲内である遺伝子組み換え発現ベクターには、適する制御要素に操作可能に結合されてよい、少なくとも1つの遺伝子組み換えタンパクをコードする、合成の、ゲノムの、またはcDNA由来の核酸フラグメントが含まれる。このような制御要素には、転写プロモーター、適するmRNAリボソーム結合部位をコードする配列、ならびに、転写および翻訳を制御する配列が含まれてよい。発現ベクター、特に哺乳類の発現ベクターには、複製起点、発現させる遺伝子に結合した好適なプロモーターおよびエンハンサー、他の5’もしくは3’隣接非転写配列、5’もしくは3’非翻訳配列(必要なリボソーム結合部位など)、ポリアデニル化部位、スプライスドナーおよびアクセプター部位、または転写終結配列などの、1つ以上の非転写要素も含まれてよい。ホストに複製の能力をもたらす複製起点もまた、組み込まれてよい。
脊椎動物細胞の形質転換に使用される発現ベクターにおける転写および翻訳の制御配列は、ウイルス源によって提供されてよい。例示的ベクターは、Okayama and Berg,3 Mol.Cell.Biol.280(1983)に記載されているように、構築されてよい。
いくつかの実施形態において、抗体または抗原結合フラグメントをコードする配列は、次の遺伝子のプロモーターなどの、強力な構成的プロモーターの制御下に置かれる:ヒポキサンチンホスホリボシルトランスフェラーゼ(HPRT)、アデノシンデアミナーゼ、ピルビン酸キナーゼ、ベータアクチン、ヒトミオシン、ヒトヘモグロビン、ヒト筋クレアチンなど。さらに、多くのウイルスプロモーターが、真核細胞において構造的に機能し、記載した実施形態との使用に適している。このようなウイルスプロモーターには、限定するわけではないが、サイトメガロウイルス(CMV)前初期プロモーター、SV40の前期および後期プロモーター、マウス乳癌ウイルス(MMTV)プロモーター、モロニー白血病ウイルスの長い末端反復、ヒト免疫不全ウイルス(HIV)、エプスタイン・バー・ウイルス(EBV)、ラウス肉腫ウイルス(RSV)、および、他のレトロウイルス、ならびに、単純ヘルペスウイルスのチミジンキナーゼプロモーター、が含まれる。1つの実施形態において抗体またはその抗原結合フラグメントをコードする配列は、メタロチオネインプロモーター、テトラサイクリン誘導性プロモーター、ドキシサイクリン誘導性プロモーター、R 2’、5’−オリゴアデニル酸シンセターゼ、Mx遺伝子、ADARIなどの、1つ以上のインターフェロン刺激応答要素(ISRE)を含むプロモーターなどの、誘導性プロモーターの制御下に置かれる。
本明細書に記載したベクターは、1つ以上の配列内リボソーム進入部位(IRES)を含有してよい。融合ベクターへのIRES配列の含有は、いくつかのタンパクの発現を増進させるために有益であるかも知れない。いくつかの実施形態において、ベクターシステムは、前述の核酸配列のいずれかの上流または下流に位置してよい、1つ以上のポリアデニル化部位(たとえば、SV40)を含むであろう。ベクター成分は、遺伝子産物の発現に最適の間隔を提供する(つまり、ORF間の「スペーサ−」ヌクレオチドの導入による)態様で、連続的に連結または配列されて、または、別の様式で配置されてよい。IRESモチーフなどの調節要素も、また、発現に最適の間隔を提供するように配置されてよい。
前記ベクターは、当技術分野で周知の選択マーカーを含んでよい。選択マーカーには、ポジティブ選択マーカーおよびネガティブ選択マーカーが含まれ、たとえば、抗生物質抵抗性遺伝子(たとえば、ネオマイシン抵抗性遺伝子、ハイグロマイシン抵抗性遺伝子、カナマイシン抵抗性遺伝子、テトラサイクリン抵抗性遺伝子、ペニシリン抵抗性遺伝子)、グルタメートシンターゼ遺伝子、ガンシクロビル選択のためのHSV−TK,HSV−TK誘導体、または、6−メチルプリン選択のための細菌プリンヌクレオシドホスホリラーゼ遺伝子(Gadi et al.,7 Gene Ther.1738−1743(2000))がある。選択マーカーまたはクローニング部位をコードする核酸配列は、注目のポリペプチドまたはクローニング部位をコードする核酸配列の、上流または下流に位置してよい。
本明細書に記載のベクターは、記載した抗体または抗原結合フラグメントをコードする遺伝子で、種々の細胞を形質転換するのに使用されてよい。たとえば、ベクターは、抗体または抗原結合フラグメントを産生する細胞を生産するのに使用されてよい。したがって、他の側面は、本明細書で記載および例示した抗体または抗原結合フラグメントなどの、FRαに特異的に結合する抗体またはその抗原結合フラグメントをコードする、核酸配列を含むベクターで形質転換されたホスト細胞を、特徴とする。
外来遺伝子を細胞に導入する数多くの技術が、当技術分野において知られており、本明細書で記載および例示した様々な実施形態に従って、記載した方法を実施するための遺伝子組み換え細胞を構築するのに使用してよい。使用される技術は、異種遺伝子配列が子孫細胞により引き継ぎ可能かつ発現可能であり、受容細胞の必要な発育および生理的機能が妨害されないように、ホスト細胞への異種遺伝子配列の安定した導入を提供すべきである。使用されるかも知れない技術には、限定するわけではないが、染色体導入(たとえば、細胞融合、染色体媒介遺伝子導入、微小細胞媒介遺伝子導入)、物理的方法(たとえば、トランスフェクション、スフェロプラスト融合、マイクロインジェクション、エレクトロポレーション、リポソームキャリア)、ウイルスベクター導入(たとえば、遺伝子組み換えDNAウイルス、遺伝子組み換えRNAウイルス)など(Cline,29 Pharmac.Ther.69−92(1985)に記載)が含まれるが、これらに限られない。リン酸カルシウム沈降、および、細菌プロトプラストの哺乳類細胞でのポリエチレングリコール(PEG)誘導融合も、また、細胞を形質変換するのに使用してよい。
本明細書に記載した抗体または抗原結合フラグメントの発現に適する細胞は、好ましくは真核細胞、より好ましくは植物、齧歯類またはヒト起原の細胞であり、たとえば、とりわけ、NSO,CHO,CHOK1,perC.6,Tk−ts13,BHK,HEK293細胞,COS−7,T98G,CV−1/EBNA,L細胞,C127,3T3,HeLa,NS1,Sp2/0骨髄腫細胞,および、BHK細胞株、などであるが、これらに限られない。さらに、抗体の発現は、ハイブリドーマ細胞を用いて行ってもよい。ハイブリドーマを生産する方法は、当技術分野において確立されている。
本明細書に記載した発現ベクターで形質転換した細胞は、本明細書に記載した抗体または抗原結合フラグメントの遺伝子組み換え発現について、選択またはスクリーニングされてよい。遺伝子組み換え陽性細胞は、増殖され、高レベル発現、増強成長特性、または、たとえば、タンパク修飾もしくは変更した翻訳後修飾による、所望の生化学的特性を有するタンパクを産生する能力などの、所望の表現型を発現するサブクローンについて、スクリーニングされる。これらの表現型は、所与のサブクローンの本来的な特性によるかも知れず、あるいは、突然変異によるかも知れない。突然変異は、化学物質、UVの波長の光、放射、ウイルス、挿入突然変異原、DNA不整合修復の阻害、または、これらの方法の組み合わせ、によって達成することができる。
本明細書では、試料を本明細書に記載した抗体またはその抗原結合フラグメントに接触させることによって、試料中のFRαを検出する方法を提供する。本明細書に記載したように、試料は、尿、血液、血清、血漿、唾液、腹水、循環細胞、循環癌細胞、組織に関連しない細胞(つまり、遊離細胞)、組織(たとえば、手術摘出癌組織、細針吸引生検を含む生検)、組織プレパラートなどに由来してよい。いくつかの実施形態において、記載した方法は、試料を以下のものに接触させることによって、試料中のFRαを検出することを含む:
(a)抗体9F3、抗体19D4、抗体24F12、もしくは抗体26B3のいずれか1つと同じエピトープに結合する、抗体もしくはその抗原結合フラグメント;
(b)抗体9F3、抗体19D4、抗体24F12、もしくは抗体26B3のいずれか1つ、もしくはその抗原結合フラグメント;
(c)抗体9F3、抗体19D4、抗体24F12、もしくは抗体26B3のいずれか1つの、表1に記載の、重鎖CDR1、CDR2およびCDR3アミノ酸配列ならびに軽鎖CDR1、CDR2およびCDR3アミノ酸配列を含む、抗体もしくはその抗原結合フラグメント;
(d)抗体9F3、抗体19D4、抗体24F12、もしくは抗体26B3のいずれか1つの、表1に記載の、重鎖可変領域区分および軽鎖可変領域区分を含む、抗体もしくはその抗原結合フラグメント;または
(e)ATCCに寄託され、PTA−11887、PTA−11884、PTA−11886、もしくはPTA−11885の受託番号を有する細胞株のいずれか1つによって産生される抗体のアミノ酸配列を有する抗体、もしくはその抗原結合フラグメント。
いくつかの実施形態において、試料は本明細書に記載した1つ以上の抗体または抗原結合フラグメントに接触させてよい。たとえば、試料は、第1の抗体またはその抗原結合フラグメントに接触させ、その後、第2の抗体またはその抗原結合フラグメントに接触させてよく、ここで、第1の抗体または抗原結合フラグメントと、第2の抗体または抗原結合フラグメントは、同じ抗体または抗原結合フラグメントではない。いくつかの実施形態において、第1の抗体またはその抗原結合フラグメントは、試料に接触させる前に、マルチウェルプレート、クリップまたは類似の基板などの、表面に貼付してよい。他の実施形態において、第1の抗体またはその抗原結合フラグメントは、試料に接触させる前に、何物にも貼付または付着させなくてよい。
抗体またはその抗原結合フラグメントの種々の組み合わせを、試料中のFRαを検出するために使用してよい。1つの実施形態において、試料は、まず、抗体9F3の重鎖CDR1,CDR2およびCDR3アミノ酸配列ならびに軽鎖CDR1,CDR2およびCDR3アミノ酸配列(図1に示す)を含む、抗体またはその抗原結合フラグメントに接触させ、次いで、別個に、抗体19D4の重鎖CDR1,CDR2およびCDR3アミノ酸配列ならびに軽鎖CDR1,CDR2およびCDR3アミノ酸配列(図1に示す)を含む、第2の抗体またはその抗原結合フラグメントに接触させてよい。1つの実施形態において、試料は、まず、抗体9F3の重鎖CDR1,CDR2およびCDR3アミノ酸配列ならびに軽鎖CDR1,CDR2およびCDR3アミノ酸配列(図1に示す)を含む、抗体またはその抗原結合フラグメントに接触させ、次いで、別個に、抗体24F12の重鎖CDR1,CDR2およびCDR3アミノ酸配列ならびに軽鎖CDR1,CDR2およびCDR3アミノ酸配列(図1に示す)を含む、第2の抗体またはその抗原結合フラグメントに接触させてよい。1つの実施形態において、試料は、まず、抗体9F3の重鎖CDR1,CDR2およびCDR3アミノ酸配列ならびに軽鎖CDR1,CDR2およびCDR3アミノ酸配列(図1に示す)を含む、抗体またはその抗原結合フラグメントに接触させ、次いで、別個に、抗体26B3の重鎖CDR1,CDR2およびCDR3アミノ酸配列ならびに軽鎖CDR1,CDR2およびCDR3アミノ酸配列(図1に示す)を含む、第2の抗体またはその抗原結合フラグメントに接触させてよい。1つの実施形態において、試料は、まず、抗体19D4の重鎖CDR1,CDR2およびCDR3アミノ酸配列ならびに軽鎖CDR1,CDR2およびCDR3アミノ酸配列(図1に示す)を含む、抗体またはその抗原結合フラグメントに接触させ、次いで、別個に、抗体9F3の重鎖CDR1,CDR2およびCDR3アミノ酸配列ならびに軽鎖CDR1,CDR2およびCDR3アミノ酸配列(図1に示す)を含む、第2の抗体またはその抗原結合フラグメントに接触させてよい。1つの実施形態において、試料は、まず、抗体19D4の重鎖CDR1,CDR2およびCDR3アミノ酸配列ならびに軽鎖CDR1,CDR2およびCDR3アミノ酸配列(図1に示す)を含む、抗体またはその抗原結合フラグメントに接触させ、次いで、別個に、抗体24F12の重鎖CDR1,CDR2およびCDR3アミノ酸配列ならびに軽鎖CDR1,CDR2およびCDR3アミノ酸配列(図1に示す)を含む、第2の抗体またはその抗原結合フラグメントに接触させてよい。1つの実施形態において、試料は、まず、抗体19D4の重鎖CDR1,CDR2およびCDR3アミノ酸配列ならびに軽鎖CDR1,CDR2およびCDR3アミノ酸配列(図1に示す)を含む、抗体またはその抗原結合フラグメントに接触させ、次いで、別個に、抗体26B3の重鎖CDR1,CDR2およびCDR3アミノ酸配列ならびに軽鎖CDR1,CDR2およびCDR3アミノ酸配列(図1に示す)を含む、第2の抗体またはその抗原結合フラグメントに接触させてよい。1つの実施形態において、試料は、まず、抗体24F12の重鎖CDR1,CDR2およびCDR3アミノ酸配列ならびに軽鎖CDR1,CDR2およびCDR3アミノ酸配列(図1に示す)を含む、抗体またはその抗原結合フラグメントに接触させ、次いで、別個に、抗体9F3の重鎖CDR1,CDR2およびCDR3アミノ酸配列ならびに軽鎖CDR1,CDR2およびCDR3アミノ酸配列(図1に示す)を含む、第2の抗体またはその抗原結合フラグメントに接触させてよい。1つの実施形態において、試料は、まず、抗体24F12の重鎖CDR1,CDR2およびCDR3アミノ酸配列ならびに軽鎖CDR1,CDR2およびCDR3アミノ酸配列(図1に示す)を含む、抗体またはその抗原結合フラグメントに接触させ、次いで、別個に、抗体19D4の重鎖CDR1,CDR2およびCDR3アミノ酸配列ならびに軽鎖CDR1,CDR2およびCDR3アミノ酸配列(図1に示す)を含む、第2の抗体またはその抗原結合フラグメントに接触させてよい。1つの実施形態において、試料は、まず、抗体24F12の重鎖CDR1,CDR2およびCDR3アミノ酸配列ならびに軽鎖CDR1,CDR2およびCDR3アミノ酸配列(図1に示す)を含む、抗体またはその抗原結合フラグメントに接触させ、次いで、別個に、抗体26B3の重鎖CDR1,CDR2およびCDR3アミノ酸配列ならびに軽鎖CDR1,CDR2およびCDR3アミノ酸配列(図1に示す)を含む、第2の抗体またはその抗原結合フラグメントに接触させてよい。1つの実施形態において、試料は、まず、抗体26B3の重鎖CDR1,CDR2およびCDR3アミノ酸配列ならびに軽鎖CDR1,CDR2およびCDR3アミノ酸配列(図1に示す)を含む、抗体またはその抗原結合フラグメントに接触させ、次いで、別個に、抗体9F3の重鎖CDR1,CDR2およびCDR3アミノ酸配列ならびに軽鎖CDR1,CDR2およびCDR3アミノ酸配列(図1に示す)を含む、第2の抗体またはその抗原結合フラグメントに接触させてよい。1つの実施形態において、試料は、まず、抗体26B3の重鎖CDR1,CDR2およびCDR3アミノ酸配列ならびに軽鎖CDR1,CDR2およびCDR3アミノ酸配列(図1に示す)を含む、抗体またはその抗原結合フラグメントに接触させ、次いで、別個に、抗体24F12の重鎖CDR1,CDR2およびCDR3アミノ酸配列ならびに軽鎖CDR1,CDR2およびCDR3アミノ酸配列(図1に示す)を含む、第2の抗体またはその抗原結合フラグメントに接触させてよい。1つの実施形態において、試料は、まず、抗体26B3の重鎖CDR1,CDR2およびCDR3アミノ酸配列ならびに軽鎖CDR1,CDR2およびCDR3アミノ酸配列(図1に示す)を含む、抗体またはその抗原結合フラグメントに接触させ、次いで、別個に、抗体19D4の重鎖CDR1,CDR2およびCDR3アミノ酸配列ならびに軽鎖CDR1,CDR2およびCDR3アミノ酸配列(図1に示す)を含む、第2の抗体またはその抗原結合フラグメントに接触させてよい。1つの実施形態において、試料は、まず、抗体9F3の重鎖可変領域区分アミノ酸配列および軽鎖可変領域区分アミノ酸配列(図1に示す)を含む、抗体またはその抗原結合フラグメントに接触させ、次いで、別個に、抗体19D4の重鎖可変領域区分アミノ酸配列および軽鎖可変領域区分アミノ酸配列(図1に示す)を含む、第2の抗体またはその抗原結合フラグメントに接触させてよい。1つの実施形態において、試料は、まず、抗体9F3の重鎖可変領域区分アミノ酸配列および軽鎖可変領域区分アミノ酸配列(図1に示す)を含む、抗体またはその抗原結合フラグメントに接触させ、次いで、別個に、抗体24F12の重鎖可変領域区分アミノ酸配列および軽鎖可変領域区分アミノ酸配列(図1に示す)を含む、第2の抗体またはその抗原結合フラグメントに接触させてよい。1つの実施形態において、試料は、まず、抗体9F3の重鎖可変領域区分アミノ酸配列および軽鎖可変領域区分アミノ酸配列(図1に示す)を含む、抗体またはその抗原結合フラグメントに接触させ、次いで、別個に、抗体26B3の重鎖可変領域区分アミノ酸配列および軽鎖可変領域区分アミノ酸配列(図1に示す)を含む、第2の抗体またはその抗原結合フラグメントに接触させてよい。1つの実施形態において、試料は、まず、抗体19D4の重鎖可変領域区分アミノ酸配列および軽鎖可変領域区分アミノ酸配列(図1に示す)を含む、抗体またはその抗原結合フラグメントに接触させ、次いで、別個に、抗体9F3の重鎖可変領域区分アミノ酸配列および軽鎖可変領域区分アミノ酸配列(図1に示す)を含む、第2の抗体またはその抗原結合フラグメントに接触させてよい。1つの実施形態において、試料は、まず、抗体19D4の重鎖可変領域区分アミノ酸配列および軽鎖可変領域区分アミノ酸配列(図1に示す)を含む、抗体またはその抗原結合フラグメントに接触させ、次いで、別個に、抗体24F12の重鎖可変領域区分アミノ酸配列および軽鎖可変領域区分アミノ酸配列(図1に示す)を含む、第2の抗体またはその抗原結合フラグメントに接触させてよい。1つの実施形態において、試料は、まず、抗体19D4の重鎖可変領域区分アミノ酸配列および軽鎖可変領域区分アミノ酸配列(図1に示す)を含む、抗体またはその抗原結合フラグメントに接触させ、次いで、別個に、抗体26B3の重鎖可変領域区分アミノ酸配列および軽鎖可変領域区分アミノ酸配列(図1に示す)を含む、第2の抗体またはその抗原結合フラグメントに接触させてよい。1つの実施形態において、試料は、まず、抗体24F12の重鎖可変領域区分アミノ酸配列および軽鎖可変領域区分アミノ酸配列(図1に示す)を含む、抗体またはその抗原結合フラグメントに接触させ、次いで、別個に、抗体9F3の重鎖可変領域区分アミノ酸配列および軽鎖可変領域区分アミノ酸配列(図1に示す)を含む、第2の抗体またはその抗原結合フラグメントに接触させてよい。1つの実施形態において、試料は、まず、抗体24F12の重鎖可変領域区分アミノ酸配列および軽鎖可変領域区分アミノ酸配列(図1に示す)を含む、抗体またはその抗原結合フラグメントに接触させ、次いで、別個に、抗体19D4の重鎖可変領域区分アミノ酸配列および軽鎖可変領域区分アミノ酸配列(図1に示す)を含む、第2の抗体またはその抗原結合フラグメントに接触させてよい。1つの実施形態において、試料は、まず、抗体24F12の重鎖可変領域区分アミノ酸配列および軽鎖可変領域区分アミノ酸配列(図1に示す)を含む、抗体またはその抗原結合フラグメントに接触させ、次いで、別個に、抗体26B3の重鎖可変領域区分アミノ酸配列および軽鎖可変領域区分アミノ酸配列(図1に示す)を含む、第2の抗体またはその抗原結合フラグメントに接触させてよい。1つの実施形態において、試料は、まず、抗体26B3の重鎖可変領域区分アミノ酸配列および軽鎖可変領域区分アミノ酸配列(図1に示す)を含む、抗体またはその抗原結合フラグメントに接触させ、次いで、別個に、抗体9F3の重鎖可変領域区分アミノ酸配列および軽鎖可変領域区分アミノ酸配列(図1に示す)を含む、第2の抗体またはその抗原結合フラグメントに接触させてよい。1つの実施形態において、試料は、まず、抗体26B3の重鎖可変領域区分アミノ酸配列および軽鎖可変領域区分アミノ酸配列(図1に示す)を含む、抗体またはその抗原結合フラグメントに接触させ、次いで、別個に、抗体24F12の重鎖可変領域区分アミノ酸配列および軽鎖可変領域区分アミノ酸配列(図1に示す)を含む、第2の抗体またはその抗原結合フラグメントに接触させてよい。1つの実施形態において、試料は、まず、抗体26B3の重鎖可変領域区分アミノ酸配列および軽鎖可変領域区分アミノ酸配列(図1に示す)を含む、抗体またはその抗原結合フラグメントに接触させ、次いで、別個に、抗体19D4の重鎖可変領域区分アミノ酸配列および軽鎖可変領域区分アミノ酸配列(図1に示す)を含む、第2の抗体またはその抗原結合フラグメントに接触させてよい。1つの実施形態において、試料は、まず、ATCC受託番号PTA−11887を有する細胞株によって産生される、抗体またはその抗原結合フラグメントに接触させ、次いで、別個に、ATCC受託番号PTA−11884を有する細胞株によって産生される、第2の抗体またはその抗原結合フラグメントに接触させてよい。1つの実施形態において、試料は、まず、ATCC受託番号PTA−11887を有する細胞株によって産生される、抗体またはその抗原結合フラグメントに接触させ、次いで、別個に、ATCC受託番号PTA−11885を有する細胞株によって産生される、第2の抗体またはその抗原結合フラグメントに接触させてよい。1つの実施形態において、試料は、まず、ATCC受
託番号PTA−11887を有する細胞株によって産生される、抗体またはその抗原結合フラグメントに接触させ、次いで、別個に、ATCC受託番号PTA−11886を有する細胞株によって産生される、第2の抗体またはその抗原結合フラグメントに接触させてよい。1つの実施形態において、試料は、まず、ATCC受託番号PTA−11884を有する細胞株によって産生される、抗体またはその抗原結合フラグメントに接触させ、次いで、別個に、ATCC受託番号PTA−11887を有する細胞株によって産生される、第2の抗体またはその抗原結合フラグメントに接触させてよい。1つの実施形態において、試料は、まず、ATCC受託番号PTA−11884を有する細胞株によって産生される、抗体またはその抗原結合フラグメントに接触させ、次いで、別個に、ATCC受託番号PTA−11885を有する細胞株によって産生される、第2の抗体またはその抗原結合フラグメントに接触させてよい。1つの実施形態において、試料は、まず、ATCC受託番号PTA−11884を有する細胞株によって産生される、抗体またはその抗原結合フラグメントに接触させ、次いで、別個に、ATCC受託番号PTA−11886を有する細胞株によって産生される、第2の抗体またはその抗原結合フラグメントに接触させてよい。1つの実施形態において、試料は、まず、ATCC受託番号PTA−11885を有する細胞株によって産生される、抗体またはその抗原結合フラグメントに接触させ、次いで、別個に、ATCC受託番号PTA−11884を有する細胞株によって産生される、第2の抗体またはその抗原結合フラグメントに接触させてよい。1つの実施形態において、試料は、まず、ATCC受託番号PTA−11885を有する細胞株によって産生される、抗体またはその抗原結合フラグメントに接触させ、次いで、別個に、ATCC受託番号PTA−11887を有する細胞株によって産生される、第2の抗体またはその抗原結合フラグメントに接触させてよい。1つの実施形態において、試料は、まず、ATCC受託番号PTA−11885を有する細胞株によって産生される、抗体またはその抗原結合フラグメントに接触させ、次いで、別個に、ATCC受託番号PTA−11886を有する細胞株によって産生される、第2の抗体またはその抗原結合フラグメントに接触させてよい。1つの実施形態において、試料は、まず、ATCC受託番号PTA−11886を有する細胞株によって産生される、抗体またはその抗原結合フラグメントに接触させ、次いで、別個に、ATCC受託番号PTA−11884を有する細胞株によって産生される、第2の抗体またはその抗原結合フラグメントに接触させてよい。1つの実施形態において、試料は、まず、ATCC受託番号PTA−11886を有する細胞株によって産生される、抗体またはその抗原結合フラグメントに接触させ、次いで、別個に、ATCC受託番号PTA−11885を有する細胞株によって産生される、第2の抗体またはその抗原結合フラグメントに接触させてよい。1つの実施形態において、試料は、まず、ATCC受託番号PTA−11886を有する細胞株によって産生される、抗体またはその抗原結合フラグメントに接触させ、次いで、別個に、ATCC受託番号PTA−11887を有する細胞株によって産生される、第2の抗体またはその抗原結合フラグメントに接触させてよい。1つの実施形態において、試料は、まず、ATCC受託番号PTA−11887を有する細胞株によって産生される抗体と同じエピトープに結合することが可能な、抗体またはその抗原結合フラグメントに接触させ、次いで、別個に、ATCC受託番号PTA−11884を有する細胞株によって産生される抗体と同じエピトープに結合することが可能な、第2の抗体またはその抗原結合フラグメントに接触させてよい。1つの実施形態において、試料は、まず、ATCC受託番号PTA−11887を有する細胞株によって産生される抗体と同じエピトープに結合することが可能な、抗体またはその抗原結合フラグメントに接触させ、次いで、別個に、ATCC受託番号PTA−11885を有する細胞株によって産生される抗体と同じエピトープに結合することが可能な、第2の抗体またはその抗原結合フラグメントに接触させてよい。1つの実施形態において、試料は、まず、ATCC受託番号PTA−11887を有する細胞株によって産生される抗体と同じエピトープに結合することが可能な、抗体またはその抗原結合フラグメントに接触させ、次いで、別個に、ATCC受託番号PTA−11886を有する細胞株によって産生される抗体と同じエピトープに結合することが可能な、第2の抗体またはその抗原結合フラグメントに接触させてよい。1つの実施形態において、試料は、まず、ATCC受託番号PTA−11884を有する細胞株によって産生される抗体と同じエピトープに結合することが可能な、抗体またはその抗原結合フラグメントに接触させ、次いで、別個に、ATCC受託番号PTA−11887を有する細胞株によって産生される抗体と同じエピトープに結合することが可能な、第2の抗体またはその抗原結合フラグメントに接触させてよい。1つの実施形態において、試料は、まず、ATCC受託番号PTA−11884を有する細胞株によって産生される抗体と同じエピトープに結合することが可能な、抗体またはその抗原結合フラグメントに接触させ、次いで、別個に、ATCC受託番号PTA−11885を有する細胞株によって産生される抗体と同じエピトープに結合することが可能な、第2の抗体またはその抗原結合フラグメントに接触させてよい。1つの実施形態において、試料は、まず、ATCC受託番号PTA−11884を有する細胞株によって産生される抗体と同じエピトープに結合することが可能な、抗体またはその抗原結合フラグメントに接触させ、次いで、別個に、ATCC受託番号PTA−11886を有する細胞株によって産生される抗体と同じエピトープに結合することが可能な、第2の抗体またはその抗原結合フラグメントに接触させてよい。1つの実施形態において、試料は、まず、ATCC受託番号PTA−11885を有する細胞株によって産生される抗体と同じエピトープに結合することが可能な、抗体またはその抗原結合フラグメントに接触させ、次いで、別個に、ATCC受託番号PTA−11884を有する細胞株によって産生される抗体と同じエピトープに結合することが可能な、第2の抗体またはその抗原結合フラグメントに接触させてよい。1つの実施形態において、試料は、まず、ATCC受託番号PTA−11885を有する細胞株によって産生される抗体と同じエピトープに結合することが可能な、抗体またはその抗原結合フラグメントに接触させ、次いで、別個に、ATCC受託番号PTA−11887を有する細胞株によって産生される抗体と同じエピトープに結合することが可能な、第2の抗体またはその抗原結合フラグメントに接触させてよい。1つの実施形態において、試料は、まず、ATCC受託番号PTA−11885を有する細胞株によって産生される抗体と同じエピトープに結合することが可能な、抗体またはその抗原結合フラグメントに接触させ、次いで、別個に、ATCC受託番号PTA−11886を有する細胞株によって産生される抗体と同じエピトープに結合することが可能な、第2の抗体またはその抗原結合フラグメントに接触させてよい。1つの実施形態において、試料は、まず、ATCC受託番号PTA−11886を有する細胞株によって産生される抗体と同じエピトープに結合することが可能な、抗体またはその抗原結合フラグメントに接触させ、次いで、別個に、ATCC受託番号PTA−11884を有する細胞株によって産生される抗体と同じエピトープに結合することが可能な、第2の抗体またはその抗原結合フラグメントに接触させてよい。1つの実施形態において、試料は、まず、ATCC受託番号PTA−11886を有する細胞株によって産生される抗体と同じエピトープに結合することが可能な、抗体またはその抗原結合フラグメントに接触させ、次いで、別個に、ATCC受託番号PTA−11885を有する細胞株によって産生される抗体と同じエピトープに結合することが可能な、第2の抗体またはその抗原結合フラグメントに接触させてよい。1つの実施形態において、試料は、まず、ATCC受託番号PTA−11886を有する細胞株によって産生される抗体と同じエピトープに結合することが可能な、抗体またはその抗原結合フラグメントに接触させ、次いで、別個に、ATCC受託番号PTA−11887を有する細胞株によって産生される抗体と同じエピトープに結合することが可能な、第2の抗体またはその抗原結合フラグメントに接触させてよい。
記載した抗体または抗原結合フラグメントは、検出可能に標識してよい。いくつかの実施形態において、標識した抗体または抗原結合フラグメントは、本明細書に記載した方法でFRαを検出するのを容易にするかも知れない。多くのこのような標識が、当技術分野における熟練者にはすぐに判る。たとえば、好適な標識には、放射性標識、蛍光標識(DyLight(登録商標)649など)、エピトープタグ、ビオチン、発色団標識、ECL標識、または酵素が含まれるが、これらに限られると理解すべきではない。より具体的には、記載した標識には、ルテニウム、111In−DOTA、111In−ジエチレントリアミン5酢酸(DTPA)、ホースラディッシュペルオキシダーゼ、アルカリ性ホスファターゼおよびベータガラクトシダーゼ、ポリヒスチジン(HISタグ)、アクリジン染料、シアニン染料、フルオロン染料、オキサジン染料、フェナントリジン染料、ローダミン染料、Alexafluor(登録商標)染料などが含まれる。
記載した抗体または抗原結合フラグメントは、試料中のFRαを検出する種々のアッセイで使用してよい。いくつかの好適なアッセイには、ウエスタンブロット分析、ラジオイムノアッセイ、免疫蛍光、免疫沈降、平衡透析、免疫拡散、電気化学発光(ECL)イムノアッセイ、免疫組織化学、蛍光活性化細胞分類(FACS)、またはELISAアッセイが含まれるが、これらに限られると理解すべきではない。
本明細書に記載したいくつかの実施形態において、対象者におけるFRαを発現する癌の検出は、対象者がFRαに向けられた治療剤で治療されてよいことを決定するために、使用してよい。いくつかの実施形態において、FRαに向けられた治療剤は、ファーレツズマブなどの抗体であってよい。
癌を診断する方法
本明細書では、対象者における上皮性起源の、卵巣癌、乳癌、甲状腺癌、結腸直腸癌、子宮内膜癌、卵管癌、または肺癌を診断する方法を提供する。いくつかの実施形態において、上述のように、組織学的試料、細針吸引生検試料、摘出癌組織、循環細胞、循環癌細胞などの試料中のFRαを検出することは、試料を取得した対象者における癌を診断する能力を提供する。いくつかの実施形態において、試料を採取した対象者が癌を有することが既に知られているかも知れないが、対象者が患っている癌の種類は未だ診断されていないかも知れず、または、予備的診断が不明瞭であるかも知れず、したがって、対象者から取得した試料におけるFRαを検出することは、癌の診断を可能とし、または明瞭化することを可能にする。
いくつかの実施形態において、記載した方法は、対象者に由来する試料に存在するFRαの量を決定し、観察されたFRαの量を対照試料中のFRαの量と比較することによって、対象者がFRαを発現する癌を患っているかを評価することを含み、ここで、対象者に由来する試料中のFRαの量と対照試料中のFRαの量との差が、対象者がFRαを発現する癌を患っていることの目安になる。いくつかの実施形態において、対象者に由来する試料中のFRαの量は、試料を、本明細書に記載した抗体などのFRαに結合する抗体に接触させることによって、評価される。対象者が高いFRα産生に関連しない癌を患っているかを決定するために、類似の方法を使用してもよい。FRαの存在について評価される試料は、尿、血液、血清、血漿、唾液、腹水、循環細胞、循環癌細胞、組織に関連しない細胞(つまり、遊離細胞)、組織(たとえば、手術摘出癌組織、細針吸引生検を含む生検)、組織プレパラートなどに由来してよい。いくつかの実施形態において、対象者はヒトである。
いくつかの実施形態において、FRαを発現する癌を診断する方法は、対象者の生体試料をFRαに特異的な抗体またはその抗原結合フラグメント(表1に示した抗体およびフラグメントに由来するものなど)に接触させ、抗体またはその抗原結合フラグメントが結合した試料中に存在するFRαの量を定量し、試料中に存在するFRαの量を既知の標準と比較し、対象者のFRαレベルが癌に関連するFRαのレベルの範囲に入るかを判断すること、を含むであろう。追加の実施形態において、診断方法には、癌に特異的な治療を施すまたは処方する追加の過程が続き得る。いくつかの実施形態において、癌に特異的な治療は、ファーレツズマブなどの、FRαを発現する癌に向けられるものでよい。
いくつかの実施形態において、記載した方法には、対象者に由来する試料に存在する細胞または組織に関連するFRαの量を決定し、観察されたFRαの量を対照試料中のFRαの量と比較することによって、対象者がFRαを発現する癌を患っているかを評価することを含み、ここで、対象者に由来する試料中のFRαの量と対照試料中のFRαの量との差が、対象者がFRαを発現する癌を患っていることの目安になる。
いくつかの実施形態において、対照試料は、FRαを発現する癌を患っていない対象者に由来してよい。いくつかの実施形態において、対照試料は、FRαを発現する癌を患っている対象者に由来してよい。対照試料がFRαを発現する癌を患っていない対象者に由来するいくつかの実施形態において、試料に存在するFRαの量が対照試料について観察される量に対して高いことが観察されるということは、評価される対象者がFRαを発現する癌を患っていることの目安になる。対照試料がFRαを発現する癌を患っていない対象者に由来するいくつかの実施形態において、試料に存在するFRαの量が対照試料について観察される量に対して低いまたは同程度であることが観察されるということは、評価される対象者がFRαを発現する癌を患っていないことの目安にとなる。対照試料がFRαを発現する癌を患っている対象者に由来するいくつかの実施形態において、試験試料に存在するFRαの量が対照試料について観察される量に対して同程度であることが観察されるということは、評価される対象者がFRαを発現する癌を患っていることの目安にとなる。対照試料がFRαを発現する癌を患っている対象者に由来するいくつかの実施形態において、試験試料に存在するFRαの量が対照試料について観察される量に対して低いことが観察されるということは、評価される対象者がFRαを発現する癌を患っていないことの目安になる。
いくつかの実施形態において、対象者に由来する試料におけるFRαの量は、試料を、本明細書に記載した抗体などの、FRαに結合する抗体に接触させることによって評価される。FRαの存在について評価される試料は、循環細胞、循環癌細胞、組織に関連しない細胞(つまり、遊離細胞)、組織(たとえば、手術摘出癌組織、細針吸引生検を含む生検)、組織プレパラートなどでよい。
いくつかの実施形態において、記載した方法は、対象者に由来する試料に存在する細胞または組織に関連しないFRαの量を決定し、観察されたFRαの量を対照試料中のFRαの量と比較することによって、対象者がFRαを発現する癌を患っているかを評価することを含み、ここで、対象者に由来する試料中のFRαの量と対照試料中のFRαの量との差が、対象者がFRαを発現する癌を患っていることの目安になる。いくつかの実施形態において、対象者に由来する試料に存在中のFRαの量は、試料を、本明細書に記載した抗体などの、FRαに結合する抗体に接触させることによって評価される。FRαの存在について評価される試料は、尿、血液、血清、血漿、唾液、腹水、組織プレパラートなどでよい。
記載した方法の様々な実施形態において、癌は、FRαを発現する癌であってよい。特定の実施形態において、FRαを発現する癌は、卵巣癌である。いくつかの実施形態において、FRαを発現する癌は、子宮内膜癌である。いくつかの実施形態において、FRαを発現する癌は、結腸直腸癌である。いくつかの実施形態において、FRαを発現する癌は、乳癌である。いくつかの実施形態において、FRαを発現する癌は、甲状腺癌である。いくつかの実施形態において、FRαを発現する癌は、卵管癌である。他の実施形態において、FRαを発現する癌は、腺癌などの非小細胞肺癌である。上記に代えて、記載した方法は、扁平上皮癌などの、FRαを発現しない癌を診断するために使用されてよい。
様々な側面において、FRαの量は、試料を、FRαに結合する抗体またはその抗原結合フラグメントに接触させることによって、決定される。いくつかの実施形態において、試料は、FRαに結合する2種以上の抗体またはその抗原結合フラグメントに接触させてよい。いくつかの実施形態において、試料は、FRαに結合する第1の抗体またはその抗原結合フラグメントに接触させ、次いで、FRαに結合する第2の抗体またはその抗原結合フラグメントに接触させてよい。本明細書に記載のものなどの抗体を、このために使用してよい。たとえば、抗体は、
(a)抗体9F3、抗体19D4、抗体24F12、もしくは抗体26B3のいずれか1つと同じエピトープに結合する、抗体もしくはその抗原結合フラグメント;
(b)抗体9F3、抗体19D4、抗体24F12、もしくは抗体26B3のいずれか1つ、もしくはその抗原結合フラグメント;
(c)抗体9F3、抗体19D4、抗体24F12、もしくは抗体26B3のいずれか1つの、表1に記載の、重鎖CDR1、CDR2およびCDR3アミノ酸配列ならびに軽鎖CDR1、CDR2およびCDR3アミノ酸配列を含む、抗体もしくはその抗原結合フラグメント;
(d)抗体9F3、抗体19D4、抗体24F12、もしくは抗体26B3のいずれか1つの、表1に記載の、重鎖可変領域区分および軽鎖可変領域区分を含む、抗体もしくはその抗原結合フラグメント;または
(e)ATCCに寄託され、PTA−11887、PTA−11884、PTA−11886、もしくはPTA−11885の受託番号を有する細胞株のいずれか1つによって産生される抗体のアミノ酸配列を有する抗体、もしくはその抗原結合フラグメント
で構成される群から選択される。
(a)〜(e)に記載した抗体または抗原結合フラグメントの様々な組み合わせは、検出方法を記載した総説部において詳述したように、記載した診断方法を実行するために、「第1」および「第2」の抗体または抗原結合フラグメントを提供するのに使用してよい。
一定の実施形態において、FRαの量は、ウエスタンブロット分析、ラジオイムノアッセイ、免疫蛍光、免疫沈降、平衡透析、免疫拡散、電気化学発光(ECL)イムノアッセイ、免疫組織化学、蛍光活性化細胞分類(FACS)、またはELISAアッセイ、によって決定される。
記載した診断方法の様々な実施形態において、対照試料が使用される。対照試料は、使用する方法が適切に機能することを確実にする、陽性または陰性の対照であってよく、たとえば、この種のアッセイ対照は、免疫組織化学アッセイに普通に使用されるかも知れない。これに代えて、対照試料は、健康な対象者におけるFRαの量の標準対照であってよい。いくつかの実施形態において、試験対象者の観察されたFRαレベルは、FRαを発現する癌を有することが知られている対照対象者に由来する試料において観察されたFRαレベルと比較してよい。いくつかの実施形態において、対照対象者のFRαを発現する癌は、腺癌などの、卵巣癌、子宮内膜癌、結腸直腸癌、乳癌、甲状腺癌、卵管癌、または肺癌である。いくつかの実施形態において、対照対象者は、ステージIの卵巣癌、子宮内膜癌、結腸直腸癌、乳癌、甲状腺癌、卵管癌、または肺癌(たとえば、腺癌)などの、FRαを発現する早期ステージの癌を有することが知られている。いくつかの実施形態において、対照対象者は、ステージIIの卵巣癌、子宮内膜癌、結腸直腸癌、乳癌、甲状腺癌、卵管癌、または肺癌(たとえば、腺癌)などの、FRαを発現する中期ステージの癌を有することが知られている。いくつかの実施形態において、対照対象者は、ステージIIIまたはステージIVの卵巣癌、子宮内膜癌、結腸直腸癌、乳癌、甲状腺癌、卵管癌、または肺癌(たとえば、腺癌)などの、FRαを発現する後期ステージの癌を有することが知られている。
本明細書で提供する診断方法は、また、対象者が診断後に5年生存する可能性が比較的高いか低かを予測することを可能にするかも知れない、基準も提供する。いくつかの実施形態において、記載した方法は、腺癌を有する対象者にとっての良好な転帰を予測するのに使用してよく、ここで、良好な転帰とは、5年生存率が高くなることであると定義される。本明細書で提供するデータが示すように、FRαを発現しないステージIまたはステージIIの腺癌を有すると判断された対象者は、FRαを発現するステージIまたはステージIIの腺癌を有すると判断された対象者よりも、2倍以上5年以内に死亡し易い。したがって、本明細書に記載した診断方法は、この知見と組み合わせて、癌を有すると判断された対象者の5年生存可能性を予測する方法を可能にしてよい。いくつかの実施形態において、この方法は、腺癌を有すると判断された対象者の5年生存可能性を予測するのに使用される。
いくつかの実施形態において、記載した診断方法は、対象者の生体試料を、FRαに特異的な抗体またはその抗原結合フラグメント(表1に示した抗体およびフラグメントに由来するものなど)に接触させ、抗体またはその抗原結合フラグメントが結合した試料中に存在するFRαの量を定量し、試料中に存在するFRαの量を既知の標準と比較し、対象者のFRαレベルがFRαを発現する癌の存在を示すかを決定し、これによって、癌であると診断された後に対象者が5年生存する可能性の予測を可能にすることを含む。いくつかの実施形態において、対象者は、腺癌を有することが知られており、または、腺癌を有すると判断されている。いくつかの実施形態において、対象者はヒトである。
癌を監視する方法
本明細書では、対象者における上皮性起源の癌を監視する方法を提供する。いくつかの実施形態において、記載した方法は、対象者に由来する試験試料に存在するFRαの量を決定し、観察されたFRαのレベルを、より前の時点に対象者から得た試料におけるFRαの量と比較することによって、FRαを発現する癌が進行しているか、退行しているか、または安定を保っているかを評価することを含み、ここで、試験試料と、より前の試料とのFRαの量の差が、癌が進行しているか、退行しているか、または安定を保っているか、の目安となる。その際、試験試料のFRαの量が、より前の試料について観察された量に対して、上昇することは、FRαを発現する癌の進行を示すかも知れない。逆に、試験試料のFRαの量が、より前の試料について観察された量に対して、減少することは、FRαを発現する癌の退行を示すかも知れない。したがって、より前の試料について観察された量に対して、試験試料のFRαの量に有意な差がないことは、FRαを発現する癌について、安定の状態を示すかも知れない。いくつかの実施形態において、対象者に由来する試料におけるFRαの量は、試料を、本明細書に記載した抗体などの、FRαに結合する抗体に接触させることによって評価される。FRαの存在について評価する試料は、尿、血液、血清、血漿、唾液、腹水、循環細胞、循環癌細胞、組織に関連しない細胞(つまり、遊離細胞)、組織(たとえば、手術摘出癌組織、細針吸引生検を含む生検)、組織プレパラートなどに由来してよい。いくつかの実施形態において、対象者はヒトである。
いくつかの実施形態において、FRαを発現する癌を監視する方法は、対象者の生体試料をFRαに特異的な抗体またはその抗原結合フラグメント(表1に示した抗体およびフラグメントに由来するものなど)に接触させ、抗体またはその抗原結合フラグメントが結合した試料中に存在するFRαの量を定量し、試料中に存在するFRαの量を、より前の時点の同じ対象者に由来する試料におけるFRαの量であると決定されたFRαの量と比較し、対象者のFRαレベルが経時的に変化しているかを判断すること、を含むであろう。試験試料のFRαの量が、より前の試料について観察された量に対して、上昇することは、FRαを発現する癌の進行を示すかも知れない。逆に、試験試料のFRαの量が、より前の試料について観察された量に対して、減少することは、FRαを発現する癌の退行を示すかも知れない。したがって、より前の試料について観察された量に対して、試験試料のFRαの量に有意な差がないことは、FRαを発現する癌について、安定の状態を示すかも知れない。いくつかの実施形態において、試料のFRαのレベルは、既知の標準のみと、または、既知の標準およびより前の時点に評価した試料について観察されたFRαのレベルと、比較してよい。いくつかの実施形態において、既知の標準は、既知の濃度のFRαタンパク(たとえば、遺伝子組み換えしたまたは精製したFRαタンパク試料)でよい。追加の実施形態において、診断方法には、癌に特異的な治療を施す追加の過程が続き得る。いくつかの実施形態において、癌に特異的な治療は、ファーレツズマブなどの、FRαを発現する癌に向けられるものでよい。
いくつかの実施形態において、記載した方法は、対象者に由来する試験試料に存在する細胞または組織に関連するFRαの量を決定し、観察されたFRαの量を、同様に、より前の時点に対象者から得た試料におけるFRαの量と比較することによって、FRαを発現する癌が、進行しているか、退行しているか、または安定を保っているかを評価することを含み、ここで、試験試料と、より前の試料とのFRαの量の差が、癌が進行しているか、退行しているか、または安定を保っているか、の目安を提供する。その際、試験試料のFRαの量が、より前の試料について観察された量に対して、上昇することは、FRαを発現する癌の進行を示すかも知れない。逆に、試験試料のFRαの量が、より前の試料について観察された量に対して、減少することは、FRαを発現する癌の退行を示すかも知れない。したがって、より前の試料について観察された量に対して、試験試料のFRαの量に有意な差がないことは、FRαを発現する癌について、安定の状態を示すかも知れない。いくつかの実施形態において、対象者に由来する試料におけるFRαの量は、試料を、本明細書に記載の抗体などの、FRαに結合する抗体に接触させることによって評価される。FRαの存在について評価する試料は、循環細胞、循環癌細胞、組織に関連しない細胞(つまり、遊離細胞)、組織(たとえば、手術摘出癌組織、細針吸引生検を含む生検)、組織プレパラートなどでよい。
いくつかの実施形態において、記載した方法は、対象者に由来する試料に存在する細胞または組織に関連しないFRαの量を決定し、観察されたFRαの量を、同様に、より前の時点に対象者から得た試料におけるFRαの量と比較することによって、FRαを発現する癌が、進行しているか、退行しているか、または安定を保っているかを評価することを含み、ここで、試験試料と、より前の試料とのFRαの量の差が、癌が進行しているか、退行しているか、または安定を保っているか、の目安を提供する。その際、試験試料のFRαの量が、より前の試料について観察された量に対して、上昇することは、FRαを発現する癌の進行を示すかも知れない。逆に、試験試料のFRαの量が、より前の試料について観察された量に対して、減少することは、FRαを発現する癌の退行を示すかも知れない。したがって、より前の試料について観察された量に対して、試験試料のFRαの量に有意な差がないことは、FRαを発現する癌について、安定の状態を示すかも知れない。いくつかの実施形態において、対象者に由来する試料におけるFRαの量は、試料を、本明細書に記載の抗体などの、FRαに結合する抗体に接触させることによって評価される。FRαの存在について評価する試料は、尿、血液、血清、血漿、唾液、腹水、組織プレパラートなどでよい。
記載した方法の様々な実施形態において、癌は、FRαを発現する癌であってよい。特定の実施形態において、FRαを発現する癌は、卵巣癌である。いくつかの実施形態において、FRαを発現する癌は、子宮内膜癌である。いくつかの実施形態において、FRαを発現する癌は、結腸直腸癌である。いくつかの実施形態において、FRαを発現する癌は、乳癌である。いくつかの実施形態において、FRαを発現する癌は、甲状腺癌である。いくつかの実施形態において、FRαを発現する癌は、卵管癌である。他の実施形態において、FRαを発現する癌は、腺癌などの非小細胞肺癌である。
様々な側面において、FRαの量は、試料を、FRαに結合する抗体またはその抗原結合フラグメントに接触させることによって、決定される。いくつかの実施形態において、試料は、FRαに結合する2種以上の抗体またはその抗原結合フラグメントに接触させてよい。いくつかの実施形態において、試料は、FRαに結合する第1の抗体またはその抗原結合フラグメントに接触させ、次いで、FRαに結合する第2の抗体またはその抗原結合フラグメントに接触させてよい。本明細書に記載のものなどの抗体を、このために使用してよい。たとえば、抗体は、
(a)抗体9F3、抗体19D4、抗体24F12、もしくは抗体26B3のいずれか1つと同じエピトープに結合する、抗体もしくはその抗原結合フラグメント;
(b)抗体9F3、抗体19D4、抗体24F12、もしくは抗体26B3のいずれか1つ、もしくはその抗原結合フラグメント;
(c)抗体9F3、抗体19D4、抗体24F12、もしくは抗体26B3のいずれか1つの、表1に記載の、重鎖CDR1、CDR2およびCDR3アミノ酸配列ならびに軽鎖CDR1、CDR2およびCDR3アミノ酸配列を含む、抗体もしくはその抗原結合フラグメント;
(d)抗体9F3、抗体19D4、抗体24F12、もしくは抗体26B3のいずれか1つの、表1に記載の、重鎖可変領域区分および軽鎖可変領域区分を含む、抗体ならびにその抗原結合フラグメント;または
(e)ATCCに寄託され、PTA−11887、PTA−11884、PTA−11886、もしくはPTA−11885の受託番号を有する細胞株のいずれか1つによって産生される抗体のアミノ酸配列を有する抗体、もしくはその抗原結合フラグメント
で構成される群から選択される。
(a)〜(e)に記載した抗体または抗原結合フラグメントの様々な組み合わせは、検出方法を記載した総説部において詳述したように、記載した監視方法を実行するために、「第1」および「第2」の抗体または抗原結合フラグメントを提供するのに使用してよい。
特定の実施形態において、FRαのレベルは、ウエスタンブロット分析、ラジオイムノアッセイ、免疫蛍光、免疫沈降、平衡透析、免疫拡散、電気化学発光(ECL)イムノアッセイ、免疫組織化学、蛍光活性化細胞分類(FACS)、またはELISAアッセイによって決定される。
要約した主題の追加の特徴は、発明の詳細な説明および提供した実施例ならびに関連する図面において、より詳しく説明する。
FRαを検出するためのキット
本明細書では、試料におけるFRαを検出するためのキットを提供する。これらのキットには、1つ以上の、本明細書に記載したFRαに特異的な抗体または抗原結合フラグメント、および、キットを使用するための指示が含まれる。いくつかの実施形態において、記載したキットで提供される抗体またはその抗原結合フラグメントは、
(a)抗体9F3、抗体19D4、抗体24F12、もしくは抗体26B3のいずれか1つと同じエピトープに結合する、抗体もしくはその抗原結合フラグメント;
(b)抗体9F3、抗体19D4、抗体24F12、もしくは抗体26B3のいずれか1つ、もしくはその抗原結合フラグメント;
(c)抗体9F3、抗体19D4、抗体24F12、もしくは抗体26B3のいずれか1つの、表1に記載の、重鎖CDR1、CDR2およびCDR3アミノ酸配列ならびに軽鎖CDR1、CDR2およびCDR3アミノ酸配列を含む、抗体もしくはその抗原結合フラグメント;
(d)抗体9F3、抗体19D4、抗体24F12、もしくは抗体26B3のいずれか1つの、表1に記載の、重鎖可変領域区分および軽鎖可変領域区分を含む、抗体ならびにその抗原結合フラグメント;または
(e)ATCCに寄託され、PTA−11887、PTA−11884、PTA−11886、もしくはPTA−11885の受託番号を有する細胞株のいずれか1つによって産生される抗体のアミノ酸配列を有する抗体、もしくはその抗原結合フラグメント
の1つ以上であってよい。
提供される抗体または抗原結合フラグメントは、溶液;凍結乾燥;基板、担体もしくはプレートへの貼付;または、検出可能な標識への結合、の形態であってよい。
記載したキットは、また、本明細書に記載した方法を実施するのに有用な、追加の要素も含んでよい。例として、キットは、対象者から試料を得るための手段、対照試料、たとえば、徐々に進行している癌を有する対象者および/もしくは癌を有しない対象者から得た試料、1つ以上の試料区画、ならびに/または、本発明の方法の性能および組織固有の対照/基準を記載した指示教材、を含んでよい。
FRαのレベルを決定する方法は、さらに、たとえば、FRαのレベルを決定するためのアッセイで使用する緩衝液または他の試薬、を含み得る。指示は、たとえば、アッセイを実施するための、印刷した指示、および/または、FRαの発現のレベルを評価するための指示、であり得る。
記載したキットは、また、対象者から試料を単離するための手段も含んでよい。これらの手段は、対象者から液体または組織を得るために使用することが可能な、1つ以上の器具または試薬、を含み得る。対象者から試料を得るための手段は、また、血清などの血液成分を血液試料から単離するための手段も含んでよい。好ましくは、キットは、ヒトの対象者について使用するように設計される。
記載したキットは、また、一次抗体または二次抗体の非特異的結合を減少させるために試料に適用することが可能な、ブロッキング剤も含んでよい。ブロッキング剤の例にはウシ血清アルブミン(BSA)があり、これは使用の前に緩衝液で希釈してもよい。Block AceおよびELISA Synblock(AbD serotec)、Background Punisher(BIOCARE MEDICAL)、ならびに、StartingBlock(Thermo Fisher Scientific)などの、他の市販のブロッキング剤が、当技術分野で知られている。記載したキットは、また、抗体に基づく検出アッセイにおいて陽性の結果を生じるに足るほどにはFRαに結合しない、陰性対照一次抗体を含んでよい。さらに、記載したキットは、抗体9F3、抗体19D4、抗体24F12または抗体26B3FRαなどの、一次抗体に結合することが可能な二次抗体を含んでよい。いくつかの実施形態において、試料に結合した一次抗体の検出を可能にするために、二次抗体は、ホースラディッシュペルオキシダーゼ(HRP)またはフルオロフォアなどの、検出可能な標識に結合されてよい。記載したキットは、結合した二次抗体の存在が試料上で検出されることを可能にする、比色分析または化学発光法の基質も含んでよい。いくつかの実施形態において、比色分析または化学発光法の基質は、2,2’−アジノ−ビス(3−エチルベンゾチアゾリン−6−スルホン酸)(ABTS);3,3’、5,5’−テトラメチルベンジジン(TMB);3,3’−ジアミノベンジジン(DAB);SuperSignal(Thermo Fisher Scientific);ELC試薬Thermo Fisher Scientific)、または、当技術分野で通常の技術を有する者に公知の、他のそのような試薬であってよい。
以下の実施例は、先の開示を補足し、本明細書に記載した主題のよりよい理解を提供するものである。これらの実施例は、記載した主題を限定するものと考えるべきではない。本明細書に記載した実施例および実施形態は、例示を目的とするのみであり、それらを考慮した種々の修飾または変更は、当技術分野における熟練者には明白であり、本発明の真の範囲に含まれ、本発明の真の範囲から逸脱することなく実施することが可能である、と理解すべきである。
実施例1 − 遺伝子組み換えヒトFRαの発現および精製
本明細書に記載した研究に関連する実験を行うために、いくつかの葉酸受容体アルファ(FRα)を発現する細胞系または細胞株を生成して、FRαを発現する細胞基質を産生させ、または精製遺伝子組み換えヒトFRαタンパクを産生させた。使用した1つの発現系は、バキュロウイルスを介して遺伝子組み換えヒトFRαを発現したSf9昆虫細胞株であった。この系は、昆虫細胞発現に最適化したリーダー配列、N末端6xヒスチジン(6xhis)エピトープタグ、および完全な天然GPI付着部位、を含有するヒトFRα配列を用いて調製した。次いで、この細胞を1Lの振とうフラスコ中で培養し、Sf9の対数期培養物を、1未満の感染多重度(MOI)にて、遺伝子組み換えバキュロウイルスに感染させた。30Lの培養物からの細胞を収穫し、溶解させ、10mMの3−[(3−コールアミドプロピル)ジメチルアンモニオ]−1−プロパンスルホン酸(CHAPS)を含有する1Xリン酸緩衝生理食塩水(PBS)で、2回抽出した。NaCl濃度を300mMに調節し、0.2μm膜でろ過した。清澄な上清を、2M NaCl,1mM CHAPSを有するpH7.4の1X PBSを洗浄緩衝液として用い、これに続いて、10mM 3−(N−モルホリノ)プロパンスルホン酸(MOPS)、3M MgCl2,1mM CHAPS,pH6.8で溶出する、アフィニティクロマトグラフィーで精製した。ピーク画分を、1X PBS,pH7.4に対して繰り返し透析し、SDS−PAGEで純度分析し、ビシンコニン酸アッセイ(BCA)で定量し、等分して−80℃にて保存した。
ヒトFRαを安定して発現し分泌するチャイニーズハムスター卵巣(CHO)細胞株を、ヒト免疫グロブリンカッパリーダー配列、および、GPI付着部位に代わるC末端6xhisエピトープタグを含有する、ヒト葉酸受容体アルファ(FRα)配列を用いて生成した。生成後、FRα発現CHO細胞を、25Lスケールで、ウエーブバッグ内で培養した。分泌されたFRαタンパクを精製するために、深層ろ過により細胞上清から細胞残屑を除去し、次いで、細胞上清を、タンジェント流ろ過で10倍に濃縮し、50mMリン酸ナトリウム、300mM NaCl、1mMイミダゾール、pH8.0にて、透析ろ過した。これを、FPLCを用いるプレパックTalon(登録商標)IMACカラムに担持させた。結合しなかった物質を、50mMリン酸ナトリウム、300mM NaCl、5mMイミダゾール、pH8.0を用いて洗い流し、結合したタンパクを、50mMリン酸ナトリウム、300mM NaCl、pH8.0中の直線勾配の5mM〜100mMのイミダゾール、を用いて溶出した。ピーク画分を、1X PBS,pH7.4に対して繰り返し透析し、SDS−PAGEで純度分析し、BCAアッセイで定量し、等分して−80℃にて保存した。
ヒト葉酸受容体ベータ(FRβ)、ヒト葉酸受容体ガンマ(FRγ)、および、ヒト葉酸受容体デルタ(FRδ)についても、類似の細胞系を生成した。簡潔に述べると、ヒト免疫グロブリンカッパリーダー配列、および、GPI付着部位に代わるC末端6xhisエピトープタグを含有する、FRβ、FRγまたはFRデルタのいずれかの構築物を、293F細胞の1L培養物を一次的に形質転換するのに、使用した。遺伝子組み換えFRタンパクを、ヒトFRαについて上述したように精製した。
メソテリンは多くの調査において陰性対照として機能するので、ヒト免疫グロブリンカッパリーダー配列、および、GPI付着部位に代わるC末端6xhisエピトープタグを含有する、ヒトメソテリン配列を安定して発現し分泌するチャイニーズハムスター卵巣(CHO)細胞株も生成した。ヒトメソテリンを発現するCHO細胞を、25Lスケールで、ウエーブバッグ内で培養した。ヒトメソテリンタンパクを精製するために、中空糸ろ過により細胞上清から残屑を除去し、次いで、清澄にした上清を、タンジェント流ろ過で10倍に濃縮した。上清NaCl濃度を、300mM NaClおよび0.5mMイミダゾールに調節した。これを、FPLCを用いるプレパックTalon(登録商標)IMACカラムに担持させた。結合しなかった物質を、50mMリン酸ナトリウム、300mM NaCl、3mMイミダゾール、pH8.0、を用いて洗い流し、結合したタンパクを、50mMリン酸ナトリウム、300mM NaCl、150mMイミダゾール、pH8.0、を用いて溶出した。ピーク画分を、50mMリン酸カリウム、pH7.5に対して繰り返し透析した。硫酸アンモニウムを加えて1Mの最終濃度とし、その後、50mMリン酸カリウム、pH7.5中の1M〜0M硫酸アンモニウムの段階勾配を用いて、フェニルセファロースカラムで最後の精製を行った。ピーク画分を、1X PBS、pH7.4に対して繰り返し透析し、SDS−PAGEで純度分析し、BCAアッセイで定量し、等分して−80℃にて保存した。
実施例2 − 精製した還元、アルキル化FRαの生成
FRαの還元しアルキル化した抗原型を生成すべく試みた。タンパクを還元するために、精製したFRαを、遠心ろ過機(Amicon Ultra,3kD MW limit)を用いて、リン酸緩衝生理食塩水(pH7.4)中2mg/mLまで濃縮した。タンパク濃度は、BCAアッセイ(Thermo Scientific)を用いて決定した。得られたFRαを、8M尿素/PBS中で1:1に希釈して、4M尿素含有PBS中1mg/mLというFRαの最終濃度とした。ジチオスレイトール溶液(PBS中500mM)を、10mMの最終濃度まで加えた。溶液を65℃にて1時間インキュベートし、室温まで冷却した。
次いで、リン酸緩衝生理食塩水中の1Mのヨードアセタミド溶液を、還元した葉酸受容体溶液に、10mMの最終濃度まで加え、反応を、室温にて30分間、暗所に保った。タンパクはこれらの条件下で、可溶のままであった。免疫付与に用いる最終の還元FRαは、4Mの尿素、10mMのDTTおよび10mMのヨードアセタミドを含有するリン酸緩衝生理食塩水中で保存した。
図1に、非還元的条件下でSDS−PAGEで分析した、天然FRαタンパクとそのタンパクの還元、アルキル化型との、移動の差を示す。
実施例3 − FRαを用いるハイブリドーマの生産
8週齢の雌Balb/cマウスを、ヘキサヒスチジンタグを付したFRαタンパク(n=5)、または、還元、アルキル化FRαタンパク(n=5)で、免疫処理した。第0日に行った初期の腹腔内免疫処理には、完全フロイントアジュバント(Rockland,Cat# D614−0050)と1:1(v:v)で混合したそれぞれの免疫原の50μgを含めた。次いで、マウスに、14日後およびその後21日毎に、完全フロイントアジュバント(Rockland,Cat# D615−0050)と1:1(v:v)で混合した50μg免疫原を、追加投与した。初期の免疫処理後24日およびその後21日毎に、免疫処理したマウスから血液試料を収集した。
収集した血液試料を、直接酵素結合免疫測定法(EIA)によって、FRαに対して分析した。プレートをFRαタンパク(PBS、0.02Mリン酸カリウム、0.15M塩化ナトリウム中の1mg/mL溶液、pH7.2、の100ml)で被覆し、4℃にてインキュベートし、0.2% Tween(登録商標)−20(PBST;Rockland,Cat# MB−075−1000)を含有するPBSで洗浄し、3%フィッシュゲル(Sigma)で、室温にて1時間ブロックした。個々のマウス血清試料の3倍希釈系列を、室温にて1時間結合させ、次いで、プレートをPBSTで3回洗浄し、続いて、プレートを、HRP結合ウサギ抗マウス抗体(Rockland,Cat#610−4320)で、37℃にて30分、1:2500にて、調べた。TMB基質(Rockland,Cat# TMBE−100)を加え、30分後に、1M HCLを加えることによって、反応を停止させ、その後、450nmでの吸光度読み取り(Microplate Reader “Benchmark”;Biorad)を行った。すべての試料を、陰性対照としてのヘキサヒスチジンタグ遺伝子組み換えメソテリン(メソテリン−His6)タンパクに対して、カウンタースクリーニングした。
最も高い抗原特異的滴定値を示したマウスから脾臓を採取し、脾細胞とSp2/0 Ag14骨髄腫細胞(ATTC CRL1581)との電気融合(Hybrimune(商標) Model CEEF−50B Waveform Generator;Cellectis,Romainville,France)によって、ハイブリドーマを調製した。その後、ハイブリドーマ上清を、ELISAによって、FRαおよび上述の遺伝子組み換えメソテリン−His6に対してスクリーニングし、陽性の親の融合細胞株を選択した。
遺伝子組み換えヒトFRα(rhFRα)に反応する抗体を産生すると判断して選択した親細胞株を、限界希釈法でサブクローニングした。次いで、これらの細胞によって産生された抗体を、FRα結合について再試験し、Clonetyping(商標) System(SouthernBiotech,Birmingham,AL)を用いてアイソタイプ分類した。これらのクローンからの上清を、さらに、ELISAによって、ヒト葉酸受容体の3つの追加のアイソフォーム(FRβ,FRγおよびFRδ)に対してスクリーニングし、受容体特異性を決定した。プレートを、それぞれのFRαアイソフォームの1μg/mL溶液で、4℃にて被覆し、0.2% Tween(登録商標)−20(Rockland,Cat# MB−075−1000)を含有するPBSで洗浄し、3%フィッシュゲル(Sigma)でブロックした。培養液上清の3倍希釈系列を、室温にて1時間結合させ、その後、プレートを洗浄し、上述のように、HRP結合抗マウス抗体で調べた。FRβ,FRγおよびFRδに反応する抗体を産生するクローンは、さらなる分析のために選択しなかった。
選択した4つのハイブリドーマクローン、19D4.B7,26B3.F2,24F12.B1,および9F3.H9.H3.H3.B5.G2を、2011年5月19日にアメリカン・タイプ・カルチャー・コレクションに寄託したところ、これらは、PTA−11884,PTA−11885,PTA−11886,およびPTA−11887の受託番号を、それぞれ割り当てられた。
実施例4 − FRαに対する精製モノクローナル抗体の生成
選択した細胞株を、マイコプラズマ試験キット(Rockland,Cat# MAB−012)を用いて、マイコプラズマについて試験し、その後、無血清培地(Invitrogen,Cat#12045−076)および5%低IgG FBS(0.1μg/ml)(Gibco,Cat# 16250−078)を収容した1Lローラーボトルに、0.5x105細胞/mLにて播種した。培養物を、37℃にて14日または21日のいずれかにわたって生育させ、その後、上清を収穫し、50kDaろ過膜(Spectrum Labs,Rancho Dominguez CA)を通して、約10倍に濃縮し、次いで、タンパクAクロマトグラフィー(Rockland,Cat# PA50−00−0025)を用いて精製した。結合した抗体を、0.1Mクエン酸ナトリウム、抗体アイソタイプに応じてpH3.5/4.5で溶出し、緩衝液を、12〜14kDa膜チュービング(membranous tubing)(Spectrum Labs,Rancho Dominguez CA)を用いる透析によって、PBSに対して交換した。精製した抗体を、0.22μm Express(商標) PLUS Stericups(Millipore,Billerica MA)を用いて除菌ろ過し、さらなる試験のために4℃にて貯蔵した。
選択した4つのハイブリドーマクローン(9F3−H9,19D4−B7,24F12−B1,および26B3−F2)の重鎖および軽鎖の配列を決定すべく試みた。まず、RNAqueous(登録商標)キット(Ambion)を用い、製造者のプロトコルに従って、各ハイブリドーマ細胞株から全RNAを単離した(各1x103〜1x105の細胞ペレット)。NanoDrop(商標)8000分光光度計(Thermo Scientific)を用いて、RNAを定量した。
次いで、単離したRNAを、Mastercycler(登録商標) EP Gradient Thermocycler(Eppendorf)で、各ハイブリドーマについて3重に行ったマルチプレックスRT−PCRを介して、増幅した。まず、各ハイブリドーマについて、2つの別個の遺伝子特異的cDNA増幅(1μg RNA/反応)を行って、Ig再構成の間、どのIgの重鎖遺伝子および軽鎖遺伝子が使用されるかを決定した。各カクテルは、潜在的マウスIg V 遺伝子ファミリー(IgHv,IgKv)およびIg定常領域遺伝子(IgHcGamma,IgKc)のいずれかにアニールするように設計した、独特のファミリー特異的プライマーで構成した。SuperScript(登録商標) III One−Step RT−PCR System withを用いて、Platinum(登録商標) Taq High Fidelity(Invitrogen)で、55oC、30分および95oC、2分の後、95oC、1分,55oC、1分,68oC、1分の40サイクル、および、最後に68oC、10分の終了ステップという条件にて、cDNAの生成および増幅を行った。DNA産物を2%アガロースゲルで電気泳動した。適当なバンドを切除し、QIAquick(登録商標) Gel Extraction Kit(Qiagen)を用いて、製造者のプロトコルに従って、ゲル精製した。精製したDNAを、配列決定(GENEWIZ,Inc.,South Plainfield,NJ)に付して、各ハイブリドーマによって発現される生殖細胞系列遺伝子区分を決定した。
次いで、各ハイブリドーマについて同定した特定の遺伝子に適するさらなるRT−PCR分析を、上記と同じRNA源および(マルチプレックスRT−PCR混合物で用いたファミリー特異的プライマーとは対照的な)遺伝子特異的プライマー、を用いて行った。クローニングを容易にするために、増幅したIg cDNAをフュージョン(In-Fusion)(IF)発現ベクターに入れ、また、各遺伝子特異的プライマーに、相同クロスオーバーを可能にするであろうベクター適合リンカー配列を包含させた。他のすべての試薬およびサーモサイクラ−条件は、上述のマルチプレックスRT−PCR実験に用いたものと同じである。
実施例5: FRαへの抗体結合の特性評価
FRαに対する精製モノクローナル抗体の結合特性を、表面プラズモン共鳴(SPR)実験によって決定した。すべてのSPR実験は、BIAcore T100を用い、研究等級CM5チップ(GE Healthcare)で、製造者の指示どおりに、25℃にて行った。始めに、マウス抗体捕捉キット(GE Healthcare)において提供された抗マウスIgGを、CM5センサーチップにアミド結合させることによって、固定した。第4のフローセルを対照として用いながら、マウス抗FRαモノクローナル抗体(26B3,24F12,19D4または9F3)を、結合サイクルごとに個々のフローセル上で捕捉した。結合実験は、HBS−P(GE Healthcare)を泳動用バッファーとして、30μL/分の流量で行った。各モノクローナル抗体試料(0.5μg/mL)を、3分にわたって注射して抗体を捕捉した。様々な濃度の精製遺伝子組み換えヒトFRα(rh−FRα)(1nM〜30nM)を、FRα特異的表面および対照表面に3分にわたって注射し、シングルサイクルカイネティクス法を用いて、結合センサーグラム(sensogram)を記録した。解離プロファイルを25分間監視した。結合と結合との間に、表面を10mMグリシン(pH1.7)の30μl注射で再生した。センサーグラムを処理し、BIAcore T100評価ソフトウエア(バージョン2.0.1)を用いて、1:1ラングミュア結合モデルに当てはめた。抗体26B3,24F12,19D4,および9F3の結合特性のいくつかを表2に示す。
実施例6: 選択したFRα特異的抗体のエピトープマッピング
FRα特異的抗体26B3,24F12,および9F3を、Octet QKを用いるエピトープ結合調査において、さらに評価した。結果は、精製ヒトFRαに高い親和性を有する26B3および24F12が、FRαへの結合について、互いに競合することを示した。したがって、これらの抗体は、同じエピトープを共有するか、または、相互にすぐ近くのエピトープを有するかも知れない。結果は、また、9F3抗体は、FRαへの結合について、他のFRα特異的抗体と競合しないので、9F3が独自のエピトープを有することを示す。
追加のエピトープマッピング調査を、水素/重水素交換質量分析を用いるExSAR(商標)およびドッキング法によって行った。抗体9F3,24F12および26B3についてのこれらの調査の結果を、図2に示す。抗体26B3のエピトープについては、これらのデータは、フローサイトメトリーによる天然FRαを認識する26B3の能力を考えると、エピトープが天然、膜アンカー構造で到達可能であることを示唆している。さらに、これらのデータは、MAb 26B3によって認識されるエピトープのコンホメーション制約が、還元ウエスタンブロット上でタンパクを検出することができないことによって明らかにされるように、システイン111とジスルフィド架橋を形成するFRαタンパクの位置185のシステインに、関連していることも示唆している。
実施例7: 変性型および化学保存型のFRαの認識
上記FRα特異的抗体のいずれかが変性型のFRαを認識し得るかを判断するために、実験を行った。これらの分析のために、GPI結合ヒトFRα,βまたはΔを安定して発現するCHOK1細胞を、Complete Mini Protease Inhibitor Cocktail(Roche Diagnostics,Indianapolis,IN)およびPMSF(100nM)で補完した1.1% OBG緩衝液(50mM Tris−HCl,pH7.5,150mM NaCl,1.1% OBG)に溶解し、氷上に15分置いた。溶解物を、13,000rpmでの15分間の遠心分離によって事前清澄して、残屑を除去した。還元試料および変性試料について、同量(20μg)のタンパクを、5%メルカプトエタノールと40mM DTTを含有する、NuPAGE(登録商標) LDS試料緩衝液(Invitrogen)中で10分間沸騰させた。タンパクを、4−12%ビス−トリスゲル(Invitrogen)上のSDS−ポリアクリルアミドゲル電気泳動(SDS−PAGE)を用いて分離し、PVDF膜に移した。膜を、5%脱脂乳を加えたPBSTで、室温にて1時間ブロックし、その後、膜をPBSTで2回洗浄した。FRαに特異的な精製マウスモノクローナル抗体9F3,19D4,24F12または26B3(1μg/mL)を用いて、免疫ブロッティングを行い、前記抗体をヤギ抗マウスHRP結合抗体で検出し、SuperSignal West Pico化学発光基質(Pierce,Rockford,IL)を用いて可視化した。発光は、Omega 12iC分子画像化システム(Ultra−Lum,Claremont,CA)を用い、UltraQuant(商標) 6.0ソフトウエア(Ultra−Lum)で、可視化した。
精製した葉酸受容体調製物を用いて、ウエスタンブロット分析も行った。これらの実験のために、実施例1で記載したように生成した、0.5μgの精製ヒトFRα,β,ΓまたはΔを、20mM DTTを有するまたは有しない1X SDS−PAGE試料ローディング緩衝液(Invitrogen)中でインキュベートし、10分間沸騰させ、4〜12%勾配SDS−PAGEゲルで電気泳動した。タンパクをPVDF膜に移し、ブロットを上述のように調べた。ゲルを、Benchmark(商標)プレステインドプロティンラダー(Novex(登録商標))を用いて、泳動させた。精製遺伝子組み換えFRタンパクを使用するゲルも、銀染色を介して可視化して、同量のタンパクが担持されたことを確認した。
ウエスタンブロット分析から、抗体19D4,9F3,24F12および26B3は、非還元FRαを認識するが、還元試料および変性試料への結合は、これらの抗体のいずれについても検出されないことが示される(図3(A)および(B))。
これらの抗体のいずれかが、ホルマリン固定パラフィン包埋漿液性乳頭状卵巣癌試料に結合し得るかを判断するために、免疫組織化学(IHC)調査も行った。MACH4(商標) Universal HRP−Polymer Detection Kit (Biocare Medical)を用いて、FRαについて間接IHC試験を行った。ホルマリン固定パラフィン包埋標本を、正に荷電したガラススライド上で、5ミクロンにて切片とし、60℃にて約60分加熱した。スライドを、各3分のキシレンの3連続浴中で脱パラフィンして、各3分の100%アルコールの3連続浴に移し、その後、各3分の95%アルコールの3連続浴に移し、次いで、脱イオン(DI)水で5分すすいだ。次いで、調製した試料を、DI水で1:10に希釈したDiva熱誘導エピトープ賦活緩衝液(Biocare Medical)で前処理し、500mlのDI水で満たしておいた加圧脱被覆室の内部に置いた。試料を脱被覆室内で15分インキュベートし、その際、加圧インキュベーションを、16PSIにて125℃の最高温度に30秒間到達させ、その後、15分冷却して95℃に下げた。次いで、スライドを室温にて15分冷却した。冷却後、スライドを、各3分のTris緩衝生理食塩水/0.1% Tween−20(登録商標)洗浄緩衝液(TBST)の3連続浴で洗浄した。後続の緩衝液洗浄も、すべてこの方法で行った。次いで、スライドを、ペルオキシダーゼ−1(Biocare Medical)ブロッキング溶液中で、室温にて5分ブロックし、TBSTで洗浄し、次いで、Background Sniper(Biocare Medical)無血清ユニバーサルブロッキング試薬を、室温にて10分適用した。試料をブロックした後、スライドを、Universal Negative Control − マウス使用準備済陰性対照抗体(Dako,陰性アイソタイプ組織用)又はAntibody Diluent(Dako)で希釈した26B3抗体を2.5μg/ml用いて、室温にて60分インキュベートした。次いで、スライドをTBSTで洗浄し、MACH4(商標) Mouse Probe Primary Antibody Enhancer(Biocare Medical MACH4(商標)キットで提供)と、室温にて15分インキュベートした。次いで、スライドをTBSTで再び洗浄し、Polymer−HRP試薬(Biocare Medical MACH4キットで提供)と、室温にて20分インキュベートした。インキュベーション後、スライドをTBSTで洗浄し、3,3’−ジアミノベンジジン4塩酸塩(DAB)溶液(Dako)と、室温にて5分インキュベートした。次いで、スライドを、DI水で3回、各30〜60秒間徹底的にすすぎ、ヘマトキシリン(Dako)で2分、対比染色し、TBSTで洗浄し、各30秒の95%および100%アルコールの3連続浴で脱水し、各30秒のキシレンの3連続浴で清浄にした。最後に、分析に先立ち、カバースリップをスライドに適用した。
抗原は、組織の破壊的性質の固定により、三次構造を欠いているので、ホルマリン固定パラフィン包埋組織の免疫組織化学を有効にするためには、抗体は、注目の抗原の直線状エピトープを認識しなければならない、と一般に考えられている。したがって、抗体26B3がこのアッセイにおいてFRαを認識し得た(図4)ということは、この抗体は、ウエスタンブロットで還元FRαおよび変性FRαを認識しないので、驚くべきことであった。さらに、正常の組織について観察される、抗体26B3でのFRα染色のパターンは、様々な程度の発現を示す膵臓、甲状腺、肺、唾液腺、腎臓、下垂体、頸部および乳房(表3)での、他の種々の抗体および技術を用いた先に発行されている文献に合致している。図5に示すように、正常の肺切片(A)および正常の腎臓切片(B)によって例示される正常の組織における染色パターンは、上皮細胞に非常に制限され、一般に尖頂的(apical)な性質である。
実施例8: 天然型FRαの認識
フローサイメトリ調査を行って、選択したFRα特異的抗体の天然タンパクに結合する能力を評価した。これらの調査のために、FRαを発現するチャイニーズハムスター卵巣(CHO)細胞を採取し、洗浄し、氷冷増殖培地(10% FBSで補完したRPMI)に再懸濁した。細胞を、氷上で1時間、9F3,19D4,24F12または26B3(1μg/mL)とインキュベートし、洗浄し、次いで、FITC結合二次抗体[1:100希釈](Southern Biotech,Birmingham,AL)とインキュベートした。分析に先立ち、成長できない細胞を排除するために、細胞を、7−アミノ−アクチノマイシンD(7−ADD)(BD Biosciences,Franklin Lakes,NJ)で標識した。FRαを発現しないCHO細胞も、また、陰性対照として、同じ実験手順に付した。細胞を、EasyCyte(商標) Flow Cytometer(Guava(登録商標) Technologies,Hayward,CA)で分析した。表4に示したデータは、4つの抗体すべてが、天然FRαに結合し得ることを示す。
実施例9: 卵巣癌を有することが知られている対象者の血清におけるFRαの検出
本明細書に記載したFRαに特異的な抗体が、卵巣癌を有することが知られている患者の血清におけるFRαを検出し得るかを判断するために、電気化学発光調査を行った。これらの実験のために、MAb 26B3を捕捉MAbとして使用し、75μg/mLの濃度でECLプレートに加えた。プレートを洗浄し、50μLの試料血清を各ウェルに加えて、2時間インキュベートした。血清試料は、健康な女性(陰性対照)および卵巣癌患者から得た。試料をPBST(0.01% Tween(登録商標)20を含有するリン酸緩衝生理食塩水、pH7.4)で、1:4に希釈した。インキュベーションの後、試料をPBSTで洗浄し、約13標識/IgG分子の割合にてRuで標識した25μL/ウェルのMAb 19D4(1μg/mL)を、結合試料を検出するために各ウェルに加えた。2時間のインキュベーション期間の後、プレートをPBSTで洗浄し、2X MSD Buffer Tで読み取った。表5に示した結果は、血清中のFRαは、モノクローナル抗体26B3および19D4を用いて、捕捉し検出することができることを示している。
実施例10: 卵巣癌を有することが知られている対象者の血清および尿におけるFRαの検出
次に、本明細書に記載したFRαに特異的な抗体が、卵巣癌を有することが知られている患者の血清および尿におけるFRαを検出し得るかを判断するために、電気化学発光調査を行った。これらの実験のために、MAb 26B3を捕捉MAbとして使用し、75μg/mLの濃度でECLプレートに加えた。プレートを洗浄し、50μLの試料血清を各ウェルに加えて、2時間インキュベートした。対応する血清試料および尿試料は、健康な女性(陰性対照)および卵巣癌患者から得た。試料(血清または尿)をPBST(0.01% Tween(登録商標)20を含有するリン酸緩衝生理食塩水、pH7.4)で、1:4に希釈した。インキュベーションの後、試料をPBSTで洗浄し、約13標識/IgG分子の割合にてRuで標識した25μL/ウェルのMAb 19D4(1μg/mL)を、結合試料を検出するために各ウェルに加えた。2時間のインキュベーション期間の後、プレートをPBSTで洗浄し、2X MSD Buffer Tで読み取った。表6に示した結果は、血清および尿中のFRαは、モノクローナル抗体26B3および19D4を用いて、捕捉し検出することができることを示している。
実施例11: 免疫組織化学の結果の計量としてのMスコア
各試料の染色(Mスコア)の計量基準を開発したが、これは次のように表すことができる。
この等式において、xijは、患者iについて強度jで染色された癌の百分率であり、wjは強度の絶対値(0〜3+の範囲)である。計量基準は、0(陽性染色なし)から50(100%の細胞が3+の強度で染色)までの論理的範囲を有する。したがって、Mスコアは、FRα陽性細胞の割合および染色強度の両者を捉えた、FRα IHC癌細胞膜染色の加重スコアである。各患者のMスコアは、適切な場合、多組織マイクロアレイ(TMA)試料について平均化した。試料が0という結果になる場合、すなわち、癌または壊死組織が存在しない場合、Mスコアには非0を割り当てた。
上記等式の具体的な適用を次に示す。
ここで、xは強度3+で染色された癌の百分率であり、yは強度2+で染色された癌の百分率であり、zは強度1+で染色された癌の百分率である。
所与の組織構造内でのFRα発現の陽性率は、陽性結果(全癌細胞染色の5%以上)の定義に従って陽性に染色された試料の割合として計算した。厳密な二項信頼区間は、確立されている方法(Clopper C.J.and Pearson R.C.,Biometrika.26:404−13(1934))を用いて決定した。すべてのデモグラフィック変数についての、および、Mスコアについての要約統計量を本明細書に示す。平均値の差は、一元配置ANOVAを用い、すべての第一種過誤について規制する事後検定をして、決定した。平均値の差は、検定に関連するp値が、ボンフェローニ補正したその検定の第一種過誤(最大第一種過誤=0.05)よりも小さい場合に、統計的に相違した。
実施例12: 抗体26B3および抗体BN3.2での肺癌細胞の比較染色
IHCで判断したFRαを発現する種々の癌の割合に関して、文献にはかなりの変動があり、これは、ほとんどが市販されていない様々な抗体を使用していることに、部分的に起因している。市販されており、IHCによってFFPE切片上のFRαを検出することが明らかにされている1つのFRα特異的MAbは、抗体BN3.2である(Leica Microsystems,Buffalo Grove,IL)。したがって、FRαの検出の特異性および感受性の双方について、抗体BN3.2を抗体26B3と比較するために、種々の組織型の肺癌を含有する市販のTMAを用いて調査を行った。両抗体は、他の組織サブタイプ、特に扁平上皮癌と比べて、腺癌に対する特異性が高かった。ただし、抗体26B3はBN3.2よりも感受性が有意に高く、両者は、それぞれ、26/36(72%;Mスコア平均±SD=19.84±18.64)および22/36(61%;Mスコア平均±SD=11.38±14.25)の腺癌試料を確認した(p<0.0001)。これらのデータは、抗体BN3.2は、FFPE組織試料上のFRα発現の検出に関して、抗体26B3よりも感受性が有意に低く、図6に示すように、肺腺癌試料について観察されたこれら2つの抗体のMスコアの関係は、直線ではない。
実施例13: 肺の腺癌を有することが知られている対象者におけるFRαの検出
抗体26B3で検出されるFRα陽性組織構造の存在が、特定の型の肺癌に関連しているかを判断するために、実験を行った。正常試料ならびにステージI、ステージII、ステージIIIおよびステージIVの肺癌標本の癌試料を重複して有する組織マイクロアレイを、実施例7において記載したように、抗体26B3を用いるIHC染色を介して、FRα発現について評価した。表6のデータに見られるように、FRαは、扁平上皮癌よりも腺癌に関連しており、このことは、陽性染色が限定されていることを示した。
組織マイクロアッセイ内の89の組織試料について、さらなる分析を行ったところ、36(40%)が腺癌、32(36%)が扁平上皮癌、2(2%)が腺扁平上皮癌、および、残余の19(21%)が様々な組織構造であった(図8)。FRα陽性の全体的割合は、組織サブタイプごとに、大きく異なった。腺癌のかなり大きな割合は、扁平上皮癌と比べたとき、FRαについて陽性であった(72%対13%、p<0.0001)。4つの陽性扁平上皮癌試料のうち、1つのみが、両試料について3+染色を示し、1つが、両試料について中程度(2+)の染色を有し、他の2つは、1つの試料において弱く陽性であった(5〜10%の癌細胞が1+)。さらに、腺扁平上皮癌試料も、また、FRαについて陽性を示し、染色はこれらの試料の腺癌部分のみに限られていた(図7)。
重複腺癌組織構造試料のMスコア分析は、抗体26B3による染色において変動をほとんど示さず(図8)、抗体26B3染色の頑健性を反映していた。また、腺癌組織サブタイプ内でのステージおよび悪性度によるMスコアの検査は、疾病のステージまたは悪性度のいずれも、Mスコアによって定義される染色の程度と関連していないことを示した(データ不図示)。
肺腺癌および扁平上皮癌の試料のFRα染色についてのMスコア分布を、図9に示す。抗体26B3で染色した腺癌および扁平上皮癌の試料の平均(±SD)Mスコアは、それぞれ、19.84(±18.64)および1.39(±5.54)であった(p<0.0001)。腺癌のMスコアは、また、他のすべての肺癌組織タイプと比べたとき、有意に高かった。さらに、癌の組織構造が腺癌であることの見込み(odds)を判断するために、木解析を行った。21.7を超えるMスコアは、16というオッズ比(OR)となり、FRαが、主として腺癌組織において発現することを立証した(解析不図示)。
ホルマリン固定パラフィン包埋(FFPE)組織ブロックは、後期肺癌においては外科的切除が普通行われないので、後期肺癌と診断された患者からはめったに得られない。したがって、細針吸引(FNA)標本がFRα IHCに適するかを判断するために、後期肺癌は小生検または細胞材料を介して診断されることが最も多いので、MAb 26B3を用いて調査を行った。これらの調査のために、胸部リンパ節吸引物の細胞学的評価によって診断され(図10)、FRα陽性の割合(63%)が、肺癌TMAに基づいて評価された組織学的標本に見られるFRα陽性の割合に、匹敵することが明らかにされた、9人の後期腺癌患者から試料を得た。小さい試料サイズにすぎないが、これらのデータは、細胞標本が、後期腺癌患者におけるFRα発現を判断するために、適する組織源であるかも知れないことを示唆している。
実施例14 − FRαは、CK+/CD45−細胞によって発現されるが、非小細胞肺癌を有することが知られている患者の血液から単離されたCK−/CD45+細胞によっては発現されない
非小細胞肺癌を有することが知られている患者の、循環癌細胞(CTC)上でのFRαの発現プロファイルを決定するために、調査を行った。これらの調査のために、血液試料を15人の健康な提供者および5人のステージIV肺癌患者から得て、ApoCell’s ApoSteam(商標)システムを用いて、CTCを濃縮にした。濃縮の後、各試料を、サイトケラチン(CK)、CD45(タンパクチロシンホスファターゼタイプC)、核およびFRαについて、染色した。FRα染色は、一次抗体として抗体26B3を用いて行い、これを、次に、DyLight(登録商標)649に結合させたマウス特異的二次抗体で、検出した。表9に示すように、FRαの発現は、CK+/CD45−CTCによって観察されたが、CK−/CD45+CTCでは観察されなかった。
実施例15: FRαを発現する肺腺癌を有するおよび有しない対象者の5年生存
抗体26B3によって検出されたFRα陽性組織構造の存在が、5年生存の改善または低減のいずれに関連し得るかを判断するために、実験を行った。正常および癌ステージIまたはステージII腺癌の肺組織標本を、実施例7に記載したように、IHC染色に付し、次いで、読み取った。3+,2+,1+および0の強度の癌上の染色の百分率を記録した。患者の複製または三重複製と解釈される177のスライドが存在した。評価可能な臨床および組織学的データと組み合わせたとき、53の評価可能な症例が特定された。分析は、人口、臨床、および非小細胞肺腺癌という診断後5年での生存状態、に関連するデータに鑑みて行った。
Mスコアの最適なカットポイントを決定するために、受信者動作特性(ROC)分析を行った。診断の正確性は、この分析において重要でないが、陰性試験の診断尤度比に対する陽性試験の診断尤度比の比は、重要であった。これらの比は、Pepe MS,The statistical evaluation of medical tests for classification and prediction,New York:Oxford University Press(2003)に記載されているように定義される。10というカットポイントにおいて、尤度比は最大値6.62に達した。Mのこの値を、染色したスライドを陽性と判定するのに選択した。
カプラン・マイヤー生存関数を、予後因子として、FRαに関連して生成した。ログランク検定は、FRαに陽性であることが非致死性事象にとって有益である(Chi−sq=7.34,df=1,p=0.007)ことを示した。図11は、26B3検出によりFRα陽性およびFRα陰性と判断された、ステージIおよびステージII腺癌の群についての生存関数を表す。5年では危険率は2.42である。これは、FRαについて陰性(M<10)である癌を有する対象者が、FRα陽性(M≧0)の癌を有する対象者よりも、2.5倍、5年以内に死亡し易い、ことを示している。
実施例16: 葉酸受容体アルファの発現はトリプルネガティブ型の乳癌に関連する
乳癌組織試料によるFRαの発現を評価するために、調査を行った。分析は、実施例7で記載したように、抗体26B3で染色した組織マイクロアレイ(TMA)試料、および、実施例7で記載したように、調製し、抗体26B3で染色したFFPE組織構造試料を用いて行った。
乳癌TMA(U.S.BioMAX catalog # BR1503a;72症例、重複コア)上に存在する組織構造の分布を図10に示すが、表した症例の大部分は、浸潤性腺管癌(IDC)と識別されている。TMAには、2つの正常な乳房試料が含まれており、これらは、MAb 26B3によりFRα発現について陽性と判断された。正常な乳房における染色は、導管細胞に限定し、管腔染色および膜染色した。3つの線維腺腫症例のうちの2つ(67%)、嚢肉腫症例の0/2(0%)、および、インサイチュ腺管癌症例の1/6(17%)は、FRαについて陽性であった。単一の浸潤性小葉癌(ILC)は、FRα染色に陰性であった。59のIDC試料のうち、18(31%)は、FRαに陽性であった(図12)。このTMAについては陽性の場合が少ないので、ステージまたは悪性度に対するFRα発現の有効な分析は可能ではないが、試料の大部分がT1またはT2のいずれかであることに注目すべきである。FRα発現は、ER/PR陽性癌よりもER/PR陰性癌に関連し(p=0.012)、トリプルネガティブ乳癌(TNBC)に関連する(ER/PR+またはHer2+対ER/PR/Her2−,p<0.0001)。
18のFRα陽性IDC症例のうち、2つ(11%)のみがHer2陽性であり、大多数(89%)がHer2陰性であることを意味した。これらのデータは、FRα陽性が、Her2陰性をより厳密に追跡することを示唆している。さらに、18のFRα陽性IDC症例のうち、3つはエストロゲン受容体(ER)陽性であり、4つはプロゲステロン受容体(PR)陽性であるが、すべてのER/PR陽性/FRα陽性症例は、Her2陰性であった。FRα陽性IDC症例のうち、12/18(67%)は、トリプルネガティブ乳癌(TNBC)であり、FRαは、非常に弱い予後TNBC分子サブタイプについて、マーカーおよび標的となるかも知れないことを示唆している。TMAを全体として見ると、すべてのHer2陽性症例のうち、2/13(15%)のみがFRαについても陽性であるのに対し、Her2陰性症例の16/46(35%)は、FRα陽性でもあり、FRαの発現がHer2の発現と負に相関するという示唆を支持していた。このTMAについての、分子サブタイプ(her−2(+)およびher−2(−))に対するMスコアの分布の表現を、図13に示す。
上述のTMAは、主として、初期乳癌、ステージI、6/60(10%);ステージII,44/60(73%);ステージIII,10/60(17%)から成る。したがって、このTMAに基づいて得られた結果を確認し拡張するために、0〜100%にわたる既知のER/PR発現を有する、ステージIV(T4)Her2陰性乳癌に由来する61のFFPE組織ブロックを、評価した(FFPE組織ブロックは、Genzyme Geneticsの保存記録から得た)。全61のこれらの試料は、原発癌ではなく、転移に由来する。この調査の結果を表11に要約する。
FRαの発現(図14)がこれらの患者の22/61(36%)で見られ、疾病の早期ステージで判断されたFRα陽性標本/癌の患者の百分率が、Her2陰性集団の後期ステージの転移疾病において維持される(TMA陽性=35%;ステージIV転移疾病=36%)ことを、示している。22人のFRα陽性ステージIV転移患者のうち、3人(14%)のみがER/PRに何らかの陽性を示し、そのような陽性は低い範囲(30%まで)内であった。したがって、19/22(86%)のFRα陽性患者は、トリプルネガティブ分子サブタイプであった。再び、これらのデータは、全FRα陽性患者の67%がトリプルネガティブサブタイプであるTMA上の早期ステージ疾病において得られたデータに匹敵する。
さらに、ステージIV転移疾病に由来する試料を、リンパ節、骨、皮膚、肝臓を含むいくつかの転移部位のほか、主として胸膜および穿刺から得た生体液ならびに細針吸引(FNA)試料、から得た。これらの「生体液生検」のいくつかは、FRαについて陽性に染色され(図15)、記載したIHC方法論が多数の試料タイプに一般的に適用できることを示唆している。
実施例17: 葉酸受容体アルファの発現についての組織婦人科癌試料の評価
卵巣、子宮内膜および卵管を含む婦人科悪性腫瘍におけるFRαの発現を評価するために、免疫組織化学調査を行った。分析は、実施例7で記載したように、抗体26B3で染色した組織マイクロアレイ(TMA)試料、および、実施例7で記載したように、調製し、抗体26B3で染色したFFPE組織構造試料を用いて行った。市販の組織マイクロアレイを、卵巣癌(catalog # OV1921;96症例、重複コア)、子宮内膜癌(catalog # EMC1021;102症例、単一コア)、卵管癌(catalog # UTE601;30症例、重複コア)について、US Biomax,Inc.(Rockville,MD)から得た。
試料は、膜染色について陽性の癌細胞の割合が、あらゆる強度において5%以上である場合に、FRα発現について陽性であると考えた。試料が、完全に欠けている、または、成長できる細胞の数が評価には不十分な壊死組織から成る、のいずれかであると婦人科病理学者が判断した場合は、試料を拒絶して分析に含めなかった。子宮内膜試料のうち、6つは、腺癌のない非定形複雑型増殖症のみを含有していた。細胞タイプおよび悪性度の組織学的分類は、WHOの乳房および女性生殖器の分類(Classification of Breast and Female Genital Organs)(Tavassoli and Devilee)に基づいて行った。FIGOおよびTNMシステムに基づく臨床ステージはTMAの製造者(US Biomax)によって提供された。
所与の癌タイプ内でのFRαの発現の陽性率を、陽性結果の定義(±5%癌細胞膜染色)に従って陽性に染色された癌の割合として、計算した。組織構造、ステージまたは悪性度などの群間での、FRα陽性についての差を、2x2分割表およびフィッシャーの正確確率検定を用いて評価した。平均値の差は、検定に関連するp値が、その検定についてのボンフェローニ補正第1種過誤(最大第1種過誤=0.05)よりも小さい場合に、有意に差があるとした。
膜および細胞質の染色強度は、0、染色なし;1+、弱い;2+、中程度;および3+、強い、とスコア付けした。試料における各強度の細胞の割合も決定した。組織は、4x,10x,20xおよび40xの対物レンズ下で分析した。強い膜染色(3+)は、4xで容易に可視化され、10xで確認した。中程度の膜染色(2+)は、10xで可視可能であり、20xで確認した。弱い染色(1+)は、20xまたは40xを必要とした(図16)。3+染色の存在において、膜は、頂端部および外側の細胞境界において、濃かった。接線方向断面において、完全な周パターンが明瞭であった(図16(A)および(B))。2+膜染色は、強度が弱くて3+よりも薄く、通常は頂端内腔境界に、たまには外側細胞境界に、局在した。1+の弱い膜は、一般に、内腔境界に限られた。付随の細胞質染色は、癌のタイプに依存して、変動した。
卵巣癌TMA上の94の評価可能な試料のうち、70(74%)は漿液タイプ、10(11%)は粘液性、4(4%)は類内膜性、3(3%)は澄明細胞タイプ、残余の7(8%)は混合型希少癌であった。卵巣癌の87試料のうち、各細胞タイプのFRα陽性率は、漿液タイプでは100%(70/70)、粘液性では80%(8/10)、類内膜性では75%(3/4)、および、澄明細胞タイプでは67%(2/3)であった。漿液タイプと粘液性タイプの差は、フィッシャーの正確確率検定で、p値0.014で、有意である(図12)。FRα状態は、組織学的悪性度または臨床ステージについて、有意ではなかった。共存する細胞質染色は、漿液タイプにおいては、通常2+または3+であり、他の癌タイプにおいては、より弱く、より低い頻度であった。
子宮内膜試料において、正常では80%(4/5)が(図17(A))、非定形複雑型増殖症では100%(6/6)が(図17(B))、88の類内膜型および1つの澄明細胞型を含む(図18および図19)腺癌では89%(80/90)が、FRαを発現した。8つの類内膜腺癌は、扁平上皮化生の領域を包含していた。正常な子宮内膜において、膜染色は、弱く、頂部内腔境界に限られていた(図17(A))。非定形複雑型増殖症および癌において、染色は主に内腔に位置し、いくつかの症例では、外側細胞境界に追加の染色があった(図17(B))。3+の膜染色の存在において、細胞質染色は、強度が、強い(図18(A))から弱い(図18(B)および(C))まで変動した。1+または2+の膜染色を有する癌は、細胞質染色をめったに表さなかった。扁平上皮化生細胞および澄明細胞の大部分は、中程度から強い膜染色を示した(図19(A)および(B))。
悪性度1の癌の100%、悪性度2の癌の96%、および悪性度3の癌の96%において、FRαの発現は陽性であった(悪性度1対悪性度3、p値=0.0029;悪性度2対悪性度3、p値=0.034)。FRα状態は、T1対T2/3およびステージI対ステージII/IIIに関して、有意ではなかった。
正常な卵管の17のコア、慢性卵管炎の16の試料、および、20の卵管漿液癌は、膜染色および細胞質染色に強く陽性であった(図20(A)〜(C))。
実施例18: 葉酸受容体アルファの発現についての組織学的結腸直腸試料の評価
結腸直腸組織試料におけるFRαの発現を評価するために、免疫組織化学調査を行った。分析は、US Biomax(catalog # BC051111)から得た組織マイクロアレイ(TMA)試料を用いて行った。TMAは、結腸直腸癌を有することが知れられている対象者に由来する90の重複試料、および、10の正常な結腸直腸癌試料を包含していた。試料を、実施例7で記載したように、抗体26B3で染色した。結腸直腸癌を有することが知れられている対象者に由来する90の試料のうち、18(20%)がFRα発現について陽性であったのに対し、正常試料はどれも陽性ではなかった。さらに、陽性の染色は、一般に、中程度ないし弱く、疾病のステージへの明らかな関連は、認められなかった。
実施例19: 葉酸受容体アルファの発現についての組織学的甲状腺試料の評価
甲状腺組織試料におけるFRαの発現を評価するために、免疫組織化学調査を行った。分析は、US Biomax(catalog # TH802a)から得た組織マイクロアレイ(TMA)試料を用いて行った。試料を、実施例7で記載したように、抗体26B3で染色した。甲状腺乳頭癌は、FRα膜発現について強く陽性であり(26/28,93%)、5つの試料すべてがFRα染色に陰性の髄様癌から識別可能で、先の報告に合致していた。興味深いことに、濾胞状腺種は、大濾胞型および小濾胞型に分けることが可能であり、これらは、それぞれ、3/13(23%)および18/22(82%)がFRα発現について陽性を示した。ある程度の陽性が、TMA上の少数のヒュルトレ細胞癌試料においても(2/3,67%)、濾胞腺癌試料においても(3/7,43%)見られた。結果の概要を、表13に示す。