JP6524882B2 - ガラスストランド、ガラスロービング及びその製造方法 - Google Patents

ガラスストランド、ガラスロービング及びその製造方法 Download PDF

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Description

本発明は、ガラスストランド、ガラスロービング及び該ガラスロービングの製造方法に関する。
耐アルカリ性からなるガラスストランドは、GRC(Glassfiber Reinforced Concrete)の補強材として広く用いられており、セメントに対して、脆性を補い、引張強度、曲げ強度、衝撃強度を向上させる有効な手段として知られている。
GRCの製造方法としては、例えば、予め混合されたセメント、骨材、水、混和剤等からなるモルタルに、ガラスストランドを切断することにより得られたガラスチョップドストランドを混合した後、所定の形状に成形することにより製造する方法が知られている。
また、ガラスストランドは、数百から数千のノズルを有するブッシングから溶融ガラスを引き出すことによって得られるガラスフィラメントに、アプリケーターを用いてサイジング剤を塗布した後、これらを集束することにより得ることができる。得られたガラスストランドは、所定の長さに切断され、ガラスチョップドストランドとして用いられる。
ガラスストランドを切断してガラスチョップドストランドとする方法としては、ダイレクト法と、インダイレクト法がある。ダイレクト法は、サイジング剤を用いてガラスフィラメントを集束することにより得られたガラスストランドを巻き取らず、集束した直後に切断し、乾燥させる方法である。
他方、インダイレクト法は、サイジング剤を用いてガラスフィラメントを集束することにより得られたガラスストランドを引き揃えた状態で、紙管に巻き取って巻回体を作製する紡糸工程と、巻き取った巻回体を乾燥し、サイジング剤の被膜をガラスストランドの表面に形成する乾燥工程と、乾燥した巻回体からガラスストランドを解舒しながら所定長にカットし、ガラスチョップドストランドを製造する加工工程とを備える方法である。
上記サイジング剤は、紡糸工程において形成されるガラスフィラメント表面に傷が入るのを防止する機能、加工工程における毛羽の発生や糸切れを防止する機能並びにガラスストランドに結束性を付与し、GRCの成型時における作業性、強度特性を向上させる機能を有している。
このようなサイジング剤の一例として、下記の特許文献1には、フィルム形成剤としての(メタ)アクリル酸エステル系共重合体と、界面活性剤としてのポリエチレングリコールラウリルエーテルとを含むサイジング剤が開示されている。また、下記の特許文献2には、ポリアクリル酸エステル樹脂と、カチオン界面活性剤とを含むサイズ剤が開示されている。
特開昭59−217646号公報 特公昭61−25667号公報
しかしながら、特許文献1や特許文献2のようなサイジング剤を用いて得られたガラスストランドでは、水中での開繊性が十分ではなく、水中においてモノフィラメント化し難いという問題があった。そのため、水を含むモルタル中での分散性が十分でなく、GRCの強度特性を十分に高めることができなかった。
また、特許文献1や特許文献2のサイジング剤を用いて、インダイレクト法によりガラスストランドを製造する場合、乾燥工程において、ガラス繊維からアルカリ成分が溶出し、サイジング剤の被膜中に混入することがあった。アルカリ成分が被膜中に混入すると、被膜の構成成分と反応し、被膜の機能が損なわれることがあった。そのため、サイジング剤を乾燥させることにより得られた被膜の脆性化や、劣化を引き起こしやすく、巻回体からガラスストランドを解舒し難くなることがあった。この現象は、特に、ガラスストランドの水分率が0.5質量%以下の時に顕著に現れる。
本発明の目的は、モルタル中における分散性に優れた(水中において容易にモノフィラメント化することができる)、ガラスストランド、それを用いたガラスロービング及び該ガラスロービングの製造方法を提供することにある。
本発明に係るガラスストランドは、ガラス組成として、ZrOを12質量%以上、及びRO(RはLi、Na及びKから選択される少なくとも1種)を10質量%以上含有する複数本のガラスフィラメントからなるガラスストランドであって、前記ガラスフィラメントの表面を覆っている被膜を有し、前記被膜が、芳香環を有する飽和ポリエステル樹脂を含み、前記飽和ポリエステル樹脂のガラス転移温度が、10℃以下であり、前記被膜中における前記飽和ポリエステル樹脂の含有量が40質量%以上である。
本発明に係るガラスストランドは、好ましくは、前記被膜が、非イオン界面活性剤をさらに含む。
本発明に係るガラスストランドは、好ましくは、前記被膜が、ポリビニルピロリドンをさらに含む。
本発明に係るガラスストランドは、好ましくは、前記被膜中における前記飽和ポリエステル樹脂の含有量が、90質量%以下である。
本発明に係るガラスストランドは、好ましくは、前記被膜中において、前記飽和ポリエステル樹脂の含有量が、前記非イオン界面活性剤の含有量の1.2倍以上である。
本発明に係るガラスストランドは、好ましくは、前記被膜中における前記非イオン界面活性剤の含有量が、10質量%以上、50質量%以下である。
本発明に係るガラスストランドは、好ましくは、前記被膜中における前記ポリビニルピロリドンの含有量が、0.1質量%以上、20質量%以下である。
本発明に係るガラスストランドは、好ましくは、前記非イオン界面活性剤が、分子量1500以下のポリオキシアルキレンアルキルエーテルである。
本発明に係るガラスストランドは、好ましくは、番手が、20tex以上、1000tex以下である。
本発明に係るガラスストランドは、好ましくは、カット長が、3mm以上、40mm以下である。
本発明に係るガラスストランドは、好ましくは、セメント系材料の補強材に用いられる。
本発明に係るガラスロービングは、本発明に従って構成されるガラスストランドの巻回体からなる。
本発明に係るガラスロービングの製造方法は、本発明に従って構成されるガラスロービングの製造方法であって、ノズルから引き出された溶融ガラスを冷却してガラスフィラメントを形成する工程と、複数本の前記ガラスフィラメントの表面に前記被膜を形成するためのサイジング剤を塗布し、前記複数本のガラスフィラメントを集束する工程と、前記複数本のガラスフィラメントを集束することにより得られたガラスストランドを巻き取って、巻回体を作製する工程と、前記ガラスストランドの水分率が0.5質量%以下まで前記巻回体を乾燥する工程とを備える。
本発明によれば、モルタル中における分散性に優れた(水中において容易にモノフィラメント化することができる)、ガラスストランドを提供することができる。
本発明の一実施形態に係るガラスロービングを示す模式的斜視図である。
以下、好ましい実施形態について説明する。但し、以下の実施形態は単なる例示であり、本発明は以下の実施形態に限定されるものではない。また、各図面において、実質的に同一の機能を有する部材は同一の符号で参照する場合がある。
本発明のガラスストランドは、ガラス組成として、ZrOを12質量%以上、及びRO(RはLi、Na及びKから選択される少なくとも1種)を10質量%以上含有する複数本のガラスフィラメントからなる。本発明のガラスストランドの水分率は、0.5質量%以下である。また、本発明のガラスストランドは、上記ガラスフィラメントの表面が被膜で覆われている。上記被膜は、芳香環を有する飽和ポリエステル樹脂を含んでいる。上記飽和ポリエステル樹脂のガラス転移温度は、10℃以下である。上記被膜中における上記飽和ポリエステル樹脂の含有量は、40質量%以上である。なお、上記飽和ポリエステル樹脂の含有量は、上記被膜全体を100質量%としたときの含有量である。
本発明のガラスストランドは、ガラス組成として、ZrOを12質量%以上含有しているガラスフィラメントを含むので、耐アルカリ性に優れている。そのため、セメント系材料の補強材として用いた場合にも、セメント中のアルカリ性物質によりガラスストランドが浸食され難い。従って、アルカリ性物質によって、ガラスストランドの機械的強度が低下することを防止することができる。
もっとも、ZrOを12質量%以上含有しているガラスは、溶融し難いが、本発明のガラスストランドは、ROを10質量%以上含有するので、ZrOを12質量%以上含有していても溶融性にも優れている。なお、ROが10質量%以上とは、ガラスフィラメント中におけるLiO、NaO及びKOの含有量の総和が、10質量%以上であることをいう。
ガラスフィラメントの表面を覆っている上記被膜は、二重結合を有しない飽和ポリエステル樹脂により構成されているので、ガラスから溶出したアルカリ成分との反応性が低い。そのため、本発明のガラスストランドでは、アルカリ成分により被膜の機能が阻害され難く、被膜の脆性化や、劣化が起こり難い。
本発明のガラスストランドでは、上記被膜を構成している飽和ポリエステル樹脂のガラス転移温度が10℃以下であるため、上記被膜が、常温にて固化され難い。よって、この点からも、本発明のガラスストランドでは、乾燥による被膜の脆性化や、劣化が起こり難い。
また、上記被膜は常温にて固化され難いことから、ガラスフィラメントの集束性がそれほど高くならないため、本発明のガラスストランドは、モルタル中における分散性に優れ、水中において容易にモノフィラメント化することができる。
本発明のガラスストランドでは、上記被膜を構成している飽和ポリエステル樹脂が芳香環を有するため、高い疎水性を有している。そのため、水分がガラスフィラメント間に浸入すると、ガラスフィラメント間に存在する水分が被膜を構成している飽和ポリエステル樹脂と反発し合う。よって、このガラスフィラメント間における飽和ポリエステル樹脂と水分との反発によって、ガラスストランドが開繊し、容易にモノフィラメント化することができる。
このように、本発明のガラスストランドは、水中で容易にモノフィラメント化することができるので、水分を含まないセメントや骨材に予め混合しておき、使用時に水を加えることにより容易に開繊させることができる。また、本発明のガラスストランドは、開繊性に優れ、モルタル中において、容易にモノフィラメントを分散させることができるので、モルタルが乾燥収縮するときにクラックが発生し難い。また、モルタル中における分散性に優れていることから、セメント系材料の機械的強度を効果的に高めることができる。
さらに、本発明のガラスストランドは、被膜中における前記飽和ポリエステル樹脂の含有量が40質量%以上であるため、水中におけるガラスストランドの開繊性をより一層高めることができる。
セメント系材料の機械的強度を効果的に高めることができるので、本発明のガラスストランドは、セメント系材料の補強材として、好適に用いることができる。なお、本発明のガラスストランドは、巻き取ってガラスロービングとした状態で保管等を行い、使用時にガラスロービングからガラスストランドを引き出すようにしてもよい。
以下、本発明のガラスストランド及びガラスロービングについて、さらに詳細に説明する。
(ガラスストランド)
本発明のガラスストランドは、複数本のガラスフィラメントの集束体である。上記ガラスストランドを構成するガラスフィラメントの本数としては、特に限定されないが、例えば、数十本から数百本程度とすることができる。上記ガラスフィラメントは、表面にサイジング剤を塗布することにより集束される。
上記ガラスストランドは、例えば、ガラス組成として、質量%で、SiO 54〜65%、ZrO 12〜25%、LiO 0〜5%、NaO 10〜17%、KO 0〜8%、R’O(ただし、R’は、Mg、Ca、Sr、Ba、Znを表す) 0〜10%、TiO 0〜7%、Al 0〜2%を含み、好ましくは、質量%で、SiO 57〜64%、ZrO 14〜24%、LiO 0.5〜3%、NaO 11〜15%、KO 1〜5%、R’O(ただし、R’は、Mg、Ca、Sr、Ba、Znを表す)0.2〜8%、TiO 0.5〜5%、Al 0〜1%を含む。
ガラスストランドの番手は、特に限定されないが、20tex以上、1000tex以下であることが好ましい。ガラスストランドの番手が、上記範囲内にある場合、モルタル中における分散性を高めることができる。
本発明のガラスストランドは、所定長にカットされることにより、ガラスチョップドストランドとして用いられることが望ましい。ガラスストランドのカット長としては、特に限定されないが、3mm以上、40mm以下であることが好ましい。カット長が3mm未満である場合、セメント系材料の機械的強度が発現されないことがある。他方、カット長が40mmより大きいと、モルタル中で嵩高くなるため、混練し難くなることがある。
上述したように、本発明のガラスストランドは、表面が被膜により覆われている。上記被膜は、サイジング剤をガラスフィラメントの表面に塗布することにより形成されている。
本発明のガラスストランドの強熱減量は、0.5質量%以上、1.5質量%以下であることが好ましい。なお、強熱減量は、JIS R3420(2013年)に記載された方法により測定した値である。
上記被膜は、飽和ポリエステル樹脂を含む。上記被膜中における上記飽和ポリエステル樹脂の含有量が40質量%以上である。上記被膜中における上記飽和ポリエステル樹脂の含有量が45質量%以上であることが好ましい。上記被膜中における上記飽和ポリエステル樹脂の含有量が90質量%以上であることが好ましい。また、上記被膜は、非イオン界面活性剤や、ポリビニルピロリドンをさらに含んでいてもよい。
(飽和ポリエステル樹脂)
上記飽和ポリエステル樹脂としては、芳香環を有し、かつガラス転移温度が、10℃以下である限り、特に限定されない。なお、被膜が、常温にてより固化され難くするためには、飽和ポリエステル樹脂のガラス転移温度は、0℃以下が好ましく、−5℃以下がより好ましい。
上記飽和ポリエステル樹脂は、二塩基酸成分とグリコール成分とを縮合させることにより得られる。
上記飽和ポリエステル樹脂を構成する二塩基酸成分としては、飽和脂肪族ジカルボン酸としての蓚酸、マロン酸、琥珀酸、グルタル酸、アジピン酸、ピメリン酸、スベリン酸、アゼライン酸、セバシン酸や、ジフェニルジカルボン酸などのフェニル基を有している二塩基酸などを用いることができる。
また、上記飽和ポリエステル樹脂を構成するグリコール成分としては、エチレングリコール、プロピレングリコールなどの一般的なグリコール成分や、ビスフェノールAアルキレンオキシド付加物のようなフェニル基を有しているグリコール成分を用いることができる。
上記の飽和ポリエステル樹脂は、芳香環を有しているので、疎水性が高く、上述したようにガラスフィラメント同士間の反発が得られ易い。
被膜中における上記飽和ポリエステル樹脂の含有量は、40質量%以上である。上記飽和ポリエステル樹脂の含有量が上記下限以上である場合、水中におけるガラスストランドの開繊性をより一層高めることができる。より一層ガラスストランドの開繊性を高める観点から、上記飽和ポリエステル樹脂の含有量は、下記非イオン界面活性剤の含有量の1.2倍以上であることが好ましい。
一方、上記飽和ポリエステル樹脂の含有量の上限は、90質量%であることが好ましい。上記飽和ポリエステル樹脂の含有量が上記上限を超える場合、被膜が粘稠となり、加工工程で加工部材に接触する際に毛羽立つことがあるためである。なお、上記飽和ポリエステル樹脂の含有量は、上記被膜全体を100質量%としたときの含有量である。
(非イオン界面活性剤)
上記被膜中には、さらに非イオン界面活性剤が含まれていてもよい。上記非イオン界面活性剤は、両親媒性で、イオン化しにくいため、ガラス或いは他の原料へ化学的に吸着しにくく、上記飽和ポリエステル樹脂内に入り込み、かつ上記飽和ポリエステル樹脂内に水分を浸入し易くすることができる。そのため、上記被膜が、非イオン界面活性剤を含む場合、樹脂内に水分が取り込まれやすくなり、上述したガラスフィラメント間の反発をより一層生じ易くすることができ、ガラスストランドをより一層容易に開繊させることができる。
上記非イオン系界面活性剤としては、特に限定されないが、エーテル型であるポリオキシエチレンアルキルエーテル、ポリオキシアルキレンアルキルエーテル、ポリオキシエチレンアルキルアリルエーテル、ポリオキシエチレンポリオキシプロピレングリコール等や、エステル型であるプロピレングリコール等の高級アルコール脂肪酸エステル等を用いることができる。有害性が低いことから、ポリオキシアルキレンアルキルエーテルを用いることが好ましい。
上記非イオン面活性剤の分子量は、1500以下であることが好ましい。上記非イオン界面活性剤の分子量が、上記上限以下である場合、上記飽和ポリエステル樹脂内により一層容易に入り込むことができ、水分が樹脂内に入りやすくなるので、ガラスフィラメント間の反発をより一層生じ易くすることができ、ガラスストランドをより一層容易に開繊させることができる。なお、非イオン界面活性剤の分子量は、300以上であることが好ましい。
上記非イオン界面活性剤の含有量としては、特に限定されないが、10質量%以上、50質量%以下であることが好ましい。上記非イオン界面活性剤の含有量が、上記範囲内にある場合、ガラスフィラメント間の反発をより一層生じ易くすることができ、ガラスストランドをより一層容易に開繊させることができる。
なお、上記非イオン界面活性剤の含有量は、上記被膜全体を100質量%としたときの含有量である。
(ポリビニルピロリドン)
上記被膜は、さらにポリビニルピロリドンを含んでいることが好ましい。
上記被膜は、常温で固化し難い、上記飽和ポリエステル樹脂や、ポリオキシアルキルエーテル系界面活性剤を含むので、被膜の粘稠性が高くなる傾向にあるが、その場合、上記ポリビニルピロリドンを添加することにより、被膜の粘稠性を低下させることができる。
上記被膜にポリビニルピロリドンが含まれる場合、被膜の粘稠性を低下させることができるので、ガラスストランドをカットしたり巻き取ったりして加工する際に、毛羽や糸切れが発生することをより一層抑制することができる。しかも、上記ポリビニルピロリドンは、水溶性であるためにガラスストランドの開繊によるモノフィラメント化を阻害することもない。
上記ポリビニルピロリドンの含有量は、特に限定されないが、0.1質量%以上、20質量%以下であることが好ましい。上記ポリビニルピロリドンの含有量が少なすぎると、十分に被膜の粘稠性を低下させられないことがある。他方、上記ポリビニルピロリドンの含有量が多すぎると、他の原料(飽和ポリエステル樹脂、非イオン界面活性剤)より水溶性が低いため、水中においてガラスストランドが瞬時に十分に開繊せず、モノフィラメント化し難い場合がある。
なお、上記ポリビニルピロリドンの含有量は、上記被膜全体を100質量%としたときの含有量である。
(ガラスロービング)
図1は、本発明の一実施形態に係るガラスロービングを示す模式的斜視図である。図1に示すように、ガラスロービング10は、ガラスストランド11が層状になるように重ねて巻き取られた円筒形状の構造を有している。ガラスストランド11は、本発明に従って構成される上記ガラスストランドである。すなわち、本発明のガラスロービングは、本発明に従って構成される上記ガラスストランドの巻回体からなる。
本発明のガラスロービングの製造方法は、特に限定されず、例えば、以下の方法により製造することができる。
まず、ガラス溶融炉内に投入されたガラス原料を溶融して溶融ガラスとし、溶融ガラスを均質な状態とした後に、ブッシングに付設された耐熱性を有するノズルから溶融ガラスを引き出す。その後、引き出された溶融ガラスを冷却してガラスフィラメントとする。
次に、このガラスフィラメントの表面に、上述した本発明のガラスストランドの被膜を形成するためのサイジング剤を塗布する。サイジング剤が均等に塗布された状態で、そのガラスフィラメントを数百から数千本引き揃え、集束してガラスストランドとする。得られたガラスストランドは、ダイレクト法により直接カットしてもよいが、本製造方法では、インダイレクト法を用いる方法について例示する。
インダイレクト法による製造方法では、まず、サイジング剤を用いてガラスフィラメントを集束することにより得られたガラスストランドを引き揃えた状態で、製造紙管に巻き取ってケーキ(巻回体)を作製する。続いて、巻き取られたケーキを、ガラスストランドの水分率が0.5質量%以下まで乾燥し、サイジング剤由来の被膜をガラスストランドの表面に形成し、ガラスロービングを得る。なお、得られた複数個のガラスロービングから解舒されたガラスストランドを一緒に束ねて巻き取ることによりガラスロービングとしてもよい。
このようにして作製されたガラスロービングは、その形状でストックし、必要に応じて使用することができる。また、まとめてカットすることもできる。ガラスロービングは、ガラスストランドを解舒しながらカットし、ガラスチョップドストランドとして用いることができる。
回巻形状に巻き取られたガラスロービングは、防塵や汚れの防止や、繊維表面の保護などの目的のため、有機フィルム材、例えばシュリンク包装やストレッチフィルム等、用途に応じた包装を施し、複数段に積層した状態で顧客に供給されることになる。
本発明のガラスロービングの製造方法によれば、適温まで冷却された状態でサイジング剤塗布工程を行うことによって、過不足なく均等な塗布が行え、これらの工程の後に巻き取り工程を行うことで、優れた品位のガラスロービングを得ることができる。また、ガラスストランドの水分率を0.5質量%以下まで乾燥させても、被膜の脆性化や、劣化が起こりにくい。
上記サイジング剤は、芳香環を有する飽和ポリエステル樹脂を含む。上記飽和ポリエステル樹脂のガラス転移温度は、10℃以下である。上記サイジング剤に含まれる、被膜を形成する成分中における上記飽和ポリエステル樹脂の割合は40質量%以上である。また、上記サイジング剤は、非イオン界面活性剤や、ポリビニルピロリドンを含んでいてもよい。
上記サイジング剤を構成する飽和ポリエステル樹脂及び非イオン界面活性剤は、それぞれ、上記被膜の欄で説明した飽和ポリエステル樹脂及び非イオン界面活性剤と同じものを、上記被膜の欄で説明した添加量で用いることができる。また、上記ポリビニルピロリドンを上記被膜の欄で説明した添加量で用いることができる。
さらに、上記サイジング剤は、上記成分以外に、例えばシランカップリング剤を含んでいてもよい。上記シランカップリング剤としては、具体的には、アミノシラン、エポキシシラン、ビニルシラン、アクリルシラン、クロルシラン、メルカプトシラン、ウレイドシランなどが使用できる。なお、シランカップリング剤を添加することで、ガラスストランド表面のサイジング剤との反応性を改善することができ、引張強度等の機械的強度をさらに一層向上させることができる。
また、上記サイジング剤中には、上述のシランカップリング剤以外に、潤滑剤、ノニオン系の界面活性剤、帯電防止剤等の各成分を含むことができ、それぞれの成分の配合比は、必要に応じて決定すればよい。
上記サイジング剤は、二重結合を有さない飽和ポリエステル樹脂を含んでいるので、ガラス繊維から溶出したアルカリ性成分と反応し難い。そのため、本発明のガラスロービングの製造方法では、インダイレクト法における乾燥時に、サイジング剤の機能が損なわれ難い。しかも、飽和ポリエステル樹脂のガラス転移温度は10℃以下であるため、常温で固化しないことから、乾燥による被膜の脆性化や劣化が起こり難い。また、得られたガラスロービングからストランドを解舒する際、解舒抵抗が大きくなり難く、糸切れの発生を抑制することが可能となる。さらに、サイジング剤に含まれる飽和ポリエステル樹脂の含有量が40質量%以上であることにより、水中におけるガラスストランドの開繊性をより一層高めることができる。
上記サイジング剤の塗布量は、0.5質量%以上、1.5質量%以下であることが好ましい。サイジング剤の塗布量が0.5質量%未満であると、ガラスフィラメントが集束せず、ガラスストランドの製造が困難となったり、集束性が弱いため、毛羽が発生しやすくなったりすることがある。他方、1.5質量%を越えると、サイジング剤に水が浸透し難いため、水中において、十分にガラスストランドが開繊せず、モノフィラメント化し難い。
以下、本発明について、具体的な実施例に基づいて、さらに詳細に説明する。本発明は、以下の実施例に何ら限定されるものではなく、その要旨を変更しない範囲において適宜変更して実施することが可能である。
(実施例1)
(サイジング剤の調製)
被膜中の構成成分の質量割合が、被膜全量に対して、飽和ポリエステル樹脂61.3質量%、ポリオキシアルキレンアルキルエーテル30.2質量%、ポリビニルピロリドン8.2質量%及びエポキシシランカップリング剤0.3質量%となるように、飽和ポリエステル樹脂、ポリオキシアルキレンアルキルエーテル、ポリビニルピロリドン及びエポキシシランカップリング剤を水に均質混合して、サイジング剤を調製した。
なお、飽和ポリエステル樹脂としては、ガラス転移温度(Tg)が、−10℃の飽和ポリエステル樹脂を使用した。
(ガラスチョップドストランドの作製)
まず、SiO 57.9質量%、ZrO 17.2質量%、LiO 0.5質量%、NaO 14.8質量%、KO 1.3質量%、CaO 0.9質量%、TiO 7.4質量%の組成を有する原料を溶融した溶融ガラスを、数百〜数千のノズルを有するブッシングからガラスフィラメントを引き出した。
次に、得られたガラスフィラメントの表面にアプリケーターを用いて、予め調製した上記サイジング剤を強熱減量が0.72質量%となるように調整して塗布し、ガラスフィラメントを束ねてガラスストランドを製造し、ガラスストランドを巻き取ってケーキを作製した。なお、強熱減量は、JIS R3420(2013年)に記載された方法により測定した。
次いで、そのケーキを130℃、10時間の条件で乾燥し、ケーキからストランドを解舒しながら13mmのカット長に切断し、ガラスチョップドストランドを作製した。
(実施例2〜9及び比較例1〜3)
サイジング剤の組成、サイジング剤塗布量及びカット長を下記の表1〜3のように設定したこと以外は、実施例1と同様にして、ガラスチョップドストランドを作製した。
なお、サイジング剤を調製するに際し、比較例1では、Tgが−10℃の飽和ポリエステル樹脂の代わりに、Tgが20℃の飽和ポリエステル樹脂を用いた。また、比較例3では、Tgが−10℃の飽和ポリエステル樹脂の代わりに、Tgが−5℃の不飽和ポリエステル樹脂を用いた。
(評価)
実施例1〜9及び比較例1〜3で得られたガラスチョップドストランドについて、下記の評価を行った。結果を下記の表1〜3に示す。
水分率は、JIS R3420(2013年)に従い測定した。
開繊性は、実施例1〜9及び比較例1〜3で得られた各ガラスチョップドストランドを用い評価した。開繊性は、水中にガラスチョップドストランドを投入した後に完全にモノフィラメント化していないガラスチョップドストランドの数をカウントすることにより評価した。
より具体的には、まず、20リットルの水を200rpmの回転数で攪拌機を使用して攪拌する。続いて、その中に、測り取った10gのチョップドストランドを投入し、30秒間攪拌を行う。次に、ガラスチョップドストランドを混入した20リットルの水を抄紙機に移し、目開きが約100μmのメッシュにより、ガラスチョップドストランドのみを抄きとった。続いて、メッシュ上に残ったガラスチョップドストランドを観察し、完全にモノフィラメント化していないガラスチョップドストランドの個数をカウントした。
Figure 0006524882
Figure 0006524882
Figure 0006524882
10…ガラスロービング
11…ガラスストランド

Claims (11)

  1. ガラス組成として、ZrOを12質量%以上、及びRO(RはLi、Na及びKから選択される少なくとも1種)を10質量%以上含有する複数本のガラスフィラメントからなるガラスストランドであって、
    前記ガラスフィラメントの表面を覆っている被膜を有し、
    前記被膜が、芳香環を有する飽和ポリエステル樹脂と、ポリビニルピロリドンと、非イオン界面活性剤とを含み、
    前記飽和ポリエステル樹脂のガラス転移温度が、10℃以下であり、前記被膜中における前記飽和ポリエステル樹脂の含有量が40質量%以上である、ガラスストランド。
  2. 前記被膜中における前記飽和ポリエステル樹脂の含有量が、90質量%以下である、請求項1に記載のガラスストランド。
  3. 前記被膜中において、前記飽和ポリエステル樹脂の含有量が、前記非イオン界面活性剤の含有量の1.2倍以上である、請求項1又は2に記載のガラスストランド。
  4. 前記被膜中における前記非イオン界面活性剤の含有量が、10質量%以上、50質量%以下である、請求項のいずれか1項に記載のガラスストランド。
  5. 前記被膜中における前記ポリビニルピロリドンの含有量が、0.1質量%以上、20質量%以下である、請求項のいずれか1項に記載のガラスストランド。
  6. 前記非イオン界面活性剤が、分子量1500以下のポリオキシアルキレンアルキルエーテルである、請求項のいずれか1項に記載のガラスストランド。
  7. 番手が、20tex以上、1000tex以下である、請求項1〜のいずれか1項に記載のガラスストランド。
  8. カット長が、3mm以上、40mm以下である、請求項1〜のいずれか1項に記載のガラスストランド。
  9. セメント系材料の補強材に用いられる、請求項1〜のいずれか1項に記載のガラスストランド。
  10. 請求項1〜のいずれか1項に記載のガラスストランドの巻回体からなる、ガラスロービング。
  11. 請求項10に記載のガラスロービングの製造方法であって、
    ノズルから引き出された溶融ガラスを冷却してガラスフィラメントを形成する工程と、 複数本の前記ガラスフィラメントの表面に前記被膜を形成するためのサイジング剤を塗布し、前記複数本のガラスフィラメントを集束する工程と、
    前記複数本のガラスフィラメントを集束することにより得られたガラスストランドを巻き取って、巻回体を作製する工程と、
    前記ガラスストランドの水分率が0.5質量%以下まで前記巻回体を乾燥する工程とを備える、ガラスロービングの製造方法。
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