JP2019094238A - ガラスストランド及びガラスロービング - Google Patents

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皓是 保田
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真治 西堀
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Abstract

【課題】結束性に優れ、GRCの耐久性を効果的に高め得る、ガラスストランドを提供する。【解決手段】複数本のガラスフィラメントと、ガラスフィラメントの表面を覆っている被膜とを備えるガラスストランドであって、被膜が、分子量が500を超えるエポキシ樹脂を含み、被膜中におけるポリウレタン樹脂の含有量が、固形分比率で、70質量%以下である、ガラスストランド。【選択図】なし

Description

本発明は、ガラスストランド及びガラスロービングに関する。
ガラスストランドは、ガラス繊維強化コンクリート(GRC(Glassfiber Reinforced Concrete))の補強材として広く用いられており、コンクリートに対して、脆性を補い、引張強度、曲げ強度、衝撃強度を向上させる有効な手段として知られている。
GRCの製造方法としては、例えば、予め混合されたセメント、骨材、水、混和剤等からなるモルタルに、ガラスストランドを切断することにより得られたガラスチョップドストランドを混合した後、所定の形状に成形することにより製造する方法が知られている。
また、ガラスストランドは、数百から数千のノズルを有するブッシングから溶融ガラスを引き出すことによって得られるガラスフィラメントに、アプリケーターを用いてサイジング剤を塗布し、ガラスフィラメントを集束することにより得ることができる。得られたガラスストランドは、所定の長さに切断され、ガラスチョップドストランドとして用いられる。
ガラスフィラメントを集束するためのサイジング剤の一例として、下記の特許文献1には、シランカップリング剤と、ブロックイソシアネートを含むポリウレタン皮膜形成剤と、水とを含むサイジング剤が開示されている。また、下記の特許文献2には、ポリ酢酸ビニル樹脂と、ポリエーテル系ウレタン樹脂とを含むサイジング剤が開示されている。
特表2014−534147号公報 特開2017−119590号公報
しかしながら、特許文献1や特許文献2のサイジング剤により形成されたガラスストランドの被膜は、耐熱性や、耐水性、あるいは耐薬品性が十分でない場合がある。このようにガラスストランドの被膜の耐熱性、耐水性、あるいは耐薬品性が十分でない場合、GRCを長期間に亘り、熱や水、あるいはアルカリ性の環境下に曝すと、GRC中のガラスストランドの被膜が劣化することがある。この場合、ガラスストランドがGRCにかかる負荷に耐えられなくなり、GRCの強度が時間の経過とともに低下する(耐久性が低い)場合がある。また、GRC成形時においても、ガラスストランドの被膜の耐水性等が不十分であると、ガラスストランドの解繊等が起こり易く、GRC中のガラスストランドの分散が不均一になる。さらに、GRC成形時のセメント系材料の流動性が低下し、作業性が悪くなるという問題がある。従って、特許文献1や特許文献2のサイジング剤を用いてガラスストランドを形成した場合、作業性やGRCの耐久性を十分に高められない場合があった。
本発明の目的は、結束性に優れ、GRCの耐久性を効果的に高め得る、ガラスストランド、及び該ガラスストランドを用いたガラスロービングを提供することにある。
本発明に係るガラスストランドは、複数本のガラスフィラメントと、前記ガラスフィラメントの表面を覆っている被膜とを備えるガラスストランドであって、前記被膜が、分子量が500を超えるエポキシ樹脂を含み、前記被膜中におけるポリウレタン樹脂の含有量が、固形分比率で、70質量%以下であることを特徴としている。
本発明に係るガラスストランドでは、前記ガラスフィラメントが、ZrOを12質量%以上、及びRO(RはLi、Na及びKから選択される少なくとも1種以上)を10質量%以上含有することが好ましい。
本発明に係るガラスストランドでは、前記エポキシ樹脂が、ビスフェノールA型エポキシ樹脂であることが好ましい。
本発明に係るガラスストランドでは、前記被膜が、ポリ酢酸ビニル樹脂をさらに含むことが好ましい。前記被膜中における前記ポリ酢酸ビニル樹脂の含有量は、固形分比率で、5質量%以上、80質量%以下であることが好ましい。
本発明に係るガラスストランドでは、番手が、20tex以上、500tex以下であることが好ましい。
本発明に係るガラスストランドでは、長さが、3mm以上、40mm以下であることが好ましい。
本発明に係るガラスストランドでは、セメント系材料の補強材に用いられることが好ましい。
本発明に係るガラスロービングは、本発明に従って構成されるガラスストランドからなることを特徴としている。
本発明によれば、結束性に優れ、GRCの耐久性を効果的に高め得る、ガラスストランドを提供することができる。
本発明の一実施形態に係るガラスロービングを示す模式的斜視図である。 ガラスストランドの結束性の評価における判定基準Aの一例としての写真を示す図である。 ガラスストランドの結束性の評価における判定基準Bの一例としての写真を示す図である。 ガラスストランドの結束性の評価における判定基準Cの一例としての写真を示す図である。
以下、好ましい実施形態について説明する。但し、以下の実施形態は単なる例示であり、本発明は以下の実施形態に限定されるものではない。また、図面において、実質的に同一の機能を有する部材は同一の符号で参照する場合がある。
[ガラスストランド]
本発明のガラスストランドは、複数本のガラスフィラメントの集束体である。複数本のガラスフィラメントは、表面にサイジング剤を塗布することにより集束される。サイジング剤は塗布された後、乾燥され被膜を形成する。従って、本発明のガラスストランドは、複数本のガラスフィラメントと、ガラスフィラメントの表面を覆っている被膜とを備える。
(ガラスフィラメント)
上記ガラスストランドを構成するガラスフィラメントの本数としては、特に限定されないが、例えば、数十本から数百本程度とすることができる。
上記ガラスフィラメントの具体的組成は、例えば、質量%で、SiO 54〜65%、ZrO 12〜25%、LiO 0〜5%、NaO 10〜17%、KO 0〜8%、R’O(ただし、R’は、Mg、Ca、Sr、Ba、Znを表す) 0〜10%、TiO 0〜7%、Al 0〜2%であり、好ましくは、質量%で、SiO 57〜64%、ZrO 14〜24%、LiO 0.5〜3%、NaO 11〜15%、KO 1〜5%、R’O(ただし、R’は、Mg、Ca、Sr、Ba、Znを表す) 0.2〜8%、TiO 0.5〜5%、Al 0〜1%である。
このように、ガラスフィラメントは、ZrOを12質量%以上、及びRO(RはLi、Na及びKから選択される少なくとも1種以上)を10質量%以上含有することが好ましい。なお、この場合、複数本のガラスフィラメントの全てが上記組成であることが望ましいが、複数本のガラスフィラメントのうちの一部のみが上記組成であってもよい。
ガラスフィラメントが、ZrOを12質量%以上含有する場合、耐アルカリ性をより一層高めることができる。そのため、GRCの補強材として用いた場合にも、セメント中のアルカリ性物質によりガラスストランドがより一層浸食され難い。従って、GRCの耐久性をより一層高めることができ、GRCの骨材として好適に用いることができる。
もっとも、ZrOは、溶融性を低下させる成分であるが、ガラスフィラメントが、さらにROを10質量%以上含有する場合、溶融性の低下をより一層抑制することができる。なお、ROが10質量%以上とは、ガラスフィラメント中におけるLiO、NaO及びKOの含有量の総和が、10質量%以上であることをいう。
(被膜)
本発明のガラスストランドを構成する上記被膜は、ガラスフィラメントの表面を覆っている。上記被膜は、複数本のガラスフィラメントのうち少なくとも一部のガラスフィラメントの表面を覆っていればよい。従って、複数本のガラスフィラメントのうち一部のガラスフィラメントのみの表面を覆っていてもよく、全てのガラスフィラメントの表面を覆っていてもよい。なお、上述したように、上記被膜は、サイジング剤をガラスフィラメントの表面に塗布し、乾燥させることにより形成されている。従って、上記被膜と、サイジング剤は同じ成分を含んでおり、以下に説明する被膜の成分は、サイジング剤にも適用できるものとする。
エポキシ樹脂;
上記被膜は、分子量が500を超えるエポキシ樹脂を含んでいる。上記被膜がエポキシ樹脂を含んでいるので、本発明のガラスストランドはGRCの曲げ強度などの機械的強度や、耐久性を高めることができる。また、分子量が500を超えるエポキシ樹脂を用いることで、ガラスストランドの結束性を高めることができる。
エポキシ樹脂としては、特に限定されず、ビスフェノールA型エポキシ樹脂、ビフェニル型2官能エポキシ樹脂、ビフェニル変性ノボラック型エポキシ樹脂、ビスフェノールF型エポキシ樹脂、ナフトール−クレゾール共縮合ノボラック型エポキシ樹脂、ナフトール−フェノール共縮合ノボラック型エポキシ樹脂、ジシクロペンタジエン−フェノール付加反応型エポキシ樹脂、トリフェニルメタン型エポキシ樹脂、フェノールノボラック型エポキシ樹脂、クレゾールノボラック型エポキシ樹脂、テトラフェニルエタン型エポキシ樹脂、ナフトールノボラック型エポキシ樹脂などを用いることができる。ガラスストランドの結束性をより一層高める観点から、エポキシ樹脂は、ビスフェノールA型エポキシ樹脂であることが好ましい。
エポキシ樹脂の分子量は、好ましくは900以上、より好ましくは1000以上、さらに好ましくは2000以上である。エポキシ樹脂の分子量が、上記に示す下限以上である場合、ガラスストランドの結束性をより一層高めることができ、GRCの曲げ強度などの機械的強度や、耐久性をより一層高めることができる。エポキシ樹脂の分子量の上限は、特に限定されないが、ガラスストランドの結束性をより一層高める観点から、例えば、50000以下、より好ましくは12000以下とすることができる。
なお、本明細書において、エポキシ樹脂の分子量は、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)により測定されたポリスチレン換算での重量平均分子量(Mw)である。
上記被膜中におけるエポキシ樹脂の含有量は、固形分比率で、好ましくは5質量%以上、より好ましくは20質量%以上である。上記被膜中におけるエポキシ樹脂の含有量は、固形分比率で、好ましくは80質量%以下、より好ましくは60質量%以下である。エポキシ樹脂の含有量が、上記に示す下限以上である場合、ガラスストランドの結束性をより一層高めることができ、GRCの耐久性をより一層高めることができる。また、エポキシ樹脂の含有量が、上記に示す上限以下である場合、ガラスストランドの結束性をより一層高めることができる。なお、上記エポキシ樹脂の含有量は、上記被膜を100質量%としたときの含有量である。
ポリウレタン樹脂;
上記被膜中におけるポリウレタン樹脂の含有量は、固形分比率で、70質量%以下である。上記被膜は、上記含有量でポリウレタン樹脂を含んでいることが好ましいが、ポリウレタン樹脂を含んでいなくてもよい。ポリウレタン樹脂を含む場合、ポリウレタン樹脂はアルカリ成分との反応性が低いため、ガラスストランドの結束性をより一層高めることができる。また、ポリウレタン樹脂の含有量が上記上限以下であるため、本発明のガラスストランドは、GRCの耐久性を高めることができる。
ポリウレタン樹脂としては、例えば、ポリエーテル系ウレタン樹脂を用いることができる。ポリエーテル系ウレタン樹脂は、例えば、以下に示すイソシアネート成分とポリオール成分とを共重合させることにより得られるものが使用できる。
上記ポリエーテル系ウレタン樹脂を構成するイソシアネート成分としては、特に限定されず、例えば、ジフェニルメタンジイソシアネート(MDI)、ジシクロヘキサンジイソシアネート(HMDI)、ヘキサメチレンジイソシアネート(HDI)、トルエンジイソシアネート(TDI)又はイソホロンジイソシアネート(IPDI)などを用いることができる。比較的安価で、ポリウレタンとしても反応性がより少ないという観点から、上記イソシアネート成分は、ジシクロヘキサンジイソシアネート(HMDI)等の脂肪族イソシアネートであることが好ましい。
なお、上記イソシアネート成分は、活性を有する(結合可能な)イソシアネート基を有することが好ましい。本発明は上述のように、ガラスフィラメントからアルカリ成分が溶出したとしてもアルカリ成分との反応性が低い構造が好ましいため、ブロックイソシアネートなど乖離温度によって反応する構造は好ましくない。
また、上記ポリエーテル系ウレタン樹脂を構成するポリオール成分としては、特に限定されないが、ポリテトラメチレンエーテルグリコール(PTMG)であることが好ましい。ポリテトラメチレンエーテルグリコール(PTMG)を用いた場合、安価で強靭な被膜を得ることができる。また、ポリテトラメチレンエーテルグリコール(PTMG)を用いた場合、より一層滑性に優れる被膜が得られ、繊維自体の滑性をより一層向上することができる。
上記ポリエーテル系ウレタン樹脂は、イソシアネート成分としてジシクロヘキサンジイソシアネート(HMDI)を、ポリオール成分としてポリテトラメチレンエーテルグリコール(PTMG)を組み合わせて作製されたポリエーテル系ウレタン樹脂であることがより好ましい。
なお、上記被膜中におけるポリウレタン樹脂の含有量は、固形分比率で、好ましくは60質量%以下、より好ましくは50質量%以下である。ポリウレタン樹脂の含有量が上記上限以下である場合、GRCの曲げ強度などの機械的強度や、耐久性をより一層高めることができる。また、ポリウレタン樹脂の含有量の下限は、特に限定されないが、ガラスストランドの結束性をより一層高める観点から、固形分比率で、好ましくは0.1質量%以上、より好ましくは20質量%以上である。なお、上記ポリウレタン樹脂の含有量は、上記被膜を100質量%としたときの含有量である。
ポリ酢酸ビニル樹脂;
上記被膜は、さらにポリ酢酸ビニル樹脂を含んでいることが好ましい。ポリ酢酸ビニル樹脂は、セメント系材料との親和性が高いため、添加によりGRCの曲げ強度などの機械的強度や、耐久性をより一層高めることができる。
上記被膜中におけるポリ酢酸ビニル樹脂の含有量は、固形分比率で、好ましくは5質量%以上、より好ましくは20質量%以上である。上記被膜中におけるポリ酢酸ビニル樹脂の含有量は、好ましくは80質量%以下、より好ましくは70質量%以下である。ポリ酢酸ビニル樹脂の含有量が上記に示す下限以上である場合、GRCの曲げ強度などの機械的強度や、耐久性をより一層高めることができる。一方、ポリ酢酸ビニル樹脂の含有量が上記に示す上限以下である場合、ガラスストランドの結束性をより一層高めることができ、後述するガラスロービングからの解舒をより一層容易に行うことができる。なお、上記ポリ酢酸ビニル樹脂の含有量は、上記被膜を100質量%としたときの含有量である。
また、エポキシ樹脂とポリ酢酸ビニル樹脂との質量比(エポキシ樹脂/ポリ酢酸ビニル樹脂)は、好ましくは0.2以上、より好ましくは1.0以上である。エポキシ樹脂とポリ酢酸ビニル樹脂との質量比(エポキシ樹脂/ポリ酢酸ビニル樹脂)は、好ましくは4.0以下、より好ましくは3.0以下である。質量比(エポキシ樹脂/ポリ酢酸ビニル樹脂)が、上記範囲内にある場合、ガラスストランドの結束性をより一層高めることができる。
また、上記被膜(サイジング剤)が、ポリウレタン樹脂やポリ酢酸ビニル樹脂を含んでいる場合、ガラスフィラメントから溶出したアルカリ性成分とより一層反応し難くすることができる。この場合、後述のガラスロービングからストランドを解舒する際、解舒抵抗が大きくなり難く、糸切れの発生をより一層抑制することができる。
エチレン−酢酸ビニル共重合体;
上記被膜は、さらにエチレン−酢酸ビニル共重合体を含んでいてもよい。エチレン−酢酸ビニル共重合体は、ポリ酢酸ビニルと同様にセメント系材料との親和性が高いため、添加によりGRCの曲げ強度などの機械的強度や、耐久性をより一層高めることができる。また、エチレン−酢酸ビニル共重合体は、酢酸ビニルにエチレンを共重合させて得られたものであるため、靱性に富む被膜を得ることができ、ガラスストランドの結束性をより一層高めることができる。
被膜の靱性や、セメント系材料との親和性をより一層高める観点から、上記被膜中におけるエチレン−酢酸ビニル共重合体の含有量は、固形分比率で、好ましくは3質量%以上、より好ましくは10質量%以上である。上記被膜中におけるエチレン−酢酸ビニル共重合体の含有量は、固形分比率で、好ましくは50質量%以下、より好ましくは30質量%以下である。なお、上記エチレン−酢酸ビニル共重合体の含有量は、上記被膜を100質量%としたときの含有量である。もっとも、含有量が多すぎると、ガラスストランドを解舒する際の解舒性が悪くなる場合がある。
その他の添加剤;
上記被膜は、上記成分以外に、例えばシランカップリング剤を含んでいてもよい。上記シランカップリング剤としては、具体的には、アミノシラン、エポキシシラン、ビニルシラン、アクリルシラン、クロルシラン、メルカプトシラン、ウレイドシランなどが使用できる。なお、シランカップリング剤を添加することで、ガラスストランド表面の被膜(サイジング剤)との反応性を改善でき、GRCの曲げ強度等の機械的強度をさらに一層向上させることができる。また、上記被膜中には、上述のシランカップリング剤以外に、潤滑剤、ノニオン系の界面活性剤、帯電防止剤等の各成分を含むことができ、それぞれの成分の配合比は、必要に応じて決定すればよい。
(ガラスストランド)
本発明のガラスストランドは、強熱減量が、好ましくは0.5質量%以上、より好ましくは1.2質量%以上である。本発明のガラスストランドは、強熱減量が、好ましくは3.0質量%以下、より好ましくは2.5質量%以下である。強熱減量が上記に示す下限未満である場合、ガラスストランドの結束性やGRCの耐久性が低下する場合がある。また、強熱減量が上記に示す上限を超えると、後述のガラスロービングからのガラスストランドの解舒性が悪くなる場合がある。なお、強熱減量は、JIS R 3420(2013年)に従う方法で測定した値である。また、後述するサイジング剤の塗布量は、上記のガラスストランドの強熱減量が上記範囲内となるように調整することが好ましい。
本発明において、ガラスストランドの番手は、特に限定されないが、好ましくは20tex以上、より好ましくは100tex以上である。ガラスストランドの番手は、特に限定されないが、好ましくは500tex以下、より好ましくは300tex以下である。ガラスストランドの番手が、上記範囲内にある場合、GRCの曲げ強度などの機械的強度や、耐久性をより一層高めることができる。
本発明のガラスストランドは、カットされることにより、ガラスチョップドストランドとして用いられることが望ましい。ガラスストランドのカット長としては、特に限定されないが、好ましくは3mm以上、より好ましくは10mm以上である。ガラスストランドのカット長は、特に限定されないが、好ましくは40mm以下、より好ましくは30mm以下である。ガラスストランドのカット長が上記範囲内にある場合、GRCの曲げ強度などの機械的強度や、耐久性をより一層高めることができる。
本発明のガラスストランドは、ガラスフィラメントの表面を覆っている被膜が、分子量が500を超えるエポキシ樹脂を含んでおり、被膜中のポリウレタン樹脂の含有量が固形分比率で、70質量%以下であることから、耐熱性、耐水性、及び耐薬品性に優れている。そのため、GRC中で長期間に亘り、熱や水、あるいはアルカリ性の環境下に曝された場合においても、被膜が劣化し難い。その結果、GRC中にかかる負荷に耐えられるため、GRCの強度特性や耐久性を効果的に高めることができる。また、ガラスストランドの耐水性等が高いため、ガラスストランドの解繊や割れが起こり難く、結束性に優れ、GRC中における分散性を高めることができる。このように、本発明のガラスストランドは、GRC中における分散性が高められているので、セメント等と混合した場合においても、流動性を低下させ難く、作業性を高めることができる。
このように、本発明のガラスストランドは、作業性に優れ、しかもGRCの耐久性を高めることができるので、GRCの補強材として、好適に用いることができる。なお、本発明のガラスストランドは、巻き取ってガラスロービングとして保管しておき、必要時にガラスロービングから引き出して使用してもよい。
[ガラスロービング]
図1は、本発明の一実施形態に係るガラスロービングを示す模式的斜視図である。図1に示すように、ガラスロービング10は、ガラスストランド11が層状になるように重ねて巻き取られた円筒形状の構造を有している。ガラスストランド11は、本発明に従って構成される上記ガラスストランドである。すなわち、本発明のガラスロービングは、本発明に従って構成される上記ガラスストランドからなる。
本発明のガラスロービングの製造方法は、特に限定されず、例えば、以下の方法により製造することができる。
まず、ガラス溶融炉内に投入されたガラス原料を溶融して溶融ガラスとし、溶融ガラスを均質な状態とした後に、ブッシングに付設された耐熱性を有するノズルから溶融ガラスを引き出す。その後、引き出された溶融ガラスを冷却してガラスフィラメントとする。
次に、このガラスフィラメントの表面に、後述するサイジング剤を塗布する。サイジング剤が均等に塗布された状態で、そのガラスフィラメントを数百から数千本引き揃え、集束する。集束したガラスフィラメントは、直接カットしてもよいが、以下に示すようにガラスロービングとした後にカットしてもよい。
ガラスロービングの形成方法としては、まず、サイジング剤を用いてガラスフィラメントを集束して引き揃えた状態で、紙管に巻き取ってケーキ(巻回体)を作製する。続いて、サイジング剤を乾燥し、被膜をガラスフィラメントの表面に形成し、ガラスロービングを得る。なお、得られた数個のガラスロービングから解舒されたガラスストランドを一緒に束ねて巻き取ることによりガラスロービングとしてもよい。
このようにして作製されたガラスロービングは、その形状でストックし、必要に応じて使用することができる。また、まとめてカットすることもできる。ガラスロービングは、ガラスストランドを解舒しながらカットし、ガラスチョップドストランドとして用いることができる。
回巻形状に巻き取られたガラスロービングは、防塵や汚れの防止や、繊維表面の保護などの目的のため、有機フィルム材、例えばシュリンク包装やストレッチフィルム等、用途に応じた包装を施し、複数段に積層した状態で顧客に供給されることになる。
以下、本発明について、具体的な実施例に基づいて、さらに詳細に説明する。本発明は、以下の実施例に何ら限定されるものではなく、その要旨を変更しない範囲において適宜変更して実施することが可能である。
(実施例1)
(サイジング剤の調製)
形成される被膜中の固形分比率が、ビスフェノールA型エポキシ樹脂(分子量4000)が44質量%、ポリ酢酸ビニル樹脂が35質量%、ポリエーテル系ウレタン樹脂が20質量%、アミノシランが0.5質量%及びパラフィンワックスが0.5質量%となるようにこれらの成分を均質混合して水を加えて、サイジング剤を調製した。サイジング剤中の水の含有量は87質量%とした。
なお、ポリウレタン樹脂としては、ポリエーテル系ウレタン樹脂としてジイソシアネート成分がHMDIにより構成されており、かつポリオール成分がPTMGにより構成されているポリウレタン樹脂を使用した。アミノシランとしては、γアミノプロピルトリエトキシシラン(サイラエースS330:チッソ社製)を用いた。パラフィンワックスは、糸質を調整するために一定量添加した。
(ガラスチョップドストランドの作製)
まず、SiO 58.3質量%、ZrO 17.7質量%、LiO 0.5質量%、NaO 14.3質量%、KO 2.0質量%、CaO 0.7質量%、TiO 6.5質量%の組成となるように溶融ガラスを、数百〜数千のノズルを有するブッシングから引き出してガラスフィラメントを得た。
次に、得られたガラスフィラメントの表面にアプリケーターを用いて、予め調製した上記サイジング剤を強熱減量が1.8質量%となるように調整して塗布し、これらのガラスフィラメントを集束し、巻き取ってケーキを作製した。
次いで、そのケーキを130℃、10時間の条件で乾燥させてガラスロービングとし、ガラスロービングからストランドを解舒しながら13mmのカット長に切断し、ガラスチョップドストランドを作製した。なお、ガラスストランドの番手は40texである。
(実施例2〜11及び比較例1〜3)
形成される被膜中の被膜の成分割合(質量%)が下記の表1に示す割合となるように均質混合してサイジング剤を調製したこと、強熱減量(質量%)を表1のように設定したこと以外は、実施例1と同様にして、ガラスチョップドストランドを作製した。
なお、サイジング剤を調製するに際し、実施例11では、ビスフェノールA型エポキシ樹脂(分子量4000)の代わりに、ビスフェノールA型エポキシ樹脂(分子量1300)を添加し、被膜中の各成分の値が表1に示す値となるように均質混合した。また、比較例3では、ビスフェノールA型エポキシ樹脂(分子量4000)の代わりに、ビスフェノールA型エポキシ樹脂(分子量500)を添加し、被膜中の各成分の値が表1に示す値となるように均質混合した。なお、強熱減量は、JIS R 3420(2013年)に従う方法で測定した。また、エポキシ樹脂の分子量は、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)により測定されたポリスチレン換算での重量平均分子量(Mw)である。
(評価)
実施例1〜11及び比較例1〜3で得られたガラスチョップドストランドについて、下記の評価を行った。結果を表1に示す。
(ストランド結束性の評価)
普通ポルトランドセメント250g、珪砂5号250g、水120gとガラスチョップドストランド3gを、500mlのビーカーに入れ、撹拌機により600rpmの回転数で360秒間撹拌した。その後、水で洗うことでガラス繊維のみを分離し、ガラスチョップドストランドのモノフィラメント化の程度を目視により以下の判定基準で観察した。
[判定基準]
A:目視によりストランドの結束性が極めて良好であった。
B:目視によりストランドの結束性が良好であった。
C:目視によりストランドの結束性が十分でなく、モノフィラメント化が数多く観察された。
なお、図2に判定基準Aの一例としての写真を示し、図3に判定基準Bの一例としての写真を示し、図4に判定基準Cの一例としての写真を示した。
(曲げ強度、耐久性)
オムニミキサーで作製したセメント10kg、珪砂5kg、水4.2kgのモルタルに対し、実施例1〜11及び比較例1〜3で得られたガラスチョップドストランド3質量%を混入し、オムニミキサーを用いて混練しGRCを作製した。
作製したGRCの機械的強度は曲げ強度によって評価した。GRCの曲げ強度測定は、作製後4週間経過したGRC試験体(275mm×50mm×15mm)を3点載荷方式で、スパン225mm、テストスピード2mm/minの条件で行った。また、作製後4週間経過したGRC試験体を温水70℃に3日間浸漬した後に同じ条件で曲げ試験を行った。結果を表1に示す。
実施例1〜11はストランド結束性がA又はBであり、十分な結束性を有しており作業性に優れていた。また、温水浸漬後の曲げ強度が12.2MPa以上であり、十分な曲げ強度(耐久性)を有していた。一方、比較例1及び2は、温水浸漬後の強度が11.6MPa以下であり耐久性が低かった。比較例3は、ストランド結束性がCであり作業性が低かった。
10…ガラスロービング
11…ガラスストランド

Claims (9)

  1. 複数本のガラスフィラメントと、前記ガラスフィラメントの表面を覆っている被膜とを備えるガラスストランドであって、
    前記被膜が、分子量が500を超えるエポキシ樹脂を含み、
    前記被膜中におけるポリウレタン樹脂の含有量が、固形分比率で、70質量%以下である、ガラスストランド。
  2. 前記ガラスフィラメントが、ZrOを12質量%以上、及びRO(RはLi、Na及びKから選択される少なくとも1種以上)を10質量%以上含有する、請求項1に記載のガラスストランド。
  3. 前記エポキシ樹脂が、ビスフェノールA型エポキシ樹脂である、請求項1又は2に記載のガラスストランド。
  4. 前記被膜が、ポリ酢酸ビニル樹脂をさらに含む、請求項1〜3のいずれか1項に記載のガラスストランド。
  5. 前記被膜中における前記ポリ酢酸ビニル樹脂の含有量が、固形分比率で、5質量%以上、80質量%以下である、請求項4に記載のガラスストランド。
  6. 番手が、20tex以上、500tex以下である、請求項1〜5のいずれか1項に記
    載のガラスストランド。
  7. 長さが、3mm以上、40mm以下である、請求項1〜6のいずれか1項に記載のガラ
    スストランド。
  8. セメント系材料の補強材に用いられる、請求項1〜7のいずれか1項に記載のガラスス
    トランド。
  9. 請求項1に記載のガラスストランドからなる、ガラスロービング。
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