JP4492098B2 - ガラス繊維用水性サイズ剤の製造方法 - Google Patents

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Description

本発明は、ガラス繊維に用いる水性サイズ剤に関するものである。より詳しくは、ガラス繊維ストランドを製造する際の溶融ガラスの延伸から、ロールコーターで水性サイズ剤をガラス繊維に塗布し、巻き取るまでの工程、あるいは湿潤状態のままでのカッティング工程において、ガラス繊維の糸切れの発生を殆ど皆無にまで抑制可能であり、生産性に優れ、且つ強い集束性を有し、しかも200℃以上という高い成形温度においても黄変がなく、外観と機械特性に優れるガラス繊維強化樹脂組成物を与えることが可能なガラス繊維用水性サイズ剤に関する。
一般に、ガラス繊維は、溶融したガラスをブッシング(溶融ガラス紡糸口金)から紡糸してフィメントを形成せしめた後、ロールコーターでサイズ剤を塗布し、それらを数百本束ねて1本のストランドにして、これを3〜6mm程度の長さに切断してチョップドストランドにしたり、あるいは更にそれらを数十本集めてロービング(ストランドを引きそろえたもの)を形成せしめることにより得られるが、その際ガラス繊維の製造時の摩擦、あるいは熱可塑性樹脂又は熱硬化性樹脂とのブレンド時の摩擦により、糸割れや毛羽立ちが発生する。このような弊害を防ぎ、フィラメントを保護するためにサイズ剤が通常用いられる。
サイズ剤の主成分であるバインダーには、ガラス繊維に対する集束性と共に、高温条件下でも黄変し難く、耐熱性に優れることが要求される。
このような要求に対して、ポリオール、脂環族及び/又は脂肪族イソシアネートなどのイソシアネート、及びヒドラジン類、ジヒドラジン類、及びセミカルバジド類からなる群より選ばれる少なくとも1種の鎖伸長剤、から得られるポリウレタン水分散体をバインダーとして含有するガラス繊維用水性サイズ剤(例えば特許文献1。)が提案されている。
しかしながら、かかるガラス繊維用水性サイズ剤を用いて得られるガラス繊維強化熱可塑性樹脂は、従来の水性ポリウレタン樹脂と較べ、成形時の耐熱変色性が幾分改良されてはいるものの、ガラス繊維ストランドを製造する際の溶融ガラスの延伸からロールコーターで水性サイズ剤を塗布し、巻き取るまでの工程、あるいは湿潤状態のままでのカッティング工程において、糸切れの発生頻度が多く、生産性に極めて劣るという問題があった。
特開昭62−292658号公報(第1頁特許請求の範囲〜第5頁右欄上3行目)
本発明の目的は、ガラス繊維ストランドを製造する際の溶融ガラスの延伸から、ロールコーターで水性サイズ剤を塗布し、巻き取るまでの工程、あるいは湿潤状態のままでのカッティング工程において、糸切れの発生を殆ど皆無にまで抑制可能であり、生産性に優れるガラス繊維用水性サイズ剤を提供することである。
本発明者らは、上記課題を解決すべく鋭意研究を重ねた結果、ポリオール、イソシアネート、ポリオキシアルキレンアルキルエーテル及び/又はポリオキシアルキレンスチリルフェニルエーテルを必須成分として得られるポリウレタン水分散体であり、当該ポリウレタン水分散体の固形分濃度10重量%水溶液の動的表面張力が、バブルプレッシャー差圧法により測定した場合に特定の範囲の値を示す時、上述の如き優れた性能を有するガラス繊維用水性サイズ剤が得られることを見出し、本発明を完成するに至った。
即ち、本発明は、ポリオール(A)及びイソシアネート(B)を反応させて得られるポリウレタンプレポリマーを、ノニオン性乳化剤を用いて水性媒体中に分散して得られた水性分散液と、鎖伸長剤(D)とを混合、反応させることによってポリウレタン水分散体を製造した後、アルキルエーテル骨格の炭素数が8〜18の範囲であるポリオキシエチレンアルキルエーテル(C−1)及び/又はスチレン付加モル数が1〜3の範囲であるポリオキシエチレンスチリルフェニルエーテル(C−2)と前記ポリウレタン水分散体とを混合するガラス繊維用水性サイズ剤の製造方法であって、前記ガラス繊維用水性サイズ剤の固形分濃度10重量%水溶液の動的表面張力が、バブルプレッシャー差圧法による10ミリ秒で1個の泡を発生させた時に45〜65mN/mの範囲であり、且つ100ミリ秒で1個の泡を発生させた時に40〜60mN/mの範囲であり、且つ1000ミリ秒で1個の泡を発生させた時に35〜55mN/mの範囲である、ガラス繊維用水性サイズ剤の製造方法に関する。
本発明のガラス繊維用水性サイズ剤は、優れた集束性を示し、チョップドストランド製造時に糸割れや毛羽立ち等を発生させることなく熱可塑性樹脂又は熱硬化性樹脂に混練できることや、マトリックス樹脂に対して優れた親和性と耐熱性を示し、本発明の水性サイズ剤で処理したガラス繊維を用いて200℃以上を越える条件で成形しても、最終的に得られるガラス繊維強化熱可塑性樹脂(FRTP)、ガラス繊維強化熱硬化性樹脂(FRP)は色調、強度特性、外観等に優れることなどの特性を有しており、ガラス繊維ストランドを製造する際の溶融ガラスの延伸から、ロールコーターで水性サイズ剤を塗布し、巻き取るまでの工程、あるいは湿潤状態のままでのカッティング工程において、糸切れを殆ど皆無にまで抑制でき、生産性を著しく向上できる。
本発明を実施するにあたり、必要な事項を以下に述べる。
先ず、本発明のガラス繊維用水性サイズ剤とは、ポリウレタン水分散体をバインダーとして含有してなるものである。
本発明のガラス繊維用水性サイズ剤が含有する当該ポリウレタン水分散体は、ポリオール(A)、イソシアネート(B)、ポリオキシアルキレンアルキルエーテル(C−1)及び/又はポリオキシアルキレンスチリルフェニルエーテル(C−2)を必須成分としてなる。
前記ポリウレタン水分散体の製造に用いるポリオール(A)は、一般にポリウレタンの合成に利用される全ての原料が使用可能であり、特に限定しないが、好ましくは分子量200〜10,000の範囲、より好ましくは分子量300〜5,000の範囲のポリエステル、ポリエーテル、ポリカーボネート、ポリエステルアミド、ポリアセタール、ポリチオエーテル、及びポリブタジエングリコール等が挙げられる。
前記ポリエステルとしては、例えば、エチレングリコール、プロピレングリコール、1,3−プロパンジオール、1,3−ブタンジオール、1,4−ブタンジオール、1,5−ペンタンジオール、3−メチル−1,5−ペンタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、ネオペンチルグリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、テトラエチレングリコール、ジプロピレングリコール、トリプロピレングリコール、1,4−シクロヘキサンジオール、1,4−シクロヘキサンジメタノール、ポリエチレングリコール(重量平均分子量300〜6000の範囲のもの);ビスフェノールA、水素添加ビスフェノールA及びそのアルキレンオキサイド付加体;トリメチロールプロパン、トリメチロールエタン、ペンタエリストール、ソルビトール等のジオールもしくはポリオール成分と、コハク酸、アジピン酸、アゼライン酸、セバシン酸、トデカンジカルボン酸、無水マレイン酸、フマル酸、1,3−シクロペンタンジカルボン酸、1,4−シクロヘキサンジカルボン酸、テレフタル酸、イソフタル酸、フタル酸、1,4−ナフタレンジカルボン酸、2,6−ナフタレンジカルボン酸、ナフタル酸、ビフェニルジカルボン酸、1,2−ビス(フェノキシ)エタン−p,p’−ジカルボン酸、トリメリット酸、ピロメリット酸及びこれらのジカルボン酸もしくはポリカルボン酸の無水物あるいはエステル形成誘導体等の酸成分とから脱水縮合反応によって得られるポリエステルの他、ε−カプロラクトン等の環状エステル化合物の開環重合反応によって得られるポリエステル、及びこれらの共重合ポリエステルなどが挙げられる。
また、前記ポリエーテルとしては、例えば、エチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、プロピレングリコール、1,3−プロパンジオール、1,3−ブタンジオール、1,4−ブタンジオール、ヘキサメチレングリコール、サッカロース、メチレングリコール、グリセリン、ソルビトール;アクニット酸、トリメリット酸、ヘミメリット酸、燐酸、エチレンジアミン、プロピレンジアミン、ジエチレントリアミン、トリイソプロパノールアミン、ピロガロール、ジヒドロ安息香酸、ヒドロキシフタール酸、1,2,3−プロパントリチオール等の如き活性水素原子を少なくとも2個以上有する化合物の1種またはそれ以上を開始剤としてエチレンオキサイド、プロピレンオキサイド、ブチレンオキサイド、スチレンオキサイド、エピクロルヒドリン、テトラヒドロフラン、シクロヘキシレン等のモノマーの1種またはそれ以上を常法により付加重合したものが挙げられる。
次に、本発明において、ポリウレタン水分散体の製造に用いるイソシアネート(B)としては、芳香族ポリイソシアネート、脂環式ポリイソシアネート、及び脂肪族ポリイソシアネート等が挙げられ、これらの中では、成形時の耐熱変色性に優れる点から、脂環式ポリイソシアネート及び脂肪族ポリイソシアネートが好ましい。
かかる脂環式ポリイソシアネート、及び脂肪族ポリイソシアネートとしては、例えば、テトラメチレンジイソシアネート、1,6−ヘキサメチレンジイソシアネート、ドデカメチレンジイソシアネート、トリメチルヘキサメチレンジイソシアネート、1,3−シクロペンチレンジイソシアネート、1,3−シクロヘキシレンジイソシアネート、1,4−シクロヘキシレンジイソシアネート、1,3−ジ(イソシアネートメチル)シクロヘキサン、1,4−ジ(イソシアネートメチル)シクロヘキサン、リジンジイソシアネート、イソホロンジイソシアネート、4,4’−ジシクロヘキシルメタンジイソシアネート、3,3’−ジメチル−4,4’−ジシクロヘキシルメタンジイソシアネート等及びこれらの3量体等が挙げられる。更に、成形品の強度を向上させるためには脂環式ポリイソシアネートの使用がより好ましい。
更に、本発明のガラス繊維用サイズ剤が含有するポリウレタン水分散体は、動的表面張力を制御し糸切れの発生を殆ど皆無にまで抑制する目的で、ポリオキシアルキレンアルキルエーテル(C−1)及び/又はポリオキシアルキレンスチリルフェニルエーテル(C−2)を必須成分としてなる。
前記ポリオキシアルキレンアルキルエーテル(C−1)としては、例えば、ポリオキシエチレンラウリルエーテル、ポリオキシエチレンステアリルエーテル、ポリオキシエチレンノニルエーテル、ポリオキシエチレンオクチルエーテル、ポリオキシエチレンヘキシルエーテル、ポリオキシエチレンエイコシルエーテル、ポリオキシエチレンポリオキシプロピレン共重合体のラウリルエーテル、ポリオキシエチレンポリオキシプロピレン共重合体のステアリルエーテル、ポリオキシエチレンポリオキシプロピレン共重合体のノニルエーテル、ポリオキシエチレンポリオキシプロピレン共重合体のオクチルエーテル、ポリオキシエチレンポリオキシプロピレン共重合体のヘキシルエーテル、ポリオキシエチレンポリオキシプロピレン共重合体のエイコシルエーテルなどの群から選ばれる1種またはそれ以上が挙げられる。これらの中で、動的表面張力を制御し易くする点で、ポリオキシアルキレン骨格がポリオキシエチレンであり、アルキルエーテル骨格の炭素数が8〜18であることが好ましい。尚、これらの具体例によって本発明が何等限定されるものではない。
また、前記ポリオキシアルキレンスチリルフェニルエーテル(C−2)としては、例えば、スチレン付加モル数が1〜3のもの;ポリオキシエチレンモノスチリルフェニルエーテル、ポリオキシエチレンジスチリルフェニルエーテル、ポリオキシエチレントリスチリルフェニルエーテル、ポリオキシエチレンのモノ、ジ、トリスチリルフェニルエーテルの混合物、ポリオキシエチレンポリオキシプロピレン共重合体のモノスチリルフェニルエーテル、ポリオキシエチレンポリオキシプロピレン共重合体のジスチリルフェニルエーテル、ポリオキシエチレンポリオキシプロピレン共重合体のトリスチリルフェニルエーテル、ポリオキシエチレンポリオキシプロピレン共重合体のモノ、ジ、トリスチリルフェニルエーテルの混合物や、スチレン付加モル数が4以上のもの;ポリオキシエチレンテトラスチリルフェニルエーテル、ポリオキシエチレンヘキサスチリルエーテル、ポリオキシエチレンオクタスチリルエーテル、ポリオキシエチレンドデカスチリルエーテル、ポリオキシエチレンポリオキシプロピレン共重合体のテトラスチリルフェニルエーテル、ポリオキシエチレンポリオキシプロピレン共重合体のヘキサスチリルフェニルエーテル、ポリオキシエチレンポリオキシプロピレン共重合体のオクタスチリルフェニルエーテル、ポリオキシエチレンポリオキシプロピレン共重合体のドデカスチリルフェニルエーテルからなる群より選ばれる少なくとも一種が挙げられる。これらの中で、動的表面張力を制御し易くする点で、ポリオキシアルキレン骨格がポリオキシエチレンであり、スチリルフェニルエーテル骨格のスチレン付加モル数が1〜10の範囲であることが好ましく、スチリルフェニルエーテル骨格のスチレン付加モル数が1〜3の範囲にあるものがより好ましい。
尚、これらの具体例によって本発明が何等限定されるものではない。
本発明のガラス繊維用水性サイズ剤に用いるポリウレタン水分散体において、当該ポリウレタン水分散体の固形分濃度10重量%水溶液の動的表面張力が、バブルプレッシャー差圧法で測定した場合に、10ミリ秒で1個の泡を発生させた時に45〜65mN/mの範囲であり、且つ100ミリ秒で1個の泡を発生させた時に40〜60mN/mの範囲であり、且つ1000ミリ秒で1個の泡を発生させた時に35〜55mN/mの範囲であることが好ましい。
バブルプレッシャー差圧法で測定したポリウレタン水分散体の固形分濃度10重量%水溶液の動的表面張力がかかる範囲にあれば、ガラス繊維ストランドを製造する際の溶融ガラスの延伸からロールコーターで水性サイズ剤を塗布し、巻き取るまでの工程、あるいは湿潤状態のままでのカッティング工程において、糸切れの発生を皆無又は著しく抑制でき、糸切れ発生によるガラス繊維の供給停止などの生産トラブルや不良品の発生を防止でき、生産性が向上する。
本発明のガラス繊維用水性サイズ剤を用いた場合に、上述の如きこれまでに無いほどの優れた糸切れ抑制効果が得られる詳細な機構は不明であるが、ガラス繊維ストランドを製造する際の溶融ガラスの延伸から、ロールコーターで水性サイズ剤を塗布するまでの工程速度(通常1000〜2000m/分程度の範囲)において、糸切れを少なくさせるための最適な動的表面張力が存在していると考えられる。
本発明でいう「動的表面張力」とは、動きのある気液界面の表面張力であり、バブルプレッシャー差圧法、又は最大泡圧法等と呼ばれる方法により測定される。
動的表面張力に関しては、下記の参考文献1あるいは参考文献2など多数の文献に、その原理や測定方法や測定例が示されており、最近では専用の測定機器も市販されている。
参考文献1;Journal of Chemical Society,121,p858(1922), Journal of Colloid and Interface Science,166,p6(1994)
参考文献2;Colloid and Polymer Science,272,p731(1994)
ここで、バブルプレッシャー差圧法とは、測定対象液にキャピラリーを入れ、キャピラリーの上部から気体(乾燥空気など)を吹き込むことにより、測定対象液中に挿入されたキャピラリーの下端から発生する気泡が測定液から受ける圧力(mN/m)を動的表面張力として測定する方法であり、本発明においては、気泡がキャピラリーから発生する個数を変化させた場合に、気泡が測定対象液から受ける圧力をそれぞれの場合について測定した。
本発明における動的表面張力は、バブルプレッシャー差圧法タイプに分類されるバブルプレッシャー型動的表面張力計クルスBP−2(KRUSS社製)を用いて測定した値により規定したものである。
尚、ポリウレタン水分散体の固形分濃度10重量%水溶液を試料とし、10ミリ秒、100ミリ秒及び1000ミリ秒で1個の泡を発生させた時の圧力(mN/m)を動的表面張力の数値として用いた。
本発明で用いるポリウレタン水分散体の固形分濃度10重量%水溶液の動的表面張力は、バブルプレッシャー差圧法による10ミリ秒で1個の泡を発生させた時に45〜65mN/mの範囲であり、且つ100ミリ秒で1個の泡を発生させた時に40〜60mN/mの範囲であり、且つ1000ミリ秒で1個の泡を発生させた時に35〜55mN/mの範囲であり、かかる3つの条件を同時に満足させるためには、前記ポリウレタン水分散体に、必須成分として、ポリオキシアルキレンアルキルエーテル(C−1)及び/又はポリオキシアルキレンスチリルフェニルエーテル(C−2)を添加混合する必要がある。
ポリオキシアルキレンアルキルエーテル(C−1)及び/又はポリオキシアルキレンスチリルフェニルエーテル(C−2)の添加量は、ポリウレタン水分散体の固形分重量に対して、好ましくは0.1〜10重量%の範囲であり、より好ましくは0.1〜5重量%の範囲である。ポリウレタン水分散体の固形分重量に対する(C−1)及び/又は(C−2)の添加量がかかる範囲であれば、ポリウレタン水分散体の安定性に優れ、本発明のガラス繊維用水性サイズ剤を使用したガラス繊維強化熱可塑性樹脂組成物又はガラス繊維強化熱硬化製樹脂組成物は機械特性や耐熱性に優れる。
更に、本発明のガラス繊維用水性サイズ剤は、成型品の強度をより向上させる目的で、ヒドラジン類、ジヒドラジッド類、及びセミカルバジド類からなる群より選ばれる少なくとも一種の鎖伸長剤(D)を用いてなるポリウレタン水分散体を含有することができる。
前記鎖伸長剤(D)としては、例えば、ヒドラジン、N,N’−ジメチルヒドラジン、1,6−ヘキサメチレンビスヒドラジン等のヒドラジン類;コハク酸ジヒドラジッド、アジピン酸ジヒドラジド、グルタル酸ジヒドラジド、セバシン酸ジヒドラジド、イソフタル酸ジヒドラジド等のジヒドラジド類;β−セミカルバジドプロピオン酸ヒドラジド、3−セミカルバジッド−プロピル−カルバジン酸エステル、セミカルバジッド−3−セミカルバジドメチル−3,5,5−トリメチルシクロヘキサン等のセミカルバジド類等から選ばれる少なくとも1種の化合物が挙げられる。その中でも、廉価であること及び機械的強度の優秀さから、好ましくはヒドラジン類、ジヒドラジッド類であり、より好ましくはヒドラジン類である。尚、これ等の具体例によって本発明が何等限定されるものではない。
本発明で用いるポリウレタン水分散体の製造において、前記鎖伸長剤(D)の他に、場合によりその他の活性水素原子含有の鎖伸長剤を使用することもできる。その他の活性水素含有の鎖伸長剤としては、例えば、エチレングリコール、ジエチレンリコール、トリエチレングリコール、プロピレングリコール、1,3−プロパンジオール、1,3−ブタンジオール、1,4−ブタンジオール、ヘキサメチレングリコール、サッカロース、メチレングリコール、グリセリン、ソルビトール等のグリコール類;ビスフェノールA、4,4’−ジヒドロキシジフェニル、4,4’−ジヒドロキシジフェニルエーテル、4,4’−ジヒドロキシジフェニルスルホン、水素添加ビスフェノールA、ハイドロキノン等のフェノール類;エチレンジアミン、1,2−プロパンジアミン、1,6−ヘキサメチレンジアミン、ピペラジン、2,5−ジメチルピペラジン、イソホロンジアミン、4,4’−ジシクロヘキシルメタンジアミン、3,3’−ジメチル−4,4’−ジシクロヘキシルメタンジアミン、1,4−シクロヘキサンジアミン等のジアミン類;ジエチレントリアミン、ジプロピレントリアミン、トリエチレンテトラミン等のポリアミン類及び水が挙げられ、耐黄変性、機械的強度、及び耐糸切れ性などの性能を低下させない範囲内においてこれらを単独もしくは併用しても構わない。
本発明で用いるポリウレタン水分散体の製造方法としては、特に限定するものではないが、次のような方法が挙げられ、例えば、
〔方法1〕ポリオール(A)と、親水性基又は中和により親水性となりうる基を有する化合物と、イソシアネート(B)を用いて、親水性基又は中和により親水性となりうる基を有し、且つ末端にイソシアネート基を有するウレタンプレポリマー(以下、プレポリマーという。)を製造し、この有機溶剤溶液又は有機溶剤分散液と、プレポリマーとして親水性基を有するものを用いた場合は必須成分として鎖伸長剤(D)を含有する水溶液又は水分散液とを反応せしめて、プレポリマーとして中和により親水性となりうる基を有するものを用いた場合は鎖伸長剤(D)と中和剤とを含有する水溶液又は水分散液とを反応させた後、ポリオキシアルキレンアルキルエーテル(C−1)及び/又はポリオキシアルキレンスチリルフェニルエーテル(C−2)を添加均一混合せしめる製造方法や、
〔方法2〕ポリオール(A)とイソシアネート(B)を用いて、プレポリマーを製造し、これを乳化剤を用いて分散させた水性分散液と、鎖伸長剤(D)を必須成分として含有する水溶液又は水分散液とを反応させた後、ポリオキシアルキレンアルキルエーテル(C−1)及び/又はポリオキシアルキレンスチリルフェニルエーテル(C−2)を添加均一混合せしめる製造方法や、
〔方法3〕ポリオール(A)とイソシアネート(B)を用いて、プレポリマーを製造し、これと鎖伸長剤(D)とを反応せしめた後、乳化剤存在下で強制的に水性媒体中に乳化させた後、ポリオキシアルキレンアルキルエーテル(C−1)及び/又はポリオキシアルキレンスチリルフェニルエーテル(C−2)を添加均一混合する製造方法、また、
〔方法4〕上記ポリオール成分(A)と、親水性基又は中和により親水性となりうる基を有する化合物と、イソシアネート(B)と、鎖伸長剤(D)とを必須成分として、一括にこれらを仕込んで反応させ、水性媒体中へ分散させた後、ポリオキシアルキレンアルキルエーテル(C−1)及び/又はポリオキシアルキレンスチリルフェニルエーテル(C−2)を添加均一混合する製造方法、などが挙げられる。
尚、上記〔方法1〕〜〔方法4〕の製造方法において、乳化剤を必要に応じて用いてもよい。
前記したプレポリマ−あるいはポリウレタンを水中へ分散させるために使用する親水性基又は中和により親水性となりうる基を有する化合物(以下、親水性基含有化合物という。)としては、分子内に少なくとも1個以上の活性水素原子を有し、且つエチレンオキシドの繰り返し単位からなる基、エチレンオキシドの繰り返し単位とその他のアルキレンオキシドの繰り返し単位からなる基、カルボン酸の塩、スルホン酸の塩、第4級アミノ基、カルボン酸基、スルホン酸基、第3級アミノ基からなる群から選ばれる少なくとも一つの官能基を含有する化合物が挙げられる。
前記親水性基含有化合物としては、例えば、2−オキシエタンスルホン酸、フェノールスルホン酸、スルホ安息香酸、スルホコハク酸、5−スルホイソフタル酸、スルファニル酸、1,3−フェニレンジアミン−4,6−ジスルホン酸、2,4−ジアミノトルエン−5−スルホン酸等のスルホン酸含有化合物及びこれらの誘導体又はこれらを共重合して得られるポリエステルポリオール;2,2−ジメチロールプロピオン酸、2,2−ジメチロール酪酸、2,2−ジメチロール吉草酸、ジオキシマレイン酸、2,6−ジオキシ安息香酸、3,4−ジアミノ安息香酸等のカルボン酸含有化合物及びこれらの誘導体又はこれらを共重合して得られるポリエステルポリオール;エチレンオキシドの繰り返し単位を少なくとも30重量%以上含有し、ポリマー中に少なくとも1個以上の活性水素原子を含有する分子量300〜20,000のポリオキシエチレングリコール又はポリオキシエチレン−ポリオキシプロピレン共重合体グリコール、ポリオキシエチレン−ポリオキシブチレン共重合体グリコール、ポリオキシエチレン−ポリオキシアルキレン共重合体グリコール又はそのモノアルキルエーテル等のノニオン基含有化合物又はこれらを共重合して得られるポリエステルポリエーテルポリオール等が挙げられ、これらは単独使用でもよく2種以上を用いてもよい。
前記親水性基含有化合物が、中和により親水性となりうる基を含有する化合物である場合に、この親水性となりうる基を中和するために用いる中和剤としては、公知慣用の酸又は塩基がいずれも使用でき、酸としては、例えば、塩酸、硫酸、ギ酸、酢酸、プロピオン酸等が挙げられ、塩基としては、例えば、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、アンモニア、トリエチルアミン、ジメチルアミン等が挙げられる。
中和剤としては、加熱により揮散するものが好ましい。
本発明で使用可能な乳化剤としては、例えば、ポリオキシエチレンノニルフェニルエーテル、ポリオキシエチレンラウリルエーテル、ポリオキシエチレンスチリルフェニルエーテル、ポリオキシエチレンソルビトールテトラオレエート、ポリオキシエチレン・ポリオキシプロピレン共重合体等のノニオン系乳化剤;オレイン酸ナトリウム等の脂肪酸塩、アルキル硫酸エステル塩、アルキルベンゼンスルフォン酸塩、アルキルスルホコハク酸塩、ナフタレンスルフォン酸塩、ポリオキシエチレンアルキル硫酸塩、アルカンスルフォネートナトリウム塩、アルキルジフェニルエーテルスルフォン酸ナトリウム塩等のアニオン系乳化剤が挙げられる。尚、本乳化剤は、前記の動的表面張力を制御し糸切れの発生を殆ど皆無にまで抑制する目的で用いたポリオキシアルキレンアルキルエーテル(C−1)及び/又はポリオキシアルキレンスチリルフェニルエーテル(C−2)とは全く使用目的が異なるものである。
これら各種添加剤との混和安定性の観点から、上記ポリウレタン水性分散体中のポリウレタン樹脂のイオン性は基本的にノニオン性であることが好ましく、従って上記親水性基含有化合物及び乳化剤についてもノニオン性の化合物が好ましい。
ポリウレタン樹脂水性分散体への添加剤の混和安定性が保たれる範囲内において、それにアニオン性あるいはカチオン性の添加剤を併用しても構わない。
本発明におけるプレポリマーあるいはポリウレタンの製造方法としては、従来公知の方法で製造され、例えば、プレポリマーを製造する場合は、前記ポリオール(A)とイソシアネート(B)とを、イソシアネート基と活性水素原子含有基との当量比を、好ましくは1.1/1〜3/1の範囲で、より好ましくは1.2/1〜2/1の範囲で反応させ、またポリオール(A)とイソシアネート(B)と鎖伸長剤(D)とを反応させてウレタン化する場合は、イソシアネート基と活性水素原子含有基の当量比を、好ましくは0.9/1〜1.1/1の範囲で、温度を好ましくは20〜120℃の範囲、より好ましくは30〜100℃の範囲にて反応する方法が挙げられる。
これらの反応は無溶剤条件下にて行なうこともできるが、反応制御の容易さ、あるいは粘度低下による撹拌負荷の低減等の目的で、有機溶剤を使用することもできる。
かかる有機溶剤としては、例えば、アセトン、メチルエチルケトン等のケトン類;テトラヒドロフラン、ジオキサン等のエーテル類;酢酸エチル、酢酸ブチル等の酢酸エステル類;アセトニトリル等のニトリル類;n−ヘプタン、n−ヘキサン、シクロヘキサン、ベンゼン、トルエン、キシレン等の炭化水素類;トリクロロエタン、ジクロロメタン等の塩素化炭化水素類;ジメチルホルムアミド、N−メチルピロリドン等のアミド類などが挙げられる。
上記のようにして得られるポリウレタン水分散体は、そのまま水性サイズ剤として使用してもよいが、必要により例えば減圧条件下で実質的に有機溶剤を除去して使用してもよい。
本発明のガラス繊維用水性サイズ剤は、上記ポリウレタン水分散体を必須成分として含有していればよいが、通常、それに対して必要に応じてその他のバインダー成分、更にカップリング剤、潤滑剤、及びその他の助剤等の添加剤を配合して実用に供されてもよい。
前記カップリング剤は従来公知のものが何れも使用でき、例えば、γ−グリシドオキシプロピルトリメトキシシラン、γ−クロロプロピルトリメトキシシラン、γ−メルカプトプロピルトリメトキシシラン、γ−アミノプロピルトリメトキシシラン、γ−アミノプロピルトリエトキシシラン、N−β−アミノエチル−γ−アミノプロピルトリメトキシシラン、N−β−アミノエチル−γ−アミノプロピルトリエトキシシラン、N−β−アミノエチル−γ−アミノプロピルメチルジメトキシシラン、ビス−β−ヒドロキシエチル−γ−アミノプロピルトリエトキシシラン、γ−ウレイドプロピルトリエトキシシラン等の有機シラン化合物が挙げられる。その中でも、γ−アミノプロピルトリエトキシシラン、N−β−アミノエチル−γ−アミノプロピルトリエトキシシラン等のアミノ基含有有機シラン系カップリング剤が好ましい。
また、前記潤滑剤としては、例えば、ペラルゴン酸トリエチレンテトラミンのようなポリアミンと直鎖脂肪酸との縮合物等の常用のカチオン系潤滑剤などが挙げられる。
ポリウレタン水分散体と、カップリング剤や潤滑剤及びその他の助剤等の添加剤との混合割合は、特に制限されるものではない。
例えば、カップリング剤と潤滑剤を両方含有する本発明のガラス繊維用水性サイズ剤を調製するには、前記ポリウレタン水分散体/カップリング剤/潤滑剤を一般に固形分として、ガラス繊維用水性サイズ剤調製量に対して、それぞれ好ましくは1〜20/0.1〜5/0.01〜5重量%の範囲であり、より好ましくは3〜10/0.2〜2/0.05〜1重量%の範囲である。
また、本発明のガラス繊維用水性サイズ剤には、トリエタノールアミンのアルキルあるいはアリルスルホン酸塩もしくは硫酸塩等の帯電防止剤、乳化剤等の助剤も含有させることができる。
尚、本発明の水性サイズ剤には、本発明の効果を損なわない範囲において、従来公知のポリ酢酸ビニル共重合体エマルジョン、エポキシ樹脂エマルジョン、アクリルエマルジョン、水性ポリエステル樹脂等のバインダーを併用することもできる。
本発明のガラス繊維用水性サイズ剤は、常法に従いガラス繊維に適用される。例えば、溶融ガラスをブッシングから紡糸してガラス繊維フィラメントを作製する場合に、サイズアプリケーターにより適用することができる。ガラス繊維上に付着されるサイズ剤の量は固形分換算でガラス繊維に対して0.2〜2.0重量%の範囲であることが好ましい。
本発明のガラス繊維用水性サイズ剤は、例えば、ガラス繊維フィラメントをサイジングし、乾燥することにより、サイズ処理されたガラス繊維を得ることができる。
このようにして得られたサイズ処理済ガラス繊維は、例えば、ポリプロピレン、ポリスチレン、ポリカーボネート、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリフェニレンサルファイド、ポリフェニレンオキサイド、6−ナイロン、6,6−ナイロン、アクリロニトリル−スチレン共重合体、アクリロニトリル−ブタジエン−スチレン共重合体、ポリアセタール等の熱可塑性樹脂;フェノール樹脂、ポリイミド樹脂、エポキシ樹脂等の熱硬化性樹脂などに混合して、ガラス繊維強化プラスチック製品を得ることができる。
本発明のガラス繊維用水性サイズ剤は、ガラス繊維用のみならず、例えば、炭素繊維、シリコンカーバイド繊維等の無機繊維や、パルプ、麻、綿、ナイロン、ポリエステル、アクリル、ポリウレタン、ポリイミド、あるいはケブラー、ノーメックス等のポリアミド等の有機繊維にも使用でき、上述の如き優れた効果を発揮できる。
以下、実施例により本発明をより具体的に説明するが、本発明はこれら実施例に限定されるものではない。尚、特に断りがない限り、「部」又は「%」は重量換算である。
[実施例1]
温度計、撹拌装置、還流冷却管を備えた4ツ口フラスコに、ネオペンチルグリコ−ル/1,4−ブタンジオール/テレフタル酸/アジピン酸より得られるポリエステル(水酸基価=56)を900部加え、減圧度0.095MPa、120〜130℃で脱水を行った。次いで、これにトルエン460部を加えて50℃まで冷却して、ネオペンチルグリコール6部を加え、充分に撹拌混合した後、イソホロンジイソシアネート222部を加え100℃に加温し、100℃で4時間反応させて末端イソシアネ−ト基を有するプレポリマ−溶液を得た。
反応終了後40℃まで冷却し、数平均分子量約16,000のポリオキシエチレンポリオキシプロピレングリコール70部を含む水溶液1600部を加え、ホモミキサ−で高速撹拌してプレポリマーの乳化物を得た。
次いで、100%水和ヒドラジン34.2部を含む水溶液300部を撹拌しつつ加えて鎖伸長反応を完結させた後、減圧蒸留により固形分濃度40%に濃縮した。その濃縮物に、分子量750のポリオキシエチレンラウリルエーテルの40%水溶液92部を添加して均一混合することで固形分40%のポリウレタン水分散体(1)を得た。
このポリウレタン水分散体(1)の固形分濃度が10%となるようにイオン交換水で希釈した試料の動的表面張力を下記条件にて測定した。
このポリウレタン水分散体(1)を用いて、下記の配合に従い本発明のガラス繊維用水性サイズ剤(1)を調整した。
得られたポリウレタン水性分散体(1)の動的表面張力、本発明のガラス繊維用水性サイズ(1)を用いて評価した糸切れ性の評価結果、射出成型機で作製した試験片の色調、引張強度、及び衝撃強度を評価した。その結果を表1に示す。
[実施例2]
実施例1のポリエステルに換えて、分子量1000のポリプロピレングリコール1000部を使用すること、分子量750のポリオキシエチレンラウリルエーテルの40%水溶液に換えて、分子量1100のポリオキシエチレントリスチリルフェノールの40%水溶液70部を添加すること、以外は実施例1と同様にして固形分濃度40%のポリウレタン水分散体(2)を得、実施例1と同様の方法で動的表面張力の測定、糸切れ性の評価、ガラス繊維強化6−ナイロン樹脂の試験片の色調、引張強度、衝撃強度を評価した。
得られたポリウレタン水分散体(2)の動的表面張力、本発明のガラス繊維用水性サイズ(2)を用いて評価した糸切れ性の評価結果、射出成型機で作製した試験片の色調、引張強度、及び衝撃強度を評価した。その結果を表1に示した。
[比較例1]
実施例1の分子量750のポリオキシエチレンラウリルエーテルの40%水溶液を添加しないこと以外は実施例1と同様にして固形分40%のポリウレタン水分散体(3)を得、実施例1と同様の方法で動的表面張力の測定、糸切れ性の評価、ガラス繊維強化6−ナイロン樹脂の試験片の色調、引張強度、及び衝撃強度を評価した。
得られたポリウレタン水分散体(3)の動的表面張力、ガラス繊維用水性サイズ(3)
を用いて評価した糸切れ性の評価結果、射出成型機で作製した試験片についての色調、引張強度、及び衝撃強度の評価結果を表1に示した。
[比較例2]
比較例1のポリエステルに換えて、分子量1000のポリプロピレングリコール1000部を使用すること、以外は比較例1と同様にして固形分40%のポリウレタン樹脂水性分散体(4)を得、実施例1と同様の方法で動的表面張力の測定、糸切れ性の評価、ガラス繊維強化6−ナイロン樹脂の試験片の色調、引張強度、衝撃強度を評価した。
得られたポリウレタン水分散体(4)の動的表面張力、ガラス繊維用水性サイズ(4)を用いて評価した糸切れ性の評価結果、射出成型機で作製した試験片についての色調、引張強度、及び衝撃強度の評価結果を表1に示した。
[動的表面張力の測定方法]
ポリウレタン水分散体の固形分濃度が10%となるようにイオン交換水で希釈した試料を用いて動的表面張力を測定した。
測定条件は以下の通りである。
測定機器:バブルプレッシャー型動的表面張力計(BP−2、KURSS製)
気泡発生用ガス:乾燥空気
気泡発生間隔(バブルレート):10msec、100msec、1000msec
測定温度:25℃
[ガラス繊維用水性サイズ剤の調整方法]
ポリウレタン水性分散体を用いて下記組成のガラス繊維用水性サイズ剤を調整した。
ポリウレタン樹脂水性分散体(固形分濃度40%) 10.0部
γ−アミノプロピルトリエトキシシラン 0.7部
シラゾール85A(ICI社製潤滑剤) 0.1部
水 89.2部
[試験片の色調、引張試験、及び衝撃試験の測定方法]
ガラス繊維用水性サイズ剤をガラス繊維フィラメントに付着量0.5%となるように付着させ130℃で10時間乾燥後、6mmのチョップドストランドを作製した。得られたチョップドストランドをガラス繊維含有率が30%になるように一般成形用の6−ナイロン樹脂ペレット(宇部興産製1013B)と混合し、押出機で混練、押出、切断してガラス繊維含有ペレットを作成した。
このペレットを用いて射出成形機により試験片(100mm×100mm×2mm)を作成し、その色調をカラーマシン(ミノルタ分光測色計 CM−3500d)により測定し、ガラス繊維非強化6−ナイロン樹脂との色差で判定した。
更に、ASTMD−638、ASTMD−256に基づく引張試験、及び衝撃試験を行った。試験片は当該規格に規定したサイズのものを、上記ガラス繊維含有ペレットを用いて射出成型機により作製した。
色調の判定基準
○;全く変褪色なく、良好である。
△;やや変褪色あり。
×;著しく変褪色。
[ガラス繊維フィラメントの糸切れ回数(糸切れ性)の評価方法]
ガラス繊維用水性サイズ剤を付着させたガラス繊維フィラメントを用いて糸切れ回数を測定した。測定方法は毎分1500mでブッシングから引き出されたガラスフィラメントを、ロールコーターを用いて上記水性サイズ剤を48時間塗布した時の糸切れ回数を目視観察する。
Figure 0004492098
注1)使用したポリウレタン水分散体の固形分濃度10重量%水溶液の測定値
本発明のガラス繊維用水性サイズ剤は、優れた集束性を示し、チョップドストランド製造時に糸割れや毛羽立ち等を発生させることなく熱可塑性樹脂又は熱硬化性樹脂に混練できること、マトリックス樹脂に対して優れた親和性と耐熱性を示し、本発明の水性サイズ剤で処理したガラス繊維を用いて200℃以上を越える条件で成形しても、最終的に得られるガラス繊維強化熱可塑性樹脂(FRTP)、ガラス繊維強化熱硬化性樹脂(FRP)の色調、強度特性、外観等に優れることなどの特性を有しており、ガラス繊維ストランドを製造する際の溶融ガラスの延伸から、ロールコーターで水性サイズ剤を塗布し、巻き取るまでの工程、あるいは湿潤状態のままでのカッティング工程において、糸切れを殆ど皆無にまで抑制でき、生産性を著しく向上できる。本発明のガラス繊維用水性サイズ剤は、ガラス繊維のみならず、例えば、炭素繊維、シリコンカーバイド繊維等の無機繊維や、パルプ、麻、綿、ナイロン、ポリエステル、アクリル、ポリウレタン、ポリイミド、あるいはケブラー、ノーメックス等のポリアミド等の有機繊維にも使用でき、広範囲の用途に優れた効果を発揮できる。

Claims (3)

  1. ポリオール(A)及びイソシアネート(B)を反応させて得られるポリウレタンプレポリマーを、ノニオン性乳化剤を用いて水性媒体中に分散して得られた水性分散液と、鎖伸長剤(D)とを混合、反応させることによってポリウレタン水分散体を製造した後、アルキルエーテル骨格の炭素数が8〜18の範囲であるポリオキシエチレンアルキルエーテル(C−1)及び/又はスチレン付加モル数が1〜3の範囲であるポリオキシエチレンスチリルフェニルエーテル(C−2)と前記ポリウレタン水分散体とを混合するガラス繊維用水性サイズ剤の製造方法であって、前記ガラス繊維用水性サイズ剤の固形分濃度10重量%水溶液の動的表面張力が、バブルプレッシャー差圧法による10ミリ秒で1個の泡を発生させた時に45〜65mN/mの範囲であり、且つ100ミリ秒で1個の泡を発生させた時に40〜60mN/mの範囲であり、且つ1000ミリ秒で1個の泡を発生させた時に35〜55mN/mの範囲である、ガラス繊維用水性サイズ剤の製造方法
  2. 前記鎖伸長剤(D)がヒドラジン類、ジヒドラジッド類、及びセミカルバジド類からなる群より選ばれる少なくとも一種である、請求項1に記載のガラス繊維用水性サイズ剤の製造方法
  3. 前記イソシアネート(B)が、脂環式イソシアネート及び/又は脂肪族イソシアネートである請求項1記載のガラス繊維用水性サイズ剤の製造方法
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