JP4370140B2 - 繊維強化不飽和ポリエステル樹脂補強用ガラス繊維集束剤、 - Google Patents

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Description

本発明は、繊維強化不飽和ポリエステル樹脂の補強に用いられるガラス繊維集束剤、この集束剤を塗布してなるガラス繊維、及びこのガラス繊維を補強材として用いた繊維強化不飽和ポリエステル樹脂に関する。
一般に、ガラス繊維は、溶融したガラス素地をノズルから引き出して数〜数十μmの径に繊維化し、高速で連続的に巻き取ることにより製造される。通常はノズルから巻き取りまでの間に集束剤を付着させて数十〜数百本の単繊維(モノフィラメント)を束ね、1本のストランドとしてから巻き取る。このストランドを数十本〜数百本の束にして巻きとることにより、ガラス繊維ロービングが得られる。
そして、このロービングを3〜50mm程度の所定の長さに切断したチョップドストランドを不飽和ポリエステル樹脂に補強材として含有させ増粘してなるシート状成形材料(シートモールディングコンパウンド(以下、SMCと称する))やバルク状の成形材料(バルクモールディングコンパウンド(以下、BMCと称する))を、所望の大きさに裁断または定量し、プレス成形機の金型に入れて加圧加熱するか又は射出成形することにより、繊維強化不飽和ポリエステル樹脂の成形品が得られる。
集束剤が塗布されたガラス繊維としては、多数の単繊維がストランドに束ねられている集束性と、フィラメント切れによる毛羽等に起因する作業性の低下がないこと、などが要求される。
繊維強化不飽和ポリエステル樹脂としては、成形性が良好でしかも成形品の機械的強度が良好であることが要求され、また、浴槽や水タンクパネル等、多種の用途に使用されるために、耐水性や耐熱水性が要求されることが多い。更に、これらの基本的な要求特性の他に、表面にピンポール、欠肉、フラック、フクレ等の外観欠点がないことが必須であり、また、成形品表面でのガラス目が見えず反りがなく平滑で光沢がある等の表面外観が良好であることが要求される。
このような要求を満たすためにガラス繊維の集束剤を改質する試みが種々検討されているが未だ充分ではない。
第一に、前記成形性及び成形品の機械的強度の基本的な要求を満たすために、不飽和ポリエステル樹脂を形成するスチレンモノマー等の架橋用単量体に対するガラス繊維集束剤の溶解度を調整することを勘案する必要があり、結果として必要な要求特性すべてを満たすことは難しい。
例えば、スチレンに溶解し易い酢酸ビニル系重合体を集束剤としたガラス繊維では、ガラス繊維の束がモノフィラメントとして開繊するため、モノフィラメントがマトリックス中に均一に分散して表面外観が良好になるものの、成形の早い時点でのガラス繊維の開繊によりガラス繊維の流れが劣り成形性が劣るため、ピンポール、欠肉、フラック、フクレ等の外観欠点が発生するといった問題を有していた。
逆に、スチレン溶解度が低い集束剤を用いたガラス繊維は、成形時の流動性は良好であるものの、成形品中ではガラス繊維が束となって残りやすく成形品の表面でガラス目が見え易いといった表面外観の問題を有していた。
特開昭59−179529号公報には、酢酸ビニル系重合体と、酢酸ビニル系重合体に対する可塑剤として低分子量の飽和脂肪酸ポリエステルとを含有するガラス繊維集束剤が提案されている。しかしながら、前記公報に開示された集束剤では、ガラス繊維の集束性が劣る上に、スチレンに溶解し易いため、ガラス繊維の束がモノフィラメントとして開繊し、モノフィラメントがマトリックス中に均一に分散するものの、成形の早い時点でのガラス繊維の開繊によりガラス繊維の流れが劣り成形性が劣るために、ピンポール、欠肉、フラック、フクレ等の外観欠点を有するといった問題を有していた。
第二に、成形品の耐水性や耐熱水性を向上させるために種々の検討がなされており、例えば、特開2001−172876号公報には、両末端にプロピレンオキサイド付加したフマル酸−ビスフェノールA系不飽和ポリエステル樹脂を含む集束剤が塗布されたガラス繊維が提案されている。しかしながら、前記公報に開示された成分を使用した場合、成形品の耐熱水性等は向上するものの、色調が劣り表面外観が劣るといった問題や、成形の早い時点でのガラス繊維の開繊によりガラス繊維の流れが劣り成形性が劣るために、ピンポール、欠肉、フラック、フクレ等の外観欠点が発生するといった問題点を有していた。
したがって、本発明の目的は、集束性及び作業性に優れ、かつ、成形性、機械的強度、耐水性、及び耐熱水性等に優れ、特に、前記外観欠点がなく、色調劣化や表面外観に優れた繊維強化不飽和ポリエステル樹脂を実現できる繊維強化不飽和ポリエステル樹脂用ガラス繊維集束剤と、該集束剤を用いたガラス繊維と、かかるガラス繊維を用いた繊維強化不飽和ポリエステル樹脂を提供することにある。
本発明者は、上記の目的を達成すべく研究を重ねたところ、これを十分に満足する新規な繊維強化不飽和ポリエステル樹脂用ガラス繊維集束剤を開発した。すなわち、本発明は、下記の特徴を有する構成を要旨とするものである。
(1)スチレン溶解度が90%以上である酢酸ビニル系重合体100質量部に対し、ポリウレタンを30〜70質量部、及び飽和ポリエステルを30〜70質量部の割合で含むことを特徴とするガラス繊維用集束剤。
)飽和ポリエステルが、ビスフェノールAに由来するエステル単位を含む上記(1)に記載のガラス繊維用集束剤。
)上記(1)又は(2)に記載のガラス繊維用集束剤を塗布してなることを特徴とする繊維強化不飽和ポリエステル樹脂用ガラス繊維。
)マトリックス樹脂が不飽和ポリエステル樹脂であり、補強材として、上記()に記載の繊維強化不飽和ポリエステル樹脂用ガラス繊維を15〜60質量%含むことを特徴とする繊維強化不飽和ポリエステル樹脂。
本発明によれば、新規な組成のガラス繊維集束剤、該ガラス繊維集束剤を使用したガラス繊維が提供され、このガラス繊維を使用することにより、表面外観が良好で外観欠点がなく、かつ、集束性、作業性、成形性、機械的強度、耐水性、及び耐熱水性等に優れた繊維強化不飽和ポリエステル樹脂を製造することが可能なる。
本発明の繊維強化不飽和ポリエステル樹脂用ガラス繊維は、酢酸ビニル系重合体100質量部に対し、ポリウレタンを30〜70質量部、及び飽和ポリエステルを30〜70質量部の割合で含む集束剤を塗布してなるものである。
本発明において、集束剤に含まれる酢酸ビニル系重合体は、ガラス繊維を集束させ、かつガラス繊維表面を保護する働きがあり、さらにマトリクス樹脂である不飽和ポリエステル樹脂中でガラス繊維をモノフィラメントに開繊し易くさせることで、繊維強化不飽和ポリエステル樹脂成形品の表面外観を向上させると考えられ、また集束剤を比較的に安価にするものである。
酢酸ビニル系重合体は、スチレン溶解度が90%以上、好ましくは95%以上であることが成形品の表面外観を向上させるために好ましい。例えば、酢酸ビニルのホモポリマー、又はコポリマー(酢酸ビニルと酢酸ビニルと共重合可能な他の単量体との共重合体であって、好ましくは、酢酸ビニルに由来する重合単位を50質量%以上含有する)、若しくは、これらのホモポリマー又はコポリマーと、他の重合体との混合物(好ましくは、酢酸ビニルに由来する重合単位を50質量%以上含有する)が挙げられる。
ここで、スチレン溶解度とは、酢酸ビニル系重合体エマルジョンの皮膜をスチレンに所定時間浸漬した後のスチレンに溶出した比率を示す。測定方法としては、まず3cm×2cm、膜厚0.1mmの皮膜サンプルを作成する。皮膜サンプルの作成方法としては、まず、3cm×2cmの型枠に酢酸ビニル系重合体エマルジョンを、膜厚0.1mmになるように入れる。その後、そのエマルジョンを室温で12時間乾燥し、更に140℃で20分処理することにより、皮膜サンプルとなる。その作成した皮膜サンプルの重量(W1)を測定した後、スチレン100ccを入れたビ−カーに1時間浸漬する。1時間が経過した後、ビ−カー内を攪拌し、その後、あらかじめ100℃で1〜2時間乾燥し、デシケ−タ内で冷却したろ紙(アドバンテックス製No1)の重量(W2)を測定したもので濾過する。最後に、その濾過したろ紙を100℃で1時間乾燥し、重量(W3)を測定する。なお、スチレン溶解度は下記の式で計算される。

スチレン溶解度(%)=(1−(W3−W2)/W1)×100
また、酢酸ビニル系重合体は、ポリビニルアルコールに由来する共重合単位を含んでもよく、又は、保護コロイドとしてのポリビニルアルコールにより安定化されていてもよい。また、ガラス繊維に塗布する集束剤における酢酸ビニル系重合体の形態としては、自己乳化型の酢酸ビニル系重合体水分散体(エマルジョン)であってもよい。
本発明において、集束剤に含まれるポリウレタンは、前記酢酸ビニル系重合体のスチレンモノマーによるガラス繊維の開繊を抑制し、繊維強化不飽和ポリエステル樹脂成形時のガラス繊維の流動性を向上させるため、外観欠点がなく良好となる。前記酢酸ビニル系重合体のモノフィラメント開繊性と相俟って、成形品中にガラスモノフィラメントを均一に分散させるため、成形品の表面外観を良好にさせ、また、機械的強度、耐水性、耐煮沸性を向上させる。これは、ポリウレタンのゴム弾性がガラス繊維と不飽和ポリエステル樹脂界面の緩衝剤的な役割を果たすため、と考えられる。
ポリウレタンとしては、特に限定はないが、ポリオール成分及びジイソシアネート成分を必須成分とし、必要により鎖伸長剤及び/又は架橋剤から誘導されてなる公知のものが使用できる。
上記ポリオール成分としては、例えばポリエステルポリオール(例えばポリエチレンアジペートジオール、ポリブチレンアジペートジオール、ポリエチレンブチレンアジペートジオール、ポリネオペンチルアジペートジオール、ポリネオペンチルテレフタレートジオール、ポリカプロラクトンジオール、ポリバレロラクトンジオール、ポリヘキサメチレンカーボネートジオールなど);ポリエーテルポリオール[ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、ポリオキシエチレンオキシプロピレングリコール、ポリオキシテトラメチレングリコール、ビスフェノール類のエチレンオサイド(以下、EOと略記する)および/またはプロピレンオサイド(以下、POと略記する)付加物など]などが挙げられる。以上に挙げたもののうち、2種以上を混合して使用してもよい。
このうちポリエステルポリオールは、エステル基構造を含有することから剛性のある比較的硬い皮膜が得られるためポリオール成分として好ましい。
ジイソシアネート成分としては、例えば2,4’−もしくは4,4’−ジフェニルメタンジイソシアネート(MDI)、2,4−もしくは2,6−トリレンジイソシアネート(TDI)、4,4’−ジベンジルジイソシアネート、1.3−もしくは1,4−フェニレンジイソシアネート、1,5−ナフチレンジイソシアネート、キシリレンジイソシアネートなどの芳香族ジイソシアネート;エチレンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート(HDI)、リジンジイソシアネートなどの脂肪族ジイソシアネート;イソフォロンジイソシアネート(IPDI)、4,4’−ジシクロヘキシルメタンジイソシアネートなどの脂環式ジイソシアネート;およびこれらのうち2種以上の混合物を挙げることができる。
中でも、脂肪族ジイソシアネート、脂環式ジイソシアネートは、水系において比較的安定で低反応性であり、また無黄変タイプであるため、これを使用した集束剤を塗布したガラス繊維を含有する繊維強化不飽和ポリエステル樹脂成形品の耐水後、耐煮沸後の色調変化(黄変)が小さくなるため好ましく、特にIPDIが好ましい。
必要により用いられる鎖伸長剤および/または架橋剤としては、数平均分子量が60〜500未満の活性水素含有化合物、例えば多価アルコール[エチレングリコール、プロピレングリコール、1,3−ブチレングリコール、1,4−ブタンジオール、1、6−ヘキサンジオール、3−メチルペンタンジオール、ジエチレングリコール、ネオペンチルグリコール、1,4−ビス(ヒドロキシメチル)シクロヘキサン、1,4−ビス(ヒドロキシエチル)ベンゼン、2,2−ビス(4,4’−ヒドロキシシクロヘキシル)プロパンなどの2価アルコール;グリセリン、トリメチロールプロパンなどの3価アルコール;ペンタエリスリトール、ジグリセリン、α−メチルグルコシド、ソルビトール、キシリット、マンニット、ジペンタエリスリトール、グルコース、フルクトース、ショ糖などの4〜8価のアルコールなど]、多価フェノール類(ピロガロ―ル、カテコール、ヒドロキノンなどの多価フェノール;ビスフェノールA、ビスフェノールF、ビスフェノールSなどのビスフェノール類など)、水、ポリアミン[脂肪族ポリアミン(エチレンジアミン、ヘキサメチレンジアミン、ジエチレントリアミンなど)、脂環族ポリアミン(イソホロンジアミン、4,4’−ジシクロヘキシルメタンジアミンなど)、芳香族ポリアミン(4,4’−ジアミノジフェニルメタンなど)、芳香脂環族ポリアミン(キシリレンジアミンなど)、ヒドラジンもしくはその誘導体など]などが挙げられる。
また、ガラス繊維に塗布する集束剤におけるポリウレタンの形態としては、得られる繊維強化不飽和ポリエステル樹脂成形品の耐熱水性を向上させるために、自己乳化型のポリウレタン水分散体(エマルジョン)であることが好ましい。特に、ポリオール成分としてエチレンオキシドが付加された自己乳化型のポリウレタン水分散体(エマルジョン)であることが好ましい。
集束剤において、ポリウレタンは酢酸ビニル系重合体100質量部に対して30〜70質量部であることが必須である。この値が30質量部未満であると、流動性が低下するため、繊維強化不飽和ポリエステル樹脂成形品の外観欠点が増加する。また、この値が70質量部を越えるとガラス繊維が開繊し難くなるため、繊維強化不飽和ポリエステル樹脂成形品の表面外観が劣るため好ましくない。
本発明において、集束剤に含まれる飽和ポリエステルは、繊維強化不飽和ポリエステル樹脂成形品の機械的強度及び表面外観を向上させることができる上に、成形品の機械的強度、耐水性、耐熱水性を良好にする。これは飽和ポリエステルが相溶化剤として働き、マトリックス樹脂である不飽和ポリエステル樹脂との相溶性を向上させ、不飽和ポリエステル樹脂へのガラス繊維の含浸性を向上させると考えられるためである。
飽和ポリエステルとしては特に限定はないが、飽和2塩基酸成分とグリコール成分との重縮合体が挙げられる。飽和2塩基酸成分としては、例えば、フタル酸、無水フタル酸、イソフタル酸、アジピン酸、セバチン酸、等が挙げられ、これらを単独または併用して使用することができる。また、グリコール成分としては、例えば、エチレングリコール、プロピレングリコール、ブチレングリコール、ネオペンチルグリコール、ビスフェノールA骨格を有するビスフェノールジオキシエチルエーテル、ビスフェノールジオキシプロピルエーテル等が挙げられ、これらを単独または併用して使用することができる。なかでもビスフェノールA骨格を有するグリコールをグリコール成分とする飽和ポリエステルは、繊維強化不飽和ポリエステル樹脂成形品の耐水性、耐熱水性(耐退色性)を向上させるため好ましい。
また、ガラス繊維に塗布する集束剤における飽和ポリエステルの形態としては、得られる繊維強化不飽和ポリエステル樹脂成形品の耐水性、耐熱水性を向上させるために、自己乳化型の飽和ポリエステル水分散体(エマルジョン)であることが好ましい。
集束剤において、飽和ポリエステルは、酢酸ビニル系重合体樹脂100質量部に対して、30〜70質量部であることが必須である。この値が30質量部未満であると、含浸性が低下するため繊維強化不飽和ポリエステル樹脂成形品の表面外観が劣る。また、この値が70質量部を越えるとガラス繊維の開繊が過多となり流動性が低下するため、繊維強化不飽和ポリエステル樹脂成形品の外観欠点が増加し好ましくない。
本発明における集束剤は、繊維強化不飽和ポリエステル樹脂成形品の表面外観を良好にし、外観欠点をなくし、かつ、成形性、機械的強度、耐水性、及び集束剤の経済性を良好にするために、酢酸ビニル系重合体、ポリウレタン、及び飽和ポリエステルの3成分を含有し、かつ、かかる3成分の比率は、上述の通り、酢酸ビニル系重合体100質量部に対し、ポリウレタンが30〜70質量部、及び飽和ポリエステルが30〜70質量部である。また、集束剤の固形分全量に対して酢酸ビニル系重合体が30〜62質量%含まれていることが好ましく、更に40〜62質量%であることがより好ましい。この値が30質量%未満であるとガラス繊維がモノフィラメント化しにくくなるため、繊維強化不飽和ポリエステル樹脂成形品の表面外観が劣る。また、この値が70質量%を越えるとガラス繊維のモノフィラメント化が早すぎ流動性が劣るため、繊維強化不飽和ポリエステル樹脂成形品の外観欠点が増加し、好ましくない。
集束剤は、酢酸ビニル系重合体、ポリウレタン、及び飽和ポリエステルの各々のエマルジョンを混合するか、この3成分のうち1成分のエマルジョンと他の2成分を混合するか、若しくは、3成分のうち2成分の各々のエマルジョンと残りの1成分を混合するなど、各種の方法で製造できる。
本発明における集束剤は、酢酸ビニル系重合体、ポリウレタン、及び飽和ポリエステルの他に、異種の樹脂成分やシランカップリング剤を含有してもよく、また難燃剤、酸化防止剤、可塑剤、潤滑剤、帯電防止剤、PH調整剤等の添加剤を適宜含有することが可能である。
本発明の繊維強化不飽和ポリエステル樹脂は、マトリックス樹脂が不飽和ポリエステル樹脂であり、補強材として、上述した本発明の繊維強化不飽和ポリエステル樹脂用ガラス繊維を15〜60質量%含むものである。15質量%未満では強度低下となり、また、60質量%を超えると成形品の表面にガラス目がきつくなり表面外観が劣り、好ましくない。
マトリックス樹脂である不飽和ポリエステル樹脂としては、特に制限はなく、一般に不飽和ポリエステル樹脂として使用されているものはどれでも使用できる。例えば、飽和二塩基酸類(アジピン酸、無水フタル酸、イソフタル酸、など)、不飽和二塩基酸類(無水マレイン酸、フマル酸など)、ジオール類(エチレングリコール、プロピレングリコール、テトラメチレングリコール、ジエチレングリコール、ジシクロペンタジエンなどの脂肪族ジオール、ビスフェノール類の水酸基にエチレンオキサイドやプロピレンオキサイド等のアルキレンオキサイドを付加させて得られるジオールなど)とから得られるポリエステル鎖に、架橋剤として働くモノマー(スチレン、ジクロロスチレン、ジアリルフタレートなど)を添加し、硬化させて得られるものが挙げられる。
本発明の繊維強化不飽和ポリエステル樹脂の製造方法としては、特に制限されず、SMC法、BMC法、プリフォーム法、スプレーアップ法、引き抜き法、フィラメントワインディング法等の成形法によって製造することができる。なかでも、本発明の繊維強化不飽和ポリエステル樹脂用ガラス繊維の優れた性質を活かすことができるため、特にSMC法、BMC法により成形することが好ましい。
以下に本発明についての実施例を挙げてさらに具体的に説明するが、本発明はかかる実施例に限定されて解釈されるべきでないことはもちろんである。なお、後記する表1における数字は、各成分の固形分の質量%である。
(実施例1)
スチレン溶解度 100%の酢酸ビニルエマルジョン、ポリエステルポリオール成分を含むポリウレタンエマルジョン、飽和ポリエステルエマルジョン、及びアクリルシラン、ギ酸(PH調整剤)を用いて、表1に示す組成で実施例1の集束剤を調製した。
(実施例2)
実施例1において、スチレン溶解度93%の酢酸ビニルエマルジョンを用いた以外は、実施例1と同様の成分を用いて、表1に示す組成で実施例2の集束剤を調製した。
(実施例3〜8)
実施例1と同様の成分を用いて、表1に示す組成で実施例3〜8の集束剤を調製した。
(比較例1)
実施例1において、スチレン溶解度50%の酢酸ビニルエマルジョンを用いた以外は、実施例1と同様の成分を用いて、表1に示す組成で比較例1の集束剤を調製した。
(比較例2)
実施例1において、不飽和ポリエステルエマルジョンを用いた以外は、実施例1と同様の成分を用いて、表1に示す組成で比較例1の集束剤を調製した。
(比較例3)
スチレン溶解度100%の酢酸ビニルエマルジョン、飽和ポリエステルエマルジョン、及びアクリルシラン、ギ酸を用いて、表1に示す組成で比較例3の集束剤を調製した。
(比較例4)
スチレン溶解度100%の酢酸ビニルエマルジョン、ポリエステルポリオール成分を含むポリウレタンエマルジョン、及びアクリルシラン、ギ酸を用いて、表1に示す組成で比較例4の集束剤を調製した。
(比較例5〜8)
実施例1と同様の成分を用いて、表1に示す組成で比較例5〜8の集束剤を調製した。
Figure 0004370140
(ガラスロービングの製造)
繊維径15μmのガラス繊維を200本集束し、かつ集束剤を含むガラス繊維全量に対し集束剤の付着量を1.0質量%としたガラス繊維束を、実施例1〜8、比較例1〜8で調整した各集束剤を使用して作成し、該ガラス繊維束を48本束にし、ガラス繊維ロービングを製造した。
このガラス繊維ロービングを25mmに切断し、表2に示す組成のSMCのペーストに含浸させ、40℃で2日間熟成させた。なお、表2における不飽和ポリエステル樹脂は、イソフタル酸とポリエチレングリコールを原料として製造されたものである。
Figure 0004370140
次いで、得られたSMCを使用し、表3に示す成形条件で成形し平板のSMC成形品を、表4に示す成形条件で成形しミニバスタブのSMC成形品を得た。
Figure 0004370140
(SMC評価)
表1に示した各集束剤を使用して作成したガラス繊維ロービング、及び、各ガラス繊維ロービングを用いて上記の工程を経て得られたSMC成形品の評価を以下の通り行った。
評価結果は表1に示す。
(ガラス繊維ロービングの色相評価)
25mmにカットしたガラス繊維ロービング30gを、10cm角の袋に入れ色差(YI値)を測定した。

YI値≧6 → 劣る
YI値<6 → 良い

(SMC成形品の表面外観評価)
上記平板成形品を各例ごとに5個作成しそれを目視にて評価した。

目視により全くガラス目が確認できない(◎) → 非常に良い
目視によりガラス目がほとんど確認できない(○) → 良い
目視によりガラス目が確認できる(×) → 劣る

(SMC成形品の外観欠点評価)
上記平板成形品のクラックの有無を、また、上記ミニバスタブ成形品のピンホール・フクレ・欠肉の有無を、目視により評価した。

クラック:なし→良い、有り → 劣る
ピンホール:なし→良い、有り → 劣る
フクレ:なし → 良い、有り → 劣る
欠肉:なし → 良い、有り → 劣る

Claims (4)

  1. スチレン溶解度が90%以上である酢酸ビニル系重合体100質量部に対し、ポリウレタンを30〜70質量部、及び飽和ポリエステルを30〜70質量部の割合で含むことを特徴とするガラス繊維用集束剤。
  2. 飽和ポリエステルが、ビスフェノールAに由来するエステル単位を含む請求項1に記載のガラス繊維用集束剤。
  3. 請求項1又は2に記載のガラス繊維用集束剤を塗布してなることを特徴とする繊維強化不飽和ポリエステル樹脂用ガラス繊維。
  4. マトリックス樹脂が不飽和ポリエステル樹脂であり、補強材として、請求項に記載の繊維強化不飽和ポリエステル樹脂用ガラス繊維を15〜60質量%含むことを特徴とする繊維強化不飽和ポリエステル樹脂。
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