JP6522326B2 - 黒鉛粒子組成物およびその製造方法、負極ならびに蓄電装置 - Google Patents

黒鉛粒子組成物およびその製造方法、負極ならびに蓄電装置 Download PDF

Info

Publication number
JP6522326B2
JP6522326B2 JP2014250177A JP2014250177A JP6522326B2 JP 6522326 B2 JP6522326 B2 JP 6522326B2 JP 2014250177 A JP2014250177 A JP 2014250177A JP 2014250177 A JP2014250177 A JP 2014250177A JP 6522326 B2 JP6522326 B2 JP 6522326B2
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
graphite particle
group
graphite
monomer unit
particle composition
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Active
Application number
JP2014250177A
Other languages
English (en)
Other versions
JP2016110953A (ja
Inventor
佑介 杉山
佑介 杉山
正孝 仲西
正孝 仲西
合田 信弘
信弘 合田
隆弘 杉岡
隆弘 杉岡
村瀬 正和
正和 村瀬
田中 洋充
洋充 田中
岡本 浩孝
浩孝 岡本
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Toyota Industries Corp
Toyota Central R&D Labs Inc
Original Assignee
Toyota Industries Corp
Toyota Central R&D Labs Inc
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Toyota Industries Corp, Toyota Central R&D Labs Inc filed Critical Toyota Industries Corp
Priority to JP2014250177A priority Critical patent/JP6522326B2/ja
Publication of JP2016110953A publication Critical patent/JP2016110953A/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP6522326B2 publication Critical patent/JP6522326B2/ja
Active legal-status Critical Current
Anticipated expiration legal-status Critical

Links

Classifications

    • YGENERAL TAGGING OF NEW TECHNOLOGICAL DEVELOPMENTS; GENERAL TAGGING OF CROSS-SECTIONAL TECHNOLOGIES SPANNING OVER SEVERAL SECTIONS OF THE IPC; TECHNICAL SUBJECTS COVERED BY FORMER USPC CROSS-REFERENCE ART COLLECTIONS [XRACs] AND DIGESTS
    • Y02TECHNOLOGIES OR APPLICATIONS FOR MITIGATION OR ADAPTATION AGAINST CLIMATE CHANGE
    • Y02EREDUCTION OF GREENHOUSE GAS [GHG] EMISSIONS, RELATED TO ENERGY GENERATION, TRANSMISSION OR DISTRIBUTION
    • Y02E60/00Enabling technologies; Technologies with a potential or indirect contribution to GHG emissions mitigation
    • Y02E60/10Energy storage using batteries

Description

本発明は、黒鉛粒子および当該黒鉛粒子に吸着した芳香族ビニル共重合体を含有する黒鉛粒子組成物、当該黒鉛粒子組成物の製造方法、当該黒鉛粒子組成物を含有する負極、当該負極を含有する蓄電装置に関する。
黒鉛粒子は、耐熱性、耐薬品性、機械的強度、熱伝導性および導電性に優れ、潤滑性を有しかつ軽量である等、各種の優れた特性を有する。その一方で、黒鉛粒子は凝集し易く、特に流体中においては均一に分散し難いために、上述した各種の特性を充分に発揮し難い問題がある。
近年では、黒鉛粒子を微細化することで高分散を図る技術が提案されている(例えば、特許文献1〜3参照)。しかし、このような技術を用いて微細化された黒鉛粒子は、高分散可能ではあるものの黒鉛本来の各種の特性に劣る場合があった。
これに対して、特殊な方法で黒鉛を微細化し、高分散可能でありかつ導電性に優れ、更に、分散安定性にも優れた黒鉛粒子を得る技術が提案されている(例えば、特許文献4参照)。特許文献4に開示されている方法は、より具体的には、黒鉛粒子、特定の芳香族ビニル共重合体および過酸化水素化物を混合して粉砕処理を施すことによって、板状をなす微細な黒鉛粒子(板状黒鉛粒子と呼ぶ)の表面に特定の芳香族ビニル共重合体が吸着した黒鉛粒子−ポリマー複合体を得る方法である。
この方法で得られた黒鉛粒子−ポリマー複合体は、上述したように、従来の黒鉛粒子に比べて優れた特性を発揮する。しかし近年では黒鉛粒子は種々の用途に供されており、更に性能の向上した黒鉛粒子−ポリマー複合体の開発が望まれている。
例えば、黒鉛粒子の優れた耐薬品性や機械強度および潤滑性等によって、黒鉛粒子−ポリマー複合体は樹脂成形品のフィラーや蓄電装置の電極用の導電助剤としても有用だと考えられる。しかしフィラーや導電助剤等にはクッション性(すなわち緩衝性)が求められる場合があり、黒鉛粒子−ポリマー複合体だけでは必要とされるクッション性を満足しない場合があった。
特開平2−204317号公報 特開2005−53773号公報 特開2009−242209号公報 国際公開第2011/155486号
本発明は上記した事情に鑑みてなされたものであり、黒鉛粒子−ポリマー複合体にクッション性を付与し得る新たな技術を提供することを目的とする。
上記課題を解決する本発明の黒鉛粒子組成物の製造方法は、
黒鉛粒子と、下記式(1)で表されるビニル芳香族モノマー単位および下式(2)で表される塩基性モノマー単位を有する芳香族ビニル共重合体と、下記式(3)で表される処理剤と、を作用させる作用工程を有する。
−(CH−CHX)− …(1)
−(CH−CHX)− …(2)
−R−L …(3)
(なお、式(1)中のXはフェニル基、ナフチル基、アントラセニル基またはピレニル基を表し、これらの基は置換基を有していても良い、式(2)中のXはNおよび/またはPを含む有機基を表し、これらの基は置換基を有していても良い、式(3)中のRは炭素数1以上のアルキル鎖でありLおよびLはそれぞれ脱離基であり、nは0または1であり、LおよびLは同じであっても良いし異なっていても良い。)
また、上記課題を解決する本発明の黒鉛粒子組成物は、
黒鉛粒子と、
前記黒鉛粒子の表面に吸着し下記式(1)で表されるビニル芳香族モノマー単位と、下式(2)で表される塩基性モノマー単位と、を有する芳香族ビニル共重合体と、を含む黒鉛粒子−ポリマー複合体と、
下記式(3)で表される処理剤に由来し、少なくとも一部が隣接する前記黒鉛粒子−ポリマー複合体同士の間に介在するアルキル鎖構造と、を含む。
−(CH−CHX)− …(1)
−(CH−CHX)− …(2)
−R−L …(3)
(なお、式(1)中のXはフェニル基、ナフチル基、アントラセニル基またはピレニル基を表し、これらの基は置換基を有していても良い、式(2)中のXはNおよび/またはPを含む有機基を表し、これらの基は置換基を有していても良い、式(3)中のRは炭素数1以上のアルキル鎖でありLおよびLはそれぞれ脱離基であり、nは0または1であり、LおよびLは同じであっても良いし異なっていても良い。)
さらに、上記課題を解決する本発明の負極は、
Si、Si化合物、SnおよびSn化合物からなる群から選ばれる少なくとも一種からなる活物質粉末と、上記した本発明の黒鉛粒子組成物と、の混合粉末を含むものである。
さらに、上記課題を解決する本発明の蓄電装置は、上記した本発明の負極を有するものである。
本発明によると、当該黒鉛粒子−ポリマー複合体を処理剤で処理して黒鉛粒子組成物とすることで、黒鉛粒子−ポリマー複合体にクッション性を付与することが可能である。また、当該板状粒子組成物に由来するクッション性を負極に付与することが可能である。さらに、当該負極を有する蓄電装置に、当該クッション性に由来する優れた電池特性を付与することが可能である。
本発明の黒鉛粒子組成物は、蓄電池用の負極活物質に限らず、導電助剤、樹脂成形品用のフィラーをはじめとする各種の用途に供することができる。また、本発明の黒鉛粒子組成物を蓄電池用の負極活物質や導電助剤として用いる場合には、充電時と放電時との体積変化の大きい材料(例えばケイ素系の負極活物質等)に併用することでクッション性を有効に発揮し得る。これは以下の理由によると推測される。
本発明の黒鉛粒子組成物の製造方法では、上述した特許文献4に開示されている技術と同様に、黒鉛粒子に芳香族ビニル共重合体が吸着した黒鉛粒子−ポリマー複合体を得る。そして更に、当該黒鉛粒子−ポリマー複合体の芳香族ビニル共重合体に処理剤を作用させて、処理剤で処理された黒鉛粒子−ポリマー複合体(以下、必要に応じてカチオン化複合体と呼ぶ)の集合体たる黒鉛粒子組成物を得る。なお、本発明で用いる黒鉛粒子は、特許文献4に開示されている板状黒鉛粒子に限定されず、板状でないものでも良い。
処理剤はアルキル鎖と当該アルキル鎖の末端に結合した脱離基とを有する。一方、芳香族ビニル共重合体の塩基性モノマー単位は、Nおよび/またはPを有する。塩基性モノマー単位のNおよび/またはPは、求核剤として作用する。つまり、塩基性モノマー単位のNおよび/またはSは、処理剤のなかで脱離基が結合する炭素に作用し、処理剤から脱離基を脱離させ、脱離基を失った処理剤の末端つまりアルキル鎖の末端に結合するとともに、カチオン化される。換言すると、処理剤で処理された黒鉛粒子−ポリマー複合体、つまり、カチオン化複合体の表面は、正(+)の電荷を帯びる。したがって、黒鉛粒子組成物に含まれるカチオン化複合体同士は静電反発し合う。この反発力によって、黒鉛粒子組成物にはクッション性が付与されると考えられる。換言すると、本発明の黒鉛粒子組成物は例え圧縮されても可逆的に弾性変形すると考えられる。
また、カチオン化複合体同士の間には処理剤のアルキル鎖が存在すると考えられ、このアルキル鎖もまたカチオン化複合体同士の間に介在するクッション材になり得る。換言すると、隣接するカチオン化複合体同士の間には、処理剤のアルキル鎖が介在すると考えられる。そしてこのアルキル鎖は、隣接するカチオン化複合体の間でバネ様の挙動を示すと考えられる。このことによっても、黒鉛粒子組成物はクッション性を発揮すると考えられる。
そして、このような本発明の黒鉛粒子組成物を電極や樹脂成形体等に配合することで、電極や樹脂成形体等にクッション性を付与することができると考えられる。以下、本発明の黒鉛粒子組成物について詳説する。
<黒鉛粒子組成物>
黒鉛粒子組成物は、上記したように、黒鉛粒子−ポリマー複合体と、処理剤に由来するアルキル鎖構造とを含むカチオン化複合体の集合体である。
黒鉛粒子−ポリマー複合体は、黒鉛粒子に芳香族ビニル共重合体が吸着したものである。黒鉛粒子は、特に限定しないが、上述した特許文献4に開示されているような板状黒鉛粒子、つまり、厚み0.3nm〜100nmかつ長軸方向の長さ0.1μm〜500μmの板状をなす微細な粒子であるのが好ましい。黒鉛粒子としてこのような板状黒鉛粒子を用いることで、当該板状黒鉛粒子に由来する優れた特性を、本発明の黒鉛粒子組成物に付与できる。板状黒鉛粒子は、例えば、グラファイト構造を有する公知の黒鉛、例えば人造黒鉛、鱗片状黒鉛、塊状黒鉛、土状黒鉛等をグラファイト構造が破壊されないように粉砕することによって得ることができる。また、形状が上記の範囲内であれば、板状黒鉛粒子として市販のグラフェンを用いることもできる。
板状黒鉛粒子の厚みは、天然黒鉛である鱗片状黒鉛と比べて大幅に小さい。板状黒鉛粒子の長軸方向の長さ/厚みで求められる比率は10〜1000であり、さらに望ましくは50〜100である。以下本明細書においては、必要に応じて、「板状黒鉛粒子の長軸方向の長さ/厚みで求められる比率」をアスペクト比と称する場合がある。
板状黒鉛粒子の厚みは、0.3nm〜100nmであり、1nm〜100nmであるのが好ましい。また、板状黒鉛粒子の長軸方向の長さは、0.1μm〜500μmであり、1μm〜500μmであるのが好ましい。短軸方向の長さは0.3μm〜100μmであるのが好ましい。
板状黒鉛粒子の表面には、水酸基、カルボキシル基、エポキシ基などの官能基が結合していることが好ましい。板状黒鉛粒子の表面に官能基が結合することにより、板状黒鉛粒子と溶媒やポリマーなどの他の有機物との親和性が増す。このことは、板状黒鉛粒子と芳香族ビニル共重合体との親和性を高めるために特に有用である。つまり、これらの官能基の存在によって芳香族ビニル共重合体の板状黒鉛粒子への吸着量が増大する。
このような官能基は、板状黒鉛粒子の表面近傍、好ましくは表面から深さ10nmまでの領域にある全炭素原子を100原子%としたときに50原子%以下、より好ましくは20原子%以下、特に好ましくは10原子%以下の炭素原子に結合していることが好ましい。また官能基が結合している炭素原子の割合は、表面から深さ10nmまでの領域にある全炭素原子を100原子%としたときに、0.01原子%以上が好ましい。官能基が結合している炭素原子の割合が50原子%を超えると、板状黒鉛粒子の親水性が増大し、有機物との親和性が低下する傾向がある。なお板状黒鉛粒子の表面近傍の官能基はX線光電子分光法(XPS)により定量することができる。
芳香族ビニル共重合体は、下記式(1):
−(CH−CHX)− (1)
で表されるビニル芳香族モノマー単位を含有する。当該ビニル芳香族モノマー単位は、π電子相互作用(π−π相互作用とも言う)により、黒鉛粒子の表面の六員環構造に吸着すると考えられる。そして、当該ビニル芳香族モノマー単位が黒鉛粒子に吸着することで、ビニル芳香族モノマー単位を有する芳香族ビニル共重合体が黒鉛粒子に吸着する。なお、ビニル芳香族モノマー単位は、黒鉛粒子表面の六員環構造とπ電子相互作用するものであれば、構造に特に限定はない。例えば、式(1)中、Xはフェニル基、ナフチル基、アントラセニル基またはピレニル基を表し、これらの基は置換基を有していても良い。
ビニル芳香族モノマー単位の含有率が高い芳香族ビニル共重合体ほど、黒鉛粒子に吸着し易い。したがって、多くの芳香族ビニル共重合体を黒鉛粒子に吸着させるためには、芳香族ビニル共重合体におけるビニル芳香族モノマー単位の含有率は多い方が好ましい。一方、芳香族ビニル共重合体におけるビニル芳香族モノマー単位の含有率が多い程、後述する塩基性モノマー単位および第3のモノマー単位の含有率が少なくなる。これらを考慮すると、芳香族ビニル共重合体におけるビニル芳香族モノマー単位の含有率は、芳香族ビニル共重合体全体に対して10質量%〜98質量%が好ましく、30質量%〜98質量%がより好ましく、50質量%〜95質量%が特に好ましい。ビニル芳香族モノマー単位の含有率が10質量%より低くなると、芳香族ビニル共重合体の黒鉛粒子への吸着力が低下する場合がある。また、ビニル芳香族モノマー単位の含有率が98質量%より高くなると、塩基性モノマー単位、および場合によっては第3のモノマー単位の不足によるクッション性の低下が生じる可能性がある。
なお、塩基性モノマー単位は、後述する第3のモノマー単位と同様に、溶媒や樹脂等に親和する機能をも有する。つまり、後述する処理剤と反応せず、カチオン複合体に残存する塩基性モノマー単位は、溶媒や樹脂と黒鉛粒子−ポリマー複合体との親和性を高め、ひいては溶媒や樹脂と黒鉛粒子組成物との親和性を高め、溶媒や樹脂中に黒鉛粒子組成物を高分散させるのに役立つ。
式(1)の置換基としては、例えば、アルキル基、アリール基、アセチル基、アミノ基、カルボキシル基、カルボン酸エステル基、水酸基、アミド基、イミノ基、グリシジル基、アルコキシ基、カルボニル基、イミド基、リン酸エステル基が挙げられる。黒鉛粒子に対する芳香族ビニル共重合体の吸着性を考慮すると、置換基は、アルコキシ基であることが好ましく、アルコキシ基は、メトキシ基であることが好ましい。
ビニル芳香族モノマー単位としては、例えば、スチレンモノマー単位、ビニルナフタレンモノマー単位、ビニルアントラセンモノマー単位、ビニルピレンモノマー単位、ビニルアニソールモノマー単位、ビニル安息香酸エステルモノマー単位、アセチルスチレンモノマー単位が挙げられる。黒鉛粒子に対する芳香族ビニル共重合体の吸着性を考慮すると、ビニル芳香族モノマー単位はこのうちスチレンモノマー単位、ビニルナフタレンモノマー単位、ビニルアニソールモノマー単位であることが好ましい。なお、ビニル芳香族モノマー単位としては、これらの一種のみを選択しても良いし、これらの複数を併用しても良い。
芳香族ビニル共重合体は、上記したビニル芳香族モノマー単位以外に、塩基性モノマー単位を有する。芳香族ビニル共重合は、ビニル芳香族モノマー単位および塩基性モノマー単位のみからなっても良いし、それ以外のモノマー単位を含んでも良い。
塩基性モノマー単位は、下記式(2)で表される。
−(CH−CHX)− …(2)
式(2)中、XはNおよび/またはPを含む有機基を表し、これらの基は置換基を有していても良い。
上式(2)で表される塩基性モノマー単位において、XのNまたはPは、処理剤の脱離基に結合する炭素と反応し、四級塩を形成する、つまりカチオン化すると考えられる。換言すると、塩基性モノマー単位の有機基におけるNまたはPは、処理剤と反応する求核剤として機能するとも言える。以下、必要に応じて、塩基性モノマー単位の有機基におけるNおよび/またはPを求核剤元素と呼ぶ。
塩基性モノマー単位の有機基としては、アジリジン、アジリン、アゼチジン、アゼト、ピロリジン、ピロール、ピペリジン、ピリジン、アゼパン、アゼピン、イミダゾール類、ピラゾール、オキサゾール、チアゾール、イミダゾリン、イミダゾリジノン、ピラジン、モルホリン、チアジン、ピラゾリン、ピラゾロン、ピラゾリジン、ピラゾレート、ピリミジン、キノリン、イソキノリン、キノキサリン、アミン類ホスホール等が挙げられるが、これに限定されない。
塩基性モノマー単位は、ビニルイミダゾール類、ビニルアゾール類、ビニルピリジン類、ビニルアミン類、ビニルアジリジン、ビニルホスホール、ビニルチアゾール、ビニルピラジン、ビニルピラゾリン、ビニルピリミジン、ビニルキノリン、ビニルイソキノリン、ビニルキノキサリン、からなる群から選択される少なくとも1種のモノマーから誘導されるのが好ましい。塩基性モノマー単位は、上記した求核剤元素を1種のみ含んでも良いし、多種含んでも良い。また、1モルの塩基性モノマー単位に含まれる求核剤元素は1モルであっても良いし、2モル以上であっても良い。
ビニルイミダゾール類としては、1−ビニルイミダゾールが挙げられる。
ビニルアゾール類としては、1−ビニル−1H−ピロール、2−ビニル−1H−ピロール、1−ビニルイミダゾール、2−ビニルイミダゾール等が挙げられる。
ビニルピリジン類としては、2−ビニルピリジン、4−ビニルピリジンが挙げられる。
ビニルアミン類としては、メチルビニルアミン等が挙げられる。
ビニルアジリジンとしては、1−ビニルアジリジンが挙げられる。
ビニルホスホールとしては、2−(アリルオキシ)−3−ビニル−2,5−ジヒドロ−1,2−オキサホスホール、2−ビニル−1,3,2−ベンゾジオキサホスホール、2−ビニル−2H−ホスホールが挙げられる。
ビニルチアゾールとしては、2−ビニルチアゾールが挙げられる。
ビニルピラジンとしては、2−ビニルピラジン等が挙げられる。
ビニルピラゾリンとしては、5−ビニルピラゾリン、3−ビニル−1−ピラゾリン等が挙げられる。
ビニルピリミジンとしては、5−ビニルピリミジン等が挙げられる。
ビニルキノリンとしては、2−ビニルキノリン、4−ビニルキノリン等が挙げられる。ビニルアミンとしては、メチルビニルアミン等が挙げられる。ビニルアミドとしては、N−ビニルアミド等が挙げられる。
ビニルイソキノリンとしては、4−ビニルイソキノリンが挙げられる。
ビニルキノキサリンとしては、2−ビニルキノキサリンが挙げられる。
塩基性モノマー単位は、処理剤と反応して四級塩を形成する、つまり、カチオン化する。このため、塩基性モノマー単位としてはカチオン化し易いものを選択するのが好ましい。塩基性モノマー単位のXつまり有機基は、直鎖状であっても良いし環状であっても良いが、カチオン化を考慮すると、複素環構造であるのが好ましい。なお、塩基性モノマー単位としては上記した各種の塩基性モノマー単位の一種を選択しても良いし、複数を併用しても良い。
ビニル芳香族モノマー単位に対する塩基性モノマー単位の含有量は、ビニル芳香族モノマー単位1モルに対して、0.1〜10モルであるのが好ましく、0.3〜3モルであるのがより好ましく、0.5〜2モルであるのがより好ましい。
なお、ビニル芳香族モノマー単位と塩基性モノマー単位とはモル比1:1で存在するのが特に好ましい。塩基性モノマー単位の含有割合が過小であれば、黒鉛粒子−ポリマー複合体とアルキル鎖構造とを含むカチオン化複合体の表面を頻度高くカチオン化するのが困難になる。その結果、隣接するカチオン化複合体同士の静電反発力も小さくなり、黒鉛粒子組成物に大きなクッション性を付与し難くなる場合がある。また、塩基性モノマー単位の含有割合が過大であれば、ビニル芳香族モノマー単位の含有割合が相対的に過小となり、黒鉛粒子に対する芳香族ビニル共重合体の吸着性を高め難い場合がある。
処理剤は、下記式(3):
−R−L …(3)
(式(3)中、Rは炭素数2以上のアルキル鎖であり、LおよびLはそれぞれ脱離基であり、nは0または1であり、LおよびLは同じであっても良いし異なっていても良い。)
で表される。
脱離基としては、塩素、臭素、ヨウ素等のハロゲンメシラート、トリフラート等を挙げることができる。処理剤が二つの脱離基を有する場合、一方の脱離基Lと他方の脱離基Lとが各々異なる脱離基であっても良い。さらに、処理剤としては、脱離基(または脱離基の組み合わせ)の異なる2種以上のものを併用しても良い。本発明においては、基本的に、塩基性モノマー単位の一つの求核剤元素が、処理剤と反応して一つの脱離基を脱離させると想定される。脱離基はヨウ素または臭素であることが好ましい。換言すると、上式(3)中のLおよびLはそれぞれ独立にヨウ素または臭素であるのが好ましい。
なお、静電反発力が大きい程、隣接するカチオン化複合体は固着し難い。このため、クッション性を考慮すると、塩基性モノマー単位の多くが処理剤と反応するのが好ましい。したがって、塩基性モノマー単位に対する処理剤の量は所定の値以上であるのが好ましいと考えられる。また、処理剤が1つの脱離基のみを有する場合、つまり、上式(3)のLがないn=0である場合には、1モルの処理剤が1モルの塩基性モノマー単位と反応する。一方、処理剤が2つの脱離基を有する場合、つまり、上式(3)のLがあるn=1の場合には、1モルの処理剤が2モルの塩基性モノマー単位と反応する。したがって、塩基性モノマー単位に対する処理剤の量の好ましい割合、より具体的には当該割合の下限値は、処理剤の脱離基の数によっても異なると考えられる。
具体的には、塩基性モノマー単位および処理剤は、求核剤元素1原子に対する脱離基の数が所定以上となるように配合するのが好ましい。求核剤元素1原子に対する脱離基の数は0.05以上であるのが好ましく、0.06以上であるのがより好ましく、0.08以上であるのがさらに好ましい。
ところで、処理剤と反応した塩基性モノマー単位の量が過大であり、黒鉛粒子組成物に残存する処理剤と未反応の塩基性モノマー単位の量が過小になると、溶媒や樹脂に対する黒鉛粒子組成物の親和性を塩基性モノマー単位によって確保するのが困難になる場合がある。この場合には、樹脂等に対する黒鉛粒子組成物の分散性を高め難くなる可能性がある。したがって、少なくとも後述する第3のモノマー単位のない場合には、塩基性モノマー単位に対する処理剤の好ましい割合、より具体的には当該割合の上限値が存在すると考えられる。
具体的には、求核剤元素1原子に対する脱離基の数は1.2未満であるのが好ましく、1.0以下であるのがより好ましく、0.8以下であるのがさらに好ましい。
そして、第3のモノマー単位のない場合には上記した好ましい上限値および好ましい下限値を考慮して、以下の数値範囲をつくり得る。すなわち、求核剤元素1原子に対する脱離基の数は0.05以上1.2未満であるのが好ましく、0.06以上1.0以下であるのがより好ましく、0.08以上0.8以下であるのが特に好ましい。0.1以上0.8以下であるのがなお好ましく、0.2以上0.7以下であるのがなお好ましい。
本発明の黒鉛粒子組成物において、黒鉛粒子組成物のクッション性は静電反発力によって発揮されると考えられる。したがって黒鉛粒子組成物のクッション性は一度だけで失われるのでなく、複数回繰り返し発揮されると考えられる。このため本発明の黒鉛粒子組成物は、クッション性が繰り返し必要とされる用途、例えば、二次電池用の負極に添加される導電助剤或いは第2の負極活物質として好ましく用いられる。
本発明の黒鉛粒子組成物を二次電池用負極等の蓄電装置用負極に用いる場合には、蓄電装置の容量低下を抑制し得ると考えられる。例えば、二次電池の負極活物質としてSiOおよびSiOに代表されるケイ素系負極活物質が知られている。これらケイ素系負極活物質は、充放電に伴う体積変化の大きな負極活物質である。したがって、ケイ素系負極活物質を用いる場合には、負極活物質の体積変化によって負極活物質層にクラックが生じたり、負極活物質層の一部が負極から脱落したりする場合がある。このような場合には、二次電池の容量が低下する。初回充放電時においても、同様に、負極活物質層の脱離等による二次電池の容量低下が生じ得る。本発明の黒鉛粒子組成物を蓄電装置用負極に用いる場合には、黒鉛粒子組成物自身のクッション機能によって、上記した負極活物質の体積変化を緩衝でき、負極活物質層のクラックや脱離等を抑制でき、ひいては初期容量を含む蓄電装置の容量向上に寄与し得る。
黒鉛粒子組成物のクッション機能を効率良く発揮するためには、隣接するカチオン化複合体同士の間に処理剤のアルキル鎖が架け渡されるのが好ましい。このためには、処理剤が2つの脱離基を有するのが好ましい。
処理剤におけるアルキル鎖の長さは、黒鉛粒子組成物の用途に応じて適宜設定すれば良い。例えば、黒鉛粒子組成物を蓄電装置用負極に用いる場合、黒鉛粒子組成物のクッション性を大きくするためには、隣接するカチオン化複合体同士を大きく離間させるのが好ましく、隣接するカチオン化複合体間に介在するアルキル鎖は長い方が好ましい。一方、アルキル鎖の長さが過大であると、黒鉛粒子組成物が嵩高くなり、負極活物質や正極活物質等の活物質を充分な量配合し難くなる場合がある。そしてその結果、蓄電装置の電池容量を向上させ難くなる可能性がある。
したがって、本発明の黒鉛粒子組成物を体積変化の大きいケイ素系負極活物質と併用して蓄電装置用負極に用いる場合には、処理剤におけるアルキル鎖は、炭素数4〜6の直鎖構造、つまり、鎖長4〜6の直鎖構造を有するのが好ましい。なお、当該直鎖構造からさらに分岐鎖がのびていても良い。分岐鎖は一つに限らず複数であっても良い。さらに分岐鎖の長さは特に限定されない。つまり、アルキル鎖の一端が隣接する二つのカチオン化複合体の一方に結合し、アルキル鎖の他端が隣接する二つのカチオン化複合体の他方に結合すると考えれば、隣接する二つの黒鉛粒子の距離は、処理剤におけるアルキル鎖の直鎖構造の鎖長によって決定される。このため、分岐鎖の数や長さ等は黒鉛粒子組成物の嵩高さには大きく影響しないと推測される。
なお、板状をなす黒鉛粒子つまり上述した板状黒鉛粒子は、流体中において一定の方向に配向し易い。したがって、黒鉛粒子として板状黒鉛粒子を用いた場合、本発明の黒鉛粒子組成物を負極活物質や導電助剤として用いる場合には、板状黒鉛粒子の板面が集電体の表面に略平行になるように、板状黒鉛粒子を配向させ易い。この場合、規則的に配向する板状黒鉛粒子の間にアルキル鎖が架け渡されるため、黒鉛粒子組成物を規則的な構造にでき、クッション性をより効果的に発揮できる黒鉛粒子組成物を得ることが可能である。また、この場合、負極における負極活物質層あるいは正極における正極活物質層の嵩密度を高めることができ、電池容量を高めることができる利点もある。
芳香族ビニル共重合体がビニル芳香族モノマー単位および塩基性モノマー単位以外のモノマー単位(つまり第3のモノマー単位)を含む場合、当該第3のモノマー単位は、溶媒や樹脂への親和性に優れるものであるのが好ましい。このような第3のモノマー単位を含む芳香族ビニル共重合体が黒鉛粒子の表面に吸着していることによって、黒鉛粒子と溶媒や樹脂との親和性が向上し、溶媒中や樹脂中における黒鉛粒子の分散性を高めることができる。つまりこの場合には、塩基性モノマー単位の多くが処理剤と反応したとしても、溶媒や樹脂中に黒鉛粒子組成物を高分散させることができる。
つまり、芳香族ビニル共重合体におけるビニル芳香族モノマー単位は、芳香族ビニル共重合体を黒鉛粒子に吸着させる機能を担う。また、塩基性モノマー単位は、処理剤と反応して黒鉛粒子組成物のクッション性を高める機能を担う。さらに、第3のモノマー単位は、主として黒鉛粒子組成物と溶媒やバインダ等の樹脂との親和性を向上させる機能を担う。
第3のモノマー単位は、溶媒および樹脂との親和性を考慮すると、(メタ)アクリル酸、(メタ)アクリレート類、(メタ)アクリルアミド類、ビニルイミダゾール類、ビニルピリジン類、無水マレイン酸およびマレイミド類からなる群から選択される少なくとも1種のモノマーから誘導されるのが好ましい。第3のモノマー単位は処理剤と反応する必要はないが、既述した塩基性モノマー単位と同じものであっても良いし、異なっていても良い。
なお本明細書において、例えば、「(メタ)アクリル酸」とは、「アクリル酸」および「メタクリル酸」の双方を意味する。
黒鉛粒子の分散性を向上させるという観点から、第3のモノマー単位は、アルキル(メタ)アクリレート、ヒドロキシアルキル(メタ)アクリレート、アミノアルキル(メタ)アクリレート、N,N−ジアルキル(メタ)アクリルアミド、2−ビニルピリジン、4−ビニルピリジン、アリールマレイミドであることが好ましく、ヒドロキシアルキル(メタ)アクリレート、N,N−ジアルキル(メタ)アクリルアミド、2−ビニルピリジン、アリールマレイミドであることがより好ましく、フェニルマレイミドであることが特に好ましい。なお、第3のモノマー単位としてはこれらを単独で用いても良いし、これらの複数を併用しても良い。第3のモノマー単位の量は、処理剤と反応しないと想定される塩基性モノマー単位の量を考慮して適宜設定すれば良い。
上記芳香族ビニル共重合体の例としては、例えば、スチレン(ST)と1−ビニルイミダゾール(VI)とのランダム共重合体、STと4−ビニルピリジン(4VP)とのランダム共重合体、STとN,N−ジメチルアミノエチルメタクリレート(DMAEMA)とのランダム共重合体、STと2−ビニルピリジン(2VP)とのランダム共重合体、STと2VPとのブロック共重合体が挙げられる。
芳香族ビニル共重合体の数平均分子量としては、1,000〜1,000,000が好ましく、5,000〜100,000がより好ましい。芳香族ビニル共重合体の数平均分子量が1,000未満になると、黒鉛粒子に対する吸着能が低下する傾向にあり、他方、数平均分子量が1,000,000より大きくなると、黒鉛粒子組成物の溶媒中や樹脂中への分散性が低下したり、粘度が著しく上昇して取り扱いが困難になる傾向にある。なお、芳香族ビニル共重合体の数平均分子量は、ゲルパーミエーションクロマトグラフィ(カラム:Shodex GPC K−805LおよびShodex GPC K−800RL(ともに、昭和電工(株)製)、溶離液:クロロホルム)により測定し、標準ポリスチレンで換算した値を用いる。
上述したように、芳香族ビニル共重合体としてランダム共重合体を用いても、ブロック共重合体を用いても良いが、黒鉛粒子組成物の溶媒中や樹脂中への分散性が向上するという観点から、ブロック共重合体を用いることが好ましい。
芳香族ビニル共重合体が表面に吸着した黒鉛粒子、つまり、黒鉛粒子−ポリマー複合体における芳香族ビニル共重合体の含有量は、黒鉛粒子100質量部に対して0.01〜10質量部であるのが好ましく、0.1〜5質量部であるのがより好ましい。黒鉛粒子100質量部に対する芳香族ビニル共重合体の含有量が0.01質量部に満たないと、黒鉛粒子に対する塩基性モノマー単位の量が比較的少なく、塩基性モノマー単位と処理剤との反応で生じたカチオンの量もまた比較的少なく、ひいては当該カチオンに由来する静電反発力が比較的小さい可能性がある。また、塩基性モノマー単位と処理剤との反応で生じたアルキル鎖もまた充分な量でない可能性がある。つまり、この場合には、黒鉛粒子組成物のクッション性を大きく向上させ得ない可能性がある。他方、黒鉛粒子100質量部に対する芳香族ビニル共重合体の量が10質量部を超えると、黒鉛粒子組成物における黒鉛粒子の割合が相対的に低減する。
黒鉛粒子組成物は、作用工程を経て製造される。作用工程においては、黒鉛粒子と、芳香族ビニル共重合体と、処理剤と、を作用させれば良く、これらを如何なる順番で作用させても構わない。
例えば、先ず、黒鉛粒子と芳香族ビニル共重合体とを作用させて黒鉛粒子−ポリマー複合体を得る工程、つまり、黒鉛粒子−ポリマー複合体形成工程をおこない、その後、当該黒鉛粒子−ポリマー複合体に処理剤を作用させる工程、つまり、処理剤作用工程をおこなっても良い。或いは、黒鉛粒子、芳香族ビニル共重合体、および処理剤を同時に作用させても良い。
黒鉛粒子が板状黒鉛粒子である場合には、黒鉛粒子を破砕して板状黒鉛粒子を得る破砕工程をおこなう。破砕工程は、例えば、過酸化水素化物の存在下で、厚み0.3nm〜100nm、長軸方向の長さ0.1μm〜500μmの板状黒鉛粒子となるように黒鉛粒子を破砕すれば良い。
破砕工程は、作用工程の前に行っても良いし、作用工程と同時に行っても良いし、作用工程後に行っても良い。つまり、予め準備した板状黒鉛粒子に芳香族ビニル共重合体を結合させるとともに当該芳香族ビニル共重合体と処理剤とを作用させても良い。或いは、黒鉛粒子を破砕して板状黒鉛粒子を形成するのと同時に、得られた板状黒鉛粒子に芳香族ビニル共重合体を結合させても良い。或いは、さらに同時に板状黒鉛粒子に結合した芳香族ビニル共重合体と処理剤とを作用させても良い。破砕工程においては少なくとも黒鉛粒子が当該寸法の範囲内となるように破砕されれば良い。
板状黒鉛粒子の原料となる黒鉛粒子、つまり、原料黒鉛粒子としては、グラファイト構造を有する公知の黒鉛、例えば人造黒鉛、鱗片状黒鉛、塊状黒鉛、土状黒鉛が挙げられる。原料黒鉛粒子の粒子径としては、0.01mm〜5mmが好ましく、0.1mm〜1mmがより好ましい。
過酸化水素化物としては、カルボニル基を有する化合物と過酸化水素との錯体や、四級アンモニウム塩、フッ化カリウム、炭酸ルビジウム、リン酸、尿酸などの化合物に過酸化水素が配位したものが挙げられる。カルボニル基を有する化合物は、例えば、ウレア、カルボン酸(安息香酸、サリチル酸など)、ケトン(アセトン、メチルエチルケトンなど)、カルボン酸エステル(安息香酸メチル、サリチル酸エチルなど)が挙げられる。過酸化水素化物としては、カルボニル基を有する化合物と過酸化水素との錯体が好ましい。
このような過酸化水素化物は、酸化剤として作用し、原料黒鉛粒子のグラファイト構造を破壊せずに、炭素層間の剥離を容易にするものである。例えば、破砕工程に芳香族ビニル共重合体を存在させた場合のメカニズムを述べると、過酸化水素化物が炭素層間に侵入して層表面を酸化しながら劈開を進行させ、同時に芳香族ビニル共重合体が劈開した炭素層間に侵入して劈開面を安定化させ、層間剥離が促進される。その結果、黒鉛粒子の表面に芳香族ビニル共重合体が吸着する。
破砕工程においては、原料となる黒鉛粒子を過酸化水素化物存在下で破砕する。破砕工程は溶媒中でおこなうのが好ましく、溶媒中で各成分を混合したのちに破砕するのがより好ましい。既述したように、場合によっては原料黒鉛粒子および過酸化水素化合物に加えて、芳香族ビニル共重合体および/または処理剤を破砕工程に供しても良い。
溶媒は、ジメチルホルムアミド(DMF)、クロロホルム、ジクロロメタン、クロロベンゼン、ジクロロベンゼン、N−メチルピロリドン(NMP)、ヘキサン、トルエン、ジオキサン、プロパノール、γ−ピコリン、アセトニトリル、ジメチルスルホキシド(DMSO)、ジメチルアセトアミド(DMA)が好ましく、ジメチルホルムアミド(DMF)、クロロホルム、ジクロロメタン、クロロベンゼン、ジクロロベンゼン、N−メチルピロリドン(NMP)、ヘキサン、トルエンがより好ましい。
破砕工程における黒鉛粒子の混合量としては、溶媒1L当たり0.1g/L〜500g/Lが好ましく、10g/L〜200g/Lがより好ましい。原料となる黒鉛粒子の混合量が溶媒1L当たり0.1g/L未満になると、溶媒の消費量が増大し、経済的に不利となり、他方、溶媒1L当たり500g/Lを超えると、液の粘度が上昇して取り扱いが困難になる。
また、芳香族ビニル共重合体の混合量としては、原料黒鉛粒子100質量部に対して0.1質量部〜1000質量部が好ましく、0.1質量部〜200質量部がより好ましい。芳香族ビニル共重合体の混合量が、原料黒鉛粒子100質量部に対して0.1質量部未満になると、得られる板状黒鉛粒子の分散性が低下する傾向にあり、他方、芳香族ビニル共重合体の混合量が、原料黒鉛粒子100質量部に対して1000質量部を超えると、芳香族ビニル共重合体が溶媒に溶解しなくなるとともに、液の粘度が上昇して取り扱いが困難となる。
過酸化水素化物の混合量としては、原料黒鉛粒子100質量部に対して0.1質量部〜500質量部が好ましく、1質量部〜100質量部がより好ましい。過酸化水素化物の混合量が原料黒鉛粒子100質量部に対して0.1質量部未満になると、得られる板状黒鉛粒子の分散性が低下する傾向にあり、他方、原料黒鉛粒子100質量部に対して500質量部を超えると、原料黒鉛粒子が過剰に酸化され、得られる板状黒鉛粒子の導電性が低下する傾向にある。
破砕工程においては、過酸化水素化物の存在下で黒鉛粒子を破砕する。例えば、溶媒、黒鉛粒子および過酸化水素化物を含む混合物に破砕処理を施す。破砕工程によって、原料たる黒鉛粒子が微小化して板状黒鉛粒子が得られる。破砕処理としては、例えば、超音波処理、ボールミルによる処理、湿式破砕、機械式破砕が挙げられる。超音波処理は、発振周波数としては15〜400kHzが好ましく、出力としては500W以下が好ましい。破砕処理としては、超音波処理または湿式破砕処理が好ましい。破砕工程では、原料たる黒鉛粒子のグラファイト構造を破壊しないよう破砕することで、板状黒鉛粒子を得ることができる。また、破砕処理時の温度としては、例えば、−20℃〜100℃とすることができる。また、破砕処理時間としては、例えば、0.01時間〜50時間とすることができる。
本発明の黒鉛粒子組成物は、上記したように、蓄電装置用電極に使用できる。具体的には、本発明の黒鉛粒子組成物は、電極用の導電助剤および/または負極活物質として使用できる。特に好ましくは、蓄電装置用負極活物質の一部として黒鉛粒子組成物を用いるのが良い。蓄電装置とは、リチウムイオン二次電池、電気二重層コンデンサ、リチウムイオンキャパシタなどを含む概念である。
ケイ素系化合物およびスズ系化合物等、導電性には劣るが容量の大きな負極活物質が知られている。具体的には、Si、Si化合物、SnおよびSn化合物からなる群から選ばれる少なくとも一種の負極活物質がこれに該当する。このような負極活物質を用いる場合には、ポリアクリル酸などのイオン導電性が高いバインダを用いることが行われている。しかしポリアクリル酸はポリアミドイミドなどの他のバインダに比べて結着力が小さいため、この種のバインダを用いる場合には使用中に負極活物質とバインダとが剥離し、その結果、充放電サイクルを繰り返した後の容量維持率が比較的低い場合があった。
本発明の黒鉛粒子組成物は、黒鉛粒子に由来して、電荷担体を吸着および放出可能であり、かつ、導電性にも優れる。つまり、本発明の黒鉛粒子組成物は蓄電装置用の負極活物質として好ましく使用できる。
また、本発明の黒鉛粒子組成物は、カチオン化複合体に由来して、優れたクッション性を有する。したがって、本発明の黒鉛粒子組成物を上記した体積変化の大きな負極活物質に併用すれば、充放電時に負極活物質層に作用する応力が緩和され、蓄電装置のサイクル特性が向上する。この場合、さらに、黒鉛粒子の導電性に由来する優れた導電性を負極に付与できるため、導電性向上に寄与しないバインダを使用可能である。
さらには、板状黒鉛粒子はグラフェン単層が複数枚積層された層構造をなし、強度に優れている。したがって、本発明の黒鉛粒子組成物における黒鉛粒子として板状黒鉛粒子を採用する場合には、負極活物質層の機械的強度を高めることができる。そして、当該優れた機械的強度と上記したカチオン化複合体に由来する優れたクッション性との協働により、蓄電装置のサイクル特性をさらに向上させ得る。
以下、本発明の板状黒鉛粒子組成物に併用可能な、「ケイ素系化合物およびスズ系化合物等の導電性には劣るが容量の大きな負極活物質」について説明する。以下、必要に応じて、この種の負極活物質を第一活物質と呼ぶ。また、第一活物質の粉末を第一活物質粉末と呼ぶ。
<第一活物質粉末>
第一活物質粉末はSi、Si化合物、SnおよびSn化合物からなる群から選ばれるものであり、平均粒径D50は300nm以上20μm以下であることが好ましい。第一活物質粉末の平均粒径D50が300nmより小さいと、第一活物質粉末の比表面積が大きくなり、第一活物質粉末と電解液との接触面積が大きくなって、電解液の分解が進んでしまい、サイクル特性が悪くなる。また平均粒径D50が300nmより小さいと凝集により二次粒径が大きくなるため好ましくない。Si、Si化合物は何れも導電性が低いので、平均粒径D50が20μmより大きいと、電極全体の導電性が不均一になり、充放電特性が低下する。
またSi、Si化合物、SnおよびSn化合物は充放電時に膨張収縮するので、この膨張収縮を小さくするためにSi、Si化合物、SnおよびSn化合物の結晶子サイズは、1nm〜300nmであることがより好ましい。
平均粒径D50は、粒度分布測定法によって計測できる。平均粒径D50とはレーザー回析法による粒度分布測定における体積分布の積算値が50%に相当する粒子径を指す。つまり、平均粒径D50とは、体積基準で測定したメディアン径を指す。結晶子サイズはX線回折(XRD)測定で得られる回折ピークの半価幅からシェラーの式より算出される。
Si化合物としては、例えばSiO(0.3≦x≦1.6)で表されるケイ素酸化物が好ましい。このケイ素酸化物粉末の各粒子は、不均化反応によって微細なSiと、Siを覆うSiOとに分解したSiOからなる。xが下限値未満であると、Si比率が高くなるため充放電時の体積変化が大きくなりすぎて蓄電装置のサイクル特性が低下する。またxが上限値を超えると、Si比率が低下して負極のエネルギー密度が低下するようになる。0.5≦x≦1.5の範囲が好ましく、0.7≦x≦1.2の範囲がさらに望ましい。
一般に、酸素を断った状態であれば1000℃以上で、ほぼすべてのSiOが不均化して二相に分離すると言われている。具体的には、非結晶性のSiO粉末を含む原料酸化ケイ素粉末に対して、真空中または不活性ガス中などの不活性雰囲気中で1000〜1200℃、1〜5時間の熱処理を行うことで、非結晶性のSiO相および結晶性のSi相の二相を含むケイ素酸化物粉末が得られる。
またケイ素酸化物に対して炭素材料を1〜50質量%で複合化したものを用いることもできる。ケイ素酸化物に炭素材料を複合化することで、負極活物質の導電性が向上し、蓄電装置の容量も向上する。また、ケイ素酸化物に炭素材料を複合化することで、負極活物質の強度が向上し、ひいては蓄電装置のサイクル特性が向上する。炭素材料の複合量が1質量%未満では導電性向上の効果が得られず、50質量%を超えるとSiOの割合が相対的に減少して負極容量が低下してしまう。炭素材料の複合量は、SiOに対して5〜30質量%の範囲が好ましく、5〜20質量%の範囲がさらに望ましい。SiOに対して炭素材料を複合化するには、CVD法などを利用することができる。
ケイ素酸化物粉末は平均粒径が1μm〜10μmの範囲にあることが望ましい。平均粒径が10μmより大きいと非水系二次電池の充放電特性が低下する場合があり、平均粒径が1μmより小さいと凝集して粗大な粒子となるため同様に非水系二次電池の充放電特性が低下する場合がある。
Siは、微細であるほど、それを負極活物質として用いた蓄電装置はサイクル特性が向上する。そのため、第一活物質粉末として、ナノサイズの粒径あるいは結晶子サイズを有するナノシリコン粉末を用いることも好ましい。ナノサイズとは、平均粒径または結晶子サイズが1μm以下であることを指す。以下、ナノシリコン粉末について説明する。
本願発明者らは、Physical Review B(1993),vol148,8172−8189(以下、非特許文献1と呼ぶ)、特開2011−090806(以下、特許文献5と呼ぶ)に記載された層状ポリシランに関して鋭意研究を行い、そのラマンスペクトルに着目した。一般的にラマンシフトが高周波側へシフトすると結合が強くなり、低周波側へシフトすると結合が切れやすくなると推定される。この層状ポリシランのラマンスペクトルと、単結晶シリコンのラマンスペクトルを比較したところ、単結晶シリコンにおいて520cm−1に観測されるSi−Si結合が、層状ポリシランでは単結晶シリコンに比べて低周波側の320cm−1付近にシフトしたことがわかった。
すなわち層状ポリシラン構造とすることで、Si−Siの結合が弱くなり、穏和な条件でのナノシリコン化が可能となることが予測された。そして、非酸化性雰囲気下にて100℃を超える温度で層状ポリシランを熱処理することで、上記したナノシリコン粉末が得られることを見出した。非特許文献1および特許文献5に記載された層状ポリシランは、ケイ素原子で構成された六員環が複数連なった構造をなし組成式(SiH)で示される層状ポリシランを基本骨格としている。この層状ポリシランに上記した熱処理を施すことで、結晶子サイズが5nm程度のナノシリコン粉末が得られた。100℃未満の熱処理では、層状ポリシランの構造がそのまま維持され、ナノシリコン粉末は得られない。熱処理時間は熱処理温度によって異なるが、500℃以上の熱処理であれば1時間で十分である。
また負極活物質中にSiO成分が多く含まれると、初期特性の劣化を引き起こすことが知られている。非特許文献1および特許文献5に記載された層状ポリシランに含まれる酸素量は多く、当該層状ポリシランはSiO成分を多く含むと考えられるため、上述したように負極活物質としては適さない。
そこで鋭意研究の結果、本発明の発明者等は、層状ポリシランの製造条件によって、得られる層状ポリシランの酸素量が変化し、それを熱処理して得られるナノシリコン粉末の酸素量も変化することを明らかにした。非特許文献1および特許文献5では、HClとCaSiとを反応させて層状ポリシランを得ている。CaSiは、ダイヤモンド型のSiの(111)面の間にCa原子層が挿入された層状結晶をなし、酸との反応で当該CaSiからCaが引き抜かれることによって層状ポリシランが得られる。
この層状ポリシランのラマンスペクトルにおいては、ラマンシフトの341±10cm−1、360±10cm−1、498±10cm−1、638±10cm−1、734±10cm−1にピークが存在する。
CaSiからCaを引き抜く酸として、HFとHClの混合物を用いることで、得られる層状ポリシランおよびナノシリコン材料の酸素量が少なくなることが明らかとなった。
この製造方法では、酸としてHFとHClとの混合物を用いている。HFを用いることで、合成中あるいは精製中に生成するSiO成分がエッチングされ、これにより酸素量が低減する。HFのみを用いた場合でも層状ポリシランが得られるものの、このようにして得られた層状ポリシランは微量の空気によって酸化され易く、逆に酸素量が増大するため好ましくない。またHClのみを用いた場合は非特許文献1と同様であり、酸素量の多い層状ポリシランしか得られない。
HFとHClとの組成比は、モル比でHF/HCl=1/1〜1/100の範囲が望ましい。HFの量がこの範囲より多くなると、CaF、CaSiO系化合物などの不純物が生成し、この不純物と層状ポリシランとを分離するのが困難であるため好ましくない。またHFの量がこの範囲より少なくなると、HFによるエッチング作用が弱く、層状ポリシランに酸素が多く残存する場合がある。
HFとHClとの混合物とCaSiとの配合比は、当量より酸を過剰にすることが望ましい。また反応雰囲気は、真空下または不活性ガス雰囲気であることが望ましい。なおこの製造方法によれば、非特許文献1の製造方法に比べて反応時間が短くなることも明らかとなった。反応時間が長すぎるとSiとHFがさらに反応してSiFが生じてしまうため、反応時間は0.25〜24時間程度で充分である。参考までに、当該反応は室温でも容易に進行する。
上記の反応によりCaClなども生成するが、水洗によって容易に除去することができる。したがって層状ポリシランの精製は容易である。
上記のようにして製造された層状ポリシランを、非酸化性雰囲気下にて100℃以上の温度で熱処理することで、酸素量が少なく凝集粒子状のナノシリコン粉末が得られる。非酸化性雰囲気としては、不活性ガス雰囲気、真空雰囲気が例示される。不活性ガスは窒素、アルゴン、ヘリウムなど酸素を含まなければ特に規定されない。
また熱処理温度は、100℃〜1000℃の範囲が好ましく、400℃〜600℃の範囲が特に好ましい。100℃未満ではナノシリコン粉末が生成しない。特に400℃以上で熱処理されて形成された凝集粒子状のナノシリコン粉末は、負極活物質として好ましく用いられ、リチウムイオン二次電池の初期効率を向上させ得る。つまり、この種のナノシリコン粉末は、第一活物質として本発明の蓄電装置に好ましく用いられる。
ナノシリコン粉末のSi結晶子サイズは、蓄電装置の電極活物質として用いるには、0.5nm〜300nmが好ましく、1nm〜100nm、1nm〜50nm、更には1nm〜10nmの範囲が特に望ましい。この結晶子サイズは、X線回折により得られた(111)面の回折ピークの半値幅からシェラーの式により算出できる。
非特許文献1に記載の製造方法で製造された層状ポリシランを熱処理することで得られたナノシリコン粉末の酸素量は約33%と大きいが、上記の製造方法で製造された層状ポリシランを熱処理することで得られたナノシリコン粉末の酸素量は30%以下と小さい。
ナノシリコン粉末は、上記した方法で得られたものに限られない。また、例えばナノシリコン粉末は結晶に限らずアモルファスであっても良い。勿論、第一活物質粉末として、上記したナノシリコン粉末以外のSi化合物を用いることもできる。ナノシリコン粉末以外のSi化合物としては、例えば、SiB、SiB、MgSi、MgSi、NiSi、TiSi、MoSi、CoSi、NiSi、CaSi、CrSi、CuSi、FeSi、MnSi、NbSi、TaSi、VSi、WSi、ZnSi、SiC、Si、SiO、SnSiO、LiSiOなどを例示することができる。
Snとしては、市販のSn粉末を使用できる。Sn化合物としては、例えば、SnO(0<w≦2)、SnSiO、LiSnO、スズ合金(Cu−Sn合金、Co−Sn合金等)が使用できる。
負極活物質には、上記した第一活物質粉末および本発明の黒鉛粒子組成物に加えて、さらに黒鉛を添加することもできる。黒鉛としては、天然黒鉛、造粒黒鉛、ハードカーボン、ソフトカーボンなどが例示される。黒鉛の添加量は、第一活物質粉末と黒鉛粒子組成物と黒鉛との合計量を100質量%としたときに90質量%以下の範囲が好ましい。黒鉛の含有量が90質量%より多くなると容量が低下したり、黒鉛粒子組成物に由来するクッション機能が低下する場合がある。
第一活物質粉末と黒鉛粒子組成物との合計を100質量%としたときに、黒鉛粒子組成物は5〜30質量%配合されていることが好ましく、10〜20質量%配合されていることがさらに好ましい。黒鉛粒子組成物の配合量が5質量%未満では黒鉛粒子組成物によるクッション機能が小さい。また、黒鉛粒子組成物の理論容量は第一活物質粉末に比べて小さいため、黒鉛粒子組成物の配合量が30質量%を超えると蓄電装置の充放電容量が低下する。
<負極>
本発明の黒鉛粒子組成物は、蓄電装置の負極に用いられる。負極は、集電体と、集電体表面に配置された負極活物質層とからなる。集電体は蓄電装置の放電または充電の間、電極に電流を流し続けるための化学的に不活性な電子高伝導体をいう。集電体に用いることのできる材料として、例えば銀、銅、金、アルミニウム、タングステン、コバルト、亜鉛、ニッケル、鉄、白金、錫、インジウム、チタン、ルテニウム、タンタル、クロム、モリブデンから選ばれる少なくとも一種ならびにステンレス鋼等の金属材料、さらには導電性樹脂を挙げることができる。集電体は公知の保護層で被覆しても良い。また、集電体の表面を公知の方法で処理しても良い。集電体は、箔、シート、フィルム、線状、棒状、メッシュ状などの形態をとることができる。そのため、集電体として、例えば銅箔、ニッケル箔、アルミニウム箔、ステンレス箔などの金属箔を好適に用いることができる。集電体が箔、シート、フィルム等の薄肉形状である場合、集電体の厚みは1μm〜100μmの範囲内であることが好ましい。
本発明の負極活物質を用いて、例えば非水系二次電池の負極の負極活物質層を形成するには、負極活物質を含む負極合剤を集電体上に塗布し、負極合剤に含まれるバインダを乾燥あるいは硬化させれば良い。負極合剤としては、第一活物質粉末、黒鉛粒子組成物、バインダ、および必要であれば炭素粉末などの導電助剤をはじめとするその他の添加剤に、適量の有機溶剤を加えて混合しスラリーにしたものを用いれば良い。スラリー状の負極合剤を集電体に塗布する方法としては、ロールコート法、ディップコート法、ドクターブレード法、スプレーコート法、カーテンコート法などの方法を採用できる。
バインダは、第一活物質粉末、黒鉛粒子組成物、導電助剤およびその他の添加剤を直接的または間接的に集電体の表面に繋ぎ止める役割を果たすものである。バインダには、上述した活物質等をなるべく少ない量で集電体に結着させることが求められるが、その添加量は第一活物質粉末、板状粒子組成物、導電助剤、およびバインダを合計したものの0.5質量%〜50質量%が望ましい。バインダの添加量が0.5質量%未満では電極の成形性が低下するおそれがあり、50質量%を超えると電極のエネルギー密度が低くなるおそれがある。
バインダとしては、ポリフッ化ビニリデン(PolyVinylidene DiFluoride:PVdF)、ポリ四フッ化エチレン(PTFE)、フッ素ゴム等の含フッ素樹脂、ポリイミド(PI)、ポリアミドイミド(PAI)等のイミド系樹脂、アルコキシシリル基含有樹脂、メタクリル樹脂(PMA)、ポリアクリロニトリル(PAN)、ポリ(メタ)アクリル酸(PAA)等のアクリル系樹脂、変性ポリフェニレンオキシド(PPO)、ポリエチレンオキシド(PEO)、ポリエチレン(PE)、ポリプロピレン(PP)、ポリ塩化ビニル(PVC)、スチレン−ブタジエンゴム(SBR)、カルボキシメチルセルロース(CMC)等が例示される。
バインダには、カルボキシル基を有するポリマーを含むことが好ましい。黒鉛粒子組成物はカルボキシル基を有するポリマーに高分散し易いためである。このようなポリマーとしては、PAA、CMC、ポリメタクリル酸などが例示される。
分子中にカルボキシル基を含むポリマーは、酸モノマーを重合することで製造することができる。酸モノマーとしては、アクリル酸、メタクリル酸、ビニル安息香酸、クロトン酸、ペンテン酸、アンジェリカ酸、チグリン酸など分子中に一つのカルボキシル基を有する酸モノマー、イタコン酸、メサコン酸、シトラコン酸、フマル酸、マレイン酸、2−ペンテン二酸、メチレンコハク酸、アリルマロン酸、イソプロピリデンコハク酸、2,4−ヘキサジエン二酸、アセチレンジカルボン酸など分子内に二つ以上のカルボキシル基を有する酸モノマーなどが例示される。これらから選ばれる二種以上のモノマーを重合してなる共重合ポリマーを用いてもよい。
例えば特開2013−065493号公報に記載されたような、アクリル酸とイタコン酸との共重合体からなり、カルボキシル基どうしが縮合して形成された酸無水物基を分子中に含んでいるポリマーをバインダとして用いることも好ましい。この種のポリマーからなるバインダを用いることで、二次電池の初期効率および負荷特性を向上させることができる。
ポリマー分子中のカルボキシル基は多い方が好ましいと考えられることから、一分子中に上記したポリマー鎖を複数有するようなポリマー、例えば星形ポリマーと呼ばれるものを用いることも好ましい。
上記した分子中にカルボキシル基を有するポリマーを含むバインダには、他のバインダを併用しても良い。例えば、性能を損なわない範囲内で、ポリフッ化ビニリデン、ポリテトラフルオロエチレン、フッ素ゴム等の含フッ素樹脂、ポリプロピレン、ポリエチレン等の熱可塑性樹脂、ポリイミド、ポリアミドイミド等のイミド系樹脂、アルコキシシリル基含有樹脂などのポリマーを混合してもよい。
バインダとしてポリフッ化ビニリデンを用いると負極の電位を下げることができ蓄電装置の電圧向上が可能となる。またバインダとしてPAIまたはPAAを用いることで初期効率と放電容量が向上する。
導電助剤は、電極の導電性を高めるために添加される。導電助剤として、炭素質微粒子であるカーボンブラック、黒鉛、アセチレンブラック(AB)、ケッチェンブラック(KB:登録商標)、気相法炭素繊維(Vapor Grown Carbon Fiber:VGCF)および各種の金属粒子等が例示される。これらは単独でまたは二種以上組み合わせて負極活物質層中に添加することができる。導電助剤の使用量については、特に限定的ではないが、本発明の負極は導電性に優れる黒鉛粒子組成物を含むため、一般的な負極に比べて導電助剤の使用量は少なくて良い。例えば、黒鉛粒子組成物以外の導電助剤の量は、第一活物質100質量部に対して、0.5〜50質量部程度であるのが好ましい。導電助剤の量が過小であれば効率のよい導電パスを形成できず、過大であれば電極の成形性が悪化するとともにエネルギー密度が低くなるおそれがある。なお炭素材料が複合化されたケイ素酸化物を活物質として用いる場合は、導電助剤の添加量を低減するか、あるいは導電助剤をなくすことができる。
有機溶剤には特に制限はなく、複数の溶剤の混合物でも構わない。N−メチル−2−ピロリドンおよびN−メチル−2−ピロリドンとエステル系溶媒、あるいはグライム系溶媒の混合溶媒が特に好ましい。エステル系溶媒としては、酢酸エチル、酢酸n−ブチル、ブチルセロソルブアセテート、ブチルカルビトールアセテート等が挙げられる。グライム系溶媒としては、ジグライム、トリグライム、テトラグライム等が挙げられる。
負極活物質層には、Cu、NiおよびCoから選ばれる少なくとも一種の金属原子を含むことが望ましい。この金属原子を含むことで負極活物質層の導電性が向上するため、リチウム等の電荷担体の吸蔵反応の抵抗が減少し、蓄電装置の初期容量が向上する。さらにこの金属は価数変化が可能であるので、充放電における電位変化に追従して電子の授受が生じ、本発明の負極を用いた蓄電装置は初期効率がさらに向上するとともにサイクル後の効率も向上する。
負極活物質層におけるこの金属原子の含有量は、バインダを100質量部としたときに0.01〜10質量部の範囲であることが好ましい。金属原子の含有量が0.01質量%より少ないと添加した効果が発現されず、10質量%より多くなると活物質層の材料偏析の原因となる場合がある。
負極活物質層において、少なくとも一部の板状黒鉛粒子がその板面が集電体の表面に略平行になるように配向していてもよいし、その他の負極配合物の存在によって当該配向が崩れていてもよい。配向が崩れることで、板状黒鉛粒子の板面に対して交差する方向の表面がリチウムイオンの進行方向に表出するため、リチウムイオンが板状黒鉛粒子内部にも出入するようになり、充放電容量が大きくなる。
また黒鉛粒子の表面に上記した芳香族ビニル共重合体が吸着している場合は、溶媒に黒鉛粒子を入れた状態でも黒鉛粒子が溶媒中で凝集せずに分散するため、沈殿が生じにくく均一な負極活物質層を形成することができる。
<蓄電装置>
本発明の蓄電装置が非水電解質二次電池の場合、特に限定されない公知の正極、電解液、セパレータを用いることができる。正極は、非水電解質二次電池で使用可能なものであればよい。正極は、集電体と、集電体上に結着された正極活物質層とを有する。正極活物質層は、正極活物質と、バインダとを含み、さらには導電助剤およびその他の添加剤を含んでも良い。正極活物質、導電助材およびバインダは、特に限定はなく、非水電解質二次電池で使用可能なものであればよい。
正極活物質としては、Li等の電荷担体を吸蔵および放出可能なものを使用すれば良い。正極活物質としては、層状化合物のLiNiCoMn(0.2≦a≦2、b+c+d+e=1、0≦e<1、DはLi、Fe、Cr、Cu、Zn、Ca、Mg、S、Si、Na、K、Al、Zr、Ti、P、Ga、Ge、V、Mo、Nb、W、Laから選ばれる少なくとも1の元素、1.7≦f≦3)、LiMnOを挙げることができる。また、正極活物質として、LiMn等のスピネル、およびスピネルと層状化合物の混合物で構成される固溶体、LiMPO、LiMVOまたはLiMSiO(式中のMはCo、Ni、Mn、Feのうちの少なくとも一種から選択される)などで表されるポリアニオン系化合物を挙げることができる。さらに、正極活物質として、LiFePOFなどのLiMPOF(Mは遷移金属)で表されるタボライト系化合物、LiFeBOなどのLiMBO(Mは遷移金属)で表されるボレート系化合物を挙げることができる。正極活物質として用いられるいずれの金属酸化物も上記の組成式を基本組成とすればよく、基本組成に含まれる金属元素を他の金属元素で置換したものも使用可能である。また、正極活物質として、充放電に寄与するリチウムイオンを含まない正極活物質材料、たとえば、硫黄単体(S)、硫黄と炭素を複合化した化合物、TiSなどの金属硫化物、V、MnOなどの酸化物、ポリアニリンおよびアントラキノン並びにこれら芳香族を化学構造に含む化合物、共役二酢酸系有機物などの共役系材料、その他公知の材料を用いることもできる。さらに、ニトロキシド、ニトロニルニトロキシド、ガルビノキシル、フェノキシルなどの安定なラジカルを有する化合物を正極活物質として採用してもよい。リチウムを含まない正極活物質材料を用いる場合には、正極および/または負極に、公知の方法により、予めイオンを添加させておく必要がある。ここで、当該イオンを添加するためには、金属または当該イオンを含む化合物を用いればよい。
正極用の集電体は、アルミニウム、ニッケル、ステンレス鋼など、リチウムイオン二次電池の正極に一般的に使用されるものであれば良く、それ以外は負極用の集電体と同様である。導電助剤もまた上記の負極で記載したものと同様のものが使用できる。
本発明の蓄電装置がリチウムイオン二次電池の場合、負極には、電荷担体たるLiをプリドーピングすることもできる。負極にLiをプリドープするには、例えば本発明の負極を用いるとともに対極に金属リチウムを用いて半電池を組み、電気化学的にリチウムをドープする電極化成法などを利用することができる。或いは、負極の表面に金属リチウム箔を貼り付けても良い。Liのドープ量は特に制約されない。
電解液は、非水溶媒と非水溶媒に溶解した電解質(支持電解質、支持塩とも言う)とを含んでいる。例えばリチウムイオン二次電池であれば、電解液は、有機溶媒に電解質であるリチウム金属塩を溶解させたものである。本発明の蓄電装置においては、電解液は特に限定されない。例えば、非水溶媒として、環状エステル類、鎖状エステル類、エーテル類等が使用可能である。環状エステル類としては、エチレンカーボネート、プロピレンカーボネート、ブチレンカーボネート、ガンマブチロラクトン、ビニレンカーボネート、2−メチル−ガンマブチロラクトン、アセチル−ガンマブチロラクトン、ガンマバレロラクトンを例示できる。鎖状エステル類としては、ジメチルカーボネート、ジエチルカーボネート、ジブチルカーボネート、ジプロピルカーボネート、エチルメチルカーボネート、プロピオン酸アルキルエステル、マロン酸ジアルキルエステル、酢酸アルキルエステル等を例示できる。エーテル類としては、テトラヒドロフラン、2−メチルテトラヒドロフラン、1,4−ジオキサン、1,2−ジメトキシエタン、1,2−ジエトキシエタン、1,2−ジブトキシエタンを例示できる。非水溶媒としては、上記具体的な溶媒の化学構造のうち一部または全部の水素がフッ素に置換した化合物を採用しても良い。
より好ましくは、非水溶媒は非プロトン性有機溶媒であるのが良く、例えばプロピレンカーボネート(PC)、エチレンカーボネート(EC)、ジメチルカーボネート(DMC)、ジエチルカーボネート(DEC)、エチルメチルカーボネート(EMC)等から選ばれる一種以上を用いるのが良い。
これらの非水溶媒に溶解させる電解質としては、LiPF、LiBF、LiAsF、LiI、LiClO、LiCFSO、LiN(CFSO等のリチウム塩を例示できる。
電解液として、例えば、エチレンカーボネート、ジメチルカーボネート、プロピレンカーボネート、ジメチルカーボネートなどの非水溶媒にLiClO、LiPF、LiBF、LiCFSO等のリチウム金属塩を0.5mol/Lから1.7mol/L程度の濃度で溶解させた溶液を使用することができる。
蓄電装置には、必要に応じてセパレータが用いられる。セパレータは正極と負極とを隔離し、両極の接触による電流の短絡を防止しつつ、電荷担体の通過を許容するものである。必要に応じて、電解液を保持可能なセパレータを選択することもできる。
セパレータの種類は特に限定されず、例えば、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリテトラフルオロエチレン、ポリイミド、ポリアミド、ポリアラミド(Aromatic polyamide)、ポリエステル、ポリアクリロニトリル等の合成樹脂、セルロース、アミロース等の多糖類、フィブロン、ケラチン、リグニン、スベリン等の天然高分子、セラミックス等の電気絶縁性材料を一種または複数種用いた微多孔体、多孔体、不織布、織布等を挙げることができる。これらはシート状、フィルム状、箔状等の薄肉形状であるのが好ましく、単層構造であっても良いし多層構造であっても良い。
本発明の蓄電装置において、正極および負極の間には必要に応じてセパレータを挟装しても良い。正極、負極および必要に応じてセパレータを有する電極体の形状に特に限定はなく、正極、セパレータおよび負極を重ねた積層型、または、正極、セパレータおよび負極を捲いた捲回型のいずれの型にしても良い。例えば本発明の蓄電装置が電池であれば、正極の集電体および負極の集電体から外部に通ずる正極端子および負極端子までの間を、集電用リード等を用いて接続した後、この電極体を電解液とともに電池ケースに密閉すれば良い。また、本発明の蓄電装置は、電極に含まれる活物質の種類に適した電圧範囲で充放電を実行されれば良い。
本発明の蓄電装置の形状は特に限定されない。例えば本発明の蓄電装置がリチウムイオン二次電池である場合、円筒型、角型、コイン型、ラミネート型等、種々の形状を採用することができる。
本発明の蓄電装置は、例えば車両に搭載しても良い。車両は、その動力源の全部あるいは一部にリチウムイオン二次電池等の蓄電装置による電気エネルギーを使用している車両であれば良く、例えば、電気車両、ハイブリッド車両などであると良い。車両にリチウムイオン二次電池を搭載する場合には、リチウムイオン二次電池を複数直列に接続して組電池とすると良い。
以下、本発明の実施態様を具体的に説明する。
(実施例1)
<黒鉛粒子−ポリマー複合体の作製>
スチレン(ST)1g、2−ビニルピリジン(VP)1g、アゾビスイソブチロニトリル(AIBN)10mgおよびトルエン5mlを混合し、窒素雰囲気下、60℃で6時間重合反応を行なった。放冷後、クロロホルム−エーテルを用いて再沈殿により精製し、1.0gのST−VP(50:50)ランダム共重合体を得た。このST−VP(50:50)ランダム共重合体の数平均分子量(Mn)は、40,000であった。STとVPとのモル比は1:1であった。このランダム共重合体は、芳香族ビニル共重合体に相当する。また、この芳香族ビニル共重合体において、スチレンは芳香族モノマー単位に相当し、ビニルピリジンは塩基性モノマー単位に相当する。ビニルピリジンつまり塩基性モノマー単位の有機基はピリジンである。
ここで、数平均分子量(Mn)は、ゲルパーミエーションクロマトグラフィ(昭和電工(株)製「Shodex GPC101」)を用いて以下の条件で測定した。
・カラム:Shodex GPC K−805LおよびShodex GPC K−800RL(ともに、昭和電工(株)製)
・溶離液:クロロホルム
・測定温度:25℃
・サンプル濃度:0.1mg/ml
・検出手段:RI
なお、数平均分子量(Mn)は、標準ポリスチレンで換算した値を示した。
黒鉛粒子(日本黒鉛工業(株)製「EXP−P」、粒子径100〜600μm)20mg、ウレア−過酸化水素包接錯体80mg、上記ST−VP(50:50)ランダム共重合体20mgおよびN,N−ジメチルホルムアミド(DMF)2mlを混合し、室温で5時間超音波処理(出力:250W)を施して板状黒鉛粒子およびST−VPランダム共重合体の分散液を得た。この分散液を濾過し、濾過物をジメチルホルムアミド(DMF)洗浄した後、真空乾燥して、板状黒鉛と芳香族ビニル共重合体とを含む黒鉛粒子−ポリマー複合体の集合体、つまり黒鉛粒子組成物を得た。
この黒鉛粒子組成物を構成する黒鉛粒子−ポリマー複合体を走査型電子顕微鏡(SEM)で観察したところ、板状黒鉛粒子の長径は10μm〜20μm、短径は3μm〜10μm、厚みは30nm〜80nmであった。また、熱重量測定・示差熱分析(TG−DTA)により、ポリマー量を測定したところ、黒鉛粒子組成物100質量%に対し、3質量%のポリマーが吸着していることを確認した。
<カチオン化複合体の作製>
1,4−ジヨードブタンをNMPに溶解させ、10質量%の1,4−ジヨードブタンを含むNMP溶液を準備した。
上記の黒鉛粒子−ポリマー複合体の集合体1gをとり、室温のアセトニトリル10mlに加えた。アセトニトリルと黒鉛粒子−ポリマー複合体の集合体との混合物を室温で攪拌し懸濁液とした。この懸濁液に上記した1,4−ジヨードブタンを含むNMP溶液を0.07ml加え、遮光下、80℃で24時間攪拌した。1,4−ジヨードブタンは処理剤に相当し、この処理剤における脱離基はIである。また、1,4−ジヨードブタンの添加量は、VP1モルに対して0.3モルであった。1,4−ジヨードブタンの黒鉛粒子に対する添加量は、黒鉛粒子の質量と1,4−ジヨードブタンの質量との和を100質量%としたときに、1.5質量%であった。この工程により、処理剤と塩基性モノマー単位とが反応する。具体的には、塩基性モノマー単位の有機基に含まれるNが、処理剤の脱離基Iに結合する炭素と反応すると考えられる。24時間経過後、得られた反応液を100℃で真空乾燥させて、アセトニトリル等を除去することで、実施例1の黒鉛粒子組成物を得た。
実施例1で用いた処理剤は1,4−ジヨードブタンであり、処理剤1モルあたりに2モルのIつまり脱離基を有する。また、塩基性モノマー単位はVPであり、塩基性モノマー単位1モルあたりに1モルのNを有する。実施例1では、1モルのVPにつき0.3モルの1,4−ジヨードブタンを反応させた。したがって、実施例1においては、(脱離基の数)/(求核剤元素の原子数)で得られる脱離基−求核剤元素比は、(0.3×2)/1=0.6であった。
<負極の作製>
SiO粉末(シグマ・アルドリッチ・ジャパン社製、平均粒径5μm)を900℃で2時間熱処理し、平均粒径5μmのSiO粉末を調製した。この熱処理によって、SiとOとの比が概ね1:1の均質な固体の一酸化ケイ素SiOであれば、固体の内部反応によりSi相とSiO相の二相に分離する。分離して得られるSi相は非常に微細である。この工程で得られたSiO粉末(つまりSiO粒子の集合体)は、上記した第一活物質粉末に相当する。
上記第一活物質45質量部、天然黒鉛粉末22質量部、上記黒鉛粒子組成物13質量部、AB粉末5質量部、およびポリアクリル酸10質量部を、NMPに分散し、スラリー状の負極合剤を調製した。このスラリー状の負極合剤を、厚さ20μmの電解銅箔(集電体)の表面にドクターブレードを用いて塗布し、集電体上に負極合剤層を形成した。
その後、集電体と負極合剤層とからなる複合材を80℃で20分間乾燥し、負極合剤層からNMPを揮発させて除去した。乾燥後、ロールプレス機により、集電体と負極合剤層を強固に密着接合させた。これを100℃で2時間真空加熱し、負極活物質層の厚さが16μm程度の負極を得た。
<リチウムイオン二次電池の作製>
上記の手順で作製した負極を評価極として用い、評価用のリチウムイオン二次電池(ハーフセル)を作製した。対極は、金属リチウム箔(厚さ500μm)とした。
対極をφ13mm、評価極をφ11mmに裁断し、セパレータ(ヘキストセラニーズ社製ガラスフィルターおよびcelgard2400)を両者の間に挟装して電極体電池とした。この電極体電池を電池ケース(宝泉株式会社製CR2032コインセル)に収容した。また、電池ケースには、エチレンカーボネートとジエチルカーボネートとを1:1(体積比)で混合した混合溶媒にLiPFを1Mの濃度で溶解した非水電解液を注入し、電池ケースを密閉して、実施例1のリチウムイオン二次電池を得た。
(実施例2)
実施例2のリチウムイオン二次電池は、黒鉛粒子組成物以外は実施例1のリチウムイオン二次電池と同じである。実施例2の黒鉛粒子組成物は、処理剤の濃度が異なる以外は実施例1と同様に製造されたものである。実施例2においては、実施例1と同様に、1,4−ジヨードブタンをNMPに溶解させ、10質量%の1,4−ジヨードブタンを含むNMP溶液を準備した。そして、実施例1と同様にして得た黒鉛粒子−ポリマー複合体の集合体1gを室温のアセトニトリル10mlに加え、これを室温で攪拌懸濁した後、1,4−ジヨードブタンを含むNMP溶液を0.01ml加えて、遮光下かつ80℃で24時間攪拌した。その後、実施例1と同様の工程を経て、実施例2の黒鉛粒子組成物を得た。
実施例2においては、1モルのVPにつき0.3/(1×7)モル、つまり、約0.043モルの1,4−ジヨードブタンを反応させた。したがって、実施例2における脱離基−求核剤元素比は、(0.3×2)/(1×7)、つまり約0.086であった。
以上の工程で得られた実施例2の黒鉛粒子組成物を用いたこと以外は実施例1と同様にして、実施例2のリチウムイオン二次電池を得た。
(実施例3)
実施例3のリチウムイオン二次電池は、黒鉛粒子組成物以外は実施例1のリチウムイオン二次電池と同じである。実施例3の黒鉛粒子組成物は、処理剤の濃度が異なる以外は実施例1と同様に製造されたものである。実施例3においては、実施例1と同様に、1,4−ジヨードブタンをN−メチル−2−ピロリドン(NMP)に溶解させ、10質量%の1,4−ジヨードブタンを含むNMP溶液を準備した。そして、実施例1と同様にして得た黒鉛粒子−ポリマー複合体の集合体1gを室温のアセトニトリル10mlに加え、これを室温で攪拌懸濁した後、1,4−ジヨードブタンを含むNMP溶液を0.14ml加えて、遮光下かつ80℃で24時間攪拌した。その後、実施例1と同様の工程を経て、実施例3の黒鉛粒子組成物を得た。
実施例3においては、1モルのVPにつき(0.3×2)/1モル=0.6モルの1,4−ジヨードブタンを反応させた。したがって、実施例3における脱離基−求核剤元素比は、(0.3×2×2)/1、つまり約1.2であった。
以上の工程で得られた実施例3の黒鉛粒子組成物を用いたこと以外は実施例1と同様にして、実施例3のリチウムイオン二次電池を得た。
(実施例4)
実施例4のリチウムイオン二次電池は、黒鉛粒子組成物以外は実施例1のリチウムイオン二次電池と同じである。実施例4の黒鉛粒子組成物は、処理剤の種類および濃度が異なる以外は実施例1と同様に製造されたものである。実施例4においては、処理剤として1−ヨードブタンを用いた。そして、1−ヨードブタンをN−メチル−2−ピロリドン(NMP)に溶解させ、10質量%の1−ヨードブタンを含むNMP溶液を準備した。そして、実施例1と同様にして得た黒鉛粒子−ポリマー複合体の集合体1gを室温のアセトニトリル10mlに加え、これを室温で攪拌懸濁した後、1−ヨードブタンを含むNMP溶液を0.04ml加えて、遮光下かつ80℃で24時間攪拌した。その後、実施例1と同様の工程を経て、実施例4の黒鉛粒子組成物を得た。
実施例4で用いた1−ヨードブタンは一つの脱離基を有するため、脱離基のモル数は1−ヨードブタン自体のモル数と同じである。
実施例4においては、1モルのVPにつき、0.3モルの1−ヨードブタンを反応させた。したがって、実施例4における脱離基−求核剤元素比は、(0.3×1)/1、つまり約0.3であった。
以上の工程で得られた実施例4の黒鉛粒子組成物を用いたこと以外は実施例1と同様にして、実施例4のリチウムイオン二次電池を得た。
(比較例)
比較例のリチウムイオン二次電池は、処理剤を用いなかったこと、つまり、黒鉛粒子組成物にかえて黒鉛粒子−ポリマー複合体の集合体を用いたこと以外は実施例1のリチウムイオン二次電池と同じである。
<評価試験>
実施例1、実施例2および比較例のリチウムイオン二次電池について、初期容量およびサイクル耐久性を評価した。
各リチウムイオン二次電池を25℃の恒温槽に1時間保持した後に、0.1mAの定電流、かつ、電圧1.0V〜0.01Vの範囲で充放電を行った。そしてこのときの充電容量を初期容量(mAh/g)とした。
初期充放電後、同様の充放電を30サイクル繰り返した。そして、30サイクル目の充電容量を、サイクル耐久後の充電容量(mAh/g)とした。サイクル耐久後の充電容量と上記した初期容量とを基に、下式(I)を用いて容量維持率を算出した。
容量維持率(%)=(サイクル耐久後の充電容量/初期容量)×100・・・(I)
それぞれの結果を表1に示す。
Figure 0006522326
表1に示すように、黒鉛粒子−ポリマー複合体と処理剤とを併用した実施例1および実施例2のリチウムイオン二次電池は、黒鉛粒子−ポリマー複合体のみを用い処理剤を用いなかった比較例のリチウムイオン二次電池に比べて、初期容量および容量維持率に優れていた。
実施例1と実施例2を比較すると、脱離基−求核剤元素比の比較的大きい実施例1のリチウムイオン二次電池は、脱離基−求核剤元素比の比較的小さい実施例2のリチウムイオン二次電池に比べて初期容量が大きかった。つまり、脱離基−求核剤元素比が0.09以上0.6以下の範囲においては、脱離基−求核剤元素比が大きい程、つまり、求核剤元素に対する脱離基の割合が多い程、初期容量に優れ、かつ容量維持率にも優れるといえる。また、この結果から、処理剤が二つの脱離基を有する場合、つまり既述した式(3)におけるL がn=1である場合には、脱離基−求核剤元素比は0.05以上1.0以下であるのが特に好ましく、0.07以上0.8以下であるのがさらに好ましく、0.09以上0.6以下であるのが殊更好ましいと言える。

Claims (9)

  1. 黒鉛粒子と、下記式(1)で表されるビニル芳香族モノマー単位および下記式(2)で表される塩基性モノマー単位を有する芳香族ビニル共重合体と、下記式(3)で表される処理剤と、を攪拌する作用工程を有する黒鉛粒子組成物の製造方法。
    −(CH−CHX)− …(1)
    −(CH−CHX)− …(2)
    −R−L …(3)
    (なお、式(1)中のXはフェニル基、ナフチル基、アントラセニル基またはピレニル基を表し、これらの基は置換基を有していても良い、式(2)中のXはNおよび/またはPを含む有機基を表し、これらの基は置換基を有していても良い、式(3)中のRは炭素数1以上のアルキル鎖又はアルキレン鎖でありLおよびLはそれぞれ脱離基であり、nは0または1であり、LおよびLは同じであっても良いし異なっていても良い。前記Rは炭素数4〜6の直鎖状アルキル鎖構造を含み、前記直鎖状アルキル鎖構造の末端は前記Lに結合するかまたは前記Lと前記Lとに結合している。)
  2. 前記作用工程前、前記作用工程中または前記作用工程後に、過酸化水素化物の存在下で、厚み0.3nm〜100nm、長軸方向の長さ0.1μm〜500μmの板状黒鉛粒子となるように前記黒鉛粒子を破砕する破砕工程を有する、請求項1に記載の黒鉛粒子組成物の製造方法。
  3. 前記作用工程は、
    前記黒鉛粒子と、前記黒鉛粒子の表面に吸着した前記芳香族ビニル共重合体と、を有する黒鉛粒子−ポリマー複合体を形成する黒鉛粒子−ポリマー複合体形成工程と、
    前記黒鉛粒子−ポリマー複合体と前記処理剤とを攪拌する処理剤作用工程と、を有し、
    前記破砕工程は、前記黒鉛粒子−ポリマー複合体形成工程と同時におこなう請求項2に記載の黒鉛粒子組成物の製造方法。
  4. 前記LおよびLは、それぞれ独立に、塩素、臭素、ヨウ素、CHSOおよびCFSOから選ばれる、請求項1〜請求項3の何れか一項に記載の黒鉛粒子組成物の製造方法。
  5. 前記Xは、チアゾール基、チアジン基、ホスホール基、アゾール基、ピリジン基、イミダゾール基、ピラゾール基、ピラジン基、チアジン基、ピリミジン基、キノリン基から選ばれる請求項1〜請求項4の何れか一項に記載の黒鉛粒子組成物の製造方法。
  6. 黒鉛粒子と、
    前記黒鉛粒子の表面に吸着し下記式(1)で表されるビニル芳香族モノマー単位と、下記式(2)で表される塩基性モノマー単位と、を有する芳香族ビニル共重合体と、を含む黒鉛粒子−ポリマー複合体と、
    下記式(3)で表される処理剤に由来するアルキル鎖構造と、を含み、
    前記アルキル鎖構造は、前記黒鉛粒子−ポリマー複合体の前記塩基性モノマー単位と結合した状態で存在しており、前記アルキル鎖構造と結合している前記黒鉛粒子−ポリマー複合体と、これに隣接する他の前記黒鉛粒子−ポリマー複合体と、の間に介在する、黒鉛粒子組成物。
    −(CH−CHX)− …(1)
    −(CH−CHX)− …(2)
    −R−L …(3)
    (なお、式(1)中のXはフェニル基、ナフチル基、アントラセニル基またはピレニル基を表し、これらの基は置換基を有していても良い、式(2)中のXはNおよび/またはPを含む有機基を表し、これらの基は置換基を有していても良い、式(3)中のRは炭素数1以上のアルキル鎖又はアルキレン鎖でありLおよびLはそれぞれ脱離基であり、nは0または1であり、LおよびLは同じであっても良いし異なっていても良い。前記Rは炭素数4〜6の直鎖状アルキル鎖構造を含み、前記直鎖状アルキル鎖構造の末端は前記Lに結合するかまたは前記Lと前記Lとに結合している。)
  7. 前記黒鉛粒子は、厚みが0.3nm〜100nm、長軸方向の長さが0.1μm〜500μmの板状黒鉛粒子である請求項6に記載の黒鉛粒子組成物。
  8. Si、Si化合物、SnおよびSn化合物からなる群から選ばれる少なくとも一種からなる活物質粉末と、黒鉛粒子組成物と、の混合粉末を含み、
    前記黒鉛粒子組成物は、
    黒鉛粒子と、
    前記黒鉛粒子の表面に吸着し下記式(1)で表されるビニル芳香族モノマー単位と、下記式(2)で表される塩基性モノマー単位と、を有する芳香族ビニル共重合体と、を含む黒鉛粒子−ポリマー複合体と、
    下記式(3)で表される処理剤に由来するアルキル鎖構造と、を含み、
    前記アルキル鎖構造は、前記黒鉛粒子−ポリマー複合体の前記塩基性モノマー単位と結合した状態で存在しており、前記アルキル鎖構造と結合している前記黒鉛粒子−ポリマー複合体と、これに隣接する他の前記黒鉛粒子−ポリマー複合体と、の間に介在する、負極。
    −(CH−CHX)− …(1)
    −(CH−CHX)− …(2)
    −R−L …(3)
    (なお、式(1)中のXはフェニル基、ナフチル基、アントラセニル基またはピレニル基を表し、これらの基は置換基を有していても良い、式(2)中のXはNおよび/またはPを含む有機基を表し、これらの基は置換基を有していても良い、式(3)中のRは炭素数1以上のアルキル鎖又はアルキレン鎖でありLおよびLはそれぞれ脱離基であり、nは0または1であり、LおよびLは同じであっても良いし異なっていても良い。)
  9. 請求項8に記載の負極を有する蓄電装置。
JP2014250177A 2014-12-10 2014-12-10 黒鉛粒子組成物およびその製造方法、負極ならびに蓄電装置 Active JP6522326B2 (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2014250177A JP6522326B2 (ja) 2014-12-10 2014-12-10 黒鉛粒子組成物およびその製造方法、負極ならびに蓄電装置

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2014250177A JP6522326B2 (ja) 2014-12-10 2014-12-10 黒鉛粒子組成物およびその製造方法、負極ならびに蓄電装置

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JP2016110953A JP2016110953A (ja) 2016-06-20
JP6522326B2 true JP6522326B2 (ja) 2019-05-29

Family

ID=56124670

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2014250177A Active JP6522326B2 (ja) 2014-12-10 2014-12-10 黒鉛粒子組成物およびその製造方法、負極ならびに蓄電装置

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP6522326B2 (ja)

Families Citing this family (4)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
WO2019064486A1 (ja) * 2017-09-29 2019-04-04 テクノ技研工業株式会社 携帯型の非水電解質二次電池
CN110272041B (zh) * 2018-03-15 2023-06-27 中国人民解放军军事科学院防化研究院 一种多孔石墨化碳的制备方法
EP3831776A4 (en) * 2018-07-30 2022-04-27 Adeka Corporation COMPOSITE
JP7225239B2 (ja) * 2018-07-30 2023-02-20 株式会社Adeka 複合材料

Family Cites Families (6)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JPH08109196A (ja) * 1994-08-19 1996-04-30 Matsushita Electric Ind Co Ltd 複合電極およびその製造方法
JP2002134111A (ja) * 2000-10-25 2002-05-10 Kawasaki Steel Corp リチウムイオン二次電池負極用炭素材料およびリチウムイオン二次電池
WO2009014399A2 (en) * 2007-07-26 2009-01-29 Lg Chem, Ltd. Electrode active material having core-shell structure
KR101460876B1 (ko) * 2010-06-07 2014-11-13 도요타 지도샤(주) 수지 복합 재료
WO2011155486A1 (ja) * 2010-06-07 2011-12-15 株式会社豊田中央研究所 微細化黒鉛粒子、それを含有する黒鉛粒子分散液、および微細化黒鉛粒子の製造方法
KR102157157B1 (ko) * 2012-07-17 2020-09-17 제온 코포레이션 이차 전지용 부극 및 이차 전지

Also Published As

Publication number Publication date
JP2016110953A (ja) 2016-06-20

Similar Documents

Publication Publication Date Title
JP6385749B2 (ja) 負極活物質及び蓄電装置
JP5806271B2 (ja) 負極活物質及び蓄電装置
EP2865031B1 (en) Binders, electrolytes and separator films for energy storage and collection devices using discrete carbon nanotubes
JP6055729B2 (ja) リチウムイオン二次電池用負極及びリチウムイオン二次電池
JP7084493B2 (ja) 硫黄-炭素複合体、この製造方法、これを含む正極及びリチウム二次電池
CN111316475B (zh) 锂二次电池用负极浆料组合物和其制造方法
JP6534835B2 (ja) 負極活物質層及びその負極活物質層を具備する蓄電装置
JP2013500556A (ja) 電気エネルギー貯蔵体用電極の被覆方法
JP6522326B2 (ja) 黒鉛粒子組成物およびその製造方法、負極ならびに蓄電装置
JP5725075B2 (ja) 二次電池負極用バインダーと二次電池負極及びリチウムイオン二次電池
US11777082B2 (en) Negative electrode material for lithium ion secondary batteries, method for manufacturing the same, paste for negative electrode, negative electrode sheet, and lithium ion secondary
KR20170127240A (ko) 전극, 이의 제조방법 및 이를 포함하는 리튬이차전지
KR101591712B1 (ko) 리튬이차전지 음극용 바인더
KR101519979B1 (ko) 리튬이온이차전지용 음극 조성물
CN113646926A (zh) 负极活性材料、包含所述负极活性材料的负极和锂二次电池
TWI777139B (zh) 電化學裝置用接合劑、電極合劑、電極、電化學裝置及二次電池
JP2016115403A (ja) リチウムイオン二次電池及びその製造方法
US11196043B2 (en) Silicon-based particle-polymer composite and negative electrode active material comprising the same
JP6555520B2 (ja) 炭素被覆シリコン材料の製造方法
JP2013191331A (ja) 非水電解質二次電池および車両
CN111801821A (zh) 非水系二次电池电极用粘结剂组合物、非水系二次电池电极用导电材料糊组合物、非水系二次电池电极用浆料组合物、非水系二次电池用电极和非水系二次电池
JP2017157385A (ja) 二次電池
KR20140117314A (ko) 리튬이차전지용 음극 조성물
JP2016115402A (ja) 正極活物質及び結着剤を具備する正極及びその製造方法
JP6489351B2 (ja) 電極およびその製造方法ならびに蓄電装置

Legal Events

Date Code Title Description
A621 Written request for application examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621

Effective date: 20170907

A977 Report on retrieval

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971007

Effective date: 20180521

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20180524

A521 Written amendment

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20180703

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20180920

A521 Written amendment

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20181102

TRDD Decision of grant or rejection written
A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

Effective date: 20190416

A61 First payment of annual fees (during grant procedure)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61

Effective date: 20190424

R150 Certificate of patent or registration of utility model

Ref document number: 6522326

Country of ref document: JP

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150