以下に添付図面を参照しながら、本発明の好適な実施の形態について詳細に説明する。なお、本明細書及び図面において、実質的に同一の機能構成を有する構成要素については、同一の符号を付することにより重複説明を省略する。
<1. 第1の実施形態>
(1.紙幣処理装置の内部構成例)
図1は、本発明の実施形態としての紙幣処理装置1の外観を示す斜視図である。紙幣処理装置1は、例えば銀行などの金融機関に配置されており、顧客の操作に応じて入金、出金、振込等の各種取引を行うための装置である。以下の説明においては、紙幣処理装置1の顧客が対峙する側を紙幣処理装置1の前とし、その反対側を紙幣処理装置1の後とする。
図1に示すように、紙幣処理装置1は、箱状の筐体12で構成されている。さらに、筐体12の前側には、紙幣投入口21、紙幣受取口22、カード投入口24、及び操作表示部25が設けられている。
紙幣投入口21は、顧客による紙幣の入金口としての機能を有する。紙幣受取口22は、顧客への紙幣の出金口としての機能を有する。また、紙幣投入口21及び紙幣受取口22は、主制御部17により開閉制御されるシャッタ(図示せず)を有する。さらに、各シャッタの下方には収容器(図示せず)が設けられている。紙幣投入口21のシャッタは、入金取引において顧客が収容器に紙幣を投入する際には開き、顧客が紙幣を投入し終わると閉じるように制御される。この後、収容器(図示せず)に投入された紙幣は、計数され、後で説明する一時保留部41に収納される。また、紙幣受取口22のシャッタは、必要な紙幣が後で説明する収納庫42から収容器(図示せず)に搬送されるまでは閉じられ、必要な紙幣が収容器に集積された際には開くように制御される。
カード投入口24は、顧客による例えばキャッシュカードなどの挿入口及び顧客へのカードの排出口としての機能を有する。カード投入口24の奥には、カードリーダ部(図示せず)が設けられ、カードリーダ部(図示せず)は、顧客がカード投入口24から投入したカードを受付し、返却する機構(図示せず)と、投入されたカードのデータを読み取るための機構(図示せず)を有する。
操作表示部25は、操作画面を表示する表示部、及び顧客操作を検知する顧客操作部としての機能を包含する。表示部としての機能は、例えば、CRT(Cathode Ray Tube)ディスプレイ装置、液晶ディスプレイ(LCD:Liquid Crystal Display)装置、OLED(Organic Light Emitting Diode)装置により実現される。また、顧客操作部としての機能は例えばタッチパネルにより実現される。
筐体12の内部には、紙幣処理装置1全体を統括制御する主制御部17や、紙幣に関する種々の処理を行う紙幣入出金機18が設けられている。主制御部17は、図示しないCPU(Central Processing Unit)を中心に構成されており、図示しないROM(Read Only Memory)やフラッシュメモリ等から所定のプログラムを読み出して実行することにより、入金処理や出金処理等の種々の処理を行う。また、主制御部17は、内部にRAM(Random Access Memory)、ハードディスクドライブやフラッシュメモリ等からなる記憶部(図示せず)を有し、この記憶部(図示せず)に種々の情報を記憶させることができる。
図2は、本発明の実施形態としての紙幣処理装置1の後側を示す斜視図である。紙幣処理装置1は、筐体12における操作表示部25の反対側、すなわち、後側に設けられた開閉可能な後扉13を有する。この後扉13は通常施錠されており、保守等の際に施錠が解除される。さらに、後扉13には、図2に示すように保守用操作表示部26が設けられており、保守員が紙幣処理装置1の保守等を行う際に用いられる。保守用操作表示部26は、操作表示部25と同様に、操作画面及び保守情報を表示する表示部及び保守員操作を検知する保守員操作部としての機能を包含する。表示部としての機能は、例えば、CRTディスプレイ装置、液晶ディスプレイ装置、OLED装置により実現される。また、保守員操作部としての機能は例えばタッチパネルにより実現される。
図3は、紙幣入出金機18の構成を示す断面図である。紙幣入出金機18は、大きく分けて、上下方向のほぼ中央よりも上側部分を占める上部ユニット31と、その下側部分を占める下部ユニット32とにより構成されている。各ユニット31、32は、点検等のために紙幣入出金機18から引出すことができ、図示しないセンサにより各ユニット31、32の引出しは検知され、検知結果が主制御部17に通知される。なお、この図示しないセンサは例えば光学式センサからなることができる。
上部ユニット31には、先に説明した紙幣投入口21及び紙幣受取口22と、紙幣を一時的に収納する一時保留部41と、特定の紙幣を収納するリジェクト庫44と、紙幣の鑑別を行う鑑別部45とが設けられている。下部ユニット32には、紙幣を収納する収納庫42が設けられている。さらに、上部ユニット31と下部ユニット32とをまたがるように図中太線で示される搬送路43が設けられている。
鑑別部45は、その内部に複数種類のセンサ(図示せず)が組み込まれており、搬送される紙幣の金種、真偽、正損(損傷しているか否か)を読み取り、その読取情報に基づいて紙幣を鑑別する。
リジェクト庫44は、内部に紙幣を収納する空間を有している。このリジェクト庫44は、鑑別部45により損傷の程度が大きく再利用すべきで無い紙幣として鑑別された紙幣をリジェクト紙幣として内部に収納する。
一時保留部41は、紙幣の分離と集積の両方の機能を有する。例えば、一時保留部41は、入金取引時に紙幣投入口21から投入された紙幣を一時的に集積する。一時保留部41に集積された紙幣は、入金した紙幣の口座計上などが確定した等、取引が成立した場合に繰り出され、収納庫42に搬送路43により搬送される。
収納庫42は、紙幣を金種毎に収納可能な紙幣収納部であり、紙幣入出金機18の下部ユニット32から引出し、脱着することができる構造になっており、個別に交換することにより紙幣を装填することが可能である。さらに、収納庫42は、搬送路43に紙幣を繰り出す機構(図示せず)と、搬送路43により搬送された紙幣を収納庫42内に集積する機構(図示せず)とを有する。例えば、収納庫42から繰り出された紙幣は、搬送路43を経由して紙幣受取口22の下方に設けられた収容器(図示せず)に集積される。なお、収納庫42が下部ユニット32から引出された場合には、図示しないセンサによりその旨を検知し主制御部17に通知する。この図示しないセンサは例えば光学式センサからなることができる。また、各収納庫42には収納された紙幣の容量を計測するための複数のセンサ(図示せず)が設けられており、その検知結果は主制御部17に通知される。
搬送路43は、上部ユニット31及び下部ユニット32の各所に紙幣を搬送するために紙幣入出金機18全体に敷設されている。この搬送路43には、回転するローラ(図示せず)や紙幣を案内する切替部(図示せず)が適宜配置されており、ローラ及び切替部を制御することにより紙幣を所望の位置に搬送することができる。
また、上部ユニット31及び下部ユニット32の搬送路43の各所に、紙幣つまりを検知するためのセンサ50(50a、50b、50c、50d、50e)が設けられている。センサ50は図3に示される数に限定されることはなく、紙幣処理装置1の各所に設けられる。センサ50としては、例えば、残留紙幣により光が遮られることにより残留紙幣を検知する光学式センサを用いることができる。
(2.残留紙幣の表示及び紙幣つまりの解消)
第1の実施形態に係る残留紙幣の表示及び紙幣つまりの解消について説明する前に、以下の説明における紙幣つまりについて説明する。図4は、紙幣入出金機18の上部ユニット31と下部ユニット32との境界領域に残留紙幣60が残留した状態を示す断面図である。残留紙幣60は、上部ユニット31及び下部ユニット32の境界領域にある搬送路43の部分に残留している。詳細には、残留紙幣60は、下部ユニット32に位置するセンサ50aと上部ユニット31に位置するセンサ50bとの間の搬送路43に残留し、紙幣つまりを発生させている。さらに、この残留紙幣60は、センサ50bと比べてセンサ50aに近い位置に残留しているため、センサ50aにのみ検知され、センサ50bには検知されていない。
図5は、図4に示す紙幣つまりの場合の本実施形態に係る残留紙幣表示70(70a、70b)の一例を示す。保守用操作表示部26には、模式的に紙幣入出金機18を示す表示118が示されている。また、表示118の上半分にある表示131が上部ユニット31を示し、表示118の下半分にある表示132が下部ユニット32を示す。表示131の右上には、紙幣投入口21及び紙幣受取口22を示す表示121/122が位置し、表示121/122の左下には、鑑別部45を示す表示145が位置し、表示131の左上には一時保留部41を示す表示141が位置し、表示141の下にはリジェクト庫44を示す表示144が位置する。さらに、表示132には収納庫42を示す表示142が位置する。
本実施形態においては、図4に示す紙幣つまりの場合、保守用操作表示部26には2か所の残留紙幣表示70a、70bが示される。まず、残留紙幣60を検知したセンサ50aに対応するように、表示118内のセンサ50aの搬送路43上の位置に対応する位置に、残留紙幣表示70aが示される。さらに、残留紙幣60を検知したセンサ50aに隣接するセンサ50bの搬送路43上の位置に対応する表示118内の位置に、残留紙幣表示70bが示される。すなわち、本実施形態においては、センサ50bの残留紙幣60の検知状況にかかわらず、センサ50bに隣接するセンサ50aが残留紙幣60を検知した場合には、センサ50a及びセンサ50bの両方に対応する位置に残留紙幣表示70a、70bが示される。この残留紙幣表示70a、70bは、例えば、正方形状の表示であることができる。なお、本実施形態においては、残留紙幣表示70は上記の表示に限定されるものではなく、他の表示でもよい。例えば、保守用操作表示部26に、文字にて、「上部ユニット内のセンサにより残留紙幣を検知」、及び、「下部ユニット内のセンサにより残留紙幣を検知」と表示してもよい。さらなる例としては、上部ユニット31内のセンサ50bに対応する数字と、下部ユニット32内のセンサ50aに対応する数字とを、保守用操作表示部26に表示させてもよい。
そして、図5に示すように、残留紙幣表示70aは、上部ユニット31と下部ユニット32との境界領域にある搬送路43の下部ユニット側32に対応する表示132内の位置に示され、残留紙幣表示70bは、上部ユニット31と下部ユニット32との境界領域にある搬送路43の上部ユニット側31に対応する表示131内の位置に示される。すなわち、残留紙幣表示70aは、その表示される位置により、下部ユニット32内での紙幣の残留を示し、残留紙幣表示70bは、その表示される位置により、上部ユニット32内での紙幣の残留を示す。従って、残留紙幣表示70a、70bを確認した保守員は、上部ユニット31及び下部ユニット32の両方に紙幣つまりが発生していると認識することができる。そこで、保守員は、後扉13を開けていずれかのユニットを先に引出し、その引き出したユニット内で残留紙幣60を発見することができなくても、他方のユニットを引き出す作業を迅速に行うこととなる。従って、残留紙幣60の発見を容易にすることができる。
本実施形態においては、紙幣つまりを知らせるための表示は上記の表示方法に限定されるものではなく、他の表示方法でもよい。例えば、筐体12の後扉13に、模式的に紙幣入出金機18を示す図をあらかじめ描画しておき、紙幣入出金機18を示す図内において、紙幣入出金機18内のセンサ50の位置に対応する箇所に、点滅可能なランプをあらかじめ設けておく。そして、上部ユニット31内のセンサ50bが位置する箇所に残留紙幣60が残留している旨と下部ユニット32内のセンサ50aが位置する箇所に残留紙幣60が残留している旨を知らせようとする場合には、紙幣入出金機18を示す図内の50a及び50bに対応するランプを点滅させればよい。
(3.残留紙幣表示処理フロー)
図6に、第1の実施形態に係る紙幣処理装置1の残留紙幣表示処理のフローを示す。残留紙幣表示処理フローは、紙幣つまりの発生が確認された場合に開始され、紙幣つまりの発生が複数個所確認された場合には、1か箇所ずつ順に紙幣残留情報を取得して処理を行う。
ステップS1において、主制御部17は紙幣処理装置1のセンサ50から通知される紙幣残留情報を所得し、ステップS2へ移行する。なお、主制御部17は、取得した紙幣残留情報を主制御部17が有する記憶部(図示せず)に記憶し、その後の処理において記憶した情報を参照する。
次に、ステップS2において、主制御部17は、ステップS1で取得した紙幣残留情報に基づいて残留紙幣60があるか否かを判断する。残留紙幣60がないと判断された場合にはステップS6へ移行し、残留紙幣60があると判断した場合にはステップS3へ移行する。
ステップS3において、主制御部17は、残留紙幣60を検知したセンサ50が、2か所表示するセンサ50に該当するか否かを判断する。主制御部17は、その記憶部にあらかじめ2か所表示するセンサ50を記憶している。2か所表示するセンサ50として記憶されるセンサ50は、上部ユニット31と下部ユニット32の境界領域にあるセンサ50であり、例えば、図3に示される紙幣処理装置1においては、センサ50a、センサ50b、センサ50c、センサ50eである。そして、主制御部17は、記憶していた情報を参照して判断を行う。2か所表示すると判断した場合にはステップS4へ移行し、その他の場合にはステップS5へ移行する。
ステップS4において、主制御部17は、上部ユニット31と下部ユニット32との境界領域にあって、残留紙幣60を検知したセンサ50に隣接し、且つ、残留紙幣60を検知したセンサ50と異なるユニットに位置するセンサ50を選択する。主制御部17は、その記憶部に、あらかじめ各センサ50を各センサ50と上記のような関係にある他のセンサ50と紐づけて記憶しており、記憶していた情報を参照して選択する。例えば、主制御部17は、センサ50aとセンサ50bとを紐づけて記憶しており、センサ50cとセンサ50eとを紐づけて記憶している。次に、主制御部17は、保守用操作表示部26の残留紙幣60を検知したセンサ50及び選択したセンサ50に対応する位置に残留紙幣表示70を行い、ステップS6へ移行する。
ステップS5において、主制御部17は、残留紙幣60を検知したセンサ50に対応する位置に残留紙幣表示70を行い、ステップS6へ移行する。
ステップS6において、ステップS1において取得した紙幣残留情報のすべてに対して残留紙幣表示処理が終了していれば残留紙幣表示処理フローを終了し、ステップS1において取得した紙幣残留情報のすべてに対して残留紙幣表示処理が終了していない場合にはステップS1に戻る。以降すべての紙幣残留情報に対して残留紙幣表示処理が終了するまで、ステップS1からステップS6を繰り返す。
ところで、図4に示すような紙幣つまりが従来の紙幣処理装置で発生した場合、すなわち、従来の紙幣処理装置において、残留紙幣60が下部ユニットと上部ユニットとにまたがって残留し、且つ、残留した紙幣が下部ユニットに設けられたセンサのみに検知される場合には、保守用画面には、下部ユニットにのみ紙幣つまりが発生した旨が表示される。そこで、保守員は、その画面表示を参照し、下部ユニット内にのみ残留紙幣60が残留していると認識して、残留紙幣60を除去するため下部ユニットを引出すこととなる。しかしながら、このように紙幣つまりが生じた場合には、下部ユニットを引出すことにより残留紙幣60が下部ユニットからはずれても、残留紙幣60が上部ユニットに残留したままになっていることがある。こうした状態になると、保守員は、下部ユニット内に残留紙幣60を発見することができず、保守員が上部ユニット内の残留紙幣60に気がつくまで多くの時間を要することとなり、紙幣つまりの解消のための作業時間が長くなってしまうという問題があった。
それに対して、本実施形態によれば、上部ユニット31と下部ユニット32の境界領域に紙幣つまりが発生し、下部ユニット32にあるセンサ50aが残留紙幣60を検知した場合には、上部ユニット31にあるセンサ50bの残留紙幣60の検知状況にかかわらず、センサ50a及びセンサ50bの両方に対応する位置に残留紙幣表示70a、70bを行う。従って、上部ユニット31及び下部ユニット32の両方に対応する箇所に残留紙幣表示70a、70bが表示されるため、保守員は、上部ユニット31及び下部ユニット32の両方に紙幣つまりが発生していると判断することができる。従って、保守員が下部ユニット32を引出したときに、下部ユニット32から残留紙幣60がはずれ、上部ユニット31にだけ残留紙幣60が残ってしまうことがあっても、保守員が、下部ユニット32に続いて上部ユニット31を引出すという対応を迅速に行うことができる。そのため、残留紙幣60の発見を容易に行うことが可能となり、保守作業の軽減、及び保守作業時間の短縮が可能になる。なお、ここでは下部ユニット32にあるセンサ50aが残留紙幣60を検知した場合を説明したが、上部ユニット31にあるセンサ50bが残留紙幣60を検知した場合であっても本実施形態を適用することができる。
<2. 第2の実施形態>
第2の実施形態は、第1の実施形態において、2か所の残留紙幣表示70a、70bが示された後、保守員が、上部ユニット31及び下部ユニット32の一方のユニットを引出し、一方のユニットから残留紙幣60がはずれた場合には、一方のユニットに関する残留紙幣表示70を停止し、さらに残留解消表示71を表示させて、一方のユニットを引出したことにより残留紙幣60がはずれてしまったことを保守員に知らしめる。このような表示を行うことにより、保守員は残留紙幣60の現状を理解し、次の手順に進むことができる。従って、残留紙幣60の発見がさらに容易になる。
詳細には、第1の実施形態において2か所の残留紙幣表示70a、70bが行われた後、残留紙幣表示70a、70bを確認した保守員は、例えば、残留紙幣60の除去作業のため下部ユニット32を引出す。この下部ユニット32の引出しは、各ユニット31、32の引出しを検知するセンサ(図示せず)により検知される。そして、下部ユニット32が引出された際には、残留紙幣60は、上部ユニット31に押さえつけられ、下部ユニット32からはずれてしまうことがある。第2の実施形態においては、下部ユニット32が紙幣入出金機18から引出されたタイミングで、2か所の残留紙幣表示70a、70bに対応するセンサ50a、50bの残留紙幣60の検知状態を確認する。下部ユニット32に位置するセンサ50aが残留紙幣60を検知しなくなっていた場合には、センサ50aに対応する位置にある残留紙幣表示70aを停止させ、次いで、残留解消表示71を表示する。図7は、センサ50aに対応する位置に残留解消表示71を行った場合の保守用操作表示部26を示す。残留解消表示71は、例えば、正方形状の表示を一定周期で表示/非表示を行うような点滅表示である。なお、本実施形態では、残留解消表示71は、上記のような表示に限定されるものではなく、最初に示される残留紙幣表示70aと異なることが目視により区別認識できればよい。
図8に、第2の実施形態に係る紙幣処理装置1の残留紙幣表示処理フローを示す。各ユニット31、32の引出しを検知するセンサ(図示せず)が、上部ユニット31及び下部ユニット32の少なくとも1つの引出しを検知すると、残留紙幣表示処理のフローが開始し、ステップS11において、主制御部17は、紙幣処理装置1に設けられた各センサ50から通知される紙幣残留情報を取得し、ステップS12へ移行する。なお、主制御部17は、取得した紙幣残留情報を主制御部17が有する記憶部(図示せず)に記憶し、その後の処理において記憶した情報を参照する。
ステップS12において、主制御部17は、ステップS11で取得した紙幣残留情報に基づいて、残留紙幣60を検知したセンサ50が2か所表示するセンサに該当するか否かを判断する。第1の実施形態と同様に、主制御部17は、あらかじめ記憶していた情報を参照し判断を行う。2か所表示すると判断した場合にはステップS13へ移行し、その他の場合にはステップS15へ移行する。
ステップS13において、主制御部17は、残留紙幣60を検知したセンサ50が下部ユニット32に位置するか否かを判断する。下部ユニット32に位置すると判断した場合にはステップS14に移行し、その他の場合にはステップS17に移行する。
ステップS14において、主制御部17は、残留紙幣60を検知したセンサ50に対応するセンサ50を選択する。第1の実施形態と同様に、主制御部17はあらかじめ記憶していた情報を参照して選択する。なお、このステップS14にて選択されたセンサ50は上部ユニット31に位置している。さらに、主制御部17は、ステップS11で取得した紙幣残留情報に基づいて、選択されたセンサ50が残留紙幣60を検知しているか否かを判断する。選択されたセンサ50が残留紙幣60を検知している場合にはステップS16へ移行し、検知していない場合にはステップS21へ移行する。
ステップS15において、主制御部17は、残留紙幣60を検知したセンサ50に対応する位置に残留紙幣表示70を行い、ステップS24へ移行する。
ステップS16において、第1の実施形態と同様に、主制御部17は、残留紙幣60を検知したセンサ50と選択したセンサ50とに対応する2つの位置に残留紙幣表示70を行い、ステップS24へ移行する。
ステップS17において、ステップS14と同様に、主制御部17は、あらかじめ記憶していた情報を参照して、残留紙幣60を検知したセンサ50に紐づけられた他のセンサ50を選択する。なお、このステップS17にて選択されたセンサ50は下部ユニット32に位置している。さらに、主制御部17は、ステップS11で取得した紙幣残留情報に基づき、選択されたセンサ50が残留紙幣60を検知しているか否かを判断する。選択されたセンサ50が残留紙幣60を検知している場合にはステップS16へ移行する。ステップS16へ移行した後については先に説明した通りである。一方、検知していない場合にはステップS18へ移行する。
ステップS18において、主制御部17は以下の処理を行う。主制御部17が、各ユニットの引出しを検知するセンサ(図示せず)がステップS11において下部ユニット32の引出しを検知し、且つ、ステップS11で下部ユニット32の引出しを検知する前に、ステップS17で選択されたセンサ50が残留紙幣60を検知していたと判断する場合には、ステップS19へ移行する。一方、その他の場合にはステップS16へ移行する。ステップS16へ移行した後については先に説明した通りである。なお、主制御部17は、ステップS11で残留情報を取得する前の紙幣処理装置1の状態に関する情報を主制御部17が有する記憶部(図示せず)に記憶しており、それを参照することにより、主制御部17は上記の処理を行うことができる。
ステップS19において、主制御部17は、ステップS17で選択されたセンサ50(下部ユニット32に位置するセンサ50)に対応する位置にすでに残留紙幣表示70が表示されていれば、残留紙幣表示70の表示を停止させる。さらに、主制御部17は、ステップS17で選択されたセンサ50に対応する位置に残留解消表示71を行い、ステップS20へ移行する。
ステップS20において、主制御部17は、残留紙幣60を検知したセンサ50(上部ユニット31に位置するセンサ50)に対応する位置に残留紙幣表示70を行い、ステップS24へ移行する。
ステップS21において、ステップS18と同様に、主制御部17は以下の処理を行う。主制御部17が、各ユニットの引出しを検知するセンサ(図示せず)がステップS11において上部ユニット31の引出しを検知し、且つ、ステップS11において上部ユニット31の引出しを検知する前に、ステップS14で選択されたセンサ50が残留紙幣60を検知していたと、判断する場合には、ステップS22へ移行する。一方、その他の場合にはステップS16へ移行する。ステップS16へ移行した後については先に説明した通りである。
ステップS22において、主制御部17は、ステップS14で選択されたセンサ50(上部ユニット31に位置するセンサ50)に対応する位置にすでに残留紙幣表示70が表示されていれば、残留紙幣表示70の表示を停止させる。さらに、主制御部17は、ステップS14で選択されたセンサ50に対応する位置に残留解消表示71を行い、ステップS23へ移行する。
ステップS23において、主制御部17は、残留紙幣60を検知したセンサ50(下部ユニット32に位置するセンサ50)に対応する位置に残留紙幣表示70を行い、ステップS24へ移行する。
ステップS24において、ステップS11において取得した紙幣残留情報のすべてに対して残留紙幣表示処理が終了していれば残留紙幣表示処理のフローを終了し、ステップS11において取得した紙幣残留情報のすべてに対して残留紙幣表示処理が終了していない場合にはステップS11に戻る。以降すべての紙幣残留情報に対して残留紙幣表示処理が終了するまで、ステップS11からステップS24を繰り返す。
第2の実施形態によれば、2か所の残留紙幣表示70a、70bが行われた後、保守員が、上部ユニット31及び下部ユニット32の一方のユニットを引出した際、一方のユニットから残留紙幣60がはずれた場合には、一方のユニットの残留紙幣表示70を停止させ、残留解消表示71を表示することにより、一方のユニットを引出したことにより残留紙幣60がはずれてしまった旨を保守員に知らせる。このような表示を行うことにより、保守員は残留紙幣60の現状を迅速に理解し、次の手順に進むことができる。従って、残留紙幣60の発見がより容易になり、保守作業の軽減、及び保守作業時間の短縮が可能になる。
<3. 第3の実施形態>
紙幣処理装置1において下部ユニット32の収納庫42に紙幣を補充する方法の1つとして、紙幣が充填された紙幣カセットを収納庫42にセットする方法がある。この方法においては、あらかじめ紙幣カセット内に収納された紙幣を計数していないため、収納庫42に紙幣カセットをセットした場合であっても、当該収納庫42に収納された紙幣の枚数を把握することができない。そこで、複数のセンサを各収納庫42に設け、収納庫42の上方に設けられたセンサが紙幣を検知した場合には、収納庫42に収納された紙幣の容量は多いと判断し、収納庫42の下方に設けられたセンサのみが紙幣を検知した場合には、収納された紙幣の容量は少ないと判断する。そして、各センサの位置と各センサの紙幣の検知状況に基づいて、各収納庫42の収納した紙幣の容量を、紙幣のおおよその容量を示すエンド、ニアエンド、プレニアエンド、ニアフル、フルといった状態情報で認識し、この状態情報の結果を保守用操作表示部26に表示する。なお、エンド、ニアエンドの順に紙幣の容量は増加し、紙幣の容量が一番多いフルにおいては、収納庫42は紙幣で満たされている状態であることを意味する。図9に、保守用操作表示部26における各収納庫42の紙幣の容量表示の一例を示す。収納庫42に対応する表示142に示されるグレーの帯の部分は、エンド、ニアエンド、プレニアエンド、ニアフル、フルといった状態情報と対応しており、帯の部分の高さが高いほど紙幣の容量が多いことを意味する。
ところで、収納庫42を有する下部ユニット32を紙幣入出金機18から引出した場合には、保守員による紙幣の補充作業が行われる可能性があると予想され、補充作業により紙幣の容量が変化するため、収納庫42内に収納された紙幣の容量は不定となる。このような場合、従来の紙幣処理装置1においては、主制御部17は保守用操作表示部26に対して初期表示を行うよう制御するため、保守用操作表示部26には実際に収納庫42に収納された紙幣の容量とは異なる容量が示される。従って、保守用操作表示部26に表示された容量と実際に収納庫42に収納された容量とは全く一致せず、保守員の混乱を招くことがあった。
そこで、第3の実施形態においては、保守員の混乱を防ぐことができるような表示を行う。図10に、第3の実施形態に係る紙幣処理装置1の保守用操作表示部26の紙幣の容量表示の一例を示す。保守員が下部ユニット32を紙幣入出金機18から引出した場合、下部ユニット32の引出しを検知するためのセンサ(図示せず)は、主制御部17に対して下部ユニット32が引出された旨を通知する。この通知を受け取った主制御部17は、保守用操作表示部26に下部ユニット32が引出し中である旨を表示する。例えば、図10に示すように、保守用操作表示部26に下部ユニット32引出し中という文字情報を点滅表示させる。なお、表示方法は、図10に示される方法に限定されず、保守員により下部ユニット32が引出し中である旨を認識することができるものであれば他の表示方法でもよい。その後、保守員により下部ユニット32が紙幣入出金機18に再セットされた場合には、主制御部17は、下部ユニット32が引出された旨を示す表示を停止する。併せて、下部ユニット32が引出されたことにより各収納庫42内に収納された紙幣の容量は不定となるため、主制御部17は、下部ユニット32が引き出されてから再セットされるまでは、全収納庫42の紙幣の容量の表示を維持し、下部ユニット32が再セットされた場合には、全収納庫42の紙幣の容量表示(グレーの帯による表示)を停止し、全収納庫42の枠線を点滅表示、もしくは、全収納庫42の枠線の色を一定周期で変化させるような表示を行う。すなわち、本実施形態によれば、下部ユニット32が引出された際に全収納庫42の紙幣の容量表示を停止する。従って、保守用操作表示部26に表示された紙幣の容量と実際に収納庫42に収納された容量とが一致しないといった問題を生じさせることがなく、不一致による保守員の混乱を防ぐことができる。
その後、保守員のリセット入力により、もしくは、自動的に、紙幣処理装置1がリセット動作を行った場合には、主制御部17は、各収納庫42に設けられているセンサ(図示せず)が通知する紙幣の容量についての状態情報に基づき、各収納庫42に収納された紙幣の容量を保守用操作表示部26に表示する(図9を参照)。
図11に、第3の実施形態に係る容量表示処理のフローを示す。容量表示処理フローは、ステップS31において、各ユニットの引出しを検知するセンサ(図示せず)が上部ユニット31及び下部ユニット32の少なくともいずれかが保守員により紙幣入出金機18から引出された、もしくは、上部ユニット31及び下部ユニット32の少なくともいずれかが保守員により紙幣入出金機18にセットされたといった紙幣処理装置1の状態変化を検知した場合に開始され、ステップS32へ移行する。なお、主制御部17は、検知した状態変化を主制御部17が有する記憶部(図示せず)に記憶し、その後の処理において記憶した情報を参照する。
ステップS32において、主制御部17は、下部ユニット32に設けられた下部ユニット32の引出しを検知するセンサ(図示せず)の検知状態を確認して、下部ユニット32が引出されたか否かを判断する。下部ユニット32が引出されたと判断した場合にはステップS33へ移行し、その他の場合にはステップS34へ移行する。
ステップS33において、主制御部17は、保守用操作表示部26に下部ユニット32が引出し中であることを点滅表示する。併せて、主制御部17は、全収納庫42の紙幣の
容量の表示については、下部ユニット32の引き出し前において記憶されていた各収納庫42の紙幣の容量の状態情報に基づく表示を継続し、ステップS31へ移行する。なお、各収納庫42に設けられたセンサ(図示せず)から紙幣の容量の状態情報が通知されるごとに、紙幣の容量の状態情報は、主制御部17が有する記憶部(図示せず)に記憶される。
ステップS34において、主制御部17は、以前に取得し、記憶していた下部ユニット32の状態と比較して、下部ユニット32が紙幣入出金機18から引き出された状態から紙幣入出金機18にセットされた状態へ変化したと判断した場合、ステップS35へ移行し、その他の場合にはステップS37へ移行する。なお、下部ユニット32に設けられたセンサ(図示せず)から下部ユニット32の状態情報が通知されるごとに、下部ユニット32の状態情報は主制御部17が有する記憶部(図示せず)に記憶される。
ステップS35において、下部ユニット32が引出し中である旨を示す表示は停止され、全収納庫42の枠線を点滅表示、もしくは、全収納庫42の枠線の色を一定周期で変化させるような表示が行われる。そして、紙幣処理装置1のリセット動作を検知した場合、ステップS36へ移行する。
ステップS36において、主制御部17がリセット動作を検知し、リセット動作により各収納庫42に設けられたセンサ(図示せず)が収納された紙幣の容量を計測した場合には、各収納庫42に収納された紙幣の容量の状態情報が主制御部17に通知され、ステップS37へ移行する。
ステップS37において、主制御部17は、リセット動作により通知された各収納庫42の紙幣の容量の状態情報に基づき、保守用操作表示部26に紙幣の容量表示を行い、ステップS31へ移行する。
この後は、各ユニットの引出しを検知するセンサ(図示せず)が状態変化を検知する、もしくは、主制御部17がリセット動作を検知したことをきっかけにして、ステップS31からステップS37までを繰り返す。
第3の実施形態においては、保守員が下部ユニット32を紙幣入出金機18から引出した際には、主制御部17は、下部ユニット32が引出し中である旨を表示する。さらに、下部ユニット32を引出した際、保守員による紙幣の補充作業が行われる可能性があると予想されるため、補充作業により紙幣の容量が変化し、全収納庫42内に収納された紙幣の容量は不定となる。そこで、本実施形態においては、主制御部17は、下部ユニット32が紙幣入出金機18から引き出された状態では、主制御部17は、記憶された各収納庫42の紙幣の容量の状態情報に基づき容量表示を行う。そして、下部ユニット32が紙幣入出金機18に再セットされ、リセット動作により再度全収納庫42の紙幣の容量の状態情報を取得するまでの間、全収納庫42の紙幣の容量表示を停止する。従って、本実施形態によれば、全収納庫42の紙幣の容量表示を停止することにより、保守用操作表示部26に表示された紙幣の容量と実際に収納庫42に収納された容量とが一致しないといった問題を生じさせることなくなり、不一致による保守員の混乱を防ぎ、その後の保守作業を効率よく行うことができる。
<4. 第4の実施形態>
第4の実施形態は、第3の実施形態の変形例であり、より現実に即した紙幣の容量表示を行うことにより保守員の混乱をより防ぐことができる。詳細には、第3の実施形態においては、下部ユニット32が紙幣入出金機18から引出され、再度、下部ユニット32が紙幣入出金機18にセットされ、リセット動作が完了するまでは、全収納庫42内に収納された紙幣の容量は不定となるとし、全収納庫42の紙幣の容量の表示を停止していた。しかしながら、下部ユニット32が引出されただけでは、保守員によって全収納庫42に対して紙幣の補充作業が行われるとは限らない。そこで、第4の実施形態においては、下部ユニット32が引出された際には、主制御部17は、以前に取得、記憶していた各収納庫42の紙幣の容量についての状態情報に基づき、各収納庫42内の紙幣の容量表示を行う。その後、下部ユニット32から収納庫42が引出された状態になって、引出された収納庫42については、保守員による紙幣の補充作業が行われることが予想され、この収納庫42内に収納された紙幣の容量は不定となるとして、この収納庫42の紙幣の容量表示を停止する。なお、引出されていない収納庫42については、保守員による紙幣の補充作業が行われていないことが予想されるため、紙幣の容量が変化していないとして、紙幣の容量表示を維持する。このように、第4の実施形態では、より実際の状態に即して表示を行うことにより、保守員の混乱をより防ぐことができる。
図12から図14に、第4の実施形態に係る保守用操作表示部26における各収納庫42の紙幣の容量表示を示す。本実施形態においては、下部ユニット32を引出しただけの状態では、図12に示されるように、下部ユニット32が引出し中である旨を点滅表示し、下部ユニット32を引出される前に、主制御部17が取得、記憶した各収納庫42の紙幣の容量についての状態情報に基づいて、保守用操作表示部26に各収納庫42の容量表示を行う。
その後、保守員が下部ユニット32から収納庫42を引出した際には、図示しないセンサから収納庫42の引出しを検知した旨の通知を受け取った主制御部17は、図13に示されるように、保守用操作表示部26に下部ユニット32が引出し中である旨を点滅表示させたまま、引出された収納庫42に対応する表示142の枠線表示(図13中、左端の収納庫の表示142)を停止する。このような表示を確認することにより、保守員はこの収納庫42が引出されていることを直感的に認識することができる。なお、表示の方法は図13に示される方法に限定されるものではなく、収納庫42が引き出されていることを視認することができるものであれば他の方法でもよい。また、この際、引き出された収納庫42については、保守員による紙幣の補充作業が行われることが予想されるため、引出された収納庫42内に収納された紙幣の容量は不定となり、従って、主制御部17は、保守用操作表示部26の当該収納庫42の紙幣の容量表示を停止する。
この後、引出された収納庫42が下部ユニット32にセットされた場合には、図14に示すように、保守用操作表示部26に下部ユニット32が引き出し中である旨を点滅表示させたまま、引出された収納庫42に対応する表示142(図14中、左端の収納庫の表示142)を再表示する。この再表示の方法としては、例えば、該当する収納庫42の枠線の色を一定周期で変化させたり、枠線を点滅させたりすることができる。なお、表示の方法は図14に示される方法に限定されるものではなく、収納庫42が再度セットされていることを視認することができるものであれば他の方法でもよい。併せて、収納庫42が引出されたことから、先に説明したように該当する収納庫42内の紙幣の容量が不定となるため、該当する収納庫42の紙幣の容量表示を停止したままとする。
図15に、第4の実施形態に係る容量表示処理のフローを示す。容量表示処理フローは、ステップS41において、各ユニットの引出しを検知するセンサ(図示せず)が、上部ユニット31及び下部ユニット32の少なくともいずれかが引出されたといった紙幣処理装置1の状態変化を検知した場合に開始され、ステップS42へ移行する。
ステップS42において、第3の実施形態と同様に、主制御部17は、下部ユニット32が引出されたか否かを判断する。下部ユニット32が引出されたと判断した場合にはステップS43へ移行し、その他の場合にはステップS46へ移行する。
ステップS43において、主制御部17は、保守用操作表示部26に下部ユニット32が引出し中である旨を点滅表示し、ステップS44へ移行する。
ステップS44において、主制御部17は、収納庫42が引出されているか否かを、各収納庫42に設けられた収納庫42の引出しを検知するセンサ(図示せず)の検知状態を確認することにより判断する。収納庫42が引出されたと判断された場合にはステップS45へ移行し、収納庫42が引出されていないと判断された場合には、ステップS47へ移行する。
ステップS45において、主制御部17は、例えば、引出された収納庫42に対応する表示142の枠線の表示を停止させ、当該収納庫42が引き出された旨を保守用操作表示部26に示す。次に、ステップS47へ移行する。
ステップS46において、主制御部17は、各ユニットの引出しを検知するセンサ(図示せず)がS41において状態変化を検知する前に、各ユニットの引出しを検知するセンサ(図示せず)が下部ユニット32が引出されていたことを検知していたかを判断する。S41において状態変化を検知する前に下部ユニット32が引出されていたことを検知していた場合には、ステップS47へ移行する。その他の場合には、ステップS50へ移行する。なお、主制御部17は、S41で状態変化を検知する前の紙幣処理装置1の状態に関する情報を主制御部17が有する記憶部(図示せず)に記憶しており、記憶した情報を参照することにより、主制御部17は上記の判断を行うことができる。
ステップS47において、主制御部17は、各ユニットの引出しを検知するセンサ(図示せず)がS41において状態変化を検知する前に、収納庫42の引出しを検知するセンサ(図示せず)が収納庫42が引出されていたことを検知していたかを判断する。S41において状態変化を検知する前に収納庫42が引出されていることを検知していた場合には、S48へ移行する。その他の場合にはステップS49へ移行する。
ステップS48において、主制御部17は、S41において状態変化を検知する前に引出されたことを検知された収納庫42に対応する表示142の枠を点滅表示させ、ステップS49へ移行する。
ステップS49において、引出された収納庫42とS41において状態変化を検知する前に引出されたことを検知された収納庫42を除くその他の収納庫42については、以前に主制御部17が取得、記憶していた各収納庫42の紙幣の容量についての状態情報に基づき紙幣の容量表示を行う。その後、ステップS41へ移行する。
ステップS50において、主制御部17は、以前に取得していた各収納庫42の紙幣の容量についての状態情報に基づき紙幣の容量表示を行い、ステップS41へ移行する。
この後は、各センサが状態変化を検知したことをきっかけにして、ステップS41からステップS50までを繰り返す。
本実施形態によれば、下部ユニット32が引き出された際には、下部ユニット32が引出された旨を表示し、併せて、以前に取得していた各収納庫42の紙幣の容量についての状態情報に基づき、各収納庫42内の紙幣の容量表示を行う。その後、下部ユニット32から収納庫42が引き出された状態になって、保守員により収納庫42の紙幣の補充作業が行われることが予想され、引出された収納庫42内に収納された紙幣の容量は不定となるため、引出された収納庫42の紙幣の容量の表示のみを停止し、引出されていない収納庫42については、保守員による収納庫42の紙幣の補充作業が行われていないことが予想されるため、紙幣の容量が変化していないとして紙幣の容量表示を維持する。このように、本実施形態では、より実際の紙幣の容量の状態に即した表示を行うことにより、保守員の混乱をより防ぐことができ、その後の保守作業を効率よく行うことができる。
<5. 第5の実施形態>
図16に、紙幣処理装置1の紙幣入出金機18のカバー80を開けた時の斜視図を示す。紙幣入出金機18にはカバー80が設けられており、カバー80は、保守員が紙幣入出金機18の内部の点検等を行う際に図のように開けることができる。カバー80は、完全に閉まっていることを目視で確認することが難しいため、点検完了後、保守員は誤ってカバー80を開けたまま、紙幣入出金機18を紙幣処理装置1にセットしてしまい、その後の処理において障害が発生することがある。このような場合、保守員は、紙幣処理装置1から紙幣入出金機18を引出し、カバー80を閉め直すこととなり、作業にかかる時間が長くなってしまうという問題点があった。
そこで、第5の実施形態によれば、カバー80に、カバー80の開閉状態を検知するセンサ85を設け、カバー80が開いていることをセンサ85が検知した場合には、主制御部17は、保守用操作表示部26にカバー80が開いている旨の表示146を行い、保守員にカバー80が開いている旨を知らしめることができる。
以下に説明する実施形態においては、カバー80は、搬送路43の一部を点検等する際に開けるカバーであり、搬送路43の一部の上方に設けられている。なお、本実施形態のカバー80は、上記のようなカバーに限定されるものではなく、紙幣入出金機18の他のブロックを点検等するために設けられたカバーであってもよい。
図17は、第5の実施形態に係るカバー80の要部を示す斜視図である。なお、図17においては、わかりやすくするために、カバー80の要部のみを示し、さらに各部位についても簡略化して示してある。
カバー80は、その端部の1つにおいて紙幣入出金機18と接続されており、カバー80は、接続された端部を中心軸として回転することができる。さらに、カバー80には、紙幣入出金機18と接続された端部とは反対側に位置する端部に沿うように、棒82が設けられている。棒82は、細長い円柱状の形状をしており、その中心軸を回転軸として回転することができる。取手83は、棒82の長軸方向の中央部に接続され、棒82の中心軸を回転軸として、棒82と共に回転することができる。突起81は、棒82の両端部に設けられ、棒82の中心軸を回転軸として、棒82と共に回転することができる。なお、突起81は、棒82の両端部に設けてもよいし、棒82の一方の端部のみに設けてもよい。また、図17においては、突起81は、簡略化されて、側面に切欠き91を有する角柱として示されているが、突起81はこのような形状に限定されるものではなく、他の形状であってもよい。
さらに、カバー80が閉められた際に、突起81と当接する紙幣入出金機18の部分には、凹部84が設けられている。凹部84は、突起81が一部又は全体が挿入され、且つ、その中で突起81が回転することができるような空間を持つ。さらに、凹部84の中には、突起81が挿入された際に、突起81と係合するロック機構(図示せず)が設けられている。例えば、ロック機構(図示せず)は以下のように動作するように構成することができる。凹部84の中で突起81が回転し、角柱状の突起81の長手方向が凹部84の底面と垂直になるように、言い換えると、突起81の切欠き91が設けられた側面とは反対側にある側面が凹部の側面に接触し、突起81の底面が凹部84の底面に接するように、突起81が凹部84に挿入される(図18を参照)。次に、カバー80を上から軽く押しつけて突起81の底面で凹部84の底面をさらに押した場合には、突起81の底面からかかる力によってロック機構(図示せず)が作動し、ロック機構(図示せず)は突起81の切欠き91の部分と係合して、突起81を固定する。ロック機構(図示せず)は、突起81を固定することにより、カバー80を閉状態にロックすることができる。また、カバー80がロックされた状態において、再度、カバー80を上から軽く押しつけて、突起81の底面で凹部84の底面をさらに押した場合には、突起81の底面からかかる力によってロック機構(図示せず)が作動し、ロック機構(図示せず)は突起81との係合を解消し、ロックが解除される。なお、図17においては、凹部84は、簡略化され、突起81が挿入することができる直方体の空間と、突起81が回転するために必要な空間とからなるものとして示されているが、凹部84はこのような形状に限定されるものではなく、他の形状であってもよい。また、ロック機構(図示せず)についても、上記の説明のような構成に限定されるものではなく、突起81と係合し、突起81を固定するような構成になっていれば他の構成でもよい。
また、凹部84に隣接して、凹部84内の突起81の移動を検知するセンサ85が設けられている。センサ85は例えば光学式センサである。
次に、図18を用いてカバー80の動作について説明する。図18は、カバー80が閉まっている状態を示す。
カバー80が閉まっている状態においては、角柱状の突起81は、突起81の長手方向が凹部84の底面と垂直になるように、凹部84の中に挿入されている。詳細には、突起81の切欠き91が設けられた側面とは反対側にある側面が凹部84内側の側面に接触し、突起81の底面が凹部84の底面に接している。この状態からカバー80を開ける場合には、先に説明したロック機構(図示せず)のロックを解除する。さらに、取手83を図中の図中矢印Aの方向に引く。取手83を引くことにより、取手83の動きに応じて、棒82はその中心軸を回転軸として図中の矢印Bの方向に回転する。棒82が回転することにより、棒82の端部に設けられた突起81が、棒82の中心軸を回転軸として図中矢印Cの方向に回転する。この際、凹部84の近傍に設けられたセンサ85は、凹部84内の突起81の回転移動を検知し、カバー80が開いていると主制御部17に通知する。通知を受けた主制御部17は、カバー80が開いていると判断し、保守用操作表示部26にカバー80が開いている旨の表示を行う。この表示については後で説明する。さらに、取手83によりカバー80を持ち上げ、カバー80を、カバー80の紙幣入出金機18と接続された端部を中心軸として図中矢印Dの方向に回転させ、カバー80を開く。そして、カバー80が開くことにより、カバー80の下方にある搬送路43の一部が露出される。なお、カバー80を再度閉める場合には、上記と逆の動作を行えばよい。この際、凹部84の近傍に設けられたセンサ85は、突起81が、図18で示されるように、突起81の長手方向が凹部84の底面と垂直になるように、凹部84の中に挿入されたことを検知し、カバー80が閉まっていることを主制御部17に通知する。通知を受けた主制御部17は、カバー80が閉まっていると判断し、保守用操作表示部26のカバー80が開いている旨の表示を停止する。
図19に、カバー80が開いている旨を示す表示の一例を示す。カバー80が開いていることをセンサ85が検知した場合には、カバー80の下方にある搬送路43の一部に対応する保守用操作表示部26の箇所を囲むような長方形状の枠で示される表示146を行う。また、カバー80が閉まったことをセンサ85が検知した場合には、表示146の表示を停止する。なお、本実施形態の表示の方法は、図19に示される表示に限定されるものではなく、保守員が、保守用操作表示部26を介して、カバー80が開いていること、閉まっていることを目視により確認できる表示であればよい。
図20に、第5の実施形態に係るカバー80の状態表示処理のフローを示す。カバー80の状態表示処理フローは、ステップS60において、主制御部17がセンサ85から突起81の移動を検知した通知を受けた場合に開始され、センサ85は、凹部84内の突起81の移動を検知した旨を主制御部17に通知する。このセンサ85からされる通知は、突起81が図18で示されるように凹部84に挿入され、カバー80が閉まっていることを示す通知、もしくは、突起81が図18で示されるように凹部84に挿入された状態から、突起81が凹部84内で移動し、カバー80が開いていることを示す通知のいずれかとなる。そして、ステップS61へ移行する。
ステップS61において、主制御部17は、センサ85からの通知に基づき、カバー80が開いているか否かを判断する。主制御部17が、カバー80が開いていると判断した場合には、ステップS62へ移行し、その他の場合にはステップS63へ移行する。
ステップS62において、主制御部17は、保守用操作表示部26にカバー80が開いている旨を表示し、ステップS60へ移行する。
ステップS63において、主制御部17は、保守用操作表示部26にカバー80が開いている旨が表示されていた場合には、この表示を停止し、ステップS60へ移行する。
この後は、センサ85が凹部84内の突起81の移動を検知した旨を主制御部17に通知したことをきっかけにして、ステップS60からステップS63までを繰り返す。
本実施形態によれば、完全に閉まっていることを目視にて確認することが難しいカバー80に、カバー80の開閉状態を検知するセンサ85を設ける。このセンサ85が、カバー80が開いていることを検知した場合には、主制御部17にその旨を通知し、その通知を受けた主制御部17は、保守用操作表示部26にカバー80が開いている旨の表示を行う。このように、保守用操作表示部26の表示を介して保守員にカバー80が開いている旨を知らしめることが可能になるため、保守員のカバー80の閉め忘れを減らし、効率よく保守作業等を行うことができる。
なお、これまで説明した第1から第5の実施形態では、紙幣に対する処理を行う紙幣処理装置1を例として説明したが、本実施形態は紙幣処理装置1に限定されるものではなく、媒体を処理する装置であれば、本実施形態を適用することができる。
以上、添付図面を参照しながら本発明の好適な実施形態について詳細に説明したが、本発明はかかる例に限定されない。本発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者であれば、特許請求の範囲に記載された技術的思想の範疇内において、各種の変更例または修正例に想到し得ることは明らかであり、これらについても、当然に本発明の技術的範囲に属するものと了解される。