JP6517106B2 - 分散液 - Google Patents
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Description
[1]屈折率が1.6以上である平均一次粒子径が30nm以下の金属酸化物粒子と分散媒とを含有し、水分含有量が1質量%未満であることを特徴とする分散液。
[2]保存期間19日以上である[1]に記載の分散液。
[3]さらに分散剤を含有していると共に、前記金属酸化物粒子が有機酸で被覆されており、かつシランカップリング剤で表面処理されている[1]又は[2]に記載の分散液。
[4]前記分散剤が、下記式(1):
で表される有機リン化合物又はその塩、及び
下記式(2):
で表される有機硫黄化合物又はその塩から選ばれる少なくとも1種である[1]〜[3]のいずれかに記載の分散液。
[5]前記有機酸が、(メタ)アクリル酸類、又は、エステル基、エーテル基、アミド基、チオエステル基、チオエーテル基、カーボネート基、ウレタン基、およびウレア基からなる群より選ばれる1以上の置換基を有するカルボン酸から選ばれる第1のカルボン酸化合物と、1つ以上のカルボン酸基を有する炭化水素類から選ばれる第2のカルボン酸化合物との組み合わせである[1]〜[4]のいずれかに記載の分散液。
[6]前記金属酸化物粒子を形成する金属が、Ti、Al、Zr、Zn、Sn、及びCeから選ばれる少なくとも1種である[1]〜[5]のいずれかに記載の分散液。
(1.1)金属
金属酸化物粒子を形成する金属としては、所定の屈折率を達成可能な限り特に限定されず、例えばTi、Al、Zr、In、Zn、Sn、La、Y、Ce、Mg、Ba、Ca等から適宜選択できる。より高屈折率の金属酸化物を提供できるという観点からはTi、Al、Zr、Zn、Sn及びCeよりなる群から選択される少なくとも1種(特にZr)が好ましい。金属酸化物としては、単一金属の酸化物であってもよいし、2種以上の酸化物の固溶体であってもよいし、或いは複合酸化物であってもよい。単一金属酸化物には、例えば、酸化アルミニウム(Al2O3)、酸化チタン(TiO2)、酸化ジルコニウム(ZrO2)、酸化インジウム(In2O3)、酸化亜鉛(ZnO)、酸化スズ(SnO2)、酸化ランタン(La2O3)、酸化イットリウム(Y2O3)、酸化セリウム(CeO2)、酸化マグネシウム(MgO)が含まれる。2種以上の酸化物の固溶体としては、ITO、ATO等が挙げられる。複合酸化物は、例えばチタン酸バリウム(BaTiO3)、灰チタン石(CaTiO3)、スピネル(MgAl2O4)等である。
前記金属酸化物粒子は、市販品や表面無修飾のものでもよく、また用途に応じて表面を修飾することも可能である。表面が修飾された金属酸化物粒子(以下、被覆型金属酸化物粒子と称する場合がある)を採用する場合には、公知の方法により市販の金属酸化物粒子に各種表面修飾剤により表面修飾をすることが可能である。また後述する水熱合成によって被覆型金属酸化物粒子を合成することも可能である。
(メタ)アクリル酸類(例えば、アクリル酸、メタクリル酸、3−アクリロイルオキシプロピオン酸等の(メタ)アクリロイルオキシC1-6アルキルカルボン酸等);
C3-9脂肪族ジカルボン酸の(メタ)アクリロイルオキシC1-6アルキルアルコールによるハーフエステル類(例えば、2−アクリロイルオキシエチルコハク酸、2−メタクリロイルオキシエチルコハク酸等)、C5-10脂環式ジカルボン酸の(メタ)アクリロイルオキシC1-6アルキルアルコールによるハーフエステル類(例えば、2−アクリロイルオキシエチルヘキサヒドロフタル酸、2−メタクリロイルオキシエチルヘキサヒドロフタル酸等)、C8-14芳香族ジカルボン酸の(メタ)アクリロイルオキシC1-6アルキルアルコールによるハーフエステル類(例えば、2−アクリロイルオキシエチルフタル酸、2−メタクリロイルオキシエチルフタル酸等)等のエステル基を有するカルボン酸;
酪酸、吉草酸、ヘキサン酸、ヘプタン酸、オクタン酸、ノナン酸、デカン酸、ドデカン酸、テトラデカン酸、ステアリン酸等の直鎖状カルボン酸;
ピバリン酸、2,2−ジメチル酪酸、3,3−ジメチル酪酸、2,2−ジメチル吉草酸、2,2−ジエチル酪酸、3,3−ジエチル酪酸、2−メチルヘキサン酸、2−エチルヘキサン酸、3−メチルヘキサン酸、3−エチルヘキサン酸、2−メチルヘプタン酸、4−メチルオクタン酸、ネオデカン酸等の分枝鎖状カルボン酸;
ナフテン酸、シクロヘキサンジカルボン酸等の環状カルボン酸;等が挙げられる。
[X−(CH2)m]4-n−Si−(OR)n
(式中、Xは官能基であり、Rはメチル基又はエチル基である。mは0〜4の整数、nは1〜3の整数を表す。)で表されるシランカップリング剤が挙げられる。
(2.1)非反応性分散媒
前記金属酸化物粒子を分散させるのに使用する分散媒は、分散液の用途に応じて適宜選択でき、例えば、溶媒などの非反応性分散媒、単量体などの反応性分散媒が使用できる。特に後述する分散剤を使用すると、単量体との相溶性が向上し、反応性分散媒を使用しても優れた分散性を示すことが可能となる。
反応性分散媒としては、単官能単量体、架橋性単量体のいずれもが使用できる。単官能単量体は、重合可能な炭素−炭素二重結合を1つだけ有しており、例えば、(メタ)アクリル酸エステル;スチレン、p−tert−ブチルスチレン、α−メチルスチレン、m−メチルスチレン、p−メチルスチレン、p−クロロスチレン、p−クロロメチルスチレン等のスチレン系単量体;(メタ)アクリル酸等のカルボキシ基含有単量体;ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート等の水酸基含有単量体等が挙げられる。上記の(メタ)アクリル酸エステルとしては、具体的には、例えば、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、n−プロピル(メタ)アクリレート、n−ブチル(メタ)アクリレート、イソブチル(メタ)アクリレート、tert−ブチル(メタ)アクリレート、2−エチルヘキシル(メタ)アクリレート、ラウリル(メタ)アクリレート等の(メタ)アクリル酸アルキルエステル;シクロヘキシル(メタ)アクリレート、イソボルニル(メタ)アクリレート等の(メタ)アクリル酸シクロアルキルエステル;ベンジル(メタ)アクリレート等の(メタ)アクリル酸アラルキル;グリシジル(メタ)アクリレート等のグリシジル基を有する(メタ)アクリル酸エステル等が挙げられ、メチル(メタ)アクリレートが特に好ましい。これら例示の単官能単量体は、単独で用いてもよく、また、二種類以上を適宜混合して用いてもよい。
以上の分散液は、所定の金属酸化物粒子を含有しているため種々の用途に好適に使用することができる。しかし、金属酸化物粒子の粒子径が小さくなると、保存期間中の粘度上昇という問題が生じる。そして分散媒中の水分が、粘度上昇の原因である事が判明した。そこで本発明では、分散液中の水分含有量を著しく低減することとした。分散液中の水分含有量は、1質量%未満、好ましくは0.9質量%以下、より好ましくは0.8質量%以下、更に好ましくは0.7質量%以下、より更に好ましくは0.6質量%以下、更に好ましくは0.5質量%以下、より好ましくは0.45質量%以下、特に好ましくは0.4質量%以下である。なお水分含有量は、例えば、0.1質量%以上、特に0.3質量%以上であってもよい。
前記分散液は、必要に応じて、分散剤を含有していてもよい。分散剤によって分散液の分散性を改善できる。分散剤としては、有機リン化合物、有機硫黄化合物などが使用でき、これらは単独でも組み合わせてもよい。
有機リン化合物は、例えば下記式(1)で表される。
有機リン化合物のオキソ酸部位(−P(=O)c(OH)b部位)はa〜cの値に応じて種々列挙でき、有機リン化合物として挙げれば、例えば、下記式:
中でも前記エーテル基としては、*−O−CnH2n-1(式中、nは1〜18の整数である)が好ましい。
−[CO−R3−COO]q−については下記式(a4):
−[R4−COO]r−については下記式(a5):
有機硫黄化合物は、例えば下記式(2)で表される。
中でもR5としては、炭素数1〜50の直鎖又は分岐のアルキル基、炭素数2〜50の直鎖又は分岐のアルケニル基、(メタ)アクリロイル基、もしくは炭素数6〜20の芳香族含有炭化水素基が好ましく、炭素数1〜30の直鎖又は分岐のアルキル基、炭素数2〜30の直鎖又は分岐のアルケニル基、もしくは炭素数6〜20の芳香族含有炭化水素基がより好ましく、炭素数1〜25の直鎖又は分岐のアルキル基、炭素数2〜25の直鎖又は分岐のアルケニル基、もしくは炭素数6〜10の芳香族含有炭化水素基が更に好ましい。特に好ましいR5は、ビニル基、プロペニル基(アリル基、1−メチルビニル基など)、ブテニル基(1−メチルアリル基、2−メチルアリル基など)、置換されていてもよいフェニル基であり、より好ましくはビニル基、プロペニル基、ブテニル基、下記式で例示される置換基である。
本発明の分散液には、さらに他に添加成分が配合されてもよい。かかる添加成分としては、例えば、界面活性剤、硬化剤、硬化促進剤、着色剤、内部離型剤、カップリング剤、反応性希釈剤、可塑剤、安定化剤、難燃助剤、架橋剤、低収縮剤、重合禁止剤、酸化防止剤、紫外線吸収剤、消泡剤、レベリング剤、揺変化剤、増粘剤等を挙げることができる。これらの添加成分は、被覆型金属酸化物粒子、有機リン化合物及び/又は有機硫黄化合物、及び分散媒の合計100質量部に対し、10質量部以下が好ましく、より好ましくは5質量部以下であり、更に好ましくは0〜3質量部である。
本発明の分散液は、上述した様に、前記金属酸化物及び分散媒を含有し、必要により分散剤やその他の成分を含有し、かつ水分量が1質量%未満に抑制されている。そのため保存中の粘度が上がりにくく、保存後も取り扱い性が低下するおそれがない。
上記分散液は樹脂を含有しないが、必要に応じて樹脂を含有させて樹脂組成物としてもよい。樹脂としては、例えば、6−ナイロン、66−ナイロン、12−ナイロンなどのポリアミド類;ポリイミド類;ポリウレタン類;ポリエチレン、ポロプロピレンなどのポリオレフィン類;PET、PBT、PENなどのポリエステル類;ポリ塩化ビニル類;ポリ塩化ビニリデン類;ポリ酢酸ビニル類;ポリスチレン類;(メタ)アクリル樹脂系ポリマー;ABS樹脂;フッ素樹脂;フェノール・ホルマリン樹脂、クレゾール・ホルマリン樹脂などのフェノール樹脂;エポキシ樹脂;尿素樹脂、メラミン樹脂、グアナミン樹脂などのアミノ樹脂などを挙げることができる。また、ポリビニルブチラール系樹脂、ポリウレタン系樹脂、エチレン−酢酸ビニル共重合体系樹脂、エチレン−(メタ)アクリル酸エステル共重合体系樹脂などの軟質樹脂や硬質樹脂、なども挙げられる。上記した中で、ポリイミド類、ポリウレタン類、ポリエステル類、(メタ)アクリル樹脂系ポリマー、フェノール樹脂、アミノ樹脂、エポキシ樹脂がより好ましい。これらは単独で用いてもよいし、2種以上を混合して用いてもよい。
本発明の分散液やそれを配合した樹脂組成物は、分散液の段階で保存時の粘度上昇が抑制されており、取り扱い性に優れる。そのためこれら分散液又は樹脂組成物は、成型体、硬化物などに代表される各種用途への展開が可能となる。高分散性を要する用途としては、例えば、レジスト用途、光学用途、塗布用途、接着用途が挙げられ、光学レンズ、光学フィルム用粘着剤、光学フィルム用接着剤、ナノインプリント用樹脂組成物、マイクロレンズアレイ、透明電極に使用する反射防止層、反射防止フィルムや反射防止剤、光学レンズの表面コート、有機EL光取り出し層、各種ハードコート材、TFT用平坦化膜、カラーフィルター用オーバーコート、反射防止フィルム等の各種保護膜および、光学フィルター、タッチセンサー用絶縁膜、TFT用絶縁膜、カラーフィルター用フォトスペーサー、タッチパネル用保護膜等の光学材料に好適に用いられる。特に本発明の分散液が含有する金属酸化物粒子は顕著な分散性に加え、高屈折率、高硬度、高安定性を有するため、光学レンズ、光学レンズの表面コート、各種ハードコート材、タッチセンサー用絶縁膜、TFT用絶縁膜、タッチパネル用保護膜に使用することが好ましい。
酸化ジルコニウム粒子の結晶構造は、X線回折装置(リガク社製、RINT−TTRIII)を用いて結晶構造を解析し、計算ソフト(リガク社製、PDXL)を用いて参照強度比法(RIP法)により正方晶、単斜晶の割合を定量した(ピークの帰属も計算ソフトの指定に従った)。また30°のピークの半値幅を元に、計算ソフト(リガク社製、PDXL)を用いて結晶子径を算出した。
測定条件は以下の通りである。
X線源:CuKα(0.154nm)
X線出力設定:50kV、300mA
サンプリング幅:0.0200°
スキャンスピード:10.0000°/min
測定範囲:10〜75°
測定温度:25℃
酸化ジルコニウム粒子の平均一次粒子径を、超高分解能電界放出型走査電子顕微鏡(日立ハイテクノロジーズ社製、S−4800)で観察することによって測定した。具体的には、倍率15万倍で被覆型酸化ジルコニウム粒子を観察し、任意の100個の粒子について、各粒子の長軸方向の長さを測定し、その算術平均値を平均一次粒子径とした。
TG−DTA(熱重量−示差熱分析)装置により、空気雰囲気下、室温から800℃まで10℃/分で被覆型酸化ジルコニウム粒子を昇温し、該粒子の質量減少率を測定した。この質量減少率により、金属酸化物粒子を被覆しているカルボキシレート化合物の割合、及び金属酸化物の割合を知ることができる。
被覆酸化ジルコニウム粒子を重クロロホルムに分散させて測定試料とし、Variann社製「Unity Plus」(共鳴周波数:400MHz、積算回数:16回)を用いて測定した。下記の化学シフト(テトラメチルシラン基準)のピークの積分比に基づき、各化合物のモル比を決定した。
i)2−エチルヘキサン酸(1.0−0.5ppm:6H)
ii)2−エチルヘキサン酸由来のカルボキシレート(1.0−0.5ppm:6H)
iii)2−アクリロイルオキシエチルサクシネート(6.7−5.7ppm:3H、4.5−4.0ppm:4H)
iv)3−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン(6.5−5.5ppm:2H、4.5−4.0ppm:2H、4.0−3.5ppm:9H、1.0−0.5ppm:2H)
蛍光X線分析装置(ZSX PrimusII リガク社製)を用いて、被覆型酸化ジルコニウム粒子中のZr含有量、Si含有量を測定した。
水分量は、カールフィッシャー水分測定装置(平沼産業社製;AQUACOUNTER(登録商標) AQ−2000、EVAPORATOR EV−2000)を用い、下記の条件で測定した。
試薬:HYDRANAL(登録商標) Coulomat AK、HYDRANAL(登録商標) Coulomat CG−K(Sigma−Aldrich社製)
雰囲気:窒素流量0.2L/分
試料:1g
温度:80℃
時間:30分
少量の試料を薄く広げ、80℃、30分の条件で加熱し、加熱前後の質量変化から不揮発分量を算出した。
分散液の粘度をBROOKFIELD社製のデジタル粘度計(型式LVDV−II+P CP)を用いて測定した。測定条件は以下の通りである。
スピンドル:CPE−40もしくはCPA−51Z
試料:1.7mL
回転数:5rpm
温度:20℃
時間:1分
1)被覆型ZrO 2 粒子1の製造
2−エチルヘキサン酸ジルコニウムミネラルスピリット溶液(782g、2−エチルヘキサン酸ジルコニウム含有率44質量%、第一希元素化学工業社製)に純水(268g)を混合した。得られた混合液を、攪拌機付きオートクレーブ内に仕込み、該オートクレーブ内の雰囲気を窒素ガスで置換した。その後、混合液を180℃まで加熱し、該温度で16時間保持(オートクレーブ内圧力は0.94MPa)して反応させ、酸化ジルコニウム粒子を生成した。続いて、反応後の混合液を取り出し、底部に溜まった沈殿物を濾別してアセトンで洗浄した後に、乾燥した。乾燥後の前記沈殿物(100g)をトルエン(800mL)に分散させたところ、白濁溶液となった。次に、精製工程として、定量濾紙(アドバンテック東洋社製、No.5C)にて再度濾過し、沈殿物中の粗大粒子などを除去した。さらに、濾液を減圧濃縮してトルエンを除去することで白色の酸化ジルコニウムナノ粒子(被覆型ZrO2粒子1)を回収した。
得られた被覆型ZrO2粒子1の結晶構造を確認したところ、正方晶と単斜晶に帰属される回折線が検出され、回折線の強度から、正方晶と単斜晶の割合は54/46で、その粒子径(結晶子径)は5nmであった。
上記で得られた被覆型ZrO2粒子1(10g)を、メチルイソブチルケトン(40g)に分散させて白濁スラリーを調製した。当該溶液に表面処理剤として3−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン(2.0g、信越化学工業社製、KBM−503)、水(0.9g)を添加し、80℃で1時間加熱還流することで透明分散溶液を得た。次いで、50℃まで降温し、その後2−アクリロイルオキシエチルサクシネート(1.8g)を添加して30分撹拌混合した。次いでn−ヘキサンを添加することで分散粒子を凝集させて溶液を白濁させた。白濁液から凝集粒子を濾紙により分離して、シランカップリング剤処理されたジルコニア粒子(被覆型ZrO2粒子2)を得た。
製造例1で得られた被覆型ZrO2粒子2を、不揮発分量(80℃、30分)が98.7%になるまで常温(約25℃)で減圧乾燥した。乾燥後の粒子を蛍光X線分析装置により分析し、Zr、Si含有量を測定した。その結果、3−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン量は被覆型酸化ジルコニウムに対し8質量%であることがわかった。また乾燥後の粒子を重クロロホルムに分散させて測定試料とし、1H−NMRによる分析を行なった。その結果、2−エチルヘキサン酸及び/又は2−エチルヘキサン酸由来のカルボキシレートと3−メタクリロキシプロピルトリメトキシシランと2−アクリロイルオキシエチルサクシネートの存在モル比率が27:35:38であることがわかった。また乾燥後の粒子を空気雰囲気下10℃/分の速度で800℃まで昇温して質量減少率を測定することで被覆物の量を定量した。この結果と、上記蛍光X線分析、1H−NMRによる分析結果から勘案して2−エチルヘキサン酸及び/又は2−エチルヘキサン酸由来のカルボキシレートと3−メタクリロキシプロピルトリメトキシシランと2−アクリロイルオキシエチルサクシネートは被覆型酸化ジルコニウム粒子全体(100質量%)の、それぞれ3質量%、8質量%、7質量%であることがわかった。
減圧乾燥の条件を変更する以外は実施例1と同様にして被覆型ZrO2粒子2を乾燥し、不揮発分量(80℃、30分)を99.1%にした。この乾燥粒子40.0gに、DISPERBYK−111 0.7gおよびメチルエチルケトン16.9gを投入した後、外観が均一になるまで十分撹拌することで、ジルコニアナノ粒子分散液2を得た。
実施例1と同様にして被覆型ZrO2粒子2を乾燥し、不揮発分量(80℃、30分)が98.7%の粒子を得た。この乾燥粒子50.0gに、ヘキサン0.9g、DISPERBYK−111 0.8gおよびメチルエチルケトン19.9gを投入した後、外観が均一になるまで十分撹拌することで、ジルコニアナノ粒子分散液3を得た。
減圧乾燥の条件を変更する以外は実施例1と同様にして被覆型ZrO2粒子2を乾燥し、不揮発分量(80℃、30分)を96.9%にした。この乾燥粒子152.7gに、DISPERBYK−111 2.5gおよびメチルエチルケトン59.6gを投入した後、外観が均一になるまで十分撹拌した。得られた分散液144.6gに、さらにヘキサン1.2gを投入し、水分量を調整した後、外観が均一になるまで十分撹拌し、ジルコニアナノ粒子分散液4を得た。
実施例1と同様にして被覆型ZrO2粒子2を乾燥し、不揮発分量(80℃、30分)が98.7%の粒子を得た。この乾燥粒子50.0gに対して、DISPERBYK−111 0.8g、メチルエチルケトン19.9g、及び所定量の水を投入し、外観が均一になるまで十分撹拌し、ジルコニアナノ粒子分散液5を得た。
実施例1と同様にして被覆型ZrO2粒子2を、不揮発分量(80℃、30分)が99.3%になるまで常温減圧乾燥した。この乾燥粒子70.0gに対して、下記表2に示す分散剤0.6gおよびメチルエチルケトン30.0gを投入した後、外観が均一になるまで十分撹拌することで、ジルコニアナノ粒子分散液を得た。この分散液の不揮発分は69.7質量%、水分は0.56質量%であった。
実施例1と同様にして被覆型ZrO2粒子2を、不揮発分量(80℃、30分)が99.3%になるまで常温減圧乾燥した。この乾燥粒子105gに対して、下記表4に示す分散剤2.1gおよびメチルエチルケトン45gを投入した後、外観が均一になるまで十分撹拌することで、ジルコニアナノ粒子分散液を得た。この分散液の水分含有量は表4に示す通りである。得られた分散液を密閉された容器内において温度40℃で保管し、粘度の経時変化を測定した。結果を表4に示す。表4より明らかな様に、水分量を1質量%未満にすると、分散剤の種類によらず、分散液保存中の粘度上昇を抑制できることが分かる。また水分量が少ない程、経時変化に伴う粘度上昇を抑えることが可能となる。
Claims (4)
- 屈折率が1.6以上である平均一次粒子径が30nm以下の金属酸化物粒子と分散媒とを含有し、水分含有量が0.8質量%以下であり、
さらに分散剤を含有しており、前記分散剤が、下記式(1):
Aは下記式(a1)で表される置換基、又は下記式(a1)で表される基と下記式(a2)で表される連結基の少なくとも1種とを含む置換基を表す。なおAが下記式(a2)で表される連結基を有する場合には、下記式(a2)は酸素原子側でリン原子と直接又は間接に結合する。
p、q、rはそれぞれ(a1)単位1モルに対する整数のモル比を表し、p+q+r=1〜200であり、pは200以下、qは200以下、rは200以下である。)]
で表される有機リン化合物又はその塩であることを特徴とする分散液。 - 前記金属酸化物粒子が有機酸で被覆されており、かつシランカップリング剤で表面処理されている請求項1に記載の分散液。
- 前記金属酸化物粒子が有機酸で被覆されており、前記有機酸が、(メタ)アクリル酸類、又は、エステル基、エーテル基、アミド基、チオエステル基、チオエーテル基、カーボネート基、ウレタン基、およびウレア基からなる群より選ばれる1以上の置換基を有するカルボン酸から選ばれる第1のカルボン酸化合物と、
1つ以上のカルボン酸基を有する炭化水素類から選ばれる第2のカルボン酸化合物との組み合わせである請求項1又は2に記載の分散液。 - 前記金属酸化物粒子を形成する金属が、Ti、Al、Zr、Zn、Sn、及びCeから選ばれる少なくとも1種である請求項1〜3のいずれかに記載の分散液。
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