JP6517106B2 - 分散液 - Google Patents

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Description

本発明は高屈折率粒子を含む分散液の粘度上昇抑制に関するものである。
金属酸化物粒子は、光学材料、電子部品材料等に様々な機能を発現できる可能性を有しており、各種機能性材料の分野で注目を集めている。しかしながら、金属酸化物は有機媒体中での保存安定性が低く、保存期間中に粘度が上昇する場合がある。特に金属酸化物粒子が小さいほど(例えば、粒径30nm以下)、粘度上昇の問題が顕著になる。
分散液の分散性を向上させるために分散剤やシランカップリング剤を使用する方法が知られている。例えば、特許文献1には、酸化ジルコニウムナノ粒子、分散剤(例えば、リン酸エステル系界面活性剤)、分散媒、及び最後にシランカップリング剤を分割供給して無機微粒子分散液を製造する方法が記載されている。また、特許文献2には、特定のシランカップリング剤で表面を修飾した無機酸化物を用い、リン酸エステル系界面活性剤を添加した無機酸化物分散液の製造方法が記載されている。しかし、これら分散剤やシランカップリング剤を用いる方法では、確かに分散性は改善され、その効果は分散液の透明性の向上に現れる。しかしながら、こうして分散性を改善しても、保存期間中の粘度が上昇する問題は解決できなかった。
特開2010−189506号公報 特開2010−195967号公報
本発明は上記の様な事情に着目してなされたものであって、その目的は、粒子径が30nm以下の微粒子を高屈折率の金属酸化物粒子として含む分散液であっても、その保存中の粘度上昇を抑制することにある。
本発明者らは、前記課題を解決するために鋭意研究を重ねた結果、高屈折率の金属酸化物粒子は、この酸素原子が分散液中のごく微量の水と相互作用するためか、分散液がごく微量の水を含有していると、保存中に粘度が上昇すること、そこで分散液中の水を著しく抑制したところ、保存中の粘度上昇を抑制できることを見出し、本発明を完成した。
すなわち、本発明に係る分散液は、以下の点に要旨を有する。
[1]屈折率が1.6以上である平均一次粒子径が30nm以下の金属酸化物粒子と分散媒とを含有し、水分含有量が1質量%未満であることを特徴とする分散液。
[2]保存期間19日以上である[1]に記載の分散液。
[3]さらに分散剤を含有していると共に、前記金属酸化物粒子が有機酸で被覆されており、かつシランカップリング剤で表面処理されている[1]又は[2]に記載の分散液。
[4]前記分散剤が、下記式(1):
[式中、a、bはそれぞれ独立して1又は2であり、a+bは3である。cは0又は1である。
Aは下記式(a1)で表される置換基、又は下記式(a1)で表される基と下記式(a2)で表される連結基の少なくとも1種とを含む置換基を表す。なおAが下記式(a2)で表される連結基を有する場合には、下記式(a2)は酸素原子側でリン原子と直接又は間接に結合する。
(式中、R1は、炭素数1〜50の飽和又は不飽和炭化水素基、(メタ)アクリロイル基、炭素数6〜100の芳香族含有炭化水素基を表し、tは0又は1である。)
(式中、R2、R3、R4は炭素数1〜18の2価の炭化水素基、又は炭素数6〜30の2価の芳香族含有炭化水素基であり、前記R2、R3、R4を構成する水素原子はエーテル基で置換されていてもよい。
p、q、rはそれぞれ(a1)単位1モルに対する整数のモル比を表し、p+q+r=1〜200であり、pは200以下、qは200以下、rは200以下である。)]
で表される有機リン化合物又はその塩、及び
下記式(2):
[式中、Bは下記式(b1)で表される置換基、又は下記式(b1)で表される基と下記式(b2)で表される連結基の少なくとも1種とを含む置換基を表す。なおBが下記式(b2)で表される連結基を有する場合には、下記式(b2)は酸素原子側で硫黄原子と直接又は間接に結合する。
(式中、R5は、炭素数1〜50の飽和又は不飽和炭化水素基、(メタ)アクリロイル基、炭素数6〜100の芳香族含有炭化水素基を表し、tは0又は1である。)
(式中、R6、R7、R8は炭素数1〜18の2価の炭化水素基、又は炭素数6〜30の2価の芳香族含有炭化水素基であり、前記R6、R7、R8を構成する水素原子はエーテル基で置換されていてもよい。
p、q、rはそれぞれ(b1)単位1モルに対する整数のモル比を表し、p+q+r=1〜200であり、pは200以下、qは200以下、rは200以下である。)]
で表される有機硫黄化合物又はその塩から選ばれる少なくとも1種である[1]〜[3]のいずれかに記載の分散液。
[5]前記有機酸が、(メタ)アクリル酸類、又は、エステル基、エーテル基、アミド基、チオエステル基、チオエーテル基、カーボネート基、ウレタン基、およびウレア基からなる群より選ばれる1以上の置換基を有するカルボン酸から選ばれる第1のカルボン酸化合物と、1つ以上のカルボン酸基を有する炭化水素類から選ばれる第2のカルボン酸化合物との組み合わせである[1]〜[4]のいずれかに記載の分散液。
[6]前記金属酸化物粒子を形成する金属が、Ti、Al、Zr、Zn、Sn、及びCeから選ばれる少なくとも1種である[1]〜[5]のいずれかに記載の分散液。
本発明によれば、粒子径が30nm以下の微粒子を高屈折率の金属酸化物粒子として含む分散液であっても、水分量が1質量%未満に抑制されているため、その保存中の粘度上昇を抑制することができる。
図1は実施例5〜12における分散液の保管日数と粘度との関係を示すグラフである。
本発明は、屈折率が1.6以上の金属酸化物粒子と分散媒とを含有する分散液の改良技術に関する。所定の金属酸化物粒子を有するため、光学材料、電子部品材料等に様々な機能を発現できる可能性を有しており、各種機能性材料の分野で応用できる。
(1)金属酸化物粒子
(1.1)金属
金属酸化物粒子を形成する金属としては、所定の屈折率を達成可能な限り特に限定されず、例えばTi、Al、Zr、In、Zn、Sn、La、Y、Ce、Mg、Ba、Ca等から適宜選択できる。より高屈折率の金属酸化物を提供できるという観点からはTi、Al、Zr、Zn、Sn及びCeよりなる群から選択される少なくとも1種(特にZr)が好ましい。金属酸化物としては、単一金属の酸化物であってもよいし、2種以上の酸化物の固溶体であってもよいし、或いは複合酸化物であってもよい。単一金属酸化物には、例えば、酸化アルミニウム(Al23)、酸化チタン(TiO2)、酸化ジルコニウム(ZrO2)、酸化インジウム(In23)、酸化亜鉛(ZnO)、酸化スズ(SnO2)、酸化ランタン(La23)、酸化イットリウム(Y23)、酸化セリウム(CeO2)、酸化マグネシウム(MgO)が含まれる。2種以上の酸化物の固溶体としては、ITO、ATO等が挙げられる。複合酸化物は、例えばチタン酸バリウム(BaTiO3)、灰チタン石(CaTiO3)、スピネル(MgAl24)等である。
X線回折解析により算出される金属酸化物粒子の結晶子径は、20nm以下であることが好ましい。このようにすることによって、該金属酸化物粒子を含有する組成物の透明率を向上できる。該結晶子径は、より好ましくは15nm以下であり、さらに好ましくは10nm以下である。該結晶子径の下限は、通常1nm程度である。
また、金属酸化物粒子の結晶構造としては、例えば立方晶、正方晶、単斜晶などが挙げられる。特に結晶構造全体の50%以上が正方晶であることが好ましい。正方晶の割合が多いほど屈折率を向上できるため好ましい。単斜晶に対する正方晶の割合(正方晶/単斜晶)は、例えば、0.8以上であり、好ましくは1.0以上であり、より好ましくは1.1以上である。また正方晶単独とすることも可能である。
金属酸化物粒子の形状としては球状、粒状、楕円球状、立方体状、直方体状、ピラミッド状、針状、柱状、棒状、筒状、りん片状、板状、薄片状等が挙げられる。溶媒への分散性等を考慮すると、前記形状としては、球状、粒状、柱状等が好ましい。
(1.2)表面修飾
前記金属酸化物粒子は、市販品や表面無修飾のものでもよく、また用途に応じて表面を修飾することも可能である。表面が修飾された金属酸化物粒子(以下、被覆型金属酸化物粒子と称する場合がある)を採用する場合には、公知の方法により市販の金属酸化物粒子に各種表面修飾剤により表面修飾をすることが可能である。また後述する水熱合成によって被覆型金属酸化物粒子を合成することも可能である。
市販の被覆型金属酸化物粒子を用い、各種表面修飾剤により表面修飾を行う場合には、界面活性剤、チタンカップリング剤、有機酸、シランカップリング剤が好ましく採用され、これらは1種または2種以上を組み合わせてもよい。表面修飾剤に有機酸を採用する場合には後述の有機酸が好ましく採用される。有機酸はその一部が分散液中の成分を構成してもよく、好適な実施態様の一つである。また、シランカップリング剤も好適な実施態様の一つであり、後に詳細に説明する。
界面活性剤としては、陰イオン系界面活性剤、陽イオン系界面活性剤、両性イオン系界面活性剤等のイオン性界面活性剤、あるいは非イオン系界面活性剤が好適に用いられ、陰イオン系界面活性剤としては、例えば、オレイン酸ナトリウム、ステアリン酸ナトリウム、ラウリン酸ナトリウム等の脂肪酸ナトリウム、脂肪酸カリウム、脂肪酸エステルスルフォン酸ナトリウム等の脂肪酸系、アルキルリン酸エステルナトリウム等のリン酸系、アルファオレフィンスルフォン酸ナトリウム等のオレフィン系、アルキル硫酸ナトリウム等のアルコール系、アルキルベンゼン系等が、陽イオン系界面活性剤としては、例えば、塩化アルキルメチルアンモニウム、塩化アルキルジメチルアンモニウム、塩化アルキルトリメチルアンモニウム、塩化アルキルジメチルベンジルアンモニウム等が、両性イオン界面活性剤としては、例えば、アルキルアミノカルボン酸塩等のカルボン酸系、フォスフォベタイン等のリン酸エステル系が、非イオン系界面活性剤としては、例えば、ポリオキシエチレンラウリン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル等の脂肪酸系、ポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテル、脂肪酸アルカノールアミド等が挙げられる。
チタンカップリング剤としては、例えば、イソプロピルトリイソステアロイルチタネート、イソプロピルジメタクリルイソステアロイルチタネート、イソプロピルトリ(ドデシル)ベンゼンスルホニルチタネート、ネオペンチル(ジアリル)オキシ−トリ(ジオクチル)ホスフェイトチタネート、ネオペンチル(ジアリル)オキシ−トリネオドデカノイルチタネート等が挙げられる。
有機酸による表面修飾(被覆)は、金属酸化物粒子の分散性を高めることができ、好ましい実施態様の一つである。有機酸としては、カルボン酸基を有するカルボン酸化合物が好ましく用いられる。カルボン酸化合物は金属酸化物粒子に化学結合するか、或いは水素原子やカチオン性原子と共にカルボン酸やその塩を形成して金属酸化物粒子に付着するため、本発明において「被覆」とは、カルボン酸化合物が金属酸化物に化学的に結合した状態、カルボン酸化合物が金属酸化物に物理的に付着した状態の両方を包含する。
前記カルボン酸化合物としては、(a)(メタ)アクリル酸類、(b)エステル基、エーテル基、アミド基、チオエステル基、チオエーテル基、カーボネート基、ウレタン基、およびウレア基からなる群より選ばれる1以上の置換基(以下、特定置換基と称する場合がある)を有するカルボン酸、(c)炭素数4〜20の直鎖状カルボン酸(直鎖状脂肪族カルボン酸、好ましくは直鎖状飽和脂肪族カルボン酸等)、分枝鎖状カルボン酸(分岐鎖状脂肪族カルボン酸、好ましくは分岐鎖状飽和脂肪族カルボン酸等)、環状カルボン酸(脂環式カルボン酸、好ましくは不飽和二重結合を有さない脂環式カルボン酸等)、又は芳香族カルボン酸等の1つ以上(好ましくは1つ)のカルボン酸基を有する炭化水素類が挙げられ、これらは単独で採用してもよく、2種以上を組み合わせて採用してもよい。
このようなカルボン酸化合物のうち好適な化合物を具体的に例示すると、
(メタ)アクリル酸類(例えば、アクリル酸、メタクリル酸、3−アクリロイルオキシプロピオン酸等の(メタ)アクリロイルオキシC1-6アルキルカルボン酸等);
3-9脂肪族ジカルボン酸の(メタ)アクリロイルオキシC1-6アルキルアルコールによるハーフエステル類(例えば、2−アクリロイルオキシエチルコハク酸、2−メタクリロイルオキシエチルコハク酸等)、C5-10脂環式ジカルボン酸の(メタ)アクリロイルオキシC1-6アルキルアルコールによるハーフエステル類(例えば、2−アクリロイルオキシエチルヘキサヒドロフタル酸、2−メタクリロイルオキシエチルヘキサヒドロフタル酸等)、C8-14芳香族ジカルボン酸の(メタ)アクリロイルオキシC1-6アルキルアルコールによるハーフエステル類(例えば、2−アクリロイルオキシエチルフタル酸、2−メタクリロイルオキシエチルフタル酸等)等のエステル基を有するカルボン酸;
酪酸、吉草酸、ヘキサン酸、ヘプタン酸、オクタン酸、ノナン酸、デカン酸、ドデカン酸、テトラデカン酸、ステアリン酸等の直鎖状カルボン酸;
ピバリン酸、2,2−ジメチル酪酸、3,3−ジメチル酪酸、2,2−ジメチル吉草酸、2,2−ジエチル酪酸、3,3−ジエチル酪酸、2−メチルヘキサン酸、2−エチルヘキサン酸、3−メチルヘキサン酸、3−エチルヘキサン酸、2−メチルヘプタン酸、4−メチルオクタン酸、ネオデカン酸等の分枝鎖状カルボン酸;
ナフテン酸、シクロヘキサンジカルボン酸等の環状カルボン酸;等が挙げられる。
中でも、前記カルボン酸化合物としては、少なくとも、(a)(メタ)アクリル酸類、又は(b)特定置換基を有するカルボン酸を用いることが好ましい(以下、(メタ)アクリル酸類、及び特定置換基を有するカルボン酸を総称して「第1のカルボン酸化合物」と称する場合がある)。
本発明では、有機酸としてカルボン酸化合物を2種以上用いることがより好ましい態様である。特に、前述した第1のカルボン酸化合物に加え、前述した(c)1つ以上のカルボン酸基を有する炭化水素類(以下、「第2のカルボン酸化合物」と称する場合がある)を併用することが好ましい。すなわち、金属酸化物粒子が、第1のカルボン酸化合物と、第2のカルボン酸化合物の両方が含まれ、好ましくは金属酸化物粒子を被覆していることが最良の実施態様である。
金属酸化物粒子および有機酸で被覆された金属酸化物粒子の製造方法については後述するが、ここでも簡単に説明する。有機酸被覆金属酸化物粒子を製造するには、金属酸化物粒子の分散液に各カルボン酸化合物を添加してもよいが、好ましくは第1のカルボン酸化合物で被覆する前に、第2のカルボン酸化合物で金属酸化物粒子を被覆しておき、次いで第1のカルボン酸化合物と反応させる。この方法では、第2のカルボン酸化合物の一部が前記第1のカルボン酸化合物に置換されるため、第1及び第2のカルボン酸化合物で被覆された金属酸化物粒子が得られる。このような方法で得られた被覆型金属酸化物粒子は、各種媒体への分散性が極めて良好なものとなり、様々な用途への応用が可能となる。特にレジストに代表される精密微細構造を形成する用途には際立って有用であり、分散ムラや現像残渣の改善が可能となる等の効果が期待できる。
第1のカルボン酸化合物は、(メタ)アクリル酸であるか、又は特定置換基を1種以上有していればよく、同種もしくは異種の特定置換基を複数有してもよく、さらに特定置換基以外の置換基を有してもよい。特定置換基は、エステル基、エーテル基、アミド基が入手性の観点から好ましく、更に好ましくはエステル基、エーテル基である。1分子中に特定置換基は1つ以上有していればよく、上限は特に限定されないが、被覆型金属酸化物粒子製造の際のハンドリングから20個以下が好ましい。より好ましくは10個以下、更に好ましくは5個以下である。
第1のカルボン酸化合物は市販品を用いてもよいし、公知の合成方法により合成することも可能である。たとえば、各種アルコール化合物と二塩基酸又は酸無水物の反応によりエステル化合物(ハーフエステル化合物等)を得る方法、エポキシ化合物又はグリジシル化合物と二塩基酸の反応によりエステル化合物(ハーフエステル化合物等)を得る方法、アミン化合物と二塩基酸又は酸無水物の反応によりアミド化合物を得る方法、チオール化合物と二塩基酸又は酸無水物の反応によりチオエステル化合物を得る方法等が代表的に例示できる。
第1のカルボン酸化合物のカルボン酸基のα炭素は2級炭素、3級炭素、4級炭素、又は芳香族炭素の何れであってもよい。また第1のカルボン酸化合物のカルボン酸基は1つでも複数でもよいが、被覆型金属酸化物粒子製造の際に粒子間架橋が起こるのを回避するためには、3つ以下が好ましく、2つがより好ましく、1つであることが最も好ましい。
このような第1のカルボン酸化合物と第2のカルボン酸化合物との交換容易性の観点から、第1のカルボン酸化合物のpKa(pKa1)と第2のカルボン酸化合物のpKa(pKa2)との差(pKa1−pKa2)は、好ましくは−0.1以下、より好ましくは−0.2以下、更に好ましくは−0.3以下である。第1のカルボン酸化合物のpKaは、具体的には、4.8以下が好ましく、4.7以下がより好ましく、更に好ましくは4.6以下である。第1のカルボン酸化合物のpKaの下限は特に限定されないが、例えば、2.0程度、特に3.0程度であってもよい。また第2のカルボン酸化合物のpKaは、例えば、4.0〜6.0程度、好ましくは4.2〜5.5程度、さらに好ましくは4.5〜5.0程度である。カルボン酸化合物のpKaは計算化学ソフトACD/pKa version10.01(Advanced Chemistry Development,Inc.社製)により算出される値を採用できる。
またカルボン酸化合物は重合性二重結合(特に重合性炭素−炭素二重結合)を有することが好ましい。金属酸化物粒子が有機酸で被覆されている場合には金属酸化物粒子表面に重合性二重結合を有することにより、他の配合成分と共重合が可能となるため硬化時の凝集やブリードアウトといった問題を生じることなく、硬化物においても良好な分散状態を維持することが可能である。なお、重合性二重結合は第1のカルボン酸化合物で有してもよく、第2のカルボン酸化合物で有してもよい。第1のカルボン酸化合物と第2のカルボン酸化合物の両方が重合性二重結合を有してもよいが、好ましくは第1のカルボン酸化合物が重合性二重結合を有し、第2のカルボン酸化合物が重合性二重結合を有さない態様である。また第1又は第2のカルボン酸化合物を2種以上用いる場合には、それらのうち少なくとも1種で重合性二重結合を有すればよい。
中でも、第1のカルボン酸化合物としては、アクリル酸、2−アクリロイルオキシエチルコハク酸、2−アクリロイルオキシエチルヘキサヒドロフタル酸、2−アクリロイルオキシエチルフタル酸が好ましく用いられ、特に好ましくは2−アクリロイルオキシエチルコハク酸である。また、第2のカルボン酸化合物としては、分枝鎖状カルボン酸が好適であり、特に2−メチルヘキサン酸、2−エチルヘキサン酸、3−メチルヘキサン酸、3−エチルヘキサン酸が好ましく用いられる。分枝鎖状カルボン酸とすることによって、金属酸化物粒子の凝集を効率的に抑制することが可能となる。
前記第1のカルボン酸化合物は1種のみを用いてもよいし、2種以上を組み合わせて用いてもよい。第1のカルボン酸化合物の割合は、金属酸化物粒子100質量部に対して、第1のカルボン酸化合物が0.1質量部以上であることが好ましい。このようにすることによって、製造時又は製品中での金属酸化物粒子の溶媒等への分散性を向上できる。第1のカルボン酸化合物の量は、より好ましくは0.5質量部以上であり、さらに好ましくは2質量部以上であり、特に好ましくは5質量部以上である。添加量が多いと、単位体積当たりに含有される金属酸化物粒子の量が少なくなるため、好ましくない。そこで第1のカルボン酸化合物の量は、通常30質量部以下であり、好ましくは25質量部以下であり、より好ましくは20質量部以下、特に好ましくは10質量部以下である。
前記第2のカルボン酸化合物は1種のみを用いてもよいし、2種以上を組み合わせて用いてもよい。金属酸化物粒子と第2のカルボン酸化合物の割合は、金属酸化物粒子100質量部に対して、第2のカルボン酸化合物が0.1質量部以上であることが好ましい。このようにすることによって、製造時又は製品中での金属酸化物粒子の溶媒等への分散性を向上できる。第2のカルボン酸化合物の量は、より好ましくは0.5質量部以上であり、さらに好ましくは2質量部以上である。添加量が多いと、単位体積当たりに含有される金属酸化物粒子の量が少なくなるため、好ましくない。そこで第2のカルボン酸化合物の量は、通常30質量部以下であり、好ましくは20質量部以下であり、より好ましくは10質量部以下であり、特に好ましくは5質量部以下である。
金属酸化物粒子に、第1のカルボン酸化合物と、第2のカルボン酸化合物の両方を添加するとき、第1のカルボン酸化合物と第2のカルボン酸化合物の添加量の質量比は、第1のカルボン酸化合物/第2のカルボン酸化合物として、1/99〜99/1が好ましく、より好ましくは50/50〜99/1、さらに好ましくは60/40〜97/3、特に好ましくは65/35〜90/10であってもよい。このような範囲に添加量を調整することにより、親水性・疎水性等多種の媒体との親和性が向上し、分散性が向上する。
またカルボン酸化合物の添加量は、添加後の金属酸化物粒子組成物100質量部に対して、0.2質量部以上であることが好ましく、より好ましくは1質量部以上であり、さらに好ましくは2質量部以上であり、また40質量部以下であることが好ましく、より好ましくは35質量部以下であり、さらに好ましくは30質量部以下である。さらには、好ましくは5質量部以上、より好ましくは7質量部以上、特に好ましくは10質量部以上であってもよい。なお、金属酸化物粒子に、第1のカルボン酸化合物と第2のカルボン酸化合物の両方を添加するときは、カルボン酸化合物の添加量は、前記第1のカルボン酸化合物と第2のカルボン酸化合物の合計添加量として読み替えるものとする。
第1のカルボン酸化合物及び第2のカルボン酸化合物で被覆された金属酸化物粒子は、例えば、まず初めに第2のカルボン酸化合物と金属成分を含む化合物との混合物を、水の存在下、水熱合成して第2のカルボン酸化合物で被覆された金属酸化物粒子(第1粒子)を調製し、次いでこの第1粒子の表面を被覆する第2のカルボン酸化合物を、第1のカルボン酸化合物で置換することで製造できる。
金属成分を含む化合物としては、例えば各種金属の水酸化物、塩化物、オキシ塩化物、硫酸塩、酢酸塩、有機酸塩、アルコキシド等が含まれ、さらには各種金属と第2のカルボン酸化合物の塩であってもよい。例えば金属がジルコニウムの例では、水酸化ジルコニウム、塩化ジルコニウム、オキシ塩化ジルコニル、オキシ酢酸ジルコニル、オキシ硝酸ジルコニル、硫酸ジルコニウム、オクタン酸ジルコニウム、2−エチルヘキサン酸ジルコニウム、オレイン酸酸化ジルコニウム、酢酸ジルコニウム、ステアリン酸酸化ジルコニウム、ラウリン酸酸化ジルコニウム、テトラブトキシジルコニウム等のジルコニウムアルコキサイド等が挙げられる。また、チタンでの例では、水酸化チタン、塩化チタン、オキシ塩化チタン、オキシ酢酸チタン、オキシ硝酸チタン、硫酸チタン、オクタン酸チタン、オレイン酸酸化チタン、酢酸チタン、ステアリン酸酸化チタン、ラウリン酸酸化チタン、テトラブトキシチタン(例えば、テトラ−n−ブトキシチタン)等のチタンアルコキシド等を用いる場合に好適な方法である。
水熱反応は、2MPaG以下の圧力で行うのが好ましい。2MPaG以上でも反応は進行するが、反応装置が高価になるため工業的には好ましくない。一方、圧力が低すぎると反応の進行が遅くなり、また長時間の反応により前記ナノ粒子の粒径が大きくなったり、金属酸化物が複数の結晶系を持ったりすることがある為、0.1MPaG以上の圧力下で行うのが好ましく、0.2MPaG以上で行うのがより好ましい。
反応温度は反応容器内の圧力が適正な範囲に保たれるように調整するのが好ましいが、前記組成物中に含まれる水の飽和蒸気圧を考慮すると、200℃以下で行うのが好ましく、180℃以下がより好ましい。反応温度が低いと反応に長時間を要することがあるので、100℃以上が好ましく、120℃以上がより好ましい。
前記水熱反応で得られた被覆型金属酸化物粒子(第1粒子)の第2のカルボン酸化合物を第1のカルボン酸化合物で置換することによって、第1及び第2のカルボン酸化合物で被覆された被覆型金属酸化物粒子が得られる。置換は、第1粒子と第1のカルボン酸化合物とを溶媒中で撹拌することで可能になる。
溶媒は前記水熱反応時の溶媒をそのまま用いても良く、他の溶媒を用いてもよい。溶媒としては例えば、メタノール、エタノール、n−プロパノール、イソプロパノール、エチレングリコール等のアルコール類;メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、シクロヘキサノン等のケトン類;酢酸エチル、酢酸プロピル、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、3−メトキシプロピオン酸メチル等のエステル類;エチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノブチルエーテル等のエーテル類;プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート等の変性エーテル類(好ましくはエーテル変性及び/又はエステル変性エーテル類、さらに好ましくはエーテル変性及び/又はエステル変性アルキレングリコール類);ベンゼン、トルエン、キシレン、エチルベンゼン、トリメチルベンゼン、ヘキサン、シクロヘキサン、メチルシクロヘキサン、エチルシクロヘキサン、ミネラルスピリット等の炭化水素類;ジクロロメタン、クロロホルム等のハロゲン化炭化水素類;ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド、N−メチルピロリドン等のアミド類;水;鉱物油、植物油、ワックス油、シリコーン油等の油類を挙げることができる。通常、水の存在下で置換反応をすることが好ましい。置換反応が効率的に進行するためである。
置換反応での撹拌温度は0〜100℃が好ましく、より好ましくは10〜70℃、更に好ましくは20〜50℃であり、混合液中の被覆型金属酸化物粒子の濃度は5〜80質量%が好ましく、より好ましくは10〜60質量%である。反応時間は10分〜5時間が好ましく、より好ましくは20分〜2時間である。
金属酸化物粒子をシランカップリング剤で表面処理すると、初期透過率を改善でき、また透過率の維持期間を長くできる。そのため、本発明では、金属酸化物粒子が、シランカップリング剤で表面処理されていることが好ましい態様である。シランカップリング剤としては、加水分解性基−Si−OR(なお、Rはメチル基又はエチル基)を有する化合物が好ましい。このようなシランカップリング剤としては、官能基を有するシランカップリング剤や、アルコキシシラン等が例示できる。
官能基を有するシランカップリング剤としては、下記式:
[X−(CH2m4-n−Si−(OR)n
(式中、Xは官能基であり、Rはメチル基又はエチル基である。mは0〜4の整数、nは1〜3の整数を表す。)で表されるシランカップリング剤が挙げられる。
Xとしては、ビニル基、アミノ基、(メタ)アクリロキシ基、メルカプト基、グリシドキシ基等が挙げられる。シランカップリング剤を具体的に例示すると、例えば、ビニルトリメトキシシラン、ビニルトリエトキシシラン等の官能基Xがビニル基であるシランカップリング剤;3−アミノプロピルトリメトキシシラン、3−アミノプロピルトリエトキシシラン、N−2−(アミノエチル)−3−アミノプロピルメチルジメトキシシラン、N−2−(アミノエチル)−3−アミノプロピルメチルトリメトキシシラン等の官能基Xがアミノ基であるシランカップリング剤;3−アクリロキシプロピルトリメトキシシラン、3−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン、3−メタクリロキシプロピルトリエトキシシラン、3−メタクリロキシプロピルメチルジメトキシシラン、3−メタクリロキシプロピルメチルジエトキシシラン等の官能基Xが(メタ)アクリロキシ基であるシランカップリング剤;3−メルカプトプロピルトリメトキシシラン、3−メルカプトプロピルトリエトキシシラン等の官能基Xがメルカプト基であるシランカップリング剤;2−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシラン、3−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、3−グリシドキシプロピルトリエトキシシラン、3−グリシドキシプロピルメチルジメトキシシラン、3−グリシドキシプロピルメチルジエトキシシラン等の官能基Xがグリシドキシ基であるシランカップリング剤;等が挙げられる。
また、アルコキシシランとしては、例えば、メチルトリメトキシシラン、ジメチルジメトキシシラン、トリメチルメトキシシラン、プロピルトリメトキシシラン、ブチルトリエトキシシラン、ヘキシルトリメトキシシラン、ヘキシルトリエトキシシラン、オクチルトリエトキシシラン、デシルトリメトキシシラン等のアルキル基がアルコキシシランのケイ素原子に直接結合しているアルキル基含有アルコキシシラン;フェニルトリメトキシシラン、ジフェニルジメトキシシラン、p−スチリルトリメトキシシラン等の芳香環がアルコキシシランのケイ素原子に直接結合しているアリール基含有アルコキシシラン;等が挙げられる。
シランカップリング剤としては、中でも官能基Xが(メタ)アクリロキシ基であるシランカップリング剤及びアルキル基含有アルコキシシランが好ましく、特に好ましくは、3−アクリロキシプロピルトリメトキシシラン、3−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン、ヘキシルトリメトキシシラン、オクチルトリエトキシシラン、デシルトリメトキシシランである。
前記シランカップリング剤は、1種のみを用いてもよいし、2種以上を組み合わせて用いてもよい。シランカップリング剤の量(被覆量)は、金属酸化物粒子全体100質量部に対して、0.1質量部以上が好ましく、より好ましくは0.5質量部以上であり、更に好ましくは2質量部以上であり、より好ましくは4質量部以上である。なおシランカップリング剤の量が多いと、コスト上昇とともに、金属酸化物が酸化ジルコニウムの場合、金属酸化物粒子の屈折率を下げてしまうため、シランカップリング剤の量は、金属酸化物粒子100質量部に対して、通常30質量部以下であり、より好ましくは20質量部以下であり、更に好ましくは15質量部以下であり、より好ましくは12質量部以下である。
前記金属酸化物粒子は、有機酸(特に第1及び第2のカルボン酸化合物)で被覆されており、かつシランカップリング剤で表面処理されている態様が最も好ましい。シランカップリング剤/有機酸(2種以上の有機酸で被覆するときは、その合計量)は、0.1〜2.0が好ましく、より好ましくは0.2〜1.5であり、更に好ましくは0.3〜0.95である。シランカップリング剤の量が前記範囲内であれば、金属酸化物粒子の分散性向上効果が十分に発揮される。
また、金属酸化物粒子を、有機酸とシランカップリング剤の両方で被覆するとき、シランカップリング剤による被覆を実施するタイミングは特に限定されるものではないが、例えば前記水熱反応で得られた第1のカルボン酸化合物で被覆された金属酸化物粒子(第1粒子)と、シランカップリング剤とを混合し、得られた混合物を65〜100℃の条件で0.5〜2時間程度反応させて得られた分散液を、第2のカルボン酸化合物と混合して置換工程を行うのが好ましい。
金属酸化物粒子の屈折率は、1.6以上であり、好ましくは1.7以上であり、より好ましくは1.8以上である。また屈折率は、2.4以下であってもよく、2.0以下であってもよい。
また金属酸化物粒子の平均一次粒子径は、30nm以下、好ましくは25nm以下、より好ましくは20nm以下である。平均一次粒子径が小さい金属酸化物粒子は、一般的には保存期間中に粘度が上昇するという問題が顕著であるが、本発明によれば平均一次粒子径が小さくても、保存期間中の粘度上昇を抑制できる。なお前記平均一次粒子径は、例えば、1nm以上、あるいは5nm以上、特に10nm以上であってもよい。
前記平均粒子径は、透過型電子顕微鏡(TEM)、電界放射型透過電子顕微鏡(FE−TEM)、電界放射型走査電子顕微鏡(FE−SEM)等で金属酸化物粒子を拡大観察し、無作為に100個の粒子を選択してその長軸方向の長さを測定し、その算術平均を求めることで決定できる。
また金属酸化物粒子は、水熱合成などの粒子合成反応に起因する揮発成分(水、溶媒など)が低減されていること、換言すれば不揮発成分の割合が高められていることが好ましい。後述するように本発明では分散液中の水分量を抑制することが重要であり、金属酸化物粒子の不揮発成分の割合を高めれば、分散液中の水分量を抑制することが容易になる。
不揮発成分量は、金属酸化物粒子100質量部に対して、例えば、95質量%以上、好ましくは97質量%以上、より好ましくは98質量%以上、特に好ましくは99質量%以上であり、100質量%でもよい。
分散液中の金属酸化物粒子の濃度は、例えば、20質量%以上、好ましくは40質量%以上、より好ましくは60質量%以上であり、例えば、90質量%以下、好ましくは85質量%以下、より好ましくは80質量%以下である。
(2)分散媒
(2.1)非反応性分散媒
前記金属酸化物粒子を分散させるのに使用する分散媒は、分散液の用途に応じて適宜選択でき、例えば、溶媒などの非反応性分散媒、単量体などの反応性分散媒が使用できる。特に後述する分散剤を使用すると、単量体との相溶性が向上し、反応性分散媒を使用しても優れた分散性を示すことが可能となる。
非反応性分散媒としては、例えば、メタノール、エタノール、n−プロパノール、イソプロパノール、エチレングリコール等のアルコール類;メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、シクロヘキサノン等のケトン類;酢酸エチル、酢酸プロピル、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート等のエステル類;エチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノブチルエーテル等のエーテル類;プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、3−メトキシプロピオン酸メチル等の変性エーテル類(好ましくはエーテル変性及び/又はエステル変性エーテル類、さらに好ましくはエーテル変性及び/又はエステル変性アルキレングリコール類);ベンゼン、トルエン、キシレン、エチルベンゼン、トリメチルベンゼン、ヘキサン、シクロヘキサン、メチルシクロヘキサン、エチルシクロヘキサン、ミネラルスピリット等の炭化水素類;ジクロロメタン、クロロホルム等のハロゲン化炭化水素類;ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド、N−メチルピロリドン等のアミド類;鉱物油、植物油、ワックス油、シリコーン油等の油類等から選ぶことができる。これら非反応性分散媒は、1種を選択して使用することもできるし、2種以上を選択し混合して用いることもできる。取扱性の面から、常圧での沸点が40℃以上、250℃以下程度の溶媒が好適である。特にレジストに用いる場合は、分散媒として、ケトン類、変性エーテル類等が好適であり、より好ましくはメチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、3−メトキシプロピオン酸メチルであり、更に好ましくはメチルエチルケトン又はプロピレングリコールモノメチルエーテルアセテートである。
(2.2)反応性分散媒
反応性分散媒としては、単官能単量体、架橋性単量体のいずれもが使用できる。単官能単量体は、重合可能な炭素−炭素二重結合を1つだけ有しており、例えば、(メタ)アクリル酸エステル;スチレン、p−tert−ブチルスチレン、α−メチルスチレン、m−メチルスチレン、p−メチルスチレン、p−クロロスチレン、p−クロロメチルスチレン等のスチレン系単量体;(メタ)アクリル酸等のカルボキシ基含有単量体;ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート等の水酸基含有単量体等が挙げられる。上記の(メタ)アクリル酸エステルとしては、具体的には、例えば、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、n−プロピル(メタ)アクリレート、n−ブチル(メタ)アクリレート、イソブチル(メタ)アクリレート、tert−ブチル(メタ)アクリレート、2−エチルヘキシル(メタ)アクリレート、ラウリル(メタ)アクリレート等の(メタ)アクリル酸アルキルエステル;シクロヘキシル(メタ)アクリレート、イソボルニル(メタ)アクリレート等の(メタ)アクリル酸シクロアルキルエステル;ベンジル(メタ)アクリレート等の(メタ)アクリル酸アラルキル;グリシジル(メタ)アクリレート等のグリシジル基を有する(メタ)アクリル酸エステル等が挙げられ、メチル(メタ)アクリレートが特に好ましい。これら例示の単官能単量体は、単独で用いてもよく、また、二種類以上を適宜混合して用いてもよい。
架橋性単量体としては、重合可能な炭素−炭素二重結合を複数含有する化合物が使用でき、例えば、エチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ジエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、プロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、1,6−ヘキサンジオールジアクリレート、ジプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート等のアルキレングリコールポリ(メタ)アクリレート;ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、ジネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート等のネオペンチルグリコールポリ(メタ)アクリレート;トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、エトキシ化(3)トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、プロポキシ化(3)トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、ジトリメチロールプロパンテトラ(メタ)アクリレート等のトリメチロールプロパンポリ(メタ)アクリレート;ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート等のペンタエリスリトールポリ(メタ)アクリレート等の多官能(メタ)アクリレート;ジビニルベンゼン等の多官能スチレン系単量体;ジアリルフタレート、ジアリルイソフタレート、トリアリルシアヌレート、トリアリルイソシアヌレート等の多官能アリルエステル系単量体、2−(2−ビニロキシエトキシ)エチル(メタ)アクリレート等が挙げられる。
(3)水分含有量
以上の分散液は、所定の金属酸化物粒子を含有しているため種々の用途に好適に使用することができる。しかし、金属酸化物粒子の粒子径が小さくなると、保存期間中の粘度上昇という問題が生じる。そして分散媒中の水分が、粘度上昇の原因である事が判明した。そこで本発明では、分散液中の水分含有量を著しく低減することとした。分散液中の水分含有量は、1質量%未満、好ましくは0.9質量%以下、より好ましくは0.8質量%以下、更に好ましくは0.7質量%以下、より更に好ましくは0.6質量%以下、更に好ましくは0.5質量%以下、より好ましくは0.45質量%以下、特に好ましくは0.4質量%以下である。なお水分含有量は、例えば、0.1質量%以上、特に0.3質量%以上であってもよい。
ところで水分は、金属酸化物粒子の製造工程(例えば、水熱合成)や分散媒などから持ち込まれ、こうした水分が所定量以上存在することが、粘度上昇の原因であった。そのため、例えば、金属酸化物粒子の乾燥を強くする、金属酸化物粒子を乾燥させる際にバット等に薄く金属酸化物粒子を広げる、分散媒として保管中に吸湿したものの使用を避ける、分散媒として脱水処理したものを使用することなどによって分散媒中の水分を所定量以下にできる。また金属酸化物粒子を真空乾燥させる場合には、乾燥温度は、例えば80℃以下が好ましく、より好ましくは60℃以下、更に好ましくは40℃以下である。乾燥温度が低くなるほど乾燥時間が長くなるため、製造コストのバランスにより乾燥温度を適宜調整するとよい。
(4)分散剤
前記分散液は、必要に応じて、分散剤を含有していてもよい。分散剤によって分散液の分散性を改善できる。分散剤としては、有機リン化合物、有機硫黄化合物などが使用でき、これらは単独でも組み合わせてもよい。
(4.1)有機リン化合物
有機リン化合物は、例えば下記式(1)で表される。
[式中、a、bはそれぞれ独立して1又は2であり、a+bは3である。cは0又は1である。
Aは下記式(a1)で表される置換基、又は下記式(a1)で表される基と下記式(a2)で表される連結基の少なくとも1種とを含む置換基を表す。なおAが下記(a2)で表される連結基を有する場合、その連結順は特に限定されず、同じ単位が繰り返すブロック構造を有していてもよく、異なる複数の単位が無秩序に結合するランダム構造であってもよく、また、下記構造を有するのであれば他の連結基を有することも可能である。またAが下記式(a2)で表される連結基を有する場合、下記式(a2)は酸素原子側でリン原子と直接又は間接に結合する。特にAが式(a1)で表される基と式(a2)で表される基のみからなる場合、下記式(a2)の一つは酸素原子側でリン原子と直接結合する。
(式中、R1は、炭素数1〜50の飽和又は不飽和炭化水素基、(メタ)アクリロイル基、炭素数6〜100の芳香族含有炭化水素基を表し、tは0又は1である。)
(式中、R2、R3、R4は炭素数1〜18の2価の炭化水素基、又は炭素数6〜30の2価の芳香族含有炭化水素基であり、前記R2、R3、R4を構成する水素原子はエーテル基で置換されていてもよい。p、q、rはそれぞれ(a1)単位1モルに対する整数のモル比を表し、p+q+r=1〜200であり、pは200以下、qは200以下、rは200以下である。)]
有機リン化合物のオキソ酸部位(−P(=O)c(OH)b部位)はa〜cの値に応じて種々列挙でき、有機リン化合物として挙げれば、例えば、下記式:
(式中、a、bはそれぞれ独立して1又は2であり、a+bは3である。Aは前記に同じである。)であるリン酸化合物又はリン酸エステル、下記式:
(式中、a、bはそれぞれ独立して1又は2であり、a+bは3である。Aは前記に同じ。)である亜リン酸化合物又は亜リン酸エステル、下記式:
(式中、Aは前記に同じ。)であるホスホン酸化合物又はホスホン酸エステルが好ましく用いられる。中でも、分散体の貯蔵安定性をより向上できることから、有機リン化合物としてはリン酸エステルが好ましい。
前記置換基Aに関し、R1における炭素数1〜50の飽和又は不飽和炭化水素基としては、例えば、メチル基、エチル基、プロピル基(n−プロピル基、iso−プロピル基など)、ブチル基(n−ブチル基、tert−ブチル基、sec−ブチル基など)、ペンチル基(n−ペンチル基、イソペンチル基、ネオペンチル基など)、ヘキシル基(n−ヘキシル基、2−メチルペンチル基、3−メチルペンチル基、2,2−ジメチルブチル基、2,3−ジメチルブチル基など)、ヘプチル基(n−ヘプチル基、2−メチルヘキシル基、3−メチルヘキシル基、2,2−ジメチルペンチル基、2,3−ジメチルペンチル基、2,4−ジメチルペンチル基、3−エチルペンチル基、2,2,3−トリメチルブチル基など)、オクチル基(n−オクチル基、メチルヘプチル基、ジメチルヘキシル基、2−エチルヘキシル基、3−エチルヘキシル基、トリメチルペンチル基、3−エチル−2−メチルペンチル基、2−エチル−3−メチルペンチル基、2,2,3,3−テトラメチルブチル基など)、ノニル基(n−ノニル基、メチルオクチル基、ジメチルヘプチル基、3−エチルヘプチル基、4−エチルヘプチル基、トリメチルヘキシル基、3,3−ジエチルペンチル基など)、デシル基、イソデシル基、ウンデシル基、ドデシル基、トリデシル基、ステアリル基、イソステアリル基等の直鎖又は分岐のアルキル基;ビニル基、プロペニル基(アリル基、1−メチルビニル基など)、ブテニル基(1−ブテニル基、2−ブテニル基、3−ブテニル基、1−メチルアリル基、2−メチルアリル基など)、ペンテニル基(1,1−ジメチルアリル基など)、ノネニル基、デセニル基、オクタデセニル基、パルミトレイル基、オレイル基、リノイル基、リノレイル基等の直鎖又は分岐のアルケニル基;が挙げられる。炭化水素基の炭素数は、1〜25がより好ましく、更に好ましくは1〜18であり、特に好ましくは1〜12である。上記例示の中でも好ましくは、炭素数1〜10の直鎖又は分岐のアルキル基又は炭素数2〜4の直鎖又は分岐のアルケニル基であり、更に好ましくは、メチル基、エチル基、プロピル基(n−プロピル基、iso−プロピル基など)、ブチル基(n−ブチル基、tert−ブチル基、sec−ブチル基など)、オクチル基(n−オクチル基、メチルヘプチル基、ジメチルヘキシル基、2−エチルヘキシル基、3−エチルヘキシル基など)、デシル基、ビニル基、プロペニル基(アリル基、1−メチルビニル基など)、ブテニル基(1−メチルアリル基、2−メチルアリル基など)であり、最も好ましくは、メチル基、エチル基、オクチル基、デシル基、1−メチルビニル基である。
またこれら炭素数1〜50の飽和又は不飽和炭化水素基の水素原子は、後述する炭素数6〜100の芳香族含有炭化水素基で置換されていてもよい。前記飽和又は不飽和炭化水素基の置換基として用いられる炭素数6〜100の芳香族含有炭化水素基としては、例えば、フェニル基、ナフチル基が好ましく、より好ましくはフェニル基である。炭素数6〜100の芳香族含有炭化水素基で置換された炭素数1〜50の飽和又は不飽和炭化水素基としては、例えば、下記の置換基が挙げられる(*は隣接する酸素原子との結合部位を示す)。
1に係る(メタ)アクリロイル基とは、CH2=C(CH3)−CO−*で表されるメタクリロイル基、及びCH2=CH−CO−*で表されるアクリロイル基の総称である。
1における炭素数6〜100の芳香族含有炭化水素基は、1〜5環(より好ましくは1〜3環)を有することが好ましく、2環以上の場合は縮環していてもよい。なお2環以上の場合、少なくとも1つの環は芳香環である。また芳香環が2つ以上の場合、これらは縮環している場合の他、シグマボンドによって直接結合していてもよい。
こうした芳香族含有炭化水素基を具体的に例示すると、フェニル基、ナフチル基、ペンタレニル基、インデニル基、アントラセニル基、フェナントリル基、フルオレニル基、ビフェニレル基等が挙げられ、フェニル基又はナフチル基が好ましく、より好ましくはフェニル基である。またこれら芳香族含有炭化水素基(アリール基など)の水素原子は、前述した炭素数1〜50のアルキル基、炭素数1〜50のアルケニル基、炭素数7〜50のアラルキル基等の置換基で置換されていてもよい。
前記芳香族含有炭化水素基の置換基として用いられる炭素数1〜50のアルキル基としては、例えば、直鎖又は分岐のアルキル基が好ましく、より好ましくは炭素数1〜25のアルキル基であり、更に好ましくは炭素数5〜15のアルキル基であり、特に好ましくはノニル基、デシル基、イソデシル基、ウンデシル基、ドデシル基である。
また前記芳香族含有炭化水素基の置換基として用いられる炭素数1〜50のアルケニル基としては、例えば、直鎖又は分岐のアルケニル基が好ましく、より好ましくは炭素数2〜4の直鎖又は分岐のアルケニル基であり、更に好ましくはビニル基、プロペニル基(アリル基、1−メチルビニル基など)、ブテニル基(1−ブテニル基、2−ブテニル基、3−ブテニル基、1−メチルアリル基、2−メチルアリル基など)である。
また前記芳香族含有炭化水素基の置換基として用いられる炭素数7〜50のアラルキル基としては、例えば、ベンジル基、フェネチル基(例えば、1−フェネチル基、2−フェネチル基)、フェニルプロピル基、フェニルブチル基、フェニルペンチル基等が挙げられる。中でも、より好ましくはベンジル基、フェネチル基であり、更に好ましくはフェネチル基であり、特に好ましくは2−フェネチル基である。
炭素数1〜50のアルキル基、炭素数1〜50のアルケニル基、炭素数7〜50のアラルキル基が結合した芳香族炭化水素基としては、下記のものが例示できる。
またp、q、rはそれぞれ前記(a1)単位1モルに対する整数のモル比を表し、p+q+r=1〜200であり、pは200以下、qは200以下、rは200以下である。p、q、rは、それぞれ100以下が好ましく、より好ましくは50以下であり、更に好ましくは30以下である。また、p+q+rは、1〜100が好ましく、より好ましくは1〜50であり、更に好ましくは1〜30である。
前記R2、R3、R4は炭素数1〜18の2価の炭化水素基、又は、炭素数6〜30の2価の芳香族含有炭化水素基であり、例えば、メチレン基、エチレン基、n−プロピレン基、イソプロピレン基、n−ブチレン基、tert−ブチレン基、sec−ブチレン基、ペンチレン基、イソペンチレン基、ネオペンチレン基、シクロペンチレン基、ヘキシレン基、シクロヘキシレン基、2−メチルペンチレン基、3−メチルペンチレン基、2,2−ジメチルブチレン基、2,3−ジメチルブチレン基、ヘプチレン基、2−メチルヘキシレン基、3−メチルヘキシレン基、2,2−ジメチルペンチレン基、2,3−ジメチルペンチレン基、2,4−ジメチルペンチレン基、3−エチルペンチレン基、2,2,3−トリメチルブチレン基、オクチレン基、メチルヘプチレン基、ジメチルヘキシレン基、3−エチルヘキシレン基、トリメチルペンチレン基、3−エチル−2−メチルペンチレン基、2−エチル−3−メチルペンチレン基、2,2,3,3−テトラメチルブチレン基、ノニレン基、メチルオクチレン基、ジメチルヘプチレン基、3−エチルヘプチレン基、4−エチルヘプチレン基、トリメチルヘキシレン基、3,3−ジエチルペンチレン基、デシレン基、イソデシレン基、ウンデシレン基、ドデシレン基、トリデシレン基、テトラデシレン基、ペンタデシレン基、ヘキサデシレン基、ヘプタデシレン基、オクタデシレン基、イソオクタデシレン基等の直鎖又は分岐又は環構造含有のアルキレン基が挙げられる。アルキレン基の炭素数は1〜8がより好ましく、更に好ましくは、メチレン基、エチレン基、n−プロピレン基、イソプロピレン基、n−ブチレン基、tert−ブチレン基、sec−ブチレン基であり、特に好ましくはエチレン基、イソプロピレン基である。
また、前記R2、R3、R4は1〜5環(より好ましくは1〜3環)を有することも好ましく、2環以上の場合は縮環していてもよい。具体的に例示すると、フェニル基、ナフチル基、ペンタレニル基、インデニル基、アントラセニル基、フェナントリル基、フルオレニル基、ビフェニレル基等が挙げられる。また芳香族含有炭化水素基の水素原子は、前述した炭素数1〜18のアルキル基で置換されていてもよい。芳香族含有炭化水素基の炭素数は6〜18が好ましく、更に好ましくは6〜8であり、特に好ましくはスチレン基である。
前記R2、R3、R4を構成する水素原子はエーテル基で置換されていてもよい。前記エーテル基としては、(メタ)アクリロイル基、R1の欄で詳述した各種炭素数1〜50の飽和又は不飽和炭化水素基、若しくは炭素数6〜100の芳香族含有炭化水素基の結合部位に、エーテル結合(−O−)が存在する各種置換基が挙げられる。
中でも前記エーテル基としては、*−O−Cn2n-1(式中、nは1〜18の整数である)が好ましい。
本発明においては、置換基Aは、(a2)で示される単位の中でも、−[R2−O]p−については下記式(a3):
(式中、p1、p2、p3、p4、p5はpと同義である。)で表される連結基の少なくとも1種の連結基を含むことが好ましく、
−[CO−R3−COO]q−については下記式(a4):
(式中、q1、q2、q3、q4はqと同義である。)で表される連結基の少なくとも1種の連結基を含むことが好ましく、
−[R4−COO]r−については下記式(a5):
(式中、r1、r2はrと同義である。)で表される連結基の少なくとも1種の連結基を含むことが好ましい。
置換基Aは下記式(a6):
(式中、p1、p2は前記に同じ)で示される連結基のいずれか、又は両方を含むことが分散性・入手性の関連から特に好ましい。p1、p2は、それぞれ1〜200が好ましく、より好ましくは1〜100であり、更に好ましくは1〜50であり、最も好ましくは1〜30である。またp1+p2は、1〜200が好ましく、より好ましくは1〜100であり、更に好ましくは1〜50であり、最も好ましくは1〜30である。
前述した有機リン化合物としては、例えば、ニューコール1000−FCP(日本乳化剤社製)、アントックスEHD−400(日本乳化剤社製)、Phoslexシリーズ(SC有機化学社製)、ライトアクリレートP−1A(共栄社化学社製)、ライトアクリレートP−1M(共栄社化学社製)、TEGO(登録商標) Dispers651、655、656(エボニック社製)、DISPERBYK−110、111、180(ビックケミー・ジャパン社製)、KAYAMERPM−2、KAYAMERPM−21(日本化薬社製)等の市販のリン酸エステルを適宜用いることができる。
中でも好ましい有機リン化合物としては、例えば、下記式:
(上記式中、p1、p2は、それぞれ1〜100が好ましく、より好ましくは1〜50であり、更に好ましくは1〜30であり、より好ましくは4〜15である。またp1+p2は、1〜100が好ましく、より好ましくは1〜50であり、更に好ましくは1〜30である。)で表される化合物及びこれらと同じ置換基Aを有するリン酸ジエステルや、下記式:
[上記式中、aは1又は2であり、Aが下記式で表される置換基群:
(上記式中、p1、p2、p5は、それぞれ1〜100が好ましく、より好ましくは1〜50であり、更に好ましくは1〜30であり、より好ましくは4〜15である。またp1+p2+p5は、1〜100が好ましく、より好ましくは1〜50であり、更に好ましくは1〜30である。r、r2は1〜100が好ましく、より好ましくは1〜50であり、更に好ましくは1〜20である。R4は前記に同じ。*はリン原子との結合部位を示す。)]より選択される少なくとも1つ以上の置換基を有するリン酸モノエステル又はリン酸ジエステル等の化合物や、下記式:
[上記式中、aは1又は2であり、Aが下記式で表される置換基群:
(上記式中、p1は1〜100が好ましく、より好ましくは1〜50であり、更に好ましくは1〜30である。)で表される化合物(例えば、下記式:
(上記式中、p1は1〜100が好ましく、より好ましくは1〜50であり、更に好ましくは1〜30である。)で表される化合物)]や、下記式:
[上記式中、Rxは炭素数1〜5のアルキル基を示し、Ryは炭素数10〜25のアルキル基を示す。上記式は、好ましくは、下記式:
で表される]で表される各種リン酸化合物又はリン酸エステルが例示できる。
なお本発明では、リン酸モノエステル、リン酸ジエステルなどのように構造が異なる2種以上の有機リン化合物又はその塩を、それぞれ単独で、またはこれらを組み合わせて使用してもよい。
(4.2)有機硫黄化合物
有機硫黄化合物は、例えば下記式(2)で表される。
[Bは下記式(b1)で表される置換基、又は下記式(b1)で表される基に下記式(b2)で表される連結基の少なくとも1種を含む置換基を表す。なおBが下記式(b2)で表される連結基を有する場合、その連結順は特に限定されず、同じ単位が繰り返すブロック構造を有していてもよく、異なる複数の単位が無秩序に結合するランダム構造であってもよく、また、下記構造を有するのであれば他の連結基を有することも可能である。またBが下記式(b2)で表される連結基を有する場合、下記式(b2)は酸素原子側でリン原子と直接又は間接に結合する。特にBが式(b1)で表される基と式(b2)で表される基のみからなる場合、下記式(b2)の一つは酸素原子側でリン原子と直接結合する。
(式中、R5は、炭素数1〜50の飽和又は不飽和炭化水素基、(メタ)アクリロイル基、炭素数6〜100の芳香族含有炭化水素基を表し、tは0又は1である。)
(式中、R6、R7、R8は炭素数1〜18の2価の炭化水素基、又は炭素数6〜30の2価の芳香族含有炭化水素基であり、前記R6、R7、R8を構成する水素原子はエーテル基で置換されていてもよい。p、q、rはそれぞれ(b1)単位1モルに対する整数のモル比を表し、p+q+r=1〜200であり、pは200以下、qは200以下、rは200以下である。)]
式(b1)中、R5は、R1の欄で詳述した炭素数1〜50の飽和又は不飽和炭化水素基、(メタ)アクリロイル基、炭素数6〜100の芳香族含有炭化水素基と同様のものから選択できる。R1と同様に、炭素数1〜50の飽和又は不飽和炭化水素基の水素原子は、炭素数6〜100の芳香族含有炭化水素基で置換されていてもよく、芳香族含有炭化水素基(アリール基など)の水素原子は、炭素数1〜50のアルキル基、炭素数1〜50のアルケニル基、炭素数7〜50のアラルキル基等の置換基で置換されていてもよい。
中でもR5としては、炭素数1〜50の直鎖又は分岐のアルキル基、炭素数2〜50の直鎖又は分岐のアルケニル基、(メタ)アクリロイル基、もしくは炭素数6〜20の芳香族含有炭化水素基が好ましく、炭素数1〜30の直鎖又は分岐のアルキル基、炭素数2〜30の直鎖又は分岐のアルケニル基、もしくは炭素数6〜20の芳香族含有炭化水素基がより好ましく、炭素数1〜25の直鎖又は分岐のアルキル基、炭素数2〜25の直鎖又は分岐のアルケニル基、もしくは炭素数6〜10の芳香族含有炭化水素基が更に好ましい。特に好ましいR5は、ビニル基、プロペニル基(アリル基、1−メチルビニル基など)、ブテニル基(1−メチルアリル基、2−メチルアリル基など)、置換されていてもよいフェニル基であり、より好ましくはビニル基、プロペニル基、ブテニル基、下記式で例示される置換基である。
p+q+rは1〜100が好ましく、pは50以下、qは50以下、rは50以下であるのが好ましい。tは0が好ましい。またR6、R7、R8については前記R2、R3、R4とそれぞれ同じ構造が好ましい。
置換基Bは下記式(a6):
(式中、p1、p2は前記に同じ)で示される連結基のいずれか、又は両方を含むことが分散性・入手性の関連から特に好ましい。p1、p2は、それぞれ200以下が好ましく、より好ましくは100以下であり、更に好ましくは50以下であり、最も好ましくは30以下である。またp1+p2は、1〜200が好ましく、より好ましくは1〜100であり、更に好ましくは1〜50であり、最も好ましくは1〜30である。
このような有機硫黄化合物としては、例えば、ベンゼンスルホン酸、ドデシルベンゼンスルホン酸などのアルキルベンゼンスルホン酸(好ましくはアルキル基の炭素数が10〜25程度であるアルキルベンゼンスルホン酸)、メチルスルホン酸、エチルスルホン酸などのアルキルスルホン酸、及び下記式で表される各種有機硫黄化合物等が挙げられる。
(式中、p1は前記に同じであり、Rは任意の置換基である。)
前記有機リン化合物及び有機硫黄化合物は、それぞれ塩であってもよく、該塩としては、例えば、ナトリウム塩、カリウム塩等のアルカリ金属塩;カルシウム塩等のアルカリ土類金属塩;第四級アンモニウム塩;等が挙げられる。
分散剤の量は、分散液100質量%中、例えば0.1〜5質量%であり、好ましくは0.7〜3質量%である。また分散剤は、金属酸化物粒子100質量%に対して30質量%以下であることが好ましく、光学用途においては、例えば、0.05〜20質量%加えられていることが好ましく、より好ましくは0.5〜10質量%であり、更に好ましくは0.7〜5質量%である。
(5)その他の成分
本発明の分散液には、さらに他に添加成分が配合されてもよい。かかる添加成分としては、例えば、界面活性剤、硬化剤、硬化促進剤、着色剤、内部離型剤、カップリング剤、反応性希釈剤、可塑剤、安定化剤、難燃助剤、架橋剤、低収縮剤、重合禁止剤、酸化防止剤、紫外線吸収剤、消泡剤、レベリング剤、揺変化剤、増粘剤等を挙げることができる。これらの添加成分は、被覆型金属酸化物粒子、有機リン化合物及び/又は有機硫黄化合物、及び分散媒の合計100質量部に対し、10質量部以下が好ましく、より好ましくは5質量部以下であり、更に好ましくは0〜3質量部である。
(6)分散液
本発明の分散液は、上述した様に、前記金属酸化物及び分散媒を含有し、必要により分散剤やその他の成分を含有し、かつ水分量が1質量%未満に抑制されている。そのため保存中の粘度が上がりにくく、保存後も取り扱い性が低下するおそれがない。
保存期間は、例えば、19日以上、好ましくは23日以上、より好ましくは28日以上にすることができる。なお保存条件は、20〜50℃(より好ましくは30〜45℃)が好ましい。また分散液は、密閉された容器内で保存されていることが望ましい。
また前記保存後の粘度(20℃)は、例えば、200cP(すなわち0.2Pa・s)以下、好ましくは100cP(すなわち0.1Pa・s)以下、より好ましくは60cP以下、更に好ましくは40cP以下、特に好ましくは20cP以下である。また粘度の下限は特に限定されないが、例えば、1cP以上、または5cP以上、特に10cP以上であってもよい。なお粘度の測定方法は、実施例の項で後述する。
(7)樹脂組成物
上記分散液は樹脂を含有しないが、必要に応じて樹脂を含有させて樹脂組成物としてもよい。樹脂としては、例えば、6−ナイロン、66−ナイロン、12−ナイロンなどのポリアミド類;ポリイミド類;ポリウレタン類;ポリエチレン、ポロプロピレンなどのポリオレフィン類;PET、PBT、PENなどのポリエステル類;ポリ塩化ビニル類;ポリ塩化ビニリデン類;ポリ酢酸ビニル類;ポリスチレン類;(メタ)アクリル樹脂系ポリマー;ABS樹脂;フッ素樹脂;フェノール・ホルマリン樹脂、クレゾール・ホルマリン樹脂などのフェノール樹脂;エポキシ樹脂;尿素樹脂、メラミン樹脂、グアナミン樹脂などのアミノ樹脂などを挙げることができる。また、ポリビニルブチラール系樹脂、ポリウレタン系樹脂、エチレン−酢酸ビニル共重合体系樹脂、エチレン−(メタ)アクリル酸エステル共重合体系樹脂などの軟質樹脂や硬質樹脂、なども挙げられる。上記した中で、ポリイミド類、ポリウレタン類、ポリエステル類、(メタ)アクリル樹脂系ポリマー、フェノール樹脂、アミノ樹脂、エポキシ樹脂がより好ましい。これらは単独で用いてもよいし、2種以上を混合して用いてもよい。
(8)用途
本発明の分散液やそれを配合した樹脂組成物は、分散液の段階で保存時の粘度上昇が抑制されており、取り扱い性に優れる。そのためこれら分散液又は樹脂組成物は、成型体、硬化物などに代表される各種用途への展開が可能となる。高分散性を要する用途としては、例えば、レジスト用途、光学用途、塗布用途、接着用途が挙げられ、光学レンズ、光学フィルム用粘着剤、光学フィルム用接着剤、ナノインプリント用樹脂組成物、マイクロレンズアレイ、透明電極に使用する反射防止層、反射防止フィルムや反射防止剤、光学レンズの表面コート、有機EL光取り出し層、各種ハードコート材、TFT用平坦化膜、カラーフィルター用オーバーコート、反射防止フィルム等の各種保護膜および、光学フィルター、タッチセンサー用絶縁膜、TFT用絶縁膜、カラーフィルター用フォトスペーサー、タッチパネル用保護膜等の光学材料に好適に用いられる。特に本発明の分散液が含有する金属酸化物粒子は顕著な分散性に加え、高屈折率、高硬度、高安定性を有するため、光学レンズ、光学レンズの表面コート、各種ハードコート材、タッチセンサー用絶縁膜、TFT用絶縁膜、タッチパネル用保護膜に使用することが好ましい。
以下、実施例を挙げて本発明をより具体的に説明するが、本発明はもとより下記実施例によって制限を受けるものではなく、前・後記の趣旨に適合し得る範囲で適当に変更を加えて実施することも勿論可能であり、それらはいずれも本発明の技術的範囲に包含される。
実施例で開示される物性及び特性は、以下の方法により測定した。
(1)結晶構造(正方晶、単斜晶)と結晶子径
酸化ジルコニウム粒子の結晶構造は、X線回折装置(リガク社製、RINT−TTRIII)を用いて結晶構造を解析し、計算ソフト(リガク社製、PDXL)を用いて参照強度比法(RIP法)により正方晶、単斜晶の割合を定量した(ピークの帰属も計算ソフトの指定に従った)。また30°のピークの半値幅を元に、計算ソフト(リガク社製、PDXL)を用いて結晶子径を算出した。
測定条件は以下の通りである。
X線源:CuKα(0.154nm)
X線出力設定:50kV、300mA
サンプリング幅:0.0200°
スキャンスピード:10.0000°/min
測定範囲:10〜75°
測定温度:25℃
(2)平均一次粒子径
酸化ジルコニウム粒子の平均一次粒子径を、超高分解能電界放出型走査電子顕微鏡(日立ハイテクノロジーズ社製、S−4800)で観察することによって測定した。具体的には、倍率15万倍で被覆型酸化ジルコニウム粒子を観察し、任意の100個の粒子について、各粒子の長軸方向の長さを測定し、その算術平均値を平均一次粒子径とした。
(3)質量減少率の測定
TG−DTA(熱重量−示差熱分析)装置により、空気雰囲気下、室温から800℃まで10℃/分で被覆型酸化ジルコニウム粒子を昇温し、該粒子の質量減少率を測定した。この質量減少率により、金属酸化物粒子を被覆しているカルボキシレート化合物の割合、及び金属酸化物の割合を知ることができる。
(4)1H−NMRの測定
被覆酸化ジルコニウム粒子を重クロロホルムに分散させて測定試料とし、Variann社製「Unity Plus」(共鳴周波数:400MHz、積算回数:16回)を用いて測定した。下記の化学シフト(テトラメチルシラン基準)のピークの積分比に基づき、各化合物のモル比を決定した。
i)2−エチルヘキサン酸(1.0−0.5ppm:6H)
ii)2−エチルヘキサン酸由来のカルボキシレート(1.0−0.5ppm:6H)
iii)2−アクリロイルオキシエチルサクシネート(6.7−5.7ppm:3H、4.5−4.0ppm:4H)
iv)3−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン(6.5−5.5ppm:2H、4.5−4.0ppm:2H、4.0−3.5ppm:9H、1.0−0.5ppm:2H)
(5)蛍光X線分析
蛍光X線分析装置(ZSX PrimusII リガク社製)を用いて、被覆型酸化ジルコニウム粒子中のZr含有量、Si含有量を測定した。
(6)水分量測定
水分量は、カールフィッシャー水分測定装置(平沼産業社製;AQUACOUNTER(登録商標) AQ−2000、EVAPORATOR EV−2000)を用い、下記の条件で測定した。
試薬:HYDRANAL(登録商標) Coulomat AK、HYDRANAL(登録商標) Coulomat CG−K(Sigma−Aldrich社製)
雰囲気:窒素流量0.2L/分
試料:1g
温度:80℃
時間:30分
(7)不揮発分
少量の試料を薄く広げ、80℃、30分の条件で加熱し、加熱前後の質量変化から不揮発分量を算出した。
(8)粘度
分散液の粘度をBROOKFIELD社製のデジタル粘度計(型式LVDV−II+P CP)を用いて測定した。測定条件は以下の通りである。
スピンドル:CPE−40もしくはCPA−51Z
試料:1.7mL
回転数:5rpm
温度:20℃
時間:1分
製造例1
1)被覆型ZrO 2 粒子1の製造
2−エチルヘキサン酸ジルコニウムミネラルスピリット溶液(782g、2−エチルヘキサン酸ジルコニウム含有率44質量%、第一希元素化学工業社製)に純水(268g)を混合した。得られた混合液を、攪拌機付きオートクレーブ内に仕込み、該オートクレーブ内の雰囲気を窒素ガスで置換した。その後、混合液を180℃まで加熱し、該温度で16時間保持(オートクレーブ内圧力は0.94MPa)して反応させ、酸化ジルコニウム粒子を生成した。続いて、反応後の混合液を取り出し、底部に溜まった沈殿物を濾別してアセトンで洗浄した後に、乾燥した。乾燥後の前記沈殿物(100g)をトルエン(800mL)に分散させたところ、白濁溶液となった。次に、精製工程として、定量濾紙(アドバンテック東洋社製、No.5C)にて再度濾過し、沈殿物中の粗大粒子などを除去した。さらに、濾液を減圧濃縮してトルエンを除去することで白色の酸化ジルコニウムナノ粒子(被覆型ZrO2粒子1)を回収した。
得られた被覆型ZrO2粒子1の結晶構造を確認したところ、正方晶と単斜晶に帰属される回折線が検出され、回折線の強度から、正方晶と単斜晶の割合は54/46で、その粒子径(結晶子径)は5nmであった。
得られた被覆型ZrO2粒子1の平均粒子径(平均一次粒子径)は、電子顕微鏡による測定で、12nmであった。また被覆型ZrO2粒子1を、赤外吸収スペクトルによって分析したところ、C−H由来の吸収と、COOH由来の吸収が確認できた。当該吸収は、被覆型酸化ジルコニウム粒子を被覆している2−エチルヘキサン酸及び/又は2−エチルヘキサン酸由来のカルボキシレートに起因するものと考えられ、該被覆型ZrO2粒子1は、2−エチルヘキサン酸及び/又は2−エチルヘキサン酸由来のカルボキシレートで被覆されていると結論付けられる。
さらに上記した「(3)質量減少率の測定」に従って測定した被覆型ZrO2粒子1の質量減少率は、12質量%だった。従って、被覆型酸化ジルコニウム粒子を被覆する2−エチルヘキサン酸及び/又は2−エチルヘキサン酸由来のカルボキシレートは、被覆型酸化ジルコニウム粒子全体の12質量%であることが分かった。
2)シランカップリング剤処理
上記で得られた被覆型ZrO2粒子1(10g)を、メチルイソブチルケトン(40g)に分散させて白濁スラリーを調製した。当該溶液に表面処理剤として3−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン(2.0g、信越化学工業社製、KBM−503)、水(0.9g)を添加し、80℃で1時間加熱還流することで透明分散溶液を得た。次いで、50℃まで降温し、その後2−アクリロイルオキシエチルサクシネート(1.8g)を添加して30分撹拌混合した。次いでn−ヘキサンを添加することで分散粒子を凝集させて溶液を白濁させた。白濁液から凝集粒子を濾紙により分離して、シランカップリング剤処理されたジルコニア粒子(被覆型ZrO2粒子2)を得た。
実施例1
製造例1で得られた被覆型ZrO2粒子2を、不揮発分量(80℃、30分)が98.7%になるまで常温(約25℃)で減圧乾燥した。乾燥後の粒子を蛍光X線分析装置により分析し、Zr、Si含有量を測定した。その結果、3−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン量は被覆型酸化ジルコニウムに対し8質量%であることがわかった。また乾燥後の粒子を重クロロホルムに分散させて測定試料とし、1H−NMRによる分析を行なった。その結果、2−エチルヘキサン酸及び/又は2−エチルヘキサン酸由来のカルボキシレートと3−メタクリロキシプロピルトリメトキシシランと2−アクリロイルオキシエチルサクシネートの存在モル比率が27:35:38であることがわかった。また乾燥後の粒子を空気雰囲気下10℃/分の速度で800℃まで昇温して質量減少率を測定することで被覆物の量を定量した。この結果と、上記蛍光X線分析、1H−NMRによる分析結果から勘案して2−エチルヘキサン酸及び/又は2−エチルヘキサン酸由来のカルボキシレートと3−メタクリロキシプロピルトリメトキシシランと2−アクリロイルオキシエチルサクシネートは被覆型酸化ジルコニウム粒子全体(100質量%)の、それぞれ3質量%、8質量%、7質量%であることがわかった。
乾燥粒子149.2gに、DISPERBYK−111 2.5gおよびメチルエチルケトン62.1gを投入した後、外観が均一になるまで十分撹拌することで、ジルコニアナノ粒子分散液1を得た。
実施例2
減圧乾燥の条件を変更する以外は実施例1と同様にして被覆型ZrO2粒子2を乾燥し、不揮発分量(80℃、30分)を99.1%にした。この乾燥粒子40.0gに、DISPERBYK−111 0.7gおよびメチルエチルケトン16.9gを投入した後、外観が均一になるまで十分撹拌することで、ジルコニアナノ粒子分散液2を得た。
実施例3
実施例1と同様にして被覆型ZrO2粒子2を乾燥し、不揮発分量(80℃、30分)が98.7%の粒子を得た。この乾燥粒子50.0gに、ヘキサン0.9g、DISPERBYK−111 0.8gおよびメチルエチルケトン19.9gを投入した後、外観が均一になるまで十分撹拌することで、ジルコニアナノ粒子分散液3を得た。
実施例4
減圧乾燥の条件を変更する以外は実施例1と同様にして被覆型ZrO2粒子2を乾燥し、不揮発分量(80℃、30分)を96.9%にした。この乾燥粒子152.7gに、DISPERBYK−111 2.5gおよびメチルエチルケトン59.6gを投入した後、外観が均一になるまで十分撹拌した。得られた分散液144.6gに、さらにヘキサン1.2gを投入し、水分量を調整した後、外観が均一になるまで十分撹拌し、ジルコニアナノ粒子分散液4を得た。
比較例1
実施例1と同様にして被覆型ZrO2粒子2を乾燥し、不揮発分量(80℃、30分)が98.7%の粒子を得た。この乾燥粒子50.0gに対して、DISPERBYK−111 0.8g、メチルエチルケトン19.9g、及び所定量の水を投入し、外観が均一になるまで十分撹拌し、ジルコニアナノ粒子分散液5を得た。
実施例1〜4及び比較例1で得られた分散液について、調製直後の不揮発分量と水分含有量を測定した。また分散液を密閉された容器内において温度40℃で保管し、分散液調製直後からの粘度の経時変化を測定した。結果を表1に示す。
表1より明らかな様に、水分量を1質量%未満に抑制すると、分散液保存中の粘度上昇を抑制することができる。
実施例5〜12
実施例1と同様にして被覆型ZrO2粒子2を、不揮発分量(80℃、30分)が99.3%になるまで常温減圧乾燥した。この乾燥粒子70.0gに対して、下記表2に示す分散剤0.6gおよびメチルエチルケトン30.0gを投入した後、外観が均一になるまで十分撹拌することで、ジルコニアナノ粒子分散液を得た。この分散液の不揮発分は69.7質量%、水分は0.56質量%であった。
実施例5〜12で得られた分散液を密閉された容器内において温度40℃で保管し、粘度の経時変化を測定した。結果を表3、図1に示す。表3より明らかな様に、水分量を1質量%未満に抑制すると、分散剤の種類によらず、分散液保存中の粘度上昇を抑制することができる。
実施例13〜18、比較例2〜7
実施例1と同様にして被覆型ZrO2粒子2を、不揮発分量(80℃、30分)が99.3%になるまで常温減圧乾燥した。この乾燥粒子105gに対して、下記表4に示す分散剤2.1gおよびメチルエチルケトン45gを投入した後、外観が均一になるまで十分撹拌することで、ジルコニアナノ粒子分散液を得た。この分散液の水分含有量は表4に示す通りである。得られた分散液を密閉された容器内において温度40℃で保管し、粘度の経時変化を測定した。結果を表4に示す。表4より明らかな様に、水分量を1質量%未満にすると、分散剤の種類によらず、分散液保存中の粘度上昇を抑制できることが分かる。また水分量が少ない程、経時変化に伴う粘度上昇を抑えることが可能となる。

Claims (4)

  1. 屈折率が1.6以上である平均一次粒子径が30nm以下の金属酸化物粒子と分散媒とを含有し、水分含有量が0.8質量%以下であり、
    さらに分散剤を含有しており、前記分散剤が、下記式(1):
    [式中、a、bはそれぞれ独立して1又は2であり、a+bは3である。cは0又は1である。
    Aは下記式(a1)で表される置換基、又は下記式(a1)で表される基と下記式(a2)で表される連結基の少なくとも1種とを含む置換基を表す。なおAが下記式(a2)で表される連結基を有する場合には、下記式(a2)は酸素原子側でリン原子と直接又は間接に結合する。
    (式中、R1は、炭素数1〜50の飽和又は不飽和炭化水素基、(メタ)アクリロイル基、炭素数6〜100の芳香族含有炭化水素基を表し、tは0又は1である。)
    (式中、R2、R3、R4は炭素数1〜18の2価の炭化水素基、又は炭素数6〜30の2価の芳香族含有炭化水素基であり、前記R2、R3、R4を構成する水素原子はエーテル基で置換されていてもよい。
    p、q、rはそれぞれ(a1)単位1モルに対する整数のモル比を表し、p+q+r=1〜200であり、pは200以下、qは200以下、rは200以下である。)]
    で表される有機リン化合物又はその塩であることを特徴とする分散液。
  2. 前記金属酸化物粒子が有機酸で被覆されており、かつシランカップリング剤で表面処理されている請求項1に記載の分散液。
  3. 前記金属酸化物粒子が有機酸で被覆されており、前記有機酸が、(メタ)アクリル酸類、又は、エステル基、エーテル基、アミド基、チオエステル基、チオエーテル基、カーボネート基、ウレタン基、およびウレア基からなる群より選ばれる1以上の置換基を有するカルボン酸から選ばれる第1のカルボン酸化合物と、
    1つ以上のカルボン酸基を有する炭化水素類から選ばれる第2のカルボン酸化合物との組み合わせである請求項1又は2に記載の分散液。
  4. 前記金属酸化物粒子を形成する金属が、Ti、Al、Zr、Zn、Sn、及びCeから選ばれる少なくとも1種である請求項1〜のいずれかに記載の分散液。
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