JP2022104071A - 組成物 - Google Patents

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純也 木村
Junya Kimura
衣里奈 花井
Erina Hanai
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Abstract

【課題】リン系の分散剤と金属酸化物粒子と分散媒を含む組成物であって、金属酸化物粒子と分散媒の相溶性が良好な組成物を提供する。【解決手段】本発明は、平均一次粒子径が50nm以下である金属酸化物粒子と、リン酸化合物を含む分散剤と、溶媒及びモノマーの少なくとも1種を含む組成物であって、前記組成物にはリン酸が含まれていてもよく、前記リン酸の量が、金属酸化物粒子100質量%に対して0.60質量%以下である組成物である。【選択図】なし

Description

本発明は、組成物に関し、より詳細には金属酸化物粒子を含有する組成物に関する。
各種の金属酸化物ナノ粒子を含む樹脂組成物、硬化性組成物等のナノ粒子含有組成物は、ナノ粒子の機能に応じて、光学材料、電子部品材料、磁気記録材料、触媒材料、紫外線吸収材料、歯科材料など様々な材料の高機能化や高性能化に寄与できる。しかし、金属酸化物ナノ粒子単独では有機媒体に対する分散性が不十分なため凝集する場合が多く、透明性の低下といった問題を生じていた。
そこで、特許文献1では、平均一次粒子径が50nm以下の金属酸化物粒子を、有機酸、及び所定の有機リン化合物又はその塩と共に分散媒に分散させている。このようにして得られた分散体は、相溶性が良くなるとされている。
国際公開第2015/111664号パンフレット
しかし、上記特許文献1のように所定の有機リン化合物を用いて金属酸化物粒子を分散させても、十分な相溶性が得られないことがあり、特に有機リン化合物の濃度を高くすると相溶性の低下傾向が顕著となった。
そこで、本発明は、リン系の分散剤と金属酸化物粒子と分散媒を含む組成物であって、金属酸化物粒子と分散媒の相溶性が良好な組成物を提供することを目的とする。
上記課題を達成した本発明は以下の通りである。
[1]平均一次粒子径が50nm以下である金属酸化物粒子と、
リン酸化合物を含む分散剤と、
溶媒及びモノマーの少なくとも1種を含む組成物であって、
前記組成物にはリン酸が含まれていてもよく、前記リン酸の量が、金属酸化物粒子100質量%に対して0.60質量%以下であることを特徴とする組成物。
[2]前記金属酸化物粒子は、前記分散剤で被覆されている[1]に記載の組成物。
[3]前記リン酸化合物は、下記式(p1)で表されるリン酸エステルまたはその塩の少なくとも1種である[1]または[2]に記載の組成物。
Figure 2022104071000001
上記式(p1)中、R1は炭素数1~10の直鎖状または分岐鎖状アルキル基であり、R2は炭素数2~4の直鎖状または分岐鎖状アルキレン基であり、nは1~10であり、aは1~3である。
[4]前記リン酸化合物は、上記式(p1)においてaが1であるリン酸モノエステルと、上記式(p1)においてaが2であるリン酸ジエステルを含む[3]に記載の組成物。
[5]前記金属酸化物粒子の金属原子の質量(M)に対する金属酸化物粒子表面のリン原子の質量(P)の比(P/M)が0.001~0.1である[1]~[4]のいずれかに記載の組成物。
[6]モノマーを含む[1]~[5]のいずれかに記載の組成物の硬化物。
本発明の金属酸化物粒子を含む組成物は、リン酸化合物を含む分散剤を含み、組成物中にリン酸を含まないか、又は含まれている場合にはリン酸量が少ないため、該金属酸化物粒子と分散媒の相溶性が良好な組成物を得ることができる。
本発明は、平均一次粒子径が50nm以下である金属酸化物粒子と、リン酸化合物を含む分散剤と、溶媒及びモノマーの少なくとも1種を含む組成物であり、前記組成物にはリン酸が含まれていてもよく、前記リン酸の量が、金属酸化物粒子100質量%に対して0.60質量%以下である。なお、本書においてリン酸化合物とは、リン酸と、1種以上の元素が結合したものを意味し、リン酸そのもの(H3PO4)は含まない。
1.金属酸化物粒子
金属酸化物粒子は、Ti、Al、Zr、In、Zn、Sn、La、Y、Ce、Mg、Ba、Ca、Sb等の酸化物粒子が挙げられ、特に屈折率を高める観点からTi、Al、Zr、Zn、Sn及びCeよりなる群から選択される少なくとも1種の酸化物粒子であることが好ましく、Zr酸化物粒子、すなわち酸化ジルコニウム(ZrO2)粒子であることがより好ましい。前記金属酸化物は、単一金属の酸化物であってもよいし、2種以上の酸化物の固溶体であってもよいし、複合酸化物であってもよい。単一金属酸化物には、例えば、酸化アルミニウム(Al23)、酸化チタン(TiO2)、酸化ジルコニウム(ZrO2)、酸化インジウム(In23)、酸化亜鉛(ZnO)、酸化スズ(SnO2)、酸化ランタン(La23)、酸化イットリウム(Y23)、酸化セリウム(CeO2)、酸化マグネシウム(MgO)、酸化バリウム(BaO)、酸化カルシウム(CaO)、酸化アンチモン(Sb23)が含まれる。2種以上の酸化物の固溶体としては、酸化インジウムスズ(ITO)、酸化スズアンチモン(ATO)等が挙げられる。複合酸化物としては、例えばチタン酸バリウム(BaTiO3)、灰チタン石(CaTiO3)、スピネル(MgAl24)等が挙げられる。
前記金属酸化物粒子の結晶子径は、好ましくは20nm以下、より好ましくは15nm以下、さらに好ましくは10nm以下であり、通常1nm以上である。結晶子径が小さいほど、金属酸化物粒子を含む組成物の光透過率を向上できる。前記結晶子径はX線回折法により特定することができる。
前記金属酸化物粒子の結晶構造は、X線回折法により特定することができ、立方晶、正方晶、単斜晶等であることが好ましく、複数の結晶構造が存在していてもよい。なお、X線回折測定では金属酸化物粒子の立方晶と正方晶を区別することが難しく、立方晶が存在する場合でもその割合は正方晶の割合としてカウントされる。屈折率を向上する観点から、結晶構造全体の50%以上が正方晶及び/又は立方晶であることが好ましい。また、単斜晶に対する正方晶及び立方晶の合計の割合((正方晶+立方晶)/単斜晶)は、好ましくは1.0以上、より好ましくは1.1以上であり、また5以下であってもよい。
また金属酸化物粒子の平均一次粒子径は、好ましくは50nm以下、より好ましくは30nm以下、さらに好ましくは20nm以下であり、好ましくは1nm以上、より好ましくは5nm以上である。金属酸化物粒子の平均一次粒子径が前記範囲にあると、金属酸化物粒子含有組成物の透明性を高めやすくなる。前記平均一次粒子径は、金属酸化物粒子を透過型電子顕微鏡(TEM)、電界放射型透過電子顕微鏡(FE-TEM)、電界放射型走査電子顕微鏡(FE-SEM)等で拡大観察し、無作為に100個の粒子を選択してその長軸方向の長さを測定し、その算術平均を求めることで決定できる。
金属酸化物粒子の量は、組成物100質量%中、通常10~80質量%である。特に、分散媒が溶媒であるときは、金属酸化物粒子の量は60~80質量%であることが好ましく、分散媒がモノマーであるときは、金属酸化物粒子の量は40~60質量%であることが好ましく、分散媒が溶媒及びモノマーの両方を含む場合には、金属酸化物粒子の量は10~30質量%であることが好ましい。なお、金属酸化物粒子が、分散剤又は表面処理剤で被覆されている場合には、前記した金属酸化物粒子の量には分散剤及び表面処理剤の被覆量も含まれる。
2.分散剤
本発明における分散剤は、リン酸化合物を含むリン系分散剤であり、リン酸が含まれていないか、リン酸が含まれている場合には含有量が少ない点に特徴を有している。リン酸量の少ない分散剤を用いることで、このリン系分散剤を含む組成物中のリン酸量も低減することができ、金属酸化物粒子と分散媒の相溶性が良好になる。分散剤100質量%におけるリン酸量は2.5質量%未満が好ましく、より好ましくは2.0質量%以下であり、更に好ましくは1.6質量%以下であり、特に1.5質量%以下が好ましい。リン酸量の下限は特に限定されず、0質量%であってもよいし、0.2質量%であってもよい。
リン酸化合物は、リン酸エステルであることが好ましく、リン酸モノエステル、リン酸ジエステル、リン酸トリエステル又はこれら2種以上の混合物であってもよく、特にリン酸モノエステル及びリン酸ジエステルが含まれていることがより好ましい。リン酸化合物は、アルキレンオキサイド単位を有するリン酸エステルであることが好ましく、特にリン酸とポリアルキレングリコールモノアルキルエーテルとのエステルであることが好ましく、例えば下記式(p1)で表されるリン酸エステルまたはその塩の少なくとも1種であることが好ましい。
Figure 2022104071000002
上記式(p1)中、R1は炭素数1~10の直鎖状または分岐鎖状アルキル基であり、R2は炭素数2~4の直鎖状または分岐鎖状アルキレン基であり、nは1~10であり、aは1~3である。
1は炭素数1~5の直鎖状または分岐鎖状アルキル基であることが好ましく、炭素数1~3の直鎖状アルキル基であることがより好ましい。R2は炭素数2~4の直鎖状アルキレン基であることがより好ましい。nは1~8が好ましく、1~4がより好ましい。
上記リン酸化合物は、上記式(p1)においてaが1であるリン酸モノエステルと、上記式(p1)においてaが2であるリン酸ジエステルを含むことが好ましい。このとき、R1、R2、nの値は、リン酸モノエステルとリン酸ジエステルで同じであってもよいし、異なっていてもよいが、同じであることが好ましい。リン酸化合物が、上記リン酸モノエステルとリン酸ジエステルを含む場合、リン酸モノエステル量/リン酸ジエステル量は、質量比で20/80~80/20であることが好ましく、より好ましくは30/70~70/30である。
本発明の組成物中のリン酸化合物量は、金属酸化物粒子100質量%に対して、5質量%以上が好ましく、より好ましくは10質量%以上であり、更に好ましくは13.5質量%以上であり、また30質量%以下であってもよい。なお、金属酸化物粒子が分散剤や表面処理剤で被覆されている場合、前記リン酸化合物の量を定める際の、金属酸化物粒子100質量%には、被覆量は含まれない。また、リン酸化合物が複数種のリン酸化合物を含む場合、リン酸化合物の量は合計量を意味する。
上述した通り、本発明において用いるリン酸量の少ない分散剤は、以下の要領で製造することができる。一般にリン酸エステルを含む分散剤を得るためには有機ヒドロキシ化合物とリン酸化剤を反応させる方法がある。リン酸化剤としてはポリリン酸、五酸化リン、オキシ塩化リンなどがある。具体的な製法としては、特開2007-197417号公報に記載のものが挙げられる。リン酸量が少ないリン酸エステルを含む分散剤は、含有する水分の少ない有機ヒドロキシ化合物と上記に示す少なくとも1種類のリン酸化剤を反応させることで得ることができる。その時の水分量は、有機ヒドロキシ化合物に対して0.3%以下が望ましい。また、合成されたリン酸エステルを水洗など精製することにより得ることもできる。
金属酸化物粒子は、リン酸化合物を含む分散剤で被覆されていることが好ましい。金属酸化物粒子の被覆層に含まれるリン酸化合物の物質量(P1)に対するリン酸の物質量(P0)の比(P0/P1)は、0.060以下が好ましく、より好ましくは0.05以下であり、下限は0であってもよいし、0.003であってもよい。すなわち、本発明の組成物は、平均一次粒子径が50nm以下である金属酸化物粒子と、溶媒及びモノマーの少なくとも1種を含む組成物であって、前記金属酸化物粒子は、リン酸化合物を含む分散剤で被覆されており、前記分散剤にはリン酸が含まれていてもよく、前記金属酸化物粒子の被覆層に含まれるリン酸化合物の物質量(P1)に対するリン酸の物質量(P0)の比(P0/P1)が0.060以下である組成物であることも好ましい。
リン酸化合物が上記した式(p1)においてaが1であるリン酸モノエステルと、上記式(p1)においてaが2であるリン酸ジエステルを含む場合、金属酸化物粒子の被覆層に含まれるリン酸モノエステルの物質量(P11)に対するリン酸ジエステルの物質量(P12)の比(P12/P11)が20/80~80/20であり、リン酸モノエステルの物質量(P11)に対するリン酸の物質量(P0)の比(P0/P11)が0.01~0.10であることが好ましい。P12/P11の値は30/70以上がより好ましく、また70/30以下がより好ましい。P0/P11の値は、0.02以上がより好ましく、0.09以下がより好ましい。
金属酸化物粒子がリン酸化合物を含む分散剤で被覆されている場合、被覆された金属酸化物粒子100質量%に対して、リン酸化合物が5質量%以上であることが好ましく、より好ましくは10質量%以上である。本発明において用いられる分散剤は、上述の通り、リン酸量が低減されており、被覆層におけるリン酸化合物の量が所定以上であっても金属酸化物粒子と分散媒との相溶性が低下することがなく、また金属酸化物粒子と分散媒と分散剤を含む組成物の貯蔵安定性を向上させることも期待できる。前記したリン酸化合物の量の上限は特に限定されないが、リン酸化合物量は25質量%以下であってもよく、また20質量%以下であってもよい。なお、被覆された金属酸化物粒子(被覆型金属酸化物粒子と呼ぶ場合がある)の量には、リン酸化合物を含む分散剤及び後述の表面処理剤の量も含まれる。なお、リン酸化合物の量は、後述する実施例で示す通り、被覆された金属酸化物粒子を室温から800度まで加熱した際の重量の減少率と、ガスクロマトグラフィーで測定する被覆された金属酸化物粒子中のカルボン酸量の結果から算出できる。
また、被覆層におけるリン酸化合物の量が所定以上であることは、前記金属酸化物粒子の金属原子の質量(M)に対する金属酸化物粒子表面のリン原子の質量(P)の比(P/M)によっても評価することができ、P/Mの値は、0.001以上が好ましく、0.01以上がより好ましく、また0.1以下であってもよい。
3.表面処理剤
本発明の組成物は、必要に応じて、カルボン酸化合物、シランカップリング剤、界面活性剤、及びチタンカップリング剤の少なくとも1種を含んでいることが好ましく、少なくともカルボン酸化合物を含んでいることが好ましく、金属酸化物粒子が少なくともカルボン酸化合物で被覆されていることが好ましい。
被覆された金属酸化物粒子100質量%に対する表面処理剤の量は、0.1質量%以上が好ましく、より好ましくは0.5質量%以上であり、また7質量%以下であってもよく、5質量%以下であってもよい。金属酸化物粒子の被覆層において、リン酸化合物に対する表面処理剤の質量比は、0.03以上が好ましく、より好ましくは0.05以上であり、0.5以下が好ましく、0.3以下がより好ましい。表面処理剤を2種以上用いる場合の表面処理剤の量は、合計量を意味する。
3-1.カルボン酸化合物
カルボン酸化合物は一つ以上のカルボキシル基(-COOH)又は一つ以上のカルボキシレート基(-COO-)を有する化合物である。一つ以上のカルボキシル基を有する化合物としては、シュウ酸、マロン酸、酪酸、コハク酸、吉草酸、グルタル酸、ヘキサン酸、アジピン酸、ヘプタン酸、オクタン酸、ノナン酸、デカン酸、ドデカン酸、テトラデカン酸、パルミチン酸、ステアリン酸などの直鎖状飽和脂肪族カルボン酸;イソ吉草酸、3,3-ジメチル酪酸、3,3-ジエチル酪酸、3-メチル吉草酸、イソノナン酸、4-メチル吉草酸、4-メチルオクタン酸などの1級カルボン酸である分枝鎖状飽和脂肪族カルボン酸;イソ酪酸、2-メチル酪酸、2-エチル酪酸、2-エチルヘキサン酸、2-メチル吉草酸、2-メチルヘキサン酸、2-メチルヘプタン酸、2-プロピル酪酸、2-ヘキシル吉草酸、2-ヘキシルデカン酸、2-ヘプチルウンデカン酸、2-メチルヘキサデカン酸などの2級カルボン酸である分枝鎖状飽和脂肪族カルボン酸;ピバリン酸、2,2-ジメチル酪酸、2,2-ジメチル吉草酸、2,2-ジエチル酪酸、2,2-ジメチルヘキサン酸、ネオデカン酸などの3級カルボン酸である分枝鎖状飽和脂肪族カルボン酸;ナフテン酸、シクロヘキサンジカルボン酸などの脂環式炭化水素基含有カルボン酸;アクリル酸、メタクリル酸、マレイン酸、フマール酸、オレイン酸、リノール酸、リノレン酸などの直鎖状不飽和脂肪族カルボン酸;メトキシ酢酸、エトキシ酢酸、3-エトキシプロピオン酸、2-メトキシエトキシ酢酸、2-メトキシエトキシエトキシ酢酸などのエーテル結合含有カルボン酸;乳酸、りんご酸、クエン酸、ヒドロキシステアリン酸、グリコール酸、DL-乳酸、2-ヒドロキシイソ酪酸、ジメチロールプロピオン酸、ヒドロキシピバル酸、3-ヒドロキシプロピオン酸、DL-2-ヒドロキシ酪酸、DL-3-ヒドロキシ酪酸、2-ヒドロキシ-2-メチル酪酸、β-ヒドロキシイソ吉草酸、2,2-ビス(ヒドロキシメチル)酪酸、セリン、トレオニン、4-ヒドロキシシクロヘキサンカルボン酸、(o-,m-,p-)ヒドロキシ安息香酸などのヒドロキシ基含有カルボン酸;グリオキシル酸、ピルビン酸、レブリン酸、2-オキソ吉草酸、アスパラギン、グルタミン、β-メチルレブリン酸、α-メチルレブリン酸などのカルボニル基含有カルボン酸;安息香酸、フタール酸、イソフタル酸などの芳香族カルボン酸:2-アクリロイロキシエチルコハク酸、2-メタクリロイロキシエチルコハク酸、2-アクリロイロキシエチルヘキサヒドロフタル酸、2-メタクリロイロキシエチルヘキサヒドロフタル酸、2-アクリロイロキシエチルフタル酸、2-メタクリロイロキシエチルフタル酸などの(メタ)アクリロイル基含有カルボン酸;メチオニン、フェニルチオ酢酸などのスルフィド結合含有カルボン酸;グリシン、アラニン、2-メチルアラニン、システイン、セリン、トレオニン、バリン、ロイシン、イソロイシン、メチオニン、リシンなどの-NH2基含有カルボン酸;アスパラギン、グルタミンなどのカルバモイル基含有カルボン酸;アスパラギン酸、グルタミン酸などのジカルボン酸;シアノ酢酸などのシアノ基含有カルボン酸;プロリンなどのカルボキシル基で置換された複素環式化合物;などが挙げられる。
一つ以上のカルボキシレート基(-COO-)を有する化合物としては、多価カルボン酸の酸無水物及び/又はこれら酸無水物の加水分解物であってもよい。多価カルボン酸の酸無水物としては、4-メチルシクロヘキサン-1,2-ジカルボン酸無水物、ヘキサヒドロフタル酸無水物、トリメリット酸無水物、ヘキサヒドロ-4,7-メタノイソベンゾフラン-1,3-ジオン1,2,3,6-テトラヒドロフタル酸無水物、エチレングリコール ビスアンヒドロトリメリテート1,2,3,4-ブタンテトラカルボン酸二無水物、4-(2,5-ジオキソテトラヒドロフラン-3-イル)-1,2,3,4-テトラヒドロナフタレン-1,2-ジカルボン酸無水物、メチルシクロヘキセン-1,2-ジカルボン酸無水物、メチルヘキサヒドロ無水フタル酸、無水メチルナジック酸、ビシクロ[2.2.2]オクト-7-エン-2,3,5,6-テトラカルボン酸二無水物、5-(2,5-ジオキソテトラヒドロフリル)-3-メチル-3-シクロヘキセン-1,2-ジカルボン酸無水物、エチレンジアミン四酢酸二無水物、ジシクロヘキシル-3,4,3’,4’-テトラカルボン酸二無水物、meso-ブタン-1,2,3,4-テトラカルボン酸二無水物、1,2,3,4-シクロペンタンテトラカルボン酸二無水物、トリシクロ[6.4.0.02,7]ドデカン-1,8:2,7-テトラカルボン酸二無水物、1,2,4,5-シクロヘキサンテトラカルボン酸二無水物、1,2,3,4-シクロブタンテトラカルボン酸二無水物、1,2,3,4-テトラメチル-1,2,3,4-シクロブタンテトラカルボン酸二無水物、3-(カルボキシメチル)-1,2,4-シクロペンタントリカルボン酸1,4:2,3-二無水物、ピロメリット酸無水物、4,4’-カルボニルジフタル酸無水物、無水フタル酸、ナフタレン-1,4,5,8-テトラカルボン酸二無水物、4,4’-オキシジフタル酸無水物、4,4’-(4,4’-イソプロピリデンジフェノキシ)ジフタル酸無水物、無水マレイン酸、4,4’-ビフタル酸無水物、3,4’-オキシジフタル酸無水物、9,9-ビス(3,4-ジカルボキシフェニル)フルオレン二無水物、3,4’-ビフタル酸無水物、5-ノルボルネン-2,3-ジカルボン酸無水物、無水酢酸、無水安息香酸、無水プロピオン酸、無水シュウ酸、無水フタル酸、ピロメリット酸二無水物、2-オクテニルこはく酸無水物、ヘキサデシルこはく酸無水物、イソオクタデセニルこはく酸無水物、オクタデシルこはく酸無水物、デセニルこはく酸無水物、[(3-トリエトキシシリル)プロピル]こはく酸無水物、デシルこはく酸無水物、ブチルこはく酸無水物、n-オクチルこはく酸無水物、テトラデセニルこはく酸無水物、ドデシルこはく酸無水物、テトラデシルこはく酸無水物、2-ドデセン-1-イルこはく酸無水物、2-ヘキセン-1-イルこはく酸無水物、[3-(トリメトキシシリル)プロピル]こはく酸無水物、フェニルこはく酸無水物、ヘキサデセニルこはく酸無水物、2,2-ジメチルこはく酸無水物、オクタデセニルこはく酸無水物、(2,7-オクタジエン-1-イル)こはく酸無水物、イソオクタデシルこはく酸無水物、4-ヘキセン-1,2-ジカルボン酸無水物、イタコン酸無水物、アリルこはく酸無水物、(2-メチル-2-プロペニル)こはく酸無水物、オクテニルこはく酸無水物、テトラプロペニルこはく酸無水物、無水コハク酸などが挙げられる。
カルボン酸化合物としては、分枝鎖状飽和脂肪族カルボン酸が含まれているか、多価カルボン酸の酸無水物及び/又は酸無水物の加水分解物が含まれていることが好ましく、少なくとも分枝鎖状飽和脂肪族カルボン酸を含むことが好ましく、特に少なくとも2級カルボン酸である分枝鎖状飽和脂肪族カルボン酸を含むことがより好ましい。なお、2級カルボン酸とは、カルボキシル基に結合した炭素が2級炭素であるカルボン酸を意味する。
被覆された金属酸化物粒子100質量%に対するカルボン酸化合物の量は、0.1質量%以上が好ましく、より好ましくは0.5質量%以上であり、また5質量%以下であってもよく、3質量%以下であってもよい。金属酸化物粒子の被覆層において、リン酸化合物に対するカルボン酸化合物の質量比は、0.01以上が好ましく、より好ましくは0.05以上であり、0.4以下が好ましく、0.3以下がより好ましい。
3-2.シランカップリング剤
シランカップリング剤は、1種又は2種以上を用いることができ、官能基-Si-OR9(ただし、R9はメチル基又はエチル基)を有する化合物が好ましい。シランカップリング剤としては、官能基を有するシランカップリング剤や、アルコキシシラン等が挙げられる。
官能基を有するシランカップリング剤としては、下記式(3):
[X-(CH2m4-n-Si-(OR9n …(3)
(式中、Xは官能基、R9は前記に同じ、mは0~4の整数、nは1~3の整数を表す。)で表されるシランカップリング剤が挙げられる。
Xとしては、ビニル基、アミノ基、(メタ)アクリロキシ基、メルカプト基、グリシドキシ基等が挙げられる。シランカップリング剤を具体的に例示すると、例えば、ビニルトリメトキシシラン、ビニルトリエトキシシラン等の官能基Xがビニル基であるシランカップリング剤;3-アミノプロピルトリメトキシシラン、3-アミノプロピルトリエトキシシラン、N-2-(アミノエチル)-3-アミノプロピルメチルジメトキシシラン、N-2-(アミノエチル)-3-アミノプロピルメチルトリメトキシシラン等の官能基Xがアミノ基であるシランカップリング剤;3-アクリロキシプロピルトリメトキシシラン、3-メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン、3-メタクリロキシプロピルトリエトキシシラン、3-メタクリロキシプロピルメチルジメトキシシラン、3-メタクリロキシプロピルメチルジエトキシシラン等の官能基Xが(メタ)アクリロキシ基であるシランカップリング剤;3-メルカプトプロピルトリメトキシシラン、3-メルカプトプロピルトリエトキシシラン等の官能基Xがメルカプト基であるシランカップリング剤;2-(3,4-エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシラン、3-グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、3-グリシドキシプロピルトリエトキシシラン、3-グリシドキシプロピルメチルジメトキシシラン、3-グリシドキシプロピルメチルジエトキシシラン等の官能基Xがグリシドキシ基であるシランカップリング剤;等が挙げられる。
また、アルコキシシランとしては、メチルトリメトキシシラン、ジメチルジメトキシシラン、トリメチルメトキシシラン、プロピルトリメトキシシラン、ブチルトリエトキシシラン、ヘキシルトリメトキシシラン、ヘキシルトリエトキシシラン、オクチルトリエトキシシラン、デシルトリメトキシシラン等のアルキル基がアルコキシシランのケイ素原子に直接結合しているアルキル基含有アルコキシシラン;フェニルトリメトキシシラン、ジフェニルジメトキシシラン、p-スチリルトリメトキシシラン等の芳香環がアルコキシシランのケイ素原子に直接結合しているアリール基含有アルコキシシラン;等が挙げられる。
シランカップリング剤としては官能基Xが(メタ)アクリロキシ基であるシランカップリング剤及びアルキル基含有アルコキシシランが好ましく、3-アクリロキシプロピルトリメトキシシラン、3-メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン、ヘキシルトリメトキシシラン、オクチルトリエトキシシラン、デシルトリメトキシシランがより好ましい。
3-3.界面活性剤
界面活性剤としては、陰イオン系界面活性剤、陽イオン系界面活性剤、両性イオン界面活性剤等のイオン性界面活性剤、あるいは非イオン系界面活性剤が挙げられる。陰イオン系界面活性剤としては、オレイン酸ナトリウム、ステアリン酸ナトリウム、ラウリン酸ナトリウム等の脂肪酸ナトリウム、脂肪酸カリウム、脂肪酸エステルスルホン酸ナトリウム等の脂肪酸系;アルキルリン酸エステルナトリウム等のリン酸系;アルファオレフィンスルホン酸ナトリウム等のオレフィン系;アルキル硫酸ナトリウム等のアルコール系;アルキルベンゼン系等が挙げられる。陽イオン系界面活性剤としては、塩化アルキルメチルアンモニウム、塩化アルキルジメチルアンモニウム、塩化アルキルトリメチルアンモニウム、塩化アルキルジメチルベンジルアンモニウム等が挙げられる。両性イオン界面活性剤としては、アルキルアミノカルボン酸塩等のカルボン酸系;フォスフォベタイン等のリン酸エステル系等が挙げられる。非イオン系界面活性剤としては、例えば、ポリオキシエチレンラウリン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル等の脂肪酸系;ポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテル;脂肪酸アルカノールアミド等が挙げられる。
3-4.チタンカップリング剤
チタンカップリング剤としては、例えば、イソプロピルトリイソステアロイルチタネート、イソプロピルジメタクリルイソステアロイルチタネート、イソプロピルトリ(ドデシル)ベンゼンスルホニルチタネート、ネオペンチル(ジアリル)オキシ-トリ(ジオクチル)ホスフェイトチタネート、ネオペンチル(ジアリル)オキシ-トリネオドデカノイルチタネート等が挙げられる。
本発明における金属酸化物粒子が、前記した分散剤と表面処理剤の両方で被覆されている場合、被覆された金属酸化物粒子100質量%に対する分散剤と表面処理剤の合計量は、例えば8質量%以上であり、より好ましくは10質量%以上であり、また30質量%以下が好ましく、25質量%以下がより好ましい。
4.溶媒
本発明の組成物は、上記したリン酸化合物を含む分散剤を含んでいるため、金属酸化物粒子と溶媒との相溶性が良好であり、金属酸化物粒子が溶媒を含む組成物中で良好に分散できる。溶媒としては、例えば、メタノール、エタノール、n-プロパノール、イソプロパノール、n-ブタノール、1-メトキシ-2-プロパノール、エチレングリコールなどのアルコール類;メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、シクロヘキサノンなどのケトン類;酢酸エチル、酢酸プロピルなどのエステル類;エチレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノブチルエーテルなどのエーテル類;プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテートなどの変性エーテル類(特に、エーテル変性及び/又はエステル変性アルキレングリコール類);ベンゼン、トルエン、キシレン、エチルベンゼン、ヘキサン、シクロヘキサン、メチルシクロヘキサン、エチルシクロヘキサン、ミネラルスピリットなどの炭化水素類;ジクロロメタン、クロロホルムなどのハロゲン化炭化水素類;ジメチルホルムアミド、N,N-ジメチルアセトアミド、N-メチルピロリドンなどのアミド類;水;鉱物油、植物油、ワックス油、シリコーン油などの油類を挙げることができる。これらは1種でも、2種以上を組み合わせて使用してもよい。取扱性の面から、常圧(1013hPa)での沸点が40℃以上、250℃以下程度の溶媒が好適である。溶媒は、アルコール類、エステル類、ケトン類、及び変性エーテル類の少なくとも1種であることが好ましい。
5.モノマー
また、本発明の組成物は、上記したリン酸化合物を含む分散剤を含んでいるため、金属酸化物粒子とモノマーとの相溶性も良好であり、金属酸化物粒子がモノマーを含む組成物中で良好に分散できる。モノマーとしては、モノマーは、重合性二重結合を1つ有する単官能単量体又は重合性二重結合を2以上有する架橋性単量体が挙げられる。モノマーは1種または2種以上を組み合わせて用いることができる。
単官能単量体としては、(メタ)アクリル酸エステル;スチレン、ptert-ブチルスチレン、α-メチルスチレン、m-メチルスチレン、p-メチルスチレン、p-クロロスチレン、p-クロロメチルスチレン等のスチレン系単量体;(メタ)アクリル酸等のカルボキシ基含有単量体;2-ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、3-ヒドロキシ-2-ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、3-フェノキシ-2-ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート等の水酸基含有単量体等が挙げられる。中でも、単官能(メタ)アクリル酸エステルが好ましい。
単官能(メタ)アクリル酸エステルとしては、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、n-プロピル(メタ)アクリレート、n-ブチル(メタ)アクリレート、イソブチル(メタ)アクリレート、tert-ブチル(メタ)アクリレート、2-エチルヘキシル(メタ)アクリレート、ラウリル(メタ)アクリレート等の(メタ)アクリル酸アルキルエステル;シクロヘキシル(メタ)アクリレート、イソボルニル(メタ)アクリレート等の(メタ)アクリル酸シクロアルキルエステル;2,4-ジブロモ-6-sec-ブチルフェニル(メタ)アクリレート、2,4-ジブロモ-6-イソプロピルフェニル(メタ)アクリレート、フェニル(メタ)アクリレート、2,4,6-トリブロモフェニル(メタ)アクリレート、ペンタブロモフェニル(メタ)アクリレート等の(メタ)アクリル酸アリールエステル;ベンジル(メタ)アクリレート、ペンタブロモベンジル(メタ)アクリレート等の(メタ)アクリル酸アラルキルエステル;フェノキシエチル(メタ)アクリレート、フェノキシ-2-メチルエチル(メタ)アクリレート、2,4,6-トリブロモフェノキシエチル(メタ)アクリレート、2,4-ジブロモフェノキシエチル(メタ)アクリレート、2-ブロモフェノキシエチル(メタ)アクリレート、1-ナフチルオキシエチル(メタ)アクリレート、2-ナフチルオキシエチル(メタ)アクリレート、フェノキシ-2-メチルエチル(メタ)アクリレート、フェノキシエトキシエチル(メタ)アクリレート等のアリールオキシ単位を有する(メタ)アクリル酸エステル;フェニルチオエチル(メタ)アクリレート、1-ナフチルチオエチル(メタ)アクリレート、2-ナフチルチオエチル(メタ)アクリレート等のアリールチオオキシ基を有する(メタ)アクリル酸エステル;メトキシポリエチレングリコール(メタ)アクリレート、フェノキシポリエチレングリコール(メタ)アクリレート等のアルキレングリコールモノ(メタ)アクリレート;グリシジル(メタ)アクリレートなどのグリシジル基を有する(メタ)アクリル酸エステル等が挙げられる。
上記化合物に含まれるRy1-O-(Ry2-O-)n-単位(Ry1は、メチル基、フェニル基を表す。Ry2はエチレン基を表す。nは、整数を表す。)は、Ry1-(O)ty-Ly-単位(tyは0又は1の整数を表し、Lyは単結合、後述する式(a1)~式(a3)のいずれかで表される連結基又は後述する式(a1)~式(a3)で表される連結基のうち2以上を組み合わせた連結基を表す。)に置換されていてもよく、Ry1-O-(CH2CH2-O-)ny-単位(nyは1~30の整数を表す。)であることが好ましい。
架橋性単量体としては、架橋性(メタ)アクリル酸エステル;ジビニルベンゼン等の多官能スチレン系単量体;ジアリルフタレート、ジアリルイソフタレート、トリアリルシアヌレート、トリアリルイソシアヌレート等の多官能アリルエステル系単量体;2-(2-ビニロキシエトキシ)エチル(メタ)アクリレート;ウレタンアクリレートオリゴマー(例えば、紫光(登録商標)シリーズ(日本合成化学工業(株)製)、CNシリーズ(サートマー社製)、ユニディック(登録商標)シリーズ(DIC(株)製)、KAYARAD(登録商標) UX シリーズ(日本化薬(株)製)等);等が挙げられ、中でも架橋性(メタ)アクリル酸エステルが好ましい。
架橋性(メタ)アクリル酸エステルとしては、エチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ジエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、プロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、ジプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、1,6-ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、ジプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、トリプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、ポリプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、テトラメチレングリコールジ(メタ)アクリレート等のアルキレングリコールポリ(メタ)アクリレート;ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、ジネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート等のネオペンチルグリコールポリ(メタ)アクリレート;トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、エトキシ化(3)トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、プロポキシ化(3)トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、ジトリメチロールプロパンテトラ(メタ)アクリレート等のトリメチロールプロパンポリ(メタ)アクリレート;グリセリルトリ(メタ)アクリレート、エトキシ化グリセリルトリ(メタ)アクリレート等のグリセリルポリ(メタ)アクリレート;ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、エトキシ化ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、プロポキシ化ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールペンタ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート等のペンタエリスリトールポリ(メタ)アクリレート;α-アリルオキシメチルアクリル酸メチル等のα-アリルオキシメチルアクリル酸アルキルエステル等が挙げられる。
上記化合物に含まれるRz1-O-(Rz2-O-)n-単位(Rz1は、(メタ)アクリロイル基を表す。Rz2はエチレン基又はプロピレン基を表す。nは、整数を表す。)は、Rz1-(O)tz-Lz-単位(tzは0又は1の整数を表し、Lzは単結合、後述する式(a1)~式(a3)のいずれかで表される連結基又は後述する式(a1)~式(a3)で表される連結基のうち2以上を組み合わせた連結基を表す。)に置換されていてもよく、Rz1-O-(CH2CH2-O-)nz-単位(nzは1~30の整数を表す。)であることが好ましい。
Figure 2022104071000003
(式(a1)~(a3)中、R2~R4は、炭素数1~18の飽和又は不飽和炭化水素基又は炭素数6~30の芳香族含有炭化水素基を表し、R2~R4を構成する水素原子は、エーテル基で置換されていてもよい。
p1、q1及びr1は、それぞれ1~200の整数を表し、p1、q1及びr1の合計は1~200である。)
また、モノマーとしては、1分子中に芳香族環を2以上又は1分子中に橋かけ環を1以上含み、且つ重合性二重結合を1又は2以上有する化合物(以下、これらを総称して「特定含環化合物」という場合がある。)が挙げられる。
前記芳香族環は、芳香族炭化水素環であっても芳香族複素環であってもよく、ベンゼン環、ナフタレン環等の芳香族炭化水素環であることが好ましい。1分子中に芳香族環を2以上含み、且つ重合性二重結合を1又は2以上有する化合物としては、ビフェニルメチル(メタ)アクリレート、o-フェニルフェノキシエチル(メタ)アクリレート、m-フェノキシベンジル(メタ)アクリレート、エトキシ化フェニルフェノール(メタ)アクリレート(オキシエチレン単位の合計は、好ましくは1~30、より好ましくは2~20)、エトキシ化クミルフェノール(メタ)アクリレート(オキシエチレン単位の合計は、好ましくは1~30、より好ましくは2~20)、2-(1-ナフチルオキシ)エチル(メタ)アクリレート、2-(2-ナフチルオキシ)エチル(メタ)アクリレート、ナフチルオキシポリエチレングリコール(メタ)アクリレート、N-ビニルカルバゾール等の1分子中に重合性二重結合を1つと芳香族環を2以上含む化合物;ジビニルナフタレン、プロポキシ化エトキシ化ビスフェノールAジ(メタ)アクリレート(オキシエチレン単位の合計は、好ましくは2~30、より好ましくは5~20。オキシプロピレン単位の合計は、好ましくは2~30、より好ましくは5~20)、エトキシ化ビスフェノールAジ(メタ)アクリレート(オキシエチレン単位の合計は、好ましくは2~40、より好ましくは3~30)、エトキシ化ビスフェノールFジ(メタ)アクリレート(オキシエチレン単位の合計は、好ましくは2~40、より好ましくは3~30)、プロポキシ化ビスフェノールAジ(メタ)アクリレート(オキシプロピレン単位の合計は、好ましくは2~40、より好ましくは3~30)、9,9-ビス[4-(2-(メタ)アクリロキシエトキシ)フェニル]フルオレン、ジフェン酸ジアリル、2,3-ナフタレンジカルボン酸ジアリルエステル等の1分子中に重合性二重結合を2つと芳香族環を2以上含む化合物;等が挙げられる。
上記化合物に含まれるRx1-O-(Rx2-O-)n-単位(Rx1は、フェニルフェニル
基、クミルフェニル基、ナフチル基又は(メタ)アクリロイル基を表す。Rx2はエチレン基又はプロピレン基を表す。nは、整数を表す。nが2以上の場合、Rx2は同一でも異なっていてもよい。)は、Rx1-(O)tx-Lx-単位(txは0又は1の整数を表し、Lxは単結合、後述する式(a1)~式(a3)のいずれかで表される連結基又は後述する式(a1)~式(a3)で表される連結基のうち2以上を組み合わせた連結基を表す。)に置換されていてもよく、Rx1-O-(CH2CH2-O-)nx-単位(nxは1~30の整数を表す。)であることが好ましい。
前記橋かけ環としては、飽和又は不飽和の橋かけ環が挙げられ、飽和の橋かけ環が好ましい。1分子中に橋かけ環を1以上含み、且つ重合性二重結合を1又は2以上有する化合物としては、イソボルニル(メタ)アクリレート等の1分子中に重合性二重結合を1つと橋かけ環を1つ含む化合物;トリシクロデカンジメタノールジ(メタ)アクリレート等の1分子中に重合性二重結合を2つと橋かけ環を1つ含む化合物;等が挙げられ、1分子中に重合性二重結合を1つと橋かけ環を1つ含む化合物が好ましい。
特定含環化合物の含有量は、溶媒及びモノマーの合計100質量部中、好ましくは90質量部以上、より好ましくは95質量部以上、特に好ましくは99質量部以上であり、上限は100質量部である。
上記モノマーのうち、特に単官能(メタ)アクリル酸エステル、又は架橋性(メタ)アクリル酸エステル(両者を合わせて、(メタ)アクリル酸エステルと呼ぶ)が好ましい。
本発明の組成物は、さらにポリマー(樹脂)を含んでいてもよい。以下ポリマー(樹脂)を含む組成物を樹脂組成物という場合がある。前記樹脂組成物は、ポリマー(樹脂)と前記したモノマーとを含んでいてもよい。前記ポリマー(樹脂)としては、1種又は2種以上を用いることができ、例えば6-ナイロン、66-ナイロン、12-ナイロンなどのポリアミド類;ポリイミド類;ポリウレタン類;ポリエチレン、ポロプロピレンなどのポリオレフィン類;PET、PBT、PENなどのポリエステル類;ポリ塩化ビニル類;ポリ塩化ビニリデン類;ポリ酢酸ビニル類;ポリスチレン類;(メタ)アクリル樹脂系ポリマー;ABS樹脂;フッ素樹脂;フェノール・ホルマリン樹脂;クレゾール・ホルマリン樹脂などのフェノール樹脂;エポキシ樹脂;尿素樹脂;メラミン樹脂;グアナミン樹脂などのアミノ樹脂;ポリビニルブチラール系樹脂;ポリウレタン系樹脂;エチレン-酢酸ビニル共重合体系樹脂;エチレン-(メタ)アクリル酸エステル共重合体系樹脂などの軟質樹脂や硬質樹脂;等が挙げられる。上記した中で、ポリイミド類、ポリウレタン類、ポリエステル類、(メタ)アクリル樹脂系ポリマー、フェノール樹脂、アミノ樹脂、エポキシ樹脂がより好ましい。
6.組成物
本発明の組成物は、上述の金属酸化物粒子と、分散剤と、溶媒及びモノマーの少なくとも1種を含む。上述した通り、上記分散剤はリン酸量が低減されている結果、該分散剤を含む本発明の組成物においても、リン酸量が低減されている。前記リン酸の量は、前記金属酸化物粒子100質量%に対して0.60質量%以下であり、好ましくは0.5質量%以下であり、より好ましくは0.3質量%以下であり、更に好ましくは0.2質量%以下であり、一層好ましくは0.1質量%以下であり、下限は0質量%であってもよいし、0.01質量%であってもよい。なお、金属酸化物粒子が分散剤や表面処理剤で被覆されている場合、前記リン酸の量を定める際の、金属酸化物粒子100質量%には、被覆量は含まれない。
本発明の組成物は、金属酸化物粒子と分散媒の相溶性が良好であり、全光線透過率は、30%以上であることが好ましく、より好ましくは40%以上であり、更に好ましくは50%以上であり、上限は特に限定されないが、例えば70%である。またヘイズは50%以下が好ましく、より好ましくは40%以下であり、更に好ましくは35%以下である。
本発明の組成物に、本発明の効果を損なわない範囲において、硬化剤、硬化促進剤、着色剤、内部離型剤、カップリング剤、反応性希釈剤、可塑剤、安定化剤、難燃助剤、架橋剤、低収縮剤、重合禁止剤、酸化防止剤、紫外線吸収剤、消泡剤、レベリング剤、揺変化剤、増粘剤等の他の添加成分が含まれていてもよい。これらの添加成分の含有量は、組成物の合計100質量部に対し、好ましくは10質量部以下、より好ましくは5質量部以下、更に好ましくは0~3質量部である。
本発明の組成物は、金属酸化物粒子と、分散剤と、溶媒及びモノマーの少なくとも1種とを混合すればよいが、例えば金属酸化物粒子を上記分散剤で被覆した後に、好ましくは表面処理剤で被覆した金属酸化物粒子を更に上記分散剤で被覆した後に、被覆後の金属酸化物粒子と、溶媒及びモノマーの少なくとも1種とを混合することで調製できる。
本発明の組成物を調製する際の分散剤の使用量は、金属酸化物粒子100質量部に対して10質量部以上であることが好ましく、より好ましくは13質量部以上であり、更に好ましくは15質量部以上であり、一層好ましくは18質量部以上である。本発明で用いる分散剤は、リン酸量が低減されており、前記した所定以上の範囲の量を用いても金属酸化物粒子と分散媒との相溶性が低下することがなく、また金属酸化物粒子と分散媒と分散剤を含む組成物の貯蔵安定性を向上させることも期待できる。分散剤の使用量の上限は特に限定されないが、該使用量は金属酸化物粒子100質量部に対して30質量部以下であってもよい。なお、表面処理剤で被覆した金属酸化物粒子に対して分散剤を使用する場合には、前記金属酸化物粒子の量には表面処理剤の被覆量も含まれる。
上記分散剤で被覆された金属酸化物粒子は、被覆されていない金属酸化物粒子と分散剤を接触させて製造してもよいし、水熱合成によって得られるカルボン酸化合物で被覆された金属酸化物ナノ粒子と、分散剤を接触させて製造してもよい。前記した水熱合成を経る製造方法では、例えば、水の存在下で、(i)水熱反応により金属酸化物を生成しうる化合物(以下、「金属酸化物粒子前駆体」又は単に「前駆体」という場合がある)及びカルボン酸化合物の混合物、(ii)前記前駆体とカルボン酸化合物との塩、(iii)金属とカルボン酸化合物との塩、のいずれかを水熱反応させることで、カルボン酸化合物で被覆された金属酸化物粒子aを製造し(水熱工程)、さらに前記粒子aをと分散剤を接触させることで、分散剤とカルボン酸化合物で被覆された金属酸化物粒子bを製造できる。
前記(i)における金属酸化物粒子前駆体は、水熱反応により金属酸化物を生成する化合物であることが好ましく、具体的には各種金属及び各種金属の水酸化物、塩化物、オキシ塩化物、オキシ酢酸塩、オキシ硝酸塩、硫酸塩、酢酸塩、有機酸塩、アルコキシド等が含まれる。前記(i)及び(ii)の態様における金属酸化物粒子前駆体中の金属、及び前記(iii)の態様における金属とは、本発明の金属酸化物粒子を構成する金属を意味する。前記(i)~(iii)のいずれかを水熱反応に供する際、これらに対して良好な溶解性を示す炭化水素、ケトン、エーテル、アルコール等の有機溶媒を添加するとよい。
前記水熱反応は、例えば0.1MPaG~2MPaG(ゲージ圧を意味する)の圧力で行うのが好ましく、圧力がこの範囲であると、反応が進行しやすく、金属酸化物粒子の粒径や結晶系の制御が容易である。また水熱反応の温度は、水の飽和蒸気圧を考慮すると、好ましくは200℃以下、より好ましくは190℃以下であり、反応時間を抑制する観点から、好ましくは100℃以上、より好ましくは120℃以上である。反応時間は、反応温度や圧力と収率の関係から調整可能であり、通常は0.1~50時間であり、好ましくは1~20時間である。
前記水熱反応で得られたカルボン酸化合物で被覆された金属酸化物粒子と分散剤を接触させる際、例えばカルボン酸化合物で被覆された金属酸化物粒子と溶媒を混合して得られた溶液に、分散剤を添加し、50~100℃で1~10時間混合すればよい。
7.硬化物
本発明の組成物のうち、モノマーを含む組成物は硬化させることができる。得られる硬化物の形状は特に限定されず、板状、シート状、フィルム状、繊維状などが挙げられる。特に硬化物の形状が板状、シート状、またフィルム状である場合の厚み、また繊維状である場合の直径は1μm~1mmであることが好ましく、より好ましくは5~500μmである。前記硬化物の屈折率は、例えば1.750以上とすることができ、より好ましくは1.755以上であり、更に好ましくは1.760以上であり、上限は特に限定されないが、例えば1.790である。また、前記硬化物のヘイズは50%以下が好ましく、より好ましくは1%以下であり、下限は特に限定されないが、例えば0.1%であってもよい。前記した屈折率、及びヘイズは、前記硬化物の厚みまたは繊維直径が1μm~1mm(好ましくは5~500μm)の場合の値であることが好ましい。
8.用途
本発明の金属酸化物粒子は、溶媒又はモノマーへの良好な分散性を有することから、分散体を用いて成形または硬化した物品等に代表される各種用途への展開が可能となる。高分散性を要する用途としては、例えば、レジスト用途、光学用途、塗布用途、接着用途が挙げられ、光学レンズ、光学フィルム用粘着剤、光学フィルム用接着剤、ナノインプリント用樹脂組成物、マイクロレンズアレイ、透明電極に使用する反射防止層、反射防止フィルムや反射防止剤、光学レンズの表面コート、有機EL光取り出し層、各種ハードコート材、TFT用平坦化膜、カラーフィルター用オーバーコート、反射防止フィルム等の各種保護膜および、光学フィルター、タッチセンサー用絶縁膜、TFT用絶縁膜、カラーフィルター用フォトスペーサー、タッチパネル用保護膜等の光学材料に好適に用いられる。特に本発明の被覆型金属酸化物ナノ粒子は、顕著な分散性に加え、高屈折率、高硬度、高安定性を有するため、光学レンズ、光学レンズの表面コート、各種ハードコート材、タッチセンサー用絶縁膜、TFT用絶縁膜、タッチパネル用保護膜に使用することが好ましい。
さらに本発明の金属酸化物粒子は光学用途以外に、その高い誘電率を生かして半導体のゲート絶縁膜やDRAM等のメモリー用キャパシタ絶縁膜への適用が可能である。このような高誘電率な絶縁膜を得る方法として、有機金属前駆体を用いてCVD(Chemical Vapor Deposition)法やALD(Atomic Layer Deposition)法等の気相成長法で蒸着後、酸化処理する方法が知られている。所望の高誘電率の金属酸化物を得るには600℃以上の高温処理を必要とするが、その影響により、ピニング現象を始めとする半導体層の動作不安定化をもたらす現象が生じる。本発明の被覆型金属酸化物ナノ粒子は高温処理が不要で、生成時点ですでに高い誘電率を有し、半導体微細化に対応できる積層化が可能であると同時に、高温処理不要なことからプラスチック基板上での半導体製造への適用も可能である。また、本発明の酸化ジルコニウムナノ粒子の他の用途として、義歯等の歯科材料やシャープペンシル用鉛筆芯、木軸用鉛筆芯などでの用途が挙げられる。
以下、実施例を挙げて本発明をより具体的に説明する。本発明は以下の実施例によって制限を受けるものではなく、前記、後記の趣旨に適合し得る範囲で適当に変更を加えて実施することも勿論可能であり、それらはいずれも本発明の技術的範囲に包含される。
実施例及び比較例で開示される物性及び特性は、以下の方法で測定した。
(1)結晶構造の解析
酸化ジルコニウム粒子の結晶構造は、X線回折装置(リガク社製、RINT-TTRIII)を用いて解析した。測定条件は以下の通りである。
X線源:CuKα(0.154nm)
X線出力設定:50kV、300mA
サンプリング幅:0.0200°
スキャンスピード:10.0000°/min
測定範囲:10~75°
測定温度:25℃
(2)正方晶、単斜晶の割合の定量
X線回折装置(リガク社製、RINT-TTRIII)を用いて算出される値を元に、計算ソフト(リガク社製、PDXL)を用いて参照強度比法(RIP法)により定量した(ピークの帰属も計算ソフトの指定に従った)。なお、本測定では正方晶と立方晶を区別することが難しく、立方晶が存在する場合でも、その割合は正方晶の割合としてカウントされる。
(3)X線回折解析による結晶子径算出
酸化ジルコニウム粒子の結晶子径は、X線回折装置(リガク社製、RINT-TTRIII)によって解析及び算出される30°のピークの半値幅を元に、計算ソフト(リガク社製、PDXL)を用いて算出した。
(4)電子顕微鏡による平均一次粒子径の測定
被覆型酸化ジルコニウム粒子の平均一次粒子径は、超高分解能電界放出型走査電子顕微鏡(日立ハイテクノロジーズ社製、S-4800)で観察することによって測定した。倍率15万倍で被覆型酸化ジルコニウム粒子を観察し、任意の100個の粒子について、各粒子の長軸方向の長さを測定し、その平均値を平均一次粒子径とした。
(5)有機分量の測定
TG-DTA(熱重量-示唆熱分析)装置により、空気雰囲気下、室温から800℃まで10℃/分で被覆型酸化ジルコニウム粒子を昇温し、該粒子の重量(質量)減少率を測定した。この重量(質量)減少率を被覆型酸化ジルコニウム粒子の有機分量とした。
(6)カルボン酸含有量
被覆型酸化ジルコニウム粒子と酢酸の混合液を、ガスクロマトグラフィーを用いて測定し、内部標準法により被覆型酸化ジルコニウム粒子に含まれるカルボン酸を定量した。カラムはアジレントテクノロジー株式会社製「Agilent J&W GC カラム - DB-FFAP」を使用した。
(7)蛍光X線分析
蛍光X線分析装置(ZSX PrimusII リガク社製)を用いて、被覆型酸化ジルコニウム粒子中のZr及びPの質量比を測定した。得られた質量比から下記式を用いて、P/Mを算出した。
P/M=(Pの質量比)/(Zrの質量比)
(8)分散剤被覆率
りん酸化合物を含む分散剤と被覆型酸化ジルコニウム粒子をそれぞれ重酢酸に分散させて測定資料とし、Variann社製「VNMRS」(共鳴周波数:600MHz、積算回数:128回)を用いて測定した。下記 i)とii)を両方満たす場合、粒子中のりん酸化合物がすべて粒子表面に被覆されていると判断し、分散剤被覆率100%とした。
i)りん酸化合物を含む分散剤のピークが-0.1~0.1ppmの範囲外にのみ存在する
ii)被覆型酸化ジルコニウム粒子のピークが-0.1~0.1ppmの範囲内にのみ存在する
なお、本測定における被覆型酸化ジルコニウム粒子とは、表面処理剤とりん酸化合物を含む分散剤の両者で被覆された酸化ジルコニウム粒子を意味する。
(9)分散性の評価
酸化ジルコニウム粒子分散液20mLを外径30mmの試験管に注ぎ、垂直にした状態で、25℃雰囲気下で24時間放置した。必要に応じて、試料を試験管に流し込むのに必要な最低限の流動性を得るまで加熱した。放置後試験管の底を観察し、沈殿物がない場合を○、沈殿物がある場合を×と評価した。
(10)全光線透過率の測定
無機粒子分散液の全光線透過率は、濁度計(日本電色工業社製 NDH7000)を用いて測定した。セルは光路長1cmの石英セルを用いた。
(11)ヘイズの測定
酸化ジルコニウム粒子分散液のヘイズは、濁度計(日本電色工業社製 NDH7000)を用いて測定した。セルは光路長1cmの石英セルを用いた。
(12)透明性の評価
膜厚100ミクロンのPETフィルム(商品名:コスモシャインAS4300、東洋紡社製)上に、後で詳述する組成物をバーコーター#20で塗工を行い、80℃で5分乾燥後、高圧水銀ランプで1000mJ/cm2の紫外線を照射することにより硬化させ、硬化物を得た(乾燥膜厚:5ミクロン)。作製した硬化物の、厚み方向のヘイズを、濁度計(日本電色工業社製NDH7000)を用いて測定し、下記の通り評価した。
〇:1%以下、△:1%~50%、×:50%超
製造例1:2-エチルヘキサン酸及び/又は2-エチルヘキサン酸由来のカルボキシレートで被覆された被覆型酸化ジルコニウムナノ粒子(被覆型ZrO2粒子1)の製造
2-エチルヘキサン酸ジルコニウムミネラルスピリット溶液(782g、2-エチルヘキサン酸ジルコニウム含有率44質量%、第一希元素化学工業社製)に純水(268g)を混合した。得られた混合液を、攪拌機付きオートクレーブ内に仕込み、該オートクレーブ内の雰囲気を窒素ガスで置換した。その後、混合液を180℃まで加熱し、該温度で16時間保持(オートクレーブ内圧力は0.94MPa)して反応させ、酸化ジルコニウム粒子を生成した。続いて、反応後の混合液を取り出し、底部に溜まった沈殿物を濾別してアセトンで洗浄した後に、乾燥した。乾燥後の前記沈殿物(100g)をトルエン(800mL)に分散させたところ、白濁溶液となった。次に、精製工程として、定量濾紙(アドバンテック東洋社製、No.5C)にて再度濾過し、沈殿物中の粗大粒子などを除去した。さらに、濾液を減圧濃縮してトルエンを除去することで白色の酸化ジルコニウムナノ粒子(被覆型ZrO2粒子1)を回収した。
得られた被覆型ZrO2粒子1の結晶構造を確認したところ、正方晶と単斜晶に帰属される回折線が検出され、回折線の強度から、正方晶と単斜晶の割合は54/46で、その粒子径(結晶子径)は5nmであった。
電子顕微鏡により測定して得られた被覆型ZrO2粒子1の平均粒子径(個数基準の平均一次粒子径)は、12nmであった。また、得られた被覆型ZrO2粒子1を、赤外吸収スペクトルによって分析したところ、C-H由来の吸収と、COOH由来の吸収が確認できた。当該吸収は、被覆型ZrO2粒子1に被覆されている2-エチルヘキサン酸及び/又は2-エチルヘキサン酸由来のカルボキシレートに起因するものと考えられる。
さらに上記した「(5)有機分量の測定」に従って測定した被覆型ZrO2粒子1の有機分量は、12質量%だった。従って、被覆型ZrO2粒子1を被覆する2-エチルヘキサン酸及び/又は2-エチルヘキサン酸由来のカルボキシレートは、被覆型ZrO2粒子1全体の12質量%であることが分かった。
製造例2:2-エチルヘキサン酸とポリエチレングリコールモノメチルエーテルリン酸エステルで被覆された酸化ジルコニウムナノ粒子(被覆型ZrO2粒子2A)の製造
上記製造例1で得られた被覆型ZrO2粒子1(40g)をトルエン(40g)と混合し、均一撹拌することで透明分散溶液を得た。当該溶液に下記式(p1)及び表1に示す組成の分散剤A8.8gを添加し、80℃で3時間混合することで酸化ジルコニウム分散液を得た。
次いでn-ヘキサンを添加することで分散粒子を凝集させ白濁液を得た。当該白濁液から凝集粒子を濾紙により分離後、室温で加熱乾燥し、2-エチルヘキサン酸及び/又は2-エチルヘキサン酸由来のカルボキシレートとポリエチレングリコールモノメチルエーテルリン酸エステルで被覆された酸化ジルコニウムナノ粒子(被覆型ZrO2粒子2A)を調製した。
「(5)有機分量の測定」に従って測定した被覆型ZrO2粒子2Aの有機分量は、13質量%であった。また、「(6)カルボン酸含有量」」に従って測定した被覆型ZrO2粒子2Aの2-エチルヘキサン酸量は1質量%であった。その結果、2-エチルヘキサン酸とエチレングリコールモノメチルエーテルリン酸エステル(リン酸量も含む)は、被覆型ZrO2粒子2A全体(100質量%)のそれぞれ1質量%、12質量%であることがわかった。「(7)蛍光X線分析」に従って測定したP/M(MはZr)は3.9/94=0.041であった。「(8)分散剤被覆率」に従って測定した被覆型ZrO2粒子2Aの分散剤被覆率は100%であった。
製造例3
製造例2における分散剤Aに代えて、分散剤Bを用いたこと以外は製造例2と同様にして、被覆型ZrO2粒子2Bを調製した。
「(5)有機分量の測定」に従って測定した被覆型ZrO2粒子2Bの有機分量は、13質量%であった。また、「(6)カルボン酸含有量」」に従って測定した被覆型ZrO2粒子2Bの2-エチルヘキサン酸量は1質量%であった。その結果、2-エチルヘキサン酸とエチレングリコールモノメチルエーテルリン酸エステル(リン酸量も含む)は、被覆型ZrO2粒子2B全体(100質量%)のそれぞれ1質量%、12質量%であることがわかった。「(7)蛍光X線分析」に従って測定したP/M(MはZr)は3.7/94=0.039であった。「(8)分散剤被覆率」に従って測定した被覆型ZrO2粒子2Bの分散剤被覆率は100%であった。
製造例4
製造例2における分散剤Aに代えて、分散剤Cを用いたこと以外は製造例2と同様にして、被覆型ZrO2粒子2Cを調製した。
「(5)有機分量の測定」に従って測定した被覆型ZrO2粒子2Cの有機分量は、21質量%であった。また、「(6)カルボン酸含有量」」に従って測定した被覆型ZrO2粒子2Cの2-エチルヘキサン酸量は2質量%であった。その結果、2-エチルヘキサン酸とエチレングリコールモノメチルエーテルリン酸エステル(リン酸量も含む)は、被覆型ZrO2粒子2C全体(100質量%)のそれぞれ2質量%、19質量%であることがわかった。
「(7)蛍光X線分析」に従って測定したP/M(MはZr)は2.6/95=0.027であった。「(8)分散剤被覆率」に従って測定した被覆型ZrO2粒子2Cの分散剤被覆率は100%であった。
製造例5
製造例2における分散剤Aに代えて、分散剤Dを用いたこと以外は製造例2と同様にして、被覆型ZrO2粒子2Dを調製した。
「(5)有機分量の測定」に従って測定した被覆型ZrO2粒子2Dの有機分量は、23質量%であった。また、「(6)カルボン酸含有量」」に従って測定した被覆型ZrO2粒子2Dの2-エチルヘキサン酸量は2質量%であった。その結果、2-エチルヘキサン酸とエチレングリコールモノメチルエーテルリン酸エステル(リン酸量も含む)は、ZrO2粒子2D全体(100質量%)のそれぞれ2質量%、21質量%であることがわかった。「(7)蛍光X線分析」に従って測定したP/M(MはZr)は2.3/96=0.024であった。「(8)分散剤被覆率」に従って測定した被覆型ZrO2粒子2Dの分散剤被覆率は100%であった。
製造例6
製造例2における分散剤Aに代えて、分散剤Eを用いたこと以外は製造例2と同様にして、被覆型ZrO2粒子2Eを調製した。
「(5)有機分量の測定」に従って測定した被覆型ZrO2粒子2Eの有機分量は、13質量%であった。また、「(6)カルボン酸含有量」」に従って測定した被覆型ZrO2粒子2Eの2-エチルヘキサン酸量は1質量%であった。その結果、2-エチルヘキサン酸とエチレングリコールモノメチルエーテルリン酸エステル(リン酸量も含む)は、被覆型ZrO2粒子2E全体(100質量%)のそれぞれ1質量%、12質量%であることがわかった。「(7)蛍光X線分析」に従って測定したP/M(MはZr)は4.6/93=0.049であった。「(8)分散剤被覆率」に従って測定した被覆型ZrO2粒子2Eの分散剤被覆率は100%であった。
製造例7
製造例2における分散剤Aに代えて、分散剤Fを用いたこと以外は製造例2と同様にして、被覆型ZrO2粒子2Fを調製した。
「(5)有機分量の測定」に従って測定した被覆型ZrO2粒子2Fの有機分量は、13質量%であった。また、「(6)カルボン酸含有量」」に従って測定した被覆型ZrO2粒子2Fの2-エチルヘキサン酸量は1質量%であった。その結果、2-エチルヘキサン酸とエチレングリコールモノメチルエーテルリン酸エステル(リン酸量も含む)は、被覆型ZrO2粒子2F全体(100質量%)のそれぞれ1質量%、12質量%であることがわかった。「(7)蛍光X線分析」に従って測定したP/M(MはZr)は3.3/95=0.035であった。「(8)分散剤被覆率」に従って測定した被覆型ZrO2粒子2Fの分散剤被覆率は100%であった。
製造例8:2-エチルヘキサン酸とエチレングリコールモノメチルエーテルリン酸エステルと酸無水物及びその加水分解物で被覆された酸化ジルコニウムナノ粒子(被覆型ZrO2粒子2G)の製造
上記製造例1で得られた被覆型ZrO2粒子1(40g)をトルエン(40g)と混合し、均一撹拌することで透明分散溶液を得た。当該溶液に表面処理剤として分散剤A(エチレングリコールモノメチルエーテルリン酸エステル、7.0g)及び3-メチル-4-シクロヘキセン-1,2-ジカルボン酸無水物(1.1g)を添加し、80℃で3時間混合することで酸化ジルコニウム分散液を得た。
次いでn-ヘキサンを添加することで分散粒子を凝集させ白濁液を得た。当該白濁液から凝集粒子を濾紙により分離後、室温で加熱乾燥し、2-エチルヘキサン酸及び/又は2-エチルヘキサン酸由来のカルボキシレートとエチレングリコールモノメチルエーテルリン酸エステルと、3-メチル-4-シクロヘキセン-1,2-ジカルボン酸無水物及びその加水分解物で被覆された酸化ジルコニウムナノ粒子(被覆型ZrO2粒子2G)を調製した。
「(5)有機分量の測定」に従って測定した被覆型ZrO2粒子2Gの有機分量は、13質量%であった。また、「(6)カルボン酸含有量」」に従って測定した被覆型ZrO2粒子2Gの2-エチルヘキサン酸量は1質量%であった。その結果、被覆型ZrO2粒子2G全体(100質量%)に対して、2-エチルヘキサン酸が1質量%、エチレングリコールモノメチルエーテルリン酸エステル(リン酸量も含む)と酸無水物及びその加水分解物が12質量%であることがわかった。「(7)蛍光X線分析」に従って測定したP/M(MはZr)は、3.1/94=0.033であった。「(8)分散剤被覆率」に従って測定した被覆型ZrO2粒子2Gの分散剤被覆率は100%であった。
上記した製造例で用いた分散剤A~Fは、下記式(p1)で示されるポリエチレングリコールモノメチルエーテルリン酸エステルを含む組成物であり、式中のR1、R2及びnの値、a=1であるモノエステルの割合、a=2であるジエステルの割合、リン酸含有量は下記表1に示す通りである。なお、モノエステルとジエステルの割合は、これら合計を100とした時のモル比であり、リン酸量は、モノエステル、ジエステル及びリン酸の合計を100質量%とした時の値である。
Figure 2022104071000004
Figure 2022104071000005
実施例1-1
製造例2で得られた被覆型ZrO2粒子2A(20g)、メタノール(8.5g)を配合し、均一撹拌することで、酸化ジルコニウム粒子含有率70%のメタノール分散液を得た。
実施例1-2
製造例3で得られた被覆型ZrO2粒子2B(20g)、プロピレングリコールモノメチルエーテル(以後、PGMとする)(8.5g)を配合し、均一撹拌することで、酸化ジルコニウム粒子含有率70%のPGM分散液を得た。
実施例1-3
製造例4で得られた被覆型ZrO2粒子2C(20g)、メチルエチルケトン(以後、MEKとする)(8.5g)を配合し、均一撹拌することで、酸化ジルコニウム粒子含有率70%のMEK分散液を得た。
実施例1-4
製造例5で得られた被覆型ZrO2粒子2D(20g)、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート(以後、PGMEAとする)(8.5g)を配合し、均一撹拌することで、酸化ジルコニウム粒子含有率70%のPGMEA分散液を得た。
実施例1-5
製造例8で得られた被覆型ZrO2粒子2G(20g)、m-フェノキシベンジルアクリレート(以後、PBZA)(5.0g)を配合し、均一撹拌することで、酸化ジルコニウム粒子含有率80%のPBZA分散液を得た。
比較例1-1
製造例6で得られた被覆型ZrO2粒子2E(20g)、メタノール(8.5g)を配合し、均一撹拌することで、酸化ジルコニウム粒子含有率70%のメタノール分散液を得た。
比較例1-2
製造例7で得られた被覆型ZrO2粒子2F(20g)、PGM(8.5g)を配合し、均一撹拌することで、酸化ジルコニウム粒子含有率70%のPGM分散液を得た。
上記実施例1-1~1-5について、上記した「(5)有機分量の測定」、「(7)蛍光X線分析」、「(9)分散性の評価」、「(10)全光線透過率の測定」、「(11)ヘイズの測定」に従って測定した結果を表2に示す。
Figure 2022104071000006
表2によれば、リン酸含有量の少ない分散剤A~Dを用いた実施例1-1~実施例1-5では、組成物中のリン酸含有量が低減されているため、良好な分散性、全光線透過率、及びヘイズを実現できたことが分かる。なお、金属酸化物粒子100質量%に対するリン酸の量は、使用した分散剤中のリン酸量に基づいて実施例1-1:0.10質量%、実施例1-2:0.08質量%、実施例1-3:0.25質量%、実施例1-4:0.23質量%、実施例1-5:0.10質量%であり、比較例1-1:0.62質量%、比較例1-2:0.75質量%と算出される。
実施例2-1~実施例2-4
茶色褐色ガラス瓶に、実施例1-1~1-4で得られた分散液5.0gと、下記表3に記載のモノマー3.5gと、MEK9.0gと、Irgacure184(光ラジカル重合開始剤、BASF社製)0.1gを仕込み、均一になるまで撹拌を行い、酸化ジルコニウム粒子含有組成物を得た。
得られた酸化ジルコニウム粒子含有組成物について(12)透明性評価を行った結果を下記表3に示す。なお、用いたモノマーは以下の通りである。
3PO-TMPTA:プロポキシ化(3)トリメチロールプロパントリアクリレート(商品名:SR492 サートマー社製)
DPHA:ジペンタエリスルトールヘキサアクリレート(商品名:KAYARAD DPHA 日本化薬社製)
PETA:ペンタエリスリトールトリアクリレート(商品名:SR444 NS サートマー社製)
Figure 2022104071000007
更に表3から、実施例1-1~1-4を用いて調製したモノマー組成物から得られる硬化物は、硬化物の透明性が良好であり、金属酸化物粒子とモノマーとの相溶性が良好であることも分かる。
実施例3-1~実施例3-2
実施例1-1、1-2で得られた分散液について、茶色褐色ガラス瓶に当該溶液5.0gにPETA0.87g、Irgacure184(光ラジカル重合開始剤、BASF社製)0.03gを仕込み、均一になるまで撹拌を行い、酸化ジルコニウム粒子含有組成物を得た。得られた分散液を、ロータリーエバポレーターを用いて分散媒(有機溶媒)を減圧除去することで、酸化ジルコニウム粒子モノマー分散体を得た。得られた分散体を膜厚100ミクロンのPETフィルム(商品名:コスモシャインAS4300、東洋紡社製)上に、アプリケーター#01で塗工し、高圧水銀ランプで1000mJ/cm2の紫外線を照射することにより硬化させ、硬化物を得た(乾燥膜厚:100ミクロン)。作製した硬化物を縦35mm、横8mmのサイズで切り取り、ATAGO社製多波長アッベ屈折計DR-M4型(測定温度20℃、干渉フィルター波長589(D)nm)の測定部に中間液(イオウヨウ化メチレン溶液)を少量垂らした後に、その上から気泡が入らないように塗工面を下にして切り出した硬化物を置き、屈折率を測定した。
実施例3-3
実施例1-5で得られた分散液について、茶色褐色ガラス瓶に当該溶液5.0gにIrgacure184(光ラジカル重合開始剤、BASF社製)0.03gを仕込み、均一になるまで撹拌を行い、酸化ジルコニウム粒子モノマー分散体を得た。得られた分散体を膜厚100ミクロンのPETフィルム(商品名:コスモシャインAS4300、東洋紡社製)上に、アプリケーター#01で塗工し、高圧水銀ランプで1000mJ/cm2の紫外線を照射することにより硬化させ、硬化物を得た(乾燥膜厚:100ミクロン)。作製した硬化物を縦35mm、横8mmのサイズで切り取り、ATAGO社製多波長アッベ屈折計DR-M4型(測定温度20℃、干渉フィルター波長589(D)nm)の測定部に中間液(イオウヨウ化メチレン溶液)を少量垂らした後に、その上から気泡が入らないように塗工面を下にして切り出した硬化物を置き、屈折率を測定した。
結果を下記表4に示す。
Figure 2022104071000008
更に表4より、実施例1-1~1-2、1-5を用いて調製したモノマー組成物では、酸化ジルコニウム粒子とモノマーとの相溶性が良好であるため、酸化ジルコニウム粒子の含有率を十分に高めることができ、その結果、モノマー組成物の硬化物の屈折率を高めることができることが分かる。

Claims (6)

  1. 平均一次粒子径が50nm以下である金属酸化物粒子と、
    リン酸化合物を含む分散剤と、
    溶媒及びモノマーの少なくとも1種を含む組成物であって、
    前記組成物にはリン酸が含まれていてもよく、前記リン酸の量が、金属酸化物粒子100質量%に対して0.60質量%以下であることを特徴とする組成物。
  2. 前記金属酸化物粒子は、前記分散剤で被覆されている請求項1に記載の組成物。
  3. 前記リン酸化合物は、下記式(p1)で表されるリン酸エステルまたはその塩の少なくとも1種である請求項1または2に記載の組成物。
    Figure 2022104071000009
    上記式(p1)中、R1は炭素数1~10の直鎖状または分岐鎖状アルキル基であり、R2は炭素数2~4の直鎖状または分岐鎖状アルキレン基であり、nは1~10であり、aは1~3である。
  4. 前記リン酸化合物は、上記式(p1)においてaが1であるリン酸モノエステルと、上記式(p1)においてaが2であるリン酸ジエステルを含む請求項3に記載の組成物。
  5. 前記金属酸化物粒子の金属原子の質量(M)に対する金属酸化物粒子表面のリン原子の質量(P)の比(P/M)が0.001~0.1である請求項1~4のいずれかに記載の組成物。
  6. モノマーを含む請求項1~5のいずれかに記載の組成物の硬化物。
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