JP2017154927A - 酸化ジルコニウムナノ粒子 - Google Patents

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Abstract

【課題】透明性や呈色の均一性に優れたセラミックスの前駆体(原料)として有用な酸化ジルコニウムナノ粒子を提供する。【解決手段】本発明は、カルボン酸で被覆された酸化ジルコニウムナノ粒子であって、前記酸化ジルコニウムナノ粒子は、イットリウムを含有すると共に、希土類元素以外の遷移金属の少なくとも1種を含有する酸化ジルコニウムナノ粒子である。該酸化ジルコニウムナノ粒子は、酸化ジルコニウム焼成体の前駆体として好適に用いられる。【選択図】図1

Description

本発明は、酸化ジルコニウムナノ粒子に関する。
近年、金属酸化物ナノ粒子は、光学材料、医薬品、セラミックス、電子材料などの幅広い分野で応用されており、非常に注目を集めている。しかしながら単一金属の酸化物ナノ粒子の機能は限定的であり、より特異な性能を発揮する可能性のある複合酸化物ナノ粒子が注目を集めてきている。特に、ジルコニアナノ粒子は、セラミックス材料への応用が期待される。
例えば、特許文献1〜3には、呈色した安定化ジルコニア焼結体が開示されている。特許文献1〜3ではいずれも、原料として複数種の金属酸化物を別々に用意し、これらをボールミルなどで混合し、成形して焼結している。しかし、複数種の原料を別々に用意して混合すると、異種原料同士の混合が不均一であったり、またボールミルを用いると、ミルに由来して不純物が混入したり、粒径が不均一になったりする。このような方法で焼結されたセラミックスは粒界に起因して透明性が低下したり、呈色が不均一であるという問題があった。
特表2010−501465号公報 特開2012−116745号公報 特開2013−230981号公報
本発明は、透明性や呈色の均一性に優れたセラミックスの前駆体(原料)として有用な酸化ジルコニウムナノ粒子を提供することを目的とする。
上記課題を達成した本発明は、カルボン酸で被覆された酸化ジルコニウムナノ粒子であって、前記酸化ジルコニウムナノ粒子は、イットリウムを含有すると共に、希土類元素以外の遷移金属の少なくとも1種を含有する酸化ジルコニウムナノ粒子である。本発明の酸化ジルコニウムナノ粒子は、酸化ジルコニウム焼成体の前駆体として好適である。
本発明は、前記酸化ジルコニウムナノ粒子を焼成して得られるセラミックス材料も包含する。更に、本発明は、前記酸化ジルコニウムナノ粒子を500℃以上で焼成するセラミックス材料の製造方法、及び前記酸化ジルコニウムナノ粒子を含む組成物を500℃以上で焼成するセラミックス材料の製造方法も包含する。
本発明によれば、イットリウムと、希土類元素以外の遷移金属元素を共に含み、カルボン酸で被覆された酸化ジルコニウムナノ粒子が実現でき、このようなナノ粒子を用いて焼成したセラミックス(焼結されたセラミックスも含む。以下、同じ。)は透明性及び呈色の均一性に優れている。
図1は、本発明の酸化ジルコニウムナノ粒子を焼成して得られた酸化ジルコニウムセラミックスの吸光度を示すグラフである。 図2は、実施例及び比較例の焼成後のサンプルのX線回折パターンを示すグラフである。
本発明の酸化ジルコニウムナノ粒子は、カルボン酸で被覆されているため、分散性が良好(溶媒や樹脂といった有機媒体に対する分散性を含む)であり、本発明の酸化ジルコニウムナノ粒子を焼成して得られるセラミックス材料は透光性、靱性、強度等のセラミックス特性が良好である。また、イットリウムを含んでいるため、酸化ジルコニウムナノ粒子の結晶構造における正方晶及び/又は立方晶割合を向上でき、また該ナノ粒子を焼成してセラミックス材料を得た際に、イットリウムが構造安定化剤として働き、正方晶及び/又は立方晶の割合の変化を抑制できる。更に、本発明では酸化ジルコニウムナノ粒子が遷移金属を含んでいるため、このナノ粒子を焼成して得られるセラミックスが呈色すると共に、酸化ジルコニウムナノ粒子自体が遷移金属を含んでいるため、酸化ジルコニウムと遷移金属の酸化物とを別々に用意して混合して焼成させる場合に比べて、均一に呈色するだけでなく、他の酸化物との粒界に起因する焼結体の強度低下を防ぐことが可能となる。
本発明の酸化ジルコニウムナノ粒子を被覆するカルボン酸(以下、第1のカルボン酸と呼ぶ)は、炭素数3以上、22以下(好ましくは4以上、20以下、より好ましくは5以上、18以下)のカルボン酸が好ましく、その場合、1級カルボン酸、2級カルボン酸、3級カルボン酸のいずれであっても良い。
1級カルボン酸としては、直鎖状1級カルボン酸、分岐状1級カルボン酸(すなわち、α位以外の炭素原子が枝分かれしたカルボン酸)が挙げられ、中でも炭素数が4以上(より好ましくは5以上、更に好ましくは8以上)20以下の直鎖状カルボン酸、α位以外の炭素原子が枝分かれしたカルボン酸が好ましい。炭素数が4以上20以下の直鎖状カルボン酸は、直鎖状飽和脂肪族カルボン酸であることが好ましく、具体的には、酪酸、吉草酸、ヘキサン酸、ヘプタン酸、カプリル酸、ノナン酸、デカン酸、ラウリン酸、テトラデカン酸、ステアリン酸、オレイン酸、リシノール酸などが挙げられ、好ましくはカプリル酸、ラウリン酸、ステアリン酸、オレイン酸、リシノール酸である。α位以外の炭素原子が枝分かれしたカルボン酸とは、すなわち炭化水素基にカルボキシル基が結合したカルボン酸であって、前記炭化水素基のα位以外の炭素原子が枝分かれしたカルボン酸を意味する。このようなカルボン酸の炭素数は4〜20が好ましく、より好ましくは5〜18であり、例えばイソ吉草酸、3,3−ジメチル酪酸、3−メチル吉草酸、イソノナン酸、4−メチル吉草酸、4−メチル−n−オクタン酸、ナフテン酸などが挙げられる。
2級カルボン酸としては、炭素数4〜20の2級カルボン酸が好ましく、炭素数5〜18の2級カルボン酸がより好ましく、具体的にはイソ酪酸、2−メチル酪酸、2−エチル酪酸、2−エチルヘキサン酸、2−メチル吉草酸、2−メチルヘキサン酸、2−メチルヘプタン酸、2−プロピル酪酸、2−ヘキシル吉草酸、2−プロピル酪酸、2−ヘキシルデカン酸、2−ヘプチルウンデカン酸、2−メチルヘキサデカン酸、4−メチルシクロヘキサンカルボン酸などが挙げられる。中でも、2−エチルヘキサン酸、2−ヘキシルデカン酸の1種以上であることが好ましく、2−エチルヘキサン酸が特に好ましい。
3級カルボン酸としては、炭素数5〜20の3級カルボン酸が好ましく、具体的にはピバル酸、2,2−ジメチル酪酸、2,2−ジメチル吉草酸、2,2−ジメチルヘキサン酸、2,2−ジメチルヘプタン酸、ネオデカン酸などが挙げられる。
第1のカルボン酸としては、1級カルボン酸及び2級カルボン酸の1種以上が好ましく、α位以外の炭素原子が枝分かれしたカルボン酸、炭素数4〜20の直鎖状カルボン酸、及び2級カルボン酸の1種以上であることが好ましい。このうち、第1のカルボン酸としては、α位以外の炭素原子が枝分かれしたカルボン酸及び2級カルボン酸の少なくとも1種が好ましく、より好ましくは2級カルボン酸である。
第1のカルボン酸の量は、第1のカルボン酸で被覆された酸化ジルコニウムナノ粒子に対して、例えば5〜40質量%(好ましくは8〜35質量%であり、より好ましくは10〜30質量%)である。本発明の酸化ジルコニウムナノ粒子が、後述する第1のカルボン酸以外の有機酸で更に被覆される場合には、第1のカルボン酸と、第1のカルボン酸以外の有機酸の合計量が前述の範囲となれば良い。
なお、本発明の酸化ジルコニウムナノ粒子が第1のカルボン酸で被覆されているとは、第1のカルボン酸が酸化ジルコニウムナノ粒子に化学的に結合した状態及び物理的に結合した状態のいずれをも含む意味であり、第1のカルボン酸及び/又は第1のカルボン酸由来のカルボキシレートで被覆されていることを意味する。
本発明の酸化ジルコニウムナノ粒子は、イットリウムを含んでおり(例えばイットリアとして含まれる)、酸化ジルコニウム結晶における結晶構造が安定している。すなわち、本発明の酸化ジルコニウムナノ粒子中の正方晶及び/又は立方晶の割合を高くできると共に、酸化ジルコニウムナノ粒子を焼成した際の正方晶及び/又は立方晶の減少を抑制でき、焼成後の正方晶及び/又は立方晶の割合を高くできる。
イットリウムの含有量は、酸化ジルコニウムナノ粒子中のジルコニウム、イットリウム、希土類元素以外の遷移金属(以下、本明細書で「遷移金属」とは、希土類元素を除く遷移金属の意味で用いる)の合計質量に対する割合で、0.5〜30質量%であることが好ましく、より好ましくは1〜20質量%であり、更に好ましくは1.5〜15質量%である。なお、希土類元素とは、Sc、Yと、ランタノイド系(原子番号57のLa〜原子番号71のLu)を意味する。イットリウム量が少なすぎると、安定化効果が十分に得られない可能性があり、またイットリウム量が多すぎると酸化ジルコニウム本来の性能を十分に得られない可能性がある。
本発明の酸化ジルコニウムナノ粒子は、イットリウムと共に、遷移金属の少なくとも1種を含んでいる。ナノ粒子が遷移金属を含むことで、ナノ粒子を焼成して得られるセラミックス材料が均一に呈色する。遷移金属としては、周期表第4周期及び第5周期の遷移金属の少なくとも1種が好ましく、より好ましくは第4周期の遷移金属(すなわち、Ti、V、Cr、Mn、Fe、Co、Ni、Cu)の少なくとも1種が好ましく、より好ましくはMn、Fe、Co、Ni、Cuの少なくとも1種である。
遷移金属の含有量(複数種含む場合には合計の含有量)は、酸化ジルコニウムナノ粒子中のジルコニウム、イットリウム、遷移金属の合計質量に対する割合で、0.05〜2質量%であり、より好ましくは0.1〜1質量%、更に好ましくは0.15〜0.6質量%である。遷移金属量が少なすぎると、遷移金属の効果が十分発揮できない可能性があり、焼成後の着色やドーピング効果が十分に発揮されない。一方、遷移金属量が多すぎると、イットリウムの安定化効果が低下し、焼成した後の硬さや靱性に影響が出る。
なお、本発明の酸化ジルコニウムナノ粒子に含まれるジルコニウムの割合は、ジルコニウムナノ粒子に含まれる全金属元素の合計に対して、例えば65質量%以上であり、好ましくは68質量%以上であり、より好ましくは70質量%以上である。また、本発明の酸化ジルコニウムナノ粒子に含まれる金属元素として、イットリウム、遷移金属(希土類を除く)以外の他の金属元素が含まれていても良く、このような他の金属元素は通常、周期表3族以降の金属元素である。他の金属元素の合計量は、ジルコニウムナノ粒子に含まれる全金属元素の合計に対して、例えば3質量%以下であり、より好ましくは2質量%以下であり、0質量%であっても良い。
本発明の酸化ジルコニウムナノ粒子の結晶構造は、立方晶、正方晶、単斜晶であり、正方晶及び立方晶の合計が結晶構造全体の80%以上であることが好ましい。正方晶及び/又は立方晶の割合は、正方晶及び立方晶の合計で好ましくは85%以上であり、より好ましくは90%以上である。正方晶単独又は立方晶単独であっても良い。また、本発明の酸化ジルコニウムナノ粒子は、イットリウムを含んでいるため、正方晶及び/又は立方晶が安定しており、焼成して得られるセラミックス材料の正方晶及び/又は立方晶の割合も高い。本発明の酸化ジルコニウムナノ粒子を焼成して得られるセラミックス材料の正方晶及び/又は立方晶の割合は、正方晶及び立方晶の合計で例えば25%以上であり、好ましくは50%以上、より好ましくは90%以上である。焼成前後の正方晶及び立方晶の合計割合の変化量は、焼成前の正方晶及び立方晶の合計割合に対して70%以下が好ましく、より好ましくは30%以下、更に好ましくは10%以下であり、最も好ましくは5%以下である。
酸化ジルコニウムナノ粒子の形状としては球状、粒状、楕円球状、立方体状、直方体状、ピラミッド状、針状、柱状、棒状、筒状、りん片状、板状、薄片状等が挙げられる。溶媒等への分散性や焼結した後の物理的強度を考慮すると、前記形状としては、球状、粒状、柱状等が好ましい。
X線回折解析により算出される酸化ジルコニウムナノ粒子の結晶子径は、30nm以下であることが好ましい。このようにすることによって、酸化ジルコニウムナノ粒子を含有する組成物の透明率を向上できる。また、当該粒子を焼成温度の低減、焼成体の透明性向上なども合わせて期待できる。該結晶子径は、より好ましくは20nm以下であり、さらに好ましくは15nm以下である。該結晶子径の下限は、通常1nm程度である。
酸化ジルコニウムナノ粒子の粒子径は、各種電子顕微鏡によって得られた画像を処理することによって得られる平均粒子径によって評価でき、該平均粒子径(平均一次粒子径)は、50nm以下が好ましい。このようにすることによって、酸化ジルコニウムナノ粒子を含有する組成物の透明率を向上できる。平均一次粒子径は、より好ましくは30nm以下であり、さらに好ましくは20nm以下である。平均一次粒子径の下限は、通常1nm程度(特に5nm程度)である。
前記平均粒子径は、酸化ジルコニウムナノ粒子を透過型電子顕微鏡(TEM)、電界放射型透過電子顕微鏡(FE−TEM)、電界放射型走査電子顕微鏡(FE−SEM)などで拡大し、無作為に100個の粒子を選択してその長軸方向の長さを測定し、その算術平均を求めることで決定できる。
本発明の酸化ジルコニウム粒子は、水熱合成反応後に得られた前記第1のカルボン酸で被覆されたものを、更に常温もしくは加熱して表面処理を行うことによって第1のカルボン酸以外の有機酸、シランカップリング剤、界面活性剤及び有機リン化合物等で表面修飾されていてもよい。最初に得られたナノ粒子に再度表面処理を施すことにより、焼成前駆体として他の物質との混合性、成型性等を制御することが可能となり、様々な用途への応用することができるようになる。好ましい有機酸、シランカップリング剤、界面活性剤及び有機リン化合物について、以下に説明する。
<有機酸>
有機酸としては、第1のカルボン酸以外の、カルボキシル基を有するカルボン酸化合物が好ましく用いられる。カルボン酸化合物は酸化ジルコニウムナノ粒子に化学結合するか、或いは水素原子やカチオン性原子と共にカルボン酸やその塩を形成して酸化ジルコニウムナノ粒子に付着するため、本発明において「被覆」とは、カルボン酸化合物が酸化ジルコニウムに化学的に結合した状態、カルボン酸化合物が酸化ジルコニウムに物理的に付着した状態の両方を包含する。
第1のカルボン酸以外の、カルボキシル基を有するカルボン酸化合物としては、溶媒への分散性や、酸化ジルコニウムナノ粒子以外の材料の性質で自由に選択可能であるが、(メタ)アクリル酸類、エステル基、エーテル基、水酸基、アミノ基、アミド基、チオエステル基、チオエーテル基、カーボネート基、ウレタン基、およびウレア基からなる群より選ばれる1以上の置換基を有するカルボン酸、炭素数4〜20の直鎖状カルボン酸、分枝鎖状カルボン酸、環状カルボン酸又は芳香族カルボン酸等の1つ以上(好ましくは1つ)のカルボン酸基を有する炭化水素類が好ましく採用される。
このようなカルボン酸化合物を具体的に例示すると、(メタ)アクリル酸類(例えば、アクリル酸、メタクリル酸、3−アクリロイルオキシプロピオン酸等の(メタ)アクリロイロキシC1-6アルキルカルボン酸等);C3-9脂肪族ジカルボン酸の(メタ)アクリロイロキシC1-6アルキルアルコールによるハーフエステル類(例えば、2−アクリロイロキシエチルコハク酸、2−メタクリロイロキシエチルコハク酸等)、C5-10脂環式ジカルボン酸の(メタ)アクリロイロキシC1-6アルキルアルコールによるハーフエステル類(例えば、2−アクリロイロキシエチルヘキサヒドロフタル酸、2−メタクリロイロキシエチルヘキサヒドロフタル酸等)、C8-14芳香族ジカルボン酸の(メタ)アクリロイロキシC1-6アルキルアルコールによるハーフエステル類(例えば、2−アクリロイロキシエチルフタル酸、2−メタクリロイロキシエチルフタル酸等)等のエステル基を有するカルボン酸;ピバリン酸、2,2−ジメチル酪酸、2,2−ジメチル吉草酸、2,2−ジエチル酪酸、ネオデカン酸等の分枝鎖状カルボン酸;ナフテン酸、シクロヘキサンジカルボン酸等の環状カルボン酸;エーテル基を含有するカルボン酸(メトキシ酢酸、エトキシ酢酸等);水酸基を含有するカルボン酸(乳酸、ヒドロキシプロピオン酸等)、アミノ基を有するカルボン酸(グリシン、アラニン、システイン等のアミノ酸類等)等が挙げられる。
<シランカップリング剤>
シランカップリング剤としては、加水分解性基−Si−OR1(なお、R1はメチル基又はエチル基)を有する化合物が好ましい。このようなシランカップリング剤としては、官能基を有するシランカップリング剤や、アルコキシシラン等が例示できる。
官能基を有するシランカップリング剤としては、下記式(1):
[X−(CH2m4-n−Si−(OR1n …(1)
(式中、Xは官能基、R1は前記に同じ、mは0〜4の整数、nは1〜3の整数を表す。)で表されるシランカップリング剤が挙げられる。
Xとしては、ビニル基、アミノ基、(メタ)アクリロキシ基、メルカプト基、グリシドキシ基等が挙げられる。シランカップリング剤を具体的に例示すると、例えば、ビニルトリメトキシシラン、ビニルトリエトキシシラン等の官能基Xがビニル基であるシランカップリング剤;3−アミノプロピルトリメトキシシラン、3−アミノプロピルトリエトキシシラン、N−2−(アミノエチル)−3−アミノプロピルメチルジメトキシシラン、N−2−(アミノエチル)−3−アミノプロピルメチルトリメトキシシラン等の官能基Xがアミノ基であるシランカップリング剤;3−アクリロキシプロピルトリメトキシシラン、3−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン、3−メタクリロキシプロピルトリエトキシシラン、3−メタクリロキシプロピルメチルジメトキシシラン、3−メタクリロキシプロピルメチルジエトキシシラン等の官能基Xが(メタ)アクリロキシ基であるシランカップリング剤;3−メルカプトプロピルトリメトキシシラン、3−メルカプトプロピルトリエトキシシラン等の官能基Xがメルカプト基であるシランカップリング剤;2−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシラン、3−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、3−グリシドキシプロピルトリエトキシシラン、3−グリシドキシプロピルメチルジメトキシシラン、3−グリシドキシプロピルメチルジエトキシシラン等の官能基Xがグリシドキシ基であるシランカップリング剤;等が挙げられる。
また、アルコキシシランとしては、例えば、メチルトリメトキシシラン、ジメチルジメトキシシラン、トリメチルメトキシシラン、プロピルトリメトキシシラン、ブチルトリエトキシシラン、ヘキシルトリメトキシシラン、ヘキシルトリエトキシシラン、オクチルトリエトキシシラン、デシルトリメトキシシラン等のアルキル基がアルコキシシランのケイ素原子に直接結合しているアルキル基含有アルコキシシラン;フェニルトリメトキシシラン、ジフェニルジメトキシシラン、p−スチリルトリメトキシシラン等の芳香環がアルコキシシランのケイ素原子に直接結合しているアリール基含有アルコキシシラン;等が挙げられる。
シランカップリング剤としては、中でも官能基Xが(メタ)アクリロキシ基であるシランカップリング剤及びアルキル基含有アルコキシシランが好ましく、特に好ましくは、3−アクリロキシプロピルトリメトキシシラン、3−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン、ヘキシルトリメトキシシラン、オクチルトリエトキシシラン、デシルトリメトキシシランである。
前記シランカップリング剤は、1種のみを用いてもよいし、2種以上を組み合わせて用いてもよい。シランカップリング剤の量(被覆量)は、酸化ジルコニウムナノ粒子全体100質量部に対して、0.1質量部以上、30質量部以下が好ましい。
<界面活性剤>
界面活性剤は、組成物の透明性や分散性の向上させることが可能となる。さらに組成物の低粘度化を達成することもできる。界面活性剤としては、陰イオン系界面活性剤、陽イオン系界面活性剤、両性イオン界面活性剤等のイオン性界面活性剤、あるいは非イオン系界面活性剤が好適に用いられ、陰イオン系界面活性剤としては、例えば、オレイン酸ナトリウム、ステアリン酸ナトリウム、ラウリン酸ナトリウム等の脂肪酸ナトリウム、脂肪酸カリウム、脂肪酸エステルスルフォン酸ナトリウム等の脂肪酸系、アルキルリン酸エステルナトリウム等のリン酸系、アルファオレインスルフォン酸ナトリウム等のオレフィン系、アルキル硫酸ナトリウム等のアルコール系、アルキルベンゼン系等が、陽イオン系界面活性剤としては、例えば、塩化アルキルメチルアンモニウム、塩化アルキルジメチルアンモニウム、塩化アルキルトリメチルアンモニウム、塩化アルキルジメチルベンジルアンモニウム等が、両性イオン界面活性剤としては、例えば、アルキルアミノカルボン酸塩等のカルボン酸系、フォスフォベタイン等のリン酸エステル系が、非イオン系界面活性剤としては、例えば、ポリオキシエチレンラウリン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル等の脂肪酸系、ポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテル、脂肪酸アルカノールアミド等が挙げられる。界面活性剤は、組成物の全成分100質量%に対して、0.1質量%以上5質量%以下添加すると良い。
<有機リン化合物>
有機リン化合物としては、例えば、下記式:
Figure 2017154927
(上記式中、p1、p2は、それぞれ1〜100が好ましく、より好ましくは1〜50であり、更に好ましくは1〜30であり、より好ましくは4〜15である。またp1+p2は、1〜100が好ましく、より好ましくは1〜50であり、更に好ましくは1〜30である。)で表されるリン酸モノエステル、及びこれらと同じ置換基を有するリン酸ジエステルが挙げられる。
また下記式:
Figure 2017154927
[上記式中、aは1又は2であり、Aが下記式で表される置換基群:
Figure 2017154927
(上記式中、p1、p2、p5は、それぞれ1〜100が好ましく、より好ましくは1〜50であり、更に好ましくは1〜30であり、より好ましくは4〜15である。またp1+p2+p5は、1〜100が好ましく、より好ましくは1〜50であり、更に好ましくは1〜30である。r、r2は1〜100が好ましく、より好ましくは1〜50であり、更に好ましくは1〜20である。R4は炭素数1〜18の2価の炭化水素基、又は、炭素数6〜30の2価の芳香族含有炭化水素基。*はリン原子との結合部位を示す。)より選択される少なくとも1つ]で表されるリン酸モノエステル又はリン酸ジエステル等の化合物や、下記式:
Figure 2017154927
[上記式中、aは1又は2であり、Aが下記式で表される置換基群:
Figure 2017154927
(上記式中、p1は1〜100が好ましく、より好ましくは1〜50であり、更に好ましくは1〜30である。)より選択される少なくとも1つ]で表される化合物(例えば、下記式:
Figure 2017154927
(上記式中、p1は1〜100が好ましく、より好ましくは1〜50であり、更に好ましくは1〜30である。)で表される化合物)や、下記式:
Figure 2017154927
で表される各種リン酸化合物又はリン酸エステルが例示できる。
なお本発明では、リン酸モノエステル、リン酸ジエステルなどのように構造が異なる2種以上の有機リン化合物又はその塩を、それぞれ単独で、またはこれらを組み合わせて使用してもよい。
前述した有機リン化合物としては、例えば、ニューコール1000−FCP(日本乳化剤社製)、アントックスEHD−400(日本乳化剤社製)、Phoslexシリーズ(SC有機化学社製)、ライトアクリレートP−1A(共栄社化学社製)、ライトアクリレートP−1M(共栄社化学社製)、TEGO(登録商標) Dispers651、655、656(エボニック社製)、DISPERBYK−110、111(ビックケミー・ジャパン社製)、KAYAMERPM−2、KAYAMERPM−21(日本化薬社製)等の市販のリン酸エステルを適宜用いることができる。
有機リン化合物の量は、本発明の酸化ジルコニウムナノ粒子含有組成物100質量部に対して0.5〜10質量部程度である。
本発明の酸化ジルコニウムナノ粒子は、ジルコニウム成分と、イットリウム成分と、遷移金属成分と、第1のカルボン酸成分とを水熱反応することによって、第1のカルボン酸で被覆され、イットリウムと、遷移金属を含む酸化ジルコニウムナノ粒子を得ることができる。前記ジルコニウム成分としては、第1のカルボン酸と、ジルコニウム又はジルコニウム含有化合物とから構成(好ましくは結合体)されるジルコニウム原料物質を用いることができ、このようなジルコニウム原料物質は第1のカルボン酸成分とも言える。また、イットリウム成分としては、第1のカルボン酸と、イットリウム又はイットリウム含有化合物とから構成(好ましくは結合体)されるイットリウム原料物質を用いることができ、このようなイットリウム原料物質は第1のカルボン酸成分とも言える。更に、遷移金属成分としては、第1のカルボン酸と、遷移金属又は遷移金属含有化合物とから構成(好ましくは結合体)される遷移金属原料物質を用いることができ、このような遷移金属原料物質は第1のカルボン酸成分とも言える。
ジルコニウム原料物質として、具体的には、(i)第1のカルボン酸と酸化ジルコニウム前駆体との塩、(ii)第1のカルボン酸のジルコニウム塩、および(iii)第1のカルボン酸及び酸化ジルコニウム前駆体、から選ばれる少なくとも1種以上が挙げられる。
前記した酸化ジルコニウム前駆体としては、例えばジルコニウムの水酸化物、塩化物、オキシ塩化物、酢酸塩、オキシ酢酸物、オキシ硝酸物、硫酸塩、炭酸塩、アルコキシド等が含まれる。すなわち、水酸化ジルコニウム、塩化ジルコニウム、オキシ塩化ジルコニウム、酢酸ジルコニウム、オキシ酢酸ジルコニウム、オキシ硝酸ジルコニウム、硫酸ジルコニウム、炭酸ジルコニウム、およびテトラブトキシジルコニウム等のジルコニウムアルコキシド等である。
以下、前記酸化ジルコニウム前駆体として、ジルコニウムのオキシ塩化物等の塩化物やオキシ硝酸物等の硝酸塩等の、水溶性で腐食性の高い酸化ジルコニウム前駆体を原料として用いるときに好適である前記(i)の場合について、詳述する。尚、塩とは、カルボン酸と酸化ジルコニウム前駆体との量論比で構成される単種類の化合物だけでなく、複合塩や、未反応のカルボン酸又は酸化ジルコニウム前駆体が存在する組成物であってもよい。
前記(i)において、第1のカルボン酸と酸化ジルコニウム前駆体との塩とは、アルカリ金属及び/又はアルカリ土類金属により中和度が0.1〜0.8の範囲に中和された第1のカルボン酸由来のカルボン酸塩含有組成物と酸化ジルコニウム前駆体とを反応させて得られた、第1のカルボン酸とジルコニウムとの塩であることが好ましい。
前記中和度は0.1〜0.8が好ましく、0.2〜0.7がより好ましい。0.1未満では第1のカルボン酸化合物の溶解性が低いために前記塩が十分に形成できないことがあり、また0.8を超えるとジルコニウムの水酸化物と推測される多量の白色沈殿が生成して被覆型酸化ジルコニウム粒子の収率が低下する場合がある。前記カルボン酸塩含有組成物を得るために用いるアルカリ金属及びアルカリ土類金属はいずれであってもよいが、水溶性の高いカルボン酸塩を形成する金属が好ましく、アルカリ金属、特にナトリウム及びカリウムが好適である。
前記カルボン酸塩含有組成物と前記酸化ジルコニウム前駆体との割合は、酸化ジルコニウム前駆体1モルに対してカルボキシル基が1モル〜20モルであることが好ましく、1.2〜18モルがより好ましく、1.5〜15モルがさらに好ましい。前記カルボン酸塩含有組成物と前記酸化ジルコニウム前駆体とを反応させるには、水溶液同士又は水溶液と有機溶媒を混合させるのが好ましい。反応温度は水溶液を保持できる温度であれば特に問わないが、室温から100℃が好ましく、40℃〜80℃がより好ましい。
前記カルボン酸塩含有組成物と前記酸化ジルコニウム前駆体とを反応させて得られた前記塩は、そのまま水熱反応に供しても良いが、不溶性の副生物を濾過や分液等により取り除いておくのが好ましい。
次に(ii)の場合について、詳細に説明する。(ii)の実施形態では、事前に調製した第1のカルボン酸のジルコニウム塩を用いるものである。上記の様な煩雑な工程を経ることなく、水熱反応に供することが出来る利点がある。但し、容易に入手できる化合物が限られているため、目的とする有機基で被覆された酸化ジルコニウム粒子が得られないことがある。
(ii)の実施形態で用いることが出来るジルコニウム塩としては、オクタン酸ジルコニウム、2−エチルヘキサン酸ジルコニウム、ステアリン酸ジルコニウム、ラウリン酸ジルコニウム、ナフテン酸ジルコニウム、オレイン酸ジルコニウム、リシノール酸ジルコニウム等を例示することが出来る。ジルコニウム塩の純度が低い場合には、精製を施してから用いることもあるが、市販品又は事前に調製した塩をそのまま水熱反応に供することが出来る。
前記(iii)で、用いることの出来る前記酸化ジルコニウム前駆体は、上述した酸化ジルコニウム前駆体と同様である。(iii)の場合において、酸化ジルコニウム前駆体は、炭酸ジルコニウムであることが好ましい。前記カルボン酸と前記酸化ジルコニウム前駆体との割合は、酸化ジルコニウム前駆体1モルに対して、カルボン酸が0.5モル〜10モルであることが好ましく、1モル〜8モルであることがより好ましく、1.2モル〜5モルであることがさらに好ましい。前記カルボン酸と前記酸化ジルコニウム前駆体は、そのまま水熱反応に供してもよいし、水熱反応前にあらかじめ反応させておいてもよい。水熱反応前に反応させるには、カルボン酸と酸化ジルコニウム前駆体を有機溶媒中でスラリーにて反応させることが好ましい。その際、反応時に生じる水を取り除きながら反応させることが、反応速度や収率を向上させる意味でも好ましい。反応時に水を抜き出しながら反応を行うため、反応溶媒としては沸点が水よりも高い溶媒を用いることが好ましく、より好ましくは後述する水熱反応に用いる溶媒である。また反応温度は、水を抜き出すことができるように、70℃以上が好ましく、80℃以上がより好ましい。反応温度上限は、180℃以下で、150℃以下がより好ましい。温度が高すぎると、副反応が進みカルボン酸の分解が起きてしまう可能性がある。反応時に水の取出しがうまくいかない場合には、反応圧力を下げて水の沸点を下げて反応させることもできる。
イットリウム原料物質として、具体的には、(i)第1のカルボン酸と酸化イットリウム前駆体との塩、(ii)第1のカルボン酸のイットリウム塩、および(iii)第1のカルボン酸及び酸化イットリウム前駆体、から選ばれる少なくとも1種以上が挙げられる。(i)〜(iii)の好ましい態様は、ジルコニウム原料物質における(i)〜(iii)の好ましい態様と同様である。
遷移金属原料物質として、具体的には、(i)第1のカルボン酸と遷移金属酸化物前駆体との塩、(ii)第1のカルボン酸の遷移金属塩、および(iii)第1のカルボン酸及び遷移金属酸化物前駆体、から選ばれる少なくとも1種以上が挙げられる。(i)〜(iii)の好ましい態様は、ジルコニウム原料物質における(i)〜(iii)の好ましい態様と同様である。
続いて、水熱反応について説明する。まず、ジルコニウム成分について前記(i)〜(iii)の少なくとも1種と、イットリウム成分についての前記(i)〜(iii)の少なくとも1種と、遷移金属成分についての前記(i)〜(iii)の少なくとも1種とを、好ましくは水存在下で混合する。この時に、加熱や減圧下で行うことにより、アンモニアや酢酸等の前記酸化ジルコニウム前駆体に含まれる低沸点の化合物を系外へ追い出すことができ、次工程の水熱反応での圧上昇が抑えられるので、好適である。前記(i)〜(iii)だけでは、粘度が高く水熱反応が効率的に進行しない場合には、前記(i)〜(iii)に対して良好な溶解性を示す有機溶媒を添加すると良い。本発明の酸化ジルコニウムナノ粒子を得るためには、特にジルコニウム成分、イットリウム成分、遷移金属成分として、それぞれ第1のカルボン酸のジルコニウム塩、第1のカルボン酸のイットリウム塩、第1のカルボン酸の遷移金属塩を用いる、すなわちジルコニウム成分、イットリウム成分、遷移金属成分いずれについても(ii)の態様を用いることが好ましい。但し、ジルコニウム成分、イットリウム成分、遷移金属成分について(ii)の態様を用いることが難しい成分が少なくとも1つ存在する場合には、もちろん(i)又は(iii)の態様で用いる成分があっても良く、そのような場合には、ジルコニウム成分、イットリウム成分、遷移金属成分として用いる原料物質の態様として、(ii)と(i)のみ、(ii)と(iii)のみ、(i)のみ、(iii)のみのいずれかであることが好ましい。(iii)の形態で用いる成分が2成分以上ある場合には、水熱反応前に2成分以上の酸化物前駆体(すなわち、酸化ジルコニウム前駆体、酸化イットリウム前駆体及び遷移金属酸化物前駆体の2種以上)と第1のカルボン酸を混合して2成分以上を含む原料物質を予め合成しても良く、このようにすることで合成の工程数を削減できる。
前記有機溶媒としては、炭化水素、ケトン、エーテル、アルコール等を用いることが出来る。水熱反応時に気化する溶媒では十分に反応が進行しない恐れがあるので、常圧下での沸点が120℃以上の有機溶媒が好ましく、140℃以上がより好ましく、150℃以上が更に好ましい。具体的には、デカン、ドデカン、テトラデカン、メシチレン、プソイドクメン、鉱油、オクタノール、デカノール、シクロヘキサノール、テルピネオール、エチレングリコール、ジエチレングリコール、1,2−プロパンジオール、1,3−プロパンジオール、1,4−ブタンジオール、2,3−ブタンジオール、ヘキサンジオール、グリセリン、メタントリメチロール、トルエン、キシレン、トリメチルベンゼン、ジメチルホルムアミド(DMF)、ジメチルスルホキシド(DMSO)等が例示され、ドデカン、テトラデカン、トリメチルベンゼンが好ましい。
前記有機溶媒を添加したことにより2層に分離した場合には、界面活性剤等を添加して均一相状態や懸濁乳化状態にしてもよいが、通常は2層のまま水熱反応に供することが出来る。前記組成物は原料に由来する十分な量の水を含有している場合もあるが、原料中に含まれる水分が無い又は少ない場合には、水熱反応に供する前に水分を添加しておく必要がある。
水熱反応の系内に存在する水分量は、系内に存在する酸化ジルコニウム前駆体又はジルコニウムを含む塩(以下、酸化ジルコニウム前駆体等)中のジルコニウムのモル数に対する水のモル数(水のモル数/酸化ジルコニウム前駆体等中のジルコニウムのモル数)で1/1〜50/1が好ましく、4/1〜30/1がより好ましい。1/1未満では水熱反応に長時間を要したり、得られた前記酸化ジルコニウム粒子の粒径が大きくなったりすることがある。一方、50/1超では、系内に存在する酸化ジルコニウム前駆体等が少ないため生産性が低下する以外は特に問題は無い。
水熱反応は、2MPaG(ゲージ圧)以下の圧力で行うのが好ましい。2MPaG超でも反応は進行するが、反応装置が高価になるため工業的には好ましくない。一方、圧力が低すぎると反応の進行が遅くなり、また長時間の反応により前記ナノ粒子の粒径が大きくなったり、酸化ジルコニウムが複数の結晶系を持ったりすることがある為、0.1MPaG以上の圧力下で行うのが好ましく、0.2MPaG以上で行うのがより好ましい。水熱反応の温度は、例えば150〜250℃であり、該温度範囲にて例えば2〜24時間程度保持すれば良い。
なお、本発明の酸化ジルコニウムナノ粒子を、第1のカルボン酸と、更に第1のカルボン酸以外の有機酸で被覆する場合には、まず初めに第1のカルボン酸で被覆された酸化ジルコニウムナノ粒子を調製し、次いでこの第1のカルボン酸化合物を、前記有機酸で置換することで製造できる。この置換は、具体的には、第1のカルボン酸で被覆された酸化ジルコニウムナノ粒子と、有機酸とを含む混合物(特に混合液)を攪拌することによって行う。有機酸と、第1のカルボン酸で被覆された酸化ジルコニウムナノ粒子との質量比は、5/100〜200/100が好ましい。
本発明の酸化ジルコニウムナノ粒子は、各種媒体に対する分散性が良好であるため、多様な溶媒、モノマー(単官能モノマー及び/又は架橋性モノマー)、オリゴマー、ポリマー等、又はこれらの組み合わせへの添加が可能である。本発明の酸化ジルコニウムナノ粒子は、これを含有する組成物としても好適に用いることができる。組成物には、酸化ジルコニウムナノ粒子を含有する分散液、及び酸化ジルコニウムナノ粒子を含有する樹脂組成物が含まれる。
代表的な溶媒としては、例えば、メタノール、エタノール、n−プロパノール、イソプロパノール、エチレングリコールなどのアルコール類;メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、シクロヘキサノンなどのケトン類;酢酸エチル、酢酸プロピル、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテートなどのエステル類;エチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノブチルエーテルなどのエーテル類;プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテートなどの変性エーテル類(好ましくはエーテル変性及び/又はエステル変性エーテル類、さらに好ましくはエーテル変性及び/又はエステル変性アルキレングリコール類);ベンゼン、トルエン、キシレン、エチルベンゼン、トリメチルベンゼン、ヘキサン、シクロヘキサン、メチルシクロヘキサン、エチルシクロヘキサン、ミネラルスピリットなどの炭化水素類;ジクロロメタン、クロロホルムなどのハロゲン化炭化水素類;ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド、N−メチルピロリドンなどのアミド類;水;鉱物油、植物油、ワックス油、シリコーン油などの油類を挙げることができる。これらのうち1種を選択して使用することもできるし、2種以上を選択し混合して用いることもできる。取扱性の面から、常圧での沸点が40℃以上、250℃以下程度の溶媒が好適であり、後述するレジスト用途では、ケトン類、変性エーテル類などが好適である。
単官能モノマーは、重合可能な炭素−炭素二重結合を1つだけ有する化合物であればよく、(メタ)アクリル酸エステル;スチレン、p−tert−ブチルスチレン、α−メチルスチレン、m−メチルスチレン、p−メチルスチレン、p−クロロスチレン、p−クロロメチルスチレン等のスチレン系単量体;(メタ)アクリル酸等のカルボキシル基含有単量体;ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート等の水酸基含有単量体等が挙げられる。上記の(メタ)アクリル酸エステルとしては、具体的には、例えば、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、n−プロピル(メタ)アクリレート、n−ブチル(メタ)アクリレート、イソブチル(メタ)アクリレート、tert−ブチル(メタ)アクリレート、2−エチルヘキシル(メタ)アクリレート、ラウリル(メタ)アクリレート等の(メタ)アクリル酸アルキルエステル;シクロヘキシル(メタ)アクリレート、イソボルニル(メタ)アクリレート等の(メタ)アクリル酸シクロアルキルエステル;ベンジル(メタ)アクリレート等の(メタ)アクリル酸アラルキル;グリシジル(メタ)アクリレートなどのグリシジル基を有する(メタ)アクリル酸エステル等が挙げられるが、メチル(メタ)アクリレートが特に好ましい。これら例示の単官能単量体は、単独で用いてもよく、また、二種類以上を適宜混合して用いてもよい。
架橋性モノマーは、モノマーが有する炭素−炭素二重結合と共重合可能な炭素−炭素二重結合を複数含有する化合物であればよい。該架橋性モノマーとしては、具体的には、例えば、エチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ジエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、プロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、ジプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート等のアルキレングリコールポリ(メタ)アクリレート;ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、ジネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート等のネオペンチルグリコールポリ(メタ)アクリレート;トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、ジトリメチロールプロパンテトラ(メタ)アクリレート等のトリメチロールプロパンポリ(メタ)アクリレート;ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート等のペンタエリスリトールポリ(メタ)アクリレート等の多官能(メタ)アクリレート;ジビニルベンゼン等の多官能スチレン系単量体;ジアリルフタレート、ジアリルイソフタレート、トリアリルシアヌレート、トリアリルイソシアヌレート等の多官能アリルエステル系単量体等が挙げられる。
上記モノマーを含む組成物は、硬化性組成物に該当する。該硬化性組成物は、硬化後は、樹脂組成物を構成し、このような硬化性組成物も本発明の樹脂組成物に含まれる。また本発明の組成物は、上記ポリマー(樹脂)を含む樹脂組成物であってもよい。本発明の樹脂組成物を構成する場合、媒体であるポリマーは例えば、6−ナイロン、66−ナイロン、12−ナイロンなどのポリアミド類;ポリイミド類;ポリウレタン類;ポリエチレン、ポロプロピレンなどのポリオレフィン類;PET、PBT、PENなどのポリエステル類;ポリ塩化ビニル類;ポリ塩化ビニリデン類;ポリ酢酸ビニル類;ポリスチレン類;(メタ)アクリル樹脂系ポリマー;ABS樹脂;フッ素樹脂;フェノール・ホルマリン樹脂、クレゾール・ホルマリン樹脂などのフェノール樹脂;エポキシ樹脂;尿素樹脂、メラミン樹脂、グアナミン樹脂などのアミノ樹脂などを挙げることができる。また、ポリビニルブチラール系樹脂、ポリウレタン系樹脂、エチレン−酢酸ビニル共重合体系樹脂、エチレン−(メタ)アクリル酸エステル共重合体系樹脂などの軟質樹脂や硬質樹脂、なども挙げられる。上記した中で、ポリイミド類、ポリウレタン類、ポリエステル類、(メタ)アクリル樹脂系ポリマー、フェノール樹脂、アミノ樹脂、エポキシ樹脂がより好ましい。これらは単独で用いてもよいし、2種以上を混合して用いてもよい。
上記組成物中に占める本発明の酸化ジルコニウムナノ粒子の濃度は用途に応じて適宜設定することができるが、該組成物が未硬化の場合やポリマー(樹脂)を含む場合、通常、該組成物の全成分(置換被覆型粒子、溶媒、モノマー、オリゴマー、ポリマー、及び後述するポリマー前駆体などのうち使用されているもの全ての合計)100質量%に対して、90質量%以下である。90質量%を超えると均一に分散し難くなり未硬化組成物が白濁するおそれがあり得る。一方、下限値は特に制限されないが、溶媒コストを考慮すると、例えば、1質量%以上である。より好ましくは5質量%以上、85質量%以下、さらに好ましくは10質量%以上、80質量%以下である。
なお、本発明の樹脂組成物には、上記したポリマー(高分子化合物)と、本発明の酸化ジルコニウムナノ粒子との組成物だけでなく、上記ポリマーを構成するモノマー(ポリマー前駆体)、例えば、ジカルボン酸とジアミンの混合物、アクリル酸やメタアクリル酸等の不飽和カルボン酸やそのエステル化合物等と、本発明の酸化ジルコニウムナノ粒子との組成物も含まれる。また、本発明の樹脂組成物は、ポリマーとモノマーを両方含むもの、ポリマーと溶剤を含むもの(コーティング材)であっても良いし、光学フィルムなどの成型材料に用いられる成型用樹脂であっても良い。
また本発明の酸化ジルコニウムナノ粒子は、分散性が顕著に優れているため、高濃度の組成物(分散体)であっても、組成物は良好な透明性を有する。酸化ジルコニウムナノ粒子が高濃度に分散された組成物は、例えば、屈折率の向上に有利であり、各種用途に応じた屈折率の調整が可能となる。高濃度の酸化ジルコニウムナノ粒子組成物として用いる場合には、該組成物中の酸化ジルコニウムナノ粒子の量を、25質量%以上とすることが好ましく、より好ましくは30質量%以上であり、更に好ましくは60質量%以上である。上限は特に限定されないものの、該組成物中の酸化ジルコニウムナノ粒子の量は、90質量%以下とするとよい。
本発明の樹脂組成物(硬化後の硬化性組成物を含む)には、酸化ジルコニウムナノ粒子と樹脂の他の添加成分を配合してもよい。かかる添加成分としては、例えば、硬化剤、硬化促進剤、着色剤、離型剤、反応性希釈剤、可塑剤、安定化剤、難燃助剤、架橋剤などを挙げることができる。なお、本ナノ粒子は遷移金属を添加しているために着色されており、用途に応じて遷移金属の種類や量を変えることによって、色目を変えることが可能である。
本発明の樹脂組成物(硬化後の硬化性組成物を含む)の形状は特に制限されず、例えば、板、シート、フィルム、繊維などの成型材料としても良い。
本発明の酸化ジルコニウムナノ粒子は、良好な分散性から、反射防止フィルム、ハードコートフィルム、輝度向上フィルム、プリズムフィルム、レンチキュラーシート、マイクロレンズシート等の光学フィルム(又はシート)や、光学用屈折率調整剤、光学用粘接着材、光導波路、レンズ、触媒、CMP研磨用組成物、電極、キャパシタ、インクジェット記録方法、圧電素子、LED・OLED・有機EL等光取出し向上剤、抗菌剤、歯科用接着剤、太陽電池パネルに使用する集光構造体、カラーフィルターに好適に用いられる。また、良好な分散性から、本発明の酸化ジルコニウムナノ粒子を焼成した際に均一に呈色し、自然な色調を出すことが可能であるため、セラミックスの釉薬、人工宝石、歯科材料などのセラミックス材料用途にも好適に用いることができる。
本発明の酸化ジルコニウムナノ粒子は、イットリウムを含んでいるため、安定した結晶構造を有している。すなわち、本発明の酸化ジルコニウムナノ粒子を焼成した際に、結晶構造の変化が抑えられ、結晶構造の変化に起因する割れや強度低下などが抑制できる。また、本発明の酸化ジルコニウムナノ粒子は特定の第1のカルボン酸で被覆されているため、分散性が良好であり、本発明の酸化ジルコニウムナノ粒子を焼成して得られるセラミックス材料は、透光性、靱性、強度等のセラミックス特性が良好である。
本発明の酸化ジルコニウムナノ粒子から得られるセラミックス材料は、本発明の酸化ジルコニウムナノ粒子単独を焼成して得ることができる。また、本発明の酸化ジルコニウムナノ粒子に、アルミナ、スピネル、YAG、ムライト、ホウ酸アルミ化合物のような添加剤を含む組成物を焼成して得ることもできる。更に、本発明の酸化ジルコニウムナノ粒子とバインダーからなる組成物を焼成して得ることもできる。この時の焼成温度は500〜1600℃程度とすれば良い。焼成は、公知の方法で行うことができる。焼成時に焼結を促進するために圧力をかけてもかまわない。また空気中や酸素雰囲気、酸素と空気の混合雰囲気中で焼成してもよく、窒素中、アルゴン中等の不活性雰囲気で焼成してもよい。それぞれ、焼成した後の用途に応じて適切に選択することが可能である。
以下、実施例を挙げて本発明をより具体的に説明する。本発明は以下の実施例によって制限を受けるものではなく、前記、後記の趣旨に適合し得る範囲で適当に変更を加えて実施することも勿論可能であり、それらはいずれも本発明の技術的範囲に包含される。
実施例で開示される物性及び特性は、以下の方法により測定した。
(1)結晶構造の解析
酸化ジルコニウム粒子の結晶構造は、X線回折装置(リガク社製、RINT−TTRIII)を用いて解析した。測定条件は以下の通りである。
X線源:CuKα(0.154nm)
X線出力設定:50kV、300mA
サンプリング幅:0.0200°YSZ
スキャンスピード:10.0000°/min
測定範囲:10〜75°
測定温度:25℃
(2)X線回折解析による結晶子径算出
酸化ジルコニウム粒子の結晶子径は、X線回折装置(リガク社製、RINT−TTRIII)によって解析及び算出される30°のピークの半値幅を元に、計算ソフト(リガク社製、PDXL)を用いて算出した。
(3)重量(質量)減少率の測定
TG−DTA(熱重量−示唆熱分析)装置により、空気雰囲気下、室温から800℃まで10℃/分で被覆された酸化ジルコニウム粒子を昇温し、該粒子の重量(質量)減少率を測定した。この重量(質量)減少率により、酸化ジルコニウム粒子を被覆しているカルボン酸の割合、及び酸化ジルコニウムの割合を知ることができる。
(4)蛍光X線分析
蛍光X線分析装置(ZSX PrimusII リガク社製)を用いて、被覆された酸化ジルコニウム粒子中のジルコニウム含有量、イットリウム含有量、及び遷移金属含有量を測定した。
(5)吸光度測定
吸光度測定は、島津製作所製UV−3100を用いて硫酸バリウムを用いた積分球での拡散反射測定を行った。測定波長は、200〜800nmを0.2nm刻みで行った。
実施例1
2−エチルヘキサン酸及び/又は2−エチルヘキサン酸由来のカルボキシレートで被覆された鉄含有イットリア安定化ジルコニア粒子の製造
2−エチルヘキサン酸ジルコニウムミネラルスピリット溶液(83.0g、ジルコニウム含有率12質量%、第一稀元素化学工業社製)に、2−エチルヘキサン酸イットリウム(III)(3.66g、イットリウム含有率17質量%、日本化学産業社製)と2−エチルヘキサン酸鉄(II)(0.35g、鉄含有率6質量%、和光純薬工業社製)及び純水(15.8g)を混合し、200mLの水熱合成容器に仕込んだ。この容器を190℃まで加熱し、該温度で8時間保持して反応させた。水熱合成の際の圧力は、1.4MPaG(ゲージ圧)であった。反応後の混合液を取り出し、分液して水相を取り除いたところ、ナノ粒子分散液が得られた。この溶液を減圧し、有機溶媒を除去し180℃で乾燥させることで淡黄色の被覆型鉄含有イットリア安定化ジルコニアナノ粒子を18g回収した。なお、イットリア安定化ジルコニアとは、イットリアによって結晶構造が安定化されたジルコニアを意味し、以下ではYSZと呼ぶ。
上記した「(1)結晶構造の解析」に従って被覆型鉄含有YSZナノ粒子の結晶構造を測定したところ、正方晶/単斜晶の割合が97/3であった。なお、X線回折測定では立方晶と正方晶を区別することが難しく、立方晶が存在する場合でもその割合は正方晶の割合としてカウントされる。
上記した「(2)X線回折解析による結晶子径算出」に従って測定した被覆型鉄含有YSZ粒子の結晶子径は5nmであった。
上記した「(3)重量(質量)減少率の測定」に従って測定した被覆型鉄含有YSZナノ粒子の質量減少率は、25質量%であった。従って、被覆型鉄含有YSZナノ粒子を被覆する2−エチルヘキサン酸及び/又は2−エチルヘキサン酸由来のカルボキシレートは、被覆型鉄含有YSZナノ粒子全体の25質量%であることが分かった。
また、上記「(4)蛍光X線分析」に従って測定した被覆型鉄含有YSZナノ粒子中のジルコニウム、イットリウム、鉄の重量存在比は、94:5.7:0.2であった。
更に、得られた被覆型鉄含有YSZナノ粒子を1000℃で3時間焼成したサンプルは、図1に示す吸光度測定の結果から明らかな通り黄色を呈しており、かつ均一に呈色していた。また結晶構造を上記「(1)結晶構造の解析」に従って測定したところ、図2(a)のパターンが得られ、後述の比較例で示す正方晶のYSZ(図2(b))と同様のパターンが得られ、正方晶の割合が100%であった。なお、図2(c)は正方晶の酸化ジルコニウムのX線回折パターンである。
実施例2
実施例1の2−エチルヘキサン酸鉄(II)を0.18g用いたほかは、実施例1と同様にして、淡黄色の被覆型鉄含有YSZナノ粒子18gを回収した。
「(1)結晶構造の解析」に従って測定した正方晶と単斜晶の割合は97/3であり、「(2)X線回折解析による結晶子径算出」に従って測定した結晶子径は5nmであった。「(4)蛍光X線分析」に従って測定した被覆型鉄含有YSZナノ粒子中のジルコニウム、イットリウム、鉄の重量存在比は、94:5.8:0.1であった。得られた被覆型鉄含有YSZナノ粒子を1000℃で3時間焼成したサンプルは、前記した実施例1よりも薄い淡黄色であり、かつ均一に呈色していた。その結晶構造は、正方晶の割合が100%であった。
実施例3
実施例1の2−エチルヘキサン酸鉄(II)を0.7g用いたほかは、実施例1と同様にして、淡黄色の被覆型鉄含有YSZナノ粒子18gを回収した。
「(1)結晶構造の解析」に従って測定した正方晶と単斜晶の割合は97/3であり、「(2)X線回折解析による結晶子径算出」に従って測定した結晶子径は5nmであった。「(4)蛍光X線分析」に従って測定した被覆型鉄含有YSZナノ粒子中のジルコニウム、イットリウム、鉄の重量存在比は、94:5.7:0.4であった。得られた被覆型鉄含有YSZナノ粒子を1000℃で3時間焼成したサンプルは、前記した実施例1よりも濃い黄色であり、かつ均一に呈色していた。その結晶構造は、正方晶の割合が100%であった。
実施例4
実施例1の2−エチルヘキサン酸鉄(II)を1.4g用いたほかは、実施例1と同様にして、黄色の被覆型鉄含有YSZナノ粒子19gを回収した。
「(1)結晶構造の解析」に従って測定した正方晶と単斜晶の割合は97/3であり、「(2)X線回折解析による結晶子径算出」に従って測定した結晶子径は5nmであった。「(4)蛍光X線分析」に従って測定した被覆型鉄含有YSZナノ粒子中のジルコニウム、イットリウム、鉄の重量存在比は、94:5.7:0.8であった。得られた被覆型鉄含有YSZナノ粒子を1000℃で3時間焼成したサンプルは、褐色であり、かつ均一に呈色していた。
実施例5
実施例1の2−エチルヘキサン酸鉄(II)を2.8g用いたほかは、実施例1と同様にして、褐色の被覆型鉄含有YSZナノ粒子19gを回収した。
「(1)結晶構造の解析」に従って測定した正方晶と単斜晶の割合は97/3であり、「(2)X線回折解析による結晶子径算出」に従って測定した結晶子径は5nmであった。「(4)蛍光X線分析」に従って測定した被覆型鉄含有YSZナノ粒子中のジルコニウム、イットリウム、鉄の重量存在比は、94:5.6:1.5であった。得られた被覆型鉄含有YSZナノ粒子を1000℃で3時間焼成したサンプルは、褐色であり、かつ均一に呈色していた。
実施例6
実施例1の2−エチルヘキサン酸鉄(II)の代わりに、2−エチルヘキサン酸コバルト(II)(Aldrich社製、65%ミネラルスピリット溶液)を0.2g用いたほかは、実施例1と同様にして、褐色の被覆型コバルト含有YSZナノ粒子18gを回収した。
「(1)結晶構造の解析」に従って測定した正方晶と単斜晶の割合は97/3であり、「(2)X線回折解析による結晶子径算出」に従って測定した結晶子径は5nmであった。「(4)蛍光X線分析」に従って測定した被覆型コバルト含有YSZナノ粒子中のジルコニウム、イットリウム、コバルトの重量存在比は、94:5.7:0.2であった。得られた被覆型コバルト含有YSZナノ粒子を1000℃で3時間焼成したサンプルの吸光度測定結果は図1に示す通りであり、サンプルの色は灰色であり、かつ均一に呈色していた。その結晶構造は、正方晶の割合が100%であった。
実施例7
実施例1の2−エチルヘキサン酸鉄(II)の代わりに、2−エチルヘキサン酸マンガン(日本化学産業社製、商品名ニッカオクチックスマンガン8%)を0.3g用いたほかは、実施例1と同様にして、紫色の被覆型マンガン含有YSZナノ粒子18gを回収した。
「(1)結晶構造の解析」に従って測定した正方晶と単斜晶の割合は97/3であり、「(2)X線回折解析による結晶子径算出」に従って測定した結晶子径は5nmであった。「(4)蛍光X線分析」に従って測定した被覆型マンガン含有YSZナノ粒子中のジルコニウム、イットリウム、マンガンの重量存在比は、94:5.7:0.2であった。得られた被覆型マンガン含有YSZナノ粒子を1000℃で3時間焼成したサンプルの吸光度測定結果は図1に示す通りであり、サンプルの色は灰色であり、かつ均一に呈色していた。その結晶構造は、正方晶の割合が100%であった。
実施例8
実施例1の2−エチルヘキサン酸鉄(II)の代わりに、2−エチルヘキサン酸ニッケル(日本化学産業社製、商品名ニッカオクチックスニッケル10%)を0.2g用いたほかは、実施例1と同様にして、淡黄色の被覆型ニッケル含有YSZナノ粒子18gを回収した。
「(1)結晶構造の解析」に従って測定した正方晶と単斜晶の割合は97/3であり、「(2)X線回折解析による結晶子径算出」に従って測定した結晶子径は5nmであった。「(4)蛍光X線分析」に従って測定した被覆型ニッケル含有YSZナノ粒子中のジルコニウム、イットリウム、ニッケルの重量存在比は、94:5.8:0.2であった。得られた被覆型ニッケル含有YSZナノ粒子を1000℃で3時間焼成したサンプルの吸光度測定結果は図1に示す通りであり、サンプルの色は淡黄色であり、かつ均一に呈色していた。その結晶構造は、正方晶の割合が100%であった。
実施例9
実施例1の2−エチルヘキサン酸鉄(II)の代わりに、ネオデカン酸銅(日本化学産業社製、商品名ネオデカン酸銅5%)を0.5g用いたほかは、実施例1と同様にして、緑色の被覆型銅含有YSZナノ粒子18gを回収した。
「(1)結晶構造の解析」に従って測定した正方晶と単斜晶の割合は97/3であり、「(2)X線回折解析による結晶子径算出」に従って測定した結晶子径は5nmであった。「(4)蛍光X線分析」に従って測定した被覆型銅含有YSZナノ粒子中のジルコニウム、イットリウム、銅の重量存在比は、94:5.7:0.2であった。得られた被覆型コバルト含有YSZナノ粒子を1000℃で3時間焼成したサンプルの吸光度測定結果は図1に示す通りであり、サンプルの色は緑色であり、かつ均一に呈色していた。その結晶構造は、正方晶の割合が100%であった。
比較例1
2−エチルヘキサン酸及び/又は2−エチルヘキサン酸由来のカルボキシレートで被覆されたYSZ粒子の製造
実施例1の2−エチルヘキサン酸鉄(II)を用いない他は、実施例1と同様にして、白色の被覆型YSZナノ粒子18gを回収した。
上記した「(3)重量(質量)減少率の測定」に従って測定した被覆型YSZナノ粒子の質量減少率は、25質量%であった。従って、被覆型YSZナノ粒子を被覆する2−エチルヘキサン酸及び/又は2−エチルヘキサン酸由来のカルボキシレートは、被覆型YSZナノ粒子全体の25質量%であることが分かった。
上記した「(1)結晶構造の解析」に従って被覆型YSZナノ粒子の結晶構造を測定したところ、正方晶/単斜晶の割合が97/3であった。
また、上記「(4)蛍光X線分析」に従って測定した被覆型鉄含有YSZナノ粒子中のジルコニウム、イットリウムの重量存在比は、94:5.8であった。
更に、得られた被覆型YSZナノ粒子を1000℃で焼成したサンプルは、白色を呈しており、その結晶構造を上記「(1)結晶構造の解析」に従って測定したところ、正方晶の割合が100%であった。

Claims (5)

  1. カルボン酸で被覆された酸化ジルコニウムナノ粒子であって、
    前記酸化ジルコニウムナノ粒子は、イットリウムを含有すると共に、希土類元素以外の遷移金属の少なくとも1種を含有する酸化ジルコニウムナノ粒子。
  2. 酸化ジルコニウム焼成体の前駆体である請求項1に記載の酸化ジルコニウムナノ粒子。
  3. 請求項1又は2に記載の酸化ジルコニウムナノ粒子を焼成して得られるセラミックス材料。
  4. 請求項1又は2に記載の酸化ジルコニウムナノ粒子を500℃以上で焼成するセラミックス材料の製造方法。
  5. 請求項1又は2に記載の酸化ジルコニウムナノ粒子を含む組成物を500℃以上で焼成するセラミックス材料の製造方法。
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