以下、本発明に係る実施形態について図面を参照しながら説明するが、本発明はこれに限定されない。以下で説明する各実施形態の構成要素は、適宜組み合わせることができる。また、一部の構成要素を用いない場合もある。
<第1実施形態>
第1実施形態について説明する。図1は、本実施形態に係るボイラ100の一例を示す概略構成図である。ボイラ100は、炭素含有固体燃料の一例として、粉砕された石炭である微粉炭を使用する微粉炭焚きボイラである。
図1に示すように、ボイラ100は、微粉炭を焚いて燃焼ガスを生成する火炉110と、微粉炭を燃焼させる燃焼装置120と、火炉110で生成された燃焼ガスの熱エネルギーを用いて蒸気を生成する蒸気発生装置140とを備えている。
火炉110は、燃焼室111と、燃焼室111の上方に配置される煙道112とを有する。燃焼室111において、微粉炭が燃焼されることにより、燃焼ガスが生成される。
燃焼装置120は、燃焼バーナ1と、燃焼バーナ1に微粉炭を供給する微粉炭供給装置121と、燃焼バーナ1に二次空気を供給する空気供給装置122とを備えている。燃焼バーナ1は、火炉110に複数設けられる。
微粉炭供給装置121は、微粉炭を生成する微粉炭機123と、微粉炭機123と燃焼バーナ1とを接続する微粉炭供給管124とを含む。微粉炭機123は、石炭を粉砕して微粉炭を生成するミルを含む。微粉炭機123で生成された微粉炭は、微粉炭供給管124を介して、燃焼バーナ1に供給される。
空気供給装置122は、送風機125と、風箱126と、送風機125と風箱126とを接続する空気供給管127とを含む。送風機125は、空気供給管127を介して、風箱126に空気を供給する。風箱126は、送風機125からの空気を、燃焼バーナ1に供給する。
蒸気発生装置140は、火炉110で生成された燃焼ガスとボイラへの給水との熱交換を行って、蒸気を生成する。蒸気発生装置140は、過熱器141と、再熱器142と、節炭器143とを有する。過熱器141、再熱器142、及び節炭器143は、煙道112に配置される。
煙道112は、排ガス流路113と接続されている。蒸気発生装置140において給水との熱交換を行った燃焼ガス(排ガス)は、排ガス流路113に送られる。排ガス流路113に、エアヒータ114が設けられている。エアヒータ114は、排ガス流路113を流れる燃焼ガスの熱を使って、空気供給管127を流れる二次空気を加熱する。これにより、燃焼バーナ1に供給される二次空気の温度が上昇する。
なお、不図示であるが、排ガス流路113には、脱硝装置、電気集塵機、及び脱硫装置などが設けられている。排ガス流路113は、煙突と接続される。
次に、ボイラ1の動作の一例について説明する。微粉炭機123で生成された微粉炭は、一次空気(搬送用空気)と一緒に微粉炭供給管124を流れ、燃焼バーナ1に供給される。エアヒータ114で加熱された二次空気(燃焼用空気)は、空気供給管127を流れた後、風箱126を介して、燃焼バーナ1に供給される。図2に示すように、燃焼バーナ1は、微粉炭と一次空気とが混合された燃料ガスGaを燃焼バーナ1内に噴射する。また、燃焼バーナ1は、二次空気Gbの一部を燃料ガス流路3の燃料ガス噴射口2より上流側の供給口8から噴射させる。これにより、燃料ガスGaが供給口8から噴射した二次空気Gbにより着火して、火炎が生成され、燃焼ガスが生成される。燃焼ガスGaは火炎となって、火炉110の燃焼室111へと噴射する。二次空気噴射口5から噴出した二次空気Gbは火炎に供給されて燃焼が完結する。ここで、燃焼バーナ1の鉛直上側と下側に設置した補助空気ノズル22に二次空気Gbを分けてこの補助空気ノズル22から噴出する補助空気Gdの供給を受けて燃焼が完結するようにしてもよい。燃焼室111で生成された燃焼ガスは、煙道112を流れる。
蒸気発生装置140は、燃焼室111からの燃焼ガスと、図示しない給水ポンプにより供給されたボイラへの給水との熱交換を行って、蒸気を発生する。給水ポンプにより供給された給水は、節炭器143で予熱された後、火炉110に設けられている水管を流れる間に加熱されて、飽和蒸気となる。飽和蒸気は、蒸気ドラムに供給される。蒸気ドラムの飽和蒸気は、過熱器141に供給される。過熱器141の飽和蒸気は、燃焼ガスによって過熱されて過熱蒸気となる。過熱器141で生成された過熱蒸気は、図示しない発電プラントの図示しない蒸気タービンに供給される。また、蒸気タービンで仕事をした蒸気は、図示しない復水器で水凝縮した後に、再び給水ポンプによりボイラへの給水として再熱器142に供給され、再度過熱されて蒸気タービンに供給される。
煙道112の節炭器143を通過した燃焼ガスは、排ガス流路113に配置されている図示しない脱硝装置に供給される。脱硝装置は、触媒により、燃焼ガスに含まれるNOxなどの有害物質を除去する。また、燃焼ガスは、排ガス流路113に配置されている図示しない電気集塵機及び図示しない脱硫装置に供給される。電気集塵機は、燃焼ガスに含まれる粒子状物質を除去する。脱硫装置は、燃焼ガスに含まれる硫黄分を除去する。脱硝装置、電気集塵機、及び脱硫装置などによりクリーン化された空気は、図示しない煙突から大気中に排出される。
なお、微粉炭と一次空気とが混合された燃料ガスGaの一次空気の内部で着火させ、火炎が還元雰囲気に保持されることで、NOxの発生量が抑制される。また、二次空気Gb、補助空気Gdが供給された後においても火炎の還元雰囲気を燃維持し、燃焼室111まで拡大させて、微粉炭の燃焼により発生したNOxが燃焼室111において還元され、その後、アディショナルエアポート144からアディショナルエアが追加供給されることによって、微粉炭の酸化燃焼が完結されてもよい。これにより、微粉炭の燃焼によるNOxの発生量が抑制される。
次に、本実施形態に係る燃焼バーナ1について説明する。図2は、本実施形態に係る燃焼バーナ1の一例を示す側断面図である。図3は、本実施形態に係る燃焼バーナ1の一例を示す正面図である。
図2及び図3に示すように、燃焼バーナ1は、燃料ガスGaを噴射する燃料ノズル4と、二次空気Gbを噴射する二次空気ノズル7と、燃料ガスGaよりも温度が高い高温ガスを供給する供給口8を有する供給部材9とを備えている。
燃料ガスGaとは、炭素含有固体燃料である微粉炭と搬送用空気である一次空気とが混合されたガスである。二次空気Gbは、燃焼用空気である。二次空気Gbはエアヒータ114などにより所定の温度にまで加熱昇温され、二次空気Gbの温度は、燃料ガスGaの温度よりも高い。二次空気Gbの温度は、例えば、300[℃]以上350[℃]以下である。燃料ガスGaの温度は、微粉炭が着火しないような温度であり、例えば、60[℃]以上80[℃]以下である。
燃料ノズル4は、燃料ガスGaを噴射する燃料ガス噴射口2と、燃料ガス噴射口2から噴射される燃料ガスGaが流れる燃料ガス流路3とを有する。燃料ガス噴射口2は、燃料ガス流路3の端部に設けられる。燃料ガス流路3の断面積は、燃料ガス噴射口2に向かって同一となる。
二次空気ノズル7は、二次空気Gbを噴射する二次空気噴射口5と、二次空気噴射口5から噴射される二次空気Gbが流れる二次空気流路6とを有する。二次空気噴射口5は、二次空気流路6の端部に設けられる。二次空気噴射口5は、燃料ガス噴射口2の周囲に配置される。
供給部材9の少なくとも一部は、燃料ガス流路3に配置される。供給口8は、燃料ガス流路3に配置される。供給口8は、燃料ガス流路3の内面13よりも内側の中心軸AX側に配置される。
本実施形態において、供給部材9は、例えば耐熱性、耐酸化性に優れたステンレス鋼製である。
供給口8は、燃料ガスGaよりも温度が高い酸素を含む高温ガスを燃料ガス流路3に供給する。上述のように、燃料ガスGaの温度は、例えば、60[℃]以上80[℃]以下である。高温ガスの温度は、例えば、300[℃]以上350[℃]以下である。高温ガスの温度は、自然着火が可能な温度である。
本実施形態において、供給口8から供給される酸素を含む高温ガスは、二次空気流路6からの二次空気Gbを含む。供給部材9は、二次空気流路6に配置された流入口10と、流入口10と供給口8とを連通する供給流路11とを有する。二次空気流路6の二次空気Gbの一部が、流入口10を介して供給流路11に流入し、供給口8から燃料ガス流路3に供給される。
本実施形態において、燃料ガス流路3に供給される一次空気の供給量は、燃料ガスが燃料ガス流路3ですぐに着火することがなく、燃料となる微粉炭を停滞することなく搬送できるような空気量(酸素量)を設定する。このため、燃料ガス流路3に供給された一次空気の供給量と、二次空気流路6に供給された二次空気の供給量との和であるノズル投入空気量を100[%]とした場合、ノズル投入空気量は燃料である微粉炭との理論燃焼空気量とその過剰量から設定され、燃料ガス流路3に供給される一次空気の供給量は、例えば60[%]以上90[%]以下であり、これに伴い二次空気流路6に供給される二次空気の供給量は、10[%]以上40[%]以下である。二次空気流路6に供給された二次空気のうち、ノズル投入空気量の4[%]以上16[%]以下の二次空気Gbが、流入口10を介して供給流路11に流入する。供給流路11に流入し二次空気噴射口5から噴射される空気量は、内部保炎を安定して実現することが出来る流量であり、これによりNOxの低減を図ることが出来る。二次空気噴射口5から噴射される空気量は、増加しすぎると着火が良くなるが、火炎温度が上昇してNOxが増加するので好ましくない。一方、減少しすぎると内部保炎が不安定となるとともに、燃焼されない未燃分の微粉炭の量が多くなり、二次空気噴射口5から噴射される二次空気Gbにより微粉炭の酸化燃焼が増加し、この部分で火炎温度が高くなるため、NOxの発生量が増大する可能性があるので好ましくない。
そのため、本実施形態において、ノズル投入空気量のうち、60[%]の空気が燃料ガスGaとして燃料ガス噴射口2から噴射される場合、二次空気流路6に供給される二次空気の供給量は40[%]となり、24[%]以上36[%]以上の空気が二次空気Gbとして二次空気噴射口5から噴射され、4[%]以上16[%]以下の空気が供給口8から供給される。
なお、これらの空気の割合は、燃料ガス流路3の流入口の大きさ、二次空気流路6の流入口の大きさ、流入口10の大きさ、及び供給口8の大きさなどを調整することによって調整することができる。
燃料ガス流路3は、中心軸AXを有する。燃料ノズル4は、中心軸AXの周囲に配置される。二次空気ノズル7は、燃料ノズル4の周囲に配置される。
以下の説明において、中心軸AXと平行な方向を適宜、軸方向と、称する。また、中心軸AXと直交する面内の燃焼バーナ1の幅方向としての第1軸と平行な方向を適宜、横方向、と称し、中心軸AX及び第1軸の両方と直交する第2軸と平行な方向を適宜、縦方向、と称する。また、中心軸AXを含み横方向に伸びる面を第1の中心面、第1面と直交し中心軸AXを含み縦方向に伸びる面を第2の中心面と称する。
燃料ガス流路3の内面13は、縦方向で上側の第1内面131と、燃料ガス流路3の間隙を介して第1内面131と対向する縦方向で下側の第2内面132と、を含む。また、燃料ガス流路3の内面13は、横方向の一側の第3内面133と、燃料ガス流路3の間隙を介して第3内面133と対向する横方向で他側の第4内面134と、を含む。第1内面131と第2内面132とは、縦方向に配置される。第3内面133と第4内面134とは、横方向に配置される。
従い、燃料ガス流路3は、第1内面131と第1の中心面を挟み対向する第2内面132と、第1面に直交する第3内面133と第2の中心面を挟み対向する第4内面134とで囲まれ、燃料ガス流路3の断面は矩形形状となっている。
図3に示すように、本実施形態において、供給部材9は、第1内面131に接続される第1端部9Aと、第2内面132に接続される第2端部9Bとを有する管部材である。供給部材9の長手の軸方向は第1の中心面に直交し、横方向に関して、間隔をあけて平行に複数配置される。複数の供給部材9は、供給部材9の相互の間隔を等間隔で配置される。供給部材9の相互の間隔(配置ピッチ)に対して、横方向で両端に位置する供給部材9と第3内面133または第4内面134との間隔は、広くなる配置としても良い。本実施形態において、供給部材9は、5つ配置される。複数の供給部材9の数は、必ずしも5つではなく、適宜必要な数を選定するものであり、2つ以上が好ましい。また複数の供給部材9は、中心軸AXを含む第2の中心面に対して対称に配置されることが好ましい。また、横方向で両端に位置する供給部材9の一方と第3内面133との距離、および両端の供給部材9の他方と第4内面134との距離は、供給部材9の相互間の距離よりも長く設定してもよい。
供給部材9は、供給部材9の軸方向で燃料ガスGaの下流側方向に複数の供給口8を有する。複数の供給口8の大きさは、等しい。複数の供給口8は、供給部材9の軸方向に等間隔で配置される。本実施形態において、供給部材9は、供給部材9の軸方向に3つの供給口8を有する。
本実施形態において、供給口8は、円形である。なお、供給口8は、矩形のような多角形でもよいし、楕円形でもよい。
燃料ガス流路3の内面13は、燃料ガス噴射口2に向かって、燃料ガス流路3の中心軸AXに対して平行である。第1内面131及び第2内面132のそれぞれは、軸方向に関して、燃料ガス噴射口2に向かって、第1の中心面と第1内面131との距離が一定で、また第1の中心面と第2内面132との距離が一定である。第3内面133及び第4内面134のそれぞれは、軸方向に関して、燃料ガス噴射口2に向かって、第2の中心面と第3内面133との距離が一定であり、また第2の中心面と第4内面134との距離が一定である。すなわち、燃料ガス流路3の断面積は燃料ガス噴射口2に向かって一定である。
図4は、内面13の一部を拡大した図である。図4に示すように、本実施形態において、中心軸AXを含む第2の中心面で内面13と中心軸AXとは平行である。また、二次空気ノズル7の二次空気ノズル第1内面71が第1の中心面と平行な面となす角度θは、風箱126のノズル出口での所定の流速になるように、0°以上30°以下の間の適切な角度が選定される。燃焼炉出口で理論燃焼空気量より若干の過剰な空気(酸素)を供給する空気過剰率になるように空気量設定される。この空気量に対して、一次空気ノズルと二次空気ノズルの出口部断面積は、風箱126のノズル出口流速である流速が得られるように選定される。
このとき、二次空気ノズル7は先端部の断面積が入口部よりも小さくなるように絞った形で選定され、中心軸AXに対する角度θaが概ね30°以下となるように設計される。二次空気ノズル7の出口部分の断面積が入口部より小さくなるよう絞った形状になることで、二次空気噴射口5の上流側より下流側の流速が速くなり、供給部材9に二次空気Gbを流入することができる。二次空気流路6は、二次空気噴射口5から噴射される二次空気Gbが乱れて、火炎が不安定にならないように二次空気ノズル第1内面71から二次空気が剥離しないよう30°以下が好ましい。また、角度が30°以上の場合、炉内へ対する角度が大きくなり、受ける輻射熱量が増加する。また、出口流速を一定とすると入口側の流速が遅くなり、熱伝達率が減少する。そのため、ノズルの温度上昇による高温酸化及びこれに伴う変形が懸念される。また、先端部に向かうほど流速が増加するように設計すると、逆火を防ぐ効果もある。このため、概ね30°以内に制限することが好ましい。
次に、本実施形態に係る燃焼バーナ1を使って燃料ガスGaを燃焼させる方法について説明する。本実施形態において、燃焼バーナ1は、内部保炎するように、火炎を生成する。
内部保炎とは、燃料ノズル4の燃料ガス流路3の燃料ガス噴射口2よりも燃料ガス流れ方向の上流側の位置となる内部空間で、火炎が生成される状態をいう。燃料ガス流路3の内部空間とは、内面13によって規定される空間であり、内面13が面する空間である。内部保炎は、中心軸AXを含む燃料ガス噴射口2の縦方向面または横方向面の中心軸AXを含む面に近い領域である縦方向中央部領域または横方向中央部領域で火炎が生成される状態を含む。
一方、外部保炎とは、燃料ノズル4の燃料ガス噴射口2の周囲で、火炎が生成される状態をいう。外部保炎は、燃料ガス噴射口2近傍の燃料ガス流路3の内面13近傍で、火炎が生成される状態を含む。
本実施形態においては、供給口8から高温ガスである二次空気Gbの一部が分岐されて供給される。これにより、内部保炎が安定して実現される。また、燃料ガス流路3の断面積が燃料ガス噴射口2に向かって一定で同じになるように、燃料ガス流路3の内面13は第1の中心面と平行となる。これによっても、内部保炎が安定して実現される。また、供給口8は、燃料ガス噴射口2以外の位置に配置され、燃料ガス噴射口2から、燃料ガス流路3の上流側に所定距離D離れた位置に配置されている。これによっても、内部保炎が安定して実現される。
所定距離Dは、本実施形態では、例えば、供給部材9の軸方向の燃料ガス流れ方向断面での長さEの3.5倍以上5倍以下の間の適値を選定したものである。長さEは、中心軸AXと平行な方向における供給部材9の寸法である。所定距離Dが3.5倍より短いと燃料ガス噴射口2の二次空気Gbの吹出しにより外部保炎に移行し易い。例えば、供給部材9の供給口8が燃料ガス噴射口2付近(出口開口付近)に設けられ、所定距離Dが小さい場合、外部保炎に移行し易い。また、所定距離Dが5倍より長いと火炎位置が燃料ガス流路3の上流側(燃料ガス流路3の流入口側)になり過ぎて、燃料ガス流路3の内面13の温度が過度に上昇するため好ましくない。
図5は、本実施形態に係る燃料ガスGaの燃焼方法を説明するための模式図である。燃料ガス噴射口2に向かって断面積が小さくなる燃焼ノズル4の燃料ガス流路3に、微粉炭と一次空気とを混合した燃料ガスGaが供給され、燃焼ノズル4の燃料ガス噴射口2から燃料ガスGaが噴射される。
また、二次空気ノズル7の二次空気流路6に、二次空気Gbが供給され、二次空気ノズル7の二次空気噴射口5から二次空気Gbが噴射される。
また、燃料ガス流路3に配置された供給部材9の供給口8から、燃料ガスGaよりも温度が高い高温ガスである二次空気Gbが供給流路11を経由して供給される。
火炎は、燃料ガス流路3の内側に配置されている供給部材9の供給口8の近傍において燃料ガスGaへ高温ガスである二次空気Gbが供給されることにより着火して生成される。これにより、内部保炎が実現される。すなわち本実施形態においては、供給部材9が、燃料ガス流路3の内側に配置された保炎器(保炎部材)として機能する。図5では火炎は燃料ノズル噴射口2付近のみ記載され、火炉110の燃焼室111へと伸びる炎の記載は省略されている。
燃料ガス流路3の温度は、二次空気流路6の温度よりも低い。また、燃料ガス流路3の内側の酸素量は、燃料ガス流路3の外側の二次空気Gbの酸素量よりも少ない。火炎が燃料ガス流路3の内側で生成される内部保炎の場合、低温低酸素空間で火炎が生成されることとなる。そのため、火炎温度の上昇が抑制されてNOxの発生量を抑制することができる。
燃料ガス流路3の内側に、所定量(本実施形態においては、ノズル投入空気量の4[%])の二次空気Gbが供給口8から供給される。これにより、供給口8の近傍において、二次空気Gbの熱により、微粉炭に含まれる可燃性の揮発分の気化が促進される。気化した揮発分は、低温でも着火されやすい。また、供給口8から供給された二次空気Gbに含まれる酸素の効果により、揮発分の着火が安定して行われる。これにより、燃料ガス流路3の内側において、火炎を生成することができる。また、揮発分の一部が燃料ガス流路3の内側で着火しなくても、その揮発分は、燃料ノズル噴射口2において、確実に着火される。内部保炎では、供給口8からの酸素供給量が微粉炭の供給量に対して理論空気量未満となり、火炎の付近が還元雰囲気に保持されて、微粉炭の燃焼により発生したNOxが還元されてNOxの発生量を抑制する。内部保炎が実現された状態で、燃料ガスGaが燃料ガス噴射口2から噴射され、二次空気Gbが二次空気噴射口5から噴射されることにより微粉炭の酸化燃焼が行われる。このため、NOxの発生量を抑制しつつ、確実な着火となる。
図6は、比較例に係る燃焼バーナ1による燃料ガスGaの燃焼方法を説明するための模式図である。図6に示す燃焼バーナ1は、供給部材9を備えていない。この場合、火炎は、燃料ノズル4の燃料ガス噴射口2の周囲で生成される外部保炎が実現されてしまう。外部保炎の場合、燃料ガスGaが二次空気Gbの高温高酸素なガスと混合された空間で火炎が生成されるため、NOxの発生量が増加する可能性が高い。図6の火炎は図5と同様に燃料ノズル噴射口2付近のみ記載され、火炉110の燃焼室111へと伸びる炎の記載は省略されている。
本実施形態においては、内部保炎が実現されるので、火炎温度の上昇が抑えられてNOxの発生量が抑制される。また、内部保炎の場合、HCN、CN、及びNH2のような還元物質が生成される可能性が高くなる。還元物質により、NOxが生成されても、そのNOxは、N2に還元される。内部保炎においては、還元物質の生成が期待できるので、これによっても、NOxの発生が抑制される。
なお、本実施形態において、供給口8から供給される二次空気Gbの供給量が多い場合(例えば、ノズル投入空気量の4[%]の5倍となる20[%]を超える多量の二次空気Gbが供給口8から供給される場合)、着火性は良くなるものの、火炎温度が高くなるため、NOxの発生量が増大する可能性がある。供給口8から供給される二次空気Gbの供給量が少ない場合(例えば、ノズル投入空気量の4[%]より少ない3[%]に至らない少量の二次空気Gbが供給口8から供給される場合)、火炎温度が低下してNOxの発生量は抑制されるものの、着火性が低くなり火炎の保炎が不安定になるとともに、燃焼されない未燃分の微粉炭の量が多くなり、二次空気噴射口5から噴射される二次空気Gbにより微粉炭の酸化燃焼が増加し、この部分で火炎温度が高くなるため、NOxの発生量が増大する可能性がある。そのため、未燃分の微粉炭の量の増大を抑制しつつ、NOxの発生量が抑制されるように、ノズル投入空気量に対する供給口8から供給される二次空気Gbの供給量の割合が最適値に設定される。ノズル投入空気量に対する供給口8から供給される二次空気Gbの供給量の割合の最適値は、実験によって求めることができるし、燃焼バーナ1の構造及び寸法などに基づいて、シミュレーションによって求めることができる。
供給口8の位置が、燃料ガス噴射口2に近過ぎたり、供給口8が燃料ガス噴射口2の外側に配置されたりすると、内部保炎が安定して実現されない可能性がある。本実施形態においては、燃料ガス流路3の内側で、供給口8から供給された二次空気Gbで内部保炎するように、供給口8は、燃料ガス噴射口2から、燃料ガス流路3の上流側に所定距離D離れた位置に配置される。一方、所定距離Dが長過ぎると、燃料ガス流路3の上流側(燃料ガス流路3の流入口側)で火炎が生成されることとなる。その結果、燃料ノズル4の温度が過度に上昇する可能性がある。そのため、燃料ノズル4の過度な温度上昇を抑制しつつ、内部保炎が安定して実現されるように、所定距離Dが最適値に設定される。所定距離Dの最適値は、実験によって求めることができるし、燃焼バーナ1の構造及び寸法などに基づいて、シミュレーションによって求めることができる。
また、本実施形態においては、燃料ガス流路3は、燃料ガス噴射口2に向かって、断面積が同じとなる。燃料ガス噴射口2の近傍で、燃料ガス流路3が窄まらせていると、流速が上昇し、内部保炎が出来ずに外部保炎に成り易い。逆に燃料ガス噴射口2の近傍で、燃料ガス流路3が広がっていると、流れが剥離して循環が始まり、この循環による渦で保炎することになり外部保炎に移行する。本実施形態においては、燃料ガス流路3を拡げずに、また窄まらせずにいるので、内部保炎が安定して実現される。
以上説明したように、本実施形態によれば、内部保炎が実現され、着火が安定し、NOxの発生量を抑制することができる。
<第2実施形態>
第2実施形態について説明する。以下の説明において、上述の実施形態と同一又は同等の構成部分については同一の符号を付し、その説明を簡略又は省略する。
図7及び図8は、本実施形態に係る供給部材9の一例を示す図である。図3に示したように、上述の実施形態においては、供給部材9の相互の間隔が横方向に等間隔で配置され、燃料ガス流路3において供給部材9が配置されている密度がほぼ均一であることとした。複数の供給部材9は、図に示す5本や3本である必要は必ずしもなく、適宜必要な本数を選定するものである。また複数の供給部材9は、中心軸AXを含む第2の中心面に対して対称に配置されることが好ましい。
図7に示すように、複数の供給部材9のうち、横方向に関して両側の端に配置されている供給部材9の供給口8が、閉塞部材14で閉じられてもよい。これにより、燃料ガス流路3の横方向中央部において、供給口8からの二次空気Gbの供給量を多くすることができる。
例えば、ボイラ100の負荷が高く、供給する微粉炭の量(給炭量)が多い運用をする場合、図7に示すように、両側の端に配置されている供給部材9の供給口8が、閉塞部材14で閉じられて、供給口8からの二次空気Gbが、燃料ガス流路3の横方向で第2の中心面と中心軸AXとの交点に近い領域である横方向中央部に集中的に供給されてもよい。これにより、火炎は、専ら、燃料ガス流路3の横方向中央部で生成され、少なくとも横方向において二次空気噴射口5から噴出す二次空気Gbにより火炎が着火することなくなるため、火炎がより第2の中心面に近い領域である横方向中央部へと集中して安定した内部保炎が実現される。また、確実な内部保炎により、還元物質によるNOxの還元が促進され、NOxの低減に有効である。
一方、ボイラ100の運用条件が変化してボイラ100の負荷が低く、給炭量を少なくする場合は燃料ガス流量も少なくなる。この場合、閉塞部材14による閉塞が解除され、複数(本実施形態では5つ)の供給部材9の全ての供給口8が開けられてもよい。すなわち、図3に示した状態にしてもよい。これにより、供給口8からの二次空気Gbは、燃料ガス流路3全体に対して、図7に示した状態よりも平均的に供給される。供給口8からの二次空気Gbが、燃料ガス流路3に均一に供給されるので、火炎も、燃料ガス流路3において均一に生成される。また、火炎が均一に生成されることにより、着火性が低い難燃性の微粉炭が用いられても、その微粉炭を安定して着火させ内部保炎することができる。
ボイラ100の運用条件として、ボイラ100の負荷や供給する微粉炭の量(給炭量)に合わせて両側の端に配置されている供給部材9の供給口8を開閉させるには、例えば、供給部材9内に供給口8に合致した位置に貫通穴のある図示しない供給部材内管を挿入しておき、これを図示しない回転駆動を燃焼バーナ1の外部から導入して、供給口8の開閉を実施してもよい。また、例えば、供給部材9の第1内面131に接続される第1端部9Aと、第2内面132に接続される第2端部9B部分に図示しない蓋板を設置しておき、図示しない直進駆動を燃焼バーナ1の外部から導入して蓋板をスライド移動させて、両側の端に配置されている供給部材9へのガスの導通を遮断しても良い。両側の端に配置されている供給部材9の供給口8を開閉させる機構は、これらに限定されることはなく別形態でも良い。
ボイラ100の運用条件として、ボイラ100の負荷や供給する微粉炭の量(給炭量)に合わせて、適切で安定した火炎形成が出来るので、好ましい。
なお、着火性が良い微粉炭が用いられる場合、図7に示した状態にすることにより、燃料ガス流路3の横方向中央部に集めて着火させることができ、安定した内部保炎が実現される。また、内部保炎により、還元物質によるNOxの還元が促進される。
図8は、燃料ガス流路3の横方向で中心軸AXを含む第2の中心面に近い領域である横方向中央部において供給部材9(供給口8)が配置されている配置密度が、燃料ガス流路3の周縁部において供給部材9(供給口8)が配置されている配置密度よりも高い例を示す。図8に示す例においても、供給口8からの二次空気Gbは、燃料ガス流路3の横方向中央部に集中的に供給される。火炎は、専ら、燃料ガス流路3の横方向中央部で生成される。
ボイラ100の負荷や供給する微粉炭の量(給炭量)が所定の範囲に決定されているものについては、供給部材9を初めから供給口8を横方向中央部に集中的に設置するので、複雑な機構を設けることなく、安定した内部保炎が実現されるので好ましい。また、内部保炎の更なる安定化により、還元物質によるNOxの還元が促進される。
以上説明したように、供給部材9(供給口8)の配置を調整することができる。供給部材9(供給口8)の配置が調整されることによって、火炎の生成位置を調整することができる。
なお、複数の供給部材9は、横方向に配置されてもよいし、縦方向に配置されてもよい。複数の供給部材が縦方向に配置される場合、供給部材9の第1端部9Aは、第3内面133と接続され、供給部材9の第2端部9Bは、第4内面134と接続される。
なお、図3及び図7は、供給部材9が5つ配置される例を示し、図8は、供給部材9が3つ配置される例を示した。供給部材9の数は、任意である。供給部材9の数は、例えば2つ以上5つ以下の範囲で定めることができる。
また、上述の例では、各供給部材9に3つの供給口8が供給口の相互間の距離が同じとなるよう等間隔の配置位置で設けられることとした。供給部材9に設けられる供給口3の数は任意である。また各供給部材9の供給口3は、中心軸AXを含む第1の中心面に対して対称に配置されることが好ましい。
なお、供給口8の数が多い場合、着火性が良くなるが、供給部材9の縦方向上側付近と下側付近で燃料ガス流路3の内側で生成される火炎と、二次空気噴射口5から噴射された二次空気Gbとの距離が短くなるため、火炎の温度が上昇しやすくなりNOxの発生量が増加する可能性がある。供給部材9の縦方向で最上部の供給口8と第1内面131との距離、および縦方向で最下部の供給口8と第2内面132との距離は、供給口の相互間の距離よりも長く設定してもよい。供給口8の数が少ない場合、内部保炎が安定し、NOxの発生量を低減できるが、着火性が低くなる。そのため、使用する微粉炭の着火性(難燃性又は非難燃性)などを考慮して、NOxの発生量が低減されるように、供給口8の数と配置位置が設定されてもよい。
<第3実施形態>
第3実施形態について説明する。以下の説明において、上述の実施形態と同一又は同等の構成部分については同一の符号を付し、その説明を簡略又は省略する。
図9及び図10は、本実施形態に係る供給部材9の一例を示す図である。図3などに示したように、上述の実施形態においては、複数の供給口8の大きさが、等しいこととした。
図9に示すように、複数の供給口8の大きさが、異なってもよい。図9に示す例では、供給口8は、第1供給口81と、第2供給口82と、を含む。本実施形態では、第1供給口81は中心軸AXを含む第1の中心面に設置され、縦方向の上下に第2供給口82が設置されている。第1供給口81の開口サイズは、第2供給口82の開口サイズよりも大きい。このため、第1供給口81から供給される二次空気Gbの供給量は、第2供給口82から供給される二次空気Gbの供給量よりも多い。
第2供給口82は、燃料ガス流路3の軸方向に垂直な断面において、燃料ガス流路3の中心軸AXから第1供給口81よりも離れた位置に配置される。第1供給口81は、第2供給口82よりも、燃料ガス流路8の中心軸AXを含む第1の中心面に近い領域である縦方向中央部側に配置される。
供給口8の大きさが調整されることによって、供給口8から供給される二次空気Gbの供給量が調整される。図9に示した例によれば、燃料ガス流路8の縦方向中央部における供給口8から噴出す二次空気Gbの供給量が増大するので、燃料ガス流路3の縦方向中央部において、着火の安定した強い火炎を生成することができる。これにより、安定した内部保炎が実現される。また、第1供給口81の周囲の少なくとも一部に配置された第2供給口82から、第1供給口81から供給される二次空気Gbよりも少ない供給量で二次空気Gbが供給されるので、火炎の周辺においては、より還元雰囲気になるので、火炎におけるNOxの還元効果を高めることができる。そのため、NOxの発生量を抑制することができる。
図10は、燃料ガス流路3の中心軸AXを含む第1の中心面に近い領域である縦方向中央部において供給口8が配置されている配置密度が、燃料ガス流路3の縦方向周縁部において供給口8が配置されている配置密度よりも高い例を示す。図10は、供給部材9の縦方向の中央部に供給口8が3つ集中して配置され、供給部材9の縦方向の両端部に供給口8が1つずつ配置される例を示す。図10に示す例においても、燃料ガス流路3の縦方向中央部における供給口8から噴出す二次空気Gbの供給量が増大するので、燃料ガス流路3の縦方向中央部において、着火の安定した強い火炎を生成することができる。また縦方向の両端部の第2供給口82から供給される二次空気Gbは少ないので、火炎の周辺においては、より還元雰囲気になるので、火炎におけるNOxの還元効果を高めることがで、NOxの発生量を抑制することができる。
<第4実施形態>
第4実施形態について説明する。以下の説明において、上述の実施形態と同一又は同等の構成部分については同一の符号を付し、その説明を簡略又は省略する。
図11は、本実施形態に係る燃焼バーナ1の一例を示す側断面図である。図12は、本実施形態に係る燃焼バーナ1の一例を示す正面図である。
図11及び図12に示すように、供給部材9は、燃料ガス流路3の内面13の第1位置Q1から第1の中心面側である縦方向中央部へと突出する第1供給部材91と、第1位置Q1と対向する燃料ガス流路3の内面13の第2位置Q2から第1の中心面側である縦方向中央部へと突出する第2供給部材92と、を含む。
供給口8は、燃料ガス流路3の横方向中央部に配置される。供給口8の形状は、配管断面のままの円形や、横方向へ偏平化した楕円形や、また図12に示すように、供給口8の形状は、矩形でもよい。これにより、供給口8から供給される二次空気の噴出し位置とその噴出し方向を容易に制御できるので、火炎が偏ることなく、内部保炎を安定させることができる。
以上説明したように、供給部材9(第1供給部材91及び第2供給部材92)は、内面13から横方向中央部へと突出する突出部材でもよい。本実施形態においても、供給口8を軸方向に自由に適宜配置することができる。
燃料ガス流路3の中心軸AXを挟むように配置された第1供給部材91及び第2供給部材92から高温ガスである二次空気Gbが燃料ガスGbに供給されることによって、二次空気Gbの噴出し位置とその方向を制御できるので、火炎が偏ることなく、内部保炎を安定させることができる。また、NOxの発生量が抑制され、可燃性の揮発性の気化が促進される。
なお、本実施形態においては、第1供給部材91が第1内面131から突出するように設けられ、第2供給部材92が第2内面132から突出するように設けられることとした。第1供給部材91及び第2供給部材92の一方が第3内面133から第2の中心面側である横方向中央部へと突出するように設けられ、他方が第4内面134から第2の中心面側である横方向中央部へと突出するように設けられてもよい。
なお、本実施形態においては、2つの供給部材9(第1供給部材91及び第2供給部材92)が配置されることとした。内面13から突出する、3つ以上の任意の数の供給部材9が配置されてもよい。それら供給部材9は、第1内面131から突出するように設けられてもよいし、第2内面132から突出するように設けられてもよいし、第3内面133から突出するように設けられてもよいし、第4内面134から突出するように設けられてもよい。
<第5実施形態>
第5実施形態について説明する。以下の説明において、上述の実施形態と同一又は同等の構成部分については同一の符号を付し、その説明を簡略又は省略する。
図13は、本実施形態に係る第1供給部材91と、第2供給部材92の少なくとも一方の一例を示す側断面図であり、図13は特に第2供給部材92を示している。第4実施形態と同様、第1供給部材91は第1内面131から、第2供給部材92は第2内面132から第1の中心面側である縦方向中央部へと突出するように設けられる。
第1供給部材91及び第2供給部材92のそれぞれは、供給流路に面する内面と、内面の反対側を向く外面とを有する。 本実施形態において、第1供給部材91と第2供給部材92の高温ガスを噴出する部分である供給口8に続く外面は、中心軸AXと平行な仮想線L1に対して燃料ガス流路3の下流側を向く方向へ仮想線L1との距離が大きくなるよう傾斜する第1傾斜面15Aと、燃料ガス流路3の下流側を向く方向へ向かって第1傾斜面15Aとの距離が大きくなるように傾斜する第2傾斜面15Bと、燃料ガス流路3の下流側を向く前面15Dと、を含む。供給口8は、供給部材9の前面15Dに設けられる。
本実施形態において、供給部材9の高温ガスを噴出す部分の断面の外形は、三角形(楔形)である。第1傾斜面15Aと第2傾斜面15Bとの間のコーナー部(頂点)は、燃料ガス流路3の上流側を向く。供給部材9の高温ガスを噴出す部分は横方向に長い三角柱形状であってもよいし、円錐形状であってもよい。
また供給部材9の高温ガスを噴出す部分の断面の外形は、三角形(楔形)でなくても、角部分を丸くした疑似三角形や、さらに角部分に曲率を設けた疑似半円状であってもよい。
燃料ガス流路3で下流側へと流れる燃料ガスGaは、供給部材9のコーナー部において縦方向で上下方向へと分離され、2つの方向に流れる。燃料ガスGaの一部は、第1傾斜面15Aに沿って流れる。燃料ガスGaの一部は、第2傾斜面15Bに沿って流れる。燃料ガスGaは、第1傾斜面15A及び第2傾斜面15Bに沿って流れた後、燃料ガス流路の下流側に設けた供給部材9の前面15D側に巻き込むように流れる逆流域が発生する。供給部材9のコーナー部に当たった燃料ガスGaは、供給部材9から離れずに、供給口8が設けられた供給部材92の前面15D側に大きな逆流域として流れ込む。そのため、供給部材92の前面15Dにおいて、保炎状態がより確実に実現される。
すなわち、供給流路11は、供給口8から供給される二次空気の噴出しによる保炎機構に加えて、第1傾斜面15Aと第2傾斜面15Bと前面15Dによる逆流域として流れ込む保炎機構の両方を保有する。これにより、内部保炎状態がより確実に行なわれる。
<第6実施形態>
第6実施形態について説明する。以下の説明において、上述の実施形態と同一又は同等の構成部分については同一の符号を付し、その説明を簡略又は省略する。
図14、図15、及び図16は、本実施形態に係る供給部材9の一例を示す断面図である。
図14及び図15は、外形が円形である供給部材9の一例を示す。本実施形態においては、供給部材9の外周面に、微粉炭から供給部材9を保護する保護膜17が設けられる。
保護膜17は、少なくとも燃料ガス流路3の上流側を向く供給部材9の外面に設けられる。図14は、供給部材9の外面の全域に保護膜17が設けられた例を示す。図15は、燃料ガス流路3の上流側を向く供給部材9の外面の一部に保護膜17が設けられた例を示す。
なお、図16に示すように、断面が三角形である供給部材9のうち、燃料ガス流路3の上流側を向く一部の領域に保護膜17が設けられてもよい。
供給部材9は、耐熱性と耐酸化性に優れたステンレス鋼を含む。保護膜17は、セラミックスを含む。
保護膜17はアルミナ、シリカ、炭化ケイ素、ジルコニアやこれらの混合物などのセラミックスを用いることができる。保護膜17は供給部材9の外周面を覆うように成形・焼成されて、供給部材9に高温接着剤で接合したり、スリーブ状に形成して挿入することで固定される。また溶射で供給部材9の外周面に直接に形成してもよい。
また、保護膜17はセラミックスに限らず、高クロム系鋳鉄などの高硬度金属を使用することもできる。例えば、金属製スリーブの外側を硬化肉盛り被覆させてもよい。
燃料ガスGaの微粉炭が供給部材9と衝突すると、供給部材9が摩耗し、供給部材9が劣化する可能性がある。
保護膜17は、耐摩耗膜として機能する。本実施形態においては、保護膜17により、微粉炭の衝突による供給部材9の摩耗による劣化が抑制される。これにより、供給部材9の長寿命化を図ることができる。
なお、供給部材9が、セラミックスで形成されてもよい。
<第7実施形態>
第7実施形態について説明する。以下の説明において、上述の実施形態と同一又は同等の構成部分については同一の符号を付し、その説明を簡略又は省略する。
上述の第1実施形態から第6実施形態においては、供給口8から供給される酸素が含む高温ガスは、二次空気流路6から分岐した二次空気Gbの一部であることとした。
図17は、本実施形態に係る燃焼バーナ1の一例を示す側断面図である。図17に示すように、供給部材9は、供給口8と結ばれる供給流路11を有する。燃焼バーナ1の二次空気ノズル7より外側の別位置に配置されている高温ガス供給装置12が、供給流路11と接続される。供給口8は、高温ガス供給装置12から供給された高温ガスGcを、燃料ガス流路3に供給する。
このように、二次空気流路6の二次空気Gbではなく、燃焼バーナ1の外側に配置されている高温ガス供給装置12からの高温ガスGcが、燃料ガス流路3に供給されてもよい。
また、高温ガス供給装置12から供給され、供給口8を介して燃料ガス流路3に供給される高温ガスGcは、二次空気流路6を流れる二次空気Gbよりも温度が高いガスでもよく、また酸素濃度が高いガスでもよい。
高温ガスGcは、酸素ガス(100%酸素)でもよいし、二次空気Gbの酸素分圧よりも高い酸素分圧を有するガスでもよい。
例えば、図1に示した空気供給管127を流れる空気を分岐させ、その分岐させた空気を図示しないエアセパレータで処理して、酸素濃度を高めたガスを生成してもよい。そのガスを加熱装置で処理して、酸素濃度が高い高温ガスGcを生成し、また図示しない熱交換器で加熱する加熱装置を保有してもよい。この場合、高温ガス供給装置12は、エアセパレータ及び加熱装置を含む。
以上説明したように、燃焼バーナ1の外側に配置される高温ガス供給装置12を使うことにより、任意の組成及び任意の温度の高温ガスGcを供給口8から供給することができる。二次空気Gbよりも酸素濃度が高い高温ガスGcが供給口8から供給されることにより、燃料ガス流路3の燃料ガス噴射口2よりも燃料ガス流れ方向の上流側の位置となる内側で、確実に火炎を生成することができ、さらに内部保炎を安定して実現することができる。
<第8実施形態>
第8実施形態について説明する。以下の説明において、上述の実施形態と同一又は同等の構成部分については同一の符号を付し、その説明を簡略又は省略する。
図18は、本実施形態に係る燃焼バーナ1の一例を示す模式図である。図18に示すように、燃焼バーナ1は、供給口8からの酸素を含む高温ガスの供給量を調整する調整装置16を備えている。調整装置16は、高温のガスでも圧力損失が少なく流量調整が可能な流路面積を調整可能な装置であり、例えばボリュームダンパを含み、供給口8から供給される高温ガスの供給量を調整可能である。
図18に示す例では、供給部材9が縦方向に複数配置される。複数の供給部材9の供給流路11と接続される配管のそれぞれに、調整装置16が設けられる。これにより、複数の供給部材9の供給口8のそれぞれから供給される高温ガスの供給量を個別に調整することができる。
以上説明したように、本実施形態によれば、供給口8から供給される高温ガスの供給量を調整して、火炎の強さを調整することができる。これにより、火炎の位置を中心軸AXを中心とした中央部へと集中するように調整が容易になり、より安定した内部保炎が実現される。また、確実な内部保炎により、還元物質によるNOxの還元が促進され、NOxの低減に有効である。
<第9実施形態>
第9実施形態について説明する。以下の説明において、上述の実施形態と同一又は同等の構成部分については同一の符号を付し、その説明を簡略又は省略する。
図19は、本実施形態に係る燃焼バーナ1の一例を示す側断面図である。図20は、図19のA−A線断面図である。
本実施形態は、供給口8から供給される酸素を含む高温ガスGaを、二次空気流路6から効率良く供給流路11に流入させるものである。
供給部材9は、二次空気流路6に配置された流入口10と、流入口10において、二次空気流路6の内部に突出した流路関止め部135とを有する。流路関止め部135は、流入口10のうち、二次空気Gbの流れの下流側の部分から二次空気流路6の内部に突出する。
二次空気流路6の二次空気Gbの一部は、流路関止め部135に衝突して流れ方向を供給流路11内へと変換する。一方、二次空気流路6の二次空気Gbの流れは、流路関止め部135が流れの抵抗になるので、圧力損失が発生する。
このため、二次空気Gbの一部が流路関止め部135で流れ方向を変えて供給流路11を経由して供給口8から燃料ガス流路3に供給されるまでの流れによる圧力損失およびその流量は、二次空気流路6を流れて流路関止め部135で流れの抵抗を受けた後に二次空気噴出口5へと流出する二次空気Gbの流れによる圧力損失およびその流量と、流量配分のバランスを容易に取ることができるようになり、二次空気Gbの一部を効率良く供給流路11に流入させることができる。これにより、供給口8から噴出す二次空気流量を安定して供給することができるので、内部保炎をより一層に安定して実現することができる。
<第10実施形態>
第10実施形態について説明する。以下の説明において、上述の実施形態と同一又は同等の構成部分については同一の符号を付し、その説明を簡略又は省略する。
図21は、本実施形態に係る燃焼バーナ1の一例を示す側断面図である。図22は、図21のB−B線断面図である。
本実施形態は、供給口8から供給される酸素を含む高温ガスGaを、二次空気流路6から、さらに効率良く供給流路11に流入させるものである。
供給部材9は、二次空気流路6に配置された流入口10と、流入口10において、二次空気流路6内部にガス収集部136とを有する。
ガス収集部136は、流入口10のうち、二次空気Gbの流れの下流側の部分を囲む円弧部136Aと、横方向に関して円弧部136Aの両側から二次空気Gbの流れの上流側に延在する突出部136Bとを含む。2つの突出部136Bの間に、二次空気Gbが流入する流入口136Cが設けられる。二次空気流路6を流れる二次空気Gbの少なくとも一部は、流入口136Cから2つの突出部136Bの間の空間に流入し、流入口10に収集される。
二次空気流路6の二次空気Gbの一部は、ガス収集部136に導入されて流れ方向を供給流路11内へと変換する。一方、二次空気流路6の二次空気Gbの流れは、ガス収集部136を回避して流れるために、流れの抵抗が発生して、圧力損失が発生する。
このため、二次空気Gbの一部がガス収集部136に導入されて供給流路11を経由して供給口8から燃料ガス流路3に供給されるまでの流れによる圧力損失およびその流量は、二次空気流路6を流れてガス収集部136周辺で流れの抵抗を受けた後に二次空気噴出口5へと流出する二次空気Gbの流れによる圧力損失およびその流量と、流量配分のバランスを容易に取ることができるようになり、二次空気Gbの一部を効率良く供給流路11に流入させることができる。これにより、供給口8から噴出す二次空気流量を安定して供給することができるので、内部保炎をより一層に安定して実現することができる。