以下、図面を参照して本発明の実施の形態を説明する。
(第1の実施の形態)
図1(a)、(b)は、本発明の第1の実施の形態に係る放熱構造を備える電子機器の斜視図である。この電子機器として撮像装置を例示するが、適用される電子機器の種類は問わない。図1(a)、(b)では、撮像装置1に、着脱可能な交換レンズ2が装着された撮像装置システムをそれぞれ前方、後方からみた斜視図を示している。
なお、以後の説明においては、撮像装置1に対して交換レンズ2が装着される側(被写体側)を前側とする。図1(a)、(b)に示すように3次元座標を設定する。ここで、図中のX,Y,Z軸方向は、それぞれ前後、左右、上下方向に対応している。なお、左右方向については、前側から見た方向で呼称する。詳細には、交換レンズ2の光軸方向における撮像装置1から被写体に向かう方向をX軸正方向、前側からみて左側をY軸正方向、X軸方向及びY軸方向と垂直な鉛直上方向をZ軸正方向と定義する。従って、Z軸正方向を上方、Z軸負方向を下方、Y軸正方向を左方、Y軸負方向を右方、X軸正方向を前方、X軸負方向を後方と呼ぶ。
交換レンズ2は撮像装置1の前側に装着され、撮像装置1に設けられたレンズマウント3に対して取り付けられる。レンズマウント3には、ツマミ3a及び3bを有するねじ部を、光軸を中心に前側からみて反時計方向に回転させ、交換レンズ2に設けられた爪部(不図示)を後方に向けて引き込む方式が採用される。ただしこれに限定されるものではなく、例えば交換レンズ2を撮像装置1に対して光軸を中心に回転させて固定する公知のバヨネット式等でも良い。撮像装置1の外装は主としてフロントカバー13、リアカバー11、ボトムカバー12及びトップカバー4で構成される。トップカバー4には、右側に吸気側ダクトカバー5(図1(a))、左側に排気側ダクトカバー6(図1(b))がそれぞれ接着されている。撮像装置1の内部の熱はファン130(図4で後述する)により外部から取り入れた空気を用いて強制空冷により放熱される。吸気側ダクトカバー5には外気を導入するための第1の外部吸気口51及び第2の外部吸気口52が設けられ、排気側ダクトカバー6には、導入された空気を撮像装置1の外部へと吐き出すための外部排気口60が設けられる。トップカバー4、吸気側ダクトカバー5及び排気側ダクトカバー6でトップカバーユニットが構成される。
図2は、トップカバーユニットを取り外した状態における撮像装置システムの分解斜視図である。トップカバー4は略コの字形状を呈しており、その右端下、左下端にはそれぞれ、差込み用の爪7a、7bが設けられている。ボトムカバー12の右端下、左下端にはそれぞれ、爪7a、7bに対応する差込み溝8(左側は不図示)が設けられる。
トップカバーユニットの撮像装置1への取り付けは次の手順で行える。作業者は、フロントカバー13及びリアカバー11の外周に各々設けられたX軸負方向及び正方向に延設するリブに沿うようにしてトップカバーユニットをZ軸負方向へスライドさせる。その後、作業者は、ボトムカバー12の差込み溝8(左側は不図示)に対してトップカバー4の爪7a、7bを挿入し、ビス9によってトップカバーユニットを撮像装置1に対して取り付ける。
図3は、撮像装置システムにおけるXZ平面の側面図であり、トップカバーユニットを取り外した状態で示されている。フロントベース14はレンズマウント3に対して取り付けられる。NDユニット15は、レンズマウント3と撮像素子16との間に配置される。交換レンズ2を通過した光はNDユニット15を通過した後、センサ基板17上の撮像素子16に結像する。
センサプレート18には、センサ基板17に取り付けられた撮像素子16がUV接着により固定されている。ファン130は、リアカバー11に固定されているダクトベース100に対して取り付けられている。さらにダクトベース100には回路基板であるメイン基板300が接続されている。メイン基板300における部品実装面、ダクトベース100におけるメイン基板取付面、及び、ファン130の吸気面(円形の吸気口131の後縁を含む平面;図4、図12も参照)はいずれも、YZ平面に平行である。ファン130は、その吸気面がX軸方向視においてメイン基板300と重なるように配置される。これによって、YZ平面における撮像装置1の大型化が回避される。
図4は、ファン130を斜め後方から見た斜視図である。ファン130は遠心ファンであり、通風抵抗が大きい流路においても大風量が得やすいという特徴を有する。吸気口131は、ファン130の背面側に略円形状に開口し、排気口132はファン130の側面側に開口する。ファン130の内部には、回転することで吸気口131から空気を吸気して排気口132から排気する複数の羽根と、これらの羽根を回転させるモータとが設けられている。ファン130は、吸気口131よりX軸負方向から正方向へと吸気した空気を、排気口132からY軸正方向へと排気する。なお、ファン130に遠心ファンを用いることは必須でなく、例えば軸流ファンを用いても良い。
図3に示すように、ダクトベース100には、第1のダクト開口H1及び第2のダクト開口H2が設けられる。第1のダクト開口H1及び第2のダクト開口H2は、トップカバーユニットの取付状態において、吸気側ダクトカバー5の第1の外部吸気口51及び第2の外部吸気口52に対応する位置に形成されている。従って、ファン130を駆動することにより、外部の空気をダクト開口H1、H2を通して撮像装置1の内部へと導入可能である。一方、排気側に関しては、排気側ダクトカバー6に設けられた外部排気口60(図2)に排気口132が対応するようにファン130が配置される。ファン130が吸い込んだ空気は撮像装置1の内部の冷却に利用された後、撮像装置1の外部へと排気される。
図3に示すセンサ基板17は、撮像素子16が受けた光を電気信号に変換する。メイン基板300はセンサ基板17と電気的に接続され、画像処理や映像出力などを行う。いずれの基板にも、熱源となる電気部品が多数実装されている。センサ基板17で生じた熱は、主として熱伝導によりセンサプレート18へ拡散した後、撮像装置1の内部の空気へと伝熱され、最終的には撮像装置1の外装を通じて自然放熱により外気へと放熱される。なお、センサプレート18は例えばアルミニウム合金などの高熱伝導率材料で構成され、センサ基板17で生じた熱を効果的に拡散し、放熱する。
メイン基板300で生じた熱は、主に図5に示す放熱ユニット1000により強制空冷される。図5、図6を用いて放熱ユニット1000の構造を説明する。
図5は、放熱ユニット1000の分解斜視図である。放熱ユニット1000は、第1ユニット1001、第2ユニット1002、主要熱源となるメイン基板300、いずれも熱伝導性材料で成る部材301a、301b、301c、301d、302a、302b、302c、及びビス202を有する。第2ユニット1002は、メイン基板ホルダ200に熱拡散プレート201がビスによって固定されて構成される。メイン基板300は、その前後を第1ユニット1001及び第2ユニット1002で挟み込まれ、ビス202により固定されている。
メイン基板300の前面(X軸正方向側の面)には、電子部品である実装部品311a、311b、311c、311dが実装され、メイン基板300の後面(X軸負方向側の面)にも、不図示の電子部品が実装される。ここで、第1ユニット1001の組立時において、メイン基板300と第1ユニット1001との間には、実装部品311a、311b、311c、311dの各々に対応した形状の部材301a、301b、301、301dが圧縮状態で各々挟持される。メイン基板300と第2ユニット1002との間には、上記不図示の電子部品の各々に対応した形状の部材302a、302b、302cが圧縮状態で各々挟持される。これにより、放熱対象であるメイン基板300に対して、第1ユニット1001及び第2ユニット1002が各々熱的に(熱伝導可能に)接続されることが保証される。
第1ユニット1001において、ダクトベース100に対してダクト蓋140及びファン130がビス143、142により固定される。ダクトベース100及びダクト蓋140でダクト部が構成される。ダクト蓋140には、ファン130の吸気口131に対応する開口部として蓋開口H0が形成されている。蓋開口H0の形状は、ファン駆動軸O(ファン130の羽根を回転させるモータの回転中心)を中心とする円形であり、その直径は、ファン130の吸気口131の口径と同等以上である。これにより、ダクト内の空気を吸気口131へとスムーズに導くことが可能である。さらに、ダクト蓋140には、蓋開口H0の外縁を覆うようにクッション部材141が貼り付けられている。クッション部材141はダクト蓋140とファン130との間に圧縮状態で挟持され、両部材間の空気漏れを防ぐ。
ダクトベース100の材質は、例えば高剛性の高熱伝導率材料であるアルミダイキャスト等である。熱拡散プレート201の材質は、例えば銅板やアルミニウム合金板などの高熱伝導率材料であるのが好ましい。メイン基板300の前面(X軸正方向側の面)で生じた熱は、主として部材301a〜301dを介して第1ユニット1001側へ伝わる。そしてその熱は、ダクトベース100及びそれに一体に配設されている複数のフィン(第1のフィン群110、第2のフィン群120)へと拡散する(これらフィン群110、120については図10等で後述する)。
詳細は図10等で後述するが、第1ユニット1001の組立状態において、ダクトベース100とダクト蓋140との間には、いずれも吸気口131へとつながる2つの流路が形成される。これら2つの流路は、第1の放熱部F1の第1の流路F1a、及び第2の放熱部F2の第2の流路F2aである。第1のダクト開口H1は、第1の放熱部F1に対応する吸気開口であり、第2のダクト開口H2は、第2の放熱部F2に対応する吸気開口である。第1のダクト開口H1から蓋開口H0(乃至吸気口131)に至るまでの経路が第1の流路F1aであり、第2のダクト開口H2から蓋開口H0(乃至吸気口131)に至るまでの経路が第2の流路F2aである。ダクトベース100に取り付けられたファン130の作動により、第1のダクト開口H1及び第2のダクト開口H2より外気が取り入れられる。これによりダクトベース100に設けられた複数のフィン群110、120の間に通風し、フィン群110、120の熱が空気へと伝熱する。流入した空気はいずれも、ダクト蓋140の蓋開口H0を介してファン30の吸気口131へと導かれた後、排気口132より排気される。
図6は、第1ユニット1001の組立状態における斜視図である。第1のダクト開口H1及び第2のダクト開口H2からそれぞれ取り入れられる空気は、第1の冷却風w1及び第2の冷却風w2として、ダクトベース100とダクト蓋140との間に形成される2つの流路(流路F1a、F2a)を通る。そして、冷却風w1、w2はダクト内部を冷却した後、ファン130の排気口132より排気風w0として排出される。
なお、上述した吸排気の経路は、排気側ダクトカバー6に設けられる吸排気口を除き、略密閉された構造となっている。従って、吸排気口よりゴミや水滴などが侵入した場合においても、それらを通風経路内に留めるか、あるいは排気口より排出することが可能となっている。これにより、吸排気経路に進入したゴミや水滴に起因する撮像装置1の性能悪化や故障を防ぐことができる。
一方、メイン基板300の後面(X軸負方向側の面)で生じる熱は、主として第2ユニット1002を構成する熱拡散プレート201及びメイン基板ホルダ200(図5)に拡散する。その後、その熱は、撮像装置1内部の空気へと放熱された後、撮像装置1の外装を経て外気へと自然放熱される。メイン基板300の前面(X軸正方向の面)及び後面(X軸負方向の面)をそれぞれ放熱するための放熱経路を比較すると、前面にある第1ユニット1001による強制空冷が支配的となる。このため、発熱量の比較的大きな実装部品はメイン基板300の前面(X軸正方向の面)に集中的に配置するのが望ましい。なお、メイン基板300に設けられたグランドパターン(不図示)が、ダクトベース100と接触している。これにより、メイン基板300自身の熱をダクトベース100に伝達することが可能である。
図7は、放熱構造の主要部を含む撮像装置1の分解斜視図である。放熱ユニット1000は、上方を板金部材19に、下方をボトムカバー12に、後方をリアカバー11によって囲まれるように配置されている(図3等参照)。また、図2に示すようにトップカバーユニットを組み付けることで、放熱ユニット1000の左右方向(Y軸正負方向)も保持される。上述のように、トップカバー4はZ軸負方向に開放した略コの字形状である。トップカバーユニットの組み付け状態においては、トップカバーユニットにおける吸気側ダクトカバー5を有する部分と排気側ダクトカバー6を有する部分とが、ダクトベース100を含む放熱ユニット1000を左右方向から挟むように位置する。
図7に示すように、ダクトベース100からは、メイン基板300を囲むように、複数の第1の延設部である腕部105a、105b、105cが、光軸方向における後方(X軸負方向)に延設されている。腕部105a、105b、105cの先端部がビス150によりリアカバー11に固定される。また、ダクトベース100の上端部からは、ボス106a、106bがZ軸正方向に突出形成され、ボス106a、106bが板金部材19にビス151により固定される。ダクトベース100の下端部からは、複数の第2の延設部であるボス107a、107bがZ軸負方向に突出形成され、ボス107a、107bがボトムカバー12にビス152により固定される。メイン基板300の熱は主に強制冷却により放熱される。しかし、ダクトベース100が有する熱の一部は、腕部105a、105b、105c及びボス107a、107bを介して、それぞれリアカバー11及びボトムカバー12に伝達されて放熱される。リアカバー11及びボトムカバー12は、いずれも、マグネシウムダイキャストなどの金属材料で構成されている。そのため、ダクトベース100から伝わった熱は各カバー内で拡散し、自然放熱されるため、樹脂などで形成したカバーと比較して放熱効果が高く、ヒートスポット(局所的に熱い箇所)の発生も防ぎやすい。
ところで、ファン130、ダクトベース100、メイン基板300、リアカバー11、ボトムカバー12の配置関係を整理すると、次のようになっている。メイン基板300は、ダクトベース100に対してファン130とは反対側(X軸負方向側)に積層されるように配置される。リアカバー11は、メイン基板300に対してファン130とは反対側(X軸負方向側)に配置され、外装の一部を構成する。ボトムカバー12及びトップカバー4は、ダクトベース100とメイン基板300との積層方向に略垂直な方向(Z軸正負方向)において外装の一部を構成する。
図2、図3に示すように、板金部材19は、撮像装置1の上部においてフロントカバー13とリアカバー11とを繋ぐように固定される。ボトムカバー12は、撮像装置1の下部においてフロントカバー13とリアカバー11とを繋ぐように固定される。上述のように、ダクトベース100は、その上部、下部をボス106a、106b、ボス107a、107bによって板金部材19、ボトムカバー12に固定され、更に後部を腕部105a、105b、105cによってリアカバー11に固定される。これらにより、外力、特に光軸方向にかかる圧縮やねじりに対する剛性を高めることができる。前述したように、アルミダイキャストなどの剛性の高い材料から成るダクトベース100によって(一部は板金部材19を介して)、周囲のカバーが固定されているため、剛性向上のための新たな部品を追加することなく撮像装置1としての剛性を高めることができる。なお、ダクトベース100の上端部(ボス106a、106b)は板金部材19に固定されるとしたが、電子機器の上面側に位置するトップカバー4に固定されても良い。なお、トップカバー4も金属材料で構成されてもよい。
電源基板400は、メイン基板ホルダ200を介してダクトベース100に取り付けられ、メイン基板300とは不図示のコネクタを介して電気的に接続される。図8は、メイン基板300と電源基板400とが取り付けられたダクトベース100のXZ平面の側面図である。図8に示すように、メイン基板300と電源基板400との間には距離Dの空隙が形成される。この空隙は、互いの基板表面に実装されている部品同士が当たるのを避けることと、メイン基板300から発する熱を電源基板400に伝えにくくすることを目的として設けられ、それに適するように距離Dの値が決められている。また、電源基板400から生じた熱は、電源基板400の後面側(X軸負方向側)に設けられた熱拡散プレート401に拡散して自然放熱される。その観点から、発熱量の比較的大きな実装部品は電源基板400の後面(X軸負方向の面)に集中的に配置するのが望ましい。
図9は、メイン基板300と電源基板400とが取り付けられたダクトベース100の背面図である。メイン基板300には、凹形状の逃げ部300a、300b、300cが形成されている。逃げ部300a、300b、300cは、それぞれダクトベース100の腕部105a、105b、105cとの干渉を避けるために設けられ、腕部105a、105b、105cを逃げるように切り欠いた形状となっている。これにより、ダクトベース100を大型化することなくダクトベース100とリアカバー11とを伝熱可能に接続でき、撮像装置1の外形の拡大を抑制することができる。メイン基板300はダクトベース100に直接接続され、ダクトベース100は上述のように金属製の外装カバー(カバー11、12等)と接続されている。これらにより、メイン基板300のグランドパターンと外装カバーとの電位差が無くなり、安定したGNDを確保することができる。更に、メイン基板300は金属部品(カバー11、12、板金部材19)で覆われているため、外部の不要電磁波からのシールド効果も期待できる。
図10は、ダクトベース100の正面図である。図10に一点鎖線で示された円Hpは、蓋開口H0(図5)のダクトベース100への投影形状である。第1の放熱部F1と第2の放熱部F2とは分離壁101により分けられる。すなわち、第1のダクト開口H1から吸気口131までの第1の流路F1aと、第2のダクト開口H2から吸気口131までの第2の流路F2aとは、分離壁101を隔てて形成される。第1の放熱部F1は実装部品311a、311bに対応し、第2の放熱部F2は実装部品311c、311dに対応する位置に設けられる。X軸方向視において、実装部品311c,311dは、メイン基板300に対する第1の放熱部F1の投影領域内に配置され、実装部品311a,311bは、メイン基板300に対する第2の放熱部F2の投影領域内に配置される。
第1の流路F1a、第2の流路F2aをそれぞれ流れる空気の主な流れ方向を主流方向と呼ぶ。第1の流路F1aは略直線形状であり、第1の流路F1aを流れる冷却風w1の主流方向は直線的である。一方、第2の流路F2aは、主流方向の途中で略直角に屈曲した略屈曲形状となっている。第2の流路F2aを流れる冷却風w2は、途中において略直角に進行方向を変えるため、冷却風w1に対して相対的に通風抵抗が大きい。なお、ここに示している2つの冷却風w1、w2は理解容易化のため一例を示したものであり、実際にはそれぞれの流路全体で空気の流れが生じている。
ここで、各々の流路における流路長は異なっている。第2の流路F2aよりも第1の流路F1aの方が、流路長が短くなるように、ファン駆動軸Oの位置(ファン130の配置)や蓋開口H0の位置が設計されている。なお、流路F1a、F2aの両者の長さを比較する際、流路F1a、F2aの各長さは、ダクト開口H1、H2からファン駆動軸Oまでの最短距離で定義されるとする。あるいは、流路F1a、F2aの各長さは、ダクト開口H1、H2から吸気口131の縁までの最短距離で定義してもよい。
第1の放熱部F1、第2の放熱部F2の各々において、複数のフィンがダクトベース100に一体に形成されている。すなわち、第1の放熱部F1は複数の第1のフィン群110(フィン111a,111b,111p)を有し、第2の放熱部F2は複数の第2のフィン群120(フィン121a,121b,121c)を有する。
まず、第1のフィン群110は、第1の流路F1aの主流方向と略垂直な方向に並列に複数配列される。第1のフィン群110の各々は、主流方向に対して複数に分割され、第1のダクト開口H1に近い方から順に、フィン111a,111b,111pが配置される。フィン111a,111b,111pは各々、主流方向と略平行な突条であり、X軸正方向に突出する。第1の流路F1aの主流方向における長さについては、フィン111aの長さL1が最も長く、フィン111b,111pの長さL2は共通で、フィン111aの長さL1よりも短い。フィン111pは、蓋開口H0に対向する領域に存在する。フィン111a,111bのX軸正方向への突出高さは共通で、フィン111pの突出高さはフィン111a,111bよりも低い(図12でも述べる)。
第2のフィン群120は、第2の流路F2aの主流方向と略垂直な方向に並列に複数配列される。第2のフィン群120の各々は、主流方向に対して複数に分割され、第2のダクト開口H2に近い方から順に、フィン121a,121b,121cが配置される。フィン121a,121b,121cは各々、主流方向と略平行な突条であり、X軸正方向に突出する。第2の流路F2aの主流方向におけるフィン121a,121b,121cの長さは互いに異なっており、フィン121a,121b,121cのうちフィン121aが最も長い。フィン121a,121b,121cのX軸正方向への突出高さは共通である。なお、フィン121a,121bは直線的であるが、フィン121cは、第2の流路F2aの屈曲部付近の形状が緩やかに湾曲している。これにより、冷却風w2の流れが略直角に進行方向を変える部分における通風抵抗の増大を抑えている。
図11は、ダクト部の分解斜視図である。図12は、図10のA−A線に沿う断面図である。蓋開口H0のダクトベース100への略投影領域にフィン111pが配置されることで、吸気口131に対向する熱源に対する第1ユニット1001の放熱性能が高まる。フィン111pの突出高さが、ダクトベース100に配設される他のフィン(フィン111a,111b)よりも低いことで、吸気口131近傍の障害物の影響によるファン130の性能低下が回避される。
図12に示す破線の矢印は、冷却風w1を表している。ダクトベース100に配設されているフィンの内、フィン111pを除くいずれのフィンも、図12に示すフィン111a,111bと同様に、ダクト蓋140と干渉しない範囲で高く形成される。これにより、可能な限りフィン先端とダクト蓋140間の空隙を小さくして、フィンとフィンとの間に確実に冷却風w1を通すことができる。
フィン111pは他のフィンに比べてX軸正方向に低く形成され、フィン111pの先端とファン130の吸気面との間に長さΔxの空隙が設けられている。空隙Δxが小さすぎる場合、吸気口131近傍のフィン111pの影響によりファン性能が低下する。一方、空隙Δxが大きすぎる場合、吸気口131に対向するダクトベース100の放熱面積が小さくなる。そこで、本実施の形態では、空隙Δxと吸気口131の周長(π×φdf)との積で表される面積が、ファン130の排気口132(図4)の開口面積と同程度となるように、フィン111pの高さが設定される。φdfは吸気口131の直径である。これにより、ファン性能を低下させることなく(つまり風量を低下させることなく)、吸気口131に対向するダクトベース100の放熱面積を増大させている。
さらに、冷却風w1は第1のダクト開口H1から吸気口131へと進行する際に、その一部がフィン111pの側面及び先端部を通過する。そのため、フィン111pにおける熱伝達率が増大し、ファン130の吸気口131に対向する領域において高い放熱効果を得ることができ、放熱対象の温度を広範囲に均一化することが可能となっている。
また、図10に示すように、フィン111pはファン130の吸気口131に対向する領域の一部の領域、具体的にはファン駆動軸Oよりも第1のダクト開口H1に近い側の一部の領域にのみ設けられている。ファン駆動軸Oに近い領域は吸気口131に対向する領域の中でも流速が小さく温度低減効果が小さい。このような温度低減効果が小さい領域にはフィン111pを設けないことで、フィン形状の簡略化及び軽量化を図ることができる。なお、この構成に限られるものではなく、例えばフィン111pを吸気口131に対向する全領域に設けても良い。
第1のフィン群110、第2のフィン群120において、対応する流路F1a、F2aの主流方向に対して各フィンを分割したことで、フィンを分割せずに延設した構成と比較して、放熱に寄与するフィンの表面積及び熱伝達率を増大させることができる。それにより、第1ユニット1001において高い放熱効果を得ることが可能となっている。
また、各主流方向に対するフィンの単位長さ当たりの分割数は、第2の放熱部F2よりも第1の放熱部F1の方が多くなっている。図10の例でいえば、主流方向における単位長さ当たりの第1のフィン群110のフィンの数は、2のフィン群120のフィンの数より多い。フィンの分割数が多いほど表面積及び熱伝達率が増大する一方、通風抵抗も大きくなるため、その通風抵抗の増分は第1の放熱部F1で顕著となる。
一方で、第1の流路F1aの流路長は第2の流路F2aより短く、通風抵抗が小さいため、フィンを主流方向に対して多数分割した場合でも第1の放熱部F1において十分な通風量を得ることができる。さらに、第1のダクト開口H1は第2のダクト開口H2よりもその開口面積が大きく、第1の放熱部F1は第2の放熱部F2に比べて吸気しやすくなっている。そのため第1の放熱部F1において所望の風量が得やすい。
このようなダクト構造により、第1の放熱部F1では、第2の放熱部F2に比べてより効率的に放熱可能となっている。このため、第1の放熱部F1の主要放熱対象である実装部品311c,311dの合計消費電力が第2の放熱部F2の主要放熱対象である実装部品311a,311bの合計消費電力よりも大きくなるように実装部品が配置されている。なお、高消費電力・高発熱量となる実装部品がメイン基板300の前面側(X軸正方向側)で且つ、第1の放熱部F1の投影領域内に集中配置されるのが望ましい。
また、第1のフィン群110、第2のフィン群120はダクトベース100に一体に設けられているため、メイン基板300の放熱のために複数のダクトを設けた場合に比べて回路基板の温度をより均一にすることができる。従って、実装部品が局所的に高温になることを防ぐことができる。放熱部F1、F2に配設されるフィンの内、ダクト開口H1、H2に最も近いフィン(フィン111a、フィン121a)は、主流方向における下流側に隣接するフィン(フィン111b、フィン121b)に比べて長い。これにより、外部から取り入れた空気が流路F1a、F2aの入り口付近で過剰に温められるのを防ぐことができる。従って、流路後半にも比較的冷たい空気を流すことで、流路前半から後半にかけての温度を一層均一化することができる。なお、流路F1a、F2aの後方にいくにつれて、フィンの長さを徐々に短くしてもよい。
本実施の形態によれば、第1の流路F1aの流路長よりも第2の流路F2aの流路長の方が長く、第1の放熱部F1に配設される第1のフィン群110は第1の流路F1aの主流方向に対して複数に分割される。主流方向における単位長さ当たりのフィンの数は、第2の放熱部F2に配設される第2のフィン群120よりも第1の放熱部F1に配設される第1のフィン群110の方が多い。すなわち、流路長の短い方のフィンの分割数を相対的に多くすることで、広範囲に分布する熱源の熱流量バランスを考慮した効果的な放熱構造を実現できる。しかも、ファン130は単一であるので、装置が大型化しない。よって、放熱効率を向上させることができ、特に、装置を大型化することなく、発熱量分布があっても基板及び実装部品の温度を均一化することができる。
また、メイン基板300に対する第1の放熱部F1の投影領域内に配置される実装部品群の合計消費電力は、メイン基板300に対する第2の放熱部F2の投影領域内に配置される実装部品群の合計消費電力よりも大きい。これにより、相対的に放熱効率の高い第1の放熱部F1で大きく放熱することで、実装部品の温度均一化に寄与する。
なお、放熱部F1、F2に配設されるフィンのうち、少なくとも第1のフィン群110は主流方向に対して複数に分割されていればよく、第2のフィン群120は分割されていなくてもよい。
本実施の形態によればまた、ダクトベース100は、メイン基板300の周囲を囲むように延設された第1の延設部(腕部105a、105b、105c)、及び、Z軸負方向に延設された第2の延設部(ボス107a、107b)を有する。そして、腕部105a、105b、105cは背面側に配置されるリアカバー11(第1のカバー)に固定され、ボス107a、107bは底面側に配置されるボトムカバー12(第2のカバー)に固定される。これにより、ダクトベース100の熱が金属製のリアカバー11及びボトムカバー12に伝達されて効率よく放熱される。従って、放熱効率を向上させることができる。また、腕部105a、105b、105cがリアカバー11に固定され、ボス107a、107bがボトムカバー12に固定されることに加えて、ボス106a、106bが板金部材19に固定される。これらにより、部品点数を増やすことなく撮像装置1としての剛性を高めることができる。しかも、ダクト部を上方及び側方から覆う略コの字形状のトップカバー4(第3のカバー)が、ダクト部(特にダクトベース100)を左右方向から挟む(挟持する)ように配置されるので、撮像装置1はより堅牢な構成となる。
また、メイン基板300には、腕部105a、105b、105cとの干渉を避けるための逃げ部300a、300b、300cが形成されているので、撮像装置1の小型化に寄与する。
(第2の実施の形態)
図13は、第2の実施の形態に係る電子機器の放熱構造におけるダクトベース102の正面図である。本実施の形態は、第1の実施の形態に対し、ダクトベース100に代えてダクトベース102を備える。なお、第1の実施の形態と同一の構成要素は同一の符号を付してそれらの説明を省略する。
ダクトベース102は、第2のフィン群120に対応するものとして、第2のフィン220を備える。第2のフィン220はダクトベース100の第2のフィン群120とは形状が異なり、分割されていない。また、第1の実施の形態におけるダクトベース100では、フィン群110、120のそれぞれの、主流方向に直交する方向の配列ピッチは共通であった。これに対しダクトベース102では、第1のフィン群110と第2のフィン220とで配列ピッチが異なる。ダクトベース102におけるその他の構成はダクトベース100と同様である。
第1のフィン群110は、第1の流路F1aの主流方向に垂直な方向(略Z軸方向)に並列に、ピッチp1で複数配列される。第2のフィン220は、第2の流路F2aの主流方向に垂直な方向に並列に、ピッチp2で複数配列される。ピッチp2よりもピッチp1の方が小さい。これにより、相対的に、第1の放熱部F1でより多くのフィンを配設可能となり、放熱面積を増大させることができる。前述の通り、第1の放熱部F1の流路長が第2の放熱部F2よりも短いため、上記のように第1の放熱部F1において狭ピッチで第1のフィン群110を配設した場合においても十分な風量を得ることができる。一方で流路長が相対的に長い第2の放熱部F2では、フィンのピッチp2を大きくして通風抵抗を小さくすることによって必要な風量を得ることを可能としている。これにより、バランスのよい冷却を行える。
本実施の形態によれば、装置を大型化することなく、発熱量分布があっても基板及び実装部品の温度を均一化することに関し、第1の実施の形態と同様の効果を奏することができる。また、第2のフィン220のピッチp2の方が第1のフィン群110のピッチp1より大きいので、第2の放熱部F2での通風抵抗を小さくして必要な流量を得ることができる。従って、例えば、ファン130を低回転で回転させる場合や小型のファンを用いる場合など、ファンの静圧が比較的小さく、第2の放熱部F2に必要な空気を通風させることが困難な場合においても放熱対象の温度を均一化することが可能である。
なお、通風抵抗低減の観点から、第2の放熱部F2に設けられる第2のフィン220は主流方向に分割しない構成としたが、第1の実施の形態と同様に主流方向に複数に分割してもよい。
(第3の実施の形態)
図14は、第3の実施の形態に係る電子機器におけるダクトベース103の正面図である。本実施の形態は、第1の実施の形態に対し、ダクトベース100に代えてダクトベース103を備える。なお、第1の実施の形態と同一の構成要素は同一の符号を付してそれらの説明を省略する。
ダクトベース103は、第2のフィン群120に対応するものとして、第2のフィン320を備える。第2のフィン320はダクトベース100の第2のフィン群120とは形状が異なり、分割されていない。また、第1の実施の形態におけるダクトベース100では、フィン群110、120のそれぞれの、主流方向に直交する方向の配列ピッチは一様であった。これに対しダクトベース103では、第2のフィン320の配列ピッチが配列方向に変化する。具体的には、隣接する第2のフィン320同士の間隔は、ファン駆動軸Oからの距離が近いほど小さい。第2のフィン320の配列ピッチは、ファン駆動軸Oに近い方から順に、ピッチp3−1,p3−2,p3−3,p3−4というように徐々に大きくなっている。なお、第2のフィン320の数を5個としているが、この数に限定されるものではない。ダクトベース103におけるその他の構成はダクトベース100と同様である。
第2のフィン320の配列ピッチをこのように構成することで、吸気口131からの距離を問わず、第2の放熱部F2において複数の第2のフィン320間の風量を均一にすることが可能となる。これにより、冷却対象であるメイン基板300の温度をより均一にすることが可能となる。
本実施の形態によれば、装置を大型化することなく、発熱量分布があっても基板及び実装部品の温度を均一化することに関し、第1の実施の形態と同様の効果を奏することができる。また、第2の放熱部F2における発熱量の分布が均一でない場合においても放熱対象の温度を均一化することができる。
なお、通風抵抗低減の観点から、第2の放熱部F2に設けられる第2のフィン320は主流方向に分割しない構成としたが、第1の実施の形態と同様に主流方向に複数に分割してもよい。
なお、第1、第2の実施の形態においては、放熱部(流路)の数が2つの構成を例示したが、放熱が必要な熱源の分布に応じて放熱部(流路)を3以上に増やしても良い。その場合、3以上の放熱部のうち2つが、各実施の形態で説明した第1の放熱部F1と第2の放熱部F2との関係を満たせばよい。例えば、少なくとも、最も流路長が短い放熱部に配設されるフィンは主流方向に対して複数に分割されるのがよい。
(第4の実施の形態)
一般に、撮像装置は屋外で使用されることがある。一時的な屋外撮影の際に撮像装置が使用される場合では、荒天時に雨水などが装置内部に侵入する恐れがある。そこで、撮像装置内への雨水などの侵入を防止する簡易的な対策として、防水性素材を用いたレインカバーにより撮像装置が覆われることがある。その際、放熱のための撮像装置の通風孔がレインカバーにより閉塞されると放熱量が低下し、装置が異常に高温となる懸念があった。特にファンを具備する装置においては、吸気によりレインカバーに対して装置内に吸着する方向の力が作用するため、通風路の閉塞及び放熱量の低下はより顕著となる。また、装置の周囲がレインカバーに覆われることにより、ファンによる外気への円滑な排熱が阻害され、外気へと排出されなかった一部の排気熱がレインカバーと装置の外装との間の空間に留まり、装置の高温化を促進する。さらには上記排気熱の一部が吸気側へ回り込むことによって装置の高温化がより促進される。このように、レインカバーの装着は、装置の温度上昇を引き起こす懸念があった。そこで、本発明の第4の実施の形態では、電子機器本体に装着可能(着脱自在)な電子機器用のアクセサリを提供する。このアクセサリを装着することで、レインカバーの装着による通風孔の閉塞を防ぐとともに、排気熱の吸気への回り込みを防止する。本実施の形態では、アクセサリを装着可能な電子機器として、第1の実施の形態で説明した撮像装置1を例示する。
図15(a)、(b)は、アクセサリの斜視図である。このアクセサリ500は、撮像装置1に着脱可能であり、図15(a)、(b)ではそれぞれ、撮像装置1への装着時における撮像装置1の内側、外側から見た図を示している。
アクセサリ500は、略平板形状のベース部550を有する。ベース部550から略垂直に複数の延設部510(510a、510b、510c、510d、510f)が延設されている。また、ベース部550には、貫通穴である把持用開口H5a、H5bが、ベース部550の長手方向に並んで形成されている。撮像装置1への装着状態においては、ベース部550の長手方向がZ軸正負方向となり、また、延設部510の延設方向はY軸方向と略平行になる。以下、アクセサリ500における方向を、装着状態を基準として呼称する。延設部510において、把持用開口H5aのZ軸負方向側の縁からは、延設部510と同じ側に取付片520aが延設され、把持用開口H5bのZ軸正方向側の縁からは、延設部510と同じ側に取付片520bが延設されている。取付片520a、520bはそれぞれ、弾性片521a、521bを有する。弾性片521a、521bはいずれもZ軸方向に弾性変形可能である。弾性片521a、521bの先端にはそれぞれ、係止爪522a、522bが形成される。
さらに、延設部510において、把持用開口H5bのZ軸負方向側の縁からは、風の流れを規制するルーバ530が、延設部510と同じ側に形成されている。また、ベース部550のZ軸負方向側の端部からは、延設部510と反対側においてベース部550と略平行に規制部540が延設形成されている。規制部540は、弾性部541を有し、弾性部541には、滑り止めリブ543が設けられている。弾性部541の先端は屈曲したガイド部542となっている。規制部540は、弾性部541とベース部550との間にレインカバー600(図19)の端部を挟持することによりレインカバー600の端部の位置を規制する。滑り止めリブ543は、装着されたレインカバー600のズレを防止する。ガイド部542は、レインカバー600の装着の際にレインカバー600を弾性部541とベース部550との間に導く。アクセサリ500では、樹脂成型により上述の各構成要素が一体に形成されている。なお、アクセサリ500のうち滑り止めリブ543以外を一体に形成し、滑り止めリブ543には他の部分より弾性の高い部材を使用してもよい。
次に、アクセサリ500の撮像装置1への装着方法と装着後の作用について図16〜図19を用いて説明する。図16は、アクセサリ500装着状態の撮像装置1を前方から見た図であり、一部を断面で示している。図17は図16のB部の詳細図である。アクセサリ500は同じ構成のものが2つ用意されており、撮像装置1の左側部、右側部のいずれにも装着できる。アクセサリ500は、装着時の上下方向の向きは決まっており、また、延設部510の先端が撮像装置1の側に向くように装着される。
図16に示すように、アクセサリ500は吸気側ダクトカバー5及び排気側ダクトカバー6に各々1つずつ着脱可能に装着される。ここでは排気側ダクトカバー6に装着されているアクセサリ500に着目して説明する。なお、吸気側ダクトカバー5への装着方法や作用も同様であるため、その説明の一部を省略する。撮像装置1への装着の際、ユーザは、延設部510の各々の先端部が排気側ダクトカバー6の外形に合うようにアクセサリ500を位置決めした後、弾性片521a、521bを把持する。その際、ユーザは、把持用開口H5a、H5bに指を通して、弾性片521a、521bを操作し、両者を互いに近づく方向に弾性変形させることができる。
ところで、吸気側ダクトカバー5及び排気側ダクトカバー6は、それぞれ光軸方向に沿った複数のリブを備え、隣接するリブ間にスリットが形成される。複数のスリットが、それぞれの通風孔を構成する。例えば、図17に示すように、排気側ダクトカバー6は、リブ61とスリット62を有し、複数のスリット62が、排気側の通風孔(外部排気口60;図1(b))を構成する。なお、吸気側ダクトカバー5については図示しないが、同様にして複数のスリットで吸気側の通風孔(外部吸気口51、52;(図1(a))が構成される。
ユーザは、図17に示すように、係止爪522a、522bを、排気側ダクトカバー6の対応するスリット62に挿通し、係止爪522a、522bをそれぞれ対応する位置にあるリブ61に係止する。図17では係止爪522bのみを示したが、上方の係止爪522aの係止の態様も同様である。このように、上下2カ所の係止爪522a、522bが各々対応するリブ61に対して係止されることで、アクセサリ500が排気側ダクトカバー6に対して保持され、撮像装置1に装着される。把持用開口H5a、H5bに対して各指を挿通可能であるので、弾性片521a、521bを把持して操作することが容易であり、アクセサリ500の装着時の操作性が高い。アクセサリ500を取り外すには、係止爪522a、522bとリブ61との係止を解除すればよい。アクセサリ500は、吸気側及び排気側のダクトカバーに容易に着脱可能であるため、レインカバー600を使用しない際にはアクセサリ500を取り外すことにより装置全体の大型化を回避できる。
アクセサリ500が吸気側ダクトカバー5及び排気側ダクトカバー6の各々に対して装着された状態において、ベース部550は各々対応するダクトカバーに対して略平行となり、対応する通風孔に対向する。しかも、ベース部550の各々は、延設部510により、機器や通風孔に対して離間した位置に位置する。すなわち、延設部510が排気側ダクトカバー6と当接することで、ベース部550との間に空隙Eが形成される(図16)。同様に、吸気側ダクトカバー5とベース部550との間にも空隙Eが形成される。さらに、排気側において、延設部510c、510fと排気側ダクトカバー6との間に開口部L4dが形成される。吸気側において、延設部510c、510fと吸気側ダクトカバー5との間に開口部R4dが形成される。開口部L4d、R4dは、電子機器の略鉛直下側に開口する。開口部L4d、R4dは、対応する空隙Eとつながる。従って、アクセサリ500の装着状態において、延設部510が撮像装置1と当接することで、ベース部550と対応する通風孔との間に空隙Eが確保される。さらに、延設部510c、510fとベース部550と撮像装置1(特にダクトカバー)との間に、空隙Eとつながる(連通する)開口部L4d、R4dが形成される。従って、吸気側及び排気側において、延設部510が撮像装置1と当接して、撮像装置1とベース部550との間に、通風孔から外気につながる開口部(L4d、R4d)が形成される。
次に、レインカバー装着状態時の吸排気経路について述べる。図16に示す吸気風w3、排気風w4はそれぞれ、レインカバー装着時のファン130の駆動による吸気風、排気風の流れを模式的に表したものである。ルーバ530は、対応する通風孔と開口部(L4d、R4d)との間に流路を形成するように風の流れを規制する。吸気風w3は開口部R4dから取り入れられ、吸気側ダクトカバー5と略平行に進み、その後、空隙Eを通って吸気側ダクトカバー5の通風孔(第1の外部吸気口51及び第2の外部吸気口52)から内部に入る。一方、排気風w4は排気側ダクトカバー6から略垂直方向に出て空隙Eへ進み、その後、ルーバ530の作用によってその進行方向をZ軸負方向へ規制され、開口部L4dから外気へと流出する。
図18(a)、(b)は、アクセサリ500の装着状態における撮像装置1をそれぞれ上方、下方から見た斜視図である。アクセサリ500は、吸気側ダクトカバー5及び排気側ダクトカバー6の各々に対して1つずつ装着されているとする。図18、図19では、主として、吸気側ダクトカバー5に取り付けられているアクセサリ500について詳述するが、排気側ダクトカバー6側についても同様であるため、適宜その説明を省略する。
上述のように、アクセサリ500を装着すると延設部510等によって空隙E(図16)が形成される。このほか、吸気側ダクトカバー5、延設部510及びベース部550により囲まれ、且つ吸気側ダクトカバー5に垂直な前後、上下方向の4つの面には、開口部R4(R4a、R4b、R4c、R4d)が形成される(開口部R4dについては図16も参照)。また、排気側ダクトカバー6側にも同様に、延設部510及びベース部550により囲まれ、且つ排気側ダクトカバー6に対して垂直な前後、上下方向の4つの面には開口部L4が形成される。開口部L4については開口部L4a、L4dのみ符号を図示している(開口部L4dについては図16も参照)。これらの開口部により、レインカバー600の装着による第1の外部吸気口51、第2の外部吸気口52及び外部排気口60(図1(a)、(b))の閉塞を防止し、通風量の低下を防ぐことが可能となっている。複数の開口部R4の総面積は、第1の外部吸気口51と第2の外部吸気口52とを合わせた面積に対して同等以上である。また、複数の開口部L4の総面積は、外部排気口60の面積に対して同等以上である。これにより、アクセサリ500の装着による通風抵抗の増加を抑制している。
図19は、アクセサリ500及びレインカバー600の装着状態における撮像装置1を下方(Z軸負方向)から見た斜視図である。ユーザが所望によりレインカバー600を撮像装置1に被せる。レインカバー600は、撮像装置1の底面部を除いた周囲を覆い、撮像装置1の上方(Z軸正方向)あるいは側方からの雨水などが撮像装置1内へ侵入すること防止する。
次に、レインカバー600の撮像装置1への装着方法を説明する。レインカバー600は交換レンズ2の周囲を覆った後、上方から撮像装置1の外装及びアクセサリ500のベース部550に沿うように被せられる。規制部540に設けられるガイド部542により、レインカバー600の端部が弾性部541とベース部550との間に導かれる。ここで、弾性部541は弾性変形してレインカバー600の端部を挟持する。さらに、滑り止めリブ543(図15(a))によりレインカバー600のずれが抑制される。ユーザは、レインカバー600の端部(開口部R4d、L4d近傍の位置)を規制部540により規制した後、一対のベルクロ(登録商標)601によりレインカバー600を固定する。
上述のようにレインカバー600の端部の位置が規制部540により規制されることで、撮像装置1下方の開口部R4d、L4dの閉塞が抑止される。ファン130の駆動による吸気は、複数の開口部R4から流入するが、それらのうち開口部R4dはレインカバー600で覆われておらず、比較的通風抵抗が低い。そのため、開口部R4から多くの吸気が流入する(吸気風w3)。一方、排気は複数の開口部L4から排出されるが、それらのうち開口部L4dはレインカバー600で覆われておらず、比較的通風抵抗が低い。しかもルーバ530の働きにより、外部排気口60から開口部L4dへの主な流路が形成されやすい。そのため、多くの排気は開口部L4dから外気へ排出される(排気風w4)。
このように、レインカバー600と撮像装置1との間の微小空間での排気熱の滞留を回避可能となっている。これにより排気熱の吸気側への回り込みが抑制され、吸排気経路を明確に分断することが可能となる。その結果、レインカバー600の装着状態において、主として開口部R4dから低温の外気を第1ユニット1001へと取り込み、撮像装置1の熱を奪った後、主として開口部L4dから外気へ排熱する効果的な放熱経路を形成可能となる。
本実施の形態によれば、撮像装置1にアクセサリ500が装着された状態においては、延設部510によって空隙Eが形成されると共に、空隙Eとつながる開口部L4d、R4dが形成される。開口部L4d、R4dは通風孔(外部排気口60、外部吸気口51、52)と外気とをつなぐ。アクセサリ500が装着されていれば、撮像装置1にレインカバー600が被せられても、レインカバー600の端部位置が規制部540によって規制されることで、開口部L4d、R4dが閉塞されることが抑止される。これにより、撮像装置1の放熱効率を向上させることができる。特に、撮像装置1にカバーが被せられた状態でも、通風性を確保して放熱機能を維持することができる。
また、ルーバ530によって、通風孔(外部排気口60、外部吸気口51、52)と開口部L4d、R4dとの間に流路を形成するように風の流れが規制される。また、開口部R4の総面積は、外部吸気口51、52の総面積に対して同等以上であり、開口部L4の総面積は、外部排気口60の面積に対して同等以上であるので、アクセサリ500を装着しても通風抵抗の増大が抑制される。これらにより、吸排気が円滑となって放熱効率の確保に寄与する。
また、通風孔を構成するリブ61が、アクセサリ500が取り付けられる取付部となるので、部品点数が増えずに済む。しかも、ユーザは、ベース部550に形成された把持用開口H5a、H5bに指を通して取付片520a、520bを操作でき、取付片520a、520bの各係止爪522a、522bをリブ61に係止することでアクセサリ500を装着できる。これらにより、アクセサリ500の取り付け及び取り外しの操作が容易である。
また、アクセサリ500は左右の区別がなく、吸気用と排気用のいずれにも使用できるので、アクセサリ500の種類を増やさないで済む。
なお、本実施の形態のアクセサリ500は、第1、第2、第3の実施の形態の電子機器に適用可能であり、適用される電子機器の種類も問わない。
以上、本発明をその好適な実施形態に基づいて詳述してきたが、本発明はこれら特定の実施形態に限られるものではなく、この発明の要旨を逸脱しない範囲の様々な形態も本発明に含まれる。上述の実施形態の一部を適宜組み合わせてもよい。