以下、適宜図面を参照しながら、実施の形態を詳細に説明する。但し、必要以上に詳細な説明は省略する場合がある。例えば、既によく知られた事項の詳細説明や実質的に同一の構成に対する重複説明を省略する場合がある。これは、以下の説明が不必要に冗長になるのを避け、当業者の理解を容易にするためである。
なお、発明者(ら)は、当業者が本開示を十分に理解するために添付図面および以下の説明を提供するのであって、これらによって特許請求の範囲に記載の主題を限定することを意図するものではない。
以下、本開示の実施の形態に係る撮像装置システムについて図面を参照しながら説明する。
本開示の実施の形態に係る撮像装置システムは、異なる種類の第1の撮像装置と第2の撮像装置とを含んでいる。したがって、まず、第1および第2の撮像装置それぞれについて説明する。
図1~図5は、本開示の一実施の形態に係る撮像装置システムにおける第1の撮像装置の右前方斜視図、左前方斜視図、後方斜視図、正面図、および底面図である。なお、第1の撮像装置の一部分は概略的に図示されている。
ここで、図に示すX-Y-Z直交座標系は、本開示の実施の形態の理解を容易にするためのものであって、本開示の実施の形態を限定するものではない。X軸方向は撮像装置の前後方向であって、Y軸方向は左右方向であって、Z軸方向は高さ方向である。また、撮影時に被写体が存在する側を、撮像装置の前側とする。
図1~図5に示すように、本実施の形態に係る第1の撮像装置10は、ペンタミラーを備える一眼レフタイプのカメラと類似の意匠性を有する。第1の撮像装置10は、筺体12を備える。その筺体12には、レンズマウント14(第1のレンズマウント)と、電子ビューファインダ(EVF)16(第1の電子ビューファインダ)とが設けられている。具体的には、レンズマウント14は、筺体12の前面12aに設けられている。電子ビューファインダ16は、筺体12の頂面12bの左右方向の概ね中央部分から突出する上方突出部12c内に設けられている。また、電子ビューファインダ16は、上方突出部12cの後面に設けられたファインダ窓12kを介して画像を出力する。レンズマウント14の光軸C1(すなわちレンズマウント14に取り付けられるレンズの光軸)を含んで高さ方向(Z軸方向)に延在する仮想平面(Z-X平面)に交差するように、レンズマウント14および電子ビューファインダ16が設けられている。また、その仮想平面と交差するように、雲台取り付け用のめねじ穴12d(第1のめねじ穴)が筺体12の底面12eに設けられている。
また、本実施の形態の場合、筺体12の後面12fには、バリアングル式のモニタ18が設けられている。バリアングル式のモニタ18は、図3に示すように、高さ方向(Z軸方向)に延在する第1の回転中心線R1および第1の回転中心線R1に対して直交する方向に延在する第2の回転中心線R2を中心として回動可能に筺体12に設けられている。
図6は、本開示の一実施の形態に係る第1の撮像装置の分解斜視図である。
図6に示すように、本実施の形態に係る第1の撮像装置10は、フロントユニット20、リアユニット22、およびトップユニット24から構成されている。
フロントユニット20は、筺体12の一部を構成し、少なくとも筺体12の前面12aを備えるフロントケーシング30(第1のフロントケーシング)を含んでいる。なお、フロントケーシング30は、前面12a全体を含んでもよいし、また前面12aの一部を含んでもよい。なお、フロントケーシング30の外側表面の一部分に滑り止めのためのゴムシートが貼り付けられる場合がある。
リアユニット22は、筺体12の一部を構成し、少なくとも筺体12の後面12fを備えるリアケーシング32を含んでいる。リアケーシング32は、上方突出部12cの後側部分を含んでいる。なお、リアケーシング32は、後面12f全体を含んでもよいし、また後面12fの一部を含んでもよい。なお、リアケーシング32の外側表面の一部分に滑り止めのためのゴムシートが貼り付けられる場合がある。
トップユニット24は、筺体12の一部を構成し、少なくとも筺体12の頂面12bを備えるトップケーシング34(第1のトップケーシング)を含んでいる。トップケーシング34は、上方突出部12cの前側部分を含んでいる。なお、トップケーシング34は、頂面12b全体を含んでもよいし、また頂面12bの一部を含んでもよい。
フロントケーシング30、リアケーシング32、およびトップケーシング34が、例えばねじなどを介して互いに固定されることにより、第1の撮像装置10の筺体12が形成される。
図7および図8は、本開示の一実施の形態に係る第1の撮像装置におけるフロントユニットの前方分解斜視図および後方分解斜視図である。
図7および図8に示すように、フロントユニット20は、フロントケーシング30に加えて、撮像モジュール40、レンズマウントモジュール42、メイン回路基板44(第1の回路基板)、バッテリ46、および伝熱プレート48が含まれている。また、撮像モジュール40は、センサモジュール50と、シャッタモジュール52とを含んでいる。
図9および図10は、本開示の一実施の形態に係る第1の撮像装置におけるセンサモジュールの前方分解斜視図および後方斜視図である。
図9および図10に示すように、撮像モジュール40のセンサモジュール50は、イメージセンサ54(第1のイメージセンサ)を含んでいる。イメージセンサ54は、レンズマウント14に取り付けられたレンズを透過した画像光を受光面54aで受光し、受光した画像光を電気信号に変換するデバイスである。イメージセンサ54は、回路基板56に実装されている。
また、本実施の形態の場合、第1の撮像装置10は、手振れ補正を実行できるように構成されている。すなわち、第1の撮像装置10を持つユーザの手の振動によって画像ぶれが生じないようにイメージセンサ54を光軸C1と直交する方向に変位させることが可能に、センサモジュール50は構成されている。具体的には、センサモジュール50は、イメージセンサ54を支持する可動フレーム58と、可動フレーム58を左右方向(Y軸方向)および高さ方向(Z軸方向)に移動可能に支持するフロントフレーム60とリアフレーム62とを含んでいる。なお、センサモジュール50は、フロントフレーム60を介して、フロントケーシング30に固定される。
フロントフレーム60とリアフレーム62は、互いに固定され、その間で可動フレーム58が変位するように、可動フレーム58を支持する。可動フレーム58を変位させるための複数のコイル64および複数の磁石66が、可動フレーム58、フロントフレーム60、およびリアフレーム62に設けられている。フロントフレーム60上の磁石66とリアフレーム62上の磁石66との間に、可動フレーム58上のコイル64が配置されている。コイル64に電流が流れることにより、磁石66の間に形成された磁界の中でコイル64が変位する。その結果、可動フレーム58が変位し、可動フレーム58に回路基板56を介して支持されているイメージセンサ54が変位する。
なお、コイル64は、フレキシブルケーブル68を介して回路基板56に電気的に接続されている。その回路基板56は、フレキシブルケーブル70を介してメイン回路基板44に電気的に接続されている。
また、可動フレーム58には、保護ガラス72、赤外線カットガラスなどの複数の光学フィルタを含むフィルタモジュール74が、イメージセンサ54の前方に位置するように設けられている。
さらに、イメージセンサ54は、可動フレーム58に対して熱移動可能に接続(接触)されている。具体的には、回路基板56に形成された貫通穴56aを介して、可動フレーム58に設けられた凸部58aがイメージセンサ54に接触することにより、イメージセンサ54と可動フレーム58が熱移動可能に接続されている。これにより、撮像中に発熱するイメージセンサ54の熱が、可動フレーム58に吸収される。なお、可動フレーム58は、イメージセンサ54の熱を吸収するために、アルミニウムなどの高い熱伝導率を備える材料から作製されている。また、可動フレーム58からの熱の移動については後述する。
図7および図8に示すように、撮像モジュール40のシャッタモジュール52は、センサモジュール50の前方に配置されている。シャッタモジュール52は、露光時間を調節するためのシャッタを含んでいる。シャッタモジュール52は、フレキシブルケーブル76を介して、メイン回路基板44に電気的に接続されている。
レンズマウントモジュール42は、レンズマウント14とレンズマウント14に取り付けられたレンズと電気的に接続する電子接点78を含んでいる。電子接点78は、フレキシブルケーブル80を介して、メイン回路基板44に電気的に接続されている。
メイン回路基板44は、撮像モジュール40の後方に配置されている。そのメイン回路基板44には、フレキシブルケーブル82を介してバッテリ46が電気的に接続されている。メイン回路基板44は、センサモジュール50のイメージセンサ54、シャッタモジュール52のシャッタ、レンズマウント14に取り付けられたレンズなどを制御する。
伝熱プレート48は、主にメイン回路基板44に実装された複数のICチップ84を冷却するための部材であって、ICチップ84に対して、例えば伝熱シート(図示せず)を介して接触している。すなわち、伝熱プレート48とICチップ84は、熱移動可能に接続されている。ICチップ84は、例えば、イメージセンサ54からの電気信号に基づいて画像データを生成する画像処理用のチップ、画像データなどを記憶するメモリなどである。この伝熱プレート48に、動作中に発熱するICチップ84の熱が吸収される。なお、伝熱プレート48は、ICチップ84の熱を吸収するために、アルミニウムなどの高い熱伝導率を備える材料から作製されている。また、伝熱プレート48からの熱の移動については後述する。
図3および図6に示すように、リアユニット22は、リアケーシング32に加えて、電子ビューファインダ16と、モニタ18と、複数の操作ボタン86とを含んでいる。これらは、フレキシブルケーブル87を介してメイン回路基板44に電気的に接続されている。それにより、電子ビューファインダ16とモニタ18は、メイン回路基板44によって制御される。
図11は、本開示の一実施の形態に係る第1の撮像装置におけるトップユニットの下方斜視図である。また、図12は、本開示の一実施の形態に係る第1の撮像装置におけるトップユニットの分解斜視図である。
図11および図12に示すように、トップユニット24は、トップケーシング34に加えて、シャッタボタン88などの複数の操作ボタンと、冷却モジュール90とを含んでいる。操作ボタンと冷却モジュール90は、フレキシブルケーブル92とリード線94を介してメイン回路基板44に電気的に接続されている。
冷却モジュール90は、撮像モジュール40のセンサモジュール50上のイメージセンサ54とメイン回路基板44上のICチップ84とを強制冷却するモジュールであって、筺体12の上方突出部12c内に格納されている。なお、冷却モジュール90は、電子ビューファインダ16とともに上方突出部12cに格納されており、電子ビューファインダ16の前方に配置されている。
図13は、本開示の一実施の形態に係る第1の撮像装置における冷却モジュールの分解斜視図である。また、図14は、本開示の一実施の形態に係る第1の撮像装置における、上方突出部内での空気の流れを示す部分断面図である。さらに、図15は、本開示の一実施の形態に係る撮像装置における、上方突出部内での空気の流れを示す上面図である。加えて、図16、ヒートシンクの断面図である。そして、図17は、ヒートシンクに対する空気の流れを示す斜視図である。
図13および図14に示すように、冷却モジュール90は、ヒートシンク96(放熱部材)と、ヒートシンク96を冷却する空気の流れFを発生させるファン98とを含んでいる。また、冷却モジュール90は、ファン98をヒートシンク96に取り付けるためのダンパ100を含んでいる。ダンパ100は、ファン98の振動を吸収する。なお、本実施の形態の場合、ファン98は、軸流ファンであって、斜め上前方から斜め下後方に向かって空気を吹き出すように、ヒートシンク96に取り付けられている。
図14および図15に示すように、空気が流れる流路P(空気の流れFが発生する流路)は、トップケーシング34の上方突出部12cと冷却モジュール90によって画定されている。流路Pの一端である吸気口12gと、他端である排気口12h、12iは、トップケーシング34の上方突出部12cに形成されている。具体的には、本実施の形態の場合、図15および図5に示すように、吸気口12gは、筺体12の前面12aから前方に向かって突出する上方突出部12cの突出部分における下面に形成されている。また、排気口12h、12iは、図15に示すように、上方突出部12cの左側側面と右側側面に形成されている。排気口12h、12iは、左右方向(Y軸方向)に対向する。この排気口12h、12iの間に冷却モジュール90のヒートシンク96が配置されている。
ヒートシンク96は、流路P内に配置される第1のフィン96a、第2のフィン96b、および第3のフィン96cを備える。本実施の形態の場合、ヒートシンク96は、ファン98によって蓋をされる開口を上側部分に備える箱状であって、高い熱伝導率を備える材料、例えばアルミニウムから作製されている。
具体的には、図13、図14、図16、および図17に示すように、本実施の形態の場合、ヒートシンク96は、矩形状の底板部96dと、底板部96dの左右方向(Y軸方向)の両端それぞれからファン98に向かって立設する(本実施の形態の場合、高さ方向(Z軸方向)に立設する)一対の左側壁部96eおよび右側壁部96fとを含んでいる。左側壁部96eおよび右側壁部96fそれぞれには、左右方向に貫通して空気が通過する通気穴96g、96hが形成されている。
また、ヒートシンク96は、図14に示すように、底板部96dの前後方向(X軸方向)の両端それぞれからファン98に向かって立設する(本実施の形態の場合、高さ方向(Z軸方向)に立設する)前側壁部96iおよび後側壁部96jを含んでいる。さらに、図14に示すように、ヒートシンク96は、底板部96dの前後方向の一端(本実施の形態の場合、後端)からファン98から離れる方向(本実施の形態の場合、下方向)に延在する舌片部96kを含んでいる。
図14に示すように、複数の第1のフィン96aは、ファン98に対向するヒートシンク96の底板部96dの第1の表面96mからファン98に向かって高さ方向(Z軸方向)に立設している。第1のフィン96aは、ピン状のフィンであって、本実施の形態の場合、円形断面を備える。また、本実施の形態の場合、図17に示すように、複数の第1のフィン96aは、第1の表面96m上に千鳥状に配置されている。
図13、図16、および図17に示すように、複数の第2のフィン96bは、ヒートシンク96の左側壁部96eの通気穴96g内と右側壁部96fの通気穴96h内のそれぞれに、間隔をあけて前後方向(X軸方向)に並んで設けられている。第2のフィン96bは、左右方向(Y軸方向)および高さ方向(Z軸方向)に延在するプレート状のフィンである。
図13、図14に示すように、複数の第3のフィン96cは、ヒートシンク96の前側壁部96iから前方に突出し、間隔をあけて左右方向(Y軸方向)に並んで設けられている。第3のフィン96cは、前後方向(X軸方向)および高さ方向(Z軸方向)に延在するプレート状のフィンである。図14および図5に示すように、第3のフィン96cは、吸気口12g内に配置されている。
図17に示すように、空気の流れFにおいて、第3のフィン96cが最も上流側に位置し、第2のフィン96bが最も下流側に位置する。すなわち、ファン98の回転によって吸気口12g内に進入した空気は、まず、複数の第3のフィン96cの間を通過する。次に、空気は、複数の第1のフィン96a間を通過しつつ、底板部96dの第1の表面96mにガイドされ、2つの通気穴96g、96hそれぞれに向かう方向に分岐する。そして、空気は、図15に示すように、通気穴96g、96hそれぞれに設けられた第2のフィン96b間を通過した後、筺体12の上方突出部12cに設けられた排気口12h、12iを介して外部に流出する。
図13に示すように、ヒートシンク96の通気穴96g、96hそれぞれを通過した空気がもれなく排気口12h、12iを通過するように、上方突出部12cとヒートシンク96との隙間を塞ぐリングシール102、104が、ヒートシンク96に設けられている。また、排気口12h、12iへのユーザの指の侵入を防ぐフィンガーガード106、108がヒートシンク96に設けられている。
なお、このような排気口12h、12iを介して、雨などの液体が上方突出部12c内に侵入し、ヒートシンク96の底板部96d上に溜まる可能性がある。この対処として、図16に示すように、ヒートシンク96の通気穴96gの底面96nが、底板部96dの第1の表面96mに比べて低レベルに位置する。このような通気穴96gにより、ヒートシンク96の底板部96d上の液体が、上方突出部12cの外部に出やすくなる。
図18および図19は、本開示の一実施の形態の第1の撮像装置におけるヒートシンクと冷却対象との接続を示す斜視図および断面図である。
上述したように、冷却モジュール90は、撮像モジュール40のセンサモジュール50上のイメージセンサ54およびメイン回路基板44上のICチップ84を強制冷却するためのものである。そのために、図18および図19に示すように、冷却モジュール90のヒートシンク96は、熱源であるイメージセンサ54を支持する可動フレーム58と、熱源であるICチップ84と接触する伝熱プレート48とに接続している。すなわち、可動フレーム58と伝熱プレート48が、冷却モジュール90の冷却対象である。
図19に示すように、本実施の形態の場合、第1の冷却対象の可動フレーム58は、熱伝導シート110を介して、冷却モジュール90のヒートシンク96に接触(接続)している。
図20は、本開示の一実施の形態の第1の撮像装置における熱伝導シートの展開図である。また、図21は、本開示の一実施の形態の第1の撮像装置におけるヒートシンクと熱伝導シートとの接続を示す下方斜視図である。さらに、図22は、本開示の一実施の形態の第1の撮像装置における熱伝導シートと第1の冷却対象の接続を示す後方斜視図である。さらにまた、図23は、本開示の一実施の形態の第1の撮像装置における熱伝導シートと第1の冷却対象の接続を示す部分的後面図である。そして、図24は、本開示の一実施の形態の第1の撮像装置における熱伝導シートと第1の冷却対象の接続を示す分解斜視図である。
図20に示すように、熱伝導シート110は、例えば高い熱伝導率を備え、且つ、可撓性を備える材料から作製されている。本実施の形態の場合、熱伝導シート110は、高い熱伝導率を備えるグラファイトから作製されたグラファイトシートである。
図20~図23に示すように、熱伝導シート110は、ヒートシンク96に接続(接触)する放熱部110aと、冷却対象の可動フレーム58と接続(接触)する第1および第2の吸熱部110b、110cとを備える。第1および第2の吸熱部110b、110cは、互いに逆方向に延在する一対の帯状部110d、110eに設けられている。
図21に示すように、熱伝導シート110の放熱部110aは、ヒートシンク96の底板部96dの第2の表面96p(第1の接続部)に接続(接触)している。第2の表面96pは、第1のフィン96aが設けられている第1の表面96mの反対側の表面である。この放熱部110aを介して、熱伝導シート110からヒートシンク96に熱が放出される。
なお、図19に示すように、熱伝導シート110の放熱部110aとヒートシンク96の底板部96dの第2の表面96pとの接触は、シート押え部材112によって維持されている。シート押え部材112は、ウレタンフォームなどの弾性部材114を介して熱伝導シート110に接触し、それにより熱伝導シート110とヒートシンク96との接触を維持している。なお、シート押え部材112は、図9および図10に示すように、センサモジュール50のフロントフレーム60に取り付けられている。
図23に示すように、熱伝導シート110の第1および第2の吸熱部110b、110cは、可動フレーム58に接続している。具体的には、第1の吸熱部110bと第2の吸熱部110cは、互いに重なり合う状態で可動フレーム58の頂面58bに接続する。厳密にいえば、第1の吸熱部110bが頂面58bに直接的に接続し、第2の吸熱部110cが頂面58bに間接的に接触する。すなわち、一対の帯状部110d、110eがループを形成することにより、第1の吸熱部110bと第2の吸熱部110cが互いに重なり合う。
また、第1の吸熱部110bと第2の吸熱部110cとの間には、ウレタンフォームなどの弾性部材116が配置されている。第1の吸熱部110b、弾性部材116、および第2の吸熱部110cの積層体は、可動フレーム58に固定されたシート押え部材118の底面118aと可動フレーム58の頂面58bとに挟持されている。弾性部材116により、第1の吸熱部110bが可動フレーム58の頂面58bに向かって付勢されて接触し続け、第2の吸熱部110cがシート押え部材118の底面118aに向かって付勢されて接触し続ける。このような弾性部材116により、第1の吸熱部110bと可動フレーム58との接続と、第2の吸熱部110cとシート押え部材118を介する可動フレーム58との接続が維持されている。
本実施の形態の場合、シート押え部材118は、可動フレーム58と同様に、アルミニウムなどの高い熱伝導率を備える材料から作製されている。これにより、可動フレーム58の熱は、第1の吸熱部110bには直接的に移動し、第2の吸熱部110cにはシート押え部材118を介して移動する。この場合、弾性部材116は、熱伝導率が低い材料から作製されてもよい。
なお、可動フレーム58とシート押え部材118は、一部品として一体化されてもよい。
可動フレーム58とヒートシンク96が熱伝導シート110を介して接続される理由は、可動フレーム58がヒートシンク96に対して変位するからである。可動フレーム58が変位すると熱伝導シート110が変形する。その変形をしやすくするために、図23に示すように、熱伝導シート110は、その厚さ方向が可動フレーム58の変位方向(左右方向(Y軸方向)および高さ方向(Z軸方向))と一致するように、可動フレーム58とヒートシンク96との間に配置されている。
第2の冷却対象である伝熱プレート48は、可動フレーム58と異なり、直接的にヒートシンク96と接続(接触)している。
図25および図26は、本開示の一実施の形態の第1の撮像装置におけるヒートシンクと第2の冷却対象の接続を示す後方斜視図および後面図である。
図25および図26に示すように、ヒートシンク96は、その舌片部96kに、伝熱プレート48と接触するための接触面96q(第2の接続部)を備える。伝熱プレート48は、例えばねじなどによって舌片部96kに固定されることにより、接触面96qと接触し続ける。
ここまでは、本開示の一実施の形態に係る撮像装置システムの第1の撮像装置について説明してきた。ここからは、第1の撮像装置と異なる、撮像装置システムの第2の撮像装置について説明する。
図27~図31は、本開示の一実施の形態に撮像システムにおける第2の撮像装置の右前方斜視図、左前方斜視図、後方斜視図、正面図、および底面図である。なお、第2の撮像装置の一部分は概略的に図示されている。
本実施の形態に係る第2の撮像装置210は、第1の撮像装置10と異なる種類の撮像装置である。
図27~図31に示すように、本実施の形態に係る第2の撮像装置210は、第1の撮像装置10と同様に、一眼レフタイプのカメラと類似の意匠性を有する。第2の撮像装置210は、筺体212を備える。その筺体12には、レンズマウント214(第2のレンズマウント)と、電子ビューファインダ(EVF)216(第2の電子ビューファインダ)とが設けられている。具体的には、レンズマウント214は、筺体212の前面212aに設けられている。電子ビューファインダ216は、筺体212の頂面212bの左右方向の概ね中央部分から突出する上方突出部212c内に設けられている。また、電子ビューファインダ16は、上方突出部212cの後面に設けられたファインダ窓212kを介して画像を出力する。レンズマウント214の光軸C2(レンズマウント214に取り付けられるレンズの光軸)を含んで高さ方向(Z軸方向)に延在する仮想平面(Z-X平面)に交差するように、レンズマウント214および電子ビューファインダ216が設けられている。また、その仮想平面と交差するように、雲台取り付け用のめねじ穴212d(第2のめねじ穴)が筺体212の底面212eに設けられている。
また、第2の撮像装置210の場合、筺体212の後面212fには、バリアングル式のモニタ218が設けられている。バリアングル式のモニタ218は、高さ方向(Z軸方向)に延在する第1の回転中心線R3および第1の回転中心線R3に対して直交する方向に延在する第2の回転中心線R4を中心として回動可能に筺体212に設けられている。
図32は、本開示の一実施の形態に係る第2の撮像装置の分解斜視図である。
図32に示すように、第2の撮像装置210も、第1の撮像装置10と同様に、フロントユニット220、リアユニット222、およびトップユニット224から構成されている。
フロントユニット220は、筺体212の一部を構成し、少なくとも筺体212の前面212aを備えるフロントケーシング230(第2のフロントケーシング)を含んでいる。なお、フロントケーシング230は、前面212a全体を含んでもよいし、また前面212aの一部を含んでもよい。
リアユニット222は、筺体212の一部を構成し、少なくとも筺体212の後面212fを備えるリアケーシング232を含んでいる。リアケーシング232は、上方突出部212cの後側部分を含んでいる。なお、リアケーシング232は、後面212f全体を含んでもよいし、また後面212fの一部を含んでもよい。
トップユニット224は、筺体212の一部を構成し、少なくとも筺体212の頂面212bを備えるトップケーシング234(第2のトップケーシング)を含んでいる。トップケーシング234は、上方突出部212cの前側部分を含んでいる。なお、トップケーシング234は、頂面212b全体を含んでもよいし、また頂面212bの一部を含んでもよい。
フロントケーシング230、リアケーシング232、およびトップケーシング234が、例えばねじなどを介して互いに固定されることにより、第2の撮像装置210の筺体212が形成される。
図33および図34は、本開示の一実施の形態に係る第2の撮像装置におけるフロントユニットの前方分解斜視図および後方分解斜視図である。
図33および図34に示すように、フロントユニット220は、フロントケーシング230に加えて、撮像モジュール240、レンズマウントモジュール242、メイン回路基板244(第2の回路基板)、バッテリ246、および伝熱プレート248が含まれている。また、撮像モジュール240は、センサモジュール250と、シャッタモジュール252とを含んでいる。
図35および図36は、本開示の一実施の形態に係る第2の撮像装置におけるセンサモジュールの前方分解斜視図および後方斜視図である。
図35および図26に示すように、撮像モジュール240のセンサモジュール250は、イメージセンサ254(第2のイメージセンサ)を含んでいる。本実施の形態の場合、第2の撮像装置210のイメージセンサ254は、第1の撮像装置10のイメージセンサ54と異なる。第2の撮像装置210のイメージセンサ254は、レンズマウント214に取り付けられたレンズを透過した画像光を受光面254aで受光し、受光した画像光を電気信号に変換するデバイスである。イメージセンサ254は、回路基板256に実装されている。回路基板256は、メイン回路基板244に電気的に接続されている。
また、第2の撮像装置210も、第1の撮像装置10に同様に、手振れ補正を実行できるように構成されている。そのために、第2の撮像装置210のセンサモジュール250は、イメージセンサ254を支持する可動フレーム258と、可動フレーム258を左右方向(Y軸方向)および高さ方向(Z軸方向)に移動可能に支持するフロントフレーム260とリアフレーム262とを含んでいる。なお、センサモジュール250は、フロントフレーム260を介して、フロントケーシング230に固定される。なお、可動フレーム258を変位させる、すなわちイメージセンサ254を変位させる方法は、第1の撮像装置10におけるイメージセンサ54を変位させる方法と実質的に同じである。
また、可動フレーム258には、保護ガラス272、赤外線カットガラスなどの複数の光学フィルタを含むフィルタモジュール274が、イメージセンサ254の前方に位置するように設けられている。
さらに、イメージセンサ254は、可動フレーム258に対して熱移動可能に接続(接触)されている。具体的には、回路基板256に形成された貫通穴256aを介して、可動フレーム258に設けられた凸部258aがイメージセンサ254に接触することにより、イメージセンサ54と可動フレーム58が熱移動可能に接続されている。これにより、撮像中に発熱するイメージセンサ254の熱が、可動フレーム258に吸収される。なお、可動フレーム258は、イメージセンサ254の熱を吸収するために、アルミニウムなどの高い熱伝導率を備える材料から作製されている。また、可動フレーム258からの熱の移動については後述する。
図33および図34に示すように、撮像モジュール240のシャッタモジュール252は、センサモジュール250の前方に配置されている。シャッタモジュール252は、露光時間を調節するためのシャッタを含んでいる。シャッタモジュール252は、メイン回路基板244に電気的に接続されている。
レンズマウントモジュール242は、レンズマウント214とレンズマウント214に取り付けられたレンズと電気的に接続する電子接点278を含んでいる。電子接点278は、メイン回路基板244に電気的に接続されている。
メイン回路基板244は、撮像モジュール240の後方に配置されている。そのメイン回路基板244には、バッテリ246が電気的に接続されている。メイン回路基板244は、センサモジュール250のイメージセンサ254、シャッタモジュール252のシャッタ、レンズマウント214に取り付けられたレンズなどを制御する。
伝熱プレート248は、主にメイン回路基板244に実装された複数のICチップ284を冷却するための部材であって、ICチップ284に対して、例えば伝熱シート(図示せず)を介して接触している。すなわち、伝熱プレート248とICチップ284は、熱移動可能に接続されている。ICチップ284は、例えば、イメージセンサ254からの電気信号に基づいて画像データを生成する画像処理用のチップ、画像データなどを記憶するメモリなどである。この伝熱プレート248に、動作中に発熱するICチップ284の熱が吸収される。なお、伝熱プレート248は、ICチップ284の熱を吸収するために、アルミニウムなどの高い熱伝導率を備える材料から作製されている。また、伝熱プレート248からの熱の移動については後述する。
図29および図32に示すように、リアユニット222は、リアケーシング232に加えて、電子ビューファインダ216と、モニタ218と、複数の操作ボタン286とを含んでいる。これらは、メイン回路基板244に電気的に接続されている。それにより、電子ビューファインダ216とモニタ218は、メイン回路基板244によって制御される。
図37は、本開示の一実施の形態に係る第2の撮像装置におけるトップユニットの分解斜視図である。
図37に示すように、トップユニット224は、トップケーシング234に加えて、シャッタボタン288などの複数の操作ボタンと、冷却モジュール290とを含んでいる。操作ボタンは、メイン回路基板244に電気的に接続されている。
冷却モジュール290は、メイン回路基板244上のICチップ284を強制冷却するモジュールであって、筺体212の上方突出部212c内に格納されている。すなわち、第1の撮像装置10の冷却モジュール90と異なり、イメージセンサ254を強制冷却していない。なお、冷却モジュール290は、電子ビューファインダ216とともに上方突出部212cに格納されており、電子ビューファインダ216の前方に配置されている。
図38は、本開示の一実施の形態に係る第2の撮像装置における、上方突出部内の冷却モジュールを示す部分断面図である。また、図39は、本開示の一実施の形態に係る第2の撮像装置における、冷却モジュールと冷却対象との接続を示す後方斜視図である。
図37、図38、および図39に示すように、第2の撮像装置210における冷却モジュール290は、図12、図13、および図14に示す第1の撮像装置10の冷却モジュール90と大きく異なる。
具体的には、第2の撮像装置210の冷却モジュール290は、伝熱プレート248と接続する第1の伝熱部材292と、第1の伝熱部材292とトップケーシング234とを接続する第2の伝熱部材294と、第2の伝熱部材294とトップケーシング234との間に配置されて第2の伝熱部材294からトップケーシング234に伝熱する伝熱シート296とを備える。具体的には、第2の伝熱部材294は、伝熱シート296を介して、上方突出部212cの内側表面に接触している。したがって、伝熱プレート248の熱は、第1の伝熱部材292,第2の伝熱部材294、および伝熱シート296を介してトップケーシング234に移動する。そして、その熱は、トップケーシング234から外部に放出される。したがって、トップケーシング234は、ヒートシンクとして機能する。そのために、トップケーシング234は、熱伝導性に優れた材料、例えばマグネシウム合金から作製されている。同様に、第1および第2の伝熱部材292、204も、熱伝導性に優れた材料、例えばアルミニウムから作製されている。なお、第1の伝熱部材292と第2の伝熱部材294は、一部品として一体化されてもよい。
イメージセンサ254の熱を吸収する可動フレーム258は、この冷却モジュール290には、直接的に接続されていない。可動フレーム258は、図35に示す熱伝導シート298を介してリアフレーム262に熱移動可能に接続されている。なお、リアフレーム262には、熱伝導シート300を介して回路基板256も熱移動可能に接続されている。リアフレーム262の熱は、図34に示すように、その後方に位置する伝熱プレート248に向かって輻射される。すなわち、リアフレーム262の熱は、伝熱プレート248を介して冷却モジュール290に移動する。なお、リアフレーム262と伝熱プレート248を熱伝導シートを介して熱的に接続し、その熱伝導シートを介してリアフレーム262の熱を伝熱プレート248に伝えてもよい。
なお、図38に示すように、冷却モジュール290は、上方突出部212c内において、大きな配置スペースを必要としない。そのため、図37に示すように、他のモジュール302、例えば第2の撮像装置210の加速度や角速度を検出するジャイロセンサモジュールなどが、上方突出部212c内の空いたスペースに配置されている。
これまでは、本開示の一実施の形態に係る撮像装置システムにおける第1および第2の撮像装置10、210それぞれの構成について説明してきた。ここからは、これらの第1および第2の撮像装置10、210を含む撮像装置システムの特徴について説明する。
第1の撮像装置10と、第2の撮像装置210は、種類が異なり、それによりレンズマウントとイメージセンサが異なる。具体的には、第1の撮像装置10のレンズマウント14(第1のレンズマウント)と第2の撮像装置210のレンズマウント214(第2のレンズマウント)は、大きさが異なり、それために取り付けることができるレンズの規格が異なる。例えば、第1の撮像装置10のレンズマウント14は「フルサイズ」と呼ばれる規格のレンズを取り付け可能であって、第2の撮像装置210のレンズマウント214は、「マイクロフォーサーズ」と呼ばれる規格のレンズを取り付け可能である。本実施の形態の場合、第1の撮像装置10のレンズマウント14のマウント径が、第2の撮像装置210のレンズマウント214のマウント径に比べて大きい。
また、図9および図35に示すように、第1の撮像装置10のイメージセンサ54(第1のイメージセンサ)と第2の撮像装置210のイメージセンサ254(第2のイメージセンサ)は、光を受光できる受光面54a、254aのサイズについて異なる。本実施の形態の場合、第1の撮像装置10のイメージセンサ54の受光面54aのサイズが、第2の撮像装置210のイメージセンサ254の受光面254aのサイズに比べて大きい。なお、受光面54a、254bは、矩形状であって、左右方向(Y軸方向)の寸法と高さ方向(Z軸方向)の寸法のアスペクト比は概ね同じである。
第1の撮像装置10と第2の撮像装置210は、上述したように、レンズマウントとイメージセンサについて異なる。その一方で、図1~図5および図27~図31に示すように、第1の撮像装置10と第2の撮像装置210は、外観において、一眼レフタイプのカメラと類似の意匠性を有する。すなわち、第1および第2の撮像装置10、210は、一眼レフタイプのカメラの意匠的な特徴と類似の意匠的な特徴を備え、そのため外観については互いに似ている。
具体的には、一眼レフタイプのカメラの意匠的な特徴として、図4および図30に示すように、第1および第2の撮像装置10、210には、正面視で、レンズマウント14、214の左側の筺体12、212の部分にグリップ部12j、212jが一体的に設けられている。グリップ部12j、212jは、ユーザの右手によって把持される。そのグリップ部12j、212jの上方に位置する頂面12b、212bの部分には、シャッタボタン88、288が配置されている。すなわち、ユーザは、右手でグリップ部を把持した状態で、その右手でシャッタボタンを押し下げすることができる。本実施の形態の場合、グリップ部12j、212jは、フロントケーシング30、230にそれぞれ設けられ、実質的に同一形状、すなわち共通である。これと異なり、グリップ部12j、212jの形状は、異なっていてもよい。
また、一部の種類の一眼レフタイプのカメラが備える意匠的な特徴と類似の意匠的な特徴として、図4および図30に示すように、第1および第2の撮像装置10、210は、その頂面12b、212bから上方に向かって突出する上方突出部12c、212cを備える。この上方突出部12c、212cは、ペンタミラーを備える一眼レフカメラの特徴である。ペンタミラーを備える一眼レフカメラの場合、上方突出部内にペンタミラーが収容され、上方突出部の後面にファインダ窓が設けられている。なお、本実施の形態に係る第1および第2の撮像装置10、210は、上述したようにペンタミラーを備えていない。
さらに、デジタル式であって上方突出部を備えるカメラの特徴と類似の特徴として、図3および図29に示すように、第1および第2の撮像装置10、210は、その後面12f、212fにモニタ18、218を備える。
多くの種類の一眼レフタイプのカメラは、前後方向(X軸方向)視でレンズマウントの中心(すなわちレンズマウントに取り付けられるレンズの光軸)の上方にファインダ窓が位置する。また、レンズマウントの中心の左右方向(Y軸方向)の位置と、ファインダ窓の中心の左右方向の位置が同一である。図4および図30に示すように、第1および第2の撮像装置10、210においては、ファインダ窓12k、212kの中心Cwは、左右方向の位置についてはレンズマウント14、214の中心(すなわち光軸C1、C2)と同一であって、高さ方向(Z軸方向)の位置については異なり、レンズマウント14、214の中心の上方に位置する。なお、本実施の形態の場合、一眼レフタイプのカメラの意匠的な特徴と類似の意匠的な特徴を備えるために、ファインダ窓12k、212kはリアケーシング32、232における上方突出部12c、212cの後面に設けられている。しかしながら、ファインダ窓が上方突出部に設けられていない一眼レフタイプのカメラも存在するので、ファインダ窓を設ける部分を、本開示の実施の形態は限定しない。
さらなる特徴として、多くの種類の一眼レフタイプのカメラは、その筺体底面に雲台取り付け用のめねじ穴を備える。めねじ穴は、大抵の場合、1/4インチサイズのおねじが係合するめねじ穴である。具体的には、レンズマウントの中心(すなわちレンズマウントに取り付けられるレンズの光軸)の左右方向の位置と、めねじ穴の左右方向の位置が同一である。図5および図31に示すように、第1および第2の撮像装置10、210においては、底面視で、レンズマウント14、214に取り付けられる光軸C1、C2上にめねじ穴12d、212dが位置する。言い換えると、レンズマウント14、214の中心(すなわち光軸C1、C2)の左右方向(Y軸方向)の位置と、めねじ穴12d、212dの左右方向の位置が同一である。
このように、レンズマウントやイメージセンサなどが異なっていても、一眼レフタイプのカメラと類似の意匠性を備えることから、発明者は、第1および第2の撮像装置10、210について多くの部分を共通化することが可能であることを見い出した。そこで、レンズマウントやイメージセンサなどが異なる第1および第2の撮像装置10、210に作製にあたり、一部分を共通化するための撮像装置システムを考えた。
図40は、本開示の一実施の形態に係る撮像装置システムの概念図である。
図40に示すように、発明者は、第1の撮像装置10、第2の撮像装置210の一部分共通化として、リアケーシングおよびトップケーシングの共通化を行うことを考えた。なお、ここで言う共通化は、形状の共通化であって、色、材料、塗装や印刷などは異なる場合がある。本実施の形態の場合、具体的には、リアケーシングについては全体的に共通化され、トップケーシングについては部分的に共通化されている。したがって、図6に示す第1の撮像装置10のリアケーシング32と図32に示す第2の撮像装置210のリアケーシング232が、同一である。また、図6に示す第1の撮像装置10のトップケーシング34と図32に示す第2の撮像装置210のトップケーシング234は、排気口12h、12iの有無以外、共通化されている。
リアケーシングの共通化にともない、リアケーシングに設ける必要がある構成要素およびリアケーシングに設けることが可能な構成要素が共通化されている。まず、図3および図29に示すように、リアケーシング32、232の後面12f、212fに設けられるモニタ18,218および操作ボタン86、286が共通化されている。
本実施の形態の場合、図6および図32に示すように、第1および第2の撮像装置10、210において、電子ビューファインダ16、216は共通化され、共通化されているリアケーシング32、232に設けられている。具体的には、本実施の形態の場合、リアケーシング32、232は、上方突出部12c、212cの後側部分を含んでおり、その内部に、共通化された電子ビューファインダ16、216が設けられている。すなわち、本実施の形態の場合、第1および第2の撮像装置10、210のリアユニット22、222全体が共通化されている。なお、このようにリアユニット22、222を全体わたって共通化してもよいし、リアユニット22、222に含まれるリアケーシング32、232、モニタ18、218などの一部の構成要素を共通化してもよい。電子ビューファインダを共通化しない場合、それらはリアケーシングに設けてもよいし、またはリアケーシング以外のケーシングに設けてもよい。
また、本実施の形態の場合、第1の撮像装置10のトップユニット24と第2の撮像装置110のトップユニット224は、トップケーシング34,234における排気口12h、12iの有無と冷却モジュール90、290の違いとを除いて共通化されている。すなわち、トップケーシング34、234に設けられているシャッタボタン288などの複数の操作ボタンは共通化されている。
第1の撮像装置10のリアケーシング32、トップケーシング34と第2の撮像装置210のリアケーシング232、トップケーシング234の共通化(本実施の形態の場合、リアユニット22、222の共通化とトップユニット24、224の部分的共通化)により、第1および第2の撮像装置10、210の設計および部品の開発費用を合理化できる。すなわち、本実施の形態の場合、共通化されたリアユニットおよび部分的に共通化されたトップユニットに対するフロントユニットの開発(部品設計など)で済む。
なお、第1および第2の撮像装置10、210が、リアケーシング32、232およびトップケーシング34、234にアクセサリー類を取り付け可能な仕様である場合、そのアクセサリー類を、第1および第2の撮像装置10、210に共通使用することができる。例えば、第および第2の撮像装置10、210を所有するユーザは、それぞれの撮像装置に対してアクセサリー類を用意する必要がなくなる。
当然ながら、共通のリアケーシングの設計にあたり、互いに異なるレンズマウント14、214を考慮する必要がある。
まず、第1の撮像装置10において、レンズマウント14の中心とイメージセンサ54の受光面54aの中心は、光軸C1上に位置する、すなわち、左右方向(Y軸方向)の位置と高さ方向(Z軸方向)の位置について同一である。また、第2の撮像装置210において、レンズマウント214の中心とイメージセンサ254の受光面254aの中心は、光軸C2上に位置する、すなわち、左右方向の位置と高さ方向の位置について同一である。
そこで、図40に示すように、共通化されたリアケーシング32、232に対する左右方向(Y軸方向)の相対位置について、第1の撮像装置10の光軸C1と第2の撮像装置210の光軸C2とが実質的に同一になるように、第1および第2の撮像装置10、210が設計(作製)されている。すなわち、共通化されたリアケーシングにフロントケーシング30、230それぞれが取り付けられたとき、その共通化されたリアケーシングに対する左右方向の相対位置について、フロントケーシング30のレンズマウント14の中心とフロントケーシング230のレンズマウント214の中心が実質的に同一である。この制約により、第1および第2の撮像装置10、210それぞれの設計を合理化することができる。
具体的に説明すると、本実施の形態の場合、共通化されたリアケーシング32、232は、第1および第2の撮像装置10、210の筺体12、212の後面12f、212fの大部分を含んでいる。そのため、共通化されたリアケーシング32、232の左右方向(Y軸方向)の寸法が、第1および第2の撮像装置10、210の左右方向の寸法と実質的に一致する。その結果、図40に示すように、前後方向(X軸方向)視で、第1の撮像装置10の撮像モジュール40と第2の撮像装置210の撮像モジュール240が、共通化されたリアケーシング32、232の輪郭形状内の略同じ位置に存在する。
ここで、共通化されたリアケーシング32、232に対する左右方向(Y軸方向)の相対位置について、フロントケーシング30のレンズマウント14の中心(すなわち光軸C1)とフロントケーシング230のレンズマウント214の中心(すなわち光軸C2)が大きく異なると、その結果として、第1および第2の撮像装置10、210の左右方向の寸法を増加させる必要が生じる。
具体的に説明すると、共通化されたリアケーシング32、232に対する左右方向(Y軸方向)の相対位置について、フロントケーシング30のレンズマウント14の中心(すなわち光軸C1)とフロントケーシング230のレンズマウント214の中心(すなわち光軸C2)が大きく異なると、共通化されたフロントケーシングに32、232に対するイメージセンサ54、254の受光面54a、254aそれぞれの中心の左右方向の相対位置も大きく異なる。また、そのために、イメージセンサ54、254を含む撮像モジュール40、240それぞれの左右方向の相対位置も大きく異なる。
この左右方向(Y軸方向)の相対位置が大きく異なる撮像モジュール40、240が前後方向(X軸方向)視で共通化されたリアケーシング32、232の輪郭形状内に存在するためには、その共通化されたリアケーシングの左右方向の寸法を増加させる必要がある。その結果として、共通されたリアケーシングを採用する第1および第2の撮像装置10、210の左右方向の寸法を増加させる必要がある。
しかしながら、一眼レフタイプのカメラと類似する撮像装置の意匠性を確保するために、第1および第2の撮像装置10、210の左右方向の寸法を増加させることは制限されている。その結果、リアケーシングを共通化したにもかかわらず、第1および第2の撮像装置10、210の設計が困難になりうる。
そこで、本実施の形態の場合、共通化されたリアケーシング32、232にフロントケーシング30、230それぞれが取り付けられたとき、その共通化されたリアケーシングに対する左右方向(Y軸方向)の相対位置について、フロントケーシング30のレンズマウント14の中心とフロントケーシング230のレンズマウント214の中心が実質的に同一になるように、第1および第2の撮像装置10、210が設計されている。
なお、本実施の形態の場合、図40に示すように、共通化されたリアケーシング32、232に対する高さ方向(Z軸方向)の相対位置について、第1の撮像装置10の光軸C1と第2の撮像装置210の光軸C2は異なる。すなわち、共通化されたリアケーシングにフロントケーシング30、230それぞれが取り付けられたとき、その共通化されたリアケーシングに対する高さ方向の相対位置について、フロントケーシング30のレンズマウント14の中心(すなわち光軸C1)とフロントケーシング230のレンズマウント214の中心(すなわち光軸C2)が異なる。
撮像装置10、210を各々単独で見た場合、上方突出部12c、212cに対するレンズマウント14、214、めねじ穴12d、212d、およびファインダ窓12k、212kの高さ方向(Z軸方向)の相対位置は、左右方向(Y軸方向)の相対位置に比べて、意匠に大きく影響しない。したがって、共通化されたリアケーシング32、232に対する高さ方向の相対位置について、フロントケーシング30のレンズマウント14の中心とフロントケーシング230のレンズマウント214の中心はある程度自由に設定してもよいが、極力同一であるのが望ましい。
また、本実施の形態の場合、図40に示すように、共通化されたリアケーシング32、232にフロントケーシング30、230それぞれが取り付けられたとき、図40に示すように、左右方向(Y軸方向)の位置について、共通化されたリアケーシング32、232のファインダ窓12k、212kの中心Cwとレンズマウント14、214の中心(すなわち光軸C1、C2)は同一である。これにより、第1および第2の撮像装置10、210は、多くの種類の一眼レフカメラに類似する。
なお、本実施の形態の場合、雲台取り付け用のめねじ穴12d、212dは、フロントユニット20、220のフロントケーシング30、230に設けられている。これに代わって、共通化されたリアユニット22、222の共通化されたリアケーシング32、232に、めねじ穴12d、212dを設けてもよい。この場合、リアケーシング32、232は、筺体12、212の底面12e、212eの少なくとも一部を含んでいる。また、共通化されたリアケーシング32、232にフロントケーシング30、230それぞれが取り付けられたとき、図40に示すように、左右方向(Y軸方向)の位置について、共通化されたリアケーシング32、232のめねじ穴12d、212dと、レンズマウント14、214の中心(すなわち光軸C1、C2)は、極力同一であるのが望ましい。これにより、第1および第2の撮像装置10、210は、多くの種類の一眼レフカメラに類似する。
第1の撮像装置10のリアケーシング32と第2の撮像装置210のリアケーシング232が共通化されているのに対して、第1の撮像装置10のフロントケーシング30と第2の撮像装置210のフロントケーシング230は共通化していない。それは、それぞれに異なるレンズマウント14、214が取り付けられるからである。
なお、本実施の形態の場合、第1の撮像装置10のイメージセンサ54と第2の撮像装置210は異なり、そのため撮像モジュール40、240も異なる。そして、その撮像モジュール40、240は、フロントケーシング30、230に設けられている。これに代わって、第1の撮像装置10のイメージセンサ54と第2の撮像装置210のイメージセンサ254は同一であってもよく、それにより撮像モジュール40、240も同一であってもよい。
撮像モジュール40、240は、同一、すなわち共通化されている場合、共通化されたリアケーシング32、232に設けてもよい、すなわち共通化されているリアユニット22、222に組み込んでもよい。
言い換えると、本実施の形態の場合、レンズマウント14、214の中心とイメージセンサ54、254の中心が前後方向(X軸方向)に重なる状態で、レンズマウント14、214とイメージセンサ54、254がフロントケーシング30、230に設けられている。そのためフロントケーシング30、230と共通化されたリアケーシング32、232を高い位置決め精度で互いに取り付ける必要がなくなる。その結果、リアケーシング32、232、すなわちリアユニット22、222を高い精度で作製する必要がなくなる。
本実施の形態の場合、第1および第2の撮像装置10、210のリアユニット22、222は共通化され、フロントユニット20、220は共通化されていない。本実施の形態の場合、残りのトップユニット24、224は、一部を除いて共通化されている。
図12および図37に示すように、第1の撮像装置10のトップユニット24に設けられている冷却モジュール90と第2の撮像装置210のトップユニット224に設けられている冷却モジュール290は、全く異なる。しかし、トップケーシング34、234の多くの部分が共通化されている。
図41は、本開示の一実施の形態に係る第1の撮像装置におけるトップケーシングの斜視図である。また、図42は、本開示の一実施の形態に係る第2の撮像装置におけるトップケーシングの斜視図である。
図41および図42に示すように、第1の撮像装置10のトップケーシング34と、第2の撮像装置210のトップケーシング234は、前者が通気穴12h、12iを備える点以外、同一である。すなわち、第1の撮像装置10のトップケーシング34は、第2の撮像装置210のトップケーシング234に通気穴12h、12iを形成した形状を備える。なお、参考として、図38に、通気穴12hが形成される部分を二点鎖線で示している。
本実施の形態の場合、通気穴12h、12iは、上方突出部12cの左右方向(Y軸方向)の両側それぞれに形成されている。また、上述したようにおよび図15に示すように、通気穴12h、12iは、冷却モジュール90のファン98によって発生した空気の流れFが通過する排気口である。
このような第1の撮像装置10のトップケーシング34は、第2の撮像装置210のトップケーシング234を金型で作製し、その作製されたトップケーシング234に通気穴12h、12iを形成することによって作製される。すなわち、トップケーシング34、234は、通気穴12h、12iの有無を除いて、共通である。
図43は、本開示の一実施の形態に係る第1の撮像装置におけるトップケーシングの通気穴の形成方法の一例を示す図である。
図43に示すように、トップケーシング34の通気穴12h、12iは、切削加工によって作製される。例えばエンドミルなどの切削工具Tによって通気穴12h、12iが形成される。なお、切削工具Tを保持するマシニングセンタのヘッドMがトップケーシング34と干渉しないように、通気穴12h、12iは、上方突出部12cの左右方向(Y軸方向)両側の側面それぞれに対して斜めに形成されている。
なお、上述したように、第2の撮像装置210のトップケーシング234は、ヒートシンクとして機能するので、熱伝導性に優れた、例えばマグネシウム合金から作製されている。マグネシウム合金は切削加工しやすいので、通気穴がない第2の撮像装置210のトップケーシング234から通気穴12h、12iを備える第1の撮像装置10のトップケーシング34を切削加工によって作製することができる。
また、第1の撮像装置10のトップケーシング34の通気穴12h、12iを塞ぐことによって第2の撮像装置210のトップケーシング234を作製することも可能である。すなわち、トップケーシング234は、トップケーシング34の通気穴を塞いだ形状を備える。この場合、例えば、まず、金型でトップケーシング34を作製し、その通気穴12h、12iに蓋部材を詰めることによってトップケーシング234を作製する。
さらに、通気穴12h、12iの有無を除いて、第1の撮像装置10のトップケーシング34と第2の撮像装置210のトップケーシング234は同じである。そのため、図14に示す第1の撮像装置10のトップケーシング34とフロントケーシング30とによって形成される通気穴12g(本実施の形態の場合、吸気口)のような通気穴が、第2の撮像装置210にも形成される。その通気穴を塞ぐために、図38に示すように、第2の撮像装置210のフロントケーシング230には、蓋として機能する突出部230aが設けられている。
以上のような本実施の形態によれば、異なる種類の複数の撮像装置の作製にあたり、それらの設計を合理化することができ、製造コストを低く抑えることができる。
具体的には、複数の撮像装置が一眼レフタイプのカメラと類似の意匠性を有することを利用して一部分を共通化することにより、その複数の撮像装置の設計を合理化することができ、その複数の撮像装置の製造コストを低く抑えることができる。
また、被写体、撮影条件などによってレンズマウントを使い分ける、すなわち複数の撮像装置を使い分けるユーザにおいて共通の操作系を使用することも可能になるので、ユーザービリティが向上する。
なお、第1および第2の撮像装置が、リアケーシングおよびトップケーシングにアクセサリー類を取り付け可能な仕様である場合、そのアクセサリー類を、第1および第2の撮像装置に共通使用することができる。例えば、第および第2の撮像装置を所有するユーザは、それぞれの撮像装置に対してアクセサリー類を用意する必要がなくなる。
以上、上述の実施の形態を挙げて本開示の実施の形態を説明したが、本開示の実施の形態は上述の実施の形態に限定されない。
上述の実施の形態の場合、第1の撮像装置10のレンズマウント14と第2の撮像装置210のレンズマウント214は異なるが、本開示の実施の形態はこれに限らない。第1の撮像装置のレンズマウントと第2のレンズマウントは同一であってもよい。
また、上述の実施の形態の場合、図3および図29に示すように、第1および第2の撮像装置10、210において、モニタ18、218は、リアユニット22、222に設けられている。しかしながら、本開示の実施の形態は、これに限らない。モニタ18、218は、リアユニット22、222に対して着脱可能であってもよい。すなわち、本開示の実施の形態に係る第1および第2の撮像装置は、モニタを備えていなくてもよい。
すなわち、本開示の実施の形態に係る撮像装置システムは、広義には、第1の撮像装置と第2の撮像装置とを含む撮像装置システムであって、前記第1の撮像装置が、筺体頂面を含む第1のトップケーシング、および、筺体後面を含む共通リアケーシングを有し、前記第2の撮像装置が、筺体頂面を含む第2のトップケーシング、および、前記共通リアケーシングを有し、前記第1のトップケーシングが、前記第2のトップケーシングに通気穴を形成した形状を備える。
以上のように、本開示における技術の例示として、上述の実施の形態を説明してきた。そのために、図面および詳細な説明を提供している。したがって、図面及び詳細な説明に記載された構成要素の中には、課題解決のために必須な構成要素だけでなく、上述の技術を例示するために、課題解決のためには必須でない構成要素も含まれ得る。そのため、それらの必須ではない構成要素が図面や詳細な説明に記載されていることをもって、直ちに、それらの必須ではない構成要素が必須であるとの認定をするべきではない。
また、上述の実施の形態は、本開示における技術を例示するためのものであるから、特許請求の範囲又はその均等の範囲において種々の変更、置き換え、付加、省略等を行うことができる。