以下、本発明の実施形態について添付図面を参照して詳細に説明する。以下の説明において、正面側斜視図とは描写対象をその斜め前方から表した図を指し、背面側斜視図とは描写対象をその斜め後方から表した図を指す。なお、分解斜視図についても同様の表現を用いる。
<第1実施形態>
図1(a),(b)は、第1実施形態に係る撮像装置1000の正面側及び背面側の各斜視図である。図1(c)は、撮像装置1000に第1のレンズ鏡筒200(所謂、交換レンズ)が装着された撮像システムの外観を示す斜視図である。
なお、説明の便宜上、図1に示す直交座標系を設定する。Z方向は、撮像装置1000の撮影光軸(以下「光軸」という)と平行な方向である。X方向は、Z方向が水平面と平行である場合に、Z方向と直交し、且つ、水平面と平行な方向である。Y方向は、X方向及びZ方向と直交する方向である。Z方向については、撮影対象である被写体に向かう方向を正方向(+Z方向)とし、その反対方向を負方向(-Z方向)とする。X方向については、+Z側から撮像装置1000を見た場合に右へ向かう方向を正方向(+X方向)とし、その反対方向(左に向かう方向)を負方向(-X方向)とする。Y方向については、Y軸を中心として+Z方向のベクトルを+X方向のベクトルに合わせるように回転させた際に正ねじが進む方向を正方向(+Y方向)とし、その反対方向を負方向(-Y方向)とする。なお、撮像装置1000の前後左右上下を、+Z側が前、-Z側が後ろ、+X側が右、-X側が左、+Y側が上、-Y側が下、であると定義する。
撮像装置1000の前面には、第1のレンズ鏡筒200の着脱(交換)を可能とする本体側マウント面321が設けられている。撮像装置1000の上面、下面、右面及び左面にはそれぞれ、ハウジング(不図示)等に対して撮像装置1000を固定するための上面取付用雌ねじ部S1、下面取付用雌ねじ部S2、右面取付用雌ねじ部S3及び左面取付用雌ねじ部S4が設けられている。
上面取付用雌ねじ部S1及び下面取付用雌ねじ部S2はそれぞれ、撮像装置1000の上面及び下面の各4隅に設けられた雌ねじ部である。右面取付用雌ねじ部S3及び左面取付用雌ねじ部S4はそれぞれ、撮像装置1000の右面及び左面における本体側マウント面321側の隅に設けられた2か所の雌ねじ部である。
撮像装置1000の背面(後ろ側の面)には、電源供給や信号出力等を行うための第1のインタフェースコネクタ540、第2のインタフェースコネクタ550,第3のインタフェースコネクタ560、第4のインタフェースコネクタ570が設けられている。
[撮像装置の構成]
図2(a),(b)は、撮像装置1000の正面側及び背面側の各分解斜視図である。撮像装置1000は、本体となる筐体部を有する。筐体部の上面及び下面にはそれぞれ、固定ねじ630によってサイドパネル610a,610bが取り付けられる。同様に、筐体部の右面及び左面にはそれぞれ、固定ねじ630によってサイドパネル610c,610d(パネル部材)が取り付けられる。なお、サイドパネル610a~610dは、撮像装置1000の外観を構成する部材であって、その詳細な構成や筐体部に対する組み付け等については後述する。
図3(a),(b)は、撮像装置1000の筐体部の正面側分解斜視図と背面側斜視図である。撮像装置1000の筐体部は、第1のマウントモジュール300、フロントモジュール400及びリアモジュール500が、前面側から(+Z側)から背面側(-Z側)へこの順に連結されることによって構成される。
第1のマウントモジュール300は、マウントベース310と、第1のレンズ鏡筒200の着脱を可能とする本体側マウント面321を有する固定マウント部320(図12参照)を備える。マウントベース310の背面(フロントモジュール400と対向する面)には、フロントモジュール400に対する位置決めを行うための位置決めボス311が設けられている。なお、第1のマウントモジュール300は、フロントモジュール400の前面に着脱可能なモジュールの一例であり、フロントモジュール400の前面には他のモジュールを装着することも可能である。第1のマウントモジュール300の構成の詳細については後述する。
フロントモジュール400は、その内部にメイン基板450(図19参照)及び撮像素子425(図20参照)等を備えている。また、フロントモジュール400は、外観を構成するフロントケース(前ケース)としてのフロントカバー410(前カバー)を有し、フロントカバー410の前面(マウントベース310と対向する面)には、位置決めボス311と嵌合する位置決め穴411が設けられている。第1のマウントモジュール300とフロントモジュール400は、フロントカバー410の位置決め穴411とマウントベース310の位置決めボス311とを嵌合させた状態で、固定ねじ390を用いて+Z側から締結(連結)される。
フロントモジュール400とリアモジュール500の間には、防水性を確保するためのシーリング部材620が配置されている。撮像装置1000では、全てのインタフェースがリアモジュール500に集約されており、よって、リアモジュール500を交換することによって他のインタフェースへの変更が可能となっている。なお、フロントモジュール400に対してリアモジュール500を着脱可能とする構成の詳細については後述する。
リアモジュール500は外観を形成するリアケース(後ろケース)としてのリアカバー510(後ろカバー)を有しており、第1のインタフェースコネクタ540等はリアカバー510に配置されている。なお、筐体部を構成する各モジュールの詳細については後述する。
次に、撮像装置1000の外観を構成する各部について説明する。図4(a),(b)は、フロントモジュール400を構成するフロントカバー410の正面側及び背面側の各斜視図である。
フロントカバー410には、第1のレンズ鏡筒200を通過した入射光を撮像素子へ導く導光部としての略矩形状の開口部412が設けられている。また、フロントカバー410は、Z方向と平行に-Z方向に延びる4本の腕部413a~413dを有する。腕部413a~413dの各先端は、位置決めボス414a~414dが形成された支持部418a~418dとなっている。更に、フロントカバー410の上面、下面、右面及び左面にはそれぞれ、凹部415a~415dが設けられている。
図4(c)は、フロントカバー410の正面図である。フロントカバー410は、フロントカバー410を正面から見た場合に(正面視で)、破線で示す円に内接する形状に形成されている。つまり、フロントカバー410の腕部413a~413dの外観部はそれぞれ、正面視で円弧形状を成している。
図5(a),(b)は、リアモジュール500を構成するリアカバー510の背面側斜視図と正面側斜視図である。リアカバー510は、第1のインタフェースコネクタ540等が嵌合する4つの穴511を有する。また、リアカバー510の上面、下面、右面及び左面にはそれぞれ、凹部514a~514dが設けられている。リアカバー510は、Z方向と平行に+Z方向に延びる4本の腕部512a~512dを有する。腕部512a~512dの各先端は、位置決め穴513a~513dが形成された押圧部515a~515dとなっている。
フロントカバー410の位置決めボス414a~414dとリアカバー510の位置決め穴513a~513dがそれぞれ嵌合することにより、フロントカバー410に対してリアカバー510が位置決めされる。なお、リアカバー510の腕部512a~512dの外観部もまた、腕部413a~413dの外観部と同様に、正面視で同一の円に内接する円弧形状を成している。
図6(a),(b)は、マウントベース310、フロントカバー410、リアカバー510及びシーリング部材620を組み付けた状態を示す正面側及び背面側の各斜視図である。フロントカバー410とリアカバー510は、シーリング部材620を挟んで連結される。その結果、フロントカバー410の腕部413a~413d、リアカバー510の腕部512a~512d及びシーリング部材620の第2の押圧面622a,622bによって、上面開口部H1、下面開口部H2、右面開口部H3及び左面開口部H4が形成される。
フロントカバー410の腕部413a~413dとリアカバー510の腕部512a~512d及びシーリング部材620の外観曲面部626は、実質的に同じ円弧形状を成している。そのため、例えば、フロントカバー410の凹部415aと、リアカバー510の凹部514aと、これらに対応するシーリング部材620の第2の押圧面622a,622bは、実質的に同一平面を形成する。なお、同様にして、凹部415b~415dと、凹部514b~514dと、これらに対応するシーリング部材620の第2の押圧面622a,622bもそれぞれ、実質的に同一の平面を形成する。
以下の説明では、フロントカバー410の凹部415a~415d、リアカバー510の凹部514a~514d、及び、シーリング部材620の第2の押圧面622a,622bによりそれぞれ形成される4か所の凹部を、四角枠状凹部640と称呼する。
上面開口部H1、下面開口部H2、右面開口部H3及び左面開口部H4は、同一形状を有しており、そのため、サイドパネル610a~610dも同一形状となっている。図2に示したように、上面開口部H1、下面開口部H2、右面開口部H3及び左面開口部H4はそれぞれ、サイドパネル610a~610dによって覆われる。サイドパネル610a~610dはそれぞれ、四角枠状凹部640に嵌め込まれるようにして取り付けられる。具体的には、例えば、固定ねじ630を、サイドパネル610aに設けられた挿通穴613aに挿通させ、フロントカバー410に設けられた雌ねじ部491a,491b及びリアカバー510に設けられた雌ねじ部519a,519bに螺合させる。これにより、サイドパネル610aは、上面開口部H1を閉塞すると共にフロントカバー410とリアカバー510を連結するようにして、フロントカバー410とリアカバー510に締結される。サイドパネル610b~610dは、サイドパネル610aと同様にしてフロントカバー410とリアカバー510に締結することができ、そのため、説明を省略する。
なお、四角枠状凹部640は、サイドパネル610a~610dが撮像装置1000の筐体部に装着されている状態で、サイドパネル610a~610dがフロントカバー410及びリアカバー510の表面から突出しない深さに設計されている。また、フロントカバー410に設けられた当接凹部419a,419bの各中心に雌ねじ部491a,491bが設けられており、リアカバー510に設けられた当接凹部517a,517bの各中心に雌ねじ部519a,519bが設けられている。当接凹部419a,419b及び当接凹部517a,517bについては、図6及び図10を参照して後述する。
ところで、本実施形態では、フロントカバー410及びリアカバー510のそれぞれに腕部を設けているが、これに限らず、フロントカバー410とリアカバー510のいずれか一方のみが腕部を備える構成としてもよい。また、フロントカバー410とリアカバー510それぞれに腕部を2本ずつ設けるようにしてもよい。フロントカバー410とリアカバー510に設ける腕部は、4本に限らず2本以上であればよい。
次に、フロントカバー410とリアカバー510の連結部での防水構造、つまり、シーリング部材620を用いた防水構造について説明する。図7(a),(b)は、シーリング部材620の正面側及び背面側の各斜視図である。撮像装置1000に設けられる4個のシーリング部材620は同じ部品であり、ここでは、並記した座標軸からわかるように、説明の便宜上、撮像装置1000の腕部413a,512aに配置されるシーリング部材620を示している。
前述したように、シーリング部材620は、フロントカバー410の腕部413a~413dとリアカバー510の腕部512a~512dによりZ方向で挟持される。シーリング部材620の中央部には、フロントカバー410の位置決めボス414a~414dに対応した形状を有する位置決め穴625が設けられている。そして、位置決め穴625の中心軸と直交する面のうち、後ろ側(-Z側)には第1の押圧面621(図7(b)のハッチング部)が設けられ、その反対側の前側(+Z側)には第1の支持部623が設けられている。
また、シーリング部材620は、撮像装置1000が組み立てられた状態で外観に露出する外観曲面部626と、外観曲面部626の両端部から延設されて互いに略直交する2つの外観平面部627a,627bを有する。更に、シーリング部材620は、外観平面部627a,627bとそれぞれ平行な第2の押圧面622a,622b(図7(a)のハッチング部)を有する。シーリング部材620において、第2の押圧面622aのY方向反対側には第2の支持部624aが設けられており、第2の押圧面622bのX方向反対側には第2の支持部624bが設けられている。
図8(a),(b)は、図6(a)中のDD部のYZ断面図(X方向と直交する断面を表す図)であり、シーリング部材620がフロントカバー410とリアカバー510によりZ軸方向に圧縮される前後の状態を示している。なお、シーリング部材620を介したフロントカバー410とリアカバー510の4か所の連結部は同じ構造となっているため、ここでは図6(a)に示すDD部の1か所のみについて説明し、他の連結部についての説明を省略する。
フロントカバー410の腕部413aの先端に設けられた位置決めボス414aは、シーリング部材620の位置決め穴625に挿入される。これにより、シーリング部材620は、第1の支持部623がフロントカバー410の支持部418aに接触した状態でフロントカバー410に保持される。このとき、シーリング部材620がZ方向で圧縮されていない状態で、シーリング部材620の第1の押圧面621の近傍でのZ方向厚みは‘d1’となっている。
リアカバー510は、図8(a)に矢印Aで示すように、シーリング部材620の後方から前方へ(-Z側から+Z方向へ)、位置決め穴513aに位置決めボス414aが挿入されるようにして、押し込まれる(図3参照)。こうして、フロントカバー410とリアカバー510が連結される。なお、フロントカバー410とリアカバー510の連結は、フロントカバー410とリアカバー510をZ方向で押し当てるように行うことにより、フロントカバー410とリアカバー510の4か所の連結部において実質的に同時に行われる。その結果、シーリング部材620は、第1の押圧面621が+Z方向に移動するように圧縮されて、図8(b)の状態となる。シーリング部材620がZ方向で圧縮された状態で、シーリング部材620の第1の押圧面621の近傍でのZ方向厚さは‘d2’となり、‘d2<d1’の関係となる。
図9は、図6(a)に示されるDD部のYZ断面図であり、位置決めボス414aの中心軸を含む位置での断面を表している。なお、図9は、図8(b)と同じく、シーリング部材620がZ方向で圧縮された状態で表されている。
シーリング部材620は、位置決め穴625に位置決めボス414aが挿通された状態で、リアカバー510の押圧部515aとフロントカバー410の支持部418aの間に挟持されている。これと同時に、位置決めボス414aはリアカバー510の位置決め穴513aに挿通され、且つ、位置決めボス414aの端面S41aが位置決め穴513aの底面S51aと当接した状態となっている。よって、シーリング部材620が圧縮された状態での第1の押圧面621の近傍におけるZ方向厚さd2は、位置決めボス414aの高さd4と位置決め穴513aの深さd5との差によって決定され、‘d2=d4-d5’の関係が成り立つ。こうして、シーリング部材620は、Z方向に‘d1-d2’だけ圧縮された状態となっている。
このように、撮像装置1000の筐体部において、シーリング部材620は、フロントカバー410の支持部418aとリアカバー510の押圧部515aの連結部において、Z方向に隙間が生じないようする役割を担う。これより、外部から撮像装置1000(筐体部)の内部への連結部を通じた水の侵入が防止される。
なお、シーリング部材620の第2の支持部624aとリアカバー510の支持部516aは、Y方向において接触又は微小なクリアランスをもって近接した状態となっている。また、シーリング部材620の第2の支持部624bとリアカバー510の支持部516bは、X方向についても同様に、接触又は微小なクリアランスをもって近接した状態となっている。こうして、外部から撮像装置1000の内部へ向けての水の浸入を二重に防止する構成が採られている。
続いて、筐体部に対するサイドパネル610a~610dの取付部での防水構造について説明する。図10(a),(b)は、図8(b)の状態に対してサイドパネル610aが取り付けられる前後の状態を示す断面図である。なお、サイドパネル610b~610dが筐体部に取り付けられる前後の状態は、サイドパネル610aが筐体部に取り付けられる前後の状態と同じであるため、図示と説明を省略する。
先に図2に示したように、サイドパネル610aの裏面(サイドパネル610aが撮像装置1000に取り付けられた際に外観に現れる面の反対側の面)には、パネルシーリング部材611aが貼り付けられている。そして、パネルシーリング部材611aは、防水性を有するシート状のクッション材であり、四角枠状凹部640を覆うように略四角枠形状に形成されている。
図10に示すように、サイドパネル610aにおいて固定ねじ630(図10に不図示)による締結が行われる位置には、当接凸部612が設けられている。なお、当接凸部612は、サイドパネル610aにおいて固定ねじ630による締結が行われる他の3か所にも同様に設けられている。そして、パネルシーリング部材611aにおいてサイドパネル610aに設けられた当接凸部612に対応する位置には、当接凸部612の形状に合わせた貫通穴が設けられている。よって、サイドパネル610aが筐体部から取り外された状態、且つ、パネルシーリング部材611aがサイドパネル610aに貼り付けられた状態では、当接凸部612は外観に露出している。
サイドパネル610aは、撮像装置1000の筐体部の上面に形成される四角枠状凹部640に対して、下向き(-Y方向)に押し込まれるようにして、撮像装置1000の外側から嵌合される。この状態での(固定ねじ630による締結前での)パネルシーリング部材611aの厚さは、嵌合前と同じ‘d3’である。
サイドパネル610aは、四角枠状凹部640に対する嵌合後に、固定ねじ630によって当接凸部612がリアカバー510の当接凹部517aに当接した図10(b)の状態で、筐体部に締結されて固定される。これにより、パネルシーリング部材611aは、Y方向で圧縮されて、‘d6’の厚さとなる。つまり、パネルシーリング部材611aは、四角枠状凹部640とサイドパネル610aの間に、Y方向で‘d3-d4’だけ圧縮されて挟持される。なお、サイドパネル610aの他の3か所の当接凸部612はそれぞれ、リアカバー510の当接凹部517b及びフロントカバー410の当接凹部419a,419bに当接した状態となる。
サイドパネル610aは、シーリング部材620の第2の押圧面622aに対して下向き(-Y方向)の荷重を加えるため、弾性部材であるシーリング部材620は同方向に押し込まれ、退避しようとする。しかし、第2の押圧面622aと対向する面に設けられている第2の支持部624aがリアカバー510の支持部516aに当接するため、第2の押圧面622aは+Y方向に押し返される。これにより、パネルシーリング部材611aと第2の押圧面622aとの間に隙間が生じることを回避することが可能となっている。つまり、パネルシーリング部材611aは、四角枠状凹部640の全周を覆い、且つ、四角枠状凹部640の底面に隙間なく密着することが可能となっている。
なお、サイドパネル610b~610dにはそれぞれパネルシーリング部材611b~611dが貼り付けられており、サイドパネル610b~610dによる防水構造は、サイドパネル610aによる防水構造と同じであるため、説明を省略する。
こうして、撮像装置1000では、サイドパネル610a~610dによって、筐体部の4面に形成された上面開口部H1、下面開口部H2、右面開口部H3及び左面開口部H4に対する防水構造が実現されている。
[第1のマウントモジュール300の構成]
図11(a),(b)は、第1のマウントモジュール300の正面側及び背面側の各斜視図である。図12(a),(b)は、第1のマウントモジュール300の要部を第1のレンズ鏡筒200のマウント部210と共に示す正面側及び背面側の各分解斜視図である。図13は、マウント部210の背面側斜視図である。
図1(c)に外観が示されている第1のレンズ鏡筒200は、その背面に従来のバヨネット式レンズマウントに準じた構造を有するマウント部210を備える。マウント部210は、レンズ側マウント面211と、バヨネット爪部212a~212cを有する。バヨネット爪部212a~212cはそれぞれ、バヨネット爪接触面213a~213cを有する。
第1のマウントモジュール300は、マウントベース310、固定マウント部320、可動マウント部330及び操作リング340を備える。マウントベース310には、貫通穴312が設けられている。固定マウント部320は、本体側マウント面321、開口部322、第1のねじ部323、雌ねじ部324を有する。可動マウント部330は、爪部331a~331c、第2のねじ部332及び溝部333a~333bを有する。操作リング340は、ノブ部341a,341b及び凸部342a,342bを有する。
本体側マウント面321は、第1のレンズ鏡筒200が装着された際に、第1のレンズ鏡筒200のレンズ側マウント面211と当接する。開口部322には、第1のレンズ鏡筒200のバヨネット爪部212a~212cが挿入される。第1のねじ部323は、光軸(Z方向と平行、且つ、開口部322の中心を通る軸)を中心とした雌ねじとして形成されている。マウントベース310の背面側(-Z側)からマウントベース310の貫通穴312に固定ねじ350を挿通し、固定ねじ350を固定マウント部320の雌ねじ部324に締結することにより、固定マウント部320はマウントベース310に固定される。
可動マウント部330の爪部331a~331cはそれぞれ、マウント部210のバヨネット爪部212a~212cのバヨネット爪接触面213a~213cと当接する爪接触面334a~334cを有する。第2のねじ部332は、固定マウント部320の第1のねじ部323と螺合する雄ねじとして形成されている。
操作リング340は、マウントベース310と固定マウント部320の間に配置され、可動マウント部330の溝部333a~333bと操作リング340の凸部342a,342bが係合することによって位置決めされる。
図14(a)~(c)は、第1のレンズ鏡筒200のバヨネット爪部212a~212cと可動マウント部330の爪部331a~331cの位置関係を示す正面図である。図15(a)は図14(a)中に示す矢視D-Dでの断面図であり、図15(b)は図14(b)中に示す矢視E-Eでの断面図であり、図15(c)は図15(c)中に示す矢視F-Fでの断面図である。図16(a)は図14(a)中に示すG部の拡大図であり、図16(b)は図14(b)中に示すH部の拡大図であり、図16(c)は図14(c)中に示すJ部の拡大図である。
図14(a)の状態は、バヨネット爪部212a~212cと爪部331a~331cは光軸投影面上で重なっておらず、第1のレンズ鏡筒200が撮像装置1000に対して着脱可能な位置にある状態を示している。なお、「光軸投影面上で」とは、「光軸方向から見た場合の投影面上で(+Z側から-Z側を見た場合のXY平面上で)」という意味である。つまり、図14(a)の状態は、第1のレンズ鏡筒200のマウント部210を撮像装置1000の第1のマウントモジュール300に落とし込んだ状態である。この状態では、第1のレンズ鏡筒200のバヨネット爪部212a~212cが固定マウント部320の開口部322に挿入され、マウント部210のレンズ側マウント面211は固定マウント部320の本体側マウント面321と当接している。
図14(b)の状態は、撮像装置1000の正面から見て反時計まわり方向に光軸を中心として光軸投影面上で爪部331a~331cがバヨネット爪部212a~212cに重なり始める位置まで可動マウント部330を回転させた状態を表している。図14(a)の状態から図14(b)へ遷移する過程で、可動マウント部330の爪部331a~331cは、光軸方向に沿ってマウントベース310に向かって移動している。なお、図14(b)の状態では、爪部331a~331cとバヨネット爪部212a~212cは係合していない。
図14(c)の状態は、可動マウント部330を撮像装置1000の正面から見て反時計まわり方向に光軸を中心として回転させる操作が終了して、第1のレンズ鏡筒200が撮像装置1000に対して堅固に取り付けられた状態を示している。この状態では、光軸投影面上で、第1のレンズ鏡筒200のバヨネット爪部212a~212cと可動マウント部330の爪部331a~331cは全体的に重なり、爪接触面334a~334cとバヨネット爪接触面213a~213cが当接している。
なお、操作リング340に設けられたノブ部341a,341bは、第1のレンズ鏡筒200が装着された状態では、光軸投影面上で撮像装置1000から突出しない形状となっている。これにより、第1のレンズ鏡筒200が装着された状態において、ノブ部341a,341bへ意図しない外力が作用するのを抑制することができる。
第1のレンズ鏡筒200を撮像装置1000に取り付ける手順は以下の通りである。先ず、第1のレンズ鏡筒200に設けられた指標(不図示)と固定マウント部320に設けられた指標301(図14(a)等参照)を合わせ、第1のレンズ鏡筒200のレンズ側マウント面211と固定マウント部320の本体側マウント面321を当接させる。これにより、図14(a)の状態となる。続いて、2か所のノブ部341a,341bを把持して操作リング340を+Z側から見て反時計まわり方向に回転させて、図14(b)の状態となるように、バヨネット爪部212a~212cと爪部331a~331cが光軸投影面上で重なるようにする。
その後、2か所のノブ部341a,341bを把持して+Z側から見て反時計まわり方向に操作リング340を更に回転させて、爪接触面334a~334cとバヨネット爪接触面213a~213cが当接した状態とする。これにより、第1のレンズ鏡筒200が第1のマウントモジュール300に固定された図14(c)の状態となる。なお、撮像装置1000から第1のレンズ鏡筒200を取り外す際には、上述した第1のレンズ鏡筒200の装着動作を逆に行えばよく、説明を省略する。
次に、第1のマウントモジュール300の詳細な構成と防水構造について説明する。図17(a),(b)は、第1のマウントモジュール300の正面側及び背面側の各分解斜視図である。
第1のマウントモジュール300は、前述したように、マウントベース310、固定マウント部320、可動マウント部330及び操作リング340を備える。第1のマウントモジュール300は更に、第1のOリング361、第2のOリング362、板金部材363、固定ねじ364、電気通信接点部370及び回転検出ユニット380を備える。
第1のOリング361は、固定マウント部320と操作リング340の間に配置される。板金部材363は、マウントベース310に固定ねじ364によって固定される。第2のOリング362は、板金部材363とマウントベース310の間に配置される。ここでは板金部材363とマウントベース310を別部品としているが、板金部材363とマウントベース310は一体に構成されていてもよい。電気通信接点部370は、第1のマウントモジュール300に第1のレンズ鏡筒200が取り付けられると、第1のレンズ鏡筒200の電気通信接点部と接触して導通した状態となる。これにより、各接点部を通じて撮像装置1000と第1のレンズ鏡筒200の間での通信等が可能となる。
回転検出ユニット380は、回転検出部381、支持板金382及び通信ケーブル314を備える。回転検出部381は支持板金382に固定され、支持板金382は固定ねじ383によりマウントベース310に締結される。回転検出部381は、撮像装置1000に第1のレンズ鏡筒200が装着されたことを検出し、電気通信接点部370のオン/オフを切り替える。通信ケーブル314は、フロントモジュール400に設けられたメイン基板450に接続され、回転検出部381とメイン基板450の間の通信を可能とする。蓋部材384は、固定ねじ385によってマウントベース310に固定され、通信ケーブル314の引き回しを規制している。
図18(a)は第1のマウントモジュール300の正面図であり、図18(b)は図18(a)に示す矢視C-Cでの断面図である。第1のマウントモジュール300では、固定マウント部320と操作リング340の間に隙間が生じないように、固定マウント部320と操作リング340の間に第1のOリング361が配置されている。同様に、マウントベース310と操作リング340の間に隙間が形成されないように、マウントベース310と操作リング340の間に第2のOリング362が配置されている。こうして、外部から第1のマウントモジュール300の内部への水や塵埃の侵入を防止することが可能となっている。
[フロントモジュール400の構成]
図19はフロントモジュール400の正面側分解斜視図である。フロントモジュール400は前方(+Z側)から後方(-Z側)へ向けて順に、フロントカバー410、ワッシャ490a~490c、撮像モジュール420、基板ホルダ430、弾性部材435a,435b、メイン基板450及び放熱板ユニット470を備える。
フロントカバー410の前面には、上下2か所に位置決め穴411が設けられている。第1のマウントモジュール300に設けられた2つの位置決めボス311が2か所の位置決め穴411に挿入されることにより、第1のマウントモジュール300はフロントカバー410に対して位置決めされる。こうして、第1のマウントモジュール300は、フロントカバー410に対して位置決めされた状態で、4個の固定ねじ390により前方より固定される(図3(a)参照)。
フロントカバー410の前面の中央部には、図4を参照して前述したように、入射光を撮像素子425へ導くための開口部412が設けられている。また、フロントカバー410には、第1のマウントモジュール300の電気通信接点部370に接続された通信ケーブル314(図3(b)、図17(b)参照)を撮像装置1000の内部へ配線するための通信ケーブル挿通穴H41が設けられている。通信ケーブル314がメイン基板450に実装されたコネクタ(不図示)に接続されることにより、電気通信接点部370とメイン基板450の間の電気的な接続が確立される。
フロントカバー410の前面には、位置決め穴411、通信ケーブル挿通穴H41及び開口部412を避けた形状の弾性部材401が両面テープを用いて貼り付けられている。弾性部材401は、防水機能を有するシート状のクッション材である。弾性部材401がフロントカバー410と第1のマウントモジュール300の間に圧縮状態で挟持されているため、フロントカバー410と第1のマウントモジュール300の間から撮像装置1000の内部への水や塵埃の侵入を防止することができる。
撮像モジュール420は、上下(Y方向)に柔軟部443a,443bを有するセンサ基板440と、撮像素子425が接着されたセンサプレート426を備える。撮像モジュール420は、センサプレート固定ねじ429a~429cによってフロントカバー410に固定される。センサ基板440は、上側(+Y側)及び下側(-Y側)にそれぞれ、BtoBコネクタ445a,445bがそれぞれ実装された副リジッド部442a,442bを有する。
ワッシャ490a~490cは、フロントカバー410とセンサプレート426の間に配置され、撮像装置1000の組立時にフランジバック調整や撮像素子425のアオリ調整に用いられる。基板ホルダ430は、センサ基板440の副リジッド部442a,442b及びメイン基板450を保持する板金部材(フレーム部材)であり、基板ホルダ固定ねじ437a~437cによりフロントカバー410に締結、固定される。基板ホルダ430の四隅には、後方(-Z側)へ延びる基板支持部材431a~431dがそれぞれ、かしめにより設けられている。基板支持部材431a~431dは、同形状であり、その先端面(-Z側の面)には雌ねじ部(不図示)が設けられている。
メイン基板固定ねじ456b~456dを、メイン基板450と放熱板ユニット470に挿通させ、また、メイン基板固定ねじ456aをメイン基板450に挿通させて、基板支持部材431a~431dの雌ねじ部にそれぞれ螺合させる。これにより、メイン基板450と放熱板ユニット470は基板ホルダ430に締結される。弾性部材435a,435bは、同形状のクッション材であり、基板ホルダ430に接着される。
メイン基板450においてセンサ基板440に実装されたBtoBコネクタ445a,445bと対応する位置には、BtoBコネクタ455a,455bが実装されている。BtoBコネクタ445a,445bがそれぞれBtoBコネクタ455a,455bと接続されることにより、センサ基板440とメイン基板450の間で通信が可能となる。なお、センサ基板440とメイン基板450の基板間接続の詳細については後述する。
放熱板ユニット470は、メイン基板450で生じる熱を放熱するための板金ユニットであり、メイン基板450を挟んで、前述したように、メイン基板固定ねじ456b~456dにより基板支持部材431a~431dに締結される。
図20(a),(b)は、撮像モジュール420の正面側及び背面側の各分解斜視図である。撮像モジュール420は、光学部材422、保持部材421、撮像素子425、センサプレート426及びセンサ基板440を備える。光学部材422は、例えば、ローパスフィルタ等であり、一例として、位相が90度異なる2枚の水晶複屈折板と、これらの間に偏光解消板が配置された3層構造のものが挙げられる。保持部材421は、光学部材422を保持する。
センサ基板440は、リジッドフレキシブル基板である。センサ基板440は、主リジッド部441と、主リジッド部441から柔軟部443a,443bを介して上下方向に分岐する副リジッド部442a,442bを有する。副リジッド部442a,442bはそれぞれ、柔軟部443a,443bを介して電気的に主リジッド部441に接続されている。また、柔軟部443a,443bはそれぞれ、主リジッド部441と副リジッド部442a,442bの間の電気的接続を維持した状態で、少なくとも180度折り曲げることが可能となっている。柔軟部443aには、センサプレート固定ねじ429a(図19参照)の挿通が可能な開口部H44aが設けられており、柔軟部443bには基板ホルダ固定ねじ437a(図19参照)の挿通が可能な開口部H44bが設けられている。
副リジッド部442a,442bにはそれぞれ、メイン基板450の前面に実装されたBtoBコネクタ455a,455bとの接続が可能なBtoBコネクタ445a,445bが実装されている。柔軟部443a,443bが折り曲げられていない状態で、BtoBコネクタ445a,445bはそれぞれ、前方(+Z方向)を向くように副リジッド部442a,442bに実装されている。柔軟部443a,443bを折り曲げて、副リジッド部442a,442bを主リジッド部441の後方(-Z側)へ配置すると、BtoBコネクタ445a,445bは後方(-Z方向)を向いた状態となる。なお、その詳細については、図25を参照して後述する。
撮像素子425は、センサプレート426の前面中央部に、紫外線硬化型の接着剤等を用いて固定されている。センサ基板440の主リジッド部441には、撮像素子425が備える複数の接点ピンPの数及び大きさに対応した複数の穴が設けられている。複数の接点ピンPは全て、センサプレート426に設けられた開口部(不図示)と主リジッド部441に設けられた複数の穴に挿通されて、センサ基板440の背面側(-Z側)に突出している。また、複数の接点ピンPはそれぞれ、センサ基板440に設けられたランド部(不図示)にはんだ付けされており、こうして撮像素子425はセンサ基板440と電気的に接続されている。
保持部材421には、光学部材422を収容し、且つ、入射光を撮像素子425へ導くための略矩形状の開口部H40が設けられている。保持部材421は、光学部材422及びその後方(-Z側)に防塵シート424を収容した状態で、センサプレート426に対して保持部材固定ねじ428によって前方から締結される。保持部材421の前面(+Z側)には複数の放熱リブR40が設けられている。放熱リブR40は、センサプレート426を介して伝熱される撮像素子425の熱を放散させて撮像素子425の温度を低減させる放熱フィンとして機能するだけでなく、撮像モジュール420の剛性を高める役割を果たす。
図21は、図19中に示す矢視L-Lでの断面図である。なお、図21では、副リジッド部442a,442bの図示を省略している。保持部材421には、光学部材422の前面に対する当接面である突き当て面S42が光軸(Z方向)と略直交するように設けられている。また、保持部材421における開口部H40の上下(±Y方向)には、突き当て面S42から略後方(-Z方向)に延出する側壁w1,w2が設けられている。なお、開口部H40の左右(±X方向)の位置には、突き当て面S42から略後方に延出する側壁w3,w4(不図示)が設けられている。
弾性部材423a,423cが、断面形状が略L字となるように折り曲げられて、側壁w1,w2を覆うように保持部材421に貼り付けられている。なお、側壁w3,w4を覆うように、弾性部材423b,423d(図20参照)が保持部材421に貼り付けられている。こうして、光学部材422は、その前面が突き当て面S42に当接し、且つ、突き当て面S42と直交する4つの側面が弾性部材423a~423dにより囲まれた状態で、保持部材421に保持されている。
保持部材421と撮像素子425との間には、これらの間に隙間が生じないように、中央部に導光のための略矩形状の開口部が形成された四角枠形状の防塵シート424が配置されている。なお、防塵シート424は、光軸投影面上で、保持部材421、光学部材422及び撮像素子425のそれぞれと少なくとも一部が重なるように配置されている。また、前述のように、保持部材421はセンサプレート426に対して、4本の保持部材固定ねじ428により固定されることによって、撮像モジュール420として一体化されて(組み立てられて)いる。そのため、撮像モジュール420において光学部材422は、防塵シート424により+Z方向に付勢されて、突き当て面S42に押さえ付けられた状態で保持されている。これより、撮像素子425は、保持部材421、光学部材422、防塵シート424及びセンサプレート426によって密閉される。よって、撮像モジュール420の外側から撮像素子425への水や塵埃等の侵入が防止される。
撮像モジュール420では、撮像素子425が密閉状態となっているため、フランジバック調整時に撮像素子425に塵埃が付着することを防止することができる。また、光学部材422は、全体が防塵シート424によって突き当て面S42に対して前方(+Z方向)へ付勢された状態、且つ、側面部が弾性部材423a~423dで囲まれた状態で、保持されている。そのため、撮像装置1000を誤って落下させたり又はぶつけてしまったり等して撮像装置1000に強い衝撃が加わっても、防塵シート424や弾性部材423a~423dが衝撃を吸収するダンパーとして機能することで、光学部材422の破損が防止される。
さて、撮像装置1000により所望の画質の静止画又は動画を得るためには、使用されるレンズに合わせて光軸方向での本体側マウント面321から撮像素子425までの距離、即ち、フランジバックを調整することが肝要である。そこで次に、フランジバック調整方法について説明する。
図22は、フロントモジュール400に第1のマウントモジュール300が装着された状態での背面側分解斜視図である。フロントカバー410において開口部412の外側の上部、左下部、右下部の3か所にはそれぞれ、本体側マウント面321と平行なワッシャ当接面416a~416cが設けられている。フランジバック調整時には、ワッシャ当接面416a~416cのそれぞれとセンサプレート426との間に、所定の枚数のワッシャ490a~490cが挿入される。なお、図22では、ワッシャ490a~490cを簡略化して各1枚のみ示しているが、実際のフランジバック調整時には、必要に応じて厚みの異なる複数のワッシャが用いられる。
図23(a)は厚みの異なるワッシャ490s~490uの斜視図であり、図23(b)はワッシャ490s~490uの側面図である。ワッシャ490s~490uは、厚さ(厚さS,T,U)のみが異なっている。そして、ワッシャ490s~490uにはそれぞれ、ワッシャ当接面416a~416cのそれぞれに設けられている一対のワッシャ位置決めボス417a~417cに対応した形状を有する一対の位置決め開口部H46が形成されている。また、ワッシャ490s~490uはそれぞれ、一対の位置決め開口部H46の間に形成されたねじ挿通穴H45を有する。なお、厚みの異なるワッシャは、ワッシャ490s~490uの3種類に限られるものではなく、より多くてもよいし、2種類であってもよい。
ワッシャ490a~490cはそれぞれ、位置決め開口部H46に一対のワッシャ位置決めボス417a~417cが挿通されることにより、フロントカバー410に位置決めされる。そして、センサプレート426が、後方(-Z側)からフロントカバー410に対して位置決めされて、センサプレート固定ねじ429a~429cにより締結される。その際、センサプレート固定ねじ429a~429cは、ワッシャ490a~490cのねじ挿通穴H45に挿通された状態となる。こうして、ワッシャ490a~490cはそれぞれ、フロントカバー410のワッシャ当接面416a~416cとセンサプレート426間に挿入された状態となる。フランジバック調整時には、フランジバックずれの要因となる各構成部品の寸法ばらつきに合わせてワッシャ490a~490cの厚みと枚数を選択することにより、フランジバックを微調整することができる。
ここで、本実施形態では図22に示すように、ワッシャ当接面416a~416cは、光軸投影面上で開口部412及び撮像素子425と広い範囲で重なる三角形T42(二点鎖線で示す)を形成する頂点となる位置に設けられている。これにより、前述の方法でフランジバックを調整することにより、本体側マウント面321に対する撮像素子425の撮像面のアオリを併せて調整することができる。
撮像面のアオリは、撮像面が光軸と直交している状態が望ましいことは言うまでもない。撮像面のアオリの調整分解能をワッシャ490a~490cの厚み及び枚数の変更により向上させるためには、三角形T42ができる限り大きくなる位置にワッシャ当接面416a~416cを設けることが望ましい。これにより、高精度なアオリ調整が可能となる。なお、本撮像装置では、柔軟部443aにおいて、光軸投影面上でワッシャ当接面416aと重なる位置に開口部H44aを設け、開口部H44aにセンサプレート固定ねじ429aを挿通させている。これにより、三角形T42と同じ三角形がセンサプレート固定ねじ429a~429cの位置関係でも形成され、各部品を効率的に配置することが可能な構造が実現されている。
なお、撮像素子425は、動作により発熱する発熱素子の1つであり、撮像素子425はセンサプレート426に接着され、且つ、センサプレート426には保持部材421がビス締結されている。そして、前述の通り、センサプレート426は撮像装置1000の外装を形成するフロントカバー410にビス締結される。よって、撮像素子425で発生した熱は、センサプレート426を介して保持部材421へと拡散されると共にフロントカバー410に伝わり、最終的に外気へ放熱される。こうして、撮像素子425で発生した熱を効率的にフロントカバー410へ拡散させて、外気へ放熱させることが可能となっている。高い放熱性を得る観点から、保持部材421及びセンサプレート426には、例えば、アルミニウム合金等の高い熱伝導率を有する材料を用いることが望ましい。
次に、センサ基板440とメイン基板450の電気的な接続方法について説明する。図24は、フロントカバー410に撮像モジュール420が装着された状態を示す背面図である。
フランジバック調整後には、基板ホルダ固定ねじ437a~437cにより、基板ホルダ430がフロントカバー410に締結される。基板ホルダ固定ねじ437aは、光軸投影面上で柔軟部443bと重なる位置に配置され、柔軟部443bに設けられた開口部H44bに挿通された状態でフロントカバー410に締結される。そして、基板ホルダ固定ねじ437a~437cは、これらの設置個所を線分で結ぶことにより形成される三角形T43(破線で示す)が、前述の三角形T42(二点鎖線で示す)に対して、X軸についてY方向で略対称となるように配置されている。このように、2つの三角形T42,T43が形成されるようにセンサプレート固定ねじ429a~429cと基板ホルダ固定ねじ437a~437cを配置することにより、フロントカバー410に対してねじ締結部を効率よく配置することができる。その結果、撮像装置1000の小型化が可能となる。
図25は、フロントカバー410に撮像モジュール420が装着された状態を示す背面側斜視図である。より詳しくは、図25(a)は柔軟部443a,443bが折り曲げられる前の状態を示しており、図25(b)は柔軟部443a,443bが折り曲げられた後の状態を示している。なお、図25(b)には、センサ基板440に対して電気的に接続されるメイン基板450を併せて示している。メイン基板450には、撮像素子425から出力されたデジタル画像データを処理する画像処理チップ、カメラ全体を制御するCPU、画像処理チップやCPUによる処理を行う際に用いられるDRAMなどのメモリ素子等が搭載されている。
前述したように、センサ基板440はリジッドフレキシブル基板であり、柔軟部443a,443bを180度折り返すことにより、副リジッド部442a,442bをそれぞれ主リジッド部441の後方(-Z側)へ配置することが可能となっている。基板ホルダ430の背面には、同形状の弾性部材435a,435bが両面テープ(不図示)により取り付けられている。弾性部材435a,435bのそれぞれの中央部近傍には、開口部H43a,H43bが設けられている。そして、弾性部材435a,435bはそれぞれ、基板ホルダ430の中央付近の上下2か所に設けられた切り起こし部432a,432bが開口部H43a,H43bに挿通された状態となるように、基板ホルダ430に貼り付けられている。
基板ホルダ430中央部には、先端に弾性部材434を備える第1の支柱433が、かしめにより後方(-Z方向)へ延びるように設けられている。フランジバック調整時及び調整直後は、センサ基板440は、主リジッド部441を基準面として展開された状態となっており、副リジッド部442a,442b及び柔軟部443a,443bの一部が撮像装置1000の外形から上下にはみ出している。なお、図24に示すように、柔軟部443a及び副リジッド部442aの幅L1は、フロントカバー410に設けられた開口部412(図24に不図示)の幅L2よりも短い。柔軟部443b、副リジッド部442b及び開口部412のそれぞれの幅の関係についても同様である。
副リジッド部442a,442bはそれぞれ、柔軟部443a,443bを図25(a)に示す矢印の方向に約180度折り曲げることにより、図25(b)に示されるように、主リジッド部441の背面側(-Z側)へ配置される。この状態で、一対の段付きねじ436a,436bがそれぞれ、副リジッド部442a,442bに設けられた段付きねじ挿通穴446a,446bに対して後方(-Z側)から挿通されて、基板ホルダ430に締結される。
一対の段付きねじ挿通穴446a,446bは、上下方向(Y方向)を長手方向とする同形状の長穴であり、段付きねじ436a,436bの首下径に対して上下、左右(X方向)の両方向において所定のクリアランスを有する大きさとなっている。これより、副リジッド部442a,442bは基板ホルダ430に対する動きが規制されてはいるが、完全には固定されていない状態(フローティング状態)で保持される。
柔軟部443a,443bが折り曲げられて副リジッド部442a,442bが主リジッド部441の背面側に位置した状態では、副リジッド部442a,442bにそれぞれ実装されたBtoBコネクタ445a,445bは撮像装置1000の後方を向いている。また、BtoBコネクタ445a,445bがそれぞれ実装されているコネクタ実装面S44a,S44bは、Z方向と直交する略同一面平面上に配置される。
一方、メイン基板450にはBtoBコネクタ455a,455bが、前方側(+Z側)の同一面に設けられている(図19参照)。よって、センサ基板440とメイン基板450に2個ずつ実装されたBtoBコネクタはZ方向で向き合うため、これら2組のBtoBコネクタを簡単にZ方向に接続することができる。具体的には、BtoBコネクタ455a,455bはそれぞれ、BtoBコネクタ445a,445bに接続されることにより、メイン基板450とセンサ基板440の電気的な接続が実現される。
なお、合計4個のBtoBコネクタは、撮像装置1000の左右方向(X方向)が長手方向となるように配置されている。この場合、各BtoBコネクタの実装による位相ズレを吸収し、二組のBtoBコネクタを同時に接続するためには、コネクタ接続時の副リジッド部442a,442bの移動可能量を左右方向よりも上下方向に大きく取る必要がある。そこで、本実施形態では、前述したように、一対の段付きねじ挿通穴446a,446bの形状を上下方向(Y方向)が長手方向となる長穴としている。これにより、副リジッド部442a,442bと柔軟部443a,443bに大きな捩れを生じさせることなく、各BtoBコネクタの実装ずれを吸収して、同時接続を容易に行うことが可能となっている。
こうして二組のBtoBコネクタが接続されることによって生じる嵌合力により、メイン基板450はセンサ基板440の副リジッド部442a,442bに仮固定される。また、メイン基板450の4隅は、基板ホルダ430に延設された基板支持部材431a~431dに支持される。更に、メイン基板450は後方(-Z側)からメイン基板固定ねじ456a~456dを用いて放熱板ユニット470と共にビス締結される。その結果、メイン基板450は、二組のBtoBコネクタの接続を保持した状態で基板ホルダ430に固定される。
上述したメイン基板450とセンサ基板440との接続時において、メイン基板450はセンサ基板440の各リジッド部(主リジッド部441及び副リジッド部442a,442b)に対して略平行に配置される。これと共に、メイン基板450は、光軸投影面上で大部分が各リジッド部と重なるように配置されている。このようにしてメイン基板450とセンサ基板440を配置することにより、光軸投影面上での撮像装置1000の投影面積を小さくして、撮像装置1000の小型化が図られている。
図26(a)は、図25(b)中に示す矢視M-Mでの断面図である。なお、図25(b)ではメイン基板450はセンサ基板440に接続されていないが、図26(a)は、メイン基板450がセンサ基板440に接続された後の状態で示されている。
一般的に、リジッドフレキシブル基板において、複数のリジッド部間で信号伝送を可能とする極数は、両者を接続する柔軟部の幅に依存し、柔軟部の幅が大きいほど極数を多くすることが可能になる。本実施形態では、主リジッド部441は、柔軟部443a,443b及び副リジッド部442a,442bを介して、メイン基板450と接続される。よって、図26(a)に矢印で示す2つの伝送経路R1,R2で、主リジッド部441とメイン基板450の間で信号伝送を行うことが可能となっている。つまり、主リジッド部441からの配線を複数に(具体的には2方向に)分岐させて副リジッド部442a,442bを設けることにより、センサ基板440を大型化させることなく、多極の信号を伝送することが可能となっている。
また、センサ基板440は、副リジッド部442a,442bが主リジッド部441に対して展開されている状態で、上下方向において略対称な形状となっている。そのため、主リジッド部441と副リジッド部442a,442bをつなぐそれぞれの信号伝送経路を等長配線として設計することが容易となる。これにより、主リジッド部441から副リジッド部442a,442bを経てメイン基板450へと伝送される信号同士のタイミングずれを低減させることが可能となっている。
図26(b)は、図26(a)中に示すK部の拡大図である。基板ホルダ430には、BtoBコネクタ445aの前方(+Z側)において-Z方向に延設された切り起こし部432aが設けられている。切り起こし部432aは、BtoBコネクタ445aとBtoBコネクタ455aの嵌合(接続)時に、メイン基板450から副リジッド部442aへ+Z方向への嵌合力が加わった際に、副リジッド部442aを+Z側から支持する役割を担う。
また、基板ホルダ430と副リジッド部442aとの間には、弾性部材435aが配置されている。BtoBコネクタ445a,455aを介してメイン基板450から副リジッド部442aが+Z方向へ押圧されることで、弾性部材435aはZ方向において圧縮された状態で保持されている。これにより、BtoBコネクタ445a,455aが接続された状態で、副リジッド部442aは弾性部材435aを介して基板ホルダ430に保持される。これにより、撮像装置1000に外部から振動や衝撃が加わっても、BtoBコネクタ445a,455a間に接続不良が発生することを抑制することができる。
なお、ここではBtoBコネクタ445a,455aの近傍の構成のみを示したが、BtoBコネクタ445b,455bの近傍の構成もこれと同様となっている。また、図26(a)に示したように、副リジッド部442a,442b間には、先端に弾性部材434を備えた第1の支柱433が配設されている。弾性部材434は、センサ基板440とメイン基板450が接続された状態において、メイン基板450と第1の支柱433の間でZ方向に圧縮された状態となっている。よって、撮像装置1000に外部から衝撃や振動が加わっても、圧縮された弾性部材434によりメイン基板450の中央部に撓みが生じ難く、その結果、メイン基板450の破損を抑制することが可能となっている。
次に、メイン基板450の放熱構造について説明する。図27(a),(b)は、メイン基板450及びその近傍の部品の背面側分解斜視図と正面側分解斜視図である。撮像装置1000の放熱系統は、メイン基板450、放熱ゴム460、放熱板ユニット470、放熱ゴム480a~480d及びサイドパネル610a~610cによって構成される。放熱ゴム460は、メイン基板450に実装された主要な発熱素子上に配置され、各発熱素子に合わせた大きさ及び高さを有している。放熱ゴム460は、放熱板ユニット470によって圧縮されることにより、主要な発熱素子で発生した熱を放熱板ユニット470に伝達する。
図28は、メイン基板450の背面図である。メイン基板450上には複数の発熱素子が実装されているが、ここでは、図28に示す第1の発熱素子451及び第2の発熱素子452からの放熱について説明する。例えば、第1の発熱素子451は画像処理チップであり、第2の発熱素子はDRAMのようなメモリ素子である。図29(a),(b)は、放熱板ユニット470の背面側分解斜視図と正面側分解斜視図である。図30は、放熱板ユニット470の背面図である。
放熱板ユニット470は、支持部材471、断熱部材472、第1の主放熱板金473、第2の主放熱板金474、第1の補助放熱板金475、第2の補助放熱板金476及び第3の補助放熱板金477を備える。断熱部材472は、例えば、ステンレス鋼等の熱伝導率の小さい金属又は樹脂からなる。第1の主放熱板金473、第2の主放熱板金474、第1の補助放熱板金475、第2の補助放熱板金476及び第3の補助放熱板金477は、例えば銅やアルミニウム合金等の熱伝導率の大きい金属からなる。
第1の主放熱板金473は、上面に曲げ部473aを有し、下面に曲げ部473bを有する。曲げ部473a,473bは共に、XZ平面と平行で、+Z方向に延びている。第2の主放熱板金474は、右面に曲げ部474aを有する。曲げ部474aは、YZ平面と平行で、+Z方向に伸びている。第1の補助放熱板金475は、上面に曲げ部475aを有する。曲げ部475aは、XZ平面と平行で、-Z方向に伸びている。第2の補助放熱板金476は、下面に曲げ部476aを有する。曲げ部476aは、XZ平面と平行である。第3の補助放熱板金477は、右面に曲げ部477aを有する。曲げ部477aはYZ平面と平行である。
図27に示されるように、第1の主放熱板金473の曲げ部473aと第1の補助放熱板金475の曲げ部475aは、同一平面を形成する。また、第1の主放熱板金473の曲げ部473bと第2の補助放熱板金476の曲げ部476aが同一平面を形成する。更に、第2の主放熱板金474の曲げ部474aと第3の補助放熱板金477の曲げ部477aは同一平面を形成する。そして、放熱ゴム480a~480dはそれぞれ、これらの曲げ部によって形成された各平面に配置される。
第1の主放熱板金473と第1の補助放熱板金475は、固定ねじ478によって支持部材471に締結される。第2の主放熱板金474、第3の補助放熱板金477、第1の主放熱板金473及び第2の補助放熱板金476は、固定ねじ479によって断熱部材472に締結される。固定ねじ478,479は-Z側から+Z側へ向けて締結され、各板金の組み付けを容易に行うことができるようになっている。
図30に示されるように、第1の主放熱板金473は略コの字形状に形成されており、第2の主放熱板金474は第1の主放熱板金473のコの字形状の凹部に嵌まるように断熱部材472に締結される。第1の主放熱板金473と第2の主放熱板金474は、光軸投影面上で重ならない位置において、同一平面上に配置される。また、第1の主放熱板金473と第2の主放熱板金474は、隙間G1を設けて配置されており、直接には接続されていない(接触していない)。断熱部材472は、メイン基板450に実装された電子部品を避ける形状を有しており、放熱ゴム460とは接触していない。
メイン基板450の主たる放熱経路は、以下の通りとなる。即ち、メイン基板450に実装された発熱素子で発生した熱は、放熱ゴム460を通じて放熱板ユニット470へ伝わり、更に放熱ゴム480a~480dを通じて外装部材であるサイドパネル610a~610cへ伝わり、そこから外気へ放熱される。その際、第1の発熱素子451で発生した熱は、第1の主放熱板金473へ伝わり、そこから更に第1の補助放熱板金475と第2の補助放熱板金476へ伝わって、最終的にサイドパネル610a,610bを通じて外気へ放熱される。また、第2の発熱素子452で発生した熱は、第2の主放熱板金474へ伝わると共に第2の主放熱板金474と連結された第3の補助放熱板金477へ伝わって、最終的にサイドパネル610cを通じて外気へ放熱される。
前述したように第1の主放熱板金473と第2の主放熱板金474との間には隙間G1が設けられている。そのため、第1の発熱素子451で発生した熱が伝達される第1の主放熱板金473からは、第2の発熱素子452で発生した熱を放熱する第2の主放熱板金474へは熱は伝わり難い。
ここで、第1の発熱素子451の発熱量Q1は第2の発熱素子452の発熱量Q2よりも大きく、また、第1の発熱素子451の動作保証温度T1は、第2の発熱素子452の動作保証温度T2よりも高いものとする。この場合でも、第1の発熱素子451の発熱によって第2の発熱素子452の温度が保証温度T2を上回ることはない。これにより、撮像装置1000の使用中における発熱素子の温度上昇によって動作不良が発生することを抑制することができる。
[リアモジュール500の構成]
図31(a),(b)は、リアモジュール500の正面側及び背面側の各分解斜視図である。リアモジュール500は、リアカバー510、インタフェース基板520、支柱ユニット530、第1のインタフェースコネクタ540及び第2のインタフェースコネクタ550を備える。また、リアモジュール500は、第3のインタフェースコネクタ560、第4のインタフェースコネクタ570、蓋部材580及び手回しねじ581を備える。
リアカバー510に設けられた複数(具体的には4か所)の穴511にはそれぞれ、所定のインタフェースコネクタが係合する。インタフェース基板520は、固定ねじ590により、支柱ユニット530と共にリアカバー510に締結される。支柱ユニット530は、板金部531と第2の支柱532を有し、第2の支柱532は板金部531にかしめられている。
蓋部材580は、リアカバー510に設けられた雌ねじ部518に手回しねじ581を螺合させることによってリアカバー510に固定される。また、蓋部材580には、防水性を有するシーリング部材582が取り付けられており、蓋部材580が手回しねじ581によってリアカバー510に固定される際にシーリング部材582はリアカバー510に押圧される。シーリング部材582によってリアカバー510と蓋部材580の間に隙間が生じなくなるため、リアカバー510と蓋部材580の間から撮像装置1000の内部へ水や塵埃等が侵入するのを防止することが可能となっている。
第1のインタフェースコネクタ540は、外部電源から撮像装置1000への電源供給を行うためのコネクタである。第2のインタフェースコネクタ550は、撮像装置1000の制御操作を行うためのコネクタであり、例えば、リモートコントローラ等が接続される。第3のインタフェースコネクタ560は、外部モニタ等へ映像を出力するためのコネクタである。第4のインタフェースコネクタ570は、複数台の撮像装置によって撮影タイミングやビデオ信号の出力タイミング等の同期を行うためのコネクタである。第3のインタフェースコネクタ560と第4のインタフェースコネクタ570は、インタフェース基板520にはんだ付けされている。
第1~第4のインタフェースコネクタ540~570はそれぞれ、防水性を有しており、不図示のOリングを用いて穴511に取り付けられている。例えば、第1のインタフェースコネクタ540にはねじ部541が設けられており、ねじ部541にナット542が螺合することによって第1のインタフェースコネクタ540はリアカバー510に固定される。このとき、Oリングがリアカバー510に押圧されることによってリアカバー510と第1のインタフェースコネクタ540との間に隙間が生じることを防止して、撮像装置1000の内部への水や塵埃等の侵入を防止することが可能となっている。第1のインタフェースコネクタ540と同様にして、他の3つのインタフェースコネクタもリアカバー510に固定される。
図32は、リアモジュール500から蓋部材580及び手回しねじ581を取り外した状態を示す背面図である。インタフェース基板520にはスイッチ部521が設けられており、蓋部材580と手回しねじ581をリアカバー510から取り外すと、スイッチ部521が外観に露出して、操作を行うことが可能となる。スイッチ部521は、例えば、撮影時のフレームレートや出力形式等の変更等を行うための操作部材である。但し、スイッチ部521の用途はこれらに限られるものではない。
[撮像装置1000の耐衝撃性について]
次に、撮像装置1000の耐衝撃構造について、より具体的には、撮像装置1000に内包されたメイン基板450の耐衝撃構造について説明する。
図33(a)は、撮像装置1000の正面図である。図33(b)は、図33(a)中に示す矢視A-Aでの断面図である。なお、図33(b)では、メイン基板450の耐衝撃構造に関与しない部品を省略している。図34(a)は、メイン基板450の耐衝撃構造に関係する部品群の分解斜視図である。図34(b)は、図33(b)中のN部の拡大図である。メイン基板450の耐衝撃構造の基本要素は、基板ホルダ430、メイン基板450、放熱ゴム460、放熱板ユニット470及び支柱ユニット530である。
前述したように、フロントモジュール400の基板ホルダ430には第1の支柱433が設けられ、リアモジュール500の支柱ユニット530には第2の支柱532が設けられている。また、メイン基板450と放熱板ユニット470の間には放熱ゴム460が挟持されている。そして、第1の支柱433はメイン基板450に対して-Z方向へ延設され、第2の支柱532はメイン基板450に対して+Z方向に延設され、第1の支柱433と第2の支柱532はメイン基板450の略中央を挟むように配置される。第1の支柱433とメイン基板450の間には弾性部材434が設けられ、第2の支柱532と放熱板ユニット470の間には弾性部材533が設けられている。更に、メイン基板450は、その四隅で基板ホルダ430の基板支持部材431a~431dにビスによって固定される(図19参照)。
よって、メイン基板450は、+Z方向から-Z方向へは第1の支柱433及び弾性部材434により付勢され、-Z方向から+Z方向へは第2の支柱532、弾性部材533、放熱板ユニット470及び放熱ゴム460により付勢された状態となっている。これにより、撮像装置1000にZ方向の衝撃が加わった際に、メイン基板450の変形を抑制することが可能となっている。
[拡張モジュールとその構成]
撮像装置1000の上面開口部H1、下面開口部H2、右面開口部H3及び左面開口部H4に着脱可能な各種の拡張モジュールについて説明する。なお、拡張モジュールとは、撮像装置1000を基本構成に対してユーザの用途に応じて所定の機能を拡張させることを可能とするモジュールのことを指す。
{固定モジュール800の構成}
図35(a)は、撮像装置1000の下面開口部H2に固定モジュール800が装着された態様を示す斜視図である。図35(b)は、撮像装置1000への固定モジュール800の取付方法を説明する分解斜視図である。固定モジュール800は、撮像装置1000を三脚やリグに取り付けて使用する際に用いられる拡張モジュールである。固定モジュール800は、三脚等の雄ねじと螺合する三脚雌ねじ部801を有する。三脚雌ねじ部801を三脚等の雄ねじ部と螺合させることにより、撮像装置1000を三脚等に固定することができる。
固定モジュール800は、サイドパネル610a~610dと同様に、フロントカバー410の凹部415bとリアカバー510の凹部514bに嵌合するようにして、固定ねじ630によりフロントカバー410とリアカバー510と締結される。つまり、サイドパネル610a~610dに代えて、固定モジュール800を取り付けることができる。
{マイクモジュール804の構成}
図36は、撮像装置1000の上面開口部H1にマイクモジュール804が装着された態様を示す斜視図である。図37(a),(b)は、撮像装置1000に対するマイクモジュール804の取付方法を説明する正面側及び背面側の各分解斜視図である。マイクモジュール804は、固定モジュール800と同様にして撮像装置1000に取り付けることができる。
マイクモジュール804は、主に、外部音源を集音するマイクロフォン805と、マイク穴808を有するマイクパネル807から構成される拡張モジュールである。マイクパネル807においてマイク穴808のY方向投影面上には位置決め穴809が設けられており、マイクロフォン805は位置決め穴809に嵌合保持される。マイクロフォン805は、ケーブル806を介して、メイン基板450に電気的に接続される。マイクロフォン805は、収集した音声を音声信号(アナログ信号)に変換する。音声信号は、メイン基板450に実装された所定の回路によって、所定のレベルにゲインコントロールされた後に、デジタル信号である音声データに変換される。生成された音声データは、映像データ等と共に第3のインタフェースコネクタ560から外部機器へ出力される。
{グリップモジュール810の構成}
図38は、撮像装置1000の左面開口部H4にグリップモジュール810が装着された態様を示す斜視図である。グリップモジュール810は、ユーザが撮像装置1000を把持して撮影を行う際に使用する拡張モジュールであり、グリップ部812とグリップホルダ部813を備える。グリップ部812は、撮像装置1000に装着された状態でユーザが把持する部位である。グリップホルダ部813は、固定モジュール800と同様にして撮像装置1000に取り付けられる。
図39(a),(b)は、グリップホルダ部813に対するグリップ部812の取付方法を説明する正面側及び背面側の各斜視図である。グリップ部812の取付面には貫通穴816と菊座815aが設けられ、グリップホルダ部813の取付面には雌ねじ部817と菊座815bが設けられている。なお、菊座とは、円板状で、その中心から径方向を長さ方向として周方向に均等な位相で設けられた凹凸を有する座であり、菊座同士を対面させて凹凸を噛み合わせることによって、周方向で相対的に回転することができなくなる。
菊座815aと菊座815bは、凹凸のピッチ単位で位相を変えて噛み合わせることができる。菊座815aと菊座815bを所定の位相で噛み合わせた状態で締結ボルト814を締め付ける(雌ねじ部817と螺合させる)ことにより、グリップ部812はグリップホルダ部813(撮像装置1000)に対して回転が規制された状態で固定される。つまり、ユーザは、グリップ部812を撮像装置1000に対して所望の角度で堅固に固定することができる。なお、グリップ部812には、ユーザが把持しやすくなるように、指に合わせた窪みが設けられている。また、グリップ部812は、その長手方向が撮像装置1000の上下方向(Y方向)と平行になるようにして、左面開口部H4に装着される形態が基本となる。
{ハンドルモジュール820の構成}
図40は、撮像装置1000の上面開口部H1にハンドルモジュール820が装着された態様を示す斜視図である。ハンドルモジュール820は、ユーザが撮像装置1000を把持して撮影する際や撮影現場を移動する際等に使用される拡張モジュールであり、ハンドル部821とハンドル取付部822を備える。ハンドル部821は、ハンドルモジュール820が撮像装置1000に装着された際にユーザが把持する部位であり、環状に形成されている。ハンドル取付部822は、固定モジュール800と同様にして撮像装置1000に取り付けることができる。
図41(a),(b)は、撮像装置1000に装着されたハンドル取付部822に対するハンドル部821の取付方法を説明する正面側及び背面側の各斜視図である。ハンドル取付部822は、Z方向に延びる一対の凸部824を有する。ハンドル部821は、一対の凸部824とY方向において嵌合する一対の凹部825を有する。ハンドル取付部822にハンドル部821を取り付ける際には、凸部824と凹部825とを嵌合させ、締結ボルト823を締め付ける。これにより、ハンドル部821は、X,Y,Zの各方向での移動が規制された状態でハンドル取付部822に固定される。なお、ハンドルモジュール820は、ハンドル取付部822が撮像装置1000の上面開口部H1に取り付けられて、ハンドル部821の長手方向がZ方向と略平行となる形態が基本となる。
{記録モジュール830の構成}
図42(a)は、撮像装置1000の右面開口部H3に記録モジュール830が装着された態様を示す斜視図である。記録モジュール830は、撮像装置1000で撮影された映像に関わる映像データや音声データ等の各種データを記録するための拡張モジュールである。記録モジュール830は、固定モジュール800と同様にして撮像装置1000に取り付けることができる。記録モジュール830は、記録メディア831が収納される記録メディアスロット832を有し、記録メディアスロット832はメイン基板450に電気的に接続される。
図42(b)は、記録メディアスロット832への記録メディア831の挿入方法を説明する斜視図である。記録メディア831は矢印U1の方向に記録メディアスロット832に挿入される。なお、ここでは、1枚の記録メディア831が収納可能な構成を示しているが、記録モジュール830は複数の記録メディアを収納可能に構成されていてもよい。記録メディア831の保持と解放の機構は限定されない。
{拡張端子モジュール835の構成}
図43は、撮像装置1000の右面開口部H3に拡張端子モジュール835が装着された態様を示す斜視図である。拡張端子モジュール835は拡張端子836を有し、拡張端子836はメイン基板450に電気的に接続される。ここでは、拡張端子836はHDMI端子であり、例えば、表示機器等の外部機器との接続に使用される。なお、拡張端子836は、HDMI端子に限られず、USB端子等の他の端子であってもよい。また、拡張端子836の数は複数であってもよく、その場合に異なる種類の端子が設けられていてもよい。
{無線モジュール840の構成}
図44(a)は、撮像装置1000の左面開口部H4に無線モジュール840が装着された態様を示す正面側斜視図である。無線モジュール840は、無線通信部841と無線モジュール取付部842を備える。無線モジュール取付部842は、固定モジュール800と同様にして撮像装置1000に取り付けることができる。
図44(b),(c)は、撮像装置1000に装着された無線モジュール取付部842に対する無線通信部841の取付方法を説明する正面側斜視図であり、図44(b)と図44(c)とでは撮像装置1000を見る方向が異なっている。
無線通信部841は通信部側係合部843を有し、無線モジュール取付部842は取付部側係合部844を有し、これらの係合部を係合させることにより無線通信部841は無線モジュール取付部842に取り付けられる。その際、無線モジュール取付部842の取付部側コネクタ846と無線通信部841の通信部側コネクタ845が接続されて、取付部側コネクタ846がメイン基板450と電気的に接続される。撮像装置1000に無線モジュール840を装着することにより、撮像装置1000で撮影した映像に関わる映像データや音声データ等を、無線通信部841から外部機器へ無線送信することが可能になる。
{表示モジュール847の構成}
図45は、撮像装置1000の上面開口部H1に表示モジュール847が装着された態様を示す正面側斜視図である。表示モジュール847は、撮像装置1000で撮影された映像の確認、撮像装置1000の各種設定の入力や入力確認等を行うための拡張モジュールである。そのため、表示モジュール847は表示パネル848を備えており、表示パネル848はメイン基板450に電気的に接続される。なお、本実施形態では表示パネル848が表示モジュール847に固定された構成としているが、表示パネル848は撮像装置1000に対する向きを変えることができるように構成されていてもよい。
{バッテリモジュール850の構成}
図46(a)は、撮像装置1000の右面開口部H3にバッテリモジュール850が装着された態様を示す斜視図である。図46(b)は、バッテリモジュール850からバッテリ851が取り外された状態を示す斜視図である。
撮像装置1000は、第1のインタフェースコネクタ540を通じて外部電源から電源が供給されて使用される形態が基本となっている。しかし、バッテリ851からの電源供給が必要とされる使用状況も想定され、その際に使用される拡張モジュールがバッテリモジュール850である。バッテリモジュール850は、バッテリ851を収納するバッテリ室852を有し、バッテリ室852はインタフェース基板520に電気的に接続される。バッテリ851は、図46(b)中の矢印U2の方向でバッテリ室852に挿入することができる。バッテリ851がバッテリ室852に格納されている状態では、撮像装置1000へはバッテリ851から電源が供給される。
{操作モジュール855の構成}
図47は、撮像装置1000の上面開口部H1に操作モジュール855が装着された態様を示す正面側斜視図である。操作モジュール855は、ユーザにより操作される拡張モジュールであり、ユーザの各種の指示を撮像装置1000に与える。本実施形態では、操作モジュール855は、電源スイッチ856、ホワイトバランスの調整等を行う十字キー857、RECボタン858、本体操作ボタン859及びスイッチ基板(不図示)を備える。スイッチ基板は、メイン基板450に電気的に接続され、入力操作をメイン基板に伝達する。なお、操作モジュール855が備える前述のボタン群は一例であり、これらに限られず、これらに代えて又はこれに加えて、アイリスダイヤル等の他の操作ボタンを備えてもよい。
{照明モジュール860の構成}
図48は、撮像装置1000の上面開口部H1に照明モジュール860が装着された態様を示す正面側斜視図である。照明モジュール860は、撮像装置1000の撮影環境が低照度な場合や意図的に被写体を照らして撮影を行う場合等に使用される拡張モジュールである。照明モジュール860は、LED等の光源を有する照明部861と、照明取付部862を備える。照明モジュール860への電源供給は、撮像装置1000のメイン基板450を通じて、又は、外部電源(不図示)から行うことが可能である。なお、照明モジュール860がその内部に電池を収容可能な構造であれば、その電池から照明部861への給電が可能である。
{ヒートシンクモジュール865a~865cの構成}
図49(a)は、撮像装置1000の上面開口部H1、右面開口部H3及び左面開口部H4にそれぞれ、ヒートシンクモジュール865c,865a,865bが装着された態様を示す正面斜視図である。図49(b)は、図49(a)の状態の正面図である。ヒートシンクモジュール865a~865cは、撮像装置1000の外装の表面積を大きくしてより効率的に放熱を行いたい場合に使用される拡張モジュールである。ヒートシンクモジュール865a~865cはそれぞれ、XY平面と略平行に配置された複数の放熱フィン866a~866cを有する。放熱フィン866a~866cは、例えば、アルミニウム合金等の熱伝導率の大きい金属からなる。放熱フィン866a~866cの大きさや形状は、図49に示すものに限定されない。
図50(a),(b)は、図49(b)中に示す矢視R-R,S-Sでの各断面図である。なお、図50(a),(b)には、撮像装置1000での放熱に関わる部品のみを図示しており、熱の移動経路を矢印で示している。
メイン基板450に実装された発熱素子で発生した熱は、放熱ゴム460、放熱板ユニット470及び放熱ゴム480a~480dを介して、外装を構成するヒートシンクモジュール865a,865cの放熱フィン866a,866cから外気へ放熱される。ここで、第2の発熱素子452で発生した熱は、第2の主放熱板金474及び第3の補助放熱板金477を介して放熱フィン866aへ伝わり、放熱フィン866aから外気へ放熱される。また、第1の発熱素子451で発生した熱は、第1の主放熱板金473及び第1の補助放熱板金475を介して放熱フィン866cから外気へ放熱される。放熱フィン866bは、撮像装置3000の外装表面積を大きくすることで、外装に伝わった熱を外気へ放熱する役割を担う。なお、ここでは、撮像装置1000の上下左右の4面のうちの三面にヒートシンクモジュールを装着した例を示したが、これに限られず、任意の面に取り付けることができる。
{冷却ファンモジュール870と通気口モジュール875a,875bの構成}
図51(a),(b)は、撮像装置1000の右面開口部H3に冷却ファンモジュール870が装着され、左面開口部H4に通気口モジュール875aが装着された態様を示す正面側及び背面側の各斜視図である。図52(a),(b)は、冷却ファンモジュール870及び通気口モジュール875aの正面側及び背面側の各分解斜視図である。冷却ファンモジュール870及び通気口モジュール875aは、撮像装置1000の内部の強制空冷を行うための拡張モジュールである。なお、撮像装置1000に冷却ファンモジュール870と通気口モジュール875aが装着される場合、放熱ゴム及び放熱板ユニット470は空気の流路を確保するために取り外される。
冷却ファンモジュール870は、撮像装置1000の内部に配置された発熱素子を冷却するための冷却ファン871を備える。冷却ファン871は、開口部874を有する冷却ファンカバー873に固定ねじ872によって固定される。また、冷却ファン871は、メイン基板450と電気的に接続され、メイン基板450から電源の供給を受ける。
通気口モジュール875aは、略長方形の通気口876aを備える。ここでは、2つ通気口876aを備える通気口モジュール875aを示しているが、通気口876aの数はこれに限られず、1つ以上であればよい。また、通気口モジュール875aは、左面開口部H4に装着される場合には、通気口876aの長手方向がY方向と略平行になるように装着される。なお、通気口876aの形状は、略長方形でなくともよい。冷却ファン871を駆動することによって通気口876aから撮像装置1000の内部へ流れ込んだ空気は、放熱板ユニット470を介してメイン基板450上の発熱素子を冷却し、その後、開口部874から排気される。
図53(a)は、撮像装置1000の右面開口部H3に冷却ファンモジュール870が装着され、左面開口部H4に通気口モジュール875aが装着された態様(図51(a)の態様)を示す上面図である。図53(b)は、図53(a)中に示す矢視T-Tでの断面図である。図53(b)には撮像装置1000での空気の流れが矢印で示されている。
撮像装置1000の左面に設けられた通気口モジュール875aの通気口876aから撮像装置1000の内部に吸い込まれた空気は、メイン基板450上の第1の発熱素子451を主として冷却する。そして、第1の発熱素子451を冷却することで暖められた空気は、冷却ファン871により撮像装置1000の右面に設けられた冷却ファン871の開口部874から外部へ排気される。
図54(a)は、撮像装置1000の右面開口部H3に冷却ファンモジュール870が装着され、上面開口部H1に通気口モジュール875aが装着された態様を示す上面図である。図54(b)は、図54(a)中に示す矢視U-Uでの断面図である。図54(b)には撮像装置1000での空気の流れが矢印で示されている。
撮像装置1000の上面に設けられた通気口モジュール875aの通気口876aから撮像装置1000の内部に吸い込まれた空気は、メイン基板450上の第2の発熱素子452を主として冷却する。そして、第2の発熱素子452を冷却することで暖められた空気は、冷却ファン871により撮像装置1000の右面に設けられた冷却ファン871の開口部874から外部へ排気される。
図55(a)は、撮像装置1000の左面開口部H4に冷却ファンモジュール870が装着され、右面開口部H3及び上面開口部H1にそれぞれ通気口モジュール875a,875bが装着された態様を示す上面図である。図55(b)は、図55(a)中に示す矢視V-Vでの断面図である。図55(b)には撮像装置1000での空気の流れが矢印で示されている。
撮像装置1000の上面に設けられた通気口モジュール875bの通気口876bから撮像装置1000の内部に吸い込まれた空気は、メイン基板450上の第1の発熱素子451を主として冷却する。また、撮像装置1000の右面に設けられた通気口モジュール875aの通気口876aから撮像装置1000の内部に吸い込まれた空気は、メイン基板450上の第2の発熱素子452及び第1の発熱素子451を主として冷却する。こうして、第1の発熱素子451及び/又は第2の発熱素子452を冷却することで暖められた空気は、冷却ファン871により撮像装置1000の左面に設けられた冷却ファン871の開口部874から外部へ排気される。
なお、ここでは、1台の冷却ファンモジュール870と1枚又は2枚の通気口モジュール875a,875bを撮像装置1000に装着した例について説明したが、これらは撮像装置1000の上下左右の4面に任意に装着することができる。よって、撮像装置1000の使用状況に応じて、効率的な放熱経路を設定することができる。例えば、メイン基板450上の第1の発熱素子451が高発熱量となる場合には図53に示した放熱経路を選択し、第2の発熱素子452が高発熱量となる場合は図54に示す放熱経路を選択することにより、効率的な冷却が可能となる。
また、冷却ファンモジュール870の装着数は1台に限られず、例えば、2台を装着することも可能である。また、第1の発熱素子451及び第2の発熱素子452以外の第3の発熱素子がある場合、第3の発熱素子を効率的に冷却することができる構成を取ることも可能である。
更に、撮像装置1000では、使用状況に応じて冷却ファンモジュール870と通気口モジュール875a(,875b)による吸気方向及び排気方向を選択することができる。例えば、前述したように、撮像装置1000では、上下左右の4面に各種の拡張モジュールが装着される状況が想定される。一例として、図38(a)に示すように撮像装置1000の左面開口部H4にグリップモジュール810が装着される場合には、撮像装置1000の左面を強制空冷の吸気方向又は排気方向とすることができない。この場合、グリップモジュール810が取り付けられていない上下面及び右面に選択的に冷却ファンモジュール870と通気口モジュール875a,875bを装着すればよい。なお、発熱素子の配置に応じて、冷却ファンモジュール870の開口部874から吸気を行い、通気口モジュール875a(,875b)の通気口876aから排気を行うように、冷却ファン871による吸排気方向が逆になるようにしてもよい。
<第2実施形態>
図56は、第2実施形態に係る撮像装置2000の正面側斜視図である。なお、撮像装置2000の構成要素のうち、第1実施形態に係る撮像装置1000の構成要素と同じものについては、同じ符号及び名称を用い、また、ここでの説明を省略する。撮像装置1000が第1のマウントモジュール300を備えることに対して、撮像装置2000は第2のマウントモジュール700を備えており、この点でのみ撮像装置2000は撮像装置1000と異なる。よって、以下では主に第2のマウントモジュール700について説明する。
図57(a),(b)は、第2のマウントモジュール700の正面側及び背面側の各斜視図である。第2のマウントモジュール700には、レンズ(不図示)からの入射光を導光する円形の開口部H70が設けられており、開口部H70の外側には開口部H70と同心円となるように溝部705が設けられている。また、第2のマウントモジュール700において開口部H70と溝部705の間には、これらと同心円状で、且つ、前方(+Z側)に突出した本体側マウント面701が設けられている。
本体側マウント面701の内側の側面には内ねじ部702が設けられ、本体側マウント面701の外側の側面には外ねじ部703が設けられている。内ねじ部702は雌ねじであり、第2のレンズ鏡筒750(図58参照)の装着が可能となっている。また、外ねじ部703は雄ねじであり、マウントコンバータ720(図59参照)やレンズカバー730(図61参照)等のアクセサリの装着が可能となっている。第2のマウントモジュール700の前面の下部には、切り欠き704が設けられている。
第2のマウントモジュール700の背面には、第1のマウントモジュール300と同様に、後方(-Z方向)へと延びる位置決めボス707が2か所に設けられている。2つの位置決めボス707がフロントカバー410の前面に設けられている2つの位置決め穴411に挿入されることにより、第2のマウントモジュール700はフロントカバー410に対して位置決めされる。
また、第2のマウントモジュール700のXY面での4隅には、Z方向と平行な中心軸を有するねじ挿通穴708が設けられている。前述の通りにフロントカバー410に対する位置決めがなされた状態で、第2のマウントモジュール700の前方から4か所のねじ挿通穴708のそれぞれに固定ねじ390が挿通され、締結が行われる。こうして、図56に示されるように、第2のマウントモジュール700はフロントカバー410に固定される。なお、本体側マウント面701は、第2のマウントモジュール700がフロントモジュール400に装着された状態において、撮像素子425と平行となるように設けられている。
図58(a)は、撮像装置2000に第2のレンズ鏡筒750が装着された態様を示す正面斜視図である。図58(b)は、第2のレンズ鏡筒750の背面斜視図である。第2のレンズ鏡筒750の後方端部(背面側)には、レンズ側マウント面751と、第2のマウントモジュール700が有する内ねじ部702と同一の呼び径のレンズ側雄ねじ部752が設けられている。第2のレンズ鏡筒750は、レンズ側雄ねじ部752が第2のマウントモジュール700の内ねじ部702と螺合して、レンズ側マウント面751と本体側マウント面701が当接した状態で、第2のマウントモジュール700に固定される。
さて、撮像装置2000に第2のレンズ鏡筒750が装着された状態では、レンズ側マウント面751と本体側マウント面701の間や第2のレンズ鏡筒750の部品間の微小な隙間から撮像装置2000の内部へ水が侵入するおそれがある。この問題に対処するため、第2のマウントモジュール700には、第2のレンズ鏡筒750が装着された状態で更にレンズカバー730を装着することが可能となっている。
図59は、撮像装置2000に第2のレンズ鏡筒750及びレンズカバー730が装着された態様を示す正面側斜視図である。図60(a)は、撮像装置2000に第2のレンズ鏡筒750及びレンズカバー730が装着された態様を、光軸を含むYZ平面で表した断面図である。図60(b)は、図60(a)中に示すFF部の拡大図である。なお、図59では、レンズカバー730の内側にある第2のレンズ鏡筒750を不図示としている。また、図60(a)では、撮像装置2000の内部の部品の図示を省略している。図60(a)中のFF部は、第2のマウントモジュール700の溝部705の近傍の構造を表している。
レンズカバー730は、第2のレンズ鏡筒750の外径よりも大きい略円筒形状を有しており、第2のマウントモジュール700に装着された第2のレンズ鏡筒750を覆うように第2のマウントモジュール700に装着される。レンズカバー730の側面を構成する筒部の前面は、入射光を導光可能な透明の前ガラス731によって密封されている。よって、レンズカバー730の前面からその内部への水の侵入が防止される。
また、レンズカバー730の後方端部の内壁部には、第2のマウントモジュール700の外ねじ部703と螺合可能なカバー側雌ねじ部734が設けられている。レンズカバー730は、カバー側雌ねじ部734を外ねじ部703に螺合させることにより、第2のマウントモジュール700に装着される。
ここで、レンズカバー730の後方端面には円環状の係合溝部733が設けられており、係合溝部733にはOリング732が嵌め込まれている。よって、レンズカバー730を第2のマウントモジュール700へ装着した際に、係合溝部733と第2のマウントモジュール700の溝部705に設けられたアクセサリ当接面706との間において、Oリング732はZ方向で圧縮された状態で保持される。こうして、レンズカバー730と第2のマウントモジュール700の取り付け部の間に隙間が生じることをOリング732によって防止することができる。よって、レンズカバー730の後方端部と第2のマウントモジュール700との連結面から内部への水の浸入を防止することができる。なお、ここでは防水のためのシーリング部材としてOリング732を示したが、これに限られず、例えばシート状のゴム材料を円環状に加工したものを用いることもできる。
ところで、第2のマウントモジュール700は、第1のマウントモジュール300に比べてZ方向の長さが短い。そのため、第2のマウントモジュール700に対して所定の長さのマウントコンバータを装着してフランジバックを延長することにより、例えば、第1のレンズ鏡筒200等のレンズ鏡筒を着脱することが可能となる。具体的には、第2のマウントモジュール700の内ねじ部702に、内ねじ部702と螺合可能な雄ねじ部を有するマウントコンバータを装着することができる。
一方で、このようなマウントコンバータは、回転操作により第2のマウントモジュール700へ取り付けるため、第2のマウントモジュール700に対する位相が固定時に定まらないおそれがある。第2のマウントモジュール700に対するマウントコンバータの位相が定まらない場合、そのマウントコンバータに取り付けられたレンズ鏡筒の撮像素子425に対する位相が定まらないため、レンズ鏡筒の性能を活かせない可能性がある。
この問題を解決するマウントコンバータについて以下に説明する。図61(a),(b)は、撮像装置2000とマウントコンバータ720の装着前の位置関係を示す正面側及び背面側の各斜視図である。なお、図61は、撮像装置2000の下面を上に向けた状態で描画している。
マウントコンバータ720は、第2のマウントモジュール700へ取り付ける際に、適切な位相での取付を可能とする構造を有する。マウントコンバータ720は、その前側に前側マウント部721を備え、その後側に後側マウント面725を備えている。前側マウント部721には、公知のバヨネット式マウントが設けられている。
また、マウントコンバータ720は、位置決め部材723とロックリング722を備える。位置決め部材723の先端部には、後方(-Z側)へ延びる位置決め凸部724が設けられている。マウントコンバータ720では、第2のマウントモジュール700への取り付け時に位置決め凸部724は、第2のマウントモジュール700の切り欠き704に係合される。これにより、マウントコンバータ720の第2のマウントモジュール700に対する位相ずれを防止することが可能となっている。
また、図61(b)に示されるように、第2のマウントモジュール700の外ねじ部703に対して螺合可能なロックねじ部726がロックリング722の内壁部に設けられている。位置決め凸部724を切り欠き704に挿入した状態でロックリング722を回転させることにより、ロックねじ部726と第2のマウントモジュール700の外ねじ部703とが螺合する。こうして、マウントコンバータ720を第2のマウントモジュール700に取り付けることができる。
<第3実施形態>
図62(a),(b)は、第3実施形態に係る撮像装置3000の正面側及び背面側の各斜視図である。図63は、撮像装置3000の側面図である。なお、撮像装置3000の構成要素のうち、第1実施形態に係る撮像装置1000の構成要素と同じものについては、同じ符号及び名称を用い、また、ここでの説明を省略する。
撮像装置3000が撮像装置1000と相違する第1の点は、フロントカバー410の腕部413a~413dとリアカバー510の腕部512a~512dの間にそれぞれ、中間部品3010a~3010dが挿入されている点である。撮像装置3000が撮像装置1000と相違する第2の点は、前述の第1の点に伴い、サイドパネル610a~610dがサイドパネル3020a~3020dに変更されている点である。中間部品3010a~3010dは、フロントカバー410の腕部413a~413dをZ方向に長さLだけ延長させる役割を担う。そのため、後述するように、中間部品3010a~3010dと腕部413a~413dとでは、XY断面形状が実質的に同じとなっている。
図64(a),(b)は、撮像装置3000でのサイドパネル3020a~3020dの取付方法を説明する斜視図である。サイドパネル3020a~3020dは、サイドパネル610a~610dを、Z方向(光軸方向)に図63に示す長さL(中間部品3010a~3010dの長さ)だけ、延長した略矩形の形状を有する。サイドパネル3020a~3020dは、サイドパネル610a~610dと同様に、フロントカバー410と中間部品3010とリアカバー510を連結するように、固定ねじ630によってフロントカバー410とリアカバー510に締結される。こうして、サイドパネル3020a~3020dは、撮像装置3000の上下左右の4面の外観を形成する。
サイドパネル610a~610dにパネルシーリング部材611a~611dがそれぞれ貼り付けられていたのと同様に、サイドパネル3020a~3020dにもパネルシーリング部材3021が貼り付けられている。パネルシーリング部材3021は、パネルシーリング部材611をZ方向に長さLだけ延長した略四角枠形状を有する。パネルシーリング部材3021は、サイドパネル3020a~3020dにそれぞれ貼り付けられた状態で、四角枠状凹部に押し込まれて、嵌め合わされる。なお、撮像装置3000の四角枠状凹部もまた、撮像装置1000の四角枠状凹部640をZ方向に長さLだけ延長した形状となっている。
次に、撮像装置3000の全体構造について説明する。図65(a),(b)は、撮像装置3000からサイドパネル3020a~3020dを取り外した状態を示す正面側及び背面側の各分解斜視図である。撮像装置3000は、第1のマウントモジュール300、フロントモジュール400、中間部品3010a~3010d、シーリング部材620a~620d及びリアモジュール500を備える。なお、シーリング部材620a~620dをフロントカバー410と中間部品3010a~3010dの間にも配置することにより、防水機能を高めてもよい。
中間部品3010a~3010dにはそれぞれ、位置決め穴3011a~3011dと位置決めボス3012a~3012dが設けられている。例えば、中間部品3010aがフロントカバー410とリアカバー510の間に配設される際に、位置決め穴3011aがフロントカバー410の位置決めボス414aと嵌合すると共に、位置決めボス3012aがリアカバー510の位置決め穴513aと嵌合する。これにより、中間部品3010aはフロントカバー410とリアカバー510の間で位置決めされる。中間部品3010b~3010dは、中間部品3010aと同様に位置決めされる。
また、中間部品3010a~3010dはそれぞれ、フロントカバー410の凹部415a~415d及びリアカバー510の凹部514a~514dと同一平面を形成する凹部3014を有する。これにより、サイドパネル3020a~3020dの着脱と防水を可能としている。
なお、中間部品3010a~3010dとして、フロントカバー410の腕部413a~413dのXY断面形状と同等のXY断面形状を有し、撮像装置3000の筐体部をZ方向に延長するものを示したが、中間部品の形状はこれに限られない。また、フロントカバー410の腕部413a~413d又はリアカバー510の腕部512a~512dに対して個々に設けたがこれに限られない。例えば、中間部品は、中間部品3010a,3010bをX方向で連続させた形状であってもよいし、中間部品3010a~3010dを環状に連続させた形状であってもよい。
このように、撮像装置1000の基本構成を変更することなく、必要に応じて筐体部のZ方向長さを、中間部品3010a~3010dを用いて任意の長さに延長することにより、撮像装置3000とすることができる。つまり、例えば、撮像装置1000の機能を拡張するためのユニット基板等を筐体部の内部に格納して、ユーザが所望する仕様(性能)へ容易に変更することが可能となる。なお、筐体部の内部へは、冷却ファンや放熱モジュールを格納することも可能である。
<第4実施形態>
図66(a)は、第4実施形態に係る撮像装置4000の正面側斜視図であり、サイドパネルを取り外した状態で示されている。図66(b)は、図66(a)中に示すEE部を拡大して示すXY断面図である。撮像装置4000は、撮像装置1000とは、メイン基板450とシーリング部材620の位置関係のみが異なる。そのため、撮像装置4000の構成要素のうち、第1実施形態に係る撮像装置1000の構成要素と同じものについては、同じ符号及び名称を用い、また、ここでの説明を省略する。
撮像装置1000では複数のシーリング部材620を用いて防水構造を実現しているが、撮像装置4000ではメイン基板450を側面部がシーリング部材620に囲まれるように配置することによりメイン基板450の耐衝撃性を高めている。
より詳しくは、撮像装置4000では、略矩形状のメイン基板450の4つの角部を覆うように4個のシーリング部材620が配置されている。図66(b)には、シーリング部材620の第2の支持部624a,624bがそれぞれ、メイン基板450の右側及び下側の側面部S45a,S45bを覆っている。これにより、撮像装置4000に衝撃力等の外力が作用した際には、メイン基板450の側面部S45a,S45bは剛性の高い内部の部品へ衝突する前に、クッション性を有するシーリング部材620の第2の支持部624a,624bに接触する。よって、シーリング部材620が外力を吸収することによりメイン基板450に加わる外力が小さくなり、メイン基板450の損傷(破損)を抑制することができる。なお、筐体部の右下部となるEE部について説明したが、右上部、左上部及び左下部も同様に構成されており、それらについての説明は省略する。
以上、本発明をその好適な実施形態に基づいて詳述してきたが、本発明はこれら特定の実施形態に限られるものではなく、この発明の要旨を逸脱しない範囲の様々な形態も本発明に含まれる。更に、上述した各実施形態は本発明の一実施形態を示すものにすぎず、各実施形態を適宜組み合わせることも可能である。