JP6514445B2 - 変性オレフィン系重合体の製造方法 - Google Patents

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Description

本発明は変性オレフィン系重合体、特に酸変性オレフィン系重合体の製造方法に関するものである。
ポリオレフィン系樹脂は、耐薬品性、機械特性など多くの優れた特長を持つ一方で、非極性ポリマーであるために、極性物質との親和性が低いという欠点を有する。この欠点を克服するために、従来からポリオレフィンに炭素-炭素二重結合を有する有機カルボン酸など(以下、変性剤ということがある)を、有機過酸化物を開始剤としたグラフト反応により、極性基を付与してポリオレフィンを変性する方法が利用されている。
このようなポリオレフィンの変性には、ポリオレフィンに変性剤を配合し、押出成形機等を用いてポリオレフィンを溶融状態で押出して高温、高せん断下で変性する方法(溶融法)あるいはポリオレフィンを溶媒に溶解し、この溶液に変性剤を配合してポリオレフィンの変性を行う方法(溶剤法)、変性剤をそのまま、あるいは溶媒に溶解させた状態で粒形状のポリオレフィンに含浸させ、ポリオレフィンの融点以下の温度で反応させる方法(固相法)等が採用されている。固相法においては、ポリオレフィンの分子鎖に攪拌によるせん断が作用しないため、分子量の低下を防止できる利点がある。
このような方法とは別に、化学反応を行わせる方法として、マイクロ波により加熱を行わせる方法は公知である。マイクロ波による加熱方法は、極性を持つ物質に対しては、所定の反応温度まで迅速に加熱できる利点はあるものの、非極性のポリオレフィンに対する加熱効率は極めて悪い。
WO2005/063836(特許文献1)には、オレフィン系重合体、官能基を有する単量体およびラジカル発生剤の3者を含む混合物にマイクロ波を照射して、グラフト重合することを特徴とする、変性オレフィン系重合体の製造方法が開示されている。
WO2005/063836
特許文献1に記載の方法では、加熱効率を向上させるには、極性溶媒を多量に用いて反応を行わせる必要があるため、生産性やコストの面で難点があった。また、反応を終始固相で行わせる場合、極性溶媒はポリオレフィンへの浸透性が悪いため、溶媒中の変性剤、ラジカル開始剤のポリオレフィンへの浸透性も悪くなり、その結果、高いグラフト効率が得られない。そのため、グラフト量を増大させるためには変性剤、ラジカル開始剤を大量に用いる必要があり、当該単量体のロスが非常に多いという問題があった。
したがって、極性物質に対して所定の反応温度まで迅速に加熱が可能なマイクロ波照射法により、オレフィン系重合体を固相変性する場合において、溶媒の使用量を低減することで生産性を改良し、かつ、グラフト量を向上させる方法の開発が望まれてきた。
そこで、本発明は、生産性が向上し、かつ、グラフト量の向上を可能とする変性オレフィン系重合体の製造方法を提供することを目的とする。
本発明者は、上記課題を解決すべく鋭意検討した結果、マイクロ波を照射することにより、オレフィン系重合体、官能基および不飽和炭素−炭素結合を含む単量体、有機過酸化物を溶媒に一旦均一に溶解させた後、さらにマイクロ波の照射を続けてオレフィン系重合体を析出させることにより、溶媒の使用量を低減することで生産性を改良し、かつ、グラフト量を向上させることができることを見出した。
すなわち、本発明は、次の[1]〜[8]に関する。
[1] オレフィン系重合体と、不飽和カルボン酸および/またはその誘導体と、有機過酸化物と、溶媒とを含む混合物に対しマイクロ波を照射し、制御された反応温度のもとで変性オレフィン重合体を製造する方法であって、
当該制御された反応温度をT(℃)としたときに、
a) オレフィン系重合体と、不飽和カルボン酸および/またはその誘導体と、有機過酸化物と、溶媒とを含む混合物に対しマイクロ波の照射を開始して当該混合物の平均温度をT(℃)とし、均一な溶液を形成させる工程;
b) 前記均一な溶液に対し前記マイクロ波の照射を続行、あるいは、マイクロ波を断続的に照射、あるいは、マイクロ波の照射を中断して、当該均一な溶液の平均温度をT(℃)に保ちつつオレフィン系重合体を析出させる工程;並びに、
c) 前記工程b)の後、オレフィン系重合体が析出した状態でさらに前記マイクロ波の照射を連続的あるいは断続的に行うことで、当該オレフィン系重合体が析出した混合物の平均温度を実質的にT(℃)に維持する工程
を含む変性オレフィン系重合体の製造方法。
[2] 前記溶媒が、
前記不飽和カルボン酸および/またはその誘導体、並びに前記有機過酸化物を、少なくとも、T(℃)以上の温度領域において溶解可能な溶媒であって、且つ、前記オレフィン系重合体が溶解可能となる最低の温度が(T+3)(℃)以上(T+100)(℃)未満の範囲内にあるような溶媒であり、且つ、
前記溶媒の量が、前記オレフィン系重合体を溶解させることのできる最低温度が(T+3)(℃)以上(T+100)(℃)未満の範囲内にあるような量である
前記[1]記載の変性オレフィン系重合体の製造方法。
[3] d) 前記工程a) 〜 c) を行った混合物を一旦冷却した後、再度前記工程a) 〜 c) を行う工程
をさらに含む前記[1]または[2]に記載の製造方法。
[4] 反応途上における温度制御を、反応容器表面における0.1〜100mm2の面積の領域の平均温度に基づいて行うことを特徴とする、前記[1]〜[3]のいずれかに記載の変性オレフィン系重合体の製造方法。
[5] 前記工程d) を複数回行うことを特徴とする前記[1]〜[4]のいずれかに記載の変性オレフィン系重合体の製造方法。
[6] 前記オレフィン系重合体がプロピレン重合体である前記[1]〜[5]のいずれかに記載の変性オレフィン系重合体の製造方法。
[7] 前記不飽和カルボン酸および/またはその誘導体が無水マレイン酸である前記[1]〜[6]のいずれかに記載の変性オレフィン系重合体の製造方法。
[8] 前記溶媒が、比誘電率が5以上の溶媒と、比誘電率が5未満の溶媒との混合物である前記[1]〜[7]のいずれかに記載の変性オレフィン系重合体の製造方法。
本発明によれば、従来のグラフト重合の方法に比較して、マイクロ波を用いることで所定の反応温度までの加熱が迅速になることに加えて、溶媒の使用量を低減することで生産性を向上させ、かつ、グラフト量を向上させることが可能になる。
以下に本発明を詳細に説明する。
(オレフィン系重合体)
本発明の製造方法において、オレフィン系重合体は、変性オレフィン系重合体の原料として用いられる。そして、本発明では、このオレフィン系重合体に対して、後述する有機過酸化物の存在下、特定の条件下で、後述する不飽和カルボン酸および/またはその誘導体のグラフト重合を行うことにより、変性オレフィン系重合体が得られる。
グラフト重合に用いるオレフィン系重合体としては、エチレン、プロピレン、ブテン−1、ペンテン−1、2−メチルブテン−1、3−メチルブテン−1、ヘキセン−1、3−メチルペンテン−1、4−メチルペンテン−1、3,3−ジメチルブテン−1、ヘプテン−1、メチルヘキセン−1、ジメチルペンテン−1、トリメチルブテン−1、エチルペンテン−1、オクテン−1、メチルペンテン−1、ジメチルヘキセン−1、トリメチルペンテン−1、エチルヘキセン−1、メチルエチルペンテン−1、ジエチルブテン−1、プトピルペンテン−1、デセン−1、メチルノネン−1、ジメチルオクテン−1、トリメチルヘプテン−1、エチルオクテン−1、メチルエチルヘプテン−1、ジエチルヘキセン−1、ドデセン−1およびヘキサドデセン−1、等のα−オレフィンの単独重合体、あるいは、共重合体を挙げることができる。これらの中でも、耐熱性、機械特性のバランスから、プロピレン重合体が好ましく、その中でも、プロピレンの単独重合体、プロピレン−エチレンランダム共重合体が特に好ましい。
上記オレフィン系重合体は、通常、ペレット、粒状、粉状で入手できるが、粉状のもので、平均粒径が200μm〜2.5mm、好ましくは200μm〜1.0mmである。
(有機過酸化物)
本発明の製造方法において、有機過酸化物は、上記オレフィン系重合体に対するグラフト重合反応の開始剤として用いられる。
本発明で用いることのできる有機過酸化物として、一般的なグラフト重合反応において通常用いられる有機過酸化物が挙げられ、その例としては、ジイソブチリルパーオキサイド、3−ヒドロキシ−1,1−ジメチルブチルパーオキシネオデカノエート、α−クミルパーオキシネオデカノエート、ジ−n−プロピルパーオキシジカーボネート、ジイソプロピルパーオキシジカーボネート、ジ−sec−ブチルパーオキシジカーボネート、1,1,3,3−テトラメチルブチルパーオキシネオデカノエート、ジ(4−t−ブチルシクロヘキシル)パーオキシジカーボネート、ジ(2−エチルヘキシル)パーオキシジカーボネート、t−ヘキシルパーオキシネオデカノエート、t−ブチルパーオキシネオデカノエート、t−アミルパーオキシネオデカノエート、t−ブチルパーオキシネオヘプタノエート、t−ヘキシルパーオキシピバレート、t−ブチルパーオキシピバレート、t−アミルパーオキシピバレート、ジ(3,5,5−トリメチルヘキサノイル)パーオキサイド、ジイソノナノイルパーオキサイド、ジラウロイルパーオキサイド、1,1,3,3−テトラメチルブチルパーオキシ−2−エチルヘキサノエート、ジコハク酸パーオキサイド、2,5−ジメチル−2,5−ジ(2−エチルヘキサノイルパーオキシ)ヘキサン、t−ヘキシルパーオキシ−2−エチルヘキサノエート、ジ(4−メチルベンゾイル)パーオキサイド、t−ブチルパーオキシ−2−エチルヘキサノエート、t−アミルパーオキシ−2−エチルヘキサノエート、ジ(3−メチルベンゾイル)パーオキサイド、ベンゾイル(3−メチルベンゾイル)パーオキサイド、ジベンゾイルパーオキサイド、t−ブチルパーオキシイソブチレート、1,1−ジ(t−ブチルパーオキシ)−2−メチルシクロヘキサン、1,1−ジ(t−ヘキシルパーオキシ)−3,3,5−トリメチルシクロヘキサン、1,1−ジ(t−ヘキシルパーオキシ)シクロヘキサン、1,1−ジ(t−ブチルパーオキシ)シクロヘキサン、1,1−ジ(t−アミルパーオキシ)シクロヘキサン、2,2−ジ(4,4−ジ−(t−ブチルパーオキシ)シクロヘキシル)プロパン、t−アミルパーオキシイソノナノエート、t−ヘキシルパーオキシイソプロピルモノカーボネート、t−アミルパーオキシノルマルオクトエート、t−ブチルパーオキシマレイン酸、t−ブチルパーオキシ-3,5,5−トリメチルヘキサノエート、t−ブチルパーオキシラウレート、t−アミルパーオキシイソプロピルモノカーボネート、t−ブチルパーオキシイソプロピルモノカーボネート、t−アミルパーオキシ−2−エチルヘキシルモノカーボネート、t−ブチルパーオキシ−2−エチルヘキシルモノカーボネート、t−ヘキシルパーオキシベンゾエート、2,5−ジメチル−2,5−ジ(ベンゾイルパーオキシ)ヘキサン、t−ブチルパーオキシアセテート、t−アミルパーオキシアセテート、2,2−ジ−(t−ブチルパーオキシ)ブタン、t−ブチルパーオキシイソノナノエート、t−アミルパーオキシベンゾエート、t−ブチルパーオキシベンゾエート、n−ブチル−4,4−ジ−(t−ブチルパーオキシ)バレエート、メチルエチルケトンパーオキサイド、ジ(2−t−ブチルパーオキシイソプロピル)ベンゼン、エチル−3,3−ジ(t−ブチルパーオキシ)ブチレート、ジクミルパーオキサイド、ジ−t−ヘキシルパーオキサイド、1,3−ジ(2−t−ブチルパーオキシイソプロピル)ベンゼン、2,5−ジメチル−2,5−ジ−(t−ブチルパーオキシ)ヘキサン、t−ブチルクミルパーオキサイド、ジ−t−アミルパーオキサイド、ジ−t−ブチルパーオキサイド、p−メンタンハイドロパーオキサイド、2,5−ジメチル−2,5−ジ−(t−ブチルパーオキシ)ヘキシン−3、ジイソプロピルベンゼンハイドロパーオキサイド、1,1,3,3−テトラメチルブチルハイドロパーオキサイド、t−アミルハイドロパーオキサイド、クメンハイドロパーオキサイド、t−ブチルハイドロパーオキサイド、1,1−ビス(t−ブチルパーオキシ)−3,3,5−トリメチルシクロヘキサン、アセチルペルオキシド、イソブチリルペルオキシド、オクタノイルペルオキシド、ラウロイルペルオキシド、3,3,5−トリメチルヘキサノイルパーオキサイド、2,4−ジクロロベンゾイルパーオキサイド、m−トルオイルパーオキサイド、1,1−ジ(t−ブチルパーオキシ)−3,3,5−トリメチルシクロヘキサンが挙げられる。
好ましい有機過酸化物としては、1時間半減期温度が80℃〜180℃、好ましくは90℃〜150℃のものである。
これらは、1種単独で用いても、2種以上を用いても良い。その使用量は特に制限はないが、通常、上記オレフィン系重合体の100重量部に対して0.01〜100重量部の範囲である。
(不飽和カルボン酸および/またはその誘導体)
本発明の製造方法において、不飽和カルボン酸および/またはその誘導体は、グラフト重合反応により上記オレフィン系重合体に導入される繰り返し単位を構成するものである。そして、この不飽和カルボン酸および/またはその誘導体が上記オレフィン系重合体にグラフトされることにより得られる変性オレフィン系重合体は、カルボキシル基などの極性基を有することができるのである。
本発明で、上記オレフィン系重合体にグラフトされる不飽和カルボン酸および/またはその誘導体としては、たとえば、アクリル酸、メタクリル酸、マレイン酸、フマル酸、テトラヒドロフタル酸、イタコン酸、シトラコン酸、クロトン酸、ナジック酸、エンドシス−ビシクロ[2,2,1]ヘプト−5−エン−2,3−ジカルボン酸およびこれらの酸無水物ならびにこれらの誘導体、例えば酸ハライド、アミド、イミド、エステル等が挙げられ、具体的には塩化マレニル、マレニルイミド、無水マレイン酸、無水シトラコン酸、マレイン酸モノメチル、マレイン酸ジメチル等を挙げることができる。これらの中では、不飽和ジカルボン酸またはその酸無水物が好ましく、特にマレイン酸、ナジック酸またはこれらの酸無水物が好適である。
これらの不飽和カルボン酸および/またはその誘導体は、単独で、あるいは組み合わせて使用することができる。これらの中でも、無水マレイン酸、イタコン酸、アクリル酸、メタクリル酸を使用することが好ましい。
これらの不飽和カルボン酸および/またはその誘導体の使用量は、上記オレフィン系重合体の100重量部に対して通常は0.01〜50重量部、好ましくは5〜30重量部である。
(溶媒)
本発明に係る製造方法では溶媒を用いる。ここで、本発明に係る製造方法は、制御された反応温度のもとで行われるが、後述する工程a) とb) が行われるよう、当該制御された反応温度をT(℃)としたときに、T(℃)よりも高い温度の領域では、上記オレフィン系重合体、上記不飽和カルボン酸および/またはその誘導体、並びに、上記有機過酸化物を溶解させるものであり、なおかつ、T(℃)においてはオレフィン系重合体が析出する溶媒を用いることが必要である。
なお、本明細書において、「制御された反応温度」というのは、所定の反応を行うべき温度として意図され、且つ、反応系外からなされる温度制御によって目標とされ且つ維持される温度をいう。
ここで、本発明で用いられる溶媒は、上記不飽和カルボン酸および/またはその誘導体、並びに、上記有機過酸化物との関係では、少なくとも、上記T(℃)よりも高い温度の領域において溶解可能であればよく、例えば、(T+3)(℃)以上(T+100)(℃)未満の範囲内において溶解可能であればよい。ただ、後述する工程c)が確実に行われるためには、実際上、上記T(℃)においても、上記不飽和カルボン酸および/またはその誘導体、並びに、上記有機過酸化物を溶解可能である必要がある。一方、本発明で用いられる溶媒は、上記T(℃)よりも低い温度の領域においては、必ずしも、上記不飽和カルボン酸および/またはその誘導体、並びに、上記有機過酸化物を溶解可能であることを要しない。ただ、本発明の典型的な実施態様においては、本発明で用いられる溶媒として、上記T(℃)よりも低い温度の領域においても、上記不飽和カルボン酸および/またはその誘導体、並びに、上記有機過酸化物のいずれをも溶解可能である溶媒を好ましく用いることができる。この場合、後処理の際に、反応終了後に得られた変性オレフィン系重合体と、上記不飽和カルボン酸および/またはその誘導体、および、上記有機過酸化物、並びにこれらの分解生成物とを、濾過や遠心分離等、溶解性の差を利用した分離方法によって分離することができるので都合が良い。もっとも、本発明に係る製造方法を行う上では、変性反応および/または後処理の際に不都合が生じない限りにおいて、本発明で用いられる溶媒として、上記T(℃)よりも低い温度の領域において、上記不飽和カルボン酸および/またはその誘導体、並びに、上記有機過酸化物のうちのいずれかまたは全部を溶解しない溶媒を採用することを妨げるものではない。また、本発明で用いられる溶媒として、後述するように2種以上の溶媒を組み合わせてなる混合溶媒が用いられる場合、少なくとも、上記T(℃)よりも高い温度の領域において混合溶媒の状態で溶解可能であればよく、必ずしも、この混合溶媒を構成する構成溶媒ごとに、上記不飽和カルボン酸および/またはその誘導体、並びに、上記有機過酸化物の溶解能力が求められるわけではない。
一方、上記オレフィン系重合体との関係では、本発明で用いられる溶媒は、上記T(℃)以下の温度では実質的に溶解しない必要がある。ただ、後述する工程a)が確実に行われるためには、上記T(℃)と比べてある程度高い温度においては上記オレフィン系重合体を溶解可能である必要もあるのではないかと本発明者は推測している。この点で、上記T(℃)より高い温度であって上記オレフィン系重合体の融点より低い温度範囲内に、上記オレフィン系重合体が溶解可能となり始める最低温度が存在することが好ましく、例えば、(T+3)(℃)以上(T+100)(℃)未満の範囲内に、上記オレフィン系重合体が溶解可能となり始める最低温度が存在することが好ましい。
これを踏まえると、本発明では、例えば、前記不飽和カルボン酸および/またはその誘導体、並びに前記有機過酸化物をT(℃)以上において溶解可能であり、且つ、前記オレフィン系重合体が溶解可能となる最低の温度が(T+3)(℃)以上(T+100)(℃)未満の範囲内にあるような溶媒を用いることが好ましい。
このような要件を満たすものであれば、溶媒の特性については特に制限はないが、一般的には極性を有する溶媒に対しては、オレフィン系重合体は溶解しにくい傾向にある。一方で、極性の低い溶媒はマイクロ波による加熱効率が悪い傾向にある。このため、オレフィン系重合体の溶解性を上げつつマイクロ波による加熱効率もある程度確保できるよう、極性溶媒と極性の低い溶媒を混合して用いることが好ましい。
上記の極性溶媒の例としては、1−メチル−2−ピロリドン、エチレンカーボネート、プロピレンカーボネート、γ−ブチロラクトン、N−メチル−2−ピロリドン、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、アセチルクエン酸トリブチル、2,4−ペンタジエンなどが挙げられる。これらは、単独で用いても、2種以上を併用しても良い。また、極性の低い溶媒の例としては、ヘキサン、ヘプタン、オクタン、デカン、などのパラフィン系溶媒、ベンゼン、トルエン、キシレン、などの芳香族系溶媒が挙げられる。オレフィン系重合体を膨潤するもの、たとえば芳香族系の溶媒が特に好ましい。これらは、単独で用いても、2種以上を併用しても良い。
本発明においては、比誘電率が5以上の溶媒と、比誘電率が5未満の溶媒とを組み合わせてなる混合物をグラフト反応の溶媒として用いることが特に好ましい。
溶媒の沸点には特に限定はないが、グラフト反応温度よりも高いこと、好ましくは100℃以上のものが好ましい。グラフト反応温度よりも沸点の低い溶媒を用いる場合は、耐圧仕様の反応容器を用い、容器を密閉状態として反応を行わせることもできる。
極性溶媒と、極性の低い溶媒を混合して用いる場合、その混合比(重量比)は、反応温度よりも高い温度の領域では、上記オレフィン系重合体、上記不飽和カルボン酸および/またはその誘導体、および上記有機過酸化物を溶解させるものであり、なおかつ、反応温度においてはオレフィン系重合体が析出するという要件を満たす限りにおいては、特に制限はないが、好ましくは、極性溶媒/極性の低い溶媒=1/99〜50/50、より好ましくは10/90〜30/70である。
溶媒の使用量は、反応温度よりも高温においてオレフィン系重合体が溶液を形成し、且つ、反応温度においてはオレフィン系重合体が析出する量である限りにおいては特に制限はないが、オレフィン系重合体を完全に溶解させることのできる最低温度がT(℃)より高くオレフィン系重合体の融点以下であることが好ましく、例えば、(T+3)(℃)以上(T+100)(℃)未満の範囲内にあるような量であることが好ましい。溶媒の具体的な使用量は、溶媒に対するオレフィン系重合体の溶解性によって変わるものの、例えば、オレフィン系重合体10グラムに対して5ml〜100mlとすることができ、好ましくは20ml〜50ml、更に好ましくは25〜40mlである。
(その他の成分)
本発明では、グラフト重合反応に際して、その目的、効果を大きく阻害しない範囲で、上記オレフィン系重合体、不飽和カルボン酸および/またはその誘導体、有機過酸化物、溶媒のほかに、スチレン、アルファ−メチルスチレン、p−メチルスチレン、ターシャリーブチルスチレン、エチルスチレン、シアノスチレン、アミノスチレン、ヒドロキシスチレン、ビニルトルエン、N、N−ジエチルアミノスチレン、α−メチルスチレンダイマーなどスチレン系化合物やジビニルベンゼンなどの電子供与性化合物、ビニルトリメトキシシラン、β−スチリルエチルトリメトキシシラン等の不飽和シラン化合物(カップリング剤)、光重合開始剤を、コモノマー成分として配合することが可能である。また、一般にポリオレフィン樹脂に添加される物質、例えば、酸化防止剤、耐熱安定剤、中和剤などをさらに配合することも可能である。
(変性オレフィン系重合体の製造方法)
本発明の変性オレフィン系重合体の製造方法は、
オレフィン系重合体と、不飽和カルボン酸および/またはその誘導体と、有機過酸化物と、溶媒とを含む混合物に対しマイクロ波を照射し、制御された反応温度のもとで変性オレフィン重合体を製造する方法であって、
当該制御された反応温度をT(℃)としたときに、
a) オレフィン系重合体と、不飽和カルボン酸および/またはその誘導体と、有機過酸化物と、溶媒とを含む混合物に対しマイクロ波の照射を開始して当該混合物の平均温度をT(℃)とし、均一な溶液を形成させる工程;
b) 前記均一な溶液に対し前記マイクロ波の照射を続行、あるいは、マイクロ波を断続的に照射、あるいは、マイクロ波の照射を中断して、当該均一な溶液の平均温度をT(℃)に保ちつつオレフィン系重合体を析出させる工程;並びに、
c) 前記工程b) の後、オレフィン系重合体が析出した状態でさらに前記マイクロ波の照射を連続的あるいは断続的に行うことで、当該オレフィン系重合体が析出した混合物の平均温度を実質的にT(℃)に維持する工程
を含む。
ここで、本明細書において、「実質的にT(℃)に維持する」とは、現実の温度とT(℃)との温度差を、反応に大きな影響が生じない一定範囲内に保持することを意味し、例えば、(T−5)(℃)以上(T+5)(℃)以下、好ましくは、(T−3)(℃)以上(T+3)(℃)以下に維持することを意味する。ここで、工程c)について、「マイクロ波の照射を連続的あるいは断続的に行うことで、当該オレフィン系重合体が析出した混合物の平均温度を実質的にT(℃)に維持する」とあるのは、具体的には、マイクロ波の照射に際して温度制御をON/OFF制御によって行うことを許容するとともに、温度制御に伴って発生しうる一定の温度変動を許容する趣旨である。
マイクロ波の照射は、回分式、連続式でも使用でき、照射装置は複数利用しても良い。
このような加熱方法を実現するための具体的な方法としては、好ましくは、反応途上における温度制御を、反応容器表面における0.1〜100mm2の面積の領域の平均温度に基づいて行うような装置を用い、かつ、反応温度T(℃)はオレフィン系重合体の融点より低く、かつ、溶媒にオレフィン系重合体が溶解しないような温度に設定して行う。例えば、上記オレフィン系重合体としてプロピレン単独重合体を用いる場合、反応温度の制御を、60℃〜120℃で行うことが好ましい。
0.1〜100mm2の面積の領域の平均温度を検知する方法としては、赤外線放射によるもの、熱電対によるもの、などが好ましく用いられる。
本発明における工程a) および b) について、本発明者らは、オレフィン系重合体は極性を有しないためマイクロ波では直接には加熱されないため、オレフィン系重合体の周囲の溶媒の温度が局所的に設定温度よりも高い温度に加熱される結果、オレフィン系重合体が溶液を形成し、その後、系全体の温度が設定した温度に均一化、冷却される過程でオレフィン系重合体が析出するものと考えている。このような理由から、本発明では、マイクロ波による加熱を、平均温度に基づいて制御することが好ましい。
オレフィン系重合体の融点以下、かつ、溶媒に溶解しないような温度は、予備的な試験で、オレフィン系重合体の分散液を攪拌下に、徐々に加熱し、該オレフィン系重合体の状態を観察することで容易に決めることができる。
反応時間は当該反応温度における有機過酸化物の半減期の3倍以上、好ましくは5倍以上に設定する。
このようなマイクロ波加熱の方法が、従来からの検討されてきたオイルバスなどの熱源による加熱に比較して良好なグラフト効率を得られる理由は、必ずしも明らかではないが、マイクロ波照射の初期段階で一旦、均一溶液を形成したオレフィン系重合体が再度析出する過程で、上記不飽和カルボン酸および/またはその誘導体および有機過酸化物がオレフィン系重合体の析出物内に取り込まれるためと考えている。一方で、オイルバスなどの熱源による加熱方式で同一の溶媒で反応させた場合には、オレフィン系重合体は終始、固体状態のため、上記不飽和カルボン酸および/またはその誘導体および有機過酸化物がオレフィン系重合体内部に取り込まれにくい。
一方、オレフィン系重合体等が、終始溶解あるいは溶融したままの状態でグラフト重合反応を行う場合、ポリマー鎖が切れやすく、その結果、得られるグラフト重合体の分子量が小さくなりやすくなる傾向にある。これに対して、本発明の製造方法のように、一旦溶解させたオレフィン系重合体を析出させ、固相状態でグラフト重合反応を続行すると、理由は定かではないものの、分子量の低下を抑制することができる。
なお、工程b)において析出するオレフィン系重合体には、未変性のオレフィン系重合体のほかに、グラフト重合反応の過程にある、前記不飽和カルボン酸および/またはその誘導体由来の繰り返し単位が導入され始めたオレフィン系重合体も含まれうる。
マイクロ波の照射装置における反応時間の設定は、0.1〜100mm2の面積の領域の平均温度での制御を所定の反応時間、継続するように設定してもよいが、0.1〜100mm2の面積の領域の平均温度での制御と冷却を繰り返して、0.1〜100mm2の面積の領域の平均温度での制御を行う時間の合計が所定の反応時間に到達するような方法をとることも可能である。この場合、0.1〜100mm2の面積の領域の平均温度での制御、冷却を繰り返す都度、オレフィン系重合体の溶液形成と析出の過程を繰り返すので、前記不飽和カルボン酸および/またはその誘導体および有機過酸化物がオレフィン系重合体の析出物内に取り込まれるため、グラフト量がより多くなるという利点がある。
この観点から、本発明の変性ポリオレフィンの製造方法は、
d) 前記工程a) 〜 c) を行った混合物を一旦冷却した後、再度前記工程a) 〜 c) を行う工程
をさらに含むことができる。
ここで、工程d) における冷却は、マイクロ波の照射を中止して放置することにより行うことができる。ここで、冷却温度としては、前記工程a) 〜 c) よりも低い温度、例えば、0℃〜80℃が挙げられる。本発明では、例えば、室温(25℃)が好ましく挙げられる。
本発明における好適な態様として、このような工程d) を複数回行うことができる。
本発明で使用するマイクロ波は、波長1m以下で、対象物を誘電加熱できる波長のものであれば任意であるが、通常、波長が1m〜1mm程度のものが使用される。例えば、300MHz〜30GHzの範囲のものが好ましく、日本においては現在890〜940MHzおよび2400〜2500MHzのものが使用される。出力は特に限定されないが100W〜1500W、通常は200〜1200W程度である。
反応後のグラフト化された変性オレフィン系重合体は、常法により、適宜、未反応の官能基をもつ単量体の除去、精製、乾燥工程を経て分離するのが好ましい。未反応の官能基を持つ単量体の除去は、該単量体を溶解する溶媒での洗浄、もしくは該溶媒での溶解、再沈殿、濾過分離後、乾燥等により得ることができる。
後処理として、濾過、未反応の官能基を持つ単量体の除去、精製、乾燥工程は、場合により省略しても良い。
以下に、実施例および比較例により本発明を更に詳細に説明するが、これらは単なる例示であり、発明の内容は実施例に限定されるものではない。
各種物性測定は以下の方法にて行った。
・グラフト量の測定方法
試料を210℃で熱プレスして300μmのフィルムを作成し、赤外吸収スペクトルを測定し、1790cm-1付近の吸収より、無水マレイン酸グラフト量を定量した。
一方、ポリプロピレンへの無水マレイン酸のグラフト効率(以下、「グラフト効率」)は、仕込んだ無水マレイン酸の重量に対する、グラフトした無水マレイン酸ポリマーの重量の百分率として表されることから、定量した無水マレイン酸グラフト量をもとに、以下の式にしたがって求めた。
グラフト効率 (%) = [(仕込んだポリプロピレンの重量)×(無水マレイン酸グラフト量 (wt%))/(100−(無水マレイン酸グラフト量 (wt%)))]/(仕込んだ無水マレイン酸の重量)×100
・極限粘度
試料をデカリンに溶かし希薄溶液を作る。自動粘度測定装置でウベローデ改良型粘度計を用いて、135℃の比粘度を測定し、極限粘度を算出する。
[実施例1]
MFR=0.6、極限粘度〔η〕=3.90dl/g、平均粒径380μmのプロピレン単独重合体3.8グラムに対して、無水マレイン酸0.19グラム、有機過酸化物として置換ベンゾイルパーオキサイドの40%キシレン溶液0.44グラム(未置換体、メチル置換体、ジメチル置換体の混合物、日油株式会社製、商品名・ナイパー(登録商標)BMT−K40)、溶媒としてプロピレンカーボネート(比誘電率64.9)/トルエン(比誘電率2.4)=15/85(重量比)の混合溶媒を13.3ml(プロピレン単独重合体10グラムに対して35ml)を加え、系内を十分に窒素で置換したのち、マイクロ波を照射してグラフト反応を行わせた。マイクロ波照射には、Biotage社の「Initiator」(最高出力400W)を用いた。グラフト重合の設定温度は100℃、照射時間は4時間に設定した。
4時間の照射時間の初期段階で、プロピレン重合体粒子は一旦、均一な溶液状態となり、その後、再び、粒子形状として析出した。
反応終了後に得られた酸変性ポリオレフィン粒子から未反応の無水マレイン酸を完全に除去するために、以下の操作をおこなった:無水マレイン酸グラフトポリプロピレン粒子1gを採取し、キシレン約50mlを加え、還流冷却器を備えたフラスコ中で加熱溶解させた。ついで溶液を室温まで冷却し、アセトンを加えて無水マレイン酸グラフトポリプロピレンを析出させたのち、濾過し、得られた析出物を乾燥処理した。
得られた無水マレイン酸グラフトポリプロピレンにおける無水マレイン酸のグラフト量は0.59wt%、極限粘度〔η〕=2.27dl/gであった。
[実施例2]
マイクロ波の照射時間を10分に設定してグラフト反応を行わせたあと、マイクロ波の照射を中止した状態で室温まで冷却するという一連の操作を4回、繰り返したのちに、マイクロ波の照射時間を3時間20分に設定してグラフト反応を行わせる以外は、実施例1と同様のプロピレン重合体、無水マレイン酸、有機過酸化物、溶媒を実施例1と同量用いて、グラフト反応を行った。
更に、未反応の無水マレイン酸を完全に除去するために、実施例1と同様の操作を行った。
得られた無水マレイン酸グラフトポリプロピレンにおける無水マレイン酸のグラフト量は0.69wt%、極限粘度〔η〕=2.14dl/gであった。
[比較例1]
実施例1と同様のプロピレン単独重合体、無水マレイン酸、有機過酸化物、溶媒を、実施例1と同量、反応容器に仕込み、系内を十分に窒素で置換したのち、100℃のオイルバスで4時間、加熱してグラフト反応を行わせた。反応中は、プロピレン単独重合体粒子は、終始、溶媒中で粉状として存在していた。
実施例1と同様の後処理を行い、未反応の無水マレイン酸を完全に除去した。得られた無水マレイン酸グラフトポリプロピレンにおける無水マレイン酸のグラフト量は0.09wt%、極限粘度〔η〕=3.41dl/gであった。
[比較例2]
実施例1と同様のプロピレン単独重合体を、WO2005/063836の実施例1(1)に記載の方法で前処理を行った。すなわち、WO2005/063836の実施例1(1)の記載に沿って、実施例1と同様のプロピレン単独重合体を約140℃で加熱したキシレンに溶解し、10分間保持後、1時間程度で常温にし、濾過して回収し、その後、キシレンの含有量がプロピレン単独重合体の重量に対して1:1になるよう風乾させる前処理を行った。
ついで、この前処理後のキシレン含有プロピレン単独重合体2.9グラム(=キシレン50%含有状態での重量)、無水マレイン酸6グラムをプロピレンカーボネートに溶解させた溶液を15ml(プロピレン単独重合体10グラムに対して103.4ml)、有機過酸化物として、実施例1と同様の置換ベンゾイルパーオキサイドの40%キシレン溶液を0.81グラムを加えて、実施例1と同様の設定条件にてマイクロ波を照射させてグラフト反応を行わせた。反応中は、プロピレン単独重合体粒子は、終始、溶媒中で粉状として存在していた。
実施例1と同様の後処理を行い、未反応の無水マレイン酸を完全に除去した。得られた無水マレイン酸グラフトポリプロピレンにおける無水マレイン酸のグラフト量は0.21wt%、極限粘度〔η〕=3.43dl/gであった。
上記実施例および比較例における、反応条件、並びに、得られた無水マレイン酸グラフトポリプロピレンの分析結果を下記表1−1および1−2に示す。
[比較例3]
溶媒をプロピレンカーボネートに代えて、プロピレンカーボネート/トルエン=15/85(重量比)とし、当該溶媒の量を10.15mlとした以外は比較例2と同様の操作により、グラフト反応を行わせた。反応中、プロピレン単独重合体粒子は、溶媒中で凝集塊を形成しており、均一な溶液の形成は認められなかった。
実施例1と同様の後処理を行い、未反応の無水マレイン酸を完全に除去した。得られた無水マレイン酸グラフトポリプロピレンにおける無水マレイン酸のグラフト量は0.98wt%、グラフト効率は0.24%、極限粘度〔η〕=1.75dl/gであった。
Figure 0006514445
Figure 0006514445

Claims (6)

  1. オレフィン系重合体と、不飽和カルボン酸および/またはその誘導体と、有機過酸化物と、溶媒とを含む混合物に対しマイクロ波を照射し、制御された反応温度のもとで変性オレフィン重合体を製造する方法であって
    当該制御された反応温度をT(℃)としたときに、
    a) オレフィン系重合体と、不飽和カルボン酸および/またはその誘導体と、有機過酸化物と、溶媒とを含む混合物に対しマイクロ波の照射を開始して当該混合物の平均温度をT(℃)とし、均一な溶液を形成させる工程;
    b) 前記均一な溶液に対し前記マイクロ波の照射を続行、あるいは、マイクロ波を断続的に照射、あるいは、マイクロ波の照射を中断して、当該均一な溶液の平均温度をT(℃)に保ちつつオレフィン系重合体を析出させる工程;並びに、
    c) 前記工程b) の後、オレフィン系重合体が析出した状態でさらに前記マイクロ波の照射を連続的あるいは断続的に行うことで、当該オレフィン系重合体が析出した混合物の平均温度を(T−5)(℃)以上(T+5)(℃)以下に維持する工程
    を含む変性オレフィン系重合体の製造方法であり、
    前記平均温度が、反応容器表面における0.1〜100mm 2 の面積の領域の平均温度であり、
    前記不飽和カルボン酸および/またはその誘導体が、アクリル酸、メタクリル酸、マレイン酸、フマル酸、テトラヒドロフタル酸、イタコン酸、シトラコン酸、クロトン酸、ナジック酸、および、エンドシス−ビシクロ[2,2,1]ヘプト−5−エン−2,3−ジカルボン酸からなる群より選ばれる不飽和カルボン酸、並びに、当該不飽和カルボン酸の、酸無水物、酸ハライド、アミド、イミドおよびエステルからなる群より選ばれ、
    前記溶媒が、
    前記不飽和カルボン酸および/またはその誘導体、並びに前記有機過酸化物を、少なくとも、T(℃)以上の温度領域において溶解可能な溶媒であって、且つ、前記オレフィン系重合体が溶解可能となる最低の温度が(T+3)(℃)以上(T+100)(℃)未満の範囲内にあるような溶媒であり
    前記溶媒の量が、
    前記オレフィン系重合体を溶解させることのできる最低温度が(T+3)(℃)以上(T+100)(℃)未満の範囲内にあるような量であって、且つ前記オレフィン系重合体10グラムに対して5ml〜100mlであり、且つ、
    前記溶媒が、比誘電率が5以上の溶媒と比誘電率が5未満の溶媒との混合物であり、且つ当該比誘電率が5以上の溶媒と当該比誘電率が5未満の溶媒との重量比が1/99〜50/50である
    変性オレフィン系重合体の製造方法。
  2. d) 前記工程a) 〜 c) を行った混合物を一旦冷却した後、再度前記工程a) 〜 c) を行う工程
    をさらに含む請求項に記載の変性オレフィン系重合体の製造方法。
  3. 反応途上における温度制御を、前記平均温度に基づいて、マイクロ波の照射装置のON/OFF制御によって行うことを特徴とする、請求項1または2に記載の変性オレフィン系重合体の製造方法。
  4. 前記工程d) を複数回行うことを特徴とする請求項に記載の変性オレフィン系重合体の製造方法。
  5. 前記オレフィン系重合体がプロピレン重合体である請求項1〜のいずれか1項に記載の変性オレフィン系重合体の製造方法。
  6. 前記不飽和カルボン酸および/またはその誘導体が無水マレイン酸である請求項1〜のいずれか1項に記載の変性オレフィン系重合体の製造方法。
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