JP6511554B1 - 水系組成物、その製造方法、及び、フィルムの製造方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】 製造性に優れ、しかも、適用に際して不要な成分の残存を抑制することが可能な水系組成物等を提供する。【解決手段】 ガラクトキシログルカンのガラクトース部分分解物と、アンモニア、メチルアミン、エチルアミン及びジメチルアミンよりなる群から選択される1つ以上と、水とを含有する、水系組成物。【選択図】 なし

Description

本発明は、水系組成物、その製造方法、及び、フィルムの製造方法に関する。
従来、天然多糖類として、ガラクトキシログルカンのガラクトース部分分解物(以下、単に「ガラクトース部分分解物」という場合がある。)が用いられている。
ガラクトキシログルカンはグルコース、キシロースおよびガラクトースを構成糖とし、主鎖はグルコースがβ−1,4結合し、側鎖にキシロース、そのキシロースにさらにガラクトースが結合している構造を有する。
ガラクトキシログルカンのガラクトース部分分解物は、ガラクトキシログルカンの側鎖の一部を構成するガラクトースを、微生物由来の精製β−ガラクトシダーゼを用いて部分的に分解することによって除去して得られた非イオン性の高分子多糖類である。かかるガラクトース部分分解物は、該ガラクトース部分分解物と水とを混合したときの混合物の熱挙動が、上記ガラクトキシログルカンの熱挙動とは逆であり、具体的には、加熱するとゲル化し、冷却するとゾル化し、このゾル/ゲルの変化が可逆的であるという熱挙動を示す。このような熱挙動は、可逆的熱ゲル化特性と呼ばれている。
ガラクトース部分分解物は、天然多糖類由来であり、化学修飾されていないことから人体および環境に安全である。よって、該ガラクトース部分分解物を水に溶解させた水系組成物は、加熱されてゲル化されること等によって、食品、化粧品、または医薬品製剤等において幅広く利用され得る。(特許文献1、2参照)
しかし、粉状のガラクトース部分分解物は、室温で水に溶解し難い。
そこで、ガラクトース部分分解物の水系組成物の製造方法として、例えば、粉状のガラクトース部分分解物を水に分散させ、冷却したり、凍結した後に解凍したりすることによって、水系組成物を得る方法が提案されている(特許文献1、2参照)。
また、例えば、ガラクトース部分分解物と水とを、室温にてアルカリ成分と共に混合する(アルカリ条件下で混合する)ことによって水溶液とした後に、中和することによって水系組成物を得る方法、及び、ガラクトース部分分解物と尿素水とを混合することによって水系組成物を得る方法が提案されている(非特許文献1参照)。
一方、ガラクトース部分分解物と無機化合物を水に分散させ、凍結した後に加熱によって解凍することによって水系組成物を得た後、さらに加熱することによってゲル組成物を得、得られたゲル組成物を乾燥することによってフィルムを得る、フィルムの製造方法が提案されている(特許文献3参照)。
特開平8−283305号公報 特開2016−121279号公報 特開2016−193892号公報
西尾朋之、他2名、「加熱によりゲル化するタマリンドシードガム由来の新規ポリマー」、フレグランスジャーナル 2017年6月号 Vol.45、No.6 通巻444号、フレグランスジャーナル社、2017年6月15日、p92−95
しかし、上記特許文献1〜3に記載された水系組成物は、冷却または凍結する必要があるため、製造作業が煩雑であり、また、そのための設備が必要となる。よって、製造性が十分であるとはいい難い。
一方、上記非特許文献1に記載された水系組成物は、室温で調製され得るため、冷却または凍結するための設備が不要となる。
しかし、ガラクトース部分分解物を水に溶解させるためにアルカリ成分(溶解助剤)を添加する必要がある。また、アルカリ成分を添加すると、混合後に中和する必要があるため、調製作業が煩雑であるうえ、中和によって生成した中和塩(副生成物)が不要な夾雑成分として水系組成物中に残存することになる。
また、尿素を添加した場合には、尿素が不要な夾雑成分として水系組成物に残存することになる。
さらに、中和塩や尿素といった不要な成分が水系組成物中に残存すると、水系組成物を用いてゲル組成物やフィルムを製造した際、得られた製造物中に不要な成分が残存することになり、その結果、所望の品質の製造物が得られないおそれがある。
このように、従来の水系組成物は、製造性が不十分であり、また、これを適用する際に不要な成分が残存するため、十分に満足できるものであるとはいい難い。
上記事情に鑑み、本発明は、製造性に優れ、しかも、適用に際して不要な成分の残存を抑制することが可能な水系組成物、その製造方法、及び、フィルムの製造方法を提供することを課題とする。
本発明者らは、上記課題を解決すべく、室温で水に溶解し難い粉状のガラクトース部分分解物を水に溶解させる方法について鋭意研究した。
その結果、ガラクトース部分分解物を室温の水に分散させた分散液にアンモニア、メチルアミン、エチルアミンあるいはジメチルアミン、またはこれらを組み合わせたもの、すなわち、アンモニア、メチルアミン、エチルアミン及びジメチルアミンよりなる群から選択される1つ以上(以下、「アンモニア等」という場合がある。)を添加すると、他に溶解助剤を添加しなくても、ガラクトース部分分解物が均一に溶解した水溶液である水系組成物が得られることを見出した。
しかも、得られた水系組成物を加熱することによってゲル組成物を製造し、得られたゲル組成物を乾燥することによってフィルムを製造すると、驚くべきことに、加熱及び/または乾燥の過程においてアンモニア等が揮発し、これにより、得られたゲル組成物及びフィルム中のアンモニア等の残存が抑制されることを見出した。
加えて、アンモニアは臭気が強いが、上記揮発に伴って、臭気も抑制されることを見出した。さらに、メチルアミン、エチルアミン及びジメチルアミンは、アンモニアに比べて強くはないものの臭気を有しており、その臭気も上記揮発に伴って抑制されることを見出した。
このように、ガラクトース部分分解物とアンモニア等と水とを混合することによって、冷却や凍結を行う操作及びそのための設備が不要となるため、その分、水系組成物が製造性に優れたものとなり、また、水系組成物をフィルム等に適用するに際して不要な成分の残存が抑制されることを見出して、本発明を完成するに至った。
すなわち、本発明に係る水系組成物は、ガラクトキシログルカンのガラクトース部分分解物と、アンモニア、メチルアミン、エチルアミン及びジメチルアミンよりなる群から選択される1つ以上と、水とを含有する。
かかる構成によれば、ガラクトース部分分解物とアンモニア等と水とを含有することによって、水系組成物は、ガラクトース部分分解物を溶解させるための冷却や凍結作業及びそのための設備を用いることなく、室温で製造されるものとなるため、製造が簡便となり、よって、製造性に優れる。
また、揮発し易いアンモニア等を含有しているため、水系組成物を用いてゲル組成物やフィルムを製造する際に、アンモニア等が揮発する。よって、得られたゲル組成物やフィルムにアンモニア等が残存することを抑制し得る。このように、水系組成物を適用する際に、アンモニア等の残存が抑制される。
従って、製造性に優れ、しかも、適用に際して不要な成分の残存を抑制することが可能となる。
上記構成の水系組成物においては、
前記群から選択される1つ以上が、アンモニアであってもよい。
アンモニアは、メチルアミン、エチルアミン及びジメチルアミンよりも沸点が低いため、上記群から選択される1つ以上がアンモニアであることによって、該アンモニアが速やかに揮発し、不要な成分の残存をより抑制し易くなる。
上記構成の水系組成物においては、
前記ガラクトース部分分解物の含有率が0.1〜10質量%であり、
前記群から選択される1つ以上の含有率が1〜70質量%であってもよい。
かかる構成によれば、ガラクトース部分分解物及びアンモニア等の含有率が上記範囲であることによって、ガラクトース部分分解物が、より溶解し易くなる。
よって、水系組成物が、より製造性に優れたものとなる。
上記構成の水系組成物においては、
前記ガラクトース部分分解物の含有率が1〜5質量%であり、
前記群から選択される1つ以上の含有率が2.5〜20質量%であってもよい。
かかる構成によれば、ガラクトース部分分解物及びアンモニア等の含有率が上記範囲であることによって、ガラクトース部分分解物が、さらに溶解し易くなる。
よって、水系組成物が、さらに製造性に優れたものとなる。
上記構成の水系組成物においては、
さらに、グリセリンを含有し、
前記グリセリンの含有率が0.1〜10質量%であってもよい。
かかる構成によれば、水系組成物のゲル化能が強化されるため、水系組成物がより強固なゲル状となる。
本発明に係る水系組成物の製造方法は、
ガラクトキシログルカンのガラクトース部分分解物と、アンモニア、メチルアミン、エチルアミン及びジメチルアミンよりなる群から選択される1つ以上と、水とを混合する方法である。
かかる構成によれば、ガラクトース部分分解物とアンモニア等と水とを混合することによって、ガラクトース部分分解物を溶解させるための冷却や凍結作業及びそのための設備を用いることなく、室温で水系組成物を製造し得るため、製造が簡便となり、よって、製造性に優れる。
また、製造された水系組成物は、揮発し易いアンモニア等を含有しているため、水系組成物を用いてさらにゲル組成物やフィルムを製造する際に、アンモニア等が揮発する。よって、得られたゲル組成物やフィルムにアンモニア等が残存することを抑制し得る。このように、適用する際にアンモニア等の残存が抑制される水系組成物を、製造し得る。
従って、適用に際して不要な成分の残存を抑制することが可能な水系組成物を、優れた製造性にて製造し得る。
上記構成の水系組成物の製造方法においては、
前記群から選択される1つ以上が、アンモニアであってもよい。
アンモニアは、メチルアミン、エチルアミン及びジメチルアミンよりも沸点が低いため、上記群から選択される1つ以上がアンモニアであることによって、該アンモニアが速やかに揮発し、不要な成分の残存をより抑制し易くなる。
上記構成の水系組成物の製造方法においては、
前記ガラクトース部分分解物の含有率を0.1〜10質量%とし、
前記群から選択される1つ以上の含有率を1〜70質量%としてもよい。
かかる構成によれば、ガラクトース部分分解物及びアンモニア等の含有率が上記範囲であることによって、ガラクトース部分分解物が、より溶解し易くなる。
よって、より製造性に優れる。
上記構成の水系組成物の製造方法においては、
前記ガラクトース部分分解物の含有率を1〜5質量%とし、
前記群から選択される1つ以上の含有率を2.5〜20質量%としてもよい。
かかる構成によれば、ガラクトース部分分解物及びアンモニア等の含有率が上記範囲であることによって、ガラクトース部分分解物が、より溶解し易くなる。
よって、さらに製造性に優れる。
上記構成の水系組成物の製造方法においては、
さらに、グリセリンを混合し、
前記グリセリンの含有率を、0.1〜10質量%としてもよい。
かかる構成によれば、水系組成物のゲル化能が強化されるため、より強固なゲル状の水系組成物を製造し得る。
本発明に係るフィルムの製造方法は、
下記工程(1)、(2)を備える:
(1)ガラクトキシログルカンのガラクトース部分分解物と、アンモニア、メチルアミン、エチルアミン及びジメチルアミンよりなる群から選択される1つ以上と、水とを混合する工程、
(2)工程(1)で得られた混合物を乾燥する工程。
かかる構成によれば、工程(1)によって、ガラクトース部分分解物を水に溶解することができ、さらに工程(2)によって、アンモニア等を揮発させつつ含水量を減少させて、フィルムを形成することができる。
従って、不要な成分の残存が抑制されたフィルムを、優れた製造性にて製造し得る。
上記構成のフィルムの製造方法においては、
前記群から選択される1つ以上が、アンモニアであってもよい。
アンモニアは、メチルアミン、エチルアミン及びジメチルアミンよりも沸点が低いため、上記群から選択される1つ以上がアンモニアであることによって、該アンモニアが速やかに揮発し、不要な成分の残存をより抑制し易くなる。
上記構成のフィルムの製造方法においては、
前記工程(1)において、
前記ガラクトース部分分解物の含有率を0.1〜10質量%とし、
前記群から選択される1つ以上の含有率を1〜70質量%としてもよい。
かかる構成によれば、ガラクトース部分分解物及びアンモニア等の含有率が上記範囲であることによって、ガラクトース部分分解物が、より溶解し易くなる。
よって、より製造性に優れる。
上記構成のフィルムの製造方法においては、
前記工程(1)において、
前記ガラクトース部分分解物の含有率を1〜5質量%とし、
前記群から選択される1つ以上の含有率を2.5〜20質量%としてもよい。
かかる構成によれば、ガラクトース部分分解物及びアンモニアの含有率が上記範囲であることによって、ガラクトース部分分解物が、さらに溶解し易くなる。
よって、さらに製造性に優れる。
上記構成のフィルムの製造方法においては、
前記工程(1)において、
さらに、グリセリンを混合し、
前記グリセリンの含有率を0.1〜10質量%としてもよい。
かかる構成によれば、グリセリンを0.1〜10質量%混合することによって、フィルムの形成能が向上するため、フィルムに強度と柔軟性が付与される。よって、伸びが良く、破れ難いフィルムとなる。
以上の通り、本発明によれば、製造性に優れ、しかも、適用に際して不要な成分の残存を抑制することが可能な水系組成物、その製造方法、及び、フィルムの製造方法が提供される。
以下に、本発明に係る水系組成物、その製造方法、及び、フィルムの製造方法の実施形態について、説明する。
[ガラクトース部分分解物]
まず、本実施形態に用いられるガラクトキシログルカンのガラクトース部分分解物について説明する。
前記ガラクトキシログルカンは、双子葉、単子葉植物など高等植物の細胞壁(一次壁)の構成成分であり、また、一部の植物種子の貯蔵多糖類として存在する。
ガラクトキシログルカンは、グルコース、キシロースおよびガラクトースを構成糖として有しており、主鎖としてβ−1,4結合してなるグルコースを有し、側鎖としてキシロースを有し、そのキシロースにさらに結合されたガラクトースを有する。
ガラクトキシログルカンは、いかなる植物由来のガラクトキシログルカンでもよく、例えばタマリンド、ジャトバ、ナスタチウムの種子、大豆、緑豆、インゲンマメ、イネ、オオムギなどの穀物またはリンゴなどの果実の表皮から入手できる。最も入手し易く、含有量も多いことを考慮すると、好ましくは、豆科植物タマリンド種子由来のガラクトキシログルカンである。かかるガラクトキシログルカンとしては、市販のものを採用し得る。市販品としては、例えば、グリロイド(登録商標)等が挙げられる。
前記ガラクトキシログルカンのガラクトース部分分解物は、ガラクトキシログルカンの側鎖ガラクトースが、部分分解されて除去されてなる物質である。また、ガラクトース部分分解物は、粉状である。
以下、ガラクトキシログルカンのガラクトース部分分解物を、「ガラクトース部分分解物」と略称する場合がある。
なお、ここにおいて、ガラクトキシログルカンとは、部分分解によって側鎖ガラクトースが除去されていないガラクトキシログルカン(完全ガラクトキシログルカン)を意味する。また、かかる完全ガラクトキシログルカンは、ネイティブガラクトキシログルカンとも称される場合がある。
上記部分分解としては、例えば、酵素処理が挙げられる。
酵素としては、例えば、β−ガラクトシダーゼが挙げられる。
前記β−ガラクトシダーゼは、ガラクトキシログルカンに含まれるガラクトースとキシロースとの結合を加水分解してガラクトースを遊離する酵素である。
β−ガラクトシダーゼとしては、植物由来のものおよび微生物由来のもののいずれでもよいが、微生物Aspergillus oryzaeあるいはBacillus circulans由来の酵素、または、ガラクトキシログルカン含有種子中の酵素が好ましい。かかるβ−ガラクトシダーゼとしては、市販のものを採用し得る。
このβ−ガラクトシダーゼによる酵素反応では、反応の進行につれて側鎖ガラクトースが部分的に除去され、その除去率が30%付近になると反応液は急激に増粘しゲル化する。ガラクトースの除去率が30〜55%の範囲では、加熱によってゲル化し冷却によってゾル化する可逆的熱応答ゲル化性を有するものとなる。ガラクトース除去率が30%未満ではゲル化せず、また、55%を越えると強固過ぎるゲルが得られる傾向にある。
この点を考慮すれば、ガラクトースが30〜55%部分分解されてなる上記ガラクトース部分分解物を用いることが好ましい。除去率をこの範囲とすることによって、水に添加し、加熱することによって十分にゲル化を発揮させつつも、強固過ぎないゲル組成物を作製し得る。これにより、可逆的に、加熱によって十分にゲル化し、冷却によって十分にゾル化する可逆的熱応答ゲル化性を発揮させ易くなる。
加えて、その結果、得られたゲル組成物の弾力性及び強度をより十分に発揮させ得る。
ガラクトキシログルカンは、通常、側鎖キシロースを約37%、側鎖ガラクトースを約17%含有している(Gidleyら、カーボハイドレート リサーチ(Carbohydrate Research)、214(1991)219−314頁参照)。よって、ガラクトースが30〜55%部分分解されてなるガラクトース部分分解物は、側鎖キシロースを39〜41%、側鎖ガラクトースを8〜12%含有していると算出される。
なお、ガラクトースの部分分解率(すなわち、ガラクトースの除去率)は、得られた部分分解物がセルラーゼ分解されることによって生成されるガラクトキシログルカンオリゴ糖量を、高速液体クロマトグラフィー(以下、HPLCと称する。)(アミノカラム)で測定することにより算出することができる。
次に、かかるガラクトース部分分解物を用いた本実施形態の水系組成物及びその製造方法について説明する。
[水系組成物]
本実施形態の水系組成物は、ガラクトキシログルカンのガラクトース部分分解物と、アンモニア、メチルアミン、エチルアミン及びジメチルアミンよりなる群から選択される1つ以上と、水とを含有する。
前記アンモニアは、化学式NHで表される無機化合物であり、特有の強い刺激臭を有する。また、アンモニアは、約−33℃の沸点を有し、室温(1〜30℃)、大気圧下では気体であり、水に溶け易い。
前記メチルアミンは、化学式CHN(CHNH)で表される有機化合物であり、魚様の強い臭気を有する。また、メチルアミンは、約−6℃の沸点を有し、室温(1〜30℃)、大気圧下では液体または気体であり、水に溶け易い。
前記エチルアミンは、化学式CNH(CHCHNH)で表される有機化合物であり、強いアンモニア臭を有する。また、エチルアミンは、約16℃の沸点を有し、室温(1〜30℃)、大気圧下では気体であり、水に溶け易い。
前記ジメチルアミンは、化学式CN((CHNH)で表される有機化合物であり、アンモニアに似た刺激臭を有する。また、ジメチルアミンは、約7℃の沸点を有し、室温(1〜30℃)、大気圧下では液体または気体であり、水に溶け易い。
かかるアンモニア、メチルアミン、エチルアミン、及び、ジメチルアミンは、水系組成物中で、水に溶解した状態で存在している。また、揮発できるよう、塩を形成することなく存在している。
なお、本実施形態の水系組成物は、塩を形成することなく存在しているアンモニア、メチルアミン、エチルアミン、及び、ジメチルアミンのうち1つ以上を含有していればよく、これに加えて、塩を形成しているアンモニア、メチルアミン、エチルアミン、及び、ジメチルアミンのうち1つ以上が含有されていてもよい。
本実施形態の水系組成物におけるガラクトース部分分解物の含有率は、特に限定されないが、例えば、0.1〜10質量%が好ましく、1〜5質量%がより好ましい。
本実施形態の水系組成物におけるアンモニア、メチルアミン、エチルアミン、及び、ジメチルアミンよりなる群から選択される1つ以上の含有率は、特に限定されず、適宜設定され得る。
アンモニア等の含有率が小さ過ぎると、ガラクトース部分分解物が溶解し難くなって、水系組成物が得られ難くなる傾向にある。一方、アンモニア等の含有率が大きすぎると、溶解性が高くなり過ぎてダマが形成され易く、また、pHが高くなり過ぎて水系組成物の経時安定性が低下する悪化する傾向にある。
例えば、かかる観点を考慮して、ガラクトース部分分解物の含有率が0.1〜10質量%である場合に、上記群から選択される1つ以上の含有率が1〜70質量%であることが好ましい。
ガラクトース部分分解物及びアンモニア等がこれらの範囲であることによって、ガラクトース部分分解物が、より溶解し易くなるため、水系組成物が、より製造性に優れたものとなる。
また、ガラクトース部分分解物の含有率が1〜5質量%である場合に、上記群から選択される1つ以上の含有率が2.5〜20質量%であることがより好ましい。
ガラクトース部分分解物及びアンモニア等の含有率がこれらの範囲であることによって、ガラクトース部分分解物が、さらに溶解し易くなる。よって、水系組成物が、さらに製造性に優れたものとなる。
上記のうち、上記群から選択される1つ以上がアンモニアである場合には、かかるアンモニアの含有率は、1〜28質量%が好ましく、2.5〜20質量%がより好ましい。
アンモニアの含有率が1質量%未満であると、ガラクトース部分分解物が溶解し難くなって、水系組成物が得られ難くなる傾向にある。一方、アンモニアの含有率が28質量%を超えると、溶解性が高くなり過ぎてダマが形成され易く、また、pHが高くなり過ぎて水系組成物の経時安定性が低下する悪化する傾向にある。
これに対し、アンモニアの含有率が1〜28質量%であることによって、水系組成物が得られ易くなり、また、水系組成物の経時安定性の低下が抑制されたものとなる。
よって、ガラクトース部分分解物の含有率が0.1〜10質量%であり、アンモニアの含有率が1〜28質量%であることが好ましい。
ガラクトース部分分解物及びアンモニアの含有率がこれらの範囲であることによって、ガラクトース部分分解物が、より溶解し易くなる。よって、水系組成物が、より製造性に優れたものとなる。
また、ガラクトース部分分解物の含有率が1〜5質量%であり、アンモニアの含有率が2.5〜20質量%であることがより好ましい。
ガラクトース部分分解物及びアンモニアの含有率がこれらの範囲であることによって、ガラクトース部分分解物が、さらに溶解し易くなる。よって、水系組成物が、さらに製造性に優れたものとなる。
上記のうち、上記群から選択される1つ以上がメチルアミンである場合には、かかるメチルアミンの含有率は、1〜40質量%が好ましく、2.5〜20質量%がより好ましい。
メチルアミンの含有率が1質量%未満であると、ガラクトース部分分解物が溶解し難くなって、水系組成物が得られ難くなる傾向にある。一方、メチルアミンの含有率が40質量%を超えると、溶解性が高くなり過ぎてダマが形成され易く、また、pHが高くなり過ぎて水系組成物の経時安定性が低下する悪化する傾向にある。
これに対し、メチルアミンの含有率が1〜40質量%であることによって、水系組成物が得られ易くなり、また、水系組成物の経時安定性の低下が抑制されたものとなる。
よって、ガラクトース部分分解物の含有率が0.1〜10質量%であり、メチルアミンの含有率が1〜40質量%であることが好ましい。
ガラクトース部分分解物及びメチルアミンの含有率がこれらの範囲であることによって、ガラクトース部分分解物が、より溶解し易くなる。よって、水系組成物が、より製造性に優れたものとなる。
また、ガラクトース部分分解物の含有率が1〜5質量%であり、メチルアミンの含有率が2.5〜20質量%であることがより好ましい。
ガラクトース部分分解物及びメチルアミンの含有率がこれらの範囲であることによって、ガラクトース部分分解物が、さらに溶解し易くなる。よって、水系組成物が、さらに製造性に優れたものとなる。
上記のうち、上記群から選択される1つ以上がエチルアミンである場合には、かかるエチルアミンの含有率は、1〜70質量%が好ましく、2.5〜20質量%がより好ましい。
エチルアミンの含有率が1質量%未満であると、ガラクトース部分分解物が溶解し難くなって、水系組成物が得られ難くなる傾向にある。一方、エチルアミンの含有率が70質量%を超えると、溶解性が高くなり過ぎてダマが形成され易く、また、pHが高くなり過ぎて水系組成物の経時安定性が低下する悪化する傾向にある。
これに対し、エチルアミンの含有率が1〜70質量%であることによって、水系組成物が得られ易くなり、また、水系組成物の経時安定性の低下が抑制されたものとなる。
よって、ガラクトース部分分解物の含有率が0.1〜10質量%であり、エチルアミンの含有率が1〜70質量%であることが好ましい。
ガラクトース部分分解物及びエチルアミンの含有率がこれらの範囲であることによって、ガラクトース部分分解物が、より溶解し易くなる。よって、水系組成物が、より製造性に優れたものとなる。
また、ガラクトース部分分解物の含有率が1〜5質量%であり、エチルアミンの含有率が2.5〜20質量%であることがより好ましい。
ガラクトース部分分解物及びエチルアミンの含有率がこれらの範囲であることによって、ガラクトース部分分解物が、さらに溶解し易くなる。よって、水系組成物が、さらに製造性に優れたものとなる。
上記のうち、上記群から選択される1つ以上がジメチルアミンである場合には、かかるジメチルアミンの含有率は、1〜50質量%が好ましく、2.5〜20質量%がより好ましい。
ジメチルアミンの含有率が1質量%未満であると、ガラクトース部分分解物が溶解し難くなって、水系組成物が得られ難くなる傾向にある。一方、ジメチルアミンの含有率が50質量%を超えると、溶解性が高くなり過ぎてダマが形成され易く、また、pHが高くなり過ぎて水系組成物の経時安定性が低下する悪化する傾向にある。
これに対し、ジメチルアミンの含有率が1〜50質量%であることによって、水系組成物が得られ易くなり、また、水系組成物の経時安定性の低下が抑制されたものとなる。
よって、ガラクトース部分分解物の含有率が0.1〜10質量%であり、ジメチルアミンの含有率が1〜50質量%であることが好ましい。
ガラクトース部分分解物及びジメチルアミンの含有率がこれらの範囲であることによって、ガラクトース部分分解物が、より溶解し易くなる。よって、水系組成物が、より製造性に優れたものとなる。
また、ガラクトース部分分解物の含有率が1〜5質量%であり、ジメチルアミンの含有率が2.5〜20質量%であることがより好ましい。
ガラクトース部分分解物及びジメチルアミンの含有率がこれらの範囲であることによって、ガラクトース部分分解物が、さらに溶解し易くなる。よって、水系組成物が、さらに製造性に優れたものとなる。
本実施形態の水系組成物においては、上記群から選択される2つ以上が適宜組み合わされて含有されてもよい。
上記群から選択される2つ以上が組み合わされて含有されることによって、臭気が抑制され易くなる。よって、水系組成物を後述するフィルムに適用する場合に、フィルムがさらに製造性に優れたものとなる。
本実施形態の水系組成物は、ガラクトース部分分解物、アンモニア等及び水以外の添加剤を含有してもよい。
例えば、ガラクトース部分分解物の水系組成物のゲル化能を強化し、または、フィルムの強度および柔軟性を強化する点では、上記添加剤として、グリセリン等の糖類・アルコール類といった水酸基を有する化合物や、塩化マグネシウム等の塩類等が挙げられる。
特にグリセリンは、ガラクトース部分分解物の水系組成物のゲル強度を適度に強化し、フィルムを柔軟で強度のあるものにし、また、安全性も高いことから、上記添加剤として好ましい。一方、ガラクトース部分分解物の水に対する溶解性を高めたり、ゲル化能を弱めたりする点では、上記添加剤として、尿素や、塩化カリウム等の塩類等が挙げられる。
上記の添加剤の添加量は、目的とする物性等によって適宜選択されればよい。
例えば、上記添加剤がグリセリンである場合、水系組成物がグリセリンを0.1〜10質量%含有することが好ましい。ガラクトース部分分解物の水系組成物にグリセリンを0.1〜10質量%含有することで、水系組成物のゲル化能が強化されるため、強固なゲル状の水系組成物が得られる。
上記添加剤としては、その他、通常化粧料、医薬品、工業製品等で使用される任意の添加剤が挙げられる。
かかる任意成分としては、エタノール、イソプロパノール、ブタノール等のアルコール類、エチレングリコール、プロピレングリコール、ジプロピレングリコール、1,3−ブチレングリコール、ジプロピレングリコール、ソルビトール等のポリオール類、タマリンドガム、キサンタンガム、カラギーナン、ローカストビーンガム、グルコマンナン、ヒアルロン酸ナトリウム、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、カルボキシビニルポリマー、メチルセルロース、ポリオキシエチレングリコール、ポリオキシエチレンポリオキシプロピレン共重合体等の多糖類若しくは高分子化合物、スクワラン、流動パラフィン、ワセリン等の炭化水素、オリーブ油、マカデミアナッツ油、ヒマシ油等の液体油脂、ヤシ油、パーム油、シア脂等の固体油脂、ミツロウ、カルナウバロウ、ラノリン等のロウ類、ステアリルアルコール、ベヘニルアルコール、イソステアリルアルコール等の高級アルコール、オクタン酸セチル、パルミチン酸イソプロピル、トリ−2−エチルヘキサン酸グリセリル等のエステル油、ジメチルポリシロキサン、デカメチルシクロペンタシロキサン、シリコーン樹脂、アミノ変性ポリシロキサン等のシリコーン油及びその誘導体、モノステアリン酸グリセリン、モノステアリン酸プロピレングリコール、ソルビタンモノステアレート等の親油性非イオン界面活性剤、モノステアリン酸デカグリセリル、POE−グリセリンモノイソステアレート、POE−ソルビタンテトラオレエート、POE−ベヘニルエーテル、ヤシ油脂肪酸モノエタノールアミド等の親水性非イオン界面活性剤、ステアリン酸ナトリウム、N−ステアロイル−L−グルタミン酸ナトリウム、POE−オレイルエーテルリン酸ナトリウム、ラウロイルサルコシンナトリウム、ラウロイルメチルアラニンナトリウム等の陰イオン界面活性剤、塩化ステアリルトリメチルアンモニウム、ステアリン酸ジメチルアミノプロピルアミド、塩化ベンザルコニウム等の陽イオン界面活性剤、ヤシ油脂肪酸アミドプロピルベタイン、ラウリルジメチルアミノ酢酸ベタイン等の両性界面活性剤、エデト酸二ナトリウム、エチドロン酸4ナトリウム等の金属イオン封鎖剤、その他の粉末成分、紫外線吸収剤、酸化防止剤、中和剤、pH調整剤(クエン酸、クエン酸ナトリウム、アルギニン等)、有機アミン、防腐剤(フェノキシエタノール、グリセリンエチルヘキシルエーテル、メチルパラベン等)、殺菌剤、消炎剤、収れん剤、美白剤(アスコルビン酸ナトリウム等)、ビタミン類、アミノ酸、血行促進剤、賦活剤、賦形剤、清涼剤、消臭剤、各種抽出物、香料、色素、顔料、その他、グリチルリチン酸カリウム、オウレンエキス、プラセンタエキス等の有効成分等が挙げられる。
上記の通り、本実施形態の水系組成物は、ガラクトキシログルカンのガラクトース部分分解物と、アンモニア、メチルアミン、エチルアミン及びジメチルアミンよりなる群から選択される1つ以上と、水とを含有する。
かかる構成によれば、ガラクトース部分分解物とアンモニア等と水とを含有することによって、水系組成物は、ガラクトース部分分解物を溶解させるための冷却や凍結作業及びそのための設備を用いることなく、室温で製造されるものとなるため、製造が簡便となり、よって、製造性に優れる。
また、揮発し易いアンモニア等を含有しているため、水系組成物を用いてゲル組成物やフィルムを製造する際に、アンモニア等が揮発する。よって、得られたゲル組成物やフィルムにアンモニア等が残存することを抑制し得る。このように、水系組成物を適用する際に、アンモニア等の残存が抑制される。
従って、製造性に優れ、しかも、適用に際して不要な成分の残存を抑制することが可能となる。
[水系組成物の製造方法]
上記本実施形態の水系組成物の製造方法は、
ガラクトキシログルカンのガラクトース部分分解物と、アンモニア、メチルアミン、エチルアミン及びジメチルアミンよりなる群から選択される1つ以上と、水とを混合する方法である。
かかる混合は、特に限定されないが、例えば、攪拌機、ホモジナイザー、ホモディスパー等の撹拌手段を用いて行い得る。かかる撹拌手段のうち、撹拌力が高いものほど、ガラクトース部分分解物が溶解し易くなる。
例えば、撹拌手段として攪拌機を用いる場合、その回転数は300〜2000rpmが好ましい。撹拌手段としてホモディスパーを用いる場合、その回転数は、500〜10000rpmが好ましい。これら範囲であれば、ガラクトース部分分解物を溶解させ易くなる。また、これら範囲のうちでも、回転数が高い程、撹拌力が高くなるため、ガラクトース部分分解物を溶解させ易くなる。
混合時間は、1分〜60分が好ましい。
かかる混合は、室温で行い得る。ここで、「室温」とは、1〜30℃の範囲内の温度を意味する。なお、ガラクトース部分分解物は、温度が低いほど溶解され易いが、上記群から選択される1つ以上が添加されることで、室温で十分に溶解されることが可能となる。
本実施形態の水系組成物の製造方法においては、ガラクトース部分分解物の含有率は、特に限定されないが、得られる水系組成物を考慮すると、前述の通り、0.1〜10質量%とすることが好ましく、1〜5質量%とすることがより好ましい。
本実施形態の水系組成物の製造方法においては、アンモニア、メチルアミン、エチルアミン、及び、ジメチルアミンよりなる群から選択される1つ以上の含有率は、特に限定されず、前述した水系組成物に関する記載と同様、適宜設定され得る。
前述と同様、アンモニア等の含有率が小さ過ぎると、ガラクトース部分分解物が溶解し難くなって、水系組成物が得られ難くなる傾向にある。一方、アンモニア等の含有率が大きすぎると、溶解性が高くなり過ぎてダマが形成され易く、また、pHが高くなり過ぎて水系組成物の経時安定性が低下する悪化する傾向にある。
例えば、かかる観点を考慮して、ガラクトース部分分解物の含有率が0.1〜10質量%である場合に、上記群から選択される1つ以上の含有率が1〜70質量%であることが好ましい。
ガラクトース部分分解物及びアンモニア等がこれらの範囲であることによって、ガラクトース部分分解物が、より溶解し易くなるため、水系組成物が、より製造性に優れたものとなる。
また、ガラクトース部分分解物の含有率が1〜5質量%である場合に、上記群から選択される1つ以上の含有率が2.5〜20質量%であることがより好ましい。
ガラクトース部分分解物及びアンモニア等の含有率がこれらの範囲であることによって、ガラクトース部分分解物が、さらに溶解し易くなる。よって、水系組成物が、さらに製造性に優れたものとなる。
前述と同様、上記のうち、上記群から選択される1つ以上がアンモニアである場合には、ガラクトース部分分解物の含有率を0.1〜10質量%とし、アンモニアの含有率を1〜28質量%とすることが好ましい。
ガラクトース部分分解物及びアンモニアの含有率がこれらの範囲であることによって、ガラクトース部分分解物が、より溶解し易くなる。よって、水系組成物の製造性に、より優れる。
また、ガラクトース部分分解物の含有率を1〜5質量%とし、アンモニアの含有率を2.5〜20質量%とすることがより好ましい。
ガラクトース部分分解物及びアンモニアの含有率がこれらの範囲であることによって、ガラクトース部分分解物が、さらに溶解し易くなる。よって、水系組成物の製造性に、さらに優れる。
前述と同様、上記のうち、上記群から選択される1つ以上がメチルアミンである場合には、ガラクトース部分分解物の含有率を0.1〜10質量%とし、メチルアミンの含有率を1〜40質量%とすることが好ましい。
ガラクトース部分分解物及びメチルアミンの含有率がこれらの範囲であることによって、ガラクトース部分分解物が、より溶解し易くなる。よって、水系組成物の製造性に、より優れる。
また、ガラクトース部分分解物の含有率を1〜5質量%とし、メチルアミンの含有率を2.5〜20質量%とすることがより好ましい。
ガラクトース部分分解物及びメチルアミンの含有率がこれらの範囲であることによって、ガラクトース部分分解物が、さらに溶解し易くなる。よって、水系組成物の製造性に、さらに優れる。
前述と同様、上記のうち、上記群から選択される1つ以上がエチルアミンである場合には、ガラクトース部分分解物の含有率を0.1〜10質量%とし、エチルアミンの含有率を1〜70質量%とすることが好ましい。
ガラクトース部分分解物及びエチルアミンの含有率がこれらの範囲であることによって、ガラクトース部分分解物が、より溶解し易くなる。よって、水系組成物の製造性に、より優れる。
また、ガラクトース部分分解物の含有率を1〜5質量%とし、エチルアミンの含有率を2.5〜20質量%とすることがより好ましい。
ガラクトース部分分解物及びエチルアミンの含有率がこれらの範囲であることによって、ガラクトース部分分解物が、さらに溶解し易くなる。よって、水系組成物の製造性に、さらに優れる。
前述と同様、上記のうち、上記群から選択される1つ以上がジメチルアミンである場合には、ガラクトース部分分解物の含有率を0.1〜10質量%とし、ジメチルアミンの含有率を1〜50質量%とすることが好ましい。
ガラクトース部分分解物及びジメチルアミンの含有率がこれらの範囲であることによって、ガラクトース部分分解物が、より溶解し易くなる。よって、水系組成物の製造性に、より優れる。
また、ガラクトース部分分解物の含有率を1〜5質量%とし、ジメチルアミンの含有率を2.5〜20質量%とすることがより好ましい。
ガラクトース部分分解物及びジメチルアミンの含有率がこれらの範囲であることによって、ガラクトース部分分解物が、さらに溶解し易くなる。よって、水系組成物の製造性に、さらに優れる。
前述と同様、本実施形態の水系組成物の製造方法においては、上記群から選択される2つ以上が適宜組み合わされて含有されてもよい。
上記群から選択される2つ以上が組み合わされて含有されることによって、臭気が抑制され易くなる。よって、製造された水系組成物を後述するフィルムに適用する場合に、フィルムがさらに製造性に優れたものとなる。
本実施形態の水系組成物の製造方法においては、ガラクトース部分分解物、上記群から選択される1つ以上及び水以外の添加剤を、さらに混合してもよい。かかる添加剤としては、前述した本実施形態の水系組成物が含有し得る添加剤が挙げられる。
例えば、前述したように、本実施形態の水系組成物の製造方法においては、さらに、グリセリンを混合し、該グリセリンの含有率を、0.1〜10質量%とすることが好ましい。
0.1〜10質量%のグリセリンをさらに混合することによって、水系組成物のゲル化能が強化されるため、強固なゲル状の水系組成物を製造し得る。
上記の通り、本実施形態の水系組成物の製造方法は、
ガラクトキシログルカンのガラクトース部分分解物と、アンモニア、メチルアミン、エチルアミン及びジメチルアミンよりなる群から選択される1つ以上と、水とを混合する方法である。
かかる構成によれば、ガラクトース部分分解物とアンモニア等と水とを混合することによって、ガラクトース部分分解物を溶解させるための冷却や凍結作業及びそのための設備を用いることなく、室温で水系組成物を製造し得るため、製造が簡便となり、よって、製造性に優れる。
また、製造された水系組成物は、揮発し易いアンモニア等を含有しているため、水系組成物を用いてさらにゲル組成物やフィルムを製造する際に、アンモニア等が揮発する。よって、得られたゲル組成物やフィルムにアンモニア等が残存することを抑制し得る。このように、適用する際にアンモニア等の残存が抑制される水系組成物を、製造し得る。
従って、適用に際して不要な成分の残存を抑制することが可能な水系組成物を、優れた製造性にて製造し得る。
また、上記のようにして各成分を混合した後、加熱することによって、ゲル状の水系組成物が得られ得る。
[フィルムの製造方法]
次に、本実施形態のフィルムの製造方法について説明する。
本実施形態のフィルムの製造方法は、
下記工程(1)、(2)を備える:
(1)ガラクトキシログルカンのガラクトース部分分解物と、アンモニア、メチルアミン、エチルアミン及びジメチルアミンよりなる群から選択される1つ以上と、水とを混合する工程、
(2)工程(1)で得られた混合物を乾燥する工程
工程(1)の混合としては、前述した本実施形態の水系組成物の製造方法を採用し得る。
すなわち、前述と同様、工程(1)の混合は、特に限定されないが、例えば、攪拌機、ホモジナイザー、ホモディスパー等の撹拌手段を用いて行い得る。かかる撹拌手段のうち、撹拌力が高いものほど、ガラクトース部分分解物が溶解し易くなる。
例えば、撹拌手段として攪拌機を用いる場合、その回転数は300〜2000rpmが好ましい。撹拌手段としてホモディスパーを用いる場合、その回転数は、500〜10000rpmが好ましい。これら範囲であれば、ガラクトース部分分解物を溶解させ易くなる。また、これら範囲のうちでも、回転数が高い程、撹拌力が高くなるため、ガラクトース部分分解物を溶解させ易くなる。
混合時間は、1分〜60分が好ましい。
また、工程(1)の混合は、室温で行い得る。ここで、「室温」とは、前述と同様、1〜30℃の範囲内の温度を意味する。なお、ガラクトース部分分解物は、温度が低いほど溶解され易いが、上記群から選択される1つ以上が添加されることで、室温で十分に溶解されることが可能となる。
前述の通り、アンモニアは、沸点が約−33℃であるため、室温では気体である。
よって、上記群から選択される1つ以上としてアンモニアを添加する場合、該アンモニアを添加する態様としては、アンモニアをより確実に水に添加すべく、予めアンモニアを水に溶解させたアンモニア水を添加する態様等を採用し得る。
前述の通り、メチルアミンは、沸点が約−16℃であるため、室温では気体である。
よって、上記群から選択される1つ以上としてメチルアミンを添加する場合、該メチルアミンを添加する態様としては、メチルアミンをより確実に水に添加すべく、予めメチルアミンを水に溶解させたメチルアミン水を添加する態様等を採用し得る。
前述の通り、エチルアミンは、沸点が約16℃であるため、室温では液体または気体である。
よって、上記群から選択される1つ以上としてエチルアミンを添加する場合には、該エチルアミンを添加する態様として、エチルアミンをより確実に水に添加すべく、予めエチルアミンを水に溶解させたエチルアミン水を添加する態様等を採用し得る。
前述の通り、ジメチルアミンは、沸点が約7℃であるため、室温では液体または気体である。
よって、上記群から選択される1つ以上としてジメチルアミンを添加する場合には、該ジメチルアミンを添加する態様として、ジメチルアミンをより確実に水に添加すべく、予めジメチルアミンを水に溶解させたジメチルアミン水を添加する態様等を採用し得る。
工程(2)の乾燥は、特に限定されないが、例えば、加熱乾燥機を用いて行い得る。加熱乾燥機としては、例えば、棚式乾燥機等が挙げられる。
乾燥温度は、特に限定されないが、30〜100℃が好ましい。
乾燥時間は、特に限定されないが、10分〜24時間が好ましい。
工程(1)で得られた混合物を工程(2)で乾燥することによって、アンモニア等が揮発して除去された、フィルム状のガラクトース部分分解物が得られる。
前述した本実施形態の製造方法で述べたのと同様、本実施形態のフィルムの製造方法においては、工程(1)において、さらに、グリセリンを混合し、該グリセリンの含有率を0.1〜10質量%とすることが好ましい。
グリセリンを0.1〜10質量%含有することによって、フィルムに強度と柔軟性が付与されるため、伸びがよく破れ難いフィルムが得られる。
本実施形態のフィルムの製造方法によって製造されるフィルムは、従来技術に比べ、冷却や凍結を必要としないことから、食品、医薬品、化粧品、工業用途に幅広く使用することができ、特に工業用途に使用されることが有用である。さらに、水系組成物を加熱する場合や、フィルムを製造する場合等においては、加熱によりアンモニアが揮発し除去されるため、不要な成分の夾雑が少ないフィルムが製造され得るため、この点で有用である。
上記の通り、本実施形態のフィルムの製造方法は、
下記工程(1)、(2)を備える:
(1)ガラクトキシログルカンのガラクトース部分分解物と、アンモニア、メチルアミン、エチルアミン及びジメチルアミンよりなる群から選択される1つ以上と、水とを混合する工程、
(2)工程(1)で得られた混合物を乾燥する工程。
かかる構成によれば、工程(1)によって、ガラクトース部分分解物を水に溶解することができ、さらに工程(2)によって、アンモニア等を揮発させつつ含水量を減少させて、フィルムを形成することができる。
従って、不要な成分の残存が抑制されたフィルムを、優れた製造性にて製造し得る。
以上の通り、本実施形態によれば、製造性に優れ、しかも、適用に際して不要な成分の残存を抑制することが可能な水系組成物、その製造方法、及び、フィルムの製造方法が提供される。
以上、本実施形態について説明したが、本発明は、上記実施形態に特に限定されるものではなく、本発明の意図する範囲内において適宜設計変更可能である。
以下、本発明について、実施例を参照しながらより詳細に説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。
[製造例1]ガラクトース部分分解物の製造
ガラクトキシログルカン〔DSP五協フード&ケミカル社製、グリロイド(登録商標)〕1gと水99gとを添加し、75℃で15分撹拌し、基質を1質量%含有する1質量%ガラクトキシログルカン水溶液を得た。精製酵素β−ガラクトシダーゼを用い、1質量%ガラクトキシログルカン水溶液を、酵素濃度2.4×10−5質量%、pH5.6、50℃で反応させた後、100℃で20分間加熱することにより、反応を停止させた。反応溶液は、反応開始後約15時間でゲル化した。これにより、ガラクトース部分分解物のゲル状の組成物を得た。
得られたゲル状の組成物におけるガラクトース除去率を、以下の方法で算出した。
得られた組成物(1質量%水溶液)7gにセルラーゼオノズカRS〔ヤクルト社製〕0.15質量%溶液(50mM酢酸緩衝液、pH4.0)を1mL加え、50℃、オーバーナイトで反応させた。反応後、反応液を98℃で30分間加熱することによって酵素を失活させて、試料を得た。その後、得られた試料を前処理カートリッジ〔東ソー社製、IC−SP〕および0.45μmのセルロースアセテート製メンブレンフィルターにかけ、得られたろ液10μLを、アセトニトリル:水=60:40(v/v)を0.6mL/分で流しているHPLCのアミノカラムにアプライし、ガラクトキシログルカンのオリゴ糖(7糖(ガラクトース0個)、8糖(ガラクトース1個)、9糖(ガラクトース2個))の溶出面積を示差屈折率計で検出した。次いで、1ユニット(7糖)あたりのガラクトース量を、(8糖の面積+(9糖の面積×2))/(7糖の面積+8糖の面積+9糖の面積)により算出した。上記式を用いてゲル状の組成物について算出されたガラクトース量の、対照のガラクトキシログルカンについて算出されたガラクトース量からの減少率をガラクトース除去率(%)としてさらに算出したところ、約45%であった。
そして、前述で得られたゲル状の組成物を送風乾燥した後、粉砕し、篩過して、粉状のガラクトース部分分解物を得た。
[実施例1〜25]ガラクトース部分分解物を含有する水系組成物の製造:
アンモニアを、これを水に溶解したアンモニア水(和光純薬工業製、試薬特級、質量分率28.0%〜30.0%)の態様で用いた。
メチルアミンを、これを水に溶解したメチルアミン水(ナカライテスク製、化学用、40%(35〜41%)水溶液)の態様で用いた。
エチルアミンを、これを水に溶解したエチルアミン水(ナカライテスク製、化学用、約70%水溶液)の態様で用いた。
ジメチルアミンを、これを水に溶解したジメチルアミン水(ナカライテスク製、化学用、約50%水溶液)の態様で用いた。
ジエチルアミンを、水がわずかに混入しているジエチルアミン(ナカライテスク製、ナカライ規格一級、98.0%以上(GC))の態様で用いた。
トリメチルアミンを、これを水に溶解したトリメチルアミン水(ナカライテスク製、化学用、約30%水溶液)の態様で用いた。
トリエチルアミンを、水がわずかに混入しているトリエチルアミン(ナカライテスク製、ナカライ規格一級、98.0%以上(GC))の態様で用いた。
2-ジメチルアミノエタノールを、水がわずかに混入している2-ジメチルアミノエタノール(ナカライテスク製、ナカライ規格特級、99.0%以上(GC))の態様で用いた。
これらの材料を用いて、下記のように、実施例1〜25の水系組成物を製造した。
(実施例1〜14の水系組成物の製造)
製造例1と同様にして得られたガラクトース部分分解物を、以下のように混合することによって、実施例1〜14のガラクトース部分分解物の水溶液(水系組成物)を製造した。
具体的には、表1に示す通り、300mLのガラストールビーカーに所定量の脱イオン水を加え、高速分散機〔プライミクス製、型式:ホモディスパー2.5型〕によって撹拌しながら、所定量のガラクトース部分分解物を加えて分散した。次いで、撹拌しながらアンモニア水を所定量加え、回転数を5000rpmに設定し、室温で10分間撹拌を続けた。
(実施例15の水系組成物の製造)
グリセリン〔花王製、化粧品用濃グリセリン、98.5%以上〕を5g加えること以外は実施例9と同様にして、実施例15のガラクトース部分分解物の水溶液(水系組成物)を製造した。
(実施例16の水系組成物の製造)
尿素〔ナカライテスク製、ナカライ規格一級、99.0%以上〕を2g加えること以外は実施例1と同様にして、実施例16のガラクトース部分分解物の水溶液(水系組成物)を製造した。
(実施例17の水系組成物の製造)
撹拌機をホモディスパーから汎用撹拌機〔東機産業製、型式:スリーワンモータBL600〕に変更し、回転数を700rpmに変更し、撹拌時間を10分から30分に変更したこと以外は実施例7と同様にして、実施例17のガラクトース部分分解物の水溶液(水系組成物)を製造した。
(実施例18の水系組成物の製造)
塩化マグネシウム六水和物〔ナカライテスク製、ナカライ規格一級、98.0%以上〕を5g加えること以外は実施例9と同様にして、実施例18のガラクトース部分分解物の水溶液(水系組成物)を製造した。
(実施例19の水系組成物の製造)
アンモニア水をメチルアミン水に変更し、含有率を5質量%(アンモニア)から10質量%(メチルアミン)に変更したこと以外は実施例17と同様にして、実施例19のガラクトース部分分解物の水溶液(水系組成物)を製造した。
(実施例20の水系組成物の製造)
メチルアミン水をエチルアミン水に変更したこと以外は実施例19と同様にして、実施例20のガラクトース部分分解物の水溶液(水系組成物)を製造した。
(実施例21の水系組成物の製造)
メチルアミン水をジメチルアミン水に変更したこと以外は実施例19と同様にして、実施例21のガラクトース部分分解物の水溶液(水系組成物)を製造した。
(実施例22の水系組成物の製造)
メチルアミン水を、アンモニア水とエチルアミン水との組み合わせに変更したこと以外は実施例19と同様にして、実施例22のガラクトース部分分解物の水溶液(水系組成物)を製造した。
(実施例23の水系組成物の製造)
メチルアミン水に加えて、さらにジメチルアミン水を添加したこと以外は実施例19と同様にして、実施例23のガラクトース部分分解物の水溶液(水系組成物)を製造した。
(実施例24の水系組成物の製造)
メチルアミン水を、アンモニア水とエチルアミン水とジメチルアミン水との組み合わせに変更したこと以外は実施例19と同様にして、実施例24のガラクトース部分分解物の水溶液(水系組成物)を製造した。
(実施例25の水系組成物の製造)
メチルアミン水に加えて、さらに、アンモニア水、エチルアミン水及びジメチルアミン水を添加したこと以外は実施例19と同様にして、実施例25のガラクトース部分分解物の水溶液(水系組成物)を製造した。
[比較例1〜5]ガラクトース部分分解物を含有する水系組成物の製造
(比較例1〜5の水系組成物の製造)
一方、製造例1と同様にして得られたガラクトース部分分解物を、アンモニア水を用いることなく水のみを用いた場合を比較例1とした。
さらに、アンモニア水の代わりに、ジエチルアミン、トリメチルアミン水、トリエチルアミン、2−ジメチルアミノエタノールをそれぞれ使用し、汎用撹拌機を用いて室温で30分撹拌した場合を比較例2〜5とした。
[水系組成物の物性評価]
そして、実施例1〜25、比較例1〜5について、得られた水溶液を200mLガラストールビーカーに移し、室温に10分静置後、B形粘度計〔ブルックフィールド製、型式:DV−I Prime LVタイプ〕によって粘度の測定を行った(60rpm、1分後の値)。
粘度を測定した後の水溶液1gを、ポータブルpHメーター〔堀場製作所製、型式:LAQUATwin〕に移し、pHの測定を行った。
粘度を測定した後の水溶液50gを100mLプラスチックカップに移し、60℃の送風定温恒温器〔ヤマト科学製、型式:DKN602〕に1時間静置後、ゲル化の有無を目視で確認し、下記の判定基準で判定した。
(ゲル化の判定基準)
++:傾けても、傾ける前の形状を保つ程度にゲル化した
+:傾けると、傾ける前の形状が徐々に崩れる程度にゲル化した
−:傾けると、液体のように流れ、ゲル化していない
[実施例1〜25、比較例1〜5のフィルムの製造]
上記粘度を測定した後の各水溶液を、675μmの厚みでPETフィルム上に延展し、60℃の送風定温恒温器に40分静置後、フィルム化されたか否かを、目視で確認し、下記の判定基準で判定した。また、フィルムに、アンモニアまたは各アミンが含有されているか否かを、特異臭の有無(嗅覚)によって確認し、下記の判定基準で判定した。結果を表1〜表6に示す。表4、表5において、括弧内は、水系組成物中におけるアンモニアまたは各アミンの含有率を示す。なお、表1〜6のフィルムの特異臭の評価において、フィルム化しなかったものについては、「評価なし」と記載した。
(フィルム化の判定基準)
++:均一、かつ、滑らかなフィルムが形成された
+:穴や切れ目が見られない、均一なフィルムが形成された
−:穴が見られ不連続な膜であり、均一なフィルムが形成されなかった
(アンモニアまたはアミン類がフィルムに含有されているか否かの判定基準)
−:アンモニアまたはアミン類の特異臭が感じられなかった
+:アンモニアまたはアミン類の特異臭が感じられた
[フィルムの強度および柔軟性の評価]
実施例9および15により得られたフィルムから、縦3cm、横3cmの試験片をカッターにて3枚切り出し、クリープメーター〔山電製、型式:RE2−33005S〕とシート突き刺し用試験治具RP−01とを用いて、1mm/秒の速度でフィルムの突き刺し試験を行った。各フィルムが破断されるときの荷重(破断荷重)と、破断されるまでの変形量(破断変形量)とについて、それぞれ、測定値の平均値(n=3)を算出し、破断荷重をフィルムの強度として評価し、破断変形量をフィルムの柔軟性として評価した。結果を表7に示す。
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表1〜3に示すように、水系組成物がアンモニアを1質量%以上含有していると、粘度が発現し、また、フィルムが形成された。
水系組成物がアンモニアを2.5質量%以上10質量%以下含有していると、ゲル化能が見られた(実施例1〜12)。
水系組成物がアンモニアを4質量%以上含有していると、粘度が1000mPa・sを超え(実施例6〜12)、このように粘度が高くなると、水系組成物をフィルム化する際に液の偏りや液垂れが起こり難く、均一なフィルムを製造し易くなった。
水系組成物がガラクトース部分分解物の含有率が1〜5質量%含有していると、粘度が発現し、また、フィルムが形成された(実施例13、14)。
水系組成物に、アンモニアに加えてグリセリンを添加することによって、ゲル化能が強化された(実施例15)。このことから、グリセリン等の糖・アルコール類といった複数の水酸基を有する添加剤は、ゲル化を強化する物質であり、これを添加することによって、水系組成物のゲル化能をコントロールすることが可能になると推測される。
水系組成物がアンモニアを15質量%以上含有していると、ゲル化能は見られないが、このように多く含有している場合であっても、粘度の発現やフィルムの形成能の点から、ガラクトース部分分解物は水に溶解しているものと考えられる。
また、ゲル化能については、上記のようにアンモニアを加えてもゲル化能が見られない場合においても、グリセリンを添加したり、または、アンモニアや各アミンを加熱により揮発させたりすることによってゲル化能が発揮されると考えられる。
グリセリンがフィルムに含有されることで、フィルムの強度は強化され(約1.2倍)、柔軟性は大きく向上した(約4.6倍)(表7)。よって、グリセリン等の添加剤がフィルムに含有されることで、フィルムの強度および柔軟性が向上することがわかった。
アンモニアに加え、尿素を添加することで、より粘度が高くなった(実施例16)。
尿素や塩化カリウム等は水素結合を弱める働きがあり、これらをアンモニアとともに加えることでガラクトース部分分解物の水への溶解をさらに進めることが出来ると推測される。ただし、フィルムに尿素が含まれると経時的に尿素が析出するおそれがあり、含有率には注意が必要である。
水系組成物がアンモニアを含有していると、尿素や塩化カリウム等、ゲルやフィルムに残存し得る成分の添加量を低減させることができる。
撹拌機をホモディスパーから汎用撹拌機に変えると、撹拌力が低下するため、溶解が進み難く、粘度が低下する傾向にあったが、フィルムの形成能は維持されていた(実施例17)。得られたフィルムは、ザラザラとした手触りで、滑らかではなかった。よって、撹拌力が高いほどガラクトース部分分解物の溶解が進み、滑らかなフィルムが形成されると考えられるため、この点では、水系組成物の製造において、撹拌力が高い撹拌機を使用することが好ましい。
塩化マグネシウム六水和物を添加した場合においても、グリセリンと同様に、ゲル化能の強化、フィルム物性の向上が見られた(実施例18)。このことから、塩化マグネシウム等の塩類は、従来公知の糖類・アルコール類と同様にゲル化を強化し、フィルムの強度および柔軟性を向上させる物質であり、これを添加することによって、水系組成物のゲル化能およびフィルム物性をコントロールすることが可能になると推測される。
アンモニアに代えて、メチルアミン、エチルアミン、ジメチルアミンを添加した場合においても、粘度が発現し、また、フィルムが形成された(実施例19〜21)。ガラクトース部分分解物を溶解させ得るという点では、メチルアミン、エチルアミン、ジメチルアミンもアンモニアと同程度の効果(溶解させ易いこと)を有していると推測される。
アンモニア、メチルアミン、エチルアミン及びジメチルアミンから2つ以上を適宜組み合わせて添加した場合においても、粘度が発現し、また、フィルムが形成された(実施例22〜25)。また、組み合わせによっては、アンモニアまたは各アミンを単体で添加するよりも、組み合わせて添加した場合の方が粘度が高く、相乗効果を示唆する現象が見られた(実施例22、23)。よって、アンモニア、メチルアミン、エチルアミン及びジメチルアミンから2つ以上が適宜組み合わされて含有された場合も、ガラクトース部分分解物を溶解させ得るのに有効であることが示された。
一方、表4に示すように、アンモニア等が0質量%のとき、粘度の発現は殆ど無く、ゲル化は生じず、また、フィルム化が十分に図られず、均一なフィルムは形成されなかった。目視で観察したところ、アンモニア等が含有されていない場合には、ガラクトース部分分解物は室温で溶解しなかった(比較例1)。
水系組成物が、アンモニア等の代わりに、ジエチルアミン、トリメチルアミン、トリエチルアミン、2−ジメチルアミノエタノールを10質量%含有している場合も、粘度が殆ど発現せず、ゲル化は生じず、また、フィルム化が十分に図られず、均一なフィルムは形成されなかった(比較例2〜5)。よって、アンモニア、メチルアミン、エチルアミン、及び、ジメチルアミンの化学構造がガラクトース部分分解物の溶解に寄与しており、ジメチルアミンを除く第二級アミンや、第三級アミンでは、その溶解に寄与し得ないことが分かった。
実施例1〜25の水系組成物から得られたフィルムの臭気を確認したところ、いずれもアンモニア等の特異臭が感じられなかった。このことから、ゲル化を含むフィルム化の過程でアンモニア等が殆ど揮発し、フィルムに含まれなくなったものと考えられる。
以上の結果から明らかなように、アンモニア等を含有しない水系組成物では、室温でガラクトース部分分解物が溶解しないため、粘度が発現せず、ゲル化能がないが、アンモニア等を含有する本実施形態の水系組成物では、室温においても粘度が発現し、また、一部の含有率ではゲル化能が見られた。
さらに、アンモニア等を含有することにより、フィルム形成能が発揮され、十分に強度のあるフィルムが形成された。形成されたフィルムは、特異臭がなく、よって、フィルム化されるまでにアンモニア等が除去されると考えられる。
このように、本実施形態は、冷却・凍結が不要であるため、製造性に優れ、しかも、フィルム化等への適用に際して不要な成分の残存を抑制することが可能な水系組成物、その製造方法、及び、フィルムの製造方法を提供し得ることがわかった。

Claims (15)

  1. ガラクトキシログルカンのガラクトース部分分解物と、アンモニア、メチルアミン、エチルアミン及びジメチルアミンよりなる群から選択される1つ以上と、水とを含有し、
    前記アンモニアの含有率が1〜28質量%であり、前記メチルアミンの含有率が1〜40質量%であり、前記エチルアミンの含有率が1〜70質量%であり、前記ジメチルアミンの含有率が1〜50質量%である、水系組成物。
  2. 前記群から選択される1つ以上が、アンモニアである、請求項1に記載の水系組成物。
  3. 前記ガラクトース部分分解物の含有率が0.1〜10質量%であり、
    前記群から選択される1つ以上の含有率が1〜70質量%である、請求項1または2に記載の水系組成物。
  4. 前記ガラクトース部分分解物の含有率が1〜5質量%であり、
    前記群から選択される1つ以上の含有率が2.5〜20質量%である、請求項1〜3のいずれかに記載の水系組成物。
  5. さらに、グリセリンを含有し、
    前記グリセリンの含有率が0.1〜10質量%である、請求項1〜4のいずれかに記載の水系組成物。
  6. ガラクトキシログルカンのガラクトース部分分解物と、アンモニア、メチルアミン、エチルアミン及びジメチルアミンよりなる群から選択される1つ以上と、水とを混合することを備え、
    前記アンモニアの含有率を1〜28質量%とし、前記メチルアミンの含有率を1〜40質量%とし、前記エチルアミンの含有率を1〜70質量%とし、前記ジメチルアミンの含有率を1〜50質量%とする、水系組成物の製造方法。
  7. 前記群から選択される1つ以上が、アンモニアである、請求項6に記載の水系組成物の製造方法。
  8. 前記ガラクトース部分分解物の含有率を0.1〜10質量%とし、
    前記群から選択される1つ以上の含有率を1〜70質量%とする、請求項6または7に記載の水系組成物の製造方法。
  9. 前記ガラクトース部分分解物の含有率を1〜5質量%とし、
    前記群から選択される1つ以上の含有率を2.5〜20質量%とする、請求項6〜8のいずれかに記載の水系組成物の製造方法。
  10. さらに、グリセリンを混合し、
    前記グリセリンの含有率を、0.1〜10質量%とする、請求項6〜9のいずれかに記載の水系組成物の製造方法。
  11. 下記工程(1)、(2)を備えた、フィルムの製造方法:
    (1)ガラクトキシログルカンのガラクトース部分分解物と、アンモニア、メチルアミン、エチルアミン及びジメチルアミンよりなる群から選択される1つ以上と、水とを混合する工程であって、前記アンモニアの含有率を1〜28質量%とし、前記メチルアミンの含有率を1〜40質量%とし、前記エチルアミンの含有率を1〜70質量%とし、前記ジメチルアミンの含有率を1〜50質量%とする工程、
    (2)工程(1)で得られた混合物を乾燥する工程。
  12. 前記群から選択される1つ以上が、アンモニアである、請求項11に記載のフィルムの製造方法。
  13. 前記工程(1)において、
    前記ガラクトース部分分解物の含有率を0.1〜10質量%とし、
    前記群から選択される1つ以上の含有率を1〜70質量%とする、請求項11または12に記載のフィルムの製造方法。
  14. 前記工程(1)において、
    前記ガラクトース部分分解物の含有率を1〜5質量%とし、
    前記群から選択される1つ以上の含有率を2.5〜20質量%とする、請求項11〜13のいずれかに記載のフィルムの製造方法。
  15. 前記工程(1)において、
    さらに、グリセリンを混合し、
    前記グリセリンの含有率を0.1〜10質量%とする、請求項11〜14のいずれかに記載のフィルムの製造方法。
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