JP2023143897A - 乳化組成物 - Google Patents

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Abstract

【課題】本発明は、高い乳化安定性を有する、油脂、水、サイクロデキストリン、及び水溶性ゲル化剤を含んでなる乳化組成物を提供することを目的とする。【解決手段】水、油脂及びサイクロデキストリン、ならびに、所定の水溶性ゲル化剤を含み、前記油脂の配合量と前記サイクロデキストリン及び前記水溶性ゲル化剤の合計配合量との比率が質量比にして(前記油脂の配合量:前記サイクロデキストリン及び前記水溶性ゲル化剤の合計配合量)1以上9未満:9以下1超の範囲である、乳化組成物。【選択図】なし

Description

本発明は、水、油脂及びサイクロデキストリン、ならびに、所定の水溶性ゲル化剤を含む乳化組成物に関するものである。
油脂、水、サイクロデキストリン、及び水溶性ゲル化剤を含んでなる乳化組成物が、医薬、化粧品、飲食品等の様々な分野で広く利用されている。
特許文献1には、水、油性成分、αサイクロデキストリン、及びゲル形成成分として寒天、低強度寒天、ガラクトマンナン又はグルコマンナンとキサンタンガムの併用、カラギーナン、ファーセレラン、ジェランガム、ネーティブ型ジェランガムのいずれか1以上を含有する乳化組成物が開示されている。
特許文献2には、油脂、水、サイクロデキストリン等を含有することを特徴とする乳化組成物が開示され、また、安定剤としてキサンタンガム、グアーガム、アラビアガムCMC、カラギーナン、ローカストビーンガム等のガム類を用いてもよいことが開示されている。
特許文献3には、ペクチン、トラガントガム、ゼラチン、カゼイン、アルギン酸ナトリウム、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、メチルセルロース、ポリアクリル酸ナトリウム、カルボキシビニルポリマーといった水溶性高分子化合物を溶解した水性原料と化粧料用油性原料を混和し、サイクロデキストリンを加えて乳化させてなる乳化化粧料が開示されている。
非特許文献1には、大豆油とサイクロデキストリン水溶液の1:1容積比試料を乳化させてなる水中油滴型のエマルションに、乳化安定剤としてキサンタンガムとトラガントガムをそれぞれ添加したところ乳化安定性が増したことが記載されている。
特開2016-204311号公報 特開平10-262560号公報 特公昭61-038166号公報
Nippon Shokuhin Kogyo Gakkaishi,Vol.38,No.1,16-20(1991)
本発明者らは、油脂、水、サイクロデキストリン、及び水溶性ゲル化剤を含んでなる従来公知の乳化組成物は、乳化安定性が十分でなく、容易に油と水が分離してしまう場合があることを見出した。
そこで、本発明は、高い乳化安定性を有する、油脂、水、サイクロデキストリン、及び水溶性ゲル化剤を含んでなる乳化組成物を提供することを目的とする。
本発明者らは、上記課題を解決すべく鋭意検討した結果、油脂、水、及びサイクロデキストリンと共に、カルボキシメチルセルロース(CMC)、キサンタンガム、ローカストビーンガム、グアーガム、グルコマンナン、κ-カラギーナン、ι-カラギーナン、λ-カラギーナン、タマリンドガム、ジェランガムからなる群から選択される少なくとも一つの水溶性ゲル化剤を配合することによって、高い乳化安定性を有する乳化組成物が得られることを見出した。
そして、当該乳化組成物における油脂の配合量とサイクロデキストリン及び水溶性ゲル化剤の合計配合量との比率が質量比にして(油脂の配合量:サイクロデキストリン及び水溶性ゲル化剤の合計配合量)1以上9未満:9以下1超の範囲とすることで、当該乳化組成物を乾燥させて得られた形態(例えば、粉体)は、高温及び高湿条件に付されたとしても変色や溶解を生じない、優れた耐熱性及び耐湿性を有することを見出した。
さらに、前記乾燥させて得られた形態を水等の溶媒に再乳化させて得られた乳化組成物についても、高い乳化安定性が維持されていることを見出した。
本発明は、これらの新規知見に基づくものであり、以下の発明を包含する。
[1] 水、油脂及びサイクロデキストリン、ならびに、カルボキシメチルセルロース(CMC)、キサンタンガム、ローカストビーンガム、グアーガム、グルコマンナン、κ-カラギーナン、ι-カラギーナン、λ-カラギーナン、タマリンドガム、ジェランガムからなる群から選択される少なくとも一つの水溶性ゲル化剤を含み、前記油脂の配合量と前記サイクロデキストリン及び前記水溶性ゲル化剤の合計配合量との比率が質量比にして(前記油脂の配合量:前記サイクロデキストリン及び前記水溶性ゲル化剤の合計配合量)1以上9未満:9以下1超の範囲である、乳化組成物。
[2] 水の含有量が10質量%以下である、[1]の乳化組成物。
[3] 粉体の形態を有する、[1]又は[2]の乳化組成物。
[4] [2]又は[3]の乳化組成物と溶媒とを含んでなる、再乳化組成物。
[5] さらに、乳化剤を含む、[4]の再乳化組成物。
[6] さらに、水性有機溶媒を含む、[4]又は[5]の再乳化組成物。
[7] 水、油脂及びサイクロデキストリン、ならびに、カルボキシメチルセルロース(CMC)、キサンタンガム、ローカストビーンガム、グアーガム、グルコマンナン、κ-カラギーナン、ι-カラギーナン、λ-カラギーナン、タマリンドガム、ジェランガムからなる群から選択される少なくとも一つ水溶性ゲル化剤を混合し、乳化組成物を形成する工程であって、前記油脂の配合量と前記サイクロデキストリン及び前記水溶性ゲル化剤の合計配合量との比率が質量比にして(前記油脂の配合量:前記サイクロデキストリン及び前記水溶性ゲル化剤の合計配合量)1以上9未満:9以下1超の範囲となるように混合する、工程を含む、乳化組成物の製造方法。
[8] さらに、得られた乳化組成物を乾燥処理に付す工程を含む、[7]の製造方法。[9] 前記乾燥処理により前記乳化組成物の水の含有量を10質量%以下とする、[8]の製造方法。
[10] さらに、得られた乳化組成物を粉体の形態とする工程を含む、[8]又は[9]の製造方法。
[11] [2]又は[3]の乳化組成物を溶媒と混合し、再乳化組成物を形成する工程を含む、再乳化組成物の製造方法。
[12] さらに、乳化剤を混合する、[11]の製造方法。
[13] さらに、水性有機溶媒を混合する、[11]又は[12]の製造方法。
本発明によれば、優れた乳化安定性を有する、油脂、水、サイクロデキストリン、及び
水溶性ゲル化剤を含んでなる乳化組成物を提供することができる。
図1は、処理1.~3.の各種処理が施されたポリエチレン樹脂の表面に滴下された液滴(蒸留水)の接触角を示す写真図である。処理1.100%エタノールで拭いた後、乾燥させた;処理2.実施例23の乳化組成物を塗布した後、乾燥させた;処理3.実施例23の乳化組成物を塗布した後、乾燥させ、100%エタノールで拭いた後、乾燥させた。
本発明は、水、油脂及びサイクロデキストリン、ならびに、所定の水溶性ゲル化剤を含む乳化組成物に関するものである。
本発明において「油脂」とは、乳化組成物において一般的に使用される油脂を利用することができ、極性及び非極性のいずれも使用することができる。このような油脂としては、例えば、植物由来の油脂(例えば、キャノーラ油、菜種白絞油、大豆油、コーン油、綿実油、落花生油、ゴマ油、米油、米糠油、ツバキ油、ベニバナ油、オリーブ油、アマニ油、シソ油、エゴマ油、ヒマワリ油、パーム油、茶油、ヤシ油、アボガド油、ククイナッツ油、グレープシード油、ココアバター、ココナッツ油、小麦胚芽油、アーモンド油、月見草油、ひまし油、ヘーゼルナッツ油、マカダミアナッツ油、ローズヒップ油、ブドウ油、カカオ油、ホホバ油、パーム核油、モクロウ、キャンデリラロウ、カルナバロウ等)、パラフィン、マイクロクリスタリンワックス、セレシン、ワセリン、オゾケナイト、イソステアリルアルコール、カプリルアルコール、ラウリルアルコール、ステアリルアルコール、2-オクタデシルアルコール、ミリスチルアルコール、セチルアルコール、フィトステロール、コレステロール、ステアリン酸、イソステアリン酸、カプリン酸、ラノリン酸、ラウリン酸、ミリスチン酸、パルミチン酸、ベヘニン酸、リノール酸、リノレン酸、モノステアリン酸グリセリル、モノパルミチン酸グリセリル、モノベヘニン酸グリセリル、モノミリスチン酸グリセリル、モノラウリン酸グリセリル、モノラノリン酸グリセリル、モノリノ-ル酸グリセリル、モノリノレン酸グリセリル、モノオレイン酸グリセリル、トリイソステアリン酸グリセリン、イソプロピルミリステート、グリセロールトリ-2-ヘプチルウンデカノエート、グリセロールトリ-2-エチルヘキサノエート、2-ヘプチルウンデシルパルミテート、ジ-2-ヘプチルウンデシルアジペート、セチルイソオクタノエート、トリメチロールプロパン-2-トリメチロールヘプチルウンデカノエート、プロパン-2-エチルヘキサノエート、ペンタエリスリトール-2-ヘプチルウンデカノエート、ペンタエリスリトール-2-エチルヘキサノエート、コレステロールイソステアレート、ジエチルフタレート、ジブチルフタレート等の合成エステル油、牛脂、豚油、ラノリン、スクワレン、スクワラン、ミツロウ、鯨ロウ等の動物由来の油脂、シリコーン油等が挙げられるが、これらに限定はされない。本発明において油脂とは、安全性の高い動物由来又は植物由来の油脂が好ましく、食経験があり安全性の高い食用植物油が特に好ましい。油脂はいずれか単独で用いてもよいし、異なる油脂を組み合わせて用いてもよい。
本発明の乳化組成物において油脂は、下記に詳述する油脂の配合量とサイクロデキストリン及び水溶性ゲル化剤の合計配合量との比率が質量比にして所定の範囲内となる限りにおいて、任意の量で含むことができ、例えば、1質量%以上、3質量%以上、5質量%以上、又は7質量%以上の量で含み、その上限は特に限定されるものではないが、例えば、50質量%以下、40質量%以下、30質量%以下、20質量%以下、又は10質量%以下とすることができる。本発明の乳化組成物における油脂の量の範囲は前記下限及び上限の数値よりそれぞれ選択される2つの数値を用いて表すことができ、例えば、本発明の乳化組成物には油脂を、1質量%~50質量%、1質量%~30質量%、又は1質量%~20質量%、又は1質量%~10質量%、好ましくは、5質量%~10質量%、又は7質量
%~10質量%の範囲より適宜選択される量にて含めることができる。油脂の量が1質量%よりも少ないと乳化が不十分となる場合や、例えば塗布した場合にきしみ感が感じられる場合があり、一方、油脂の量が50質量%よりも多いとべとつきやぬるつき等の油感が強く感じられる場合があり、目的の用途における利用形態において所望の使用感が得られない場合がある。
なお、本明細書中、各成分の量の記載は、本発明の乳化組成物の全質量を100質量%とする、質量%の量にて示す。
本発明の乳化組成物において、水は油脂を乳化してサイクロデキストリン及び所定の水溶性ゲル化剤と共に水中油型エマルジョン形成することが可能な任意の量で含むことができる。例えば、本発明の乳化組成物は水を、15質量%以上、20質量%以上、30質量%以上、40質量%以上、45質量%以上、50質量%以上、60質量%以上、又は70質量%以上の量で含み、その上限は特に限定されるものではないが、例えば、90質量%以下、又は85質量%以下とすることができる。本発明の乳化組成物における水の量の範囲は前記下限及び上限の数値よりそれぞれ選択される2つの数値を用いて表すことができ、例えば、本発明の乳化組成物には水を、15質量%~90質量%、45質量%~90質量%、又は70質量%~85質量%の範囲より適宜選択される量にて含めることができる。本発明の乳化組成物に含まれる水の量は、体積比にして油脂よりも多く含まれることが好ましく、例えば油脂と水の含有量は体積比にして(油脂:水)1:1を超える量、例えば、1:2以上、1:3以上、1:4以上、1:5以上、1:6以上、1:10以上、1:15以上、又は1:20以上、とすることができ、水の量の上限は特に限定されないが、1:90以下、1:80以下、1:70以下、1:60以下、又は1:50以下とすることができる。本発明の乳化組成物に含まれる水と油脂の量を上記範囲に調節することによって、べとつきやぬるつき等の油感を抑えた使用感を得ることができる。
「サイクロデキストリン」は、ブドウ糖を構成単位とする環状無還元マルトオリゴ糖を意味し、ブドウ糖の数が6つのα-サイクロデキストリン、7つのβ-サイクロデキストリン、8つのγ-サイクロデキストリンが挙げられる。本発明においては、α-、β-、γ-サイクロデキストリン、及びそれらの誘導体、ならびにそれらの任意の組み合わせを用いることができる。サイクロデキストリンの誘導体としては、例えば、エチルサイクイロデキストリン、メチルサイクロデキストリン、ヒドロキシエチルサイクロデキストリン、ヒドロキシプロピルサイクロデキストリン、メチルアミノサイクロデキストリン、アミノサイクロデキストリン、カルボキシエチルサイクロデキストリン、カルボキシメチルサイクロデキストリン、スルフォキシエチルサイクロデキストリン、スルフォキシルサイクロデキストリン、アセチルサイクロデキストリン、分岐サイクロデキストリン、サイクロデキストリン脂肪酸エステル、グルコシルサイクロデキストリン、マルトシルサイクロデキストリン等が挙げられるが、これらに限定はされない。好ましくはα-サイクロデキストリンを使用する。α-サイクロデキストリンは水への溶解性が高く、ざらつきの少ない乳化組成物を得ることができる。
本発明の乳化組成物においてサイクロデキストリンは、下記に詳述する油脂の配合量とサイクロデキストリン及び水溶性ゲル化剤の合計配合量との比率が質量比にして所定の範囲内となる限りにおいて、所定の水溶性ゲル化剤と共に水中油型エマルジョンに乳化安定性を付与し、かつ目的の用途における利用形態において所望の使用感を得ることが可能な量で含めることができる。例えば、本発明の乳化組成物中にはサイクロデキストリンを、0.5質量%以上、1質量%以上、2.5質量%以上、3質量%以上、4質量%以上、4.5質量%以上、又は5質量%以上の量で含み、その上限は特に限定されるものではないが、例えば、15質量%以下、10質量%以下、9質量%以下、8質量%以下、7質量%以下、もしくは6質量%以下とすることができる。本発明の乳化組成物におけるサイクロデキストリンの量の範囲は前記下限及び上限の数値よりそれぞれ選択される2つの数値を
用いて表すことができ、例えば、本発明の乳化組成物にはサイクロデキストリンを、0.5質量%~15質量%、例えば1質量%~15質量%、2.5質量%~10質量%、2.5質量%~9質量%、3質量%~9質量%、4質量%~8質量%、4.5質量%~9質量%又は5質量%~7質量%、好ましくは2.5質量%~9質量%、又は4.5質量%~9質量%の範囲より適宜選択される量で含めることができる。サイクロデキストリンの量が0.5質量%よりも少ないと当該組成物の乳化安定性が不十分となる場合があり、一方、15質量%よりも多い場合には当該組成物の粘性が高くなりすぎる場合や、きしみ感が強くなる場合があり、いずれにおいても目的の用途における利用形態において所望の使用感が得られない場合がある。
本発明において「水溶性ゲル化剤」とは、一般的に、水に溶解し、粘性を付与する物質(増粘剤、増粘安定剤、糊料等とも呼ばれる場合がある)を意味する。本発明において利用可能な水溶性ゲル化剤としては、カルボキシメチルセルロース(CMC)、キサンタンガム、ローカストビーンガム、グアーガム、グルコマンナン、κ-カラギーナン、ι-カラギーナン、λ-カラギーナン、タマリンドガム、及びジェランガムを挙げることができる。水溶性ゲル化剤はこれらのいずれかを単独で用いてもよいし、異なる水溶性ゲル化剤を組み合わせて用いてもよい。より好ましくは、水溶性ゲル化剤はカルボキシメチルセルロース(CMC)、グルコマンナン、タマリンドガム、及びキサンタンガムであり、本発明の乳化組成物に特に高い乳化安定性を付与することができる。
本発明の乳化組成物において水溶性ゲル化剤は、下記に詳述する油脂の配合量とサイクロデキストリン及び水溶性ゲル化剤の合計配合量との比率が質量比にして所定の範囲内となる限りにおいて、サイクロデキストリンと共に水中油型エマルジョンに乳化安定性を付与し、かつ目的の用途における利用形態において所望の使用感を得ることが可能な量で含めることができる。例えば、本発明の乳化組成物中には水溶性ゲル化剤を、0.05質量%以上、0.1質量%以上、0.2質量%以上、又は0.3質量%以上の量で含み、その上限は特に限定されるものではないが、例えば、1質量%以下、0.8質量%以下、0.7質量%以下、0.6質量%以下、又は0.5質量%以下とすることができる。本発明の乳化組成物における水溶性ゲル化剤の量の範囲は前記下限及び上限の数値よりそれぞれ選択される2つの数値を用いて表すことができ、例えば、本発明の乳化組成物には、水溶性ゲル化剤を、0.05質量%~1質量%、0.1質量%~1質量%、0.2質量%~0.8質量%、又は0.2質量%~0.5質量%の範囲より適宜選択される量で含めることができる。水溶性ゲル化剤の量が0.1質量%よりも少ないと当該組成物の乳化安定性が不十分となる場合があり、一方、1質量%よりも多い場合には当該組成物の粘性が高くなりすぎる場合があり、いずれにおいても目的の用途における利用形態において所望の使用感が得られない場合がある。
本発明の乳化組成物において、前記油脂の配合量と前記サイクロデキストリン及び前記水溶性ゲル化剤の合計配合量との比率は、質量比にして(前記油脂の配合量:前記サイクロデキストリン及び前記水溶性ゲル化剤の合計配合量)1以上9未満:9以下1超の範囲である。例えば、本発明の乳化組成物において、前記油脂の配合量:前記サイクロデキストリン及び前記水溶性ゲル化剤の合計配合量は、質量比にして、1:9、2:8、3:7、4:6、5:5、6:4、7:3、又は8:2であり、好ましくは5:5である。当該比率において、前記油脂の配合量が1未満であり、前記サイクロデキストリン及び前記水溶性ゲル化剤の合計配合量が9超である場合には、当該乳化組成物の乳化や乳化安定性が不十分となる場合があり、また、前記油脂の配合量が9以上であり、前記サイクロデキストリン及び前記水溶性ゲル化剤の合計配合量が1以下である場合には、当該乳化組成物のべとつきやぬるつき等の油感が強く感じられる場合があり、また当該乳化組成物の乾燥体において、十分に高い耐熱性や耐湿性が得られない場合があり、いずれにおいても目的の用途における利用形態において所望の使用感が得られない場合がある。
本発明の乳化組成物は、高い乳化安定性を有するものであり、より好ましくは、本発明の乳化組成物は高温(例えば、100℃~130℃程度)条件に付された後においても乳化状態を維持することが可能であり、乳化破壊を生じることのない、耐熱性の高い、優れた乳化安定性を有する。
本発明の乳化組成物は、pH値に関わらず、高い乳化安定性を有するものであり、より好ましくは、高温(例えば、100℃~130℃程度)条件に付された後においても乳化状態を維持することが可能であり、乳化破壊を生じることのない、耐熱性の高い、優れた乳化安定性を有する。
本発明の乳化組成物の形態は特に限定されず、上記水分含量を有する形態の他、水分含量を減少させて調製された、半固体/半液体(ゲル、ゾル等)や乾燥体(例えば、粉体、フレーク等)の形態で提供されてもよい。このような半固体/半液体(ゲル、ゾル等)や乾燥体(例えば、粉体、フレーク等)の形態は、上記水分含量を有する形態の乳化組成物を得たのち、それを従来公知の乾燥手段に付して、当該乳化組成物の水分含量を減少させることにより得ることができる。このような乾燥手段としては、例えば、凍結乾燥、加熱乾燥、風乾、噴霧乾燥、ドラム乾燥、熱風乾燥、真空乾燥等が挙げられるが、これらに限定はされない。乾燥手段に付された後の当該乳化組成物の水分含量は、目的とする形態に応じて適宜選択することが可能である。乾燥体の形態であれば例えば、15質量%未満、10質量%以下、5質量%以下、又は1質量%以下とすることができる。乾燥手段に付された後の当該乳化組成物の水分含量の下限は特に限定されないが、0質量%以上、0質量%超、0.1質量%以上、0.5質量%以上、0.6質量%以上、0.7質量%以上、又は0.8質量%以上とすることができる。当該乾燥体の形態の水分含量の範囲は前記上限及び下限の数値よりそれぞれ選択される2つの数値を用いて表すことができ、例えば、当該乳化組成物の水分含量は、0質量%~15質量%未満、0質量%超15質量%未満、0.1質量%~15質量%未満、0.1質量%~10質量%、0.5質量%~5質量%、0.5質量%~1質量%、0.6質量%~1質量%、0.7質量%~1質量%、又は0.8質量%~1質量%とすることができる。乾燥手段に付された後の当該乳化組成物はそのまま使用してもよいし、あるいは使用時に適当な溶媒(例えば、水、湯、水溶性有機溶媒と水の混合物等)を加えて/適当な溶媒に加えて、再乳化させたもの(本明細書中、「再乳化組成物」と記載する場合がある)を使用してもよい。
乾燥手段に付された後の当該乳化組成物、とりわけ、乾燥体の形態は、高温(例えば、100℃~200℃程度)条件、及び/又は多湿(例えば、~95%湿度程度)条件に付された後においても、変色や溶解を生じることのない、高い耐熱性及び耐湿性を有する。
前記再乳化組成物は、高い乳化安定性を有するものであり、より好ましくは、高温(例えば、100℃~130℃程度)条件に付された後においても乳化状態を維持することが可能であり、乳化破壊を生じることのない、耐熱性の高い、優れた乳化安定性を有する。
前記再乳化組成物は、pH値に関わらず、高い乳化安定性を有するものであり、より好ましくは、高温(例えば、100℃~130℃程度)条件に付された後においても乳化状態を維持することが可能であり、乳化破壊を生じることのない、耐熱性の高い、優れた乳化安定性を有する。
なお、本明細書中、特記しないかぎり、「本発明の乳化組成物」には、上記水分含量を有する形態の他、半固体/半液体(ゲル、ゾル等)や乾燥体(例えば、粉体、フレーク等)の形態、ならびに、再乳化組成物の形態が含まれる。
本発明の乳化組成物は、飲食品、化粧品、外用医薬品、医薬品(医薬部外品を含む)、化学薬品、化成品、農薬、トイレタリー用品、スプレー製品、塗料、工業用薄膜素材、表面改質素材等の用途において基剤として利用し含めることができ、目的の用途における利用形態(例えば、所定の製品等の形態)で提供することができる。
本発明の乳化組成物は、優れた耐熱性を示すことができ、これにより本発明の乳化組成物を基剤として利用する目的の用途における利用形態について、その製造、殺菌、保存、使用等の工程にて高温条件に付すことができる。例えば、本発明の乳化組成物を基剤として利用する目的の用途における利用形態は、加熱殺菌処理、より具体的には100℃~130℃の高温殺菌処理(例えばレトルト殺菌処理)に付すことが可能であり、防腐剤の少ない/無添加の安全性の高い製品を提供することができる。また例えば、本発明の乳化組成物は、その他の原材料と一緒に高温条件に付すことや、高温条件に付されたその他の原材料とすぐに一緒にすることができ、製造工程・作業の効率化に寄与するだけでなく、高温条件を回避していたために従来達成し得なかった利用形態(例えば、所定の製品等)の製造を可能とし得る。
本発明の乳化組成物は、pH値に関わらず、高い乳化安定性を有するものであり、より好ましくは、高温(例えば、100℃~130℃程度)条件に付された後においても乳化状態を維持することが可能であり、乳化破壊を生じることのない、耐熱性の高い、優れた乳化安定性を有する。本発明の乳化組成物のpH値は特に限定されず、目的の用途における利用形態において所望されるpH値に適宜設定することができる。本発明の乳化組成物のpH値は従来公知の一般的に利用されているpH調整剤を用いて行うことができる。なお、本明細書において、本発明の乳化組成物のpH値は、JIS Z8802:2011に従い、25℃で測定される値を意味する。これにより本発明の乳化組成物を基剤として利用する目的の用途における利用形態について、その製造、殺菌、保存、使用等の工程にて様々なpH条件に付すことができ、pH値に限定されない、様々な用途における利用形態(例えば、所定の製品等)の製造を可能とし得る。
本発明の乳化組成物には、上記成分に加えて、必要に応じてさらに、目的の用途における利用形態の製造において通常用いられている成分を、本発明の効果を損なわない範囲で、所望の利用形態に応じた量にて適宜配合することができる。このような成分としては、例えば、賦形剤、崩壊剤、滑沢剤、結合剤、希釈剤、緩衝剤、懸濁化剤、増粘剤、保存剤、抗菌剤、防腐剤、酸化防止剤、紫外線吸収剤、着色剤、顔料、染料、色素、潤滑剤、可塑剤、溶剤、溶解補助剤、等張化剤、矯味矯臭剤、香料、甘味料、呈味成分、酸味料、調味料、保湿剤、ビタミン類、界面活性剤、キレート剤、抗菌剤、乳化剤、水溶性有機溶媒等が挙げられるが、これらに限定はされない。
本発明の乳化組成物は、上記サイクロデキストリンと水溶性ゲル化剤の併用により水中油型エマルジョンに高い乳化安定性を付与することができるため、これらに加えて、従来乳化組成物の製造において一般的に利用されている乳化剤を実質的に含まないものとしてもよい。本発明において「乳化剤を実質的に含まない」とは、本発明の乳化組成物において、乳化剤が乳化作用を発揮する態様で含まれないことを意味し、乳化剤が一切含まれないことを意図するものではない。本発明は、乳化剤を実質的に含まないことにより、例えば、本発明の乳化組成物を皮膚に適用する場合に、肌への刺激が少ない等の安全性の高い有利な乳化組成物を提供することができる。また、本発明の乳化組成物は、乳化剤を実質的に含まないことにより、例えば、本発明の乳化組成物を皮膚に適用する場合に、塗布後の洗浄によりさらりとしたしっとり感を得ることができる。「従来乳化組成物の製造において一般的に利用されている乳化剤」としては、例えば、グリセリン脂肪酸エステル、有機酸モノグリセリド、ポリグリセリン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレングリセリン脂肪酸エステル、ソルビタン脂肪酸エステル、プロピレングリコール脂肪酸エステル、ポリ
オキシエチレン脂肪酸エステル、ポリグリセリン縮合リシノレイン酸エステル、ソルビタン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンソルビット脂肪酸エステル、ショ糖脂肪酸エステル、レシチン、酵素分解レシチン、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール等が挙げられるが、これらに限定はされない。
あるいは、本発明の乳化組成物には、上述の本発明の所望の効果を損なわない範囲で、従来乳化組成物の製造において一般的に利用されている乳化剤を、目的の用途における利用形態に応じて適宜選択し、配合してもよい。本発明の乳化組成物において、乳化剤は上述の本発明の所望の効果を損なわない範囲で、目的の用途における利用形態において所望の使用感を得ることが可能な量で含めることができる。例えば、本発明の乳化組成物には乳化剤を、0.005質量%以上、又は0.01質量%以上の量で含み、その上限は特に限定されるものではないが、例えば、0.5質量%以下、又は0.1質量%以下とすることができる。本発明の乳化組成物における乳化剤の量の範囲は前記下限及び上限の数値よりそれぞれ選択される2つの数値を用いて表すことができ、例えば、本発明の乳化組成物には、乳化剤を、0.005質量%~0.5質量%以下、又は0.01質量%~0.1質量%の範囲より適宜選択される量で含めることができる。
本発明の乳化組成物に乳化剤を配合することによって、当該乳化組成物が有する付着性を抑制/消失させることができる。
本発明の乳化組成物は、水溶性有機溶媒耐性を有し、これにより水溶性有機溶媒の存在下、より好ましくは、水溶性有機溶媒の存在下にて高温条件に付された後においても、乳化状態を維持し、乳化破壊を生じることのない、優れた乳化安定性維持することができる。
本明細書において「水溶性有機溶媒」とは、一般的に、水と混合した場合に、水に溶解して2相系(有機相と水相とからなる)を形成せず、均一相を形成する有機溶媒を意味し、例えば、アルコール類(例えば、メタノール、エタノール、プロパノール、イソプロパノール、ブタノール、イソブタノール、2-ブタノール、tert-ブタノール等)、多価ア
ルコール類(例えば、エチレングリコール、ジエチレングリコール、ポリエチレングリコール、プロピレングリコール、ジプロピレングリコール、ポリプロピレングリコール、グリセリン、グルコース等)、グリコールエーテル類(例えば、エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、等)、アルカンジオール類(例えば、1,2-ブタンジオール、1,3-プロパンジオール、1,3-ブタンジオール、1,4-ブタンジオール等)、アミン類(例えば、エタノールアミン、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン等)、アミド類(例えば、ホルムアミド等)、ケトン類(例えば、アセトン、アセチルアセトン等)、ニトリル類(例えば、アセトニトリル等)、含窒素溶媒(例えば、2-ピロリドン、トリエタノールアミン等)、含硫黄溶媒(例えば、チオジエタノール、ジメチルスルホキシド等)等が挙げられるが、これらに限定はされない。水溶性有機溶媒は、本発明の乳化組成物の目的の用途における利用形態に応じて適宜選択することができ、例えば、その他の成分の溶剤等として配合することができる。
本発明の乳化組成物は、水、油脂、サイクロデキストリン、及び、所定の水溶性ゲル化剤、ならびに必要に応じてその他の成分を上記の量にて混合、攪拌することにより製造することができる。各成分は全て一緒に混合、攪拌してもよいし、各成分を別々にもしくは任意の組み合わせで順次添加して(順序は問わない)混合、攪拌してもよい。混合、攪拌して得られた乳化組成物は、加熱殺菌処理に付してもよい。
また、混合、攪拌して得られた乳化組成物は、必要に応じてさらに乾燥手段に付しても
よい。乾燥手段は、上記従来公知の乾燥手段により行うことができ、当該乳化組成物の水分含量を、半固体/半液体(ゲル、ゾル等)や乾燥体の目的とする形状に応じて適宜調整することができる。得られた乾燥体は、必要に応じてさらに破砕、粉砕、又は摩砕処理に付して粉体やフレーク等の形態とすることができる。乾燥手段に付されて得られた乳化組成物には、必要に応じてその他の成分を上記の量にて混合、攪拌してもよく、ならびに/あるいは、加熱殺菌処理に付してもよい。
乾燥手段に付されて得られた乳化組成物は、必要に応じてさらに適当な溶媒と混合、攪拌し、再乳化させることにより、再乳化組成物を製造することができる。溶媒は、再乳化組成物の目的の用途における利用形態に応じて適宜選択することができ、例えば、水、水溶性有機溶媒と水の混合物等が挙げられ、15質量%~90質量%、好ましくは45質量%~90質量%、より好ましくは70質量%~85質量%の範囲より適宜選択される量にて含めることができる。得られた再乳化組成物には、必要に応じてその他の成分を上記の量にて混合、攪拌してもよく、ならびに/あるいは、加熱殺菌処理に付してもよい。
以下、実施例により本発明を説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。
実験1:乳化組成物の乳化安定性の評価
(1)乳化組成物の作製
以下の表1の組成にしたがって、各成分を添加、混合し、乳化組成物を作製した。水溶性ゲル化剤としては、カルボキシメチルセルロース(CMC)、アルギン酸ナトリウム、アラビアガム、グルコマンナン、グアーガム、ペクチン、κ-カラギーナン、タマリンドガム、ジェランガム、キサンタンガム、ι-カラギーナン、ローカストビーンガム、λ-カラギーナン、リン酸架橋でんぷん、ヒドロキシプロピルでんぷん、ヒドロキシプロピル化リン酸架橋でんぷん、トラガントガム、カルボキシルビニルポリマー、ポリアクリル酸ナトリウム、ヒドロキシプロピルセルロース、メチルセロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、及びヒドロキシエチルセルロースのいずれか一つを配合した。
各成分の混合は、ハンドブレンダーを用いて20,000rpmにて10分間攪拌して行った。得られた各組成物(50mL)をコニカルチューブ(Falcon(登録商標)コニカルチューブ50mL)に移し、3000rpmにて1分間で遠心した。次いで、水相、ミセル、油相の厚み(深さ)を目視で観察し、各相の割合(%)を計測して、各組成物の乳化安定性を評価した。評価はミセルの割合が100%であるものを「◎」、ミセルの割合が70%以上かつ100%未満であるものを「〇」、ミセルの割合が70%未満であるものを「×」として行った。
なお、以下に記載される表中の各成分の量は、得られた乳化組成物の量を100質量%とする、質量%の量にて示される。油脂、α-サイクロデキストリン、及び水溶性ゲル化剤はいずれも食品添加物(食品グレード)を使用した。
(2)結果
乳化組成物に添加した水溶性ゲル化剤と、計測された各相の割合、及び評価結果を表2に示す。この結果より明らかなとおり、添加した水溶性ゲル化剤によって乳化組成物の乳化安定性は様々であり、CMC、グルコマンナン、グアーガム、κ-カラギーナン、タマリンドガム、ジェランガム、キサンタンガム、ι-カラギーナン、ローカストビーンガム、λ-カラギーナンを添加した場合には、ミセル相が維持され高い乳化安定性が示された。特に、CMC、グルコマンナン、タマリンドガム、キサンタンガムを添加した場合には、水相及び油相の分離は認められず、顕著に高い乳化安定性が確認された。
実験2:乳化組成物におけるα-サイクロデキストリンと水溶性ゲル化剤間の相互作用の評価
水溶液中のα-サイクロデキストリンと水溶性ゲル化剤との相互作用を評価するため、従来公知の手法に準じた等温滴定型熱量測定(Isothermal Titration Calorimetry;ITC)によりエンタルピー変化(ΔH)を求めた。すなわち、等温滴定カロリメータ(NANO ITC SV;TA Instruments)を用いてα-サイクロデキストリンの水溶液(25g/100mL)に、水溶性ゲル化剤の水溶液(0.05g/100mL)を180秒ごとに10μLを25回(75分)にわたって滴下し、25回目(最終)の滴定ピークの面積よりエンタルピー値(μJ)を求めた。
結果を表3に示す。上記実験1において高い乳化安定性が示されたCMC、及びキサンタンガムを用いた場合においてのみプラスのエンタルピー値、すなわち吸熱反応が認められた。この結果は、水溶性ゲル化剤とα-サイクロデキストリンとの間で、水和水を介した相互作用の存在を示唆するものであり、例えば、水溶性ゲル化剤に水和していた水分子の一部が、α-サイクロデキストリンと水素結合することが考えられる。通常、水分子間で形成される水素結合は、荷電部位による分子間反発を生じる水溶性ゲル化剤とα-サイクロデキストリンとの間で形成される水素結合よりも距離が短くエネルギー値が高い。このため、水溶性ゲル化剤に水和していた水分子の一部が、α-サイクロデキストリンと水素結合する場合、エネルギー値の差し引きの結果として吸熱反応を生じるものと考えられる。熱量の移動(プラスのエンタルピー値)は水溶性ゲル化剤とα-サイクロデキストリンとの間で生じる相互作用の存在を示唆するものであり、この相互作用が上記実験1にお
いて高い乳化安定性を生じる要因であると考えられる。
実験3:乳化組成物の性能評価(テクスチャ)
(1)乳化組成物の作製
以下の表4の組成にしたがって、各成分を添加、混合し、実施例1-4ならびに比較例1-4の乳化組成物を作製した。各成分の混合は、ハンドブレンダーを用いて20,000rpmにて10分間攪拌して行った。得られた各乳化組成物について、以下の評価項目について、各基準に基づいて評価した。評価は4人の被験者を対象に行った。
・粘度(クリーム度):手のひらにのせ塗り広げた場合に、クリームを軽く塗り広げるような良好な使用感を有する場合「〇」、クリームを塗り広げる使用感を有する場合「△」、クリームを塗り広げるような使用感が得られない(粘度が低すぎる、もしくは粘度が高すぎる)場合「×」;
・保存後の乳化力:40℃にて7日間保存した後、乳化が維持されている場合「〇」、水と油の分離が認められる場合「×」;
・塗布直後のぬめり感:手のひらに塗布した直後、油感(べとつきやぬるつき)がない場合「〇」、油感がある場合「×」;
・洗浄後の使用感:手のひらに塗布した後、洗浄した場合に、さらりとしたしっとり感が認められる場合「〇」、さらりとしたしっとり感は認められるが、油感も同時にやや認められる場合「△」、さらりとしたしっとり感が認められない場合「×」。なお、洗浄は水のみを用いた場合でも、ハンドソープを用いた場合でも同じ結果を得ることができるが、今回はハンドソープを用いて洗浄した。
・加熱殺菌:レトルト殺菌(123℃、50分)後、室温まで冷まして、乳化が維持されている場合「〇」、水と油の分離が認められる場合「×」;
なお、以下に記載される表中の各成分の量は、得られた乳化組成物の量を100質量%とする、質量%の量にて示される。
(2)結果
得られた各乳化組成物についての各評価結果を表4に示す。
実施例1-4の結果より、油脂は特定のものに限定されず、様々な油脂を利用可能であることが確認された。
水溶性ゲル化剤に代えて、ポリオキシエチレングリコールを使用した場合には(比較例1、2、4)、クリームを塗り広げるような使用感が得られないこと、保存後の乳化力の低下、塗布直後及び洗浄後の使用感の低下、加熱殺菌後の乳化力の低下のうちの複数が認められ、水溶性ゲル化剤を使用する実施例1-4の乳化組成物と比べて性能が劣ることが確認された。
実施例の乳化組成物は、クリームを軽く塗り広げるような良好な使用感を有するものであったが、実施例1-3の乳化組成物は特に優れた性能を有し、全ての評価項目において良好な結果が得られた。実施例1-3において、α-サイクロデキストリンの含量が比較的高い実施例1、2においては、当該含量が比較的低い実施例3よりも、塗布した場合につっぱるような感じ(きしみ感)がやや感じられたが、良好な使用感を妨げる程度のものではなかった。
実験4:粉体乳化組成物(凍結乾燥)
(1)粉体乳化組成物の作製
以下の表5の組成にしたがって、各成分を添加、混合し、乳化組成物を作製した。各成分の混合は、ハンドブレンダーを用いて20,000rpmにて5分間攪拌して行った。次いで、得られた乳化組成物を凍結乾燥し(凍結後真空状態にして、その後20℃にて16時間凍結乾燥)、粉砕して、粉体乳化組成物を得た。
なお、以下に記載される表中の各成分の量は、得られた乳化組成物の量を100質量%とする、質量%の量にて示される。
(2)粉体乳化組成物の性能評価(テクスチャ)
(i)得られた粉体乳化組成物について、常法に準拠した常圧加熱乾燥法により、その水分含量を測定した。すなわち、得られた乳化組成物を秤量缶に入れて精秤し(乾燥前質量)、105℃で5時間乾燥し、次いでデシケーターに移して1時間放冷し精秤した(乾燥後質量)。乾燥前質量及び乾燥後質量より、粉体乳化組成物の水分含量(質量%)を求めた。
(ii)得られた粉体乳化組成物について、上記「実験3:性能評価(テクスチャ)」に記載したのと同様の方法・判定規準にて、「粘度(クリーム度)」、「保存後の乳化力」、「塗布直後のぬめり感」、及び「洗浄後の使用感」について評価した。なお、対照として、上記表5の組成にしたがって、各成分を添加し、剪断力を加えることなく手混合して(すなわち、乳化組成物とせず)作製した以外は同様に操作して得られた組成物を用いた。
(3)結果
(i)水分含量の測定結果を以下の表6に示す。水分含量の測定は別々に作製された2つの粉体乳化組成物をサンプルとして行った。得られた粉体乳化組成物の水分含量は、およそ0.7質量%及びおよそ0.9質量%であり、平均しておよそ0.8質量%であった。
(ii)粉体乳化組成物は、さらさらとした粉状の形態を有するのに対して、対照組成物は液体物である油脂と粉体が混合されたペースト状の形態を有し、さらさらとした粉状の形態は得られなかった。
また、得られた粉体乳化組成物について、「粘度(クリーム度)」、「保存後の乳化力」、「塗布直後のぬめり感」、及び「洗浄後の使用感」はいずれも「〇」の評価が得られた。上記実験3の乳化組成物と同様に、手のひらにのせ塗り広げた場合に速やかに油膜をはるような透明感のある状態で塗り広げることができ、良好な使用感を有すると共に、塗布後、洗浄した場合に、粉体を塗布したようなさらさら感とクリームを塗布したようなしっとり感を同時に得られた。一方、対照組成物については、手のひらにのせ塗り広げた場合に、液体と固体が分離してざらつきやきしみが感じられ、良好な使用感は得られなかった。
実験5:粉体乳化組成物(噴霧乾燥)
(1)粉体乳化組成物の作製
上記の表5の組成にしたがって、各成分を添加、混合し、乳化組成物を作製した。各成分の混合は、ハンドブレンダーを用いて20,000rpmにて5分間攪拌して行った。次いで、得られた乳化組成物を噴霧乾燥(190℃)して、粉体乳化組成物を得た。
(2)粉体乳化組成物の性能評価(テクスチャ)
(i)得られた粉体乳化組成物について、上記「実験4:粉体乳化組成物(凍結乾燥)」において記載したのと同様の手法により、粉体乳化組成物の水分含量(質量%)を求めた。
(ii)得られた粉体乳化組成物について、上記「実験4:粉体乳化組成物(凍結乾燥)」において記載したのと同様の手法により、「粘度(クリーム度)」、「保存後の乳化力」、「塗布直後のぬめり感」、及び「洗浄後の使用感」について評価した。
(3)結果
(i)水分含量の測定結果を以下の表7に示す。水分含量の測定は別々に作製された2つの粉体乳化組成物をサンプルとして行った。得られた粉体乳化組成物の水分含量は、およそ0.7質量%及びおよそ1.0質量%であり、平均しておよそ0.8質量%であった。
(ii)噴霧乾燥した粉体乳化組成物についても、凍結乾燥したものと同様に、さらさらとした粉状の形態を有し、「粘度(クリーム度)」、「保存後の乳化力」、「塗布直後のぬめり感」、及び「洗浄後の使用感」はいずれも「〇」の評価が得られた。また、手のひらにのせ塗り広げた場合に速やかに油膜をはるような透明感のある状態で塗り広げることができ、良好な使用感を有すると共に、塗布後、洗浄した場合に、粉体を塗布したようなさらさら感とクリームを塗布したようなしっとり感が同時に得られた。乾燥処理の手法が
異なっても、同様の特性が得られることが確認された。
以上の結果より、水と油脂を含む水中油型エマルジョンに、サイクロデキストリンと所定の水溶性ゲル化剤を併用して配合することによって、高い乳化安定性を有する、クリームのような良好なテクスチャを有する乳化組成物が得られることが明らかとなった。また、当該乳化組成物を塗り広げた場合の使用感は、従来にないものであり、クリームのような良好なテクスチャを有すると共に、塗布後、水等で洗浄した場合に、粉体を塗布したようなさらさら感とクリームを塗布したようなしっとり感が同時に得られることが確認された。
さらに、当該乳化組成物を乾燥処理に付して得られた乾燥形態(粉体乳化組成物)についても、塗り広げた場合に速やかに油膜をはるような透明感のある状態で塗り広げることができ、同様の特性が得られることが確認された。一方で、前記高い乳化安定性を有する乳化組成物を経ずに、乾燥処理に付して得られた乾燥形態については、当該特性が得られなかった。このことから、乾燥形態における良好な特性もまた、固液分離のない乳化状態が維持されていることによるものであり、乾燥処理に付される前の乳化組成物が高い乳化安定性を有することに起因するものであることが確認された。
実験6:粉体乳化組成物の耐熱性の評価
(1)粉体乳化組成物の作製
以下の表8-10の組成にしたがって、各成分を添加、混合し、乳化組成物を作製した。各成分の混合は、ハンドブレンダーを用いて20,000rpmにて5分間攪拌して行った。次いで、得られた乳化組成物を凍結乾燥し(凍結後真空状態にして、その後20℃にて16時間凍結乾燥)、粉砕して、白色の粉体乳化組成物を得た。
(2)粉体乳化組成物の耐熱性試験
得られた粉体乳化組成物を、乾熱滅菌器(株式会社平山製作所)にそれぞれに入れて、105℃(品温)にて13時間加熱処理した。加熱処理の終了後、乾熱滅菌器より取り出し、室温まで冷まして、各粉体乳化組成物における変化を目視により評価した。対照として、従来公知の白色の粉末油脂(NネオパウダーA及びNネオパウダーP(日油株式会社)を用いて、同様に加熱処理してその変化を目視により評価した。
(3)結果
各粉体乳化組成物の耐熱性の評価結果を、以下の表8-10に併記する。
表8-10には、前記加熱処理に付された後の粉体乳化組成物について、上記「実験4:粉体乳化組成物(凍結乾燥)」において記載したのと同様の手法により求めた水分含量(質量%)の測定結果も併記する。
なお、以下、表中の各成分の量は、得られた乳化組成物の量を100質量%とする、質量%の量にて示される。また、「乾燥前質量」及び「乾燥後質量」は、秤量缶と粉体乳化組成物の質量の合計を示す。
上記の結果から、水と油脂を含む水中油型エマルジョンに、サイクロデキストリンと所定の水溶性ゲル化剤を併用して配合することによって得られた乳化組成物を乾燥処理に付して得られた乾燥形態(粉体乳化組成物)は、高温条件に付されたとしても、溶解や黄変を生じることがなく、優れた耐熱性を有することが確認された。また、このような優れた耐熱性は、実施例23の粉体乳化組成物をさらに高温条件の加熱処理(200℃(品温)にて13時間)に付した場合においても確認された。
一方、対照として用いた従来公知の粉末油脂はいずれも加熱処理により、全体が濃黄色へと変色し、また固着して粉体の形態が維持されず、耐熱性に乏しいことが確認された。
比較例25は、油脂の配合量とα-サイクロデキストリン及び水溶性ゲル化剤の合計配合量との比率が質量比にして(油脂の配合量:α-サイクロデキストリン及び水溶性ゲル化剤の合計配合量)9:1である場合の例であり、高温条件の加熱処理により、全体的に黄色をおび、また、油脂の性質が強く表れてべたつきを生じ、付着して塊を生じ、粉体の形態が維持されず、耐熱性に乏しいことが確認された(表8)。
比較例212、比較例213は、本発明における所定の水溶性ゲル化剤に含まれない「アラビアガム」及び「デキストリン」を用いた場合の例であり、黄変や油脂の性質が強く表れてべたつきを生じる等、加熱処理前の粉体の形態が維持されず、耐熱性に乏しいことが確認された(表10)。
実験7:粉体乳化組成物の耐湿性の評価
(1)粉体乳化組成物の耐湿性試験
上記「実験6:粉体乳化組成物の耐熱性の評価」にて作製した各粉体乳化組成物(実施例21~実施例211、比較例25~213)、ならびに従来公知の白色の粉末油脂(NネオパウダーA及びNネオパウダーP(日油株式会社)を、40℃、90%湿度の恒温恒湿槽(PR-4KP、ESPEC株式会社)内に1週間放置して加湿処理した。当該処理の終了後、恒温恒湿槽より取り出し、室温まで冷まして、各粉体乳化組成物における変化を目視により評価した。
(2)結果
各粉体乳化組成物の耐湿性の評価結果を、以下の表11-13に示す。
表11には、前記加湿処理に付された後の粉体乳化組成物について、上記「実験4:粉体乳化組成物(凍結乾燥)」において記載したのと同様の手法により求めた水分含量(質量%)の測定結果も併記する。
なお、表中、「乾燥前質量」及び「乾燥後質量」は、秤量缶と粉体乳化組成物の質量の合計を示す。
上記の結果から、水と油脂を含む水中油型エマルジョンに、サイクロデキストリンと所定の水溶性ゲル化剤を併用して配合することによって得られた乳化組成物を乾燥処理に付して得られた乾燥形態(粉体乳化組成物)は、高湿条件に付されたとしても、黄変や固結を生じることがなく、優れた耐湿性を有することが確認された。
一方、対照として用いた従来公知の粉末油脂はいずれも加湿処理により全体が濃黄色へと変色し、また吸湿性が高くそれにより固結して粉体の形態が維持されず、耐湿性に乏しいことが確認された。
比較例25は、油脂の配合量とα-サイクロデキストリン及び水溶性ゲル化剤の合計配
合量との比率が質量比にして(油脂の配合量:α-サイクロデキストリン及び水溶性ゲル化剤の合計配合量)9:1である場合の例であり、加湿処理により、全体的に黄色をおび、また、固結して塊を生じ、粉体の形態が維持されず、耐湿性に乏しいことが確認された(表11)。
比較例212、比較例213は、本発明における所定の水溶性ゲル化剤に含まれない「アラビアガム」及び「デキストリン」を用いた場合の例であり、黄変や吸湿性が高くそれにより固結を生じる等、加湿処理前の粉体の形態が維持されず、耐湿性に乏しいことが確認された(表13)。
実験8:粉体乳化組成物の再乳化組成物
(1)pH耐性試験及び耐熱試験
上記「実験6:粉体乳化組成物の耐熱性の評価」にて作製した実施例23の粉体乳化組成物を、ガラスビーカーに入れた水に10質量%の濃度となるように加えて混合、再乳化して乳化組成物を作製した。粉体乳化組成物と水との混合は、マグネチックスターラー(アズワン社製RS-4AN)を用いて300rpmにて室温で1時間、攪拌して行った。次いで、得られた再乳化組成物のpH値(25℃)を、リン酸カリウム緩衝液を用いて、2,3,4,7,9及び10にそれぞれ調整し、各再乳化組成物における乳化破壊状態(又は、乳化安定性)、ならびにガラスビーカー壁面への付着の有無を目視により評価した。乳化破壊状態(又は、乳化安定性)は、下記の基準にしたがって評価した。
<評価基準>
◎:変化なし。乳化が維持されている。
〇:乳化破壊は生じていないが、若干の油浮き又は離水が認められる。
×:油層と水層の分離が確認される。乳化破壊を生じている。
また、上記各pH値(25℃)に調整した再乳化組成物を100mLビーカーに30mL入れて、90℃(品温)にてウォーターバスで5分間加熱処理した。加熱処理後、ウォーターバスより取り出して、室温にて30分間静置した後、各乳化組成物における乳化破壊状態(又は、乳化安定性)を上記の基準にしたがって目視で評価した。
(2)結果
粉体乳化組成物を水に添加して再乳化して調製された再乳化組成物は、2,3,4,7,9及び10のいずれのpH値(25℃)においても、乳化状態が維持され、乳化破壊を生じないことが確認され、pH耐性の高い、優れた乳化安定性を有することが示された。
また、pH値(25℃)に関わらず、いずれの再乳化組成物においても、収容したガラスビーカーの壁面に付着が多く認められた。このような再乳化組成物は、付着性が求めら
れる用途にて(例えば、特に限定されるものではないが、塗料等に)有用であり得る。
また、pH値(25℃)に関わらず、いずれの再乳化組成物についても、加熱処理後に乳化状態が維持され、乳化破壊を生じないことが確認され、耐熱性の高い、優れた乳化安定性を有することが明らかとなった。
実験9:乳化剤が添加された再乳化組成物
(1)各種耐性試験
上記「実験8:粉体乳化組成物の再乳化組成物」にて作製した、2,3,4,7,9及び10のpH値(25℃)を有する再乳化組成物に、乳化剤としてショ糖パルミチン酸エステル(P-1670、三菱ケミカル株式会社)を0.01質量%となる量にて加え、室温で1時間、混合・撹拌した。得られた各再乳化組成物について、上記「実験8:粉体乳化組成物の再乳化組成物」に記載されるのと同じ手法にて、乳化破壊状態(又は、乳化安定性)、ガラスビーカー壁面への付着の有無、ならびに、加熱処理後の乳化破壊状態(又は、乳化安定性)を評価した。
また、上記得られた各再乳化組成物について水性有機溶媒耐性を評価すべく、当該各再乳化組成物にさらにエタノール、アセトン、又はアセトニトリルをそれぞれ5質量%となる量にて加え、混合・撹拌した。得られた各再乳化組成物について、上記と同じ手法にて、乳化破壊状態(又は、乳化安定性)、ならびに、加熱処理後の乳化破壊状態(又は、乳化安定性)を評価した。
(2)結果
乳化剤を添加して調製された、いずれのpH値(25℃)を有する再乳化組成物においても、乳化破壊を生じないことが確認され、乳化剤の存在下においても、pH耐性の高い、優れた乳化安定性が維持されていることが示された。
また、上記いずれのpH値(25℃)を有する再乳化組成物においても、収容したガラスビーカーの壁面に付着は認められず、乳化剤の添加により当該付着性を抑制/消失できることが示された。このような再乳化組成物は、例えば、付着性が求められる態様とは異なる用途にて(例えば、特に限定されるものではないが、飲食品等に)有用であり得る。
さらに、上記いずれのpH値(25℃)を有する再乳化組成物においても、加熱処理後に乳化状態が維持され、乳化破壊を生じないことが確認され、乳化剤の存在下においても、耐熱性の高い、優れた乳化安定性が維持されていることが示された。
そして、上記いずれのpH値(25℃)を有する再乳化組成物においても、エタノール、アセトン、又はアセトニトリルの存在下において乳化状態が維持され、乳化破壊を生じないことが確認され、水溶性有機溶媒耐性の高い、優れた乳化安定性を有することが確認された。また、エタノール、アセトン、又はアセトニトリルが添加された、いずれの前記再乳化組成物においても、加熱処理後に乳化状態が維持され、乳化破壊を生じないことが確認され、水溶性有機溶媒の存在下においても、耐熱性の高い、優れた乳化安定性が維持されていることが示された。
これらの結果は、前記再乳化組成物は、pH値や加熱処理の有無に関わらず、溶剤等としても利用される得る水溶性有機溶媒と組み合わせて使用できることを示す。
実験10:再乳化組成物の味覚状況官能試験
(1)塩配合 粉体乳化組成物の再乳化組成物の作製
以下の表16の組成にしたがって、各成分を添加、混合し、乳化組成物を作製した。各成分の混合は、ハンドブレンダーを用いて20,000rpmにて5分間攪拌して行った。次いで、得られた乳化組成物を凍結乾燥し(20℃にて48時間)、粉砕して、塩配合
粉体乳化組成物を得た。
なお、表中の各成分の量は、得られた乳化組成物の量を100質量%とする、質量%の量にて示される。
得られた塩配合 粉体乳化組成物0.8gと水99.2gを混合、撹拌して、再乳化組
成物を作製した。対照として、食塩0.4gと水99.6gを混合した食塩水を使用した。
(2)官能検査方法
日頃から訓練を受けた8名のパネラーが以下の1.~8.の手順に従って、得られた再乳化組成物の風味について評価した。
1.適量の水で口を洗浄し吐き出す。
2.前記対照食塩水10gを、口に含んで全体に行きわたらせる。
3.この時の官能評価をファーストインプレッションとして、塩味の強度をVAS法で評価する。
4.ファーストインプレッション評価後、飲み込み、1分後セカンドインプレッションを塩味の強度をVAS法で評価する。
5.適量の水で口を洗浄する。
6.前記塩配合 粉体乳化組成物の再乳化組成物10gを、口に含んで全体に行きわた
らせる。
7.この時の官能評価をファーストインプレッションとして塩味の強度をVAS法で評価する。
8.ファーストインプレッション評価後、飲み込み、1分後セカンドインプレッションを塩味の強度をVAS法で評価する。
(3)結果
各パネラーによる、対照食塩水及び再乳化組成物の上記ファーストインプレッション及びセカンドインプレッションについての評価結果を以下の表17に示す。さらに、当該評価結果について、対照食塩水のファーストインプレッションの値を「100%」とし、各値を相対値で表記した結果を以下の表18に、また、対照食塩水のセカンドインプレッションの値を「100%」とし、再乳化組成物のセカンドインプレッションの値を相対値で表記した結果を以下の表19に、それぞれ示す。
塩配合 粉体乳化組成物の再乳化組成物は、対照の食塩水と比べて、ファーストインプ
レッション及びセカンドインプレッションのそれぞれについて塩味が強く感じられる傾向があることが確認された。特に、セカンドインプレッションについては対照の食塩水と比べて、塩味がより強く感じられることが示された。これらの結果より、前記乳化組成物を有効成分の担体として利用することにより、当該組成物より有効成分を徐放することができ、より長期にわたって有効成分を作用させる又は感知できることが確認された。
実験11:乳化組成物の性能評価(親水性表面の付与)
(1)試験方法
上記「実験6:粉体乳化組成物の耐熱性の評価」において、表8の組成にしたがって作製した実施例23の乳化組成物を、以下の試験に使用した。
ポリエチレン樹脂(5cm×5cm×1mm(厚さ))の表面に、以下の処理1.~3.のいずれかを施した後、蒸留水100μLを滴下し、その液滴表面と樹脂表面とのなす角(接触角)を比較した。
1.ポリエチレン樹脂の中心部に100%エタノール1mLを滴下し、ビニール手袋をした手で適当な圧力を加えてまんべんなく塗布して、余ったエタノールをキムワイプで軽く拭き取った後、乾燥させた。
2.ポリエチレン樹脂の中心部に実施例23の乳化組成物1mLを滴下し、ビニール手袋をした手で適当な圧力を加えてまんべんなく塗布して、余った乳化組成物をキムワイプで軽く拭き取った後、乾燥させた。
3.ポリエチレン樹脂の中心部に実施例23の乳化組成物を上記2.と同様に塗布して乾燥させた後、100%エタノールを上記1.と同様に塗布して乾燥させた。
(2)結果
各処理が施されたポリエチレン樹脂の表面に滴下された液滴の様子を図1に示す。処理3.が施されたポリエチレン樹脂の表面に滴下された蒸留水液滴における接触角の大きさは、その他のものと比べて大きく、ポリエチレン樹脂の表面の濡れ性が良いこと(すなわち、親水性が高いこと)が確認された。処理3.により、実施例23の乳化組成物が塗布された後に、100%エタノールで拭かれることで、ポリエチレン樹脂の表面に乳化組成物の親水性部分が残り、これにより当該表面の親水性を高められることが示唆される。
実験12:乳化組成物の性能評価(皮膚表面のスムース化)
(1)試験方法
上記「実験6:粉体乳化組成物の耐熱性の評価」において、表8の組成にしたがって作製した実施例23の乳化組成物を、以下の試験に使用した。
被験者の手全体を、ハンドソープでよく洗浄して皮膚表面の油分をできるだけ落とした。なお、本実験において洗浄は水のみを用いた場合でも、ハンドソープ等の洗剤を用いた場合でも同じ結果を得ることができるが、今回はハンドソープを用いて洗浄した。
左手人差し指の指腹の表面に、以下の処理1.~3.のいずれかを施した後、当該表面の皮膚を実体顕微鏡で観察後、その感触を官能検査した。
1.未処理:左手人差し指の指腹側にドライヤーの送風機能で風を10分間当て続けた。
2.左手人差し指の指腹側表面に実施例23の乳化組成物を塗布した後、軽く拭いてからドライヤーの送風機能で風を10分間当て続けた。
3.左手人差し指の指腹側表面に実施例23の乳化組成物を塗布し、ハンドソープでよく洗浄した後、軽く拭いてからドライヤーの送風機能で風を10分間当て続けた。
(2)結果
各処理が施された左手人差し指の指腹側表面を実体顕微鏡観察した結果、皮膚表面に実施例23の乳化組成物を塗布した場合(処理2.、処理3.)、未処理の場合(処理1.)と比べて、表面の凹凸やシワが緩和され、よりスムースな表面となっていることが確認された。この効果は、実施例23の乳化組成物を塗布した後に、洗浄した場合(処理3.)においてより顕著に確認された。
また官能検査結果も同様の結果を示し、未処理の場合(処理1.)には皮膚表面が固く、抵抗のあるざらざら感が増して感じられたが、皮膚表面に実施例23の乳化組成物を塗布した場合(処理2.、処理3.)においては皮膚表面のしっとり感が保たれ、かつ、さらさらした滑らかさも感じられた。
上記の結果から、水と油脂を含む水中油型エマルジョンに、サイクロデキストリンと所定の水溶性ゲル化剤を併用して配合することによって得られた乳化組成物、それを乾燥処理に付して得られた乾燥形態(粉体乳化組成物)、ならびに、乾燥形態の再乳化組成物は、各種耐性を有する優れた安定性を有するものであり、様々な用途において利用し得ることが示唆された。

Claims (13)

  1. 水、油脂及びサイクロデキストリン、ならびに、カルボキシメチルセルロース(CMC)、キサンタンガム、ローカストビーンガム、グアーガム、グルコマンナン、κ-カラギーナン、ι-カラギーナン、λ-カラギーナン、タマリンドガム、ジェランガムからなる群から選択される少なくとも一つの水溶性ゲル化剤を含み、前記油脂の配合量と前記サイクロデキストリン及び前記水溶性ゲル化剤の合計配合量との比率が質量比にして(前記油脂の配合量:前記サイクロデキストリン及び前記水溶性ゲル化剤の合計配合量)1以上9未満:9以下1超の範囲である、乳化組成物。
  2. 水の含有量が10質量%以下である、請求項1に記載の乳化組成物。
  3. 粉体の形態を有する、請求項1又は2に記載の乳化組成物。
  4. 請求項2又は3に記載の乳化組成物と溶媒とを含んでなる、再乳化組成物。
  5. さらに、乳化剤を含む、請求項4に記載の再乳化組成物。
  6. さらに、水性有機溶媒を含む、請求項4又は5に記載の再乳化組成物。
  7. 水、油脂及びサイクロデキストリン、ならびに、カルボキシメチルセルロース(CMC)、キサンタンガム、ローカストビーンガム、グアーガム、グルコマンナン、κ-カラギーナン、ι-カラギーナン、λ-カラギーナン、タマリンドガム、ジェランガムからなる群から選択される少なくとも一つ水溶性ゲル化剤を混合し、乳化組成物を形成する工程であって、前記油脂の配合量と前記サイクロデキストリン及び前記水溶性ゲル化剤の合計配合量との比率が質量比にして(前記油脂の配合量:前記サイクロデキストリン及び前記水溶性ゲル化剤の合計配合量)1以上9未満:9以下1超の範囲となるように混合する、工程を含む、乳化組成物の製造方法。
  8. さらに、得られた乳化組成物を乾燥処理に付す工程を含む、請求項7に記載の製造方法。
  9. 前記乾燥処理により前記乳化組成物の水の含有量を10質量%以下とする、請求項8に記載の製造方法。
  10. さらに、得られた乳化組成物を粉体の形態とする工程を含む、請求項8又は9に記載の製造方法。
  11. 請求項2又は3に記載の乳化組成物を溶媒と混合し、再乳化組成物を形成する工程を含む、再乳化組成物の製造方法。
  12. さらに、乳化剤を混合する、請求項11に記載の製造方法。
  13. さらに、水性有機溶媒を混合する、請求項11又は12に記載の製造方法。
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