JP2016204311A - 乳化組成物 - Google Patents

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小島 正明
Masaaki Kojima
正明 小島
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Abstract

【課題】 従来の乳化剤を使用して作製した乳化物では得ることができない、高い保形性と低い付着性を兼ね備え、乾燥させた場合に艶のある滑らかな表面状態となる乳化物を得ることを目的とする。【解決手段】 水、油性成分、αサイクロデキストリン、及びゲル形成成分として寒天、低強度寒天、ガラクトマンナンまたはグルコマンナンとキサンタンガムの併用、カラギーナン、ジェランガム、ネーティブ型ジェランガムのいずれか1以上を含有する乳化組成物であり、ゲル形成成分を水に溶解してゲルを形成させた後乳化工程を行う。【選択図】なし

Description

本発明は、使用時に水分を減少または除去させてW/O乳化物として医薬品、化粧品、化成品に使用される乳化物において、従来の乳化剤を使用した場合には得られない高い保形性と低い付着性(べたつき)および延びの良さ、さらに乾燥後(水分を減少または除去後)のべたつきがなく優れた艶を有する乳化物及びその製造方法に関する。
油性成分と水性成分を見かけ上合一した乳化物は様々な分野で使用されている。食品分野ではマヨネーズ、ドレッシング、クリーム、チョコレート等様々な種類がある。化粧品、医薬品分野においても油を使用したクリーム、軟膏、整髪、トリートメント等があり、化成品分野ではワックス、洗剤、芳香剤等多種多様である。乳化物はその目的により液の粘度や耐熱性、耐薬品性など多種多様のものが求められている。しかし現在においては希望するすべての物性を作りだすことはできておらず、乳化剤、乳化技術の検討が行われている。特に保形性があるにもかかわらず付着性の少ない乳化物を作ることはできていなかった。さらに乳化剤においては昨今の天然物志向の高まりにより特に食品、化粧品分野では、合成により製造された親水基と親油基を有する乳化剤よりも天然物由来のものが好まれるようになってきた。
クリームに代表される保形性を有する乳化物は医薬品、化粧品、化成品において使用されている。しかし従来の乳化剤を使用したものは保形性が不十分であったり、保形性を持たせるために増粘剤等の成分を添加すると付着性(べたつき)が出てしまい使用感が悪くなってしまうという問題があった。
これに対し特許文献1には化粧料用油性原料、水性原料、水溶性高分子化合物及びサイクロデキストリンを必須成分として配合した乳化化粧料が記載されており水溶性高分子化合物として、ペクチン、トラガントガム、ゼラチン、カゼイン、アルギン酸ナトリウム、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシプロピルエチルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、メチルセルロース、ポリアクリル酸ナトリウム、カルボキシビニルポリマーが記載されている。特許文献2にはサイクロデキストリン、油性成分、水性溶媒およびエーテル化度0.60〜0.85のカルボキシメチルセルロースナトリウムを配合した乳化組成物が記載されている。特許文献3にはシクロデキストリンと、油性成分と、粘土鉱物と、多糖増粘剤とを含むことを特徴とする乳化組成物が記載されている。多糖増粘剤としては、キサンタンガム、ムコ多糖、マルメロ抽出物、アラビアガム、ペクチン、アルギン酸ナトリウム、トラガントガム、グアールゴム、ローカストビーンゴム、寒天、カラギーナン、カロニン硫酸等が挙げられておりキサンタンガムが好ましいと記載されている。特許文献4には化粧料基材に、サイクロデキストリン及びサイクロデキストリン誘導体のうち少なくとも1種を5.0〜9.0重量%配合したことを特徴とする化粧料が記載されている。特許文献5にはシクロデキストリンおよび/またはシクロデキストリン誘導体と、油性成分と、アルキル変性カルボキシビニルポリマーとを含有することを特徴とする乳化組成物が記載されている。特許文献6にはサイクロデキストリンと多糖類を含有することを特徴とする油脂硬化剤が記載されている。
特開昭55−11527 特開昭61−133138 特開平5−192560 特開平5−194153 特開平7−241457 特開2008−285595
しかしながら特許文献1は、水溶性高分子としてペクチン、トラガントガム、ゼラチン、カゼイン、アルギン酸ナトリウム、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシプロピルエチルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、メチルセルロース、ポリアクリル酸ナトリウム、カルボキシビニルポリマーを使用した場合はべたつきが出てしまい、本発明の液だれが少なく、使用感の良い乳化組成物を得ることはできない。また実施例に示されたサイクロデキストリンはβのみであり他のデキストリンについては示されていない。特許文献2に記載された、カルボキシメチルセルロースナトリウムを配合した場合はべたつきが出てしまい、液だれが少なく、使用感の良い乳化組成物を得ることはできない。特許文献3に記載された多糖増粘剤として実施例で試験されているものはキサンタンガム、ヒアルロン酸、コンドロイチン硫酸ソーダ、アルギン酸ナトリウムのみであり、他の多糖増粘剤については記載されているのみである。また、寒天やカラギーナンなどの熱水で溶解する多糖増粘剤についてはその使用方法、乳化条件について記されていない。さらに使用感については調べられていない。特許文献4は寒天が配合されていないばかりか、乳化工程がないため油脂の乳化はおきていない。特許文献5はカルボキシビニルポリマーが配合されているためべたつきが出てしまい、本発明の液だれが少なく、使用感の良い乳化組成物を得ることはできない。特許文献6は油脂を硬化させるためにサイクロデキストリンと多糖類を併用したものであるが、食品用としてスプレッド食品、パンやケーキの添加用油脂、チョコレートなどの用途について記載されたもので医薬品、化粧品、化成品などの用途については検討されていない。
以上の目的を達成するため、本発明者らは、創意工夫を重ねた結果、使用時には水分を減少または除去させてW/O乳化物として使用する医薬品や化粧品、化成品に使用される乳化物において、水、油性成分、αサイクロデキストリン、ゲル形成成分を含有させ、20℃における粘度を50mPa・s〜100000mPa・s(測定値上限)とするか、応力を2g/cm2〜400g/cm2とすることにより、高い保形性と低い付着性(べたつき)および延びの良さを有する乳化物になり、さらにこの乳化物は乾燥後のべたつきがなく優れた艶を有することを見出した。
本発明のメカニズムについて説明する。一般的にハンドクリームなどの化粧品やワックスなどの化成品の乳化製品を作るためには乳化剤が使用されている。乳化剤はアルキル基などの疎水基にスルフォン酸基などの親水基を化学的に結合させたものである。これらの乳化剤のメカニズムは疎水基が疎水成分に入り込み、親水基が親水成分に入り込むことによりミセルを形成し、見かけ上疎水成分と親水成分を混ざり合わせている。しかしこれらの乳化剤を使用すると油感が強く、乾燥後にべたつきがでたり艶にかける。αサイクロデキストリンは疎水成分を包摂することにより疎水基をマスキングして疎水成分と親水成分が見かけ上混ざり合っている。本発明ではさらにゲル形成成分である、寒天、低強度寒天、ガラクトマンナンまたはグルコマンナンとキサンタンガムの併用、カラギーナン、ファーセレラン、ジェランガム、ネーティブ型ジェランガム、のいずれか1以上を使用することにより、乳化物に保形性を持たせさらに付着性を低減させることができる。また、乾燥後のべたつきがなく優れた艶を有することができる。
ゲル形成成分を水に溶解することにより3次元マトリックスを有するゲルを形成する。3次元マトリックスは強固な構造となるため撹拌などの乳化工程を経ても解離することがなくマトリックス粒子として存在し、そのためべたつきが生じない。よってゲル化力を持つ多糖類は水に溶解後、ゲル化させてから乳化する必要がある。3次元マトリックスを作製する前の溶液の状態で乳化工程を行っても乳化が安定せず、付着性のない乳化物は得られない。また、乳化物を乾燥させた場合でも安定した3次元マトリックスに乳化物が閉じ込められた状態で乾燥するため付着性がなく、表面が均一で安定しているため艶がある状態となる。
以下、本発明の実施形態について説明する。なお、本発明は以下に説明する部材や材料、配置等によって限定されず、これらの部材等は本発明の主旨に沿って適宜改変することができる。なお%表示は特に指定がない限り重量%である。
(サイクロデキストリン)
サイクロデキストリンは澱粉から酵素反応により生成されるブドウ糖が結合した環状オリゴ糖である。ブドウ糖が6個結合したものをαサイクロデキストリン、7個結合したものをβサイクロデキストリン、8個結合したものをγサイクロデキストリンに分類される。
これらに分岐鎖を付加した分岐サイクロデキストリンやメチル化、モノクロロトリアジノ化、ヒドロキシプロピル化などの化学修飾されたものが知られている。サイクロデキストリンはドーナツ状の構造を持ち、内側は親油性(疎水性)、外側は親水性を持つため、ユニークな性質を示す。具体的には分子内部(空洞内)に各種のゲスト分子を取り込む包接作用を有することにより油脂等の疎水基を有する物質を取り込み、見かけ上油脂を水と混ぜ合わせることができる。本発明においては水への溶解度が高く、空洞の内径が小さいαサイクロデキストリン及びその化合物が油脂を取り込む能力が高く好ましい。βサイクロデキストリンは溶解度が低いため油脂を取り込む能力が低く、γサイクロデキストリンは空洞の内径が大きいため油脂を取り込んだ後の安定性が低い。αサイクロデキストリンの使用量は最終製品に対して0.1〜10.0%が好ましく0.3〜7%がさらに好ましく、1.0〜5.0%が特に好ましい。αサイクロデキストリンの使用量が0.1%より少ないと充分な乳化効果が得られず、10.0%より多いと保形性が高すぎて作業性が悪くなる。
(ゲル形成成分)
本発明に使用されるゲル形成成分は、寒天、低強度寒天(1.5重量%ゲル強度が3〜250g/cm2)、ガラクトマンナンまたはグルコマンナンとキサンタンガムの併用、カラギーナン、ファーセレラン,ジェランガム、ネーティブ型ジェランガム、のいずれか1以上が好ましい。キサンタンガムは、例えば特開平10−33125号の記載に基づいて製造された高粘性キサンタンガムでも良い。これらのゲル形成成分の中でも低強度寒天、ネーティブジェランガムが特に滑らかな乳化物を形成するため好ましい。ゲル形成成分は、水に加熱溶解し冷却することにより3次元マトリックスを有するゲルを形成する。3次元マトリックスは強固な構造となるため撹拌などの乳化工程を経ても解離することがなくミクロゲル状態となっているためべたつきが生じない。よってゲル化力を持つ多糖類は水に溶解後、ゲル化させて3次元マトリックスを形成させた状態のものを用いて乳化する必要がある。3次元マトリックスを作製する前の溶液の状態で乳化工程を行っても乳化が安定せず、付着性のない乳化組成物は得られない。油性成分がαサイクロデキストリンに包接された複合物の状態でゲル形成成分のミクロゲルに覆われているため、安定した、付着性がない乳化組成物となり保形性が保たれるのである。また、乳化組成物を乾燥させた場合でも安定した3次元マトリックスに乳化組成物が閉じ込められた状態で乾燥されるため付着性がなく、表面が均一で安定しているため艶がある状態となる。ゲル形成能力のない成分では3次元マトリックス構造とならないためミクロゲルを作らず乳化物が安定しないばかりか付着性も強くなってしまう。乳化物を乾燥させた場合でも3次元マトリックスに乳化物が閉じ込められていないため付着性が強く、さらに油性成分が分離しやすいため表面が均一とならず安定していないため艶が得られない。本発明に使用するゲル形成成分の使用濃度は最終製品に対し0.05〜5.0%が好ましく、0.2〜3.0%がさらに好ましい。0.05%より少ないと3次元マトリックスを形成する能力が弱く乳化物にべた付きが生じてしまい、また乾燥したときの艶が得られない。5.0%より多いと3次元マトリックス構造が強固過ぎて油性成分とαサイクロデキストリン複合物を閉じ込めることができない。このため乳化物は安定せず分離が生じやすい。また乾燥したときの艶が得られない。
(油性成分)
本発明に使用される油性成分としては化粧品や化成品、医薬品、食品に使用される油性成分であれば良く特に限定されない。例えば、大豆油、菜種油、コーン油、ゴマ油、オリーブ油、ヒマワリ油、パーム油、パーム核油、米油、アボガド油、アマニ油、アーモンド油、小麦胚芽油、サフラワー油、月見草油、ヒマシ油、馬油、ホホバ油、マカデミアナッツ油、ヤシ油、落花生油、ラノリンなどの天然物由来のものやスクワラン、スクワレン、流動パラフィン、ワセリン、エステル油、シリコーン油、などが挙げられる。油性成分の添加量は最終製品に対し、3%〜80%が好ましく、10〜70%がさらに好ましい。3%より少ないと乳化物としての効果に劣り、80%より多いと油脂の包接が不完全となり乳化が安定しない。
(乳化組成物の製造方法)
本発明の乳化組成物の作製方法としては、αサイクロデキストリンとゲル形成成分を水に溶解して形成させたゲルに油性成分を加え乳化させるか、ゲル形成成分を水に溶解して形成させたゲルにαサイクロデキストリンと油性成分を加え乳化させることが好ましい。重要となることはゲル形成成分を水に溶解後ゲル化した状態で乳化工程を行うことである。その理由は、ゲル形成成分は水に溶解し冷却することにより強固な構造を持つ3次元マトリックスのゲルを形成し、撹拌などの乳化工程を経ても解離することがなく、そのため安定したべたつきがない乳化組成物が得られるためである。3次元マトリックスを作製する前の溶液の状態で乳化工程を行っても乳化が安定せず、付着性のない乳化組成物は得られない。
(乳化工程)
本発明の乳化組成物を作製するための乳化方法は一般的に行われるものでよく、水相と油相を混合後にホモミキサー、ゴーリンなどの衝撃型、コロイドミル、膜乳化などがあるが特に限定されるものでない。
(添加物)
本発明では本発明の物性に影響を与えない範囲で添加物を加えることができる。添加物としては糖質、タンパク質、ペプチド、アミノ酸、ビタミン、ミネラル、ポリフェノール、機能性成分、色素、香料、防腐剤、アルコール等が挙げられる。さらに乳化剤を併用してもかまわない。糖質としては、ブドウ糖、加糖などの単糖、麦芽糖、ショ糖、乳糖、トレハロースなどの2糖、マルトオリゴ糖、ガラクトオリゴ糖、アガロオリゴ糖、キシロオリゴ糖などのオリゴ糖、エリスリトール、ソルビトール、マルチトール、パラチノースなどの還元糖などが挙げられる。タンパク質としては植物由来のものでも動物由来のものでもどちらでもかまわない。ペプチドとしてはコラーゲンペプチドやカゼインフォスフォペプチドなどがある。その他、アミノ酸、ビタミン、ミネラル、ポリフェノール、機能性成分、色素、香料、防腐剤、アルコール、乳化剤は一般的に使用されているものであれば良い。
(評価方法)
本発明の乳化組成物の物性は、乳化性(乳化のしやすさ)、乳化の状態(分離、保存性)、べたつき感(付着性)、保形性、延び、乾燥した時の艶や質感などが挙がられる。乳化性は乳化時の状態の観察により、乳化の状態は目視により、べたつき感および延びは乳化物を触った時の官能検査により、乾燥した時の艶や質感は官能検査や実体顕微鏡による観察で乳化系の評価は顕微鏡観察で調べることができる。保形性は目視や乳化組成物の粘度または応力を測定することにより調べることができる。具体的にはB型粘度計で粘度を測定するが粘性が高すぎて測定できない場合はテクスチャーアナライザー等で応力を測定する。応力が測定下限値となり測定できない場合は粘度を測定する。乳化組成物の好ましい保形性は、20℃における粘度が50mPa・s〜100000mPa・s(測定値上限)であるか、応力が2g/cm2〜400g/cm2であることが好ましい。粘度が50mPa・sより低いと液ダレが激しいため使用しにくく、また乳化が安定しない。応力が400g/cm2より大きいと保形性が高すぎて作業性が悪くなり、さらに油性成分の分離が生じる。応力が2g/cm2より小さいと粘度が50mPa・sより低い時と同様となる。
以下に実施例を示して本発明を更に具体的に説明するが本発明はこれらの実施例によって限定されるものではない。
実施例及び比較例に用いた主たる原料等は、以下の通りである。
αサイクロデキストリン:シクロケム社
βサイクロデキストリン:シクロケム社
γサイクロデキストリン:シクロケム社
メチル化αサイクロデキストリン:シクロケム社
寒天A:伊那寒天UP−37(伊那食品工業社製)
寒天B:ウルトラ寒天イーナ(低強度寒天 伊那食品工業社製)
カラギーナン:イナゲルE−150(伊那食品工業社製)
ファーセレラン:(伊那食品工業社製)
ジェランガム:ケルコゲル(CPケルコ社製)
ネーティブ型ジェランガム:LT−100(CPケルコ社製)
グアーガム:イナゲルGR−10(伊那食品工業社製)
タラガム:イナゲルタラガムA(伊那食品工業社製)
ローカストビーンガム:イナゲルL−15(伊那食品工業社製)
グルコマンナン:マンナン100(伊那食品工業社製)
キサンタンガムA:イナゲルV−10(伊那食品工業社製)
キサンタンガムB:イナゲルV−7(高粘性タイプ 伊那食品工業社製)
デンプン:マツノリンSM(α化 松谷化学工業社製)
タマリンドガム:グリロイド3S(DSP五協フード&ケミカル社製)
ペクチン:イナゲルJP−10(伊那食品工業社製)
アルギン酸ナトリウム:イナゲルGS−70(伊那食品工業社製)
ゼラチン:イナゲルA−81P(伊那食品工業社製)
(実験例1)
ゲル形成成分の検討
(実施例1〜11,比較例1〜11)
表1及び表2に示した配合にて乳化物1000gを作製した。具体的には、水にαサイクロデキストリンとゲル形成成分または比較例としてゲルを形成しないハイドロコロイドを加え加熱溶解した後20℃に冷却した。これに大豆油を加え乳化機(TKホモミキサー、マークII fモデル特殊機械社製、20℃、3000rpm、2分、)にて乳化を行った。作製した乳化物について、乳化性(乳化のしやすさ)、乳化の状態(分離、保存性)、べたつき感(付着性)、保形性、延び、乾燥した時の艶や質感、乳化系(O/WかW/Oか乳化破壊され油が分離しているか)を調べ結果を表3及び表4に記載した。なお、評価基準は下記の通りとし、官能検査は10名のパネラーにより評価した。また、ゲル形成成分およびゲルを形成しないハイドロコロイドを含まない比較例11を同様にして作製した。
乳化性:乳化作業時の乳化のしやすさを作業者がA,B,Cの基準で判定した。
A:容易に乳化した
B:Aよりは乳化性が悪いが問題ない程度であった
C:乳化し難かった
乳化の状態:目視により乳化作業直後(10分後)の分離の有無と50℃で24時間放置した時の分離の有無(保存性)をA,B,Cの基準で確認した。
A:乳化直後の分離はなく保存性良好
B:乳化直後の分離はないが保存性悪い
C:乳化直後に分離が発生した
べたつき感(付着性):乳化物1gを皮膚に延ばした時のべたつき感を官能検査により測定しA,B,Cの基準で示した。
A:べたつき感が少ない
B:Aよりべたつき感があるが問題ない程度である
C:べたつき感を感じる
延び:乳化物1gを皮膚に延ばした時の延び具合を官能検査により測定しA,B,Cの基準で示した。
A:べたつかず延びがあり塗りやすい
B:Aより延びは劣るがべたつかず塗りやすい
C:延びが悪く塗りにくい
保形性:B型粘度計(ビスメトロンVS−A、芝浦システム社製)を用いて20℃における乳化物の粘度を測定した。使用ローターと適用ローター回転数は粘度値により、最適なローターと回転数(測定可能範囲であり、かつより高い実測値を読み取れるローター)を選択した。B型粘度計の測定上限(100000mPa・s)を超え測定不能のものはテクスチャーアナライザー(Tx PLUS英弘精機社製、プランジャー:断面積1cm2の円柱、進入速度20mm/分)を使用して20℃における応力を測定した。応力は、乳化物を直径50mm、高さ20mmの円形シャーレに充填し、進入距離15mmまでにおける最高値を採用した。
乾燥した時の艶や質感:乳化物10gを20cm×20cmのステンレス板に均一に塗布し40℃で1時間乾燥した。これの艶を目視で観察(官能検査)し、質感を触手で観察(官能検査)した。またデジタルマイクロスコープ(VHX−5000,キーエンス社製)を使用して表面を観察した。各評価基準は下記の通りとした。

A:艶がある
B:Aより劣るが艶がある
C:艶に欠ける
質感
A:非常に滑らか
B:滑らか
C:滑らかさに欠ける
実体顕微鏡観察
A:滑らかで均一な表面
B:極一部に不均一箇所があるが全体的には均一な表面
C:均一さに欠ける
D:均一さに欠け、油のにじみが観察される
乳化系の確認:デジタルマイクロスコープ(KH−7700、HiRox Japan)により乾燥前と乾燥後の状態を確認した。評価は下記で記載した。
O/W(水中油型) :W
W/O(油中水型) :O
乳化破壊し油が分離 :D
以上のように、実施例1乃至11の乳化物は安定であり、べたつき感がなく、延びが良く、保形性が良好であり、乾燥後においても油の滲みがなく艶があり、質感も良好であった。
(実験例2)
サイクロデキストリンの種類
(実施例12〜13,比較例12〜13)
表5及び表6に示した配合にて乳化物1000gを作製した。具体的には、水に各種サイクロデキストリンと寒天Bを加え加熱溶解した後20℃に冷却しゲル化させた。これに菜種油を加え乳化機(TKホモミキサー、マークII fモデル特殊機械社製、20℃、3000rpm、2分、)にて乳化を行った。作製した乳化物について実験例1と同様にして物性を測定し表7及び表8に示した。
以上のように、αサイクロデキストリン及びその誘導体を使用した実施例の乳化物は安定であり、べたつき感がなく、延びが良く、保形性が良好であり、乾燥後においても油の滲みがなく艶があり、質感も良好であった。
(実験例3)
ゲル形成成分の添加量
(実施例14〜18)
表9及び表10に示した配合にて乳化物1000gを作製した。具体的には、水にゲル形成成分として寒天Bを加え加熱溶解した後20℃に冷却しゲル化させた。これにαサイクロデキストリンと菜種油を加え乳化機(TKホモミキサー、マークII fモデル特殊機械社製、20℃、3000rpm、2分、)にて乳化を行った。作製した乳化物について実験例1と同様にして物性を測定し表11及び表12に示した。
以上のように、ゲル形成成分が0.05%〜5.0%配合された乳化物は安定であり、べたつき感がなく、延びが良く、保形性が良好であり、乾燥後においても油の滲みがなく艶があり、質感も良好であった。
(実験例4)
サイクロデキストリン添加量
(実施例19〜23)
表13及び表14に示した配合にて乳化物1000gを作製した。具体的には、水にネーティブ型ジェランガムとαサイクロデキストリンを加え加熱溶解した後20℃に冷却しゲル化させた。これにコーン油を加え乳化機(TKホモミキサー、マークII fモデル特殊機械社製、20℃、3000rpm、2分、)にて乳化を行った。作製した乳化物について実験例1と同様にして物性を測定し表15及び表16に示した。
以上のように、αサイクロデキストリンが0.1%〜10.0%配合された乳化物は安定であり、べたつき感がなく、延びが良く、保形性が良好であり、乾燥後においても油の滲みがなく艶があり、質感も良好であった。
(実験例5)
油脂の添加量
(実施例24〜28)
表17及び表18に示した配合にて乳化物1000gを作製した。具体的には、水にジェランガムとクエン酸カルシウムとαサイクロデキストリンを加え加熱溶解した後20℃に冷却しゲル化させた。これにパーム油を加え乳化機(TKホモミキサー、マークII fモデル特殊機械社製、20℃、3000rpm、2分、)にて乳化を行った。作製した乳化物について実験例1と同様にして物性を測定し表19及び表20に示した。
以上のように、コーン油が3%〜80%配合された乳化物は安定であり、べたつき感がなく、延びが良く、保形性が良好であり、乾燥後においても油の滲みがなく艶があり、質感も良好であった。
(実験例6)
油脂の種類
(実施例29〜33)
表21及び表22に示した配合にて乳化物1000gを作製した。具体的には、水にローカストビーンガムとキサンタンガムBとαサイクロデキストリンを加え加熱溶解した後20℃に冷却しゲル化させた。これに油成分を加えホモミキサーで予備乳化後(3000rpm、1分)、乳化機(マントンゴーリン、200kg/cm2,20℃)にて乳化を行った。作製した乳化物について実験例1と同様にして物性を測定し表23及び表24に示した。
以上のように、種類の異なる油成分を使用しても乳化物は安定であり、べたつき感がなく、延びが良く、保形性が良好であり、乾燥後においても油の滲みがなく艶があり、質感も良好であった。
(実験例7)
(実施例34,比較例14)
表25に示した配合にて保湿クリームを1000g作製した。具体的には水に寒天Bとαサイクロデキストリンを90℃にて加熱溶解し20℃に冷却しゲル化させた。これにホホバ油、グリセリン、尿素を加え、乳化機(TKホモミキサー、マークII fモデル特殊機械社製、20℃、3000rpm、2分、)にて乳化を行った。作製した乳化物について実験例1と同様にして物性を測定し表26及び表27に示した。なお、寒天Bを添加していない比較例14についても同様にして試験した。
以上のように実施例34の保湿クリームは物性にすぐれていた。
(実験例7)
(実施例35,比較例15)
表28に示した配合にて消炎鎮痛クリーム剤を500g作製した。具体的には水に寒天Aとαサイクロデキストリンを95℃にて加熱溶解し20℃に冷却しゲル化させた。これにパーム油、グリセリン、エタノールに溶解したl-メントール、ビタミンB1、インドメタシンを加え、乳化機(TKホモミキサー、マークII fモデル特殊機械社製、20℃、3000rpm、2分、)にて乳化を行った。作製した乳化物について実験例1と同様にして物性を測定し表29及び表30に示した。なお、寒天Aを添加していない比較例15についても同様にして試験した。
以上のように実施例35の消炎鎮痛クリーム剤は物性にすぐれていた。
(実験例8)
(実施例36,比較例16)
表31に示した配合にてワックス剤を500g作製した。具体的には水に寒天Bとαサイクロデキストリンを90℃にて加熱溶解し、20℃に冷却しゲル化させた。これに流動パラフィンを加え、乳化機(TKホモミキサー、マークII fモデル特殊機械社製、20℃、3000rpm、2分、)にて乳化を行った。作製した乳化物について実験例1と同様にして物性を測定し表32及び表33に示した。なお、寒天Aを添加していない比較例16についても同様にして試験した。
以上のように実施例36のワックス剤は物性にすぐれていた。

Claims (4)

  1. 水、油性成分、αサイクロデキストリン、及びゲル形成成分として寒天、低強度寒天(1.5重量%ゲル強度が3〜250g/cm2)、ガラクトマンナンまたはグルコマンナンとキサンタンガムの併用、カラギーナン、ファーセレラン,ジェランガム、ネーティブ型ジェランガムのいずれか1以上を含有し、20℃における粘度が50mPa・s〜100000mPa・s(測定値上限)であるか、応力が2g/cm2〜400g/cm2であることを特徴とする乳化組成物。
  2. 水分を減少または除去させてW/O乳化物として使用されることを特徴とする請求項1の乳化組成物。
  3. αサイクロデキストリンと上記ゲル形成成分を水に溶解して形成させたゲルに油性成分を加え乳化させるか、上記ゲル形成成分を水に溶解して形成させたゲルにαサイクロデキストリンと油性成分を加え乳化させることを特徴とする請求項1乃至2の乳化組成物の製造方法。
  4. 請求項1乃至2の乳化組成物を使用した医薬品、化粧品、化成品
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* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP6490322B1 (ja) * 2018-09-27 2019-03-27 Dsp五協フード&ケミカル株式会社 ゲル化エアゾール製品及びゲル形成キット
WO2022064997A1 (ja) * 2020-09-28 2022-03-31 ハウスウェルネスフーズ株式会社 皮膚用乳化組成物
WO2023112833A1 (ja) * 2021-12-17 2023-06-22 株式会社 資生堂 油中水型化粧料
WO2023182488A1 (ja) * 2022-03-25 2023-09-28 ハウスウェルネスフーズ株式会社 乳化組成物

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