以下、本発明の実施の形態について、図面を参照して詳細に説明する。
[構成例]
(全体構成例)
図1は、本発明の一実施の形態に係る電源装置を有する画像形成装置(画像形成装置1)の一構成例を表すものである。画像形成装置1は、例えば普通用紙等からなる記録媒体に対して、電子写真方式を用いて画像を形成するプリンタとして機能するものである。
画像形成装置1は、ホッピングローラ11と、レジストローラ12と、媒体センサ13と、4つの現像部20(20C,20M,20Y,20K)と、4つのトナー収容部29(29C,29M,29Y,29K)と、4つの露光ヘッド16(16C,16M,16Y,16K)と、転写部30と、定着部40とを備えている。これらの部材は、記録媒体9を搬送する搬送路10に沿って配置されている。
ホッピングローラ11は、着脱可能に構成された給紙カセット8に収納されている記録媒体9をその最上部から1枚ずつ取り出し、取り出した記録媒体9を搬送路10に送り出す部材である。ホッピングローラ11は、ホッピングモータ11T(後述)から伝達された動力により回転するようになっている。
レジストローラ12は、搬送路10を挟む1対のローラにより構成される部材であり、ホッピングローラ11から供給された記録媒体9の斜行を矯正するとともに、搬送路10に沿って記録媒体9を現像部20に導くものである。レジストローラ12は、レジストモータ12T(後述)から伝達された動力により回転するようになっている。
媒体センサ13は、接触または非接触により、記録媒体9の通過を検出するものである。
現像部20は、トナー像を形成するものである。具体的には、現像部20Cは、シアン色(C)のトナー像を形成するものであり、現像部20Mは、マゼンタ色(M)のトナー像を形成するものであり、現像部20Yは、黄色(Y)のトナー像を形成するものであり、現像部20Kは、黒色(K)のトナー像を形成するものである。この例では、各現像部20は、記録媒体9の搬送方向Fにおいて、現像部20K,20Y,20M,20Cの順に配置されている。各現像部20は、着脱可能に構成されている。
トナー収容部29Cは、シアン色(C)のトナーを収容するものであり、現像部20Cに着脱可能に構成されている。同様に、トナー収容部29Mは、マゼンタ色(M)のトナーを収容するものであり、現像部20Mに着脱可能に構成され、トナー収容部29Yは、黄色(Y)のトナーを収容するものであり、現像部20Yに着脱可能に構成され、トナー収容部29Kは、黒色(K)のトナーを収容するものであり、現像部20Kに着脱可能に構成されている。
図2は、現像部20の一構成例を表すものである。なお、この図では、現像部20に加え、トナー収容部29をも描いている。現像部20は、感光ドラム21と、帯電ローラ22と、クリーニングブレード23と、現像ローラ24と、現像ブレード25と、供給ローラ26とを有している。
感光ドラム21は、表面(表層部分)に静電潜像を担持する部材であり、感光体を用いて構成されるものである。感光ドラム21は、ドラムモータ20T(後述)から伝達された動力により、この例では右回りで回転する。感光ドラム21は、帯電ローラ22により帯電する。そして、現像部20Cの感光ドラム21は、露光ヘッド16Cにより露光され、現像部20Mの感光ドラム21は、露光ヘッド16Mにより露光され、現像部20Yの感光ドラム21は、露光ヘッド16Yにより露光され、現像部20Kの感光ドラム21は、露光ヘッド16Kにより露光される。このようにして、各感光ドラム21の表面には、静電潜像が形成されるようになっている。
帯電ローラ22は、感光ドラム21の表面(表層部分)を帯電させる部材である。帯電ローラ22は、感光ドラム21の表面(周面)に接するように配置されるとともに、所定の押し付け量で感光ドラム21に押し付けられように配置されている。帯電ローラ22は、感光ドラム21の回転に応じて、この例では左回りで回転する。帯電ローラ22には、高圧電源部55(後述)により帯電電圧が印加されるようになっている。
クリーニングブレード23は、感光ドラム21の表面(表層部分)に残留するトナーを掻き取ってクリーニングする部材である。このクリーニングブレード23は、感光ドラム21の表面に対してカウンタで(感光ドラム21の回転方向に対して逆向きで突出して)当接するように配置されるとともに、所定の押し付け量で感光ドラム21に押し付けられように配置されている。
現像ローラ24は、トナーを表面に担持する部材である。この現像ローラ24は、感光ドラム21の表面(周面)に接するように配置されるとともに、所定の押し付け量で感光ドラム21に押し付けられように配置されている。現像ローラ24は、ドラムモータ20T(後述)から伝達された動力により、この例では左回りで回転する。各感光ドラム21では、現像ローラ24から供給されたトナーにより、静電潜像に応じたトナー像が形成(現像)される。現像ローラ24には、高圧電源部55(後述)により現像電圧が印加されるようになっている。
現像ブレード25は、現像ローラ23の表面に当接することにより、この現像ローラ23の表面にトナーからなる層(トナー層)を形成させるとともに、そのトナー層の厚さを規制(制御,調整)する部材である。現像ブレード25は、例えば、ステンレス等からなる板状弾性部材をL字形状に折り曲げたものである。現像ブレード25は、その折れ曲がった部分が現像ローラ24の表面に当接するように配置されるとともに、所定の押し付け量で現像ローラ24に押し付けられように配置されている。現像ブレード25には、高圧電源部55(後述)により供給電圧が印加されるようになっている。
供給ローラ26は、トナー収容部29内に貯蔵されたトナーを、現像ローラ24に対して供給する部材である。この供給ローラ26は、現像ローラ24の表面(周面)に接するように配置されるとともに、所定の押し付け量で現像ローラ24に押し付けられように配置されている。供給ローラ26は、ドラムモータ20T(後述)から伝達された動力により、この例では左回りで回転する。これにより、各現像部20では、供給ローラ26の表面と現像ローラ24の表面との間には摩擦が生じる。その結果、各現像部20では、トナーが、いわゆる摩擦帯電により帯電するようになっている。供給ローラ26には、高圧電源部55(後述)により供給電圧が印加されるようになっている。
露光ヘッド16C(図1)は、現像部20Cの感光ドラム21(後述)に対して光を照射する部材であり、露光ヘッド16Mは、現像部20Mの感光ドラム21に対して光を照射する部材であり、露光ヘッド16Yは、現像部20Yの感光ドラム21に対して光を照射する部材であり、露光ヘッド16Kは、現像部20Kの感光ドラム21に対して光を照射する部材である。これにより、これらの感光ドラム21は、露光ヘッド16C,16M,16Y,16Kにより露光され、感光ドラム21の表面に、静電潜像が形成されるようになっている。
転写部30は、4つの現像部20C,20M,20Y,20Kにより形成されたトナー像を、記録媒体9の被転写面上に転写する部材である。転写部30は、転写ローラ31C,31M,31Y,31Kと、転写ベルト32と、駆動ローラ33と、従動ローラ34とを有している。
転写ローラ31Cは、搬送路10を介して現像部20Cの感光ドラム21に対向配置されており、転写ローラ31Mは、搬送路10を介して現像部20Mの感光ドラム21に対向配置されており、転写ローラ31Yは、搬送路10を介して現像部20Yの感光ドラム21に対向配置されており、転写ローラ31Kは、搬送路10を介して現像部20Kの感光ドラム21に対向配置されている。転写ローラ31C,31M,31Y,31Kのそれぞれには、高圧電源部55(後述)により転写電圧が印加されるようになっている。
転写ベルト32は、搬送路10に沿って記録媒体9を搬送するものである。転写ベルト32は、駆動ローラ33および従動ローラ34によって張設(張架)されている。そして、転写ベルト32は、駆動ローラ33の回転に応じて、搬送方向Fの方向に循環回転するようになっている。その際、転写ベルト32は、現像部20Cと転写ローラ31Cとの間、現像部20Mと転写ローラ31Mとの間、現像部20Yと転写ローラ31Yとの間、および現像部20Kと転写ローラ31Kとの間を移動するようになっている。
駆動ローラ33は、転写ベルト32を循環回転させるものである。この例では、駆動ローラ33は、搬送方向Fにおいて、4つの現像部20の下流側に配置され、ベルトモータ33T(後述)から伝達された動力により、この例では左回りで回転する。これにより、駆動ローラ33は、転写ベルト32を搬送方向Fの方向へ循環回転させるようになっている。
従動ローラ34は、転写ベルト32の循環回転に応じて、この例では左回りで従動回転するものである。この例では、従動ローラ34は、搬送方向Fにおいて、4つの現像部20の上流側に配置されている。
クリーニングブレード14は、転写ベルト31の被転写面に残留するトナーを掻き取ってクリーニングする部材である。そして、掻き取られたトナーは、クリーナ容器15に収容されるようになっている。
定着部40は、記録媒体9に対し熱および圧力を付与することにより、記録媒体9上に転写されたトナー像を記録媒体9に定着させる部材である。定着部40は、ヒートローラ41と、加圧ローラ43と、サーミスタ44とを有している。ヒートローラ41は、その内部に2つのヒータ42A,42Bを含んで構成されており、記録媒体9上のトナーに対して熱を付与する部材である。ヒータ42A,42Bは、例えば、ハロゲンヒータを用いることができる。なお、これに限定されるものではなく、これに代えて、例えばセラミックヒータなどを用いてもよい。加圧ローラ43は、ヒートローラ41との間に圧接部が形成されるように配置されており、記録媒体9上のトナーに対して圧力を付与する部材である。ヒートローラ41および加圧ローラ43は、ヒータモータ40T(後述)から伝達された動力により回転するようになっている。サーミスタ44は、定着部40の温度を検出するものである。これにより、定着部40では、記録媒体9上のトナーが、加熱され、融解し、加圧される。その結果、トナー像が記録媒体9上に定着するようになっている。
画像形成装置1では、このようにして、記録媒体9に対して印刷が行われる。そして、印刷された記録媒体9は、媒体ガイド17により、搬送路10に沿って搬送され、排紙トレイ18上に積載されるようになっている。
(画像形成装置1の制御機構)
図3は、画像形成装置1における制御機構の一例を表すものである。画像形成装置1は、インタフェース部51と、画像処理部52と、露光制御部53と、表示部54と、高圧電源部55と、低圧電源部60と、プリンタエンジン制御部59とを有している。
インタフェース部51は、例えば、図示しないホストコンピュータから、例えばPDL(Page Description Language)等により記述された印刷データを受け取るとともに、このホストコンピュータとの間で各種制御信号のやりとりを行うものである。
画像処理部52は、印刷データを受け取ったことをプリンタエンジン制御部59に通知するとともに、プリンタエンジン制御部59からの指示に基づいて、インタフェース部51から供給された印刷データに基づいて所定の処理を行うことによりビットマップデータを生成するものである。
露光制御部53は、プリンタエンジン制御部59からの指示、および画像処理部52から供給されたビットマップデータに基づいて、露光ヘッド16C,16M,16Y,16Kの動作を制御するものである。
表示部54は、画像形成装置1の動作状態などを表示するものであり、例えば、液晶ディスプレイを用いて構成されるものである。
高圧電源部55は、プリンタエンジン制御部59からの指示に基づいて、現像部20C,20M,20Y,20Kの帯電ローラ22に印加する帯電電圧をそれぞれ生成し、現像部20C,20M,20Y,20Kの現像ローラ24に印加する現像電圧をそれぞれ生成し、現像部20C,20M,20Y,20Kの供給ローラ26に印加する供給電圧をそれぞれ生成し、転写ローラ32C,32M,32Y,32Kに印加する転写電圧をそれぞれ生成するものである。
低圧電源部60は、プリンタエンジン制御部59からの指示に基づいて、定着部40のヒータ42A,42Bに電力を供給するものである。この低圧電源部60については、後ほど詳細に説明する。
プリンタエンジン制御部59は、画像形成装置1の各ブロックを制御するものである。具体的には、プリンタエンジン制御部59は、画像処理部52を制御することにより、印刷データに基づいてビットマップデータを生成させる。そして、プリンタエンジン制御部59は、低圧電源部60を制御することにより、定着部40のヒータ42A,42Bに電力を供給させるとともに、サーミスタ44における検出結果に基づいてヒータ42A,42Bに供給する電力を調節する。そして、プリンタエンジン制御部59は、ホッピングモータ11Tを制御することによりホッピングローラ11を回転させ、レジストモータ12Tを制御することによりレジストローラ12を回転させ、ドラムモータ20Tを制御することにより現像部20C,20M,20Y,20K内の感光ドラム21、現像ローラ24、および供給ローラ26をそれぞれ回転させ、ベルトモータ33Tを制御することにより駆動ローラ106を回転させ、ヒータモータ40Tを制御することによりヒートローラ41および加圧ローラ43を回転させる。また、プリンタエンジン制御部59は、媒体センサ13における検出結果に基づいて、高圧電源部55を制御することにより各種電圧を生成させる。そして、プリンタエンジン制御部59は、露光制御部53の動作を制御することにより露光ヘッド16C,16M,16Y,16Kを動作させる。また、プリンタエンジン制御部59は、表示部54を制御することにより、画像形成装置1の動作状態などを表示させるようになっている。
プリンタエンジン制御部59は、低圧電源部60を制御する際、低圧電源部60に対してヒータ制御信号HA,HBを供給するとともに、低圧電源部60からレディ信号RDYを受け取る。ヒータ制御信号HAは、ヒータ42Aに対する電力の供給を指示するものであり、ヒータ制御信号HBは、ヒータ42Bに対する電力の供給を指示するものである。レディ信号RDYは、低圧電源部60がヒータ42A,42Bに対して電力を供給する準備ができていることを通知するものである。
(低圧電源部60)
図4は、低圧電源部60の一構成例を表すものである。この図では、低圧電源部60に加え、商用電源99、ヒータ42A,42B、およびプリンタエンジン制御部59をも描いている。低圧電源部60は、商用電源99から供給される交流信号Sac1に基づいて、交流信号Sac2A,Sac2Bを生成し、交流信号Sac2Aをヒータ42Aに供給するとともに、交流信号Sac2Bをヒータ42Bに供給するものである。この例では、商用電源99から供給される交流信号Sac1の周波数は50Hzであり、実効値は100Vrmsである。なお、これに限定されるものではなく、周波数は、例えば60Hzであってもよい。また、実効値は、例えば80Vrms〜260Vrmsの範囲内の任意の値にすることができる。低圧電源部60は、力率改善回路(Power Factor Correction回路)100と、ゼロクロス検出回路200と、DC−DCコンバータ61と、DC−ACインバータ62とを有している。
(力率改善回路100)
力率改善回路100は、交流信号Sac1に基づいて信号Sdc390を生成するものである。信号Sdc390の電圧は、この例では390Vである。なお、この電圧に限定されるものではなく、390V以外の電圧であってもよい。以下に、力率改善回路100について詳細に説明する。
図5は、力率改善回路100の一構成例を表すものである。力率改善回路100は、ヒューズ91およびコモンモードコイル92を介して商用電源99と接続されている。具体的には、商用電源99の一端はコンデンサ93の一端およびコモンモードコイル92の第1の巻線の一端に接続され、他端はヒューズ91の一端に接続されている。ヒューズ91の一端は商用電源99の他端に接続され、他端はコンデンサ93の他端およびコモンモードコイル92の第2の巻線の一端に接続されている。コンデンサ93は、いわゆるアクロスザラインコンデンサ(Xコンデンサ)であり、一端は商用電源99の一端およびコモンモードコイル92の第1の巻線の一端に接続され、他端はヒューズ91の他端およびコモンモードコイル92の第2の巻線の一端に接続されている。コモンモードコイル92の第1の巻線の一端は商用電源99の一端およびコンデンサ93の一端に接続され、他端はコンデンサ94の一端およびコンデンサ96の一端に接続されるとともに、力率改善回路100およびゼロクロス検出回路200に接続されている。コモンモードコイル92の第2の巻線の一端はヒューズ91の他端およびコンデンサ93の他端に接続され、他端はコンデンサ95の一端およびコンデンサ96の他端に接続されるとともに、力率改善回路100およびゼロクロス検出回路200に接続されている。コンデンサ94,95は、いわゆるラインバイパスコンデンサ(Yコンデンサ)である。コンデンサ94の一端はコモンモードコイル92の第1の巻線の他端およびコンデンサ96の一端に接続され、他端は接地されている。コンデンサ95の一端はコモンモードコイル92の第2の巻線の他端およびコンデンサ96の他端に接続され、他端は接地されている。コンデンサ96は、いわゆるアクロスザラインコンデンサ(Xコンデンサ)であり、一端はコモンモードコイル92の第1の巻線の他端およびコンデンサ94の一端に接続され、他端はコモンモードコイル92の第2の巻線の他端およびコンデンサ95の一端に接続されている。コモンモードコイル92およびコンデンサ93〜96は、いわゆるコモンモードフィルタを構成するものである。
力率改善回路100は、ブリッジダイオード101と、スイッチング回路110,120と、ダイオード102,103と、電解コンデンサ104と、抵抗素子105〜108と、ダイオード131,132と、抵抗素子133,134と、コンデンサ135と、抵抗素子136,137と、制御回路140とを有している。力率改善回路100には、DC−DCコンバータ400B(後述)から、端子T191を介して、信号Sdc15B,Sdc0Bが供給される。この信号Sdc15Bの電圧は、信号Sdc0Bの電圧よりも15V高いものである。また、力率改善回路100は、端子T192を介して、信号Sdc390,Sdc0Bを出力するようになっている。
ブリッジダイオード101は、コモンモードコイル92から出力される交流信号に対して全波整流を行うものである。ブリッジダイオード101の第1のダイオードのカソードおよび第2のダイオードのアノードは、コモンモードコイル92の第1の巻線の他端に接続され、ブリッジダイオード101の第3のダイオードのカソードおよび第4のダイオードのアノードは、コモンモードコイル92の第2の巻線の他端に接続されている。ブリッジダイオード101の第1のダイオードのアノードおよび第3のダイオードのアノードには信号Sdc0Bが供給されている。ブリッジダイオード101の第2のダイオードのカソードおよび第4のダイオードのカソードには、スイッチング回路110,120が接続されている。
スイッチング回路110は、ゲートドライブ信号GD1に基づいてスイッチング動作を行うものである。
図6は、スイッチング回路110の一構成例を表すものである。スイッチング回路110は、抵抗素子114,115と、NPNトランジスタ116と、PNPトランジスタ117と、抵抗素子118,119と、インダクタ111と、絶縁ゲートバイポーラトランジスタ(IGBT)112と、ダイオード112Dと、抵抗素子113とを有している。なお、図5では、これらの素子のうち、インダクタ111、IGBT112、抵抗素子113を描いている。
抵抗素子114の一端にはゲートドライブ信号GD1が供給され、他端はNPNトランジスタ116のベースおよびPNPトランジスタ117のベースに接続されている。抵抗素子115の一端には信号Sdc15Bが供給され、他端はNPNトランジスタ116のコレクタに接続されている。NPNトランジスタ116のコレクタは抵抗素子115の他端に接続され、ベースは抵抗素子114の他端およびPNPトランジスタ117のベースに接続され、エミッタはPNPトランジスタ117のエミッタおよび抵抗素子118の一端に接続されている。PNPトランジスタ117のエミッタはNPNトランジスタ116のエミッタおよび抵抗素子118の一端に接続され、ベースは抵抗素子114の他端およびNPNトランジスタ116のベースに接続され、コレクタは抵抗素子119の他端、IGBT112のエミッタ、ダイオード112Dのアノード、および抵抗素子113の一端に接続されている。抵抗素子118の一端はNPNトランジスタ116のエミッタおよびPNPトランジスタ117のエミッタに接続され、他端は抵抗素子119の一端およびIGBT112のベースに接続されている。抵抗素子119の一端は抵抗素子118の他端およびIGBT112のベースに接続され、他端はPNPトランジスタ117のコレクタ、IGBT112のエミッタ、ダイオード112Dのアノード、および抵抗素子113の一端に接続されている。インダクタ111の一端は、図5に示したようにブリッジダイオード101の第2のダイオードのカソードおよび第4のダイオードのカソードに接続され、他端はIGBT112のコレクタおよびダイオード112Dのカソードに接続されている。IGBT112のコレクタはインダクタ111の他端およびダイオード112Dのカソードに接続され、ベースは抵抗素子118の他端および抵抗素子119の一端に接続され、エミッタはPNPトランジスタ117のコレクタ、抵抗素子119の他端、ダイオード112Dのアノード、および抵抗素子113の一端に接続されている。ダイオード112DのアノードはIGBT112のエミッタ、PNPトランジスタ117のコレクタ、抵抗素子119の他端、および抵抗素子113の一端に接続され、カソードはインダクタ111の他端およびIGBT112のコレクタに接続されている。抵抗素子113の一端はPNPトランジスタ117のコレクタ、抵抗素子119の他端、IGBT112のエミッタ、およびダイオード112Dのアノードに接続され、他端には信号Sdc0Bが供給されている。抵抗素子113の一端における電圧は、信号DET1として制御回路140に供給されるようになっている。
スイッチング回路120(図5)は、ゲートドライブ信号GD2に基づいてスイッチング動作を行うものである。スイッチング回路120は、スイッチング回路110(図6)と同様の構成を有するものである。スイッチング回路120は、インダクタ121と、IGBT122と、抵抗素子123とを有している。インダクタ121、IGBT122、および抵抗素子123は、スイッチング回路110におけるインダクタ111、IGBT112、および抵抗素子113に対応するものである。抵抗素子123の一端における電圧は、信号DET2として制御回路140に供給されるようになっている。
なお、この例では、IGBT112,122を用いたが、これに限定されるものではなく、これに代えて、例えばSiC−FETやGaN−FETなどを用いてもよい。
ダイオード102のアノードはインダクタ111の他端等に接続され、カソードはダイオード103のカソード、電解コンデンサ104の正極端子、抵抗素子105の一端、および抵抗素子107の一端に接続されている。ダイオード103のアノードはインダクタ121の他端等に接続され、カソードはダイオード102のカソード、電解コンデンサ104の正極端子、抵抗素子105の一端、および抵抗素子107の一端に接続されている。電解コンデンサ104の正極端子は、ダイオード102のカソード、ダイオード103のカソード、抵抗素子105の一端、および抵抗素子107の一端に接続され、負極端子には信号Sdc0Bが供給されている。電解コンデンサ104の正極端子における電圧は、信号Sdc390として、端子T192を介して出力されるようになっている。
抵抗素子105の一端は、ダイオード102のカソード、ダイオード103のカソード、電解コンデンサ104の正極端子、および抵抗素子107の一端に接続され、他端は抵抗素子106の一端に接続されている。抵抗素子106の一端は抵抗素子105の他端に接続され、他端には信号Sdc0Bが供給されている。抵抗素子105の他端および抵抗素子106の一端における電圧は、信号OVPとして制御回路140に供給されるようになっている。
抵抗素子107の一端は、ダイオード102のカソード、ダイオード103のカソード、電解コンデンサ104の正極端子、および抵抗素子105の一端に接続され、他端は抵抗素子108の一端に接続されている。抵抗素子108の一端は抵抗素子107の他端に接続され、他端には信号Sdc0Bが供給されている。抵抗素子107の他端および抵抗素子108の一端における電圧は、信号FBとして制御回路140に供給されるようになっている。
ダイオード131,132からなる回路は、コモンモードコイル92から出力される交流信号に対して全波整流を行うものである。ダイオード131のアノードはコモンモードコイル92の第1の巻線の他端に接続され、カソードはダイオード132のカソード、抵抗素子133の一端、および抵抗素子136の一端に接続されている。ダイオード132のアノードはコモンモードコイル92の第2の巻線の他端に接続され、カソードはダイオード131のカソード、抵抗素子133の一端、および抵抗素子136の一端に接続されている。
抵抗素子133の一端はダイオード131のカソード、ダイオード132のカソード、および抵抗素子136の一端に接続され、他端は抵抗素子134の一端およびコンデンサ135の一端に接続されている。抵抗素子134の一端は抵抗素子133の他端およびコンデンサ135の一端に接続され、他端には信号Sdc0Bが供給されている。コンデンサ135の一端は抵抗素子133の他端および抵抗素子134の一端に接続され、他端には信号Sdc0Bが供給されている。抵抗素子133の他端、抵抗素子134の一端、およびコンデンサ135の一端における電圧は、信号STとして制御回路140に供給されるようになっている。
抵抗素子136の一端はダイオード131のカソード、ダイオード132のカソード、および抵抗素子133の一端に接続され、他端は抵抗素子137の一端に接続されている。抵抗素子137の一端は抵抗素子136の他端に接続され、他端には信号Sdc0Bが供給されている。抵抗素子136の他端および抵抗素子137の一端における電圧は、信号ACINとして制御回路140に供給されるようになっている。
制御回路140は、スイッチング回路110に対してゲートドライブ信号GD1を供給するとともに、スイッチング回路120に対してゲートドライブ信号GD2を供給することにより、力率改善回路100が信号Sdc390を生成するように制御するものである。具体的には、制御回路140は、信号FBに基づいて、ゲートドライブ信号GD1,GD2のスイッチングデューティ比を変化させ、信号Sdc390の電圧が所望の電圧(この例では390V)になるように制御するとともに、信号OVPに基づいて、信号Sdc390の電圧が過大にならないように制御する。その際、制御回路140は、信号ACINに基づいて、力率が1付近(例えば0.9以上)になるように、スイッチング回路110,120におけるスイッチング動作を制御するようになっている。
また、制御回路140は、信号DET1に基づいてIGBT112に過大な電流が流れていないか否かを監視するとともに、信号DET2に基づいてIGBT122に過大な電流が流れていないか否かを監視する機能をも有している。そして、制御回路140は、過大な電流が流れている場合には、スイッチング回路110,120におけるスイッチング動作を停止するようになっている。また、制御回路140は、信号STに基づいて、交流信号Sac1の振幅が所定の振幅以上である場合において、スイッチング回路110,120に対してスイッチング動作を行わせるようになっている。
(ゼロクロス検出回路200)
ゼロクロス検出回路200(図4)は、交流信号Sac1に基づいてゼロクロス信号SZを生成するものである。以下に、ゼロクロス検出回路200について詳細に説明する。
図7は、ゼロクロス検出回路200の一構成例を表すものである。ゼロクロス検出回路200は、力率改善回路100と同様に、ヒューズ91およびコモンモードコイル92を介して商用電源99と接続されている。
ゼロクロス検出回路200は、抵抗素子201,202と、コンデンサ203と、ブリッジダイオード204と、フォトカプラ205と、抵抗素子206と、Nチャネル電界効果トランジスタ(FET)207と、抵抗素子208〜210と、NPNトランジスタ211と、抵抗素子212とを有している。ゼロクロス検出回路20には、DC−DCコンバータ61から信号Sdc5が供給される。この信号Sdc5の電圧は、この例では5Vである。
抵抗素子201の一端はコモンモードコイル92の第1の巻線の他端に接続され、他端は抵抗素子202の一端およびコンデンサ203の一端に接続されている。抵抗素子202の一端は抵抗素子201の他端およびコンデンサ203の一端に接続され、他端はブリッジダイオード204の第1のダイオードのカソードおよび第2のダイオードのアノードに接続されている。コンデンサ203の一端は抵抗素子201の他端および抵抗素子202の一端に接続され、他端はコモンモードコイル92の第2の巻線の他端、ブリッジダイオード204の第3のダイオードのカソードおよび第4のダイオードのアノードに接続されている。
ブリッジダイオード204は、抵抗素子202の他端とコンデンサ203の他端との間の信号に対して全波整流を行うものである。ブリッジダイオード204の第1のダイオードのカソードおよび第2のダイオードのアノードは、抵抗素子202の他端に接続され、ブリッジダイオード204の第3のダイオードのカソードおよび第4のダイオードのアノードは、コンデンサ203の他端に接続されている。ブリッジダイオード204の第1のダイオードのアノードおよび第3のダイオードのアノードは、フォトカプラ205の発光ダイオードのカソードに接続されている。ブリッジダイオード204の第2のダイオードのカソードおよび第4のダイオードのカソードは、フォトカプラ205の発光ダイオードのアノードに接続されている。
フォトカプラ205の発光ダイオードのアノードはブリッジダイオード204の第2のダイオードのカソードおよび第4のダイオードのカソードに接続され、発光ダイオードのカソードはブリッジダイオード204の第1のダイオードのアノードおよび第3のダイオードのアノードに接続されている。フォトカプラ205のフォトダイオードのエミッタは接地され、コレクタは抵抗素子206の他端およびNチャネルFET207のゲートに接続されている。
抵抗素子206の一端には信号Sdc5が供給され、他端はフォトカプラ205のフォトダイオードのコレクタおよびNチャネルFET207のゲートに接続されている。NチャネルFET207のドレインは抵抗素子208の他端および抵抗素子209の一端に接続され、ゲートはフォトカプラ205のフォトダイオードのコレクタおよび抵抗素子206の他端に接続され、ソースは接地されている。抵抗素子208の一端には信号Sdc5が供給され、他端はNチャネルFETのドレインおよび抵抗素子209の一端に接続されている。抵抗素子209の一端はNチャネルFET207のドレインおよび抵抗素子208の他端に接続され、他端はNPNトランジスタ211のベースおよび抵抗素子210の一端に接続されている。抵抗素子210の一端は抵抗素子209の他端およびNPNトランジスタ211のベースに接続され、他端は接地されている。NPNトランジスタ211のコレクタは抵抗素子212の他端に接続され、ベースは抵抗素子209の他端および抵抗素子210の一端に接続され、エミッタは接地されている。抵抗素子212の一端には信号Sdc5が供給され、他端はNPNトランジスタ211のコレクタに接続されている。ゼロクロス検出回路200は、NPNトランジスタ211のコレクタおよび抵抗素子212の他端における電圧をゼロクロス信号SZとして出力するようになっている。
この構成により、ゼロクロス検出回路200は、交流信号Sac1のゼロクロスタイミングごとに発生するパルスを有するゼロクロス信号SZを生成するようになっている。
(DC−DCコンバータ61)
DC−DCコンバータ61(図4)は、信号Sdc390に基づいて、信号Sdc24,Sdc5を生成するものである。信号Sdc24の電圧は、この例では24Vである。信号Sdc24,Sdc5は、画像形成装置1内の様々なブロックで用いられるものである。DC−DCコンバータ61は、公知の技術を用いて構成されるものである。
(DC−ACインバータ62)
DC−ACインバータ62は、信号Sdc390、ゼロクロス信号SZ、およびヒータ制御信号HA,HBに基づいて、交流信号Sac2A,Sac2Bを生成するものである。具体的には、後述するように、DC−ACインバータ62は、ゼロクロス信号SZに基づいて、交流信号Sac1の周波数とほぼ同じ周波数の交流信号Sac2を生成する。そして、DC−ACインバータ62は、ヒータ制御信号HAに基づいて、この交流信号Sac2を交流信号Sac2Aとしてヒータ42Aに供給するとともに、ヒータ制御信号HBに基づいて、この交流信号Sac2を交流信号Sac2Bとしてヒータ42Bに供給するようになっている。また、DC−ACインバータ62は、ヒータ42A,42Bに対して電力を供給し始める場合には、いわゆるスローアップ制御を行うことにより、電力供給量を徐々に増やすようになっている。DC−ACインバータ62は、DC−DCコンバータ400A,400B,400Cと、スイッチング部300と、ACスイッチ410,420と、制御回路390とを有している。
DC−DCコンバータ400Aは、信号Sdc24に基づいて、信号Sdc15A,Sdc0Aを生成するものである。DC−DCコンバータ400Bは、信号Sdc24に基づいて、信号Sdc15B,Sdc0Bを生成するものである。DC−DCコンバータ400Cは、信号Sdc24に基づいて、信号Sdc15C,Sdc0Cを生成するものである。信号Sdc15Aの電圧は、信号Sdc0Aの電圧よりも15V高いものであり、信号Sdc15Cの電圧は、信号Sdc0Cの電圧よりも15V高いものである。
スイッチング部300は、信号Sdc390、およびPWM信号PWMA,PWMB,PWMC,PWMDに基づいて交流信号Sac2を生成するものである。また、スイッチング部300は、入力電流、入力電圧、および出力電圧に関する情報を、信号SIおよびPWM信号PWME,PWMFを用いて制御回路390に通知する機能をも有している。
図8は、スイッチング部300の一構成例を表すものである。この図では、スイッチング部300に加え、ACスイッチ410,420、ヒータ42A,42B、および制御回路390をも描いている。スイッチング部300は、コンデンサ303と、電流検出回路350と、スイッチング回路310,320,330,340と、インダクタ301と、コンデンサ302とを有している。スイッチング部300には、DC−DCコンバータ400Aから、端子T381を介して、信号Sdc15A,Sdc0Aが供給され、DC−DCコンバータ400Bから、端子T382を介して、信号Sdc15B,Sdc0Bが供給され、DC−DCコンバータ400Cから、端子T383を介して、信号Sdc15C,Sdc0Cが供給される。また、スイッチング部300には、力率改善回路100から、端子T384を介して、信号Sdc390,Sdc0Bが供給されるようになっている。
コンデンサ303の一端には信号Sdc390が供給され、他端には信号Sdc0Bが供給されている。電流検出回路350は、スイッチング部300の入力電流を検出するものである。
図9は、電流検出回路350の一構成例を表すものである。電流検出回路350は、カレントトランス351と、抵抗素子352と、ダイオード353と、抵抗素子354,355と、コンデンサ356とを有している。なお、図8では、これらの素子のうち、カレントトランス351を描いている。カレントトランス351の第1の巻線の一端には信号Sdc390が供給され、他端は、図8に示したようにスイッチング回路310,330および抵抗素子365の一端に接続されている。カレントトランス351の第2の巻線の一端は抵抗素子352の一端およびダイオード353のアノードに接続され、他端は接地されている。カレントトランス351の第1の巻線は、例えば1ターン弱から2ターン程度にすることができ、第2の巻線は、例えば100〜200ターン程度にすることができる。抵抗素子352の一端はカレントトランス351の第2の巻線の一端およびダイオード353のアノードに接続され、他端は接地されている。ダイオード353のアノードはカレントトランス351の第2の巻線の一端および抵抗素子352の一端に接続され、他端は抵抗素子354の一端および抵抗素子355の一端に接続されている。抵抗素子354の一端はダイオード353のカソードおよび抵抗素子355の一端に接続され、他端は接地されている。抵抗素子355の一端はダイオード353のカソードおよび抵抗素子354の一端に接続され、他端はコンデンサ356の一端に接続されている。コンデンサ356の一端は抵抗素子355の他端に接続され、他端は接地されている。電流検出回路350は、抵抗素子355の他端およびコンデンサ356の一端における電圧を、信号SIとして出力するようになっている。
スイッチング回路310(図8)は、PWM(Pulse Width Modulation)信号PWMAに基づいてスイッチング動作を行うものである。
図10は、スイッチング回路310の一構成例を表すものである。スイッチング回路310は、抵抗素子312と、NチャネルFET313と、フォトカプラ314と、抵抗素子315,316と、IGBT311と、ダイオード311Dとを有している。なお、図8では、これらの素子のうち、IGBT311を描いている。
抵抗素子312の一端には信号Sdc5が供給され、他端はフォトカプラ314の発光ダイオードのアノードに接続されている。NチャネルFET313のドレインはフォトカプラ314の発光ダイオードのカソードに接続され、ゲートにはPWM信号PWMAが供給され、ソースは接地されている。フォトカプラの発光素子のアノードは抵抗素子312の他端に接続され、カソードはNチャネルFET313のドレインに接続されている。フォトカプラ314のNPNトランジスタのコレクタには信号Sdc15Aが供給され、エミッタは抵抗素子315の一端に接続されている。フォトカプラ314のPNPトランジスタのエミッタは抵抗素子315の一端に接続され、コレクタは、抵抗素子316の他端、IGBT311のエミッタ、およびダイオード311Dのアノードに接続されている。抵抗素子315の一端は、フォトカプラ314のNPNトランジスタのエミッタおよびPNPトランジスタのエミッタに接続され、他端はIGBT311のベースおよび抵抗素子316の一端に接続されている。抵抗素子316の一端は抵抗素子315の他端およびIGBT311のベースに接続され、他端はフォトカプラ314のPNPトランジスタのコレクタ、IGBT311のエミッタ、およびダイオード311Dのアノードに接続されている。IGBT311のコレクタはダイオード311Dのカソードに接続されるとともに、図8に示したように信号Sdc390が供給され、ベースは抵抗素子315の他端および抵抗素子316の一端に接続され、エミッタはダイオード311Dのアノード、抵抗素子316の他端、およびフォトカプラ314のPNPトランジスタのコレクタに接続されるとともに、図8に示したように、スイッチング回路320、コンデンサ302の他端、およびヒータ42の他端に接続されている。ダイオード311DのアノードはIGBT311のエミッタ、抵抗素子316の他端、およびフォトカプラ314のPNPトランジスタのコレクタに接続され、カソードはIGBT311のコレクタに接続されるとともに信号Sdc390が供給されている。
スイッチング回路320(図8)は、PWM信号PWMBに基づいてスイッチング動作を行うものである。スイッチング回路320は、スイッチング回路310(図10)と同様の構成を有するものである。スイッチング回路320のフォトカプラには信号Sdc15Bが供給される。スイッチング回路320は、IGBT321を有している。IGBT321は、スイッチング回路310におけるIGBT311に対応するものである。IGBT321のコレクタは、スイッチング回路310のIGBT311のエミッタ、コンデンサ302の他端、およびヒータ42の他端に接続され、エミッタには信号Sdc0Bが供給されている。
スイッチング回路330は、PWM信号PWMCに基づいてスイッチング動作を行うものである。スイッチング回路330は、スイッチング回路310(図10)と同様の構成を有するものである。スイッチング回路330のフォトカプラには信号Sdc15Cが供給される。スイッチング回路330は、IGBT331を有している。IGBT331は、スイッチング回路310におけるIGBT311に対応するものである。IGBT331のコレクタには信号Sdc390が供給され、エミッタは、スイッチング回路340およびインダクタ301の一端に接続されている。
スイッチング回路340は、PWM信号PWMDに基づいてスイッチング動作を行うものである。スイッチング回路340は、スイッチング回路310(図10)と同様の構成を有するものである。スイッチング回路340のフォトカプラには信号Sdc15Bが供給される。スイッチング回路340は、IGBT341を有している。IGBT341は、スイッチング回路310におけるIGBT311に対応するものである。IGBT341のコレクタは、スイッチング回路330のIGBT331のエミッタおよびインダクタ301の一端に接続され、エミッタには信号Sdc0Bが供給されている。また、スイッチング回路340は、フォトカプラの出力電圧を信号PWMD2として出力するようになっている。
なお、この例では、IGBT311,321,331,341を用いたが、これに限定されるものではなく、これに代えて、例えばSi−FET、SiC−FET、GaN−FETなどを用いてもよい。また、フルブリッジ構成を用いたが、これに限定されるものではなく、ハーフブリッジ構成を用いてもよい。
インダクタ301の一端はスイッチング回路330のIGBT331のエミッタおよびスイッチング回路340のIGBT341のコレクタに接続され、他端はコンデンサ302の一端、ACスイッチ410の一端およびACスイッチ420の一端に接続されている。コンデンサ302の一端はインダクタ301の他端、ACスイッチ410の一端、およびACスイッチ420の一端に接続され、他端はスイッチング回路310のIGBT311のエミッタ、スイッチング回路320のIGBT321のコレクタ、ヒータ42Aの他端、およびヒータ42Bの他端に接続されている。
スイッチング部300は、さらに、抵抗素子365,366と、抵抗素子304,305と、NPNトランジスタ306と、抵抗素子307,308と、PNPトランジスタ309と、抵抗素子361〜363と、コンデンサ364と、低ドロップアウトリニアレギュレータ(LDO)367と、PWM信号生成回路368と、回路370,380とを有している。
抵抗素子365の一端は電流検出回路350のカレントトランス351の第1の巻線の他端に接続され、他端は抵抗素子366の一端に接続されている。抵抗素子366の一端は抵抗素子365の他端に接続され、他端には信号Sdc0Bが供給されている。抵抗素子365の他端および抵抗素子366の一端における電圧は、信号A1としてPWM信号生成回路368に供給されるようになっている。
抵抗素子304の一端には信号PWMD2が供給され、他端は抵抗素子305の一端およびNPNトランジスタ306のベースに接続されている。抵抗素子305の一端は、抵抗素子304の他端およびNPNトランジスタ306のベースに接続され、他端には信号Sdc0Bが供給されている。NPNトランジスタ306のコレクタは抵抗素子307の他端に接続され、ベースは抵抗素子304の他端および抵抗素子305の一端に接続され、エミッタには信号Sdc0Bが供給されている。抵抗素子307の一端はPNPトランジスタ309のベースおよび抵抗素子308の他端に接続され、他端はNPNトランジスタ306のコレクタに接続されている。抵抗素子308の一端はPNPトランジスタ309のエミッタおよび抵抗素子361の他端に接続され、他端はPNPトランジスタ309のベースおよび抵抗素子307の一端に接続されている。PNPトランジスタ309のエミッタは抵抗素子308の一端および抵抗素子361の他端に接続され、ベースは抵抗素子307の一端および抵抗素子308の他端に接続され、コレクタは抵抗素子362の一端および抵抗素子363の一端に接続されている。抵抗素子363の一端はPNPトランジスタ309のコレクタおよび抵抗素子362の一端に接続され、他端には信号Sdc0Bが供給されている。抵抗素子363の一端はPNPトランジスタ309のコレクタおよび抵抗素子362の一端に接続され、他端はコンデンサ364の一端に接続されている。コンデンサ364の一端は抵抗素子363の他端に接続され、他端には信号Sdc0Bが供給されている。抵抗素子363の他端およびコンデンサ364の一端における電圧は、信号A2としてPWM信号生成回路368に供給されるようになっている。
LDO367は、信号Sdc15B,Sdc0Bに基づいて信号Sdc5Bを生成するものである。この例では、信号Sdc5Bの電圧は、信号Sdc0Bの電圧よりも5V高いものである。PWM信号生成回路368は、信号A1の電圧に応じたデューティ比を有するPWM信号B1を生成するとともに、信号A2の電圧に応じたデューティ比を有するPWM信号B2を生成するものである。具体的には、PWM信号生成回路368は、例えば信号A1の電圧が5Vである場合にはPWM信号B1のデューティ比を100%にし、例えば信号A1の電圧が2.5Vである場合にはPWM信号B1のデューティ比を50%にし、例えば信号A1の電圧が0Vである場合にはPWM信号B1のデューティ比を0%にするようになっている。信号A2,B2についても同様である。
回路370は、PWM信号B1に基づいてPWM信号PWMEを生成するものである。回路370は、抵抗素子371、372と、NPNトランジスタ373と、フォトカプラ374と、抵抗素子375とを有している。抵抗素子371の一端には信号Sdc5Bが供給され、他端はフォトカプラ374の発光ダイオードのアノードに接続されている。抵抗素子372の一端には信号B1が供給され、他端はNPNトランジスタ373のベースに接続されている。NPNトランジスタ373のコレクタはフォトカプラ374の発光ダイオードのカソードに接続され、ベースは抵抗素子372の他端に接続され、エミッタには信号Sdc0Bが供給されている。フォトカプラ374の発光ダイオードのアノードは抵抗素子371の他端に接続され、カソードはNPNトランジスタ373のコレクタに接続されている。フォトカプラ374のNPNトランジスタのコレクタは抵抗素子375の他端に接続され、エミッタは接地されている。抵抗素子375の一端には信号Sdc5が供給され、他端はフォトカプラ374のNPNトランジスタのコレクタに接続されている。この抵抗素子375の他端における電圧は、信号PWMEとして制御回路390に供給されるようになっている。
回路380は、PWM信号B2に基づいてPWM信号PWMFを生成するものである。
回路380は、回路370と同様の構成を有するものである。
ACスイッチ410(図4)は、スイッチ制御信号SWAに基づいて、交流信号Sac2を交流信号Sac2Aとしてヒータ42Aに供給するものである。図8に示したように、ACスイッチ410の一端は、インダクタ301の他端およびコンデンサ302の一端に接続され、他端はヒータ42Aの一端に接続されている。
図11は、ACスイッチ410の一構成例を表すものである。この図では、ACスイッチ410に加え、インダクタ301、コンデンサ302、およびヒータ42Aをも描いている。ACスイッチ410は、NチャネルFET411と、抵抗素子412と、フォトトライアックカプラ413と、抵抗素子414と、トライアック415と、抵抗素子416とを有している。NチャネルFET411のドレインはフォトトライアックカプラ413の発光ダイオードのカソードに接続され、ゲートにはスイッチ制御信号SWAが供給され、ソースは接地されている。抵抗素子412の一端には信号Sdc5が供給され、他端はフォトトライアックカプラ413の発光ダイオードのアノードに接続されている。フォトトライアックカプラ413は、いわゆるゼロクロスタイプのものである。フォトトライアックカプラ413の発光ダイオードのアノードは抵抗素子412の他端に接続され、カソードはNチャネルFET411のドレインに接続されている。フォトトライアックカプラ413のトライアックの一端は抵抗素子414の他端およびトライアック415のゲートに接続され、他端は抵抗素子416の他端に接続されている。抵抗素子414の一端はトライアック415の一端に接続され、他端はトライアック415のゲートおよびフォトトライアックカプラ413のトライアックの一端に接続されている。トライアック415の一端は抵抗素子414の一端に接続されるとともに、インダクタ301の他端およびコンデンサ302の一端に接続され、他端は抵抗素子416の一端に接続されるとともにヒータ42Aの一端に接続され、ゲートは抵抗素子414の他端およびフォトトライアックカプラ413のトライアックの一端に接続されている。抵抗素子416の一端はトライアック415の他端に接続され、他端はフォトトライアックカプラ413のトライアックの他端に接続されている。この構成により、ACスイッチ410は、スイッチ制御信号SWAに応じて、交流信号Sac2のゼロクロスタイミングでオンオフするようになっている。
ACスイッチ420(図4)は、スイッチ制御信号SWBに基づいて、交流信号Sac2を交流信号Sac2Bとしてヒータ42Bに供給するものである。図8に示したように、ACスイッチ420の一端は、インダクタ301の他端およびコンデンサ302の一端に接続され、他端はヒータ42Bの一端に接続されている。ACスイッチ420は、ACスイッチ410(図11)と同様の構成を有するものである。
制御回路390は、スイッチング回路310,320,330,340におけるスイッチング動作を制御するものである。制御回路390は、例えば、ASIC(Application Specific Integrated Circuit)、FPGA(Field Programmable Gate Array)、マイクロコントローラなどを用いて構成されるものである。制御回路390は、スイッチング回路310,320,330,340に対してPWM信号PWMA,PWMB,PWMC,PWMDをそれぞれ供給することにより、スイッチング部300が交流信号Sac2を生成するように制御する。具体的には、制御回路390は、IGBT331,341を例えば50Hzでスイッチングさせるとともに、IGBT311,321を例えば20kHzでスイッチングさせる。なお、この例では、IGBT311,321のスイッチング周波数を20kHzとしたが、これに限定されるものではない。IGBT311,321のスイッチング周波数は20kHz以上が望ましい。これにより、IGBT311,321のスイッチングに起因して音(ノイズ)が生じても、周波数が人の可聴域よりも高いため、音を聞こえにくくすることができる。その際、IGBTの代わりに、例えばGaN−FETを用いてもよい。
図12は、PWM信号PWMA,PWMB,PWMC,PWMDの一例を表すものである。この例では、説明の便宜上、IGBT311,321のスイッチング周波数を1.8kHzとしている。この例では、PWM信号PWMAが高レベルであるときにIGBT311はオン状態になり、PWM信号PWMAが低レベルであるときにIGBT311はオフ状態になる。PWM信号PWMB,PWMC,PWMDについても同様である。
制御回路390は、図12に示したように、PWM信号PWMC,PWMDの1周期の期間のうちの前半の期間において、PWM信号PWMCを低レベルにするとともに、PWM信号PWMDを高レベルにする。これにより、IGBT331はオフ状態になるとともに、IGBT341はオン状態になる。また、制御回路390は、PWM信号PWMC,PWMDの1周期の期間のうちの後半の期間において、PWM信号PWMCを高レベルにするとともに、PWM信号PWMDを低レベルにする。これにより、IGBT331はオン状態になるとともに、IGBT341はオフ状態になる。このとき、制御回路390は、IGBT331,341が同時にオン状態にならないように、スイッチング部300を制御する。具体的には、制御回路390は、図12に示したように、IGBT331がオフ状態になった後にIGBT341をオン状態にし、IGBT341がオフ状態になった後にIGBT331をオン状態にする。この例では、IGBT331、341がともにオフ状態になる時間幅(デッドタイム)は、この例では2μsecに設定されている。
また、制御回路390は、図12に示したように、PWM信号PWMA,PWMBのデューティ比を徐々に変化させる。これにより、DC−ACインバータ62は、正弦波状の交流信号Sac2を生成することができる。このとき、スイッチング部300では、IGBT311,321が同時にオン状態にならないようにするため、この例では、2μsecのデッドタイムを設けている。
図12に示したように、PWM信号PWMC,PWMDの1周期の期間のうちの前半の期間では、IGBT341がオン状態になる。よって、スイッチング部300では、IGBT311がオン状態になることにより、IGBT311、ヒータ42A,42B、インダクタ301、IGBT341の順に電流が流れる。また、PWM信号PWMC,PWMDの1周期の期間のうちの後半の期間では、ITBT331がオン状態になる。よって、スイッチング部300では、IGBT321がオン状態になることにより、IGBT331、インダクタ301、ヒータ42A,42B、IGBT321の順に電流が流れる。DC−ACインバータ62は、このようにして、交流信号Sac2を生成するようになっている。
制御回路390は、PWM信号PWMA,PWMB,PWMC,PWMDを生成する際、19.9msec周期のPWM信号PWMA,PWMB,PWMC,PWMDまたは20.1msec周期のPWM信号PWMA,PWMB,PWMC,PWMDを選択的に生成する。
図13は、制御回路390の一動作例を表すものである。この例では、交流信号Sac1の周波数は50Hzであるので、ゼロクロス信号SZのパルスは、10msec周期で現れる。制御回路390は、この例では、ゼロクロス信号SZの立ち上がりエッジの位相と、PWM信号PWMDの立ち上がりエッジとの位相とを比較する。そして、PWM信号PWMDの位相が進んでいる場合には、制御回路390は、20.1msec周期のPWM信号PWMA,PWMB,PWMC,PWMDを生成し、PWM信号PWMDの位相が進んでいる場合には、19.9msec周期のPWM信号PWMA,PWMB,PWMC,PWMDを生成する。これにより、制御回路390では、交流信号Sac2の周波数が、交流信号Sac1の周波数に近くなるように制御する。その結果、交流信号Sac2の周波数の平均値は、交流信号Sac1の周波数とほぼ一致するようになる。
なお、この例では、制御回路390は、ゼロクロス信号SZの立ち上がりエッジの位相と、PWM信号PWMDの立ち上がりエッジとの位相とを比較するようにしたが、これに限定されるものではない。例えば、ゼロクロス信号SZの立ち上がりエッジに代えて、ゼロクロス信号SZの立ち下がりエッジを用いてもよい。また、例えば、PWM信号PWMDに代えて、PWM信号PWMCを用いてもよい。
図14(A)は、19.9msec周期のPWM信号PWMA,PWMB,PWMC,PWMDに基づいて生成される交流信号Sac2の波形を示し、図14(B)は、20.1msec周期のPWM信号PWMA,PWMB,PWMC,PWMDに基づいて生成される交流信号Sac2の波形を示す。この例では、どちらのケースでも、19.9msecまでは、交流信号Sac2の波形は同じである。言い換えれば、19.9msec周期のPWM信号PWMA,PWMB,PWMC,PWMDと、20.1msec周期のPWM信号PWMA,PWMB,PWMC,PWMDは、19.9msecまでは同じである。そして、20.1msec周期のPWM信号PWMA,PWMB,PWMC,PWMDに基づいて生成される交流信号Sac2では、19.9〜20.1msecの期間において0Vになるようになっている。
IGBT311,321のスイッチング周波数は20kHzであるので、20.1msec周期のPWM信号PWMA,PWMBを生成する場合には、スイッチングサイクルの数は402(0〜401)である。例えば390Vpの交流信号Sac2を生成する場合には、各スイッチングサイクルCYCLEでのスイッチングデューティ比DUTYは、以下の式を用いて求めることができる。
一方、19.9msec周期のPWM信号PWMA,PWMBを生成する場合には、スイッチングサイクルの数は398(0〜397)である。よって、この場合には、スイッチングサイクルCYCLEが0〜397の範囲で、式(1)を用いればよい。
なお、この例では、制御回路390は、19.9msec周期のPWM信号PWMA,PWMB,PWMC,PWMDまたは20.1msec周期のPWM信号PWMA,PWMB,PWMC,PWMDを選択的に生成するようにしたが、周期はこれに限定されるものではなく、互いに異なる任意の周期を設定することができる。
交流信号Sac1の周波数が60Hzの場合には、制御回路390は、IGBT331,341を60Hzでスイッチングさせるとともに、IGBT311,321を20kHzでスイッチングさせる。この場合には、制御回路390は、16.5msec周期のPWM信号PWMA,PWMB,PWMC,PWMDまたは16.8msec周期のPWM信号PWMA,PWMB,PWMC,PWMDを選択的に生成する。16.8msec周期のPWM信号PWMA,PWMB,PWMC,PWMDを生成する場合には、スイッチングサイクルの数は336(0〜335)である。例えば390Vpの交流信号Sac2を生成する場合には、各スイッチングサイクルCYCLEでのスイッチングデューティ比DUTYは、以下の式を用いて求めることができる。
一方、16.5msec周期のPWM信号PWMA,PWMBを生成する場合には、スイッチングサイクルの数は330(0〜329)である。よって、この場合には、スイッチングサイクルCYCLEが0〜329の範囲で、式(2)を用いればよい。
制御回路390は、図8に示したように、デューティ比テーブル391Aと、デューティ比テーブル391Bと、カウンタ392とを有している。
デューティ比テーブル391A,391Bは、IGBT311,321のスイッチングサイクルごとのスイッチングデューティ比を示すものである。デューティ比テーブル391Aは、交流信号Sac1の周波数が50Hzである場合に使用するものであり、デューティ比テーブル391Bは、交流信号Sac1の周波数が60Hzである場合に使用するものである。
デューティ比テーブル391Aは、この例では、13個のテーブル391A1〜391A13を有している。テーブル391A1は、式(1)の右辺に0.3を乗じることにより得られるものである。テーブル391A2は、式(1)の右辺に0.35を乗じることにより得られるものである。テーブル391A3は、式(1)の右辺に0.4を乗じることにより得られるものである。テーブル391A4〜391A12についても同様である。そしてテーブル391A13は、式(1)の右辺に0.9を乗じることにより得られるものである。
デューティ比テーブル391Bは、この例では、13個のテーブル391B1〜391B13を有している。テーブル391B1は、式(2)の右辺に0.3を乗じることにより得られるものである。テーブル391B2は、式(2)の右辺に0.35を乗じることにより得られるものである。テーブル391B3は、式(2)の右辺に0.4を乗じることにより得られるものである。テーブル391B4〜391B12についても同様である。そしてテーブル391B13は、式(2)の右辺に0.9を乗じることにより得られるものである。
カウンタ392は、スイッチングサイクルの数をカウントするものである。
制御回路390は、このようなデューティ比テーブル391A,391Bを用いて、PWM信号PWMA,PWMBを生成する。具体的には、制御回路390は、まず、ゼロクロス信号SZに基づいて、交流信号Sac1の周波数を検出し、その検出結果に基づいて、デューティ比テーブル391Aまたはデューティ比テーブル391Bを選択する。そして、選択されたデューティ比テーブルに含まれる13個のテーブル391のうちの1つを選択し、そのテーブル391から、カウンタ392の値に対応するスイッチングサイクルにおけるスイッチングデューティ比を順次読み出し、そのスイッチングデューティ比に基づいてPWM信号PWMA,PWMBを生成する。
図15は、交流信号Sac2の一例を表すものである。交流信号Sac2の振幅は、例えば、テーブル391A1,391B1を用いた場合には、信号Sdc390の電圧(この例では390V)の30%(この例では117Vp)になる。また、交流信号Sac2の振幅は、例えば、テーブル391A13,391B13を用いた場合には、信号Sdc390の電圧(この例では390V)の90%(この例では351Vp)になる。このようにして、DC−ACインバータ62は、交流信号Sac2の振幅を、信号Sdc390の電圧(この例では390V)の30%から90%の範囲で、5%刻みで設定できるようになっている。
制御回路390は、ヒータ制御信号HAがイネーブルである場合には、スイッチ制御信号SWAをイネーブルにするとともに、図12に示したようなPWM信号PWMA,PWMB,PWMC,PWMDを生成する。これにより、スイッチング部300が生成した交流信号Sac2が、ACスイッチ410を介してヒータ42Aに供給される。同様に、制御回路390は、ヒータ制御信号HBがイネーブルである場合には、スイッチ制御信号SWBをイネーブルにするとともに、図12に示したようなPWM信号PWMA,PWMB,PWMC,PWMDを生成する。これにより、スイッチング部300が生成した交流信号Sac2が、ACスイッチ420を介してヒータ42Bに供給される。
その際、制御回路390は、後述するように、ヒータ42A,42Bのうちの少なくとも一方に電力を供給し始める場合には、上述した13個のテーブル391A1〜391A13を順次選択し、電力供給量を徐々に増やすように動作する。すなわち、ヒータ42A,42Bに対して、冷えた状態で通電を開始すると、ヒータ42A,42Bの抵抗値が低いため、突入電流が大きくなってしまう。そこで、制御回路390は、まず最初は、電力供給量を低く設定し、ヒータ42A,42Bが温まり電流が下がってきたら、電力供給量を増やす。このようにして、制御回路390は、ヒータ42A,42Bに電力を供給し始める際は、いわゆるスローアップ制御を行うことにより、電力供給量を徐々に増やすようになっている。
また、制御回路390は、ヒータ制御信号HA,HBの両方がディセーブルである場合には、スイッチング部300を待機モードで動作させることにより、交流信号Sac2の生成を停止させる機能をも有している。
図16は、交流信号Sac2の生成を停止させる場合における、PWM信号PWMA,PWMB,PWMC,PWMDの一例を表すものである。制御回路390は、図16における前半の期間において、PWM信号PWMA,PWMCを低レベルにするとともに、PWM信号PWMB,PWMDを高レベルにする。これにより、IGBT311,331がオフ状態になるとともに、IGBT321,341がオン状態になる。この場合には、スイッチング部300は交流信号Sac2を生成しない。また、制御回路390は、図16における後半の期間において、PWM信号PWMA,PWMCを高レベルにするとともに、PWM信号PWMB,PWMDを低レベルにする。これにより、IGBT311,331はオン状態になるとともに、IGBT321,341はオフ状態になる。この場合にも、スイッチング部300は交流信号Sac2を生成しない。このようにして、制御回路390は、交流信号Sac2の生成を停止させるようになっている。
また、制御回路390は、信号SIに基づいて、DC−ACインバータ62の入力電流値Iinを取得する機能をも有している。
図17は、信号SIに基づいてスイッチング部300における入力電流値Iinを取得する動作を表すものである。電流検出回路350は、PWM信号PWMA,PWMB,PWMC,PWMDに応じた信号SIを生成する。この信号SIは、例えばPWM信号PWMDの周波数の2倍の周波数を有するものである。制御回路390は、この信号SIを、例えば、1msec以下のサンプリング周期でサンプリングすることにより、A/D変換を行う。そして、制御回路390は、A/D変換された信号に対して、PWM信号PWMDの半周期単位でピークホールド動作を行うとともに、PWM信号PWMDの遷移タイミングでピークホールド値をリセットすることにより、内部信号SI2を求める。その際、制御回路390は、ピークホールド値をリセットする直前に、そのピークホールド値をラッチすることにより、入力電流値Iinを取得するようになっている。
また、制御回路390は、信号PWMEに基づいて、DC−ACインバータ62の入力される信号Sdc390の電圧値(入力電圧値Vin)を取得する機能をも有している。図8に示したように、スイッチング部300に供給された信号Sdc390は、抵抗素子365,366により分圧され、信号A1としてPWM信号生成回路368に供給される。PWM信号生成回路368は、この信号A1の電圧に応じたデューティ比を有するPWM信号B1を生成する。そして、回路370は、PWM信号B1に基づいてPWM信号PWMEを生成する。制御回路390は、このPWM信号PWMEに基づいて、入力電圧値Vinを取得するようになっている。
また、制御回路390は、信号PWMFに基づいて、DC−ACインバータ62が生成する交流信号Sac2の実効値(出力電圧値Vout)を取得する機能をも有している。図8に示したように、信号A2は、コンデンサ302の一端における信号および信号PWMD2に基づいて生成される。
図18は、信号A2を生成する動作を表すものである。PWM信号PWMA,PWMB,PWMC,PWMDに応じて、コンデンサ302の一端には、図18に示したような波形が現れる。このとき、PNPトランジスタ309のコレクタには、図18に示したような波形が現れる。すなわち、この波形は、交流信号Sac2の半周期分の波形に対応するものである。そして、抵抗素子363およびコンデンサ364が、RCフィルタとして機能し、この波形を平滑化して信号A2を生成する。PWM信号生成回路368は、この信号A2の電圧に応じたデューティ比を有するPWM信号B2を生成する。そして、回路380は、PWM信号B2に基づいてPWM信号PWMFを生成する。制御回路390は、このPWM信号PWMFに基づいて、出力電圧値Voutを取得するようになっている。
このようにして、制御回路390は、入力電流値Iin、入力電圧値Vin、および出力電圧値Voutを取得する。そして、制御回路390は、後述するように、これらに基づいて、DC−ACインバータ62の動作を制御するようになっている。
ここで、低圧電源部60は、本発明における「電源装置」の一具体例に対応する。制御回路390は、本発明における「制御部」の一具体例に対応する。ACスイッチ410,420は、本発明における「複数のスイッチ」の一具体例に対応する。ゼロクロス検出回路200は、本発明における「同期信号生成部」の一具体例に対応する。スイッチング回路310は、本発明における「第1のスイッチング回路」の一具体例に対応し、スイッチング回路320は、本発明における「第2のスイッチング回路」の一具体例に対応する。交流信号Sac2は、本発明における「第1の交流信号」の一具体例に対応する。交流信号Sac1は、本発明における「第2の交流信号」の一具体例に対応する。ゼロクロス信号SZは、本発明における「同期信号」の一具体例に対応する。PWM信号PWMA,PWMBは、本発明における「パルス信号」の一具体例に対応する。
[動作および作用]
続いて、本実施の形態の画像形成装置1の動作および作用について説明する。
(全体動作概要)
まず、図1〜3を参照して、画像形成装置1の全体動作概要を説明する。画像形成装置1では、プリンタエンジン制御部59は、インタフェース部51を介してホストコンピュータから印刷データを受け取ると、まず、画像処理部52を制御することにより、印刷データに基づいてビットマップデータを生成させる。そして、プリンタエンジン制御部59は、低圧電源部60を制御することにより、定着部40のヒータ42A,42Bに電力を供給させる。サーミスタ44が検出した定着部40の温度が、定着動作に適した温度に到達すると、プリンタエンジン制御部59は、印刷動作を開始させる。
印刷動作では、まず、プリンタエンジン制御部59は、ホッピングモータ11Tを制御することによりホッピングローラ11を回転させ、レジストモータ12Tを制御することによりレジストローラ12を回転させる。これにより、記録媒体9は搬送路10に沿って搬送される。
そして、プリンタエンジン制御部59は、ドラムモータ20Tを制御することにより現像部20C,20M,20Y,20K内の感光ドラム21、現像ローラ24、および供給ローラ26をそれぞれ回転させ、ベルトモータ33Tを制御することにより駆動ローラ106を回転させる。また、プリンタエンジン制御部59は、媒体センサ13における検出結果に基づいて、高圧電源部55を制御することにより各種電圧を生成させる。そして、プリンタエンジン制御部59は、露光制御部53の動作を制御することにより露光ヘッド16C,16M,16Y,16Kを動作させる。これにより、各現像部20の感光ドラム21の表面には、まず、静電潜像が形成され、その後に、その静電潜像に応じてトナー像が形成される。そして、各現像部20の感光ドラム21のトナー像は、記録媒体9の被転写面に転写される。
そして、プリンタエンジン制御部59は、ヒータモータ40Tを制御することによりヒートローラ41および加圧ローラ43を回転させる。これにより、定着部40では、記録媒体9上のトナーが、加熱され、融解し、加圧される。その結果、トナー像が記録媒体9上に定着する。
(低圧電源部60の詳細動作)
図5〜7に示したように、商用電源99から供給された交流信号Sac1は、ヒューズ91およびコモンモードコイル92を介して、力率改善回路100およびゼロクロス検出回路200に供給される。
力率改善回路100(図5)では、ブリッジダイオード101は、コモンモードコイル92の出力信号に対して全波整流を行う。制御回路140は、スイッチング回路110に対してゲートドライブ信号GD1を供給するとともに、スイッチング回路120に対してゲートドライブ信号GD2を供給することにより、スイッチング回路110,120におけるスイッチング動作を制御する。スイッチング回路110,120は、ブリッジダイオード101により整流された信号に対してスイッチング動作を行う。
また、ダイオード131,132は、コモンモードコイル92の出力信号に対して全波整流を行う。この全波整流された信号は、抵抗素子136,137により分圧され、信号ACINとして制御回路140に供給される。制御回路140は、この信号ACINに基づいて、力率が1付近になるように、スイッチング回路110,120におけるスイッチング動作を制御する。
これにより、スイッチング回路110のインダクタ111の他端、およびスイッチング回路120のインダクタ121の他端に、昇圧された信号がそれぞれ生じる。ダイオード102,103および電解コンデンサ104は、これらの信号を平滑化することにより信号Sdc390を生成する。この信号Sdc390は、抵抗素子107,108により分圧され、信号FBとして制御回路140に供給される。制御回路140は、信号FBに基づいて、ゲートドライブ信号GD1,GD2のスイッチングデューティ比を変化させ、信号Sdc390の電圧が所望の電圧(例えば390V)になるように制御する。このようにして、力率改善回路100は、信号Sdc390を生成する。
ゼロクロス検出回路200(図7)では、ブリッジダイオード204は、抵抗素子202の他端とコンデンサ203の他端との間の信号に対して全波整流を行う。ゼロクロス検出回路200は、ブリッジダイオード204により整流された信号に基づいて、交流信号Sac1のゼロクロスタイミングごとに発生するパルスを有するゼロクロス信号SZを生成する。
DC−ACインバータ62(図8)では、制御回路390は、スイッチング回路310,320,330,340に対してPWM信号PWMA,PWMB,PWMC,PWMDをそれぞれ供給することにより、スイッチング部300におけるスイッチング動作を制御する。その際、制御回路390は、デューティ比テーブル391A,391Bから、カウンタ392の値に対応するスイッチングサイクルにおけるスイッチングデューティ比を読み出し、そのスイッチングデューティ比に基づいてPWM信号PWMA,PWMB,PWMC,PWMDを生成する。スイッチング部300は、信号Sdc390に対してスイッチング動作を行う。インダクタ301およびコンデンサ302は、LCフィルタとして機能し、入力された信号から、スイッチング動作に起因する高周波成分を除去することにより交流信号Sac2を生成する。
制御回路390は、ヒータ制御信号HA,HBに基づいて、ヒータ42A,42Bへの電力の供給を制御する。具体的には、制御回路390は、ヒータ制御信号HAがイネーブルである場合には、スイッチ制御信号SWAをイネーブルにする。これにより、スイッチング部300が生成した交流信号Sac2が、ACスイッチ410を介してヒータ42Aに供給される。同様に、制御回路390は、ヒータ制御信号HBがイネーブルである場合には、スイッチ制御信号SWBをイネーブルにする。これにより、スイッチング部300が生成した交流信号Sac2が、ACスイッチ420を介してヒータ42Bに供給される。
(イニシャル動作について)
DC−ACインバータ62は、ヒータ42A,42Bへの電力供給に先立ち、正常に動作するかどうかを確認するためのイニシャル動作を行う。以下に、イニシャル動作について詳細に説明する。
図19は、イニシャル動作の一例を表すものである。DC−ACインバータ62は、このイニシャル動作において、ACスイッチ410,420をオフ状態に維持したまま、交流信号Sac2の振幅を最大に設定し、交流信号Sac2の振幅が所望の振幅であることを確認した後に、レディ信号RDYをイネーブルにする。以下に、その詳細を説明する。
まず、DC−ACインバータ62の制御回路390は、レディ信号RDYをディセーブルにする(ステップS1)。なお、以下のフローにおいて所定の時間にわたりレディ信号RDYがディセーブルを維持した場合には、プリンタエンジン制御部59は、表示部54にエラーを表示させる。
次に、制御回路390は、ゼロクロス信号SZを検出することにより、ゼロクロス信号SZが供給されているかどうかを確認する(ステップS2)。ゼロクロス信号SZを検出できない場合(ステップS2において“N”)には、ステップS2に戻り、ゼロクロス信号SZが検出できるまで繰り返す。この繰り返し動作により、所定の時間にわたりレディ信号RDYがディセーブルを維持した場合には、プリンタエンジン制御部59は、表示部54にエラーを表示させる。
ステップS2においてゼロクロス信号SZを検出できた場合(ステップS2において“Y”)には、制御回路390は、ゼロクロス信号SZに基づいて、交流信号Sac1の周波数を確認する(ステップS3)。そして、交流信号Sac1の周波数が50Hzである場合(ステップS3において“Y”)には、制御回路390は、デューティ比テーブル391Aを選択する(ステップS4)。また、交流信号Sac1の周波数が50Hzでない場合(ステップS3において“N”)には、制御回路390は、デューティ比テーブル391Bを選択する(ステップS5)。すなわち、この場合は、交流信号Sac1の周波数は60Hzであるので、制御回路390は、デューティ比テーブル391Bを選択する。
次に、制御回路390は、入力電圧値Vinが所定のしきい値Vth1より大きい(Vin>Vth1)か否かを確認する(ステップS6)。しきい値Vth1は、例えば370Vにすることができる。入力電圧値Vinが所定のしきい値Vth1以下である場合(ステップS6において“N”)には、ステップS6に戻り、入力電圧値Vinが所定のしきい値Vth1より大きくなるまで繰り返す。この繰り返し動作により、所定の時間にわたりレディ信号RDYがディセーブルを維持した場合には、プリンタエンジン制御部59は、表示部54にエラーを表示させる。
ステップS6において入力電圧値Vinが所定のしきい値Vth1より大きいことを検出した場合(ステップS6において“Y”)には、制御回路390は、図16に示したように、スイッチング部300を待機モードで動作させる(ステップS7)。
次に、制御回路390は、交流信号Sac2の振幅を最大に設定する(ステップS8)。具体的には、制御回路390は、ステップS4においてデューティ比テーブル391Aを選択した場合には、デューティ比テーブル391Aに含まれる13個のテーブル391A1〜391A13のうちのテーブル391A13を選択し、このテーブル391A13に基づいてPWM信号PWMA,PWMBを生成する。また、制御回路390は、ステップS5においてデューティ比テーブル391Bを選択した場合には、デューティ比テーブル391Bに含まれる13個のテーブル391B1〜391B13のうちのテーブル391B13を選択し、このテーブル391B13に基づいてPWM信号PWMA,PWMBを生成する。これにより、交流信号Sac2の振幅は、信号Sdc390の電圧(この例では390V)の90%(351Vp)程度になる。このとき、交流信号Sac2の実効値は249Vrms程度である。
次に、制御回路390は、出力電圧値Voutが所定のしきい値Vth2より大きい(Vout>Vth2)か否かを確認する(ステップS9)。しきい値Vth2は、例えば、信号Sdc390がしきい値Vth1である場合における交流信号Sac2の実効値にすることができる。具体的には、しきい値Vth2は、230Vrmsにすることができる。
ステップS9において、出力電圧値Voutが所定のしきい値Vth2より大きい場合(ステップS9において“Y”)には、制御回路390は、図16に示したように、スイッチング部300を待機モードで動作させる(ステップS10)。そして、制御回路390は、レディ信号RDYをイネーブルにする(ステップS11)。
ステップS9において、出力電圧値Voutが所定のしきい値Vth2以下である場合(ステップS9において“N”)には、制御回路390は、スイッチング部300の動作を停止させる(ステップS12)。具体的には、制御回路390は、例えば、PWM信号PWMA,PWMB,PWMC,PWMDの全てを低レベルにすることにより、スイッチング部300の動作を停止させる。その後、所定の時間にわたりレディ信号RDYがディセーブルを維持することにより、プリンタエンジン制御部59は、表示部54にエラーを表示させる。
以上でこのフローは終了する。
このようにして、DC−ACインバータ62は、イニシャル動作を行い、DC−ACインバータ62が正常に動作できることを確認し、レディ信号RDYをイネーブルにする。その後、DC−ACインバータ62は、ヒータ制御信号HA,HBに基づいて、ヒータ42A,42Bへの電力供給を行う。
(スローアップ制御について)
図20は、DC−ACインバータ62の一動作例を表すものである。この例では、レディ信号RDYはローイネーブルの信号であり、ヒータ制御信号HA,HBはハイイネーブルの信号である。
制御回路390が、タイミングt1において、レディ信号RDYを高レベルから低レベル(イネーブル)に変化させた後、プリンタエンジン制御部59は、タイミングt2において、ヒータ制御信号HAを低レベルから高レベル(イネーブル)に変化させる。なお、図示していないが、ヒータ制御信号HBは低レベルを維持する。制御回路390は、このヒータ制御信号HAに基づいて、このタイミングt2において、スイッチ制御信号SWAを低レベルから高レベルに変化させる。制御回路390は、PWM信号PWMDの遷移タイミングでヒータ制御信号HAをサンプリングすることにより、内部信号HA2を生成するとともに、PWM信号PWMDの遷移タイミングでヒータ制御信号HBをサンプリングすることにより、内部信号HB2を生成する。この例では、内部信号HA2は、タイミングt3において低レベルから高レベルに変化する。制御回路390は、この内部信号HA2に基づいて、例えばデューティ比テーブル391Aを利用してPWM信号PWMA,PWMBを生成する。これにより、スイッチング部300は、交流信号Sac2を生成し始める。このとき、制御回路390は、いわゆるスローアップ制御を行う。すなわち、ヒータ42A,42Bに対して、冷えた状態で通電を開始すると、ヒータ42A,42Bの抵抗値が低いため、突入電流が大きくなってしまう。そこで、制御回路390は、まず最初は、電力供給量を低く設定し、ヒータ42A,42Bが温まり電流が下がってきたら、ヒータ42A,42Bへの電力供給量を増やす。このようにして、制御回路390は、ヒータ42A,42Bへの電力供給量を徐々に増やす。このようなスローアップ制御により、交流信号Sac2の振幅は徐々に大きくなる。ACスイッチ410は、交流信号Sac2のゼロクロスタイミングで導通する。これにより、ヒータ42Aには、交流信号Sac2Aが供給される。
その後、プリンタエンジン制御部59は、タイミングt4において、ヒータ制御信号HAを高レベルから低レベル(ディセーブル)に変化させる。制御回路390は、このヒータ制御信号HAに基づいて、このタイミングt4において、スイッチ制御信号SWAを高レベルから低レベルに変化させる。これに応じて、内部信号HA2は、タイミングt5において高レベルから低レベルに変化する。制御回路390は、この内部信号HA2に基づいて、スイッチング部300を待機モードで動作させる。これにより、スイッチング部300は、交流信号Sac2の生成を停止する。
このように、制御回路390は、ヒータ制御信号HA,HBに基づいて、DC−ACインバータ62の動作を制御する。その際、制御回路390は、以下に説明するように、ヒータ制御信号HA,HBの変化に応じて、スローアップ制御を行うか否かを判断する。
図21は、ヒータ制御信号HA,HBの各変化における制御回路390の動作を表すものである。ここで、“L”は低レベルを示し、“H”は高レベルを示す。また、“停止”は、交流信号Sac2の生成を停止させる制御を示し、“維持”は、交流信号Sac2を生成し続ける制御を示す。
制御回路390は、ヒータ制御信号HA,HBのうちの少なくとも一方において、前回値が低レベルであり現在値が高レベルである場合には、スローアップ制御を行う。すなわち、この場合には、ヒータ42A,42Bのうちの少なくとも一方に対して電力供給を開始する。よって、制御回路30は、突入電流を抑えるため、スローアップ制御を行う。
また、制御回路390は、ヒータ制御信号HA,HBのうちの少なくとも一方において、前回値および現在値がともに高レベルである場合には、交流信号Sac2を生成し続ける制御を行う。
また、制御回路390は、ヒータ制御信号HA,HBの現在値がともに低レベルである場合には、交流信号Sac2の生成を停止させる制御を行う。具体的には、制御回路390は、図16に示したように、スイッチング部300を待機モードで動作させる。
図22は、ヒータ制御信号HA,HBに基づく制御回路390の動作を表すものである。
まず、制御回路390は、ヒータ制御信号HA,HBに基づいて、図21に示したように、制御回路390がすべき動作を決定する。制御回路390は、交流信号Sac2の生成を停止させる制御を行うべきである場合(ステップS21において“Y”)には、制御回路390は、図16に示したように、スイッチング部300を待機モードで動作させ(ステップS22)、ステップS21に戻る。それ以外の場合(ステップS21において“N”)において、制御回路390は、スローアップ制御をすべきである場合(ステップS23において“Y”)には、ステップS24に進む。それ以外の場合(ステップS23において“N”)には、ステップS21に戻る。すなわち、これは、交流信号Sac2を生成し続ける制御をすべきである場合を示す。
次に、制御回路390は、交流信号Sac2の振幅を最小に設定する(ステップS24)。具体的には、制御回路390は、イニシャル動作(図19)のステップS4においてデューティ比テーブル391Aを選択した場合には、デューティ比テーブル391Aに含まれる13個のテーブル391A1〜391A13のうちのテーブル391A1を選択し、このテーブル391A1に基づいてPWM信号PWMA,PWMBを生成する。また、制御回路390は、イニシャル動作(図19)のステップS5においてデューティ比テーブル391Bを選択した場合には、デューティ比テーブル391Bに含まれる13個のテーブル391B1〜391B13のうちのテーブル391B1を選択し、このテーブル391B1に基づいてPWM信号PWMA,PWMBを生成する。これにより、交流信号Sac2の振幅は、信号Sdc390の電圧(この例では390V)の30%(117Vp)程度になる。このとき、交流信号Sac2の実効値は83Vrms程度である。
次に、制御回路390は、入力電流値Iinが所定のしきい値Ithより大きい(Iin>Ith)か否かを確認する(ステップS25)。
ステップS25において、入力電流値Iinが所定のしきい値Ithより大きい場合(ステップS25において“Y”)には、制御回路390は、DC−ACインバータ62が、異常な状態であると判断する。そして、制御回路390は、スイッチング部300の動作を停止させる(ステップS31)。具体的には、制御回路390は、例えば、PWM信号PWMA,PWMB,PWMC,PWMDの全てを低レベルにすることにより、スイッチング部300の動作を停止させる。また、制御回路390は、スイッチ制御信号SWA,SWBを低レベルにする。そして、制御回路390は、レディ信号RDYをディセーブルにする(ステップS32)。
ステップS25において、入力電流値Iinが所定のしきい値Ith以下である場合(ステップS25において“N”)には、制御回路390は、所定時間が経過した後(ステップS26)、出力電圧値Voutが目標電圧値Vtargetよりも大きい(Vout>Vtarget)か否かを確認する(ステップS27)。この目標電圧値Vtargetは、ヒータ42A,42Bに電力を供給する際の交流信号Sac2の出力電圧値Voutの目標値であり、制御回路390に予め設定されているものである。出力電圧値Voutが目標電圧値Vtargetよりも大きい場合(ステップS27において“Y”)には、ステップS21に戻る。すなわち、この場合には、出力電圧値Voutが目標電圧値Vtargetに達したので、制御回路390は、スローアップ制御を終了する。
ステップS27において、出力電圧値Voutが目標電圧値Vtarget以下である場合(ステップS27において“N”)には、制御回路390は、交流信号Sac2の振幅を一段階増加させる(ステップS28)。具体的には、制御回路390は、テーブル391A1を選択している場合には、これに代えてテーブル391A2を選択し、テーブル391A2を選択している場合には、これに代えてテーブル391A3を選択する。その他のテーブルについても同様である。これにより、交流信号Sac2の振幅は、5%分だけ増加する。
そして、制御回路390は、所定時間(例えば60msec)が経過した後(ステップS29)、入力電流値Iinが所定のしきい値Ithより大きい(Iin>Ith)か否かを確認する(ステップS30)。入力電流値Iinが所定のしきい値Ithより大きい場合(ステップS30において“Y”)には、ステップS29に戻り、入力電流値Iinが所定のしきい値Ith以下になるまでステップS29,S30を繰り返す。すなわち、電力供給量を変更した直後では、ヒータ42A,42Bは、まだ十分に熱くなっていないため抵抗値が低く、突入電流が大きい。よって、制御回路390は、ヒータ42A,42Bが十分に熱くなり、電流が下がるまで待つように動作する。
ステップS30において、入力電流値Iinが所定のしきい値Ith以下である場合(ステップS30において“N”)には、ステップS27に戻る。そして、出力電圧値Voutが目標電圧値Vtargetに達するまで、このステップS27〜S30を繰り返す。
図23は、スローアップ制御を表すものである。この例では、交流信号Sac2の振幅設定を、信号Sdc390の電圧の30%から75%(目標電圧値Vtarget)へ徐々に変化させている。その際、制御回路390は、60msec周期で入力電流値Iinと所定のしきい値Ithとを比較することにより、交流信号Sac2の振幅を徐々に大きくする。
この例では、300msecまでは、制御回路390は、交流信号Sac2の振幅を一段階ずつ増加させる。すなわち、この例では、300msecまで、入力電流値Iinが所定のしきい値Ith以下であるため、制御回路390は、交流信号Sac2の振幅を一段階ずつ増加させる。そして、360msecでは、この例では、入力電流値Iinが所定のしきい値Ithより大きいため、制御回路390は、交流信号Sac2の振幅を維持する。そして、次の420msecでは、この例では、入力電流値Iinが所定のしきい値Ith以下であるので、制御回路390は、交流信号Sac2の振幅を一段階増加させる。言い換えれば、制御回路390は、入力電流値Iinに基づいて、交流信号Sac2の振幅の増加度合いを変化させる。このようにして、制御回路390は、交流信号Sac2の振幅を徐々に増やす。そして、この例では、780msecにおいて、制御回路390は、交流信号Sac2の振幅を、信号Sdc390の電圧の75%(目標電圧値Vtarget)に設定する。
図24は、交流信号Sac2の波形、および電流検出回路350の出力信号SIの波形の一例を表すものである。このように、DC−ACインバータ62は、交流信号Sac2の振幅を徐々に増加させる。
このように、DC−ACインバータ62では、ヒータ42A,42Bへの電力供給量を徐々に増やす。その際、制御回路390は、入力電流値Iinをモニタし、この入力電流値Iinが所定のしきい値Ithを超えないようにしつつ、交流信号Sac2の振幅を徐々に大きくする。これにより、DC−ACインバータ62では、突入電流を抑えることができ、その結果、伝導ノイズやフリッカが生じるおそれを低減することができる。
また、DC−ACインバータ62では、出力電圧値Voutを検出し、その出力電圧値Voutが目標電圧値Vtargetに到達するように、交流信号Sac2の振幅を制御したので、例えば、IGBT311,321,341,342における電力損失や、力率改善回路100の負荷変動によらず、所望の電力をヒータ42A,42Bに供給することができる。
また、低圧電源部60では、信号Sdc390に対してスイッチング動作を行うことにより交流信号Sac2を生成するようにしたので、商用電源の電源電圧ごとに、定着部を用意しなくて済む。すなわち、例えば、商用電源99から供給された交流信号Sac1を、位相制御を行いながらヒータへ直接供給するように構成した場合には、商用電源の電源電圧ごとに、定着部を用意する必要がある。一方、低圧電源部60では、信号Sdc390に対してスイッチング動作を行うことにより交流信号Sac2を生成したので、商用電源99の電源電圧によらず、定着部を共用することができる。
[効果]
以上のように本実施の形態では、交流信号Sac2の振幅を徐々に増加させるようにしたので、突入電流を抑えることができ、その結果、伝導ノイズやフリッカが生じるおそれを低減することができる。
また、本実施の形態では、信号Sdc390に対してスイッチング動作を行うことにより交流信号Sac2を生成するようにしたので、商用電源の電源電圧ごとに、定着部を用意しなくて済み、定着部を共用することができる。
[変形例1]
上記実施の形態では、図4に示したように、DC−DCコンバータ61が、力率改善回路100の出力信号Sdc390に基づいて、信号Sdc24,Sdc5を生成したが、これに限定されるものではない。例えば、DC−DCコンバータ61は、スイッチング部300の(図8)の電流検出回路350の第1の巻線を通過した後の信号Sdc390を受け取り、この信号Sdc390に基づいて信号Sdc24,Sdc5を生成してもよい。また、例えば、図25に示す低圧電源部60Aのように、AC−DCコンバータ61Aが、交流信号Sac1に基づいて、信号Sdc24,Sdc5を生成してもよい。
[変形例2]
上記実施の形態では、プリンタエンジン制御部59は、DC−ACインバータ62の制御回路390に対してヒータ制御信号HA,HBを供給し、制御回路390は、プリンタエンジン制御部59に対してレディ信号RDYを供給したが、これに限定されるものではない。以下に、本変形例について詳細に説明する。
図26は、本変形例に係る制御回路390Cおよびプリンタエンジン制御部59Cの一構成例を表すものである。この例では、プリンタエンジン制御部59Cは、制御回路390Cに対して、さらにクロック信号SCKおよびデータ信号TXDを供給し、制御回路390Cは、プリンタエンジン制御部59Cに対して、さらにデータ信号RXDを供給する。具体的には、プリンタエンジン制御部59Cは、1バイトのリードコマンドを、データ信号TXDを用いて制御回路390Cに供給し、制御回路390Cは、1バイトのデータを、データ信号RXDを用いてプリンタエンジン制御部59Cに供給する。また、プリンタエンジン制御部59Cは、1バイトのライトコマンドおよび1バイトのデータを、データ信号TXDを用いて制御回路390Cに供給する。
図27は、リードコマンドの一例を表すものである。リードコマンドには、例えば、ステータスコマンド、入力電圧コマンド、入力電流コマンド、出力電圧コマンドが含まれる。
ステータスコマンドは、DC−ACインバータ62のステータスを取得するためのコマンドである。DC−ACインバータ62のステータスは、例えば、図19に示したイニシャル動作や、図16に示した待機モードを含むものである。また、以下に示すオフモードを含んでもよい。
図28は、待機モードおよびオフモードにおけるPWM信号PWMA,PWMB,PWMC,PWMDの波形の一例を表すものである。待機モードにおける波形は、図16と同様である。一方、オフモードでは、PWM信号PWMA,PWMB,PWMC,PWMDが遷移しない。この例では、PWM信号PWMA,PWMCを低レベルにするとともに、PWM信号PWMB,PWMDを高レベルにしている。この場合には、スイッチング部300は交流信号Sac2を生成しない。なお、これに限定されるものではなく、例えば、PWM信号PWMA,PWMCを高レベルにするとともに、PWM信号PWMB,PWMDを低レベルにしてもよいし、PWM信号PWMA,PWMB,PWMC,PWMDの全てを低レベルにしてもよい。このオフモードでは、待機モードに比べて、さらに消費電力を低減することができる。
入力電圧コマンドは、DC−ACインバータ62の入力される信号Sdc390の電圧値(入力電圧値Vin)の移動平均値を取得するためのコマンドである。入力電流コマンドは、DC−ACインバータ62の入力電流値Iinの移動平均値を取得するためのコマンドである。出力電圧コマンドは、DC−ACインバータ62が生成する交流信号Sac2の実効値(出力電圧値Vout)の移動平均値を取得するためのコマンドである。
図29は、ライトコマンドの一例を表すものである。ライトコマンドには、例えば、電流リミットコマンド、目標電圧コマンド、開始電圧コマンド、制御周期コマンド、出力待機コマンド、出力オフコマンドが含まれる。電流リミットコマンドは、しきい値Ithを設定するためのコマンドである。目標電圧コマンドは、目標電圧値Vtargetを設定するためのコマンドである。開始電圧コマンドは、スローアップ制御における開始電圧(ステップS24での振幅)を設定するためのコマンドである。制御周期コマンドは、スローアップ制御における制御周期(ステップS29での所定時間)を設定するためのコマンドである。出力待機コマンドは、DC−ACインバータ62を待機モードで動作させるためのコマンドであり、出力オフコマンドは、DC−ACインバータ62をオフモードで動作させるためのコマンドである。
[変形例3]
上記実施の形態では、制御回路390は、PWM信号PWMDの遷移タイミングでヒータ制御信号HA,HBをサンプリングすることにより、内部信号HA2,HB2を生成したが、これに限定されるものではない。以下に、本変形例について詳細に説明する。
図30は、本変形例に係るDC−ACインバータ62Dの一動作例を表すものである。この図30は、上記実施の形態に係る図20に対応するものである。本変形例に係る制御回路390Dは、ヒータ制御信号HA,HBが低レベルから高レベルに変化する際は、その直後のPWM信号PWMDの遷移タイミングで内部信号HA2,HB2を低レベルから高レベルに変化させる。また、制御回路390Dは、ヒータ制御信号HA,HBが高レベルから低レベルに変化する際は、その直後のPWM信号PWMDの遷移タイミングから、PWM信号PWMDの2周期分だけ経過したタイミングで、内部信号HA2,HB2を高レベルから低レベルに変化させる。そして、制御回路390Dは、この内部信号HA2,HB2に基づいて、例えばデューティ比テーブル391Aを利用してPWM信号PWMA,PWMBを生成する。これにより、スイッチング部300は、交流信号Sac2を生成する。
図31は、DC−ACインバータ62Dの他の動作例を表すものである。プリンタエンジン制御部59は、タイミングt21において、ヒータ制御信号HA,HBを低レベルから高レベル(イネーブル)に変化させる。制御回路390Dは、このタイミングt21において、ヒータ制御信号HAに基づいてスイッチ制御信号SWAを低レベルから高レベルに変化させ、ヒータ制御信号HBに基づいてスイッチ制御信号SWBを低レベルから高レベルに変化させる。また、制御回路390Dは、タイミングt22において、内部信号HA2を低レベルから高レベルに変化させるとともに、内部信号HB2を低レベルから高レベルに変化させる。制御回路390Dは、この内部信号HA2,HB2に基づいて、例えばデューティ比テーブル391Aを利用してPWM信号PWMA,PWMBを生成する。これにより、スイッチング部300は、スローアップ制御を行うことにより、交流信号Sac2を生成し始める。
その後、タイミングt23において、プリンタエンジン制御部59は、ヒータ制御信号HAを高レベルから低レベル(ディセーブル)に変化させ、それに応じて、制御回路390Dは、スイッチ制御信号SWAを高レベルから低レベルに変化させる。そして、タイミングt24において、プリンタエンジン制御部59は、ヒータ制御信号HAを低レベルから高レベル(イネーブル)に変化させ、それに応じて、制御回路390Dは、スイッチ制御信号SWAを低レベルから高レベルに変化させる。これにより、DC−ACインバータ62Dは、一時的に、交流信号Sac2Aの出力を停止する。なお、この期間には、内部信号HA2,HB2はともに高レベルであるので、スイッチング部300は、交流信号Sac2を生成し続ける。
そして、タイミングt25において、プリンタエンジン制御部59は、ヒータ制御信号HBを高レベルから低レベル(ディセーブル)に変化させ、それに応じて、制御回路390Dは、スイッチ制御信号SWBを高レベルから低レベルに変化させる。これにより、DC−ACインバータ62Dは、交流信号Sac2Bの出力を停止する。その後、制御回路390Dは、タイミングt27において、内部信号HB2を高レベルから低レベルに変化させる。このとき、内部信号HA2は高レベルであるので、スイッチング部300は、交流信号Sac2を生成し続ける。
タイミングt26において、プリンタエンジン制御部59は、ヒータ制御信号HAを高レベルから低レベル(ディセーブル)に変化させ、それに応じて、制御回路390Dは、スイッチ制御信号SWAを高レベルから低レベルに変化させる。そして、タイミングt28において、プリンタエンジン制御部59は、ヒータ制御信号HAを低レベルから高レベル(イネーブル)に変化させ、それに応じて、制御回路390Dは、スイッチ制御信号SWAを低レベルから高レベルに変化させる。これにより、DC−ACインバータ62Dは、一時的に、交流信号Sac2Aの出力を停止する。なお、この期間には、内部信号HA2が高レベルであるので、スイッチング部300は、交流信号Sac2を生成し続ける。
そして、タイミングt29において、プリンタエンジン制御部59は、ヒータ制御信号HAを高レベルから低レベル(ディセーブル)に変化させ、それに応じて、制御回路390Dは、スイッチ制御信号SWAを高レベルから低レベルに変化させる。これにより、DC−ACインバータ62Dは、交流信号Sac2Aの出力を停止する。このとき、内部信号HA2は高レベルであるので、スイッチング部300は、交流信号Sac2を生成し続ける。その後、制御回路390Dは、タイミングt30において、内部信号HA2を高レベルから低レベルに変化させる。これにより、スイッチング部300は、交流信号Sac2の生成を停止する。
このように、DC−ACインバータ62Dでは、ヒータ制御信号HA,HBが低レベルに変化しても、内部信号HA2,HB2をすぐに低レベルに変化しないようにしたので、例えば、タイミングt24などにおいて、スローアップ制御を行わないようにすることができる。すなわち、ヒータ42A,42Bへの電力供給を停止した直後は、ヒータ42A,42Bは熱いままであるので、ヒータ42A,42Bへの電力供給を再開しても、突入電流は大きくなりにくい。そこで、DC−ACインバータ62Dでは、このような場合には、スローアップ制御を行わないようにしている。
以上、実施の形態および変形例を挙げて本発明を説明したが、本発明はこれらの実施の形態等には限定されず、種々の変形が可能である。
例えば、上記実施の形態等では、本発明をカラープリンタに適用したが、これに限定されるものではなく、これに代えて、例えば、モノクロプリンタに適用してもよい。
また、例えば、上記実施の形態等では、本発明をプリンタに適用したが、これに限定されるものではなく、これに代えて、例えば、本発明を、プリンタ、FAX、スキャナなどの機能を有する多機能周辺装置(Multi Function Peripheral)に適用してよい。