以下、本発明の実施の形態について、図面を参照して詳細に説明する。
[構成例]
(全体構成例)
図1は、本発明の一実施の形態に係る電源装置を有する画像形成装置(画像形成装置1)の一構成例を表すものである。画像形成装置1は、例えば普通用紙等からなる記録媒体に対して、電子写真方式を用いて画像を形成するプリンタとして機能するものである。
画像形成装置1は、ホッピングローラ11と、レジストローラ12と、媒体センサ13と、4つの現像部20(20C,20M,20Y,20K)と、4つのトナー収容部29(29C,29M,29Y,29K)と、4つの露光ヘッド16(16C,16M,16Y,16K)と、転写部30と、定着部40とを備えている。これらの部材は、記録媒体9を搬送する搬送路10に沿って配置されている。
ホッピングローラ11は、着脱可能に構成された給紙カセット8に収納されている記録媒体9をその最上部から1枚ずつ取り出し、取り出した記録媒体9を搬送路10に送り出す部材である。ホッピングローラ11は、ホッピングモータ11T(後述)から伝達された動力により回転するようになっている。
レジストローラ12は、搬送路10を挟む1対のローラにより構成される部材であり、ホッピングローラ11から供給された記録媒体9の斜行を矯正するとともに、搬送路10に沿って記録媒体9を現像部20に導くものである。レジストローラ12は、レジストモータ12T(後述)から伝達された動力により回転するようになっている。
媒体センサ13は、接触または非接触により、記録媒体9の通過を検出するものである。
現像部20は、トナー像を形成するものである。具体的には、現像部20Cは、シアン色(C)のトナー像を形成するものであり、現像部20Mは、マゼンタ色(M)のトナー像を形成するものであり、現像部20Yは、黄色(Y)のトナー像を形成するものであり、現像部20Kは、黒色(K)のトナー像を形成するものである。この例では、各現像部20は、記録媒体9の搬送方向Fにおいて、現像部20K,20Y,20M,20Cの順に配置されている。各現像部20は、着脱可能に構成されている。
トナー収容部29Cは、シアン色(C)のトナーを収容するものであり、現像部20Cに着脱可能に構成されている。同様に、トナー収容部29Mは、マゼンタ色(M)のトナーを収容するものであり、現像部20Mに着脱可能に構成され、トナー収容部29Yは、黄色(Y)のトナーを収容するものであり、現像部20Yに着脱可能に構成され、トナー収容部29Kは、黒色(K)のトナーを収容するものであり、現像部20Kに着脱可能に構成されている。
図2は、現像部20の一構成例を表すものである。なお、この図では、現像部20に加え、トナー収容部29をも描いている。現像部20は、感光ドラム21と、帯電ローラ22と、クリーニングブレード23と、現像ローラ24と、現像ブレード25と、供給ローラ26とを有している。
感光ドラム21は、表面(表層部分)に静電潜像を担持する部材であり、感光体を用いて構成されるものである。感光ドラム21は、ドラムモータ20T(後述)から伝達された動力により、この例では右回りで回転する。感光ドラム21は、帯電ローラ22により帯電する。そして、現像部20Cの感光ドラム21は、露光ヘッド16Cにより露光され、現像部20Mの感光ドラム21は、露光ヘッド16Mにより露光され、現像部20Yの感光ドラム21は、露光ヘッド16Yにより露光され、現像部20Kの感光ドラム21は、露光ヘッド16Kにより露光される。このようにして、各感光ドラム21の表面には、静電潜像が形成されるようになっている。
帯電ローラ22は、感光ドラム21の表面(表層部分)を帯電させる部材である。帯電ローラ22は、感光ドラム21の表面(周面)に接するように配置されるとともに、所定の押し付け量で感光ドラム21に押し付けられように配置されている。帯電ローラ22は、感光ドラム21の回転に応じて、この例では左回りで回転する。帯電ローラ22には、高圧電源部55(後述)により帯電電圧が印加されるようになっている。
クリーニングブレード23は、感光ドラム21の表面(表層部分)に残留するトナーを掻き取ってクリーニングする部材である。このクリーニングブレード23は、感光ドラム21の表面に対してカウンタで(感光ドラム21の回転方向に対して逆向きで突出して)当接するように配置されるとともに、所定の押し付け量で感光ドラム21に押し付けられように配置されている。
現像ローラ24は、トナーを表面に担持する部材である。この現像ローラ24は、感光ドラム21の表面(周面)に接するように配置されるとともに、所定の押し付け量で感光ドラム21に押し付けられように配置されている。現像ローラ24は、ドラムモータ20T(後述)から伝達された動力により、この例では左回りで回転する。各感光ドラム21では、現像ローラ24から供給されたトナーにより、静電潜像に応じたトナー像が形成(現像)される。現像ローラ24には、高圧電源部55(後述)により現像電圧が印加されるようになっている。
現像ブレード25は、現像ローラ23の表面に当接することにより、この現像ローラ23の表面にトナーからなる層(トナー層)を形成させるとともに、そのトナー層の厚さを規制(制御,調整)する部材である。現像ブレード25は、例えば、ステンレス等からなる板状弾性部材をL字形状に折り曲げたものである。現像ブレード25は、その折れ曲がった部分が現像ローラ24の表面に当接するように配置されるとともに、所定の押し付け量で現像ローラ24に押し付けられように配置されている。現像ブレード25には、高圧電源部55(後述)により供給電圧が印加されるようになっている。
供給ローラ26は、トナー収容部29内に貯蔵されたトナーを、現像ローラ24に対して供給する部材である。この供給ローラ26は、現像ローラ24の表面(周面)に接するように配置されるとともに、所定の押し付け量で現像ローラ24に押し付けられように配置されている。供給ローラ26は、ドラムモータ20T(後述)から伝達された動力により、この例では左回りで回転する。これにより、各現像部20では、供給ローラ26の表面と現像ローラ24の表面との間には摩擦が生じる。その結果、各現像部20では、トナーが、いわゆる摩擦帯電により帯電するようになっている。供給ローラ26には、高圧電源部55(後述)により供給電圧が印加されるようになっている。
露光ヘッド16C(図1)は、現像部20Cの感光ドラム21(後述)に対して光を照射する部材であり、露光ヘッド16Mは、現像部20Mの感光ドラム21に対して光を照射する部材であり、露光ヘッド16Yは、現像部20Yの感光ドラム21に対して光を照射する部材であり、露光ヘッド16Kは、現像部20Kの感光ドラム21に対して光を照射する部材である。これにより、これらの感光ドラム21は、露光ヘッド16C,16M,16Y,16Kにより露光され、感光ドラム21の表面に、静電潜像が形成されるようになっている。
転写部30は、4つの現像部20C,20M,20Y,20Kにより形成されたトナー像を、記録媒体9の被転写面上に転写する部材である。転写部30は、転写ローラ31C,31M,31Y,31Kと、転写ベルト32と、駆動ローラ33と、従動ローラ34とを有している。
転写ローラ31Cは、搬送路10を介して現像部20Cの感光ドラム21に対向配置されており、転写ローラ31Mは、搬送路10を介して現像部20Mの感光ドラム21に対向配置されており、転写ローラ31Yは、搬送路10を介して現像部20Yの感光ドラム21に対向配置されており、転写ローラ31Kは、搬送路10を介して現像部20Kの感光ドラム21に対向配置されている。転写ローラ31C,31M,31Y,31Kのそれぞれには、高圧電源部55(後述)により転写電圧が印加されるようになっている。
転写ベルト32は、搬送路10に沿って記録媒体9を搬送するものである。転写ベルト32は、駆動ローラ33および従動ローラ34によって張設(張架)されている。そして、転写ベルト32は、駆動ローラ33の回転に応じて、搬送方向Fの方向に循環回転するようになっている。その際、転写ベルト32は、現像部20Cと転写ローラ31Cとの間、現像部20Mと転写ローラ31Mとの間、現像部20Yと転写ローラ31Yとの間、および現像部20Kと転写ローラ31Kとの間を移動するようになっている。
駆動ローラ33は、転写ベルト32を循環回転させるものである。この例では、駆動ローラ33は、搬送方向Fにおいて、4つの現像部20の下流側に配置され、ベルトモータ33T(後述)から伝達された動力により、この例では左回りで回転する。これにより、駆動ローラ33は、転写ベルト32を搬送方向Fの方向へ循環回転させるようになっている。
従動ローラ34は、転写ベルト32の循環回転に応じて、この例では左回りで従動回転するものである。この例では、従動ローラ34は、搬送方向Fにおいて、4つの現像部20の上流側に配置されている。
クリーニングブレード14は、転写ベルト31の被転写面に残留するトナーを掻き取ってクリーニングする部材である。そして、掻き取られたトナーは、クリーナ容器15に収容されるようになっている。
定着部40は、記録媒体9に対し熱および圧力を付与することにより、記録媒体9上に転写されたトナー像を記録媒体9に定着させる部材である。定着部40は、ヒートローラ41と、加圧ローラ43と、サーミスタ44とを有している。ヒートローラ41は、その内部にヒータ42を含んで構成されており、記録媒体9上のトナーに対して熱を付与する部材である。ヒータ42は、例えば、ハロゲンヒータを用いることができる。なお、これに限定されるものではなく、これに代えて、例えばセラミックヒータなどを用いてもよい。加圧ローラ43は、ヒートローラ41との間に圧接部が形成されるように配置されており、記録媒体9上のトナーに対して圧力を付与する部材である。ヒートローラ41および加圧ローラ43は、ヒータモータ40T(後述)から伝達された動力により回転するようになっている。サーミスタ44は、定着部40の温度を検出するものである。これにより、定着部40では、記録媒体9上のトナーが、加熱され、融解し、加圧される。その結果、トナー像が記録媒体9上に定着するようになっている。
画像形成装置1では、このようにして、記録媒体9に対して印刷が行われる。そして、印刷された記録媒体9は、媒体ガイド17により、搬送路10に沿って搬送され、排紙トレイ18上に積載されるようになっている。
(画像形成装置1の制御機構)
図3は、画像形成装置1における制御機構の一例を表すものである。画像形成装置1は、インタフェース部51と、画像処理部52と、露光制御部53と、表示部54と、高圧電源部55と、低圧電源部60と、プリンタエンジン制御部59とを有している。
インタフェース部51は、例えば、図示しないホストコンピュータから、例えばPDL(Page Description Language)等により記述された印刷データを受け取るとともに、このホストコンピュータとの間で各種制御信号のやりとりを行うものである。
画像処理部52は、印刷データを受け取ったことをプリンタエンジン制御部59に通知するとともに、プリンタエンジン制御部59からの指示に基づいて、インタフェース部51から供給された印刷データに基づいて所定の処理を行うことによりビットマップデータを生成するものである。
露光制御部53は、プリンタエンジン制御部59からの指示、および画像処理部52から供給されたビットマップデータに基づいて、露光ヘッド16C,16M,16Y,16Kの動作を制御するものである。
表示部54は、画像形成装置1の動作状態などを表示するものであり、例えば、液晶ディスプレイを用いて構成されるものである。
高圧電源部55は、プリンタエンジン制御部59からの指示に基づいて、現像部20C,20M,20Y,20Kの帯電ローラ22に印加する帯電電圧をそれぞれ生成し、現像部20C,20M,20Y,20Kの現像ローラ24に印加する現像電圧をそれぞれ生成し、現像部20C,20M,20Y,20Kの供給ローラ26に印加する供給電圧をそれぞれ生成し、転写ローラ32C,32M,32Y,32Kに印加する転写電圧をそれぞれ生成するものである。
低圧電源部60は、プリンタエンジン制御部59からの指示に基づいて、定着部40のヒータ42に電力を供給するものである。低圧電源部60については、後ほど詳細に説明する。
プリンタエンジン制御部59は、画像形成装置1の各ブロックを制御するものである。具体的には、プリンタエンジン制御部59は、画像処理部52を制御することにより、印刷データに基づいてビットマップデータを生成させる。そして、プリンタエンジン制御部59は、低圧電源部60を制御することにより、定着部40のヒータ42に電力を供給させるとともに、サーミスタ44における検出結果に基づいてヒータ42に供給する電力を調節する。そして、プリンタエンジン制御部59は、ホッピングモータ11Tを制御することによりホッピングローラ11を回転させ、レジストモータ12Tを制御することによりレジストローラ12を回転させ、ドラムモータ20Tを制御することにより現像部20C,20M,20Y,20K内の感光ドラム21、現像ローラ24、および供給ローラ26をそれぞれ回転させ、ベルトモータ33Tを制御することにより駆動ローラ106を回転させ、ヒータモータ40Tを制御することによりヒートローラ41および加圧ローラ43を回転させる。また、プリンタエンジン制御部59は、媒体センサ13における検出結果に基づいて、高圧電源部55を制御することにより各種電圧を生成させる。そして、プリンタエンジン制御部59は、露光制御部53の動作を制御することにより露光ヘッド16C,16M,16Y,16Kを動作させる。また、プリンタエンジン制御部59は、表示部54を制御することにより、画像形成装置1の動作状態などを表示させるようになっている。
プリンタエンジン制御部59は、低圧電源部60を制御する際、電力指示信号CTLおよび出力イネーブル信号ENBを低圧電源部60に供給する。電力指示信号CTLは、ヒータ42への電力供給量を指示するものである。出力イネーブル信号ENBは、ヒータ42への電力供給を行うか否かを指示するものである。具体的には、例えば、プリンタエンジン制御部59は、サーミスタ44における検出結果に基づいて、ヒータ42の温度が一定になるように、電力指示信号CTLおよび出力イネーブル信号ENBを用いて指示する。また、プリンタエンジン制御部59は、例えば、ヒータ42に電力を供給し始める場合には、電力供給量を徐々に増やすように、電力指示信号CTLを用いて指示する。すなわち、ヒータ42に対して冷えた状態で通電を開始すると、ヒータ42の抵抗値が低いため、突入電流が大きくなってしまう。そこで、プリンタエンジン制御部59は、まず最初は、電力供給量を低く設定し、ヒータ42が温まり電流が下がってきたら、電力供給量を増やす。このようにして、プリンタエンジン制御部59は、ヒータ42に電力を供給し始める際は、電力供給量を徐々に高くするようになっている。
(低圧電源部60)
図4は、低圧電源部60の一構成例を表すものである。この図では、低圧電源部60に加え、商用電源99、ヒータ42、およびプリンタエンジン制御部59をも描いている。低圧電源部60は、商用電源99から供給される交流信号Sac1に基づいて、交流信号Sac2を生成し、その交流信号Sac2をヒータ42に供給するものである。この例では、商用電源99から供給される交流信号Sac1の周波数は50Hzであり、実効値は100Vrmsである。なお、これに限定されるものではなく、周波数は、例えば60Hzであってもよいし、実効値は、例えば200Vrmsであってもよい。低圧電源部60は、力率改善回路(Power Factor Correction回路)100と、ゼロクロス検出回路200と、DC−DCコンバータ61と、DC−ACインバータ62とを有している。
(力率改善回路100)
力率改善回路100は、交流信号Sac1に基づいて信号Sdc390を生成するものである。信号Sdc390の電圧は、この例では390Vである。なお、この電圧に限定されるものではなく、390V以外の電圧であってもよい。以下に、力率改善回路100について詳細に説明する。
図5は、力率改善回路100の一構成例を表すものである。力率改善回路100は、ヒューズ91およびコモンモードチョークコイル92を介して商用電源99と接続されている。具体的には、商用電源99の一端はコモンモードチョークコイル92の第1の巻線の一端に接続され、他端はヒューズ91の一端に接続されている。ヒューズ91の一端は商用電源99の他端に接続され、他端はコモンモードチョークコイル92の第2の巻線の一端に接続されている。コモンモードチョークコイル92の第1の巻線の一端は商用電源99の一端に接続され、他端は力率改善回路100およびゼロクロス検出回路200に接続されている。コモンモードチョークコイル92の第2の巻線の一端はヒューズ91の他端に接続され、他端は力率改善回路100およびゼロクロス検出回路200に接続されている。
力率改善回路100は、ブリッジダイオード101と、スイッチング回路110,120と、ダイオード102,103と、電解コンデンサ104と、抵抗素子105〜108と、ダイオード131,132と、抵抗素子133,134と、コンデンサ135と、抵抗素子136,137と、制御回路140とを有している。力率改善回路100には、DC−DCコンバータ400B(後述)から、端子T191を介して、信号Sdc15B,Sdc0Bが供給される。この信号Sdc15Bの電圧は、信号Sdc0Bの電圧よりも15V高いものである。また、力率改善回路100は、端子T192を介して、信号Sdc390,Sdc0Bを出力するようになっている。
ブリッジダイオード101は、コモンモードチョークコイル92から出力される交流信号に対して全波整流を行うものである。ブリッジダイオード101の第1のダイオードのカソードおよび第2のダイオードのアノードは、コモンモードチョークコイル92の第1の巻線の他端に接続され、ブリッジダイオード101の第3のダイオードのカソードおよび第4のダイオードのアノードは、コモンモードチョークコイル92の第2の巻線の他端に接続されている。ブリッジダイオード101の第1のダイオードのアノードおよび第3のダイオードのアノードには信号Sdc0Bが供給されている。ブリッジダイオード101の第2のダイオードのカソードおよび第4のダイオードのカソードには、スイッチング回路110,120が接続されている。
スイッチング回路110は、ゲートドライブ信号GD1に基づいてスイッチング動作を行うものである。
図6は、スイッチング回路110の一構成例を表すものである。スイッチング回路110は、抵抗素子114,115と、NPNトランジスタ116と、PNPトランジスタ117と、抵抗素子118,119と、インダクタ111と、絶縁ゲートバイポーラトランジスタ(IGBT)112と、ダイオード112Dと、抵抗素子113とを有している。なお、図5では、これらの素子のうち、インダクタ111、IGBT112、抵抗素子113を描いている。
抵抗素子114の一端にはゲートドライブ信号GD1が供給され、他端はNPNトランジスタ116のベースおよびPNPトランジスタ117のベースに接続されている。抵抗素子115の一端には信号Sdc15Bが供給され、他端はNPNトランジスタ116のコレクタに接続されている。NPNトランジスタ116のコレクタは抵抗素子115の他端に接続され、ベースは抵抗素子114の他端およびPNPトランジスタ117のベースに接続され、エミッタはPNPトランジスタ117のエミッタおよび抵抗素子118の一端に接続されている。PNPトランジスタ117のエミッタはNPNトランジスタ116のエミッタおよび抵抗素子118の一端に接続され、ベースは抵抗素子114の他端およびNPNトランジスタ116のベースに接続され、コレクタは抵抗素子119の他端、IGBT112のエミッタ、ダイオード112Dのアノード、および抵抗素子113の一端に接続されている。抵抗素子118の一端はNPNトランジスタ116のエミッタおよびPNPトランジスタ117のエミッタに接続され、他端は抵抗素子119の一端およびIGBT112のベースに接続されている。抵抗素子119の一端は抵抗素子118の他端およびIGBT112のベースに接続され、他端はPNPトランジスタ117のコレクタ、IGBT112のエミッタ、ダイオード112Dのアノード、および抵抗素子113の一端に接続されている。インダクタ111の一端は、図5に示したようにブリッジダイオード101の第2のダイオードのカソードおよび第4のダイオードのカソードに接続され、他端はIGBT112のコレクタおよびダイオード112Dのカソードに接続されている。IGBT112のコレクタはインダクタ111の他端およびダイオード112Dのカソードに接続され、ベースは抵抗素子118の他端および抵抗素子119の一端に接続され、エミッタはPNPトランジスタ117のコレクタ、抵抗素子119の他端、ダイオード112Dのアノード、および抵抗素子113の一端に接続されている。ダイオード112DのアノードはIGBT112のエミッタ、PNPトランジスタ117のコレクタ、抵抗素子119の他端、および抵抗素子113の一端に接続され、カソードはインダクタ111の他端およびIGBT112のコレクタに接続されている。抵抗素子113の一端はPNPトランジスタ117のコレクタ、抵抗素子119の他端、IGBT112のエミッタ、およびダイオード112Dのアノードに接続され、他端には信号Sdc0Bが供給されている。抵抗素子113の一端における電圧は、信号DET1として制御回路140に供給されるようになっている。
スイッチング回路120(図5)は、ゲートドライブ信号GD2に基づいてスイッチング動作を行うものである。スイッチング回路120は、スイッチング回路110(図6)と同様の構成を有するものである。スイッチング回路120は、インダクタ121と、IGBT122と、抵抗素子123とを有している。インダクタ121、IGBT122、および抵抗素子123は、スイッチング回路110におけるインダクタ111、IGBT112、および抵抗素子113に対応するものである。抵抗素子123の一端における電圧は、信号DET2として制御回路140に供給されるようになっている。
ダイオード102のアノードはインダクタ111の他端等に接続され、カソードはダイオード103のカソード、電解コンデンサ104の正極端子、抵抗素子105の一端、および抵抗素子107の一端に接続されている。ダイオード103のアノードはインダクタ121の他端等に接続され、カソードはダイオード102のカソード、電解コンデンサ104の正極端子、抵抗素子105の一端、および抵抗素子107の一端に接続されている。電解コンデンサ104の正極端子は、ダイオード102のカソード、ダイオード103のカソード、抵抗素子105の一端、および抵抗素子107の一端に接続され、負極端子には信号Sdc0Bが供給されている。電解コンデンサ104の正極端子における電圧は、信号Sdc390として、端子T192を介して出力されるようになっている。
抵抗素子105の一端は、ダイオード102のカソード、ダイオード103のカソード、電解コンデンサ104の正極端子、および抵抗素子107の一端に接続され、他端は抵抗素子106の一端に接続されている。抵抗素子106の一端は抵抗素子105の他端に接続され、他端には信号Sdc0Bが供給されている。抵抗素子105の他端および抵抗素子106の一端における電圧は、信号OVPとして制御回路140に供給されるようになっている。
抵抗素子107の一端は、ダイオード102のカソード、ダイオード103のカソード、電解コンデンサ104の正極端子、および抵抗素子105の一端に接続され、他端は抵抗素子108の一端に接続されている。抵抗素子108の一端は抵抗素子107の他端に接続され、他端には信号Sdc0Bが供給されている。抵抗素子107の他端および抵抗素子108の一端における電圧は、信号FBとして制御回路140に供給されるようになっている。
ダイオード131,132からなる回路は、コモンモードチョークコイル92から出力される交流信号に対して全波整流を行うものである。ダイオード131のアノードはコモンモードチョークコイル92の第1の巻線の他端に接続され、カソードはダイオード132のカソード、抵抗素子133の一端、および抵抗素子136の一端に接続されている。ダイオード132のアノードはコモンモードチョークコイル92の第2の巻線の他端に接続され、カソードはダイオード131のカソード、抵抗素子133の一端、および抵抗素子136の一端に接続されている。
抵抗素子133の一端はダイオード131のカソード、ダイオード132のカソード、および抵抗素子136の一端に接続され、他端は抵抗素子134の一端およびコンデンサ135の一端に接続されている。抵抗素子134の一端は抵抗素子133の他端およびコンデンサ135の一端に接続され、他端には信号Sdc0Bが供給されている。コンデンサ135の一端は抵抗素子133の他端および抵抗素子134の一端に接続され、他端には信号Sdc0Bが供給されている。抵抗素子133の他端、抵抗素子134の一端、およびコンデンサ135の一端における電圧は、信号STとして制御回路140に供給されるようになっている。
抵抗素子136の一端はダイオード131のカソード、ダイオード132のカソード、および抵抗素子133の一端に接続され、他端は抵抗素子137の一端に接続されている。抵抗素子137の一端は抵抗素子136の他端に接続され、他端には信号Sdc0Bが供給されている。抵抗素子136の他端および抵抗素子137の一端における電圧は、信号ACINとして制御回路140に供給されるようになっている。
制御回路140は、スイッチング回路110に対してゲートドライブ信号GD1を供給するとともに、スイッチング回路120に対してゲートドライブ信号GD2を供給することにより、力率改善回路100が信号Sdc390を生成するように制御するものである。具体的には、制御回路140は、信号FBに基づいて、ゲートドライブ信号GD1,GD2のスイッチングデューティ比を変化させ、信号Sdc390の電圧が所望の電圧(この例では390V)になるように制御するとともに、信号OVPに基づいて、信号Sdc390の電圧が過大にならないように制御する。その際、制御回路140は、信号ACINに基づいて、力率が1付近(例えば0.9以上)になるように、スイッチング回路110,120におけるスイッチング動作を制御するようになっている。
また、制御回路140は、信号DET1に基づいてIGBT112に過大な電流が流れていないか否かを監視するとともに、信号DET2に基づいてIGBT122に過大な電流が流れていないか否かを監視する機能をも有している。そして、制御回路140は、過大な電流が流れている場合には、スイッチング回路110,120におけるスイッチング動作を停止するようになっている。また、制御回路140は、信号STに基づいて、交流信号Sac1の振幅が所定の振幅以上である場合において、スイッチング回路110,120に対してスイッチング動作を行わせるようになっている。
(ゼロクロス検出回路200)
ゼロクロス検出回路200(図4)は、交流信号Sac1に基づいてゼロクロス信号SZを生成するものである。以下に、ゼロクロス検出回路200について詳細に説明する。
図7は、ゼロクロス検出回路200の一構成例を表すものである。ゼロクロス検出回路200は、力率改善回路100と同様に、ヒューズ91およびコモンモードチョークコイル92を介して商用電源99と接続されている。
ゼロクロス検出回路200は、抵抗素子201,202と、コンデンサ203と、ブリッジダイオード204と、フォトカプラ205と、抵抗素子206と、Nチャネル電界効果トランジスタ(FET)207と、抵抗素子208〜210と、NPNトランジスタ211と、抵抗素子212と、D型フリップフロップ213とを有している。ゼロクロス検出回路20には、DC−DCコンバータ61から信号Sdc5が供給される。この信号Sdc5の電圧は、この例では5Vである。
抵抗素子201の一端はコモンモードチョークコイル92の第1の巻線の他端に接続され、他端は抵抗素子202の一端およびコンデンサ203の一端に接続されている。抵抗素子202の一端は抵抗素子201の他端およびコンデンサ203の一端に接続され、他端はブリッジダイオード204の第1のダイオードのカソードおよび第2のダイオードのアノードに接続されている。コンデンサ203の一端は抵抗素子201の他端および抵抗素子202の一端に接続され、他端はコモンモードチョークコイル92の第2の巻線の他端、ブリッジダイオード204の第3のダイオードのカソードおよび第4のダイオードのアノードに接続されている。
ブリッジダイオード204は、抵抗素子202の他端とコンデンサ203の他端との間の信号に対して全波整流を行うものである。ブリッジダイオード204の第1のダイオードのカソードおよび第2のダイオードのアノードは、抵抗素子202の他端に接続され、ブリッジダイオード204の第3のダイオードのカソードおよび第4のダイオードのアノードは、コンデンサ203の他端に接続されている。ブリッジダイオード204の第1のダイオードのアノードおよび第3のダイオードのアノードは、フォトカプラ205の発光ダイオードのカソードに接続されている。ブリッジダイオード204の第2のダイオードのカソードおよび第4のダイオードのカソードは、フォトカプラ205の発光ダイオードのアノードに接続されている。
フォトカプラ205の発光ダイオードのアノードはブリッジダイオード204の第2のダイオードのカソードおよび第4のダイオードのカソードに接続され、発光ダイオードのカソードはブリッジダイオード204の第1のダイオードのアノードおよび第3のダイオードのアノードに接続されている。フォトカプラ205のフォトダイオードのエミッタは接地され、コレクタは抵抗素子206の他端およびNチャネルFET207のゲートに接続されている。
抵抗素子206の一端には信号Sdc5が供給され、他端はフォトカプラ205のフォトダイオードのコレクタおよびNチャネルFET207のゲートに接続されている。NチャネルFET207のドレインは抵抗素子208の他端および抵抗素子209の一端に接続され、ゲートはフォトカプラ205のフォトダイオードのコレクタおよび抵抗素子206の他端に接続され、ソースは接地されている。抵抗素子208の一端には信号Sdc5が供給され、他端はNチャネルFETのドレインおよび抵抗素子209の一端に接続されている。抵抗素子209の一端はNチャネルFET207のドレインおよび抵抗素子208の他端に接続され、他端はNPNトランジスタ211のベースおよび抵抗素子210の一端に接続されている。抵抗素子210の一端は抵抗素子209の他端およびNPNトランジスタ211のベースに接続され、他端は接地されている。NPNトランジスタ211のコレクタは抵抗素子212の他端およびD型フリップフロップ213のクロック入力端子に接続され、ベースは抵抗素子209の他端および抵抗素子210の一端に接続され、エミッタは接地されている。抵抗素子212の一端には信号Sdc5が供給され、他端はNPNトランジスタ211のコレクタおよびD型フリップフロップ213のクロック入力端子に接続されている。
D型フリップフロップ213のクロック入力端子は抵抗素子212の他端およびNPNトランジスタ211のコレクタに接続され、データ入力端子は、反転データ出力端子に接続されている。そして、D型フリップフロップ213は、データ出力端子からゼロクロス信号SZを出力するようになっている。
この構成により、ゼロクロス検出回路200は、交流信号Sac1のゼロクロスタイミングごとに反転するゼロクロス信号SZを生成するようになっている。
(DC−DCコンバータ61)
DC−DCコンバータ61(図4)は、信号Sdc390に基づいて、信号Sdc24,Sdc5を生成するものである。信号Sdc24の電圧は、この例では24Vである。信号Sdc24,Sdc5は、画像形成装置1内の様々なブロックで用いられるものである。DC−DCコンバータ61は、公知の技術を用いて構成されるものである。
(DC−ACインバータ62)
DC−ACインバータ62は、信号Sdc390、ゼロクロス信号SZ、およびプリンタエンジン制御部59からの指示に基づいて、交流信号Sac2を生成するものである。具体的には、後述するように、DC−ACインバータ62は、信号Sdc390およびゼロクロス信号SZに基づいて、交流信号Sac1の位相に同期した交流信号Sac2を生成するようになっている。その際、DC−ACインバータ62は、プリンタエンジン制御部59からの指示に含まれる電力指示信号CTLに基づいて、交流信号Sac2の実効値を設定するようになっている。また、DC−ACインバータ62は、プリンタエンジン制御部59からの指示に含まれる出力イネーブル信号ENBに基づいて、交流信号Sac2を生成し、あるいは交流信号Sac2の生成を停止する機能をも有している。DC−ACインバータ62は、DC−DCコンバータ400A,400B,400Cと、スイッチング部300と、制御回路390とを有している。
DC−DCコンバータ400Aは、信号Sdc24に基づいて、信号Sdc15A,Sdc0Aを生成するものである。DC−DCコンバータ400Bは、信号Sdc24に基づいて、信号Sdc15B,Sdc0Bを生成するものである。DC−DCコンバータ400Cは、信号Sdc24に基づいて、信号Sdc15C,Sdc0Cを生成するものである。信号Sdc15Aの電圧は、信号Sdc0Aの電圧よりも15V高いものであり、信号Sdc15Cの電圧は、信号Sdc0Cの電圧よりも15V高いものである。
スイッチング部300は、信号Sdc390、およびPWM信号PWMA,PWMB,PWMC,PWMDに基づいて交流信号Sac2を生成するものである。
図8は、スイッチング部300の一構成例を表すものである。この図では、スイッチング部300に加え、制御回路390、ヒータ42およびプリンタエンジン制御部59をも描いている。スイッチング部300は、スイッチング回路310,320,330,340と、インダクタ301と、コンデンサ302とを有している。スイッチング部300には、DC−DCコンバータ400Aから、端子T381を介して、信号Sdc15A,Sdc0Aが供給され、DC−DCコンバータ400Bから、端子T382を介して、信号Sdc15B,Sdc0Bが供給され、DC−DCコンバータ400Cから、端子T383を介して、信号Sdc15C,Sdc0Cが供給される。また、スイッチング部300には、力率改善回路100から、端子T384を介して、信号Sdc390,Sdc0Bが供給されるようになっている。
スイッチング回路310は、PWM(Pulse Width Modulation)信号PWMAに基づいてスイッチング動作を行うものである。
図9は、スイッチング回路310の一構成例を表すものである。スイッチング回路310は、抵抗素子312と、NチャネルFET313と、フォトカプラ314と、抵抗素子315,316と、IGBT311と、ダイオード311Dとを有している。なお、図8では、これらの素子のうち、IGBT311を描いている。
抵抗素子312の一端には信号Sdc5が供給され、他端はフォトカプラ314の発光ダイオードのアノードに接続されている。NチャネルFET313のドレインはフォトカプラ314の発光ダイオードのカソードに接続され、ゲートにはPWM信号PWMAが供給され、ソースは接地されている。フォトカプラの発光素子のアノードは抵抗素子312の他端に接続され、カソードはNチャネルFET313のドレインに接続されている。フォトカプラ314のNPNトランジスタのコレクタには信号Sdc15Aが供給され、エミッタは抵抗素子315の一端に接続されている。フォトカプラ314のPNPトランジスタのエミッタは抵抗素子315の一端に接続され、コレクタは、抵抗素子316の他端、IGBT311のエミッタ、およびダイオード311Dのアノードに接続されている。抵抗素子315の一端は、フォトカプラ314のNPNトランジスタのエミッタおよびPNPトランジスタのエミッタに接続され、他端はIGBT311のベースおよび抵抗素子316の一端に接続されている。抵抗素子316の一端は抵抗素子315の他端およびIGBT311のベースに接続され、他端はフォトカプラ314のPNPトランジスタのコレクタ、IGBT311のエミッタ、およびダイオード311Dのアノードに接続されている。IGBT311のコレクタはダイオード311Dのカソードに接続されるとともに、図8に示したように信号Sdc390が供給され、ベースは抵抗素子315の他端および抵抗素子316の一端に接続され、エミッタはダイオード311Dのアノード、抵抗素子316の他端、およびフォトカプラ314のPNPトランジスタのコレクタに接続されるとともに、図8に示したように、スイッチング回路320、コンデンサ302の他端、およびヒータ42の他端に接続されている。ダイオード311DのアノードはIGBT311のエミッタ、抵抗素子316の他端、およびフォトカプラ314のPNPトランジスタのコレクタに接続され、カソードはIGBT311のコレクタに接続されるとともに信号Sdc390が供給されている。
スイッチング回路320(図8)は、PWM信号PWMBに基づいてスイッチング動作を行うものである。スイッチング回路320は、スイッチング回路310(図9)と同様の構成を有するものである。スイッチング回路320のフォトカプラには信号Sdc15Bが供給される。スイッチング回路320は、IGBT321を有している。IGBT321は、スイッチング回路310におけるIGBT311に対応するものである。IGBT321のコレクタは、スイッチング回路310のIGBT311のエミッタ、コンデンサ302の他端、およびヒータ42の他端に接続され、エミッタには信号Sdc0Bが供給されている。
スイッチング回路330は、PWM信号PWMCに基づいてスイッチング動作を行うものである。スイッチング回路330は、スイッチング回路310(図9)と同様の構成を有するものである。スイッチング回路330のフォトカプラには信号Sdc15Cが供給される。スイッチング回路330は、IGBT331を有している。IGBT331は、スイッチング回路310におけるIGBT311に対応するものである。IGBT331のコレクタには信号Sdc390が供給され、エミッタは、スイッチング回路340およびインダクタ301の一端に接続されている。
スイッチング回路340は、PWM信号PWMDに基づいてスイッチング動作を行うものである。スイッチング回路340は、スイッチング回路310(図9)と同様の構成を有するものである。スイッチング回路340のフォトカプラには信号Sdc15Bが供給される。スイッチング回路340は、IGBT341を有している。IGBT341は、スイッチング回路310におけるIGBT311に対応するものである。IGBT341のコレクタは、スイッチング回路330のIGBT331のエミッタおよびインダクタ301の一端に接続され、エミッタには信号Sdc0Bが供給されている。
なお、この例では、IGBT311,321,331,341を用いたが、これに限定されるものではなく、これに代えて、例えばSi−FET、SiC−FET、GaN−FETなどを用いてもよい。
インダクタ301の一端はスイッチング回路330のIGBT331のエミッタおよびスイッチング回路340のIGBT341のコレクタに接続され、他端はコンデンサ302の一端およびヒータ42の一端に接続されている。コンデンサ302の一端はインダクタ301の他端およびヒータ42の一端に接続され、他端はスイッチング回路310のIGBT311のエミッタ、スイッチング回路320のIGBT321のコレクタ、およびヒータ42の他端に接続されている。
制御回路390は、スイッチング回路310,320,330,340におけるスイッチング動作を制御するものである。制御回路390は、例えば、ASIC(Application Specific Integrated Circuit)、FPGA(Field Programmable Gate Array)、マイクロコントローラなどを用いて構成されるものである。制御回路390は、スイッチング回路310,320,330,340に対してPWM信号PWMA,PWMB,PWMC,PWMDをそれぞれ供給することにより、スイッチング部300が交流信号Sac2を生成するように制御する。具体的には、制御回路390は、IGBT331,341を例えば50Hzでスイッチングさせるとともに、IGBT311,321を例えば20kHzでスイッチングさせる。なお、この例では、IGBT311,321のスイッチング周波数を20kHzとしたが、これに限定されるものではない。IGBT311,321のスイッチング周波数は20kHz以上が望ましい。これにより、IGBT311,321のスイッチングに起因して音(ノイズ)が生じても、周波数が人の可聴域よりも高いため、その音を聞こえにくくすることができる。その際、IGBTの代わりに、例えばGaN−FETを用いてもよい。
図10は、PWM信号PWMA,PWMB,PWMC,PWMDの一例を表すものである。この例では、説明の便宜上、IGBT311,321のスイッチング周波数を1.8kHzとしている。この例では、PWM信号PWMAが高レベルであるときにIGBT311はオン状態になり、PWM信号PWMAが低レベルであるときにIGBT311はオフ状態になる。PWM信号PWMB,PWMC,PWMDについても同様である。
制御回路390は、図10に示したように、PWM信号PWMC,PWMDの1周期の期間のうちの前半の期間において、PWM信号PWMCを低レベルにするとともに、PWM信号PWMDを高レベルにする。これにより、IGBT331はオフ状態になるとともに、IGBT341はオン状態になる。また、制御回路390は、PWM信号PWMC,PWMDの1周期の期間のうちの後半の期間において、PWM信号PWMCを高レベルにするとともに、PWM信号PWMDを低レベルにする。これにより、IGBT331はオン状態になるとともに、IGBT341はオフ状態になる。このとき、制御回路390は、IGBT331,341が同時にオン状態にならないように、スイッチング部300を制御する。具体的には、制御回路390は、図10に示したように、IGBT331がオフ状態になった後にIGBT341をオン状態にし、IGBT341がオフ状態になった後にIGBT331をオン状態にする。この例では、IGBT331、341がともにオフ状態になる時間幅(デッドタイム)は、この例では1μsecに設定されている。
また、制御回路390は、図10に示したように、PWM信号PWMA,PWMBのデューティ比を徐々に変化させる。これにより、DC−ACインバータ62は、後述するように、正弦波状の交流信号Sac2を生成することができる。このとき、スイッチング部300では、IGBT311,321が同時にオン状態にならないようにするため、この例では、1μsecのデッドタイムを設けている。
図10に示したように、PWM信号PWMC,PWMDの1周期の期間のうちの前半の期間では、IGBT341がオン状態になる。よって、スイッチング部300では、IGBT311がオン状態になることにより、IGBT311、ヒータ42、インダクタ301、IGBT341の順に電流が流れる。また、PWM信号PWMC,PWMDの1周期の期間のうちの後半の期間では、IGBT331がオン状態になる。よって、スイッチング部300では、IGBT321がオン状態になることにより、IGBT331、インダクタ301、ヒータ42、IGBT321の順に電流が流れる。DC−ACインバータ62は、このようにして、交流信号Sac2を生成するようになっている。
制御回路390は、図8に示したように、デューティ比テーブル391と、カウンタ392とを有している。デューティ比テーブル391は、IGBT311,321のスイッチングサイクルごとのスイッチングデューティ比を示すものである。カウンタ392は、スイッチングサイクルの数をカウントするものである。
図11は、デューティ比テーブル391の一構成例を表すものである。この例では、図10と同様に、説明の便宜上、IGBT311,321のスイッチング周波数を1.8kHzとしている。この場合には、スイッチングサイクルの数は36(0〜35)である。スイッチングサイクルが18〜35でのスイッチングデューティ比は、スイッチングサイクルが0〜17でのスイッチングデューティ比に対応している。このデューティ比テーブル391は、ピーク電圧が390Vpである正弦波状の交流信号Sac2を生成するためのものである。
IGBT311,321のスイッチング周波数を20kHzにした場合には、スイッチングサイクルの数は400(0〜399)になる。スイッチングサイクルが0〜199でのスイッチングデューティ比は、例えば、以下の式を用いて求めることができる。
ここで、DUTYはスイッチングデューティ比であり、CYCLEはスイッチングサイクルである。
制御回路390は、このようなデューティ比テーブル391を用いて、PWM信号PWMA,PWMBを生成する。具体的には、制御回路390は、デューティ比テーブル391から、カウンタ392の値に対応するスイッチングサイクルにおけるスイッチングデューティ比を順次読み出し、そのスイッチングデューティ比に基づいてPWM信号PWMA,PWMBを生成する。
その際、制御回路390は、プリンタエンジン制御部59からの指示に含まれる電力指示信号CTLに基づいて、PWM信号PWMA,PWMBを生成する。具体的には、制御回路390は、デューティ比テーブル391のスイッチングデューティ比の値に、電力指示信号CTLに応じた所定の値を乗算することにより、スイッチングデューティ比を求める。例えば、実効値が100Vrms(141Vp)である交流信号Sac2を生成する場合には、デューティ比テーブル391のスイッチングデューティ比の値に0.361(=141/390)を乗算する。そして、制御回路390は、その求めたスイッチングデューティ比に基づいて、PWM信号PWMA,PWMBを生成する。これにより、DC−ACインバータ62は、電力指示信号CTLに基づいて、交流信号Sac2の実効値を設定することができるようになっている。
カウンタ392は、ゼロクロス信号SZに基づいてリセットされるようになっている。これにより、制御回路390は、交流信号Sac1のゼロクロスタイミングに応じて、PWM信号PWMA,PWMB,PWMC,PWMDを生成する。その結果、DC−ACインバータ62は、後述するように、交流信号Sac1の位相に同期した交流信号Sac2を生成することができるようになっている。
また、制御回路390は、ゼロクロス信号SZに基づいて、交流信号Sac1の周波数を検出する機能をも有している。そして、制御回路39は、交流信号Sac1の周波数が50Hzである場合には、IGBT331,341を50Hzでスイッチングさせ、交流信号Sac1の周波数が60Hzである場合には、IGBT331,341を60Hzでスイッチングさせる。これと同時に、制御回路390は、交流信号Sac1の周波数に応じて、IGBT311,321のスイッチングデューティ比を変更し、その変更結果に基づいてIGBT311,321をスイッチングさせるようになっている。
また、制御回路390は、プリンタエンジン制御部59からの指示に含まれる出力イネーブル信号ENBに基づいて、交流信号Sac2を生成させ、あるいは交流信号Sac2の生成を停止させる機能をも有している。
図12は、交流信号Sac2の生成を停止させる場合における、PWM信号PWMA,PWMB,PWMC,PWMDの一例を表すものである。制御回路390は、図12における前半の期間において、PWM信号PWMA,PWMCを低レベルにするとともに、PWM信号PWMB,PWMDを高レベルにする。これにより、IGBT311,331がオフ状態になるとともに、IGBT321,341がオン状態になる。この場合には、ヒータ42には電流が流れない。また、制御回路390は、図12における後半の期間において、PWM信号PWMA,PWMCを高レベルにするとともに、PWM信号PWMB,PWMDを低レベルにする。これにより、IGBT311,331はオン状態になるとともに、IGBT321,341はオフ状態になる。この場合にも、ヒータ42には電流が流れない。このようにして、制御回路390は、交流信号Sac2の生成を停止させるようになっている。
ここで、低圧電源部60は、本発明における「電源装置」の一具体例に対応する。ゼロクロス検出回路200は、本発明における「同期信号生成部」の一具体例に対応する。ブリッジダイオード204は、本発明における「整流部」の一具体例に対応する。ゼロクロス信号SZは、本発明における「同期信号」の一具体例に対応する。DC−ACインバータ62は、本発明における「交流信号生成部」の一具体例に対応する。交流信号Sac1は、本発明における「第1の交流信号」の一具体例に対応し、信号Sdc390は、本発明における「直流信号」の一具体例に対応する。交流信号Sac2は、本発明における「第2の交流信号」の一具体例に対応する。PWM信号PWMA,PWMBは、本発明における「パルス信号」の一具体例に対応する。
[動作および作用]
続いて、本実施の形態の画像形成装置1の動作および作用について説明する。
(全体動作概要)
まず、図1〜3を参照して、画像形成装置1の全体動作概要を説明する。画像形成装置1では、プリンタエンジン制御部59は、インタフェース部51を介してホストコンピュータから印刷データを受け取ると、まず、画像処理部52を制御することにより、印刷データに基づいてビットマップデータを生成させる。そして、プリンタエンジン制御部59は、低圧電源部60を制御することにより、定着部40のヒータ42に電力を供給させる。サーミスタ44が検出した定着部40の温度が、定着動作に適した温度に到達すると、プリンタエンジン制御部59は、印刷動作を開始させる。
印刷動作では、まず、プリンタエンジン制御部59は、ホッピングモータ11Tを制御することによりホッピングローラ11を回転させ、レジストモータ12Tを制御することによりレジストローラ12を回転させる。これにより、記録媒体9は搬送路10に沿って搬送される。
そして、プリンタエンジン制御部59は、ドラムモータ20Tを制御することにより現像部20C,20M,20Y,20K内の感光ドラム21、現像ローラ24、および供給ローラ26をそれぞれ回転させ、ベルトモータ33Tを制御することにより駆動ローラ106を回転させる。また、プリンタエンジン制御部59は、媒体センサ13における検出結果に基づいて、高圧電源部55を制御することにより各種電圧を生成させる。そして、プリンタエンジン制御部59は、露光制御部53の動作を制御することにより露光ヘッド16C,16M,16Y,16Kを動作させる。これにより、各現像部20の感光ドラム21の表面には、まず、静電潜像が形成され、その後に、その静電潜像に応じてトナー像が形成される。そして、各現像部20の感光ドラム21のトナー像は、記録媒体9の被転写面に転写される。
そして、プリンタエンジン制御部59は、ヒータモータ40Tを制御することによりヒートローラ41および加圧ローラ43を回転させる。これにより、定着部40では、記録媒体9上のトナーが、加熱され、融解し、加圧される。その結果、トナー像が記録媒体9上に定着する。
(低圧電源部60の詳細動作)
図5〜7に示したように、商用電源99から供給された交流信号Sac1は、ヒューズ91およびコモンモードチョークコイル92を介して、力率改善回路100およびゼロクロス検出回路200に供給される。
力率改善回路100(図5)では、ブリッジダイオード101は、コモンモードチョークコイル92の出力信号に対して全波整流を行う。制御回路140は、スイッチング回路110に対してゲートドライブ信号GD1を供給するとともに、スイッチング回路120に対してゲートドライブ信号GD2を供給することにより、スイッチング回路110,120におけるスイッチング動作を制御する。スイッチング回路110,120は、ブリッジダイオード101により整流された信号に対してスイッチング動作を行う。
また、ダイオード131,132は、コモンモードチョークコイル92の出力信号に対して全波整流を行う。この全波整流された信号は、抵抗素子136,137により分圧され、信号ACINとして制御回路140に供給される。制御回路140は、この信号ACINに基づいて、力率が1付近になるように、スイッチング回路110,120におけるスイッチング動作を制御する。
これにより、スイッチング回路110のインダクタ111の他端、およびスイッチング回路120のインダクタ121の他端に、昇圧された信号がそれぞれ生じる。ダイオード102,103および電解コンデンサ104は、これらの信号を平滑化することにより信号Sdc390を生成する。この信号Sdc390は、抵抗素子107,108により分圧され、信号FBとして制御回路140に供給される。制御回路140は、信号FBに基づいて、ゲートドライブ信号GD1,GD2のスイッチングデューティ比を変化させ、信号Sdc390の電圧が所望の電圧(例えば390V)になるように制御する。このようにして、力率改善回路100は、信号Sdc390を生成する。
ゼロクロス検出回路200(図7)では、ブリッジダイオード204は、抵抗素子202の他端とコンデンサ203の他端との間の信号に対して全波整流を行う。ブリッジダイオード204により整流された信号は、増幅され、D型フリップフロップ213に供給される。D型フリップフロップ213は、クロック入力端子における信号の立ち上がりエッジの度に反転するゼロクロス信号SZを出力する。このようにして、ゼロクロス検出回路200は、交流信号Sac1のゼロクロスタイミングごとに反転するゼロクロス信号SZを生成する。
DC−ACインバータ62(図8)では、制御回路390は、スイッチング回路310,320,330,340に対してPWM信号PWMA,PWMB,PWMC,PWMDをそれぞれ供給することにより、スイッチング部300におけるスイッチング動作を制御する。その際、制御回路390は、デューティ比テーブル391から、カウンタ392の値に対応するスイッチングサイクルにおけるスイッチングデューティ比を読み出し、そのスイッチングデューティ比に基づいてPWM信号PWMA,PWMB,PWMC,PWMDを生成する。スイッチング部300は、信号Sdc390に対してスイッチング動作を行う。インダクタ301およびコンデンサ302は、LCフィルタとして機能し、入力された信号から、スイッチング動作に起因する高周波成分を除去することにより交流信号Sac2を生成する。
(交流信号Sac2の位相について)
DC−ACインバータ62の制御回路390のカウンタ392は、ゼロクロス信号SZに基づいてリセットされる。これにより、制御回路390は、交流信号Sac1のゼロクロスタイミングに応じて、PWM信号PWMA,PWMB,PWMC,PWMDを生成する。その結果、DC−ACインバータ62は、以下に説明するように、交流信号Sac1に同期した交流信号Sac2を生成する。
図13は、低圧電源部60の一動作例を表すものである。なお、この図では、説明の便宜上、波形を誇張して描いている。ゼロクロス検出回路200では、交流信号Sac1のゼロクロスタイミングに応じて、D型フリップフロップ213のクロック入力端子にパルスが供給される。D型フリップフロップ213は、このパルスに基づいて、ゼロクロス信号SZを反転する。すなわち、このゼロクロス信号SZは、交流信号Sac1と同期している。この例では、ゼロクロス信号SZの位相は、交流信号Sac1の位相と、ほぼ一致している。DC−ACインバータ62のカウンタ392は、この例では、ゼロクロス信号SZの立ち上がりタイミング(例えばタイミングt1〜t3)でリセットされる。これにより、DC−ACインバータ62は、ゼロクロス信号SZの立ち上がりタイミングから、正弦波状の信号を交流信号Sac2として出力し始める。この例では、タイミングt2において、タイミングt1から始まる交流信号Sac2の1周期が終了する前に、ゼロクロス信号SZが立ち上がっている。この場合でも、このタイミングt2から、交流信号Sac2の1周期が開始される。また、タイミングt3において、タイミングt2から始まる交流信号Sac2の1周期が終了し2周期目が開始された後に、ゼロクロス信号SZが立ち上がっている。この場合でも、このタイミングt3から、交流信号Sac2の1周期が開始される。すなわち、交流信号Sac2の位相は、交流信号Sac1の位相とほぼ一致する。このようにして、DC−ACインバータ62は、交流信号Sac1に同期した交流信号Sac2を生成する。
図14は、低圧電源部60の他の動作例を表すものである。この例では、ゼロクロス信号SZの位相と、交流信号Sac1の位相とは、互いに約180度ずれている。DC−ACインバータ62のカウンタ392は、ゼロクロス信号SZの立ち上がりタイミング(例えばタイミングt11〜t13)でリセットされる。これにより、DC−ACインバータ62は、ゼロクロス信号SZの立ち上がりタイミングから、正弦波状の信号を交流信号Sac2として出力し始める。すなわち、交流信号Sac1の位相と、交流信号Sac2の位相とは、互いに約180度ずれている。このようにして、DC−ACインバータ62は、交流信号Sac1に同期した交流信号Sac2を生成する。
このように、DC−ACインバータ62は、ゼロクロス信号SZに基づいて、交流信号Sac1に同期した交流信号Sac2を生成する。特に、交流信号Sac2の位相は、交流信号Sac1の位相とほぼ同じか、あるいは交流信号Sac1の位相と約180度ずれたものとなる。言い換えれば、交流信号Sac2がピークになる位相と、交流信号Sac1がピークになる位相とはほぼ一致している。これにより、低圧電源部60では、以下に説明するように、信号Sdc390におけるリップルを抑えることができるとともに、音の発生を抑えることができる。
すなわち、例えば、交流信号Sac1と交流信号Sac2とが互いに同期していない場合には、交流信号Sac1,Sac2の位相関係は時間とともに変化する。このとき、交流信号Sac1の位相と交流信号Sac2の位相とが互いに約90度ずれている場合には、力率改善回路100の入力電流の位相とDC−ACインバータ62の出力電流の位相とが互いに約90度ずれることとなる。よって、例えば、力率改善回路100の入力電流が低いときに、DC−ACインバータ62の出力電流が大きくなると、力率改善回路100の電解コンデンサ104が放電され、電圧降下が生じる。そして、このタイミングの後、交流信号Sac1の電圧が上昇すると、制御回路140は、この電圧降下分を補うべく、電解コンデンサ104に対して多くの電流を供給しようとする。その結果、信号Sdc390のリップルが大きくなってしまう。仮に大容量の電解コンデンサを用いれば、リップルを抑えることができるが、実装面積が大きくなってしまう。また、交流信号Sac1と交流信号Sac2とが互いに同期していないため、交流信号Sac1,Sac2の周波数の差分に応じた周期で、相対的な位相が変化するため、リップルが変動することとなる。特に、ヒータ42は、一般に例えば800〜1200W程度の大きな負荷であるため、このようなリップルの変動に応じてインダクタ111,121に流れる電流の変動が大きくなり、音を発してしまうおそれがある。
一方、低圧電源部60では、ゼロクロス信号SZに基づいて、交流信号Sac1と交流信号Sac2とを互いに同期させるようにした。特に、低圧電源部60では、交流信号Sac2の位相を、交流信号Sac1の位相とほぼ一致させるか、あるいは互いに約180度ずらすようにした。このように、低圧電源部60では、入出力の位相の変動を所定量以下に抑えることができるため、現実的な容量値を有する電解コンデンサ104を用いつつ、信号Sdc390におけるリップルを抑えることができるとともに、音の発生を抑えることができる。
(交流信号Sac2の実効値について)
プリンタエンジン制御部59は、低圧電源部60に電力指示信号CTLを供給することにより、ヒータ42への電力供給量を指示する。そして、DC−ACインバータ62の制御回路390は、この電力指示信号CTLに基づいて、スイッチングデューティ比を変更する。以下に、この動作について詳細に説明する。
プリンタエンジン制御部59は、低圧電源部60に電力指示信号CTLを供給することにより、ヒータ42への電力供給量を指示する。具体的には、例えば、プリンタエンジン制御部59は、例えば、ヒータ42に電力を供給し始める場合には、電力供給量を徐々に増やすように、電力指示信号CTLを用いて指示する。すなわち、ヒータ42に対して冷えた状態で通電を開始すると、ヒータ42の抵抗値が低いため、突入電流が大きくなってしまう。そこで、プリンタエンジン制御部59は、まず最初は、電力供給量を低く設定し、ヒータ42が温まり電流が下がってきたら、電力供給量を増やす。このようにして、プリンタエンジン制御部59は、ヒータ42に電力を供給し始める際は、電力供給量を徐々に増やすように、電力指示信号CTLを用いて指示する。
図15は、交流信号Sac2の波形の一例を表すものであり、(A)は、実効値が25Vrms(35.25Vp)の交流信号Sac2の波形を示し、(B)は、実効値が50Vrms(70.5Vp)の交流信号Sac2の波形を示し、(C)は、実効値が71Vrms(100Vp)の交流信号Sac2の波形を示し、(D)は、実効値が100Vrms(141Vp)の交流信号Sac2の波形を示す。この例では、DC−ACインバータ62は、交流信号Sac2の振幅を変化させることにより、交流信号Sac2の実効値を変化させている。
図16は、図15に示した様々な振幅の交流信号Sac2を生成するためのスイッチングデューティ比の一例を表すものである。図17は、PWM信号PWMA,PWMB,PWMC,PWMDの一例を表すものである。制御回路390は、デューティ比テーブル391のスイッチングデューティ比の値に、電力指示信号CTLに応じた所定の値を乗算することにより、スイッチングデューティ比を求める。そして、制御回路390は、その求めたスイッチングデューティ比に基づいて、PWM信号PWMA,PWMBを生成する。その結果、DC−ACインバータ62は、図15に示したように、電力指示信号CTLに応じた実効値を有する交流信号Sac2を生成することができる。
上記のように、低圧電源部60では、力率改善回路100が生成した信号Sdc390に対してスイッチング動作を行うことにより交流信号Sac2を生成するようにした。これにより、ヒータ42に対する電力供給状態に関わらず、力率が1付近となり、消費電流が平均化される。その結果、伝導ノイズやフリッカが生じるおそれを低減することができる。また、例えば、複数のヒータを設け、トライアックを用いてこれらのヒータへの電力供給を制御する場合でも、ゼロクロスタイミングに同期させてトライアックを導通させることにより、負荷の急激な変動を抑えることができる。
また、低圧電源部60では、信号Sdc390に対してスイッチング動作を行うことにより交流信号Sac2を生成するようにしたので、商用電源の電源電圧ごとに、定着部を用意しなくて済む。すなわち、例えば、商用電源99から供給された交流信号Sac1を、位相制御を行いながらヒータへ直接供給するように構成した場合には、商用電源の電源電圧ごとに、定着部を用意する必要がある。一方、低圧電源部60では、信号Sdc390に対してスイッチング動作を行うことにより交流信号Sac2を生成したので、商用電源99の電源電圧によらず、定着部を共用することができる。
[効果]
以上のように本実施の形態では、力率改善回路が生成した信号Sdc390に対してスイッチング動作を行うことにより交流信号Sac2を生成したので、伝導ノイズやフリッカが生じるおそれを低減することができる。
また、本実施の形態では、ゼロクロス信号に基づいて、交流信号Sac1と交流信号Sac2とを互いに同期させるようにした。特に、交流信号Sac2の位相を、交流信号Sac1の位相とほぼ同じか、あるいは交流信号Sac1の位相と約180度ずらすようにした。これにより、信号Sdc390におけるリップルを抑えることができるとともに、音の発生を抑えることができる。
また、本実施の形態では、電力指示信号CTLに基づいて、スイッチングデューティ比を変更するようにしたので、ヒータの温度を制御することができるとともに、ヒータに電力を供給し始める場合において、突入電流を抑えることができる。
また、本実施の形態では、信号Sdc390に対してスイッチング動作を行うことにより交流信号Sac2を生成するようにしたので、商用電源の電源電圧ごとに、定着部を用意しなくて済み、定着部を共用することができる。
[変形例1]
上記実施の形態では、DC−ACインバータ62は、交流信号Sac2の振幅を変化させることにより、交流信号Sac2の実効値を変化させたが、これに限定されるものではない。以下に、本変形例について詳細に説明する。
図18は、交流信号Sac2の波形の一例を表すものであり、(A)は、実効値が100Vrmsの交流信号Sac2の波形を示し、(B)は、実効値が70Vrmsの交流信号Sac2の波形を示し、(C)は、実効値が30Vrmsの交流信号Sac2の波形を示す。この例では、交流信号Sac2における交流波形部分の時間長を変化させることにより、交流信号Sac2の実効値を変化させている。
図19は、図18に示した様々な交流信号Sac2を生成するためのスイッチングデューティ比の一例を表すものである。図20は、PWM信号PWMA,PWMB,PWMC,PWMDの一例を表すものである。この例では、説明の便宜上、IGBT311,321のスイッチング周波数を1.8kHzとしている
このように構成しても、上記実施の形態の場合と同様に、ヒータ42の温度を制御することができるとともに、ヒータ42に電力を供給し始める場合において、突入電流を抑えることができる。なお、ヒータ42に電力を供給し始める場合には、上記実施の形態のように、交流信号Sac2の振幅を変化させるようにしてもよい。
また、この例では、図18〜20に示したように、PWM信号PWMA,PWMBを変化させることにより、正弦波の期間の長さを直接変化させたが、これに限定されるものではない。これに代えて、例えば、正弦波の期間の長さを一定にするとともに、PWM信号PWMC,PWMDの周期を変化させるようにしてもよい。このように構成しても、PWM信号PWMC,PWMDの1周期における、正弦波の期間が相対的に変化するため、交流信号Sac2の実効値を変化させることができる。
以上、実施の形態および変形例を挙げて本発明を説明したが、本発明はこれらの実施の形態等には限定されず、種々の変形が可能である。
例えば、上記実施の形態等では、交流信号Sac2の周波数が、交流信号Sac1の周波数とほぼ同じになるようにしたが、これに限定されるものではない。例えば、交流信号Sac2の周波数が、交流信号Sac1の周波数の整数倍にしてもよい。具体的には、交流信号Sac2の周波数が、交流信号Sac1の周波数の約2倍になるようにしてもよい。この場合でも、交流信号Sac1のゼロクロスタイミングと、交流信号Sac2のゼロクロスタイミングとをほぼ一致させることができる。
また、例えば、上記実施の形態等では、具体的な回路構成を例に説明したが、これらの回路構成に限定されるものではない。具体的には、例えば、ゼロクロス検出回路200の構成は、図5に示した構成に限定されるものではない。ゼロクロス検出回路200は、例えばPLL(Phase Locked Loop)を用いることにより、ゼロクロス信号SZを、交流信号Sac1により正確に同期させるようにしてもよい。また、例えば、力率改善回路100の構成は、図5,6に示した構成に限定されるものではない。また、例えば、スイッチング部300の構成は、図7,8に示した構成に限定されるものではない。
また、例えば、上記実施の形態等では、本発明をカラープリンタに適用したが、これに限定されるものではなく、これに代えて、例えば、モノクロプリンタに適用してもよい。
また、例えば、上記実施の形態等では、本発明をプリンタに適用したが、これに限定されるものではなく、これに代えて、例えば、本発明を、プリンタ、FAX、スキャナなどの機能を有する多機能周辺装置(Multi Function Peripheral)に適用してよい。