以下、本発明の実施の形態について、図面を参照して詳細に説明する。
[構成例]
(全体構成例)
図1は、本発明の一実施の形態に係る電源装置を有する画像形成装置(画像形成装置1)の一構成例を表すものである。画像形成装置1は、例えば普通用紙等からなる記録媒体に対して、電子写真方式を用いて画像を形成するプリンタとして機能するものである。
画像形成装置1は、ホッピングローラ11と、レジストローラ12と、媒体センサ13と、4つのID(Image Drum)ユニット20(20K,20Y,20M,20C)と、4つのトナー収容部29(29K,29Y,29M,29C)と、4つの露光ヘッド16(16K,16Y,16M,16C)と、転写部30と、定着部40とを備えている。これらの部材は、記録媒体9を搬送する搬送路10に沿って配置されている。
ホッピングローラ11は、着脱可能に構成された供給カセット8に収納されている記録媒体9をその最上部から1枚ずつ取り出し、取り出した記録媒体9を搬送路10に送り出す部材である。ホッピングローラ11は、ホッピングモータ11T(後述)から伝達された動力により回転するようになっている。
レジストローラ12は、搬送路10を挟む1対のローラにより構成される部材であり、ホッピングローラ11から供給された記録媒体9の斜行を矯正するとともに、搬送路10に沿って記録媒体9をIDユニット20に導くものである。レジストローラ12は、レジストモータ12T(後述)から伝達された動力により回転するようになっている。
媒体センサ13は、接触または非接触により、記録媒体9の通過を検出するものである。
IDユニット20は、トナー像を形成するものである。具体的には、IDユニット20Kは、黒色(K)のトナー像を形成するものであり、IDユニット20Yは、黄色(Y)のトナー像を形成するものであり、IDユニット20Mは、マゼンタ色(M)のトナー像を形成するものであり、IDユニット20Cは、シアン色(C)のトナー像を形成するものである。この例では、各IDユニット20は、記録媒体9の搬送方向Fにおいて、IDユニット20K,20Y,20M,20Cの順に配置されている。各IDユニット20は、着脱可能に構成されている。
トナー収容部29は、トナーを収容するものである。具体的には、トナー収容部29Kは、黒色(K)のトナーを収容するものであり、IDユニット20Kに着脱可能に構成され、トナー収容部29Yは、黄色(Y)のトナーを収容するものであり、IDユニット20Yに着脱可能に構成され、トナー収容部29Mは、マゼンタ色(M)のトナーを収容するものであり、IDユニット20Mに着脱可能に構成され、トナー収容部29Cは、シアン色(C)のトナーを収容するものであり、IDユニット20Cに着脱可能に構成されている。
図2は、IDユニット20の一構成例を表すものである。なお、この図では、IDユニット20に加え、トナー収容部29をも描いている。IDユニット20は、感光ドラム21と、帯電ローラ22と、クリーニングブレード23と、現像ローラ24と、現像ブレード25と、供給ローラ26とを有している。
感光ドラム21は、表面(表層部分)に静電潜像を担持する部材であり、感光体を用いて構成されるものである。感光ドラム21は、ドラムモータ20T(後述)から伝達された動力により、この例では右回りで回転する。感光ドラム21は、帯電ローラ22により帯電する。そして、IDユニット20Kの感光ドラム21は、露光ヘッド16Kにより露光され、IDユニット20Yの感光ドラム21は、露光ヘッド16Yにより露光され、IDユニット20Mの感光ドラム21は、露光ヘッド16Mにより露光され、IDユニット20Cの感光ドラム21は、露光ヘッド16Cにより露光される。このようにして、各感光ドラム21の表面には、静電潜像が形成されるようになっている。
帯電ローラ22は、感光ドラム21の表面(表層部分)を帯電させる部材である。帯電ローラ22は、感光ドラム21の表面(周面)に接するように配置されるとともに、所定の押し付け量で感光ドラム21に押し付けられように配置されている。帯電ローラ22は、感光ドラム21の回転に応じて、この例では左回りで回転する。帯電ローラ22には、高圧電源部55(後述)により帯電電圧が印加されるようになっている。
クリーニングブレード23は、感光ドラム21の表面(表層部分)に残留するトナーを掻き取ってクリーニングする部材である。このクリーニングブレード23は、感光ドラム21の表面に対してカウンタで(感光ドラム21の回転方向に対して逆向きで突出して)当接するように配置されるとともに、所定の押し付け量で感光ドラム21に押し付けられように配置されている。
現像ローラ24は、トナーを表面に担持する部材である。この現像ローラ24は、感光ドラム21の表面(周面)に接するように配置されるとともに、所定の押し付け量で感光ドラム21に押し付けられように配置されている。現像ローラ24は、ドラムモータ20T(後述)から伝達された動力により、この例では左回りで回転する。各感光ドラム21では、現像ローラ24から供給されたトナーにより、静電潜像に応じたトナー像が形成(現像)される。現像ローラ24には、高圧電源部55(後述)により現像電圧が印加されるようになっている。
現像ブレード25は、現像ローラ24の表面に当接することにより、この現像ローラ24の表面にトナーからなる層(トナー層)を形成させるとともに、そのトナー層の厚さを規制(制御,調整)する部材である。現像ブレード25は、例えば、ステンレス等からなる板状弾性部材をL字形状に折り曲げたものである。現像ブレード25は、その折れ曲がった部分が現像ローラ24の表面に当接するように配置されるとともに、所定の押し付け量で現像ローラ24に押し付けられように配置されている。現像ブレード25には、高圧電源部55(後述)により供給電圧が印加されるようになっている。
供給ローラ26は、トナー収容部29内に貯蔵されたトナーを、現像ローラ24に対して供給する部材である。この供給ローラ26は、現像ローラ24の表面(周面)に接するように配置されるとともに、所定の押し付け量で現像ローラ24に押し付けられように配置されている。供給ローラ26は、ドラムモータ20T(後述)から伝達された動力により、この例では左回りで回転する。これにより、各IDユニット20では、供給ローラ26の表面と現像ローラ24の表面との間には摩擦が生じる。その結果、各IDユニット20では、トナーが、いわゆる摩擦帯電により帯電するようになっている。供給ローラ26には、高圧電源部55(後述)により供給電圧が印加されるようになっている。
露光ヘッド16(図1)は、感光ドラム21に対して光を照射する部材である。具体的には、露光ヘッド16Kは、IDユニット20Kの感光ドラム21に対して光を照射し、露光ヘッド16Yは、IDユニット20Yの感光ドラム21に対して光を照射し、露光ヘッド16Mは、IDユニット20Mの感光ドラム21に対して光を照射し、露光ヘッド16Cは、IDユニット20Cの感光ドラム21に対して光を照射するようになっている。これにより、これらの感光ドラム21は、露光ヘッド16K,16Y,16M,16Cにより露光され、感光ドラム21の表面に、静電潜像が形成されるようになっている。
転写部30は、4つのIDユニット20K,20Y,20M,20Cにより形成されたトナー像を、記録媒体9の被転写面上に転写する部材である。転写部30は、転写ローラ31K,31Y,31M,31Cと、転写ベルト32と、駆動ローラ33と、従動ローラ34とを有している。
転写ローラ31Kは、搬送路10を介してIDユニット20Kの感光ドラム21に対向配置され、転写ローラ31Yは、搬送路10を介してIDユニット20Yの感光ドラム21に対向配置され、転写ローラ31Mは、搬送路10を介してIDユニット20Mの感光ドラム21に対向配置され、転写ローラ31Cは、搬送路10を介してIDユニット20Cの感光ドラム21に対向配置されている。転写ローラ31K,31Y,31M,31Cのそれぞれには、高圧電源部55(後述)により転写電圧が印加されるようになっている。
転写ベルト32は、搬送路10に沿って記録媒体9を搬送するものである。転写ベルト32は、駆動ローラ33および従動ローラ34によって張設(張架)されている。そして、転写ベルト32は、駆動ローラ33の回転に応じて、搬送方向Fの方向に循環回転するようになっている。その際、転写ベルト32は、IDユニット20Kと転写ローラ31Kとの間、IDユニット20Yと転写ローラ31Yとの間、IDユニット20Mと転写ローラ31Mとの間、およびIDユニット20Cと転写ローラ31Cとの間を移動するようになっている。
駆動ローラ33は、転写ベルト32を循環回転させるものである。この例では、駆動ローラ33は、搬送方向Fにおいて、4つのIDユニット20の下流側に配置され、ベルトモータ33T(後述)から伝達された動力により、この例では左回りで回転する。これにより、駆動ローラ33は、転写ベルト32を搬送方向Fの方向へ循環回転させるようになっている。
従動ローラ34は、転写ベルト32の循環回転に応じて、この例では左回りで従動回転するものである。この例では、従動ローラ34は、搬送方向Fにおいて、4つのIDユニット20の上流側に配置されている。
クリーニングブレード14は、転写ベルト32の被転写面に残留するトナーを掻き取ってクリーニングする部材である。そして、掻き取られたトナーは、クリーナ容器15に収容されるようになっている。
定着部40は、記録媒体9に対し熱および圧力を付与することにより、記録媒体9上に転写されたトナー像を記録媒体9に定着させる部材である。定着部40は、ヒートローラ41と、加圧ローラ43と、サーミスタ44とを有している。ヒートローラ41は、その内部に2つのヒータ42A,42Bを含んで構成されており、記録媒体9上のトナーに対して熱を付与する部材である。ヒータ42A,42Bは、例えば、ハロゲンヒータを用いることができる。なお、これに限定されるものではなく、これに代えて、例えばセラミックヒータなどを用いてもよい。加圧ローラ43は、ヒートローラ41との間に圧接部が形成されるように配置されており、記録媒体9上のトナーに対して圧力を付与する部材である。ヒートローラ41および加圧ローラ43は、ヒータモータ40T(後述)から伝達された動力により回転するようになっている。サーミスタ44は、定着部40の温度を検出するものである。これにより、定着部40では、記録媒体9上のトナーが、加熱され、融解し、加圧される。その結果、トナー像が記録媒体9上に定着するようになっている。
画像形成装置1では、このようにして、記録媒体9に対して印刷が行われる。そして、印刷された記録媒体9は、媒体ガイド17により、搬送路10に沿って搬送され、排出トレイ18上に積載されるようになっている。
(画像形成装置1の制御機構)
図3は、画像形成装置1における制御機構の一例を表すものである。画像形成装置1は、インタフェース部51と、画像処理部52と、露光制御部53と、表示部54と、高圧電源部55と、低圧電源部60と、印刷制御部59とを有している。
インタフェース部51は、例えば、図示しないホストコンピュータから、例えばPDL(Page Description Language)等により記述された印刷データを受け取るとともに、このホストコンピュータとの間で各種制御信号のやりとりを行うものである。
画像処理部52は、印刷データを受け取ったことを印刷制御部59に通知するとともに、印刷制御部59からの指示に基づいて、インタフェース部51から供給された印刷データに基づいて所定の処理を行うことによりビットマップデータを生成するものである。
露光制御部53は、印刷制御部59からの指示、および画像処理部52から供給されたビットマップデータに基づいて、露光ヘッド16K,16Y,16M,16Cの動作を制御するものである。
表示部54は、画像形成装置1の動作状態などを表示するものであり、例えば、液晶ディスプレイを用いて構成されるものである。
高圧電源部55は、印刷制御部59からの指示に基づいて、IDユニット20K,20Y,20M,20Cの帯電ローラ22に印加する帯電電圧をそれぞれ生成し、IDユニット20K,20Y,20M,20Cの現像ローラ24に印加する現像電圧をそれぞれ生成し、IDユニット20K,20Y,20M,20Cの供給ローラ26に印加する供給電圧をそれぞれ生成し、転写ローラ31K,31Y,31M,31Cに印加する転写電圧をそれぞれ生成するものである。
低圧電源部60は、印刷制御部59からの指示に基づいて、定着部40のヒータ42A,42Bに電力を供給するものである。この低圧電源部60については、後ほど詳細に説明する。
印刷制御部59は、画像形成装置1の各ブロックを制御するものである。具体的には、印刷制御部59は、画像処理部52を制御することにより、印刷データに基づいてビットマップデータを生成させる。そして、印刷制御部59は、低圧電源部60を制御することにより、定着部40のヒータ42A,42Bに電力を供給させるとともに、サーミスタ44における検出結果に基づいてヒータ42A,42Bに供給する電力を調節する。そして、印刷制御部59は、ホッピングモータ11Tを制御することによりホッピングローラ11を回転させ、レジストモータ12Tを制御することによりレジストローラ12を回転させ、ドラムモータ20Tを制御することによりIDユニット20K,20Y,20M,20C内の感光ドラム21、現像ローラ24、および供給ローラ26をそれぞれ回転させ、ベルトモータ33Tを制御することにより駆動ローラ33を回転させ、ヒータモータ40Tを制御することによりヒートローラ41および加圧ローラ43を回転させる。また、印刷制御部59は、媒体センサ13における検出結果に基づいて、高圧電源部55を制御することにより各種電圧を生成させる。そして、印刷制御部59は、露光制御部53の動作を制御することにより露光ヘッド16K,16Y,16M,16Cを動作させる。また、印刷制御部59は、表示部54を制御することにより、画像形成装置1の動作状態などを表示させるようになっている。
印刷制御部59は、低圧電源部60を制御する際、低圧電源部60に対してヒータ制御信号HA,HBを供給するとともに、低圧電源部60からレディ信号RDYを受け取る。ヒータ制御信号HAは、ヒータ42Aに対する電力の供給を指示するものであり、ヒータ制御信号HBは、ヒータ42Bに対する電力の供給を指示するものである。レディ信号RDYは、低圧電源部60がヒータ42A,42Bに対して電力を供給する準備ができていることを通知するものである。
(低圧電源部60)
図4は、低圧電源部60の一構成例を表すものである。この図では、低圧電源部60に加え、商用電源99、ヒータ42A,42B、および印刷制御部59をも描いている。低圧電源部60は、商用電源99から供給される交流信号Sac1に基づいて、交流信号Sac2A,Sac2Bを生成し、交流信号Sac2Aをヒータ42Aに供給するとともに、交流信号Sac2Bをヒータ42Bに供給するものである。この例では、商用電源99から供給される交流信号Sac1の周波数は50Hzであり、実効値は100Vrmsである。なお、これに限定されるものではなく、周波数は、例えば60Hzであってもよい。また、実効値は、例えば90Vrms〜230Vrmsの範囲内の任意の値にすることができる。低圧電源部60は、力率改善回路(Power Factor Correction回路)61と、ゼロクロス検出回路62と、DC−DCコンバータ63と、DC−ACインバータ64とを有している。
力率改善回路61は、交流信号Sac1に基づいて直流信号Sdc390を生成するものである。直流信号Sdc390の電圧は、この例では390Vである。なお、この電圧に限定されるものではなく、390V以外の電圧であってもよい。この例では、力率改善回路61には、DC−DCコンバータ65B(後述)から、電源電圧および接地電圧として、直流信号Sdc15B,Sdc0Bが供給されるようになっている。そして、力率改善回路61は、この直流信号Sdc0Bを出力するようになっている。
ゼロクロス検出回路62は、交流信号Sac1に基づいて、交流信号Sac1のゼロクロスタイミングごとに発生するパルスを有するゼロクロス信号SZを生成するものである。この例では、ゼロクロス検出回路62には、DC−DCコンバータ63から、電源電圧として、直流信号Sdc5が供給されるようになっている。
DC−DCコンバータ63(図4)は、例えば自励式のフライバックコンバータにより構成されるものであり、直流信号Sdc390に基づいて、直流信号Sdc24,Sdc5を生成するものである。直流信号Sdc24の電圧は、この例では24Vであり、直流信号Sdc5の電圧は、この例では5Vである。これらの直流信号Sdc24,Sdc5は、画像形成装置1内の様々なブロックで用いられるものである。
DC−ACインバータ64は、直流信号Sdc390、ゼロクロス信号SZ、およびヒータ制御信号HA,HBに基づいて、交流信号Sac2A,Sac2Bを生成するものである。具体的には、後述するように、DC−ACインバータ64は、ゼロクロス信号SZに基づいて、交流信号Sac1の周波数とほぼ同じ周波数の交流信号Sac2を生成する。そして、DC−ACインバータ64は、ヒータ制御信号HAに基づいて、この交流信号Sac2を交流信号Sac2Aとしてヒータ42Aに供給するとともに、ヒータ制御信号HBに基づいて、この交流信号Sac2を交流信号Sac2Bとしてヒータ42Bに供給するようになっている。また、DC−ACインバータ64は、ヒータ42A,42Bに対して電力を供給し始める場合には、いわゆるスローアップ制御を行うことにより、電力供給量を徐々に増やすようになっている。DC−ACインバータ64は、DC−DCコンバータ65A,65B,65Cと、スイッチング部300と、ACスイッチ400A,400Bと、電流検出回路450A,450Bと、スイッチング制御部390とを有している。
DC−DCコンバータ65Aは、直流信号Sdc24に基づいて、直流信号Sdc15A,Sdc0Aを生成するものである。DC−DCコンバータ65Bは、直流信号Sdc24に基づいて、直流信号Sdc15B,Sdc0Bを生成するものである。DC−DCコンバータ65Cは、直流信号Sdc24に基づいて、直流信号Sdc15C,Sdc0Cを生成するものである。直流信号Sdc15Aの電圧は、直流信号Sdc0Aの電圧よりも15V高いものであり、直流信号Sdc15Bの電圧は、直流信号Sdc0Bの電圧よりも15V高いものであり、直流信号Sdc15Cの電圧は、直流信号Sdc0Cの電圧よりも15V高いものである。
スイッチング部300は、直流信号Sdc390、およびPWM信号PWMA,PWMB,PWMC,PWMDに基づいて交流信号Sac2を生成するものである。また、スイッチング部300は、入力電流、入力電圧および出力電圧に関する情報を、信号SIおよびPWM信号PWME,PWMFを用いてスイッチング制御部390に通知する機能をも有している。
図5は、スイッチング部300の一構成例を表すものである。この図では、スイッチング部300に加え、ACスイッチ400A,400B、ヒータ42A,42B、およびスイッチング制御部390をも描いている。スイッチング部300は、コンデンサ303と、電流検出回路350と、スイッチング回路310,320,330,340と、インダクタ301と、コンデンサ302とを有している。スイッチング部300には、DC−DCコンバータ65Aから、端子T381を介して、直流信号Sdc15A,Sdc0Aが供給され、DC−DCコンバータ65Bから、端子T382を介して、直流信号Sdc15B,Sdc0Bが供給され、DC−DCコンバータ65Cから、端子T383を介して、直流信号Sdc15C,Sdc0Cが供給される。また、スイッチング部300には、力率改善回路61から、端子T384を介して、直流信号Sdc390,Sdc0Bが供給されるようになっている。
コンデンサ303の一端には直流信号Sdc390が供給され、他端には直流信号Sdc0Bが供給されている。
電流検出回路350は、スイッチング部300の入力電流を検出するものである。
図6は、電流検出回路350の一構成例を表すものである。電流検出回路350は、カレントトランス351と、抵抗素子352と、ダイオード353と、抵抗素子354,355と、コンデンサ356とを有している。なお、図5では、これらの素子のうち、カレントトランス351を描いている。カレントトランス351の第1の巻線の一端には直流信号Sdc390が供給され、他端は、図5に示したようにスイッチング回路310,330および抵抗素子365の一端に接続されている。カレントトランス351の第2の巻線の一端は抵抗素子352の一端およびダイオード353のアノードに接続され、他端は接地されている。カレントトランス351の第1の巻線は、例えば1ターン弱から2ターン程度にすることができ、第2の巻線は、例えば100〜200ターン程度にすることができる。抵抗素子352の一端はカレントトランス351の第2の巻線の一端およびダイオード353のアノードに接続され、他端は接地されている。ダイオード353のアノードはカレントトランス351の第2の巻線の一端および抵抗素子352の一端に接続され、他端は抵抗素子354の一端および抵抗素子355の一端に接続されている。抵抗素子354の一端はダイオード353のカソードおよび抵抗素子355の一端に接続され、他端は接地されている。抵抗素子355の一端はダイオード353のカソードおよび抵抗素子354の一端に接続され、他端はコンデンサ356の一端に接続されている。コンデンサ356の一端は抵抗素子355の他端に接続され、他端は接地されている。電流検出回路350は、抵抗素子355の他端およびコンデンサ356の一端における電圧を、信号SIとして出力するようになっている。
スイッチング回路310(図5)は、PWM(Pulse Width Modulation)信号PWMAに基づいてスイッチング動作を行うものである。
図7は、スイッチング回路310の一構成例を表すものである。スイッチング回路310は、抵抗素子312と、Nチャネル電界効果トランジスタ(FET)313と、フォトカプラ314と、抵抗素子315,316と、絶縁ゲートバイポーラトランジスタ(IGBT)311と、ダイオード311Dとを有している。なお、図5では、これらの素子のうち、IGBT311を描いている。
抵抗素子312の一端には直流信号Sdc5が供給され、他端はフォトカプラ314の発光ダイオードのアノードに接続されている。NチャネルFET313のドレインはフォトカプラ314の発光ダイオードのカソードに接続され、ゲートにはPWM信号PWMAが供給され、ソースは接地されている。フォトカプラ314の発光ダイオードのアノードは抵抗素子312の他端に接続され、カソードはNチャネルFET313のドレインに接続されている。フォトカプラ314の出力段のNPNトランジスタのコレクタには直流信号Sdc15Aが供給され、エミッタは抵抗素子315の一端に接続されている。フォトカプラ314の出力段のPNPトランジスタのエミッタは抵抗素子315の一端に接続され、コレクタは、抵抗素子316の他端、IGBT311のエミッタ、およびダイオード311Dのアノードに接続されている。抵抗素子315の一端は、フォトカプラ314の出力段のNPNトランジスタのエミッタおよびPNPトランジスタのエミッタに接続され、他端はIGBT311のベースおよび抵抗素子316の一端に接続されている。抵抗素子316の一端は抵抗素子315の他端およびIGBT311のベースに接続され、他端はフォトカプラ314の出力段のPNPトランジスタのコレクタ、IGBT311のエミッタ、およびダイオード311Dのアノードに接続されている。IGBT311のコレクタはダイオード311Dのカソードに接続されるとともに、図5に示したように直流信号Sdc390が供給され、ベースは抵抗素子315の他端および抵抗素子316の一端に接続され、エミッタはダイオード311Dのアノード、抵抗素子316の他端、およびフォトカプラ314の出力段のPNPトランジスタのコレクタに接続されるとともに、図5に示したように、スイッチング回路320、コンデンサ302の他端、およびヒータ42A,42Bの他端に接続されている。ダイオード311Dは還流ダイオードであり、アノードはIGBT311のエミッタ、抵抗素子316の他端、およびフォトカプラ314のPNPトランジスタの出力段のコレクタに接続され、カソードはIGBT311のコレクタに接続されるとともに直流信号Sdc390が供給されている。
スイッチング回路320(図5)は、PWM信号PWMBに基づいてスイッチング動作を行うものである。スイッチング回路320は、スイッチング回路310(図7)と同様の構成を有するものである。スイッチング回路320のフォトカプラには直流信号Sdc15Bが供給される。スイッチング回路320は、IGBT321を有している。IGBT321は、スイッチング回路310におけるIGBT311に対応するものである。IGBT321のコレクタは、スイッチング回路310のIGBT311のエミッタ、コンデンサ302の他端、およびヒータ42A,42Bの他端に接続され、エミッタには直流信号Sdc0Bが供給されている。
スイッチング回路330は、PWM信号PWMCに基づいてスイッチング動作を行うものである。スイッチング回路330は、スイッチング回路310(図7)と同様の構成を有するものである。スイッチング回路330のフォトカプラには直流信号Sdc15Cが供給される。スイッチング回路330は、IGBT331を有している。IGBT331は、スイッチング回路310におけるIGBT311に対応するものである。IGBT331のコレクタには直流信号Sdc390が供給され、エミッタは、スイッチング回路340およびインダクタ301の一端に接続されている。
スイッチング回路340は、PWM信号PWMDに基づいてスイッチング動作を行うものである。スイッチング回路340は、スイッチング回路310(図7)と同様の構成を有するものである。スイッチング回路340のフォトカプラには直流信号Sdc15Bが供給される。スイッチング回路340は、IGBT341を有している。IGBT341は、スイッチング回路310におけるIGBT311に対応するものである。IGBT341のコレクタは、スイッチング回路330のIGBT331のエミッタおよびインダクタ301の一端に接続され、エミッタには直流信号Sdc0Bが供給されている。また、スイッチング回路340は、フォトカプラの出力電圧を信号PWMD2として出力するようになっている。
なお、この例では、IGBT311,321,331,341を用いたが、これに限定されるものではなく、これに代えて、例えばSi−FET、SiC−FET、GaN−FETなどを用いてもよい。また、フルブリッジ構成を用いたが、これに限定されるものではなく、ハーフブリッジ構成を用いてもよい。
インダクタ301の一端はスイッチング回路330のIGBT331のエミッタおよびスイッチング回路340のIGBT341のコレクタに接続され、他端はコンデンサ302の一端、およびACスイッチ400A,400Bの一端に接続されている。コンデンサ302の一端はインダクタ301の他端、およびACスイッチ400A,400Bの一端に接続され、他端はスイッチング回路310のIGBT311のエミッタ、スイッチング回路320のIGBT321のコレクタ、およびヒータ42A,42Bの他端に接続されている。
スイッチング部300は、さらに、抵抗素子365,366と、抵抗素子304,305と、NPNトランジスタ306と、抵抗素子307,308と、PNPトランジスタ309と、抵抗素子361〜363と、コンデンサ364と、低ドロップアウトリニアレギュレータ(LDO)367と、PWM信号生成回路368と、回路370,380とを有している。
抵抗素子365の一端は電流検出回路350のカレントトランス351の第1の巻線の他端に接続され、他端は抵抗素子366の一端に接続されている。抵抗素子366の一端は抵抗素子365の他端に接続され、他端には直流信号Sdc0Bが供給されている。抵抗素子365の他端および抵抗素子366の一端における電圧は、信号A1としてPWM信号生成回路368に供給されるようになっている。
抵抗素子304の一端には信号PWMD2が供給され、他端は抵抗素子305の一端およびNPNトランジスタ306のベースに接続されている。抵抗素子305の一端は、抵抗素子304の他端およびNPNトランジスタ306のベースに接続され、他端には直流信号Sdc0Bが供給されている。NPNトランジスタ306のコレクタは抵抗素子307の他端に接続され、ベースは抵抗素子304の他端および抵抗素子305の一端に接続され、エミッタには直流信号Sdc0Bが供給されている。抵抗素子307の一端はPNPトランジスタ309のベースおよび抵抗素子308の他端に接続され、他端はNPNトランジスタ306のコレクタに接続されている。抵抗素子308の一端はPNPトランジスタ309のエミッタおよび抵抗素子361の他端に接続され、他端はPNPトランジスタ309のベースおよび抵抗素子307の一端に接続されている。PNPトランジスタ309のエミッタは抵抗素子308の一端および抵抗素子361の他端に接続され、ベースは抵抗素子307の一端および抵抗素子308の他端に接続され、コレクタは抵抗素子362の一端および抵抗素子363の一端に接続されている。抵抗素子361の一端はインダクタ301の他端、コンデンサ302の一端、およびACスイッチ400A,400Bの一端に接続され、他端は抵抗素子308の一端およびPNPトランジスタ309のエミッタに接続されている。抵抗素子362の一端はPNPトランジスタ309のコレクタおよび抵抗素子363の一端に接続され、他端には直流信号Sdc0Bが供給されている。抵抗素子363の一端はPNPトランジスタ309のコレクタおよび抵抗素子362の一端に接続され、他端はコンデンサ364の一端に接続されている。コンデンサ364の一端は抵抗素子363の他端に接続され、他端には直流信号Sdc0Bが供給されている。抵抗素子363の他端およびコンデンサ364の一端における電圧は、信号A2としてPWM信号生成回路368に供給されるようになっている。
LDO367は、直流信号Sdc15B,Sdc0Bに基づいて直流信号Sdc5Bを生成するものである。この例では、直流信号Sdc5Bの電圧は、直流信号Sdc0Bの電圧よりも5V高いものである。
PWM信号生成回路368は、信号A1の電圧に応じたデューティ比を有するPWM信号B1を生成するとともに、信号A2の電圧に応じたデューティ比を有するPWM信号B2を生成するものである。具体的には、PWM信号生成回路368は、例えば信号A1の電圧が5Vである場合にはPWM信号B1のデューティ比を100%にし、例えば信号A1の電圧が2.5Vである場合にはPWM信号B1のデューティ比を50%にし、例えば信号A1の電圧が0Vである場合にはPWM信号B1のデューティ比を0%にするようになっている。信号A2およびPWM信号B2についても同様である。
回路370は、PWM信号B1に基づいてPWM信号PWMEを生成するものである。回路370は、抵抗素子371、372と、NPNトランジスタ373と、フォトカプラ374と、抵抗素子375とを有している。抵抗素子371の一端には直流信号Sdc5Bが供給され、他端はフォトカプラ374の発光ダイオードのアノードに接続されている。抵抗素子372の一端にはPWM信号B1が供給され、他端はNPNトランジスタ373のベースに接続されている。NPNトランジスタ373のコレクタはフォトカプラ374の発光ダイオードのカソードに接続され、ベースは抵抗素子372の他端に接続され、エミッタには直流信号Sdc0Bが供給されている。フォトカプラ374の発光ダイオードのアノードは抵抗素子371の他端に接続され、カソードはNPNトランジスタ373のコレクタに接続されている。フォトカプラ374のNPNトランジスタのコレクタは抵抗素子375の他端に接続され、エミッタは接地されている。抵抗素子375の一端には直流信号Sdc5が供給され、他端はフォトカプラ374のNPNトランジスタのコレクタに接続されている。この抵抗素子375の他端における電圧は、PWM信号PWMEとしてスイッチング制御部390に供給されるようになっている。
回路380は、PWM信号B2に基づいてPWM信号PWMFを生成するものである。回路380は、回路370と同様の構成を有するものである。
ACスイッチ400A(図4)は、スイッチ制御信号SWAに基づいて、交流信号Sac2を交流信号Sac2Aとしてヒータ42Aに供給するものである。図5に示したように、ACスイッチ400Aの一端は、インダクタ301の他端およびコンデンサ302の一端に接続され、他端は電流検出回路450Aを介してヒータ42Aの一端に接続されている。
図8は、ACスイッチ400Aの一構成例を表すものである。この図では、ACスイッチ400Aに加え、インダクタ301、コンデンサ302、およびヒータ42Aをも描いている。ACスイッチ400Aは、NチャネルFET411と、抵抗素子412と、フォトトライアックカプラ413と、抵抗素子414と、トライアック415と、抵抗素子416とを有している。NチャネルFET411のドレインはフォトトライアックカプラ413の発光ダイオードのカソードに接続され、ゲートにはスイッチ制御信号SWAが供給され、ソースは接地されている。抵抗素子412の一端には直流信号Sdc5が供給され、他端はフォトトライアックカプラ413の発光ダイオードのアノードに接続されている。フォトトライアックカプラ413は、いわゆるゼロクロスタイプのものである。フォトトライアックカプラ413の発光ダイオードのアノードは抵抗素子412の他端に接続され、カソードはNチャネルFET411のドレインに接続されている。フォトトライアックカプラ413のトライアックの一端は抵抗素子414の他端およびトライアック415のゲートに接続され、他端は抵抗素子416の他端に接続されている。抵抗素子414の一端はトライアック415の一端に接続され、他端はトライアック415のゲートおよびフォトトライアックカプラ413のトライアックの一端に接続されている。トライアック415の一端は抵抗素子414の一端に接続されるとともに、インダクタ301の他端およびコンデンサ302の一端に接続され、他端は抵抗素子416の一端に接続されるとともに、電流検出回路450Aを介してヒータ42Aの一端に接続され、ゲートは抵抗素子414の他端およびフォトトライアックカプラ413のトライアックの一端に接続されている。抵抗素子416の一端はトライアック415の他端に接続され、他端はフォトトライアックカプラ413のトライアックの他端に接続されている。この構成により、ACスイッチ400Aは、スイッチ制御信号SWAに応じて、交流信号Sac2のゼロクロスタイミングでオンオフするようになっている。
ACスイッチ400B(図4)は、スイッチ制御信号SWBに基づいて、交流信号Sac2を交流信号Sac2Bとしてヒータ42Bに供給するものである。図5に示したように、ACスイッチ400Bの一端は、インダクタ301の他端およびコンデンサ302の一端に接続され、他端は電流検出回路450Bを介してヒータ42Bの一端に接続されている。ACスイッチ400Bは、ACスイッチ400A(図8)と同様の構成を有するものである。
電流検出回路450Aは、ヒータ42Aに流れるヒータ電流を検出するものである。電流検出回路450Aは、電流検出回路350(図6)の同様の構成を有するものであり、検出結果を、信号SOAとして出力するようになっている。
電流検出回路450Bは、ヒータ42Bに流れるヒータ電流を検出するものである。電流検出回路450Bは、電流検出回路350(図6)の同様の構成を有するものであり、検出結果を、信号SOBとして出力するようになっている。
スイッチング制御部390は、スイッチング回路310,320,330,340におけるスイッチング動作を制御するものである。スイッチング制御部390は、例えば、ASIC(Application Specific Integrated Circuit)、FPGA(Field Programmable Gate Array)、マイクロコントローラなどを用いて構成されるものである。スイッチング制御部390は、スイッチング回路310,320,330,340に対してPWM信号PWMA,PWMB,PWMC,PWMDをそれぞれ供給することにより、スイッチング部300が交流信号Sac2を生成するように制御する。具体的には、スイッチング制御部390は、IGBT331,341を例えば50Hzでスイッチングさせるとともに、IGBT311,321を例えば20kHzでスイッチングさせる。なお、この例では、IGBT311,321のスイッチング周波数を20kHzとしたが、これに限定されるものではない。IGBT311,321のスイッチング周波数は20kHz以上が望ましい。これにより、IGBT311,321のスイッチングに起因して音が生じても、周波数が人の可聴域よりも高いため、音を聞こえにくくすることができる。その際、IGBTの代わりに、例えばGaN−FETを用いてもよい。
図9は、PWM信号PWMA,PWMB,PWMC,PWMDの一例を表すものである。この例では、説明の便宜上、IGBT311,321のスイッチング周波数を1.8kHzとしている。この例では、PWM信号PWMAが高レベルであるときにIGBT311はオン状態になり、PWM信号PWMAが低レベルであるときにIGBT311はオフ状態になる。PWM信号PWMB,PWMC,PWMDについても同様である。
スイッチング制御部390は、図9に示したように、PWM信号PWMC,PWMDの1周期の期間のうちの前半の期間において、PWM信号PWMCを低レベルにするとともに、PWM信号PWMDを高レベルにする。これにより、IGBT331はオフ状態になるとともに、IGBT341はオン状態になる。また、スイッチング制御部390は、PWM信号PWMC,PWMDの1周期の期間のうちの後半の期間において、PWM信号PWMCを高レベルにするとともに、PWM信号PWMDを低レベルにする。これにより、IGBT331はオン状態になるとともに、IGBT341はオフ状態になる。このとき、スイッチング制御部390は、IGBT331,341が同時にオン状態にならないように、スイッチング部300を制御する。具体的には、スイッチング制御部390は、図9に示したように、IGBT331がオフ状態になった後にIGBT341をオン状態にし、IGBT341がオフ状態になった後にIGBT331をオン状態にする。この例では、IGBT331、341がともにオフ状態になる時間幅(デッドタイム)を2μsecに設定している。
また、スイッチング制御部390は、図9に示したように、PWM信号PWMA,PWMBのデューティ比を徐々に変化させる。これにより、DC−ACインバータ64は、正弦波状の交流信号Sac2を生成することができる。このとき、スイッチング部300では、IGBT311,321が同時にオン状態にならないようにするため、この例では、2μsecのデッドタイムを設けている。
図9に示したように、PWM信号PWMC,PWMDの1周期の期間のうちの前半の期間では、IGBT341がオン状態になる。よって、スイッチング部300では、IGBT311がオン状態になることにより、IGBT311、ヒータ42A,42B、インダクタ301、IGBT341の順に電流が流れる。また、PWM信号PWMC,PWMDの1周期の期間のうちの後半の期間では、IGBT331がオン状態になる。よって、スイッチング部300では、IGBT321がオン状態になることにより、IGBT331、インダクタ301、ヒータ42A,42B、IGBT321の順に電流が流れる。DC−ACインバータ64は、このようにして、交流信号Sac2を生成するようになっている。
スイッチング制御部390は、PWM信号PWMA,PWMB,PWMC,PWMDを生成する際、19.9msec周期のPWM信号PWMA,PWMB,PWMC,PWMDまたは20.1msec周期のPWM信号PWMA,PWMB,PWMC,PWMDを選択的に生成する。
図10は、スイッチング制御部390の一動作例を表すものである。この例では、交流信号Sac1の周波数は50Hzであるので、ゼロクロス信号SZのパルスは、10msec周期で現れる。スイッチング制御部390は、この例では、ゼロクロス信号SZの立ち上がりエッジの位相と、PWM信号PWMDの立ち上がりエッジとの位相とを比較する。そして、PWM信号PWMDの位相が進んでいる場合には、スイッチング制御部390は、20.1msec周期のPWM信号PWMA,PWMB,PWMC,PWMDを生成し、PWM信号PWMDの位相が進んでいる場合には、19.9msec周期のPWM信号PWMA,PWMB,PWMC,PWMDを生成する。これにより、スイッチング制御部390は、交流信号Sac2の周波数が、交流信号Sac1の周波数に近くなるように制御する。その結果、交流信号Sac2の周波数の平均値は、交流信号Sac1の周波数とほぼ一致するようになる。
なお、この例では、スイッチング制御部390は、ゼロクロス信号SZの立ち上がりエッジの位相と、PWM信号PWMDの立ち上がりエッジとの位相とを比較するようにしたが、これに限定されるものではない。例えば、ゼロクロス信号SZの立ち上がりエッジに代えて、ゼロクロス信号SZの立ち下がりエッジを用いてもよい。また、例えば、PWM信号PWMDに代えて、PWM信号PWMCを用いてもよい。
図11(A)は、19.9msec周期のPWM信号PWMA,PWMB,PWMC,PWMDに基づいて生成される交流信号Sac2の波形を示し、図11(B)は、20.1msec周期のPWM信号PWMA,PWMB,PWMC,PWMDに基づいて生成される交流信号Sac2の波形を示す。この例では、どちらのケースでも、19.9msecまでは、交流信号Sac2の波形は同じである。言い換えれば、19.9msec周期のPWM信号PWMA,PWMB,PWMC,PWMDと、20.1msec周期のPWM信号PWMA,PWMB,PWMC,PWMDは、19.9msecまでは同じである。そして、20.1msec周期のPWM信号PWMA,PWMB,PWMC,PWMDに基づいて生成される交流信号Sac2では、19.9〜20.1msecの期間において0Vになるようになっている。
IGBT311,321のスイッチング周波数は20kHzであるので、20.1msec周期のPWM信号PWMA,PWMBを生成する場合には、スイッチングサイクルCYCLEの数は402(0〜401)である。例えば390Vpの交流信号Sac2を生成する場合には、各スイッチングサイクルCYCLEでのスイッチングデューティ比DUTYは、以下の式を用いて求めることができる。
一方、19.9msec周期のPWM信号PWMA,PWMBを生成する場合には、スイッチングサイクルCYCLEの数は398(0〜397)である。よって、この場合には、スイッチングサイクルCYCLEが0〜397の範囲で、式(1)を用いればよい。
なお、この例では、スイッチング制御部390は、19.9msec周期のPWM信号PWMA,PWMB,PWMC,PWMDまたは20.1msec周期のPWM信号PWMA,PWMB,PWMC,PWMDを選択的に生成するようにしたが、周期はこれに限定されるものではなく、互いに異なる任意の周期を用いることができる。
交流信号Sac1の周波数が60Hzの場合には、スイッチング制御部390は、IGBT331,341を60Hzでスイッチングさせるとともに、IGBT311,321を20kHzでスイッチングさせる。この場合には、スイッチング制御部390は、16.5msec周期のPWM信号PWMA,PWMB,PWMC,PWMDまたは16.8msec周期のPWM信号PWMA,PWMB,PWMC,PWMDを選択的に生成する。16.8msec周期のPWM信号PWMA,PWMB,PWMC,PWMDを生成する場合には、スイッチングサイクルの数は336(0〜335)である。例えば390Vpの交流信号Sac2を生成する場合には、各スイッチングサイクルCYCLEでのスイッチングデューティ比DUTYは、以下の式を用いて求めることができる。
一方、16.5msec周期のPWM信号PWMA,PWMBを生成する場合には、スイッチングサイクルの数は330(0〜329)である。よって、この場合には、スイッチングサイクルCYCLEが0〜329の範囲で、式(2)を用いればよい。
スイッチング制御部390は、図5に示したように、デューティ比テーブル391Aと、デューティ比テーブル391Bと、カウンタ392とを有している。
デューティ比テーブル391Aは、IGBT311,321のスイッチングサイクルCYCLEごとのスイッチングデューティ比DUTYを示すものであり、交流信号Sac1の周波数が50Hzである場合に使用するものである。この例では、デューティ比テーブル391Aは、13個のテーブル391A1〜391A13を有している。13個のテーブル391A1〜391A13は、交流信号Sac2の振幅を、直流信号Sdc390の電圧(この例では390V)の30%から90%の範囲で、5%刻みで設定するためのものである。具体的には、テーブル391A1は、交流信号Sac2の振幅を、直流信号Sdc390の電圧の30%に設定するためのテーブルであり、テーブル391A2は、交流信号Sac2の振幅を、直流信号Sdc390の電圧の35%に設定するためのテーブルであり、テーブル391A3は、交流信号Sac2の振幅を、直流信号Sdc390の電圧の40%に設定するためのテーブルである。テーブル391A4〜391A12についても同様である。そしてテーブル391A13は、交流信号Sac2の振幅を、直流信号Sdc390の電圧の90%に設定するためのテーブルである。
デューティ比テーブル391Bは、IGBT311,321のスイッチングサイクルCYCLEごとのスイッチングデューティ比DUTYを示すものであり、交流信号Sac1の周波数が60Hzである場合に使用するものである。この例では、デューティ比テーブル391Bは、13個のテーブル391B1〜391B13を有している。13個のテーブル391B1〜391B13は、13個のテーブル391A1〜391A13と同様に、交流信号Sac2の振幅を、直流信号Sdc390の電圧(この例では390V)の30%から90%の範囲で、5%刻みで設定するためのものである。
カウンタ392は、スイッチングサイクルCYCLEの数をカウントするものである。
スイッチング制御部390は、このようなデューティ比テーブル391A,391Bを用いて、PWM信号PWMA,PWMBを生成する。具体的には、スイッチング制御部390は、まず、ゼロクロス信号SZに基づいて、交流信号Sac1の周波数を検出し、その検出結果に基づいて、デューティ比テーブル391Aまたはデューティ比テーブル391Bを選択する。そして、スイッチング制御部390は、選択されたデューティ比テーブルに含まれる13個のテーブル391のうちの1つを選択し、選択されたテーブルから、カウンタ392の値に対応するスイッチングサイクルCYCLEにおけるスイッチングデューティ比DUTYを順次読み出し、そのスイッチングデューティ比DUTYに基づいてPWM信号PWMA,PWMBを生成するようになっている。
図12は、交流信号Sac2の一例を表すものである。交流信号Sac2の振幅は、例えば、テーブル391A1,391B1を用いた場合には、直流信号Sdc390の電圧(この例では390V)の30%(この例では117Vp)になる。また、交流信号Sac2の振幅は、例えば、テーブル391A13,391B13を用いた場合には、直流信号Sdc390の電圧(この例では390V)の90%(この例では351Vp)になる。このようにして、DC−ACインバータ64は、交流信号Sac2の振幅を、直流信号Sdc390の電圧(この例では390V)の30%から90%の範囲で、5%刻みで設定できるようになっている。
スイッチング制御部390は、ヒータ制御信号HAがアクティブである場合には、図9に示したようなPWM信号PWMA,PWMB,PWMC,PWMDを生成するとともに、スイッチ制御信号SWAをアクティブにする。これにより、スイッチング部300が生成した交流信号Sac2が、ACスイッチ400Aおよび電流検出回路450Aを介してヒータ42Aに供給される。同様に、スイッチング制御部390は、ヒータ制御信号HBがアクティブである場合には、図9に示したようなPWM信号PWMA,PWMB,PWMC,PWMDを生成するとともに、スイッチ制御信号SWBをアクティブにする。これにより、スイッチング部300が生成した交流信号Sac2が、ACスイッチ400Bおよび電流検出回路450Bを介してヒータ42Bに供給される。
その際、スイッチング制御部390は、後述するように、ヒータ42A,42Bのうちの少なくとも一方に電力を供給し始める場合には、上述した13個のテーブル391A1〜391A13を順次選択することにより、電力供給量を徐々に増やすように動作する。すなわち、ヒータ42A,42Bに対して、冷えた状態で通電を開始すると、ヒータ42A,42Bの抵抗値が低いため、突入電流が大きくなってしまう。そこで、スイッチング制御部390は、まず最初は、電力供給量を低く設定し、ヒータ42A,42Bが温まり電流が下がってきたら、電力供給量を増やす。このようにして、スイッチング制御部390は、ヒータ42A,42Bに電力を供給し始める際は、いわゆるスローアップ制御を行うことにより、電力供給量を徐々に増やすようになっている。
また、スイッチング制御部390は、ヒータ制御信号HA,HBの両方が非アクティブである場合には、スイッチング部300を待機モードで動作させることにより、交流信号Sac2の生成を停止させる機能をも有している。
図13は、交流信号Sac2の生成を停止させる場合における、PWM信号PWMA,PWMB,PWMC,PWMDの一例を表すものである。スイッチング制御部390は、図13における前半の期間において、PWM信号PWMA,PWMCを低レベルにするとともに、PWM信号PWMB,PWMDを高レベルにする。これにより、IGBT311,331がオフ状態になるとともに、IGBT321,341がオン状態になる。この場合には、スイッチング部300は交流信号Sac2を生成しない。また、スイッチング制御部390は、図13における後半の期間において、PWM信号PWMA,PWMCを高レベルにするとともに、PWM信号PWMB,PWMDを低レベルにする。これにより、IGBT311,331はオン状態になるとともに、IGBT321,341はオフ状態になる。この場合にも、スイッチング部300は交流信号Sac2を生成しない。このようにして、スイッチング制御部390は、交流信号Sac2の生成を停止させるようになっている。
また、スイッチング制御部390は、信号SIに基づいて、DC−ACインバータ64の入力電流値Iinを取得する機能をも有している。
図14は、信号SIに基づいてスイッチング部300における入力電流値Iinを取得する動作を表すものである。電流検出回路350は、PWM信号PWMA,PWMB,PWMC,PWMDに応じた信号SIを生成する。この信号SIは、例えばPWM信号PWMDの周波数の2倍の周波数を有するものである。スイッチング制御部390は、この信号SIを、例えば、1msec以下のサンプリング周期でサンプリングすることにより、A/D変換を行う。そして、スイッチング制御部390は、A/D変換された信号に対して、PWM信号PWMDの半周期単位でピークホールド動作を行うとともに、PWM信号PWMDの遷移タイミングでピークホールド値をリセットすることにより、内部信号SI2を求める。その際、スイッチング制御部390は、ピークホールド値をリセットする直前に、そのピークホールド値をラッチすることにより、入力電流値Iinを取得するようになっている。
また、スイッチング制御部390は、信号SOAに基づいて、ヒータ42Aに流れるヒータ電流値IoutAを取得し、信号SOBに基づいて、ヒータ42Bに流れるヒータ電流値IoutBを取得する機能をも有している。この場合の動作は、入力電流値Iinを取得する際の動作(図14)と同様である。
また、スイッチング制御部390は、PWM信号PWMEに基づいて、DC−ACインバータ64に入力される直流信号Sdc390の電圧値(入力電圧値Vin)を取得する機能をも有している。図5に示したように、スイッチング部300に供給された直流信号Sdc390は、抵抗素子365,366により分圧され、信号A1としてPWM信号生成回路368に供給される。PWM信号生成回路368は、この信号A1の電圧に応じたデューティ比を有するPWM信号B1を生成する。そして、回路370は、PWM信号B1に基づいてPWM信号PWMEを生成する。スイッチング制御部390は、このPWM信号PWMEに基づいて、入力電圧値Vinを取得するようになっている。
また、スイッチング制御部390は、PWM信号PWMFに基づいて、DC−ACインバータ64が生成する交流信号Sac2の実効値(出力電圧値Vout)を取得する機能をも有している。図5に示したように、信号A2は、コンデンサ302の一端における信号および信号PWMD2に基づいて生成される。
図15は、信号A2を生成する動作を表すものである。PWM信号PWMA,PWMB,PWMC,PWMDに応じて、コンデンサ302の一端には、図15に示したような波形が現れる。このとき、PNPトランジスタ309のコレクタには、図15に示したような波形が現れる。すなわち、この波形は、交流信号Sac2の半周期分の波形に対応するものである。そして、抵抗素子363およびコンデンサ364が、RCフィルタとして機能し、この波形を平滑化して信号A2を生成する。PWM信号生成回路368は、この信号A2の電圧に応じたデューティ比を有するPWM信号B2を生成する。そして、回路380は、PWM信号B2に基づいてPWM信号PWMFを生成する。スイッチング制御部390は、このPWM信号PWMFに基づいて、出力電圧値Voutを取得するようになっている。
このようにして、スイッチング制御部390は、入力電流値Iin、ヒータ電流値IoutA,IoutB、入力電圧値Vin、および出力電圧値Voutを取得する。そして、スイッチング制御部390は、後述するように、これらに基づいて、DC−ACインバータ64の動作を制御するようになっている。
ここで、低圧電源部60は、本発明における「電源装置」の一具体例に対応する。スイッチング制御部390は、本発明における「制御部」の一具体例に対応する。IDユニット20K,20Y,20M,20Cおよび露光ヘッド16K,16Y,16M,16Cは、本発明における「現像部」の一具体例に対応する。力率改善回路61は、本発明における「直流信号生成部」の一具体例に対応する。直流信号Sdc390は、本発明における「直流信号」の一具体例に対応する。コンデンサ303は、本発明における「コンデンサ」の一具体例に対応する。スイッチング回路310,320,330,340は、発明における「スイッチング回路」の一具体例に対応する。電流検出回路350は、本発明における「入力電流検出回路」の一具体例に対応する。電流検出回路450A,450Bは、本発明における「出力電流検出回路」の一具体例に対応する。ACスイッチ400A,400Bは、本発明における「スイッチ部」の一具体例に対応する。ゼロクロス検出回路62は、本発明における「同期信号生成部」の一具体例に対応する。交流信号Sac2は、本発明における「交流出力信号」の一具体例に対応する。交流信号Sac1は、本発明における「交流電源信号」の一具体例に対応する。ゼロクロス信号SZは、本発明における「同期信号」の一具体例に対応する。PWM信号PWMA,PWMBは、本発明における「パルス信号」の一具体例に対応する。
[動作および作用]
続いて、本実施の形態の画像形成装置1の動作および作用について説明する。
(全体動作概要)
まず、図1〜3を参照して、画像形成装置1の全体動作概要を説明する。画像形成装置1では、印刷制御部59は、インタフェース部51を介してホストコンピュータから印刷データを受け取ると、まず、画像処理部52を制御することにより、印刷データに基づいてビットマップデータを生成させる。そして、印刷制御部59は、低圧電源部60を制御することにより、定着部40のヒータ42A,42Bに電力を供給させる。サーミスタ44が検出した定着部40の温度が、定着動作に適した温度に到達すると、印刷制御部59は、印刷動作を開始させる。
印刷動作では、まず、印刷制御部59は、ホッピングモータ11Tを制御することによりホッピングローラ11を回転させ、レジストモータ12Tを制御することによりレジストローラ12を回転させる。これにより、記録媒体9は搬送路10に沿って搬送される。
そして、印刷制御部59は、ドラムモータ20Tを制御することによりIDユニット20C,20M,20Y,20K内の感光ドラム21、現像ローラ24、および供給ローラ26をそれぞれ回転させ、ベルトモータ33Tを制御することにより駆動ローラ33を回転させる。また、印刷制御部59は、媒体センサ13における検出結果に基づいて、高圧電源部55を制御することにより各種電圧を生成させる。そして、印刷制御部59は、露光制御部53の動作を制御することにより露光ヘッド16C,16M,16Y,16Kを動作させる。これにより、各IDユニット20の感光ドラム21の表面には、まず、静電潜像が形成され、その後に、その静電潜像に応じてトナー像が形成される。そして、各IDユニット20の感光ドラム21のトナー像は、記録媒体9の被転写面に転写される。
そして、印刷制御部59は、ヒータモータ40Tを制御することによりヒートローラ41および加圧ローラ43を回転させる。これにより、定着部40では、記録媒体9上のトナーが、加熱され、融解し、加圧される。その結果、トナー像が記録媒体9上に定着する。
(低圧電源部60の詳細動作)
図4に示したように、商用電源99から供給された交流信号Sac1は、力率改善回路61およびゼロクロス検出回路62に供給される。力率改善回路61は、この交流信号Sac1に基づいて、直流信号Sdc390を生成する。DC−DCコンバータ63は、直流信号Sdc390,Sdc0Bに基づいて、直流信号Sdc24,Sdc5を生成する。ゼロクロス検出回路62は、この交流信号Sac1に基づいて、交流信号Sac1のゼロクロスタイミングごとに発生するパルスを有するゼロクロス信号SZを生成する。
DC−ACインバータ64(図4)では、DC−DCコンバータ65Aが、直流信号Sdc24に基づいて直流信号Sdc15A,Sdc0Aを生成し、DC−DCコンバータ65Bが、直流信号Sdc24に基づいて直流信号Sdc15B,Sdc0Bを生成し、DC−DCコンバータ65Cが、直流信号Sdc24に基づいて直流信号Sdc15C,Sdc0Cを生成する。スイッチング制御部390(図5)は、スイッチング回路310,320,330,340に対してPWM信号PWMA,PWMB,PWMC,PWMDをそれぞれ供給することにより、スイッチング部300におけるスイッチング動作を制御する。その際、スイッチング制御部390は、デューティ比テーブル391A,391Bから、カウンタ392の値に対応するスイッチングサイクルCYCLEにおけるスイッチングデューティ比DUTYを読み出し、そのスイッチングデューティ比DUTYに基づいてPWM信号PWMA,PWMB,PWMC,PWMDを生成する。スイッチング部300は、直流信号Sdc390に対してスイッチング動作を行う。インダクタ301およびコンデンサ302は、LCフィルタとして機能し、入力された信号から、スイッチング動作に起因する高周波成分を除去することにより交流信号Sac2を生成する。
スイッチング制御部390は、ヒータ制御信号HA,HBに基づいて、ヒータ42A,42Bへの電力の供給を制御する。具体的には、スイッチング制御部390は、ヒータ制御信号HAがアクティブである場合には、スイッチ制御信号SWAをアクティブにする。これにより、スイッチング部300が生成した交流信号Sac2が、ACスイッチ410を介してヒータ42Aに供給される。同様に、スイッチング制御部390は、ヒータ制御信号HBがアクティブである場合には、スイッチ制御信号SWBをアクティブにする。これにより、スイッチング部300が生成した交流信号Sac2が、ACスイッチ420を介してヒータ42Bに供給される。
(イニシャル動作について)
DC−ACインバータ64は、ヒータ42A,42Bへの電力供給に先立ち、正常に動作するかどうかを確認するためのイニシャル動作を行う。以下に、イニシャル動作について詳細に説明する。
図16は、イニシャル動作の一例を表すものである。DC−ACインバータ64は、このイニシャル動作において、ACスイッチ400A,400Bをオフ状態に維持したまま、交流信号Sac2の振幅を最大に設定し、交流信号Sac2の振幅が所望の振幅であることを確認した後に、レディ信号RDYをアクティブにする。以下に、その詳細を説明する。
まず、DC−ACインバータ64のスイッチング制御部390は、レディ信号RDYを非アクティブにする(ステップS1)。なお、以下のフローにおいて所定の時間にわたりレディ信号RDYが非アクティブを維持した場合には、印刷制御部59は、表示部54にエラーを表示させる。
次に、スイッチング制御部390は、ゼロクロス信号SZを検出することにより、ゼロクロス信号SZが供給されているかどうかを確認する(ステップS2)。ゼロクロス信号SZを検出できない場合(ステップS2において“N”)には、ステップS2に戻り、ゼロクロス信号SZが検出できるまで繰り返す。この繰り返し動作により、所定の時間にわたりレディ信号RDYが非アクティブを維持した場合には、印刷制御部59は、表示部54にエラーを表示させる。
ステップS2においてゼロクロス信号SZを検出できた場合(ステップS2において“Y”)には、スイッチング制御部390は、ゼロクロス信号SZに基づいて、交流信号Sac1の周波数を確認する(ステップS3)。そして、交流信号Sac1の周波数が50Hzである場合(ステップS3において“Y”)には、スイッチング制御部390は、デューティ比テーブル391Aを選択する(ステップS4)。また、交流信号Sac1の周波数が50Hzでない場合(ステップS3において“N”)には、スイッチング制御部390は、デューティ比テーブル391Bを選択する(ステップS5)。すなわち、この場合は、交流信号Sac1の周波数は60Hzであるので、スイッチング制御部390は、デューティ比テーブル391Bを選択する。
次に、スイッチング制御部390は、入力電圧値Vinが所定のしきい値Vth1より大きい(Vin>Vth1)か否かを確認する(ステップS6)。しきい値Vth1は、例えば370Vにすることができる。入力電圧値Vinが所定のしきい値Vth1以下である場合(ステップS6において“N”)には、ステップS6に戻り、入力電圧値Vinが所定のしきい値Vth1より大きくなるまで繰り返す。この繰り返し動作により、所定の時間にわたりレディ信号RDYが非アクティブを維持した場合には、印刷制御部59は、表示部54にエラーを表示させる。
ステップS6において入力電圧値Vinが所定のしきい値Vth1より大きいことを検出した場合(ステップS6において“Y”)には、スイッチング制御部390は、図13に示したように、スイッチング部300を待機モードで動作させる(ステップS7)。
次に、スイッチング制御部390は、交流信号Sac2の振幅を最大に設定する(ステップS8)。具体的には、スイッチング制御部390は、ステップS4においてデューティ比テーブル391Aを選択した場合には、デューティ比テーブル391Aに含まれる13個のテーブル391A1〜391A13のうちのテーブル391A13を選択し、このテーブル391A13に基づいてPWM信号PWMA,PWMBを生成する。また、スイッチング制御部390は、ステップS5においてデューティ比テーブル391Bを選択した場合には、デューティ比テーブル391Bに含まれる13個のテーブル391B1〜391B13のうちのテーブル391B13を選択し、このテーブル391B13に基づいてPWM信号PWMA,PWMBを生成する。これにより、交流信号Sac2の振幅は、直流信号Sdc390の電圧(この例では390V)の90%(351Vp)程度になる。このとき、交流信号Sac2の実効値は249Vrms程度である。
次に、スイッチング制御部390は、出力電圧値Voutが所定のしきい値Vth2より大きい(Vout>Vth2)か否かを確認する(ステップS9)。しきい値Vth2は、例えば、直流信号Sdc390がしきい値Vth1である場合における交流信号Sac2の実効値にすることができる。具体的には、しきい値Vth2は、230Vrmsにすることができる。
ステップS9において、出力電圧値Voutが所定のしきい値Vth2より大きい場合(ステップS9において“Y”)には、スイッチング制御部390は、図13に示したように、スイッチング部300を待機モードで動作させる(ステップS10)。そして、スイッチング制御部390は、レディ信号RDYをアクティブにする(ステップS11)。
ステップS9において、出力電圧値Voutが所定のしきい値Vth2以下である場合(ステップS9において“N”)には、スイッチング制御部390は、スイッチング部300の動作を停止させる(ステップS12)。具体的には、スイッチング制御部390は、例えば、PWM信号PWMA,PWMB,PWMC,PWMDの全てを低レベルにすることにより、スイッチング部300の動作を停止させる。その後、所定の時間にわたりレディ信号RDYが非アクティブを維持することにより、印刷制御部59は、表示部54にエラーを表示させる。
以上でこのフローは終了する。
このようにして、DC−ACインバータ64は、イニシャル動作を行い、DC−ACインバータ64が正常に動作できることを確認し、レディ信号RDYをアクティブにする。その後、DC−ACインバータ64は、ヒータ制御信号HA,HBに基づいて、ヒータ42A,42Bへの電力供給を行う。
(スローアップ制御について)
図17は、DC−ACインバータ64の一動作例を表すものである。この例では、レディ信号RDYはローアクティブの信号であり、ヒータ制御信号HA,HBはハイアクティブの信号である。
スイッチング制御部390が、タイミングt1において、レディ信号RDYを高レベルから低レベル(アクティブ)に変化させた後、印刷制御部59は、タイミングt2において、ヒータ制御信号HAを低レベルから高レベル(アクティブ)に変化させる。なお、図示していないが、ヒータ制御信号HBは低レベルを維持する。スイッチング制御部390は、このヒータ制御信号HAに基づいて、このタイミングt2において、スイッチ制御信号SWAを低レベルから高レベルに変化させる。スイッチング制御部390は、PWM信号PWMDの遷移タイミングでヒータ制御信号HAをサンプリングすることにより、内部信号HA2を生成するとともに、PWM信号PWMDの遷移タイミングでヒータ制御信号HBをサンプリングすることにより、内部信号HB2を生成する。この例では、内部信号HA2は、タイミングt3において低レベルから高レベルに変化する。スイッチング制御部390は、この内部信号HA2に基づいて、例えばデューティ比テーブル391Aを利用してPWM信号PWMA,PWMBを生成する。これにより、スイッチング部300は、交流信号Sac2を生成し始める。このとき、スイッチング制御部390は、いわゆるスローアップ制御を行う。すなわち、ヒータ42A,42Bに対して、冷えた状態で通電を開始すると、ヒータ42A,42Bの抵抗値が低いため、突入電流が大きくなってしまう。そこで、スイッチング制御部390は、まず最初は、電力供給量を低く設定し、ヒータ42A,42Bが温まり電流が下がってきたら、ヒータ42A,42Bへの電力供給量を増やす。このようにして、スイッチング制御部390は、ヒータ42A,42Bへの電力供給量を徐々に増やす。このようなスローアップ制御により、交流信号Sac2の振幅は徐々に大きくなる。ACスイッチ400Aは、交流信号Sac2のゼロクロスタイミングで導通する。これにより、ヒータ42Aには、交流信号Sac2Aが供給される。
その後、印刷制御部59は、タイミングt4において、ヒータ制御信号HAを高レベルから低レベル(非アクティブ)に変化させる。スイッチング制御部390は、このヒータ制御信号HAに基づいて、このタイミングt4において、スイッチ制御信号SWAを高レベルから低レベルに変化させる。そして、内部信号HA2は、タイミングt5において高レベルから低レベルに変化する。スイッチング制御部390は、この内部信号HA2に基づいて、スイッチング部300を待機モードで動作させる。これにより、スイッチング部300は、交流信号Sac2の生成を停止する。
このように、スイッチング制御部390は、ヒータ制御信号HA,HBに基づいて、DC−ACインバータ64の動作を制御する。その際、スイッチング制御部390は、以下に説明するように、ヒータ制御信号HA,HBの変化に応じて、スローアップ制御を行うか否かを判断する。
図18は、ヒータ制御信号HA,HBの各変化におけるスイッチング制御部390の動作を表すものである。ここで、“L”は低レベルを示し、“H”は高レベルを示す。また、“停止”は、交流信号Sac2の生成を停止させる制御を示し、“維持”は、交流信号Sac2を生成し続ける制御を示す。
スイッチング制御部390は、ヒータ制御信号HA,HBのうちの少なくとも一方において、前回値が低レベルであり現在値が高レベルである場合には、スローアップ制御を行う。すなわち、この場合には、ヒータ42A,42Bのうちの少なくとも一方に対して電力供給を開始する。よって、スイッチング制御部390は、突入電流を抑えるため、スローアップ制御を行う。
また、スイッチング制御部390は、ヒータ制御信号HA,HBのうちの少なくとも一方において、前回値および現在値がともに高レベルである場合には、交流信号Sac2を生成し続ける制御を行う。
また、スイッチング制御部390は、ヒータ制御信号HA,HBの現在値がともに低レベルである場合には、交流信号Sac2の生成を停止させる制御を行う。具体的には、スイッチング制御部390は、図13に示したように、スイッチング部300を待機モードで動作させる。
図19は、ヒータ制御信号HA,HBに基づくスイッチング制御部390の動作を表すものである。
まず、スイッチング制御部390は、ヒータ制御信号HA,HBに基づいて、図18に示したように、スイッチング制御部390がすべき動作を決定する。スイッチング制御部390は、交流信号Sac2の生成を停止させる制御を行うべきである場合(ステップS21において“Y”)には、スイッチング制御部390は、図13に示したように、スイッチング部300を待機モードで動作させ(ステップS22)、ステップS21に戻る。それ以外の場合(ステップS21において“N”)において、スイッチング制御部390は、スローアップ制御をすべきである場合(ステップS23において“Y”)には、ステップS24に進む。それ以外の場合(ステップS23において“N”)には、ステップS21に戻る。すなわち、これは、交流信号Sac2を生成し続ける制御をすべきである場合を示す。
次に、スイッチング制御部390は、交流信号Sac2の振幅を、直流信号Sdc390の電圧(この例では390V)の60%(234Vp)に設定する(ステップS24)。具体的には、スイッチング制御部390は、イニシャル動作(図16)のステップS4においてデューティ比テーブル391Aを選択した場合には、デューティ比テーブル391Aに含まれる13個のテーブル391A1〜391A13のうちのテーブル391A7を選択し、このテーブル391A7に基づいてPWM信号PWMA,PWMBを生成する。また、スイッチング制御部390は、イニシャル動作(図16)のステップS5においてデューティ比テーブル391Bを選択した場合には、デューティ比テーブル391Bに含まれる13個のテーブル391B1〜391B13のうちのテーブル391B7を選択し、このテーブル391B7に基づいてPWM信号PWMA,PWMBを生成する。これにより、交流信号Sac2の振幅は、直流信号Sdc390の電圧(この例では390V)の60%(234Vp)程度になる。このとき、交流信号Sac2の実効値は165Vrms程度である。
次に、スイッチング制御部390は、ヒータ電流値IoutA,IoutBのうち、導通しているACスイッチに対応するヒータ電流値Ioutが所定のしきい値Ith1より大きい(Iout>Ith1)か否かを確認する(ステップS25)。ヒータ電流値Ioutが所定のしきい値Ith1以下である場合(ステップS25において“N”)には、ステップS27に進む。
ステップS25において、ヒータ電流値Ioutが所定のしきい値Ith1より大きい場合(ステップS25において“Y”)には、スイッチング制御部390は、交流信号Sac2の振幅を最小に設定する(ステップS26)。すなわち、電力の供給を始めた直後では、ヒータ42A,42Bは、まだ十分に熱くなっていないため抵抗値が低く、突入電流が大きい。よって、スイッチング制御部390は、交流信号Sac2の振幅を最小にすることにより、突入電流を抑えるように動作する。スイッチング制御部390は、交流信号Sac2の振幅を最小に設定する際、以下のように動作する。すなわち、スイッチング制御部390は、イニシャル動作(図16)のステップS4においてデューティ比テーブル391Aを選択した場合には、デューティ比テーブル391Aに含まれる13個のテーブル391A1〜391A13のうちのテーブル391A1を選択し、このテーブル391A1に基づいてPWM信号PWMA,PWMBを生成する。また、スイッチング制御部390は、イニシャル動作(図16)のステップS5においてデューティ比テーブル391Bを選択した場合には、デューティ比テーブル391Bに含まれる13個のテーブル391B1〜391B13のうちのテーブル391B1を選択し、このテーブル391B1に基づいてPWM信号PWMA,PWMBを生成する。これにより、交流信号Sac2の振幅は、直流信号Sdc390の電圧(この例では390V)の30%(117Vp)程度になる。このとき、交流信号Sac2の実効値は83Vrms程度である。
次に、スイッチング制御部390は、入力電流値Iinが所定のしきい値Ith2より大きい(Iin>Ith2)か否かを確認する(ステップS27)。
ステップS27において、入力電流値Iinが所定のしきい値Ith2より大きい場合(ステップS27において“Y”)には、スイッチング制御部390は、DC−ACインバータ64が、異常な状態であると判断する。そして、スイッチング制御部390は、スイッチング部300の動作を停止させる(ステップS33)。具体的には、スイッチング制御部390は、例えば、PWM信号PWMA,PWMB,PWMC,PWMDの全てを低レベルにすることにより、スイッチング部300の動作を停止させる。また、スイッチング制御部390は、スイッチ制御信号SWA,SWBを低レベルにする。そして、スイッチング制御部390は、レディ信号RDYを非アクティブにする(ステップS34)。
ステップS27において、入力電流値Iinが所定のしきい値Ith2以下である場合(ステップS27において“N”)には、スイッチング制御部390は、所定時間Δt(例えば60msec)が経過した後(ステップS28)、出力電圧値Voutが目標電圧値Vtargetよりも大きい(Vout>Vtarget)か否かを確認する(ステップS29)。この目標電圧値Vtargetは、ヒータ42A,42Bに電力を供給する際の交流信号Sac2の出力電圧値Voutの目標値であり、スイッチング制御部390に予め設定されているものである。出力電圧値Voutが目標電圧値Vtargetよりも大きい場合(ステップS29において“Y”)には、ステップS21に戻る。すなわち、この場合には、出力電圧値Voutが目標電圧値Vtargetに達したので、スイッチング制御部390は、スローアップ制御を終了する。
ステップS29において、出力電圧値Voutが目標電圧値Vtarget以下である場合(ステップS29において“N”)には、スイッチング制御部390は、交流信号Sac2の振幅を一段階増加させる(ステップS30)。具体的には、スイッチング制御部390は、テーブル391A1を選択している場合には、これに代えてテーブル391A2を選択し、テーブル391A2を選択している場合には、これに代えてテーブル391A3を選択する。その他のテーブルについても同様である。これにより、交流信号Sac2の振幅は、5%分だけ増加する。
そして、スイッチング制御部390は、所定時間Δt(例えば60msec)が経過した後(ステップS31)、入力電流値Iinが所定のしきい値Ith2より大きい(Iin>Ith2)か否かを確認する(ステップS32)。入力電流値Iinが所定のしきい値Ith2より大きい場合(ステップS32において“Y”)には、ステップS31に戻り、入力電流値Iinが所定のしきい値Ith2以下になるまでステップS31,S32を繰り返す。すなわち、電力供給量を変更した直後では、ヒータ42A,42Bは、まだ十分に熱くなっていないため抵抗値が低く、突入電流が大きい。よって、スイッチング制御部390は、ヒータ42A,42Bが十分に熱くなり、電流が下がるまで待つように動作する。
ステップS32において、入力電流値Iinが所定のしきい値Ith以下である場合(ステップS32において“N”)には、ステップS29に戻る。そして、出力電圧値Voutが目標電圧値Vtargetに達するまで、このステップS29〜S32を繰り返す。
図20は、スローアップ制御を表すものである。この例では、交流信号Sac2の振幅設定を、直流信号Sdc390の電圧の30%から75%(目標電圧値Vtarget)へ徐々に変化させている。その際、スイッチング制御部390は、60msec周期で入力電流値Iinと所定のしきい値Ith2とを比較することにより、交流信号Sac2の振幅を徐々に大きくする。
この例では、300msecまでは、スイッチング制御部390は、交流信号Sac2の振幅を一段階ずつ増加させる。すなわち、この例では、300msecまで、入力電流値Iinが所定のしきい値Ith2以下であるため、スイッチング制御部390は、交流信号Sac2の振幅を一段階ずつ増加させる。そして、360msecでは、この例では、入力電流値Iinが所定のしきい値Ith2より大きいため、スイッチング制御部390は、交流信号Sac2の振幅を維持する。そして、次の420msecでは、この例では、入力電流値Iinが所定のしきい値Ith2以下であるので、スイッチング制御部390は、交流信号Sac2の振幅を一段階増加させる。言い換えれば、スイッチング制御部390は、入力電流値Iinに基づいて、交流信号Sac2の振幅の増加度合いを変化させる。このようにして、スイッチング制御部390は、交流信号Sac2の振幅を徐々に増やす。そして、この例では、780msecにおいて、スイッチング制御部390は、交流信号Sac2の振幅を、直流信号Sdc390の電圧の75%(目標電圧値Vtarget)に設定する。
このように、DC−ACインバータ64では、ヒータ42A,42Bへの電力供給量を徐々に増やす。その際、スイッチング制御部390は、入力電流値Iinをモニタし、この入力電流値Iinが所定のしきい値Ith2を超えないようにしつつ、交流信号Sac2の振幅を徐々に大きくする。これにより、DC−ACインバータ64では、突入電流を抑えることができ、その結果、伝導ノイズやフリッカが生じるおそれを低減することができる。
また、DC−ACインバータ64では、出力電圧値Voutを検出し、その出力電圧値Voutが目標電圧値Vtargetに到達するように、交流信号Sac2の振幅を制御したので、例えば、IGBT311,321,341,342における電力損失や、力率改善回路100の負荷変動によらず、所望の電力をヒータ42A,42Bに供給することができる。
また、DC−ACインバータ64では、ヒータ電流値Ioutに基づいて交流信号Sac2の振幅の初期値を設定するようにしたので、ヒータ42A,42Bが既にある程度温まっており、突入電流が少ないときは、交流信号Sac2の振幅の初期値を高くすることができる。その結果、DC−ACインバータ64では、出力電圧値Voutを目標電圧値Vtargetに短い時間で到達させることができ、ヒータ42A,42Bのウォームアップ時間を短くすることができる。
また、低圧電源部60では、直流信号Sdc390に対してスイッチング動作を行うことにより交流信号Sac2を生成するようにしたので、商用電源の電源電圧ごとに、定着部を用意しなくて済む。すなわち、例えば、商用電源99から供給された交流信号Sac1を、位相制御を行いながらヒータへ直接供給するように構成した場合には、商用電源の電源電圧ごとに、定着部を用意する必要がある。一方、低圧電源部60では、直流信号Sdc390に対してスイッチング動作を行うことにより交流信号Sac2を生成したので、商用電源99の電源電圧によらず、定着部を共用することができる。
[効果]
以上のように本実施の形態では、交流信号Sac2の振幅を徐々に増加させるようにしたので、突入電流を抑えることができ、その結果、伝導ノイズやフリッカが生じるおそれを低減することができる。
また、本実施の形態では、ヒータ電流値に基づいて交流信号Sac2の振幅の初期値を設定するようにしたので、ヒータ42A,42Bのウォームアップ時間を短くすることができる。
[変形例1]
上記実施の形態では、ヒータ電流値Ioutに基づいて交流信号Sac2の振幅の初期値を設定したが、これに限定されるものではない。以下に、本変形例について、いくつか具体例を挙げて詳細に説明する。
図21は、本変形例に係るDC−ACインバータ64Aのスイッチング制御部390Aの一動作例を表すものである。この例では、スイッチング制御部390Aは、ステップS25において、ヒータ電流値Ioutが所定のしきい値Ith1以下である場合(ステップS25において“N”)には、交流信号Sac2の振幅を、直流信号Sdc390の電圧(この例では390V)の70%(273Vp)に設定する(ステップS46)。すなわち、上記実施の形態の場合(図19)では、ヒータ電流値Ioutが所定のしきい値Ith1以下である場合(ステップS25において“N”)には、ステップS24において設定した交流信号Sac2の振幅を維持したが、本変形例では、この交流信号Sac2の振幅を変更している。なお、この例では、交流信号Sac2の振幅を、直流信号Sdc390の電圧の70%に設定したが、これに限定されるものではなく、ステップS26において設定する振幅値よりも大きい任意の振幅に設定することができる。このようにしても、上記実施の形態の場合と同様の効果を得ることができる。
図22は、本変形例に係る他のDC−ACインバータ64Bのスイッチング制御部390Bの一動作例を表すものである。この例では、スイッチング制御部390Bは、ステップS25において、ヒータ電流値Ioutが所定のしきい値Ith1より大きい場合(ステップS25において“Y”)には、交流信号Sac2の振幅を最小に設定するとともに(ステップS26)、所定時間Δtを60msecに設定する(ステップS51)。また、ステップS25において、ヒータ電流値Ioutが所定のしきい値Ith1以下である場合(ステップS25において“N”)には、スイッチング制御部390Bは、所定時間Δtを30msecに設定する(ステップS52)。
このように、DC−ACインバータ64Bでは、ヒータ電流値Ioutに基づいて、交流信号Sac2の振幅の初期値を設定するとともに、所定時間Δtを設定したので、ヒータ42A,42Bが既にある程度温まっており、突入電流が少ないときは、交流信号Sac2の振幅の初期値を高くすることができるとともに、所定時間Δtを短くすることができる。その結果、DC−ACインバータ64Bでは、出力電圧値Voutを目標電圧値Vtargetに短い時間で到達させることができる。
図23は、本変形例に係る他のDC−ACインバータ64Cのスイッチング制御部390Cの一動作例を表すものである。この例では、スイッチング制御部390Cは、ステップS25において、ヒータ電流値Ioutが所定のしきい値Ith1より大きい場合(ステップS25において“Y”)には、所定時間Δtを60msecに設定する(ステップS51)。また、ステップS25において、ヒータ電流値Ioutが所定のしきい値Ith1以下である場合(ステップS25において“N”)には、スイッチング制御部390Cは、所定時間Δtを30msecに設定する(ステップS52)。
このように、DC−ACインバータ64Cでは、ヒータ電流値Ioutに基づいて、所定時間Δtを設定したので、ヒータ42A,42Bが既にある程度温まっており、突入電流が少ないときは、所定時間Δtを短くすることができる。その結果、DC−ACインバータ64Cでは、出力電圧値Voutを目標電圧値Vtargetに短い時間で到達させることができる。
[変形例2]
上記実施の形態では、交流信号Sac2の生成を停止させる際、スイッチング部300を待機モード(図13)で動作させたが、これに限定されるものではなく、例えば、以下に示すオフモードで動作させてもよい。
図24は、待機モードおよびオフモードにおけるPWM信号PWMA,PWMB,PWMC,PWMDの波形の一例を表すものである。待機モードにおける波形は、図13と同様である。一方、オフモードでは、PWM信号PWMA,PWMB,PWMC,PWMDが遷移しない。この例では、PWM信号PWMA,PWMCを低レベルにするとともに、PWM信号PWMB,PWMDを高レベルにしている。その結果、スイッチング部300は交流信号Sac2を生成しない。なお、これに限定されるものではなく、例えば、PWM信号PWMA,PWMCを高レベルにするとともに、PWM信号PWMB,PWMDを低レベルにしてもよいし、PWM信号PWMA,PWMB,PWMC,PWMDの全てを低レベルにしてもよい。このオフモードでは、待機モードに比べて、さらに消費電力を低減することができる。
以上、いくつかの実施の形態および変形例を挙げて本発明を説明したが、本発明はこれらの実施の形態等には限定されず、種々の変形が可能である。
例えば、上記実施の形態等では、本発明をカラープリンタに適用したが、これに限定されるものではなく、これに代えて、例えば、モノクロプリンタに適用してもよい。
また、例えば、上記実施の形態等では、本発明をプリンタに適用したが、これに限定されるものではなく、これに代えて、例えば、本発明を、プリンタ、FAX、スキャナなどの機能を有する多機能周辺装置(Multi Function Peripheral)に適用してよい。