JP6508309B2 - 紫外線遮蔽被膜付き板ガラスとその製造方法 - Google Patents

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Description

本発明は、板ガラス表面に形成した紫外線遮蔽被膜によって紫外線が遮蔽されることによって、透過する紫外線量を低減することが可能な紫外線遮蔽被膜付き板ガラスとその製造方法、及び該被膜を形成するための塗布液に関する。
透明基材表面に形成された被膜によって紫外線を吸収し、入射する紫外線を遮蔽する物品としては、例えば、特許文献1に、紫外線吸収剤を分散させた内層とそれに接するシリカ系の最外層を有する被覆層を透明基材上に形成した物品が開示されている。上記のような被覆層の構成では、紫外線遮蔽効果を発現するとともに、最表面のシリカ系の層によって物品に耐摩耗性を付与することができるが、多層膜を形成するために、各層に対して塗布や硬化を行う必要があるため、工程が煩雑であり、コストが高くなる問題があった。
これに対し、透明基材上に紫外線吸収剤を分散させた単層の被膜を形成した物品として、例えば、特許文献2〜5では、ケイ素含有成分を加水分解縮合反応することによって得られる酸化ケイ素系化合物を主成分とする酸化ケイ素系マトリクス中に、無機系の紫外線吸収剤や、親水性の有機系紫外線吸収剤を分散させた物品が開示されている。
また、例えば、特許文献6では、オルガノオキシシラン化合物を加水分解縮合反応することによって得られる酸化ケイ素系化合物を主成分とする酸化ケイ素系マトリクス中に、有機系紫外線吸収剤(水酸基含有ベンゾフェノン系化合物)をシリル化した化合物を分散させた物品が開示されている。
また、特許文献7〜9では、アミノ基を含むシラン化合物と、HBO及びBからなる群から選択される少なくとも1種のホウ素化合物とを反応させて得られる反応生成物を含む高分子組成物が開示されている。
特開2000−296579号公報 特開2010−030792号公報 特開2008−201608号公報 特開2011−136846号公報 国際公開第2006/137454号パンフレット 国際公開第2010/131744号パンフレット 特開2008−111048号公報 国際公開第2006/129695号パンフレット 国際公開第2008/044521号パンフレット
特許文献2〜6では、硬化後に得られる紫外線遮蔽被膜の耐摩耗性を考慮して該被膜の主成分を酸化ケイ素系マトリクスとしている。前記被膜中には紫外線吸収剤が均一に分散されて存在するため、該被膜を形成するための塗布液中においても紫外線吸収剤を均一に分散又は溶解させる必要がある。
酸化ケイ素マトリックスは、例えばアルコキシシランを水で加水分解させた後に、加熱させて脱水縮合反応させて被膜を形成するゾルゲル法やポリシラザンを常温硬化させる方法等が知られている。
特許文献2、4、5、6は、ゾルゲル法を用いて酸化ケイ素マトリックスを形成している。ゾルゲル法は、アルコキシシランを加水分解させる必要があり、塗布液中に該アルコキシ基に対し4〜8モル倍程度の水を含有している。これにより塗布液中に含まれる溶媒の溶解パラメーター(以降、単に「SP値」と記載する場合がある)は、18〜23(cal/cm1/2となることから、該溶媒に均一に溶解又は分散できる紫外線吸収剤の種類は制限され、SP値が18(cal/cm1/2以上である親水性の紫外線吸収剤を使用する必要があった。親水性の紫外線吸収剤は、水に対して相溶性が良い反面、得られる被膜に対し、例えば耐水性、耐湿性、耐高温高湿性等の水と接触させるような耐久性試験を行った際に、膜硬度の低下、クラックの発生等の問題が生じる(特許文献2,6)。また疎水性の紫外線吸収剤をSP値が18(cal/cm1/2以上の溶媒に分散またはエマルションとして塗布液に添加する方法が提案されているが、得られる被膜のヘーズ値が大きく、透明な被膜を形成し難い問題がある(特許文献2,4,5)。
特許文献3では、ポリシラザンを用いて酸化ケイ素マトリックスを形成している。SP値が8〜11.5(cal/cm1/2の非水系溶媒と疎水性の紫外線吸収剤を使用することが可能であるが、ポリシラザン自体は硬化収縮が大きく、得られる被膜に対し、例えば耐候性試験を行った際に、クラックが発生する問題がある。
特許文献7〜9では、優れた光学特性やハードコート特性を有する組成物が開示されているものの、紫外線を遮蔽するほどの量の紫外線吸収剤を均一分散させて、優れた紫外線吸収効果と耐摩耗性を併せ持つ単層の被膜を形成することは何ら考慮されていなかった。
そこで本発明では、SP値が10〜13.5(cal/cm1/2である疎水性の有機系紫外線吸収剤を均一分散した状態で含有し、ヘーズ値が小さく、優れた耐湿性、耐高温高湿性、耐候性及び耐摩耗性を併せ持つ単層の被膜(以降、単に「紫外線遮蔽被膜」や「被膜」と記載する場合がある)を透明基材上に形成した物品を提供することを課題とする。
なお、SP値は、一般的に知られる溶解度パラメーターで、溶解性や相溶性の指標となる。SP値は、液体の蒸発熱から計算する方法や、分子構造に基づいて算出するHansen法やHoy法、Small法、Fedorの推算法等が知られている。本発明においては、例えばR.F.Fedors:Polym.Eng.Sci.,14(2),147−154(1974)に記載されている、分子構造から算出するFedorの推算法を用いた。なお、本発明に関して規定しているSP値は25℃の測定条件で求めた値である。
また、特許文献2〜5で開示されている発明において用いられているような、親水性の紫外線吸収剤とは、水に溶解する、又は水に対して親和性が高く、水中で安定して存在できる紫外線吸収剤を意味し、本明細書において、SP値が18(cal/cm1/2以上の紫外線吸収剤を指す。また、本発明においてSP値が13.5(cal/cm1/2以下の紫外線吸収剤を疎水性の紫外線吸収剤と記載する。
本発明は、
板ガラスと、該板ガラスの少なくとも片側の表面に形成された被膜を有する、被膜付板ガラスであって、前記被膜が紫外線吸収剤を含有する被膜であり、該被膜が、
紫外線吸収剤、
(a)下記一般式[1]で表されるアミノ基を含むシラン化合物と、
4−nSi(OR [1]
(式[1]中、Rはアミノ基を含有する有機基を表し、Rはメチル基、エチル基またはプロピル基を表し、nは1〜3から選ばれる整数を表す)
(b)HBO及びBからなる群から選ばれる少なくとも1種のホウ素化合物とを反応させて得られる反応生成物、
(c)金属アルコキシド及び/又は金属アルコキシドの縮合物、
(d)合成樹脂、及び、
実質的にSP値が8〜11.5(cal/cm1/2である非水溶媒からなる溶媒を
混合した塗布液
を前記板ガラスに塗布して硬化させた被膜であって、該被膜中にSi−O−B結合を有し、該被膜の総量100質量%中に5〜20質量%の紫外線吸収剤が分散保持され、該紫外線吸収剤のSP値が10〜13.5(cal/cm1/2であることを特徴とする、
紫外線遮蔽被膜付き板ガラスである。
また、前記紫外線遮蔽被膜付き板ガラスにおいて、前記紫外線吸収剤が、ベンソフェノン系紫外線吸収剤、ベンゾトリアゾール系紫外線吸収剤、トリアジン系紫外線吸収剤から選ばれる少なくとも1種の化合物であることが好ましい。
また、前記紫外線遮蔽被膜付き板ガラスにおいて、前記被膜の総量100質量%中に分散保持された前記紫外線吸収剤の量が10〜15質量%であることが好ましい。
また、本発明は、
板ガラスと、該板ガラスの少なくとも片側の表面に形成された被膜を有する、被膜付板ガラスであって、前記被膜が紫外線吸収剤を含有する被膜である紫外線遮蔽被膜付板ガラスの製造方法において、
SP値が10〜13.5(cal/cm1/2である紫外線吸収剤、
(a)前記一般式[1]で表されるアミノ基を含むシラン化合物と、
(b)HBO及びBからなる群から選ばれる少なくとも1種のホウ素化合物とを反応させて得られる反応生成物、
(c)金属アルコキシド及び/又は金属アルコキシドの縮合物、
(d)合成樹脂、及び、
実質的にSP値が8〜11.5(cal/cm1/2である非水溶媒からなる溶媒を混合し、全固形分に対して前記紫外線吸収剤が5〜20質量%である、紫外線遮蔽被膜付き板ガラスの被膜形成用塗布液を板ガラス表面に塗布する、塗布工程、
塗布工程後の板ガラスを、100〜350℃の熱と水蒸気に曝して塗膜を硬化する、硬化工程
を有することを特徴とする、紫外線遮蔽被膜付き板ガラスの製造方法である。
前記紫外線遮蔽被膜付き板ガラスの製造方法において、前記反応生成物が、(a)成分1モルに対して(b)成分0.02〜8モルの比率で反応させて得られることが好ましい。
また、前記紫外線遮蔽被膜付き板ガラスの製造方法において、前記(a)成分が、γ−アミノプロピルトリエトキシシラン及びN−β−(アミノエチル)−γ−アミノプロピルトリメトキシシランから成る群から選択される少なくとも1種のシラン化合物であることが好ましい。
また、前記紫外線遮蔽被膜付き板ガラスの製造方法において、前記(b)成分が、HBOであることが好ましい。
また、前記紫外線遮蔽被膜付き板ガラスの製造方法において、前記反応生成物は、水を添加する加水分解工程を経ないで(a)成分と(b)成分を反応させて得られる反応生成物であることが好ましい。
また、前記紫外線遮蔽被膜付き板ガラスの製造方法において、前記(c)成分として金属アルコキシドを添加することが好ましい。
また、前記紫外線遮蔽被膜付き板ガラスの製造方法において、前記(c)成分中の金属が、Si、Ti及びZrから成る群から選択される少なくとも1つの元素であることが好ましい。
また、前記紫外線遮蔽被膜付き板ガラスの製造方法において、前記(c)成分の金属アルコキシドとしてテトラメトキシシラン及び/又はテトラエトキシシランを、(a)成分1モルに対して10モル以下の比率で添加することが好ましい。
また、前記紫外線遮蔽被膜付き板ガラスの製造方法において、(c)成分として以下の式(c1)及び(c2)からなる群から選択される少なくとも1種の式で表される金属アルコキシドの縮合物を添加することが好ましい。
(式中、Rは、アルキル基を表し、その一部は水素であってもよく、Rは、それぞれ独立に同一であっても異なっていてもよく、mは2〜20から選択される整数を表し、Mは、Si、Ti及びZrからなる群から選択される少なくとも1種の金属を表す。)
また、前記紫外線遮蔽被膜付き板ガラスの製造方法において、前記(a)成分1モルに対し、前記金属アルコキシドの縮合物(c)を、金属アルコキシドモノマー質量換算で、2〜50モル添加することが好ましい。
また、前記紫外線遮蔽被膜付き板ガラスの製造方法において、前記(a)成分1モルに対し、前記金属アルコキシドの縮合物(c)を、金属アルコキシドモノマー質量換算で、4モル以上添加することが好ましい。
また、前記紫外線遮蔽被膜付き板ガラスの製造方法において、前記金属アルコキシドの縮合物(c)が、前記式(c1)で表され、テトラエトキシシランの縮合物又はテトラメトキシシランの縮合物であることが好ましい。
また、前記紫外線遮蔽被膜付き板ガラスの製造方法において、前記反応生成物に、(e)シリコーンオイルを添加することが好ましい。
また、前記紫外線遮蔽被膜付き板ガラスの製造方法において、(e)成分としてジメチルポリシロキサンを、(a)成分1モルに対して(e)成分のシロキサン繰返し単位として10モル以下の比率で添加することが好ましい。
また、前記紫外線遮蔽被膜付き板ガラスの製造方法において、前記反応生成物に、(f)無機粉末を添加することが好ましい。
また、前記紫外線遮蔽被膜付き板ガラスの製造方法において、(f)成分が、導電性物質であることが好ましい。
また、前記紫外線遮蔽被膜付き板ガラスの製造方法において、前記反応生成物に、(g)ジオール系化合物を添加することが好ましい。
また、前記紫外線遮蔽被膜付き板ガラスの製造方法において、前記塗布液が、実質的に溶解パラメーター(SP値)が8〜10.5(cal/cm1/2である非水溶媒からなる溶媒を含むことが好ましい。
また、前記硬化工程で、塗布工程後の板ガラスを、100℃超〜350℃の過熱水蒸気に曝して塗膜を硬化することが好ましい。
また、本発明は、板ガラス表面に塗布し硬化することにより上記の紫外線遮蔽被膜付き板ガラスの被膜を形成する被膜形成用塗布液であって、
SP値が10〜13.5(cal/cm1/2である紫外線吸収剤、
(a)前記一般式[1]で表されるアミノ基を含むシラン化合物と、
(b)HBO及びBからなる群から選ばれる少なくとも1種のホウ素化合物と
を反応させて得られる反応生成物、
(c)金属アルコキシド及び/又は金属アルコキシドの縮合物、
(d)合成樹脂、及び、
実質的にSP値が8〜11.5(cal/cm1/2である非水溶媒からなる溶媒を混合し、全固形分に対して前記紫外線吸収剤が5〜20質量%であることを特徴とする、
紫外線遮蔽被膜付き板ガラスの被膜形成用塗布液(以降、単に「被膜形成用塗布液」や「塗布液」と記載する場合がある)である。
前記被膜形成用塗布液において、前記反応生成物が、(a)成分1モルに対して(b)成分0.02〜8モルの比率で反応させて得られることが好ましい。
また、前記被膜形成用塗布液において、前記(a)成分が、γ−アミノプロピルトリエトキシシラン及びN−β−(アミノエチル)−γ−アミノプロピルトリメトキシシランから成る群から選択される少なくとも1種のシラン化合物であることが好ましい。
また、前記被膜形成用塗布液において、前記(b)成分が、HBOであることが好ましい。
また、前記被膜形成用塗布液において、前記反応生成物は、水を添加する加水分解工程を経ないで(a)成分と(b)成分を反応させて得られる反応生成物であることが好ましい。
また、前記被膜形成用塗布液において、前記(c)成分として金属アルコキシドを添加することが好ましい。
また、前記被膜形成用塗布液において、前記(c)成分中の金属が、Si、Ti及びZrから成る群から選択される少なくとも1つの元素であることが好ましい。
また、前記被膜形成用塗布液において、前記(c)成分の金属アルコキシドとしてテトラメトキシシラン及び/又はテトラエトキシシランを、(a)成分1モルに対して10モル以下の比率で添加することが好ましい。
また、前記被膜形成用塗布液において、(c)成分として以下の式(c1)及び(c2)からなる群から選択される少なくとも1種の式で表される金属アルコキシドの縮合物を添加することが好ましい。
(式中、Rは、アルキル基を表し、その一部は水素であってもよく、Rは、それぞれ独立に同一であっても異なっていてもよく、mは2〜20から選択される整数を表し、Mは、Si、Ti及びZrからなる群から選択される少なくとも1種の金属を表す。)
また、前記被膜形成用塗布液において、前記(a)成分1モルに対し、前記金属アルコキシドの縮合物(c)を、金属アルコキシドモノマー質量換算で、2〜50モル添加することが好ましい。
また、前記被膜形成用塗布液において、前記(a)成分1モルに対し、前記金属アルコキシドの縮合物(c)を、金属アルコキシドモノマー質量換算で、4モル以上添加することが好ましい。
また、前記被膜形成用塗布液において、前記金属アルコキシドの縮合物(c)が、前記式(c1)で表され、テトラエトキシシランの縮合物又はテトラメトキシシランの縮合物であることが好ましい。
また、前記被膜形成用塗布液において、前記反応生成物に、(e)シリコーンオイルを添加することが好ましい。
また、前記被膜形成用塗布液において、(e)成分としてジメチルポリシロキサンを、(a)成分1モルに対して(e)成分のシロキサン繰返し単位として10モル以下の比率で添加することが好ましい。
また、前記被膜形成用塗布液において、前記反応生成物に、(f)無機粉末を添加することが好ましい。
また、前記被膜形成用塗布液において、(f)成分が、導電性物質であることが好ましい。
また、前記被膜形成用塗布液において、前記反応生成物に、(g)ジオール系化合物を添加することが好ましい。
また、前記被膜形成用塗布液において、実質的に溶解パラメーター(SP値)が8〜10.5(cal/cm1/2である非水溶媒からなる溶媒を含むことが好ましい。
また、前記被膜形成用塗布液において、前記紫外線吸収剤が、ベンソフェノン系紫外線吸収剤、ベンゾトリアゾール系紫外線吸収剤、トリアジン系紫外線吸収剤から選ばれる少なくとも1種の化合物であることが好ましい。
また、前記被膜形成用塗布液において、前記被膜の総量100質量%中に分散保持された前記紫外線吸収剤の量が10〜15質量%となるように前記紫外線吸収剤が含有されていることが好ましい。
SP値が10〜13.5(cal/cm1/2である疎水性の有機系紫外線吸収剤を、均一に分散した状態で含有し、ヘーズ値が小さく、優れた耐湿性、耐高温高湿性、耐候性及び耐摩耗性を併せ持つ単層の紫外線遮蔽被膜を透明基材上に形成した物品を提供することができる。
以下、本発明について詳細に説明する。
[紫外線遮蔽被膜付き板ガラスの被膜形成用塗布液]
1.(a)成分と(b)成分を反応させて得られる反応生成物
(1)(a)成分と(b)成分を反応させて得られる反応生成物について
(a)成分(アミノ基を含むシラン化合物)と(b)成分(ホウ素化合物)を混合すると、反応し、数分から数十分で透明で粘稠な液体となり、固化する。これは、ホウ素化合物が、(a)成分中のアミノ基を介して架橋剤として働き、これらの成分を高分子化させて、その結果、粘稠な液体となり、固化するからであると考えられる。なお、(a)成分は液体である。本発明では、上記(a)成分と(b)成分との反応に際し、水を使用しない。
(a)成分は、下記一般式[1]で表されるアミノ基を含むシラン化合物である。
4−nSi(OR [1]
(式[1]中、Rはアミノ基を含有する有機基を表し、Rはメチル基、エチル基またはプロピル基を表し、nは1〜3から選ばれる整数を表す)
ここで、Rはアミノ基含有の有機基を表すが、たとえば、モノアミノメチル、ジアミノメチル、トリアミノメチル、モノアミノエチル、ジアミノエチル、トリアミノエチル、テトラアミノエチル、モノアミノプロピル、ジアミノプロピル、トリアミノプロピル、テトラアミノプロピル、モノアミノブチル、ジアミノブチル、トリアミノブチル、テトラアミノブチル、及び、これらよりも炭素数の多いアルキル基またはアリール基を有する有機基を挙げることができるが、それらに限定されない。γ―アミノプロピルや、アミノエチルアミノプロピルが特に好ましく、γ―アミノプロピルが最も好ましい。
(a)成分中のRはメチル基、エチル基またはプロピル基を表す。その中でも、メチル基及びエチル基が好ましい。
(a)成分中のnは1〜3から選ばれる整数を表す。その中でも、nは2〜3であるのが好ましく、nは3であるのが特に好ましい。すなわち、(a)成分としては、γ−アミノプロピルトリエトキシシラン、N−β−(アミノエチル)−γ−アミノプロピルトリメトキシシランが特に好ましい。
(b)成分は、HBO及びBからなる群から選ばれる少なくとも1種のホウ素化合物である。(b)成分は、好ましくは、HBOである。
(a)成分と(b)成分との反応における両成分の使用量は、(a)成分1モルに対して(b)成分0.02モル〜8モルの比率、さらに好ましくは、0.02モル〜5モルの比率、よりさらに好ましくは、0.2モル〜5モルの比率である。(a)成分1モルに対し、(b)成分が0.02モル未満では、塗布液が硬化するのに要する時間が長くなったり、充分に硬化しなかったりする場合がある。また、(b)成分が8モル超であると、反応が速く進行しすぎてしまいその結果生成した固形物が塗布液中に溶解せず残ってしまう場合がある。
(a)成分と(b)成分との混合条件(温度、混合時間、混合方法など)は、適宜選択することができる。通常の室温条件では、数分から数十分で透明で粘稠な液体となり、固化する。固化する時間や得られる反応生成物の粘度や剛性はホウ素化合物の割合でも異なる。なお、固化したものよりも粘稠な液体のほうが、塗布液中で安定して溶解した成分とし易いため好ましい。
前記反応生成物は、好ましくは、水を添加して加水分解する工程を経ないで(a)成分と(b)成分を反応させて得られる反応生成物である。
(2)(c)成分について
上記の反応生成物に対し、(c)成分として、金属アルコキシド及び/又は金属アルコキシドの縮合物を添加する。すなわち、前記(a)成分と(b)成分との反応に際して、あるいは、反応後に、(c)成分を添加する。(c)成分を添加することにより、得られる被膜の硬度を向上させることができるとともに、(c)成分を用いない場合と同様の粘稠な液体の状態となるので、塗布液中で安定して溶解した成分とすることができる。
(c)成分の金属アルコキシドの金属としては、Si、Ta、Nb、Ti、Zr、Al、Ge、B、Na、Ga、Ce、V、Ta、P、Sb、などを挙げることができるが、これらに限定されない。好ましくは、Si、Ti、Zrであり、また、(c)成分は液体であることが好ましいため、Si、Tiが特に好ましい。(c)成分の金属アルコキシドのアルコキシド(アルコキシ基)としては、メトキシ基、エトキシ基、プロポキシ基、ブトキシ基、及びそれ以上の炭素数を有するアルコキシ基を挙げることができる。メトキシ基、エトキシ基、プロポキシ基、及びブトキシ基が好ましく、メトキシ基及びエトキシ基がより好ましい。特に好ましい(c)成分としては、テトラメトキシシラン及びテトラエトキシシランなどを挙げることができる。
(c)成分の金属アルコキシドの具体例としては、テトラメトキシシラン、テトラエトキシシラン、テトラプロポキシシラン、テトラブトキシシラン、メチルトリメトキシシラン、エチルトリエトキシシラン、プロピルトリプロポキシシラン、ブチルトリブトキシシラン、テトラメトキシチタン、テトラエトキシチタン、テトラプロポキシチタン、テトラブトキシチタン、メチルトリメトキシチタン、エチルトリエトキシチタン、プロピルトリプロポキシチタン、ブチルトリブトキシチタン、テトラメトキシジルコニウム、テトラエトキシジルコニウム、テトラプロポキシジルコニウム、テトラブトキシジルコニウム、メチルトリメトキシジルコニウム、エチルトリエトキシジルコニウム、プロピルトリプロポキシジルコニウム、及びブチルトリブトキシジルコニウムなどを挙げることができる。その中でも、好ましいものとしては、テトラエトキシシラン、テトラメトキシシラン、エチルトリエトキシシラン、及びメチルトリメトキシシランを挙げることができる。
(c)成分の金属アルコキシドの使用量は、(a)成分1モルに対して10モル以下の比率が好ましい。より好ましくは、0.1モル〜5モルの比率である。(a)成分1モルに対し、(c)成分が0.1モル未満では、前述したような(c)成分を添加する効果が得られにくくなることがあり、また、(c)成分が5モル超であると、白濁してしまうことがある。
(c)成分の金属アルコキシドの縮合物としては、以下の式(c1)及び(c2)からなる群から選択される少なくとも1種の式で表される金属アルコキシドの縮合物を挙げることができる。
(式中、Rは、アルキル基を表し、その一部は水素であってもよく、Rは、それぞれ独立に同一であっても異なっていてもよく、mは2〜20から選択される整数を表し、Mは、Si、Ti及びZrからなる群から選択される少なくとも1種の金属を表す。)
(c)成分である前記金属アルコキシドの縮合物の添加量は、前記(a)成分1モルに対し、金属アルコキシドモノマー質量換算で、2〜50モルであるのが好ましく、4モル以上であるのが、より好ましい。すなわち、(c)成分の添加量が多すぎる場合には、得られる被膜の硬度が低下する傾向があり、逆に、少なすぎる場合には、金属元素含有量が少なくなるので用途によっては得られる被膜の硬度が低下したり化学的耐久性の問題が発生したりすることがある。また、(c)成分の添加量が多すぎる場合には、本発明の紫外線遮蔽被膜を得るための硬化時間が長くなる傾向がある。
(c)成分である前記金属アルコキシドの縮合物中のRはアルキル基を表し、その一部は水素であってもよく、Rは、夫々独立に同一であっても異なっていてもよいが、Rは、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、及びそれ以上の炭素数を有するアルキル基であり、メチル基あるいはエチル基であるのが好ましい。
(c)成分である前記金属アルコキシドの縮合物中のmは、2〜20から選択される整数を表すが、3〜10であるのが好ましく、5であるのが最も好ましい。
(c)成分である前記金属アルコキシドの縮合物中のMは、Si、Ti及びZrからなる群から選択される少なくとも1種の金属を表すが、SiまたはTiであるのが好ましく、Siが最も好ましい。
(c)成分である前記金属アルコキシドの縮合物を構成する金属アルコキシドモノマー単位としては、テトラメトキシシラン、テトラエトキシシラン、テトラプロポキシシラン、テトラブトキシシラン、メチルトリメトキシシラン、エチルトリエトキシシラン、プロピルトリプロポキシシラン、ブチルトリブトキシシラン、テトラメトキシチタン、テトラエトキシチタン、テトラプロポキシチタン、テトラブトキシチタン、メチルトリメトキシチタン、エチルトリエトキシチタン、プロピルトリプロポキシチタン、ブチルトリブトキシチタン、テトラメトキシジルコニウム、テトラエトキシジルコニウム、テトラプロポキシジルコニウム、テトラブトキシジルコニウム、メチルトリメトキシジルコニウム、エチルトリエトキシジルコニウム、プロピルトリプロポキシジルコニウム、及びブチルトリブトキシジルコニウムなどを挙げることができる。
(c)成分が前記式(c1)で表される場合には、テトラエトキシシランの縮合物(5量体)又はテトラメトキシシランの縮合物(5量体)であるのが好ましく、前記式(c2)で表される場合には、エチルトリエトキシシランの縮合物(5量体)又はメチルトリメトキシシランの縮合物(5量体)であるのが好ましい。
本発明の前記反応生成物には、上記のように、(c)成分として、金属アルコキシド(モノマー)及び/又は金属アルコキシドの縮合物を添加する。金属アルコキシドモノマーの粘性は、同縮合物に比べて低いため、金属アルコキシドモノマーを更に添加することにより、得られる塗布液の塗布性が向上することがあるが、金属アルコキシドモノマーの添加量を、同縮合物と同量以上など多くすると、塗布液の粘性が低下しやすく、塗布した際に液ダレが生じやすくなることがある。
(3)(d)成分について
上記の反応生成物に対し、合成樹脂((d)成分)を添加する。すなわち、前記(a)成分と(b)成分との反応に際して、あるいは、反応後に、合成樹脂((d)成分)を添加する。(d)成分を加えることで、得られる被膜にクラック防止性を付与することができる。
(d)成分の合成樹脂としては、特に限定されないが、熱硬化性樹脂、熱可塑性樹脂、及び紫外線硬化性樹脂などを挙げることができ、具体的には、アクリル樹脂、エポキシ樹脂、ポリエステル樹脂、アミノ樹脂、ウレタン樹脂、フラン樹脂、シリコーン樹脂およびこれらの樹脂の変性品を挙げることができ、様々な重合度(分子量)を有する合成樹脂を使用することができる。その中でもエポキシ樹脂、ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート、エポキシアクリレート、シリコーン樹脂、ビニルエステル樹脂、ポリビニルブチラール、ポリビニルアルコールなどが好ましい。
(d)成分の使用量は、全固形分に対し5〜30質量%の比率が好ましい。より好ましくは、10〜20質量%の比率である。(d)成分が5質量%未満では、前述したような(d)成分を添加する効果が得られにくくなることがあり、また、(d)成分が30質量%超であると、樹脂硬化剤を添加する必要があることがあり、また、得られる被膜に高い硬度を付与できないことがある。
(4)(e)成分について
上記の反応生成物に対し、シリコーンオイル((e)成分)を添加することができる。すなわち、前記(a)成分と(b)成分との反応に際して、あるいは、反応後に、シリコーンオイル((e)成分)を添加させることができる。(e)成分を加えることで、得られる被膜に可撓性や硬さを付与できる。
(e)成分のシリコーンオイルとしては、シロキサン結合を有する高分子物質であり、様々な重合度(分子量)を有する、メチルポリシロキサン、メチルフェニルシリコーンや、アミン・エポキシ・フェノールで変性したシリコーンを挙げることができ、ジメチルポリシロキサン(ジメチルシリコーン)が好ましい。
(e)成分の使用量は、(a)成分1モルに対して(e)成分のシロキサン繰返し単位として10モル以下の比率が好ましい。より好ましくは、0.1モル〜5モルの比率である。(a)成分1モルに対し、(e)成分が0.1モル未満では、前述したような(e)成分を添加する効果が得られにくくなることがあり、また、(e)成分が5モル超であると、得られる被膜に高い硬度を付与できないことがある。
(5)(f)成分について
上記の反応生成物に対し、無機粉末((f)成分)を添加することができる。すなわち、前記(a)成分と(b)成分との反応に際して、あるいは、反応後に、無機粉末((f)成分)を添加させることができる。(f)成分を加えることで、得られる被膜に、例えば、赤外線の吸収効果や耐熱性や熱伝導性を付与することができる。
(f)成分の無機粉末としては、特に限定されないが、例えば、アルミナ粉やガラスパウダーなどの各種金属酸化物、酸化ケイ素、酸化チタン、酸化ジルコニウム、窒化ホウ素、窒化アルミニウム、窒化ケイ素、炭化ケイ素を挙げることができる。
(f)成分の無機粉末としては、導電性物質を挙げることもでき、Au,Ag,Ni,Cuなどの各種金属やその酸化物、及びCuCl、CuCl、AgCl、SnCl、ZnCl、YCl、AgNO、CuSOなどの各種金属塩、ITO、ATO、CWO、及びカーボンを挙げることができる。このような導電性物質の(f)成分を加えることで、得られる被膜に赤外線の吸収効果や導電性を付与することができる。
(f)成分の使用量は、全固形分に対し5〜25質量%の比率が好ましい。より好ましくは、10〜20質量%の比率である。(f)成分が5質量%未満では、前述したような(f)成分を添加する効果が得られにくくなることがあり、また、(f)成分が25質量%超であると、得られる被膜に高い硬度を付与できないことがある。
(6)(g)成分について
上記の反応生成物に対し、ジオール系化合物((g)成分)を添加することができる。すなわち、前記(a)成分と(b)成分との反応に際して、あるいは、反応後に、ジオール系化合物((g)成分)を添加させることができる。(g)成分を加えることで、得られる被膜にクラック防止性を付与することができる。
(g)成分のジオール系化合物としては、特に限定されないが、ポリカプトラクトンジオール、1,6ヘキサンジオール、ポリカーボネートジオール、ポリエステルジオールを挙げることができる。その中でもポリエステルジオールが特に好ましい。
(g)成分の使用量は、全固形分に対し20質量%以下の比率が好ましい。より好ましくは、5〜10質量%の比率である。(g)成分が5質量%未満では、前述したような(g)成分を添加する効果が得られにくくなることがあり、また、(g)成分が20質量%超であると、硬化不良が生じることがあるため樹脂硬化剤を添加する必要があることがあり、また、得られる被膜に高い硬度を付与できないことがある。
本発明の前記反応生成物に(g)成分を添加し、しかも(c)成分として金属アルコキシドの縮合物を添加する時は、(c)成分の金属アルコキシドの縮合物の添加量を少なめにすることが好ましい。すなわち、(g)成分を添加して(c)成分の添加量が多い場合には、本発明の塗布液が硬化するための硬化時間が長くなる傾向がある。この場合、具体的には、(c)成分の添加量は、前記(a)成分1モルに対し、金属アルコキシドモノマー質量換算で、2〜20モルであるのが好ましい。
本発明の塗布液に含まれる前記反応生成物に上記の(c)及び(d)成分を添加したもの、それに(e)、(f)、及び(g)のうち少なくとも1つを添加したものとして、市販の組成物を用いても良い。市販の組成物としては、例えば、ニットーボーメディカル株式会社製のSSG HBシリーズ(SSG HB21BN、SSG HB21B、SSG HB31BN、SSG HB31B)、SSG MEシリーズ(SSG ME90L、SSG ME80L)、MOKUTO等が挙げられる。
2.紫外線吸収剤
本発明で用いる紫外線吸収剤は、SP値が10〜13.5(cal/cm1/2であり、例えば、シプロ化成製ベンゾフェノン系紫外線吸収剤SEESORB107(SP値:13.0(cal/cm1/2)、城北化学製ベンゾトリアゾール系紫外線吸収剤JF−79(SP値:11.9(cal/cm1/2)、JF−83(SP値:11.3(cal/cm1/2)、JF−832(SP値:11.3(cal/cm1/2)、BASF製ベンゾトリアゾール系紫外線吸収剤TINUVIN109(SP値:11.1(cal/cm1/2)、TINUVIN384(SP値:10.8(cal/cm1/2)、TINUVIN900(SP値:11.0(cal/cm1/2)、BASF製トリアジン系紫外線吸収剤TINUVIN400(SP値:11.0(cal/cm1/2)、TINUVIN460(SP値:10.9(cal/cm1/2)、TINUVIN479(SP値:11.3(cal/cm1/2)、TINUVIN477(SP値:11.4(cal/cm1/2)等が挙げられる。
紫外線吸収剤の中でも、SP値が10〜12(cal/cm1/2である、ベンゾトリアゾール系紫外線吸収剤やトリアジン系紫外線吸収剤は、耐候性試験における紫外線吸収性能の低下が少ないため特に好ましい。
上記紫外線吸収剤は被膜の総量100質量%中に5〜20質量%の比率で分散保持されていることが重要である。5質量%未満であると十分な紫外線遮蔽性能を得るために、厚膜とする必要があり、その結果耐久性試験で被膜にクラックが生じ易くなってしまう。一方、20質量%超であると十分な紫外線遮蔽性能が得られるものの、塗布液中に紫外線吸収剤が溶解され難くその結果得られる被膜が白濁してしまったり、耐熱性試験で紫外線吸収剤が被膜からブリードアウトしてしまったりする。耐熱性や耐候性等の長期耐久性の観点から10〜15質量%であるとより好ましい。
3.溶媒
本発明の塗布液に含まれる溶媒は、SP値が8〜11.5(cal/cm1/2である非水溶媒から実質的に構成される。「実質的にSP値が8〜11.5(cal/cm1/2である非水溶媒からなる溶媒」とは、
「SP値が8〜11.5(cal/cm1/2である単独種の非水溶媒」
「SP値が8〜11.5(cal/cm1/2である非水溶媒のみを組み合わせ、その混合溶媒のSP値が8〜11.5(cal/cm1/2の範囲に入る溶媒」、及び、
「SP値が8〜11.5(cal/cm1/2である非水溶媒とそれ以外のSP値の溶媒を組み合わせ、その混合溶媒のSP値が8〜11.5(cal/cm1/2の範囲に入る溶媒」を意味する。
なお、混合溶媒のSP値は、例えば「溶媒A」と「溶媒B」の2種類を用いた場合、以下の計算式から算出することができる。
塗布液に含まれる溶媒のSP値が8〜11.5(cal/cm1/2であれば、SP値が10〜13.5(cal/cm1/2である疎水性の紫外線吸収剤を該塗布液中に均一に分散することができ、ひいては、得られる被膜中においても前記紫外線吸収剤を均一に分散させることができる。なお、溶媒のSP値が8未満であると、塗布後に塗膜から前記の疎水性の紫外線吸収剤が析出し、最終的に得られる被膜が不透明になってしまう場合がある。
また、本発明の塗布液に含まれる溶媒が、SP値が8〜10.5(cal/cm1/2である非水溶媒から実質的に構成されたものであると、得られる塗布液のレベリング性が向上するため、後述するレベリング工程を行う場合に、より短時間で塗膜のレベリングが完了するため好ましい。
SP値が8〜11.5(cal/cm1/2である非水溶媒としては、例えば、芳香族炭化水素類のトルエン(SP値:9.1(cal/cm1/2)、キシレン(SP値:9.1(cal/cm1/2)、酢酸エステル類の酢酸エチル(SP値:8.8(cal/cm1/2)、酢酸ブチル(SP値:8.7(cal/cm1/2)、ケトン類のアセトン(SP値:9.1(cal/cm1/2)、メチルエチルケトン(SP値:9.0(cal/cm1/2)、メチルイソブチルケトン(SP値:8.3(cal/cm1/2)、シクロヘキサノン(SP値:9.8(cal/cm
1/2)、2−ヘプタノン(SP値:8.5(cal/cm1/2)、グリコールエーテル類の3−メトキシ−3−メチルブタノール(SP値:10.5(cal/cm1/2)、1−メトキシ−2−プロパノール(SP値:11.3(cal/cm1/2)、1−エトキシ−2−プロパノール(SP値:10.9(cal/cm1/2)、3−メトキシブチルアセテート(SP値:8.8(cal/cm1/2)、ジエチレングリコールモノブチルエーテル(SP値:10.5(cal/cm1/2)、エーテル類のTHF(SP値:8.3(cal/cm1/2)、セロソルブ類のエチレングリコールモノエチルエーテル(SP値:11.5(cal/cm1/2)、エチレングリコールモノノルマルブチルエーテル(SP値:10.8(cal/cm1/2)、酢酸2−メトキシブチル(SP値:9.0(cal/cm1/2)、塩化炭化水素類のジクロロメタン(SP値:10.2(cal/cm1/2)、その他としてN、N−ジメチルホルムアミド(SP値:10.2(cal/cm1/2)等が挙げられ、中でもケトン類のメチルエチルケトン(SP値:9.0(cal/cm1/2)、メチルイソブチルケトン(SP値:8.3(cal/cm1/2)、シクロヘキサノン(SP値:9.8(cal/cm1/2)、2−ヘプタノン(SP値:8.5(cal/cm1/2)やグリコールエーテル類の3−メトキシ−3−メチルブタノール(SP値:10.5(cal/cm1/2)、1−メトキシ−2−プロパノール(SP値:11.3(cal/cm1/2)、1−エトキシ−2−プロパノール(SP値:10.9(cal/cm1/2)が好ましい。
また、本発明の塗布液に含まれることのあるSP値が8〜11.5(cal/cm1/2以外の溶媒としては、例えば、n−ヘキサン(SP値:7.3(cal/cm1/2)、ジエチルエーテル(SP値:7.3(cal/cm1/2)、2−メトキシエタノール(SP値:12.0(cal/cm1/2)、四塩化炭素(SP値:12.2(cal/cm1/2)等が挙げられる。
4.その他の成分
本発明の塗布液は、上記で列挙した成分以外にも、その用途に応じて、着色剤、防黴剤、光触媒材料、防錆剤、防食剤、防藻剤、撥水剤、撥油剤、導電性材料、赤外線吸収剤、光安定剤、酸化防止剤、基材湿潤剤、親水性材料、吸水性材料などを含ませることができる。上記の成分の添加のタイミングは特に制限されるものではない。例えば、前記(a)成分と(b)成分との反応に際して、あるいは、反応後に添加してもよく、すなわち前記反応生成物に添加されるものであってもよい。また、前記反応生成物と前記(c)成分と(d)成分と紫外線吸収剤と溶媒とともに混合されるものであってもよい。
前記光安定剤は、塗布液中の固形分に対し0.01〜2質量%添加することにより、耐候性試験を行った際に被膜中に含有された有機成分の劣化を抑制し、被膜の着色やクラックの発生を抑えることができる。光安定剤としては、例えば、BASF製ヒンダードアミン系光安定剤TINUVIN111FDL、TINUVIN123、TINUVIN144、TINUVIN292、TINUVIN5100、ADEKA製アデカスタブLA−52、アデカスタブLA−57、アデカスタブLA−62、アデカスタブLA−67、アデカスタブLA−63P、アデカスタブLA−68、アデカスタブLA−72、アデカスタブLA−77Y、アデカスタブLA−81、アデカスタブLA−82、アデカスタブLA−87、アデカスタブLA−402XP、アデカスタブLA−502XP、などが挙げ
られる。
前記酸化防止剤は、塗布液中の固形分に対し0.01〜2質量%添加することにより、得られる被膜の耐熱性や耐候性試験での着色を抑えることができる。酸化防止剤としては、例えば、フェノール系酸化防止剤のBASF製Irganox1010、Irganox1035、Irganox1076、Irganox1135、Irganox1520L、Irganox1726、ADEKA製アデカスタブAO−20、アデカスタブAO−30、アデカスタブAO−40、アデカスタブAO−50、アデカスタブAO−60、アデカスタブAO−70、アデカスタブAO−80、アデカスタブAO−330、ホスファイト系酸化防止剤ADEKA製アデカスタブPEP−4C、アデカスタブPEP−8、アデカスタブPEP−8W、アデカスタブPEP−36、アデカスタブHP−10、アデカスタブ2112、アデカスタブ260、アデカスタブ522A、アデカスタブ1178、アデカスタブ1500、アデカスタブTPP、アデカスタブC、アデカスタブ135A、チオールエーテル系酸化防止剤アデカスタブAO−412S、アデカスタブAO−503などが挙げられる。
[紫外線遮蔽被膜付き板ガラスの製造方法]
1.板ガラスについて
本発明で使用される板ガラスは、自動車用ならびに建築用、産業用ガラス等に通常用いられている板ガラスであり、フロート法、デュープレックス法、ロールアウト法等による板ガラスであって、製法は特に問わない。ガラス種としては、クリアをはじめグリーン、ブロンズ等の各種着色ガラスやIRカットガラス、電磁遮蔽ガラス等の各種機能性ガラス、網入りガラス、低膨張ガラス、ゼロ膨張ガラス等防火ガラスに供し得るガラス、強化ガラスやそれに類するガラス、合わせガラスのほか複層ガラス等が挙げられる。
本発明の紫外線遮蔽被膜が形成される前に、板ガラスは清浄な状態に洗浄され、乾燥されていることが望ましい。該洗浄としては酸化セリウム等の研磨剤を用いた洗浄、ブラシ洗浄、シャワー、高圧シャワー等の公知の洗浄方法を利用することができる。また、前記乾燥としては自然乾燥、エアシャワー等の公知の乾燥方法を利用することができる。また大気圧プラズマやUVオゾンを用いた乾式の洗浄を用いても良い。
前記の洗浄、乾燥後の板ガラス表面に対して本発明の塗布工程を行ってもよいし、前記の洗浄、乾燥後に板ガラス表面にプライマー層を形成した後、該板ガラス表面(プライマー層表面)に対して本発明の塗布工程を行ってもよい。前記プライマー層は、3−アミノプロピルトリメトキシシラン(例えば、信越シリコーン製、製品名:KBM−903)、3−アミノプロピルトリエトキシシラン(例えば、信越シリコーン製、製品名:KBE−903)、3−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン(例えば、信越シリコーン製、製品名:KBM−403)、3−グリシドキシプロピルトリエトキシシラン(例えば、信越シリコーン製、製品名:KBE−403)、2−(3、4−エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシラン(例えば、信越シリコーン製、製品名:KBM−303)、3
−グリシドキシプロピルメチルジメトキシシラン(例えば、信越シリコーン製、製品名:KBM−402)、3−グリシドキシプロピルメチルジエトキシシラン(例えば、信越シリコーン製、製品名:KBE−402)、ビニルトリメトキシシラン(例えば、信越シリコーン製、製品名:KBM−1003)、ビニルトリエトキシシラン(例えば、信越シリコーン製、製品名:KBE−1003)等のシランカップリング剤を含むプライマー薬液を前記の洗浄、乾燥後の板ガラス表面に塗布し、乾燥させることにより形成することができる。
2.塗布工程について
前記塗布工程で塗布液を板ガラス表面に塗布する方法としては、スピンコーティング、ディップコーティング、ノズルコーティング、カーテンコーティング、ロールコーティング、スプレーコーティング、ブレードコート、ハケ塗り等の公知の塗布方法を利用することができる。その中でもスプレーコーティングは、塗布するガラス形状に依存せず、少量の塗布液で成膜できるためより好ましい。
前記塗布工程の後、後述する予備加熱工程又は硬化工程の前に、レベリング工程を行ってもよい。該レべリング工程を経ることにより得られる被膜に優れた平滑性を付与することができる。レベリング工程は基材を略水平に静置して行う。また、該レベリング工程は基材の搬送を兼ねても良く、略水平方向に基材を搬送する際の微振動によってレベリングを促進しても良い。また、基材に超音波振動を付与してレベリングを促進しても良い。上記のレベリング工程は、室温で5〜20分間実施することがより好ましい。
なお、上記の塗布(あるいは被膜の形成)は基材の全面に対して行ってもよく、一部の表面に対して行ってもよい。 例えば、他の部材と接触するように基材を据え付ける場合は、該接触部に対応する領域(あるいはさらにマージンを取った領域)の基材表面には塗布せず(被膜を形成せず)、それ以外の領域に塗布を行ってもよい(被膜を形成してもよい)。他の部材と接触するように基材を据え付ける態様としては、例えば、自動車用をはじめとする車両用や建築用や産業用の板ガラスを嵌め殺しの窓材として据え付ける態様や、上記の板ガラスをサッシ等の枠体部材に組み込んで据え付ける態様が挙げられる。上述のように被膜を形成しない領域を設けることで、板ガラスを固定するためのシーリング材やモールド材やグレージングチャンネル部材と該板ガラスの被膜を形成されていない領域との間で、良好な接着性や密着性や相性を確保することができる。 また、例えば、可動式窓材に用いられる板ガラスに塗布を行う場合、窓材の開閉時に他の部材と接する領域(あるいはさらにマージンを取った領域)の板ガラス表面には塗布せず(被膜を形成せず)、それ以外の領域に塗布を行ってもよい(被膜を形成してもよい)。可動式窓材としては、例えば、開閉等に伴い自動車用をはじめとする車両用や建築用や産業用の板ガラスを動作させるような窓材が挙げられる。窓材の開閉時に他の部材と接する領域とは、例えば、窓材を閉じる際に枠体に収納される板ガラスの端部周辺の領域(枠体と接する領域)であり、上述のように被膜を形成しない領域を設けることで、板ガラスを開閉する際に該板ガラスの端部周辺に枠体による傷が付きにくくすることができる。また、例えば、上記の窓材のうち、開閉等の作動機構に接する領域(あるいはさらにマージンを取った領域)の板ガラス表面にも被膜を形成しない態様をとってもよい。
上記の場合、一旦基材(板ガラス)の全面に対して塗布を行い、被膜を形成しない領域の塗布液を拭き取ってもよいし、被膜を形成しない領域を溶媒に浸漬して該領域に塗布された塗布液を除去してもよいし、被膜を形成しない領域に溶媒を掛け流して該領域に塗布された塗布液を除去してもよいし、被膜を形成しない領域に予めマスキングを施して塗布を行った後に該マスキングを除去することでもよい。 また、被膜を形成しない領域に、予め、本発明の塗布液を弾くような(本発明の塗布液と馴染まないような)撥水膜や撥水・撥油膜を形成して、塗布を行い、該撥水膜や撥水・撥油膜上で弾かれて付着した塗布液を拭き取ってもよい。さらに、その撥水膜や撥水・撥油膜も除去してもよい。 また、被膜を形成しない領域に、予め、本発明の塗布液を弾くような(本発明の塗布液と馴染まないような)撥水膜や撥水・撥油膜を形成して、塗布及び硬化を行い、該撥水膜や撥水・撥油膜上で弾かれた状態で硬化した被膜を除去してもよい。さらに、その撥水膜や撥水・撥油膜も除去してもよい。
また、一旦基材(板ガラス)の全面に対して塗布を行い、硬化させて、基材(板ガラス)の全面に対して被膜を形成した後に、該被膜の所望の領域を物理的または化学的に除去してもよい。
上記の撥水膜や撥水・撥油膜は、撥水膜や撥水・撥油膜を形成する化合物を溶媒で希釈した液を基材に塗布し乾燥することで形成することができる。撥水膜や撥水・撥油膜を形成する化合物としては、例えば、パーフルオロポリエーテル鎖を有するシラン化合物としてダイキン工業製オプツールDSX、信越化学工業製「KY−178」、「KY−164」、「KY−130」、「KY−108」、ソルベイソレクシス製「Fluorolink S10」、フロロテクノロジー製「フロロサーフFG−5080」、東レダウ製「Dow2634」や、パーフルオロポリエーテル鎖を有するジオール化合物としてソルベイソレクシス製「Fluorolink D10H」、「Fluorolink D」、直鎖状のパーフルオロエーテル化合物として、ダイキン工業製「デムナムS−20」、「デムナムS−65」、「デムナムS−200」等が挙げられる。溶媒としては、上記の撥水膜や撥水・撥油膜を形成する化合物を失活させることなく希釈できるものであれば特に限定されないが、例えば、ハイドロフルオロカーボン、パーフルオロカーボン、パーフルオロエーテル、ハイドロフルオロエーテル、及びハイドロクロロフルオロカーボンなどのフッ素系溶剤が好ましい。前記フッ素系溶剤としては、パーフルオロカーボン(例えば、住友3M製「フロリナートFC84」、「フロリナートFC72」、「フロリナートFC770」、「フロリナートFC3283」、「フロリナートFC40」、「フロリナートFC43」、「PF−5052」)や、ハイドロフルオロエーテル(例えば、住友3M製「Novec7000」、「Novec7100」、「Novec7200」、「Novec7300」、「Novec71IPA」、旭硝子製「AE3000」等)、パーフルオロケトン(例えば、住友3M製「Novec649」)等が挙げられる。また前記溶剤に、1,1,2,2,3,3,4,4−オクタフルオロブタン、1,3−ビス(トリフルオロメチル)ベンゼン、ヘプタフルオロシクロペンタン(日本ゼオン製「ゼオローラH」)、2H,3H−デカフルオロペンタン(デュポン製「バートレルXF」)、1,1,1,3,3,3−ヘキサフルオロイソプロパノール等のハイドロフルオロカーボン、パーフルオロヘキサン、パーフルオロヘプタン、パーフルオロオクタン(それぞれ、住友3M製「フロリナートPF5060」、「フロリナートPF5070」、「フロリナートPF5080」)、などのC2n+2で表されるパーフルオロアルカン類ヘキサフルオロベンゼン、パーフルオロ−1,3−ジメチルシクロヘキサン、フッ素系不活性液体(住友3M製「フロリナートFCシリーズ」)等のパーフルオロカーボン、パーフルオロ(2−ブチルテトラヒドロフラン)等のパーフルオロエーテル、メチルパーフルオロブチルエーテル(住友3M製「Novec7100」)、ノナフロロブチルエチルエーテル(住友3M製「Novec7200」)、メチルパーフルオロヘキシルエーテル(住友3M製「Novec7300」)等のハイドロフルオロエーテル、1,2−ジクロロ−3,3,3−トリフルオロプロペン、1−クロロ−3,3,3−トリフルオロプロペン、3,3−ジクロロ−1,1,1,2,2−ペンタフルオロプロパン(旭硝子製「HCFC−225」)等の
ハイドロクロロフルオロカーボン、及び、ブタン、ヘキサン、2−メチルペンタン、2,2−ジメチルブタン、2,3−ジメチルブタン、2−メチルヘキサン等の炭化水素系溶剤を混合した混合液を用いることができる。上記の撥水膜や撥水・撥油膜を形成する化合物は上記の溶媒で0.1〜2質量%の濃度で希釈されることが好ましい。
3.硬化工程について
前記塗布工程後の板ガラスを100〜350℃の熱と水蒸気に曝すことにより、塗膜の硬化反応を進行させて、板ガラス表面に紫外線遮蔽被膜を形成させる。板ガラスの温度や、板ガラス表面に接触させる水蒸気の量が安定しやすいため、硬化工程をチャンバー内で行うことが好ましい。前記板ガラスを100℃超〜350℃の過熱水蒸気に曝すと、短時間で脱水縮合反応が進行し、高硬度の被膜が得られるためより好ましい。さらに好ましい過熱水蒸気の温度は100℃超〜300℃である。なお、過熱水蒸気とは、100℃の飽和水蒸気を更に加熱して得られる100℃超の水蒸気である。
なお、前記塗布工程又はレべリング工程の後、前記板ガラスを100〜350℃で加熱し、該温度範囲内で維持した状態で、前記硬化工程を行うことが好ましい。硬化工程の前に予め板ガラスを前記温度範囲内にしておく(「予備加熱工程」と記載する場合がある)と、硬化工程開始時に板ガラス表面に結露が生じ難くなるため、より均質な被膜を形成できるため好ましい。より好ましい前記加熱温度範囲は100〜300℃である。
[紫外線遮蔽被膜付き板ガラス]
本発明の紫外線遮蔽被膜付き板ガラスの紫外線遮蔽被膜中にはSi−O−B結合が存在する。Si−O−B結合は、前記の(a)成分と(b)成分との縮合反応や、前記の(c)成分と(b)成分との縮合反応等により形成される。該結合が存在することにより被膜にクラックが発生し難くなる。特に過熱水蒸気を用いて形成した被膜中にSi−O−B結合が存在すると、該被膜に、後述する耐湿性試験や耐高温高湿性試験や耐候性試験を行っても被膜にクラックが発生し難い。また、被膜の膜厚は8μm以下であると、後述する耐湿性試験や耐高温高湿性試験や耐候性試験を行っても被膜にクラックが発生し難いため好ましい。
以下に、本発明の実施例及び比較例で得られた紫外線遮蔽被膜付き板ガラスの評価方法について説明する。尚、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。
[被膜中のSi−O−B結合の有無]
得られた紫外線遮蔽被膜付き板ガラスの被膜の一部を削り取って、その破片の固体11B−NMR測定及び固体29Si−NMR測定から被膜中のSi−O−B結合の有無を確認した。
[膜厚]
小坂研究所製サーフコーダーET4000Aを用いて、紫外線遮蔽被膜付き板ガラスの被膜の膜厚を測定した。
[外観]
目視観察にて、紫外線遮蔽被膜付き板ガラスの被膜にクラックや着色や白濁(被膜中で紫外線吸収剤が凝集等により均一に分散されていない)等の外観上の不具合がないかどうか確認した。
[ヘーズ値]
日本電色工業製ヘーズメーターNDH2000を用いて、紫外線遮蔽被膜付き板ガラスのヘーズ値を測定した。得られた紫外線遮蔽被膜付き板ガラスのヘーズ値が0.5%未満であれば、紫外線遮蔽被膜付き板ガラスの実使用上の透明性の観点から良好であり、該ヘーズ値が小さいほど透明性がより優れているといえる。
[紫外線透過率]
日立製分光光度計U−4000を用いて、紫外線遮蔽被膜付き板ガラスの紫外線透過率TUVを、ISO9050−1990に準拠して算出した。TUVが1%未満を合格とした。
[耐湿性試験]
JIS R 3212に準拠し、50℃、95%RHの環境で紫外線遮蔽被膜付き板ガラスを1000h保持し、試験後の外観と、試験前後の紫外線透過率の変化を確認した。試験後に外観上の不具合がなく、かつ、試験前後の紫外線透過率の差が±1%未満であれば、紫外線遮蔽被膜付き板ガラスの実使用上の耐湿性の観点から良好であり、該紫外線透過率の差が小さいほど耐湿性がより優れているといえる。
[耐高温高湿性試験]
80℃、95%RHの環境で紫外線遮蔽被膜付き板ガラスを720h保持し、試験後の外観と、試験前後の紫外線透過率の変化を確認した。試験後に外観上の不具合がなく、かつ、試験前後の紫外線透過率の差が±1%未満であれば、紫外線遮蔽被膜付き板ガラスの実使用上の耐高温高湿性の観点から良好であり、該紫外線透過率の差が小さいほど耐高温高湿性がより優れているといえる。
[耐候性試験]
JIS R 3212に準拠し、スガ試験機製サンシャインウェザーメーターSX80を用い、ブラックパネル温度83℃で、紫外線遮蔽被膜付き板ガラスのガラス面(非被膜面)に1000h光照射し、試験後の外観と、試験前後の紫外線透過率の変化を確認した。試験後に外観上の不具合がなく、かつ、試験前後の紫外線透過率の差が±1%未満であれば、紫外線遮蔽被膜付き板ガラスの実使用上の耐候性の観点から良好であり、該紫外線透過率の差が小さいほど耐候性がより優れているといえる。
[耐摩耗性試験]
JIS R 3212に準拠し、紫外線遮蔽被膜付き板ガラスの被膜面を上面として紫外線遮蔽被膜付き板ガラスを回転台にのせ、該被膜面に対し4.9Nの荷重の摩耗ホイール(大和化成工業製C180 0XF)で1000回転させ、試験を行った箇所のヘーズ値と試験を行う前の該箇所のヘーズ値との差を算出した。前記のヘーズ値の差が±5%未満であれば、紫外線遮蔽被膜付き板ガラスの実使用上の耐摩耗性の観点から良好であり、該ヘーズ値の差が小さいほど耐摩耗性がより優れているといえる。
[実施例1]
反応容器中において、(a)成分として、3−アミノプロピルトリエトキシシラン液12.18gに、(b)成分として、ホウ酸(HBO)粉末2.04gを加え((a)成分1モルに対して(b)成分を0.6モルの比率で添加)、23℃5分間攪拌後、(c)成分として、テトラメトキシシラン21.78gを添加し((a)成分1モルに対して(c)成分が2.6モルの比率で存在するように添加)、(d)成分として、ナガセケムテックス製エポキシ樹脂CY232を4g(全固形分に対して18質量%の比率で存在するように添加)添加した後、60℃で120時間反応させ粘稠な液体を形成した。この液体に溶媒として2−ヘプタノン(SP値:8.5(cal/cm1/2)45.89g、1−エトキシ2−プロパノール(SP値:10.9(cal/cm1/2)11.47gを添加し、紫外線吸収剤としてBASF製のトリアジン系紫外線吸収剤TINUVIN460(SP値:10.9(cal/cm1/2)を2.4g、光安定剤TINUVIN123を0.24g添加して固形分濃度が20質量%の被膜形成用塗布液とした。なお、該塗布液中に含まれる溶媒のSP値は9.0(cal/cm1/2である。作製した塗布液は透明であり凝集等による白濁は確認されず、紫外線吸収剤(TINUVIN460)が塗布液中で均一に分散できていた。なお、本実施例以外のすべての実施例においても得られた塗布液は透明であり凝集等による白濁は確認されず、紫外線吸収剤が塗布液中で均一に分散できていた。
塗布工程として、前記塗布液を5g用いて、グリーン系フロート板ガラス(縦10cm、横10cm、厚さ3.2mm、ISO9050に準拠した可視光線透過率:81.9%、JIS R3106に準拠した日射透過率:60.6%、ISO9050に準拠した紫外線透過率:28.2%、セントラル硝子社製、通称MFL)上にスピンコートした。レベリング工程として該ガラス板を室温で10分間水平に静置した後、予備加熱工程として、該板ガラスを150℃の熱風循環炉にて20分間加熱し、次いで、硬化工程として、沸騰状態の熱水を配置した150℃の炉内で前記板ガラスを15分間保持して(即ち150℃の熱と水蒸気に15分間曝して)紫外線遮蔽被膜付き板ガラスを得た。なお、該被膜の総量100質量%中の紫外線吸収剤(TINUVIN460)の含有量は12質量%であり、被膜の目視観察で凝集等による白濁は確認されず前記紫外線吸収剤は被膜中に均一に分散していた。紫外線遮蔽被膜付き板ガラスの作製条件を表1に、評価結果を表2に示す。
[表1]
[表2]
[実施例2]
(e)成分として、三菱化学製エポキシ樹脂jER828を使用する以外は実施例1と同様の方法で紫外線遮蔽被膜付き板ガラスを得た。紫外線遮蔽被膜付き板ガラスの作製条件を表1に、評価結果を表2に示す。
[実施例3]
紫外線吸収剤としてBASF製のトリアジン系紫外線吸収剤TINUVIN477(SP値:11.4(cal/cm1/2)を使用する以外は実施例1と同様の方法で紫外線遮蔽被膜付き板ガラスを得た。紫外線遮蔽被膜付き板ガラスの作製条件を表1に、評価結果を表2に示す。
[実施例4]
紫外線吸収剤としてBASF製のベンゾトリアゾール系紫外線吸収剤TINUVIN109(SP値:11.1(cal/cm1/2)を使用する以外は実施例1と同様の方法で紫外線遮蔽被膜付き板ガラスを得た。紫外線遮蔽被膜付き板ガラスの作製条件を表1に、評価結果を表2に示す。
[実施例5]
実施例1で用いた溶媒(2−ヘプタノン(SP値:8.5(cal/cm1/2)45.89g、1−エトキシ2−プロパノール(SP値:10.9(cal/cm1/2)11.47g)の代わりに、2−ヘプタノン(SP値:8.5(cal/cm1/2)45.89g、3−メトキシ−3メチルブタノール(SP値:10.5(cal/cm1/2)11.47gを使用する以外は実施例1と同様の方法で紫外線遮蔽被膜付き板ガラスを得た。なお、本実施例で作製した塗布液中に含まれる溶媒のSP値は8.9(cal/cm1/2である。紫外線遮蔽被膜付き板ガラスの作製条件を表1に、評価結果を表2に示す。
[実施例6]
実施例1で用いた溶媒(2−ヘプタノン(SP値:8.5(cal/cm1/2)45.89g、1−エトキシ2−プロパノール(SP値:10.9(cal/cm1/2)11.47g)の代わりに、2−ヘプタノン(SP値:8.5(cal/cm1/2)25.80g、1−メトキシ2−プロパノール(SP値:11.3(cal/cm1/2)31.56gを使用する以外は実施例1と同様の方法で紫外線遮蔽被膜付き板ガラスを得た。なお、本実施例で作製した塗布液中に含まれる溶媒のSP値は10.2(cal/cm1/2である。紫外線遮蔽被膜付き板ガラスの作製条件を表1に、評価結果を表2に示す。
[実施例7]
実施例1で用いた溶媒(2−ヘプタノン(SP値:8.5(cal/cm1/2)45.89g、1−エトキシ2−プロパノール(SP値:10.9(cal/cm1/2)11.47g)の代わりに、2−ヘプタノン(SP値:8.5(cal/cm1/2)12.20g、1−メトキシ2−プロパノール(SP値:11.3(cal/cm1/2)45.16gを使用する以外は実施例1と同様の方法で紫外線遮蔽被膜付き板ガラスを得た。なお、本実施例で作製した塗布液中に含まれる溶媒のSP値は10.8(cal/cm1/2であり、塗布工程後に塗膜がレベリングに要する時間が、溶媒のSP値が10.5(cal/cm1/2以下である実施例1〜6に比べて、長く掛かる傾向があった。紫外線遮蔽被膜付き板ガラスの作製条件を表1に、評価結果を表2に示す。
[実施例8]
実施例1で用いた溶媒(2−ヘプタノン(SP値:8.5(cal/cm1/2)45.89g、1−エトキシ2−プロパノール(SP値:10.9(cal/cm1/2)11.47g)の代わりに、1−メトキシ2−プロパノール(SP値:11.3(cal/cm1/2)57.36gを使用する以外は実施例1と同様の方法で紫外線遮蔽被膜付き板ガラスを得た。なお、本実施例で作製した塗布液中に含まれる溶媒のSP値は11.3(cal/cm1/2であり、塗布工程後に塗膜がレベリングに要する時間が、溶媒のSP値が10.5(cal/cm1/2以下である実施例1〜6に比べて、長く掛かる傾向があった。紫外線遮蔽被膜付き板ガラスの作製条件を表1に、評価結果を表2に示す。
[実施例9〜16]
予備加熱工程として、前記塗布工程後の板ガラスを180℃の熱風循環炉にて5分間加熱し、続いて、硬化工程として、新熱工業製過熱水蒸気装置を用いて該板ガラスを、180℃の過熱水蒸気に10分間曝露する以外は、それぞれ実施例1〜8と同様の方法で紫外線遮蔽被膜付き板ガラスを得た。なお、実施例15、16においても、塗布工程後に塗膜がレベリングに要する時間が、溶媒のSP値が10.5(cal/cm1/2以下である実施例9〜14に比べて、長く掛かる傾向があった。紫外線遮蔽被膜付き板ガラスの作製条件を表1に、評価結果を表2に示す。
[実施例17]
紫外線吸収剤としてシプロ化成製ベンゾフェノン系紫外線吸収剤SEESORB107(SP値:13.0(cal/cm1/2)を使用する以外は実施例16と同様の方法で紫外線遮蔽被膜付き板ガラスを得た。紫外線遮蔽被膜付き板ガラスの作製条件を表1に、評価結果を表2に示す。
[比較例1]
2−ヘプタノン45.89g、1−エトキシ2−プロパノール11.47gの代わりに、溶媒として、n−ヘキサン(SP値:7.3(cal/cm1/2)を57.36g用いた以外は実施例1と同様に被膜形成用塗布液を作製した。得られた塗布液は透明であった。
実施例1と同様の手順で紫外線遮蔽被膜付き板ガラスを作製したところ、板ガラス表面に形成した被膜表面には紫外線吸収剤(TINUVIN460)が一部析出した結果、被膜が白濁しており、紫外線吸収剤(TINUVIN460)が被膜中で均一に分散できていなかった。そのため、被膜付き板ガラスの正確な光学特性を測定できず、耐久性試験後の評価を実施することができなかった。紫外線遮蔽被膜付き板ガラスの作製条件を表1に、評価結果を表2に示す。
[比較例2]
2−ヘプタノン45.89g、1−エトキシ2−プロパノール11.47gの代わりに、溶媒として、2−メトキシエタノール(SP値:12.0(cal/cm1/2)を57.36g用いた以外は実施例1と同様に被膜形成用塗布液を作製した。得られた塗布液は不透明であり凝集による白濁が確認され、紫外線吸収剤(TINUVIN460)が塗布液中で均一に分散できていなかった。
実施例1と同様の手順で紫外線遮蔽被膜付き板ガラスを作製したところ、板ガラス表面に形成した被膜も白濁しており、紫外線吸収剤(TINUVIN460)が被膜中で均一に分散できていなかった。そのため、被膜付き板ガラスの正確な光学特性を測定できず、耐久性試験後の評価を実施することができなかった。紫外線遮蔽被膜付き板ガラスの作製条件を表1に、評価結果を表2に示す。
[比較例3]
紫外線吸収剤(TINUVIN460)の添加量を調整して被膜の総量100質量%中の紫外線吸収剤の含有量を4質量%とした以外は実施例1と同様に被膜形成用塗布液を作製した。得られた塗布液は透明であり凝集等による白濁は確認されず、紫外線吸収剤(TINUVIN460)が塗布液中で均一に分散できていた。
実施例1と同様の手順で紫外線遮蔽被膜付き板ガラスを作製したところ、被膜の目視観察で凝集等による白濁は確認されず前記紫外線吸収剤は被膜中に均一に分散していたものの、紫外線透過率TUVが1%を超えており、被膜付き板ガラスの紫外線遮蔽性能が不十分であった。紫外線遮蔽被膜付き板ガラスの作製条件を表1に、評価結果を表2に示す。
[比較例4]
比較例3で作製した塗布液を用いて、ベーカー式アプリケーターで塗布を行った以外は実施例1と同様の手順で紫外線遮蔽被膜付き板ガラスを作製した。被膜の目視観察で凝集等による白濁は確認されず前記紫外線吸収剤は被膜中に均一に分散していた。得られた被膜付き板ガラスの紫外線透過率TUVは1%未満であり、被膜の膜厚は14.6μmであった。該被膜付き板ガラスは耐久性試験において被膜にクラックが発生し、被膜付き板ガラスの耐久性能が不十分であった。紫外線遮蔽被膜付き板ガラスの作製条件を表1に、評価結果を表2に示す。
[比較例5]
紫外線吸収剤(TINUVIN460)の添加量を調整して被膜の総量100質量%中の紫外線吸収剤の含有量を25質量%とした以外は実施例1と同様に被膜形成用塗布液を作製した。得られた塗布液は不透明であり、未溶解による紫外線吸収剤の凝集により白濁が確認され、紫外線吸収剤(TINUVIN460)が塗布液中で均一に分散できていなかった。
実施例1と同様の手順で紫外線遮蔽被膜付き板ガラスを作製したところ、板ガラス表面に形成した被膜も白濁しており、紫外線吸収剤(TINUVIN460)が被膜中で均一に分散できていなかった。そのため、被膜付き板ガラスの正確な光学特性を測定できず、耐久性試験後の評価を実施することができなかった。紫外線遮蔽被膜付き板ガラスの作製条件を表1に、評価結果を表2に示す。
[比較例6]
実施例1に記載のような、(a)成分と(b)成分の反応生成物に、(c)成分と(d)成分を添加した組成物の代わりに、低温硬化型ペルヒドロポリシラザン(AZ−エレクトロニックマテリアル製、製品名:アクアミカNP−110、固形分濃度:20質量%、含有溶媒:キシレン)83.8g、溶媒としてキシレン(SP値:9.1(cal/cm1/2)12.96gを用い、被膜の総量100質量%中の紫外線吸収剤の含有量が15質量%となるように調整した以外は実施例1と同様に被膜形成用塗布液を作製した。得られた塗布液は透明であった。
実施例1と同様の手順で紫外線遮蔽被膜付き板ガラスを作製したところ、被膜の目視観察で凝集等による白濁は確認されず前記紫外線吸収剤は被膜中に均一に分散していた。得られた被膜付き板ガラスの紫外線透過率TUVは1%未満であり、被膜の膜厚は2.8μmであった。該被膜付き板ガラスは耐久性試験において被膜にクラックが発生し、被膜付き板ガラスの耐久性能が不十分であった。紫外線遮蔽被膜付き板ガラスの作製条件を表1に、評価結果を表2に示す。
[比較例7〜12]
レベリング工程後に、予備加熱工程として、前記塗布工程後の板ガラスを180℃の熱風循環炉にて5分間加熱し、続いて、硬化工程として、新熱工業製過熱水蒸気装置を用いて該板ガラスを、180℃の過熱水蒸気に10分間曝露する以外は、比較例1〜6と同様の方法で紫外線遮蔽被膜付き板ガラスを得た。紫外線遮蔽被膜付き板ガラスの作製条件を表1に、評価結果を表2に示す。
[参考例1]
以下、参考例として、特許文献2に記載のような従来のゾルゲル法を利用した酸化ケイ素マトリックス中に、SP値が13.5(cal/cm1/2以下の疎水性の紫外線吸収剤を含有させた実験例について記載する。 2−プロピルアルコール(SP値:11.6(cal/cm1/2)51g、1−メトキシ−2−プロパノール(SP値:11.3(cal/cm1/2)51g、テトラメトキシシラン(関東化学製)71g、3−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン(信越化学社製)47g、0.1モル/リットルの硝酸180gを混合し、25℃で1時間撹拌した。この液に紫外線吸収剤として、BASF製のTINUVIN477(SP値:11.4(cal/cm1/2)8.3g、光安定剤TINUVIN123を0.83g添加して固形分濃度が15.4質量%の被膜形成用塗布液とした。なお、該塗布液中に含まれる溶媒のSP値は21.0(cal/cm1/2である。
塗布工程として、前記塗布液を5g用いて、実施例1と同様のセントラル硝子社製のMFL上にスピンコートした。レベリング工程として該ガラス板を室温で10分間水平に静置した後、硬化工程として、該板ガラスを150℃の熱風循環炉にて30分間加熱して紫外線遮蔽被膜付き板ガラスを得た。なお、該被膜の総量100質量%中の紫外線吸収剤(TINUVIN477)の含有量は13.5質量%である。本参考例では、作製した塗布液自体が白濁しており、紫外線吸収剤(TINUVIN477)が塗布液中で均一に分散できていなかった。また、板ガラス表面に形成した被膜も白濁しており、紫外線吸収剤(TINUVIN477)が被膜中で均一に分散できていなかった。そのため、被膜付き板ガラスの正確な光学特性を測定できず、耐久性試験後の評価を実施することができなかった。紫外線遮蔽被膜付き板ガラスの作製条件を表3に、評価結果を表4に示す。
[参考例2]
以下、参考例として、特許文献4に記載のような従来のゾルゲル法を利用した酸化ケイ素マトリックス中に、SP値が13.5(cal/cm1/2以下の疎水性の紫外線吸収剤を含有させた実験例について記載する。
紫外線吸収剤として、BASF製のTINUVIN477(SP値:11.4(cal/cm1/2)2.5g、純水(SP値:22.3(cal/cm1/2)30.56g、エチルアルコール(片山化学製、SP値:12.6(cal/cm1/2)17.64g、分散剤としてグリセリンにプロピレンオキシドが付加したトリオール(ADEKA製G−300)0.5g、テトラエトキシシラン(信越化学工業製)31.25g、濃塩酸(関東化学製;35質量%)0.05g、光安定剤TINUVIN123を0.25g混合して固形分濃度が15質量%の被膜形成用塗布液とした。なお、該塗布液中に含まれる溶媒のSP値は20.5(cal/cm1/2である。
塗布工程として、前記塗布液を5g用いて、実施例1と同様のセントラル硝子社製のMFL上にスピンコートした。レベリング工程として該ガラス板を室温で10分間水平に静置した後、硬化工程として、該板ガラスを200℃の熱風循環炉にて15分間加熱して紫外線遮蔽被膜付き板ガラスを得た。なお、該被膜の総量100質量%中の紫外線吸収剤(TINUVIN477)の含有量は20質量%である。本参考例では、作製した塗布液自体が白濁しており、紫外線吸収剤(TINUVIN477)が塗布液中で均一に分散できていなかった。また、板ガラス表面に形成した被膜も白濁しており、紫外線吸収剤(TINUVIN477)が被膜中で均一に分散できていなかった。そのため、被膜付き板ガラスの正確な光学特性を測定できず、耐久性試験後の評価を実施することができなかった。紫外線遮蔽被膜付き板ガラスの作製条件を表3に、評価結果を表4に示す。
[参考例3]
以下、参考例として、特許文献5に記載のような従来のゾルゲル法を利用した酸化ケイ素マトリックス中に、SP値が13.5(cal/cm1/2以下の疎水性の紫外線吸収剤を含有させた実験例について記載する。
紫外線吸収剤として、BASF製のTINUVIN477(SP値:11.4(cal/cm1/2)3.90g、純水(SP値:22.3(cal/cm1/2)16.61g、エチルアルコール(片山化学製、SP値:12.6(cal/cm1/2)46.89g、エチルシリケート40(コルコート製)32.50g、濃塩酸(35質量%、関東化学製)0.10gを混合して固形分濃度が13質量%の被膜形成用塗布液とした。なお、該塗布液中に含まれる溶媒のSP値は17.2(cal/cm1/2である。
塗布工程として、前記塗布液を5g用いて、実施例1と同様のセントラル硝子社製のMFL上にスピンコートした。レベリング工程として該ガラス板を室温で10分間水平に静置した後、硬化工程として、該板ガラスを200℃の熱風循環炉にて15分間加熱して紫外線遮蔽被膜付き板ガラスを得た。なお、該被膜の総量100質量%中の紫外線吸収剤(TINUVIN477)の含有量は30質量%である。本参考例では、作製した塗布液自体が白濁しており、紫外線吸収剤(TINUVIN477)が塗布液中で均一に分散できていなかった。また、板ガラス表面に形成した被膜も白濁しており、紫外線吸収剤(TINUVIN477)が被膜中で均一に分散できていなかった。そのため、被膜付き板ガラスの正確な光学特性を測定できず、耐久性試験後の評価を実施することができなかった。紫外線遮蔽被膜付き板ガラスの作製条件を表3に、評価結果を表4に示す。
[参考例4]
以下、参考例として、特許文献6に記載のような従来のゾルゲル法を利用した酸化ケイ素マトリックス中に、SP値が13.5(cal/cm1/2以下の疎水性の紫外線吸収剤を含有させた実験例について記載する。
紫外線吸収剤として、BASF製のTINUVIN477(SP値:11.4(cal/cm1/2)2.19g、エタノール(SP値:12.6(cal/cm1/2)41.9g、テトラメトキシシラン17.3g、3−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン5.8g、純水(SP値:22.3(cal/cm1/2)15.8g、1質量%硝酸水溶液4.2g、光安定剤TINUVIN123を0.22g混合して固形分濃度が15.7質量%の被膜形成用塗布液とした。なお、該塗布液中に含まれる溶媒のSP値は17.9(cal/cm1/2である。
塗布工程として、前記塗布液を5g用いて、実施例1と同様のセントラル硝子社製のMFL上にスピンコートした。レベリング工程として該ガラス板を室温で10分間水平に静置した後、硬化工程として、該板ガラスを150℃の熱風循環炉にて30分間加熱して紫外線遮蔽被膜付き板ガラスを得た。なお、該被膜の総量100質量%中の紫外線吸収剤(TINUVIN477)の含有量は20質量%である。本参考例では、作製した塗布液自体が白濁しており、紫外線吸収剤(TINUVIN477)が塗布液中で均一に分散できていなかった。また、板ガラス表面に形成した被膜も白濁しており、紫外線吸収剤(TINUVIN477)が被膜中で均一に分散できていなかった。そのため、被膜付き板ガラスの正確な光学特性を測定できず、耐久性試験後の評価を実施することができなかった。紫外線遮蔽被膜付き板ガラスの作製条件を表3に、評価結果を表4に示す。
[参考例5]
以下、参考例として、特許文献3に記載のような従来のポリシラザンを用いた酸化ケイ素マトリックス中に、SP値が13.5(cal/cm1/2以下の疎水性の紫外線吸収剤を含有させた実験例について記載する。
低温硬化型ペルヒドロポリシラザン(AZ−エレクトロニックマテリアルズ社製、商品名:アクアミカNP−110)63.8g、BASF製のトリアジン系紫外線吸収剤TINUVIN477(SP値:11.4(cal/cm1/2)を2.3g、光安定剤TINUVIN123を0.2g、及びキシレン(SP値:9.1(cal/cm1/2)を34.0g混合して、固形分濃度が12.8質量%の塗布液とした。なお、該塗布液中に含まれる溶媒のSP値は9.1(cal/cm1/2である。
塗布工程として、前記塗布液を5g用いて、実施例1と同様のセントラル硝子社製のMFL上にスピンコートした。レベリング工程として該ガラス板を室温で10分間水平に静置した後、硬化工程として、該板ガラスを180℃の熱風循環炉にて30分間加熱して紫外線遮蔽被膜付き板ガラスを得た。なお、該被膜の総量100質量%中の紫外線吸収剤(TINUVIN477)の含有量は18質量%であり、前記紫外線吸収剤は被膜中に均一に分散していた。紫外線遮蔽被膜付き板ガラスの作製条件を表3に、評価結果を表4に示す。
[参考例6]
以下、参考例として、特許文献3に記載のような従来のポリシラザンを用いた酸化ケイ素マトリックス中に、SP値が13.5(cal/cm1/2以下の疎水性の紫外線吸収剤を含有させた実験例について記載する。
参考例5と同様の手順で得たレベリング工程後の板ガラスを25℃、50%RHに保った環境試験室中で4週間放置して紫外線遮蔽被膜付き板ガラスを得た。紫外線遮蔽被膜付き板ガラスの作製条件を表3に、評価結果を表4に示す。
[参考例7〜11]
レベリング工程後に、予備加熱工程として、前記塗布工程後の板ガラスを150℃の熱風循環炉にて20分間加熱し、続いて、硬化工程として、沸騰状態の熱水を配置した150℃の炉内で前記板ガラスを15分間保持する(即ち150℃の熱と水蒸気に15分間曝す)以外は、それぞれ参考例1〜5と同様の方法で紫外線遮蔽被膜付き板ガラスを得た。紫外線遮蔽被膜付き板ガラスの作製条件を表3に、評価結果を表4に示す。
[参考例12]
レベリング工程後に、予備加熱工程として、前記塗布工程後の板ガラスを180℃の熱風循環炉にて5分間加熱し、続いて、硬化工程として、新熱工業製過熱水蒸気装置を用いて該板ガラスを、180℃の過熱水蒸気に10分間曝露する以外は、参考例6と同様の方法で紫外線遮蔽被膜付き板ガラスを得た。紫外線遮蔽被膜付き板ガラスの作製条件を表3に、評価結果を表4に示す。
[表3]
[表4]
以下の実施例18〜24においては、他の部材と接触するように据え付けられる窓材に用いられる板ガラスであって、少なくとも他の部材と接触して据え付けられる領域の板ガラス表面には上記被膜が形成されていない構成、又は、可動式窓材に用いられる板ガラスであって、少なくとも窓材の開閉時に他の部材と接する領域の板ガラス表面には上記被膜が形成されていない構成を作製する実験例を記載する。
[実施例18]
実施例1と同様に、グリーン系フロート板ガラス(縦10cm、横10cm、厚さ3.2mm、ISO9050に準拠した可視光線透過率:81.9%、JIS R3106に準拠した日射透過率:60.6%、ISO9050に準拠した紫外線透過率:28.2%、セントラル硝子社製、通称MFL)上の全面に対して塗布を行った後で、該板ガラスの一辺について端部から内側10mmにかけての領域に塗布された塗布液を、2−ヘプタノンを染み込ませた旭化成製不織布「ベンコットM−1」で拭き取った。それ以外は実施例1と同様の操作を行った。その結果、板ガラスの一辺について端部から内側10mmにかけての領域には被膜が形成されず、それ以外の領域には被膜が形成された構成の紫外線遮蔽被膜付き板ガラスが得られた。被膜が形成された領域での紫外線遮蔽被膜付き板ガラスの評価結果は実施例1と同様であった。
[実施例19]
グリーン系フロート板ガラス(縦10cm、横10cm、厚さ3.2mm、ISO9050に準拠した可視光線透過率:81.9%、JIS R3106に準拠した日射透過率:60.6%、ISO9050に準拠した紫外線透過率:28.2%、セントラル硝子社製、通称MFL)の一辺について端部から内側10mmにかけての領域に予めPVC製マスクキングテープ「日東電工製N−380」を貼付してマスキングを施した。それ以外は実施例1と同様の塗布を行い、塗布後に上記マスキングを除去した。その後、実施例1と同様の操作を行った。その結果、板ガラスの一辺について端部から内側10mmにかけての領域には被膜が形成されず、それ以外の領域には被膜が形成された構成の紫外線遮蔽被膜付き板ガラスが得られた。被膜が形成された領域での紫外線遮蔽被膜付き板ガラスの評価結果は実施例1と同様であった。
[実施例20]
グリーン系フロート板ガラス(縦10cm、横10cm、厚さ3.2mm、ISO9050に準拠した可視光線透過率:81.9%、JIS R3106に準拠した日射透過率:60.6%、ISO9050に準拠した紫外線透過率:28.2%、セントラル硝子社製、通称MFL)の一辺について端部から内側10mmにかけての領域に予めパーフルオロエーテル鎖を有するシラン化合物「ダイキン製オプツールDSX」を住友3M製フッ素系溶剤「フロリナートFC−3283」で0.5質量%とした撥水・撥油剤を塗布して乾燥することにより撥水・撥油膜を形成した。実施例1と同様に板ガラスの全面に対して塗布を行った後で、該板ガラスに予め形成した撥水・撥油膜の領域に塗布された塗布液を、2−ヘプタノンを染み込ませた旭化成製不織布「ベンコットM−1」で拭き取った。それ以外は実施例1と同様の操作を行った。その結果、板ガラスの一辺について端部から内側10mmにかけての領域には被膜が形成されず(該領域には撥水・撥油膜が形成されている)、それ以外の領域には被膜が形成された構成の紫外線遮蔽被膜付き板ガラスが得られた。被膜が形成された領域での紫外線遮蔽被膜付き板ガラスの評価結果は実施例1と同様であった。
[実施例21]
グリーン系フロート板ガラス(縦10cm、横10cm、厚さ3.2mm、ISO9050に準拠した可視光線透過率:81.9%、JIS R3106に準拠した日射透過率:60.6%、ISO9050に準拠した紫外線透過率:28.2%、セントラル硝子社製、通称MFL)の一辺について端部から内側10mmにかけての領域に予めパーフルオロエーテル鎖を有するシラン化合物「ダイキン製オプツールDSX」を住友3M製フッ素系溶剤「フロリナートFC−3283」で0.5質量%とした撥水・撥油剤を塗布して乾燥することにより撥水・撥油膜を形成した。実施例1と同様に板ガラスの全面に対して塗布を行い、硬化させた後で、該板ガラスに予め形成した撥水・撥油膜上で硬化した被膜を、樹脂製スクレパーで除去した。その結果、板ガラスの一辺について端部から内側10mmにかけての領域には被膜が形成されず(該領域には撥水・撥油膜が形成されている)、それ以外の領域には被膜が形成された構成の紫外線遮蔽被膜付き板ガラスが得られた。被膜が形成された領域での紫外線遮蔽被膜付き板ガラスの評価結果は実施例1と同様であった。
[実施例22]
実施例1と同様の手順で得られた紫外線遮蔽被膜付き板ガラスの一辺について端部から内側10mmにかけての領域の被膜を金属製スクレパーで削り取ることにより除去した。その結果、板ガラスの一辺について端部から内側10mmにかけての領域には被膜が形成されず、それ以外の領域には被膜が形成された構成の紫外線遮蔽被膜付き板ガラスが得られた。被膜が形成された領域での紫外線遮蔽被膜付き板ガラスの評価結果は実施例1と同様であった。
[実施例23]
実施例1と同様に、グリーン系フロート板ガラス(縦10cm、横10cm、厚さ3.2mm、ISO9050に準拠した可視光線透過率:81.9%、JIS R3106に準拠した日射透過率:60.6%、ISO9050に準拠した紫外線透過率:28.2%、セントラル硝子社製、通称MFL)上の全面に対して塗布を行った後で、該板ガラスの一辺について端部から内側10mmにかけての領域を2−ヘプタノンに浸漬することにより、該領域に塗布された塗布液を除去した。それ以外は実施例1と同様の操作を行った。その結果、板ガラスの一辺について端部から内側10mmにかけての領域には被膜が形成されず、それ以外の領域には被膜が形成された構成の紫外線遮蔽被膜付き板ガラスが得られた。被膜が形成された領域での紫外線遮蔽被膜付き板ガラスの評価結果は実施例1と同様であった。
[実施例24]
実施例1と同様に、グリーン系フロート板ガラス(縦10cm、横10cm、厚さ3.2mm、ISO9050に準拠した可視光線透過率:81.9%、JIS R3106に準拠した日射透過率:60.6%、ISO9050に準拠した紫外線透過率:28.2%、セントラル硝子社製、通称MFL)上の全面に対して塗布を行った後で、該板ガラスの一辺について端部から内側10mmにかけての領域に2−ヘプタノンを掛け流すことにより、該領域に塗布された塗布液を除去した。それ以外は実施例1と同様の操作を行った。その結果、板ガラスの一辺について端部から内側10mmにかけての領域には被膜が形成されず、それ以外の領域には被膜が形成された構成の紫外線遮蔽被膜付き板ガラスが得られた。被膜が形成された領域での紫外線遮蔽被膜付き板ガラスの評価結果は実施例1と同様であった。





Claims (5)

  1. 板ガラスと、該板ガラスの少なくとも片側の表面に形成された被膜を有する、紫外線遮蔽被膜付板ガラスであって、該被膜が、
    (a)下記一般式[1]で表されるアミノ基を含むシラン化合物と、(b)H BO 及びB からなる群から選ばれる少なくとも1種のホウ素化合物との反応生成物と、
    4−n Si(OR [1]
    (式[1]中、R はアミノ基を含有する有機基を表し、R はメチル基、エチル基また
    はプロピル基を表し、nは1〜3から選ばれる整数を表す)
    (c)金属アルコキシド及び/又は金属アルコキシドの縮合物を含み、
    該被膜の総量100質量%中に5〜20質量%の紫外線吸収剤が分散保持されたものであり、
    前記紫外線吸収剤が、ベンソフェノン系紫外線吸収剤、ベンゾトリアゾール系紫外線吸収剤、トリアジン系紫外線吸収剤から選ばれる少なくとも1種の化合物であり、
    前記紫外線遮蔽被膜付板ガラスは、80℃、95%RHの環境で720時間保持された後と前とで、紫外線透過率の差が±1%未満であり、
    前記紫外線吸収剤のSP値が10〜13.5(cal/cm 1/2 であり、
    前記被膜中に、一般式[1]で表されるアミノ基を含むシラン化合物と、(b)H BO 及びB からなる群から選ばれる少なくとも1種のホウ素化合物との反応生成物に基づくSi−O−B結合を含む、
    紫外線遮蔽被膜付き板ガラス。
  2. 板ガラスと、該板ガラスの少なくとも片側の表面に形成された被膜を有する、紫外線遮蔽被膜付板ガラスであって、該被膜が、
    (a)下記一般式[1]で表されるアミノ基を含むシラン化合物と、(b)H BO 及びB からなる群から選ばれる少なくとも1種のホウ素化合物との反応生成物と、
    4−n Si(OR [1]
    (式[1]中、R はアミノ基を含有する有機基を表し、R はメチル基、エチル基また
    はプロピル基を表し、nは1〜3から選ばれる整数を表す)
    (c)金属アルコキシド及び/又は金属アルコキシドの縮合物
    (d)合成樹脂
    を含み、
    該被膜の総量100質量%中に5〜20質量%の紫外線吸収剤が分散保持されたものであり、
    前記紫外線遮蔽被膜付板ガラスは、80℃、95%RHの環境で720時間保持された後と前とで、紫外線透過率の差が±1%未満であり、
    前記紫外線吸収剤のSP値が10〜13.5(cal/cm 1/2 であり、
    前記被膜中に、一般式[1]で表されるアミノ基を含むシラン化合物と、(b)H BO 及びB からなる群から選ばれる少なくとも1種のホウ素化合物との反応生成物に基づくSi−O−B結合を含む、
    紫外線遮蔽被膜付き板ガラス。
  3. 前記被膜の総量100質量%中に分散保持された前記紫外線吸収剤の量が10〜15質量%であることを特徴とする、請求項1又は2に記載の紫外線遮蔽被膜付き板ガラス。
  4. 前記被膜が、(f)無機粉末を含む、請求項1乃至3のいずれかに記載の紫外線遮蔽被膜付き板ガラス。
  5. 前記(c)成分中の金属が、Si、Ti及びZrから成る群から選択される少なくとも1つの元素であることを特徴とする、請求項1乃至4のいずれかに記載の紫外線遮蔽被膜付き板ガラスの製造方法。
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