JP6507531B2 - 湿式塗装ブース循環水処理剤及び湿式塗装ブース循環水処理方法 - Google Patents

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Description

本発明は、水性塗料及び/又は溶剤系塗料を含む湿式塗装ブース循環水中の塗料を効率的に凝集処理することができる湿式塗装ブース循環水処理剤及び湿式塗装ブース循環水処理方法に関する。
自動車、電気機器、金属製品などの塗装工程ではスプレー塗装が行なわれており、被塗物に塗着しないオーバースプレーペイント(余剰塗料)が多量に発生する。その発生量は、塗着効率の高い静電塗装を除けば使用塗料の50%から60%程度にも達する。したがって、塗装工程の環境から余剰塗料を除去、回収する必要がある。塗装設備には余剰塗料を水で捕集する水洗式の湿式塗装ブースが広く採用されている。塗装ブースの方式には、シャワー式、ノーポンプ式、ウォーターカーテン式、ベンチュリー式、ハイドロスピン式などの種類があり、基本的には、吹き付け室、吸気装置、および排気系(ダクト)と循環水系で構成されている。
以下に、図4に示すベンチュリーブースの観念図を用いて、湿式塗装ブース循環水処理の概要について説明する。吹き付け室21で発生したミスト状の余剰塗料の一部は壁面や作業床のスノコに付着するが、大部分は空気の流れと共に水幕板22上を流れる循環水と接触し、水中に捕集される。空気中に残った水滴や一部の塗料粒子もエリミネーター23で除去され、空気は排気ダクト24からファン25によって系外に排出される。塗料粒子を捕集した循環水は水槽26を通ってピット(分離槽)27に入り、更に、浮上装置(図示せず)などによって固液分離される。固液分離された固形物は塗料スラッジとして回収され、固形物を分離除去した水はストレーナ28を経て、循環水ポンプ29により循環水ラインを通って水洗水として循環使用される。
ところで、塗料は大別して、溶剤としてシンナーなどの有機溶剤のみを用いた溶剤系塗料と、水を用いた水性塗料とがある。溶剤系塗料は、水性塗料に比べ、耐候性や耐チッピング性などに優れており、特に自動車用の上塗りクリアー塗装においては多く使われている。水性塗料は、水を溶媒とするため(一部溶剤を併用する場合もある)、引火性がなく、安全かつ衛生的であり、有機溶剤による公害発生の恐れがないなどの利点を有することから、近年はその応用範囲が拡大されつつある。
溶剤系塗料を用いた場合には、循環水中に取り込まれた余剰塗料の粒子は粘着性が高いため諸設備に付着して激しい汚れを生じたり、凝集して大きな固まりになって目詰まりを生じやすい。
また、水性塗料を用いる場合には、発泡による問題が生じる。水性塗料は本来、水に溶解あるいは均一に分散する性質のものであるため、塗料成分が使用量に比例してブース循環水に蓄積濃縮する。塗料成分が濃縮する結果、塗料中の界面活性剤などの発泡性物質が濃縮されて泡が発生する。さらに循環水中の懸濁物濃度や粘性の上昇によって、発生した泡が安定化し、激しい発泡に至り、安定な塗装ブースの運転ができなくなることがある。
従来、湿式塗装ブース循環水の処理剤としては、
(1) メラミン樹脂を用いた処理剤(特許文献1)
(2) 無機凝集剤と高分子ポリマーの併用(特許文献2)
(3) 粘土鉱物を用いた処理剤
などが使用されている。しかし、これらは溶剤系塗料の不粘着化にはある程度の効果があるものの、水性塗料の泡立ちを抑えることはできない。このため、水性塗料の泡立ち抑制のためには、通常、消泡剤が併用されるが、この場合は、消泡剤の使用により、湿式塗装ブース循環水のCODが上昇し、水質を悪化させる傾向にある。また、泡立ちの原因となる界面活性剤を除去できていないため、これが、循環、濃縮される塗装ブースの系内では徐々に泡立ちが増大し、消泡剤の使用量も増大していく傾向にあり、水質が更に悪化するという悪循環をきたす。
また、これらの処理剤は、溶剤系塗料に対する不粘着化効果も十分ではなく、目的の効果を得るためには添加量を多くする必要があり、添加量を多くすることで、廃棄物量が増大する。
一方で、水性塗料の発泡の抑制に効果のある処理剤としては、フェノール樹脂を用いた処理剤があり、例えば特許文献3や特許文献4に提案がなされている。
なお、特許文献3では、用いるフェノール樹脂は分子量1,000以下(繰り返し数nが10以下)のノボラック型フェノール樹脂や分子量100〜300のレゾール型フェノール樹脂等が好ましいとされ、特許文献4では、繰り返し数nが4〜8であり、従って、分子量は特許文献3のものよりも更に小さいノボラック型フェノール樹脂を用いる。
また、特許文献5にもフェノール樹脂を用いることが記載されているが、この特許文献5では、フェノール樹脂の重量平均分子量は3,000以下、好ましくは2,000以下と記載されている。
特公平6−2259号公報 特開昭52−71538号公報 特許第4069799号公報 特許第4717837号公報 特開2011−72866号公報
従来のフェノール樹脂を用いた湿式塗装ブース循環水処理剤では、水性塗料に対する発泡抑制効果は得られるものの、その効果は十分ではなく、目的の効果を得るためにはその添加量を多くする必要がある。また、溶剤系塗料に対する不粘着化効果は優れるものの、塗料や硬化剤の種類、また設備条件によっては不粘着化のための添加量を多くする必要がある場合があった。
本発明は、少ない添加量で、溶剤系塗料に対しては塗料や硬化剤の種類、設備条件に影響を受けることなく、十分な不粘着化、凝集効果が得られ、また、水性塗料に対しては高い発泡抑制効果が得られる湿式塗装ブース循環水処理剤及びこの湿式塗装ブース循環水処理剤を用いた湿式塗装ブース循環水処理方法を提供することを課題とする。
本発明者らは、上記課題を解決すべく鋭意検討を重ねた結果、従来用いられているフェノール樹脂よりもポリスチレン換算重量平均分子量(以下「重量平均分子量」と称する場合がある)の大きいフェノール樹脂を用いることにより、この課題を解決することができることが分かり、本発明を完成させた。
即ち、本発明は以下を要旨とする。
[1] 水性塗料及び/又は溶剤系塗料を含む湿式塗装ブース循環水の処理剤であって、重量平均分子量が3,000を超え、100,000以下のフェノール樹脂を有効成分とすることを特徴とする湿式塗装ブース循環水処理剤。
[2] [1]において、前記フェノール樹脂が、ノボラック型フェノール樹脂及びノボラック型フェノール樹脂を原料樹脂として二次反応させて得られる二次反応フェノール樹脂の中から選ばれる少なくとも1種であることを特徴とする湿式塗装ブース循環水処理剤。
[3] [2]において、前記二次反応フェノール樹脂が、ノボラック型フェノール樹脂のアルカリ水溶液にアルデヒド類を加え、ノボラック型フェノール樹脂と反応させて得られるものであることを特徴とする湿式塗装ブース循環水処理剤。
[4] [1]ないし[3]のいずれかにおいて、前記フェノール樹脂がフェノール樹脂のアルカリ水溶液とされていることを特徴とする湿式塗装ブース循環水処理剤。
[5] [1]ないし[4]のいずれかにおいて、前記フェノール樹脂が重量平均分子量5,000〜30,000のフェノール樹脂であることを特徴とする湿式塗装ブース循環水処理剤。
[6] 水性塗料及び/又は溶剤系塗料を含む湿式塗装ブース循環水に、[1]ないし[5]のいずれかに記載の湿式塗装ブース循環水処理剤を添加して、該循環水中の塗料を凝集処理することを特徴とする湿式塗装ブース循環水処理方法。
[7] [6]において、前記湿式塗装ブース循環水に、前記湿式塗装ブース循環水処理剤を、前記フェノール樹脂の有効成分量が1〜200mg/Lとなるように添加することを特徴とする湿式塗装ブース循環水処理方法。
[8] [6]又は[7]において、前記湿式塗装ブース循環水に、更にアルミニウム系凝集剤及び/又はカチオン系ポリマーを添加することを特徴とする湿式塗装ブース循環水処理方法。
[9] [8]において、前記湿式塗装ブース循環水に、該アルミニウム系凝集剤を有効成分量が1〜200mg/L、及び/又は、該カチオン系ポリマーを有効成分量が5〜50mg/Lとなるように添加することを特徴とする湿式塗装ブース循環水処理方法。
[10] [6]ないし[9]のいずれかにおいて、前記湿式塗装ブース循環水に前記湿式塗装ブース循環水処理剤を添加した後、更に高分子凝集処理剤を添加して凝集処理することを特徴とする湿式塗装ブース循環水処理方法。
本発明によれば、少ない薬剤添加量で、溶剤系塗料に対しては塗料や硬化剤の種類、設備条件に影響を受けることなく、十分な不粘着化、凝集効果を得ることができ、また、水性塗料に対しては高い発泡抑制効果を得ることが可能となり、このため、薬剤添加量の低減で薬剤コストの低減を図ると共に、廃棄される凝集、脱水汚泥量を低減することができ、廃棄物処理コストの低減を図ることも可能となる。
実施例1〜6及び比較例1〜5における発泡性の評価結果を示すグラフである。 実施例1〜6及び比較例1〜5における消泡性の評価結果を示すグラフである。 実施例10〜12及び比較例9〜11で用いた実験装置を示す模式図である。 ベンチュリーブースの観念図である。
以下に本発明の実施の形態を詳細に説明する。
[フェノール樹脂]
本発明の湿式塗装ブース循環水処理剤は、重量平均分子量が3,000を超え、100,000以下のフェノール樹脂を有効成分とするものである。
なお、本発明において、フェノール樹脂の重量平均分子量とは、GPC法(ゲルパーミエーションクロマトグラフィー法)で測定し、標準ポリスチレンによる検量線を用いて算出した値であり、具体的には以下の方法で測定される。
<重量平均分子量の測定方法>
(重量平均分子量測定試料の調製)
試料がテトラヒドロフランに可溶の場合には、そのまま重量平均分子量測定試料とした。一方、試料がテトラヒドロフランに不溶の場合には、次の操作によって重量平均分子量測定試料を調製した。
すなわち、試料がアルカリ水溶液の場合はテトラヒドロフランに不溶のため、アルカリ金属イオンの除去と水分除去を樹脂中の低分子量成分を流出させずに行う必要がある。
そのため試料のアルカリ水溶液を0.1質量%程度に希釈し、塩酸をゆっくり滴下してpHを4.6に下げた懸濁液を調製した。次にこの懸濁液を透析チューブに入れて密閉し、連続で純水を通水できるようにしたバットにそのチューブを入れ、24時間透析を行った。その後、透析チューブから取り出した懸濁液をガラスフィルターでろ過し、回収した樹脂を純水にて洗浄後、真空乾燥機にて48時間室温で乾燥させることにより重量平均分子量測定試料とした。
(重量平均分子量の測定)
重量平均分子量測定試料をテトラヒドロフラン溶液とし、分析装置(GPC)として東ソー株式会社製HLC−8120GPC、溶媒としてテトラヒドロフランを用い、測定を行った。重量平均分子量は標準ポリスチレン換算により求めた。
フェノール樹脂の重量平均分子量が3,000以下であると、重量平均分子量が大きなフェノール樹脂を用いることによる本発明の効果を十分に得ることができない。
即ち、フェノール樹脂を湿式塗装ブース循環水に添加すると、添加されたフェノール樹脂は、循環水中に溶解又はコロイド状に分散し、共存するカチオン系ポリマーやアルミニウム系凝集剤や、pHの低下等の要因により、凝結、不溶化する。この凝結、不溶化の際に、フェノール樹脂は溶剤系塗料の不粘着化、水性塗料の発泡抑制に寄与するが、その効果は重量平均分子量の大きいフェノール樹脂ほど大きいと考えられ、重量平均分子量の大きいフェノール樹脂が不溶化する際に塗料を巻き込んで凝集すると考えられる。
ただし、フェノール樹脂の重量平均分子量が過度に大きいと、後述のフェノール樹脂のアルカリ水溶液の粘度が増大し、ゲル化、または固化がし易くなり、結果、樹脂濃度を低くせざるを得ない。また、樹脂濃度が低い場合、フェノール樹脂のアルカリ水溶液としての添加量は多くなり、好ましくない。
このようなことから、フェノール樹脂の重量平均分子量は、用いるフェノール樹脂の種類によっても異なるが、3,000超え、100,000以下であり、好ましくは3,300〜50,000、とりわけ5,000〜30,000のフェノール樹脂を用いることがより好ましい。
本発明において、用いるフェノール樹脂は上記の重量平均分子量を満たすものであればよく、特に制限はないが、フェノール樹脂としては、ノボラック型フェノール樹脂及び/又はノボラック型フェノール樹脂を原料樹脂として二次反応処理を施して得られる二次反応フェノール樹脂を用いることができ、これらは単独で又は2種以上を組み合わせて用いることができる。
前記二次反応処理したものとしては、例えば、フェノールとアルデヒドとを酸触媒の存在下に反応させて得られたノボラック型フェノール樹脂のアルカリ水溶液に、アルデヒドを添加してアルカリ触媒の存在下にレゾール型の二次反応を行うことにより、低分子量成分の含有率を減少させると共に、フェノール樹脂の高分子量化を制御した樹脂などが挙げられる(例えば特許第5407994号公報参照)。
前記のノボラック型フェノール樹脂の製造に用いるフェノール類としては、例えばフェノール、クレゾール各異性体、エチルフェノール各異性体、キシレノール各異性体、ブチルフェノールなどのアルキルフェノール類、カルダノールなどの不飽和アルキルフェノール類、α,βの各ナフトールなどの多芳香環フェノール類、ビスフェノールA、ビスフェノールF、ビスフェノールS、ピロガロール、レゾルシン、カテコールなどの多価フェノール類、ハイドロキノンなどが挙げられるが、何らこれらに限定されるものではない。これらのフェノール類は1種を単独で用いてもよく、2種以上を混合して用いてもよい。
前記のノボラック型フェノール樹脂および二次反応フェノール樹脂の製造に用いられるアルデヒド類としては、例えばホルムアルデヒド、パラホルムアルデヒド、アセトアルデヒド、プロピルアルデヒド、ベンズアルデヒド、サリチルアルデヒド、グリキオキザールなどが挙げられるが、何らこれらに限定されるものではない。これらのアルデヒド類は1種を単独で用いてもよく、2種以上を混合して用いてもよい。
フェノール樹脂は水に難溶であるので、水に溶解可能な溶媒に溶解ないし分散させるなどして溶液状又はエマルジョンとして用いるのが好ましい。使用される溶媒としてはアセトン等のケトン、酢酸メチル等のエステル、メタノール等のアルコール、等の水溶性有機溶媒、アルカリ水溶液、アミン溶液等が挙げられるが、好ましくは、水酸化ナトリウム(NaOH)水溶液、水酸化カリウム(KOH)水溶液等のアルカリ水溶液に溶解して用いる。
フェノール樹脂をアルカリ水溶液として用いる場合、このアルカリ水溶液はアルカリ濃度1〜25質量%、フェノール樹脂濃度1〜50質量%の範囲とすることが好ましい。なお、ノボラック型フェノール樹脂において、フェノール樹脂濃度が高い場合、70〜80℃程度に加温してノボラック型フェノール樹脂を溶解させるようにしても良い。
上記のフェノール樹脂の添加量は、湿式塗装ブース循環水の性状、即ち、湿式塗装ブース循環水中の塗料の種類や塗料含有量などによっても異なるが、湿式塗装ブース循環水に対して、有効成分量(樹脂固形分量)として1mg/L以上、特に5mg/L以上であり、かつ循環水中の塗料(固形分)に対して有効成分量として0.1質量%以上、特に0.5質量%以上とすることが好ましい。フェノール樹脂添加量がこの割合よりも少ないと十分な凝集効果、不粘着化効果、発泡抑制効果を得ることができない。しかし、フェノール樹脂添加量が過度に多くても、添加量に見合う効果の向上は得られないことがあり、また、重量平均分子量の大きいフェノール樹脂を用いることで、薬剤添加量の低減を図る本発明の目的を達成し得ないことから、湿式塗装ブース循環水に対するフェノール樹脂の添加量は有効成分量として1,000mg/L以下、特に1〜200mg/L、とりわけ5〜200mg/Lとし、循環水中の塗料に対して有効成分量として100質量%以下、特に0.5〜10質量%とすることが好ましい。
<アルミニウム系凝集剤・カチオン系ポリマー>
上記のフェノール樹脂は、アルミニウム系凝集剤及び/又はカチオン系ポリマーと共に用いることができ、アルミニウム系凝集剤及び/又はカチオン系ポリマーを併用することにより、より一層良好な凝集、不粘着化、発泡抑制効果を得ることができる。
アルミニウム系凝集剤としては、硫酸バンド、ポリ塩化アルミニウム、硝酸アルミニウム等の1種又は2種以上を用いることができる。
一方、カチオン系ポリマーとしては、アルキルアミン・エピクロルヒドリン縮合物、ポリエチレンイミン、アルキレンジクロライド・ポリアルキレンポリアミン縮合物、ジシアンジアミド・ホルムアルデヒド縮合物、DAM(ジメチルアミノエチルメタクリレート)やDADMAC(ジアリルジメチルアンモニウムクロライド)等のカチオン性単量体の単独重合物、DAMやDADMAC等のカチオン性単量体とアクリルアミド等の非イオン性単量体との共重合物等であって、重量平均分子量が1,000〜100万、好ましくは5,000〜30万の、一般に有機凝結剤と言われるものが挙げられるが、何らこれらに限定されるものではない。
これらのカチオン系ポリマーは、1種を単独で用いても良く、2種以上を混合して用いても良い。
フェノール樹脂と共にアルミニウム系凝集剤を併用添加する場合、アルミニウム系凝集剤の添加量は、湿式塗装ブース循環水の性状、用いるフェノール樹脂の種類や添加量、カチオン系ポリマーの併用の有無等によっても異なるが、湿式塗装ブース循環水に対して有効成分量として1〜1,000mg/L、特に1〜200mg/L、とりわけ5〜200mg/L程度とすることが好ましい。
アルミニウム系凝集剤添加量が上記下限未満では、アルミニウム系凝集剤を添加することによる凝集、不粘着化、発泡抑制効果の向上効果を十分に得ることができず、上記上限を超えても、添加量に見合う効果の向上は得られず、薬剤コスト、凝集汚泥発生量の増加等の面で好ましくない。
また、フェノール樹脂と共にカチオン系ポリマーを併用添加する場合、カチオン系ポリマーの添加量は、湿式塗装ブース循環水の性状、用いるフェノール樹脂の種類や添加量、アルミニウム系凝集剤の併用の有無等によっても異なるが、湿式塗装ブース循環水に対して有効成分量として5〜100mg/L、特に5〜50mg/L、とりわけ10〜30mg/L程度とすることが好ましい。
カチオン系ポリマー添加量が上記下限未満では、カチオン系ポリマーを添加することによる凝集、不粘着化、発泡抑制効果の向上効果を十分に得ることができず、上記上限を超えても、添加量に見合う効果の向上は得られない上に、カチオン系ポリマー添加量が過度に多いと、過剰カチオンによる、粒子同士の電気的反発が起き、凝集不良を引き起こし、また、薬剤コスト、凝集汚泥発生量の増加等の面でも好ましくない。
<湿式塗装ブース循環水処理方法>
湿式塗装ブース循環水に本発明の湿式塗装ブース循環水処理剤、即ち、フェノール樹脂、或いはフェノール樹脂とアルミニウム系凝集剤及び/又はカチオン系ポリマーを添加する方法は特に制限はなく、循環水系に1日に1〜2回程度の頻度で間欠的に添加しても良く、連続添加であっても良い。望ましくは、ポンプにより連続的に定量注入することが好ましい。
また、その添加箇所としても特に制限はなく、循環水のどのような箇所に添加しても良いが、通常の場合、循環水の戻りの分離槽入口側に添加することが好ましい。また、フェノール樹脂とアルミニウム系凝集剤及び/又はカチオン系ポリマーとの添加順序にも特に制限はなく、アルミニウム系凝集剤及び/又はカチオン系ポリマーを併用添加する場合、フェノール樹脂とアルミニウム系凝集剤及び/又はカチオン系ポリマーとは同時に同じ場所に添加しても良いが、浮上分離装置や遠心分離機で凝集スラッジの分離を行う場合には、カチオン系ポリマーを分離装置の前に添加することがある。
なお、凝集処理系のpHは、設備の腐食防止の点と、フェノール樹脂やカチオン系ポリマーのpHに関する効果特性の点から、6.0〜8.5程度であることが好ましく、従って、pHがこの範囲を外れ低くなる場合には、アルカリ水溶液を添加してpH調整を行うことが好ましい。なお、通常、実機では高pH側に範囲が外れることはないが、極端に外れる場合はpH調整が必要になることがある。
フェノール樹脂、或いはフェノール樹脂とアルミニウム系凝集剤及び/又はカチオン系ポリマーの添加により、循環水中の塗料は速やかに不溶化、凝集してフロックを生成する。凝集により生成したフロックの分離回収には、浮上分離、ウェッジワイヤ、ロータリースクリーン、バースクリーン、サイクロン、遠心分離機、濾過装置などによる方法を採用することができる。
このような方法で分離回収された凝集汚泥は、重力脱水後、或いは通常の方法で脱水後、焼却、埋立処理されるが、本発明によれば、重量平均分子量の大きいフェノール樹脂を用いることによる薬剤の必要添加量の低減で、発生汚泥量を低減して、汚泥処分費を低減することができる。
なお、本発明の湿式塗装ブース循環水処理剤を用いて凝集処理した後、更に、重量平均分子量が、通常、100万超、好ましくは500万以上の水溶性高分子よりなる高分子凝集剤を添加してフロックの粗大化を図ることもできる。
この場合、高分子凝集剤としては、公知のアニオン系高分子凝集剤、カチオン系高分子凝集剤、両性高分子凝集剤などの1種又は2種以上を用いることができる。
高分子凝集剤を用いる場合、その添加量は、余剰塗料に対して0.1〜10質量%、好ましくは0.5〜2質量%の範囲で、良好な凝集効果が得られるように適宜決定すればよい。
本発明の湿式塗装ブース循環水処理剤及び湿式塗装ブース循環水の処理方法は、水性塗料を含む湿式塗装ブース循環水、溶剤系塗料を含む湿式塗装ブース循環水、水性塗料及び溶剤系塗料を含む湿式塗装ブース循環水の処理に効果的に適用することができる。
以下に実施例を挙げて本発明をより具体的に説明するが、本発明は、これらの例によってなんら限定されるものではない。
1.フェノール樹脂の製造
[サンプル1]
群栄化学工業株式会社製の「レヂトップPSM−4261」を使用した。本品は、フェノールとホルムアルデヒドを酸触媒の存在下にて重縮合を行って得られたノボラック型フェノール樹脂であり、重量平均分子量は1,000である。
[サンプル2]
群栄化学工業株式会社製の「レヂトップPSM−4324」を使用した。本品は、フェノールとホルムアルデヒドを酸触媒の存在下にて重縮合を行って得られたノボラック型フェノール樹脂であり、重量平均分子量は2,000である。
[サンプル3]
攪拌機、温度計、還流冷却管を備えたセパラブルフラスコに、クレゾール450.0gを入れ、次いで37質量%ホルムアルデヒド水溶液200.0gを添加した。その後、触媒としてシュウ酸3.0gを添加し、系を攪拌しながらヒーターにより加熱を行い95℃まで昇温し、温度を維持したまま4時間反応を行った。次に、常圧下で200℃まで昇温しながら脱水濃縮を行い、200℃に達したところで5.3kPaの減圧下において未反応クレゾールの留去を行なった。こうして黄色透明なノボラック型クレゾール樹脂(重量平均分子量:2,300)350gを得た。
[サンプル4]
攪拌機、温度計、還流冷却管を備えたセパラブルフラスコに、フェノール370.4gを入れ、次いで50質量%ホルムアルデヒド水溶液190.0gを添加した。その後、触媒としてシュウ酸2.0gを添加し、系を攪拌しながらヒーターにより加熱を行い95℃まで昇温し、温度を維持したまま4時間反応を行った。次に、常圧下で200℃まで昇温しながら脱水濃縮を行い、200℃に達したところで5.3kPaの減圧下において未反応フェノールの留去を行なった。こうして黄色状のノボラック型フェノール樹脂(重量平均分子量:3,300)360gを得た。
[サンプル5]
群栄化学工業株式会社製の「レヂトップPSM−4326」を使用した。本品は、フェノールとホルムアルデヒドを酸触媒の存在下にて重縮合を行って得られたノボラック型フェノール樹脂であり、重量平均分子量は5,000である。
[サンプル6]
攪拌機、温度計、還流冷却管を備えたセパラブルフラスコに、フェノール450.0gを入れ、次いで42質量%ホルムアルデヒド水溶液285.0gを添加した。その後、触媒としてシュウ酸2.5gを添加し、系を攪拌しながらヒーターにより加熱を行い95℃まで昇温し、温度を維持したまま4時間反応を行った。次に、常圧下で200℃まで昇温しながら脱水濃縮を行い、200℃に達したところで5.3kPaの減圧下において未反応フェノールの留去を行なった。こうして黄色状のノボラック型フェノール樹脂(重量平均分子量:7,900)380gを得た。
[サンプル7]
群栄化学工業株式会社製の「レヂトップPSF−2803」を使用した。本品は、クレゾールとホルムアルデヒドを酸触媒の存在下にて重縮合を行って得られたノボラック型クレゾール樹脂であり、重量平均分子量は12,000である。
[サンプル8]
原料樹脂として群栄化学工業株式会社製の「レヂトップPSM−6358」を使用した。本品はフェノールとホルムアルデヒドを酸触媒の存在下にて重縮合を行って得られたノボラック型フェノール樹脂であり、重量平均分子量は5,400である。
ビーカーに「PSM−6358」41.0g、イオン交換水146.2g、48質量%水酸化ナトリウム水溶液12.8gを入れ、マグネチックスターラにて撹拌溶解し、「PSM−6358」を20.5質量%含有するノボラック型フェノール樹脂アルカリ水溶液200gを得た。
共栓付三角フラスコに前記溶液100.0gを入れ、約60℃に加温してから37質量%のホルムアルデヒド水溶液4.43gを加え、コンデンサー、撹拌用窒素ガス吹き込み管、及び温度計を共栓に取り付け、オイルバスで、液温度85℃で8時間、レゾール型のホルムアルデヒド付加・重縮合反応を進行させた(レゾール型二次反応)。その後、これを冷却し、イオン交換水(濃度調整用)4.46gを加えて、二次反応フェノール樹脂アルカリ水溶液を得た。この溶液の樹脂成分(有効成分)濃度は19.4質量%、当該樹脂の重量平均分子量は30,000であった。
[サンプル9]
攪拌機、温度計、還流冷却管を備えたセパラブルフラスコに、フェノール550.0gを入れ、次いで50質量%ホルムアルデヒド水溶液298.0gを添加した。その後、触媒としてシュウ酸6.0gを添加し、系を攪拌しながらヒーターにより加熱を行い95℃まで昇温し、温度を維持したまま3時間反応を行った。次に、常圧下で200℃まで昇温しながら脱水濃縮を行い、200℃に達したところで5.3kPaの減圧下において未反応フェノールの留去を行なった。こうして黄色状のノボラック型フェノール樹脂(重量平均分子量:15,000)580gを得た。
ビーカーに得られた上記ノボラック型フェノール樹脂41.0g、イオン交換水146.2g、48質量%水酸化ナトリウム水溶液12.8gを入れ、マグネチックスターラにて撹拌溶解し、上記ノボラック型フェノール樹脂を20.5質量%含有するノボラック型フェノール樹脂アルカリ水溶液200gを得た。
共栓付三角フラスコに前記溶液100.0gを入れ、約60℃に加温してから50質量%のホルムアルデヒド水溶液3.50gを加え、コンデンサー、撹拌用窒素ガス吹き込み管、及び温度計を共栓に取り付け、オイルバスで、液温度85℃で8時間、レゾール型のホルムアルデヒド付加・重縮合反応を進行させた(レゾール型二次反応)。その後、これを冷却し、イオン交換水(濃度調整用)4.46gを加えて、二次反応フェノール樹脂アルカリ水溶液を得た。この溶液の樹脂成分(有効成分)濃度は19.7質量%、当該樹脂の重量平均分子量は82,704であった。
[サンプル10]
攪拌機、温度計、還流冷却管を備えたセパラブルフラスコに、フェノール470.6gを入れ、次いで92質量%パラホルムアルデヒド81.6gを添加した。その後、触媒として酢酸亜鉛4.7gを添加し、系を攪拌しながらヒーターにより加熱を行い120℃まで昇温した後、4時間還流反応を行った。次に、常圧下で200℃まで昇温しながら脱水濃縮を行い、200℃に達したところで5.3kPaの減圧下において未反応フェノールの留去を行なった。こうして黄色状のハイオルソ型フェノール樹脂(重量平均分子量:1,100)350gを得た。
[サンプル11]
攪拌機、温度計、還流冷却管を備えたセパラブルフラスコに、フェノール470.6gを入れ、次いで92質量%パラホルムアルデヒド97.9gを添加した。その後、触媒として酢酸亜鉛4.7gを添加し、系を攪拌しながらヒーターにより加熱を行い120℃まで昇温した後、4時間還流反応を行った。次に、常圧下で200℃まで昇温しながら脱水濃縮を行い、200℃に達したところで5.3kPaの減圧下において未反応フェノールの留去を行なった。こうして黄色状のハイオルソ型フェノール樹脂(重量平均分子量:1,800)370gを得た。
2.発泡性と消泡性の評価
[実施例1〜6、比較例1〜5]
表1に示すフェノール樹脂を用い、以下の手順で発泡性と消泡性の評価を行った。
Figure 0006507531
(1) 野木町水400mlに塗料(自動車ボデー用水性ベース塗料:シルバー)2mlを添加し、スターラーで撹拌して塗料液を調製した。
(2) 水酸化ナトリウムと純水を用いて、フェノール樹脂濃度が10質量%で水酸化ナトリウム濃度が4.8質量%のフェノール樹脂アルカリ水溶液よりなる処理剤を調製した。
(3) (2)の処理剤を、(1)の塗料液に、フェノール樹脂純分の添加量が125、250又は500mg/Lとなるように添加し、その後硫酸バンドを1,000mg/L添加し、水酸化ナトリウムでpH約7.0に調整して試験水とした。
(4) 試験水300mlを1Lのメスシリンダーに入れ、バブリング試験を実施した。
バブリング試験では、散気球を用いて、1.5L/分の空気量でメスシリンダー内の試験水をバブリングし、以下の発泡性と消泡性を確認した。なお、発泡性と消泡性の試験は同一の試験水を用いて連続して行った。
<発泡性>
バブリングを開始し2分経過した時点でバブリングを停止すると共に、バブリング2分経過後の泡量(ml)を測定した。
2分以内に泡量700mlを超える場合は、泡量が700mlを超えた時点でバブリングを停止すると共に700mlを超えるまでの秒数を記録した(この秒数は大きい程発泡抑制効果に優れる)。
<消泡性>
発泡性試験に引き続き、バブリング停止後2分間静置し、残った泡量(ml)を測定した。
2分以内に泡が消える場合は、泡が消えるまでの秒数を記録した(この秒数は小さい程消泡性に優れる。)。
結果を表2と図1,2に示す。
図1の泡量は低いものほど効果が良く、図2の泡量も同様に低いものほど効果がよい。
図1,2より明らかなように、重量平均分子量が高いものほど発泡抑制、消泡性の効果が良く、特に少ない添加量(125ppm)において顕著に差が表れている。
Figure 0006507531
[実施例7〜9、比較例6〜8]
表3A,3Bに示す重量平均分子量のノボラック型フェノール樹脂を用い(ただし、比較例6ではフェノール樹脂用いず)、以下の手順で発泡性、消泡性、濾液濁度及び凝集効果の評価を行った。
(1) ビーカーに水道水を300ml、塗料(自動車ボデー用水性ベース塗料:ホワイト)を1.5ml、フェノール樹脂のアルカリ水溶液(フェノール樹脂濃度10質量%、水酸化ナトリウム濃度4.8質量%)をフェノール樹脂濃度として125mg/L入れ(ただし、比較例6では、フェノール樹脂を含まないアルカリ水溶液を用いた。)更に硫酸バンド1,000mg/L又はカチオン系ポリマー(アルキルアミン・エピクロルヒドリン縮合物(重量平均分子量50万))100mg/Lを入れて、2分間撹拌して試験水とした。
硫酸バンドを添加した場合は更に水酸化ナトリウムを添加してpHを約7.0にそろえた。
(2) (1)の試験水について、実施例1と同様にしてバブリング試験を行い、発泡性と消泡性を評価した。
(3) (1)の試験水について、ワットマンNo.41濾紙で濾過した濾液の濁度を濁度計により測定した。
(4) (1)の試験水に対して、1質量%のカチオン性高分子凝集剤(アクリルアミドと2(アクリロイルオキシ)エチルトリメチルアンモニウムクロライドとの共重合物(重量平均分子量800万))を有効成分濃度として6.6mg/L添加し、フロックの状態を確認し、下記基準で評価した。
<凝集効果>
○:良好なフロックが形成され凝集性に優れる。
×:フロックが形成されず凝集効果が得られない。
上記の結果を表3A,3Bに示す。
Figure 0006507531
表3A,3Bより明らかなように、硫酸バンド併用、カチオン系ポリマー併用のいずれのケースにおいても、フェノール樹脂の重量平均分子量が大きいものは、発泡抑制効果、消泡性共に良好な効果が得られる。
[実施例10〜12、比較例9〜11]
表4に示す重量平均分子量のノボラック型フェノール樹脂を用い(ただし、比較例9ではフェノール樹脂を用いず)、図3に示す実験装置を用いて試験を実施した。この実験装置は、保有水量50Lの循環水槽1内の循環水をポンプPで循環して、循環水槽上部の塗料が噴霧される水幕板2上に流下させるように構成されているものである。3は塗料噴霧装置であり、11は循環配管、12は、循環水を系外へ排出するための排出配管、13は排気配管、V,Vはバルブ、Fは排気ファンである。
循環水に表4に示すフェノール樹脂を表4に示す濃度で添加すると共にカチオン系ポリマー(アルキルアミン・エピクロルヒドリン縮合物(重量平均分子量50万))を表4に示す濃度で添加後、塗料(自動車ボデー溶剤クリア)を4分間で20g噴霧し、その後装置を止めた後、水面に浮上した処理スラッジの粘着性を指触にて調べ、下記基準で評価した。また、乾燥後のスラッジの粘着性についても同様に評価した。
<評価基準>
◎ :指触非常に良好、指で擦っても付着しない
○ :指触非常に良好、指で擦ると硬くなる
○△:指で擦るとわずかに粘着性がある
△ :粘着性残留
× :粘着性大
Figure 0006507531
表4より明らかなように、フェノール樹脂の重量平均分子量の大きいものほど少ない添加量(25mg/L)での粘着性が低い結果となった。
重量平均分子量1,000から効果が見られ、特に3,000以上、とりわけ5,000以上のフェノール樹脂の不粘着化効果は良好であった。
1 循環水槽
2 水幕板
3 塗料噴霧装置
21 吹き付け室
22 水幕板
23 エリミネーター
24 排気ダクト
25 水槽
27 ピット

Claims (11)

  1. 水性塗料及び/又は溶剤系塗料を含む湿式塗装ブース循環水の処理剤であって、重量平均分子量が5,000以上、100,000以下のフェノール樹脂を有効成分とし、該フェノール樹脂がフェノール樹脂のアルカリ水溶液とされていることを特徴とする湿式塗装ブース循環水処理剤。
  2. 水性塗料を含む湿式塗装ブース循環水の処理剤であって、重量平均分子量が3,000を超え、100,000以下のフェノール樹脂を有効成分とし、該フェノール樹脂がフェノール樹脂のアルカリ水溶液とされていることを特徴とする湿式塗装ブース循環水処理剤。
  3. 請求項1又は2において、前記フェノール樹脂が重量平均分子量5,000〜30,000のフェノール樹脂であることを特徴とする湿式塗装ブース循環水処理剤。
  4. 請求項1ないし3のいずれか1項において、前記フェノール樹脂が、ノボラック型フェノール樹脂及びノボラック型フェノール樹脂二次反応生成物の中から選ばれる少なくとも1種であることを特徴とする湿式塗装ブース循環水処理剤。
  5. 請求項4において、前記ノボラック型フェノール樹脂の二次反応生成物が、ノボラック型フェノール樹脂のレゾール型二次反応生成物であることを特徴とする湿式塗装ブース循環水処理剤。
  6. 水性塗料及び/又は溶剤系塗料を含む湿式塗装ブース循環水に、請求項1および3ないしのいずれか1項に記載の湿式塗装ブース循環水処理剤を添加して、該循環水中の塗料を凝集処理することを特徴とする湿式塗装ブース循環水処理方法。
  7. 水性塗料を含む湿式塗装ブース循環水に、請求項2ないしのいずれか1項に記載の湿式塗装ブース循環水処理剤を添加して、該循環水中の塗料を凝集処理することを特徴とする湿式塗装ブース循環水処理方法。
  8. 請求項又はにおいて、前記湿式塗装ブース循環水に、前記湿式塗装ブース循環水処理剤を、前記フェノール樹脂の有効成分量が1〜200mg/Lとなるように添加することを特徴とする湿式塗装ブース循環水処理方法。
  9. 請求項ないしのいずれか1項において、前記湿式塗装ブース循環水に、更にアルミニウム系凝集剤及び/又はカチオン系ポリマーを添加することを特徴とする湿式塗装ブース循環水処理方法。
  10. 請求項において、前記湿式塗装ブース循環水に、該アルミニウム系凝集剤を有効成分量が1〜200mg/L、及び/又は、該カチオン系ポリマーを有効成分量が5〜50mg/Lとなるように添加することを特徴とする湿式塗装ブース循環水処理方法。
  11. 請求項ないし10のいずれか1項において、前記湿式塗装ブース循環水に前記湿式塗装ブース循環水処理剤を添加した後、更に高分子凝集処理剤を添加して凝集処理することを特徴とする湿式塗装ブース循環水処理方法。
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