JP2009022852A - 湿式塗装ブース循環水の処理方法 - Google Patents

湿式塗装ブース循環水の処理方法 Download PDF

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Abstract

【課題】 設備の腐食、発泡の問題を引き起こすことなく、湿式塗装ブース循環水中の塗料を安定かつ効率的に凝集処理する。
【解決手段】 フェノール系樹脂と硝酸アルミニウムとを湿式塗装ブース循環水に添加して塗料を凝集処理する湿式塗装ブース循環水の処理方法。循環水のpH5.5〜8.0、塩化物イオン濃度200mg/L以下の条件で凝集処理する。更に、循環水の硫酸イオン濃度200mg/L以下の条件下に凝集処理することが好ましい。
【選択図】なし

Description

本発明は、水性塗料及び/又は溶剤系塗料を含む湿式塗装ブース循環水中の塗料を効率的に凝集処理することができる湿式塗装ブース循環水の処理方法に関する。
自動車工業や家庭電器、金属製品製造業等の塗装工程では、様々な塗料がスプレー塗装されている。工業的に使用されている塗料は溶剤系塗料と水性塗料とに大別され、各塗料は単独又は併用で使用されている。
このうち、水性塗料は、水可溶型、ディスパージョン型、エマルジョン型の3つに大別されるが、いずれも水を溶媒とするため(一部溶剤を併用する場合もある)、引火性がなく、安全かつ衛生的であり、溶剤による公害発生の恐れがないなどの利点を有することから、近年、特にその応用範囲が拡大されつつある。
ところで、各種工業等における塗装工程では、一般に被塗装物に噴霧された塗料の歩留りは必ずしも100%ではなく、例えば自動車工業においては、60〜80%程度であり、使用塗料の40〜20%は次工程で除去すべき余剰塗料である。この過剰に噴霧された余剰塗料を捕集するには、通常、水洗による湿式塗装ブースで処理されており、水洗水は循環使用される。
この場合、水性塗料は水に可溶ないし分散し、固液分離が難しいために、この湿式塗装ブースの循環水に残留して蓄積し、次のような問題を引き起こす。
(a) 循環水は高粘性、高粘稠となり、循環ポンプの負荷を増大させ、著しい場合には循環不可能となり、操業が停止する。
(b) 析出して不溶化した塗料や、塗料以外のゴミ、SS成分が、ノズルや配管系の閉塞障害や、水膜板等への付着障害を引き起こす。
(c) 発泡障害を生じる。
(d) 循環水が高COD、高BODとなるため腐敗し、腐敗臭により、作業環境が悪化する。
(e) 高COD、高BODのため、廃水処理が困難となり、処理装置の負荷が増大する。
このような問題を解決するために、従来、循環水中の余剰塗料を凝集分離することが行われており、この凝集分離に当たり、
(1) カチオン系ポリマー(カチオン系高分子凝集剤)とアニオン系ポリマー(アチオン系高分子凝集剤)とを併用添加する方法(特公平4−2317号公報)
(2) カチオン化セルローズとカチオン系ポリマーとを併用添加する方法(特開平7−713号公報)
(3) 無機凝集剤と高分子ポリマーを併用添加する方法(特開昭52−71538号公報)
が提案されており、特に(3)の方法が一般的に採用されている。なお、特開昭52−71538号公報において、無機凝集剤としては、硫酸アルミニウム、ポリ塩化アルミニウム、水酸化カルシウム、塩化第2鉄、硫酸第1鉄、硫酸第2鉄、酸化カルシウム、アルミン酸ナトリウム、炭酸ナトリウム等が挙げられ、具体的には硫酸アルミニウム、ポリ塩化アルミニウムが使用されている。
特公平4−2317号公報 特開平7−713号公報 特開昭52−71538号公報
しかしながら、上記従来法のうち、カチオン系ポリマーとアニオン系ポリマーとを併用する方法では、効果が不十分であり、カチオン系ポリマーとアニオン系ポリマーとの使用量や使用比率、処理対象の水性塗料の種類や濃度により凝集効果が大きく異なるため、薬注制御が非常に難しく、安定処理が困難であるという問題点がある。また、元来、循環水は粘稠性を帯び易いものであるのに対して、ポリマーが添加されることでより高粘稠なものとなる上に、場合によっては塗料に対して過剰量のポリマーが添加されることがあり、その場合、過剰添加された際の残留ポリマーを凝集沈殿により確実に除去することは困難であるため、このことで、循環水をより一層高粘稠なものとしてしまうこととなる。
また、カチオン化セルローズを用いる方法は、薬剤コストが高くつき、実用性がない。
また、無機凝集剤と高分子ポリマーとを用いる方法は、硝酸アルミニウム以外の塩化アルミニウム、ポリ塩化アルミニウム、硫酸アルミニウムなどの無機凝集剤を用いる場合には、無機凝集剤からの塩類濃度が増大し、設備の腐食の問題がある;水性塗料に配合されている発泡性物質を分離除去することができないため、塗料ブースでの発泡を抑えることができない;といった問題がある。また、高分子ポリマーを用いる方法は、前述の如く、循環水の高粘稠化の問題がある。
本発明は、上記従来の問題点を解決し、高分子ポリマーを使用することなく、
(1) 塗料の種類や濃度が変化しても安定な処理を行うことができる。
(2) 塩類濃度の少ない薬剤であって、設備の腐食の問題がない。
(3) 塗料由来の発泡性物質を凝集により分離除去することができ、塗装ブースでの発泡を抑制することができる。
といった、優れた効果を奏する湿式塗装ブース循環水の処理方法を提供することを目的とする。
本発明の湿式塗装ブース循環水の処理方法は、水性塗料及び/又は溶剤系塗料を含む湿式塗装ブース循環水を凝集処理する方法において、湿式塗装ブース循環水に、フェノール樹脂と硝酸アルミニウムとを添加して、循環水のpH5.5〜8.0、及び塩化物イオン濃度200mg/L以下の条件下に、該循環水中の塗料を凝集処理することを特徴とする。
本発明による塗料の凝集機構の詳細は明らかではないが、次のように推定される。
即ち、フェノール系樹脂をアルカリ水溶液等に溶解させて湿式塗装ブース循環水に注入すると、フェノール系樹脂は、溶解状態又はコロイド状で分散する。このとき、硝酸アルミニウムが存在するとフェノール系樹脂は荷電中和されて凝結、不溶化する。一方、循環水中に溶解又はコロイド状に分散している塗料も硝酸アルミニウムにより、荷電中和されて凝結、不溶化するが、フェノール系樹脂が硝酸アルミニウムで不溶化するとき、この凝結した塗料を巻き込んだ形でフロック化して未添着塗料の凝集フロックを形成する。この塗料を巻き込んだ形で凝集したフェノール系樹脂のフロックは、ある程度の大きさの粒子となるので、循環水から分離除去され易く、浮上分離、遠心分離、濾過などの方法で容易に分離除去することができる。
なお、前述の如く、硝酸アルミニウム以外の塩化アルミニウム、ポリ塩化アルミニウム、硫酸アルミニウムなどの無機凝集剤では、系内での塩類濃度の上昇による設備腐食の問題があるが、硝酸アルミニウムは、循環水系に水滞留部があって、その水滞留部が嫌気性になると硝酸成分が脱窒されて窒素ガスとなって揮散するため、その分の塩類濃度が低減され、他の無機凝集剤のような塩類濃度の上昇による設備腐食の問題はない。
本発明において、更に、循環水の硫酸イオン濃度520mg/L以下の条件下に凝集処理することが好ましい。また、フェノール樹脂は、循環水に対して有効成分量として1mg/L以上、かつ循環水中の塗料に対して有効成分量として0.1重量%以上添加し、硝酸アルミニウムは、循環水中の塗料に対して有効成分量として0.1重量%以上添加することが好ましい。
本発明の湿式塗装ブース循環水の処理方法によれば、次のような効果のもとに、湿式塗装ブース循環水中の塗料を効率的に凝集処理して、これを分離除去することができる。
(1) 塗料の種類や濃度が変化しても安定な処理を行うことができる。
(2) 塩類による設備の腐食の問題がない。
(3) 塗料由来の発泡性物質を、凝集により分離除去することができ、塗装ブースでの発泡を抑制することができる。
以下に本発明の湿式塗装ブース循環水の処理方法の実施の形態を詳細に説明する。
本発明では、フェノール樹脂と硝酸アルミニウムとを併用することを特徴とし、高粘稠化の要因となる高分子ポリマーは不使用とする。
本発明で使用されるフェノール系樹脂としては、フェノール、クレゾール、キシレノール等の一価フェノール等のフェノール類とホルムアルデヒド等のアルデヒドとの縮合物或いはその変性物であって、架橋硬化する前のフェノール系樹脂が挙げられる。具体的には次のようなものが挙げられる。
[1] フェノールとホルムアルデヒドとの縮合物
[2] クレゾールとホルムアルデヒドとの縮合物
[3] キシレノールとホルムアルデヒドとの縮合物
[4] 上記[1]〜[3]のフェノール系樹脂をアルキル化して得られるアルキル変性フェノール系樹脂
[5] ポリビニルフェノール
これらのフェノール系樹脂はノボラック型であってもレゾール型であっても良い。なお、ノボラック型フェノール系樹脂、レゾール型フェノール系樹脂又はポリビニルフェノールとしては、下記一般式で示されるものが好適である。
Figure 2009022852
このようなフェノール系樹脂は水に難溶であるので、水に溶解可能な溶媒に溶解ないし分散させるなどして溶液状又はエマルジョンとして用いるのが好ましい。使用される溶媒としてはアセトン等のケトン、酢酸メチル等のエステル、メタノール等のアルコール等の水溶性有機溶媒、アルカリ水溶液、アミン等が挙げられるが、好ましくは、苛性ソーダ(NaOH)、苛性カリ(KOH)等のアルカリ剤に溶解して用いる。
フェノール系樹脂をアルカリ性水溶液として用いる場合、このアルカリ性水溶液はアルカリ剤濃度1〜25重量%、フェノール系樹脂濃度1〜50重量%の範囲とすることが好ましい。なお、フェノール系樹脂濃度が高い場合、70〜80℃程度に加温してフェノール系樹脂を溶解させるようにしても良い。
一方、硝酸アルミニウムには、アルミニウムイオンを3〜6重量%含有するものが市販されており、重合している構造のものなども提供されているが、本発明においてはいずれの硝酸アルミニウムも使用可能である。
フェノール系樹脂及び硝酸アルミニウムは、各々、1種を単独で用いても良く、2種以上を混合して用いても良い。
本発明においては、循環水にフェノール樹脂及び硝酸アルミニウムを添加して、下記(a)及び(b)の条件、好ましくは更に下記(c)の条件を満たすように水質管理を行って凝集処理する。
(a) 循環水のpH5.5〜8.0
(b) 循環水の塩化物イオン濃度200mg/L以下
(c) 循環水の硫酸イオン濃度520mg/L以下
循環水のpHが上記範囲よりも高い場合は凝集性が悪化し、低い場合には腐食性が促進する。
また、循環水の塩化物イオン濃度が200mg/Lを超えると腐食性が悪化する。循環水の塩化物イオン濃度はより好ましくは50mg/L以下である。
また、循環水の硫酸イオン濃度が520mg/Lを超えると系内の金属材料を使用している設備に対し、腐食の問題をひきおこす可能性が高くなる。循環水の硫酸イオン濃度はより好ましくは100mg/L以下である。
本発明においては、上述のようなpH条件及びイオン条件を満たすように、フェノール樹脂及び硝酸アルミニウムの添加及び凝集処理が行われる。
各々の好適な添加量は、循環水中の塗料の種類や塗料含有量によっても異なるが、フェノール系樹脂の添加量は、湿式塗装ブース循環水に対して、有効成分量(樹脂固形分量)として1mg/L以上、特に5mg/L以上であり、かつ循環水中の塗料(固形分)に対して有効成分量として0.1重量%以上、特に0.5重量%以上とすることが好ましい。フェノール系樹脂添加量がこの割合よりも少ないと十分な凝集効果を得ることができない。しかし、フェノール系樹脂添加量が過度に多くても、添加量に見合う凝集効果の向上効果は得られないことがあり、また発泡が生じることがあることから、湿式塗装ブース循環水に対するフェノール系樹脂の添加量は有効成分量として1000mg/L以下、特に5〜200mg/Lとし、循環水中の塗料に対して有効成分量として100重量%以下、特に0.5〜10重量%とすることが好ましい。
また、硝酸アルミニウムの添加量は、循環水中の塗料に対し、アルミニウムとして通常0.1重量%以上とすることが添加効果の面で好ましいが、廃棄物量(スラッジ生成量)を抑制するために、このアルミニウム換算添加量の上限値は、循環水中の塗料に対して5重量%以下とすることが好ましい。
なお、本発明では、循環水のpHは、設備の腐食防止の点と、アルミニウム塩のpHに関する効果特性、抑泡効果の点から、前述の如く、5.5〜8.0に制御する必要がある。従って、上述のようなフェノール樹脂及び硝酸アルミニウムの好適添加量範囲において、循環水のpHが5.5〜8.0の範囲を外れ低くなる場合には、アルカリを添加してpH調整を行う。通常、実機では高pH側に範囲が外れることは少ないが、外れる場合は適宜酸を用いたpH調整が必要になる。
循環水へのフェノール系樹脂及び硝酸アルミニウムの添加方法は特に制限はなく、循環水系に1日に1〜2回程度の頻度で間欠的に添加しても良く、連続添加であっても良い。望ましくは、ポンプにより連続的に定量注入することが好ましい。
フェノール系樹脂及び硝酸アルミニウムの添加箇所としては特に制限はなく、循環水のどのような箇所に添加しても良いが、通常の場合、循環水の戻りの分離槽入口側に添加することが好ましい。また、フェノール系樹脂と硝酸アルミニウムとの添加順序にも特に制限はないが、フェノール系樹脂と硝酸アルミニウムは同時に同じ場所に添加しないようにする。これは、フェノール樹脂と硝酸アルミニウムとを同時に同じ場所に添加すると薬品同士が反応することがあることによる。浮上分離装置や遠心分離機で凝集スラッジの分離を行う場合には、フェノール系樹脂や硝酸アルミニウムをこれらの分離装置の前に添加することがある。
フェノール系樹脂及び硝酸アルミニウムの添加により、循環水中の塗料は速やかに不溶化、凝集してフロックを生成する。凝集により生成したフロックの分離回収には、浮上分離、ウェッジワイヤ、ロータリースクリーン、バースクリーン、サイクロン、遠心分離機、濾過装置などによる方法を採用することができる。
このような方法で分離回収されたスラッジは、重力脱水後、或いは通常の方法で脱水後、焼却、埋立処理される。
本発明の湿式塗装ブース循環水の処理方法は、水性塗料を含む湿式塗装ブース循環水、溶剤系塗料を含む湿式塗装ブース循環水、水性塗料及び溶剤系塗料を含む湿式塗装ブース循環水の処理に効果的に適用することができる。
以下に実施例及び比較例を挙げて本発明をより具体的に説明するが、本発明はその要旨を超えない限り、以下の実施例に限定されるものではない。
なお、以下において、フェノール系樹脂は、次のようにして溶液化したものを用いた。
[フェノール系樹脂溶液の調製]
苛性ソーダ10gと純水150gをビーカーに採り、70℃に加温した。マグネチックスターラーで撹拌しながら、下記[A]のフェノール系樹脂40gを加えて撹拌することにより溶解させた。
[A]:群栄化学(株)製ノボラック型フェノール系樹脂
「レジトップ PSM4324」
また、硝酸アルミニウムとしては下記[B]又は[C]を、また、比較例用のアルミニウム塩としては下記[D]を用いた。
[B]ISachtleben社 「Nicasal」
[C]HWT Wassertechnische Anlagen GmbH社製 「Polysinth AN」
[D]ポリ塩化アルミニウム(通称PAC)
また、凝集試験は、下記の[E]の水性塗料に対して行った。
[E]上塗り塗料:関西ペイント(株)製 「WBC713D B59」
凝集試験は、以下の[F]の操作で行った。
[F]凝集試験:
水性塗料[E]を0.2%(重量(g)/体積(L):塗料200gを水に溶かして100Lにした。)に溶解した試験液に所定量のフェノール樹脂溶液を添加し、マグネチックスターラーで500rpmで撹拌しながら、所定量の硝酸アルミニウムを添加し、必要に応じてHCl水溶液又はNaOH水溶液を添加してpH5.5〜8.0に調整し、同様の撹拌を3分間行った。この液を10分間静置した後、上澄液を採取した。
この上澄液に対して水性塗料[E]を0.2%(重量(g)/体積(L))溶解した試験液に再び所定量のフェノール樹脂溶液を添加し、マグネチックスターラーで500rpmで撹拌しながら、所定量の硝酸アルミニウムを添加し、必要に応じてHCl水溶液又はNaOH水溶液を添加してpH5.5〜8.0に調整し、同様の撹拌を3分間行った。この液を10分間静置した後、上澄液を採取し、この試験液の調製、凝集処理、上澄水の採取の一連の操作を30回繰り返した。但し、30回目においては、pHが3.7〜8.5になるようにpH調整剤で調整した。また、30回目において、塩酸、硫酸、硝酸を使用して表記載のイオン濃度に調整した。
このような操作の繰り返しは、模擬試験液の水質を実機の循環水水質に近似させるために行った。
このような操作において、凝集性及び発泡性については、30回目の凝集処理における評価、清澄性については30回目の凝集処理で得られた上澄水についての評価、粘着性については30回目の凝集処理で得られた未添着塗料の凝集フロックについての評価とし、腐食試験については30回目の凝集処理後の試験水について評価した。
以下の実施例及び比較例における評価方法及び評価基準は次の通りである。
<凝集性>
フロックの径を目視で観察し、以下の基準で評価した。
D1:0.3〜0.5mm
D2:0.5〜0.75mm
D3:0.75〜1.0mm
D4:1.0〜1.5mm
D5:1.5〜2.25mm
D6:2.25〜3.0mm
<清澄性>
上澄水を目視で観察し、以下の基準で評価した。
× :塗料2,000mg/Lを清水で5倍希釈した透視度より透視度が低い
△ :塗料2,000mg/Lを清水で5〜10倍に希釈した透視度程度
△○:塗料2,000mg/Lを清水で10〜15倍に希釈した透視度程度
○ :塗料2,000mg/Lを清水で15〜20倍に希釈した透視度程度
◎ :塗料2,000mg/Lを清水で20倍に希釈した透視度より透視度が高い
<発泡性>
1Lのメスシリンダーに試料500mLを移し、散気球で3分間バブリングして泡の高さを測定し、水位の上がった量(mL)で表示した。
<粘着性>
未添着塗料の凝集フロックについて、以下の基準で評価した。
×:粘着性あり(指でさわるとべっとり粘着する:生塗料並み)
△:粘着性あり(指でさわると粘着する)
○:粘着性なし(指でこすると粘着する)
◎:粘着性なし(指でこすっても粘着しない)
<腐食試験>
試験水を入れた1L容のガラスビーカーに、先端に軟鋼製テストピースを取り付けた塩化ビニル製回転軸を挿入して、試験水中で回転させる回転腐食装置を用いて腐食試験を行った。
試験温度は30℃、試験期間は14日間、回転軸の回転速度は180rpmとした。
テストピースは、SPCC材よりなる表面積31cmのものを、400番エメリー研磨紙で研磨した後、脱脂して試験に供した。
腐食速度(mdd)は、下記で定義される。
腐食減量(mg)/試験日数(日)/面積(dm
なお、腐食減量は
(テストピースの初期重量)−(回転腐食試験後、脱錆後の重量)
で計算する。
mddは1未満であることが必須の条件である。1以上になると、装置への腐食の問題がおこる可能性がある。
[実施例1〜20、比較例1〜6]
フェノール樹脂と表1に示す硝酸アルミニウムを、それぞれ表1に示す量添加して凝集処理を行い、その評価結果を表1に示した。
なお、以下に示すイオン条件は、30回目の凝集処理後の試験水の水質である。
また、フェノール系樹脂添加量は液中の樹脂固形分濃度として記載しているが、水性塗料に対する添加量は、例えば樹脂固形分濃度が30mg/Lの場合、1.5重量%(=30÷2000×100)である。
また、硝酸アルミニウム添加量は液中のアルミニウム濃度として記載されているが、水性塗料に対する添加量は、例えばアルミニウム濃度が4mg/Lの場合、0.2重量%(=4÷2000×100)である。
[比較例7]
実施例1において、凝集処理後の試験水の水質が塩化物イオン濃度400mg/L、硫酸イオン濃度20mg/L、硝酸イオン濃度500mg/Lとなるように調整し、この処理液について腐食試験を行ったところ、腐食速度(mdd)は2.2mddとなった。
[比較例8〜23]
実施例1において、硝酸アルミニウムの代りにポリ塩化アルミニウムを用い、表2のpH条件とした以外は、同様の処理を行った。結果を表2に示す。
[実施例21〜30、比較例24〜29]
実施例1において、表3に示すpH条件で凝集処理後の試験水の水質が塩化物イオン濃度200mg/L、硫酸イオン濃度520mg/L、硝酸イオン濃度500mg/Lとなるように調整した以外は、同様の処理を行った。結果を表3に示す。
Figure 2009022852
Figure 2009022852
Figure 2009022852
表1,3より明らかなように、フェノール樹脂と硝酸アルミニウムとを添加し、pH5.5〜8.0、塩化物イオン濃度200mg/L以下の条件で凝集処理を行った実施例1〜30では、いずれも、凝集性、清澄性、発泡性、粘着性、mddとも良好である。これは、硫酸イオンが520mg/L含まれていても表3から言える。
一方で、pHが5.5〜8.0の範囲を外れる比較例1〜6や、比較例24〜29では、凝集性、清澄性、発泡性、粘着性、mddの何れかに難があり、良好な処理とは言えない。また、硫酸イオンが低く(20mg/L)ても、塩化物イオンが400mg/Lになると、比較例7の結果から明らかなようにmddが上昇し、実用的でないことがわかる。
さらに表2の比較例8〜23記載から、硝酸アルミニウムにかえてPACを通常運転条件下で使用すると、塩化物イオンがどうしても200mg/Lを超えてしまい、清澄性、発泡性、粘着性又はmddのいずれかが悪化してしまうことが明らかである。

Claims (3)

  1. 水性塗料及び/又は溶剤系塗料を含む湿式塗装ブース循環水を凝集処理する方法において、
    湿式塗装ブース循環水に、フェノール樹脂と硝酸アルミニウムとを添加して、循環水のpH5.5〜8.0、及び塩化物イオン濃度200mg/L以下の条件下に、該循環水中の塗料を凝集処理することを特徴とする湿式塗装ブース循環水の処理方法。
  2. 請求項1において、更に、凝集処理時の循環水の硫酸イオン濃度を520mg/L以下とすることを特徴とする湿式塗装ブース循環水の処理方法。
  3. 請求項1又は2において、フェノール樹脂を、該循環水に対して有効成分量として1mg/L以上、かつ該循環水中の塗料に対して有効成分量として0.1重量%以上添加し、硝酸アルミニウムを、該循環水中の塗料に対して有効成分量として0.1重量%以上添加することを特徴とする湿式塗装ブース循環水の処理方法。
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