JP2014124612A - フォトリソグラフィー排水の処理方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】フォトリソグラフィー排水の処理方法において、該排水の濁度、CODを低減することができる処理方法を提供する。
【解決手段】フォトリソグラフィー排水に、ノボラック型フェノール樹脂に対してレゾール型2次反応を行って得られるフェノール樹脂のアルカリ溶液を、添加する工程と、前記アルカリ溶液を添加する工程後、固液分離処理を行う工程と、を有するフォトリソグラフィー排水の処理方法。
【選択図】なし

Description

本発明は、フォトリソグラフィー排水の処理方法に関し、特にカラーフィルター等を製造する際のフォトリソグラフィー工程において、現像工程や、基板の洗浄工程等で生じる排水の処理方法に関する。
IC、LSI等の集積回路、プリント基板、カラーフィルター、液晶ディスプレイ等の製造工程においては、感光性樹脂成分を含有するフォトレジストをウェハ、ガラス板、銅張積層板等の基板上に塗布し、現像パターン等が形成されたフォトマスクを介してフォトレジストを露光して光反応させ、その後の現像工程でフォトレジストの露光部または未露光部をアルカリ水溶液等の現像液により除去することで、所定のパターンを形成した後、基板を洗浄するフォトリソグラフィー法が用いられている。したがって、このフォトリソグラフィー法において、現像工程や、基板の洗浄工程で生じるフォトリソグラフィー排水には、フォトレジストや現像液が含まれることとなる。
このようにして生じるフォトリソグラフィー排水の処理方法としては、例えば、濾過法がある。しかしながら、この濾過法においては、フォトリソグラフィー排水は通常アルカリ条件下で濾過されるが、かかる条件下ではフォトレジストは凝集しにくく、濾過膜に適した凝集が難しいため、安定した運転を行うことが困難であるという問題がある。また、現像液に含まれる高濃度のノニオン性界面活性剤は、通常の凝集沈殿や加圧浮上処理ではほとんど除去されないため、排水放流時の水質管理項目であるCODやn−ヘキサン抽出物濃度を低下させることが大きな課題となっている。
ノニオン性界面活性剤を除去する方法および処理剤として、ノボラック樹脂を用いる方法(特許文献1〜4参照)、タンニン酸を用いる方法(特許文献5、6参照)が提案されている。しかし、ノボラック樹脂そのものは分子量が上がりにくく、また低分子量物(低核体)の生成が多いため、ノニオン性界面活性剤への吸着が弱く、効果が安定しない。タンニン酸は、ノニオン性界面活性剤への吸着効果はあるが、天然物であるために、その由来や産地、生産時の気候などが大きく影響して効果が安定しないことは周知の事実となっている。また天然物であるがゆえに生分解性が高く、製品としての安定性にも課題がある。
また、フォトリソグラフィー排水の処理方法として、フォトリソグラフィー法における基板の洗浄工程で生じるテトラアルキルアンモニウム及び少量のフォトレジストを含有する排水をpH5以上かつ9未満の条件下で逆浸透膜装置に加圧供給する方法が提案されている(特許文献7参照)。この方法では、テトラアルキルアンモニウムをある程度効果的に処理することができるが、濾過膜による処理におけるフォトレジストの凝集濾過性及び運転安定性の点で未だ満足できるものではない。
この特許文献7の問題を解決する方法として、フォトレジスト含有排水のpHを酸性に調整してから、フォトレジストの凝集沈殿に適するようにpHを調整してフォトレジストを凝集沈殿させ、膜処理を行う方法がある(特許文献8参照)。しかしながら、この特許文献8の方法においても清澄な処理水を得られない場合があり、十分な処理効果を得ることができなかった。すなわち、特許文献8等の従来の処理では、フォトレジスト及び現像液の成分、具体的には、樹脂、光重合性のモノマー、光重合開始剤、界面活性剤、顔料、シナジスト(pigment derivative)や分散剤ポリマー、溶剤等の種々の有機物や濁質成分が相互に作用することにより、分離し難い安定な化合物を形成しているためか、十分な処理効果を得ることができなかった。また、簡便な処理方法が求められている。
特開平6−262184号公報 特開平6−262186号公報 特開平6−285475号公報 特開平6−285476号公報 特開平8−126890号公報 特開平10−216739号公報 特開2001−276824号公報 特開2006−255668号公報
本発明は上述した事情に鑑み、フォトリソグラフィー排水の処理方法において、凝集剤の添加によって、該排水の濁度、CODを低減することができる処理方法を提供することを課題とする。
本発明者は上記目的を達成するために鋭意検討した結果、固液分離処理を行う際、フォトリソグラフィー排水に、特定の凝集剤を添加することにより、上記目的が達成されることを見いだし、本発明を完成した。
すなわち本発明は以下の[1]〜[3]である。
[1]フォトリソグラフィー排水に、ノボラック型フェノール樹脂に対してレゾール型2次反応を行って得られるフェノール樹脂のアルカリ溶液を、添加する工程と、前記アルカリ溶液を添加する工程後、固液分離処理を行う工程と、を有するフォトリソグラフィー排水の処理方法。
[2]前記フォトリソグラフィー排水が、カラーフィルター製造方法におけるフォトリソグラフィー排水である[1]の処理方法。
[3]前記フォトリソグラフィー排水に、無機凝集剤を更に添加する[1]又は[2]の処理方法。
フォトリソグラフィー排水に、ノボラック型フェノール樹脂に対してレゾール型2次反応を行って得られるフェノール樹脂のアルカリ溶液を添加することで、フォトリソグラフィー排水の処理方法において排水に含まれるフォトレジストや現像液の凝集効果および界面活性剤などの有機物除去効果が向上するため、該排水の濁度、CODを低減することができる。
本発明のフォトリソグラフィー排水の処理方法は、フォトリソグラフィー排水に、ノボラック型フェノール樹脂に対してレゾール型2次反応を行って得られるフェノール樹脂(以下単に、「ポリマー(A)」と称する場合がある)のアルカリ溶液(以下単に「凝集剤(A)」と称する場合がある。)を添加する工程と、上記工程後固液分離処理を行う工程と有する。
以下、各工程について詳細に説明する。
[凝集剤(A)を添加する工程]
<フォトリソグラフィー排水>
本発明の凝集剤(A)を添加する工程において、被処理水(原水)であるフォトリソグラフィー排水は、フォトリソグラフィー法において、現像工程や、基板の洗浄工程等で生じる排水であって、例えば、カラーフォトレジスト等のフォトレジスト及び現像液を含有する排水が挙げられる。
フォトリソグラフィー排水に含有される成分としては、フォトリソグラフィー法において用いられる物質や、これらの反応物または分解物等が含まれ、例えば、フォトレジスト由来成分や、現像液由来成分、洗浄液由来成分が含まれる。但し、現像工程後に使用される洗浄液は、一般的には純水である。
フォトレジスト由来成分としては、例えば、光重合性のモノマーや光重合開始剤からなる感光性樹脂成分や、これらが感光により硬化した樹脂、RGB(赤緑青)三原色を形成する顔料、顔料を安定分散化させるためのシナジスト(pigment derivative)、アニオン性の分散剤ポリマー、メタクリル酸のホモポリマーやメタクリル酸のコポリマーからなるメタクリル酸系ポリマー等のバインダー樹脂等の添加剤や溶剤等が挙げられる。
現像液由来成分としては、例えば、水酸化カリウムや水酸化ナトリウム等のアルカリ成分、ノニオン性界面活性剤等が挙げられる。
これらのフォトリソグラフィー排水の中でも、本発明の処理方法は、カラーフィルターの製造の際に発生するフォトリソグラフィー排水に適用することが好ましく、顔料、アニオン性の分散剤ポリマー、ノニオン性界面活性剤を含有するフォトリソグラフィー排水に適用することがより好ましい。このように凝集処理の難易度の高いフォトリソグラフィー排水であっても、本願発明の処理方法によれば、排水の濁度、CODを低減することができる。
ここで、フォトリソグラフィー工程において使用したフォトレジストがネガ型フォトレジストの場合は、露光された部分が現像液に不溶化し、露光されず不溶化されなかった部分が現像液に溶解する。したがって、ネガ型フォトレジストの場合は、現像工程で生じる排水や、現像工程後に行う基板の洗浄工程で生じる排水は、感光性樹脂成分そのものを主に含有する。
一方、フォトリソグラフィー工程において使用したフォトレジストがポジ型フォトレジストの場合は、露光された部分が現像液に溶解する。したがって、ポジ型フォトレジストの場合は、現像工程で生じる排水や、現像工程後に行う基板の洗浄工程で生じる排水は、感光性樹脂成分が露光により変化して可溶化した成分を主に含有することになるが、このような感光性樹脂成分が露光により変化して可溶化した成分も、本発明で処理対象としているフォトリソグラフィー排水が含有する感光性樹脂成分と称する。
[凝集剤(A)]
本発明の処理方法において、フォトリソグラフィー排水に添加する凝集剤(A)は、ノボラック型フェノール樹脂に対してレゾール型2次反応を行って得られるフェノール樹脂(ポリマー(A))のアルカリ溶液である。
以下に、本発明で使用するポリマー(A)について説明する。
一般的にフェノール樹脂は、酸性触媒の存在下でフェノール類とアルデヒド類とを反応させて得られるノボラック型フェノール樹脂と、塩基性触媒の存在下でフェノール類とアルデヒド類とを反応させて得られるレゾール型フェノール樹脂の二つのタイプが知られている。
本発明で用いられるポリマー(A)は、ノボラック型フェノール樹脂に対してレゾール型2次反応を行って得られるものであることで、ノボラック型フェノール樹脂中の高分子量成分が増加し、かつ低分子量成分が低減されたフェノール樹脂となる。これにより、フォトリソグラフィー排水の凝集性を高め、さらには排水中のCODの上昇を抑制することができる。
原料となるノボラック型フェノール樹脂は、フェノール類と、アルデヒド類を酸触媒の存在下で反応させて得られたものであることが好ましい。
ノボラック型フェノール樹脂の製造に用いるフェノール類としては、例えばフェノール、クレゾール各異性体、エチルフェノール各異性体、キシレノール各異性体、ブチルフェノールなどのアルキルフェノール類、カルダノールなどの不飽和アルキルフェノール類、α,βの各ナフトールなどの多芳香環フェノール類、ビスフェノールA、ビスフェノールF、ビスフェノールS、ピロガロール、レゾルシン、カテコールなどの多価フェノール類、ハイドロキノンなどが挙げられるが、何らこれらに限定されるものではない。これらのフェノール類は1種を単独で用いてもよく、2種以上を混合して用いてもよい。
一方、ノボラック型フェノール樹脂の製造において用いられるアルデヒド類としては、ホルムアルデヒド、パラホルムアルデヒド、アセトアルデヒド、プロピルアルデヒド、ベンズアルデヒド、サリチルアルデヒド、グリキオキザールなどが挙げられるが、何らこれらに限定されるものではない。これらのアルデヒド類は1種を単独で用いてもよく、2種以上を混合して用いてもよい。
ノボラック型フェノール樹脂を製造する際の酸触媒としては、塩酸、硫酸、リン酸などの無機酸類、蓚酸、酢酸、クエン酸、酒石酸、安息香酸、パラトルエンスルホン酸等の有機酸類、酢酸亜鉛、ホウ酸亜鉛等の有機酸塩類が挙げられるが、何らこれらに限定されるものではない。
またこれらの各成分を公知の方法により反応させて、原料のノボラック型フェノール樹脂が得られる。
ノボラック型フェノール樹脂の重量平均分子量は、1000以上が好ましく、2000以上であることがより好ましい。当該重量平均分子量の上限は特に限定されないが、例えば10000以下、好ましくは6000以下である。
本発明におけるポリマー(A)を得るレゾール型2次反応は、ノボラック型フェノール樹脂をアルカリ溶液に溶解して行うことが好適である。
原料のノボラック型フェノール樹脂を溶解する溶剤としては、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化カルシウム、水酸化バリウムなどのアルカリ金属やアルカリ土類金属の水酸化物の1種又は2種以上を含むアルカリ水溶液が挙げられる。これらのアルカリ成分は、同時にレゾール型2次反応のアルカリ触媒になる。
レゾール型2次反応は、原料のノボラック型フェノール樹脂と、アルデヒド類とをアルカリ触媒存在下で反応を行うことが好適である。使用するアルデヒド類としては、ノボラック型フェノールの原料と同様のものを使用することができる。アルデヒド類の添加量は特に限定されないが、ノボラック型フェノール樹脂の含有フェノール環1モル当たり0.2〜0.4モルが好適である。
レゾール型2次反応における反応温度は、特に限定されないが、例えば、40〜120℃が好ましく、60〜110℃がより好ましく、80〜100℃が更に好ましい。また当該反応時間は、1〜12時間が好ましい。
ポリマー(A)の重量平均分子量は、5000以上が好ましく、より好ましくは、10000以上である。当該重量平均分子量の上限値は特に限定されないが、例えば80000、好ましくは60000、より好ましくは30000である。重量平均分子量の測定方法は、実施例記載の方法による。
凝集剤(A)に用いるアルカリ溶液は、上述のノボラック型フェノール樹脂を溶解する溶剤と同様のものを用いることができる。
凝集剤(A)は、上記反応で得られたポリマー(A)のアルカリ溶液をそのまま用いてもよく、上記反応後アルカリ溶液の水分を蒸発させたポリマー(A)の固形型のものをリソグラフィー排水に添加する前に水に溶解させたものを用いてもよい。
なお、2種以上のポリマー(A)をフォトリソグラフィー排水に添加してもよい。
そして、凝集剤(A)をフォトリソグラフィー排水に添加する形態は、特に限定されず、フォトリソグラフィー排水と本発明ポリマーが接触して、フォトリソグラフィー排水中に含まれる濁質(SS)、すなわち感光性樹脂成分や顔料等に吸着してフロックを形成、および排水中に含まれるノニオン性界面活性剤に吸着するようにすればよい。
凝集剤(A)中のポリマー(A)の含有量は、ハンドリングのため多いほうが好ましく、凝集剤(A)の全量に対して、0.1(質量/容量)%以上が好ましく、より好ましくは1(質量/容量)%以上であり、更に好ましくは5(質量/容量)%以上である。上限は特に限定されないが、例えば、50(質量/容量)%である。
また、ポリマー(A)をフォトリソグラフィー排水に対する添加量は、特に制限は無いが、フォトリソグラフィー排水に対しポリマー(A)を純分として、好ましくは1〜1000mg/Lであり、より好ましくは50〜900mg/Lであり、更に好ましくは300〜900mg/Lであり、より更に好ましくは600〜900mg/Lである。
なお、ポリマー(A)の添加量は、主にフォトリソグラフィー排水の水質により技術常識をふまえて決定され、濁質の原因である顔料濃度、ノニオン性界面活性剤濃度に応じて適宜調整される。具体的には、フォトリソグラフィー排水の有機物濃度、COD値などに応じて、添加量を適宜調整することができる。
ポリマー(A)をフォトリソグラフィー排水に添加することにより、フォトリソグラフィー排水に含まれる感光性樹脂成分、顔料、ノニオン性界面活性剤等と凝集物を形成することができると考えられるため、簡便な方法で、フォトリソグラフィー排水を十分処理することができ、清澄な処理水が得られると考えられる。特にポリマー(A)は、ノボラック型フェノール樹脂の性質も維持しており、排水中に含まれるノニオン性界面活性剤に吸着し、析出する性質を有するため、排水の清澄化だけでなくCODや、n−ヘキサン抽出物濃度、およびBODを低減することができる。
本発明において使用するポリマー(A)により、十分な処理効果を得ることができる作用機構は、定かではないが、カラーフィルターを製造する際に現像工程や基板の洗浄工程で生じる排水を例に、以下に説明する。
カラーフィルターを製造するために使用されるカラーフォトレジストには、感光性樹脂成分、顔料及びアニオン性の分散剤ポリマーが含有されており、アニオン性の分散剤ポリマーによってアニオン性を帯びた顔料微粒子が安定に存在している。
また、現像液には水酸化カリウムや水酸化ナトリウム等のアルカリ成分及びノニオン性界面活性剤が含有されている。
そして、カラーフィルターを製造するためのフォトレジストは一般的にネガ型であるので、現像工程や、基板の洗浄工程等で生じる排水(フォトリソグラフィー排水)には、未露光のフォトレジストと現像液が含有されている。
これらの混合物であるフォトリソグラフィー排水中では、フォトレジストに含有されている上記アニオン性の分散剤ポリマーによってアニオン性を帯びた顔料微粒子が存在し、当該顔料粒子は、現像液に含まれるノニオン性界面活性剤によって顔料表面の電荷がシールドされ、アニオン性が弱められる現象が確認される。
このように、フォトリソグラフィー排水中の顔料微粒子は、アニオン性が弱められるため、ゼータ電位が零に近く、カチオン性有機高分子凝集剤を添加しても、濁質となる顔料微粒子に吸着できず、顔料を含んだ大きなフロックを形成することができなくなるため、凝集させることが難しくなる。
しかしながら、本発明において用いるポリマー(A)は、ゼータ電位が零に近くアニオン性が非常に小さい顔料微粒子であっても、顔料微粒子を覆うノニオン性界面活性剤の極性基部位に対してフェノール性水酸基が水素結合することができるため、これらを吸着することができる。更に、ポリマー(A)は、ノボラック型フェノール樹脂をレゾール型2次反応させたものであるので、分子量が大きく高い凝集性を有する。
更に、顔料粒子の吸着のみならず、ノニオン性界面活性剤に関しても、ポリマー(A)はノボラック型フェノール樹脂の性質を維持しており、これに含まれるフェノール性水酸基は、現像液中の界面活性剤に吸着し、析出分離させる作用を有するため、フォトリソグラフィー排水を良好に凝集させ、さらに界面活性剤由来の溶解性CODやn−ヘキサン抽出物濃度、BODを下げることができ、良好な処理水を得ることができる。
<無機凝集剤>
フォトリソグラフィー排水に無機凝集剤(以下「凝集剤(B)」と称する場合がある)を添加することが好適である。無機凝集剤を添加することにより、上記ポリマー(A)と無機凝集剤との相互作用により、ポリマー(A)単独で使用する場合よりも強固なフロックを形成することができる。無機凝集剤を添加することにより、微小な濁質や水溶性の濁質の除去が可能となるため、得られる処理水をより清澄にすることができる場合がある。
なお、凝集剤(B)の添加は、後述する固液分離処理工程の前であればよく、本発明ポリマーをフォトリソグラフィー排水に添加する前でも後でもよく、また、本発明ポリマーと同時に添加してもよい。
本発明の処理方法において用いられる無機凝集剤としては、特に限定はなく、例えば、硫酸バンド、ポリ塩化アルミニウム(PAC)等のアルミニウム塩、塩化第二鉄、硫酸第一鉄、ポリ硫酸第二鉄等の鉄塩などが挙げられる。また、凝集剤(B)の添加量は、特に限定はなく、フォトリソグラフィー排水の性状に応じて調整すればよいが、フォトリソグラフィー排水に対して、アルミニウム又は鉄換算で1〜5000mg/Lが好ましい。
通常、フォトリソグラフィー排水処理方法においては、無機凝集剤を多量に使用する場合が多いが、本発明においては、前述の通り、ポリマー(A)はノニオン性界面活性剤に対する析出作用を有しているため、感光性樹脂成分や顔料等の凝集効果に優れているので、無機凝集剤の添加量を低減することができる。
<他の凝集剤>
また、フォトリソグラフィー排水にアニオン性有機高分子凝集剤やノニオン性有機高分子凝集剤等の他の凝集剤(以下、「凝集剤(C)」称することがある)を添加してもよい。凝集剤(C)を、ポリマー(A)、場合により凝集剤(B)と併用することにより、凝集フロックが大きくなるため、得られる処理水をより清澄にすることができる。
なお、凝集剤(C)の添加は、ポリマー(A)をフォトリソグラフィー排水に添加する後で、且つ、後述する固液分離処理の前がよい。
凝集剤(C)のアニオン性有機高分子凝集剤やノニオン性有機高分子凝集剤は、特に限定はなく、排水処理で通常使用されるアニオン性有機高分子凝集剤やノニオン性有機高分子凝集剤を用いることができる。アニオン性有機高分子凝集剤としては、例えば、ポリ(メタ)アクリル酸、(メタ)アクリル酸と(メタ)アクリルアミドの共重合物、及び、それらのアルカリ金属塩等が挙げられる。また、ノニオン性有機高分子凝集剤としては、ポリ(メタ)アクリルアミド等が挙げられる。また、凝集剤(C)の添加量は、特に限定はなく、フォトリソグラフィー排水の性状に応じて調整すればよいが、フォトリソグラフィー排水に対して、それぞれ0.01〜10mg/Lが好ましい。
さらに、殺菌剤、消臭剤、消泡剤、防食剤なども任意に併用してもよい。
このように、フォトリソグラフィー排水に、ポリマー(A)、任意で添加する凝集剤(B)、凝集剤(C)を添加し、任意で撹拌等して、フォトリソグラフィー排水に含まれる感光性樹脂成分や顔料等の濁質を凝集させてフロックを形成した後は、生成した凝集フロックを被処理水から除去する固液分離処理を行う。
[固液分離処理を行う工程]
固液分離処理としては、凝集沈殿処理、加圧浮上処理、濾過処理等が挙げられる。
沈殿処理や加圧浮上処理を用いる場合には、本発明ポリマーをフォトリソグラフィー排水に添加する時に、カセイソーダ、消石灰や硫酸などでpH調整を行い、最後に有機高分子凝集剤(凝集剤(C))にて懸濁物をフロック化することが好ましい。ここで、沈殿処理又は加圧浮上処理における凝集pHは4〜7が好ましく、5〜7がより好ましい。
濾過処理としては、本発明において用いられるポリマー(A)によりフロック化することができるため、通常用いられる濾過処理によって分離することができる。
[任意工程]
このような凝集沈殿処理、加圧浮上処理、濾過処理等の固液分離処理により、清澄で溶解性有機物の少ない処理水が得られるが、凝集沈殿処理や加圧浮上処理、濾過処理等の固液分離処理の後段に、通常の排水処理で用いられる精密濾過膜、限外濾過膜や、逆浸透膜(RO膜)等による膜分離処理を行う工程を設けてもよい。また、イオン交換処理等の脱イオン処理、活性炭処理や、脱炭酸処理等、被処理水の精製処理する工程を更に設けてもよい。そして、任意で、紫外線照射、オゾン処理、生物処理なども行う工程を設けてもよい。
以下、実施例及び比較例に基づいてさらに詳述するが、本発明はこの実施例により何ら限定されるものではない。
(試験したポリマー類)
実施例および比較例に用いたポリマーの一覧を表1に示す。比較例として用いたポリマーは、2次反応を行わないノボラック樹脂(C1)、フェノール性水酸基以外の水酸基を有するポリマー(C2)、一般的に用いられる有機系ポリマー(C3、C4)などである。
Figure 2014124612
(製造例1)
原料樹脂として群栄化学工業(株)製のレヂトップPSM−6358(重量平均分子量5400)を使用した。本品はフェノールとホルムアルデヒドを酸触媒の存在下に重縮合を行って得られたノボラック型フェノール樹脂である。
ビーカーにPSM−6358 41.0g、イオン交換水146.2g、及び48%水酸化ナトリウム水溶液12.8gを入れ、マグネチックスターラにて攪拌溶解し、PSM−6358を20.5%含有するノボラック型フェノール樹脂アルカリ溶液200gを得た。この溶液のpHは12.4であった。この試料を比較例のポリマーC1とした。
共栓付三角フラスコに前記溶液100gを入れ、約60℃に加温してから37%のホルムアルデヒド水溶液4.43gを加え、コンデンサー、攪拌用窒素ガス吹き込み管、及び温度計を共栓に取り付け、オイルバスで、液温度85℃で8時間、レゾール型のホルムアルデヒド付加・重縮合反応を進行させた(レゾール型2次反応)。その後、これを冷却し、イオン交換水(濃度調整用)4.46gを加えて、フェノール類2核体を含む低分子量成分含有率を低減し、重量平均分子量を増加させた2次反応フェノール樹脂アルカリ溶液を得た。この溶液の樹脂成分濃度は19.4%であった。この試料をポリマーT1とした。
(製造例2)
原料樹脂として群栄化学工業(株)製のレヂトップPS−6945(重量平均分子量4900)を使用した。本品はクレゾールとホルムアルデヒドを酸触媒の存在下に重縮合を行って得られたノボラック型クレゾール樹脂である。
ビーカーにPS−6945 41.0g、イオン交換水146.2g、及び48%水酸化ナトリウム水溶液12.8gを入れ、マグネチックスターラにて攪拌溶解し、PS−6945を20.5%含有するノボラック型フェノール樹脂アルカリ溶液200gを得た。この溶液のpHは12.9であった。
共栓付三角フラスコに前記溶液100gを入れ、約60℃に加温してから37%のホルムアルデヒド水溶液2.66gを加え、コンデンサー、攪拌用窒素ガス吹き込み管、及び温度計を共栓に取り付け、オイルバスで、液温度85℃で8時間、レゾール型のホルムアルデヒド付加・重縮合反応を進行させた(レゾール型2次反応)。その後、これを冷却し、イオン交換水(濃度調整用)5.04gを加えて、フェノール類2核体を含む低分子量成分含有率を低減し、重量平均分子量を増加させた2次反応フェノール樹脂のアルカリ溶液を得た。この溶液の樹脂成分濃度は19.4%であった。この試料をポリマーT2とした。
(ポリマーの分子量測定)
ポリマーのアルカリ水溶液を0.1重量%程度に希釈し、塩酸をゆっくり滴下してpHを5に下げた懸濁液を調製する。次にこの懸濁液を透析チューブに入れて密閉し、連続で純水を通水できるようにしたバットにそのチューブを入れ、24時間透析を行った。その後、透析チューブから取り出した懸濁液をガラスフィルターでろ過し、回収したポリマーを純水にて洗浄後、真空乾燥機にて48時間室温で乾燥させ、フェノール性水酸基を有する水溶性高分子の粉末を得た。
次に、粉末化したポリマーをテトラヒドロフラン溶液とし、東ソー製カラムHLC8022を用い、テトラヒドロフランを溶媒としてSEC(サイズエクスクルージョンクロマトグラフィー)測定を行った。分子量は、標準ポリスチレン換算により求めた。
(実施例1)
被処理水(原水)として、カラーフィルターを製造する際の現像工程で生じた排水(フォトリソグラフィー排水)を用いた。具体的には、RGB(赤緑青)三原色を形成する顔料、シナジスト、アニオン性の分散剤ポリマー、メタクリル酸系ポリマー、光重合性モノマー、光重合開始剤、ノニオン性界面活性剤及び水酸化カリウムを含有するフォトリソグラフィー排水(外観:濃茶色〜濃緑色、pH11.5、導電率:487mS/m、TOC(全有機炭素):430mg/L、濁度:255度、Na濃度:2.5mg/L、K濃度:488mg/L、Fe濃度:2.8mg/L、Ni濃度:0.8mg/L、Cu濃度:5.3mg/L)を被処理水とした。
この被処理水を500mL入れた500mLビーカーを3つジャーテスターに置き、pHを5に調整した。次に、本発明ポリマーとしてT1純分の5(質量/容量)%水溶液を2.5mL、5.0mL、7.5mLつまりT1純分の添加濃度で各々250mg/L、500mg/L、750mg/Lを添加し、150rpm1分撹拌し、次に市販の製品のポリ硫酸第二鉄(鉄として11質量%、20℃での比重が1.45)を1000mg/L加えて、NaOHにてpHを5に調整し150rpmで1分撹拌した(以下、このタイミングにおけるpHを意味して「凝集pH」とする)。
次いで、アニオン性有機高分子凝集剤として(栗田工業製クリフロックPA331,アクリル酸ナトリウムとアクリルアミドとの共重合体)をフォトリソグラフィー排水に対して4mg/L添加し、150rpmで1分間、その後50rpmで3分間撹拌した。このアニオン性有機高分子凝集剤を添加した後の撹拌中に、目視によりフロック径を求めた。その後3分間静置し、上澄み液の濁度、CODCrを測定した。結果を表2に示す。
(実施例2)
本発明ポリマーとしてT2を用いた以外は、実施例1と同様の操作を行った。結果を表2に示す。
(実施例3)
凝集pHを7とした以外は、実施例1と同様の操作を行った。結果を表2に示す。
(実施例4)
ポリ硫酸第二鉄を用いず、H2SO4にてpHを5に調整した以外は、実施例2と同様の操作を行った。結果を表2に示す。
Figure 2014124612
(比較例1)
比較ポリマーとしてC1を用いた以外は、実施例1と同様の操作を行った。結果を表3に示す。
(比較例2)
比較ポリマーとしてC2を用いた以外は、実施例1と同様の操作を行った。結果を表3に示す。
(比較例3)
比較ポリマーとしてC3を用いた以外は、実施例1と同様の操作を行った。結果を表3に示す。
(比較例4)
比較ポリマーとしてC4を用いた以外は、実施例1と同様の操作を行った。結果を表3に示す。
(比較例5)
本発明ポリマーを用いず、ポリ硫酸第二鉄とアニオン性有機高分子凝集剤のみで処理を行った以外は、実施例1と同様の操作を行った。結果を表3に示す。
Figure 2014124612
本発明は、フォトリソグラフィー排水に、ノボラック型フェノール樹脂に対してレゾール型2次反応を行って得られるフェノール樹脂のアルカリ溶液を添加することで、フォトリソグラフィー排水に含まれるフォトレジストや現像液の凝集効果および界面活性剤などの有機物除去効果が向上するため、フォトリソグラフィー排水の処理に適用される。

Claims (3)

  1. フォトリソグラフィー排水に、ノボラック型フェノール樹脂に対してレゾール型2次反応を行って得られるフェノール樹脂のアルカリ溶液を、添加する工程と、
    前記アルカリ溶液を添加する工程後、固液分離処理を行う工程と、を有するフォトリソグラフィー排水の処理方法。
  2. 前記フォトリソグラフィー排水が、カラーフィルター製造方法におけるフォトリソグラフィー排水である請求項1に記載の処理方法。
  3. 前記フォトリソグラフィー排水に、無機凝集剤を更に添加する請求項1又は2に記載の処理方法。
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