JP6506093B2 - セラミック構造体およびセラミック構造体の製造方法 - Google Patents
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Description
このようなセラミック構造体は、焼結法で製造されたSiC成形体に比較して緻密で高純度であり、耐食性、耐熱性、強度特性にも優れているため、半導体製造装置用の加熱ヒータやエッチング装置(エッチャー)、CVD装置等に用いられるダミーウエハ、サセプター、炉芯管等の各種部材として提案されている(例えば、特許文献1参照)。
更に、基礎となる部材の表面に凹凸が存在する場合には、その凹凸に従ってSiC層が成長し、CVD−SiC層の表面が波打った形状となり易い。表面の平坦さが要求される部材は、CVD−SiC層を形成した後で、表面の平滑化のために若干の表面研磨が必要となる場合がある。
このような不純物がCVD−SiC層の表面に露出していると、使用時に予期せぬ化学反応を起こしたり、クラック発生の基点となる可能性がある。
そして、セラミック構造体の表面の特性として顕在化するのは表面層の特性であり、表面層を構成するSiC結晶の配向がランダムであるため、セラミック構造体全体としての表面特性はSiC結晶がランダムに配向した均一なものとなる。このため、切削や研磨などの加工を施しても、広い範囲で表面特性を均一に保持することができる。
この合成された回折図形は“最表層”中のπ×150nm×150nm×100nm×5(nm3)の体積から得られた回折図形となる。この合成された回折図形が“リング状の回折パターンを示す”か、あるいは“一方向に強度分布を持つ回折パターンを示す”か、によって、それぞれ、“結晶の配向がランダムである”、あるいは“結晶は特定の方向に配向している”、と判断することができる。本件では、回折図形を中心角45度で8分割し、8分割した全ての領域に回折点が存在する場合に“結晶の配向がランダムである”と定義する。
(1)前記表面層の層厚が0.2〜0.5μmである。
CVD−SiC層は、5〜20μm程度の大きさの単結晶SiCが積層された構造となることが多い。ある程度の大きさを有する単結晶SiCが一定の方向に配向していると、前述した様に物理的特性や熱的特性の偏りが大きく現れ易い。
CVD−SiC層の表面特性の偏りが顕在化しない様にすることが本発明の趣旨であり、その一面からは表面層は厚ければ厚いほど好ましい。0.05μm程度の薄い表面層では効果が限定的であり、また、薄くて強度が得られ難くなり、表面層自体の形態安定性も好ましくない。一方で、表面層が1μm以上の厚さになれば、CVD−SiC層のメリットである気密性、熱伝導性、化学安定性などが得られなくなってしまう。
表面層を0.2〜0.5μmとすると、CVD−SiC層のメリットを活かしつつ、本発明の効果を発現させることができる。
前述した様に、CVD−SiC層は、5〜20μm程度の大きさのSiC結晶が積層された構造となることが多いが、ある程度の大きさを有するSiC結晶が一定の方向に配向していると、物理的特性や熱的特性の偏りが大きく現れ易い。
表面層を構成するSiC結晶は配向がランダムであるが、個々のSiC結晶のサイズが大きければ、特性は均一とならず、却って偏りを生じさせてしまう。
表面層を構成するSiC結晶のサイズをCVD−SiC層を構成するSiC結晶のサイズよりも小さくすることで、表面特性の均一化を図ることができる。
前述した様に、CVD−SiC層を構成するSiC結晶のサイズは5〜20μm程度であることが多いので、表面層を構成するSiC結晶のサイズを0.01〜0.1μmとすることで、CVD−SiC層において生じる特性の偏りに対して、10%未満に抑えることができる。このため、表面特性の均一化をより一層図ることができる。
なお、前述した(1)の好適範囲と組み合わせ、表面層の厚さは、構成するSiC結晶のサイズ(平均結晶粒径)の10〜50倍程度が好ましい。
上記と同じ方法により制限視野電子線回折図形を測定した試料位置において、同様に透過型電子顕微鏡(TEM,株式会社日立ハイテクノロジーズ製HF−2000)を用いて断面TEM像を5視野撮影する(撮影倍率80,000倍、表示倍率500,000倍)。この際、微結晶の輪郭が明瞭になるように対物絞りを選択(40μm)し、試料傾斜ホルダを用いて適切な電子線入射角度を調整する。各視野のTEM像中で最も輪郭が明瞭な結晶粒を3個ずつ選び、そのTEM像面内における各結晶粒に外接する円の直径を測長して結晶サイズとする。得られた合計15個の結晶サイズから、最大値と最小値とを除いた13個の結晶サイズについて、平均値を算出し、これを最表層の結晶サイズとする。
なお、昇華と並行して、一部のSiCについては焼結が進むこともある。
すなわち、CVD−SiC層の表面を加熱して昇華、その後冷却して再結晶化して、SiC結晶がランダム配向されている表面層を形成する。このため、切削加工や研磨加工等を行った場合でも、表面特性を均一に保持できる。
そして、加熱して昇華、その後冷却して再結晶化後に表層のSiCが再結晶化すると、CVD−SiC層を完全に貫通するマイクロパイプが生じていた場合でも、マイクロパイプの出口付近を埋めることができるので、基材に含まれる不純物がマイクロパイプを通って漏れ出して半導体部品を汚染するのを防止することができ、表層にはSiCだけが残る。このため、表面に不純物が存在しなくなるので、予期せぬ化学反応を起こす事態を回避することができる。
また、水が存在する状態でレーザー照射して表面層を加熱するので、CVD−SiC層の表面に水が存在することでレーザー照射部分のみがピンポイントで高温となり、内部が高温となり難く、不純物が反応して気化(膨張)することを防止することができる。このとき、レーザー照射されている間は高温になるが、レーザー照射が終了すると水によって急冷され、SiC結晶が大きく成長しない(微小なSiC結晶となる)ことから、配向性が低い表面層が得られる。
(1)前記表面層は、SiC結晶がランダム配向となる。
CVD−SiC層の最表層がレーザー照射によりランダム配向となるため、一層均一化される。
YAGレーザー光(基本波)の波長は1064nmであり、第2高調波の波長は532nm、第3高調波の波長は355nmである。YAGレーザー光の波長が300〜900nmであると、水の光吸収率が10%未満であるので、水が存在する状況下でのレーザー照射に好適である。
CVD−SiC層は、2545℃まで加熱すると、SiCが昇華を開始する。
そして、CVD−SiC層と表面層との境界よりもCVD−SiC層側に不純物溜りが形成されている。
このため、表面に不純物が存在しなくなるので、予期せぬ化学反応を起こす事態を回避することができ、ある程度の不純物が混入していても、使用に支障が生じない。また、SiCの均一な層になるので、クラック発生の基点となる箇所が現れ難い。
サンプル片から集束イオンビーム装置(FIB,株式会社日立ハイテクノロジーズ製FB2200)を用いて膜厚100nm断面薄膜試料を作製し、透過型電子顕微鏡(TEM,株式会社日立ハイテクノロジーズ製HF−2000)により断面方向から“最表層”における制限視野電子線回折図形を測定した。直径300nmの制限視野絞りにて“最表層”5視野を選択して制限視野電子線回折図形を5枚測定し、得られた5枚の回折図形を画像処理により加算して1枚の回折図形を合成した。
この合成された回折図形は“最表層”中のπ×150nm×150nm×100nm×5(nm3)の体積から得られた回折図形となる。この合成された回折図形が“リング状の回折パターンを示す”か、あるいは“一方向に強度分布を持つ回折パターンを示す”か、によって、それぞれ、“SiC結晶の配向がランダムである”、あるいは“SiC結晶は特定の方向に配向している”、と判断することができる。本件では、回折図形を中心角45度で8分割し、8分割した全ての領域に回折点が存在する場合に“SiC結晶の配向がランダムである”と定義する。
(1)前記表面層の層厚が0.2〜0.5μmである。
CVD−SiC層は、数μm以上の大きさの単結晶SiCが積層された構造となることが多い。ある程度の大きさを有する単結晶SiCが一定の方向に配向していると、前述した様に物理的特性や熱的特性の偏りが大きく現れ易い。
CVD−SiC層の表面特性の偏りが顕在化しない様にすることが本発明の趣旨であり、その一面からは表面層は厚ければ厚いほど好ましい。0.05μm程度の薄い表面層では効果が限定的であり、また、薄くて強度が得られ難くなり、表面層自体の形態安定性も好ましくない。一方で、表面層40が1μm以上の厚さになれば、CVD−SiC層のメリットである気密性、熱伝導性、化学安定性などが得られなくなってしまう。
表面層を0.2〜0.5μmとすると、CVD−SiC層のメリットを活かしつつ、本発明の効果を発現させることができる。
前述した様に、CVD−SiC層は、5〜20μm程度の大きさのSiC結晶が積層された構造となることが多いが、ある程度の大きさを有するSiC結晶が一定の方向に配向していると、物理的特性や熱的特性の偏りが大きく現れ易い。
表面層を構成するSiC結晶は配向がランダムであるが、個々のSiC結晶のサイズが大きければ、特性は均一とならず、却って偏りを生じさせてしまう。
表面層を構成するSiC結晶のサイズをCVD−SiC層を構成するSiC結晶のサイズよりも小さくすることで、表面特性の均一化を図ることができる。
前述した様に、CVD−SiC層を構成するSiC結晶のサイズは5〜20μm程度であることが多いので、表面層を構成するSiC結晶のサイズを0.01〜0.1μmとすることで、CVD−SiC層において生じる特性の偏りに対して、10%未満に抑えることができる。このため、表面特性の均一化をより一層図ることができる。
なお、前述した(1)の好適範囲と組み合わせ、表面層の厚さは、構成するSiC結晶のサイズ(平均結晶粒径)の10〜50倍程度が好ましい。
なお、昇華と並行して、一部のSiCについては焼結が進むこともある。
すなわち、CVD−SiC層の表面を加熱して昇華、その後冷却して再結晶化して、SiC結晶がランダム配向されている表面層を形成する。このため、切削加工や研磨加工等を行った場合でも、表面特性を均一に保持できる。
そして、加熱して昇華、その後冷却して再結晶化後に表層のSiCが再結晶化すると、CVD−SiC層を完全に貫通するマイクロパイプが生じていた場合でも、マイクロパイプの出口付近を埋めることができるので、基材に含まれる不純物がマイクロパイプを通って漏れ出して半導体部品を汚染するのを防止することができ、表層にはSiCだけが残る。このため、表面に不純物が存在しなくなるので、予期せぬ化学反応を起こす事態を回避することができる。
また、水が存在する状態でレーザー照射して表面層を加熱するので、CVD−SiC層の表面に水が存在することでレーザー照射部分のみがピンポイントで高温となり、内部が高温となり難く、不純物が反応して気化(膨張)することを防止することができる。このとき、レーザー照射されている間は高温になるが、レーザー照射が終了すると水によって急冷され、SiC結晶が大きく成長しない(微小なSiC結晶となる)ことから、配向性が低い表面層が得られる。
(1)前記表面層は、SiC結晶がランダム配向となる。
CVD−SiC層の最表層がレーザー照射によりランダム配向となるため、一層均一化される。
YAGレーザー光(基本波)の波長は1064nmであり、第2高調波の波長は532nm、第3高調波の波長は355nmである。YAGレーザー光の波長が300〜900nmであると、水の光吸収率が10%未満であるので、水が存在する状況下でのレーザー照射に好適である。
CVD−SiC層は、2545℃まで加熱すると、SiCが昇華を開始する。
まず、SiCからなる本体20の表面21に(図1(A)参照)、CVD処理を施してSiC結晶32を蒸着させてCVD−SiC層30を形成する(図1(B)参照)。
その後、図1(C)に示すように、CVD−SiC層30の表面にレーザー照射を行うことにより、CVD−SiC層30の表層31を加熱して昇華、その後冷却して再結晶化させることにより、SiC結晶41がランダム配向となる表面層40を形成する。
このとき、図2および図3に示すように、CVD−SiC層30を形成する以前から本体20の内部に混入し、CVD−SiC層30形成後も残存している不純物(不純物溜り)22を表面層40の表面42よりも内側に封入する。あるいは、表面層40の外側に排出する(不純物23)。
図1(A)〜図1(C)に示すように、セラミック構造体10は、SiCからなる本体20と、本体20の表面21に形成されたCVD−SiC層30と、CVD−SiC層30の表層31に形成された表面層40とを有する。
セラミック構造体10は、種々の物に用いることができるため、種々の形状を呈することができる。ここでは、セラミック構造体10として板状のものを例示している。従って、本体20も板状となっている。
図1(B)に示すように、本体20の表面21には、CVD法によりSiC結晶32を層状に蒸着させてCVD−SiC層30を形成しているが、SiC結晶32の堆積方向の制御は難しい。このため、表面21に対して傾斜してSiC結晶32が堆積される場合がある。
不純物22がCVD−SiC層30の表面に露出すると、使用時にクラック発生の基点となる可能性が大きい。また、このような不純物22が存在すると、表面特性が不連続・不均一となる。
すなわち、表面層40は、CVD−SiC層30の表層31を加熱して昇華、その後冷却して再結晶化させることにより、SiC結晶41がランダム配向となる表面層40を形成して、表層31に露出する不純物22を封じ込めている。あるいは、表面層40を形成する際に、不純物23を外部に放出している。
これにより、表面層40の表面42に露出する不純物22をなくしている。
本実施形態のセラミック構造体10によれば、SiCからなる本体20の表面21に形成されたCVD−SiC層30の表層31には表面層40が形成されており、表面層40は、SiC結晶41がランダム配向されている。切削や研磨などによってCVD−SiC層30の表面に位置するSiCの結晶方向に偏りが生じていたとしても、CVD−SiC層30を覆う表面層40が存在するので、表面層40の特性が支配的となり、CVD−SiC層30の結晶方向の影響は顕在化し難い。
そして、CVD−SiC層30と表面層40との境界43よりもCVD−SiC層30側に不純物22が封じ込まれている。
このため、表面に不純物22が存在しなくなるので、予期せぬ化学反応を起こす事態を回避することができ、ある程度の不純物22が混入していても、使用に支障が生じない。また、SiCの均一な層になるので、クラック発生の基点となる箇所が現れ難く、耐破壊強度が向上する。
CVD−SiC層30は、5〜20μm程度の大きさの単結晶SiCが積層された構造となることが多い。ある程度の大きさを有する単結晶SiCが一定の方向に配向していると、前述した様に物理的特性や熱的特性の偏りが大きく現れ易い。
CVD−SiC層30の表面特性の偏りが顕在化しない様にすることが本発明の趣旨であり、その一面からは表面層40は厚ければ厚いほど好ましい。0.05μm程度の薄い表面層40では効果が限定的であり、また、薄くて強度が得られ難くなり、表面層40自体の形態安定性も好ましくない。一方で、表面層40が1μm以上の厚さになれば、CVD−SiC層30のメリットである気密性、熱伝導性、化学安定性などが得られなくなってしまう。
表面層40を0.2〜0.5μmとすると、CVD−SiC層30のメリットを活かしつつ、本発明の効果を発現させることができる。
前述した様に、CVD−SiC層30は、5〜20μm程度の大きさのSiC結晶が積層された構造となることが多いが、ある程度の大きさを有するSiC結晶が一定の方向に配向していると、物理的特性や熱的特性の偏りが大きく現れ易い。
表面層40を構成するSiC結晶は配向がランダムであるが、個々のSiC結晶のサイズが大きければ、特性は均一とならず、却って偏りを生じさせてしまう。
表面層40を構成するSiC結晶のサイズをCVD−SiC層30を構成するSiC結晶のサイズよりも小さくすることで、表面特性の均一化を図ることができる。
前述した様に、CVD−SiC層30を構成するSiC結晶のサイズは5〜20μm程度であることが多いので、表面層40を構成するSiC結晶のサイズを0.01〜0.1μmとすることで、CVD−SiC層30において生じる特性の偏りに対して、10%未満に抑えることができる。このため、表面特性の均一化をより一層図ることができる。
なお、前述した表面層40の層厚の好適範囲と組み合わせ、表面層40の厚さは、構成するSiC結晶のサイズ(平均結晶粒径)の10〜50倍程度が好ましい。
すなわち、CVD−SiC層30の表層31を加熱して昇華、その後冷却して再結晶化して、SiC結晶がランダム配向されている表面層40を形成する。このため、切削加工や研磨加工等を行った場合でも、表面特性を均一に保持できる。
このとき、本体20の表面21付近に存在する不純物22は、CVD−SiC層30の加熱して昇華、その後冷却して再結晶化の際に一緒に流動し、あるものは最表面に到達して気化などによりCVD−SiC層30の外部に排出される(不純物23)。また、あるものは内部に封じられる(不純物22)。
また、SiC結晶41がランダム配向され、均一化される。このため、SiCの均一な層になるので、クラック発生の基点となる箇所が現れ難く、耐破壊強度が向上するとともに、切削加工や研磨加工等を行った場合でも、表面特性を均一に保持できる。
20.0mm(縦)×20.0mm(横)×2.0mm(厚さ)のSiC基材の上に厚さ約150μmのCVD−SiC層を形成した試験片に対して、さらにCVD層の表面に水が存在する状態でYAGレーザーの第2高調波(波長532nm)を照射して加熱し、CVD層の表面に存在するSiCを昇華・再結晶させ、厚さ約250nmの表面層を形成した試験片を実施例1として用意した。
図2に実施例1の画像を示す。
具体的には、試験片から集束イオンビーム装置(FIB,株式会社日立ハイテクノロジーズ製FB2200)を用いて膜厚100nm断面薄膜試料を作製し、透過型電子顕微鏡(TEM,株式会社日立ハイテクノロジーズ製HF−2000)により断面方向から“表面層”における制限視野電子線回折図形を測定した。直径300nmの制限視野絞りにて“表面層”5視野を選択して制限視野電子線回折図形を5枚測定し、得られた5枚の回折図形を画像処理により加算して1枚の回折図形を合成した。
その結果を図3に示す。
一方、図5に示すように、比較・参考のために表面層を形成しない試験片のCVD−SiC層については、領域3、領域4、領域7、領域8についてのみ回折点が確認された。
この結果から、実施例1の表面層は、SiC結晶粒子の配向(結晶方位)が特定の方向に偏っておらずランダムであると言える。
一方、比較・参考のための試験片(図5)は、SiC結晶粒子の配向(結晶方位)が揃っていると言える。
表面層を構成するSiCの平均結晶粒径は次の様に求める。
上記と同じ方法により制限視野電子線回折図形を測定した試料位置において、同様に透過型電子顕微鏡(TEM,株式会社日立ハイテクノロジーズ製HF−2000)を用いて断面TEM像を5視野撮影する(撮影倍率80,000倍、表示倍率500,000倍)。この際、微結晶の輪郭が明瞭になるように対物絞りを選択(40μm)し、試料傾斜ホルダを用いて適切な電子線入射角度を調整する。各視野のTEM像中で最も輪郭が明瞭な結晶粒を3個ずつ選び、そのTEM像面内における各結晶粒に外接する円の直径を測長して結晶サイズとする。得られた合計15個の結晶サイズから、最大値と最小値とを除いた13個の結晶サイズについて、平均値を算出し、これを表面層の結晶サイズとする。
実施例1の5視野撮影した結果を図6(A)、図7(A)、図8(A)、図9(A)、図10(A)に示す。
また、これらの5視野において輪郭が明確な結晶粒子を各3個ずつ選択し、合計15個について結晶粒子のサイズを測定した結果を図6(B)、図7(B)、図8(B)、図9(B)、図10(B)に示す。
図7(B)における結晶粒子のサイズは82nm(最大値)、34nm、34nmであった。
図8(B)における結晶粒子のサイズは28nm、38nm、38nmであった。
図9(B)における結晶粒子のサイズは54nm、16nm、12nm(最小値)であった。
図10(B)における結晶粒子のサイズは20nm、14nm、24nmであった。
これらの測定値のうち、最大値である82nmと最小値である12nmとを除いた13個の結晶粒子のサイズは14nm〜68nmの範囲であり、平均値は37.5nmとなった。
20 本体
21 表面
22、23 不純物(不純物溜り)
30 CVD−SiC層
31 表層
40 表面層
41 SiC結晶
43 境界
T1 層厚
Claims (8)
- SiCからなる本体と、
前記本体の表面に形成されたCVD−SiC層と、を備え、
前記CVD−SiC層の中にSiC以外の不純物が凝集した不純物溜まりが形成されたセラミック構造体において、
前記CVD−SiC層の表層にSiC結晶がランダムに配向してなる表面層が形成され、
前記表面層の層厚が0.2〜0.5μmであることを特徴とするセラミック構造体。 - 前記表面層の平均結晶粒径は、前記CVD−SiC層の平均結晶粒径よりも小さいことを特徴とする請求項1に記載のセラミック構造体。
- 前記表面層の平均結晶粒径は、0.01〜0.1μmであることを特徴とする請求項1または請求項2に記載のセラミック構造体。
- 前記表面層は、前記CVD−SiC層の表面を加熱して昇華、その後冷却して再結晶化したものであることを特徴とする請求項1ないし請求項3のうちのいずれか1項に記載のセラミック構造体。
- SiCからなる本体の表面にCVD処理を施してCVD−SiC層を形成した後、
前記CVD−SiC層の表面に水が存在する状態でレーザー照射を行うことにより、前記CVD−SiC層の表層を加熱して昇華、その後冷却して再結晶化させることにより、SiC結晶がランダム配向となる表面層を形成し、
前記CVD−SiC層を形成する以前の状態で、前記本体の内部に混入していた不純物を前記表面層の表面よりも内側に封入するとともに、前記表面層の外側に排出することを特徴とするセラミック構造体の製造方法。 - 前記表面層は、SiC結晶がランダム配向となることを特徴とする請求項5に記載のセラミック構造体の製造方法。
- 前記レーザー照射に用いるレーザー光は、YAG(イットリウム・アルミニウム・ガーネット)レーザーの第2高調波または第3高調波を用いることを特徴とする請求項5または請求項6に記載のセラミック構造体の製造方法。
- 前記レーザー照射は、前記CVD−SiC層の表面を少なくとも2545℃まで加熱することを特徴とする請求項5ないし請求項7のうちのいずれか1項に記載のセラミック構造体の製造方法。
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