JP4774537B2 - SiCエピタキシャル膜の製造方法、およびスペーサー形成方法 - Google Patents

SiCエピタキシャル膜の製造方法、およびスペーサー形成方法 Download PDF

Info

Publication number
JP4774537B2
JP4774537B2 JP2007195066A JP2007195066A JP4774537B2 JP 4774537 B2 JP4774537 B2 JP 4774537B2 JP 2007195066 A JP2007195066 A JP 2007195066A JP 2007195066 A JP2007195066 A JP 2007195066A JP 4774537 B2 JP4774537 B2 JP 4774537B2
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
spacer
single crystal
raw material
material supply
substrate
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Expired - Fee Related
Application number
JP2007195066A
Other languages
English (en)
Other versions
JP2009029656A (ja
Inventor
佳孝 瀬戸口
公人 西川
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Ecotron Co Ltd
Original Assignee
Ecotron Co Ltd
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Ecotron Co Ltd filed Critical Ecotron Co Ltd
Priority to JP2007195066A priority Critical patent/JP4774537B2/ja
Publication of JP2009029656A publication Critical patent/JP2009029656A/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP4774537B2 publication Critical patent/JP4774537B2/ja
Expired - Fee Related legal-status Critical Current
Anticipated expiration legal-status Critical

Links

Images

Landscapes

  • Crystals, And After-Treatments Of Crystals (AREA)

Description

本発明は、単結晶SiC基板上にSiCをエピタキシャル成長させることによってSiCエピタキシャル膜を形成するSiCエピタキシャル膜の製造方法、および上記SiCエピタキシャル膜を形成する際に用いられるスペーサーの形成方法に関するものである。
SiC(炭化ケイ素;シリコンカーバイト)は、(i)耐熱性、機械的強度に優れている、(ii)放射線に強い、(iii)不純物の添加によって電子や正孔の価電子制御を容易に行える、(iv)禁制帯幅が広い、といった特性を備えていることなどから、次世代のパワーデバイス、高周波デバイス用の半導体材料として期待されている。
しかしながら、単結晶SiCには、熱の影響によって基底面転位、螺旋転位、マイクロパイプ等の結晶欠陥が内在しやすく、また、核生成に起因する結晶粒界が発生しやすいという問題がある。
そこで、マイクロパイプの発生を抑制するための技術として、例えば特許文献1,2には、単結晶SiC基板と炭素原料供給板との間に極薄金属シリコン融液を介在させた状態で熱処理を行うことによってSiCをエピタキシャル成長させる液相エピタキシャル技術(以下、MSE(Metastable Solvent Epitaxy;準安定溶媒エピタキシー法)法という)が開示されている。
特開2005−126248号公報(公開日:2005年5月19日) 特開2005−126249号公報(公開日:2005年5月19日)
しかしながら、上記特許文献1,2の技術では、SiCエピタキシャル膜の膜厚にばらつきが生じやすく、またSiCエピタキシャル膜の膜厚再現性が低いため、このSiCエピタキシャル膜を用いたデバイスの特性の再現性が低いという問題があった。
つまり、特許文献1,2の技術では、単結晶SiC基板と炭素原料供給板との間に、上記両基板の少なくとも一方に機械加工によって設けられたスペーサー、または上記両基板の少なくとも一方に固相反応によって接着されたスペーサーを配置することによってこれら両基板の間隔を制御し、それによって両基板間に介在させる極薄金属Si融液の厚さを制御している。ところが、従来の機械加工技術では、スペーサーの厚さの加工精度は30μmオーダー(目標厚さ±15μm)程度が限界である。また、従来の機械加工技術で加工できるスペーサー厚さ(目標厚さ)の最小値は20μm程度であり、それ以上薄くするとスペーサーの強度が不足して取り扱い時に破損してしまう。また、固相反応によってスペーサーを接着する場合にも、接着前のスペーサーを機械加工によって作成する場合にはスペーサーの加工精度はこれと同程度が限界である。
このため、特許文献1,2の技術では、極薄金属Si融液の厚さ(単結晶SiC基板および炭素原料供給板の基板面に垂直な方向の厚さ)にばらつきが生じやすく、また極薄金属Si融液の厚さの再現性が低いので、SiCエピタキシャル膜の膜厚を目標値に対して精度よく制御すること、および均一にすることが困難であった。したがって、同一基板内における膜厚均一性、および複数の基板間における膜厚均一性(膜厚の再現性)が低かった。
本発明は、上記の問題点に鑑みてなされたものであり、その目的は、マイクロパイプ欠陥が少なく、膜厚の再現性および均一性が高い単結晶SiCエピタキシャル膜の製造方法、およびこの製造方法に用いられるスペーサーの形成方法を提供することにある。
本発明のスペーサーの形成方法は、上記の課題を解決するために、単結晶SiC基板と炭素原料供給板とをスペーサーを介して対向させ、上記単結晶SiC基板と上記炭素原料供給板との間に生じるスペースに金属Si融液を介在させた状態で熱処理を行うことによって上記単結晶SiC基板上にSiCをエピタキシャル成長させてSiCエピタキシャル膜を製造する工程で用いられる上記スペーサーの形成方法であって、上記単結晶SiC基板および上記炭素原料供給板のうちの少なくとも一方の表面に上記スペーサーとなる硬化性樹脂を塗布する塗布工程と、この硬化性樹脂を硬化させる硬化工程とを含むことを特徴としている。なお、上記硬化性樹脂は、所定の方法によって硬化させることができる樹脂であればよい。一例としては、加熱することによって硬化する熱硬化性樹脂や、光を照射することによって硬化する光硬化性樹脂(感光性樹脂)などを用いることができる。
上記の方法によれば、従来のスペーサーの形成方法よりもスペーサーの厚さの形成精度を大幅に向上させることができる。したがって、上記の方法によって生成されたスペーサーを用いてSiCをエピタキシャル成長させることにより、SiCエピタキシャル膜の膜厚を高精度に制御するとともに、膜厚均一性を向上させることができる。これにより、同一基板内における膜厚均一性に優れたSiCエピタキシャル膜を、複数の基板において再現性よく生成することができる。
つまり、スペーサーの厚さの制御精度が悪い場合、単結晶SiC基板と炭素原料供給板との間隔を一定にすることができず、金属Si融液層の厚さが単結晶SiC基板上の領域毎に異なってしまうため、SiCエピタキシャル膜の成長速度が領域毎に異なってしまい、同一基板内における膜厚均一性が低下してしまう。また、形成されたスペーサーの厚さが目標とした厚さ(設計値)と異なる場合(目標厚さに対する再現性が低い場合)、単結晶SiCエピタキシャル膜の成長速度が想定速度(設計速度)とずれてしまい、所望の膜厚が得られなくなるため、複数の基板にそれぞれSiCエピタキシャル膜を生成する場合に、基板毎にSiCエピタキシャル膜の膜厚にばらつきが生じてしまう。これに対して、上記のスペーサー形成方法によれば、スペーサーの厚さの形成精度を従来の機械加工によって形成されたスペーサーよりも大幅に向上させることができる。したがって、従来の機械加工によって形成されたスペーサーを用いてSiCエピタキシャル膜を生成する場合よりも、膜厚の制御精度および膜厚均一性を向上させることができ、同一基板内における膜厚均一性、および異なる基板間における膜厚均一性を向上させることができる。
本発明のスペーサーの形成方法は、上記の課題を解決するために、単結晶SiC基板と炭素原料供給板とをスペーサーを介して対向させ、上記単結晶SiC基板と上記炭素原料供給板との間に生じるスペースに金属Si融液を介在させた状態で熱処理を行うことによって上記単結晶SiC基板上にSiCをエピタキシャル成長させてSiCエピタキシャル膜を製造する上記スペーサーの形成方法であって、上記単結晶SiC基板および上記炭素原料供給板のうちの少なくとも一方の表面に、上記スペーサーの位置および形状に応じた開口部を有するマスクを配置するマスク配置工程と、上記開口部を介して上記少なくとも一方の表面に上記スペーサーとなる材料を蒸着させる蒸着工程とを含むことを特徴としている。なお、上記の蒸着方法は特に限定されるものではなく、例えば、真空蒸着法、イオンプレーティング法、スパッタリング法などのPVD法、あるいはCVD法などを用いることができる。
上記の方法によれば、従来のスペーサーの形成方法よりもスペーサーの厚さの形成精度を大幅に向上させることができる。したがって、上記の方法によって生成されたスペーサーを用いてSiCをエピタキシャル成長させることにより、SiCエピタキシャル膜の膜厚を高精度に制御するとともに、膜厚均一性を向上させることができる。これにより、同一基板内における膜厚均一性に優れたSiCエピタキシャル膜を、複数の基板において再現性よく生成することができる。
本発明のSiCエピタキシャル膜の製造方法は、上記の課題を解決するために、SiCエピタキシャル膜の製造方法であって、単結晶SiC基板および炭素原料供給板のうちの少なくとも一方の表面に上記したいずれかの方法を用いてスペーサーを形成する工程と、上記単結晶SiC基板と上記炭素原料供給板とを上記スペーサーを介して対向させる工程と、上記単結晶SiC基板と上記炭素原料供給板との間に金属Si融液を介在させた状態で熱処理を行うことによって上記単結晶SiC基板上にSiCをエピタキシャル成長させる工程とを含むことを特徴としている。
上記の方法によれば、従来のスペーサーの形成方法よりもスペーサーの厚さの形成精度を大幅に向上させることができるので、単結晶SiC基板上に形成されるSiCエピタキシャル膜の膜厚を高精度に制御するとともに、SiCエピタキシャル膜の膜厚均一性を向上させることができる。これにより、同一基板内における膜厚均一性に優れたSiCエピタキシャル膜を、複数の基板において再現性よく生成することができる。
以上のように、本発明のスペーサーの形成方法は、上記単結晶SiC基板および上記炭素原料供給板のうちの少なくとも一方の表面に上記スペーサーとなる硬化性樹脂を塗布する塗布工程と、この硬化性樹脂を硬化させる硬化工程とを含む。あるいは、上記単結晶SiC基板および上記炭素原料供給板のうちの少なくとも一方の表面に、上記スペーサーの位置および形状に応じた開口部を有するマスクを配置するマスク配置工程と、上記開口部を介して上記少なくとも一方の表面に上記スペーサーとなる材料を蒸着させる蒸着工程とを含む。
それゆえ、従来のスペーサーの形成方法よりもスペーサーの厚さの形成精度を大幅に向上させることができる。したがって、上記の方法によって生成されたスペーサーを用いてSiCをエピタキシャル成長させることにより、SiCエピタキシャル膜の膜厚を高精度に制御するとともに、膜厚均一性を向上させることができる。これにより、同一基板内における膜厚均一性に優れたSiCエピタキシャル膜を、複数の基板において再現性よく生成することができる。
また、本発明のSiCエピタキシャル膜の製造方法は、単結晶SiC基板および炭素原料供給板のうちの少なくとも一方の表面に上記したいずれかの方法を用いてスペーサーを形成する工程と、単結晶SiC基板と炭素原料供給板とをスペーサーを介して対向させる工程と、単結晶SiC基板と炭素原料供給板との間に金属Si融液を介在させた状態で熱処理を行うことによって単結晶SiC基板上にSiCをエピタキシャル成長させる工程とを含む。
それゆえ、SiCエピタキシャル膜の膜厚を高精度に制御するとともに、膜厚均一性を向上させることができる。これにより、同一基板内における膜厚均一性に優れたSiCエピタキシャル膜を、複数の基板において再現性よく生成することができる。
本発明の一実施形態について説明する。図1は、本実施形態にかかるSiCエピタキシャル基板1の構成を示す断面図である。
この図に示すように、SiCエピタキシャル基板1は、単結晶SiC基板11、および単結晶SiC基板11上に形成されたSiCエピタキシャル膜12を備えている。
単結晶SiC基板11としては、従来から公知の単結晶SiC基板(例えば市販されている単結晶SiC基板など)を用いることができる。なお、本実施形態では、<11−20>方向に8°のoff角を設けた4H−SiC基板を用いた。また、本実施形態では、SiCエピタキシャル膜12を形成する前に単結晶SiC基板11におけるSiCエピタキシャル膜12を形成する側の面をCMP法(化学的機械研磨法)によって平坦化処理し、研磨痕などを除去した。
SiCエピタキシャル膜12は、上記したMSE法によって生成されたものである。
図2は、SiCエピタキシャル膜12の生成工程を説明するための説明図である。この図に示すように、図示しない密閉容器の内部に、支持基板22、単結晶SiC基板11、炭素原料供給板24、Si基板25、重石26を下から上へと重ねて配置した。なお、図2に示したように、炭素原料供給板24の表面に後述する方法によりスペーサー23を予め形成しておき、炭素原料供給板24におけるスペーサー23を設けた面が単結晶SiC基板11に対向するように配置した。また、図2は、単結晶SiC基板11上にSiCをエピタキシャル成長させるための熱処理を施している状態を示しており、単結晶SiC基板11と炭素原料供給板24との間に金属Si融液層27が介在している。このように、本実施形態では、単結晶SiC基板11と炭素原料供給板24との間隔をスペーサー23の厚さによって規定しており、それによって金属Si融液層27の厚さを制御している。スペーサー23の形成方法および熱処理工程の詳細については後述する。
支持基板22は、単結晶SiC基板11、炭素原料供給板24、Si基板25、重石26を支持するための基板である。また、支持基板22は、密閉容器からの悪影響を防止する機能を有しており、単結晶SiC基板11上にエピタキシャル成長するSiCエピタキシャル膜の品質向上に寄与する。支持基板22の材質は特に限定されるものではないが、例えば炭素原料供給板24と同様のものを用いることができる。本実施形態では支持基板22として多結晶SiC基板の表面を鏡面に研磨加工し、表面に付着した油類、酸化膜、金属等を洗浄等によって除去したものを用いた。
単結晶SiC基板11としては、上記したように、<11−20>方向に8°のoff角を設けた4H−SiC基板に対してCMP法(化学的機械研磨法)によって平坦化処理を施したものを用いた。
炭素原料供給板24は、熱処理時に金属Si融液層27を介して単結晶SiC基板11上に炭素を供給するためのものである。炭素原料供給板24の材質は、単結晶SiC基板11上に炭素を供給できるものであれば特に限定されるものではないが、例えば、多結晶SiC基板、炭素基板、ポーラスSiC基板、焼結SiC基板、非晶質SiC基板などを用いることができる。本実施形態では、支持基板22と同様、多結晶SiC基板の表面を鏡面に研磨加工し、表面に付着した油類、酸化膜、金属等を洗浄等によって除去したものを用いた。
スペーサー23は、単結晶SiC基板11と炭素原料供給板24との間隔を規定し、それによって金属Si融液層27の厚さ(単結晶SiC基板11および炭素原料供給板24の基板面に垂直な方向の厚さ)を規定するものである。これにより、成長膜(単結晶SiCエピタキシャル膜)の厚さを成長面全面に亘って均一にできるようになっている。スペーサー23の形成方法については後述する。
次に、SiCエピタキシャル膜12を形成するための熱処理工程について説明する。
まず、密閉容器の内部を1×10−2Pa以下の圧力まで減圧した後(真空引きを行った後)、この圧力状態を保持して容器内の温度を所定の成長温度(本実施形態では1800℃)まで20℃/分で昇温させた。そして、所定の成長温度に到達した後、この温度状態を10分間維持した。そして、10分間経過後、容器内の温度を500℃まで20℃/分で降温させた。500℃から室温までは自然冷却した。これにより、単結晶SiC基板11上にSiCエピタキシャル膜(4H−SiCエピタキシャル膜)12を形成した。
なお、本実施形態では、成長温度に保持する時間を10分間としたが、これに限るものではなく、必要とするSiCエピタキシャル膜12の膜厚に応じて適宜設定すればよい。また、上記所定の成長温度は、Siの融点である1420℃以上であれば特に限定されるものではないが、SiCエピタキシャル膜を効率的かつ安定して成長させるためには1500℃以上2300℃以下の範囲内であることが好ましい。
次に、スペーサー23の形成方法について説明する。本実施形態では、以下に示す2つの方法(実施例1,実施例2)によってスペーサー23を形成した。また、これら2つの方法によって形成したスペーサー23を用いてSiCエピタキシャル膜12を成膜した場合と、従来の機械加工によって形成されたスペーサー(比較例1)を用いてSiCエピタキシャル膜12を成膜した場合とで成膜後のSiCエピタキシャル膜の膜厚、およびSiCエピタキシャル膜の成長速度を比較した。なお、実施例1、実施例2、比較例1のいずれにおいても、目標厚さ20μmとしてスペーサーを形成した。これは、従来の機械加工による方法ではスペーサーの形成精度が低いため、SiCエピタキシャル膜の形成工程で使用するのに必要な最低限の強度を有するスペーサーを形成するための目標厚さの下限値が20μm程度であるためである。なお、実施例1、実施例2の方法によれば、20μmよりも薄い膜厚(例えば数μm程度)を目標厚さとした場合であっても、SiCエピタキシャル膜の形成工程で使用するのに必要な強度を有するスペーサーを形成することができる。
(実施例1)
炭素原料供給板24における単結晶SiC基板11と対向させる面にフォトレジスト(光硬化性樹脂)をスピンコーターにて全面塗布し、120℃の温度に5分間加熱するプレベーク処理を行った。フォトレジストとしては市販品を用いた。
そして、フォトレジストの膜厚が所望の膜厚(本実施形態では最終的に形成されるスペーサー23の厚さが20μmになるように、フォトレジストの膜厚を50μmとした)になるまでフォトレジストの塗布とプレベーク処理とを繰り返した。
その後、フォトレジスト上に形成するスペーサー23の位置(炭素原料供給板24における単結晶SiC基板11との対向面の周縁部2箇所)および形状(本実施形態では炭素原料供給板24の基板面に平行な断面が1mm×1mmの正方形)に応じた開口部を有するフォトマスクを形成し、このフォトマスクを介してフォトレジストの露出部分(上記開口部を介して露出している部分)を露光して現像し、スペーサー23となる部分を硬化させた。そして、炭素原料供給板24のリンス処理を行ってフォトレジストの不要部分を除去した後、不活性ガス雰囲気中で800℃まで加熱することで炭素原料供給板24上に残ったフォトレジストを炭化させてスペーサー23を形成した。これにより、炭素原料供給板24の基板面に平行な断面が1mm×1mmの正方形のスペーサー23を2箇所に形成した。
(実施例2)
炭素原料供給板24上に、形成するスペーサー23の位置(炭素原料供給板24における単結晶SiC基板11との対向面の周縁部2箇所)および形状(本実施形態では炭素原料供給板24の基板面に平行な断面が1mm×1mmの正方形)に応じた開口部を有するマスクを取り付けた。
その後、マスクを取り付けた炭素原料供給板24を真空蒸着装置の試料ホルダに設置し、炭素を蒸着源として真空蒸着を行うことにより、炭素原料供給板24の露出部(上記開口部を介して露出している部分)に炭素を蒸着させて成膜させる処理を所望の膜厚(本実施形態では20μm)になるまで連続して行い、スペーサー23を形成した。
(比較例1)
炭素原料供給板24における所定の位置(炭素原料供給板24における単結晶SiC基板11との対向面の周縁部2箇所)に、機械加工によってスペーサー23を形成した。なお、機械加工によってスペーサーを形成する場合、目標厚さは20μmが限界であり、それ以上目標厚さを小さくすると、取り扱い時にスペーサーの機械強度が不足して破損してしまうという不具合が生じた。このため、比較例1では目標厚さを20μmとしてスペーサーを形成した。
表1は、実施例1、実施例2、比較例1の方法によって形成したスペーサーの寸法精度(スペーサーの高さの加工精度)、これら各スペーサーを用いてスペーサー以外の条件(成膜方法、温度制御方法、成膜時間)は同じにして単結晶SiC基板上にMSE法でSiCエピタキシャル膜を形成した場合のSiCエピタキシャル膜の膜厚均一性(同一基板における膜厚均一性、および異なる複数の基板間(バッチ間)における膜厚均一性)を示している。なお、膜厚の測定方法としては、上記各方法によってSiCエピタキシャル膜を生成した基板の周縁部をカットして図3に示すように基板面の形状が20mm×20mmの正方形になるように試料を切り出し、各試料における所定箇所の断面を顕微鏡で観察してSiCエピタキシャル膜の膜厚を測定した。なお、上記所定箇所は、図3に示すように各方法で作成して切り出した各試料について5点とした。
また、同一基板における膜厚均一性については、5点の測定結果における最大値をmax、最小値をminとしたときの、最大値maxと最小値minの平均値に対する最大値をmaxおよび最小値minの比Raに基づいて評価した。つまり、上記の比Raは以下の式で表される。
Ra={max−(max+min)/2}/{(max+min)/2}
={(max+min)/2−min}/{(max+min)/2}
=(max−min)/(max+min)
また、異なる複数の基板間における膜厚均一性については、同一の形成方法で形成した異なる複数の各基板における膜厚測定結果の平均値の最大値をAmax、最小値をAminとしたときの、最大値Amaxと最小値Aminの平均値に対する最大値Amaxおよび最小値Aminの比Rbに基づいて評価した。つまり、上記の比Rbは以下の式で表される。
Rb={Amax−(Amax+Amin)/2}/{(Amax+Amin)/2}
={(Amax+Amin)/2−Amin}/{(Amax+Amin)/2}
=(Amax−Amin)/(Amax+Amin)
Figure 0004774537
この表に示すように、比較例1の方法ではスペーサーの寸法精度は20.8μm±15.2μmであったのに対して、実施例1の方法では20.5μm±3.8μm、実施例2の方法では20.3μm±1.5μmの寸法精度でスペーサーを形成できた。なお、スペーサーの形成精度については、同一基板上に形成した2つのスペーサーの厚さ測定結果に基づいて算出した。
表1に示したように、比較例1の方法ではSiCエピタキシャル膜の同一基板内における膜厚均一性(上記Raの値)は33.3%であり、異なる複数の基板間(バッチ間)における膜厚均一性(上記Rbの値)は30.8%であった。これに対して、実施例1の方法ではSiCエピタキシャル膜の同一基板内における膜厚均一性は9.6%であり、異なる複数の基板間(バッチ間)における膜厚均一性は5.2%であった。また、実施例1の方法ではSiCエピタキシャル膜の同一基板内における膜厚均一性は5.7%であり、異なる複数の基板間(バッチ間)における膜厚均一性は4.9%であった。
以上のように、本実施形態の実施例1では、炭素原料供給板24上の所定の位置に硬化性樹脂を塗布し、この硬化性樹脂を硬化させることによってスペーサー23を形成する。また、本実施形態の実施例2では、炭素原料供給板24上の所定の位置にスペーサー23となる材料を蒸着させることによってスペーサー23を形成する。そして、いずれかの方法によって形成したスペーサー23を介して単結晶SiC基板11と炭素原料供給板24とを対向させることによって単結晶SiC基板11と炭素原料供給板24との間に生じるスペースに金属Si融液を介在させた状態で熱処理を行い、単結晶SiC基板11上にSiCをエピタキシャル成長させてSiCエピタキシャル膜12を生成する。
上記の方法によってスペーサー23を形成することにより、スペーサー23の形成精度を数μmオーダー(目標厚さ±数μm以内)に向上させることができる。これにより、単結晶SiC基板11上に形成されるSiCエピタキシャル膜12の膜厚を高精度に制御するとともに、膜厚均一性を向上させることができる。すなわち、同一基板内における膜厚均一性および異なる複数の基板間の膜厚均一性を向上させることができる。
つまり、スペーサー23の厚さの制御精度が悪い場合、単結晶SiC基板11と炭素原料供給板24との間隔を一定にすることができず、金属Si融液層27の厚さが単結晶SiC基板11上の領域毎に異なってしまうため、SiCエピタキシャル膜の成長速度が領域毎に異なってしまい、同一基板内における膜厚均一性が低下してしまう。また、形成されたスペーサー23の厚さが目標とした厚さと異なる場合、SiCエピタキシャル膜の成長速度が想定速度とずれてしまい、所望の膜厚が得られなくなる。したがって、スペーサー23の厚さの再現性が低い場合、基板間における膜厚均一性(膜厚の再現性)が低下してしまう。
これに対して、本実施形態のスペーサー形成方法(実施例1および実施例2)によれば、従来の機械加工によるスペーサーの厚さの制御精度が30μmオーダー(目標厚さ±15μm)程度が限界であったのに対して、スペーサー23の形成精度を数μmオーダー(目標厚さ±数μm以内)にまで向上させることができる。したがって、従来の機械加工によるスペーサーを用いてSiCエピタキシャル膜を生成する場合よりも、同一基板内における膜厚均一性および異なる複数の基板間の膜厚均一性を向上させることができる。
なお、スペーサー23の形成方法は、上記した実施例1、2の方法に限定されるものではなく、スペーサー23の厚さを従来の機械加工による方法よりも精度よく制御できる方法であれば本実施形態と略同様の効果を得ることができる。なお、スペーサー23の厚さの制御精度を目標厚さ±4μm以内にできる方法であることがより好ましい。
例えば、炭素原料供給板24上の所定の位置に熱硬化性樹脂を塗布し、加熱することによってこの熱硬化性樹脂を硬化させてスペーサー23を形成してもよい。この場合、形成するスペーサー23の形状に応じたマスクを介して熱硬化性樹脂を塗布し、スペーサー23となる部分のみを硬化させるようにしてもよい。また、熱硬化性樹脂におけるスペーサー23となる部分のみを加熱してもよい。また、熱硬化性樹脂を硬化させた後、不要部分をエッチング等によって除去することによってスペーサー23を形成してもよい。
また、真空蒸着とは異なる他の蒸着方法によって炭素原料供給板24上の所定の位置にスペーサー23となる材料を蒸着させてもよい。蒸着方法としては、真空蒸着法の他、例えばイオンプレーティング法、スパッタリング法などの他のPVD法、あるいはCVD法などを用いることができる。また、蒸着させる材料は特に限定されるものではなく、単結晶SiC基板11と炭素原料供給板24との間隔を所定の間隔に保持するための適切な強度を有するものであればよい。
また、本実施形態では炭素原料供給板24上にスペーサー23を形成しているが、これに限らず、単結晶SiC基板11上に設けてもよい。
また、スペーサー23の配置位置および配置数は、上記した例に限定されるものではなく、単結晶SiC基板11と炭素原料供給板24との間隔を基板面全面について適切に規定できる位置および数であればよい。ただし、単結晶SiC基板11と炭素原料供給板24との間隔を基板面全面について適切に保つためには、少なくとも2箇所以上に配置することが好ましい。
また、スペーサー23の形状についても上記した例に限定されるものではなく、単結晶SiC基板11と炭素原料供給板24との間隔を基板面全面について適切に規定できる形状であればよい。例えば、炭素原料供給板24に平行な断面の形状が矩形形状、多角形形状、楕円形状、円形状等であってもよい。なお、単結晶SiC基板11と炭素原料供給板24との間隔を基板面全面について適切に保つためには、スペーサー23における炭素原料供給板24に平行な断面の断面積を、直径0.5mmの円の面積(0.196mm)よりも大きくすることが好ましい。また、円形状にする場合には直径を0.5mm以上にすることが好ましく、断面形状を矩形形状とする場合には1辺を0.5mm以上にすることが好ましい。
また、スペーサー23の厚さは、炭素原料供給板24から供給される炭素を、金属Si融液層27を介して単結晶SiC基板11の表面に輸送できる厚さであればよく、特に限定されるものではないが、炭素原料供給板24から溶解した炭素を単結晶SiC基板の表面に適切に輸送させるためにはスペーサー23の厚さを1μm以上50μm以下にすることが好ましい。
本発明は上述した実施形態に限定されるものではなく、請求項に示した範囲で種々の変更が可能である。すなわち、請求項に示した範囲で適宜変更した技術的手段を組み合わせて得られる実施形態についても本発明の技術的範囲に含まれる。
本発明は、単結晶SiC基板上にSiCエピタキシャル膜を形成するSiCエピタキシャル膜の製造方法に適用できる。また、本発明の方法によって製造されたSiCエピタキシャル膜は、結晶欠陥等が少なく、膜厚の再現性および均一性が高いので、発光ダイオード、各種半導体ダイオード、電子デバイスに好適に用いることができる。
本発明の一実施形態にかかる単結晶SiCエピタキシャル膜を備えた単結晶SiCエピタキシャル基板の断面図である。 本発明の一実施形態にかかる単結晶SiCエピタキシャル膜の製造方法を示す説明図である。 SiCエピタキシャル膜の膜厚測定位置を示す平面図である。
符号の説明
1 単結晶SiCエピタキシャル基板
11 単結晶SiC基板
12 活性層(第2の単結晶SiCエピタキシャル膜)
22 支持基板
23 スペーサー
24 炭素原料供給板
25 Si基板
26 重石
27 金属Si融液層

Claims (3)

  1. 単結晶SiC基板と炭素原料供給板とをスペーサーを介して対向させ、上記単結晶SiC基板と上記炭素原料供給板との間に生じるスペースに金属Si融液を介在させた状態で熱処理を行うことによって上記単結晶SiC基板上にSiCをエピタキシャル成長させてSiCエピタキシャル膜を製造する工程で用いられる上記スペーサーの形成方法であって、
    上記単結晶SiC基板および上記炭素原料供給板のうちの少なくとも一方の表面に上記スペーサーとなる硬化性樹脂を塗布する塗布工程と、この硬化性樹脂を硬化させる硬化工程とを含むことを特徴とするスペーサーの形成方法。
  2. 単結晶SiC基板と炭素原料供給板とをスペーサーを介して対向させ、上記単結晶SiC基板と上記炭素原料供給板との間に生じるスペースに金属Si融液を介在させた状態で熱処理を行うことによって上記単結晶SiC基板上にSiCをエピタキシャル成長させてSiCエピタキシャル膜を製造する工程で用いられる上記スペーサーの形成方法であって、
    上記単結晶SiC基板および上記炭素原料供給板のうちの少なくとも一方の表面に、上記スペーサーの位置および形状に応じた開口部を有するマスクを配置するマスク配置工程と、上記開口部を介して上記少なくとも一方の表面に上記スペーサーとなる材料を蒸着させる蒸着工程とを含むことを特徴とするスペーサーの形成方法。
  3. 単結晶SiCエピタキシャル膜の製造方法であって、
    単結晶SiC基板および炭素原料供給板のうちの少なくとも一方の表面に請求項1または2に記載の方法を用いてスペーサーを形成する工程と、
    上記単結晶SiC基板と上記炭素原料供給板とを上記スペーサーを介して対向させる工程と、
    上記単結晶SiC基板と上記炭素原料供給板との間に金属Si融液を介在させた状態で熱処理を行うことによって上記単結晶SiC基板上にSiCをエピタキシャル成長させる工程とを含むことを特徴とするSiCエピタキシャル膜の製造方法。
JP2007195066A 2007-07-26 2007-07-26 SiCエピタキシャル膜の製造方法、およびスペーサー形成方法 Expired - Fee Related JP4774537B2 (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2007195066A JP4774537B2 (ja) 2007-07-26 2007-07-26 SiCエピタキシャル膜の製造方法、およびスペーサー形成方法

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2007195066A JP4774537B2 (ja) 2007-07-26 2007-07-26 SiCエピタキシャル膜の製造方法、およびスペーサー形成方法

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JP2009029656A JP2009029656A (ja) 2009-02-12
JP4774537B2 true JP4774537B2 (ja) 2011-09-14

Family

ID=40400581

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2007195066A Expired - Fee Related JP4774537B2 (ja) 2007-07-26 2007-07-26 SiCエピタキシャル膜の製造方法、およびスペーサー形成方法

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP4774537B2 (ja)

Families Citing this family (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP5688780B2 (ja) * 2013-05-07 2015-03-25 学校法人関西学院 SiC基板、炭素供給フィード基板及び炭素ナノ材料付きSiC基板
JP2017071519A (ja) * 2015-10-06 2017-04-13 東洋炭素株式会社 液相エピタキシャル成長方法及びそれに用いる坩堝

Family Cites Families (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP4482642B2 (ja) * 2003-10-21 2010-06-16 学校法人関西学院 単結晶炭化ケイ素成長方法
JP4431643B2 (ja) * 2003-10-21 2010-03-17 学校法人関西学院 単結晶炭化ケイ素成長方法

Also Published As

Publication number Publication date
JP2009029656A (ja) 2009-02-12

Similar Documents

Publication Publication Date Title
US11242618B2 (en) Silicon carbide substrate and method of manufacturing the same
KR101530057B1 (ko) 탄화규소 단결정 기판 및 그 제조 방법
TWI330206B (en) Seventy five millimeter silicon carbide wafer with low warp, bow, and ttv
US10934634B2 (en) Polycrystalline SiC substrate and method for manufacturing same
TWI660076B (zh) 碳化矽晶體及其製造方法
WO2015151412A1 (ja) SiC種結晶の加工変質層の除去方法、SiC種結晶及びSiC基板の製造方法
WO2015182246A1 (ja) 炭化珪素インゴットの製造方法、炭化珪素種基板および炭化珪素基板
CN105780107A (zh) 提高碳化硅晶体生长质量的籽晶处理方法以及用于碳化硅晶体生长的方法
JP2011222750A (ja) 炭化珪素単結晶ウェハの製造方法及びこの方法で得られた炭化珪素単結晶ウェハ
JP5418385B2 (ja) 炭化珪素単結晶インゴットの製造方法
EP2921575A1 (en) Silicon carbide single crystal substrate and process for producing same
JP2015182948A (ja) 炭化ケイ素単結晶の製造方法
JP5263900B2 (ja) 単結晶SiCの成長方法
JP4774537B2 (ja) SiCエピタキシャル膜の製造方法、およびスペーサー形成方法
JP5732288B2 (ja) 自立基板の製造方法
JP4494856B2 (ja) 炭化珪素単結晶成長用種結晶とその製造方法及びそれを用いた結晶成長方法
JP2014024703A (ja) 炭化珪素単結晶の製造方法
WO2015012190A1 (ja) SiC基板の製造方法
JP4661039B2 (ja) 炭化珪素基板の製造方法
WO2020059810A1 (ja) デバイス作製用ウエハの製造方法
JP5948988B2 (ja) 炭化珪素単結晶の製造方法
JP6424806B2 (ja) SiC単結晶の製造方法
JP2007137714A (ja) 単結晶の製造方法及び単結晶の製造装置
JP2014009115A (ja) 基板製造方法
KR101866869B1 (ko) SiC 소재 및 SiC 복합 소재

Legal Events

Date Code Title Description
A625 Written request for application examination (by other person)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A625

Effective date: 20091124

A977 Report on retrieval

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971007

Effective date: 20110526

TRDD Decision of grant or rejection written
A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

Effective date: 20110531

A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

A61 First payment of annual fees (during grant procedure)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61

Effective date: 20110607

R150 Certificate of patent or registration of utility model

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20140708

Year of fee payment: 3

S111 Request for change of ownership or part of ownership

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R313111

R350 Written notification of registration of transfer

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R350

LAPS Cancellation because of no payment of annual fees