JP6506047B2 - はんだ接合構造体の製造方法 - Google Patents
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Description
また特許文献2に開示される方法の場合、減圧状態下ではんだ合金の溶融温度以上に昇温するため、ソルダペーストを用いた場合にはこれに含まれるフラックスが揮発し易くなり、はんだ合金の溶融性が低下する虞がある。
本実施形態においては、第1の被接合材1として電子回路が形成された基板が、第2の被接合材2として電子部品が用いられる。なお、被接合材としては、はんだ層を介して接合されるものであればこれらに限定されず、例えばプリント基板、シリコンウエハ等、電子部品の搭載・実装に用いられるワーク、電子部品等が挙げられる。なお、電子部品についても複数の電極をはんだ層を介してワークに接合されるものだけではなく、例えばパワー半導体上に搭載されるヒートシンクといった、単一の接合面をはんだ層を介してワークに接合されるもの等、その種類は限定されない。
前記被接合材等を収容した前記真空チャンバ内は第1の圧力(P1)となるよう調整される。なおこの調整にあたっては、例えば、一旦室温にて大気圧状態から真空引きを行い前記真空チャンバ内を真空状態とした後、窒素等の不活性ガス、水素等の還元性ガスを供給して第1の圧力(P1)とすることが好ましい。また第1の圧力(P1)は、大気圧近傍であることが好ましい。
また、本実施形態においては第1の圧力(P1)下での加熱を前記真空チャンバ内で行ったが、例えば第1の圧力(P1)下での加熱はリフロー装置の加熱ゾーンにて行い、その後に前記被接合材等を前記真空チャンバ内に収容するようにしても良い。
本実施形態では、図2に示す温度プロファイルがはんだ合金の液相温度近傍以上となった以降、即ち前記真空チャンバ内の温度(D)が前記はんだ合金の液相温度(D1)である263℃以上になった際に、前記真空チャンバ内の圧力を第1の圧力(P1)よりも低い第2の圧力(P2)まで減圧する。減圧の方法としては、例えば前記真空チャンバに備え付けたポンプ(図示せず)を用いて、前記真空チャンバから気体を排気する方法が挙げられる。なお、特に前記真空チャンバ内が液相温度以上となった以降に前記真空チャンバ内の圧力を第2の圧力(P2)まで減圧することが好ましい。
なお本実施形態において液相温度近傍とは、前記はんだ合金の5割以上が溶融する温度を言う。
ここで第3の圧力(P3)に到達した時点の前記真空チャンバ内の温度(D2)は、前記はんだ合金の液相温度以上であることが好ましい。前記はんだ合金が凝固し始めた状態で第3の圧力(P3)まで加圧すると、ボイドが膨張した状態で接合構造体に形成されるはんだ層に閉じ込められる虞がある。
一般的に、前記真空チャンバ内を真空圧に減圧すれば前記はんだ合金内に含まれているボイドの膨張サイズは大きくなり外に排出され易く、またその後に前記真空チャンバ内を大気圧まで加圧すれば前記ボイドが収縮する事ではんだに流動性を与え脱泡効果は向上する。一方、この減圧時と加圧時の圧力の差が大きいと脱泡時にボイドと共に溶融した前記はんだ合金が飛散する現象が起きる可能性がある。しかし第3の圧力(P3)を前記範囲内とした場合、このような飛散現象を抑制することができる。なお、後述のように本実施形態においては減圧と加圧を複数回繰り返すため、前記はんだ合金内のボイドを効率よく低減することができ、且つ、第3の圧力(P3)を前記範囲内とした場合、繰り返しによる前記飛散現象を抑制することもできる。特に第2の圧力(P2)を1,000Paから10,000Paとした場合、第2の圧力(P2)と第3の圧力(P3)との差を小さくすることで減圧および加圧に要する時間および手間を低減しつつも効率的にボイド低減を実現できるうえに、前記飛散現象も抑制することができる。
なお、前述のように第3の圧力(P3)を10,000Paから50,000Paの範囲内とした場合、短時間で減圧および加圧を行うことができるため、前記減圧工程と前記加圧工程の回数は2回から6回までとすることができる。
ベース樹脂、活性剤および溶剤を適宜混合してフラックスを作製し、これを12重量%とSn−10Sbはんだ合金粉末88重量%(固相温度243℃、液相温度263℃)とをそれぞれ混合し、ソルダペーストを得た。
銅板(30mm×30mm×0.3mmt)上にメタルマスク(マスク厚500μm)を用いてそれぞれソルダペーストを手刷りで印刷し、その上にニッケル板(50mm×50mm×0.5mmt)を載せ、各被接合材等を作製した。なお、印刷時のマスクパターンを図3に示す。
次いで、前記各被接合材等をリフロー装置(製品名:SMT Scope SK−5000 山陽精工株式会社製)を用い、減圧および加圧時以外は大気圧で窒素雰囲気下(酸素濃度100ppm)、図4に示す温度プロファイル、並びに表1および表2に示す条件にてリフローを行い、各試験用接合構造体を作製した。
なお、表1および表2において第2の圧力への減圧タイミングは、いずれも昇温時の前記リフロー装置内の温度到達時を表す。
特に実施例4のように第3の圧力を10,000Paとし、減圧−加圧回数を4回とすると、前記銅板上に塗布されたソルダペーストが高温下(はんだ合金の溶融温度以上)に曝される時間を少なくしつつ減圧−加圧を繰り返すことにより、フラックスに含まれる活性成分の失活によるはんだ合金の濡れ性の低下および再酸化を抑制でき、よりよいボイド低減効果を発揮することができることが分かる。
また実施例6および実施例7のように、第3の圧力を10,000Paから50,000Paとした場合、減圧と加圧を短時間に行うことができるため、減圧−加圧回数を6回とした場合であってもソルダペーストが高温下に曝される時間を少なくすることができ、良好なボイド低減効果を発揮することができる。
2…第2の接合材
3…はんだ層
4…フラックス残渣
100…接合構造体
Claims (6)
- 複数の被接合材をはんだ層を介して接合する接合構造体の製造方法であって、
前記複数の被接合材をはんだ材料を介して接するよう所定の位置に配置する工程と、
前記複数の被接合材を大気圧の近傍である第1の圧力下にて加熱する工程と、
前記複数の被接合材を加熱する加熱温度が前記はんだ合金の液相温度近傍以上になった以降に前記複数の被接合材周囲の圧力を前記第1の圧力よりも低い第2の圧力まで減圧する工程と、
前記加熱温度が前記はんだ合金の液相温度以上の状態で前記複数の被接合材周囲の圧力を前記第2の圧力よりも高い第3の圧力まで加圧する工程と、
前記加熱温度が前記はんだ合金の液相温度以上の状態で前記複数の被接合材周囲の圧力を前記第1の圧力まで加圧する工程と、
前記複数の被接合材周囲の圧力が前記第1の圧力に到達した以降に前記加熱温度を前記はんだ合金の液相温度以下にして前記複数の被接合材間に前記はんだ層を形成する工程とを含み、
前記第3の圧力は、10,000Paから50,000Paであり、
前記第2の圧力まで減圧する工程と前記第3の圧力まで加圧する工程とを複数回行うことを特徴とする接合構造体の製造方法。 - 前記はんだ材料は、前記はんだ合金粉末とフラックスとを混合したソルダペーストであることを特徴とする請求項1に記載の接合構造体の製造方法。
- 前記第2の圧力は、1,000Paから10,000Paであることを特徴とする請求項1または請求項2に記載の接合構造体の製造方法。
- 前記第3の圧力まで加圧する工程において、前記複数の被接合材周囲の圧力が前記第3の圧力に到達した時点の前記加熱温度は前記はんだ合金の液相温度より10℃以上であることを特徴とする請求項1から請求項3のいずれか1項に記載の接合構造体の製造方法。
- 前記第2の圧力まで減圧する工程と前記第3の圧力まで加圧する工程とを2回から6回行うことを特徴とする請求項1から請求項4のいずれか1項に記載の接合構造体の製造方法。
- 前記第1の圧力から第2の圧力まで減圧してからこれを前記第3の圧力まで加圧するまでにかかる1回のサイクルタイムは、10秒間から25秒間であることを特徴とする請求項1から請求項5のいずれか1項に記載の接合構造体の製造方法。
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