JP5602421B2 - はんだ接合装置 - Google Patents
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Description
まず、加熱により、はんだや被接合物表面に塗布されたフラックスは、これらの表面を活性化しながら、被接合物表面を被覆している酸化膜を除去するとともに、加熱による被接合物表面の酸化を防止し、その活性状態を維持する。
それと同時に、はんだは、加熱により溶融し被接合物の表面に濡れ広がり、フラックスの一部は、はんだ溶融により分解する。その後、はんだは、冷却されて凝固し被接合物表面に接合され、同時に、被接合物上に残ったフラックスとその分解生成物も固化する。
また、フラックス残渣の洗浄において、フラックス残渣の除去を容易にできる、例えば、フロンやトリクレンを含む有機溶剤等を用いると、環境への悪影響が大きいとの問題があった。また、環境への悪影響が小さい活性力の弱い有機溶剤を用いると、洗浄効果が弱いため簡単に除去できず、有機溶剤を大量に使用する必要があるとともに、洗浄時間が長くなるとの問題があった。
そのため、フラックスを用いないはんだ接合方法の開発が望まれていた。
そして、この半導体装置の接合方法に用いられるはんだ接合装置は、はんだ接合される被接合物がセットされる加熱溶融チャンバ(加熱溶融チャンバと記す)と、この加熱溶融チャンバ内にカルボン酸を供給する供給装置(カルボン酸供給装置と記す)とを備えている。
また、カルボン酸蒸気を加熱溶融チャンバ内に輸送するドライビングフォースがなく、単なる圧力差もしくは拡散で導入されるので、カルボン酸蒸気を導入するのに時間を要するとの問題があった。
また、特許文献2における、カルボン酸供給装置Eを用いたはんだ接合装置でも、バブリングにより、カルボン酸含有液を蒸気化し、不活性ガスとともに、加熱溶融チャンバ内に導入するので、カルボン酸供給装置Dを用いたはんだ接合装置と同様な問題があった。
また、はんだ接合装置を連続運転するには、複数のカルボン酸供給装置を設け、カルボン酸供給経路を切替えて継続してカルボン酸を加熱溶融チャンバ内に供給する必要がある。しかし、従来のはんだ接合装置では、カルボン酸供給経路を切替えると、加熱溶融チャンバ内のカルボン酸蒸気の濃度が変化するとの問題があった。
図1は、本発明の実施の形態1に係わるはんだ接合装置の側面断面模式図(a)と、このはんだ接合装置を形成する気化器のA−A断面の模式図(b)とである。
図1に示すように、本実施の形態のはんだ接合装置100は、被接合物であるワークを加熱してはんだ接合する加熱溶融チャンバに相当するリフロー装置13と、カルボン酸供給装置である気化器1と、気化器1で生成したカルボン酸含有ガスをリフロー装置13に導入するカルボン酸含有ガス導入管10とを備えている。すなわち、リフロー装置13と気化器1とは、カルボン酸含有ガス導入管10で接続されている。そして、カルボン酸含有ガス導入管10には開閉バルブ11が設けられている。
気化器1は、両端面が塞がれた円筒状であり、内部に円筒状の空間部を有している。そして、外側が金属カバー17であり、最内側が気化壁2であり、金属カバー17と気化壁2との間には断熱材3が充填されている。また、気化壁2の側壁外面には、加熱ヒータ9が接して設けられており、気化壁2の内面側が円筒状の空間部となっている。そして、加熱ヒータ9には、空間部に導入される、後述する不活性ガスでなるキャリアガスの流量によらず気化壁2の温度を一定に保つことができる能力を有するものが用いられる。
また、気化器1には、カルボン酸含有液を供給する薬液供給管7が接続されている。そして、薬液供給管7には、カルボン酸含有液を送るための薬液ポンプ6と、気化器1に供給するカルボン酸含有液の流量を、計測するとともに設定する手段を有する薬液流量計5とが設けられている。また、薬液供給管7の一端側は、気化器1の空間部に突出した突出部7aとなっている。
また、気化器1には、その空間部で形成されたカルボン酸蒸気とキャリアガスとの混合を促進する混合促進板23が、カルボン酸含有ガス導入管10の接続部に近接して設けられている。
図1では、はんだ接合する動作を説明するため、ホットプレート14に載置された、基板15と板はんだ22を介して基板15に搭載された半導体チップ16とで構成されたワークを示している。
まず、気化器1の気化壁2は、加熱ヒータ9により、カルボン酸の沸点温度以上の所定の温度、例えば、ギ酸では110℃〜120℃、に加熱される。
次に、薬液ポンプ6により、薬液タンク(図示せず)のカルボン酸含有液が、薬液流量計5を経て、薬液供給管7から気化器1の空間部へ供給される。供給されたカルボン酸含有液は、気化壁2の内壁面に接して瞬時に気化する。
次に、導入されたキャリアガスと気化したカルボン酸蒸気とは、気化器1の空間部で即時に混合され、カルボン酸蒸気とキャリアガスとの混合物であるカルボン酸含有ガスが生成される。この気化器1で生成されたカルボン酸含有ガスは、カルボン酸含有ガス導入管10を介して、リフロー装置13のチャンバ18に導入される。
本実施の形態のはんだ接合装置100では、カルボン酸含有ガスの流量指令に応じて、キャリアガスの流量をガス流量計4で適宜コントロールすることができ、カルボン酸含有液の供給量を薬液流量計5で適宜コントロールすることができる。
また、カルボン酸含有ガスが加熱された状態で、チャンバ18に供給されるので、ワークである各部品表面の酸化膜や異物コンタミ等の清浄化が、即時に開始され、はんだ接合工程のスループットを向上できる。
また、気化壁2が加熱ヒータ4で加熱されるので、気化壁2の温度制御が容易であり、供給されるカルボン酸含有液の量や導入されるキャリアガスの量が変化しても、気化壁2の温度を一定に保持することができ、生成するカルボン酸含有ガスの温度を一定に保つことができる。
それと、気化壁2の温度制御が容易であり、所望の温度に設定できるので、所望の温度のカルボン酸含有ガス、すなわち、処理されるワークに対応した、最適の活性度のカルボン酸含有ガスを得ることができる。
すなわち、本実施の形態のはんだ接合装置100は、所望の濃度と活性度のカルボン酸含有ガスを、安定して精度良く得ることができるので、ワークを確実に清浄化でき、ばらつきのない良好なはんだ接合を実現できる。また、カルボン酸含有ガスを多量に生成できるので、同時に処理するワークを増加することができ、この面からも、はんだ接合工程のスループットを向上できる。
本実施の形態のはんだ接合装置100の気化器1は、混合促進板23を備えているが、気化器1へのカルボン酸含有液の供給量が、あまり多くない場合は、混合促進板23がなくても、カルボン酸蒸気とキャリアガスとの均一混合が容易であり、同様な効果が得られる。また、本実施の形態のはんだ接合装置100は、気化器1の気化壁2の内面側が円筒状の空間部となっているが、筒状の空間部であれば良く、これに限定されない。
図2は、本発明の実施の形態2に係わるはんだ接合装置における気化器の上面断面模式図である。
すなわち、図2は、図1における気化器のA−A断面に相当する図である。
図2に示すように、本実施の形態のはんだ接合装置は、気化器1の気化壁2の内面側が円筒状の空間部となっており、ガス導入管8から連通する、気化器1へのキャリアガス導入口(ガス導入口と記す)8aが、気化壁2の円形の内側壁面の接線方向に向かって開口している以外、実施の形態1のはんだ接合装置100と同様である。
また、旋回流となったキャリアガスは、気化器1に供給されたカルボン酸含有液を気化壁3の内側壁に沿うように付着させるので、カルボン酸含有液の気化が、さらに容易になる。
図3は、本発明の実施の形態3に係わるはんだ接合装置の側面断面模式図である。
図3に示すように、本実施の形態のはんだ接合装置300は、ガス排気ポート20に真空ポンプ24を設けた以外、実施の形態1のはんだ接合装置100と同様であり、実施の形態1のはんだ接合装置100と同様な効果を有する。そして、排気開閉バルブ21は、チャンバ18と真空ポンプ24との間のガス排気ポート20に設けられている。
そこで、半導体装置のはんだ接合では、減圧リフローと呼ばれる、接合部のはんだ層内のボイドを低減させる接合手段が用いられている。
このように、減圧工程と加圧工程とを繰り返すと、減圧下ではんだ層内のボイドの体積が膨張し、はんだ層の端部から外部に排出され、そして、常圧下ではんだを凝固させると、ボイドは収縮した状態で固定されるので、ボイドサイズが非常に小さくなったり、あるいはボイドが消滅したりする。
加圧工程において導入されるキャリアガスの量は、かなり多くなるが、本実施の形態では、気化器1を介してキャリアガスが導入されるので、キャリアガスを十分に加熱でき、キャリアガスの温度低下を防止できる。
すなわち、本実施の形態のはんだ接合装置300は、そのワークを形成する部品の酸化皮膜やコンタミを清浄化する能力を低下させずに、減圧リフローを実現できる。
本実施の形態の、ガス排気ポート20に真空ポンプ24を設けることは、実施の形態2のはんだ接合装置にも適用でき、同様な効果が得られる。
図4は、本発明の実施の形態4に係わるはんだ接合装置の側面断面模式図である。
図4に示すように、本実施の形態のはんだ接合装置400は、ガス導入管8の気化器1との接続部の直前に予熱ヒータ12を設けた以外、実施の形態1のはんだ接合装置100と同様であり、実施の形態1のはんだ接合装置100と同様な効果を有する。
また、本実施の形態のはんだ接合装置400では、気化器1へ極端に多い量のキャリアガスを導入しても、キャリアガスが気化器1へ導入される直前に、予熱ヒータ12によって加熱されるので、気化壁2の温度低下がほとんど起こらない。
本実施の形態の、ガス導入管8の気化器1との接続部の直前に予熱ヒータ12を設けることは、実施の形態2または実施の形態3のはんだ接合装置にも適用でき、同様な効果が得られる。
本実施の形態のはんだ接合装置は、気化壁2、混合促進板23、薬液供給管7の突出部7aおよびキャリアガス導入口8a等の、高温のカルボン酸が接触する部位に、チタン材またはグラファイトカーボン材を用いた以外、実施の形態1のはんだ接合装置100と同様であり、実施の形態1のはんだ接合装置100と同様な効果を有する。
本実施の形態の、高温のカルボン酸が接触する部位に、チタン材またはグラファイトカーボン材を用いることは、実施の形態2、実施の形態3または実施の形態4のはんだ接合装置にも適用でき、同様な効果が得られる。
6 薬液ポンプ、7 薬液供給管、7a 突出部、8 ガス導入管、8a ガス導入口、
9 加熱ヒータ、10 カルボン酸含有ガス導入管、11 開閉バルブ、
12 予熱ヒータ、13 リフロー装置、14 ホットプレート、15 基板、
16 半導体チップ、17 金属カバー、18 チャンバ、19 ゲートバルブ、
20 ガス排気ポート、21 排気開閉バルブ、22 板はんだ、23 混合促進板、
24 真空ポンプ、100,300,400 はんだ接合装置。
Claims (4)
- ワークをはんだ接合するリフロー装置と、上記リフロー装置内に設置されたワークを清浄化処理するカルボン酸含有ガスを生成する気化器と、開閉バルブを有し、且つ上記リフロー装置と上記気化器とに接続され、上記気化器で生成されたカルボン酸含有ガスを上記リフロー装置内に導入するカルボン酸含有ガス導入管とを備えたはんだ接合装置であって、
上記リフロー装置は、上記ワークを収納するチャンバと、上記チャンバの両側部に設けられたゲートバルブと、上記チャンバの床部側に設けられたホットプレートと、上記チャンバに接続された排気開閉バルブを有するガス排気ポートとで形成されており、
上記気化器は、最外側の金属カバーと、カルボン酸の沸点温度以上に加熱される最内側の気化壁と、上記金属カバーと上記気化壁との間に充填された断熱材と、上記気化壁の外側面に設置され、上記気化壁を加熱する加熱ヒータとで形成されており、且つ上記気化壁の内側に空間部を有し、両端面が塞がれた筒状形状であり、
上記気化器には、上記気化壁内側の空間部に、キャリアガスを導入するガス導入管とカルボン酸含有液を供給する薬液供給管とが接続されており、
上記気化壁内側の空間部に、上記カルボン酸含有ガス導入管の接続部に近接して混合促進板が設けられており、
上記ガス導入管に、上記気化器に導入する上記キャリアガスの流量を設定する手段を設け、上記薬液供給管に、上記気化器に導入する上記カルボン酸含有液の流量を設定する手段を設けており、
上記気化壁内側の空間部が円筒状であり、且つ上記ガス導入管から連通するガス導入口が、上記気化壁の円形の内側壁面の接線方向に向かって開口しており、
上記薬液供給管が、上記気化壁の側面における上記気化壁の底面寄りの箇所から上記空間部に突出した部分を、上記気化壁の底面方向に傾斜させており、
上記カルボン酸含有ガス導入管が、一端を上記チャンバと接続させており他端を上記気化壁の底面と対向する上面と接続させており、
上記気化壁が、上記薬液供給管から上記空間部に供給された上記カルボン酸含有液を瞬時に気化して上記カルボン酸の蒸気を形成する部分であり、
上記空間部が、上記瞬時に気化して形成した上記カルボン酸の蒸気を、上記ガス導入管から導入された上記キャリアガスと即時に混合する部分であるはんだ接合装置。 - 上記ガス排気ポートの、上記排気開閉バルブより排気側に減圧手段を設けたことを特徴とする請求項1に記載のはんだ接合装置。
- 上記ガス導入管の、上記気化器との接続部の直前に予熱ヒータを設けたことを特徴とする請求項1または請求項2に記載のはんだ接合装置。
- 高温のカルボン酸が接触する部位にチタン材またはグラファイトカーボン材を用いたことを特徴とする請求項1から請求項3のいずれか1項に記載のはんだ接合装置。
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