JP2010114197A - 半導体部品の製造方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】還元性ガスを用いたはんだ接合において接合後のはんだ層に発生する気泡を抑制することができる半導体部品の製造方法を提供する。
【解決手段】半導体部品2の製造方法において、導電部材11a〜11cと半導体装置13とをはんだ材12を介して組み立てた半導体部品2を、ギ酸蒸気を含む不活性ガス雰囲気下でギ酸還元が進行する温度であってはんだ材12が溶けない非溶融温度で加熱する工程と、非溶融温度で半導体部品2を加熱した状態で、前述の不活性ガス雰囲気を減圧する工程と、その不活性ガス雰囲気を減圧した状態で、非溶融温度で加熱した半導体部品2をはんだ材12が溶融する溶融温度で加熱する工程と、はんだ材12を溶融させた状態で、不活性ガス雰囲気に不活性ガスを流入させて不活性ガス雰囲気を大気圧に戻し、半導体部品2を冷却してはんだ材12を固化させる工程とを有する。
【選択図】図1
【解決手段】半導体部品2の製造方法において、導電部材11a〜11cと半導体装置13とをはんだ材12を介して組み立てた半導体部品2を、ギ酸蒸気を含む不活性ガス雰囲気下でギ酸還元が進行する温度であってはんだ材12が溶けない非溶融温度で加熱する工程と、非溶融温度で半導体部品2を加熱した状態で、前述の不活性ガス雰囲気を減圧する工程と、その不活性ガス雰囲気を減圧した状態で、非溶融温度で加熱した半導体部品2をはんだ材12が溶融する溶融温度で加熱する工程と、はんだ材12を溶融させた状態で、不活性ガス雰囲気に不活性ガスを流入させて不活性ガス雰囲気を大気圧に戻し、半導体部品2を冷却してはんだ材12を固化させる工程とを有する。
【選択図】図1
Description
本発明は、半導体部品の製造方法に関し、特に、はんだにより導電部材と半導体装置とを接合して半導体部品を製造する半導体部品の製造方法に関する。
半導体装置の中には、IGBT(Insulated Gate Bipolar Transistor)やIEGT(Injection Enhanced Gate Transistor)、MOS(Metal Oxide Semiconductor)−FET(Field Effect Transistor)などの電力用半導体素子を有する半導体装置が提案されている。この半導体装置は、放熱板やバスバーなどの他の部材(導電部材)に接合されて半導体部品として用いられる(例えば、特許文献1参照)。このような半導体部品は、例えばインバータやコンバータ等の電力制御機器に搭載される。
特許文献1では、半導体素子が一対の放熱部材(放熱板とヒートシンクブロック)によりはんだ箔を介して挟まれ、それらの各部材を密着させるように圧が加えられる。その状態で、はんだ箔が加熱装置(リフロー装置)により溶融され、半導体素子と一対の放熱部材とがはんだ接合される。このように半導体素子と放熱部材とをはんだ接合する工程では、従来、フラックスを用いたはんだ接合が行われているが、組立後の半導体部品は複雑な構造となるため、フラックスを除去する洗浄が困難になってしまう。
そこで、フラックスを用いない接合技術として還元性ガスを用いたはんだ接合技術が注目されている。このはんだ接合技術としては、水素雰囲気によるはんだ接合があるが、水素は爆発性を有するため取り扱いが難しく、また通常使用されるはんだ材料の融点である200℃〜250℃程度では還元性が不十分である欠点を有する。一方、カルボン酸、中でもギ酸蒸気を還元種とし、これを不活性ガスで希釈した雰囲気を用いる方法が実用化されている。この方法では、200℃〜250℃の温度域でも還元が進むことや爆発の恐れがないことなど、水素還元にはない利点を有する。
特開2003−110064号公報
しかしながら、前述の半導体部品の製造工程に還元性ガスのはんだ接合技術を用いた場合には、接合後のはんだ層に多数の気泡(ボイド)が発生してしまう。この気泡発生の要因としては、還元により発生するガスが挙げられるが、そのガスだけではなく、はんだが溶融時にその周囲の雰囲気ガスを巻き込むため、その雰囲気ガスが気泡の原因となっており、量的にはこれが支配的である。
本発明は上記に鑑みてなされたものであり、その目的は、還元性ガスを用いたはんだ接合において接合後のはんだ層に発生する気泡を抑制することができる半導体部品の製造方法を提供することである。
本発明の実施の形態に係る特徴は、半導体部品の製造方法において、導電部材と半導体装置とをはんだ材を介して組み立てた半導体部品を、ギ酸蒸気を含む不活性ガス雰囲気下ではんだ材のギ酸還元が進行する温度であってはんだ材が溶けない非溶融温度で加熱する工程と、非溶融温度で半導体部品を加熱した状態で、不活性ガス雰囲気を減圧する工程と、不活性ガス雰囲気を減圧した状態で、非溶融温度で加熱した半導体部品をはんだ材が溶融する溶融温度で加熱する工程と、はんだ材を溶融させた状態で、不活性ガス雰囲気に不活性ガスを流入させて不活性ガス雰囲気を大気圧に戻し、半導体部品を冷却してはんだ材を固化させる工程とを有することである。
本発明によれば、還元性ガスを用いたはんだ接合において接合後のはんだ層に発生する気泡を抑制することができる半導体部品の製造方法を提供することができる。
本発明の実施の一形態について図面を参照して説明する。
図1に示すように、本発明の実施の形態に係る接合装置1は、組立状態の半導体部品2が載置される加熱器3と、その加熱器3を収容する真空チャンバ等の収容室4と、その収容室4内に気体を供給する給気部5と、収容室4内から気体を排気する排気部6と、加熱器3、給気部5及び排気部6を制御する制御装置7とを備えている。
加熱器3は、載置された組立状態の半導体部品2を加熱する装置である。この加熱器3としては、例えばホットプレートなどを用いる。加熱器3は制御装置7により制御され、半導体部品2を所定の温度で加熱する。
収容室4は箱型の形状に形成されており、その内部に空間を形成して加熱器3を収容する。この収容室4には、気密性を維持して開閉可能なドア(図示せず)が形成されている。このドアから組立状態の半導体部品2が収容室4内の加熱器3上に載置される。
給気部5は、収容室4の側壁の第1開口部H1に接続された供給経路である供給パイプ5aと、その供給パイプ5aが分岐された一方の第1流路に接続されて第1気体を収容する第1気体収容部5bと、供給パイプ5aが分岐された他方の第2流路に接続されて第2気体を収容する第2気体収容部5cと、第1流路と第2流路とを切り替える切替弁5dとを具備している。
第1気体収容部5bは、第1気体としてギ酸蒸気を含む不活性ガスを収容している。第2気体収容部5cは、第2気体として不活性ガスを収容している。切替弁5dは制御装置7により制御され、第1流路と第2流路とを切り替え、供給パイプ5aを介して収容室4内に第1気体あるいは第2気体を供給する。なお、不活性ガスとしては、窒素、アルゴン及びヘリウムなどを用いることが可能であり、また、それらを混合して用いてもよい。
排気部6は、収容室4の側壁の第2開口部H2に接続された排気経路である排気パイプ6aと、その排気パイプ6aの途中に設けられた吸引ポンプ6bとを具備している。この吸引ポンプ6bは制御装置7により制御され、排気パイプ6aを介して収容室4内の雰囲気を吸引して排気する。なお、排気量(真空度)は、1KPa以下、そのなかでも200Pa以下とすることが気泡(ボイド)減少の点で好ましい。
制御装置7は、各部を集中的に制御するコントローラ、各種情報や各種プログラムなどを記憶する記憶部、及び、操作者からの入力操作を受け付ける入力部などを具備している。この制御装置7には、加熱器3や給気部5の切替弁5d、排気部6の吸引ポンプ6bなどが電気的に接続されている。制御装置7は、各種情報や各種プログラムに基づいて加熱器3、給気部5の切替弁5d及び排気部6の吸引ポンプ6bなどの各部を制御する。
図2に示すように、半導体部品2は、3つの導電部材11a、11b、11cと、それらの間にはんだ材であるはんだシート12を介してそれぞれ設けられた複数の半導体装置13とを備えている。これらの各導電部材11a、11b、11c及び各半導体装置13はクランプなどの固定部材(図示せず)により挟み込まれ、一体化されて接合装置1の加熱器3上に載置される。
各導電部材11a、11b、11cは、例えば導電性を有するバスバーであり、各半導体装置13の共通の電極部材としてそれぞれ機能する。さらに、各導電部材11a、11b、11cは熱伝導性を有しており、放熱部材としてもそれぞれ機能する。なお、各導電部材11a、11b、11cの材質ははんだ接合可能なものであればよく、特に限定されない。また、それらの導電部材11a、11b、11cの表面はメッキされていてもよい。
各はんだシート12は、半導体装置13の接合面と同じ程度の大きさに形成され、各導電部材11a、11b、11cと半導体装置13との間にそれぞれ設けられる。これらのはんだシート12が溶融され、その後冷却されて固化し、各導電部材11a、11b、11cと半導体装置13とが接合される。なお、はんだシート12のはんだ組成は特に限定されない。
半導体装置13は、IGBTやIEGT、MOS−FETなどの電力用半導体素子を有する半導体パッケージである。例えば、半導体装置13は、IGBTが板状小片の半導体チップに搭載されたIGBT素子と、そのIGBT素子を挟むようにそれぞれ設けられた第1電極板及び第2電極板と、第1電極板と第2電極板との間に設けられた絶縁基板とを備えている。
次に、前述の接合装置1を用いた半導体部品2の製造方法について説明する。
まず、半導体部品2が組み立てられ、次いで、収容室4のドアが開かれ、組立状態の半導体部品2が収容室4内の加熱器3上に載置され、その後、収容室4のドアが閉じられて収容室4内は気密状態となる。次に、収容室4内の雰囲気及び温度が制御され、はんだ接合が行われる。接合後、再び収容室4のドアが開けられ、接合状態の半導体部品2が取り出される。
この製造工程における収容室4内の雰囲気制御及び温度制御は、図3に示す第1の雰囲気制御及び温度制御のタイミングチャート、あるいは、図4に示す第2の雰囲気制御及び温度制御のタイミングチャートに基づいて行われる。これらのタイミングチャートは制御装置7の記憶部に格納されており、制御装置7の入力部に対する操作者の入力操作により選択可能である。
図3に示す第1の雰囲気制御及び温度制御のタイミングチャートが選択されると、制御装置7はその第1の雰囲気制御及び温度制御のタイミングチャートに基づいてはんだ接合を行う。ここで、図3中における点線は、各導電部材11a、11b、11cの実際の温度である。なお、ギ酸蒸気を含む不活性ガス雰囲気では、200〜250℃の温度域でギ酸還元が進行する。
組立状態の半導体部品2の設置後、まず、給気部5の切替弁5dが制御され、第1気体収容部5bからギ酸を含む不活性ガス(第1気体)が収容室4内に供給され、組立状態の半導体部品2が23℃の室温で10分間放置される(図3参照)。これにより、収容室4内の雰囲気がギ酸蒸気を含む不活性ガス雰囲気に置換される。その後、加熱器3が200℃(はんだシート12のギ酸還元が進行する温度であってはんだシート12の融点より低い温度)まで昇温され、組立状態の半導体部品2が5分間放置される(図3参照)。このとき、ギ酸還元が進行する。
次いで、排気部6が制御されて収容室4内の雰囲気が200Paまで減圧され、減圧後、加熱器3が250℃(はんだシートの融点より高い温度)まで昇温され、組立状態の半導体部品2が10分放置される。このとき、各はんだシート12が溶融する。その後、給気部5の切替弁5dが制御され、第2気体収容部5cから不活性ガス(第2気体)が収容室4内に供給され、収容室4内の雰囲気が大気圧に戻され、半導体部品2が冷却される。これにより、組立状態の半導体部品2における各はんだシート12が固化し、各導電部材11a、11b、11cと各半導体装置13とがはんだシート12による接合層(はんだ層)を介して接合され、接合状態の半導体部品2が完成する。
一方、図4に示す第2の雰囲気制御及び温度制御のタイミングチャートが選択されると、制御装置7はその第2の雰囲気制御及び温度制御のタイミングチャートに基づいてはんだ接合を行う。ここで、図4中における点線は、各導電部材11a、11b、11cの実際の温度である。なお、ギ酸蒸気を含む不活性ガス雰囲気では、200〜250℃の温度域でギ酸還元が進行する。
組立状態の半導体部品2の設置後、まず、給気部5の切替弁5dが制御され、第1気体収容部5bからギ酸を含む不活性ガス(第1気体)が収容室4内に供給され、組立状態の半導体部品2が23℃の室温で10分間放置される(図4参照)。これにより、収容室4内の雰囲気がギ酸蒸気を含む不活性ガス雰囲気に置換される。その後、加熱器3が200℃(はんだシート12のギ酸還元が進行する温度であってはんだシート12の融点より低い温度)まで昇温され、組立状態の半導体部品2が5分放置される(図4参照)。このとき、ギ酸還元が進行する。
次いで、排気部6が制御されて収容室4内の雰囲気が200Paまで減圧され、減圧後、加熱器3が250℃(はんだシート12の融点より高い温度)まで昇温され、組立状態の半導体部品2が7分放置される(図4参照)。このとき、各はんだシート12が溶融する。その後、給気部5の切替弁5dが制御され、第2気体収容部5cから不活性ガス(第2気体)が収容室4内に供給され、収容室4内の雰囲気が大気圧に戻される(第1真空破壊:図4参照)。これにより、250℃の溶融温度で、収容室4内の雰囲気が不活性ガス雰囲気に置換され、組立状態の半導体部品2が不活性ガス雰囲気下で2分間放置される(図4参照)。なお、第1真空破壊では、不活性ガス(第2気体)単体を用いているが、これに限るものではなく、ギ酸蒸気を含んだ不活性ガス(第1気体)を用いてもよい。
その後、排気部6が制御されて収容室4内の雰囲気が再び200Paまで減圧され、組立状態の半導体部品2が1分間放置される(図4参照)。次いで、給気部5の切替弁5dが制御され、第2気体収容部5cから不活性ガス(第2気体)が収容室4内に供給され、収容室4内の雰囲気が大気圧に戻され(第2真空破壊)、半導体部品2が冷却される(図4参照)。これにより、組立状態の半導体部品2における各はんだシート12が固化し、各導電部材11a、11b、11cと各半導体装置13とがはんだシート12による接合層(はんだ層)を介して接合され、接合状態の半導体部品2が完成する。
このように、半導体部品2の製造工程は、ギ酸蒸気を含む不活性ガス雰囲気下で組立状態の半導体部品2をはんだシート12のギ酸還元が進行する温度であってはんだシート12が溶けない非溶融温度(はんだシート12のギ酸還元が進行しはんだシート12の融点より低い温度)で加熱する第1工程と、その非溶融温度で半導体部品2を加熱した状態で、ギ酸蒸気を含む不活性ガス雰囲気を減圧する第2工程と、その不活性ガス雰囲気を減圧した状態で、非溶融温度で加熱した半導体部品2をはんだシート12が溶融する溶融温度(はんだシート12の融点より高い温度)で加熱する第3工程と、はんだシート12を溶融させた状態で、不活性ガス雰囲気に不活性ガスを流入させて不活性ガス雰囲気を大気圧に戻し、半導体部品2を冷却してはんだシート12を固化させる第4工程とを有している。
特に、第2の雰囲気制御及び温度制御のタイミングチャートを用いた場合には、はんだシート12を固化させる第4工程前に、はんだシート12を溶融させた状態で、不活性ガス雰囲気に不活性ガスを流入させて不活性ガス雰囲気を大気圧にし、大気圧となった不活性ガス雰囲気を再度減圧する工程が加えられる。
ここで、気泡の発生要因としては、還元により発生するガスが挙げられるが、そのガスだけではなく、はんだ溶融時に巻き込んだ雰囲気ガスが気泡の原因となっており、量的にはこれが支配的であることが実験により判明した。したがって、はんだ溶融前に雰囲気を減圧し、巻き込む雰囲気ガスを減少させてからはんだを溶融することによって、はんだシート12による接合層(はんだ層)内に発生する気泡の量を大幅に減少させることができる。
なお、第1の雰囲気制御及び温度制御のタイミングチャートを用いた場合には、減圧下ではんだを溶融させることになるため、対流による熱移動が不十分となり、はんだシート12が完全に溶融するまでの溶融時間が長くなってしまう。そこで、第2の雰囲気制御及び温度制御のタイミングチャートを用いることによって、減圧昇温後の不活性ガス流入の際に対流による熱伝導が生じるので、確実なはんだ溶融を得ることができ、その結果、はんだシート12が完全に溶融するまでの溶融時間を短縮することも可能になる。図4に示すように、各導電部材11a、11b、11cの実際の温度(点線)が不活性ガス流入により大きく上昇し(点線の傾きが大きくなり)、250℃まで達している。
また、第1真空破壊時に不活性ガスとして、ギ酸蒸気を含んだ不活性ガスを用いることによって、確実なはんだ溶融を得ると共に、未濡れ部分の各導電部材11a、11b、11cと半導体装置13との表面に更なるギ酸還元を生じさせ、濡れ性を向上させることが可能となるので、確実なはんだ接合を得ることができる。
以上説明したように、本発明の実施の形態によれば、非溶融温度で半導体部品2を加熱した状態で、ギ酸蒸気を含む不活性ガス雰囲気を減圧し、その不活性ガス雰囲気を減圧した状態で、非溶融温度で加熱した半導体部品2を溶融温度で加熱することによって、半導体部品2のはんだシート12が溶融する前に、ギ酸蒸気を含む不活性ガス雰囲気が減圧され、雰囲気ガスが減少してからはんだシート12が溶融される。これにより、雰囲気ガスが溶融状態のはんだ層(はんだシート12による接合層)に巻き込まれることが抑えられるので、還元性ガスを用いたはんだ接合において接合後のはんだ層に発生する気泡(ボイド)を抑制することができる。
ここで、前述のはんだ接合を模擬したテストピースを用いて、はんだ接合工程の違いによるはんだボイド率の相違を求めた。はんだ接合工程としては、実施例1、実施例2、実施例3及び比較例の4種類のはんだ接合工程を用いた。
実施例1では、テストピースとして無酸素銅板2枚(寸法は縦横10mm角であり、厚さは0.5mmである)を用い、これらの銅板の間にはんだシート(錫−銀3%−銅0.5%はんだ製、寸法は縦横10mm角であり、厚さは0.05mmである)を挟んで、前述の接合装置1に設置し、第1の雰囲気制御及び温度制御のタイミングチャート(図3参照)によるはんだ接合を行った。なお、不活性ガスとしては、窒素が用いられた。その後、テストピース(N=5)のはんだ層内のボイド、すなわち空孔をX線検査装置により計測し、面積%により評価した結果、ボイド率(平均値)は3%であった。
実施例2でも、実施例1と同じテストピースを用いて前述の接合装置1に設置し、第2の雰囲気制御及び温度制御のタイミングチャート(図4参照)によるはんだ接合を行った。なお、不活性ガスとしては、窒素が用いられ、特に、第1真空破壊を行う場合にも、窒素が用いられた。その後、テストピース(N=5)のはんだ層内のボイド、すなわち空孔をX線検査装置により計測し、面積%により評価した結果、ボイド率(平均値)は3%であった。
実施例3でも、実施例1と同じテストピースを用いて前述の接合装置1に設置し、第2の雰囲気制御及び温度制御のタイミングチャート(図4参照)によるはんだ接合を行った。なお、不活性ガスとしては、窒素が用いられ、特に、第1真空破壊を行う場合には、ギ酸ガスを飽和させた窒素が用いられた。その後、テストピース(N=5)のはんだ層内のボイド、すなわち空孔をX線検査装置により計測し、面積%により評価した結果、ボイド率(平均値)は2%であった。
比較例では、実施例1と同じテストピースを用いて前述の接合装置1に設置し、比較例の雰囲気制御及び温度制御のタイミングチャート(図5参照)によるはんだ接合を行った。なお、この比較例のタイミングチャートにおいて、実施例1〜3との大きな違いは、図5に示すように、はんだが溶融した後に減圧(真空)が行われていることである。その後、テストピース(N=5)のはんだ層内のボイド、すなわち空孔をX線検査装置により計測し、面積%により評価した結果、ボイド率(平均値)は7%であった。
このように実施例1〜3のボイド率は、比較例のボイド率に比べ小さいことがわかる(1/2以下となる)。これにより、第1の雰囲気制御及び温度制御のタイミングチャートあるいは第2の雰囲気制御及び温度制御のタイミングチャートを用いることによって、接合後のはんだ層に発生する気泡(ボイド)を抑制することができることが確認された。なお、実施例3のボイド率は他の実施例1、2より小さいことから、接合後のはんだ層に発生する気泡(ボイド)の抑制効果が高いこともわかる。
なお、本発明は、前述の実施の形態に限るものではなく、その要旨を逸脱しない範囲において種々変更可能である。例えば、前述の実施の形態においては、はんだ材としてはんだシート12を用いているが、これに限るものではない。
2…半導体部品、11a,11b,11c…導電部材、12…はんだ材(はんだシート)、13…半導体装置
Claims (3)
- 導電部材と半導体装置とをはんだ材を介して組み立てた半導体部品を、ギ酸蒸気を含む不活性ガス雰囲気下で前記はんだ材のギ酸還元が進行する温度であって前記はんだ材が溶けない非溶融温度で加熱する工程と、
前記非溶融温度で前記半導体部品を加熱した状態で、前記不活性ガス雰囲気を減圧する工程と、
前記不活性ガス雰囲気を減圧した状態で、前記非溶融温度で加熱した前記半導体部品を前記はんだ材が溶融する溶融温度で加熱する工程と、
前記はんだ材を溶融させた状態で、前記不活性ガス雰囲気に不活性ガスを流入させて前記不活性ガス雰囲気を大気圧に戻し、前記半導体部品を冷却して前記はんだ材を固化させる工程と、
を有することを特徴とする半導体部品の製造方法。 - 前記はんだ材を固化させる工程前に、前記はんだ材を溶融させた状態で、前記不活性ガス雰囲気に不活性ガスを流入させて前記不活性ガス雰囲気を大気圧に戻し、大気圧となった前記不活性ガス雰囲気を再度減圧する工程を有することを特徴とする請求項1記載の半導体部品の製造方法。
- 前記不活性ガスとして、ギ酸蒸気を含む不活性ガスを流入させることを特徴とする請求項2記載の半導体部品の製造方法。
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