JP6504882B2 - 難燃性車両資材用布帛 - Google Patents
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難燃性については、例えば、ハロゲン系難燃剤やリン系難燃剤をポリオレフィンやポリスチレン等の熱可塑性樹脂に添加した難燃性組成物をコーティングやラミネート等の加工方法によって繊維基材に塗布することが行われている(特許文献1参照)。
また、常圧カチオン染料可染ポリエステルを含有する複合糸を用いた布帛を染色するには、染料を2種類用いる必要があり、染色工程が煩雑になる。また、染色後の耐光堅牢度が悪く、車両資材用途には不向きである。
また、難燃加工を行う必要がないので、比較的安価に車両資材用布帛を製造することができる。
中でも、2,2ビス[4−(2−ヒドロキシエトキシ)フェニル]プロパン及び/又はイソフタル酸を共重合したポリエステルを用いることが好ましい。この場合、両成分の共重合比率は特に限定するものではないが、2,2ビス[4−(2−ヒドロキシエトキシ)フェニル]プロパンはアルコール成分中に2〜6mol%、イソフタル酸は酸成分中に4〜8mol%とすることが好ましい。
また、高収縮ポリエステルの主成分はテレフタル酸とエチレングリコールよりなるポリエステルであるが、その他の成分として染色性改善のモノマーや耐熱性改良の化合物等を含有してもよい。
3枚以上の筬を使用して製造するトリコット編地は、適度な厚みを有することから、編地に難燃性を持たせることに寄与する。
これらの糸の総繊度は56〜167dtexであることが好ましく、フィラメント数は、12〜72本であることが好ましい。
本発明に係る編地の一端面近傍に火種を近づけたとき、火種近傍の編地の一部は溶けるが、その後、火が燃え広がることはない。この作用の詳細は定かでないが、以下のように考えられる。すなわち、火種近傍の編地を構成する各糸が火種の熱により溶けると、コイル状の立体捲縮糸は、編み組織の連結から解放されて収縮する。これにより、編地が収縮することになり、編地が火種から遠ざかる。このため、火種からの熱は遮断され、立体捲縮糸が収縮した編地部分の温度が下がり、樹脂は固まる。よって、編地上に火が燃え広がることがない。
なお、各物性の測定及び試験は以下の方法で行った。
JIS L2013(2010)に準じて測定した。
2)マルチフィラメントの沸水収縮率
試料に110mg/dtexの荷重をかけて試料長を測定した後、1.5mg/dtexの荷重を掛けたまま沸水中に20分間浸漬した後、試料に110mg/dtexの荷重をかけて試料長を測定し、沸水処理前後の試料長より収縮率(%)を算出した。
FMVSS302法に記載される燃焼性試験を実施し、燃焼速度を求めた。
全く不燃0(cm/min)のものを○、燃焼したが、燃焼速度の最大値が10cm/min未満、若しくは、試験片の燃焼がA標線に達してから1 分経過する前に停止し、かつ、A標線に達した後の試験片の燃焼した長さが5cm未満であった場合は△、燃焼速度の最大値が10cm/min以上、或いは、試験片の燃焼がA標線に達してから1 分経過しても燃焼し続け、かつA標線に達した後の試験片の燃焼した長さが5cm以上であった場合は×と判定した。
紫外線オートフェードメーターを用い、ブラックパネル温度が83℃の条件で400時間照射した後、JIS L 0804(2010)に準じ、変退色用グレースケールにより変退色を1級〜5級で判定した。
変色:4級以上、並びに退色:3級以上のものを○、変色:4級以上、或いは退色:3級以上の何れか1つのみが満足していたものを△、変色:4級未満、かつ退色:3級未満であったものを×と判定した。
下記の糸使いにより、3枚筬でトリコット編地を製造した。
〔バック〕
高収縮ポリエステル(テレフタル酸を主成分として酸成分に対しイソフタル酸を5mol%添加し、エチレングリコールとグリコール成分に対し2,2ビス[4−(2−ヒドロキシエトキシ)フェニル]プロパンを5mol%添加して重合した、粘度:0.686の共重合ポリエステル)と低収縮ポリエステル(ポリエチレンテレフタレート(粘度:0.64))を1:1の比率でサイドバイサイドに貼り合わせた複合繊維からなる立体捲縮型複合マルチフィラメント(84dtex/24f)。
該マルチフィラメントの破断強度は4.10cN/dtex、破断伸度は33.0%、沸水収縮率は5.7%であった。
〔ミドル〕〔フロント〕
ポリエチレンテレフタレート(セミダル)の2ヒーター仮撚り加工マルチフィラメント(酸化チタン含有量0.3%、84dtex/48f)。
該仮撚り加工マルチフィラメントの破断強度は4.56cN/dtex、破断伸度は22.5%、沸水収縮率は1.0%であった。
〔編み立て〕
トリコット編
ウエール:28本/2.54cm、コース:47本/2.54cm
編地サイズ:経58.7m、幅211.5cm
立体捲縮型複合マルチフィラメントをバックに用いて、フロントの筬には、フルセット筬入れを行い、それぞれ1×4のコード組織で、また、仮撚り加工マルチフィラメントをミドルとフロントに用いて、1イン1アウトのアトラス組織で編立を実施した。
それぞれの糸の使用量は、バック糸:63.0質量%、フロント、ミドル糸はそれぞれ共に18.5質量%であった。
〔プレウェット処理〕
予めトリコット編地を収縮させることで、染色時に発生する染色皺の発生を防止する目的で、湿熱温度95℃、15分間の湿熱処理を行った。
〔染色〕
湿熱温度130℃、45分間で通常の染色処理を行った。尚、このとき、難燃剤の付与は行わなかった。
〔仕上げ〕
ファイナルテンターを使用し、165℃で熱セットを行った。
〔仕上げ編地〕
ウエール:37本/2.54cm、コース:60本/2.54cm
編地サイズ:経52.8m、幅155cm
フロント及びミドルに110dtex/48fのポリエチレンテレフタレート(セミダル)の2ヒーター仮撚り加工マルチフィラメント(酸化チタン含有量0.3%、破断強度は4.51cN/dtex、破断伸度は21.6%、沸水収縮率は1.2%)を用いた以外は実施例1と同様の糸使いで、3枚筬でトリコット編地を製造した。
〔編み立て〕
トリコット編
ウエール:28本/2.54cm、コース:51本/2.54cm
編地サイズ:経58.7m、幅211.5cm
それぞれの糸の使用量は、バック糸:56.0質量%、フロント、ミドル糸はそれぞれ共に22.0質量%であった。
〔プレウェット処理〕
予めトリコット編地を収縮させることで、染色時に発生する染色皺の発生を防止する目的で、湿熱温度95℃、15分間の湿熱処理を行った。
〔染色〕
湿熱温度130℃、45分間で通常の染色処理を行った。尚、このとき、難燃剤の付与は行わなかった。
〔仕上げ〕
ファイナルテンターを使用し、165℃で熱セットを行った。
〔仕上げ編地〕
ウエール:37本/2.54cm、コース:54本/2.54cm
編地サイズ:経52.8m、幅161cm
下記の糸使いにより、3枚筬でトリコット編地を製造した。
〔バック〕
高収縮ポリエステル(テレフタル酸を主成分として酸成分に対しイソフタル酸を5mol%添加し、エチレングリコールとグリコール成分に対し2,2ビス[4−(2−ヒドロキシエトキシ)フェニル]プロパンを5mol%添加して常法により重合した、粘度:0.686の共重合ポリエステル)と低収縮性ポリエステル(ポリエチレンテレフタレート(粘度:0.64))を1:1の比率でサイドバイサイドに貼り合わせた複合繊維からなる立体捲縮型複合マルチフィラメント(110dtex/24f)。
該マルチフィラメントの破断強度は4.15cN/dtex、破断伸度は36.5%、沸水収縮率は5.7%であった。
〔ミドル〕〔フロント〕
実施例1と同様のポリエチレンテレフタレート(セミダル)の2ヒーター仮撚り加工マルチフィラメント(酸化チタン含有量0.3%、84dtex/48f)。
〔編み立て〕
トリコット編
ウエール:28本/2.54cm、コース:42本/2.54cm
編地サイズ:経58.7m、幅211.5cm
該立体捲縮型複合マルチフィラメントをバックに用いて、フロントの筬には、フルセット筬入れを行い、それぞれ1×4のコード組織で、また、仮撚り加工マルチフィラメントをミドルとフロントに用いて、1イン1アウトのアトラス組織で編立を実施した。
それぞれの糸の使用量は、バック糸:71.0質量%、フロント、ミドル糸はそれぞれ共に14.5質量%であった。
〔プレウェット処理〕
予めトリコット編地を収縮させることで、染色時に発生する染色皺の発生を防止する目的で、湿熱温度95℃、15分間の湿熱処理を行った。
〔染色〕
湿熱温度130℃、45分間で通常の染色処理を行った。尚、このとき、難燃剤の付与は行わなかった。
〔仕上げ〕
ファイナルテンターを使用し、165℃で熱セットを行った。
〔仕上げ編地〕
ウエール:37本/2.54cm、コース:46本/2.54cm
編地サイズ:経52.8m、幅155cm
下記の糸使いにより、3枚筬でトリコット編地を製造した。
〔バック〕
ポリエチレンテレフタレート(セミダル)の2ヒーター仮撚り加工マルチフィラメント(酸化チタン含有量0.3%、84dtex/48f)。
該仮撚り加工マルチフィラメントの破断強度は4.56cN/dtex、破断伸度は22.5%、沸水収縮率は1.0%であった。
〔ミドル〕〔フロント〕
実施例1同様にポリエチレンテレフタレートの2ヒーター仮撚り加工マルチフィラメント(酸化チタン含有量0.3%、84dtex/48f)。
〔編み立て〕
トリコット編
ウエール:28本/2.54cm、コース:47本/2.54cm
編地サイズ:経58.7m、幅211.5cm
仮撚り加工マルチフィラメントをバックに用いて、フロントの筬には、フルセット筬入れを行い、それぞれ1×4のコード組織で、また、仮撚り加工マルチフィラメントをミドルとフロントに用いて、1イン1アウトのアトラス組織で編立を実施した。
それぞれの糸の使用量は、バック糸:63.0質量%、フロント、ミドル糸はそれぞれ共に18.5質量%であった。
〔プレウェット処理〕
予めトリコット編地を収縮させることで、染色時に発生する染色皺の発生を防止する目的で、湿熱温度95℃、15分間の湿熱処理を行った。
〔染色〕
湿熱温度130℃、45分間で通常の染色処理を行った。尚、このとき、難燃剤の付与は行わなかった。
〔仕上げ〕
ファイナルテンターを使用し、165℃で熱セットを行った。
〔仕上げ編地〕
ウエール:37本/2.54cm、コース:60本/2.54cm
編地サイズ:経52.8m、幅155cm
高収縮ポリエステル(テレフタル酸を主成分として酸成分に対しイソフタル酸を5mol%添加し、エチレングリコールとグリコール成分に対し2,2ビス[4−(2−ヒドロキシエトキシ)フェニル]プロパンを5mol%添加して重合した、粘度:0.686の共重合ポリエステル)と低収縮ポリエステル(ポリエチレンテレフタレート(粘度:0.64))を1:1の比率でサイドバイサイドに貼り合わせた複合繊維からなる立体捲縮型複合マルチフィラメント(84dtex/24f)を用いた。
該マルチフィラメントの破断強伸度は、破断強度4.10cN/dtex、破断伸度33.0%、沸水収縮率は5.7%であった。
該マルチフィラメントをヨコ糸に用い、タテ糸には、実施例1記載のポリエチレンテレフタレート(セミダル)の2ヒーター仮撚り加工マルチフィラメントを用いて、平組織の織物(ヨコ糸密度:80本/2.54cm、タテ糸密度:122本/2.54cm)を作成した。織物中、立体捲縮型複合マルチフィラメントは60.9質量%、ポリエチレンテレフタレート(セミダル)の2ヒーター仮撚り加工マルチフィラメントは39.1質量%用であった。
〔精練処理〕
製織性を向上させるためタテ糸に付与した糊剤、繊維油剤を除去する目的で、弱アルカリ溶液中で湿熱温度:90℃、20分間の湿熱処理を行った。
〔染色〕
湿熱温度:130℃、45分間で通常の染色処理を行った。尚、このとき、難燃剤の付与は行わなかった。
〔仕上げ〕
ファイナルテンターを使用し、165℃で熱セットを行った。
〔仕上げ織物〕
タテ密度:122本/2.54cm、ヨコ密度:83本/2.54cm
織物サイズ:経50.1m、幅150cm
一方、比較性1のトリコット編地は、無起毛の織物調の外観を有し、風合いも良好であったが、燃焼試験において、不合格の結果であり、難燃性を有するものではなかった。
また、比較例2の織物も、燃焼試験において、不合格の結果であり、難燃性を有するものではなかった。
Claims (2)
- 3枚以上の筬を使用して製造するトリコット編地であって、サイドバイサイド型ポリエステル立体捲縮糸を50質量%以上含有してなり、前記サイドバイサイド型ポリエステル立体捲縮糸が、収縮性の異なる2種のポリエステル樹脂からなり、収縮の大なるポリエステル樹脂が、2,2ビス[4−(2−ヒドロキシエトキシ)フェニル]プロパン及び/又はイソフタル酸を第三成分とする共重合ポリエステル樹脂であり、収縮の小なるポリエステル樹脂がポリエチレンテレフタレートであることを特徴とする難燃性車両資材用布帛。
- 前記トリコット編地において、フロント糸及びミドル糸に、ポリエステル仮撚加工糸を用い、バック糸にサイドバイサイド型ポリエステル立体捲縮糸を使用していることを特徴とする請求項1に記載の難燃性車両資材用布帛。
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