JP6504005B2 - 光走査装置、およびそれを備えた画像形成装置 - Google Patents

光走査装置、およびそれを備えた画像形成装置 Download PDF

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Description

本発明は画像形成技術に関し、特に電子写真方式における感光体の露光技術に関する。
電子写真方式の画像形成装置には、感光体の露光走査に光走査装置を利用する機種がある。光走査装置は半導体レーザーまたは発光ダイオード(LED)を光源として備え、その光源から出射する光線を、ポリゴンミラーとfθレンズとの組み合わせ等から構成される走査光学系で周期的に偏向しながら感光体の表面に結像させる。この偏向動作の各周期では光線のスポットが感光体の表面を一方向(以下、「主走査方向」という。)に移動するので、その表面が直線状に露光される。このときの露光量を光走査装置が、画像データの表す画像の各ラインに従って変調するので、直線状の各露光領域ではその変調パターンに従って帯電量の分布が変化する。こうして、感光体の表面に静電潜像の各ラインが形成される。この静電潜像にトナーが付着すると、帯電量の分布に応じてトナー濃度が変化する。すなわち、光走査装置による露光量の変化がトナーの濃淡として可視化される。
近年、画像形成装置に対する更なる高速化かつ高精細化の要求が高まっている。いずれの要求をも満たすことを目的として、光走査装置に対して次の2点で改良が試みられている。1点は、ポリゴンミラーの回転数を高める等、走査光学系に偏向動作を高速化させて1ラインの形成に要する時間を短縮することである。もう1点は、光源から複数本の光線(「マルチビーム」ともいう。)を出射させて走査光学系の1回の偏向動作で1つの感光体に形成されるラインを複数にすることである(たとえば特許文献1−3参照)。
いずれの改良においても、走査光学系に起因する光量むらへの対策が必要である。「光量“むら(斑)”」とは、走査光学系の反射率と透過率とが厳密には偏向角に応じて異なることに伴い、光源に出射光量を一定に維持させても走査光学系から感光体への照射光量が主走査方向の位置に応じて変動する現象をいう。この変動がそのまま露光量の変化に反映されれば、静電潜像の1ラインには帯電量の“むら”が現れるので、トナー像の対応する1ラインにはトナー濃度の“むら”が現れる。したがって、シート上の画質を向上させるには、偏向角の変化に伴う走査光学系から感光体への照射光量の変動を抑えることにより、光量むらを可及的に除去することが望ましい。
光量むらを抑制する既存の技術は、感光体への照射光量の上記の変動を光源の出射光量に対する補正で相殺する(たとえば特許文献4−8参照)。このときの補正値はたとえば次の手順で設定される。(1)光源の出射光量が一定の状態で感光体への照射光量の変動が標本化(サンプリング)される。たとえば、照射光のスポットが感光体の表面に描く直線から複数の位置が離散的に選択され、各位置での標本値(サンプル)として照射光量の基準値に対する比が走査光学系のモデルから算定され、または実験で測定される。(2)サンプルごとに相殺に必要な補正値、たとえばそのサンプルの逆比が算定される。(3)それらの補正値と、サンプルが得られた位置とに基づき、照射光のスポットの位置と適用対象の補正値との間の対応関係が設定される。
特開2005−241686号公報 特開2003−266757号公報 特開平11−064765号公報 特開2013−240996号公報 特開2011−158761号公報 特開2011−158760号公報 特開2009−262344号公報 特開2009−053466号公報
画像形成装置の更なる高速化かつ高精細化を目的とする1つの改良は、光走査装置に光源から複数本の光線を1つの感光体に照射させて、その表面にラインを走査光学系の偏向動作1回当たりに複数本ずつ形成させる。この場合、画像を更に高精細化するには、複数本の光線が感光体の表面に結ぶ複数のスポットの間隔(ピッチ)を可及的に狭めてラインの密度を増大させることが好ましい。しかし、光源に埋め込まれる各発光素子の構造には最低限必要なサイズがある。また、発光素子間の熱的、電気的等のクロストークを回避するには、発光素子間にある程度の距離を置かなければならない。これらの結果、光源から感光体への照射光線のスポットの間隔には数十μm−数百μmの下限がある。
この下限にかかわらずラインの密度を、1200dpi、2400dpi(ラインの間隔=21μm、11μm)等、この下限の逆比よりも増大させるには、たとえばスポットの配列方向を主走査方向に対して垂直な方向(以下、「副走査方向」という。)から傾斜させればよい。この傾斜角を調節することにより、スポットそのものの間隔を上記の下限以上に維持したままでも、スポットが描くラインの間隔をその下限よりも狭めることは可能である。
この場合、スポットごとに主走査方向の同じ位置に到達するタイミングが異なるので、光量むらの抑制を目的とする光源の出射光量に対する補正には、補正値の変更のタイミングを出射光線ごとに変化させる工夫が必要である。たとえば、特許文献5に開示された技術は補正値とその適用のタイミングとの間の対応表を光線別に設定する。特許文献4、6に開示された技術は、補正値を光線間で共通にする一方、補正値の変更では先頭のスポットに対するタイミングを基準として後続のスポットに対するタイミングを遅延させる。
しかし、既存の工夫はいずれも光走査装置に回路規模の大幅な拡大を要求する点で好ましくない。たとえば、特許文献5に開示された技術では光源からの出射光線数に比例して対応表のデータ量が増大するので、光走査装置はその増大に合わせてメモリーの規模を拡大しなければならない。特許文献4、6に開示された技術では光走査装置は、感光体上の露光対象の領域を先頭のスポットが通過し始めてから最後のスポットが通過し終えるまでクロックを数え続けなければならないので、カウンターの規模を拡大してその計数上限を引き上げる必要がある。
このカウンターの規模は、スポットの(特に主走査方向における)間隔のばらつきが考慮された場合には更に拡大を迫られかねない。実際、補正値の変更のタイミングはクロックの立ち上がりまたは立ち下がりに一致するように設計される。したがって、スポットの間隔のばらつきに伴って真のタイミングがクロックの立ち上がり等から外れれば、補正に誤差が生じる。この誤差を除去するには、クロックの周波数を設計値から増減させてその立ち上がり等を変位させる必要がある。この周波数の増減可能な範囲には限界があるので、上記の誤差を常に除去可能にするには周波数の設計値を予め十分に高く設定しなければならない。この設定はカウンターの計数上限を更に引き上げるので、このカウンターの規模が過大になりかねない。
本発明の目的は上記の課題を解決することであり、特に複数本の光線で同じ感光体を同時に露光走査する際、それらの光線の光量に対する補正に利用する回路規模を過大にすることなく、光量むらの抑制効果を向上させることが可能な光走査装置を提供することにある。
本発明の1つの観点における光走査装置は、感光体に露光走査によって画像を形成する光走査装置であり、第1光線と第2光線とを出射させ、光線ごとに光量を調節可能である光源と、第1光線と第2光線とを周期的に偏向しながら感光体の表面に結像させることにより、両光線のスポットの間隔を主走査方向と副走査方向との両方で保ったまま、そのスポットを主走査方向へ移動させる走査光学系と、各光線の光量を画像データに従って変調する変調部と、各光線のスポットの主走査方向の位置に応じて補正値を選択し、その補正値でその光線の光量を補正する補正部とを備えている。この補正部は、第1光線の周期的な偏向に同期してクロック信号を、第1光線のスポットが所定の位置に到達するタイミングで立ち上がりまたは立ち下がるように生成する発振部と、パルス幅変調によってクロック信号のデューティー比を、第1光線と第2光線とのスポットの主走査方向の間隔で決まる目標値に一致させるパルス幅変調部と、このパルス幅変調部が変調したクロック信号の立ち上がりまたは立ち下がりを数え、立ち上がりの回数が所定数に到達するタイミングと、立ち下がりの回数が所定数に到達するタイミングとを示すタイミング信号を生成するタイミング生成部と、このタイミング信号に応じて第1光線と第2光線との各光量に対する補正値の選択を、一方はパルス幅変調部が変調したクロック信号の立ち上がりに同期させ、他方はパルス幅変調部が変調したクロック信号の立ち下がりに同期させる切換部とを含む。
補正部は、各光線のスポットが移動する感光体上の領域に主走査方向の座標を設定してその座標の取り得る範囲を複数の補正区間に分割し、そのスポットの座標が各補正区間に到達するタイミングでその光線の光量に対する補正値をその補正区間に対する補正値に変更し、発振部はクロック信号の立ち上がりまたは立ち下がりを、第1光線のスポットが各補正区間に到達するタイミングに一致させてもよい。
この光走査装置は、走査光学系による第1光線の偏向角が所定値に到達するタイミングを検出する検出部を更に備えてもよい。この場合、発振部は、その検出部が検出したタイミングにクロック信号の立ち上がりまたは立ち下がりを一致させてもよい。
走査光学系は各光線を偏向させる周期を変更可能であり、パルス幅変調部はその周期の変更に合わせてクロック信号のデューティー比の目標値を変更してもよい。さらに、パルス幅変調部はクロック信号のデューティー比の目標値を変更する際、変更後の目標値が取り得る範囲を0以上1以下よりも狭く制限してもよい。
光源は更に第3光線を出射させ、走査光学系は第3光線を第1光線と第2光線と同様に周期的に偏向させながら第1光線と第2光線とのスポットの間に結像させることにより、3本の光線のスポットの間隔を主走査方向と副走査方向との両方で保ったまま、それらのスポットを主走査方向へ移動させ、発振部は第3光線の周期的な偏向に同期して別のクロック信号を、第3光線のスポットが所定の位置に到達するタイミングで立ち上がりまたは立ち下がるように生成し、タイミング生成部はその別のクロック信号の立ち上がりまたは立ち下がりを数え、立ち上がりの回数または立ち下がりの回数が所定数に到達するタイミングを示す別のタイミング信号を生成し、切換部はその別のタイミング信号に応じて第3光線の光量に対する補正値の選択を別のクロック信号の立ち上がりまたは立ち下がりに同期させてもよい。
光源は更に第4光線から第2n光線(整数nは2以上である。)までを出射させ、走査光学系は第4光線から第2n光線までを第1光線から第3光線までと同様に周期的に偏向させながら感光体の表面に結像させることにより、主走査方向に沿って第(2m−1)光線(整数m=1、2、3、…、n。)のスポットを順番に配列し、続いて第2m光線のスポットを順番に配列し、その配列の間隔を主走査方向と副走査方向との両方で保ったまま、その配列を主走査方向へ移動させ、発振部は、上記のクロック信号と別のクロック信号とを含む第mクロック信号を第(2m−1)光線の周期的な偏向に同期してその光線のスポットが所定の位置に到達するタイミングで立ち上がりまたは立ち下がるように生成し、パルス幅変調部はパルス幅変調によって第mクロック信号のデューティー比を、第(2m−1)光線と第2m光線とのスポットの主走査方向の間隔で決まる目標値に一致させ、タイミング生成部は第mクロック信号の立ち上がりまたは立ち下がりを数え、上記のタイミング信号と別のタイミング信号とを含む第mタイミング信号を、第mクロック信号の立ち上がりの回数が所定数に到達するタイミングと立ち下がりの回数が所定数に到達するタイミングとを示すように生成し、切換部は第mタイミング信号に応じて第(2m−1)光線と第2m光線との各光量に対する補正値の選択を、一方はパルス幅変調部が変調した第mクロック信号の立ち上がりに同期させ、他方はパルス幅変調部が変調した第mクロック信号の立ち下がりに同期させてもよい。
本発明の1つの観点における画像形成装置は、シートにトナー像を形成する画像形成装置であり、露光量に応じて帯電量が変化する感光体と、その感光体に露光走査によって静電潜像を形成する上記の光走査装置と、その静電潜像をトナーで現像する現像部と、その現像部が現像したトナー像を感光体からシートへ転写する転写部とを含む。
本発明による光走査装置は上記のとおり、光源から2本の光線を出射させ、両光線が走査光学系を通して感光体の表面に結ぶスポットの主走査方向の間隔に応じてクロック信号のデューティー比を調節し、両光線の一方の光量に対する補正値をクロック信号の立ち上がりに同期して選択し、他方に対する補正値をクロック信号の立ち下がりに同期して選択する。これによりこの光走査装置は、スポットの主走査方向の間隔がばらついても、クロック信号の周波数を変えることなく補正値の変更のタイミングを適切に修正することができる。その結果、この光走査装置は、複数本の光線で同じ感光体を同時に露光走査する際に、それらの光線の光量に対する補正に利用する回路規模を過大にすることなく、光量むらの抑制効果を向上させることができる。
本発明の実施形態による画像形成装置の内部構造を示す正面図である。 図1の示す光走査部の上面図である。 (a)は、図2の示す各半導体レーザーのパッケージと、それに内蔵されたレーザー発振子の2つの発光点とを示す模式図であり、(b)は、半導体レーザーからの2本の出射光線が図2の示す走査光学系を通して感光体ドラム上に結ぶ2つのスポットを示す模式図である。 図1の示す画像形成装置が含む電子制御系統のブロック図である。 図2の示す光走査部が含む半導体レーザーの駆動回路のブロック図である。 図5の示すSH部の回路構成の詳細を示すブロック図である。 (a)は、感光体ドラムの表面上の同じ主走査位置に2本の光線のスポットが到達する時刻とCLK信号、MCL信号のパルス波形との間の対応関係を示すタイミングチャートであり、(b)は、これらのスポット間の遅延時間を表す整数値とMCL信号のデューティー比の目標値との組み合わせとシートの搬送速度との間の対応表である。 図5の示すタイミング生成部に関係する信号のタイミングチャートである。 (a)は、図5の示す補正部が設定する補正値と感光体ドラム上の主走査位置との間の対応関係を表す補正曲線のグラフであり、(b)は、補正区間の境界の主走査位置と補正値との間の対応表である。 (a)は、ポリゴンミラーに対する光源のレーザー光線の入射角を示す模式図である。(b)は、fθレンズに対するポリゴンミラーの反射光の入射角を示す模式図である。(c)は、光源が出射光量を一定に維持する条件下で感光体ドラムへの照射光量に現れる変動を示すグラフである。 (a)は、図9の(a)の示す補正曲線に対する補正区間の境界の設定条件を示すグラフであり、(b)は、その一部の拡大図である。 図2、図5、図6の示す光走査部に対する制御のフローチャートである。 図12の示すステップS102においてMCL信号を生成するサブルーチンのフローチャートである。 図5、図6の示すタイミング生成部による指示信号、タイミング信号の生成処理のフローチャートである。 (a)は、本発明の実施形態の変形例による半導体レーザーに内蔵のレーザー発振子上の発光点を示す模式図であり、(b)は、図5の示す補正区間のいずれかの境界に(a)の示す半導体レーザーからの各光線のスポットが到達する時刻とCLK信号、MCL信号のパルス波形との間の対応関係を示すタイミングチャートであり、(c)は、CLK信号別に制御対象の光線の対とデューティー比の目標値との間の対応関係を示す表である。
以下、本発明の実施形態について、図面を参照しながら説明する。
[画像形成装置の内部構造]
図1は、本発明の実施形態による画像形成装置100の内部構造を模式的に示す正面図である。この画像形成装置100はカラーレーザープリンターである。図1にはこのプリンター100の内部の要素が、あたかも筐体の前面を透かして見えているように描かれている。図1を参照するにプリンター100は、給送部10、作像部20、定着部30、および排紙部40を含む。
−給送部−
給送部10は搬送ローラー群12、13、14を利用して給紙カセット11からシートSHTを1枚ずつ作像部20へ給送する。給紙カセット11に収容可能なシートSHTの材質は紙または樹脂であり、サイズは、A3、A4、A5、またはB4等である。搬送ローラー群の中で最も作像部20に近いタイミングローラー14は一般に停止しており、後述の主制御部60(図4参照。)からの駆動信号に応じて回転する。その駆動信号が示すタイミングでタイミングローラー14はシートSH2を作像部20へ送り出す。
−作像部−
作像部20は、給送部10から送られたシートSH2の上にトナー像を形成する。
具体的には、4つの作像ユニット21Y、21M、21C、21Kがまず、感光体ドラム25Y、25M、25C、25Kの表面を一様に帯電させた上で、それらの表面を光走査部26に軸方向(図1の示すX軸方向(紙面の法線方向))に露光走査させる。このとき、光走査部26は感光体ドラム25Y、…への照射光量を、画像データが表す1ラインのイエロー(Y)、マゼンタ(M)、シアン(C)、ブラック(K)の階調値に基づいて変調する。一方、感光体ドラム25Y、…の表面では露光領域から電荷が消失する。こうしてそれらの表面には、Y、M、C、Kの階調値の変化に対応するパターンで帯電量の分布が変化した領域、すなわち静電潜像の1ラインが生じる。
作像ユニット21Y、…は次に、Y、M、C、Kの4色のトナーを1色ずつ帯電させて静電潜像の1ラインに付着させる。これにより、異なる感光体ドラム25Y、…の表面には異なる色のトナー像の1ラインが現像される。
このような露光と現像とを各作像ユニット21Y、…は感光体ドラム25Y、…を回転させながら、画像データの表すラインごとに繰り返す。こうして、その画像データの表す4色の画像が4つの感光体ドラム25Y、…の各表面に1色ずつのトナー像として再現される。
これら4色のトナー像は1次転写ローラー22Y、22M、22C、22Kと感光体ドラム25Y、…との間の電界により、感光体ドラム25Y、…の表面から順番に中間転写ベルト23の表面の同じ位置へ重ねて転写される。その結果、その位置に1つのカラートナー像が構成される。このカラートナー像は更に、中間転写ベルト23がその駆動ローラー23Rと2次転写ローラー24との間のニップで給送部10から通紙されたシートSH2に接触したとき、両者23R、24の間の電界によりそのシートSH2の表面へ転写される。その後、中間転写ベルト23の駆動ローラー23Rと2次転写ローラー24とはそのシートSH2を定着部30へ送り出す。
図1を参照するに、感光体ドラム25Y、…の表面に現れたトナー像の1ラインは、シートSH2の表面に転写された後では2次転写ローラー24によるそのシートSH2の搬送方向に対して垂直である。一方、その1ラインとその次に感光体ドラム25Yの表面に生じた1ラインとは、シートSH2の表面に転写された後ではそのシートSH2の搬送方向に並ぶ。したがって、以下では、光走査部26が照射光で感光体ドラム25Y、…の表面を走査する方向(図1の示すX軸方向(紙面の法線方向))等、トナー像の1ラインの方向に対応する方向をいずれも「主走査方向」と総称し、感光体ドラム25Y、…の回転方向およびシートSH2の搬送方向(図1の示すY軸方向)等、トナー像のラインが並ぶ方向に対応する方向をいずれも「副走査方向」と総称する。
−定着部−
定着部30は、作像部20から送り出されたシートSH2の上にトナー像を熱定着させる。具体的には、定着ローラー31と加圧ローラー32との間のニップにそのシートSH2が通紙されるとき、定着ローラー31はそのシートSH2の表面へ内蔵のヒーターの熱を加え、加圧ローラー32はそのシートSH2の加熱部分に対して圧力を加えて定着ローラー31へ押し付ける。定着ローラー31からの熱と加圧ローラー32からの圧力とにより、トナー像がそのシートSH2の表面に定着する。
−排紙部−
排紙部40は、トナー像が定着したシートSH3をプリンター100の筐体の外へ排紙する。具体的には、まずシートSH3が定着部30の上部からガイド板41に沿って移動する。このとき排紙部40は、プリンター100の筐体に開けられた水平方向のスリット42の内側に配置された排紙ローラー43を回転させ、その周面でシートSH3をスリット42の外へ送り出す。これによりこのシートSH3は、プリンター100の上面の含む排紙トレイ44に収容される。
プリンター100のこれらの要素10、20、30、40は、搬送ローラー群12、13、14、23R、24、31、43の駆動モーター(図1は示していない。)を制御してシートの搬送速度を、後述の主制御部60(図4参照。)から指示された目標値に維持する。
[光走査部]
図1は光走査部26の縦断面図を含む。図2は光走査部26の上面図である。図2では説明の便宜上、光走査部26を覆う上板部材が除去されている。図2にはまた、図1の示す光走査部26の縦断面の位置が直線I−Iで示されている。図1、図2を参照するに光走査部26は、光源260、走査光学系、および制御部300を含む。走査光学系は、ポリゴンミラー271、モーター272、fθレンズ273、および4組の折り返しミラー(28Y、29Y)、(28M、29M)、(28C、29C)、28Kを含む。
−光源−
光源260は、4個の半導体レーザー26Y、26M、26C、26K、4枚のミラー261−264、およびシリンドリカルレンズ265を含む。
いずれの半導体レーザー26Y、…も構造は共通である。図3の(a)は、そのうちの1つの半導体レーザー26Yのパッケージを示す模式図である。図3の(a)を参照するに半導体レーザー26Yはレーザー発振子361を含む。レーザー発振子361はたとえばレーザーダイオード(LD)であり、特にPN接合を含む半導体チップである。レーザー発振子361はたとえば波長790nmまたは660nmのレーザー光線を2本、数mW〜十数mWの出力で出射可能である。レーザー発振子361は、PN接合に対する順方向電圧の印加に伴って活性層内でホールと電子とが再結合して発生させた光を、反射鏡により活性層内で往復させて増幅する。この往復の方向がチップの表面に対して平行である端面発光型と、垂直である垂直共振器面発光型(VCSEL)との2種類にレーザー発振子361は大別される。図3の(a)は、これらの種類別に、パッケージに内蔵されたレーザー発振子361の2つの発光点(PE1、PE2)、(PS1、PS2)を示す模式的な拡大図EEL、VCSが含まれる。これらの発光点(PE1、PE2)、(PS1、PS2)の間では、印加電圧こそ共通であっても供給電流量は互いに独立であるので、出射光量は発光点ごとに調節可能である。
レーザー発振子361が端面発光型である場合、図3の(a)の拡大図の一方EELが示すように、この発振子361はチップの端面がパッケージの出射口362から覗くように配置され、その端面が2つの発光点PE1、PE2を含む。図3の(a)は示していないが、レーザー発振子361に対して出射口362と反対側には光量センサーが配置されている。この光量センサーはたとえばフォトダイオード(PD)であり、出射口362から覗くレーザー発振子361の端面とは反対側の端面から出射する光量を検出し、その光量に比例する出力電流量を図2の示す制御部300にフィードバックする。
レーザー発振子361がVCSELである場合、図3の(a)の拡大図の他方VCSが示すように、この発振子361はチップの表面がパッケージの出射口362から覗くように配置され、その表面が2つの発光点PS1、PS2を含む。VCSELは端面発光型とは異なり、出射口362から覗く表面からしかレーザー光が出射されない。したがって、光量センサーはVCSELの内部ではなく、たとえば図2の示す第4ミラー264の裏側に配置される(図2は示していない)。この場合、第4ミラー264はハーフミラーである。光量センサーはたとえばPDであり、レーザー発振子361からの出射光量のうち、第4ミラー264を透過した分量を検出して、その分量に比例する出力電流量を制御部300にフィードバックする。
図2を再び参照するに、第1半導体レーザー26Y、第2半導体レーザー26M、および第3半導体レーザー26Kは出射方向が共通であり、その方向に対して垂直な方向に等間隔で配置されている。一方、第4半導体レーザー26Cは、その出射方向が他の半導体レーザー26Y、26M、26Kの出射方向と直交するように配置されている。図1、図2は示していないが、4個の半導体レーザー26Y、…は出射口の高さ(図1では紙面の上下方向の位置であり、図2では紙面の法線方向の位置である。)が異なるので、それらからの出射光線LY、LM、LC、LKは進路の高さが異なる。
第1ミラー261、第2ミラー262、および第3ミラー263は、第1半導体レーザー26Y、第2半導体レーザー26M、および第3半導体レーザー26Kの各出射口の前に1枚ずつ、その出射口からの出射光線LY、LM、またはLKのみが当たるように配置されている。いずれのミラー261、…、263も半導体レーザー26Y、…、26Kからの出射光線LY、…、LKを反射して90°偏向させる。第4ミラー264は他の3枚のミラー261、…、263からの反射光線と第4半導体レーザー26Cからの出射光線LCとを同じ方向へ反射するように設置されている。
シリンドリカルレンズ265は第4ミラー264からの反射光線LLを透過させてポリゴンミラー271に照射する。シリンドリカルレンズ265は特にその照射光線を、ポリゴンミラー271の回転軸方向(図1では紙面の上下方向であり、図2では紙面の法線方向である。)ではポリゴンミラー271の側面に結像させると共に、その方向と照射方向との両方に直交する方向(図1では紙面の左右方向であり、図2では紙面に平行で、かつ出射光線LLに対して垂直な方向である。)では平行光に変換する。後述のとおり、ポリゴンミラー271の回転軸方向は副走査方向であり、その方向と第4ミラー264からの反射光線LLの進行方向との両方に直交する方向は主走査方向である。
−走査光学系−
ポリゴンミラー271は正多角柱(図2の例では正7角柱)状の部材であり、いずれの側面にも鏡面加工が施されている。これにより、各側面は入射光を反射して偏向させる。以下、これらの側面を「偏向面」と呼ぶ。
ポリゴンミラー271はその中心軸のまわりで回転可能に支持されている。モーター272はポリゴンミラー271に駆動力を与えてその中心軸のまわりに回転させる。特に光源260からポリゴンミラー271へ光線LLが出射する間、モーター272はポリゴンミラー271の角速度を所定値に維持する。
図2を参照するに、ポリゴンミラー271は光源260からの出射光線LLを反射して偏向させると共に、自身の回転によってその出射光線LLと反射光線RLとの進行方向が成す角度、すなわちその出射光線LLの偏向角を変化させる。具体的には、ポリゴンミラー271が回転角θだけ回転する間に偏向角はその2倍の角度2θだけ変化する。さらに、ポリゴンミラー271の回転に伴い、光線LLを実際に反射する偏向面が周期的に移り変わることにより、偏向角は最小値φLから最大値φRまでの範囲で連続的に、かつ周期的に変化する。特にポリゴンミラー271が等角速度で回転する場合に偏向角は、最大値φRから最小値φLへは一定の速度で変化し、最小値φLから最大値φRへは瞬間的に変化する。
fθレンズ273は、ポリゴンミラー271からの反射光線RLを透過して折り返しミラー28Y、28M、28C、28Kへ照射するように配置されている。2枚の第1折り返しミラー28Y、29Y、2枚の第2折り返しミラー28M、29M、2枚の第3折り返しミラー28C、29C、および1枚の第4折り返しミラー28Kはいずれも細長い板状であり、図1、図2が示すとおり、長手方向が感光体ドラム25Y、…の軸方向と平行に配置されている。図1を参照するに、第1折り返しミラーの一方28Y、第2折り返しミラーの一方28M、第3折り返しミラーの一方28C、および第4折り返しミラー28Kは高さ(図1では紙面の縦方向の位置であり、図2では紙面の法線方向の位置である。)が異なる。これにより異なる折り返しミラー28Y、…にはポリゴンミラー271からの反射光線RLのうち、異なる半導体レーザー26Y、…からの出射光線LY、…のみが当たる。第1折り返しミラーの他方29Y、第2折り返しミラーの他方29M、第3折り返しミラーの他方29C、および第4折り返しミラー28Kは感光体ドラム25Y、…の真下に1枚ずつ配置されている。第1半導体レーザー26Yからの出射光線LYは、ポリゴンミラー271で反射されてfθレンズ273を透過した後、第1折り返しミラー28Y、29Yに反射されて第1作像ユニット21Yの感光体ドラム25Yに照射される。同様に、第2半導体レーザー26Mからの出射光線LMは第2折り返しミラー28M、29Mに反射されて第2作像ユニット21Mの感光体ドラム25Mに照射され、第3半導体レーザー26Cからの出射光線LCは第3折り返しミラー28C、29Cに反射されて第3作像ユニット21Cの感光体ドラム25Cに照射され、第4半導体レーザー26Kからの出射光線LKは第4折り返しミラー28Kに反射されて第4作像ユニット21Kの感光体ドラム25Kに照射される。
fθレンズ273はたとえば2枚の非球面レンズから構成され、ポリゴンミラー271からの反射光線RLを各感光体ドラム25Y、…の表面に、その軸方向と回転方向との両方(図1の示すX軸方向とY軸方向との両方)で結像させる。これにより、その表面では反射光線RLのスポットの位置が露光される。ポリゴンミラー271が回転によって偏向角を変化させると、それに合わせて折り返しミラー28Y、…、28Kがfθレンズ273からの透過光線を反射させる位置がそれらのミラー28Y、…の上を長手方向に移動する。したがって、折り返しミラー28Y、…、からの反射光線が感光体ドラム25Y、…の表面に結ぶスポットが軸方向に移動する。特に偏向角が最大値φRから最小値φLまで一定の速度で変化する期間には、いずれかの感光体ドラム25Y、…の表面をスポットが主走査方向に移動する。その結果、その表面上の露光部分が直線状に連なって静電潜像の1ラインを形成する。
以下、感光体ドラム25Y、…の表面上をスポットが、静電潜像の1ラインを形成すべき領域の先頭から、次のラインを形成すべき領域の先頭に達するまでの期間を「主走査期間」という。また、「主走査方向」と「副走査方向」との上記の定義から、折り返しミラー28Y、…の長手方向とポリゴンミラー271の回転方向とは主走査方向に相当し、折り返しミラー28Y、…の高さ方向とポリゴンミラー271の軸方向とは副走査方向に相当する。
fθレンズ273は更に「透過光の入射角とその像高(結像点の光軸からの距離)とが比例する」という特性により、ポリゴンミラー271が光源260からの出射光線LLの偏向角を変化させる量と、その変化に伴って感光体ドラム25Y、…の表面を照射光線のスポットが移動する距離とを比例させる。図2を参照するに、偏向角が最大値φRから角度2θまで変化するとき、それに伴って折り返しミラー28Y、…、がfθレンズ273からの透過光線を反射する点がそれらのミラー28Y、…、の上を移動する。このときの移動距離ρY、ρM、ρC、ρKはfθレンズ273の特性により、ポリゴンミラー271からの反射光線RLがfθレンズ273に入射する角度の変化量、すなわち偏向角の変化量2θに比例する。これらの移動距離ρY、…は各感光体ドラム25Y、…の表面上における照射光線のスポットの移動距離に比例し、偏向角の変化量2θはポリゴンミラー271の回転角の変化量θに比例するので、各スポットの主走査方向における位置とポリゴンミラー271の回転角との間に線形性が確立される。特にポリゴンミラー271が等角速度で回転するときには、各スポットが主走査方向に等速度で移動する。
図3の(b)は、第1半導体レーザー26Yからの2本の出射光線LL1、LL2が走査光学系271、273、28Y、29Yを通して第1作像ユニット21Yの感光体ドラム25Y上に結ぶ2つのスポットSP1、SP2を示す模式図である。図示の簡単化を目的として図3の(b)は、図2の示す2枚の第1折り返しミラー28Y、29Yを1枚のミラーで表現している。図3の(b)を参照するに、2本の出射光線LL1、LL2は、図3の(a)が示す2つの発光点(PE1、PE2)、(PS1、PS2)からの出射光線を表す。これらの出射光線LL1、LL2はポリゴンミラー271によって偏向角φ1、φ2へ反射され、2本の反射光線RL1、RL2に変換される。これらの反射光線RL1、RL2はfθレンズ273を透過して第1折り返しミラー28Y、29Yで反射され、感光体ドラム25Yの表面に2つのスポットSP1、SP2を結ぶ。図3の(b)が示すとおり、これらのスポットSP1、SP2は主走査方向と副走査方向との両方(図3の(b)ではX軸方向とY軸方向との両方)で間隔PB、PLを置いている。各スポットSP1、SP2の直径は数μm−数十μm程度である。主走査方向の間隔PBは数十μm−数百μm程度である。副走査方向の間隔PLはラインの間隔に等しく、数μm−数十μm程度である。スポットSP1、SP2はポリゴンミラー271の回転に伴って感光体ドラム25Yの表面上を軸方向に、間隔PB、PLを保ったまま移動する。こうして、半導体レーザー26Yからの出射光線LL1、LL2がポリゴンミラー271の1枚の偏向面で反射される間に、スポットSP1、SP2は感光体ドラム25Yの表面上に2本のラインLN1、LN2を同時に描く。同様に、他の半導体レーザー26M、…、26Kからの2本の出射光線も他の感光体ドラム25M、…、25Kの上に、図3の(b)が示す2つのスポットと同様なスポットを結び、これらのスポットが2本のラインを同時に描く。
−制御部−
制御部300は、光走査部26に内蔵の1枚または複数枚の印刷回路基板に実装された電子回路群を含み、これらを用いてポリゴンミラー271のモーター272等の走査光学系と光源260の含む半導体レーザー26Y、…との駆動制御を行う。前者では制御部300は特に、ポリゴンミラー271の回転数が後述の主制御部60(図4参照。)から指示された目標値と一致するようにモーター272を制御する。後者では制御部300は特に、半導体レーザー26Y、…からの出射光量を画像データに従って変調する。
この変調において制御部300はまず後述の主制御部60(図4参照。)から画像データを受信し、その画像データの表すY、M、C、Kの各色の階調値に基づいて、各色に対応する半導体レーザー26Y、…の明滅パターンを変調する。たとえば、画素の階調値が高いほどその画素に対する半導体レーザーの発光時間が長く調節される。制御部300は次にこの明滅パターンを、画像データの表す1ラインの階調値に基づいて変調するタイミングを半導体レーザー26Y、…の間で一定時間ずつ遅らせる。この時間は、中間転写ベルト23の表面上の1点が1次転写ローラーと感光体ドラムとの1対(22Y、25Y)の間から次の1対(22M、25M)の間まで移動するのに要する時間で決まる。
図2を再び参照するに制御部300は、第1ミラー301、第2ミラー302、および走査開始(SOS)センサー303を含む。第1ミラー301は、ポリゴンミラー271が最大の偏向角φRへ反射した光線の進路上に設置され、その光線を第2ミラー302へ向けて反射する。第2ミラー302は第1ミラー301からの反射光線を反射して、制御部300の内部に設置されたSOSセンサー303へ照射する。SOSセンサー303は光検出器を含み、第2ミラー302からの照射光量を検出して制御部300に信号(以下、「SOS信号」という。)で通知する。等角速度で回転するポリゴンミラー271が光源260からの出射光線LLを最大の偏向角φRへ反射する度に、SOSセンサー303はポリゴンミラー271からの反射光線RLを検出してSOS信号を有効(アクティブ)にする。すなわち、SOS信号が正論理信号ならばそのパルスを立ち上げ、負論理信号ならばそのパルスを立ち下げる。SOS信号が有効になるタイミングに基づいて、制御部300は半導体レーザー26Y、…の明滅をポリゴンミラー271の回転に同期させる。
制御部300はその他に、半導体レーザー26Y、…からフィードバックされる出射光量をサンプリングし、得られたサンプルに基づいてそれらの光量を調節する。このとき、制御部300は更に、半導体レーザー26Y、…から出射すべき光量を偏向角ごとに補正する。出射光量の調節および補正の詳細については後述する。
[画像形成装置の電子制御系統]
図4は、プリンター100の電子制御系統の構成を示すブロック図である。図4を参照するに、この電子制御系統では、給送部10、作像部20、定着部30に加えて操作部50と主制御部60とがバス90を通して互いに通信可能に接続されている。
操作部50はユーザーの操作または外部の電子機器との通信を通してジョブの要求と、画像等、処理対象のデータとを受け付けて、それらを主制御部60へ伝える。図4を参照するに操作部50は、操作パネル51、メモリーインタフェース(I/F)52、およびネットワーク(LAN)I/F53を含む。操作パネル51は、押しボタン、タッチパネル、およびディスプレイを含む。操作パネル51は、操作画面および各種パラメーターの入力画面等のGUI画面をディスプレイに表示する。操作パネル51はまた、ユーザーが操作した押しボタンまたはタッチパネルの位置を識別し、その識別に関する情報を操作情報として主制御部60へ伝える。メモリーI/F52はUSBポートまたはメモリーカードスロットを含み、それらを通してUSBメモリーまたはハードディスクドライブ(HDD)等の外付けの記憶装置から直に処理対象のデータを取り込む。LAN・I/F53は外部のネットワークNTWに有線または無線で接続され、そのネットワークNTWに接続された他の電子機器から処理対象のデータを受信する。
主制御部60は1枚の基板の上に実装された電子回路であり、その基板はプリンター100の内部に設置されている。図4を参照するに主制御部60は、CPU61、RAM62、およびROM63を含む。CPU61は1つのMPUで構成され、各種ファームウェアを実行することにより、バス90に接続された他の要素10、20、…に対する制御主体としての多様な機能を実現する。RAM62は、DRAM、SRAM等の揮発性半導体メモリー装置であり、CPU61がファームウェアを実行する際の作業領域をCPU61に提供すると共に、操作部50が受け付けた処理対象のデータを保存する。ROM63は書き込み不可の不揮発性記憶装置と書き換え可能な不揮発性記憶装置との組み合わせで構成されている。前者はファームウェアを格納し、後者は、EEPROM、フラッシュメモリー等の半導体メモリー装置、またはHDDを含み、CPU61に環境変数等の保存領域を提供する。
CPU61が各種ファームウェアを実行することにより、主制御部60は操作部50からの操作情報に基づき、まずプリンター100内の他の要素を制御する。具体的には、主制御部60は操作部50に操作画面を表示させてユーザーによる操作を受け付けさせる。この操作に応じて主制御部60は、稼動モード、待機モード、スリープモード等の動作モードを決定し、その動作モードを他の要素へ駆動信号で通知して、その動作モードに応じた処理を各要素に実行させる。
たとえば操作部50がユーザーから印刷ジョブを受け付けたとき、主制御部60はまず操作部50に印刷対象の画像データをRAM62へ転送させる。主制御部60は次に、そのジョブの示す印刷条件に従って、給送部10には給送すべきシートの種類とその給送のタイミングとを指定し、作像部20には形成すべきトナー像を表す画像データを提供し、定着部30には、維持すべき定着ローラー31の表面温度を指定する。主制御部60は特に、印刷条件の示す画質、消費電力、またはシートの紙種もしくは紙厚に応じてシートの搬送速度とポリゴンミラー271の回転数との目標値を選択し、それらの目標値をプリンター100の各要素10、…に指示する。たとえば印刷対象の紙種が厚紙である場合にシートの搬送速度は普通紙である場合の値よりも低く設定される。これにより、ポリゴンミラー271の駆動モーター272の消費電力が削減される一方、搬送ローラー12、…、の駆動モーターの消費電力量が搬送対象のシートの秤量にかかわらず安定化する。
[光源の駆動制御用の構成]
制御部300は、4個の半導体レーザー26Y、…を個別に制御する4つの駆動回路を含む。各駆動回路は、MPU/CPU、ASIC、またはFPGA等の電子回路であり、単一または複数のチップに組み込まれている。
図5は、第1半導体レーザー26Yの駆動回路300Yのブロック図である。図5を参照するにこの駆動回路300Yは、サンプルホールド(SH)部510、補正部520、および変調部530を含み、これらを利用して第1半導体レーザー26Yへの供給電流IC1、IC2を制御する。これらの電流量IC1、IC2とそれらを流すタイミングとで第1半導体レーザー26Yの出射光量と明滅のタイミングとが決まる。図5は示していないが、他の半導体レーザー26M、…、26Kの駆動回路も同様な構成である。
SH部510は第1半導体レーザー26Yのレーザー発振子が含む2つの発光点LD1、LD2と1対1に設けられ、光量センサーPDの出力電流量IFBに基づき、対応する発光点LD1、LD2へ供給すべき電流量の基準値IB1、IB2を決める。この光量センサーPDは、レーザー発振子が端面発光型である場合には第1半導体レーザー26Yに内蔵され、VCSELである場合にはたとえば図2の示す第4ミラー264の裏側に設置されている。いずれの場合にも光量センサーPDの出力電流量IFBは、2つの発光点LD1、LD2から実際に出射された光量の和に比例する。一方、供給電流量の基準値IB1、IB2は各発光点LD1、LD2からの出射光量の基準値、たとえば画像データの表す階調値が取り得る最高値に対応する。
補正部520は走査光学系に起因する光量むらを2つの発光点LD1、LD2からの出射光量に対する補正で相殺する。具体的には、補正部520はまずSOS信号に基づき、両発光点LD1、LD2からの出射光線が走査光学系を通して感光体ドラム25Yの表面に結ぶ2つのスポットSP1、SP2(図3の(b)参照。)の主走査方向の位置を推測する。補正部520は次に、これらの位置に応じて各発光点LD1、LD2からの出射光量に対する補正値を選択し、その補正値でその出射光量が補正されるように、SH部510の出力する供給電流量の基準値IB1、IB2を実際に必要な供給電流量IC1、IC2に補正する。
変調部530は2つの発光点LD1、LD2と1対1に設けられ、画像データVDSの表す2本の隣接するラインのイエロー(Y)の階調値に基づき、補正部520から各発光点LD1、LD2へ実際に供給される電流IC1、IC2を変調する。この変調に合わせて各発光点LD1、LD2が明滅することにより、その平均的な出射光量がYの階調値に対応する値に調節される。
[SH部]
図6は、SH部510の回路構成の詳細を示すブロック図である。図6を参照するにこのSH部510は、第1半導体レーザー26Yの含む2つの発光点LD1、LD2の一方LD1(以下、「第1発光点」という。)に対応付けられ、それへ供給すべき電流量の基準値IB1を決める。SH部510は、抵抗511、基準電圧源512、差動増幅器513、スイッチ514、キャパシタ515、および電圧電流(VI)変換器516を含む。なお、図6は示していないが、2つの発光点LD1、LD2の他方LD2(以下、「第2発光点」という。)に対応付けられたSH部も同様な構成である。
抵抗511は光量センサーPDの出力端子と接地導体との間に接続されている。抵抗511は2つのSH部510に1つずつ設けられているので、光量センサーPDの出力電流IFBは各抵抗511にその抵抗値の逆比の割合で分かれて流れる。したがって、抵抗511における電圧降下量VFBは光量センサーPDの出力電流IFBに比例するので、2つの発光点LD1、LD2からの出射光量の和に比例する。
基準電圧源512は定電圧源であり、その出力電圧VRFは、いずれの発光点LD1、LD2からの出射光量も所定の基準値に等しいという条件下での抵抗511の電圧降下量VFBに等しい。
差動増幅器513の2つの入力端子の一方は光量センサーPDの出力端子に接続され、他方は基準電圧源512に接続されている。これにより差動増幅器513は、抵抗511の電圧降下量VFBと基準電圧源512の出力電圧VRFとの間の差に比例する量の定電流ISHを出力する。特に、両電圧VFB、VRFの差の符号が出力電流ISHの方向を定める。両電圧VFB、VRFの差は、2つの発光点LD1、LD2から実際に出射された光量の和とそれらの出射光量の基準値の和との間の差に比例するので、出力電流ISHの量もその差に比例し、方向はその差の符号を表す。
スイッチ514は、後述のタイミング生成部524からの第1指示信号SHS1に応じて差動増幅器513の出力端子とキャパシタ515の一端との間を接続し、または切断する。第1指示信号SHS1は、各主走査期間の末期から次の主走査期間の初期にかけて第1発光点LD1からの出射光線LLの偏向角が最小値φLから最大値φRへ瞬間的に変化する時間帯(以下、「帰線期間」という。)では有効にされ、偏向角が最大値φRから最小値φLへ一定の速度で変化する時間帯(以下、「有効走査期間」という。)では無効にされる。したがってスイッチ514は、帰線期間では閉じて差動増幅器513の出力端子とキャパシタ515の一端との間の接続を維持し、有効走査期間では開いてその接続を切断する。
キャパシタ515は予め所定量の電荷を保持しているので、その両端間電圧VSHは、スイッチ514が開いている間は所定値に維持される。帰線期間ではスイッチ514が閉じるので、キャパシタ515が差動増幅器513の出力電流ISHによって充電され、または放電し、それに伴ってその両端間電圧VSHが変動する。この変動量は出力電流ISHの量で決まり、極性は出力電流ISHの方向で決まる。一方、有効走査期間ではスイッチ514が開くので、キャパシタ515がその両端間電圧VSHを実質上、変動後の値に一定に維持する。
VI変換器516は出力電流量IB1をキャパシタ515の両端間電圧VSHに比例させる。この出力電流量IB1で第1発光点LD1からの出射光量の基準値が決まる。帰線期間では差動増幅器513の出力電流ISHの変化に従ってキャパシタ515の両端間電圧VSHが変動するので、VI変換器516はその変動に応じて出力電流量IB1を変化させる。特に差動増幅器513の出力電流ISHは2つの発光点LD1、LD2からの出射光量の和とそれらの基準値の和との間の差に比例するので、VI変換器516はその差を相殺するように出力電流量IB1を調節する。一方、有効走査期間ではキャパシタ515の両端間電圧VSHが一定に維持されるので、VI変換器516は出力電流量IB1をその電圧VSHに応じた値に維持する。この維持が2つのSH部510の両方で行われることにより、画像データVDSによる変調が行われる前の2つの発光点LD1、LD2からの出射光量の和がそれらの基準値の和に維持される。
[補正部]
図5を再び参照するに補正部520は、記憶部521、発振部522、パルス幅変調(PWM)部523、タイミング生成部524、および切換部525を含む。
−記憶部−
記憶部521は、EEPROM、フラッシュメモリー等の書き換え可能な不揮発性記憶素子を含み、これらに保存されたデータを管理する。このデータには、スポット間隔情報PTC、補正区間情報CRP、および補正値情報CRVが含まれる。「スポット間隔情報」PTCは、第1半導体レーザー26Yの含む2つの発光点LD1、LD2からの出射光線LL1、LL2が感光体ドラム25Yの表面に結ぶ2つのスポットSP1、SP2の主走査方向の間隔PB(図3の(b)参照。)を規定する。「補正区間情報」CRPは補正区間の境界の位置を規定する。「補正値情報」CRVは各発光点LD1、LD2からの出射光量に対する補正値を補正区間の境界ごとに規定する。
「補正区間」とは、感光体ドラム25Yの表面に対応付けられた主走査方向の座標(以下、「主走査位置」という。)が取り得る範囲を複数の区間に分割したときの各区間をいう。スポット間隔情報PTCの規定するスポットの間隔は主走査位置の差で表され、補正区間情報CRPの規定する補正区間の境界の位置は主走査位置の値で表される。補正区間の全体が対応付けられた感光体ドラム25Yの表面上の領域には特に、各主走査期間の有効走査期間において各発光点LD1、LD2からの出射光線LL1、LL2の偏向角φ1、φ2が最大値φRから最小値φLへ一定の速度で変化するのに応じてそのスポットSP1、SP2が主走査方向へ一定の速度で移動する範囲の全体が含まれる。各スポットSP1、SP2の主走査位置は出射光線LL1、LL2の偏向角φ1、φ2で一意に決まり、その偏向角φ1、φ2は主走査期間の経過時間、すなわちポリゴンミラー271からの反射光線RL1、RL2がSOSセンサー303によって検出された時点から経過した時間で一意に決まる。したがって、主走査位置は、対応する感光体ドラム25Yの表面上の局部そのものとも、その局部にスポットが到達するまでの主走査期間の経過時間とも同一視可能である。当業者であればこれらを混同するおそれは少ないと考えられるので、以下の説明では「補正区間」という語句を、対応する感光体ドラム25Yの表面上の領域の意味にも、その領域内をスポットが移動する時間帯の意味にも用いる。
−発振部−
発振部521は、水晶発振子等を用いて数MHz−数十MHz程度の一定周波数のクロック(CLK)信号を生成し、このCLK信号を位相同期回路(PLL)等でSOS信号に同期させる。具体的にはたとえば、発振部521はCLK信号をデューティー比50%の矩形パルス波に整形し、そのパルスの立ち上がりをSOS信号の有効化(すなわち、正論理信号ならばパルスの立ち上がり、負論理信号ならば立ち下がり)のタイミングに一致させる。このタイミングは、2つの発光点LD1、LD2からの出射光線LL1、LL2のうち、SOSセンサー303が先に検出した方のその検出のタイミングに等しい。これは、両光線LL1、LL2が感光体ドラム25Yの表面上に結ぶスポットSP1、SP2には主走査方向に間隔PBが置かれることに伴い、両光線LL1、LL2の間ではSOSセンサー303により検出されるタイミングが異なることに因る。以下、SOSセンサー303により先に検出される方を第1発光点LD1からの出射光線LL1とし、他方を第2発光点LD2からの出射光線LL2とする。この場合、この検出時点以降のCLK信号の立ち上がり数は第1発光点LD1についての有効走査期間の経過時間として扱われる。すなわち、この経過時間はCLK信号の1周期(クロック周期)を単位としてそのパルス数(クロック数)で、すなわちクロック単位で表される。
−PWM部−
PWM部523はCLK信号に対してPWMを行い、変調後のクロック(MCL)信号のデューティー比を目標値に一致させる。この目標値をPWM部523は、スポット間隔情報PTCが規定するスポットの間隔PBに基づいて決定する。これにより、MCL信号の立ち上がり時に第1発光点LD1からの出射光線のスポットSP1(以下、「第1スポット」という。)が感光体ドラム25Yの表面上のある主走査位置に到達する場合、この位置に第2発光点LD2からの出射光線のスポットSP2(以下、「第2スポット」という。)はMCL信号の1つの立ち下がり時に到達する。
図7の(a)は、感光体ドラム25Yの表面上の同じ主走査位置にスポットSP1、SP2が到達する時刻とCLK信号、MCL信号のパルス波形との間の対応関係を示すタイミングチャートである。図7の(a)を参照するに、この位置に第1スポットSP1はCLK信号の1つの立ち上がり時TSに到達する。一方、この位置に第2スポットSP2は第1スポットSP1よりも時間DLYだけ遅れて到達する。この遅延時間DLYは、第2スポットSP2がスポットの間隔PBに等しい距離を移動するのに要する時間を表す。
この遅延時間DLYがクロック周期PCLの半整数倍(奇数/2倍)に等しいように、第1半導体レーザー26Yのレーザー発振子における発光点LD1、LD2の間隔、ポリゴンミラー271の回転数、および走査光学系の倍率等に基づいてクロック周期PCLは設定される。したがって、理想的には、第2スポットSP2の到達時刻はCLK信号の1つの立ち下がり時TSに一致する。しかし、現実的には、発光点の間隔等は実際には誤差を含むので、実際の到達時刻はこの立ち下がり時TSから外れる。それ故、実際の到達時刻にMCL信号の立ち下がり時が一致するように、MCL信号のデューティー比の目標値は設定される。すなわち、この目標値は、遅延時間DLYをクロック単位で表した値の小数部分に設定される。PWM部523はこの目標値にMCL信号の実際のデューティー比を一致させる。これにより、第1スポットSP1がCLK信号の立ち上がり時に到達する感光体ドラム25Yの表面上の主走査位置には、第2スポットSP2がMCL信号の立ち下がり時に到達する。
MCL信号のデューティー比の目標値の設定は、たとえば光走査部26の製造時に実測された2つのスポットSP1、SP2の主走査方向の間隔PBに基づいて行われる。具体的には、第2スポットSP2の到達時刻TSHがCLK信号の立ち下がり時TSよりも早い場合、両時刻間の差ΔS=TSH−TSのクロック周期PCLに対する比(図7の(a)では20%)だけ目標値がCLK信号のデューティー比50%よりも小さく設定される(図7の(a)では50%−20%=30%)。逆に、第2スポットSP2の到達時刻TSLがCLK信号の立ち下がり時TSよりも遅い場合、両時刻間の差ΔL=TS−TSLのクロック周期PCLに対する比(図7の(a)では20%)だけ目標値がデューティー比50%よりも大きく設定される(図7の(a)では50%+20%=70%)。
上記のとおり、MCL信号のデューティー比の目標値は、第1スポットSP1に対する第2スポットSP2の遅延時間DLYをクロック単位で表した値の小数部分に相当する。したがって、その値の整数部分(以下、「遅延クロック数」という。)とこの目標値との和にクロック周期PCLを乗じれば遅延時間DLYが再現される。さらに、この遅延時間DLYにスポットの移動速度を乗じればスポットの間隔PBが得られる。したがって、スポット間隔情報PTCはスポットの間隔PBを、MCL信号のデューティー比の目標値と遅延クロック数との組み合わせで規定する。この場合、PWM部523はスポット間隔情報PTCから読み出した目標値をそのままPWMに適用すればよい。
ただし、遅延時間DLYは、第2スポットSP2がスポットの間隔PBに等しい距離を移動するのに要する時間であるので、第2スポットSP2の移動速度に依存する。この移動速度はポリゴンミラー271の回転数に比例し、この回転数はシートの搬送速度が高いほど高く設定される。この搬送速度は一般に、印刷条件の示す画質、消費電力、またはシートの紙種もしくは紙厚に応じて変化する。したがって、スポット間隔情報PTCは一般に遅延時間DLYをシートの搬送速度別に規定する。特にシートの搬送速度が高いほど遅延時間DLYは短い値に設定される。
図7の(b)は、第1スポットSP1に対する第2スポットSP2の遅延時間DLYとシートの搬送速度との間の対応表である。たとえばこの表の形でスポット間隔情報PTCは遅延時間DLYを規定する。図7の(b)を参照するに、この表では遅延クロック数とMCL信号のデューティー比の目標値との組み合わせがシートの搬送速度ごとに異なる。具体的には、搬送速度の指標“高速”に対しては遅延クロック数“3”と目標値70%との組み合わせが割り当てられ、指標“低速”に対しては遅延クロック数“4”と目標値30%との組み合わせが割り当てられている。これらはそれぞれ、遅延時間DLYがクロック単位で値“3.7”、“4.3”に等しいことを表す。このようにシートの搬送速度が高いほど遅延時間DLYは一般に短い。
スポット間隔情報PTCが規定するこれらの遅延時間DLYの中からPWM部523に参照させるべき値を、記憶部521は予め選択しておく。この選択を指示する目的で制御部300は、PWM部523が記憶部521にアクセスする前に主制御部60から、現時点で設定されているシートの搬送速度を取得し、この速度に対応する遅延時間DLYの値を記憶部521に検索させる。
−タイミング生成部−
タイミング生成部524はたとえば単一の論理素子であり、SOS信号とMCL信号とに基づいて指示信号SHS1、SHS2を生成し、補正区間情報CRPとMCL信号とに基づいてタイミング信号TMS1、TMS2を生成する。図5の例では、指示信号SHS1、SHS2とタイミング信号TMS1、TMS2とはいずれも第1半導体レーザー26Yの含むレーザー発振子の発光点LD1、LD2と同数である。これらの発光点LD1、LD2に個別に対応するSH部510へは指示信号SHS1、SHS2が1種類ずつ送出され、切換部525へはタイミング信号TMS1、TMS2が1種類ずつ送出される。
図5は示していないが、タイミング生成部524はカウンターを内蔵する。このカウンターはMCL信号の立ち上がりまたは立ち下がりを数える。タイミング生成部524はこのカウンターの値を監視し、この値を利用してMCL信号の立ち上がりまたは立ち下がりの回数が所定数に到達するタイミングに合わせて指示信号SHS1、SHS2、またはタイミング信号TMS1、TMS2を有効化し、または無効化する。
図8は、タイミング生成部524に関係する信号のタイミングチャートである。図8の例では、SOS信号と指示信号SHS1、指示信号SHS2とは負論理信号であり、タイミング信号TMS1、TMS2は正論理信号である。
<SOS信号>
SOS信号の1周期SCT(1つの立ち下がり時T0から次の立ち下がり時T3までの期間)は1つの主走査期間を表す。この期間SCTでは、2つの発光点LD1、LD2からの出射光線LL1、LL2の偏向角φ1、φ2の両方が最大値φRから最小値φLまでの範囲を1往復する(図3の(b)参照)。
タイミング生成部524はこのSOS信号に、内蔵のカウンターによるMCL信号のパルス数(クロック数に等しい。)のカウントを同期させる。具体的には、タイミング生成部524はSOS信号の立ち下がりに応じてカウンターの値CNTを“0”にリセットする。図8の例では、カウンターはその後、MCL信号の立ち上がりの度にその値CNTを1ずつ増やす。すなわち、この値CNTは現在の主走査期間SCTにおけるMCL信号の立ち上がりの回数を表す。
<指示信号>
各主走査期間SCTでは、第1指示信号SHS1の有効期間FBR(1つの立ち下がり時から次の立ち上がり時までの期間)が第1発光点LD1についての帰線期間(偏向角が最小値φLから最大値φRへ瞬間的に変化する期間)を表し、無効期間ESR(1つの立ち上がり時T1から次の立ち下がり時T2までの期間)が第1発光点LD1についての有効走査期間(偏向角が最大値φRから最小値φLへ一定の速度で変化する期間)を表す。また、第2指示信号SHS2の有効期間FBRが第2発光点LD2についての帰線期間を表し、無効期間ESR(1つの立ち上がり時T1から次の立ち下がり時T2までの期間)が第2発光点LD2についての有効走査期間を表す。各発光点LD1、LD2に対応するSH部510は指示信号SHS1、SHS2の立ち下がりに応じてスイッチ514をオンにし、立ち上がりに応じてオフにする。したがって、スイッチ514のオン期間は対応する発光点についての帰線期間FBR、FBRに一致する。
タイミング生成部524は第1指示信号SHS1を次のように生成する。タイミング生成部524はまず、カウンターの値CNTが第1閾値(図8の例では“2”)に達するときのMCL信号の立ち上がりに合わせて(図8の例では主走査期間SCTにおける3番目の立ち上がり時T1に)第1指示信号SHS1を立ち上げる。第1閾値“2”は、SOS信号の立ち下がり時すなわち主走査期間SCTの始点T0から第1発光点LD1についての有効走査期間ESRの始点T1までの時間長をクロック単位で表した値に等しい。タイミング生成部524は次に、カウンターの値CNTが第2閾値“N”(≫“1”)に達するときのMCL信号の立ち上がりに合わせて(図8の例では主走査期間SCTにおける(N+1)番目の立ち上がり時T2に)第1指示信号SHS1を立ち下げる。第2閾値“N”は、主走査期間SCTの始点T0から第1発光点LD1についての有効走査期間ESRの終点T2までの時間長をクロック単位で表す。
こうしてタイミング生成部524は、第1指示信号SHS1が表す第1発光点LD1についての有効走査期間ESRの始点T1と終点T2、それぞれの主走査期間の始点T0からの時間長を、いずれの主走査期間SCTにおいても共通の値(図8の例ではクロック数“2”、“N”)に維持する。
タイミング生成部524は第2指示信号SHS2を次のように生成する。タイミング生成部524はまず記憶部521から、スポット間隔情報PTCの規定する遅延クロック数の1つを読み出す。この遅延クロック数は制御部300により予め、現時点で主制御部60が設定しているシートの搬送速度に対応する値(図7の(b)参照。)に選択されている。タイミング生成部524は次に、この遅延クロック数(図8の例では“3”)と第1閾値(“2”)との和(“5”)を第3閾値に設定し、この遅延クロック数(“3”)と第2閾値(“N”)との和(“N+3”)を第4閾値に設定する。その後、カウンターの値CNTが第3閾値(“5”)に達したとき、タイミング生成部524はMCL信号の次の立ち下がりに合わせて(図8の例では主走査期間SCTにおける6番目の立ち下がり時T1に)第2指示信号SHS2を立ち上げる。これにより第2発光点LD2についての有効走査期間ESRの始点T1は第1発光点LD1についての有効走査期間ESRの始点T1から遅延時間DLYの経過後に設定される。この遅延時間DLYはクロック単位では遅延クロック数“3”とMCL信号のデューティー比(=MCL信号のパルス幅α/クロック周期PCL)との和に等しい。タイミング生成部524は次に、カウンターの値CNTが第4閾値(“N+3”)に達したとき、MCL信号の次の立ち下がりに合わせて(図8の例では主走査期間SCTにおける(N+4)番目の立ち下がり時T2に)第2指示信号SHS2を立ち下げる。これにより第2発光点LD2についての有効走査期間ESRの終点T2は第1発光点LD1についての有効走査期間ESRの終点T2から遅延時間DLYの経過後に設定される。
こうしてタイミング生成部524はいずれの主走査期間SCTにおいても、第2発光点LD2についての有効走査期間の始点T1と終点T2とをそれぞれ、第1発光点LD1についての有効走査期間ESRの始点T1と終点T2とよりも共通の遅延時間DLYだけ遅らせる。
<タイミング信号>
第1タイミング信号TMS1の立ち上がりはそれぞれ、第1発光点LD1からの出射光線LL1のスポットSP1が補正区間の境界の1つに到達するタイミングを表す。第2タイミング信号TMS2の立ち上がりはそれぞれ、第2発光点LD2からの出射光線LL2のスポットSP2が補正区間の境界の1つに到達するタイミングを表す。各発光点LD1、LD2に対応する切換部525はタイミング信号TMS1、TMS2の立ち上がりに応じてその発光点LD1、LD2からの出射光量に対する補正値を変更する。
タイミング生成部524はタイミング信号TMS1、TMS2を次のように生成する。タイミング生成部524はまず、SOS信号の立ち下がりに応じて記憶部521から補正区間情報CRPを読み出す。図8の例では、補正区間情報CRPは補正区間の境界の位置として主走査位置CP1=4、CP2=6、CP3=8、…を規定する。タイミング生成部524は次に、カウンターの値CNTが最初の境界の主走査位置CP1=4に達する時点TC1で第1タイミング信号TMS1を立ち上げる。この主走査位置CP1=4よりも遅延クロック数“3”だけ大きい値“7”にカウンターの値CNTが達したとき、タイミング生成部524はMCL信号の次の立ち下がり時TC1に第2タイミング信号TMS2を立ち上げる。いずれのタイミング信号TMS1、TMS2も、その立ち上がりからクロック周期PCLが経過した時点で立ち下がる。タイミング生成部524は続いて、カウンターの値CNTが次の境界の主走査位置CP2=6に達する時点TC2で第1タイミング信号TMS1を立ち上げる。この主走査位置CP2=6よりも遅延クロック数“3”だけ大きい値“9”にカウンターの値CNTが達したとき、タイミング生成部524はMCL信号の次の立ち下がり時TC2に第2タイミング信号TMS2を立ち上げる。以後同様にタイミング生成部524は、カウンターの値CNTが補正区間情報CRPの規定する主走査位置CPk(整数k=3、…、n、n+1、…。(整数n≧4。))に達する時点TCkでは第1タイミング信号TMS1を立ち上げ、この主走査位置CPkよりも遅延クロック数“3”だけ大きい値に達したときのMCL信号の次の立ち下がり時TCkでは第2タイミング信号TMS2を立ち上げる。
タイミング信号TMS1、TMS2の各立ち上がりは特に次のことを示す。第2発光点LD2からの出射光線のスポットSP2が補正区間のk番目の境界に到達する時刻TCkは、第1発光点LD1からの出射光線のスポットSP1が同じ境界に到達する時刻TCkよりも共通の遅延時間DLY=(遅延クロック数“3”+MCL信号のデューティー比)×クロック周期PCL=3×PCL+MCL信号のパルス幅αだけ遅い。さらに、第1タイミング信号TMS1の立ち上がりの間隔TCk−TC(k+1)は第1発光点LD1からの出射光量に対する補正におけるk番目の補正区間CSkを表す。一方、第2タイミング信号TMS2の立ち上がりの間隔TCk−TC(k+1)は第2発光点LD2からの出射光量に対する補正におけるk番目の補正区間CSkを表す。したがって、各補正区間CSkを第2発光点LD2は第1発光点LD1よりも遅延時間DLY=3×PCL+αだけ遅れて通過する。
−切換部−
切換部525はSH部510と同様に、第1半導体レーザー26Yのレーザー発振子が含む2つの発光点LD1、LD2と1対1に設けられている。図6が示すように、切換部525はデジタルアナログ変換器(DAC)600を含む。第1発光点LD1に対応する切換部525では、DAC600はまず、第1タイミング信号TMS1の立ち上がりに応じて記憶部521から、補正値情報CRVの示す補正値を順番に読み出す。DAC600は次に、この補正値に基づく割合でSH部510のVI変換器516の出力電流IB1を増幅する。これにより、デジタル値である補正値がアナログ値である第1発光点LD1への実際の供給電流量IC1に変換される。第2発光点LD2に対応する切換部も第2タイミング信号TMS2の立ち上がりに応じて同様に動作する。
補正値を記憶部521から読み出すタイミングを、異なる発光点LD1、LD2に対応する切換部525は、異なるタイミング信号TMS1、TMS2の立ち上がりに同期させる。これによりDAC600による補正値の変更は、第1発光点LD1からの出射光量に対してはMCL信号の立ち上がりに同期し、第2発光点LD2からの出射光量に対してはMCL信号の立ち下がりに同期する。
補正値情報CRVの規定する補正値は、補正区間CSkの境界ごとに、第1発光点LD1からの出射光量の基準値に対する補正後の出射光量の比で表される。一方、第1発光点LD1に対応するSH部510は、VI変換器516の出力電流量IB1をスイッチ514のオン期間(すなわち帰線期間FBR)のうちに出射光量が基準値に一致するときの値に調節し、その値をスイッチ514のオフ期間(すなわち有効走査期間ESR)中、維持する。したがって、第1発光点LD1に対応する切換部525は第1タイミング信号TMS1の各立ち上がり時ではDAC600の増幅率を補正値に合わせる。これにより、第1発光点LD1からの出射光線のスポットSP1が補正区間CSkの各境界に到達する時点では、その出射光量が基準値に対して補正値(=増幅後の電流量IC1/増幅前の電流量IB1)の割合で変化する。この変化が、その出射光量が基準値のままであれば補正区間CSkの各境界に現れたであろう照射光量の変動を相殺する。その結果、各境界では実際の照射光量の基準値が均一化され、すなわち光量むらが除去される。第2発光点LD2からの出射光量についても同様である。
切換部525は更に、補正値情報CRVが各補正区間CSkの両端の境界に対して規定する補正値を線形補間し、得られた補間値に合わせてDAC600の増幅率を線形に変化させる。具体的にはたとえば、切換部525はまず補正区間情報CRPから各補正区間CSkの時間長を求め、一定の微小時間に対するこの時間長の比を計算する。切換部525は次に、その補正区間の両端の境界間における補正値の差を等分割する。このときの分割数を切換部525は計算した比に設定する。切換部525は続いてDAC600の増幅率を、上記の微小時間あたりに上記の差から分割された値ずつ、その補正区間の始端での補正値から変化させる。これにより、DAC600の増幅率はタイミング信号TMS1、TMS2の各立ち上がりから次の立ち上がりまでの間に次の境界に対する補正値まで、厳密には微細な階段状に、近似的には直線状に変化する。
図9の(a)は、切換部525が設定する補正値と感光体ドラム25Yの表面上の主走査位置との間の対応関係を表すグラフである。図9の(a)を参照するに、グラフの横軸は主走査位置をタイミング生成部524に内蔵のカウンターの値CNT(=0、1、2、…、)で表す。この値CNTは、各主走査期間の経過時間をクロック単位で表した値と等価である。一方、グラフの縦軸は第1発光点LD1からの出射光量に対する補正値をその最小値“1.00”に対する比で表す。さらに、グラフにプロットされた黒点CP1、CP2、CP3、…、CP(n−1)、CPn、CP(n+1)、…は、補正区間CS1、CS2、CS3、…、CS(n−1)、CSn、CS(n+1)、…の境界の位置とそこでの補正値とを示す。図9の(b)は、補正区間の境界の主走査位置と補正値との間の対応表である。この表の示す値の組み合わせは、図9の(a)のグラフにプロットされた黒点CP1、…の座標に相当する。各座標のうち、主走査位置は補正区間情報CRPにより規定され、補正値は補正値情報CRVにより規定される。
図9の(a)の示す黒点CP1、…の間を繋ぐ破線の曲線CRCを、以下「補正曲線」という。この補正曲線CRCは、感光体ドラム25Yへの照射光量の変動を相殺するのに真に必要な第1発光点LD1からの出射光量に対する補正値と主走査位置との間の対応関係を表す。補正曲線CRCに沿ってこの出射光量を補正した場合、この出射光量が一定であれば現れたであろう感光体ドラム25Yへの照射光量の変動がその露光対象の範囲の全体で相殺される。補正曲線CRCは、ポリゴンミラー271、fθレンズ273等、光源260から感光体ドラム25Yまでの光路上に走査光学系が含む光学素子の屈折率から計算によって推定され、または実験によってこれらの光路を実際に通過した光量から測定される。補正曲線CRCが連続的に示す補正値の中から、黒点CP1、…の示す離散的な補正値がサンプリングされ、これらのサンプルが得られた主走査位置が補正区間情報CRPに記録され、サンプルの示す補正値が補正値情報CRVに記録される。補正曲線CRCの詳細については後述する。
黒点CP1、…の間は更に実線の折線CRBで繋がれている。この折線CRBは、切換部525が黒点CP1、…の示す補正値から計算する線形補間値と主走査位置との間の対応関係を表す。以下、この折線CRBを「補間線」と呼ぶ。黒点CP1、…の間では補間線CRBは直線である。これは、切換部525が第1タイミング信号TMS1の各立ち上がりから次の立ち上がりまでDAC600に増幅率IC1/IB1を線形に変化させることに因る。一方、各黒点CP1、…では補間線CRBの角度が不連続に変化する。これは、切換部525が第1タイミング信号TMS1の各立ち上がりに応じて補間対象の補正値の一方を、補正値情報CRVの示す次の補正値に変更することに因る。図9の(a)が示すとおり、補間線CRBは補正曲線CRCに対する近似度が高い。その結果、DAC600による出力電流IC1の増幅に伴う第1発光点からの出射光量の変化は実質上、感光体ドラム25Yへの照射光量の変動をその露光対象の範囲の全体で相殺することができる。
黒点CP1、…の間隔が示すとおり、補正区間CSkの境界の間隔は一律ではなく、主走査位置ごとに異なる。すなわち、各境界はその主走査位置に応じて隣の境界までの距離が異なる。図9の(a)の例では、主走査位置が“16”を超える第1領域GNRに位置する境界の間隔ΔPSよりも、“16”以下の第2領域STRに位置する境界の間隔ΔPDは狭い。これは、第1領域GNRよりも第2領域STRでは補正曲線CRCの傾きが全般的に急であること、すなわち主走査位置に対する補正値の変化率の平均値、最大値、中間値、または最頻値等、統計学上の代表値が大きいことによる。補正区間CSkの設定条件の詳細については後述する。
[変調部]
図5、図6を再び参照するに、第1発光点LD1に対応する変調部530は内蔵のスイッチング部を開閉して切換部525と第1発光点LD1との間に供給電流IC1を流し、または遮断する。特に有効走査期間ESCでは変調部530はスイッチング部の開閉動作をCLK信号に同期させ、画像データVDSの表すYの階調値に基づくパターンで行わせる。これに伴う供給電流IC1の間欠的な変化により、第1発光点LD1の明滅パターンがYの階調値に基づくパターンに変調される。一方、帰線期間FBRでは変調部530はスイッチング部に閉じた状態を維持させるので、切換部525と第1発光点LD1との間に供給電流IC1が定常的に流れる。これにより、第1発光点LD1からの出射光量がその電流量IC1に応じた値に維持される。
[感光体ドラムへの照射光量の変動と補正曲線との間の関係]
図10の(a)は、光源260からの出射光線LLがポリゴンミラー271に入射する角度を示す模式図である。図10の(a)を参照するに、ポリゴンミラー271の回転に伴い、その1つの偏向面701への出射光線LLの入射角θ1、θ2が変化するので、その偏向面701が光線RLを反射する角度θ1、θ2も変化する。
図10の(b)は、ポリゴンミラー271の反射光線RLがfθレンズ273に入射する角度を示す模式図である。図10の(b)を参照するに、ポリゴンミラー271の回転に伴い、反射光線RLのfθレンズ273への入射角ξ1、ξ2が変化するので、その光線RLがfθレンズ273を透過する際の屈折角η1、η2も変化する。
一般に、媒質間の境界面に対して光が斜めに入射するとき、その光の一部はその境界面で反射される一方、他の部分はその境界面を透過する。さらに、両部分間での光量の割合は入射角によって変化する。したがって、ポリゴンミラー271の偏向面701においては異なる入射角θ1、θ2の光線LLに対する反射率が異なり、fθレンズ273のレンズ面においては異なる入射角ξ1、ξ2の光線RLに対する透過率が異なる。同様に、折り返しミラー(28Y、29Y)、…の反射面においても異なる入射角の光線に対する反射率が異なる。fθレンズ273では更に、屈折角η1、η2が異なればレンズ物質、たとえば透明な樹脂を透過する距離が異なるので、その物質による光の吸収に伴う減衰率が異なる。
これらの結果、ポリゴンミラー271およびfθレンズ273等、走査光学系の含む光学素子の反射率および透過率はポリゴンミラー271の回転角、すなわち光源260からの出射光線LLに対する偏向角によって異なる。この場合、仮に主走査期間中、光源260が各レーザー発振子の発光点に出射光量を一定に維持させても、感光体ドラム25Y、…への照射光量は出射光線LLの偏向角の変化に伴って変動する。
図10の(c)は、光源260が第1発光点LD1からの出射光量を一定に維持する条件の下で感光体ドラム25Yへの照射光量に現れる変動を表すグラフである。このグラフの横軸は主走査位置を表し、縦軸は照射光量の変動幅をその最大値に対する比で表す。図10の(c)の例では、このグラフの表す曲線EXC(以下、「変動曲線」という。)から次のことがわかる。まず、照射光量は主走査位置“6”の近辺でピーク(=100%)に達する。次に、このピークの両側、クロック単位で“±6”程度の範囲では、ピークから遠ざかるにつれて照射光量が急激に10〜20%強ほど減衰し、主走査位置“16”を超えた辺りで極小値を示す。さらに、主走査位置“20”以上では照射光量はピーク値の75〜80%程度で緩やかに推移する。照射光量のこの変動がそのまま感光体ドラム25Yの露光量の変化に反映されればトナー像の各ラインには光量むらが現れる。
照射光量のこの変動を相殺するのに必要な第1発光点LD1からの出射光量の変化をグラフ化した曲線が、図9の(a)の示す補正曲線CRCである。具体的には、図10の(c)の示す変動曲線EXCが照射光量の変動をその最大値に対する比で表すので、その逆比を主走査位置ごとにプロットすれば補正曲線CRCが得られる。
光量むらは上記のとおり、走査光学系内での光路の変化に伴って反射率と透過率とが変化することに起因する。したがって、補正曲線CRCの形状も、走査光学系内で光路がどのように変化するかで決まる。ここで、第1半導体レーザー26Yのレーザー発振子の含む2つの発光点LD1、LD2からの出射光線の間では、感光体ドラム25Yの表面に結ぶスポットSP1、SP2の位置が主走査方向と副走査方向との両方で異なる(図3の(b)参照。)ので、走査光学系内での光路も厳密には異なる。しかし、これらの光路間の違いに起因して感光体ドラム25Yへの照射光量に現れる差は、変動曲線EXCの起伏の大きさに比べれば十分に無視できる。したがって、2つの発光点LD1、LD2からの出射光線に対しては補正曲線CRCが共通であるとみなされ、それらの光量に対する補正では補正部520は共通の補正値を利用する。同様に、同じレーザー発振子の含む発光点間では、出射光量に対する補正に共通の補正値が利用される。
[補正区間の境界の設定条件]
2つの発光点LD1、LD2からの出射光量に対する共通の補正値は次のように設定される。まず、図10の(c)の示す変動曲線EXCが走査光学系のモデルから計算され、または実験によって測定される。次に、この変動曲線EXCの逆比から図9の(a)の示す補正曲線CRCが算定され、この補正曲線CRCに基づいて補正区間の境界CP1、…が設定され、各境界CP1、…で補正曲線CRCの示す補正値がサンプリングされる。
補正区間の境界CP1、…の設定では次の条件が考慮されるべきである。まず、境界CP1、…の間隔が狭いほど、それらの境界の間では補間線CRBの補正曲線CRCに対する誤差、すなわちサンプリング誤差が小さい。したがって、境界の間隔は可及的に狭いことが望ましい。ただし、境界の間隔を狭めれば境界の数が増加する。一方、記憶部521の容量には上限があるので、それに格納可能な補正区間情報CRPと補正値情報CRVとのデータ総量には上限がある。この上限によりサンプルの総数、すなわち境界の総数は制限される。次に、境界の間隔が一定である場合、それらの境界の間での補正曲線CRCの起伏が緩やかであるほどサンプリング誤差は小さい。したがって、境界の総数を過剰に増やすことなく補正曲線CRCの全体でサンプリング誤差を小さく抑えるには、補正曲線CRCの起伏が激しい領域に対して優先的に境界の間隔を狭めればよい。
図11の(a)は、補正曲線CRCに対する補正区間の境界の設定条件を示すグラフである。図11の(a)を参照するに、補正曲線CRCの起伏は第1領域GNRよりも第2領域STRで大きい。したがって、第1領域GNRよりも第2領域STRでは境界の間隔が狭く設定される。具体的には補正区間の境界の設定条件として、第1領域GNRには第1条件が適用され、第2領域STRには第2条件が適用される。第1条件は「隣接する2つの境界間では補正値の差を許容範囲内に収める」ことである。第2条件は「単調に変化する補正曲線の部分では、隣接する2つの境界間での補正値の差を一定に揃える」ことである。
−第1条件に従った補正区間の設定−
まず、第1領域GNRの先端CPIと、その後端CPLから主走査位置が一定値ずつ、たとえば“8”ずつ異なる点とが、補正区間の境界に設定される。次に、隣接する2つの境界の間で補正値の差が許容上限、たとえば2%と比較される。図11の(a)では、先頭の境界CPIとそれに隣接する2つの境界CPk、CP(k+1)との間では補正値の差が許容上限2%を超える。一方、それ以外の境界の間では許容上限以下である。したがって、3つの境界CPI、CPk、CP(k+1)の間に新たな境界が追加され、それらの境界間での補正値の差が許容上限以下に抑えられる。
図11の(b)は、図11の(a)の示す補正曲線CRCのうち、境界CPk、CP(k+1)を含む部分の拡大図である。図11の(b)を参照するに、境界CPk、CP(k+1)の間では補正値の差が許容上限2%を超える。この場合、境界CPk、CP(k+1)の間に新たな境界CP+を追加する。この新たな境界CP+は、その補正値が境界CPk、CP(k+1)のいずれの補正値からの差も許容上限2%以下であるように設定される。境界CPI、CPkの間にも同様にして新たな境界が追加される。
なお、補正区間の総数の制限から新たな境界の追加が不可であれば、サンプリング誤差が許容範囲内に留まるという条件の下で、境界間での補正値の差の許容上限2%が引き上げられればよい。
−第2に従った補正区間の設定−
まず、第2領域STRにおける補正曲線CRCのピークと谷底とに境界CPT、CPBが設定され、それらの間での補正値の差、たとえば約25%が、それらの間に設定可能な境界の数、たとえば4つに等分割される。次に、谷底CPBまたはピークCPTから補正値が分割単位、たとえば25%/4=5%ずつ異なる点が境界に設定される。こうして、谷底CPBからピークCPTに向かって単調に増大する補正曲線CRCの部分では、隣接する2つの境界間での補正値の差が一定値5%に揃う。第2領域STRがピークCPTと谷底CPBとの外側にも拡がっている場合、その外側にも同様に境界が設定される。
なお、単調に変化する補正曲線の部分に設定可能な境界の数は、境界の総数を増やすことがなく、かつ補正値の分割単位から推測されるサンプリング誤差が許容範囲内に収まるように決定される。
第1条件と第2条件とのいずれが適用される場合でも境界の間隔、すなわち補正区間の幅はクロック周期の整数倍に設定される。これにより、タイミング生成部524はMCL信号の立ち上がりと立ち下がりとのタイミングから、発光点LD1、LD2からの出射光線のスポットSP1、SP2が各境界に到達するタイミングを容易に検出することができる。したがって、タイミング生成部524の回路構成が簡単化される。
[光走査部に対する制御のフローチャート]
図12は、光走査部26に対する制御のフローチャートである。この処理は印刷ジョブの開始に応じて開始される。
ステップS101では、主制御部60が光源260に半導体レーザー26Y、…を発光させ、走査光学系の制御部300にモーター272を起動させてポリゴンミラー271を回転させる。これにより、SOSセンサー303が主走査期間の周期でSOS信号を有効にする。その後、処理はステップS102へ進む。
ステップS102では、補正部520がSOS信号からMCL信号を生成する。この処理の詳細については後述する。その後、処理はステップS103へ進む。
ステップS103からステップS110までのループは4つの駆動回路300Y、…の間で、更に各駆動回路300Y、…では駆動対象の半導体レーザー26Y、…のレーザー発振子が含む2つの発光点LD1、LD2に1対1で対応する2組のSH部510、切換部525、および変調部530の間で並列に処理される。
ステップS103では、各駆動回路300Y、…の生成する指示信号SHS1、SHS2が有効であるか否かを制御部300が監視する。指示信号が有効であるSH部510に対しては処理がステップS104へ進み、指示信号が無効であるSH部510に対しては処理がステップS105へ進む。
ステップS104では、指示信号が有効であるSH部510に対応する発光点LD1またはLD2についての帰線期間FBRまたはFBRである。したがって、このSH部510ではスイッチ514が差動増幅器515とキャパシタ515との間の接続を維持する。これによりキャパシタ515が差動増幅器515の出力電流ISHによって充放電する。さらに、キャパシタ515の充放電後の両端間電圧VSHをVI変換器516が供給電流IB1に変換する。このとき、差動増幅器515の出力電流ISHは抵抗511の電圧降下量VFBと基準電圧源512の出力電圧VRFとの差VFB−VRFに比例し、この差VFB−VRFは、2つの発光点LD1、LD2からの出射光量の和とそれらの出射光量の基準値の和との間の差に比例する。それ故、発光点LD1、LD2からの出射光量がいずれも基準値と一致するように供給電流IB1、IB2が調節される。その後、処理はステップS103から繰り返される。
ステップS105では、指示信号SHS1またはSHS2が無効であるSH部510に対応する発光点LD1またはLD2についての有効走査期間ESRまたはESRである。したがって、このSH部510ではスイッチ514が差動増幅器515とキャパシタ515との間の接続を切断する。これによりキャパシタ515の両端間電圧VSHが一定値に保たれるので、VI変換器516が供給電流量IB1またはIB2を基準値に維持する。その後、処理はステップS106へ進む。
ステップS106では、各駆動回路300Y、…の生成するタイミング信号TMS1、TMS2が有効であるか否かを制御部300が監視する。タイミング信号が有効である切換部525に対しては処理がステップS107へ進み、無効である切換部525に対しては処理がステップS108へ進む。
ステップS107では、タイミング信号が有効である切換部525に対応する発光点LD1またはLD2からの出射光線のスポットSP1またはSP2が新たな補正区間に到達する。このとき、この切換部525は記憶部521から補正値情報CRVの示す補正値を読み出し、補間対象の補正値の一方を読み出した補正値に変更する。その後、処理はステップS108へ進む。
ステップS108では、切換部525は、新たな補正区間の両端の境界に対する補正値を線形補間し、得られた補間値に合わせてDAC600の増幅率を線形に変化させる。その後、処理はステップS109へ進む。
ステップS109では、変調部530が画像データVDSの表す各色の階調値に基づいて、補正部520から発光点LD1、LD2へ実際に供給される電流IC1、IC2を変調する。その後、処理はステップS110へ進む。
ステップS110では、未処理の画像データが残っているか否かを、Y、M、C、Kの各色の階調値について制御部300が確認する。未処理の画像データが残っている駆動回路300Y、…、または300Kに対しては処理はステップS103から繰り返され、残っていない駆動回路300Y、…、または300Kに対しては処理はステップS111へ進む。
ステップS111では、制御部300は、すべての駆動回路300Y、…において未処理の画像データが残っていないことを確認した上で、その旨を主制御部60に通知する。この通知に応じて主制御部60は光源260に半導体レーザー26Y、…の発光を停止させ、制御部300にモーター272の回転を停止させる。こうして、処理は終了する。
[CLK信号に対するPWM処理]
図13は、図12の示すステップS102においてMCL信号を生成するサブルーチンのフローチャートである。
ステップS121では、制御部300が主制御部60から、現時点で設定されているシートの搬送速度を取得する。その後、処理はステップS122へ進む。
ステップS122では、制御部300が記憶部521にスポット間隔情報PTCから、ステップS121で取得した搬送速度に対応する遅延時間DLYの値、すなわち遅延クロック数とMCL信号のデューティー比の目標値との組み合わせを検索させる。その後、処理はステップS123へ進む。
ステップS123では、発振部521がCLK信号を生成し、このCLK信号の立ち上がりをSOS信号の有効化のタイミングに一致させる。その後、処理はステップS124へ進む。
ステップS124では、PWM部523がまず記憶部521から、ステップS122で検索されたMCL信号のデューティー比の目標値を取得する。PWM部523は次にCLK信号に対してPWMを行い、MCL信号のデューティー比を取得した目標値に一致させる。その後、処理は図12の示すフローへ戻り、ステップS103へ進む。
[タイミング生成部による信号処理のフローチャート]
図14は、タイミング生成部524による信号処理のフローチャートである。この処理は印刷ジョブの開始に応じて開始される。
ステップS201では、タイミング生成部524はまず記憶部521から、ステップS122においてスポット間隔情報PTCから検索された遅延クロック数を読み出す。タイミング生成部524は次にこの遅延クロック数を、カウンターの値CNTに対する第1閾値に加えた値を第3閾値に設定し、第2閾値に加えた値を第4閾値に設定する。その後、処理はステップS202へ進む。
ステップS202では、タイミング生成部524はSOS信号の立ち下がりに応じてカウンターの値CNTを“0”にリセットする。以後カウンターはその値CNTをMCL信号の立ち上がりの度に1ずつ増やす。その後、処理はステップS203へ進む。
ステップS203では、タイミング生成部524は記憶部521から、補正区間情報CRPの規定する補正区間の境界の主走査位置CPk(整数k=1、2、3、…。)を読み出して、各主走査位置CPkよりも遅延クロック数だけ大きい主走査位置CPkを特定する。その後、処理はステップS204とステップS214とへ進む。
ステップS204からステップS210までは第1指示信号SHS1と第1タイミング信号TMS1とを生成する処理であり、ステップS214からステップS220までは第2指示信号SHS2と第2タイミング信号TMS2とを生成する処理である。これらの処理は並列に実行される。
ステップS204では、カウンターの値CNTが第1閾値T1−T0(図8の例では“2”)に達したか否か(CNT≧T1−T0)をタイミング生成部524が確認する。達していれば処理はステップS205へ進み、達していなければ処理はステップS204を繰り返す。
ステップS205では、カウンターの値CNTが第1閾値T1−T0に達しているのでタイミング生成部524は第1指示信号SHS1を直ちに無効にする(図8の例では「立ち上げる」)。これにより、第1発光点LD1については帰線期間FBRから有効走査期間ESCへ移行する。タイミング生成部524はまた、整数値変数nを初期値“1”に設定する。その後、処理はステップS206へ進む。
ステップS206では、カウンターの値CNTが、補正区間情報CRPの規定する補正区間の境界のうち、n番目の境界の主走査位置CPnに達したか否か(CNT≧CPn)をタイミング生成部524が確認する。達していれば処理はステップS207へ進み、達していなければ処理はステップS206を繰り返す。
ステップS207では、カウンターの値CNTがn番目の境界の主走査位置CPnに達しているので、タイミング生成部524が第1タイミング信号TMS1を直ちに有効にする(図8の例では「立ち上げる」)。その後、処理はステップS208へ進む。
ステップS208では、カウンターの値CNTが第2閾値T2−T0(図8の例では“N”)に達したか否か(CNT≧T2−T0)をタイミング生成部524が確認する。達していれば処理はステップS209へ進み、達していなければ処理はステップS210へ進む。
ステップS209では、カウンターの値CNTが第2閾値T2−T0に達しているのでタイミング生成部524は第1指示信号SHS1を直ちに有効にする(図8の例では「立ち下げる」)。これにより第1発光点LD1については有効走査期間ESCから帰線期間FBRへ移行する。その後、処理は終了する。
ステップS210では、カウンターの値CNTが第2閾値T2−T0には達していないので、タイミング生成部524は整数値変数nを“1”増やす。その後、処理はステップS206から繰り返される。
ステップS214では、カウンターの値CNTが第3閾値T1−T0(図8の例では“5”)に達したか否か(CNT≧T1−T0)をタイミング生成部524が確認する。達していれば処理はステップS215へ進み、達していなければ処理はステップS214を繰り返す。
ステップS215では、カウンターの値CNTが第3閾値T1−T0に達しているのでタイミング生成部524はMCL信号の次の立ち下がりに応じて第2指示信号SHS2を無効にする(図8の例では「立ち上げる」)。これにより、第2発光点LD1については帰線期間FBRから有効走査期間ESCへ移行する。タイミング生成部524はまた、整数値変数nを初期値“1”に設定する。その後、処理はステップS216へ進む。
ステップS216では、補正区間情報CRPの規定するn番目の境界の主走査位置CPnよりも遅延クロック数(図8の例では“3”)だけ大きい主走査位置CPnにカウンターの値CNTが達したか否か(CNT≧CPn)をタイミング生成部524が確認する。達していれば処理はステップS217へ進み、達していなければ処理はステップS216を繰り返す。
ステップS217では、カウンターの値CNTが主走査位置CPnに達しているので、タイミング生成部524はMCL信号の次の立ち下がりに応じて第2タイミング信号TMS2を有効にする(図8の例では「立ち上げる」)。その後、処理はステップS218へ進む。
ステップS218では、カウンターの値CNTが第4閾値T2−T0(図8の例では“N+3”)に達したか否か(CNT≧T2−T0)をタイミング生成部524が確認する。達していれば処理はステップS219へ進み、達していなければ処理はステップS220へ進む。
ステップS219では、カウンターの値CNTが第4閾値T2−T0に達しているのでタイミング生成部524はMCL信号の次の立ち下がりに応じて第2指示信号SHS2を有効にする(図8の例では「立ち下げる」)。これにより第2発光点LD2については有効走査期間ESCから帰線期間FBRへ移行する。その後、処理は終了する。
ステップS220では、カウンターの値CNTが第4閾値T2−T0には達していないので、タイミング生成部524は整数値変数nを“1”増やす。その後、処理はステップS216から繰り返される。
[実施形態の利点]
本発明の実施形態による光走査部26では上記のとおり、光源260が各半導体レーザー26Y、…から光線を2本ずつ出射させ、走査光学系271、273、…が両光線で同じ感光体ドラム25Y、…、または25Kを露光走査する。このとき、両光線が同じ感光体ドラム25Y、…の表面に結ぶスポットSP1、SP2の主走査方向の間隔PBに応じて、補正部520がMCL信号のデューティー比を調節する。補正部520は更に、半導体レーザー26Yのレーザー発振子の含む第1発光点LD1からの出射光量に対する補正値をMCL信号の立ち上がりに同期して選択し、第2発光点LD2からの出射光量に対する補正値をMCL信号の立ち下がりに同期して選択する。これにより光走査部26は、スポットSP1、SP2の主走査方向の間隔PBが製品間でばらついても、CLK信号の周波数を変えることなく、補正値の変更のタイミングを適切に修正可能である。こうして、光走査部26は、記憶部521の容量等、補正部520の回路規模を過大にすることなく光量むらの抑制効果を向上させる。その結果、プリンター100の印刷画質を向上させることができる。
[変形例]
(A)図1の示す画像形成装置100はカラーレーザープリンターである。本発明の実施形態による画像形成装置はその他に、モノクロレーザープリンター、インクジェットプリンター、ファクシミリ、コピー機、または複合機等のいずれであってもよい。
(B)図3の示す半導体レーザー26Y、…の波長と出力との値は一例に過ぎず、他の値でもよい。また、半導体レーザー26Y、…に代えて、LEDが光源260に利用されてもよい。
(C)走査光学系の構造は、図2の示すポリゴンミラー271、fθレンズ273等の組み合わせに限られず、他の光学素子の組み合わせであってもよい。たとえば、ポリゴンミラーの偏向面の数は、図2の示すもの271の数“7”以外の整数値であってもよい。ポリゴンミラーはまた、図1の示すもの271のようにプリンター100の正面から見て4つの感光体ドラム25Y、…よりも左側に配置される他に、右側であっても中央であってもよい。ポリゴンミラーの位置に合わせて、fθレンズ、折り返しミラー等、他の光学素子の配置が変更されればよい。
(D)図5では切換部525が変調部530の前段でレーザー発振子LD1、LD2への供給電流量を補正する。切換部はその他に変調部530の後段で、すなわち画像データによる変調後の供給電流量を補正してもよい。
(E)PWM部523は図7の(a)が示すように、特定の主走査位置に第2スポットSP2が到達する時刻TSH、TSLとCLK信号の立ち下がり時TSとの誤差に合わせてMCL信号のデューティー比の目標値をCLK信号のデューティー比50%の前後で調節する。これにより、その到達時刻TSH、TSLに一致するようにMCL信号の立ち下がり時が変位する。PWM部523はこのとき、この目標値が取り得る範囲をデューティー比が本来取り得る値の範囲、0%以上100%以下よりも狭く制限してもよい。具体的にはたとえば、PWM部523はこの目標値が取り得る範囲を10%以上90%以下に制限する。これにより、MCL信号の論理レベルが真(H)または偽(L)に維持される時間長(すなわちパルス幅)が少なくともクロック周期PCLの10%までは確保される。このようにMCL信号のパルス幅の下限が確保されることにより、タイミング生成部524はMCL信号の立ち上がりと立ち下がりとの両方を確実に検出することができる。
(F)図8では、異なる発光点LD1、LD2からの出射光線のスポットSP1、SP2が補正区間の境界に到達するタイミングを異なるタイミング信号TMS1、TMS2の立ち上がりが表す。その他に、これらのタイミングを同じタイミング信号が表してもよい。たとえば、タイミング信号に多値信号が利用され、異なる発光点からの出射光線のスポットが補正区間の境界に到達するタイミングが、このタイミング信号の異なる論理レベルへの遷移で表されてもよい。この場合、各発光点に対応する切換部はこの論理レベルを識別することにより、補正値の変更のタイミングを特定すればよい。
(G)補正区間情報CRPは補正区間の各境界の主走査位置を、図9が示すように、有効走査期間ESRの始点T0において半導体レーザー26Y、…からの出射光線が照射される(正確には、第1ミラー301が除去されれば照射されたであろう)主走査位置を原点“0”とする主走査方向の座標の値で規定する。補正区間情報CRPはその他に、先頭の境界の主走査位置と各補正区間の幅とを規定してもよい。この場合、タイミング生成部524は先頭の境界の主走査位置と各補正区間の幅とから2番目以降の境界の主走査位置を算出すればよい。
(H)補正値情報CRVは、レーザー発振子の含む第1発光点LD1からの出射光量に対する補正値を、図9の(b)が示すように、DAC600による増幅前の電流量IB1に対する増幅後の電流量IC1の比、すなわち出射光量の基準値に対する補正後の出射光量の比で規定する。補正値はまた、走査光学系内での光路変化に伴う反射率、透過率の変動の相殺に必要な出射光量の値を特定することが可能な他のパラメーターの値で規定されてもよい。そのようなパラメータとしてはたとえば、補正後の出射光量の値そのもの、その値と基準値との差、その値の光量を第1発光点LD1から出射させるのに必要な電流量が挙げられる。
(I)切換部525は補正値情報CRVの規定する補正値に対して線形補間を行い、DAC600の増幅率を、図9の(a)の示す補間線CRBに沿って線形に変化させる。切換部525はその他に、DAC600の増幅率を階段状に変化させてもよく、特にその増幅率を各補正区間ではその始端の境界に対する補正値に一定に維持してもよい。
(J)切換部525は補正値の線形補間をデジタル処理、すなわち各補正区間を微小区間に細分して、DAC600の増幅率を微小区間あたりに一定の割合で変化させる。切換部はその他に、この線形補間をアナログ処理で行ってもよい。具体的には、切換部はたとえばDAC600の後段にアナログ積分回路を含み、DAC600には増幅率を各補正区間で一定に保たせる一方、アナログ積分回路には増幅後の電流量を時間積分させて、その積分値に比例する量と初期値との和または差に等しい量の電流を出力させる。この積分回路の時定数を各補正区間の時間長よりも十分に長く設定すれば、出力電流量を線形に変化させることができる。
(K)補正区間の境界の間隔は、図9の(a)が示すように、補正曲線CRCの起伏が比較的緩やかな第1領域GNRでの値ΔPSよりも、起伏が比較的激しい第2領域STRでの値ΔPDが小さく設定される。補正区間の境界の間隔はその他に、補正曲線CRCの起伏の緩急にかかわらず、一定に設定されてもよい。
補正区間の境界はまた、図9の(a)が示すように、主走査方向の座標の取り得る範囲の全体にわたって設定される他に、その範囲の一部、たとえば第2領域STRのように補正曲線CRCの起伏が激しい領域にのみ設定されてもよい。一方、たとえば第1領域GNRのように補正曲線CRCの起伏が緩やかな領域では光源からの出射光量に対する補正値が一定に揃えられてもよい。
光源からの出射光線がポリゴンミラー271のいずれの偏向面で反射されても補正曲線CRCの形状に実質的な差が現れない場合、補正区間の境界と補正値とはすべての偏向面について共通に設定される。これにより、補正区間情報CRPと補正値情報CRVとのいずれのデータ量も縮小可能である。一方、ポリゴンミラーの偏向面の間における、回転軸方向に対する傾き(面倒れ)、表面の微細な凹凸等の形状のばらつきに起因して、出射光線がいずれの偏向面で反射されるかに依って補正曲線CRCの形状に実質的な差が現れる場合、補正区間情報CRPと補正値情報CRVとの一方または両方が偏向面ごとに設定されてもよい。これにより、光量むらの抑制効果を更に向上させることができる。
上記の実施形態では、同じ半導体レーザー26Y、…のレーザー発振子の含む2つの発光点LD1、LD2の間では補正曲線の形状が実質的に共通であるとみなされ、出射光量に対する補正に共通の補正値が利用される。その他に、これらの発光点の間での補正曲線の形状の違いに合わせて、補正区間情報CRPと補正値情報CRVとの一方または両方が発光点ごとに設定されてもよい。この場合でも、補正部520は出射光量に対する補正値の選択を、第1発光点LD1についてはMCL信号の立ち上がりに同期させ、第2発光点LD2についてはMCL信号の立ち下がりに同期させる。これにより、補正部520は両発光点からの出射光量に対する補正に共通のCLK信号と共通のカウンターとを利用しても、スポットSP1、SP2の主走査方向の間隔PBのばらつきに合わせて補正値の変更のタイミングを適切に修正可能である。したがって、タイミング生成部524の回路構成が簡単化可能である。
(L)各半導体レーザー26Y、…からは、図3が示すように、光線が2本ずつ出射される。その他に、出射光線が半導体レーザー1個あたり2本よりも多くてもよい。この場合でも補正部は、各要素を以下のように動作させることにより、その回路規模を過大にすることなく光量むらの抑制効果を向上させることができる。
[光線が3本の場合]
1個の半導体レーザーから、第1光線、第2光線、第3光線の3本が出射され、これら3本の光線が同じ感光体ドラムの表面に結ぶスポットが主走査方向に沿って、第1光線、第3光線、第2光線の順に並ぶ場合を想定する。
発振部は第1CLK信号と第2CLK信号とを生成し、第1CLK信号の立ち上がりをSOSセンサー303が第1光線を検出するタイミングに同期させ、第2CLK信号の立ち上がりをSOSセンサー303が第3光線を検出するタイミングに同期させる。発振部はその他に、第1光線のスポットに対して第3光線のスポットが両者の主走査方向の間隔に起因して遅延する時間に合わせて第1CLK信号の位相を遅らせることにより、第1CLK信号を第2CLK信号に変換してもよい。
PWM部は第1CLK信号に対してPWMを行ってMCL信号を生成し、そのデューティー比を目標値に一致させる。この目標値は、第1光線のスポットに対して第2光線のスポットが両者の主走査方向の間隔に起因して遅延する時間をクロック単位で表した値の小数部分に相当する。これにより、第1光線のスポットがMCL信号の立ち上がり時に到達する主走査位置には、第2光線のスポットがMCL信号の立ち下がり時に到達する。
タイミング生成部はMCL信号の立ち上がりを数え、その立ち上がりの回数に基づいて第1タイミング信号と第2タイミング信号とを生成する。第1タイミング信号の立ち上がりは、補正区間情報の規定する補正区間の境界の主走査位置CPkに第1光線のスポットが到達するタイミングを示す。第2タイミング信号の立ち上がりは、各主走査位置CPkよりも遅延クロック数だけ大きい主走査位置CPkに第2光線のスポットが到達するタイミングを示す。この遅延クロック数は、第1光線のスポットに対する第2光線のスポットの遅延時間をクロック単位で表した値の整数部分に相当する。
タイミング生成部は更に第2CLK信号の立ち上がりを数え、その立ち上がりの回数に基づいて第3タイミング信号を生成する。第3タイミング信号の立ち上がりは、補正区間情報の規定する補正区間の境界の主走査位置CPkに第3光線のスポットが到達するタイミングを示す。
異なる光線に対応する切換部は異なるタイミング信号の立ち上がりに応じて補正値を変更する。
[光線が2n本(整数n≧2)の場合]
図15の(a)は、半導体レーザーに内蔵のレーザー発振子371が含む発光点のマトリクスを示す模式図である。このレーザー発振子371は図3の(a)が示すもの361とは発光点が8×4のマトリクスMTRを構成している点で異なる。図15の(a)を参照するにこのマトリクスMTRでは発光点が、各列には8つずつ等間隔で一直線に並び、各行には4つずつ等間隔で一直線に並ぶ。さらに行方向が列方向(図15の(a)の示すY軸方向)に対して垂直な方向(図15の(a)の示すX軸方向)からわずかに傾斜している。感光体ドラムの表面上では、各列の8つの発光点からの出射光線のスポットが副走査方向には間隔を置いて並ぶ一方、主走査位置が共通である。したがって、補正部は同じ列の8つの発光点からの出射光量に対する補正では周知の方法どおり、共通のCLK信号の立ち上がりを数えて補正値の変更のタイミングを計ればよい。これに対し、各行の4つの発光点からの出射光線のスポットは主走査方向においても間隔を置いて並ぶ。したがって、補正部は同じ行の4つの発光点からの出射光量に対する補正では複数のCLK信号を次のように利用して補正値の変更のタイミングを計る。
図15の(b)は、1個の半導体レーザーからの2n本(整数n≧2)の出射光線が同じ感光体ドラムの表面に結ぶ2n個のスポットSP1、SP2、…、SP2nを示す模式図である。図15の(b)を参照するにこれらのスポットSP1、…は主走査方向に間隔を置いて並ぶ。ここで、各スポットSPk(整数k=1、2、3、…、2n)を結ぶ光線に対して識別番号を、主走査位置の値が大きいスポットの順に次のように設定する。まず奇数を“1”から順に“2n−1”まで振り、続いて偶数を“2”から順に“2n”まで振る。このような番号づけであれば、2n本の光線が出射する2n個の発光点が図15の(a)のようにマトリクスの同じ行に並ぶ場合、第(2m−1)光線のスポットSP(2m−1)と第2m光線のスポットSP2mとの間隔が実質上均一である。特にいずれのスポットの対についても、その間隔に対する誤差の割合が同程度に小さく抑えられる。
補正部は各発光点からの出射光量に対する補正では、第(2m−1)光線と第2m光線との対を上記の実施形態の第1光線と第2光線との対と同様に扱う。具体的には、補正部は各要素を以下のように動作させる。
発振部は第mCLK信号(以下、「CLKm」と略す。整数m=1、2、3、…、n。)を生成し、CLKmの立ち上がりをSOSセンサー303が第(2m−1)光線を検出するタイミングに同期させる。特に、第(2m−1)光線のスポットSP(2m−1)に対する第2m光線のスポットSP2mの遅延時間がクロック周期の半整数倍に等しいように、CLKmの周期は設定される。発振部はその他に、第1光線のスポットに対して第(2p−1)光線(整数p=2、3、…、n。)のスポットが両者の主走査方向の間隔に起因して遅延する時間に合わせてCLK1の位相を遅らせることにより、CLK1をCLKpに変換してもよい。
図15の(c)は、感光体ドラムの表面上の同じ主走査位置に、第1光線のスポットSP1、第2光線のスポットSP2、…が到達する時刻と、CLK1、CLK2、…、第1MCL信号(MCL1)、第2MCL信号(MCL2)、…のパルス波形との間の対応関係を示すタイミングチャートである。図15の(c)を参照するに、この位置にはCLK1の1つの立ち上がり時TS1に第1光線のスポットSP1が到達し、更に遅延時間DLY1の経過後に第2光線のスポットSP2が到達する。この遅延時間DLY1は、第2光線のスポットSP2が第1光線のスポットSP1との間隔に等しい距離を移動するのに要する時間を表す。同様にこの位置には、CLKmの1つの立ち上がり時TSmに第(2m−1)光線のスポットSP(2m−1)(以下、「第(2m−1)スポット」という。)が到達し、更に遅延時間DLYmの経過後に第2m光線のスポットSP2m(以下、「第2mスポット」という。)が到達する。この遅延時間DLYmは、第2mスポットSP2mが第(2m−1)スポットSP(2m−1)との間隔に等しい距離を移動するのに要する時間を表す。
PWM部はCLKmに対してPWMを行って第mMCL信号(MCLm)を生成し、そのデューティー比を第m目標値に一致させる。第m目標値は、第(2m−1)スポットSP(2m−1)に対する第2mスポットSP2mの遅延時間をクロック単位で表した値の小数部分に相当する。たとえば図15の(c)では、第2スポットSP2の到達時刻TS2はCLK1の立ち下がり時TR1から遅れるので、第1目標値は両時刻間の差TR1−TS2のクロック周期PCL1に対する比20%だけCLK1のデューティー比50%よりも大きい値70%に設定される。一方、第4スポットSP4の到達時刻TS4はCLK2の立ち下がり時TR2よりも早いので、第2目標値は両時刻間の差TR2−TS4のクロック周期PCL2に対する比15%だけCLK2のデューティー比50%よりも小さい値35%に設定される。このように、PWM部がMCLmのデューティー比を第m目標値に一致させることにより、第(2m−1)スポットSP(2m−1)がMCLmの立ち上がり時に到達する主走査位置には、第2mスポットSP2mが第mMCL信号の立ち下がり時に到達する。
図15の(d)は、CLK信号別に遅延クロック数とMCL信号のデューティー比の目標値との組み合わせを示す表である。これらの遅延クロック数は、第(2m−1)スポットに対する第2mスポットの遅延時間をクロック単位で表した値の整数部分に相当する。たとえばこの表がスポット間隔情報により規定され、PWM部により参照される。図15の(d)を参照するに、CLK1に対しては遅延クロック数“2”と目標値70%との組み合わせが割り当てられ、CLK2に対しては遅延クロック数“3”と目標値35%との組み合わせが割り当てられている。これらは、遅延時間DLY1、DLY2がクロック単位で値“2.7”、“3.35”に等しいことを表す。
タイミング生成部はMCLmの立ち上がりを数え、その立ち上がりの回数に基づいて、第(2m−1)指示信号、第2m指示信号、第(2m−1)タイミング信号、および第2mタイミング信号を生成する。具体的には、タイミング生成部はまず、内蔵のカウンターの値が第1閾値に達するときのMCLmの立ち上がりに合わせて第(2m−1)指示信号を立ち上げる。タイミング生成部は次に、カウンターの値が第2閾値に達するときのMCL信号の立ち上がりに合わせて第(2m−1)指示信号を立ち下げる。ここで、CLKm間の位相差を発振部が予め第(2m−1)スポットの主走査方向の間隔に合わせてあるので、第1閾値と第2閾値とはMCLm間で共通でよい。
タイミング生成部は更に、スポット間隔情報の規定する遅延クロック数と第1閾値との和を第3閾値に設定し、この遅延クロック数と第2閾値との和を第4閾値に設定する。ここで、遅延クロック数は一般にCLKm間で異なるので、第3閾値と第4閾値とは一般にMCLm間で異なる。その後、MCLmの立ち上がりを数えるカウンターの値が第3閾値に達したとき、タイミング生成部はMCLmの次の立ち下がりに合わせて第2m指示信号を立ち上げる。さらに、そのカウンターの値が第4閾値に達したとき、タイミング生成部はMCLmの次の立ち下がりに合わせて第2m指示信号を立ち下げる。
MCLmの立ち上がりを数えるカウンターの値が、補正区間情報の規定する境界の主走査位置CPk(整数k=1、2、3、…。)に達したときのMCLmの立ち上がりに合わせて、タイミング生成部は第(2m−1)タイミング信号を立ち上げる。この主走査位置CPkよりも遅延クロック数だけ大きい値にカウンターの値が達したとき、タイミング生成部はMCLmの次の立ち下がり時に第2mタイミング信号を立ち上げる。
こうして、第(2m−1)タイミング信号の立ち上がりは、補正区間の境界の主走査位置CPkに第(2m−1)スポットが到達するタイミングを示し、第2mタイミング信号の立ち上がりは、各主走査位置CPkよりもCLKmに対する遅延クロック数だけ大きい主走査位置に第2m光線のスポットが到達するタイミングを示す。
第(2m−1)光線、第2m光線のそれぞれに対応する切換部は第(2m−1)タイミング信号、第2mタイミング信号の各立ち上がりに応じて補正値を変更する。これにより光量に対する補正値の選択は、第(2m−1)光線についてはMCLmの立ち上がりに同期し、第2m光線についてはMCLmの立ち下がりに同期する。
[光線が(2n+1)本(整数n≧2)の場合]
感光体ドラムの表面では、1個の半導体レーザーからの(2n+1)本の出射光線が結ぶ(2n+1)個のスポットSP1、SP2、…、SP(2n+1)が主走査方向に間隔を置いて並ぶ。このスポット列の中央に位置するスポットSP(n+1)を除く2n個のスポットを結ぶ出射光線に対しては、補正部は光線が2n本の場合と同様に補正を行えばよい。一方、中央のスポットSP(n+1)を結ぶ出射光線に対しては、補正部は光線が3本の場合における第3光線と同様に補正を行えばよい。
なお、複数本の光線の中から光量に対する補正に同じMCL信号を利用する2本の組み合わせについては、図15の(b)が示す組み合わせ以外であってもよい。ただし、この場合、図15の(b)が示すスポットの主走査方向の間隔よりも間隔が短いスポットの対が生じる。この対ではその間隔に対する誤差の割合が比較的高くなるので、この対についてはCLK信号の周波数を比較的高く設定せざるを得ない場合がある。したがって、図15の(b)が示す組み合わせは他の組み合わせよりも、いずれのCLK信号の周波数も比較的低く抑えることができるので、補正部の回路構成の簡単化とCLK信号に起因する電磁波ノイズの低減との点では有利である。
本発明は光走査装置に関し、上記のとおり、半導体レーザーからの2本の出射光線が同じ感光体の表面に結ぶ2個のスポットの間隔に合わせてクロック信号のデューティー比を調節し、光量に対する補正値の変更のタイミングを出射光線の一方に対してはクロック信号の立ち上がりに同期させ、他方に対してはクロック信号の立ち下がりに同期させる。このように、本発明は明らかに産業上利用可能である。
100 レーザープリンター
25Y、25M、25C、25K 感光体ドラム
26 光走査部
260 光源
26Y、26M、26C、26K 半導体レーザー
271 ポリゴンミラー
273 fθレンズ
28Y−K、29Y−C 折り返しミラー
300 制御部
301 第1ミラー
302 第2ミラー
303 SOSセンサー
361 レーザー発振子
362 出射口
EEL 端面発光型レーザー発振子の拡大図
PE1、PE2 端面発光型レーザー発振子の発光点
VCS VCSELレーザー発振子の拡大図
PS1、PS2 VCSELレーザー発振子の発光点
SP1、SP2 レーザー発振子の発光点からの出射光線のスポット
PB、PL スポットの主走査方向、副走査方向の間隔
LN1、LN2 スポットが感光体ドラムの表面に描くライン
CLK クロック信号
MCL PWM後のクロック信号
DLY スポット間の遅延時間

Claims (8)

  1. 感光体に露光走査によって画像を形成する光走査装置であり、
    第1光線と第2光線とを出射させ、光線ごとに光量を調節可能である光源と、
    前記第1光線と前記第2光線とを周期的に偏向しながら前記感光体の表面に結像させることにより、両光線のスポットの間隔を主走査方向と副走査方向との両方で保ったまま、当該スポットを主走査方向へ移動させる走査光学系と、
    各光線の光量を画像データに従って変調する変調部と、
    各光線のスポットの主走査方向の位置に応じて補正値を選択し、当該補正値で当該光線の光量を補正する補正部と、
    を備え、
    前記補正部は、
    前記第1光線の周期的な偏向に同期してクロック信号を、前記第1光線のスポットが所定の位置に到達するタイミングで立ち上がりまたは立ち下がるように生成する発振部と、
    パルス幅変調によって前記クロック信号のデューティー比を、前記第1光線と前記第2光線とのスポットの主走査方向の間隔で決まる目標値に一致させるパルス幅変調部と、
    前記パルス幅変調部が変調したクロック信号の立ち上がりまたは立ち下がりを数え、立ち上がりの回数が所定数に到達するタイミングと、立ち下がりの回数が所定数に到達するタイミングとを示すタイミング信号を生成するタイミング生成部と、
    前記タイミング信号に応じて前記第1光線と前記第2光線との各光量に対する補正値の選択を、一方は前記パルス幅変調部が変調したクロック信号の立ち上がりに同期させ、他方は前記パルス幅変調部が変調したクロック信号の立ち下がりに同期させる切換部と、
    を含む、光走査装置。
  2. 前記補正部は、各光線のスポットが移動する前記感光体上の領域に主走査方向の座標を設定して当該座標の取り得る範囲を複数の補正区間に分割し、当該スポットの座標が各補正区間に到達するタイミングで当該光線の光量に対する補正値を当該補正区間に対する補正値に変更し、
    前記発振部は前記クロック信号の立ち上がりまたは立ち下がりを、前記第1光線のスポットが各補正区間に到達するタイミングに一致させる
    ことを特徴とする請求項1に記載の光走査装置。
  3. 前記走査光学系による前記第1光線の偏向角が所定値に到達するタイミングを検出する検出部
    を更に備え、
    前記発振部は、前記検出部が検出したタイミングに前記クロック信号の立ち上がりまたは立ち下がりを一致させる
    ことを特徴とする請求項1または請求項2に記載の光走査装置。
  4. 前記走査光学系は各光線を偏向させる周期を変更可能であり、
    前記パルス幅変調部は当該周期の変更に合わせて前記クロック信号のデューティー比の目標値を変更する
    ことを特徴とする請求項1から請求項3までのいずれかに記載の光走査装置。
  5. 前記パルス幅変調部は前記クロック信号のデューティー比の目標値を変更する際、変更後の目標値が取り得る範囲を0以上1以下よりも狭く制限することを特徴とする請求項4に記載の光走査装置。
  6. 前記光源は更に第3光線を出射させ、
    前記走査光学系は前記第3光線を前記第1光線と前記第2光線と同様に周期的に偏向させながら前記第1光線と前記第2光線とのスポットの間に結像させることにより、3本の光線のスポットの間隔を主走査方向と副走査方向との両方で保ったまま、当該スポットを主走査方向へ移動させ、
    前記発振部は前記第3光線の周期的な偏向に同期して別のクロック信号を、前記第3光線のスポットが所定の位置に到達するタイミングで立ち上がりまたは立ち下がるように生成し、
    前記タイミング生成部は前記別のクロック信号の立ち上がりまたは立ち下がりを数え、立ち上がりの回数または立ち下がりの回数が所定数に到達するタイミングを示す別のタイミング信号を生成し、
    前記切換部は前記別のタイミング信号に応じて前記第3光線の光量に対する補正値の選択を前記別のクロック信号の立ち上がりまたは立ち下がりに同期させる
    ことを特徴とする請求項1から請求項5までのいずれかに記載の光走査装置。
  7. 前記光源は更に第4光線から第2n光線(整数nは2以上である。)までを出射させ、
    前記走査光学系は前記第4光線から第2n光線までを前記第1光線から前記第3光線までと同様に周期的に偏向させながら前記感光体の表面に結像させることにより、主走査方向に沿って前記第(2m−1)光線(整数m=1、2、3、…、n。)のスポットを順番に配列し、続いて前記第2m光線のスポットを順番に配列し、当該配列の間隔を主走査方向と副走査方向との両方で保ったまま、当該配列を主走査方向へ移動させ、
    前記発振部は、前記クロック信号と前記別のクロック信号とを含む第mクロック信号を前記第(2m−1)光線の周期的な偏向に同期して当該光線のスポットが所定の位置に到達するタイミングで立ち上がりまたは立ち下がるように生成し、
    前記パルス幅変調部はパルス幅変調によって前記第mクロック信号のデューティー比を、前記第(2m−1)光線と前記第2m光線とのスポットの主走査方向の間隔で決まる目標値に一致させ、
    前記タイミング生成部は前記第mクロック信号の立ち上がりまたは立ち下がりを数え、前記タイミング信号と前記別のタイミング信号とを含む第mタイミング信号を、前記第mクロック信号の立ち上がりの回数が所定数に到達するタイミングと立ち下がりの回数が所定数に到達するタイミングとを示すように生成し、
    前記切換部は前記第mタイミング信号に応じて前記第(2m−1)光線と前記第2m光線との光量に対する補正値の選択を、一方は前記パルス幅変調部が変調した第mクロック信号の立ち上がりに同期させ、他方は前記パルス幅変調部が変調した第mクロック信号の立ち下がりに同期させる
    ことを特徴とする請求項6に記載の光走査装置。
  8. シートにトナー像を形成する画像形成装置であり、
    露光量に応じて帯電量が変化する感光体と、
    前記感光体に露光走査によって静電潜像を形成する請求項1から請求項7までのいずれかに記載の光走査装置と、
    前記静電潜像をトナーで現像する現像部と、
    前記現像部が現像したトナー像を前記感光体からシートへ転写する転写部と、
    を含む画像形成装置。
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