JP6503928B2 - 電子写真感光体、画像形成装置および画像形成方法 - Google Patents

電子写真感光体、画像形成装置および画像形成方法 Download PDF

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Description

本発明は、電子写真方式の画像形成プロセスに用いられる電子写真感光体、この電子写真感光体を備える画像形成装置および画像形成方法に関する。
電子写真方式の画像形成装置を構成する電子写真感光体(以下、単に「感光体」ともいう。)においては、高耐久化(長寿命化)が求められており、その実現方法の一つとして、表面保護層を設け、当該表面保護層にフィラーを添加することによって表面保護層の強度を高めることが行われている。フィラーとしては、例えばn型半導体微粒子が多く使用されている。
然るに、このようなn型半導体微粒子が添加された表面保護層を有する感光体を用いると十分な耐メモリ性を得ることが困難であった。これは、n型半導体微粒子が電子輸送能を有し、ホール輸送能を有さないものであるので、電荷輸送層と表面保護層との界面、および、表面保護層内のn型半導体微粒子界面においてホール(正孔)がトラップされ、効果的に感光体表面の負電荷をキャンセルすることができずに、残留電位が大きくなってしまうためと考えられる。
このような表面保護層におけるホール(正孔)がトラップされる問題を解決するために、表面保護層に電荷輸送剤(CTM)を添加することが提案されている。ところが、電荷輸送剤の添加によって安定した画像形成を行うことはできるようになるが、電荷輸送剤自体が可塑剤として作用するために表面保護層が表面硬度の低いものとなってしまう、という問題があった。
このような問題を解決するために、フィラーとして、ホール輸送能を有するp型半導体微粒子であるCuAlO2 微粒子を添加することが行われており(特許文献1)、このような感光体においては、高い強度が維持されながらホール輸送性が得られて十分な耐メモリ性が得られることが確認された。
一方、近年、画像形成の高速化を図るために感光体の益々の高耐久化が要請されており、このような要請に対しては、CuAlO2 微粒子の添加のみによっては、所期の画像特性を得ることは未だ困難である。具体的には、CuAlO2 微粒子の添加量を増大させることによって耐メモリ性は向上させることができるものの、CuAlO2 微粒子の添加量を増大させると、CuAlO2 微粒子表面に残存する水酸基に起因して高温高湿環境の画像形成において水分が吸着されて画像ボケが発生しやすくなることや、表面保護層を形成する樹脂中のCuAlO2 微粒子同士の接触による局所的な電位低下に起因してカブリが発生しやすくなることなどの問題が新たに発生してしまう。
特開2013−130603号公報
本発明は、以上のような事情に基づいてなされたものであって、その目的は、耐メモリ性が得られながら、カブリの発生や、高温高湿環境における画像ボケの発生が抑制される電子写真感光体および当該電子写真感光体を備える画像形成装置並びに画像形成方法を提供することにある。
本発明の電子写真感光体は、導電性支持体上に感光層および表面保護層がこの順に積層されてなり、
前記表面保護層が、樹脂中に、NbとCuとの複合酸化物による微粒子、および、TaとCuとの複合酸化物による微粒子から選ばれる少なくとも1種以上を含むp型半導体微粒子が含有されてなることを特徴とする。
本発明の電子写真感光体においては、前記p型半導体微粒子が、NbとCuとの複合酸化物による微粒子であることが好ましい。
本発明の電子写真感光体においては、前記表面保護層を構成する樹脂が、架橋性の重合性化合物を重合反応することによって得られる硬化樹脂を含有することが好ましい。
本発明の電子写真感光体においては、前記表面保護層における前記p型半導体微粒子の含有割合が、当該表面保護層を構成する樹脂100質量部に対して5〜100質量部であることが好ましい。
本発明の画像形成方法は、電子写真感光体の表面を帯電させる帯電工程と、帯電された電子写真感光体を露光する露光工程と、露光された電子写真感光体にトナーを供給してトナー像を形成する現像工程と、前記電子写真感光体上に形成されたトナー像を転写する転写工程とを有する画像形成方法であって、
電子写真感光体として、上記の電子写真感光体を用いることを特徴とする。
本発明の画像形成装置は、電子写真感光体と、当該電子写真感光体の表面を帯電させる帯電手段と、前記帯電手段により帯電された電子写真感光体を露光する露光手段と、前記露光手段により露光された電子写真感光体にトナーを供給してトナー像を形成する現像手段と、前記電子写真感光体上に形成されたトナー像を転写する転写手段とを備える画像形成装置であって、
電子写真感光体が、上記の電子写真感光体であることを特徴とする。
本発明の電子写真感光体によれば、NbとCuとの複合酸化物による微粒子およびTaとCuとの複合酸化物による微粒子から選ばれる少なくとも1種以上を含むp型半導体微粒子が含有されている表面保護層を有することにより、耐メモリ性が得られながら、カブリの発生や、高温高湿環境における画像ボケの発生が抑制される。
本発明の電子写真感光体の層構成の一例を示す部分断面図である。 本発明の画像形成装置の一例における構成を示す説明用断面図である。
以下、本発明について具体的に説明する。
〔感光体〕
本発明の感光体は、電子写真方式の画像形成装置に搭載されるものであって、導電性支持体上に感光層および表面保護層がこの順に積層されてなる有機感光体である。
本発明において、有機感光体とは、感光体の構成に必要不可欠な電荷発生機能および電荷輸送機能の少なくとも一方の機能が有機化合物により発揮されて構成されるものをいい、公知の有機電荷発生物質または有機電荷輸送物質から構成される有機感光層を有する感光体、電荷発生機能と電荷輸送機能とが高分子錯体により構成される有機感光層を有するものなど公知の有機感光体全てを含むものをいう。
感光体は、例えば、図1に示されるように、導電性支持体1a上に、中間層1b、電荷発生層1c、電荷輸送層1dおよび表面保護層1eがこの順に積層されて感光体1が形成されてなるものであり、電荷発生層1cおよび電荷輸送層1dから感光層1fが構成されている。表面保護層1e中には、NbとCuとの複合酸化物による微粒子(以下、「Cu・Nb複合酸化物微粒子」ともいう。)およびTaとCuとの複合酸化物による微粒子(以下、「Cu・Ta複合酸化物微粒子」ともいう。)から選ばれる少なくとも1種以上を含むp型半導体微粒子(以下、「特定のp型半導体微粒子」ともいう。)1eAが含有されている。
〔表面保護層1e〕
本発明の感光体を構成する表面保護層1eは、樹脂(以下、「表面保護層用樹脂」ともいう。)中に特定のp型半導体微粒子1eAが含有されてなるものである。
〔特定のp型半導体微粒子1eA〕
特定のp型半導体微粒子1eAは、電荷を輸送するキャリアが正孔(ホール)である半導体粒子であって、画質安定性に寄与するものである。
特定のp型半導体微粒子1eAは、Cu・Nb複合酸化物微粒子およびCu・Ta複合酸化物微粒子から選ばれる少なくとも1種以上を含み、少なくともCu・Nb複合酸化物微粒子を含むことが好ましい。
Cu・Nb複合酸化物微粒子を形成するNbとCuとの複合酸化物としては、例えばCuNb2 3 、CuNb3 8 、CuNbO3 、Cu3 Nb2 8 などが挙げられ、これらが混合されたものであってもよく、一般式Cux Nby z で表される。
また、Cu・Ta複合酸化物微粒子を形成するTaとCuとの複合酸化物としては、例えばCuTa2 3 、CuTa3 8 、CuTaO3 、Cu3 Ta2 8 などが挙げられ、これらが混合されたものであってもよく、一般式Cux Tay z で表される。
特定のp型半導体微粒子1eAは、Cu・Nb複合酸化物微粒子およびCu・Ta複合酸化物微粒子以外のp型半導体微粒子(以下、「その他のp型半導体微粒子」ともいう。)を含んでもよく、その他のp型半導体微粒子としては、例えばCuAlO2 、CuGaO2 、CuInO2 などの一般式(1):CuM1 2 (ただし、式中、M1 は、周期表の第13族の元素を表す。)で表される化合物からなる微粒子や、BaCu2 2 、SrCu2 2 などの一般式(2):M2 Cu2 2 (ただし、式中、M2 は、周期表の第2族の元素を表す。)で表される化合物からなる微粒子が挙げられる。
その他のp型半導体微粒子の含有割合は、表面保護層用樹脂に対する全特定のp型半導体微粒子1eAの含有割合が過多になることを抑制する観点から、表面保護層1eに含有される全特定のp型半導体微粒子1eA中の80質量%以下とされる。
以上のような特定のp型半導体微粒子1eAが含有されている表面保護層1eを有する感光体によれば、耐メモリ性が得られながら、カブリの発生や、高温高湿環境における画像ボケの発生が抑制される。
これは、Cu・Nb複合酸化物微粒子やCu・Ta複合酸化物微粒子がCuAlO2 による微粒子などに比べて高いホール輸送能および導電性を有するので、表面保護層に所期のホール輸送性を確保するための特定のp型半導体微粒子1eAの添加量を少なく抑制することができるためである。具体的には、特定のp型半導体微粒子1eAの添加量が少なく抑制されることによって、各p型半導体微粒子の表面に残存する水酸基の数が低減されるので高温高湿環境の画像形成における画像ボケの発生を抑制することができ、また、表面保護層を形成する樹脂中のp型半導体微粒子同士の接触頻度が低減されて局所的な電位低下が抑制されるので、カブリの発生も抑制することができる。
特定のp型半導体微粒子1eAの数平均一次粒径は、1〜1000nmであることが好ましく、10〜500nmがより好ましく、特に好ましくは10〜100nmである。
特定のp型半導体微粒子1eAの数平均一次粒径が上記範囲であることによって、表面保護層に適度な電荷輸送性が得られる。
特定のp型半導体微粒子1eAの数平均一次粒径は、走査型電子顕微鏡「JSM−7500F」(日本電子社製)により10万倍の拡大写真を撮影し、当該写真をスキャナーにより取り込んだ写真画像(凝集粒子は除いた)について、自動画像処理解析装置「LUZEX AP(ソフトウエアバージョン Ver.1.32)」(ニレコ社製)を使用してp型半導体微粒子について2値化処理し、特定のp型半導体微粒子1eAの任意の100個についての水平方向フェレ径を算出し、その平均値を数平均一次粒径とする。ここで水平方向フェレ径とは、特定のp型半導体微粒子1eAの画像を2値化処理したときの外接長方形のx軸に平行な辺の長さをいう。
特定のp型半導体微粒子1eAのCu・Nb複合酸化物微粒子は、例えば特開2011−174167号公報に記載された方法により作製することができる。
具体的には、酸化銅(Cu2 O)と五酸化二ニオブ(Nb2 5 )とを1:1のモル比でよく混合し、次いで、この混合物の粉末を、錠剤成形機を用いて35MPaに圧縮成形して酸化物の成形物を得、さらに、この成形物を、アルミナ板上に載せた上述の混合物の粉末上に置いた状態で、950℃に加熱したマッフル炉を用いて4時間焼成して焼結体を得る。
次いで、得られた焼結体をターゲットとして用い、パルスレーザー蒸着装置を用いてホウケイ酸ガラス基板上に酸化物膜を析出、成長させ、アニール工程を経ることにより、NbとCuとの複合酸化物による酸化物膜を得る。
その後、この酸化物膜をホウケイ酸ガラス基板から分離し、粉砕、分級することによって所定の粒径にすることにより、Cu・Nb複合酸化物微粒子が得られる。
このような作製方法によって得られたCu・Nb複合酸化物微粒子には、不純物として例えばCu2 OやNbO2 などが含まれている場合もある。
特定のp型半導体微粒子1eAのCu・Ta複合酸化物微粒子は、上述のCu・Nb複合酸化物微粒子の作製方法と同様にして、作製することができる。
具体的には、五酸化二ニオブ(Nb2 5 )の代わりに五酸化二タンタル(Ta2 5 )を用いることにより作製することができる。
p型半導体微粒子は、表面保護層用樹脂100質量部に対して5〜100質量部の割合で含有されることが好ましく、より好ましくは10〜50質量部である。
p型半導体微粒子の含有割合が表面保護層用樹脂100質量部に対して5質量部以上であることによって、表面保護層に適度な電荷輸送性が得られると共に表面保護層の硬度を適切に調整することができる。一方、p型半導体微粒子の含有割合が表面保護層用樹脂100質量部に対して100質量部以下であることによって、p型半導体微粒子の表面に残存する水酸基に起因する高温高湿環境における画像ボケの発生を抑制することができ、また、表面保護層用樹脂中のp型半導体微粒子同士の接触による局所的な電位低下に起因するカブリの発生を抑制することができる。さらに、表面保護層の形成時に塗布膜の形成が阻害されることを防止することができる。
〔表面処理されたp型半導体微粒子〕
表面保護層に含有されるp型半導体微粒子は、分散性が得られて耐摩耗性が向上する観点から、表面処理剤で表面処理されたものであることが好ましく、さらに反応性有機基を有する表面処理剤で表面処理されたものであることがより好ましい。
表面処理剤としては、処理前のp型半導体微粒子の表面に存在するヒドロキシ基などと反応する表面処理剤を用いることが好ましく、これらの表面処理剤としては、シランカップリング剤、チタンカップリング剤などが挙げられる。
また、本発明においては、表面保護層の硬度をさらに高める目的で、反応性有機基を有する表面処理剤を用いることが好ましく、反応性有機基がラジカル重合性反応基であるものを用いることがより好ましい。ラジカル重合性反応基を有する表面処理剤を用いることにより、表面保護層用樹脂が下記の重合性化合物による硬化樹脂である場合に当該重合性化合物とも反応するために強固な表面保護層を形成することができる。
ラジカル重合性反応基を有する表面処理剤としては、アクリロイル基またはメタクリロイル基を有するシランカップリング剤を用いることが好ましく、このようなラジカル重合性反応基を有する表面処理剤としては、下記に記すような公知の化合物が例示される。
アクリロイル基またはメタクリロイル基を有するシランカップリング剤としては、下記に記すような化合物が例示される。
S−1:CH2 =CHSi(CH3 )(OCH3 2
S−2:CH2 =CHSi(OCH3 3
S−3:CH2 =CHSiCl3
S−4:CH2 =CHCOO(CH2 2 Si(CH3 )(OCH3 2
S−5:CH2 =CHCOO(CH2 2 Si(OCH3 3
S−6:CH2 =CHCOO(CH2 2 Si(OC2 5 )(OCH3 2
S−7:CH2 =CHCOO(CH2 3 Si(OCH3 3
S−8:CH2 =CHCOO(CH2 2 Si(CH3 )Cl2
S−9:CH2 =CHCOO(CH2 2 SiCl3
S−10:CH2 =CHCOO(CH2 3 Si(CH3 )Cl2
S−11:CH2 =CHCOO(CH2 3 SiCl3
S−12:CH2 =C(CH3 )COO(CH2 2 Si(CH3 )(OCH3 2
S−13:CH2 =C(CH3 )COO(CH2 2 Si(OCH3 3
S−14:CH2 =C(CH3 )COO(CH2 3 Si(CH3 )(OCH3 2
S−15:CH2 =C(CH3 )COO(CH2 3 Si(OCH3 3
S−16:CH2 =C(CH3 )COO(CH2 2 Si(CH3 )Cl2
S−17:CH2 =C(CH3 )COO(CH2 2 SiCl3
S−18:CH2 =C(CH3 )COO(CH2 3 Si(CH3 )Cl2
S−19:CH2 =C(CH3 )COO(CH2 3 SiCl3
S−20:CH2 =CHSi(C2 5 )(OCH3 2
S−21:CH2 =C(CH3 )Si(OCH3 3
S−22:CH2 =C(CH3 )Si(OC2 5 3
S−23:CH2 =CHSi(OCH3 3
S−24:CH2 =C(CH3 )Si(CH3 )(OCH3 2
S−25:CH2 =CHSi(CH3 )Cl2
S−26:CH2 =CHCOOSi(OCH3 3
S−27:CH2 =CHCOOSi(OC2 5 3
S−28:CH2 =C(CH3 )COOSi(OCH3 3
S−29:CH2 =C(CH3 )COOSi(OC2 5 3
S−30:CH2 =C(CH3 )COO(CH2 3 Si(OC2 5 3
S−31:CH2 =CHCOO(CH2 2 Si(CH3 2 (OCH3
S−32:CH2 =CHCOO(CH2 2 Si(CH3 )(OCOCH3 2
S−33:CH2 =CHCOO(CH2 2 Si(CH3 )(ONHCH3 2
S−34:CH2 =CHCOO(CH2 2 Si(CH3 )(OC6 5 2
S−35:CH2 =CHCOO(CH2 2 Si(C1021)(OCH3 2
S−36:CH2 =CHCOO(CH2 2 Si(CH2 6 5 )(OCH3 2
表面処理剤としては、上記S−1からS−36以外にも、ラジカル重合反応を行うことができる反応性有機基を有するシラン化合物を用いることができる。これらの表面処理剤は、単独でまたは2種以上を混合して使用することができる。
また、表面処理剤の使用量は、特に制限されないが、処理前のp型半導体微粒子100質量部に対して0.1〜100質量部であることが好ましい。
〔p型半導体微粒子の表面処理方法〕
p型半導体微粒子の表面処理は、具体的には、処理前のp型半導体微粒子と表面処理剤とを含むスラリー(固体粒子の懸濁液)を湿式粉砕することにより、p型半導体微粒子を微細化すると同時に粒子の表面処理を進行させ、その後、溶媒を除去して粉体化することによって行うことができる。
スラリーは、処理前のp型半導体微粒子100質量部に対し、表面処理剤0.1〜100質量部、溶媒50〜5000質量部の割合で混合されたものであることが好ましい。
また、スラリーの湿式粉砕に用いる装置としては、湿式メディア分散型装置が挙げられる。
湿式メディア分散型装置とは、容器内にメディアとしてビーズを充填し、さらに回転軸と垂直に取り付けられた撹拌ディスクを高速回転させることにより、p型半導体微粒子の凝集粒子を砕いて粉砕・分散する工程を有する装置であり、その構成としては、p型半導体微粒子に表面処理を行う際にp型半導体微粒子を十分に分散させ、かつ表面処理できる形式であれば問題なく、例えば、縦型・横型、連続式・回分式など、種々の様式のものを用いることができる。具体的には、サンドミル、ウルトラビスコミル、パールミル、グレンミル、ダイノミル、アジテータミル、ダイナミックミルなどを使用することができる。これらの分散型装置は、ボール、ビーズなどの粉砕媒体(メディア)を使用して衝撃圧壊、摩擦、剪断、ズリ応力などによって微粉砕および分散が行われる。
湿式メディア分散型装置で用いるビーズとしては、ガラス、アルミナ、ジルコン、ジルコニア、スチール、フリント石などを原材料としたボールを用いることができるが、特にジルコニア製やジルコン製のものを用いることが好ましい。また、ビーズの大きさとしては、通常、直径1〜2mm程度のものを使用するが、本発明では0.1〜1.0mm程度のものを用いることが好ましい。
湿式メディア分散型装置に使用するディスクや容器内壁には、ステンレス製、ナイロン製、セラミック製など種々の素材のものを使用することができるが、本発明では特にジルコニアまたはシリコンカーバイドといったセラミック製のディスクや容器内壁であることが好ましい。
〔表面保護層用樹脂〕
表面保護層用樹脂は、熱可塑性樹脂または光硬化性樹脂であることが好ましく、特に、高い膜強度が得られることから、光硬化性樹脂であることがより好ましい。
表面保護層用樹脂としては、例えば、ポリビニルブチラール樹脂、エポキシ樹脂、ポリウレタン樹脂、フェノール樹脂、ポリエステル樹脂、アルキッド樹脂、ポリカーボネート樹脂、シリコーン樹脂、アクリル樹脂、メラミン樹脂などを用いることができる。熱可塑性樹脂を用いる場合は、ポリカーボネート樹脂であることが好ましい。また、光硬化性樹脂を用いる場合は、架橋性の重合性化合物、具体的には2個以上のラジカル重合性官能基を有する化合物(以下、「多官能ラジカル重合性化合物」ともいう。)を、紫外線や電子線などの活性線の照射により重合反応することによって得られる硬化樹脂であることが好ましい。
表面保護層用樹脂として挙げた上記のものは、1種単独で、または2種以上を組み合わせて用いることができる。
〔多官能ラジカル重合性化合物〕
多官能ラジカル重合性化合物としては、少ない光量あるいは短い時間での硬化が可能であることから、ラジカル重合性官能基としてアクリロイル基(CH2 =CHCO−)またはメタクリロイル基(CH2 =CCH3 CO−)を2個以上有するアクリル系モノマーまたはこれらのオリゴマーであることが特に好ましい。従って、硬化樹脂としてはアクリル系モノマーまたはそのオリゴマーにより形成されるアクリル樹脂であることが好ましい。
これらの多官能ラジカル重合性化合物としては、例えば以下の化合物を例示することができる。
Figure 0006503928
Figure 0006503928
ただし、上記の例示化合物M1〜M15を示す化学式において、Rはアクリロイル基(CH2 =CHCO−)を示し、R’はメタクリロイル基(CH2 =CCH3 CO−)を示す。
表面保護層には、上述のような表面保護層用樹脂およびp型半導体微粒子の他に、感光体の表面粗さRzが上記範囲に維持される範囲で、必要に応じて滑剤粒子や各種の酸化防止剤などが含有されていてもよい。
〔滑剤粒子〕
滑剤粒子としては、例えばフッ素原子含有樹脂粒子が挙げられる。フッ素原子含有樹脂粒子としては、四フッ化エチレン樹脂、三フッ化塩化エチレン樹脂、六フッ化塩化エチレンプロピレン樹脂、フッ化ビニル樹脂、フッ化ビニリデン樹脂、二フッ化二塩化エチレン樹脂などが挙げられ、これらの共重合体は1種単独で、または2種以上を組み合わせて用いることができる。これらの中では特に四フッ化エチレン樹脂およびフッ化ビニリデン樹脂を用いることが好ましい。
表面保護層の膜厚は、0.1〜15.0μmであることが好ましく、より好ましくは1.0〜10.0μmであり、特に好ましくは2.0〜5.0μmである。
表面保護層の膜厚が0.1μm以上であることによって、十分な耐摩耗性が得られて感光体に十分な長寿命が得られる。一方、表面保護層の膜厚が15.0μm以下であることによって、膜厚ムラが抑制され、また、形成される画像に所期の鮮鋭性が得られる。
〔表面保護層の形成〕
表面保護層は、多官能ラジカル重合性化合物、p型半導体微粒子および必要に応じて公知の樹脂、重合開始剤、滑剤粒子、酸化防止剤などを溶媒に添加して調製した塗布液を、公知の方法により電荷輸送層の表面に塗布して塗布膜を形成し、硬化処理することにより、作製することができる。
〔重合開始剤〕
表面保護層に含有させることができる重合開始剤は、多官能ラジカル重合性化合物の重合反応を開始させるラジカル重合開始剤であって、熱重合開始剤や光重合開始剤などが挙げられる。
多官能ラジカル重合性化合物を重合反応させる方法としては、電子線開裂反応を利用する方法や、ラジカル重合開始剤の存在下で光や熱を利用する方法などを採用することができる。
熱重合開始剤としては、2,2’−アゾビスイソブチロニトリル、2,2’−アゾビス(2,4−ジメチルアゾビスバレロニリル)、2,2’−アゾビス(2−メチルブチロニトリル)などのアゾ化合物;過酸化ベンゾイル(BPO)、ジ−tert−ブチルヒドロペルオキシド、tert−ブチルヒドロペルオキシド、過酸化クロロベンゾイル、過酸化ジクロロベンゾイル、過酸化ブロモメチルベンゾイル、過酸化ラウロイルなどの過酸化物などが挙げられる。
光重合開始剤としては、ジエトキシアセトフェノン、2,2−ジメトキシ−1,2−ジフェニルエタン−1−オン、1−ヒドロキシ−シクロヘキシル−フェニル−ケトン、4−(2−ヒドロキシエトキシ)フェニル−(2−ヒドロキシ−2−プロピル)ケトン、2−ベンジル−2−ジメチルアミノ−1−(4−モルフォリノフェニル)ブタノン−1(「イルガキュアー369」(BASFジャパン社製))、2−ヒドロキシ−2−メチル−1−フェニルプロパン−1−オン、2−メチル−2−モルフォリノ(4−メチルチオフェニル)プロパン−1−オン、1−フェニル−1,2−プロパンジオン−2−(o−エトキシカルボニル)オキシムなどのアセトフェノン系またはケタール系光重合開始剤;ベンゾイン、ベンゾインメチルエーテル、ベンゾインエチルエーテル、ベンゾインイソブチルエーテル、ベンゾインイソプロピルエーテルなどのベンゾインエーテル系光重合開始剤;ベンゾフェノン、4−ヒドロキシベンゾフェノン、o−ベンゾイル安息香酸メチル、2−ベンゾイルナフタレン、4−ベンゾイルビフェニル、4−ベンゾイルフェニールエーテル、アクリル化ベンゾフェノン、1,4−ベンゾイルベンゼンなどのベンゾフェノン系光重合開始剤;2−イソプロピルチオキサントン、2−クロロチオキサントン、2,4−ジメチルチオキサントン、2,4−ジエチルチオキサントン、2,4−ジクロロチオキサントンなどのチオキサントン系光重合開始剤などが挙げられる。
その他の光重合開始剤としては、エチルアントラキノン、2,4,6−トリメチルベンゾイルジフェニルホスフィンオキサイド、2,4,6−トリメチルベンゾイルフェニルエトキシホスフィンオキサイド、ビス(2,4,6−トリメチルベンゾイル)フェニルホスフィンオキサイド(「イルガキュアー819」(BASFジャパン社製))、ビス(2,4−ジメトキシベンゾイル)−2,4,4−トリメチルペンチルホスフィンオキサイド、メチルフェニルグリオキシエステル、9,10−フェナントレン、アクリジン系化合物、トリアジン系化合物、イミダゾール系化合物などが挙げられる。また、光重合促進効果を有するものを単独で、または上記光重合開始剤と併用して用いることもできる。光重合促進効果を有するものとしては、例えば、トリエタノールアミン、メチルジエタノールアミン、4−ジメチルアミノ安息香酸エチル、4−ジメチルアミノ安息香酸イソアミル、安息香酸(2−ジメチルアミノ)エチル、4,4’−ジメチルアミノベンゾフェノンなどが挙げられる。
重合開始剤としては、光重合開始剤を用いることが好ましく、アルキルフェノン系化合物、フォスフィンオキサイド系化合物を用いることがより好ましく、α−ヒドロキシアセトフェノン構造、あるいはアシルフォスフィンオキサイド構造を有する光重合開始剤を用いることがさらに好ましい。
これらの重合開始剤は、1種単独でまたは2種以上を混合して用いてもよい。
重合開始剤の使用割合は、多官能ラジカル重合性化合物100質量部に対して0.1〜40質量部であり、好ましくは0.5〜20質量部である。
〔溶媒〕
表面保護層の形成に使用される溶媒としては、メタノール、エタノール、1−プロパノール、2−プロパノール、1−ブタノール、2−ブタノール、2−メチル−2−プロパノール、ベンジルアルコール、メチルイソプロピルケトン、メチルイソブチルケトン、メチルエチルケトン、シクロヘキサン、トルエン、キシレン、メチレンクロライド、酢酸エチル、酢酸ブチル、2−メトキシエタノール、2−エトキシエタノール、テトラヒドロフラン、1−ジオキサン、1,3−ジオキソラン、ピリジンおよびジエチルアミンなどが挙げられるが、これらに限定されるものではない。
これらは、1種単独で、または2種以上を混合して使用することができる。
硬化処理においては、塗布膜に活性線を照射してラジカルを発生して重合し、かつ分子間および分子内で架橋反応による架橋結合を形成して硬化し、表面保護層用樹脂を生成することが好ましい。活性線としては、紫外線、可視光などの光や電子線を用いることが好ましく、使い易さなどの観点から、紫外線を利用することが特に好ましい。
紫外線の光源としては、例えば、低圧水銀灯、中圧水銀灯、高圧水銀灯、超高圧水銀灯、カーボンアーク灯、メタルハライドランプ、キセノンランプ、フラッシュ(パルス)キセノン、紫外線LEDなどを用いることができる。照射条件は、それぞれのランプによって異なるが、活性線の照射量は、通常1〜20mJ/cm2 、好ましくは5〜15mJ/cm2 である。光源の出力電圧は、好ましくは0.1〜5kWであり、特に好ましくは、0.5〜3kWである。
電子線源としては、例えばカーテンビーム方式の電子線照射装置を好ましく用いることができる。電子線を照射の際の加速電圧は、100〜300kVであることが好ましい。吸収線量としては0.005Gy〜100kGy(0.5〜10Mrad)であることが好ましい。
活性線の照射時間は、活性線の必要照射量が得られる時間であればよく、具体的には0.1秒間〜10分間が好ましく、硬化効率または作業効率の観点から1秒間〜5分間がより好ましい。
塗布膜は、活性線の照射前後および活性線の照射中に乾燥処理してもよい。乾燥処理を行うタイミングは、活性線の照射条件と組み合わせて適宜選択することができる。表面保護層の乾燥条件は、塗布液に使用する溶媒の種類や表面保護層の膜厚などにより適宜選択することができる。また、乾燥温度は、室温〜180℃が好ましく、80〜140℃が特に好ましい。また、乾燥時間は、1〜200分間が好ましく、5〜100分間が特に好ましい。このような乾燥条件で塗布膜を乾燥することにより、表面保護層に含有される溶媒量を20ppmから75ppmの範囲に制御することができる。
以下、表面保護層以外の感光体の構成について説明する。
〔導電性支持体1a〕
導電性支持体は、導電性を有するものであればよく、例えば、アルミニウム、銅、クロム、ニッケル、亜鉛およびステンレスなどの金属をドラムまたはシート状に成形したもの、アルミニウムや銅などの金属箔をプラスチックフィルムにラミネートしたもの、アルミニウム、酸化インジウム、酸化スズなどをプラスチックフィルムに蒸着したもの、導電性物質を単独またはバインダー樹脂と共に塗布して導電層を設けた金属、プラスチックフィルムおよび紙などが挙げられる。
〔中間層1b〕
中間層は、導電性支持体と有機感光層との間にバリアー機能と接着機能とを付与するものである。種々の故障防止などの観点から、このような中間層を設けることが好ましい。
このような中間層は、例えば、バインダー樹脂(以下、「中間層用バインダー樹脂」ともいう。)および必要に応じて導電性粒子や金属酸化物粒子が含有されてなるものである。
中間層用バインダー樹脂としては、例えば、カゼイン、ポリビニルアルコール、ニトロセルロース、エチレン−アクリル酸コポリマー、ポリアミド樹脂、ポリウレタン樹脂、ゼラチンなどが挙げられる。これらのなかでもアルコール可溶性のポリアミド樹脂が好ましい。
中間層には、抵抗調整の目的で各種の導電性粒子や金属酸化物粒子を含有させることができる。例えば、アルミナ、酸化亜鉛、酸化チタン、酸化スズ、酸化アンチモン、酸化インジウム、酸化ビスマスなどの各種金属酸化物粒子を用いることができる。スズをドープした酸化インジウム、アンチモンをドープした酸化スズおよび酸化ジルコニウムなどの超微粒子を用いることができる。
このような金属酸化物粒子の数平均一次粒径は、0.3μm以下であることが好ましく、より好ましくは0.1μm以下である。
金属酸化物粒子は1種単独でまたは2種以上を混合して用いてもよい。2種以上を混合した場合には、固溶体または融着の形をとってもよい。
導電性粒子または金属酸化物粒子の含有割合は、中間層用バインダー樹脂100質量部に対して20〜400質量部であることが好ましく、より好ましくは50〜200質量部である。
以上のような中間層は、例えば、中間層用バインダー樹脂を公知の溶媒に溶解し、必要に応じて導電性粒子または金属酸化物粒子を分散させて中間層形成用塗布液を調製し、この中間層形成用塗布液を導電性支持体の表面に塗布して塗布膜を形成し、この塗布膜を乾燥することにより形成することができる。
中間層の形成に用いられる溶媒としては、特に限定されず、例えばn−ブチルアミン、ジエチルアミン、エチレンジアミン、イソプロパノールアミン、トリエタノールアミン、トリエチレンジアミン、N,N−ジメチルホルムアミド、アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソプロピルケトン、シクロヘキサノン、ベンゼン、トルエン、キシレン、クロロホルム、ジクロロメタン、1,2−ジクロロエタン、1,2−ジクロロプロパン、1,1,2−トリクロロエタン、1,1,1−トリクロロエタン、トリクロロエチレン、テトラクロロエタン、テトラヒドロフラン、ジオキソラン、ジオキサン、メタノール、エタノール、ブタノール、イソプロパノール、酢酸エチル、酢酸ブチル、ジメチルスルホキシド、メチルセロソルブなどを用いることができ、これらの中でもトルエン、テトラヒドロフラン、ジオキソランなどが好ましく用いられる。これらの溶媒は1種単独であるいは2種以上の混合溶媒として用いることができる。
導電性粒子や金属酸化物粒子の分散手段としては、超音波分散機、ボールミル、サンドグラインダーおよびホモミキサーなどを用いることができる。
中間層形成用塗布液の塗布方法としては、特に限定されないが、例えば、浸漬塗布法、スプレーコーティング法などが挙げられる。
塗布膜の乾燥方法は、溶媒の種類や形成する中間層の膜厚に応じて公知の乾燥方法を適宜に選択することができ、特に熱乾燥することが好ましい。
中間層の膜厚は、0.1〜15μmであることが好ましく、0.3〜10μmであることがより好ましい。
〔電荷発生層1c〕
電荷発生層は、電荷発生物質およびバインダー樹脂(以下、「電荷発生層用バインダー樹脂」ともいう。)が含有されてなるものである。
電荷発生物質としては、例えば、スーダンレッド、ダイアンブルーなどのアゾ原料、ピレンキノン、アントアントロンなどのキノン顔料、キノシアニン顔料、ペリレン顔料、インジゴおよびチオインジゴなどのインジゴ顔料、ピランスロン、ジフタロイルピレンなどの多環キノン顔料、フタロシアニン顔料などが挙げられるが、これらに限定されるものではない。これらのなかでも、多環キノン顔料、チタニルフタロシアニン顔料が好ましい。これらの電荷発生物質は1種単独でまたは2種以上を混合して用いてもよい。
電荷発生層用バインダー樹脂としては、公知の樹脂を用いることができ、例えば、ポリスチレン樹脂、ポリエチレン樹脂、ポリプロピレン樹脂、アクリル樹脂、メタクリル樹脂、塩化ビニル樹脂、酢酸ビニル樹脂、ポリビニルブチラール樹脂、エポキシ樹脂、ポリウレタン樹脂、フェノール樹脂、ポリエステル樹脂、アルキッド樹脂、ポリカーボネート樹脂、シリコーン樹脂、メラミン樹脂、並びにこれらの樹脂の内2個以上を含む共重合体樹脂(例えば、塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体樹脂、塩化ビニル−酢酸ビニル−無水マレイン酸共重合体樹脂)、ポリ−ビニルカルバゾール樹脂などが挙げられるが、これらに限定されるものではない。これらのなかでも、ポリビニルブチラール樹脂が好ましい。
電荷発生層中の電荷発生物質の含有割合は、電荷発生層用バインダー樹脂100質量部に対して1〜600質量部であることが好ましく、より好ましくは50〜500質量部である。
電荷発生層用バインダー樹脂と電荷発生物質との混合割合は、電荷発生層用バインダー樹脂100質量部に対して電荷発生物質が20〜600質量部とされることが好ましく、さらに好ましくは50〜500質量部である。電荷発生層用バインダー樹脂と電荷発生物質との混合割合が上記の範囲にあることにより、後述する電荷発生層形成用塗布液に高い分散安定性が得られ、かつ、形成された感光体において電気抵抗が低く抑制されて繰り返し使用に伴う残留電位の増加を極めて抑制することができる。
以上のような電荷発生層は、例えば、電荷発生物質を、公知の溶媒で溶解した電荷発生層用バインダー樹脂中に添加して分散させて電荷発生層形成用塗布液を調製し、この電荷発生層形成用塗布液を中間層の表面に塗布して塗布膜を形成し、この塗布膜を乾燥することにより形成することができる。
電荷発生層の形成に用いられる溶媒としては、電荷発生層用バインダー樹脂を溶解させることができるものを用いればよく、例えば、メチルエチルケトン、メチルイソプロピルケトン、メチルイソブチルケトン、シクロヘキサノン、アセトフェノンなどのケトン系溶媒、テトラヒドロフラン、ジオキソラン、ジグライムなどのエーテル系溶媒、メチルセルソルブ、エチルセルソルブ、ブタノールなどのアルコール系溶媒、その酢酸エチル、酢酸t−ブチルなどのエステル系溶媒、トルエン、クロロベンゼンなどの芳香属溶媒、ジクロロエタン、トリクロロエタンなどのハロゲン系溶媒など多数を挙げることができるが、これらに限定されるものではない。これらは1種単独でまたは2種以上を混合して用いることができる。
電荷発生物質の分散手段としては、中間層形成用塗布液における導電性粒子や金属酸化物粒子の分散手段と同じ方法を挙げることができる。
また、電荷発生層形成用塗布液の塗布方法としては、中間層形成用塗布液の塗布方法として挙げた方法と同じ方法を挙げることができる。
電荷発生層の膜厚は、電荷発生物質の特性、電荷発生層用バインダー樹脂の特性や含有割合などによっても異なるが、好ましくは0.1〜2μm、より好ましくは0.15〜1.5μmである。
〔電荷輸送層1d〕
電荷輸送層は、電荷輸送物質およびバインダー樹脂(以下、「電荷輸送層用バインダー樹脂」ともいう。)が含有されてなるものである。
電荷輸送層の電荷輸送物質としては、電荷を輸送する物質として、例えば、トリフェニルアミン誘導体、ヒドラゾン化合物、スチリル化合物、ベンジジン化合物、ブタジエン化合物などが挙げられる。
電荷輸送層用バインダー樹脂は、公知の樹脂を用いることができ、ポリカーボネート樹脂、ポリアクリレート樹脂、ポリエステル樹脂、ポリスチレン樹脂、スチレン−アクリルニトリル共重合体樹脂、ポリメタクリル酸エステル樹脂、スチレン−メタクリル酸エステル共重合体樹脂などが挙げられるが、ポリカーボネート樹脂が好ましい。さらにはBPA(ビスフェノールA)型、BPZ(ビスフェノールZ)型、ジメチルBPA型、BPA−ジメチルBPA共重合体型のポリカーボネート樹脂などが耐クラック、耐磨耗性、帯電特性の点で好ましい。
電荷輸送層中の電荷輸送物質の含有割合は、電荷輸送層用バインダー樹脂100質量部に対して10〜500質量部であることが好ましく、より好ましくは20〜250質量部である。
電荷輸送層中には、酸化防止剤、電子導電剤、安定剤、シリコーンオイルなどが添加されていてもよい。酸化防止剤については特開2000−305291号公報、電子導電剤は特開昭50−137543号公報、同58−76483号公報などに開示されているものが好ましい。
電荷輸送層の膜厚は、電荷輸送物質の特性、電荷輸送層用バインダー樹脂の特性および含有割合などによって異なるが、5〜40μmであることが好ましく、より好ましくは10〜30μmである。
以上のような電荷輸送層は、例えば、電荷輸送物質(CTM)を、公知の溶媒で溶解した電荷輸送層用バインダー樹脂中に添加して分散させて電荷輸送層形成用塗布液を調製し、この電荷輸送層形成用塗布液を電荷発生層の表面に塗布して塗布膜を形成し、この塗布膜を乾燥することにより形成することができる。
電荷輸送層の形成において用いられる溶媒としては、電荷発生層の形成に用いられる溶媒と同じものを挙げることができる。
また、電荷輸送層形成用塗布液の塗布方法としても、電荷発生層形成用塗布液の塗布方法として挙げた方法と同じ方法を挙げることができる。
以上のような感光体によれば、NbとCuとの複合酸化物による微粒子およびTaとCuとの複合酸化物による微粒子から選ばれる少なくとも1種以上を含む特定のp型半導体微粒子1eAが含有されている表面保護層1eを有することにより、耐メモリ性が得られながら、カブリの発生や、高温高湿環境における画像ボケの発生が抑制される。
〔画像形成装置〕
本発明の画像形成装置は、感光体と、当該感光体の表面を帯電させる帯電手段と、帯電手段により帯電された感光体を露光して静電潜像を形成する露光手段と、感光体にトナーを供給して静電潜像をトナーによって現像してトナー像を形成する現像手段と、感光体上に形成されたトナー像を転写する転写手段とを備えるものであって、感光体として、上記の本発明の感光体を用いたものである。
図2は、本発明の画像形成装置の一例における構成を示す説明用断面図である。
この画像形成装置は、タンデム型カラー画像形成装置と称せられるもので、4組の画像形成部(画像形成ユニット)10Y,10M,10C,10Bkと、中間転写体ユニット70と、給紙手段21および定着手段24とからなる。画像形成装置の本体Aの上部には、原稿画像読み取り装置SCが配置されている。
4組の画像形成ユニット10Y,10M,10C,10Bkは、感光体1Y,1M,1C,1Bkを中心に、帯電手段2Y,2M,2C,2Bkと、露光手段3Y,3M,3C,3Bkと、回転する現像手段4Y,4M,4C,4Bk、一次転写手段としての一次転写ローラ5Y,5M,5C,5Bk、および、感光体1Y,1M,1C,1Bkをクリーニングするクリーニング手段6Y,6M,6C,6Bkより構成されている。
本発明の画像形成装置は、感光体1Y,1M,1C,1Bkとして、各々上記の本発明の感光体を用いる。
画像形成ユニット10Y,10M,10C,10Bkは、感光体1Y,1M,1C,1Bkに形成するトナー像の色がそれぞれイエロー色、マゼンタ色、シアン色、黒色と異なるだけで同じ構成であり、画像形成ユニット10Yを例にして詳細に説明する。
画像形成ユニット10Yは、像形成体である感光体1Yの周囲に、帯電手段2Y,露光手段3Y,現像手段4Y,クリーニング手段6Yを配置し、感光体1Y上にイエロー(Y)のトナー像を形成するものである。
帯電手段2Yは、感光体1Y表面の表面を一様に負極性に帯電させる手段である。帯電手段2Yとしては、例えばコロナ放電型の帯電器が用いられる。
露光手段3Yは、帯電手段2Yによって一様な電位を与えられた感光体1Y上に、画像信号(イエロー)に基づいて露光を行い、イエローの画像に対応する静電潜像を形成する手段であって、この露光手段3Yとしては、感光体1Yの軸方向にアレイ状に発光素子を配列したLEDと結像素子とから構成されるもの、あるいは、レーザー光学系などが用いられる。
現像手段4Yは、例えばマグネットを内蔵し現像剤を保持して回転する現像スリーブおよび感光体とこの現像スリーブとの間に直流および/または交流バイアス電圧を印加する電圧印加装置よりなるものである。
クリーニング手段6Yは、感光体1Y表面に残存したトナーを除去する手段である。この例のクリーニング手段6Yは、クリーニングブレードにより構成される。このクリーニングブレードは、その先端が、感光体1Y表面との当接部分における当該感光体1Yの回転方向と反対方向(カウンター方向)に向く状態で配置されている。
この図2の画像形成装置においては、画像形成ユニット10Yのうち、感光体1Y、帯電手段2Y、現像手段4Yおよびクリーニング手段6Yが一体に支持されてプロセスカートリッジとして備えられており、このプロセスカートリッジはレールなどの案内手段を介して装置本体Aに対して着脱自在に構成されていてもよい。
画像形成ユニット10Y,10M,10C,10Bkは、垂直方向に縦列配置されており、感光体1Y,1M,1C,1Bkの図示左側方には中間転写体ユニット70が配置されている。中間転写体ユニット70は、複数のローラ71,72,73,74によって巻回され、回動可能に支持された半導電性の無端ベルト状の中間転写体77と、二次転写手段としての二次転写ローラ5bと、クリーニング手段6bとからなる。
画像形成ユニット10Y,10M,10C,10Bkと、中間転写体ユニット70とは、筐体80に収納されており、筐体80は、支持レール82L、82Rを介して装置本体Aから引き出し可能に構成されている。
定着手段24は、例えば、内部に加熱源を備えた加熱ローラと、この加熱ローラに定着ニップ部が形成されるよう圧接された状態で設けられた加圧ローラとにより構成されてなる熱ローラ定着方式のものが挙げられる。
なお、図2においては、本発明の画像形成装置をカラーのレーザプリンタとして示したが、本発明の画像形成装置は、モノクロのレーザプリンタやコピーとして構成されていてもよい。また、本発明の画像形成装置においては、露光光源として、レーザー以外の光源、例えばLED光源を用いることもできる。
上記のような画像形成装置によれば、上記の電子写真感光体を備えていることによって、耐メモリ性が得られながら、カブリの発生や、高温高湿環境における画像ボケの発生が抑制される。
〔画像形成方法〕
本発明の画像形成方法は、上記の本発明の画像形成装置を用いて画像を形成する方法である。具体的には、まず、帯電手段2Y,2M,2C,2Bkにより感光体1Y,1M,1C,1Bkの表面に放電して負に帯電させる(帯電工程)。次いで、露光手段3Y,3M,3C,3Bkで、感光体1Y,1M,1C,1Bkの表面を画像信号に基づいて露光し、静電潜像を形成する(露光工程)。次いで、現像手段4Y,4M,4C,4Bkで、感光体1Y,1M,1C,1Bkの表面にトナーを付与して現像し、トナー像を形成する(現像工程)。
次いで、一次転写ローラ5Y,5M,5C,5Bkを、回動する中間転写体77と当接させる。それにより、感光体1Y,1M,1C,1Bk上にそれぞれ形成した各色のトナー像を、回動する中間転写体77上に逐次転写させて、カラートナー像を形成する(一次転写工程)。画像形成処理中、一次転写ローラ5Bkは、常時、感光体1Bkに当接する。一方、他の一次転写ローラ5Y,5M,5Cは、カラー画像形成時にのみ、それぞれ対応する感光体1Y,1M,1Cに当接する。
その後、一次転写ローラ5Y,5M,5C,5Bkと中間転写体77とを分離させた後、感光体1Y,1M,1C,1Bkの表面に残存したトナーを、クリーニング手段6Y,6M,6C,6Bkで除去する(クリーニング工程)。その後、次の画像形成プロセスに備えて、必要に応じて感光体1Y,1M,1C,1Bkの表面を除電手段(不図示)によって除電する。
一方、給紙カセット20内に収容された転写材P(例えば普通紙、透明シートなどの最終画像を担持する支持体)が給紙手段21により給紙され、複数の中間ローラ22A,22B,22C,22D、レジストローラ23を経て、二次転写手段としての二次転写ローラ5bに搬送され、二次転写ローラ5bが中間転写体77に当接されることによって当該転写材P上にカラートナー像が一括転写される。カラートナー像が転写された転写材Pは、定着手段24により定着処理され、排紙ローラ25に挟持されて機外の排紙トレイ26上に載置される。二次転写ローラ5bは、二次転写が行われるときのみ中間転写体77に当接される。
二次転写ローラ5bにより転写材Pにカラートナー像を転写した後、転写材Pを曲率分離した中間転写体77は、クリーニング手段6bにより残留トナーが除去される。
上記のような画像形成方法によれば、上記の電子写真感光体を用いることによって、耐メモリ性が得られながら、カブリの発生や、高温高湿環境における画像ボケの発生が抑制される。
〔トナーおよび現像剤〕
本発明の画像形成装置に用いられるトナーは、特に限定されないが、結着樹脂および着色剤が含有されるトナー粒子よりなり、当該トナー粒子には、所望により離型剤などの他の成分が含有されていてもよい。
トナーとしては、粉砕トナーおよび重合トナーのいずれを用いることもできるが、本発明の画像形成装置においては、高い画質の画像が得られる観点から、重合トナーを用いることが好ましい。
トナーの平均粒径は、体積基準のメジアン径で2〜8μmであることが好ましい。この範囲とすることにより、解像度を高くすることができる。
また、トナー粒子には、外添剤として、平均粒径10〜300nm程度のシリカおよびチタニアなどの無機微粒子、0.2〜3μm程度の研磨剤を適宜量、外部添加することができる。
トナーは、磁性または非磁性の一成分現像剤として使用することもできるが、キャリアと混合して二成分現像剤として使用してもよい。
トナーを二成分現像剤として使用する場合において、キャリアとしては、鉄などの強磁性金属、強磁性金属とアルミニウムおよび鉛などの合金、フェライトおよびマグネタイトなどの強磁性金属の化合物などの従来公知の材料からなる磁性粒子を用いることができ、特にフェライトが好ましい。
以上、本発明の実施形態について具体的に説明したが、本発明の実施形態は上記の例に限定されるものではなく、種々の変更を加えることができる。
以下、本発明の具体的な実施例について説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
〔表面処理済みCu・Nb複合酸化物微粒子の製造例1〕
(1)Cu・Nb複合酸化物微粒子の作製
酸化銅(Cu2 O)と五酸化二ニオブ(Nb2 5 )とを1:1のモル比でよく混合し、次いで、この混合物の粉末を、錠剤成形機を用いて35MPaに圧縮成形して酸化物の成形物を得、さらに、この成形物を、アルミナ板上に載せた上述の混合物の粉末上に置いた状態で、950℃に加熱したマッフル炉を用いて4時間焼成して焼結体を得た。
次いで、得られた焼結体をターゲットとして用い、パルスレーザー蒸着装置を用いてホウケイ酸ガラス基板上に酸化物膜を析出、成長させ、アニール工程を経ることにより、NbとCuとの複合酸化物による酸化物膜を得た。
その後、この酸化物膜をホウケイ酸ガラス基板から分離し、粉砕、分級することによって、数平均一次粒径30nmのCu・Nb複合酸化物微粒子〔a〕を得た。
(2)表面処理
Cu・Nb複合酸化物微粒子〔a〕100質量部、表面処理剤:「KBM−503」(信越化学工業社製)30質量部、メチルエチルケトン1000質量部を湿式サンドミル(径0.5mmのアルミナビーズ)に入れ、30℃で6時間混合した後、メチルエチルケトンおよびアルミナビーズを濾別し、60℃で乾燥することにより、表面処理済みCu・Nb複合酸化物微粒子〔A〕を得た。
〔表面処理済みCu・Ta複合酸化物微粒子の製造例1〕
(1)Cu・Nb複合酸化物微粒子の作製
表面処理済みCu・Nb複合酸化物微粒子の製造例1の(1)Cu・Nb複合酸化物微粒子の作製工程において、五酸化二ニオブ(Nb2 5 )の代わりに五酸化二タンタル(Ta2 5 )を用いたこと以外は同様にして、Cu・Ta複合酸化物微粒子〔b〕を得た。
(2)表面処理
表面処理済みCu・Nb複合酸化物微粒子の製造例1の(2)表面処理工程において、Cu・Nb複合酸化物微粒子〔a〕の代わりにCu・Ta複合酸化物微粒子〔b〕を用いたこと以外は同様にして、表面処理済みCu・Ta複合酸化物微粒子〔B〕を得た。
〔表面処理済みCuAlO2 微粒子の製造例1〕
数平均一次粒径30nmのCuAlO2 微粒子100質量部、表面処理剤:「KBM−503」(信越化学工業社製)30質量部、メチルエチルケトン1000質量部を湿式サンドミル(径0.5mmのアルミナビーズ)に入れ、30℃で6時間混合した後、メチルエチルケトンおよびアルミナビーズを濾別し、60℃で乾燥することにより、表面処理済みCuAlO2 微粒子〔C〕を得た。
〔表面処理済みSrCu2 2 微粒子の製造例1〕
表面処理済みCuAlO2 微粒子の製造例1において、CuAlO2 微粒子の代わりにSrCu2 2 微粒子を用いたこと以外は同様にして、表面処理済みSrCu2 2 微粒子〔D〕を得た。
〔感光体の作製例1〕
(1)導電性支持体の作製
円筒状のアルミニウム支持体(外径80mm)の表面を切削加工して導電性支持体〔1〕を作製した。
(2)中間層の形成
・中間層用バインダー樹脂:ポリアミド樹脂「CM8000」(東レ社製) 1質量部
・酸化チタン「SMT500SAS」(テイカ社製) 3質量部
・溶媒:メタノール 10質量部
を、分散機としてサンドミルを用いて、バッチ式で10時間の分散を行った。その後、同溶媒で2倍に希釈し、その溶液を一昼夜静置した後、ろ過することにより、中間層形成用塗布液を得た。ろ過は、ろ過フィルターとして、公称濾過精度が5μmのリジメッシュフィルタ(日本ポール社製)を用いた。このようにして得られた中間層形成用塗布液を、洗浄した導電性支持体〔1〕の外周面に浸漬塗布法で塗布し、乾燥することにより、乾燥膜厚2μmの中間層〔1〕を形成した。
(3)電荷発生層の形成
下記原料を分散機としてサンドミルを用いて10時間の分散を行い、電荷発生層形成用塗布液〔1〕を調製した。
・電荷発生物質:Y型チタニルフタロシアニン顔料(Cu−Kα特性X線回折スペクトル測定で、少なくとも27.3°の位置に最大回折ピークを有するもの) 20質量部
・電荷発生層用バインダー樹脂:ポリビニルブチラール樹脂「#6000−C」(電気化学工業社製) 10質量部
・溶媒:酢酸t−ブチル 700質量部
・溶媒:4−メトキシ−4−メチル−2−ペンタノン 300質量部
上記中間層〔1〕の上に、この電荷発生層形成用塗布液〔1〕を浸漬塗布法により塗布して塗布膜を形成し、乾燥膜厚0.3μmの電荷発生層〔1〕を形成した。
(4)電荷輸送層の形成
下記原料を混合して溶解し、電荷輸送層形成用塗布液〔1〕を調製した。
・電荷輸送物質:4,4′−ジメチル−4″−(β−フェニルスチリル)トリフェニルアミン) 225質量部
・電荷輸送層用バインダー樹脂:ポリカーボネート樹脂「Z300」(三菱ガス化学社製) 300質量部
・酸化防止剤:「Irganox1010」(BASFジャパン社製) 6質量部
・溶媒:THF 1600質量部
・溶媒:トルエン 400質量部
・シリコーンオイル「KF−54」(信越化学社製) 1質量部
上記電荷発生層〔1〕上に、この電荷輸送層形成用塗布液〔1〕を浸漬塗布法により塗布して塗布膜を形成し、この塗布膜を乾燥し、膜厚20μmの電荷輸送層〔1〕を形成した。
(5)表面保護層の形成
・重合性化合物:トリメチロールプロパントリメタクリレート(サートマー社製)
100質量部
・表面処理済みCu・Nb複合酸化物微粒子〔A〕 100質量部
・重合開始剤「イルガキュアー819」(BASFジャパン社製) 15質量部
・溶媒:2−ブタノール 500質量部
からなる塗布液組成物を混合撹拌して十分に溶解・分散し、表面保護層形成用塗布液〔1〕を調製した。
この表面保護層形成用塗布液〔1〕を、円形強制排気装置を設置した円形スライドホッパー塗布機を用いて電荷輸送層〔1〕上に塗布し、キセノンランプを用いて紫外線を1分間照射した後、乾燥することにより、乾燥膜厚が5.0μmである表面保護層〔1〕を形成し、これにより、感光体〔1〕を作製した。
〔感光体の作製例2〕
感光体の作製例1において、表面処理済みCu・Nb複合酸化物微粒子〔A〕の添加量を50質量部に変更したことの他は同様にして、感光体〔2〕を作製した。
〔感光体の作製例3〕
感光体の作製例1において、表面処理済みCu・Nb複合酸化物微粒子〔A〕の添加量を10質量部に変更したことの他は同様にして、感光体〔3〕を作製した。
〔感光体の作製例4〕
感光体の作製例2において、表面保護層の膜厚を10μmに変更したことの他は同様にして、感光体〔4〕を作製した。
〔感光体の作製例5〕
感光体の作製例2において、表面保護層の膜厚を3μmに変更したことの他は同様にして、感光体〔5〕を作製した。
〔感光体の作製例6〕
感光体の作製例2において、表面保護層の膜厚を1μmに変更したことの他は同様にして、感光体〔6〕を作製した。
〔感光体の作製例7〕
感光体の作製例2において、表面処理済みCu・Nb複合酸化物微粒子〔A〕の代わりに表面処理済みCu・Ta複合酸化物微粒子〔B〕を用いたことの他は同様にして、感光体〔7〕を作製した。
〔感光体の作製例8〕
感光体の作製例1において、表面処理済みCu・Nb複合酸化物微粒子〔A〕100質量部の代わりに、表面処理済みCu・Nb複合酸化物微粒子〔A〕25質量部および表面処理済みCuAlO2 微粒子〔C〕10質量部を併用したことの他は同様にして、感光体〔8〕を作製した。
〔感光体の作製例9〕
感光体の作製例1において、表面処理済みCu・Nb複合酸化物微粒子〔A〕100質量部の代わりに、表面処理済みCu・Nb複合酸化物微粒子〔A〕25質量部および表面処理済みSrCu2 2 微粒子〔D〕10質量部を併用したことの他は同様にして、感光体〔9〕を作製した。
〔感光体の作製例10〕
感光体の作製例1において、表面処理済みCu・Nb複合酸化物微粒子〔A〕の代わりに表面処理済みCuAlO2 微粒子〔C〕を用いたことの他は同様にして、感光体〔10〕を作製した。
〔感光体の作製例11〕
感光体の作製例2において、表面処理済みCu・Nb複合酸化物微粒子〔A〕の代わりに表面処理済みCuAlO2 微粒子〔C〕を用いたことの他は同様にして、感光体〔11〕を作製した。
〔感光体の作製例12〕
感光体の作製例3において、表面処理済みCu・Nb複合酸化物微粒子〔A〕の代わりに表面処理済みCuAlO2 微粒子〔C〕を用いたことの他は同様にして、感光体〔12〕を作製した。
〔感光体の作製例13〕
感光体の作製例11において、表面保護層の膜厚を3μmに変更したことの他は同様にして、感光体〔13〕を作製した。
〔感光体の作製例14〕
感光体の作製例11において、表面保護層の膜厚を10μmに変更したことの他は同様にして、感光体〔14〕を作製した。
〔感光体の作製例15〕
感光体の作製例11において、表面処理済みCuAlO2 微粒子〔C〕の代わりに表面処理済みSrCu2 2 微粒子〔D〕を用いたことの他は同様にして、感光体〔15〕を作製した。
(1)ΔViの評価
画像形成装置「bizhub PRO C8000」(コニカミノルタ社製)を、プリント速度を120枚/分に改造した評価機に、感光体〔1〕〜〔15〕をそれぞれ搭載し、まず、温度10℃、相対湿度20%RHの低温低湿環境下で、ブラックの位置において内部搭載パターンNo.53/Dot1(規則性を有するドット状に形成された露光パターンの代表的なもの)を転写材「PODグロスコート」(A3サイズ、100g/m2 )(王子製紙社製)上に濃度指示値255にて100枚連続で印字した。この1枚目の露光後電位と100枚目の露光後電位の差ΔVi1を算出した。次いで、同条件の画像を50万枚連続で印字する耐刷試験を行った後、さらに、同条件の画像を100枚連続で印字した。この1枚目の露光後電位と100枚目の露光後電位の差ΔVi2を算出した。ΔVi1およびΔVi2から、下記の評価基準に従って評価した。結果を表1に示す。
露光後電位は、「CYNTHIA59」(ジェンテック社製)を用いて、温度10℃、相対湿度15%RHの環境下で測定した。表面電位の変動の測定は、感光体を130rpmで回転させながら、グリッド電圧−800V、露光量0.5μJ/cm2 の条件で、帯電と露光を繰り返して行った。
−評価基準−
A:耐刷試験の前後(ΔVi1およびΔVi2)とも20V以下(合格)
B:耐刷試験の前(ΔVi1)は20V以下であるが耐刷試験の後(ΔVi2)は35Vより大きく45V以下
C:耐刷試験の前(ΔVi1)が20Vより大きく40V以下、または、耐刷試験の前(ΔVi1)は40V以下かつ耐刷試験の後(ΔVi2)は35Vより大きい
D:耐刷試験の前(ΔVi1)が40Vより大きい
(2)画像メモリの評価
上記評価機に、感光体〔1〕〜〔15〕をそれぞれ搭載し、まず、温度10℃、相対湿度20%RHの低温低湿環境下で、ブラックの位置において内部搭載パターンNo.53/Dot1(規則性を有するドット状に形成された露光パターンの代表的なもの)を転写材「PODグロスコート」(A3サイズ、100g/m2 )(王子製紙社製)上に濃度指示値255にて1000枚連続で印字した。
この後、ベタ黒の部分とベタ白の部分が混在した白黒画像を10枚連続で印字し、続いて均一なハーフトーン画像を印刷し、このハーフトーン画像について、前記白黒画像の履歴が現れているかどうか、すなわちメモリが発生しているかどうかを目視で観察し、下記の評価基準に従って評価した(初期の評価)。
次いで、同条件の画像を50万枚連続で印字する耐刷試験を行った後、ベタ黒の部分とベタ白の部分が混在した白黒画像を10枚連続で印字し、続いて均一なハーフトーン画像を印刷し、このハーフトーン画像について、前記白黒画像の履歴が現れているかどうか、すなわちメモリが発生しているかどうかを目視で観察し、下記の評価基準に従って評価した(耐久後の評価)。
結果を表1に示す。
−評価基準−
R5:メモリが観察されない(合格)
R4:軽微なメモリが稀に確認されるが、実用上問題ない(合格)
R3:軽微なメモリが確認されるが、実用上問題ない(合格)
R2:稀にメモリが確認され、実用上問題がある(不合格)
R1:はっきりしたメモリが確認され、実用上問題がある(不合格)
(3)画像ボケ
上記評価機に、感光体〔1〕〜〔15〕をそれぞれ搭載し、まず、温度30℃、相対湿度80%RHの高温高湿環境下で、ブラックの位置において内部搭載パターンNo.53/Dot1(規則性を有するドット状に形成された露光パターンの代表的なもの)を転写材「PODグロスコート」(A3サイズ、100g/m2 )(王子製紙社製)上に濃度指示値255にて1000枚連続で印字した。この後すぐに画像形成装置の主電源を停止し、12時間後に主電源を再び入れ、出力が可能になったら直ちにA3中性紙の全面に相対反射濃度0.4のハーフトーン画像を出力し、さらに、A3中性紙の全面に、6dot格子画像を出力した。これらの画像を目視で観察して、下記の評価基準に従って評価した(初期の評価)。
次いで、温度30℃、相対湿度80%RHの環境下で、50万枚片面連続プリントを行う耐刷試験を追加して実施し、この耐刷試験後すぐに画像形成装置の主電源を停止し、12時間後に主電源を再び入れ、出力が可能になったら直ちにA3中性紙の全面に相対反射濃度0.4のハーフトーン画像を出力し、さらに、A3中性紙の全面に、6dot格子画像を出力した。これらの画像を目視で観察して、下記の評価基準に従って評価した(耐久後の評価)。
結果を表1に示す。
−評価基準−
R5:ハーフトーン画像および格子画像のいずれにも画像ボケは観察されない(合格)
R4:ハーフトーン画像および格子画像の少なくともいずれか一方において拡大すると僅かに画像ボケが観察されるが、実用上問題ない(合格)
R3:ハーフトーン画像および格子画像の少なくともいずれか一方において拡大すると画像ボケが観察されるが、実用上問題ない(合格)
R2:ハーフトーン画像および格子画像の少なくともいずれか一方において僅かに画像ボケが観察され、実用上問題がある(不合格)
R1:ハーフトーン画像および格子画像の少なくともいずれか一方において目立つ画像ボケが観察される(不合格)
(4)カブリの評価
上記評価機に、感光体〔1〕〜〔15〕をそれぞれ搭載し、まず、温度10℃、相対湿度20%RHの低温低湿環境下で、ブラックの位置において内部搭載パターンNo.53/Dot1(規則性を有するドット状に形成された露光パターンの代表的なもの)を転写材「PODグロスコート」(A3サイズ、100g/m2 )(王子製紙社製)上に濃度指示値255にて1000枚連続で印字した。
この後、画像が形成されていない転写材「PODグロスコート」(A3サイズ、100g/m2 )(王子製紙社製)を、ブラックの位置まで搬送し、グリッド電圧−800V、現像バイアス−650Vの条件で、無地画像(白ベタ画像)を形成し、得られた転写材上のカブリの有無を目視で観察した。同様に、グリッド電圧−800V、現像バイアス−650Vの条件で、黄色ベタ画像を形成し、得られた転写材上のカブリの有無を目視で観察した。そして、以下の評価基準に従って評価した(初期の評価)。
次いで、同条件の画像を50万枚連続で印字する耐刷試験を行った後、画像が形成されていない転写材「PODグロスコート」(A3サイズ、100g/m2 )(王子製紙社製)を、ブラックの位置まで搬送し、グリッド電圧−800V、現像バイアス−650Vの条件で、無地画像(白ベタ画像)を形成し、得られた転写材上のカブリの有無を目視で観察した。同様に、グリッド電圧−800V、現像バイアス−650Vの条件で、黄色ベタ画像を形成し、得られた転写材上のカブリの有無を目視で観察した。そして、以下の評価基準に従って評価した(耐久後の評価)。
結果を表1に示す。
−評価基準−
R5:白ベタ画像/黄ベタ画像の両方においてカブリが観察されない(合格)
R4:白ベタ画像/黄ベタ画像のどちらか一方において拡大すると僅かにカブリが観察されるが、実用上問題ないレベル(合格)
R3:白ベタ画像/黄ベタ画像の両方において拡大するとカブリが観察されるが、実用上問題ないレベル(合格)
R2:白ベタ画像/黄ベタ画像の一方または両方において目視で僅かにカブリが観察される(不合格)
R1:白ベタ画像/黄ベタ画像の一方または両方においてカブリが目立って観察される(不合格)
Figure 0006503928
1a 導電性支持体
1b 中間層
1c 電荷発生層
1d 電荷輸送層
1e 表面保護層
1eA p型半導体微粒子
1f 感光層
1,1Y,1M,1C,1Bk 感光体
2Y,2M,2C,2Bk 帯電手段
3Y,3M,3C,3Bk 露光手段
4Y,4M,4C,4Bk 現像手段
5Y,5M,5C,5Bk 一次転写ローラ
5b 二次転写ローラ
6Y,6M,6C,6Bk,6b クリーニング手段
10Y,10M,10C,10Bk 画像形成ユニット
20 給紙カセット
21 給紙手段
22A,22B,22C,22D 中間ローラ
23 レジストローラ
24 定着手段
25 排紙ローラ
26 排紙トレイ
70 中間転写体ユニット
71,72,73,74 ローラ
77 中間転写体
80 筐体
82L,82R 支持レール
A 本体
SC 原稿画像読み取り装置
P 転写材

Claims (6)

  1. 導電性支持体上に感光層および表面保護層がこの順に積層されてなり、
    前記表面保護層が、樹脂中に、NbとCuとの複合酸化物による微粒子、および、TaとCuとの複合酸化物による微粒子から選ばれる少なくとも1種以上を含むp型半導体微粒子が含有されてなることを特徴とする電子写真感光体。
  2. 前記p型半導体微粒子が、NbとCuとの複合酸化物による微粒子であることを特徴とする請求項1に記載の電子写真感光体。
  3. 前記表面保護層を構成する樹脂が、架橋性の重合性化合物を重合反応することによって得られる硬化樹脂を含有することを特徴とする請求項1または請求項2に記載の電子写真感光体。
  4. 前記表面保護層における前記p型半導体微粒子の含有割合が、当該表面保護層を構成する樹脂100質量部に対して5〜100質量部であることを特徴とする請求項1〜請求項3のいずれかに記載の電子写真感光体。
  5. 電子写真感光体の表面を帯電させる帯電工程と、帯電された電子写真感光体を露光する露光工程と、露光された電子写真感光体にトナーを供給してトナー像を形成する現像工程と、前記電子写真感光体上に形成されたトナー像を転写する転写工程とを有する画像形成方法であって、
    電子写真感光体として、請求項1〜請求項4のいずれかに記載の電子写真感光体を用いることを特徴とする画像形成方法。
  6. 電子写真感光体と、当該電子写真感光体の表面を帯電させる帯電手段と、前記帯電手段により帯電された電子写真感光体を露光する露光手段と、前記露光手段により露光された電子写真感光体にトナーを供給してトナー像を形成する現像手段と、前記電子写真感光体上に形成されたトナー像を転写する転写手段とを備える画像形成装置であって、
    電子写真感光体が、請求項1〜請求項4のいずれかに記載の電子写真感光体であることを特徴とする画像形成装置。
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