以下、本発明の各実施の形態に係る空気調和機管理装置を含む空気調和機管理システムついて、図面を参照して詳細に説明する。
(実施の形態1)
空気調和機管理システムは、ビル等の建物内に設置された空気調和機の運転を管理するものである。本実施の形態に係る空気調和機管理装置1では、ユーザが自己の権限期間内に建物に入った場合に限りユーザに与えられた操作レベルで空気調和機2の設定を変更できる。
空気調和機管理システムは、図1に示すように、空気調和機2と、ユーザの有無等に応じて空気調和機2の運転状態を管理する空気調和機管理装置1と、ユーザを認証するための個人認証装置4と、を備える。空気調和機2と空気調和機管理装置1、並びに空気調和機管理装置1と個人認証装置4とは、LAN(Local Area Network)等から構成されるネットワークNT1、NT2を介して接続されている。また、空気調和機2は、ユーザが空気調和機2の運転状態を制御するために操作するリモコン3に無線接続されている。
リモコン3は、表示部(図示せず)と操作部(図示せず)とを備え、ユーザが操作部を操作して自分のユーザ識別情報を入力すると、表示部に空気調和機2の設定操作を行うための情報を表示する。ユーザが操作部を操作して空気調和機2の設定操作を行うと、リモコン3は、ユーザ識別情報と設定情報とを含む設定変更要求情報を空気調和機2へ送信する。
空気調和機2は、空調制御部211と空調記憶部213と空調通信部214とリモコン通信部215とこれらを接続するシステムバス216とを備える。空調記憶部213は、不揮発性メモリから構成され、自機の運転設定を示す設定情報を記憶する設定情報記憶部2131を有する。
空調通信部214は、LANインタフェース等から構成され、空気調和機管理装置1との間で設定情報の送受信を実行する。リモコン通信部215は、例えば赤外線通信によりリモコン3から送信される空気調和機2の設定情報を受信して空調制御部211へ出力する。
空調制御部211は、CPU(Central Processing Unit)と揮発性メモリから構成されるRAM(Random Access Memory)とから構成される。空調制御部211は、空調制御部211は、設定情報記憶部2131が記憶する設定情報を一時的にRAMに読み出して、当該設定情報に基づいて空気調和機2の制御を行う。また、空調制御部211は、空調記憶部213が記憶する空気調和機2の設定情報を取得し、空調通信部214を介して、取得した設定情報と空気調和機2に付与された空調機識別情報とを含む情報を空気調和機管理装置1宛に送信する。また、空調制御部211は、リモコン3からリモコン通信部215を介して入力される設定変更要求情報を、ネットワークNT1を介して空気調和機管理装置1へ送信する。
個人認証装置4は、空気調和機2が設置された建物の入口付近や建物内の部屋の扉付近に設置されたカードリーダ等から構成される。ユーザは、建物や建物内の部屋に入場退場する際、自らが所有するIDカードを用いて個人認証装置4に対して入場操作または退場操作を行う。個人認証装置4は、ユーザにより入場操作が行われると、入場するユーザの認証を行い、認証したユーザのユーザ識別情報を、ネットワークNT2を介して空気調和機管理装置1へ送信する。また、個人認証装置4は、ユーザにより退場操作が行われると、ユーザ識別情報を含む退出情報を、ネットワークNT2を介して空気調和機2へ送信する。
空気調和機管理装置1は、例えば汎用コンピュータから構成される。空気調和機管理装置1は、制御部11と、記憶部13と、各種情報を表示する表示部14と、ネットワークNT1、NT2に接続された通信部15と、ユーザが各種情報を入力するための入力部16と、を備える。
入力部16は、キーボードまたは表示部14に重ねて配置されたタッチパネル等から構成される。入力部16は、ユーザが入力する各種操作情報を受け付けて、受け付けた操作情報を制御部11へ出力する。表示部14は、液晶ディスプレイ等から構成される。表示部14は、制御部11から入力された各種情報を出力する。
制御部11は、CPUと揮発性メモリから構成されるRAMとから構成されている。制御部11は、記憶部13から一時的にRAMに読み出したプログラムを実行することにより空気調和機管理装置1の全体の制御を行う。例えば、制御部11は、記憶部13から空調機管理処理を実行するためのプログラムをRAMに読み出して空調機管理処理を実行する。空調機管理処理の詳細については後述する。制御部11は、空気調和機2または個人認証装置4から通信部15を介して情報を受信すると、受信した情報をRAMのバッファ領域に一時的に記憶させる。通信部15は、ネットワークNT1、NT2に接続するためのLANインタフェース等から構成されている。
記憶部13は、不揮発性メモリから構成され、制御部11が空気調和機管理装置1の全体を制御するためのプログラム等を格納する。なお、記憶部13は、1つの不揮発性メモリから構成されていてもよいし、複数の不揮発性メモリから構成されていてもよい。記憶部13は、例えば空調機管理処理を実行するためのプログラムを格納している。また、記憶部13は、図2に示すように、空調機情報記憶部131と表示情報記憶部132とユーザ権限情報記憶部133とユーザ設定情報記憶部134とユーザ識別情報記憶部135とを有する。空調機情報記憶部131は、空気調和機2から取得した空調機情報を記憶する。表示情報記憶部132は、表示部14に表示させる各種表示画面に対応する画像データを記憶している。ユーザ権限情報記憶部133は、各ユーザの権限を示すユーザ権限情報を記憶する。ユーザ設定情報記憶部134は、各ユーザに対応する空気調和機2の設定情報を記憶する。
空調機情報記憶部131は、例えば図3に示すように、空気調和機2の運転モードおよび設定温度と、空気調和機2の空調機識別番号とが対応づけられた空調機情報テーブルを記憶している。
表示情報記憶部132が記憶する表示画面としては、GUI(Graphical User Interface)を実現するための操作画面等が挙げられる。
ユーザ権限情報記憶部133は、空気調和機2設定変更についての設定変更権限とこの設定変更権限が付与される権限期間とを含むユーザ権限情報をユーザ毎に記憶している。ユーザ権限情報は、例えば図4に示すように、権限付与フラグ、権限期間、操作が許可されるリモコン3の識別情報および操作レベルから構成され、ユーザ権限テーブルとしてユーザ識別情報と対応づけられてユーザ権限情報記憶部133に記憶されている。権限期間に関する情報は、権限期間の開始時刻と終了時刻とを示す時刻情報から構成されている。
権限付与フラグが「ON」に設定されているユーザ識別情報に対応するユーザは、権限期間において、許可リモコン識別情報が付与されたリモコン3を使って、操作レベルに応じたリモコン操作を自由に行うことができる。操作レベルは、以下のレベルAからDの4種類のレベルに区分されている。
レベルA:空気調和機2の温度設定操作が可能
レベルB:空気調和機2の温度設定操作および運転モード(冷房/ドライ/送風/暖房)設定操作が可能
レベルC:空気調和機2の温度設定操作、運転モード設定操作および動作開始時刻設定操作が可能
レベルD:空調調和機2の温度設定操作、運転モード設定操作、動作開始時刻設定操作および動作終了時刻設定操作
ユーザ設定情報記憶部134は、過去にユーザが空気調和機2に対して設定した設定情報或いは建物の管理者により設定された初期の設定情報をユーザ毎に記憶する。設定情報は、図5に示すように、空気調和機2の運転モードと設定温度とから構成されている。ユーザ設定情報記憶部134は、ユーザが権限期間においてリモコン3を操作して設定した設定情報とユーザ識別情報とが対応づけられたユーザ設定テーブルを記憶している。
ユーザ識別情報記憶部135は、個人認証装置4から通信部15を介して判定部114に入力されるユーザ識別情報を記憶する。また、記憶部13は、他にユーザ識別情報とユーザ名との対応関係を示すユーザ名テーブルを記憶するユーザ名記憶部(図示せず)を有する。
次に、本実施の形態に係る空気調和機管理装置1の制御部11の機能的構成について説明する。制御部11は、図2に示すように、空調機情報取得部111、表示処理部112、ユーザ権限設定部113、判定部114、設定情報管理部115、設定情報抽出部116、計時部117として機能する。
空調機情報取得部111は、空気調和機2から通信部15を介して取得した情報に含まれる設定情報を抽出して空調機情報記憶部131に記憶させる。空気調和機2から取得した情報には、前述のように、送信元の空気調和機2の空調機識別情報が含まれており、空調機情報取得部111は、その情報から空調機識別情報を抽出して、設定情報と空調機識別情報とを対応づけた形で空調機情報記憶部131に記憶させる。
表示処理部112は、表示情報記憶部132から取得した画像データに対応する表示画面と、空調機情報記憶部131から取得した空気調和機2の設定情報と、を表示部14に表示させる。また、表示処理部112は、入力部16から入力される操作情報に基づいて、表示情報記憶部132から取得する画像データを選択する。
例えば、空気調和機2が設置された建物の管理者が入力部16に対してユーザ権限テーブルに記録されている各ユーザのユーザ権限を閲覧するための操作を行ったとする。この場合、表示処理部112は、ユーザ権限情報記憶部133からユーザ権限テーブルを取得してそこに記録されている各種情報を表示部14に表示させる。また、管理者が入力部16に対して空気調和機2の設定情報を閲覧するための操作を行った場合、表示処理部112は、空調機情報記憶部131から空調機情報テーブルを取得してそこに記録されている各種情報を表示部14に表示させる。また、管理者が入力部16に対して現在の空気調和機2の設定情報を設定したユーザを確認するための操作を行った場合、表示処理部112は、ユーザ設定情報記憶部134が記憶するユーザ設定テーブルを参照して直近の更新日に対応するユーザ識別情報を取得する。そして、表示処理部112は、ユーザ名記憶部が記憶するユーザ名テーブルを参照して、取得したユーザ識別情報に対応するユーザ名を表示部14に表示させる。
ユーザ権限設定部113は、管理者等が入力部16を介して入力した、ユーザ識別情報、権限付与フラグ、権限期間、操作が許可されるリモコン3の識別情報および操作レベルを、ユーザ権限情報記憶部133に記憶させる。
判定部114は、空気調和機2から通信部15を介して、認証されたユーザによる空気調和機2の設定変更要求を取得すると、空気調和機2の設定変更が可能であるか不可能であるかを判定する。ここにおいて、判定部114は、ユーザ権限情報記憶部133から設定変更要求に対応するユーザのユーザ権限情報を取得し、取得したユーザ権限情報に含まれる権限期間および権限付与フラグに基づいて、空気調和機2の設定変更の可否を判定する。また、判定部114は、個人認証装置4から通信部15を介してユーザ識別情報を受信した場合も、適宜受信したユーザ識別情報に対応するユーザ権限情報をユーザ権限情報記憶部133から取得し、取得したユーザ権限情報に含まれる権限期間および権限付与フラグに基づいて、空気調和機2の設定変更が可能であるか不可能であるかを判定する。
設定情報抽出部116は、判定部114による判定結果に基づいて、個人認証装置4がユーザを認証したときに、ユーザ設定情報記憶部134が記憶するユーザ設定テーブルから、認証したユーザの設定情報を抽出する。設定情報抽出部116は、抽出した設定情報を設定情報管理部115へ出力する。
設定情報管理部115は、判定部114により空気調和機2の設定変更が可能と判定されると、設定変更要求に含まれる設定情報を、空気調和機2へ通信部15を介して送信することにより、空気調和機2の設定を変更する。このとき、設定情報管理部115は、設定変更要求に含まれる設定情報とユーザ識別情報とを、ユーザ設定情報記憶部134に記憶させる。一方、設定情報管理部115は、判定部114により空気調和機2の設定変更が不可能と判定されると、空気調和機2への設定情報の送信を回避する。また、設定情報管理部115は、設定情報抽出部116から入力される設定情報を空気調和機2へ送信することにより空気調和機2の設定を変更する。
更に、設定情報管理部115は、送信しようとする設定情報と、空調機情報記憶部131が記憶する設定情報と、を比較し、両設定情報が一致しない場合、設定情報を空気調和機2へ送信し、両設定情報が一致する場合、設定情報の送信を回避する。これにより、空気調和機管理装置1から空気調和機2への無駄な通信を抑制することができるので、空気調和機管理装置1と空気調和機2との間での通信負荷を軽減し通信の輻輳状態の発生を抑制することができる。
計時部117は、制御部11に内蔵されたクロック、タイマ等を利用して現在の時刻を算出する。
次に、本実施の形態に係る空気調和機管理システムの動作の一例について、図6を参照しながら説明する。図6は、空気調和機2が停止している状態で、空気調和機2が設置されている建物にユーザが入ってきた場合を示している。また、空気調和機2は、運転開始後、特定の設定情報送信時期が到来する毎に、自機の設定情報記憶部2131が記憶する設定情報を空気調和機管理装置1へ送信する。この設定情報送信時期は、例えば一定の時間間隔で到来するように設定される。
ユーザが建物に入るときに自分の所持するIDカードに記録されたユーザ識別情報を個人認証装置4に取得させる操作を行うと、ユーザ識別情報が、個人認証装置4から空気調和機管理装置1へ送信される(ステップS1)。
空気調和機管理装置1は、受信したユーザ識別情報に対応する設定情報を、ユーザ設定情報記憶部134から取得する(ステップS2)。そして、この設定情報が、空気調和機管理装置1から空気調和機2へ送信される(ステップS3)。
空気調和機2は、受信した設定情報に基づいて運転を開始する(ステップS4)。空気調和機2の運転開始後、ユーザが空気調和機2の設定を変更するためにリモコン3を操作すると、設定変更要求情報が、リモコン3から空気調和機2で中継されて空気調和機管理装置1へ送信される(ステップS5、S6)。
空気調和機管理装置1は、受信した設定変更要求情報に含まれるユーザ識別情報に基づいて、このユーザ識別情報に対応するユーザの操作可否を判定する(ステップS7)。ユーザの操作が不可能であると判定された場合、空気調和機管理装置1から空気調和機2へは設定情報が送信されない。
また、空気調和機2が運転している状態で、別のユーザが建物に入ってきたとする。このユーザが自分の所持するIDカードに記録されたユーザ識別情報を個人認証装置4に取得させる操作を行うと、ユーザ識別情報が、個人認証装置4から空気調和機管理装置1へ送信される(ステップS8)。
空気調和機管理装置1は、受信したユーザ識別情報に基づいて、このユーザ識別情報に対応するユーザの操作可否を判定する(ステップS9)。このとき、ユーザの操作が可能であると判定された場合、空気調和機管理装置1は、受信したユーザ識別情報に対応する設定情報を、ユーザ設定情報記憶部134から取得する(ステップS10)。そして、この設定情報が、空気調和機管理装置1から空気調和機2へ送信される(ステップS11)。
空気調和機2は、空気調和機管理装置1から設定情報を受信すると、設定変更を実行する(ステップS12)。具体的には、空気調和機2は、設定情報記憶部2131が記憶する設定情報を、受信した設定情報で更新する。これにより、空調制御部211は、設定情報記憶部2131が記憶する更新された設定情報に基づいて空気調和機2を制御する。
その後、ユーザが空気調和機2の設定を変更するためにリモコン3を操作すると、設定変更要求情報が、リモコン3から空気調和機2で中継されて空気調和機管理装置1へ送信される(ステップS13、S14)。
空気調和機管理装置1は、受信した設定変更要求情報に含まれるユーザ識別情報に基づいて、このユーザ識別情報に対応するユーザの操作可否を判定する(ステップS15)。このとき、ユーザの操作が可能であると判定された場合、設定変更要求に含まれる設定情報が、空気調和機管理装置1から空気調和機2へ送信される(ステップS16)。そして、空気調和機管理装置1は、ユーザ設定情報記憶部134が記憶するユーザ設定情報テーブルのうちの、設定変更要求に含まれるユーザ識別情報に対応する設定情報を、設定変更要求に含まれる設定情報に更新する(ステップS17)。空気調和機2は、空気調和機管理装置1から設定情報を受信すると、設定変更を実行する(ステップS18)。
また、設定情報送信時期が到来すると、空気調和機2の設定情報が、空気調和機2から空気調和機管理装置1へ送信される(ステップS19)。そして、空気調和機管理装置1では、空調機情報取得部111が、空気調和機2から受信した設定情報を空調機情報記憶部131に記憶させる(ステップS20)。
次に、本実施の形態に係る空気調和機管理装置1が実行する空気調和機管理処理について、図7、図8および図9を参照しながら説明する。この空気調和機管理処理は、個人認証装置4が動作しており、空気調和機2が停止している状態で開始される。また、空気調和機管理装置1は、この空気調和機管理処理と並行して前述の設定情報取得処理を実行する。
まず、判定部114は、個人認証装置4からユーザ識別情報を受信したか否かを判定する(ステップS101)。具体的には、判定部114は、制御部11のバッファ領域にユーザ識別情報が記憶されているか否かを判定する。判定部114は、ユーザ識別情報を受信しない限り(ステップS101:No)、待機状態を維持する。
一方、判定部114がユーザ識別情報を受信したと判定すると(ステップS101:Yes)、設定情報抽出部116は、ユーザ設定情報記憶部134が記憶するユーザ設定情報テーブルから、バッファ領域に記憶されたユーザ識別情報に対応する設定情報を抽出する(ステップS102)。次に、設定情報抽出部116は、抽出した設定情報を、通信部15を介して空気調和機2へ送信する(ステップS103)。
続いて、判定部114は、空気調和機管理装置1がリモコン3から空気調和機2を介して設定変更要求を受信したか否かを判定する(ステップS104)。具体的には、判定部114は、制御部11のバッファ領域に設定変更要求が記憶されているか否かを判定する。判定部114により設定変更要求を受信していないと判定されると(ステップS104:No)、後述のステップS109の処理が実行される。
一方、判定部114は、空気調和機管理装置1が設定変更要求を受信したと判定すると(ステップS104:Yes)、空気調和機2の設定変更が可能であるか否かを判定する(ステップS105)。具体的には、判定部114は、まず、空調機情報記憶部131から取得した設定情報と、設定変更要求から抽出した設定情報とを比較して設定変更対象を特定する。例えばこれらの両設定情報において温度が異なる場合、判定部114は、設定変更対象を温度と特定する。次に、判定部114は、設定変更要求に含まれるユーザ識別情報とリモコン識別情報とを抽出する。
そして、判定部114は、ユーザ権限情報記憶部133が記憶するユーザ権限テーブルから、設定変更要求から抽出したユーザ識別情報に対応するユーザ権限情報を取得する。その後、判定部114は、取得したユーザ権限情報について設定変更可能な条件を満たすか否かを判定する。判定部114は、取得したユーザ権限情報について設定変更可能な条件を満たす場合、設定変更可能であると判定する。この設定変更可能な条件とは、権限付与フラグが「ON」であり且つ現時刻が権限期間内であり且つ設定変更要求から抽出したリモコン識別情報が許可リモコン識別情報と一致し且つ設定変更対象の変更が許可される操作レベルであることである。判定部114は、取得したユーザ権限情報について、この設定変更可能な条件を満たさない限り、設定変更が不可能と判定する。判定部114により設定変更が不可能であると判定されると(ステップS105:No)、後述のステップS109の処理が実行される。即ち、設定情報管理部115は、空気調和機2への設定情報の送信を回避することになる。
一方、判定部114が設定変更可能と判定すると(ステップS105:Yes)、設定情報管理部115は、空調機情報記憶部131から取得した設定情報と、抽出した設定情報とを比較し、両設定情報が一致するか否かを判定する(ステップS106)。設定情報管理部115により両設定情報が一致すると判定されると(ステップS106:Yes)、そのまま後述のステップS109の処理が実行される。
一方、設定情報管理部115は、両設定情報が一致しないと判定すると(ステップS106:No)、設定変更要求から抽出した設定情報を空気調和機2へ送信する(ステップS107)。その後、設定情報管理部115は、ユーザ設定情報記憶部134が記憶するユーザ設定テーブルのうちの設定変更要求から抽出したユーザ識別情報に対応する設定情報を、設定変更要求から抽出した設定情報に更新する(ステップS108)。
次に、判定部114は、再び、空気調和機管理装置1が個人認証装置4からユーザ識別情報を受信したか否かを判定する(ステップS109)。空気調和機管理装置1が個人認証装置4からユーザ識別情報を受信していない場合(ステップS109:No)、再びステップS104の処理が実行される。一方、判定部114は、空気調和機管理装置1がユーザ識別情報を受信したと判定すると(ステップS109:Yes)、受信したユーザ識別情報をユーザ識別情報記憶部135に記憶する(ステップS110)。
続いて、図8に示すように、判定部114は、設定変更が可能であるか否かを判定する(ステップS111)。このとき、判定部114は、空気調和機2の設定情報記憶部2131が記憶する設定情報を、受信したユーザ識別情報に対応する設定情報に変更することが可能であるか否かを判定する。具体的には、判定部114は、ユーザ権限情報記憶部133が記憶するユーザ権限テーブルから、受信したユーザ識別情報に対応するユーザ権限情報を取得する。そして、判定部114は、取得したユーザ権限情報について設定変更可能な条件を満たすか否かを判定する。この設定変更可能な条件とは、権限付与フラグが「ON」であり且つ現時刻が権限期間内であることである。判定部114により設定変更が不可能であると判定されると(ステップS111:No)、後述のステップS115の処理が実行される。
一方、判定部114が設定変更可能と判定すると(ステップS111:Yes)、設定情報抽出部116は、ユーザ設定情報記憶部134が記憶するユーザ設定情報テーブルから、受信したユーザ識別情報に対応する設定情報を抽出する(ステップS112)。
その後、設定情報管理部115は、空調機情報記憶部131から取得した設定情報と、抽出した設定情報とを比較し、両設定情報が一致するか否かを判定する(ステップS113)。設定情報管理部115により両設定情報が一致すると判定されると(ステップS113:Yes)、そのまま後述のステップS115の処理が実行される。
一方、設定情報管理部115は、両設定情報が一致しないと判定すると(ステップS113:No)、抽出した設定情報を、通信部15を介して空気調和機2へ送信する(ステップS114)。
次に、判定部114は、空気調和機管理装置1が個人認証装置4から退出情報を受信したか否かを判定する(ステップS115)。具体的には、判定部114が、制御部11のバッファ領域に退出情報が記憶されているか否かを判定する。判定部114により空気調和機管理装置1が退出情報を受信していないと判定されると(ステップS115:No)、再びステップS104の処理が実行される。一方、判定部114は、空気調和機管理装置1が退出情報を受信したと判定すると(ステップS115:Yes)、ユーザ識別情報記憶部135から、退出情報に含まれるユーザ識別情報と一致するユーザ識別情報を削除する(ステップS116)。その後、再びステップS104の処理が実行される。
以上説明した空気調和機管理処理について、空気調和機2が設置された建物内に3人のユーザP1、P2、P3が順番に入ってくる場合を例にとって具体的に説明する。図9に示すように、ユーザ権限テーブルにおいて、ユーザP1の権限期間が時刻T4から時刻T5までの間の期間、ユーザP2、P3の権限期間がいずれも時刻T1から時刻T5までの間の期間に設定されているとする。この場合、空気調和機2が停止している状態で、時刻T0において個人認証装置4によりユーザP1が認証されると、空気調和機2は、時刻T0からユーザP1に対応する設定情報で運転を開始する。
時刻T2において、個人認証装置4によりユーザP2が認証されると、空気調和機2の設定情報がユーザP2に対応する設定情報に変更される。そして、時刻T2からユーザP2による空気調和機2の設定変更が可能な期間が開始する。
時刻T3において、個人認証装置4によりユーザP3が認証されると、空気調和機2の設定情報がユーザP3に対応する設定情報に変更される。そして、時刻T3からユーザP2、P3による空気調和機2の設定変更が可能な期間が開始する。その後、時刻T4からユーザP1、P2、P3による空気調和機2の設定変更が可能な期間が開始する。時刻T5になると、ユーザP2、P3の権限期間が終了し、ユーザP1のみが空気調和機2の設定変更が可能な期間が開始する。
以上説明したように、本実施の形態に係る空気調和機管理装置1によれば、判定部114が、ユーザ権限情報に含まれる権限期間に基づいて、機器の設定変更の可否を判定し、設定情報管理部115が、判定部114による判定結果に応じて機器の設定を変更する。これにより、機器の運用管理者は、各ユーザの権限期間を適当に設定することにより、運用管理者が機器について策定した運転計画からの実際の機器の運転状況のずれを低減することができる。従って、機器の最適な運用管理を実現することができる。
また、本実施の形態に係る空気調和機管理装置1によれば、設定情報抽出部116が、個人認証装置4がユーザを認証したときに、ユーザ設定情報記憶部134から、認証したユーザの設定情報を抽出する。そして、設定情報管理部115が、設定情報抽出部116により抽出された設定情報を空気調和機2へ送信することにより空気調和機2の設定を変更する。これにより、例えばユーザが出先から建物に戻って個人認証装置4に対して入場操作を行った場合、空気調和機2は、そのユーザの好む設定に変更される。従って、建物内をユーザの状況に応じてそのユーザにとって快適な空調状態とすることができる。
更に、本実施の形態に係るユーザ権限テーブルは、権限期間の他に設定変更権限を付与するか否かを示す権限付与フラグを含む。これにより、例えばユーザ権限テーブルが権限付与フラグを含まない場合に比べて、ユーザ権限テーブルの設定バリエーションが増える。従って、空気調和機2の運用管理者等は、ユーザ権限テーブルをよりきめ細く設定することができるので、空気調和機2について策定した運転計画からの実際の空気調和機2の運転状況のずれの更なる低減を図ることができる。
また、本実施の形態に係るユーザ権限テーブルでは、権限期間の開始時刻と終了時刻とを示す時刻情報を含んでいる。これにより、空気調和機2の運用管理者等は、各ユーザについての日々の予定スケジュールに応じて各ユーザへの権限期間を設定することができる。
(実施の形態2)
本実施の形態に係る空気調和機管理装置は、個人認証装置4により認証されたユーザに対して権限期間内独占的に空気調和機2の設定変更を許可する。本実施の形態に係る空気調和機管理装置の構成は、実施の形態1で説明した空気調和機管理装置1の構成と同様である。そして、空気調和機管理装置1が実行する空気調和機管理処理の内容が実施の形態1に係る空気調和機管理処理と相違する。
ここで、本実施の形態に係る空気調和機管理装置1が実行する空気調和機管理処理について図10および図11を参照しながら説明する。なお、図10および図11において実施の形態1に係る空気調和機管理処理と同様の処理については適宜図7および図8と同一の符号を付している。
図10に示すように、ステップS101からステップS115までの処理が実行される。判定部114は、ステップS115の処理において、空気調和機管理装置1が退出情報を受信したと判定すると(ステップS115:Yes)、ユーザ識別情報記憶部135から退出情報に含まれるユーザ識別情報と一致するユーザ識別情報を削除する(ステップS116)。その後、再びステップS104の処理(図7参照)が実行される。
一方、判定部114は、退出情報を取得していないと判定されると(ステップS115:No)、空気調和機管理装置1がリモコン3から空気調和機2を介して設定変更要求を受信したか否かを判定する(ステップS201)。このステップS201での処理は、実施の形態1のステップS104の処理と同様である。判定部114により空気調和機管理装置1が設定変更要求を受信していないと判定されると(ステップS201:No)、後述のステップS208の処理が実行される。
一方、図11に示すように、判定部114は、空気調和機管理装置1が設定変更要求を受信したと判定すると(ステップS201:Yes)、設定変更要求に含まれるユーザ識別情報と権限付与対象のユーザ識別情報とが一致するか否かを判定する(ステップS202)。権限付与対象のユーザ識別情報とは、個人認証装置4により取得されたユーザ識別情報に相当する。判定部114は、設定変更要求から抽出したユーザ識別情報と、個人認証装置4から取得したユーザ識別情報とを比較してそれらが一致しているか否かを判定する。判定部114により設定変更要求に含まれるユーザ識別情報と権限付与対象のユーザ識別情報とが一致しないと判定されると(ステップS202:No)、後述のステップS208の処理が実行される。
一方、判定部114は、設定変更要求に含まれるユーザ識別情報と権限付与対象のユーザ識別情報とが一致すると判定すると(ステップS202:Yes)、現時刻がそのユーザ識別情報に対応する権限期間内であるか否かを判定する(ステップS203)。具体的には、判定部114は、現時刻が権限付与対象のユーザ識別情報に対応する権限期間内であるか否かを判定する。判定部114により権限期間外であると判定されると(ステップS203:No)、再びステップS104の処理(図7参照)が実行される。
一方、判定部114は、権限期間内であると判定すると(ステップS203:Yes)、設定変更可能であるか否かを判定する(ステップS204)。この具体的には、判定部114は、まず、空調機情報記憶部131から取得した設定情報と、設定変更要求から抽出した設定情報とを比較して設定変更対象を特定する。次に、判定部114は、設定変更要求に含まれるユーザ識別情報とリモコン識別情報とを抽出する。
そして、判定部114は、ユーザ権限情報記憶部133が記憶するユーザ権限テーブルから、設定変更要求から抽出したユーザ識別情報に対応するユーザ権限情報を取得する。そして、判定部114は、取得したユーザ権限情報について設定変更可能な条件を満たすか否かを判定する。この設定変更可能な条件とは、設定変更要求から抽出したリモコン識別情報が許可リモコン識別情報と一致し且つ設定変更対象の変更が許可される操作レベルであることである。判定部114により設定変更が不可能であると判定されると(ステップS204:No)、後述のステップS208の処理が実行される。
一方、判定部114が設定変更可能と判定すると(ステップS204:Yes)、設定情報管理部115は、空調機情報記憶部131から取得した設定情報と、抽出した設定情報とが一致するか否かを判定する(ステップS205)。設定情報管理部115により両設定情報が一致すると判定されると(ステップS205:Yes)、そのまま後述のステップS208の処理が実行される。
一方、設定情報管理部115は、両設定情報が一致しないと判定すると(ステップS205:No)、設定変更要求から抽出した設定情報を空気調和機2へ送信する(ステップS206)。その後、設定情報管理部115は、ユーザ設定情報記憶部134が記憶するユーザ設定テーブルのうちの設定変更要求から抽出したユーザ識別情報に対応する設定情報を、設定変更要求から抽出した設定情報に更新する(ステップS207)。
次に、判定部114は、空気調和機管理装置1が個人認証装置4からユーザ識別情報を受信したか否かを判定する(ステップS208)。空気調和機管理装置1が個人認証装置4からユーザ識別情報を受信しない場合(ステップS208:No)、再びステップS201の処理が実行される。一方、空気調和機管理装置1が個人認証装置4からユーザ識別情報を受信したと判定されると(ステップS208:Yes)、再びステップS111の処理が実行される。
以上説明した空気調和機管理処理について、空気調和機2が設置された建物内に3人のユーザP1、P2、P3が順番に入ってくる場合を例にとって具体的に説明する。図12に示すように、ユーザ権限テーブルにおけるユーザP1、P2、P3の権限期間は図9と同じに設定されているとする。
時刻T3において、個人認証装置4によりユーザP3が認証されると、ユーザP3のみ空気調和機2の設定変更が可能な期間が開始する。時刻T3から時刻T5の間の期間においてユーザP1、P2の権限期間が設定されているが、ユーザP1、P2は空気調和機2の設定変更ができない。その後、時刻T4において、ユーザP3の権限期間が終了すると、ユーザP1による空気調和機2の設定変更が可能な期間が開始する。
以上説明したように、本実施の形態に係る空気調和機管理装置1によれば、個人認証装置4により認証されたユーザに対して権限期間内独占的に空気調和機2の設定変更を許可する。例えば建物に訪問してきた顧客や外出先から帰ってきたユーザ等に対して個人認証装置4により認証した直後、権限期間内においてその認証したユーザ等に対して独占的に空気調和機2の設定変更を許可する。これにより、認証されたユーザは権限期間内において与えられた操作レベルの範囲内で自由に空気調和機2の設定を変更することができるので、ユーザの快適性向上を図ることができる。
(実施の形態3)
本実施の形態に係る空気調和機管理装置は、権限期間の規定方法が実施の形態1と相違する。具体的には、ユーザ権限テーブルには、各ユーザに空気調和機2の設定変更の権限を与える最長時間(権限付与時間)が記録されている。そして、ユーザは、個人認証装置4に対して入場操作を行うだけで、権限期間内においてそのユーザに与えられた操作レベルの範囲内で空気調和機2の設定を独占的に変更することができる。
本実施の形態に係る空気調和機管理装置の構成は、実施の形態1および2で説明した空気調和機管理装置1の構成と同様である。そして、ユーザ権限テーブルの内容と、空気調和機管理装置1が実行する空気調和機管理処理の内容と、が実施の形態1に係る空気調和機管理処理と相違する。
ユーザ権限情報記憶部133は、図13に示すように、実施の形態で説明したユーザ権限テーブルにおいて権限期間の代わりに各ユーザに空気調和機2の設定変更の権限を与える最長時間に相当する権限付与時間が記録されているユーザ権限テーブルを記憶している。ユーザ識別情報記憶部135は、空気調和機2の設定変更の権限を付与する対象である権限付与対象のユーザのユーザ識別情報を記憶する。
計時部117は、個人認証装置4によりユーザが認証されたと判定された後の経過時間を計時する。判定部114は、個人認証装置4からユーザ識別情報を受信する毎に、そのユーザ識別情報をユーザ識別情報記憶部135に記憶させる。
次に、本実施の形態に係る空気調和機管理装置1が実行する空気調和機管理処理について図14および図15を参照しながら説明する。なお、図14および図15において、実施の形態1または実施の形態2に係る空気調和機管理処理と同様の処理については適宜図7および図8または図10および図11と同一の符号を付している。
図14に示すように、ステップS101からステップS110までの処理が実行された後、計時部117が計時を開始する(ステップS301)。計時部117は、ユーザ識別情報記憶部135にユーザ識別情報が記憶される毎に計時値を初期値にリセットしてから計時を開始する。次に、ステップS111からステップS115までの処理が実行される。判定部114は、ステップS115の処理において、空気調和機管理装置1が退出情報を受信したと判定すると(ステップS115:Yes)、ユーザ識別情報記憶部135から退出情報に含まれるユーザ識別情報と一致するユーザ識別情報を削除する(ステップS116)。その後、再びステップS104の処理(図7参照)が実行される。
一方、判定部114は、空気調和機管理装置1が退出情報を受信していないと判定されると(ステップS115:No)、図15に示すように、ステップS201、S202の処理が実行される。ステップS202において、判定部114が、設定変更要求に含まれるユーザ識別情報と権限付与対象のユーザ識別情報とが一致すると判定すると(ステップS202:Yes)、権限付与時間が経過したか否かを判定する(ステップS302)。具体的には、判定部114は、計時部117が計時する経過時間が、ユーザ権限情報記憶部133から取得した、権限付与対象のユーザ識別情報に対応する権限付与時間に等しくなったか否かを判定する。判定部114により権限付与時間が経過したと判定されると(ステップS302:Yes)、再びステップS104の処理(図7参照)が実行される。一方、判定部114により権限付与時間が経過していないと判定されると(ステップS302:No)、ステップS204からステップS208までの処理が実行される。
判定部114は、ステップS208において、ユーザ識別情報を受信したと判定すると(ステップS208:Yes)、ユーザ識別情報記憶部135が記憶するユーザ識別情報を削除する(ステップS303)。
以上説明した空気調和機管理処理について、空気調和機2が設置された建物内に3人のユーザP1、P2、P3が順番に入ってくる場合を例にとって具体的に説明する。図16に示すように、ユーザ権限テーブルにおけるユーザP2、P3の権限付与時間はそれぞれ△TP2、△TP3に設定されているとする。
時刻T31において、個人認証装置4によりユーザP2が認証されると、空気調和機2の設定情報がユーザP2に対応する設定情報に変更される。そして、時刻T31からユーザP2による空気調和機2の設定変更が可能な期間が開始する。
時刻T31から権限付与時間△TP2よりも短い時間だけ経過した時刻T32において、個人認証装置4によりユーザP3が認証されると、空気調和機2の設定情報がユーザP3に対応する設定情報に変更される。そして、時刻T32からユーザP3による空気調和機2の設定変更が可能な期間が開始する。その後、時刻T32から権限付与時間△TP3だけ経過した時刻T33になると、ユーザP3による空気調和機2の設定変更が可能な期間が終了する。
以上説明したように、本実施の形態に係る空気調和機管理装置によれば、ユーザ権限テーブルに権限付与時間だけを記録すればよい。従って、例えば運用管理者が各ユーザの予定スケジュールを考慮せずに、各ユーザについて一様に個人認証装置4により認証されてから権限付与時間だけ設定変更の権限を与えることを意図しているとする。この場合、運用管理者は、ユーザ権限テーブルに権限期間の開始時刻と終了時刻との2種類の情報を設定する必要がある構成に比べて、ユーザ権限テーブルに設定すべき情報を低減できる。従って、管理者のユーザ権限テーブルの設定負担を軽減することができる。
(実施の形態4)
本実施の形態に係る空気調和機管理装置は、実施の形態3と同様に、ユーザ権限テーブルに各ユーザの権限付与時間が記録されている。本実施の形態に係る空気調和機管理装置では、複数のユーザについて、個人認証装置4による認証後の権限付与時間内であれば重複して空気調和機2の設定を変更する権限を与える。
本実施の形態に係る空気調和機管理装置の構成は、実施の形態1から3で説明した空気調和機管理装置1の構成と同様である。ユーザ権限テーブルの内容は、実施の形態3と同様であり、空気調和機管理装置1が実行する空気調和機管理処理の内容が実施の形態3に係る空気調和機管理処理と相違する。
ユーザ識別情報記憶部135は、空気調和機2の設定変更の権限を付与する対象である権限付与対象のユーザが複数存在する場合はその複数のユーザのユーザ識別情報を記憶する。計時部117は、個人認証装置4によりユーザが複数存在する場合、複数のユーザそれぞれについて各別に認証されたと判定された後の経過時間を計時する。
次に、本実施の形態に係る空気調和機管理装置1が実行する空気調和機管理処理について図17および図18を参照しながら説明する。なお、図17および図18において、実施の形態3に係る空気調和機管理処理と同様の処理については適宜図14および図15と同一の符号を付している。
ステップS101からステップS110までの処理が実行された後、計時部117がユーザ識別情報記憶部135に記憶されたユーザ識別情報それぞれに対応づけた形で計時を開始する(ステップS401)。例えば、一のユーザが個人認証装置4により認証された直後から計時を開始し、このユーザについて権限付与時間が経過する前に他のユーザが個人認証装置4により認証されたとする。この場合、計時部117は、先に個人認証装置4により認証されたユーザについての計時を継続しつつ、他のユーザについて計時を開始する。次に、ステップS111からステップS115までの処理が実行される。判定部114は、ステップS115において、空気調和機管理装置1が退出情報を受信したと判定すると(ステップS115:Yes)、ユーザ識別情報記憶部135から退出情報に含まれるユーザ識別情報と一致するユーザ識別情報を削除する(ステップS116)。
その後、判定部114は、ユーザ識別情報記憶部135が記憶するユーザ識別情報が有るか否かを判定する(ステップS402)。判定部114によりユーザ識別情報記憶部135にユーザ識別情報が存在しないと判定されると(ステップS402:No)、再びステップS104の処理(図7参照)が実行される。
一方、判定部114が、ステップS115において空気調和機管理装置1が退出情報を受信していないと判定(ステップS115:No)、或いは、ステップS402においてユーザ識別情報が有ると判定(ステップS402:Yes)したとする。この場合、図18に示すように、ステップS201、S202の処理が実行される。判定部114は、設定変更要求に含まれるユーザ識別情報と権限付与対象のユーザ識別情報とが一致すると判定すると(ステップS202:Yes)、権限付与時間が経過したか否かを判定する(ステップS403)。ユーザ識別情報記憶部135が複数のユーザ識別情報を記憶する場合、判定部114は、複数のユーザ識別情報それぞれについて、各別に計時部117が計時する経過時間が権限付与時間に等しくなったか否かを判定する。判定部114は、少なくとも1つのユーザ識別情報について権限付与時間が経過したと判定すると(ステップS403:Yes)、権限付与時間が経過した権限付与対象のユーザ識別情報をユーザ識別情報記憶部135から削除する(ステップS404)。その後、再びステップS104の処理(図7参照)が実行される。
一方、判定部114により各ユーザ識別情報について権限付与時間が経過していないと判定されると(ステップS403:No)、ステップS204からステップS208までの処理が実行される。
以上説明した空気調和機管理処理について、空気調和機2が設置された建物内に3人のユーザP1、P2、P3が順番に入ってくる場合を例にとって具体的に説明する。図19に示すように、ユーザ権限テーブルにおけるユーザP2、P3の権限付与時間はそれぞれ△TP2、△TP3に設定されているとする。
時刻T31において、個人認証装置4によりユーザP2が認証されると、空気調和機2の設定情報がユーザP2に対応する設定情報に変更される。そして、時刻T31からユーザP2による空気調和機2の設定変更が可能な期間が開始する。
時刻T31から権限付与時間△TP2よりも短い時間だけ経過した時刻T32において、個人認証装置4によりユーザP3が認証されると、空気調和機2の設定情報がユーザP3に対応する設定情報に変更される。そして、時刻T32からユーザP3による空気調和機2の設定変更が可能な期間が開始する。その後、時刻T32から権限付与時間△TP3だけ経過した時刻T33になると、ユーザP3による空気調和機2の設定変更が可能な期間が終了する。
以上説明したように、本実施の形態に係る空気調和機管理装置によれば、個人認証装置4により認証されたユーザ全てが権限期間内であれば空気調和機2の設定を変更することができる。これにより、認証されたユーザが、権限期間内の途中で空気調和機2の設定変更ができなくなることを防止できる。
[変形例]
以上、本発明の実施の形態について説明したが、本発明は上記実施の形態によって限定されるものではない。例えば、空調機2、リモコン3および個人認証装置4は、それぞれ1台に限定されるものではなく、複数台存在してもよい。
実施の形態2では、認証されたユーザが、権限期間内において、そのユーザに付与された操作レベルの範囲内で設定変更が可能である例について説明した。但し、権限期間内におけるユーザによる空気調和機2の設定変更は、必ずしもユーザに付与された操作レベルの範囲内に限定されるものではない。例えば、認証されたユーザは、権限期間内であれば、操作レベルに関わらず自由に空気調和機2の設定を変更できる構成であってもよい。
本変形例に係る空気調和機管理処理では、図20に示すように、設定情報管理部115が、判定部114により権限期間内であると判定されると(ステップS203:Yes)、ユーザの操作レベルに関わらず、ステップS205以降の処理が実行される。つまり、設定情報管理部115は、判定部114により権限期間内であると判定されると、ユーザの操作レベルに関わらず設定情報を空気調和機2へ送信する。
本構成によれば、個人認証装置4により認証されたユーザは、権限期間内においてそのユーザに付与された操作レベルに関わらず空気調和機2の設定を自由に変更できる。例えば建物に訪問してきた顧客や外出先から帰ってきたユーザ等に対して個人認証装置4により認証した直後、権限期間内においてその認証されたユーザは、付与されている操作レベルに関わらず空気調和機2の設定を自由に変更できる。これにより、認証されたユーザは、権限期間内において付与された操作レベルの範囲を超えて自由に空気調和機2の設定を変更することができるので、ユーザの快適性向上を図ることができる。
実施の形態1から4では、リモコン3から空気調和機2で中継されて空気調和機管理装置1へ送信される設定変更要求が設定情報を含み、空気調和機管理装置1において判定部114が設定変更対象を特定する処理を実行する例について説明した。但し、設定変更対象を特定する処理は、空気調和機管理装置1において実行されるものに限定されない。例えば、空気調和機2が、リモコン3から取得した設定変更要求に含まれる設定情報から設定変更対象を特定する処理を実行する構成であってもよい。
本変形例に係る空気調和機管理システムでは、図21に示すように、ユーザが空気調和機2の設定を変更するためにリモコン3を操作すると、設定変更要求情報が、リモコン3から空気調和機2へ送信される(ステップS501)。次に、空気調和機2は、設定変更要求による変更対象を特定する(ステップS502)。具体的には、空調制御部211が、設定情報記憶部2131が記憶する設定情報と、設定変更要求から抽出した設定情報とを比較して設定変更対象を特定する。そして、空調制御部211は、特定した設定変更対象を示す情報を含む変更対象情報を生成する。
続いて、空気調和機2で生成された変更対象情報が、空気調和機2から空気調和機管理装置1へ送信される(ステップS503)。そして、空気調和機管理装置1は、受信した設定変更要求情報に含まれるユーザ識別情報に基づいて、このユーザ識別情報に対応するユーザの操作可否を判定する(ステップS504)。
このとき、ユーザの操作が可能であると判定された場合、空気調和機2に設定変更を許可する旨の変更許可通知が、空気調和機管理装置1から空気調和機2へ送信される(ステップS505)。空気調和機2は、変更許可通知を受信すると、設定情報記憶部2131が記憶する設定情報を、リモコン3から取得した設定変更要求に含まれる設定情報に変更する(ステップS506)。
その後、設定情報送信時期が到来すると、空気調和機2の設定情報が、空気調和機2から空気調和機管理装置1へ送信される(ステップS507)。このとき、空気調和機管理装置1では、空調機情報取得部111が、空気調和機2から受信した設定情報を空調機情報記憶部131に記憶させる(ステップS508)。そして、設定情報管理部115が、ユーザ設定情報記憶部134が記憶する設定情報を、空調機情報記憶部131が記憶する設定情報に更新する(ステップS509)。
本構成によれば、空気調和機管理装置1において設定変更要求による変更対象を特定する処理を実行する必要がないので、空気調和機管理装置1の処理負担を軽減することができる。
前述の各実施の形態並びに各変形例では、個人認証装置4がカードリーダ等から構成される例について説明したが、個人認証装置4の構成はこれに限定されるものではない。例えば、ユーザがそれぞれダグ装置を所持する場合、個人認証装置4が、タグ装置を認証するタグ認証装置等から構成されるものであってもよい。
前述の各実施の形態並びに各変形例では、個人認証装置4が、建物の入口付近等に設置されるものとして説明したが、個人認証装置4を設ける場所はこれに限定されない。例えば、個人認証装置4とリモコン3とが一体に設けられるものであってもよい。
前述の各実施の形態並びに各変形例では、空気調和機2の動作を管理する空気調和機管理装置1の例について説明したが、管理対象となる機器の種類は空気調和機に限定されるものではない。例えば、照明装置等の機器を管理対象とするものであってもよい。
空気調和機管理装置1における空調機情報取得部111、表示処理部112、ユーザ権限設定部113、判定部114、設定情報管理部115、設定情報抽出部116、計時部117の各機能は、処理回路により実現される。即ち、空気調和機管理装置1は、個人認証装置4により認証されたユーザから、空気調和機2の設定変更要求を取得すると、ユーザ権限情報記憶部134から設定変更要求に対応するユーザのユーザ権限情報を取得し、取得したユーザ権限情報に含まれる権限期間に基づいて、空気調和機1の設定変更の可否を判定し、判定結果に応じて、空気調和機2へ設定情報を送信することにより空気調和機2の設定を変更するための処理装置を備える。処理回路は、専用のハードウェアであっても、メモリに格納されるプログラムを実行するCPU(中央処理装置、処理装置、演算装置、マイクロプロセッサ、マイクロコンピュータ、プロセッサ、DSPともいう)であってもよい。
処理回路が専用のハードウェアである場合、処理回路は、例えば、単一回路、複合回路、プログラム化したプロセッサ、並列プログラム化したプロセッサ、ASIC、FPGA、またはこれらを組み合わせたものが該当する。空調機情報取得部111、表示処理部112、ユーザ権限設定部113、判定部114、設定情報管理部115、設定情報抽出部116、計時部117の各部の機能それぞれを処理回路で実現してもよいし、各部の機能をまとめて処理回路で実現してもよい。
処理回路がCPUの場合、空調機情報取得部111、表示処理部112、ユーザ権限設定部113、判定部114、設定情報管理部115、設定情報抽出部116、計時部117の機能は、ソフトウェア、ファームウェア、またはソフトウェアとファームウェアとの組み合わせにより実現される。ソフトウェアやファームウェアはプログラムとして記述され、メモリに格納される。処理回路は、メモリに記憶されたプログラムを読み出して実行することにより、各部の機能を実現する。即ち、空気調和機管理装置1は、処理回路により実行されるときに、個人認証装置4により認証されたユーザによる空気調和機2の設定変更要求を取得すると、設定変更要求に対応するユーザのユーザ権限情報を取得し、取得したユーザ権限情報に含まれる権限期間に基づいて、空気調和機2の設定変更の可否を判定するステップ、判定結果に応じて、空気調和機2へ設定情報を送信することにより空気調和機2の設定を変更するステップが結果的に実行されることになるプログラムを格納するためのメモリを備える。また、これらのプログラムは、空調機情報取得部111、表示処理部112、ユーザ権限設定部113、判定部114、設定情報管理部115、設定情報抽出部116、計時部117の手順や方法をコンピュータに実行させるものであるともいえる。ここで、メモリとは、例えば、RAM、ROM、フラッシュメモリー、EPROM、EEPROM等の、不揮発性または揮発性の半導体メモリや、磁気ディスク、フレキシブルディスク、光ディスク、コンパクトディスク、ミニディスク、DVD等が該当する。
なお、空調機情報取得部111、表示処理部112、ユーザ権限設定部113、判定部114、設定情報管理部115、設定情報抽出部116、計時部117の各機能について、一部を専用のハードウェアで実現し、一部をソフトウェアまたはファームウェアで実現するようにしてもよい。例えば、抽出部については専用のハードウェアとしての処理回路でその機能を実現し、 比較部、高域強調部、平滑化部および選択部については処理回路がメモリに格納されたプログラムを読み出して実行することによってその機能を実現することが可能である。
このように、処理回路は、ハードウェア、ソフトウェア、ファームウェア、またはこれらの組み合わせによって、上述の各機能を実現することができる。
本発明は、本発明の広義の精神と範囲を逸脱することなく、様々な実施の形態および変形が可能とされるものである。また、上述した実施の形態は、この発明を説明するためのものであり、本発明の範囲を限定するものではない。即ち、本発明の範囲は、実施の形態ではなく、請求の範囲によって示される。そして、請求の範囲内およびそれと同等の発明の意義の範囲内で施される様々な変形が、この発明の範囲内とみなされる。