JP6501555B2 - 透明導電膜で形成された配線を含む基材の一時的な保護に使用される組成物、塗膜および一時的な保護方法 - Google Patents
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Description
その一例として、図1および図2の静電容量型のタッチパネルを図示する。図1は、静電容量型のタッチパネル単体の電極配置の概略構成を示す平面図であり、図2は、図1に示すI−I線の拡大断面図である。図1、図2では加飾部は端にあるため省略されている。
図2のような静電容量型のタッチパネル1は、前述したオーバーコート層3の上に、複数のジャンパー9と、絶縁膜7と、複数の第1の透明電極4と、複数の第2の透明電極5とを備えている。ジャンパー9、絶縁膜7、透明電極(第1の透明電極4は孤立して形成され、第2の透明電極5はくびれた接続部6を介してY方向に接続して形成されている。)は、オーバーコート層3上にこの順序で形成される。
一般に、前記樹脂製膜には、ポリビニルアルコール(以下、「PVA」と記す。)膜が使用されている。
前記のPVA膜を形成するには、次の工程を経る必要がある。
即ち、(1)PVAを熱水に溶解し、PVA水溶液を製造する工程、(2)前記PVA水溶液をタッチセンサー一体型ガラスの透明電極上に塗布する工程、(3)塗布したPVA水溶液の水分を蒸発させ、PVA膜をタッチセンサー一体型ガラスの透明電極上に形成する工程。
上記の工程(3)では、蒸発潜熱の大きな水を蒸発させなければならない。
さらに、使用直前に、PVA膜付タッチセンサー一体型ガラスのPVA膜面に高価な熱水噴霧装置を使用して熱水を噴霧するか、あるいは熱水槽にPVA膜付タッチセンサー一体型ガラスをディップすることによってPVA膜を除去し、さらに、水分を蒸発する工程が必要になり、結果として、PVA膜の除去に長時間を要することになってしまい、さらに、蒸発潜熱の大きな水を乾燥により除去しなければならず、改善が求められていた。
特許文献2の技術を透明電極膜で形成された配線を含む基材の一時的な保護膜に応用することも考えられる。
しかし、これらの組成物は、ポリ塩化ビニルを含む多量の塗膜の廃棄物になってしまい、該廃棄物はハロゲン含むため焼却処理されづらく、かつ燃焼によるダイオキシンの発生も懸念されるため、環境面に配慮されたハロゲンフリータイプの剥離性樹脂組成物が強く望まれていた。
スチレン系熱可塑性エラストマー、
可塑剤、および
溶剤
を含むことを特徴とする。
本発明(II)は、本発明(I)の組成物の溶剤を蒸発させることによって得られる塗膜である。
本発明(III)は、透明導電膜で形成された配線を含む基材の一時的な保護方法であって、該方法が、
(工程1)本発明(I)の組成物を、透明導電膜で形成された配線を含む基材に塗布する工程、
(工程2)工程1で塗布された組成物から溶剤を蒸発させることにより、透明導電膜で形成された配線を含む基材上に塗膜を形成する工程、および
(工程3)工程2で形成された塗膜を、液体を使用することなく、該塗膜の端部から引きはがすことによって、透明導電膜で形成された配線を含む基材上から剥離する工程
を有することを特徴とする。
[1] 透明導電膜で形成された配線を含む基材の一時的な保護に使用される組成物であって、該組成物が、
スチレン系熱可塑性エラストマー、
可塑剤、および
溶剤
を含むことを特徴とする組成物。
[2] 前記スチレン系熱可塑性エラストマーが、スチレン−エチレン/ブチレンブロック共重合エラストマーおよびスチレン−エチレン/プロピレンブロック共重合エラストマーからなる群から選ばれる少なくとも1種であることを特徴とする[1]に記載の組成物。
[3] 前記スチレン系熱可塑性エラストマー中に含まれるスチレン由来の構造単位の含量が、スチレン系熱可塑性エラストマーの総量に対して50質量%以上75質量%以下であることを特徴とする[1]または[2]に記載の方法。
[4] 前記可塑剤が、ベンゼントリカルボン酸トリアルキルエステルであることを特徴とする[1]〜[3]のいずれかに記載の組成物。
[5] 前記溶剤が、1気圧で150℃以上190℃未満の沸点を有する炭化水素系溶剤を、溶剤の総量に対して50質量%以上含むことを特徴とする[1]〜[4]のいずれかに記載の組成物。
[6] 前記組成物中のスチレン系熱可塑性エラストマー、可塑剤および溶剤を合せた総量に対して、スチレン系熱可塑性エラストマーの総量が7.9〜50.0質量%であり、溶剤の総量が49.9〜90.0質量%であり、可塑剤の総量が0.1〜10.0質量%であることを特徴とする[1]〜[5]のいずれかに記載の組成物。
[7] 前記組成物の25℃での粘度が0.5Pa・s以下であることを特徴とする[1]〜[6]のいずれかに記載の組成物。
[8] [1]〜[7]のいずれかに記載の組成物の溶剤を蒸発させることによって得られる塗膜。
[9] 透明導電膜で形成された配線を含む基材の一時的な保護方法であって、該方法が、
(工程1)[1]〜[7]のいずれかに記載の組成物を、透明導電膜で形成された配線を含む基材に塗布する工程、
(工程2)工程1で塗布された組成物から溶剤を蒸発させることにより、透明導電膜で形成された配線を含む基材上に塗膜を形成する工程、および
(工程3)工程2で形成された塗膜を、液体を使用することなく、該塗膜の端部から引きはがすことによって、透明導電膜で形成された配線を含む基材上から剥離する工程
を有することを特徴とする方法。
まず、本発明(I)の組成物について説明する。
本発明(I)の組成物は、透明導電膜で形成された配線を含む基材の一時的な保護に使用される組成物であって、該組成物が、
スチレン系熱可塑性エラストマー、
可塑剤、および
溶剤
を含むことを特徴とする。
上記の透明導電膜としては、錫ドープ酸化インジウム(以下、「ITO」と記す。)、アルミドープ酸化亜鉛(以下、「AZO」と記す。)、ガリウムドープ酸化亜鉛(以下、「GZO」と記す。)あるいは導電性高分子等を用いることができる。これらの中で、化学的な安定性を考慮すると、ITOが最も好ましい。
スチレン系熱可塑性エラストマーとは、分子構造中にスチレンに由来する構造単位を有する熱可塑性エラストマーを意味する。
スチレン系熱可塑性エラストマーとしては、例えば、スチレン−ブタジエンブロック共重合エラストマー、スチレン−イソプレンブロック共重合エラストマー、スチレン−エチレン/ブチレンブロック共重合エラストマー、スチレン−エチレン/プロピレンブロック共重合エラストマーを挙げることができる。このようなスチレン系熱可塑性エラストマーの市販品としては、D1101、D1102、D1118、D1155、DKX405、DKX410、DKX415、D1192、D1161、D1171、G1652、G1730、A1535H、A1536、MD1537(以上、クレイトンポリマー社製)、タフプレン(商標)A、タフプレン(商標)125、タフプレン(商標)126S、タフテック(商標)H1141、タフテック(商標)H1041、タフテック(商標)H1043、タフテック(商標)H1052、(以上、旭化成ケミカルズ株式会社製)、セプトン(商標)2002、セプトン(商標)2004、セプトン(商標)2005、セプトン(商標)2007、セプトン(商標)2104、セプトン(商標)8007、セプトン(商標)8076、セプトン(商標)8104(以上、株式会社クラレ製)などが挙げられる。これらは1種または2種以上を組み合わせて用いることができる。
これらの中では、炭素−炭素不飽和結合を還元水素化したものが好ましく、具体的には、スチレン−エチレン/ブチレンブロック共重合エラストマーおよびスチレン−エチレン/プロピレンブロック共重合エラストマーを挙げることができる。
上記の物性のバランスを考慮すると、スチレン系熱可塑性エラストマー中に含まれるスチレン由来の構造単位の含量が、スチレン系熱可塑性エラストマーの総量に対して50質量%以上75質量%以下であることが好ましく、より好ましくは55質量%以上70質量%以下であり、さらに好ましくは60質量%以上70質量%以下である。
本明細書に記載に「可塑剤」とは、スチレン系熱可塑性エラストマーに添加して、柔軟性を付与したり、加工をしやすくするための物質のことを意味し、この特性を有するものであれば、特に制限はない。
本発明における可塑剤の使用目的は、後述の本発明(II)の塗膜に柔軟性を付与し、かつ該塗膜を剥離する際に剥離しやすくするためである。
ブリード抑制効果等を考慮すると、スチレン系熱可塑性エラストマーと相溶性の良い芳香環を有する可塑剤が好ましく、具体的には、フタル酸エステル類やベンゼントリカルボン酸エステル類が好ましく、揮発性を考慮すると、より好ましいものは、ベンゼントリカルボン酸トリアルキルエステルであり、最も好ましくは、アルキル基の炭素数が4〜12であるベンゼントリカルボン酸トリアルキルエステルであり、その具体例としては、トリメリット酸トリブチルおよびトリメリット酸トリス(2−エチルヘキシル)が挙げられる。
なお、上述のこれらの可塑剤は、単独でまたは二種以上を組み合わせて用いることができる。
本明細書に記載に「溶剤」とは、スチレン系熱可塑性エラストマーや可塑剤を溶解できる揮発性を有する液体である。
溶剤としては、例えば、酢酸アミル、酢酸ブチル等の酢酸エステル溶剤;トルエン、キシレン、クメン、エチルベンゼン、トリメチルベンゼン、イソプロピルベンゼン、メチルエチルベンゼン、テトラヒドロナフタレン、石油ナフサ等の芳香環を有する炭化水素溶剤;シクロヘキサン、メチルシクロヘキサン、エチルシクロヘキサン、デカヒドロナフタレン等の脂環構造を有する炭化水素溶剤を挙げることができる。これらの溶剤の中で、好ましいものは、1気圧で150℃以上190℃未満の沸点を有する炭化水素系溶剤を、溶剤の総量に対して50質量%以上含むものであり、より好ましくは70質量%以上含むものである。1気圧で150℃以上190℃未満の沸点を有する炭化水素系溶剤としては、炭素数10の脂環構造を有する炭化水素溶剤であるデカヒドロナフタレンや、トリメチルベンゼン、イソプロピルベンゼン、メチルエチルベンゼン、石油ナフサ等の、炭素数9の芳香族炭化水素を主成分とする溶剤である、昭和電工株式会社製のソルファイン(商標)TMあるいは出光興産株式会社製のイプゾール100等をあげることができる。スチレン系熱可塑性エラストマーを溶解した際に低粘度にすることが好ましく、このことを考慮すると、これらの中で、炭素数9の芳香族炭化水素を50質量%以上含むものが好ましい。
スチレン系熱可塑性エラストマー、可塑剤および溶剤を合せた総量に対して、スチレン系熱可塑性エラストマーの総量が7.9〜50.0質量%であり、可塑剤の総量が0.1〜10.0質量%であり、溶剤の総量が49.9〜90.0質量%であることが好ましい。さらに好ましくは、スチレン系熱可塑性エラストマー、可塑剤および溶剤を合せた総量に対して、スチレン系熱可塑性エラストマーの総量が19.9〜40.0質量%であり、可塑剤の総量が0.1〜10.0質量%であり、溶剤の総量が50.0〜80.0質量%である。
上記範囲の組成比であると、組成物を比較的に低粘度にすることができ、その結果、ダイコーターやコンマコーター等の塗布装置を容易に使用できる。また、前記可塑剤の使用比であれば、後述の塗膜の、ガラス、透明電極膜および加飾印刷塗膜のオーバーコート材等の被着物への密着性とそれら被着物からの剥離性、塗膜の柔軟性、および塗膜の引張時の破断強度のバランスを取ることができる。
なお、本明細書に記載の粘度は、ブルックフィールド社製のDV−II+Pro viscometer 少量サンプルアダプター(スピンドルの型番:SC4−31)を用いて、25℃、回転数20rpmで測定した値である。
酸化防止剤としては、本発明の組成物の熱劣化や変色を防止する作用のある化合物であれば特に制限は無く、例えば、フェノール系酸化防止剤等を使用することができる。
フェノール系酸化防止剤としては、例えば、下記式(1)〜式(11)のような化合物を挙げることができる。
本塗膜の説明は、前述のように、液体を使用することなく、該塗膜の端部から引きはがすことによって、透明導電膜で形成された配線を含む基材上から剥離できるものであれば、塗膜の厚みには、特に制限はないが、5μm〜1mmであることが好ましく、より好ましくは10μm〜800umであり、さらに好ましくは15〜500μmである。5μm〜1mmの膜厚であると、物理的に透明導電膜で形成された配線を含む基材を保護することができ、かつ防湿性能を維持することが可能で、かつ組成物中の溶剤を揮発(蒸発)させて塗膜を得る際の溶剤の揮発に長時間を要することなく、生産性の向上面でも好ましい。
なお、密着力は、ガラス表面上あるいは透明電極膜付きガラスの透明電極膜表面上に乾燥後の厚みが50μmになるよう塗布し、室温で10分間保持した後に、120℃で10分乾燥した後、室温で12時間放置し、塗膜を作成した。これらの塗膜について、評価試験用の硬化膜の一端のみを剥離して、幅2.5mmの密着力測定用試験片を作成した。密着力は、ガラスあるいは透明電極膜付きガラスと、剥離したフィルムが90度の角度を成すように引張り試験機(株式会社島津製作所製、EZ Test/CE)に固定し、23℃において50mm/minの速度で90度で剥離する方法で測定する。
以下に、本発明(III)について説明する。
本発明(III)は、透明導電膜で形成された配線を含む基材の一時的な保護方法であって、該方法が、
(工程1)本発明(I)の組成物を、透明導電膜で形成された配線を含む基材に塗布する工程、
(工程2)工程1で塗布された組成物から溶剤を蒸発させることにより、透明導電膜で形成された配線を含む基材上に塗膜を形成する工程、および
(工程3)工程2で形成された塗膜を、液体を使用することなく、該塗膜の端部から引きはがすことによって、透明導電膜で形成された配線を含む基材上から剥離する工程
を有することを特徴とする方法である。
工程1は、本発明(I)の組成物を、透明導電膜で形成された配線を含む基材に塗布する工程である。組成物は、透明導電膜で形成された配線を含む基材の、透明導電膜で形成された配線面に塗布する。
本発明(I)の組成物の透明電極膜への塗布方法は、特に制限はないが、スリットコート法、スピンコート法、ダイコート法、ディッピング法、ブレードコート法、またはスプレー法等の簡便な方法を挙げることができる。これらの方法を用いると、一括形成することができかつ好ましい。
これらの方法の中で、特に好ましい方法は、ダイコート法またはスリットコート法である。これらの方法は、均一に大面積の基材に、塗液を塗布するのに適している。
なお、ダイコート法とは、バックアップロール、スロットダイ、タンク、ポンプで構成されるダイコーターを用いて、塗液を加圧しスロットダイのマニホールドを通して供給し基材に直接塗工する方法である。塗工液が空気と触れる事なく塗工出来るというメリットを有する。また、スリットコート法とは、塗工液を、線状に隙間が空いた金属製の口金から一定の速度で流し出すことで、ガラス等の基材上に均一に塗布する装置(スリットコーター)を用いて、塗工する方法である。
工程2は、工程1で塗布された組成物から溶剤を蒸発させることにより、透明導電膜で形成された配線を含む基材上に塗膜を形成する工程である。
溶剤を蒸発させる温度は、溶剤の沸点以下であれば、特に制限はないが、1気圧で150℃以上190℃未満の沸点の炭化水素系溶剤が好ましく使用されるので、1気圧で70℃以上150℃未満であることが好ましく、より好ましくは1気圧で80℃以上150℃未満であり、さらに好ましくは1気圧で85℃以上150℃未満である。溶剤を蒸発させる温度が、1気圧で70℃以上150℃未満の場合には、表面のべたつきがなくなるまで多くの時間を要することなくかつ使用している溶剤の揮発による安全上の問題や、塗膜に多量の気泡が生じることが少ない。
なお、透明導電膜で形成された配線は、工程1で説明した通りである。
工程3は、工程2で形成された塗膜を、液体を使用することなく、該塗膜の端部から引きはがすことによって、透明導電膜で形成された配線を含む基材上から剥離する工程である。
具体的には、工程2で形成された、基材の表面(透明導電膜で形成された配線面)に密着している塗膜の端部を、必要に応じて、薄いヘラ等を用いて剥離し、剥離部分を掴み、塗膜を引っ張ることにより、容易に、基材の表面(透明導電膜で形成された配線面)に密着している塗膜全体を、透明導電膜で形成された配線を含む基材から剥離することができる。この塗膜の剥離は、水や溶剤を使用する必要がないので、非常に簡便に塗膜を前記基材から剥離することができる。
粘度は以下の方法により測定した。
試料10mLを使用して、粘度計(Brookfield社製、型式:DV−II+Pro)を用いて、少量サンプルアダプターおよび型番C4−31のスピンドルを使用し、温度25.0℃の条件で粘度がほぼ一定になったときの値を測定した。
なお、粘度0.4〜1.0Pa・sの組成物は、回転速度20rpmで測定した値であり、0.1〜0.4Pa・sの組成物は、回転速度50rpmで測定した値である。
スチレン系熱可塑性エラストマーとして、クレイトンポリマー社製スチレン−エチレン/ブチレンブロック共重合エラストマー「MD1537」(スチレン由来のユニットの濃度60質量%)4.3gおよびJSR株式会社製スチレン−エチレン/ブチレンブロック共重合エラストマー「DYNARON(商標)9901P」(スチレン由来のユニットの濃度53質量%)16.4g、可塑剤として、トリメリット酸トリス(2−エチルヘキシル)(株式会社ジェイ・プラス製)4.3g、溶剤として、昭和電工株式会社製石油ナフサ系溶剤「ソルファイン(商標)TM」(1,2,4−トリメチルベンゼン34〜42質量%、1,3,5−トリメチルベンゼン7〜9質量%、イソプロピルベンゼン1〜2.5質量%を含む。沸騰温度範囲155〜180℃)75.0gを混合し、配合物D1とした。
配合物D1の25℃での粘度は、0.50Pa・sであった。
スチレン系熱可塑性エラストマーとして、クレイトンポリマー社製スチレン−エチレン/ブチレンブロック共重合エラストマー「MD1537」(スチレン由来のユニットの濃度60質量%)4.3g、株式会社クラレ製スチレン−エチレン/プロピレンブロック共重合エラストマー「セプトン(商標)2104」(スチレン由来のユニット濃度65質量%)16.4g、可塑剤として、トリメリット酸トリブチル(東京化成工業株式会社製)4.3g、溶剤として、昭和電工株式会社製石油ナフサ系溶剤「ソルファイン(商標)TM」(1,2,4−トリメチルベンゼン34〜42質量%、1,3,5−トリメチルベンゼン7〜9質量%、イソプロピルベンゼン1〜2.5質量%を含む。沸騰温度範囲155〜180℃)75.0gを混合し、配合物D2とした。
配合物D2の25℃での粘度は、0.40Pa・sであった。
スチレン系熱可塑性エラストマーとして、クレイトンポリマー社製スチレン−エチレン/ブチレンブロック共重合エラストマー「MD1537」(スチレン由来のユニットの濃度60質量%)4.3g、株式会社クラレ製スチレン−エチレン/プロピレンブロック共重合エラストマー「セプトン(商標)2104」(スチレン由来のユニット濃度65質量%)16.4g、可塑剤として、トリメリット酸トリス(2−エチルヘキシル)(株式会社ジェイ・プラス製)4.3g、溶剤として、昭和電工株式会社製石油ナフサ系溶剤「ソルファイン(商標)TM」(1,2,4−トリメチルベンゼン34〜42質量%、1,3,5−トリメチルベンゼン7〜9質量%、イソプロピルベンゼン1〜2.5質量%を含む。沸騰温度範囲155〜180℃)100.0gを混合し、配合物D3とした。
配合物D3の25℃での粘度は、0.11Pa・sであった。
部分けん化ポリビニルアルコール(株式会社クラレ製「クラレポバールPVA−205」)24gを、熱水76gに溶解し、配合物E1とした。
配合物E1の25℃での粘度は2.0Pa・sであった。
スチレン系熱可塑性エラストマーとして、株式会社クラレ製スチレン−エチレン/プロピレンブロック共重合エラストマー「セプトン(商標)2002」(スチレン由来のユニット濃度30質量%)20.0g、粘着付与剤として、日本ゼオン株式会社製「クイントン(商標)D100」3.2gおよび出光興産株式会社製「アイマーブ(商標)S−110」3.2g、溶剤として、エクソンモービル社製脱芳香族化炭化水素系溶剤「エクソールD80」73.6gを混合し、配合物E2とした。
配合物D6の25℃での粘度は、0.70Pa・sであった。
全モノマー100質量部に対し、グリシジルメタクリレート37.5質量部、スチレン37.5質量部、テトラヒドロ−2H−ピラン−2−イルメタクリレート7.5質量部、3−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン17.5質量部を溶剤のプロピレングリコールメチルエーテルアセテート400質量部に投入し、窒素雰囲気下でメカニカルスターラーを用いて30分間混合した。窒素雰囲気下で反応器の温度を70℃に高め、混合物の温度が70℃になった時、熱重合開始剤の2,2′−アゾビスイソブチロニトリル9質量部を入れ6時間撹拌して、重量平均分子量(Mw)が7000であるバインダー樹脂を得た。
このバインダー樹脂6質量部(組成物の固形分100質量部基準)、ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート75質量部、ジペンタエリスリトールペンタアクリレートコハク酸モノエステル10質量部、トリメリット酸無水物0.95質量部、エポキシ基化合物(日本化薬株式会社製「CER−3000−L」)8.0質量部およびフッ素系界面活性剤(オムノヴァ社製「ポリフォックス PF−6520」)0.05質量部をプロピレングリコールメチルエテールアセテートとジエチレングリコールジエチルエテールの60:40の混合溶剤に投入して撹拌した。
上記のような過程を経た全固形分の含有量が20質量%である混合物を、直径0.2μmのフィルタでろ過して熱硬化性組成物(以下、「オーバーコート用熱硬化性組成物A」と記す。)を得た。
上記の組成により調製した配合物D1〜D3、E1およびE2の特性を、以下に示す方法により評価した。結果を表1に示す。
乾燥性の評価は以下の方法により評価した。
配合物D1〜D3、E1およびE2を、それぞれ、ガラス上に乾燥後の厚みが約50μmになるように、バーコーターを用いて塗布し、塗布した後、室温で5分放置後、乾燥機を用いて、120℃で、5分間乾燥した。
その後、乾燥機から取り出し、べたつきの有無、すなわちタックの有無を確認した。
ITO膜からの剥離性を以下の方法により評価した。
配合物D1〜D3、E1およびE2を、それぞれ、ITO膜を蒸着した10cm×10cmの正方形のガラスのITO膜表面上に乾燥後の厚みが50μmになるよう塗布し、室温で5分間保持した後に、120℃で5分間乾燥した後、室温で12時間放置し、ITO膜上に塗膜を作成した。これらの塗膜について、評価試験用の硬化膜の4隅の一端にポリイミドテープを貼りつけ、ポリイミドテープを引っ張ることによって剥離し、以下に記載の基準によって評価した。
A :塗膜が伸びることなく、塗膜の残渣が残ることなく、さらに、切れたり、ちぎれたりあるいは割れたりすることなく、容易に剥離可能であった。
B :塗膜が伸び、剥離するために力を要するが、塗膜の残渣が残ることなく、さらに、切れたり、ちぎれたりあるいは割れたりすることなく剥離可能であった。
C :剥離の際に塗膜が、切れたり、ちぎれたりすることがあった。
D:剥離することが全くできなかった。
ITO膜を蒸着した10cm×10cmの正方形のガラスの代わりに、10cm×10cmの正方形のガラスを使用した以外は、ITO膜からの剥離性の評価と同様に方法で評価した。
前記オーバーコート用熱硬化性組成物Aを、10cm×10cmの正方形に切り出したガラス基板の上に塗布した後、プリベークで90℃のホットプレート上で2分間乾燥した後、続いて220℃のクリーンなオーブンで30分程度ポストベークを行って3.0μm厚のオーバーコート膜付ガラスを製造した。
配合物D1〜D3、E1およびE2を、それぞれ、上記オーバーコート膜付ガラスのオーバーコート膜表面上に、乾燥後の厚みが50μmになるよう塗布し、室温で5分間保持した後に、120℃で5分間乾燥した後、室温で12時間放置し、ITO膜上に塗膜を作成した。これらの塗膜について、評価試験用の硬化膜の4隅の一端にポリイミドテープを貼りつけ、ポリイミドテープを引っ張ることによって剥離し、以下に記載の基準によって評価した。
A :塗膜が伸びることなく、塗膜の残渣が残ることなく、さらに、切れたり、ちぎれたりあるいは割れたりすることなく、容易に剥離可能であった。
B :塗膜が伸び、剥離するために力を要するが、塗膜の残渣が残ることなく、さらに、切れたり、ちぎれたりあるいは割れたりすることなく剥離可能であった。
C :剥離の際に塗膜が、切れたり、ちぎれたりすることがあった。
D:剥離することが全くできなかった。
配合物D1〜D3、E1およびE2を、それぞれテフロン(登録商標)板上に乾燥後の厚みが約130μmになるように、バーコーターを用いて、重ね塗りすることにより自立膜を作成した。
透湿カップ治具(テスター産業株式会社製)を使用して、これらの自立膜の透湿度を、JIS Z 0208に準拠して測定した。その結果を表1に記す。
なお、透湿度の試験条件は、温度40℃、湿度90%RH、24時間とした。
また、本発明の組成物は、塩化ビニル樹脂等のハロゲン含有樹脂を使用していないので、環境面においても配慮されている。
また、本発明の透明導電膜で形成された配線を含む基材の一時的な保護方法は、従来のPVA水溶液を用いた、透明導電膜で形成された配線を含む基材の一時的な保護方法で必要とする、PVA膜の製造過程で水を蒸発させる工程や、PVA膜を除去するときの必要工程である熱水噴霧や熱水へのディッピングによるPVA膜の溶解除去工程を含まない、エネルギー的ロスや時間的ロスを解消することができる有用な工程である。
2 ガラス基板(カバーガラス)
3 オーバーコート層
4 第1の透明電極
5 第2の透明電極
6 接続部
7 (透明)絶縁膜
8 スルーホール
9 ジャンパー
Claims (6)
- 透明導電膜で形成された配線を含む基材において、錫ドープ酸化インジウム(ITO)膜、ガラスおよび熱硬化性オーバーコート膜から選ばれる少なくとも1つの一時的な保護に使用される組成物であって、該組成物が、
スチレン系熱可塑性エラストマー、
可塑剤、および
溶剤
を含み、
前記スチレン系熱可塑性エラストマーが、スチレン−エチレン/ブチレンブロック共重合エラストマーおよびスチレン−エチレン/プロピレンブロック共重合エラストマーからなる群から選ばれる少なくとも1種であり、
前記可塑剤が、ベンゼントリカルボン酸トリアルキルエステルであり、
前記溶剤が、1気圧で150℃以上190℃未満の沸点を有する炭化水素系溶剤を、溶剤の総量に対して50質量%以上含む
ことを特徴とする組成物。 - 前記スチレン系熱可塑性エラストマー中に含まれるスチレン由来の構造単位の含量が、スチレン系熱可塑性エラストマーの総量に対して50質量%以上75質量%以下であることを特徴とする請求項1に記載の組成物。
- 前記組成物中のスチレン系熱可塑性エラストマー、可塑剤および溶剤を合せた総量に対して、スチレン系熱可塑性エラストマーの総量が7.9〜50.0質量%であり、可塑剤の総量が0.1〜10.0質量%であり、溶剤の総量が49.9〜90.0質量%であることを特徴とする請求項1または2に記載の組成物。
- 前記組成物の25℃での粘度が0.5Pa・s以下であることを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載の組成物。
- 請求項1〜4のいずれか1項に記載の組成物の溶剤を蒸発させることによって得られる塗膜。
- 透明導電膜で形成された配線を含む基材の一時的な保護方法であって、該方法が、
(工程1)請求項1〜4のいずれか1項に記載の組成物を、透明導電膜で形成された配線を含む基材のうち、錫ドープ酸化インジウム(ITO)膜、ガラスおよび熱硬化性オーバーコート膜から選ばれる少なくとも1つに塗布する工程、
(工程2)工程1で塗布された組成物から溶剤を蒸発させることにより、透明導電膜で形成された配線を含む基材上に塗膜を形成する工程、および
(工程3)工程2で形成された塗膜を、液体を使用することなく、該塗膜の端部から引きはがすことによって、透明導電膜で形成された配線を含む基材上から剥離する工程
を有することを特徴とする方法。
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