本発明に係る送風装置は、一方の極と該一方の極を含んで設けられる開口部と誘引空気を吸い込む誘引空気吸込口と、一方の極に対向する他方の極と空気を吸い込む空気吸込口とからなる略球体の本体と、本体の内部空間に備えられ、誘引空気吸込口と開口部とを壁面内部で連通させると共に吸込口と開口部とを壁面外部と本体の内面とで構成される送風路で連通させる第一風路部材と、本体の内部空間に備えられ、送風路に連通し高圧空気発生装置を配置するための配置用空間を第一風路部材との間で構成し、配置用空間と空気吸込口とを連通する第二風路部材とを備える。また、本体内の配置用空間には高圧空気発生装置を備える。そして、本体において、誘引空気吸込口の他方の極側には、高圧空気発生装置の運転を指示する操作部を設けている。これにより、略球体の本体を適宜回動させ、開口部からの風向きを変えた状態にしても、操作部が確認しやすく、操作性の低下を抑制できるものとなる。
つまり、誘引空気吸込口部分は、略球体の本体の外周面において球面の外周面部分が削除された状態となっているので、その他方の極側に操作部を設ければ、この外周面が存在していない結果として、風下側(前記開口部の延長線上側)の使用者側から、操作部の状態を確認しやすいものとなり、これにより操作性の低下が抑制できるのである。また、本
体において、誘引空気吸込口の他方の極側に、高圧空気発生装置の運転を指示する操作部を設ければ、この操作部に連結された例えば制御部は、操作部に対向する本体内部に設けられることとなるので、送風特性の劣化を抑制することが出来る。
すなわち、本体内部において、複数の誘引空気吸込口の間の部分は、高圧空気発生装置からの送風路が設けられる部分であるので、この部分に上記制御部等が存在しない構成とすることで、送風特性の劣化を抑制することが出来るのである。
また、操作部の他方の極側に高圧空気発生装置の運転状況を表示する表示部を備えた構成としてもよい。
これにより、操作部を操作するときには現在の運転状況を即座に把握でき、把握した運転状況に基づいた操作をすることができる。
また、誘引空気吸込口と操作部との間に、高圧空気発生装置が生成する高圧空気から分岐した高圧分岐空気の通り道となる分岐風路を備えた構成としても良い。
これにより、旋回成分が抑制された吹出風が開口部から吹出されるため、遠い距離にいる使用者も十分な清涼感を得ることができる。
(実施の形態1)
以下、添付図面を参照して、本発明の実施の形態につき説明し、本発明の理解に供す る。なお、以下の実施の形態は、本発明を具体化した一例であって、本発明の技術的範 囲を限定する性格のものではない。また、全図面を通して、同一の部位については同一 の番号を付している。さらに、各図面において、本発明に直接には関係しない各部の詳 細については説明を省略している。
以下、本発明の実施の形態1に係る送風装置について説明する。
図1は、本発明の実施の形態1に係る送風装置の外観図である。
図1に示すように送風装置1は、略球体形状をなしており、球体の中心を仮想的に貫通する中心軸2を軸中心としている。
中心軸2は球体の送風側極3(一方の極に該当)と、送風側極3に対向する吸込側極4(他方の極に該当)とでそれぞれ点接している。なお、ここでいう略球体形状とは、一見して球体をなしているという意味であり、後述する開口部などにより一部球体表面の凹凸などで真球にならない点を考慮した表現である。つまり、真球とならない場合であっても一見して球体を成している場合には略球体形状に含まれる。
また、送風装置1は、球体の両極(送風側極3、吸込側極4)と等距離の位置にて、中心軸2と垂直な切断面5で、略半球体状の第一フレーム6と、同じく略半球体状の第二フレーム7とに2等分されている。
第一フレーム6は、送風側極3を備え、中空形状を成しており、すなわち半球面構造を成す。また、第一フレーム6には、中心軸2に垂直な面で構成される円形の開口部9が送風側極3近傍に設けられている。なお、ここでいう近傍とは、厳密には送風側極3は球の周上にあるため、開口部9が属する平面上とは一致しないことによる表現である。従って、特に開口部9が送風側極3を含んでいるという表現としても差し支えない。さらに、第一フレーム6は、送風側極3を中心として中心軸2の周方向に等間隔に設けられた誘引空気吸込口8を複数個(本実施の形態1では6個)備えている。
誘引空気吸込口8は、同一径の円形を成しており、各円の中心は中心軸2を中心とした同一周上(中心軸2に垂直である同一断面上)に位置している。ただし、隣接する誘引空気吸込口8とは接触しておらず、すなわちそれぞれ独立することにより、内部空間に後述する複数の送風路を確保している。
開口部9は、その内部に誘引空気吸込口8と連通する誘引空気吹出口10を備えているが、詳細は後述する。
第二フレーム7は、吸込側極4を備え、中空形状を成しており、すなわち半球面構造を成す。また、第二フレーム7は、吸込側極4の周囲に後述する空気吸込口を備えている。
図2は、本発明の実施の形態1に係る送風装置の分解側面図である。
図2に示すように、送風装置1は、前述の第一フレーム6と第二フレーム7とで構成される略球体の本体の中空空間(内部)に、第一風路部材204、配置用空間216、第二風路部材212が第一フレーム6よりこの順で配置されており、この構成で送風装置用筐体を構成している。また、配置用空間216内に、高圧空気発生装置211を備えることで、送風装置として機能する。
第一風路部材204は、中心軸2に対して垂直の円形断面である誘引空気吹出口10を備えた上部部材202と、当該上部部材202との間で中空状の内部空間を形成する下部部材203とで形成されている。また、下部部材203の壁面外側には、吸込側極4に向けて中心軸2と平行に、複数の支持部213(本実施の形態1では6個)が突設されている。ここで突設とは、突き出した状態で設けられていることをいう。
第二風路部材212には、前記複数の支持部213に対応する複数の当接部214(支持部と同数、本実施の形態では6個)が備えられている。また、当接部214は、第二風路部材212の送風側極3に向けて中心軸2と平行に突設されている。前記支持部213の先端部と当接部214の先端部とが当接することで、第一風路部材204と第二風路部材212との間で配置用空間216が形成される。ここでいう当接とは、突き当たった状態で接触することをいう。さらに、第二風路部材212には、吸込側極4に向けて中心軸2と平行に、中心軸2を中心とした円筒状の係合部215が突設されている。
第二フレーム7には、吸込側極4を中心としてその近傍に、空気吸込口201が多数のパンチング孔として設けられている。外部の空気は、空気吸込口201を介して略球体状の本体内部に吸引されるが、その仕組みについての詳細は後述する。
高圧空気発生装置211は、モータ206、基盤カバー207、基盤208、モータカバー209、羽根210を備えて構成されている。また、高圧空気発生装置211は、前述の第一風路部材204に固定された、ゴムを素材とした弾性体からなる固定部205に固定することにより、前記配置用空間216内にて第一風路部材204の外壁側に固定される。
続いて、図3及び図4を用いて、送風装置1における空気の流れを説明する。図3は、図2にて示した第一フレーム6、第一風路部材204、高圧空気発生装置211、第二風路部材212、第二フレーム7をこの順で配置することにより構成された送風装置1を、中心軸2を含む平面で切断した際の断面図(一例)である。また、図4は、第一フレーム6及び第一風路部材204を、送風側極3側より見た上面図である。なお、各部材の構造及び取り付け手順詳細については別途後述する。
図3において、送風側極3と吸込側極4とから等距離にある球の中心301近傍にモータ206が配置されており、当該モータ206の回転軸を回転させることにより、このモータ206の回転軸に接続された羽根210が中心軸2を軸に回転する。なお、このモータ206の動力源は、本体外部から引き込まれた導線(図示しない)より供給される電気、又は内蔵する電池から得られる電気等が該当する。
羽根210が回転すると、空気吸込口201より本体外からの空気が吸引される(送風経路303を参照)。吸引された空気は、オリフィスとしての機能を備えた第二風路部材212の、空気吸込口201側の開口部(空気吸込口側開口部302)を経て、配置用空間216内の羽根210内部(中心部)に流入する。流入した空気は、羽根210の送風構造に基づいてその中心軸2から外周方向に向きを変えて排出され、すなわち送風路としても機能する配置用空間216の円周外側方向に押し出される。
前記押し出された空気は、その押圧により、第一風路部材204の外壁(壁面外部)と第一フレーム6の内壁とで構成される送風路304を通過して開口部9に導かれる。ここで開口部9は、図4に示されるように、送風側極3を中心とした円形を成しており、前記第一風路部材204に備えられた誘引空気吹出口10とその中心を同一に構成されている。また、誘引空気吹出口10を構成する平面と開口部9を構成する平面とは略同一平面を構成している。ここで略同一平面とは、開口部9を構成する平面が誘引空気吹出口10を構成する平面に比して球の中心301より例えば数ミリの誤差で、遠方にあり又は近接している状態を含むことを意味する。そして、開口部9の径は、誘引空気吹出口10の径よりも大きく設計されており、開口部9と誘引空気吹出口10の外壁との間の空間がすなわち前記送風路304に連通する円環状の空気吹出口401を構成している。結果として、空気吸込口201より吸引された空気は、羽根210の作用により、空気吹出口401から中心軸2と平行方向かつ中心301より遠ざかる方向に、環状の気流となって吹き出される。
空気吹出口401より吹き出された環状の気流は、誘引効果によってその環状の内部の空気、すなわち誘引空気吹出口10近傍の空気を同一方向に誘引する。この際、誘引空気吹出口10に連通する複数の誘引空気吸込口8から空気が誘引され(送風経路306を参照)、誘引空気混合部305にて混合されて誘引空気吹出口10に順次送り込まれる。
上述した、環状の気流と誘引空気とが開口部9付近で合成され、発散の少ないスポット風として、中心軸2方向より排出されるのである。
以上が本実施の形態1に係る送風装置1の構成及び動作の概略である。
続いて、図5を用いて、本実施の形態1に係る第一風路部材204の詳細構造について説明する。なお、図5は、本実施の形態1に係る第一風路部材の詳細説明図である。
第一風路部材204は、上部部材202と下部部材203とで構成され、この二部材の間に破線で示した誘引空気混合部305を備えていることは上述したとおりである。また、第一風路部材204は、中心軸2を中心にした円周上に中心を持つ、複数の誘引通路内壁部501(本実施の形態1では6個)を備えている。誘引空気混合部305は、円環内面で構成される誘引通路内壁部501を介して第一フレーム6に備えられた誘引空気吸込口8と連通している。さらに誘引空気混合部305は、誘引空気吹出口10とも連通している。
続いて、図6(a)(b)を用いて、本実施の形態1に係る第一フレーム6と第一風路部材204の詳細について説明し、併せて第一フレームと第一風路部材との係止手順についても説明する。なお、図6は、本実施の形態1に係る第一通路内壁部501を介して第一フレーム6と第一風路部材の詳細説明図である。
図6(a)上図は、前記第一フレーム6をその球体の中心方向から見た図である。図6(a)に示すように、第一フレーム6は、円環状の切断面(第一フレーム6側切断面605)の内周に中心軸2に向けて複数の第一突部601を備えている。第一突部601は、円周上に等間隔に配置された誘引空気吸込口8の中間位置に1つずつ、計6個が等間隔に配置されている。また、複数の第一突部601のうち、任意の1つにはネジ孔602が設けられている。
図6(b)は、図6(a)の第一フレーム6に対して、球の中心方向から第一風路部材204を図6(a)の破線矢印603に示した位置で対応させて押し込んだ際の図であり、第一フレームと第一風路部材との対応図である。このように配置することで、第一フレーム6の内面全体と、第一風路部材204の壁面外部(誘引空気混合部305及び誘引通路内壁部302を構成する壁の外側)との間に空間が形成され、当該空間が前記送風路304を形成する。なお、破線矢印603で示した位置に押し込むとは、それぞれの誘引空気吸込口8に対して対応する誘引通路内壁部302を、その円形状を一致させて配置することを意味する。そして、それぞれの誘引空気吸込口8と、円環形状を有する誘引通路内壁部302は、同一の径を有する円形を成しており、それぞれの円形端部が嵌合可能に肉薄に形成されている。なお、ここで嵌合とは、互いに形状が合った物をはめ合わせることをいう。
それぞれの誘引空気吸込口8に対して対応する誘引通路内壁部302を押し付けることで、肉薄面同士が密接に接合する。これにより、第一フレーム6と第一風路部材204との間で構成される送風路304と、誘引風路である第一風路部材204の内部空間との空間的独立が維持され、空気の漏れを防止することができる。ただし、この状態では、第一フレーム6と第一風路部材204とはまだ圧着されていないため、空間的に独立しているとはいえ、空気の漏れを確実に防止するには至っていない。
以上が本実施の形態1に係る第一フレーム6と第一風路部材204との係止手順であり、この係止により送風側極3側の半球体604が完成する。さらに、半球体604の固定部205には、モータ206が弾性部材により固定され、さらに吸込側極4方向に向けて順に基盤カバー207、基盤208、モータカバー209、羽根210が取り付けられて、最後にモータ206の回転軸端部でネジ止めされる。つまり、第一風路部材204に高圧空気発生装置211が取り付けられる。
続いて、図7、図8、図9を用いて、本実施の形態1に係る第二風路部材212の詳細について説明し、併せて半球体と第二風路部材との係止手順についても説明する。なお、図7は、本発明の実施の形態1に係る第二風路部材の詳細説明図、図8は本発明の実施の形態1に係る送風側極の半球体と第二風路部材との係止時配置説明図、図9は本発明の実施の形態1に係る半球体と第二風路部材の係止前後を示す説明図である。さらに、図7(a)は、第二風路部材212を球中心方向より見た図、図7(b)は第二風路部材を吸込側極方向より見た図である。
図7(a)に示すように、第二風路部材212には、第一フレーム6に設けられた第一突部601を、中心軸2と平行に、球の中心方向にガイドする複数の第一ガイド部701(本実施の形態1では第一突部601と同数の6個)を備えている。また、第一ガイド部701の近傍に、第一フレーム6に備えられた第一突部601の送風側極3側への移動を防止する第一係止部702を複数個(本実施の形態1では、第一突部601と同数の6個)備えている。なお、複数の第一係止部702のうち、上述した第一フレーム6のネジ孔602に対応する位置にネジ孔705が設けられている。さらに、第二ガイド部703、第二係止部704をそれぞれ複数個(本実施の形態1では各6個)備えているが、この第二ガイド部703、第二係止部704については後述する。第二風路部材212は、さらに中心軸2を中心とした円形の空気吸込口201側の開口部(空気吸込口側開口部706)を備えている。
さらに、図7(b)に示すように、第二風路部材212の第二フレーム7側には、空気吸込口側開口部706の外周に、該空気吸込口側開口部706と同心円状に円形の第二係合部707が設けられている。第二係合部707は、中心軸2を中心とした円筒形状で、吸込側極4方向に突き出した形状(凸形状)となっている。
図8に示すように、図7に示した第二風路部材212を、高圧空気発生装置211を固定させた半球体604に係止させる際には、まず、第二風路部材212の空気吸込口側開口部706とは逆の切断面を、半球体604の切断面(第一フレーム側切断面605)に対向させる。続いて、6つの対応する支持部213と当接部214がそれぞれ対向する位置に配置する(図8の破線801を参照)。この際、第一フレーム6に設けられたネジ孔602と、第二風路部材212に設けられたネジ孔705とを対向させる。上述のように配置、近接させた際の、図8における点部802の拡大図が図9(a)(b)である。また、図8において、羽根210の回転方向は、矢印803に示すように、吸込側極4の方向から見て反時計回りである。
図9(a)は螺合前の図、図9(b)は螺合後の図であり、詳細について説明する。図9(a)に示すように、螺合前では、第一突部601を第一ガイド部701の内壁に沿って、第二風路部材212方向(矢印903方向)に摺動させる。ここで摺動とは、接触状態ですり動かすことをいう。前記摺動により、第一突部601が第一ガイド部702を吸込側極4側(図9(a)の下方向)に通過した状態となり、中心軸平行方向の上下関係が逆転する。また、この状態では、支持部213と当接部214が、その中心軸2に略垂直な断面同士で当接する(破線部902)。この際、支持部213と当接部214の断面積のそれぞれ約50%程度が当接する状態となる。
ここで、支持部213の断面904は、中心軸2に垂直な断面に対して傾斜が設けられている。この傾斜の方向は、螺合時の回転(矢印905)の際に、対向する当接部214を吸込側極4方向に押し出す方向である。なお、螺合時の回転方向は、この羽根210の回転方向に対して、第二風路部材212を逆方向に回転させる方向である。
また、当接部214の断面906も、中心軸2に垂直な断面に対して傾斜が設けられている。この傾斜の方向は、螺合時の回転(矢印905)の際に、対向する支持部213を送風側極3方向に押し出す方向である。この構成により、螺合後の図9(b)で示すように、螺合後は、支持部213と当接部214が前記傾斜によって、互いに螺合方向(両極が球中心に向かう方向)とは逆方向(矢印907)への力が生じる。
以上のように、前記支持部と前記当接部を、螺合時に互いに反発する方向に圧接させることで、結果的に第一風路部材204を第一フレーム6に、第二風路部材212を第二フレーム7に加圧圧接することができる(ここでは、第二フレーム7の接合については未だ説明に至っていないが、第一フレーム6と第二フレーム7との接合時には、第二風路部材212を第二フレーム7側に加圧している状態となる)。これにより、第一風路部材204と第一フレーム6で構成される送風路の気密性を向上させることができると同時に、誘引空気吸込口8から誘引空気吹出口10に至る誘引風路の気密性も向上し、互いの気流が干渉しあうことを防止できる。また、同じく第二風路部材212と第二フレーム7とを連通する送風路の機密性も向上させることができるが、この構成については後述する。
また、高圧空気発生装置211を第一風路部材204に固定される構成とした場合に、螺合回転方向(周方向の回転方向)は、この高圧空気発生装置211を構成する羽根210の回転方向に対して、第二風路部材212を逆方向に回転させる方向としている。
この構成では、羽根210の回転によって第一フレーム6、第一風路部材204、及び第二風路部材212に係る力は螺合による圧力が増す方向であるため、長期の使用であっても各部位の緩みを防ぐことができ、即ち気密性の低下を防止することができる。
続いて、上述したように上下関係が逆転した第一突部601について説明する。第一係止部702の当接面909に当接する当接面908は、中心軸2に垂直な断面に対して傾斜が設けられている。この傾斜の方向は、螺合時の回転(矢印910)の際に、対応する第一係止部702を送風側極3方向に引っ張る方向である。また、第一係止部702の当接面909も、中心軸2に垂直な断面に対して傾斜が設けられている。この傾斜の方向は、螺合時の回転(矢印910)の際に、対応する第一突部601を吸込側極4方向に引っ張る方向である。この構成により、螺合後の図9(b)で示すように、螺合後は、第一係止部702と第一突部601が前記傾斜によって、互いに圧着する。
以上のように、第一係止部702と第一突部601の当接面を、螺合時に互いに圧接させることで、結果的に第一フレーム6と第二風路部材212とが圧着される。また、前記支持部と前記当接部が当接しているため、結果として第一風路部材204が第一フレーム6に加圧圧接される。
なお、半球体604に対して第二風路部材212を螺合する手順については上述したが、螺合後は、ネジ孔602とネジ孔705とが同心円を構成する配置となり、この2つのネジ孔602に、第二風路部材212側からネジ止めする(図9(b)矢印912)。このネジ止めは、第二風路部材212と第一フレーム6の、周方向への移動(ズレ)を防止することを目的としているものである。従って、使用するネジの本数に関係なく、第二風路部材212から第一フレーム6側に常時、均等に加圧することができる。言い換えると、ネジの緩みが原因で送風路の気密度が減少し、結果として空気漏れが発生することはない。
以上が、本実施の形態1に係る第一フレーム6と第一風路部材204と第二風路部材212の係止手順である。なお、説明の便宜上、第一フレーム6、第一風路部材204、第二風路部材212にて成る略球体を、以後、略球体Aと称する。
続いて、図10、図11を用いて、本実施の形態1に係る第二フレーム7の詳細について説明し、併せて第二風路部材212と第二フレーム7との係止手順についても説明する。なお、図10は、本発明の実施の形態1に係る第二フレームの詳細説明図、図11(a)は略球体Aと第二フレームとの係止説明図である。
図10は、第二フレーム7を球中心方向より見た形状を表しており、円環状の第二フレーム側切断面1004の内周に中心軸2に向けて複数の第二突部1001を備えている。第二突部1001は、円周上に等間隔に複数個(本実施の形態1では6個)配置されている。また、複数の貫通孔からなる空気吸込口201の外周部には、中心軸2を中心とした円形を成す第一係合部1002を備えている。該第一係合部1002は凹形状を成し、即ち第二風路部材212に備えられた同じく円筒形を成す第二係合部707を、その凹形状の内周と外周で挟み込んで係合可能に配置されている。また、第二風路部材212との間でネジ止めするためのネジ孔1003を備えている。ここで係合とは、係わりあって合わせることをいい、ここでは凹凸形状がその凹部と凸部を組み合わせることをいう。
図11(a)に示すように、図10に示した第二フレーム7を略球体Aに係止させる際には、まず、第一フレーム側切断面605と第二フレーム側切断面1004とを対向させて配置させる。
続いて、6個の第二突部1001を第二風路部材212に設けられた6個の第二ガイド部703にそれぞれ対向させ、そのガイド方向(ガイド線1103)に沿って摺動させる。具体的にガイド方向とは、中心軸平行かつ吸込側極4を送風側極3に近接させる方向である。なお、図11(a)の左図は、第二ガイド部703と第二突部1001の位置関係を説明するための概略図である。
第二突部1001をガイド方向に摺動させると、ガイド終了地点、即ち第一フレーム側切断面605に第二フレーム側切断面1004が触れる位置1004で第二突部1001の摺動が停止する。この状態で、第一フレーム6又は第二フレーム7を螺合方向1105に回転させると、図11(b)に示すように、第二突部1001は、第二係止部704に掛止される。なお、掛止とは、引っ掛けて止めることをいう。
ここで、第二突部1001と第二係止部704とはそれぞれ当接面で中心軸2に垂直な断面に対して傾斜が設けられている。この傾斜の方向は、螺合時の回転(螺合方向1105)の際に、対応する第二係止部704を吸込側極4に引っ張る方向(矢印1106)である。この構成により、螺合後の図11(b)右側にて示すように、螺合後は、第二突部1001と第二係止部704とが前記傾斜によって互いに圧接し、即ち第二フレーム7と第二風路部材212が圧着される。当然ながら、第二風路部材212は前述の構成により第一フレーム6に圧着されているため、結果的に第二フレーム7と第一フレーム6とがその切断面5(第一フレーム側切断面605と第二フレーム側切断面1004)で加圧圧接される。
この圧接の際には、第二フレーム7の空気吸込口201の外周に設けられた凹形状を成す第一係合部1002と、第二風路部材212の第二フレーム7側に設けられた凸形状を成す第二係合部707も加圧圧接される。
以上のように、第二突部1001と第二係止部704の当接面を、螺合時に互いに圧接させることで、第一フレーム6と第二フレーム7とがその切断面にて加圧圧接され、これにより、第一フレーム6内面と第二フレーム7内面で構成される送風路の気密性を向上させることができる。
また、同じく第二フレーム7と第二風路部材212とが第一係合部と第二係合部とで圧着されるため、これらで構成される空気吸込口と配置用空間との間の風路における機密性を向上することができる。
以上が、本実施の形態1に係る第二風路部材212と第二フレーム7との係止手順であり、最後に、略球体状の本体外部から第二フレーム7のネジ孔1003にネジ止めすることで、第二風路部材212と第二フレーム7とが圧着され、送風装置1が完成する。なお、このネジ止めも、第二風路部材212と第二フレーム7の、周方向への移動(ズレ)を防止することを目的としているものである。従って、使用するネジの本数に関係なく、第二フレーム7側から第二風路部材212に対して常時、均等に加圧することができる。言い換えると、ネジの緩みが原因で送風路の気密度が減少し、結果として空気漏れが発生することを防止できる。
以上に示すように、送風装置は、駆動部(羽根車、モーター等)を有するため、その振動によって各部位にズレが生じ、使用時間の増加と共に気密性が下がるという課題があった。特に、球体というその形状に起因して、軸を中心として周方向に捩れの力が発生し、この点も各部位のズレを助長するに至っていた。
これに対して、本発明実施形態に係る送風装置1は、第一フレーム6と第二フレーム7とを円形切断面を一致させて当接し、一方のフレームを周方向に回転させてフレーム同士を螺合させている。これにより、第二フレーム7が第二風路部材212を介して第一風路部材204を第一フレーム6に圧着させるため、風路の気密性を向上させることができる。
また、高圧空気発生装置211を第一風路部材204に固定される構成とした場合に、螺合回転方向(周方向の回転方向)は、この高圧空気発生装置211を構成する羽根210の回転方向に対して、第二風路部材212を逆方向に回転させる方向としている。
この構成では、羽根210の回転によって第一フレーム6、第一風路部材204、及び第二風路部材212に係る力は螺合による圧力が増す方向であるため、長期の使用であっても各部位の緩みを防ぐことができ、即ち気密性の低下を防止することができる。
また、支持部と当接部を、螺合時に互いに反発する方向に圧接させることで、結果的に第一風路部材204を第一フレーム6に、第二風路部材212を第二フレーム7に加圧圧接することができる。これにより、第一風路部材204と第一フレーム6で構成される送風路の気密性を向上させることができると同時に、誘引空気吸込口8から誘引空気吹出口10に至る誘引風路の気密性も向上し、互いの気流が干渉しあうことを防止できる。また、同じく第二風路部材212と第二フレーム7とを連通する送風路の機密性も向上させることができる。
なお、以上の構成では、第一突部601、第一係止部702、第二突部1001、第二係止部704の全てにおいて、螺合時に送風側極、吸込側極の二つの極を球体の中心方向に加圧圧接する圧接構造について述べた。しかしながら、これら第一突部601、第一係止部702、第二突部1001、第二係止部704のうち少なくとも1つのみが圧接構造を有するようにしてもよい。この場合であっても同様に、風路の気密性を向上させることができる。
また、実施の形態1では、一例として円周上に等間隔に6個の誘引空気吸込口8、支持部、当接部、突部、係止部等を設けた例を説明したが、個数は6個に限らず3個以上であればよい。また、必ずしも等間隔である必要は無く、各部材(支持部同士、当接部同士、第一突部同士、第二突部同士、第一係止部同士、第二係止部同士)を結ぶ連結線で構成される多角形の内部に中心軸2が含まれておればよい。これにより、第一フレーム6と第二フレーム7との加圧圧接時には第一風路部材204が第一フレーム6に均等に密着するため、各部材(特に開口部9と誘引空気吹出口10)にズレが生じる事はない。
なお、実施の形態1では送風装置について説明したが、高圧空気発生装置を取り付けない状態で、送風装置用筐体として単独で流通させることも可能である。
次に、本実施形態における他の特徴点について説明する。
本実施形形態の送風装置1は上述のように、略半球体状の第一フレーム6と、同じく略半球体状の第二フレーム7とを組み合わせた球形状となっている。
したがって、使用者が、例えば、風を自分に当てることで清涼感を得ようとする場合には、これを適宜回動させ、開口部9を自分の方に向けることで使用することになるが、その場合の操作性を高めるために、本実施形態では、図12の構成を採用した。
すなわち、第一フレーム6、つまり本体において、誘引空気吸込口8の第二フレーム7側、即ち吸込側極4側に、前記高圧空気発生装置211の運転を指示する操作部1201を設けた。また、さらにこの操作部1201の第二フレーム7側、即ち吸込側極4側に、高圧空気発生装置211の運転状態を示す表示部1202を設けた。
ただし、操作部1201および表示部1202が必ずしも第一フレーム6に設けられる必要は無い。例えば、図13のように、操作部1201および表示部1202が第二フレーム7に設けられていても構わないし、操作部が第一フレーム6に、表示部が第二フレーム7に設けられていても構わない。なお、図13は、本実施の形態1の変形例を示す送風装置の概略図である。
なお、操作部1201は三つのボタンからなり、送風量を小、中、大の三段階に設定することが出来るようになっている。
また、この操作部1201の操作によって、高圧空気発生装置211が小風量運転、中風量運転、大風量運転のいずれの状態にあるかを、三つのランプよりなる表示部1202によって表示させるようにしている。
本実施形態の送風装置1は、上述のように、略半球体状の第一フレーム6と、同じく略半球体状の第二フレーム7とを組み合わせた球形状となっているので、使用者が、例えば、風を自分に当てることで清涼感を得ようとする場合には、例えば図14のごとく、これを適宜回動させ、開口部9を自分の方に向けることで使用することになる。
この時、図14から理解されるように、誘引空気吸込口8部分は、第一フレーム6の外周面、言い換えると本体の外周面において、球面の外周面部分が削除された状態となっている。このため、その第二フレーム7側、即ち吸込側極4側に操作部1201を設ければ、この外周面が存在していない結果として、風下側(前記開口部の延長線上側)の使用者側から、操作部1201の状態を確認しやすいものとなり、これにより操作性の低下が抑制できるのである。
また、この図14では表示部1202を目視できない状態になるが、表示部1202はランプによって形成しているので、操作部1201の延長線上にある光を確認することで、高圧空気発生装置211が小風量運転、中風量運転、大風量運転のいずれの状態にあるかを容易に判断することができる。
さらに、第一フレーム6、即ち本体において、誘引空気吸込口8の第二フレーム7側、即ち吸込側極4側に高圧空気発生装置211の運転を指示する操作部1201と表示部1202の少なくとも一方を設ければ、操作部1201や表示部1202に連結された、例えば制御部(図示せず)は、操作部1201と表示部1202に対向する第一フレーム6内部や第二フレーム7内部に設けられることとなるので、送風特性の劣化を抑制することが出来る。
なお、操作部および表示部について送風特性の劣化を抑制するための位置の詳細について、図15を用いて説明する。ここで図15は、本発明の実施の形態1に係る送風装置の操作部および表示部の位置を示す概略図である。
誘引空気吸込口の他方の極側をさらに詳細に説明すると、図15に示すように、中心軸2と開口部9の交点A4101と、誘引空気吸込口8を形成するエッジ上のうち中心軸2から最も離れた2つの点B4102および点C4103と、誘引空気吸込口8から最も離れた中心軸2上の点D4104との4点で囲まれる領域A4105(図15における点線で囲まれる領域)内であって、誘引空気吸込口の他方の極側である領域B4106(図15における斜線部)とすることができる。つまり、第一フレーム6内部、即ち本体内において、複数の誘引空気吸込口8間部分は、高圧空気発生装置211からの送風路が設けられる部分であるので、この部分に操作部1201および表示部1202が存在しない構成とすることで、送風特性の劣化を抑制することが出来るのである。
(実施の形態2)
続いて、実施の形態2において、図16、図17を参照しながら分気風路を備えた構成について説明する。なお図16は、操作部および表示部が無い場合の送風装置内の空気の流れの概略図、図17(a)は、操作部および表示部が誘引空気吸込口から近い位置に有る場合の送風装置内の空気の流れの概略図、図17(b)は、本発明の実施の形態2に係る送風装置内の空気の流れの概略図である。
図16に示すように、本実施の形態では、羽根210としてターボファンを使用している。そのため、高圧空気発生装置211にて生成された高圧空気2101は、開口部9側すなわち送風側極3から送風装置1を見た上面視において、右回りの旋回成分を有して向かってくる時計回りの流れである。つまり、中心軸2付近に設けられた空気吸込口201から吸い込まれた空気は、ターボファンにて高圧空気2101となり、中心軸から本体の壁面に向かう。さらに本体の内壁面においては、時計回りで内壁面に沿いながら開口部9に向かって上昇する気流となる。
高圧空気2101は、上昇過程で二つの流れに分類される。一つは、旋回成分を有したまま、誘引空気吸込口8を形成する右側内周形成面3101に沿って左向きに流れる左向空気2102である。もう一つは、左向空気2102とは反対に、コアンダ効果によって誘引空気吸込口8を形成する左側内周形成面3102に沿って右向きに流れる右向空気2103である。これら二つの空気が開口部9に向けて流れていく。すると、左向空気2102と右向空気2103が開口部9直近の上流において衝突して、お互いの旋回成分を打ち消し合う。その結果、旋回成分が抑制された吹出風2104が開口部9から吹出される。旋回成分が抑制された吹出風2104は、直進性が強く、遠い距離にいる使用者も十分な清涼感を得ることができる。なお、図16において中心に位置する誘引空気吸込口8の内周側の形成面のうち、中心軸2より右側の形成面を右側内周形成面3101、中心軸2より左側の形成面を左側内周形成面3102とする。
しかし、図17(a)に示すように、操作部1201および表示部1202が誘引空気吸込口8から近い位置に有る場合には、流れ方が以下のように変化する。
すなわち、図16で示した右向空気2103が形成されるためには、高圧空気2101が操作部1201および表示部1202を形成する側面2105に沿って回りこんだ後、左側内周形成面3102に沿って流れる必要がある。しかし、空気の粘性上、そのような急激な偏向は難しい。そのため、側面2105には、剥離領域2106が発生してしまうことで、左側内周形成面3102に沿って流れる右向空気2103の流量は減少する。
これに基づき、開口部9近傍において、右向空気2103の風量に対して左向空気2102の風量が多くなるため、左向空気2102と右向空気2103が衝突しても、旋回成分は抑制されないまま開口部9に向かって流れていく。その結果、開口部9から旋回成分を有した吹出風2104aが吹出されることになる。旋回成分を有した吹出風2104aは、直進性が弱く、遠い距離まで風が届かずに使用者が十分な清涼感を得ることができなくなってしまう。
その一方で、図17(b)に示すように、操作部1201と誘引空気吸込口8との間に分気風路を備えた本発明の実施の形態2に係る送風装置において、流れ方が以下のように改善されて、先述の課題が解決される。
すなわち、高圧空気2101から分岐した高圧分岐空気2107が、誘引空気吸込口8と操作部1201および表示部1202とで挟まれる領域、即ち分岐風路を流れる。そして、高圧分岐空気2107は、図16で示した右向空気2103と同様に、コアンダ効果により左側内周形成面3102に沿って右向きに流れていく。左向空気2102と高圧分岐空気2107が開口部9近傍において衝突して、お互いの旋回成分を打ち消しあう。その結果、旋回成分が抑制された吹出風2104bが開口部から吹出される。これによって、遠い距離にいる使用者も十分な清涼感を得ることができる。