本明細書で使用される限り、「イオンデータプロット」又は「イオン測定グラフ」は、イオン測定に関係するイオン存在量および1つ又は複数の他の次元をプロットする任意の視覚的データ表現を意味することができる。「イオンデータプロット」又は「イオン測定グラフ」の例には、以下に限定されないが、存在量対捕捉時間をプロットするクロマトグラム、存在量対ドリフト時間をプロットするドリフトスペクトル、存在量対m/z比をプロットするマススペクトル、存在量対ドリフト時間対捕捉時間をプロットするマップ、存在量対m/z比対捕捉時間をプロットするマップ、存在量対ドリフト時間対m/z比をプロットするマップが含まれる。
図1Aは、幾つかの実施形態による、及び本明細書で説明される内容の具現化形態において利用され得るイオン移動度/質量分析(IMS−MS)システム100の一例の略図である。様々な実施形態において、IMS−MSシステム100は、後述される多次元分析(分光)データを表示するためのシステムを含むことができる、又は当該システムの一部となることができる、又は当該システムと通信(連絡)することができる。
IMS−MSシステム100は一般に、イオン源104、IMS108、及びMS116を含む。また、IMS−MSシステム100は、減圧、中性ガス除去、イオン集束などのような1つ又は複数の目的のために、IMS108とMS116との間にIMS−MSインターフェース112も含むことができる。また、IMS−MSシステム100は、イオン源104とIMS108との間にイオントラップ及び/又はイオンゲート134も含むことができる。イオン源104がイオンのパルス又はパケットを出力するように構成されている幾つかの実施形態において、イオントラップ及び/又はイオンゲート134は含まれなくてもよい。また、IMS−MSシステム100は、IMS−MSシステム100の様々な内部領域を制御された大気中の値より低い圧力レベルに維持するための真空システムも含む。真空システムは、模式的に真空線120〜128により表される。真空線120〜128は、当業者により理解される1つ又は複数の真空生成ポンプ及び関連する配管および他の構成要素を模式的に表す。また、真空線120〜128は、IMS−MSシステム100の中を通るイオン経路から、あらゆる残りの非分析中性分子も除去することができる。また、IMS−MSシステム100は、後述されるようなユーザインターフェースを提供および制御するための、及びIMS−MSシステム100の様々な構成要素を制御するためのコンピュータデバイス118も含む。IMS−MSシステムの様々な構成要素の動作および設計は一般に、当業者に知られており、そのため本明細書で詳細に説明される必要はない。むしろ、特定の構成要素が、現時点で開示されている内容の理解を容易にするために簡単に説明される。
イオン源104は、分光分析用の被分析物イオンを生成するのに適した任意のタイプの連続ビームイオン源またはパルスイオン源とすることができる。イオン源104の例には、以下に限定されないが、エレクトロスプレーイオン化(ESI)源、他の大気圧イオン化(API)源、光イオン化(PI)源、電子イオン化(EI)源、化学イオン化(CI)源、フィールドイオン化(FI)源、プラズマ又はコロナ放電源、レーザー脱離イオン化(LDI)源、及びマトリクス支援レーザー脱離イオン化(MALDI)源が含まれる。幾つかの実施形態において、イオン源104は、同じタイプ又は異なるタイプからなることができる2つ以上のイオン化デバイスを含むことができる。実施されるイオン化タイプに応じて、イオン源104は真空チャンバ内に存在することができるか、或いは大気圧または近大気圧で動作することができる。分析されるべき試料物質は、任意の適切な手段によりイオン源104に導入されることができ、係る任意の適切な手段には、試料物質が、例えばガスクロマトグラフィー(GC)又は液体クロマトグラフィー(LC)機器(図示せず)のような分析分離機器の出力136である複合技術が含まれる。
IMS108は、チャンバ内に収容されたドリフトセル142を含む。チャンバは、例えば、133.322Pa(1トル)〜13.3322Pa(10トル)の範囲にわたるドリフトガス圧力にドリフトセル142を維持するポンプと連絡する。ガス入口144は、不活性ドリフトガス(例えば、窒素)をドリフトセル142のチャンバへ送る。ドリフトセル142は、軸に沿って間隔を置いて配置された一連のドリフトセル電極(一般にリング形状)を含む。ドリフトセル電極は、軸に沿ってDC電圧勾配を生じさせるための電圧源と信号連絡する。軸方向DC電圧勾配は、ドリフトガスの存在下でドリフトセル142の中を通ってイオンを移動させ、それによりイオンは、当業者により理解されるように、それらの異なる断面積に基づいて時間的に分離される。DC電圧勾配は、逐次的により低い電圧がドリフトセル142の長さに沿って個々のドリフトセル電極に印加されるように、第1のドリフトセル電極と最後のドリフトセル電極との間の抵抗分割器回路を介して、第1のドリフトセル電極と最後のドリフトセル電極との間に電圧を印加することによってのような、既知の方法で生成され得る。
IMS−MSインターフェース112は、ドリフトセル142から溶離するイオンを受け取り、イオンをMS116(又はドリフトセル142とMS116との間の介在構成要素)に伝達する。IMS−MSインターフェース112は、IMS142とMS116との間の減圧移行部としての機能を果たすことができる1つ又は複数のチャンバ154、156、及び158を含むことができるハウジングを含む。各チャンバは、他のチャンバから流体的に隔離され、独立して制御される圧力ステージを提供することができるが、適切なサイズのアパーチャが隣接するチャンバ間の境界に設けられて、1つのチャンバから次のチャンバへとIMS−MSインターフェース112を通って移動するイオン用の経路を画定する。また、IMS−MSインターフェース112は、個々のチャンバ内に収容された1つ又は複数のイオンガイドも含むことができる。任意の所与のチャンバにおいて、イオンガイドは、線形マルチポールイオンガイド(一般に、以下に限定されないが、ヘキサポール(六重極)及びオクタポール(八重極))、イオンファンネル又は静電レンズとすることができる。マルチポールイオンガイド及びイオンファンネルは、当業者に理解されるように、イオン運動を制御するために無線周波数(RF)及び/又は直流(DC)電圧を印加することができる。イオン光学系(図示せず)が、隣接するイオンガイド間に設けられることができ、隣接するチャンバ間の境界の一部を形成することができる。
MS116は一般に、チャンバ内に収容された質量分析器148及びイオン検出器150を含むことができる。真空線128は、質量分析器148の内部を非常に低い(真空)圧力に維持する。幾つかの実施形態において、質量分析器148の圧力は、1.33×10−2Pa(10−4トル)〜1.33×10−7Pa(10−9トル)の範囲にわたる。質量分析器148は、被分析物イオンの個々のm/z比に基づいて被分析物イオンを分離する、仕分ける、又はフィルタリングするように構成された任意のデバイスとすることができる。質量分析器の例には、以下に限定されないが、マルチポール電極構造(例えば、四重極マスフィルタ、イオントラップなど)、飛行時間(TOF)分析器、イオンサイクロトロン共鳴(ICR)トラップ、及び電場または磁場に基づいたセクター機器が含まれる。質量分析器148は、特にイオンフラグメンテーションの分析が望まれる場合に、2つ以上の質量分析器のシステムを含むことができる。例として、質量分析器148は、当業者により理解されるように、タンデムMS又はMSnシステムとすることができる。別の例として、質量分析器148は、衝突(コリジョン)セルが後続するマスフィルタ、次いで当該衝突セルの後にマスフィルタが続くもの(例えば、トリプル四重極またはQQQシステム)、又はTOF分析器(例えば、qTOFシステム)を含むことができる。イオン検出器150は、質量分析器148から取り出される質量的に区別されたイオンの束(又は流れ)を収集および測定するように構成された任意のデバイスとすることができる。イオン検出器150の例には、以下に限定されないが、多チャンネルプレート、電子増倍管、光電子増倍管、及びファラデーカップが含まれる。
コンピュータデバイス118は、例えばイオン源104、IMS108、及びMS116、並びにIMS−MSシステム100に設けられ得る(しかし、図1Aに特に示されていない)任意の真空ポンプ、イオン光学系、上流のLC又はGC機器、試料導入デバイスなどのような、IMS−MSシステム100の様々な機能的局面を制御、監視および/またはタイミングをとるように構成された1つ又は複数のモジュール又は構成要素を表すように模式的に示される。1つ又は複数のモジュール又は構成要素は、例えばデスクトップコンピュータ、ラップトップコンピュータ、携帯用コンピュータ、タブレット型コンピュータ、ハンドヘルドコンピュータ、モバイルコンピュータデバイス、携帯情報端末(PDA)、スマートフォンなどとすることができるか、又はそれらに組み入れられ得る。また、コンピュータデバイス118は、特に図示されていない全ての電圧源、並びにIMS−MSシステム100の様々な構成要素に電圧を印加するのに必要とされるような、タイミングコントローラ、クロック、及び周波数/波形生成器なども模式的に表すことができる。また、コンピュータデバイス118は、イオン検出器128からのイオン検出信号を受け取り、分析中の試料を特徴付けるクロマトグラム、ドリフトスペクトル及びマススペクトルを生成するために必要に応じてデータ捕捉および信号分析に関連するタスクを実行するようにも構成され得る。また、コンピュータデバイス118は、後述されるように、ユーザが相互作用(対話)することができる分析データ及び他のデータの画面表示を提供するユーザインターフェースを提供および制御するようにも構成され得る。コンピュータデバイス118は、本明細書で開示された何れかの方法の全て又は一部を実行するための命令を含む有形のコンピュータ可読(機械可読)媒体がロードされ得る1つ又は複数の読み出しデバイスを含むことができる。全ての係る目的のために、コンピュータデバイス118は、有線または無線通信リンク(例えば、コンピュータデバイス118とMS116との間の破線により部分的に表される)を介して、IMS−MSシステム100の様々な構成要素と信号連絡することができる。また、これらの目的のために、コンピュータデバイス118は、1つ又は複数のタイプのハードウェア、ファームウェア、及び/又はソフトウェア、並びに1つ又は複数のメモリ及びデータベースを含むことができる。
図1Bは、図1Aに示されたようなIMS−MSシステムの一部とすることができる又は当該IMS−MSシステムと通信(連絡)することができるコンピュータデバイス118の制限しない一例の略図である。図示された実施形態において、コンピュータデバイス118は、全体的な制御を提供する主電子プロセッサ、及び専用の制御動作または特定の信号処理タスクのために構成された1つ又は複数の電子プロセッサ(例えば、グラフィックスプロセッシングユニット又はGPU)を表すことができるプロセッサ162(一般に電子技術を用いた)を含む。また、コンピュータデバイス118は、データ及び/又はソフトウェアを格納するための1つ又は複数のメモリ164(揮発性および/または不揮発性)も含む。また、コンピュータデバイス118は、1つ又は複数のタイプのユーザインターフェースデバイスを制御するための、及びユーザインターフェースデバイスとユーザインターフェースデバイスと通信するコンピュータデバイス118の構成要素との間のインターフェースを提供するための1つ又は複数のデバイスドライバ166も含むことができる。係るユーザインターフェースデバイスは、ユーザ入力デバイス168(例えば、キーボード、キーパッド、タッチスクリーン、マウス、ジョイスティック、及びトラックボールなど)、及びユーザ出力デバイス170(例えば、表示画面、プリンタ、可視的表示器または視覚的警報、及び可聴表示器または警報音など)を含むことができる。様々な実施形態において、コンピュータデバイス118は、1つ又は複数のユーザ入力デバイス168及びユーザ出力デバイス170を含む、又はそれらと少なくとも通信すると考えられ得る。また、コンピュータデバイス118は、メモリ及び/又は1つ又は複数のタイプのコンピュータ可読媒体174に包含された1つ又は複数のタイプのコンピュータプログラム又はソフトウェア172も含むことができる。コンピュータプログラム又はソフトウェアは、本明細書で開示される方法の何れかの全て又は一部を実行するための命令(例えば、論理命令)を含むことができる。コンピュータプログラム又はソフトウェアは、アプリケーションソフト及びシステムソフトウェアを含むことができる。システムソフトウェアは、ハードウェアとアプリケーションソフトとの間の相互作用を含む、コンピュータデバイス118の様々な機能を制御および管理するためのオペレーティングシステム(例えば、Microsoft Windows(登録商標)のオペレーティングシステム)を含むことができる。特に、オペレーティングシステムは、表示画面のようなユーザ出力デバイス170を介して表示可能なグラフィカルユーザインターフェース(GUI)を提供し、当該GUIを用いて、ユーザは、キーボード又はポインティングデバイス(例えば、マウス)のようなユーザ入力デバイス168の使用と相互作用することができる。また、コンピュータデバイス118は、イオン検出器150により出力されたイオン測定信号を受け取って処理する(GUIにより図的形式で提示するためにデータをフォーマットすることを含む)ための1つ又は複数のデータ取得/信号調整構成要素176(ハードウェア、ファームウェア及び/又はソフトウェアで具現化され得る)も含むことができる。
理解されるように、図1A及び図1Bは、本開示と首尾一貫したIMS−MSシステム100及び関連したコンピュータデバイス118の例に関する高レベルの概略描写である。追加の構造、真空ポンプ、ガス配管、イオン光学系、イオンガイド、電子回路、及びコンピュータに関連した又は電子プロセッサに関連した構成要素のような他の構成要素は、実際の具現化形態に必要とされるように含まれ得る。また、理解されるように、コンピュータデバイス118は、提供され得る構造(例えば、回路、機構、ハードウェア、ファームウェア、ソフトウェアなど)を表すように意図された機能ブロックとして図1Bに概略的に表されている。様々な機能ブロック及び信号リンクが単なる例示のために任意に配置されており、いかなる方法でも制限されない。当業者ならば理解されるように、実際には、コンピュータデバイス118の機能は、様々な方法で実施されることができ、必ずしも図1A及び図1Bに示された及び本明細書で説明された厳密な方法で実施されなくてもよい。
図2は、ユーザインターフェース(例えば、GUI)の一部として提供され得る画面表示200の一例である。画面表示200は、試料の分析中にIMS−MSシステムにより取得されたデータの図的表現の例を含む(表示する)。画面表示200は例えば、上述された並びに図1A及び図1Bに示されたIMS−MSシステム100のコンピュータデバイス118のような、コンピュータデバイスにより制御されたユーザ出力デバイス(例えば、表示画面)においてユーザに提示され得る。
画面表示200は、複数の異なる表示領域(又は「ウィンドウ枠」)を含むことができ、それぞれはIMS−MSシステム及び/又はそれにより実行された試料分析に関連した様々なタイプの情報(データ)を含む。画面表示200は、例えばMicrosoft Windows(登録商標)ソフトウェアのようなソフトウェアにより、及び本明細書に開示された内容を実施するように特に構成されたアプリケーションソフトにより制御されたGUIとする又は当該GUIの一部とすることができる。画面表示200は、表示区域(又はウィンドウ)とすることができるか、又は複数の表示区域(又はウィンドウ)を含むことができる。表示区域またはウィンドウは、Microsoft Windows(登録商標)ソフトウェアのユーザ又は当業者に知られたタイプからなることができる。当業者ならば理解されるように、係る表示区域またはウィンドウは、様々な方法で、多くの場合マウスのようなポインティングデバイスを使用して、操作され得る。例として、表示区域またはウィンドウは、表示画面上の異なる場所に移動され、表示画面上でより大きく又はより小さく表示されるように拡大縮小され、表示画面上のバーに最小化され、表示画面の全て又は大部分を占有するように最大化され、表示画面上で以前に設定されたサイズ及び/又は場所に回復され、画面表示200から移動するように閉じられ、画面表示200で表示されるように開けられるなどされ得る。幾つかの実施形態において、選択された表示区域またはウィンドウは、図2に示された画面表示200の外側にあるコンピュータデバイスの表示画面の場所に移動することができる。本明細書で使用される限り、用語「表示画面(画面表示)」は、2つ以上の物理的表示画面、例えば2つ以上のモニタを含むことができる。従って、幾つかの実施形態において、画面表示200は、2つ以上の物理的表示画面を占有してもよい。更に、個々の表示区域またはウィンドウは、一方の物理的表示画面から別の表示画面へ移動する、又はユーザに利用可能な任意の物理的表示画面において開けられ得る。
所与の表示区域またはウィンドウは、1つ又は複数の表示領域またはウィンドウ枠を含むことができる。同じ表示区域またはウィンドウ内、或いは異なる表示区域またはウィンドウにおける2つ以上の表示領域またはウィンドウ枠は、後述されるように動的にリンクされ得る。
図2に示された例において、画面表示200は、捕捉時間領域204を含む(表示する)第1の表示区域202(File Overviewと表記された)、並びに第1の領域(例えば、マップ領域)208、第2の領域(例えば、ドリフトスペクトル領域)210、及び第3の領域(例えば、マススペクトル領域)212を含む(表示する)第2の表示区域206(Frame Viewerと表記された)を含む。また、この例において、表示画面は、追加の表示区域、特にカスタムスペクトル領域216を含む第3の表示区域214(User Drift Spectraと表記された)、第4の表示区域218(Cross Section Plotと表記された)、第5の表示区域220(Drift Spectrum Peak Listと表記された)、及び第6の表示区域222(Frame Informationと表記された)を含む。幾つかの表示領域(又は幾つかの表示区域)は、表示画面上の同じ場所に表示するために他の表示領域(又は表示区域)と交換されることができ、それは、例えばそれに関連した表示領域(又は表示区域)のタイプを示す表記を提示するタブをクリックするためにポインティングデバイスを用いることにより、行われ得る。例示した例において、User Drift Spectraは、第3の表示区域214において表示するためにUser Mass Spectra又はCross Section Calculatorと交換されることができ、Drift Spectrum Peak Listは、第5の表示区域220において表示するためにMass Spectrum Peak Listと交換され得る。更に、所与の表示区域(又は表示区域の表示領域)に表示されたコンテンツ、又はコンテンツの一部(例えば、表示されている特定のタイプの情報またはデータ)は、コマンドを選択することにより変更され得る。係るコマンドは、例えばドロップダウンメニュー、又はコンテキストメニューなどで提供されるリストから、又は選択可能なタブ、ボタンなどで、表示画面上で利用可能にされ得る。
第1の表示区域202及び第2の表示区域206は、IMS−MSシステムにより実行された試料分析から取得された四次元(4D)データ(存在量対捕捉時間対ドリフト時間対m/z比)を提供する。第1の表示区域202及び第2の表示区域206に表示された領域は、ユーザがより容易に理解することができる4Dデータの、一組の二次元(2D)又は擬似三次元(擬似3D)の「スライス」又は「投影」を示すことにより、4Dデータの可視化を支援するように構成される。より詳細に後述されるように、第1の表示区域202及び第2の表示区域206に表示される1つ又は複数の領域は、第1の表示区域202及び第2の表示区域206に表示される1つ又は複数の他の領域に動的(ダイナミック)にリンクされ得る。幾つかの実施形態において、第1の表示区域202及び第2の表示区域206に表示される各領域は、第1の表示区域202及び第2の表示区域206に表示される他の領域のそれぞれに動的にリンクされる。本文脈において、「動的にリンクされる」は、1つの領域の選択されたデータの表示において変更がなされた場合に、対応する変更が、対応するデータ(選択された領域に動的にリンクされている)を表示する1つ又は複数の他の領域における対応するデータの表示に動的(又は自動的)になされることを意味する。例えば、選択されたデータ(例えば、ドリフト時間データ)が選択された領域に表示されているレンジになされた変更は、対応するデータ(例えば、ドリフト時間データ)が1つ又は複数の他の領域(係るデータも表示する)で表示されているレンジも変更する。係るアクションは、後述されるように、ユーザにより開始され得る。
図3A〜図3Cは、それぞれが捕捉時間領域204の異なる例を含む第1の表示区域202の例である。各例において、捕捉時間領域204は、捕捉時間(又は保持時間)の関数として、イオン測定データ(例えば、イオン信号強度)をプロットするイオン測定グラフを含む。捕捉時間は、測定データが取得された試料分析の全体的な継続時間に関係する。捕捉時間は一般に、分(min)の目盛りで提示される。捕捉時間の目盛りに関する他の次元の単位、例えば、秒(sec又はs)又は「フレーム数」単位が選択されてもよい。本明細書で使用される限り、「フレーム」は、同じ公称の捕捉時間で取得される一組のマススペクトル(複数)であり、この場合、各マススペクトルは異なるドリフト時間に対応する。1つのフレームは、捕捉時間(例えば、クロマトグラムに沿った保持時間)における1つの点に相当する。全イオン信号強度は、カウント(イオン検出器により検出される場合)のような単位で与えられ得る。
図3Aにおいて、イオン測定グラフは、フィルタリングされていない全イオン(電流)クロマトグラム(TIC)であり、この場合、全イオン信号(電流)強度の合計値(y軸)が、捕捉時間(x軸)の関数としてプロットされている。図3B及び図3Cにおいて、イオン測定グラフはそれぞれ、抽出イオン(電流)クロマトグラム(EIC)であり、この場合、抽出イオン信号(電流)強度の合計値(y軸)が、捕捉時間(x軸)の関数としてプロットされている。図3BのEICは、選択されたマスレンジに基づいてクロマトグラムデータをフィルタリングした結果である。図3CのEICは、選択されたマスレンジ及び選択されたドリフトレンジの双方に基づいてクロマトグラムデータをフィルタリングした結果である。また、EICは、選択されたドリフトレンジのみに基づいてクロマトグラムデータをフィルタリングした結果とすることもできる(図示せず)。また、表示されたクロマトグラムは、ベースピーククロマトグラム(BPC、図示せず)とすることもできる。ユーザは、コマンドを入力して、第1の表示区域202の表示を様々なタイプのクロマトグラムに切り換えることができる。また、ユーザは、データのレンジ(単数または複数)(マスレンジ、ドリフトレンジ、又は双方)も選択することができ、それにより所望のタイプのEICを表示するためにデータがフィルタリングされる。フィルタリング用の所望のデータレンジの選択は、後述されるように捕捉時間領域204に動的にリンクされている第2の表示区域206(図2)の領域に表示されたデータのプロットを介して対話式に行われることができる。例えば、EICは、第2の表示区域206のマップ領域208から制限されたドリフト時間レンジ及び/又はm/zレンジを選択することにより、第2の表示区域206のドリフトスペクトル領域210から制限されたドリフト時間レンジを選択することにより、又は第2の表示区域206のマススペクトル領域212から制限されたm/zレンジを選択することにより、抽出され得る。第2の表示区域206において選択を行うことの後に、「抽出データ」コマンドを呼び出すことが続くことができ、第1の表示区域202に表示されている新たに生成されたEICという結果になる。
図4は、「フレームセレクター」の表示を含む第1の表示区域202の一例である。ユーザは、第1の表示区域202の表示を、フレームセレクターの表示とイオン測定グラフ(例えば、図3A〜図3C)との間で切り換えることができる。フレームセレクターの表示は、特定のフレームを反転表示するためにポインティングデバイスのカーソルが移動できるバーを含む。反転表示されたフレームは、バー上のボックス(例えば、図示された例において、フレーム番号559)により示され得る。ポインティングデバイスは、例えばボックス上でクリックすることにより、特定のフレーム又はフレームの範囲を選択するために利用され得る。所望のフレームの選択と同時に、第2の表示区域206の領域(即ち、捕捉時間領域204に動的にリンクされているこれら領域)は、選択されたフレーム(即ち、捕捉時間の選択された点)に対応するスペクトルデータを表示するために動的に変更または更新され得る。
図5は、全般的な試料分析の概観を提供するイオン測定グラフを含む第1の表示区域202の一例である。このグラフは、イオン存在量対ドリフト時間対捕捉時間(図示されたように)、又はイオン存在量対m/z比対捕捉時間(図示せず)をプロットする。これら3つのタイプのデータを同時に可視化するために、グラフは、3Dグラフ又は擬似3Dグラフ(又は「捕捉時間マップ」)として表示され得る。例示された例において、グラフは、捕捉時間が1つの軸(例えば、例示された例においてx軸または水平軸)に沿ってプロットされ、ドリフト時間(又はm/z比)が直交軸(図示された例において垂直軸であるドリフト時間軸またはm/z比軸、又はy軸)に沿ってプロットされ、イオン存在量がイオン測定データを含むグラフにおける任意の所与のx−y座標において色(カラー)によって示されるヒートマップ(又は「存在量マップ」)として表示される。ドリフト時間は一般に、ミリ秒(ms)の単位で基準化されているが、ドリフトビンのような他の単位が使用されてもよい。存在量の値の色分けは、多種多様の符号化方式に従って構成され得る。一般に、異なる(様々な)存在量の値は、異なる(様々な)色として表示される。例として、色は、より低い存在量からより高い存在量を示すために白色から深緑まで、又はより低い存在量からより高い存在量を示すために黒色から青色〜緑色〜黄色〜赤色まで変化することができる。本文脈において、異なる又は様々な色は、同じ色の特性(例えば、色合い、色調、色相)の変化を意味することができ、例えば、より薄い緑色からより濃い緑色は、より低い存在量からより高い存在量を示すことができる。例えば、線形(一次)、対数、平方根のような多種多様の色符号化方式が利用され得る。幾つかの実施形態において、色符号化方式は、ユーザにより構成されることができ、及び/又はユーザが第1の表示区域202の表示を様々な事前の色符号化方式の間で切り換えることができる。また、ユーザは、第1の表示区域202の表示を、ヒートマップ、他のタイプのイオン測定グラフ、及びフレームセレクター表示の間で切り換えることもできる。
幾つかの実施形態において、第1の表示区域202に表示されたヒートマップは、選択されたデータレンジ(ドリフトレンジ又はマスレンジ)に基づいてフィルタリングされ得る。このフィルタリング(即ち、データレンジの選択)は、後述されるように捕捉時間領域204に動的にリンクされている第2の表示区域206(図2)の領域に表示されたデータのプロットを介して対話式に行われることができる。例えば、制限されたm/zレンジによりフィルタリングされたドリフト時間対保持時間のヒートマップは、第2の表示区域206に表示されたマップ領域208(マップ)又はマススペクトル領域212(側部にプロットされたマススペクトル)から制限されたm/zレンジを選択することにより抽出され得る(後述される)。同様に、制限されたドリフト時間レンジによりフィルタリングされたm/z比対保持時間のヒートマップは、第2の表示区域206に表示されたマップ領域208(マップ)又はドリフトスペクトル領域210(側部にプロットされたドリフトスペクトル)から制限されたドリフト時間を選択することにより抽出され得る(後述される)。どちらにしても、第2の表示区域206において選択を行うことの後に、「抽出データ」コマンドを呼び出すことが続くことができ、第1の表示区域202に表示されている新たに抽出された(及びフィルタリングされた)ヒートマップという結果になる。
幾つかの実施形態において、図5に示されるような、存在量対ドリフト時間対捕捉時間をプロットするヒートマップにおいて、色分けされた存在量は、デフォルトによって、各(ドリフト時間、保持時間)点におけるスペクトルの任意のm/z値において看取される最も大きい存在量に基づくことができる。ユーザインターフェースにより、ユーザは、m/zレンジを選択(指定)し、存在量が代わりに、選択されたm/zレンジにおける任意のm/z値において看取される最も大きい存在量であるヒートマップを抽出することを可能にすることができる。後述されるように、ユーザは、第2の表示区域206のマップ領域208(図2)に表示されたヒートマップと相互作用することにより、又は第2の表示区域206のマススペクトル領域212に表示されたマススペクトルと相互作用することにより、特定のm/zレンジを選択することができる。同様に、存在量対m/z比対捕捉時間をプロットするヒートマップにおいて、色分けされた存在量は、デフォルトによって、各(m/z比、保持時間)点におけるスペクトルの任意のドリフト時間値において看取される最も大きい存在量に基づくことができる。ユーザインターフェースにより、ユーザは、ドリフト時間レンジを選択(指定)し、存在量が代わりに、選択されたドリフト時間レンジにおける任意のドリフト時間値において看取される最も大きい存在量であるヒートマップを抽出することを可能にすることができる。どちらにしても、抽出されるヒートマップは次いで、第1の表示区域202に表示されることができ、試料分析から取得されるデータを理解するのに役立つデータの更に別の「スライス」を提供する。
第1の表示区域202に表示可能な様々なイオン測定グラフ(例えば、クロマトグラム及びマップ)は、動的に互いにリンクされることができ、その結果、選択されたデータが1つのグラフに表示されているレンジを変更する(例えば、狭くする、広げる、移動する)ことにより、対応するデータが別のグラフに表示されているレンジも同様に変更される。例えば、様々なイオン測定グラフの個々のデータレンジは、リンクされ得る。これは、図6A〜図6Cに示される。図6Aは、試料分析の全持続時間(例示された例において、約32分)にわたる全体的なクロマトグラムを含む第1の表示区域202の例である。ユーザは、当該分析の全持続時間内で起こっている特定の時間期間に着目したい場合があり、それは、表示されるべき特定の時間レンジを選択することにより行われ得る。一般に、レンジの選択は、ユーザ入力の任意の適切な手段により行われることができ、係るユーザ入力は例えば、選択されたレンジの終点を入力するためのキーストローク、選択されたレンジの終点を定義するためにポインティングデバイスをクリックする又はドラッグすることなどである。レンジの選択は、現在表示されているグラフを拡大する又は縮小する、現在表示されている時間値を先へ(上へ)又は後ろへ(下へ)移動させることなどを必要とするかもしれない。図6Bは、図6Aに表示された全持続時間(0から32分)の22分から27分の本来の部分の捕捉時間レンジを選択した後の結果であるクロマトグラムを含む第1の表示区域202の一例である。更に、捕捉時間レンジのような新たなデータレンジを選択した後、現在表示されているイオン測定グラフは、その新たに選択されたデータレンジに対応するそのデータを表示することができる別のタイプのイオン測定グラフに切り換えられ得る。一例として、図6Bに示されたクロマトグラムは、図6Cに示されたようなヒートマップ表示に切り換えられ得る。従って、図6Cは、イオン存在量対ドリフト時間対捕捉時間をプロットするヒートマップを含む第1の表示区域202の一例であり、この場合、捕捉時間の目に見えるものは、図6Bのクロマトグラムにおいて以前に選択されて表示された22分から27分のレンジに制限される。
一般に、幾つかの実施形態において、任意の表示区域においてポインティングデバイスを利用して右クリックすることは、その表示区域において現在行われることができるアクション、及び/又はその表示区域で行われた以前の「選択」の結果として現在利用可能にされている1つ又は複数のアクションのコンテキストメニューを提示することができる。係るアクションは、以前になされた選択に基づいて追加データを抽出するアクションを含むことができる。任意の2Dプロットから、新たに抽出されたデータは、たとえx軸次元が現在のプロットになっていても、全体にわたって集約(sum:合計)され得る。例えば、クロマトグラムからの抽出は、ユーザにより選択された捕捉時間レンジにわたって集約され得る。
図7A及び図7Bは、幾つかの実施形態による2Dプロットにおいて如何にしてデータレンジの選択が行われ得るかに関する例を示す。図7Aは、捕捉時間レンジが選択され且つコンテキストメニューが呼び出されているクロマトグラムを含む、第1の表示区域202の一例である。この例において、ポインティングデバイスは、捕捉時間レンジを選択するために、左クリック−ドラッグ動作を行うために利用された。結果として、(一般に)選択されたレンジ(の終点)の値を画定する2つの平行な垂直線が表示される。また、2つの垂直線間の区域が、例示されたように、陰影を付けられ、着色され、又は反転表示され得る。代案として、選択されたレンジは、ゼロの幅のレンジ、即ち単一のデータ値とすることができる。ゼロの幅のレンジは、左クリックのみにより選択されることができ、表示区域において単一の垂直線のみにより示され得る。ひとたびデータレンジが選択されると、ポインティングデバイスによる右クリックが、図7Aに示されたようなExtract Frame(フレーム抽出)コマンドを含むコンテキストメニューを提示することができる。Extract Frameコマンドをクリックすることは、現在の選択のレンジにわたって集約されたフレームデータを抽出する。幾つかの実施形態において、データレンジを選択した後、ポインティングデバイスを用いて、表示された選択区域においてダブルクリックすることは、更にコンテキストメニューからExtract Frameコマンドも選択する必要なしに、デフォルトのアクションとして抽出動作を開始することができる。次いで、抽出されたフレームデータは、第2の表示区域206の1つ又は複数の領域のような、対応するデータを包含する第1の表示区域202の外側にある画面表示200の1つ又は複数の他の領域に表示され得る(これら他の領域が第1の表示区域202の捕捉時間領域204に動的にリンクされていると仮定する)。即ち、他の領域(単数または複数)におけるデータの表示は、第1の表示区域202において選択されたデータレンジに応じてデータを表示するように更新され得る。これは、より詳細に後述される。
また、レンジ選択は、第1の表示区域202に表示可能な異なるタイプのイオン測定グラフ間でも動的にリンクされることができ、その結果、1つのイオン測定グラフにおいてなされたレンジ選択は、2つのグラフ間で切り換える場合に、別のイオン測定グラフでも表示され得る。図7Bは、図7Aに示されたクロマトグラムに対応する全体的なヒートマップを含む第1の表示区域202の一例である。図7Bにおいて、図7Aのクロマトグラムにおいて選択された捕捉時間レンジの図的表現も、ヒートマップに表示される。図示された例において、この図的表現は、図7Aのクロマトグラムにおいて表示された同じ選択レンジの境界を定める2つの平行な垂直点線の形態である。従って、図7Aは、ユーザにより選択されたデータレンジの表現を表示し、図7Bは、当該選択されたデータレンジの対応する表現を表示する。
図8は、複数の表示領域、特にマップ領域208、ドリフトスペクトル領域210、及びマススペクトル領域212を含む第2の表示区域206の一例である。幾つかの実施形態において、第2の表示区域206は、第1の表示区域202に動的にリンクされ、その結果、(上述したように)第1の表示区域202においてなされたレンジ選択を介して抽出されたデータの任意の捕捉時間「スライス」が第2の表示区域206に表示される。特定の実施形態において、マップ領域208、ドリフトスペクトル領域210、及びマススペクトル領域212はそれぞれ、第1の表示区域202の捕捉時間領域204に動的にリンクされ、従って、同じ抽出されたデータスライスの3つの選択できる表示を提供する。更に、幾つかの実施形態において、マップ領域208、ドリフトスペクトル領域210、及びマススペクトル領域212は、互いに動的にリンクされ、その結果、更に後述されるように、1つの領域においてデータレンジを変更した後、他の領域はデータの同じ部分を一貫して示す(即ち、レンジになされた変更を反映する)。
マップ領域208は、イオン存在量対ドリフト時間対m/z比をプロットするグラフを含む。これら3つのタイプのデータを同時に可視化するために、グラフは、3Dグラフ又は擬似3Dグラフ(又はマップ)として表示され得る。例示された例において、グラフは、m/z比が1つの軸(例示された例において、x軸または水平軸であるm/z比軸)に沿ってプロットされ、ドリフト時間が直交軸(図示された例においてy軸または垂直軸であるドリフト時間軸)に沿ってプロットされ、イオン存在量がイオン測定データを含むグラフにおける任意の所与のx−y座標において色(カラー)によって示されるヒートマップとして表示される。ドリフト時間は一般に、ミリ秒(ms)の単位で基準化されているが、ドリフトビンのような他の単位が使用されてもよい。m/z比の値はm/z(トンプソン又はダルトン)で与えられることができ、又は質量分析器がTOF分析器である場合には、飛行時間(例えば、ナノ秒)で与えられ得る。存在量の値の色分けは、上述されたように構成され得る。
ドリフトスペクトル領域210は、ドリフト時間の関数としてイオン信号強度をプロットするダイナミックドリフトスペクトルである。信号強度は、カウント(イオン検出器により検出される場合)のような単位で与えられ得る。ドリフトスペクトルは、マップのドリフト時間軸からの2D投影(又は「側部のプロット」)として表示され得る。そういうものだから、ドリフトスペクトルのドリフト時間軸は、マップのドリフト時間軸と平行に表示される。ドリフトスペクトルは、マップに動的にリンクされ、それによりドリフト時間スペクトルに表示されたドリフト時間のレンジがマップに表示されたドリフト時間のレンジに一致するという点で、「動的(ダイナミック)」である。従って、ドリフトスペクトルのドリフト時間軸は、マップのドリフト時間軸と同じ単位で基準化され、それと同じドリフト時間のレンジにわたる(例示された例において0〜43ms)。任意の所与のドリフト時間点におけるドリフトスペクトルに示されたイオン存在量(信号強度)は、マップにおいて現在目に見えるm/z比にわたって集約(合計)される。
マススペクトル領域212は、m/z比(例示された例において水平軸)の関数としてイオン信号強度(例示された例において垂直軸)をプロットするダイナミックマススペクトルである。信号強度は、カウント(イオン検出器により検出される場合)のような単位で与えられ得る。マススペクトルは、マップのm/z比軸からの2D投影(又は「側部のプロット」)として表示され得る。そういうものだから、マススペクトルのm/z比軸は、マップのm/z比軸と平行に表示される。マススペクトルは、マップに動的にリンクされ、それによりマススペクトルに表示されたm/z比のレンジがマップに表示されたm/z比のレンジに一致するという点で、「動的」である。従って、マススペクトルのm/z比軸は、マップのm/z比軸と同じ単位で基準化され、それと同じm/z比のレンジにわたる(例示された例において50〜1650m/z)。任意の所与のm/z比の値におけるマススペクトルに示されたイオン存在量(信号強度)は、マップにおいて現在目に見えるドリフトレンジにわたって集約(合計)される。
マップ領域208、ドリフトスペクトル領域210、及びマススペクトル領域212に表示されたグラフは、ポインティング又は他のタイプのユーザ入力を用いることにより、互いに対してサイズ変更され得る。また、ドリフト時間およびm/z比がプロットされる軸は切り換えられ得る。従って、図8と比べると、マップのドリフト時間軸は、垂直軸から水平軸に切り換えられることができ、マップのm/z比軸は水平軸から垂直軸に切り換えられ得る。データ軸のこの交換は、同様に交換されているドリフトスペクトルの部分およびマススペクトルの部分という結果になる。即ち、この場合、ドリフトスペクトルがマススペクトル領域212(マップの下側)に表示され、マススペクトルがドリフトスペクトル領域210(マップの左側)に表示される。
図8は、第1の表示区域202に表示された全体的なクロマトグラムから抽出されたデータの全スライスの完全に縮小した表示である(例えば、図7A及び図7Bを参照)。第2の表示区域206の任意の領域において、表示されたデータレンジ(例えば、ドリフト時間レンジ及び/又はm/z
レンジ)の追加の変更は、ユーザに関心のあるデータ(例えば、ピーク)の部分に更に注目するようになされ得る。レンジ選択は、第1の表示区域202に関連して上述された同じタイプのユーザ入力(例えば、キーボードストローク、ポインティングデバイスの操作など)により行われ得る。例えば、レンジ選択は、右クリック−ドラッグを介してマップ、ドリフトスペクトル又はマススペクトルにおいてなされることができ、或いはx軸またはy軸の軸表記(軸ラベル)上での左または右クリック−ドラッグ動作を介してドリフトスペクトル又はマススペクトルにおいてなされ得る。グラフが互いに動的にリンクされているので、1つのグラフに表示されたデータのレンジを変更することは、対応するデータ(例えば、同じタイプのデータ)を含む他のグラフの何れかにおいて表示されている対応するデータに対して同じ変更をもたらす。例として、ドリフトスペクトルにおいてドリフト時間レンジ(ドリフトレンジ)を変更することは、マップのドリフト時間レンジに対して同じ変更をもたらし、マップスペクトルにおいてm/zレンジ(マスレンジ)を変更することは、マップのm/zレンジに対して同じ変更をもたらす。更に、データレンジは、ドリフトスペクトル及び/又はマススペクトルへの対称的な影響(作用)でもってマップから変更され得る。例として、マップにおいてドリフト時間レンジを変更することは、ドリフトスペクトルのドリフト時間レンジに対して同じ変更をもたらし、マップにおいてm/zレンジを変更することは、マススペクトルのm/zレンジに対して同じ変更をもたらす。更に、ドリフト時間レンジ及びm/zレンジの双方は、マップから変更されることができ、ドリフトスペクトルのドリフト時間レンジに対する同じ変更、及びマススペクトルのm/zレンジに対する同じ変更という結果になる。この後者の結果、即ち表示されたデータレンジに対する二次元の変更が図9に示され、図9は、図8に示されているものと同じデータのフレームを示すが、より狭いドリフト時間レンジ(25〜36.5ms)及びm/zレンジ(665.5〜697.5)に拡大されている第2の表示区域206の一例である。
図10は、図9に示されているものと同じグラフを表示し、データのレンジを選択する例を示す第2の表示区域206の一例である。第2の表示区域206において選択を行うことは、第1の表示区域202において選択を行うことに類似することができる。しかしながら、1つのグラフにおいてなされる選択は、対応するデータを包含する他のグラフのどれにも投影され得る。図10に示された例において、ドリフト時間レンジは、選択されたレンジの終点に対応する2つの平行な水平線によって示され、且つ2つの平行な線により境界を形成された区域が反転表示されているように、ドリフトスペクトルにおいて選択されている。また、このレンジ選択は、マップのドリフト時間軸からも投影され、それはこの例において、マップにおいて目に見えるm/zレンジにわたって延びる2つの平行な水平点線によって示される。同様に、m/zレンジがマススペクトルにおいて選択(図示せず)されることができ、このレンジ選択の表現がマップにおいて目に見えるドリフト時間レンジにわたってマップに投影され得る。更に、ドリフト時間レンジ及び/又はm/zレンジは、対称的な影響(即ちレンジ選択(単数または複数)がドリフトスペクトル及び/又はマススペクトルに投影されている)でもってマップにおいて選択されることができる。
図11は、図9及び図10に示されているものと同じグラフを表示し、2つのタイプのデータのレンジを選択する例を示す第2の表示区域206の一例である。一例として、ポインティングデバイスを利用して、マップ上に長方形のボックスのような多角形(又は選択領域)を描くことができる。ボックスは、選択されたドリフト時間レンジの境界を定める平行な線の第1の対、及び選択されたm/zレンジの境界を定める平行な線の第2の対により、境界を形成される。次いで、平行な線の第1の対は、ドリフトスペクトル上へ投影され、平行な線の第2の対はマススペクトル上へ投影される。やはり、選択プロセスは対称的であり、例えば、レンジ選択がドリフトスペクトル及びマススペクトルにおいて最初に行われることができ、マップ上に投影されている平行な線の対(複数)という結果になる(投影された線の少なくともこれらの部分がマップにおいて閉じた多角形を画定する)。
また、第2の表示区域206においてなされるレンジ選択は、選択されたデータレンジに基づいて新たなスペクトルを抽出(生成)するためにも利用されることができ、その新たなスペクトルは、本明細書においてカスタムスペクトル(例えば、カスタムドリフトスペクトル又はカスタムマススペクトル)と呼ばれ得る。カスタムスペクトルは、メモリに保存されるか、及び/又は図2に示されたUser Drift Spectra(又はUser Mass Spectra)と表記された第3の表示区域214に表示され得る。図12Aは、カスタムドリフトスペクトルがダイナミックマススペクトルにおいて選択されたm/zレンジに基づいて生成されている第2の表示区域206の一例である。この例において、カスタムドリフトスペクトルは、既存のダイナミックドリフトスペクトル上の上覆い(オーバレイ)として表示される。カスタムドリフトスペクトルは、任意の図的手段により、例えば、異なる色、異なるタイプの線(例えば、点線、破線対実線、異なる線幅など)、データ点の異なる形状(例えば、円形、菱形、正方形、三角形など)などにより、ダイナミックドリフトスペクトルから区別され得る。ユーザ選択は、カスタムドリフトスペクトル及びダイナミックドリフトスペクトルの双方が目に見えるか否かに関して、又は今しがた新たに生成されたカスタムドリフトスペクトルが目に見えるか否かに関してなされることができる(例えば、新たに形成されたカスタムドリフトスペクトルがダイナミックドリフトスペクトルに取って代わる、又は妥当な場合に、以前に生成されたカスタムドリフトスペクトルに取って代わる)。たとえマップの目に見える現在のレンジがあろうとも(カスタムスペクトルのデータレンジさえもマップにおいて目に見えるか否かにも関わらず)、カスタムスペクトル(例えば、カスタムドリフトスペクトル)は常に、カスタムスペクトルを生成するために利用されるデータレンジ(例えば、m/zレンジ)にわたって集約(合計)された存在量を示す。この態様において、カスタムスペクトルは、一般にダイナミックスペクトルにプロットされた存在量が常に、マップの目に見える現在のデータレンジにわたって集約された存在量を示すという点で、ダイナミックスペクトルとは異なる。留意されるべきは、ダイナミックスペクトルが、第3の表示区域214のユーザスペクトルにも複写(コピー)され得ることである。
図12Bは、カスタムドリフトスペクトルが図12Aに比べて異なるm/zレンジの選択に基づいて生成されている第2の表示区域206の一例である。オプションとして(図12Bに示されているように)、カスタムドリフトスペクトルは、図12Aの場合と同様に、ダイナミックドリフトスペクトル上に重なることができる。一例において、第1のカスタムドリフトスペクトルが生成され(例えば、図12Aに示されるように)、次いで、第2のカスタムドリフトスペクトルが異なるm/zレンジに基づいて生成される(例えば、図12Bに示されるように)。この場合、第2のカスタムドリフトスペクトルは、ダイナミックドリフトスペクトル上の上覆い(オーバレイ)として、以前に生成された第1のカスタムドリフトスペクトルに取って代わることができる。しかしながら、任意のカスタムスペクトルが生成される時はいつも、そのカスタムスペクトルは、上述されたように第3の表示区域214に移動、複写(コピー)または表示され得る。これは、データの異なるレンジに基づいている別のカスタムスペクトルを生成する前に行われ得る。第3の表示区域214は、上述されたように生成された任意の数の異なるカスタムスペクトルを保持するように構成され得る。従って、複数のカスタムスペクトルが生成され、画面表示200の1つの場所に一緒に構成されることができ、その一例は更に後述される。
図12Cは、カスタムマススペクトルがダイナミックドリフトスペクトルにおいて選択されたドリフト時間レンジに基づいて生成された第2の表示区域206の一例である。上述したカスタムドリフトスペクトルの表示に類似して、カスタムマススペクトルが、既存のダイナミックマススペクトル上の上覆いとして表示される。例えば、m/z=672及び725のピークはカスタムマススペクトルの一部(例えば黒色で表示された)であるが、400〜600m/z及び800〜900m/zのレンジのピークは、ダイナミックスペクトルの一部(例えば、図12Cの黒色と白色の表示において、青色で又は黒色よりも薄い色合いで表示された)であるが、カスタムマススペクトルの一部ではない。
図12Dは、対応するカスタムスペクトルを生成するために2つのタイプのデータのレンジを選択する例を示す第2の表示区域206の一例である。この例において、レンジの選択は、マップ上に不規則な多角形の選択領域を描くことにより行われ得る。代案として、描かれる選択領域は、丸くされたり又は湾曲されたりしてもよい(例えば、円形、楕円形など)。この二次元のレンジ選択は、カスタムドリフトスペクトル及びカスタムマススペクトルの生成という結果になり、それらはそれぞれ、例示された例において、ダイナミックドリフトスペクトル及びダイナミックマススペクトル上に重ねられる。
より具体的には、レンジの選択を含む本明細書に開示された実施形態の何れかにおいて、レンジの選択は、所与のデータプロットにおいて表示された同じ次元の2つ以上のレンジ(例えば、ドリフト時間の2つのレンジ)を選択することを必要とするかもしれない。次いで、所望の結果(フィルタリング、ズーミング(拡大・縮小)、抽出、スペクトルなど)は、選択された複数のレンジに基づく。例えば、ユーザは、所与のデータプロットにおいて、2つ以上の一次元選択領域(例えば、平行な線の対)又は二次元の選択領域(例えば、閉じた多角形または曲がった形状)を画定することができる。そのように選択された2つ以上の領域またはレンジは、互いに重なっていても重なっていなくてもよい。
図13は、第1の表示区域202及び第2の表示区域206の例を示す、画面表示200の一例である。例示された例において、第1の表示の捕捉時間領域204は、データファイルの全捕捉時間レンジ(例えば、IMS−MSシステムにより実行された試料分析の全持続時間)の概観を表すヒートマップ(存在量対ドリフト時間対捕捉時間)を表示する。第1の表示区域202のマップに表示された2つの平行な線は、全体的な捕捉時間から抽出された(又は「スライス」された)捕捉時間の選択されたレンジ又はフレームを表す。第2の表示区域206のマップ領域208、ドリフトスペクトル領域210、及びマススペクトル領域212に表示されたデータは、捕捉時間領域204において選択されたフレームに基づく。マップ領域208は、存在量対ドリフト時間対m/z比をプロットするヒートマップを表示する。ドリフトスペクトル領域210は、ダイナミックドリフトスペクトルとしてフレームデータの代替の表現を提示する。マススペクトル領域212は、ダイナミックマススペクトルとしてフレームデータの別の代替の表現を提示する。また、ドリフトスペクトル領域210は、ダイナミックドリフトスペクトル上に重ねられたカスタムマススペクトルを含み、マススペクトル領域212は、ダイナミックマススペクトル上に重ねられたカスタムマススペクトルを含む。従って、明らかなように、画面表示200及び関連するユーザインターフェースは、同じデータの複数のリンクされた表示を容易に見る及び当該表示間で容易にナビゲートする能力を提供し、この場合、各図的表示は、異なる次元(単数または複数)を強調する。従って、画面表示200は、複雑なデータファイルのコンテンツを視覚化および手動で問い合わせることを強力に支援することができる。
図14Aは、カスタムスペクトル領域216を含む第3の表示区域214の一例である。カスタムスペクトル領域216は、ユーザ選択に応じて、1つ又は複数のカスタムドリフトスペクトル(例示されたように)、又はカスタムマススペクトルを表示することができる。ユーザは、例えば図2に示されたようなUser Drift SpectraタブとUser Mass Spectraタブとの間で選択することによって、カスタムドリフトスペクトルとカスタムマススペクトルとの表示を切り換えることができる。上述されたように、任意のカスタムスペクトルが生成される時はいつでも、カスタムスペクトルが、第3の表示区域214のカスタムスペクトル領域216に追加され、そのように生成された複数のカスタムスペクトルが保持および表示され得る。言い換えれば、生成された各カスタムスペクトル(又は生成された任意の数の選択されたカスタムスペクトル)が、「ブックマーク」として第3の表示区域214に追加されることができ、今後の参考のためにそこに保持される。カスタムスペクトルは、第3の表示区域214において閲覧するために、ユーザにより選択可能な様々な異なるモードで構成され得る。例えば、図14Aは、各カスタムスペクトルが他のカスタムスペクトルから別個に表示され、且つそれ自体の個々のドリフト時間軸および信号強度軸を含む「リストモード」を示す。別の例として、図14Bは、図14Aと比べて、異なる構成でカスタムスペクトルを表示するカスタムスペクトル領域216を含む第3の表示区域214の例である。特に、図14Bは、全てのカスタムスペクトルが単一のドリフト時間軸および単一の信号強度軸に関連してプロットされて、互いの上に重ねられている「オーバレイモード」を示す。別の例として、複数のカスタムスペクトルは、第3の表示区域214において互いの上に積み重ねられているが、個々のカスタムスペクトルの選択を容易にするために互いからオフセットされ得る(図示せず)。当業者には理解されるように、更なる代替の表示モードが利用可能にされ得る。カスタムスペクトルがカスタムスペクトル領域216において表示される順序は、ユーザによって望み通りに再順序付けされ得る。
幾つかの実施形態において、ユーザインターフェースは、第3の表示区域214に現在表示されている特定のカスタムスペクトルを選択後(例えば、それをクリックすることにより)、コンテキストメニュー等のような、入力手段によりユーザに利用可能にされる「Go to bookmark(ブックマークに進む)」コマンドを提供する。「Go to bookmark」コマンドの実行は、第2の表示区域206を、現在選択されているカスタムスペクトルの原始データに戻し、それにより第2の表示区域206のグラフは選択されたカスタムスペクトルのデータレンジに従って表示される。例えば、第3の表示区域214に現在表示された個々のカスタムドリフトスペクトルを選択し、「Go to bookmark」コマンドを呼び出した後、選択されたカスタムドリフトスペクトルは、第2の表示区域206のドリフトスペクトル領域210に示されることができ(オプションとして、ダイナミックドリフトスペクトルに重なる)、カスタムドリフトスペクトルを抽出するために利用されたm/zレンジが、第2の表示区域206のマップ(マップ領域208)及びダイナミックマススペクトル(マススペクトル領域212)に図的に示され得る(例えば、上述されたような平行な線、網掛け部分などにより)。
幾つかの実施形態において、ユーザインターフェースは、衝突断面積(CCS)値を計算するためのツール又はモジュール(即ち、断面積計算機インターフェース又は「断面積計算機(Cross Section Calculator)」)を提供し、オプションとして、図15〜図16Cに示されるように、CCS計算に利用される値をプロットするグラフ(即ち、Cross Section Plot(断面積プロット))を更に生成することができる。従来のプロセスは、幾つかの異なるドリフト電界強度E(V/cm)におけるイオンの観測されるイオンドリフト時間tD(ms)を測定し、tD対1/Eをプロットし、ドリフト時間の切片t0を得るために外插するすることを必要とする。これは、イオンがドリフト領域の出口とイオン検出器との間で費やす時間の尺度であり、補正されたドリフト時間td(ms)を得るために、観測されたドリフト時間tDから減算される。次いで、他の測定されたデータと共に、補正されたドリフト時間tdは、Mason-Schamp式において用いられて、平均断面積(平方オングストローム、Å2)を計算することができる。
図15は、断面積計算機領域1516の例を含む第3の表示区域214の例、及び断面積のプロット領域1520を含む第4の表示区域218の一例である。例えば、ユーザは、第3の表示区域214を、カスタムスペクトル領域216(例えば、図2、図14A及び図14B)を含む一方から、断面積計算機領域1516を含む他方へ切り換えた。図示されたように、ユーザは、一組の観測されたドリフト時間tD及びドリフト電界強度Eを含む関心のあるイオン(図示された例においてm/z=293.1528)のCCSを計算するのに必要な全ての変数を手動で入力することができる。次いで、Cross Section Calculator(断面積計算機)は、断面積計算機領域1516に示されたように、ドリフト時間の切片t0を得るために線形回帰を行い、平均断面積Ωのような残りの計算を行う。オプションとして、ユーザインターフェースが、ドリフト時間対1/ΔV(×1000)のような結果としてのデータのプロットも提示してもよい。
幾つかの実施形態において、図15に関連して上述されたプロセスに対する代案として又は追加として、ユーザインターフェースは、適切に取得されたデータファイルからCCSを計算するために必要な全データを自動的に抽出するアルゴリズムを実施することができ、それにより手動の抽出およびデータ入力に必要な著しい時間量が節約される。図16Aは、第1の表示区域202、第2の表示区域206、第3の表示区域214及び第4の表示区域218の例を示す、画面表示200の一例である。この例において、第1の表示区域202は、各異なるドリフト時間において、一組のイオンに関するドリフト時間のシフトを反映する。ユーザは、関心のあるイオンを、例えば第2の表示区域206のマップにおいてイオンを取り囲む領域を描くすることにより選択し(図16Aの点線のボックスにより示されるように)、例えばコンテキストメニューから「Calculate Cross Section(断面積の計算)」コマンドを選択することができる。結果としてのデータ及びドリフト時間対1/ΔV(×1000)のオプションのプロットは、図16Bに示されるように、第3の表示区域214及び第4の表示区域218に提示されることができ、それらは図15に示されたコンテンツに類似する。
第3の表示区域214及び第4の表示区域218に表示されたデータは、互いに並びに1つ又は複数の他の表示区域のデータに動的にリンクされ得る。例えば、図16Bに示されたように、第3の表示区域214のデータ行を選択すること(反転表示することにより示されたような、テーブルのフレーム4)は、プロットの他のデータ点よりも大きく再描画されている対応するデータ点により示されるように、第4の表示区域218のプロットにおいて対応するデータ点を自動的に強調表示する。データ点を強調表示することは、例えばその色を変更する、その形状を変更する、それを脈動するなどのような他の方法で行われ得る。データ選択プロセスは、第4の表示区域218のプロットにおいてデータ点を選択する(例えば、データ点をクリックすることにより)ことが、選択されたデータ点をより大きくレンダリングして第3の表示区域214の対応するデータ行を自動的に強調表示するように、対称的である。
幾つかの実施形態において、ユーザインターフェースは、カスタムスペクトルを扱うことに関連して上述されたものに類似して、断面積計算に関連して「Go to bookmark(ブックマークに進む)」コマンドを提供する。例えば、「Go to bookmark」コマンドは、第3の表示区域214又は第4の表示区域218の何れかにおいて、例えば右クリックすることによりコンテキストメニューを介して呼び出され得る。図16Cは、同じデータ点(フレーム4)が選択され、「Go to bookmark」コマンドの実行結果を示す、図16Bに類似した画面表示200の例である。今、第2の表示区域206は、ドリフトスペクトルを抽出するために利用されたm/zレンジ(単数または複数)及びアルゴリズムにより全く同じように利用されたドリフトスペクトル自体と共に、当該点が抽出されたフレームのデータを表示する。
上述された及び図面に示されたような多次元分析データを表示するための方法は、例えばユーザ入力デバイス及びユーザ出力デバイスと通信するコンピュータデバイスに組み入れられ得るようなプロセッサ及びメモリを含むシステムにおいて、実施(実行)され得る。幾つかの実施形態において、多次元分析データを表示するためのシステム(又は関連したコンピュータデバイス)は、ユーザ入力デバイス及び/又はユーザ出力デバイス含むと考えられ得る。上述された及び図1Aに示されたようなIMS−MSシステムは、多次元分析データを表示するためのシステムを含むことができる、又は当該システムの一部とすることができる、又は当該システムと通信(連絡)することができる。所与の方法に関連した1つ又は複数の機能、動作またはステップは、コンピュータ記憶媒体に格納され得るような適切な機械可読命令を含む、ハードウェア及び/又はソフトウェアにより実施され得る。コンピュータ記憶媒体は、コンピュータデバイスと接続して機能する(例えば、ロードされる)ことができ、当該コンピュータデバイスにより読み出し可能であり、当該コンピュータデバイスは、例えば図1A及び図1Bに概略的に示されたコンピュータデバイス118のような、適切な電子プロセッサを用いるデバイス又はシステムの構成要素(又は少なくともそれらと通信する構成要素)とすることができる。本文脈において、用語「実施する」又は「実行する」は、制御および/または信号伝送またはデータ伝送のようなアクションを包含する。例えば、コンピュータデバイス118又はそのプロセッサは、方法のステップを実行する際に必要とされる別の構成要素を制御することによって、当該方法のステップを実行することができる。実行または制御は、計算を行う、又は信号(例えば、制御信号、命令、測定信号、パラメータ値、データなど)を送信および/または受信することを含むことができる。
例示的な実施形態
現時点で開示された内容に従って提供される例示的な実施形態は、以下に限定されないが、以下のものを含む。
1.多次元分析データを表示およびナビゲートするための方法であり、その方法は、イオン移動度ドリフトスペクトルデータ及びマススペクトルデータを受け取り、複数のウィンドウ枠を含むディスプレイにおいて、存在量対第1のデータに関する第1のイオンデータプロットを表示し、前記第1のデータが存在量以外の1つ又は複数の次元のレンジにわたり、前記第1のイオンデータプロットが前記ディスプレイの第1のウィンドウ枠に表示され、前記ディスプレイの第2のウィンドウ枠において、存在量対第2のデータに関する第2のイオンデータプロットを表示し、前記第2のデータが存在量以外の1つ又は複数の次元のレンジにわたり、前記ウィンドウ枠の少なくとも1つに現在表示されている1つ又は複数の次元におけるデータレンジのユーザ選択を受け取り、前記ユーザ選択に応じて、存在量対第3のデータに関する第3のイオンデータプロットを表示することを含み、前記第3のデータが存在量以外の1つ又は複数の次元のレンジにわたり、前記第3のデータは、前記選択されたデータレンジに制限され、又は前記選択されたデータレンジに基づいてフィルタリングされる。
2.前記第3のイオンデータプロットが、前記第1のウィンドウ枠、前記第2のウィンドウ枠、又は前記第1のウィンドウ枠および前記第2のウィンドウ枠とは異なる別のウィンドウ枠に表示される、実施形態1に記載の方法。
3.前記第3のイオンデータプロットを表示することが、前記第1のイオンデータプロット、又は前記第2のイオンデータプロット上に前記第3のイオンデータプロットを重ねることを含む、実施形態1又は2に記載の方法。
4.前記第3のイオンデータプロットを表示することが、前記第1のウィンドウ枠における前記第1のイオンデータプロットを前記第3のイオンデータプロットと置き換える、又は前記第2のウィンドウ枠における前記第2のイオンデータプロットを前記第3のイオンデータプロットと置き換えることを含む、実施形態1又は2に記載の方法。
5.前記第1のイオンデータプロット、前記第2のイオンデータプロット、及び前記第3のイオンデータプロットの少なくとも1つが、存在量対捕捉時間をプロットするクロマトグラム、存在量対ドリフト時間をプロットするドリフトスペクトル、存在量対m/z比をプロットするマススペクトル、存在量対ドリフト時間対捕捉時間をプロットするマップ、存在量対m/z比対捕捉時間をプロットするマップ、及び存在量対ドリフト時間対m/z比をプロットするマップからなるグループから選択される、実施形態1〜4の何れかに記載の方法。
6.前記第1のイオンデータプロットが既存のクロマトグラムであり、前記第1のデータが捕捉時間を含み、前記選択されたデータレンジが前記既存のクロマトグラムに現在表示されている捕捉時間の1次元のレンジ、又は前記既存のクロマトグラムに現在表示されている存在量および捕捉時間の2次元のレンジを含み、前記第3のデータが捕捉時間を含み、前記第3のイオンデータプロットが、捕捉時間の前記選択されたレンジに制限された捕捉時間を表示する新たなクロマトグラムである、実施形態1又は5に記載の方法。
7.前記第1のイオンデータプロットが既存のクロマトグラムであり、前記第1のデータが捕捉時間を含み、前記第2のデータプロットがドリフトスペクトル又はマススペクトルであり、それに対応して前記第2のデータがドリフト時間またはm/z比を含み、前記選択されたデータレンジが前記第2のイオンデータプロットに現在表示されているドリフト時間またはm/z比のレンジであり、前記第3のデータが捕捉時間を含み、前記第3のイオンデータプロットが、ドリフト時間またはm/z比の前記選択されたレンジに従ってフィルタリングされた存在量を表示する新たなクロマトグラムである、実施形態1又は5に記載の方法。
8.前記第1のイオンデータプロットが既存のクロマトグラムであり、前記第1のデータが捕捉時間を含み、前記第2のデータプロットがドリフトスペクトルであり、前記第2のデータがドリフト時間を含み、前記方法は、前記ディスプレイの第3のウィンドウ枠において、存在量対m/z比をプロットするマススペクトルを表示することを更に含み、前記選択されたデータレンジが前記ドリフトスペクトルに現在表示されているドリフト時間の選択されたレンジ、及び前記マススペクトルに現在表示されているm/z比の選択されたレンジであり、前記第3のデータが捕捉時間を含み、前記第3のイオンデータプロットが、ドリフト時間の前記選択されたレンジ及びm/z比の前記選択されたレンジに従ってフィルタリングされた存在量を表示する新たなクロマトグラムである、実施形態1又は5に記載の方法。
9.前記第1のイオンデータプロットが既存のクロマトグラムであり、前記第1のデータが捕捉時間を含み、前記第2のデータプロットが存在量対ドリフト時間およびm/z比の第2のデータ次元をプロットするマップであり、前記選択されたデータレンジが前記マップに現在表示されているドリフト時間の選択されたレンジ及びm/z比の選択されたレンジであり、前記第3のデータが捕捉時間を含み、前記第3のイオンデータプロットが、ドリフト時間の前記選択されたレンジ及びm/z比の前記選択されたレンジに従ってフィルタリングされた存在量を表示する新たなクロマトグラムである、実施形態1又は5に記載の方法。
10.前記新たなクロマトグラムを表示することが、前記第1のウィンドウ枠における前記既存のクロマトグラムを前記新たなクロマトグラムと置き換えること、前記既存のクロマトグラム上に前記新たなクロマトグラムを重ねること、又は前記第1のウィンドウ枠とは異なるウィンドウ枠に前記新たなクロマトグラムを表示することを含む、実施形態6〜9の何れかに記載の方法。
11.多次元分析データを表示およびナビゲートするための方法であり、その方法は、イオン移動度ドリフトスペクトルデータ及びマススペクトルデータを受け取り、複数のウィンドウ枠を含むディスプレイにおいて、存在量対捕捉時間をプロットするクロマトグラムを表示し、前記クロマトグラムが前記ディスプレイの第1のウィンドウ枠に表示され、前記ディスプレイの第2のウィンドウ枠において、存在量対ドリフト時間対m/z比をプロットするマップを表示し、前記クロマトグラムに現在表示されている捕捉時間のレンジのユーザ選択を受け取り、前記ユーザ選択に応じて、存在量対ドリフト時間対m/z比をプロットする新たなマップを表示することを含み、前記新たなマップが、捕捉時間の前記選択されたレンジに対応する個々のレンジにわたって、存在量、ドリフト時間、及びm/z比を表示する。
12.前記新たなマップを表示することが、前記第2のウィンドウ枠における前記現在のマップを前記新たなマップと置き換える、又は前記第2のウィンドウ枠とは異なるウィンドウ枠に前記新たなマップを表示することを含む、実施形態11に記載の方法。
13.前記第2のウィンドウ枠、或いは1つ又は複数の異なるウィンドウ枠において、ドリフトスペクトル及びマススペクトルを表示し、前記ユーザ選択に応じて、捕捉時間の前記選択されたレンジにわたって及び全m/z値にわたって集約された存在量を表示する新たなドリフトスペクトル、並びに捕捉時間の前記選択されたレンジにわたって及び全ドリフト時間にわたって集約された存在量を表示する新たなマススペクトルを表示することを含む、実施形態11に記載の方法。
14.前記新たなドリフトスペクトル及び前記新たなマススペクトルを表示することが、以下のこと、即ち前記現在のドリフトスペクトルを前記新たなドリフトスペクトルと置き換えること、前記現在のドリフトスペクトルが表示されているウィンドウ枠とは異なるウィンドウ枠において前記新たなドリフトスペクトルを表示すること、前記現在のマススペクトルを前記新たなマススペクトルと置き換えること、又は前記現在のマススペクトルが表示されているウィンドウ枠とは異なるウィンドウ枠において前記新たなマススペクトルを表示することの1つ又は複数を含む、実施形態13に記載の方法。
15.多次元分析データを表示およびナビゲートするための方法であり、その方法は、イオン移動度ドリフトスペクトルデータ及びマススペクトルデータを受け取り、複数のウィンドウ枠を含むディスプレイにおいて、存在量対ドリフト時間対m/z比をプロットする既存のマップを表示し、前記マップが前記ディスプレイの第1のウィンドウ枠に表示され、前記ディスプレイの第2のウィンドウ枠において、ドリフトスペクトルを表示し、前記ディスプレイの第3のウィンドウ枠において、マススペクトルを表示し、前記マップ又は前記ドリフトスペクトルに現在表示されているドリフト時間のレンジ、及び/又は前記マップ又は前記マススペクトルに現在表示されているm/z比のレンジ、或いは前記マップに現在表示されているドリフト時間およびm/z比のレンジのユーザ選択を受け取り、前記ユーザ選択に応じて、以下のこと、即ち、ドリフト時間の前記選択されたレンジに制限されたドリフト時間およびm/z比の前記選択されたレンジに制限されたm/z比を表示する新たなマップ、ドリフト時間の前記選択されたレンジに制限されたドリフト時間を表示する新たなドリフトスペクトル、及びm/z比の前記選択されたレンジに制限されたm/z比を表示する新たなマススペクトルの1つ又は複数を表示することを含む。
16.前記新たなマップを表示することが、前記第1のウィンドウ枠における前記既存のマップを前記新たなマップと置き換える、又は前記第1のウィンドウ枠とは異なるウィンドウ枠に前記新たなマップを表示することを含む、実施形態15に記載の方法。
17.前記新たなドリフトスペクトルを表示することが、前記第2のウィンドウ枠における前記既存のドリフトスペクトルを前記新たなドリフトスペクトルと置き換えること、前記既存のドリフトスペクトル上に前記新たなドリフトスペクトルを重ねること、又は前記第2のウィンドウ枠とは異なるウィンドウ枠において前記新たなドリフトスペクトルを表示することを含む、実施形態15に記載の方法。
18.前記新たなマススペクトルを表示することが、前記第3のウィンドウ枠における前記既存のマススペクトルを前記新たなマススペクトルと置き換えること、前記既存のマススペクトル上に前記新たなマススペクトルを重ねること、又は前記第3のウィンドウ枠とは異なるウィンドウ枠において前記新たなマススペクトルを表示することを含む、実施形態15に記載の方法。
19.第4のウィンドウ枠に表示される複数のドリフトスペクトル又はマススペクトルに対して、前記新たなドリフトスペクトル又は前記新たなマススペクトルの複写を追加することを含む、実施形態15に記載の方法。
20.第4のウィンドウ枠に表示された前記ドリフトスペクトル又はマススペクトルの1つに関するユーザ選択を受け取り、そのユーザ選択に応じて、前記第4のウィンドウ枠における選択されたドリフトスペクトル又はマススペクトルに表示されたドリフト時間またはm/z比の同じレンジに従って、前記第1のウィンドウ枠に前記マップ、前記第2のウィンドウ枠に前記ドリフトスペクトル、及び前記第3のウィンドウ枠に前記マススペクトルを表示することを含む、実施形態19に記載の方法。
21.多次元分析データを表示およびナビゲートするための方法であり、その方法は、イオン移動度ドリフトスペクトルデータ及びマススペクトルデータを受け取り、複数の領域を含むディスプレイにおいて、存在量対ドリフト時間対質量対電荷(m/z)比のマップを表示し、前記マップが前記ディスプレイの第1の領域に表示され、前記ディスプレイの第2の領域において、信号強度対ドリフト時間のダイナミックドリフトスペクトルを表示し、前記ダイナミックドリフトスペクトルの前記ドリフト時間が、前記マップの前記ドリフト時間がプロットされるドリフトレンジに一致するドリフトレンジにわたってプロットされており、前記ディスプレイの第3の領域において、信号強度対m/z比のダイナミックマススペクトルを表示し、前記ダイナミックマススペクトルの前記m/z比は、前記マップの前記m/z比がプロットされるm/zレンジに一致するm/zレンジにわたってプロットされており、前記選択された領域に表示された選択されたデータの現在のレンジになされるべき変更に関するユーザ入力を受け取り、前記ユーザ入力に応じて、1つ又は複数の領域における変更されたレンジに従って、前記レンジを変更し及び前記選択されたデータを表示することを含む。
22.前記ダイナミックドリフトスペクトルにプロットされた前記信号強度が、前記マップにプロットされた前記m/zレンジにわたって集約された存在量に対応し、前記ダイナミックマススペクトルにプロットされた前記信号強度が、前記マップにプロットされた前記ドリフトレンジにわたって集約された存在量に対応する、実施形態21に記載の方法。
23.前記変更されたレンジが、前記現在のレンジから選択された信号値、前記現在のレンジより狭いレンジ、前記現在のレンジより広いレンジ、前記現在のレンジに対して上にシフトされたレンジ、及び前記現在のレンジに対して下にシフトされたレンジからなるグループから選択される、実施形態21又は22に記載の方法。
24.前記選択されたデータが、ドリフト時間データ、m/z比データ、又はドリフト時間データ及びm/z比データの双方からなる、実施形態21〜23の何れかに記載の方法。
25.前記第1の領域、前記第2の領域、及び前記第3の領域から分離した第4の領域における前記変更されたレンジに従って、前記選択されたデータの表示の複写を追加することを含む、実施形態21〜24の何れかに記載の方法。
26.前記選択されたデータの前記レンジを変更することに応じて、対応するデータを包含する1つ又は複数の他の領域に表示された前記対応するデータの現在のレンジを動的に変更し、1つ又は複数のこれら領域における前記変更されたレンジに従って前記対応するデータを表示することを含む、実施形態21〜25の何れかに記載の方法。
27.前記選択された領域が前記第1の領域であり、前記選択されたデータの前記レンジを変更することが、前記第1の領域に表示されたドリフト時間データのレンジを変更し、前記対応するデータが前記第2の領域に表示されたドリフト時間データであること;前記第1の領域に表示されたm/z比データのレンジを変更し、前記対応するデータが前記第3の領域に表示されたm/z比データであること;及び前記第1の領域に表示されたドリフト時間データのドリフトレンジ及びm/z比データのマスレンジを変更し、前記対応するデータが前記第2の領域に表示されたドリフト時間データ及び前記第3の領域に表示されたm/z比データであることからなるグループから選択され、前記第2の領域に表示された前記ドリフト時間データが前記変更されたドリフトレンジに従って表示され、前記第3の領域に表示された前記m/z比データが前記変更されたマスレンジに従って表示される、実施形態26に記載の方法。
28.前記選択された領域が、前記第2の領域であって、前記選択されたデータの前記レンジを変更することが前記第2の領域に表示されたドリフト時間データのレンジを変更することを含み、前記第1の領域に表示されたドリフト時間データのレンジが動的に変更される、第2の領域;第3の領域であって、前記選択されたデータの前記レンジを変更することが前記第3の領域に表示されたm/z比データのレンジを変更することを含み、前記第1の領域に表示されたm/z比データのレンジが動的に変更される、第3の領域;及び前記第2の領域および前記第3の領域であって、前記選択されたデータの前記レンジを変更することが前記第2の領域に表示されたドリフト時間データのレンジを変更すること及び前記第3の領域に表示されたm/z比データのレンジを変更することを含み、前記第1の領域に表示されたドリフト時間データ及びm/z比データが動的に変更される、第2の領域および前記第3の領域からなるグループから選択される、実施形態26に記載の方法。
29.前記マップ及び前記ダイナミックドリフトスペクトルが、互いに平行に表示された個々のドリフト時間軸を含み、前記マップ及び前記ダイナミックマススペクトルが、互いに平行に表示された個々のm/z比軸を含む、実施形態21〜28の何れかに記載の方法。
30.異なる存在量値が異なる色として表示される色符号化に従って前記マップに存在量値を表示することを含む、実施形態21〜29の何れかに記載の方法。
31.前記ユーザ入力を受け取ることに応じて、前記選択された領域において、変更されるべき前記選択されたデータの前記レンジの表示を表示し、対応するデータを含む1つ又は複数の他の領域において、変更されるべき前記レンジの対応する表示を表示することを含む、実施形態21〜30の何れかに記載の方法。
32.前記選択されたデータが、ドリフト時間データ、m/z比データ、並びにドリフト時間データ及びm/z比データの双方からなるグループから選択される、実施形態31に記載の方法。
33.変更されるべき前記選択されたデータの前記レンジの前記表示が、前記選択された領域に表示された1つ又は複数の線、前記レンジの1つ又は複数の値を表す1つ又は複数の線を含み、前記対応する表示が、前記1つ又は複数の他の領域において前記1つ又は複数の線の投影を含む、実施形態31又は32に記載の方法。
34.前記選択された領域が前記第1の領域であり、変更されるべき前記選択されたデータの前記レンジの前記表示が、平行な線の第1の対および平行な線の第2の対からなる多角形からなり、前記対応する表示が、前記第2の領域における前記平行な線の第1の対の投影、及び前記第3の領域における前記平行な線の第2の対の投影からなる、実施形態31又は32に記載の方法。
35.前記選択された領域が前記第2の領域および前記第3の領域であり、変更されるべき前記選択されたデータの前記レンジの前記表示が、前記第2の領域における平行な線の第1の対および前記第3の領域における平行な線の第2の対からなり、前記対応する表示が、前記平行な線の第1の対の投影および前記平行な線の第2の対の投影により境界を形成された、前記第1の領域における多角形からなる、実施形態31又は32に記載の方法。
36.前記選択された領域が前記第1の領域であり、変更されるべき前記選択されたデータの前記レンジの前記表示が、不規則な形状の多角形または湾曲した形状からなる、実施形態31又は32に記載の方法。
37.前記選択されたデータの前記レンジを変更することが、前記変更されたレンジに基づいてカスタムスペクトルを生成することを含み、前記カスタムスペクトルが、カスタムドリフトスペクトル、カスタムマススペクトル、及びカスタムドリフトスペクトルとカスタムマススペクトルの双方からなるグループから選択される、実施形態21〜36の何れかに記載の方法。
38.前記カスタムスペクトルを生成することが、前記ダイナミックマススペクトル又は前記マップに表示されたm/z比データのレンジを選択して、前記選択されたm/z比データのレンジに基づいてカスタムドリフトスペクトルを生成すること;前記ダイナミックドリフトスペクトル又は前記マップに表示されたドリフトデータのレンジを選択して、前記選択されたドリフトデータのレンジに基づいてカスタムマススペクトルを生成すること;及び上記の双方からなるグループから選択される、実施形態37に記載の方法。
39.変更されたレンジに従って前記選択されたデータを表示することが、前記第2の領域に現在表示されている前記ドリフトスペクトルに取って代わるカスタムドリフトスペクトルとして前記カスタムスペクトルを表示し、前記現在表示されているドリフトスペクトルが前記ダイナミックドリフトスペクトル又は以前に生成されたカスタムドリフトスペクトルであること;前記第2の領域に表示された前記ダイナミックドリフトスペクトルに重なるカスタムドリフトスペクトルとして前記カスタムスペクトルを表示すること;前記第1の領域、前記第2の領域および前記第3の領域とは異なる前記ディスプレイの領域にカスタムドリフトスペクトルとして前記カスタムスペクトルを表示すること;前記第3の領域に現在表示されている前記マススペクトルに取って代わるカスタムマススペクトルとして前記カスタムスペクトルを表示し、前記現在表示されているマススペクトルが前記ダイナミックマススペクトル又は以前に生成されたカスタムマススペクトルであること;前記第3の領域に表示された前記ダイナミックマススペクトルに重なるカスタムマススペクトルとして前記カスタムスペクトルを表示すること;前記第1の領域、前記第2の領域および前記第3の領域とは異なる前記ディスプレイの領域にカスタムマススペクトルとして前記カスタムスペクトルを表示すること;及び上記の2つ以上の組み合わせからなるグループから選択された位置に前記カスタムスペクトルを表示することを含む、実施形態37又は38に記載の方法。
40.前記第1の領域、前記第2の領域および前記第3の領域から分離した第4の領域に前記カスタムスペクトルを表示することを含む、実施形態37又は38に記載の方法。
41.前記第4の領域に前記カスタムスペクトルを表示している間に、以前のレンジに従って前記第1の領域に前記マップ、前記第2の領域に前記ドリフトスペクトル、及び前記第3の領域に前記マススペクトルの少なくとも1つを表示することを含み、前記以前のレンジは、前記カスタムスペクトルが基づく前記レンジを変更する前に表示されたレンジである、実施形態40に記載の方法。
42.前記第4の領域に前記カスタムスペクトルを表示している間に、前記カスタムスペクトルが基づく前記変更されたレンジに従って前記第1の領域に前記マップ、前記第2の領域に前記ドリフトスペクトル、及び前記第3の領域に前記マススペクトルの少なくとも1つを表示することを含む、実施形態40に記載の方法。
43.複数のカスタムスペクトルが、前記第4の領域に表示され、各カスタムスペクトルが個々の変更されたレンジに基づいており、前記方法は、前記カスタムスペクトルの1つを選択し、前記選択されたカスタムスペクトルが基づく前記変更されたレンジに従って前記第1の領域に前記マップ、前記第2の領域に前記ドリフトスペクトル、及び前記第3の領域に前記マススペクトルの少なくとも1つを表示することを更に含む、実施形態40に記載の方法。
44.以下のステップ、即ち、選択された領域に表示された選択されるデータの現在のレンジになされるべき変更に関するユーザ入力を受け取り;そのユーザ入力に応じて、前記レンジを変更し、1つ又は複数の領域における前記変更されたレンジに従って前記選択されたデータを表示し;前記変更されたレンジに基づいてカスタムスペクトルを生成し;及び前記第1の領域、前記第2の領域および前記第3の領域から分離した第4の領域に複数のカスタムスペクトルを表示することを1回または複数回繰り返すことにより、複数のカスタムスペクトルを生成することを含む、実施形態37に記載の方法。
45.前記複数のカスタムスペクトルを表示することは、前記他のカスタムスペクトルから独立して各カスタムスペクトルを表示し、それぞれのカスタムスペクトルが個々のドリフト時間軸および信号強度軸を含むこと;及びカスタムスペクトルの全てが単一のドリフト時間および単一の信号強度軸に関連してプロットされるように互いに前記カスタムスペクトルに重ねることからなるグループから選択された構成で、前記第4の領域に前記カスタムスペクトルを表示することを含む、実施形態44に記載の方法。
46.前記ディスプレイの捕捉時間領域において、捕捉時間の関数としてイオン測定データをプロットするイオン測定グラフを表示することを含む、実施形態21〜45の何れかに記載の方法。
47.前記イオン測定データが、全イオン信号強度、抽出されたイオン信号強度、ドリフト時間、及びm/z比からなるグループから選択される、実施形態46に記載の方法。
48.前記イオン測定グラフに表示された前記捕捉時間のレンジに関するユーザ選択を受け取り、そのユーザ選択に応じて、前記捕捉時間の前記選択されたレンジに従って、前記第1の領域に前記マップ、前記第2の領域に前記ドリフトスペクトル、及び前記第3の領域に前記マススペクトルの少なくとも1つを表示することを含む、実施形態46又は47に記載の方法。
49.存在量対ドリフト時間対捕捉時間の捕捉時間マップとして、前記イオン測定グラフを表示することを含む、実施形態46に記載の方法。
50.異なる存在量値が異なる色として表示される色符号化に従って前記捕捉時間マップに存在量値を表示することを含む、実施形態49に記載の方法。
51.断面積計算機領域に衝突断面積計算機インターフェースを表示することを含む、実施形態21〜50の何れかに記載の方法。
52.選択されたイオンに関するデータのユーザ入力を受け取り、そのユーザ入力に応じて、前記断面積計算機領域に前記選択されたイオンに関する前記データを表示することを含む、実施形態51に記載の方法。
53.前記断面積計算機領域において、前記選択されたイオンに関するデータの前記ユーザ入力を受け取ることを含む、実施形態52に記載の方法。
54.第2の表示区域の前記領域の選択された1つにおいて、前記選択されたイオンに関するデータの前記ユーザ入力を受け取り、前記断面積計算機領域において表示するために前記選択されたイオンに関する前記データを動的に抽出することを含む、実施形態52に記載の方法。
55.前記ユーザ入力に応じて、前記選択されたイオンの衝突断面積を計算し、前記計算された衝突断面積に関するデータを前記断面積計算機領域に表示することを更に含む、実施形態52に記載の方法。
56.前記計算された衝突断面積に関するデータの少なくとも一部を断面積プロット領域に表示することを含む、実施形態55に記載の方法。
57.前記選択されたイオンに関するデータの選択されたデータ点に関するユーザ入力を受け取り、その選択されたデータ点のユーザ入力に応じて、前記選択されたデータ点の表示を前記断面積計算機領域に表示し、前記計算された衝突断面積に関するデータの対応するデータ点の表示を前記断面積プロット領域に表示することを含む、実施形態56に記載の方法。
58.前記計算された衝突断面積に関するデータの選択されたデータ点に関するユーザ入力を受け取り、その選択されたデータ点のユーザ入力に応じて、前記選択されたデータ点の表示を前記計算された衝突断面積に表示し、前記選択されたイオンに関するデータの対応するデータ点の表示を前記断面積計算機領域に表示することを含む、実施形態56に記載の方法。
59.前記選択されたイオンに関するデータの選択されたデータ点に関するユーザ入力を受け取り、その選択されたデータ点のユーザ入力に応じて、前記選択されたデータ点に対応するデータに従って、前記第1の領域に前記マップ、前記第2の領域に前記ドリフトスペクトル、及び前記第3の領域に前記マススペクトルの少なくとも1つを表示することを含む、実施形態55に記載の方法。
60.多次元分析データを表示およびナビゲートするための方法であり、その方法は、プロセッサ及びメモリを含むコンピュータデバイスにおいて、イオン移動度ドリフトスペクトルデータ及びマススペクトルデータを受け取り、複数の領域を含むディスプレイにおいて、存在量対第1のデータの第1のイオンデータプロットを第1の領域に表示し、前記ディスプレイの第2の領域において、存在量対第2のデータの第2のイオンデータプロットを表示し、前記第2のデータが、前記第1のデータとは異なるデータの次元であり、前記ディスプレイの選択された領域に現在表示されているデータのデータレンジに関するユーザ選択を受け取り、前記選択された領域が、前記第1の領域、前記第2の領域、並びに前記第1の領域および前記第2の領域以外の前記ディスプレイの領域の少なくとも1つであり、前記ユーザ選択に応じて、存在量対第3のデータの第3のイオンデータプロットを前記ディスプレイの領域の少なくとも1つに表示することを含み、前記第3のデータが前記選択されたデータレンジに対応するデータレンジにわたっている。
61.前記第3のデータは、以下のこと、即ち、前記第3のデータが前記選択されたデータレンジのデータと同じ次元であり、前記選択されたデータレンジが前記第2の領域に現在表示されているデータよりも狭いレンジ、当該データよりも広いレンジ又は当該データからシフトされたレンジであること;前記第3のデータが前記選択されたデータレンジのデータとは異なる次元であり、前記第3のデータによりわたる前記データレンジが前記選択されたデータレンジに対応するデータのみを含むようにフィルタリングされることからなるグループから選択される、実施形態60に記載の方法。
62.前記第3のイオンデータプロットを表示することが、前記第1の領域に前記第3のイオンデータプロットを表示すること;前記第2の領域に前記第3のイオンデータプロットを表示すること;前記ディスプレイの第3の領域に前記第3のイオンデータプロットを表示すること;前記第1のイオンデータプロットに前記第3のイオンデータプロットを重ねること;前記第2のイオンデータプロットに前記第3のイオンデータプロットを重ねること;前記第1の領域における前記第1のイオンデータプロットを前記第3のイオンデータプロットと置き換えること;前記第2の領域における前記第2のイオンデータプロットを前記第3のイオンデータプロットと置き換えることの少なくとも1つを含む、実施形態60又は61に記載の方法。
63.前記第1のイオンデータプロット、前記第2のイオンデータプロット及び前記第3のイオンデータプロットの少なくとも1つは、存在量対捕捉時間をプロットするクロマトグラム、存在量対ドリフト時間をプロットするドリフトスペクトル、存在量対m/z比をプロットするマススペクトル、存在量対ドリフト時間対捕捉時間をプロットするマップ、存在量対m/z比対捕捉時間をプロットするマップ、存在量対ドリフト時間対m/z比をプロットするマップ、全イオン電流クロマトグラム、抽出されたイオン電流クロマトグラム、及びフレーム選択表示からなるグループから選択される、実施形態60〜62の何れかに記載の方法。
64.前記第1のイオンデータプロットがクロマトグラム又はマップであり、前記第1のデータが捕捉時間を含み、前記選択されたデータレンジが、前記クロマトグラム又はマップに現在表示されている捕捉時間のレンジを含み、前記第3のデータが捕捉時間を含み、前記第3のイオンデータプロットが、捕捉時間の選択されたレンジに制限された捕捉時間を表示する新たなクロマトグラム又はマップである、実施形態60に記載の方法。
65.前記第1のイオンデータプロットがクロマトグラム又はマップであり、前記第1のデータが捕捉時間を含み、前記第2のデータプロットがドリフトスペクトル又はマススペクトルであり、前記第2のデータがそれに応じて、ドリフト時間またはm/z比を含み、前記選択されたデータレンジが、前記第2のイオンデータプロットに現在表示されているドリフト時間またはm/z比のレンジであり、前記第3のデータが捕捉時間を含み、前記第3のイオンデータプロットが、ドリフト時間またはm/z比の選択されたレンジに従ってフィルタリングされた存在量を表示する新たなクロマトグラム又はマップである、実施形態60に記載の方法。
66.前記第1のイオンデータプロットがクロマトグラム又はマップであり、前記第1のデータが捕捉時間を含み、前記第2のデータプロットがドリフトスペクトルであり、前記第2のデータがドリフト時間を含み、前記方法は、前記ディスプレイの第3の領域において、存在量対m/z比をプロットするマススペクトルを表示することを更に含み、前記選択されたデータレンジが、前記ドリフトスペクトルに現在表示されているドリフト時間の選択されたレンジ、及び前記マススペクトルに現在表示されているm/z比の選択されたレンジであり、前記第3のデータが捕捉時間を含み、前記第3のイオンデータプロットが、ドリフト時間の前記選択されたレンジ及びm/z比の前記選択されたレンジに従ってフィルタリングされた存在量を表示する新たなクロマトグラム又はマップである、実施形態60に記載の方法。
67.前記第1のイオンデータプロットがクロマトグラム又はマップであり、前記第1のデータが捕捉時間を含み、前記第2のデータプロットが、存在量対ドリフト時間対m/z比をプロットするマップであり、前記選択されたデータレンジが、前記マップに現在表示されているドリフト時間の選択されたレンジ及びm/z比の選択されたレンジであり、前記第3のデータが捕捉時間を含み、前記第3のイオンデータプロットが、ドリフト時間の前記選択されたレンジ及びm/z比の前記選択されたレンジに従ってフィルタリングされた存在量を表示する新たなクロマトグラム又はマップである、実施形態60に記載の方法。
68.前記第1のイオンデータプロットがクロマトグラム又はマップであり、前記第1のデータが捕捉時間を含み、前記第2のデータプロットが、存在量対ドリフト時間対m/z比をプロットするマップであり、前記選択されたデータレンジが、前記クロマトグラムに現在表示されている捕捉時間の選択されたレンジであり、前記第3のイオンデータプロットが、前記捕捉時間の選択されたレンジに対応する個々のレンジにわたって存在量対ドリフト時間対m/z比を表示する新たなマップである、実施形態60に記載の方法。
69.前記ディスプレイの1つ又は複数の領域において、ドリフトスペクトル、マススペクトル、又はドリフトスペクトルとマススペクトルの双方を表示し、前記ユーザ選択に応じて、捕捉時間の前記選択されたレンジにわたって及び全m/z値にわたって集約された存在量を表示する新たなドリフトスペクトル、又は捕捉時間の前記選択されたレンジにわたって及び全ドリフト時間にわたって集約された存在量を表示する新たなマススペクトル、又は新たなドリフトスペクトルと新たなマススペクトルの双方を表示することを含む、実施形態68に記載の方法。
70.前記第1のイオンデータプロットが存在量対ドリフト時間対m/z比をプロットするマップであり、前記第2のデータプロットがドリフトスペクトルであり、前記第2のデータがドリフト時間を含み、前記方法は、前記ディスプレイの第3の領域において、存在量対m/z比をプロットするマススペクトルを表示することを更に含み、前記選択されたデータレンジは、前記マップ又は前記ドリフトスペクトルに現在表示されているドリフト時間のレンジ;前記マップ又は前記マススペクトルに現在表示されているm/z比のレンジ;及び上記の双方からなるグループから選択され、前記第3のイオンデータプロットは、ドリフト時間の前記選択されたレンジに制限されたドリフト時間、及びm/z比の前記選択されたレンジに制限されたm/z比を表示する新たなマップ;ドリフト時間の前記選択されたレンジに制限されたドリフト時間を表示する新たなドリフトスペクトル;m/z比の前記選択されたレンジに制限されたm/z比を表示する新たなマススペクトル;及び上記の2つ以上の組み合わせからなるグループから選択される、実施形態60に記載の方法。
71.前記第3のイオンデータプロットが、抽出されたドリフトスペクトル又は抽出されたマススペクトルであり、前記方法は、メモリに前記第3のイオンデータプロットを複写する又は前記ディスプレイの第4の領域に表示するために前記第3のイオンデータプロットを複写することを更に含む、実施形態60に記載の方法。
72.前記第4の領域が、複数のドリフトスペクトル又はマススペクトルを含み、前記方法は、第4の領域に表示された前記ドリフトスペクトル又はマススペクトルの1つに関するユーザ選択を受け取り、そのユーザ選択に応じて、前記第4の領域における前記選択されたドリフトスペクトル又はマススペクトルに表示されたドリフト時間またはm/z比の同じレンジに従って、前記第1の領域に前記マップ、前記第2の領域に前記ドリフトスペクトル及び前記第3の領域に前記マススペクトルを表示することを更に含む、実施形態71に記載の方法。
73.前記選択されたデータレンジは、前記選択された領域に現在表示されているデータから選択された単一の値;前記選択された領域に現在表示されているデータのレンジより狭いレンジ;前記選択された領域に現在表示されているデータのレンジより広いレンジ;前記選択された領域に現在表示されているデータのレンジに対して上にシフトしたレンジ;及び前記選択された領域に現在表示されているデータのレンジに対して下にシフトしたレンジからなるグループから選択される、実施形態60〜72の何れかに記載の方法。
74.前記ユーザ選択に応じて、前記選択されたデータレンジの表示を前記選択された領域に表示し、対応するデータを含む前記ディスプレイの1つ又は複数の他の領域において前記選択されたデータレンジの対応する表示を表示することを含む、実施形態60〜73の何れかに記載の方法。
75.以下のこと、即ち、前記選択されたデータレンジの前記表示が、前記選択された領域に表示された1つ又は複数の線を含み、前記1つ又は複数の線が前記選択されたデータレンジにおける1つ又は複数の値を表し、対応する表示が1つ又は複数の他の領域における前記1つ又は複数の線の投影を含むこと;前記1つ又は複数の他の領域が第1の他の領域および第2の他の領域を含み、前記選択されたデータレンジの前記表示が前記選択された領域に表示された平行な線の第1の対および平行な線の第2の対からなる多角形を含み、前記平行な線の第2の対が前記平行な線の第1の対に直交しており、前記対応する表示が、前記第1の他の領域における前記平行な線の第1の対の投影、及び前記第2の他の領域における前記平行な線の第2の対の投影を含むこと;前記選択された領域が第1の選択された領域および第2の選択された領域を含み、前記選択されたデータレンジの前記表示が、前記第1の選択された領域に表示された平行な線の第1の対および前記第2の選択された領域に表示された平行な線の第2の対を含み、前記対応する表示が、前記1つ又は複数の他の領域における多角形を含み、その多角形が前記平行な線の第1の対の投影および前記平行な線の第2の対の投影により境界を形成されていること;前記選択されたデータレンジの前記表示が不規則な形状の多角形または湾曲した形状からなることの1つを含む、実施形態74に記載の方法。
76.前記ディスプレイの断面積計算機領域に衝突断面積計算機インターフェースを表示することを含む、実施形態60〜75の何れかに記載の方法。
77.選択されたイオンに関するデータのユーザ入力を受け取り、そのユーザ入力に応じて、前記選択されたイオンに関する前記データを前記断面積計算機領域に表示することを含む、実施形態76に記載の方法。
78.以下のこと、即ち、前記断面積計算機領域以外の前記ディスプレイの領域において前記選択されたイオンに関するデータの前記ユーザ入力を受け取り、前記断面積計算機領域に表示するために前記選択されたイオンに関する前記データを抽出すること;前記ユーザ入力に応じて、前記選択されたイオンの衝突断面積を計算し、その計算された衝突断面積に関するデータを前記断面積計算機領域に表示すること;前記ユーザ入力に応じて、前記選択されたイオンの衝突断面積を計算し、その計算された衝突断面積に関するデータを前記断面積計算機領域に表示し、その計算された衝突断面積に関するデータの少なくとも一部を断面積プロット領域に表示すること;前記ユーザ入力に応じて、前記選択されたイオンの衝突断面積を計算し、その計算された衝突断面積に関するデータを前記断面積計算機領域に表示し、前記断面積計算機領域に現在表示されているデータ点または前記断面積プロット領域に現在表示されている対応するデータ点に関するユーザ選択を受け取り、前記断面積計算機領域において前記選択されたデータ点の強調表示された表示を表示し、前記断面積プロット領域において前記対応するデータ点の強調表示された表示を表示すること;前記ユーザ入力に応じて、前記選択されたイオンの衝突断面積を計算し、その計算された衝突断面積に関するデータを前記断面積計算機領域に表示し、前記断面積計算機領域に現在表示されているデータ点または前記断面積プロット領域に現在表示されている対応するデータ点に関するユーザ選択を受け取り、前記選択されたデータ点に基づいて、断面積計算機インターフェースの外側に現在表示されている前記イオンデータプロットの1つの表示を変更することの1つを含む、実施形態77に記載の方法。
79.前記イオン移動度ドリフトスペクトルデータ及び前記マススペクトルデータを受け取る前に、イオン移動度/質量分析システムにおいて試料を処理することにより、前記イオン移動度ドリフトスペクトルデータ及び前記マススペクトルデータを取得することを含む、実施形態1〜78の何れかに記載の方法。
80.多次元分析データを表示およびナビゲートするためのシステムであり、そのシステムは、実施形態1〜79の何れかに記載の方法の全て又は一部を実行するように構成された少なくともプロセッサ及びメモリを含む。
81.ユーザ出力デバイス、ユーザ入力デバイス、又はユーザ出力デバイスとユーザ入力デバイスの双方を含む、実施形態80に記載のシステム。
82.イオン測定信号を前記プロセッサに伝達するように構成されたイオン検出器を含む、実施形態80又は81に記載のシステム。
83.前記イオン検出器と連絡するイオン移動度分析計および質量分析計を含む、実施形態82に記載のシステム。
84.実施形態1〜79の何れかに記載の方法の全て又は一部を実行するように構成された少なくともプロセッサ及びメモリを含む、イオン移動度/質量分析(IMS−MS)システム。
85.実施形態1〜79の何れかに記載の方法の全て又は一部を実行するための命令を含むコンピュータ可読記憶媒体。
86.実施形態85に記載の前記コンピュータ可読記憶媒体を含むシステム。
本明細書で使用される限り、用語「インターフェース」又は「ユーザインターフェース」は一般に、ユーザがコンピュータデバイスと相互作用(対話)するシステムである。インターフェースは、ユーザがコンピュータデバイスを操作することを可能にするための入力(例えば、ユーザ入力デバイス)を含むことができ、当該システムが情報および/またはデータを提示し、ユーザの操作等の結果を示すことを可能にするための出力(例えば、ユーザ出力デバイス)を含むことができる。コンピュータデバイスのインターフェースの一例は、ユーザがタイピングよりも多くの方法でプログラムと相互作用することを可能にするグラフィカルユーザインターフェース(GUI)を含む。ユーザに利用可能な情報およびアクションを表すためのテキストベースのインターフェース、タイプされるコマンドラベル又はテキストナビゲーションとは対照的に(又はそれらに加えて)、GUIは一般に、表示オブジェクト及び可視的表示器を提供することができる。例えば、インターフェースは、相互作用のためにコンピュータデバイスのユーザにより選択可能である表示ウィンドウ又は表示オブジェクトとすることができる。表示オブジェクトは、コンピュータデバイスの表示画面上に表示されることができ、インターフェースを使用するユーザにより選択され且つ当該ユーザと相互作用することができる。1つの制限しない例において、コンピュータデバイスのディスプレイは、表示アイコンを表示することができるタッチスクリーンとすることができる。ユーザは、表示アイコンが表示アイコンを選択するために表示されるタッチスクリーンの領域を押圧することができる。別の例において、ユーザは、キーボードのような、コンピュータデバイスの任意の他の適切なインターフェースを使用して、表示アイコン又は表示オブジェクトを選択することができる。例えば、ユーザは、表示オブジェクトを強調表示(反転表示)および選択するために、カーソルを移動させるためのトラックボール又は矢印キーを使用することができる。
理解されるように、本明細書で説明された1つ又は複数のプロセス、サブプロセス、及びプロセスのステップは、1つ又は複数の電子的またはデジタル的制御デバイスにおいてハードウェア、ファームウェア、ソフトウェア又は上記の2つ以上の組み合わせにより実行され得る。ソフトウェアは、例えば図1A及び図1Bに概略的に示されたコンピュータデバイス118のような適切な電子処理構成要素またはシステムにおけるソフトウェアメモリ(図示せず)に常駐することができる。ソフトウェアメモリは、論理機能(即ち、「論理(ロジック)」はデジタル回路またはソースコードのようなデジタル形式で、又は例えば、アナログ電気信号、音声信号またはビデオ信号のアナログソースのようなアナログ形式で実施され得る)を実施するための実行可能な命令の順序付けられたリストを含むことができる。命令は、例えば1つ又は複数のマイクロプロセッサ、汎用プロセッサ、プロセッサの組み合わせ、デジタルシグナルプロセッサ(DSP)、又は特定用途向け集積回路(ASIC)を含む処理モジュール内で実行され得る。更に、略図は、アーキテクチャ又は機能の物理的なレイアウトにより制限されない物理的(ハードウェア及び/又はソフトウェア)具現化形態を有する機能の論理的区画を記述する。本明細書で説明されたシステムの例は、多種多様の構成で実現され、単一のハードウェア/ソフトウェアユニット又は別個のハードウェア/ソフトウェアユニットにおけるハードウェア/ソフトウェア構成要素として動作することができる。
実行可能命令は、内部に格納された命令を有するコンピュータプログラム製品として実施されることができ、この場合、電子システム(例えば、図1A及び図1Bに示されたコンピュータデバイス118)の処理モジュールにより実行される場合、電子システムに当該命令を実行するように命令することができる。コンピュータプログラム製品は、電子コンピュータベースのシステム、プロセッサ内蔵システム、又は命令実行システム、装置またはデバイスから命令を選択的にフェッチする及び命令を実行することができる他のシステムのような、命令実行システム、装置またはデバイスにより使用するための又はそれらと連絡する任意の持続性コンピュータ可読記憶媒体において選択的に具現化され得る。本開示の文脈において、コンピュータ可読記憶媒体は、命令実行システム、装置またはデバイスにより使用するための又はそれらと連絡するプログラムを格納することができる任意の持続性手段である。持続性コンピュータ可読記憶媒体は選択的に、例えば電子的、磁気的、光学的、電磁気的、赤外線または半導体システム、装置、又はデバイスとすることができる。持続性コンピュータ可読媒体のより具体的な例の網羅的でないリストは、1つ又は複数のワイヤ(電子)を有する電気接続;携帯用コンピュータのディスケット(磁気);ランダムアクセスメモリ(電子);読み出し専用メモリ(電子);例えばフラッシュメモリのような消去可能PROM(電子);例えばCD−ROM、CD−R、CD−RWのようなコンパクトディスクメモリ(光);及びデジタル多用途ディスクメモリ、即ちDVD(光)を含む。留意すべきは、持続性コンピュータ可読記憶媒体は、紙またはプログラムが印刷される別の適切な媒体ですらよく、当該プログラムが、例えば紙または他の媒体の光学走査を介して電子的にキャプチャされると、適切な方法でコンパイル、解釈または処理されて、必要に応じてコンピュータメモリ又はマシンメモリに格納される。
また、理解されるように、本明細書で使用されるような用語「信号通信(信号連絡)」は、2つ以上のシステム、デバイス、構成要素、モジュール又はサブモジュールがある種の信号経路を介して伝わる信号によって互いと通信(連絡)することができることを意味する。信号は、情報、電力またはエネルギーを第1のシステム、デバイス、構成要素、モジュール又はサブモジュールから第2のシステム、デバイス、構成要素、モジュール又はサブモジュールへ、第1と第2のシステム、デバイス、構成要素、モジュール又はサブモジュールとの間の信号経路に沿って伝えることができる通信信号、電力信号、データ信号またはエネルギー信号とすることができる。信号経路は、物理接続、電気接続、磁気接続、電磁気接続、電気化学接続、光接続、有線接続または無線接続を含むことができる。また、信号経路は、第1と第2のシステム、デバイス、構成要素、モジュール又はサブモジュールとの間に追加のシステム、デバイス、構成要素、モジュール又はサブモジュールを含むこともできる。
より具体的には、「通信(連絡)」(例えば、第1の構成要素が第2の構成要素と通信(連絡)する)のような用語は、2つ以上の構成要素(コンポーネント)または要素間で構造的関係、機能的関係、機械的関係、電気的関係、信号関係、光学的関係、磁気的関係、電磁気的関係、イオン的関係または流体的関係を示すために本明細書で使用される。従って、1つの構成要素が第2の構成要素と連絡すると言われることは、追加の構成要素が、第1と第2の構成要素との間に存在することができ、及び/又は第1と第2の構成要素と関連して動作する又は係合され得る可能性を排除することを意図していない。
理解されるように、本発明の様々な態様または細部は、本発明の範囲から逸脱せずに変更され得る。更に、上記の説明は、単なる例示のためであり、制限のためではなく、本発明は、特許請求の範囲により規定されている。