以下、本発明の実施の形態を、図面を参照して説明する。図1は、本発明の第1実施形態であるキャッピングヘッドを用いたキャッパを備える容器搬送システムのレイアウトを示す部分的な平面図である。また、図2は図1のA−A断面に沿ったキャッパの1台のキャッピングユニットの側断面図であり、図2(a)、(b)にはそれぞれ口部高さの異なる容器を把持した状態が示される。
容器搬送システム10は、キャッパ12を構成するキャッパスターホイール14と、充填機(図示せず)において内容物が充填された容器を順次搬送し、キャッパスターホイール14へ受け渡す供給スターホイール16と、キャッピング(打栓)された容器をキャッパスターホイール14から受け取り搬送する排出スターホイール18を備える。また、キャッパスターホイール14には、打栓用のキャップCをキャッパ12へと供給する公知のキャップディスク20が隣接して設けられる。
キャッパ12は、キャッパスターホイール14の周に沿って所定間隔で配列される複数のキャッピングユニット15を備える。キャッピングユニット15は、キャッパスターホイール14により、キャッパスターホイール14の周に沿って例えば図1において反時計回り移送される。このときキャッピングユニット15は、位置P1において回転するキャップディスク20からキャップCを受け取り、受け取ったキャップCを保持したまま、更にキャッパスターホイール14の周に沿って移送され、位置P2において供給スターホイール16から容器を受け取る。
キャッピングユニット15は、その後、後述するように位置P3においてキャップCの容器への打ち込みを開始し、位置P4までにキャッピングを終了する。打栓が完了した容器は、位置P5においてキャッパスターホイール14から排出スターホイール18へと順次受け渡される。そしてキャッピングユニット15は、再び位置P1へと移送され、同様の処理が繰り返される。
次に図2を参照して第1実施形態のキャッピングユニット15の構成の詳細について説明する。なお図2(a)には、取り扱う容器の品種の中で口部の高さが最も低い容器(基準容器)V1へのキャッピングを行なう状態が示され、図2(b)には、容器V1とは品種の異なり、口部の高さが容器V1よりも高い容器V2のキャッピングを行う状態が示される。
キャッピングユニット15は、ネックグリッパ22と一対で構成され、ネックグリッパ22により保持される容器V1、V2に対して、キャップディスク20から受け取ったキャップCを押し込み、キャッピングを行う。なお図2は、位置P1におけるキャッピングユニット15のA−A断面図であるが、ネックグリッパ22に保持される2種類の容器V1、V2間の位置関係が分かるように、容器V1、V2がネックグリッパ22により把持された状態が示される。
ネックグリッパ22は、容器V1、V2のフランジF1、F2下を把持し、フランジF1、F2の下面に当接する。また、図2には、打栓が完了した状態における容器V1のキャップCと容器V2のキャップCの位置関係が分かるように、打栓完了後のキャップCの位置が各々破線で描かれる。図2には、打栓後のキャップCの頂面のフランジF1、F2下面からの高さが、容器V2の方がhだけ高い場合が例示される。また図2では、キャッピングユニット15が、キャップCを保持して上昇された状態が示されるが、図2は、キャップディスク20上のキャップCとキャッピングユニット15の位置関係が分かるように、キャップディスク20上のキャップCも破線で描かれている。なお、ここで容器V1、V2に装着されるキャップCは同一品種であり、その形状およびサイズは同一である。
キャッピングユニット15は、主に、上部ユニット15A、中部ユニット15B、下部ユニット15Cから構成され、下部ユニット15Cの下端には、第1実施形態のキャッピングヘッド36(後に詳述)が取り付けられる。上部ユニット15Aは、ブッシュ26を介してキャッパスターホイール14と共に回転する回転体28に保持される。
上部ユニット15Aの上部には、カム(不図示)に係合するカムフォロア(不図示)が設けられる。回転体28が回転され、キャッピングユニット15がキャッパスターホイール14の周に沿って移動されると、このカム機構により上部ユニット15Aは、回転体28に対して昇降する。上部ユニット15Aの下側は、中空になっており、その中には、中空の中部ユニット15Bが昇降自在に配置される。
中部ユニット15Bと上部ユニット15Aの間には、メインスプリング30が介装され、中部ユニット15Bはメインスプリング30により上部ユニット15Aに対して下向きに付勢され、その下端は上部ユニット15Aの下端に設けられたストッパ32に押し当てられる。また、中部ユニット15Bは、この状態からメインスプリング30に抗して上部ユニット15Aに対して隙間q分だけ上向きに移動可能に構成され、上部ユニット15Aとの接触によりその上向きの移動は規制される。
また中部ユニット15Bの下端からは、下部ユニット15Cの上端が昇降自在に嵌挿され、下部ユニット15Cと上部ユニット15Aの間に緩衝スプリング34が介装される。緩衝スプリング34により、下部ユニット15Cは上部ユニット15Aに対して下向きに付勢され、上部ユニット15Aのストッパ32に押し当てられる。また下部ユニット15Cは、この状態から緩衝スプリング34に抗して中部ユニット15Bに向けて隙間r分だけ上向きに移動可能に構成される。なお、中部ユニット15Bは、メインスプリング30の内側に配置される中空の円筒のガイド部を備え、緩衝スプリング34は、この中を通して、上部ユニット15Aと下部ユニット15Cの間に介装される。また、緩衝スプリング34のバネ定数は、例えばメインスプリング30の約1/5倍とされる。
下部ユニット15Cの下端には、キャッピングヘッド36が装着される。キャッピングヘッド36は、下部ユニット15Cに取り付けられるベース部材36Aと、ベース部材36Aに保持され、キャップCを吸引・保持するキャップ保持部材36Bと、キャップ保持部材36Bとベース部材36Aの間に介装され、両者の間の間隔を調整する調整部材36Cとを備える。図3を参照して後述するが、キャップ保持部材36Bと調整部材36Cは、作動時、一体的にベース部材36Aに対して昇降可能とされ、ベース部材36Aと調整部材36Cの間に介装される調整スプリング38により下向きに付勢される。なお、調整スプリング38のバネ定数は、例えばメインスプリング30の約1/20〜1/10倍、緩衝スプリング34の1/4〜1/2倍に設定される。
キャップ保持部材36B、ベース部材36Aには、下部ユニット15Cへと連通する吸気経路40が形成され、吸気経路40は、下部ユニット15Cに連結される吸気管41を介して外部に設けられる真空源42へと接続される。すなわち、キャップCは、吸気管41、吸気経路40を通した真空源42による吸引により、キャップ保持部材36Bの先端に吸着され保持される。
次に図3、図4(a)、(b)を参照して、第1実施形態のキャッピングヘッド36の構成についてより詳細に説明する。
図3、図4は、キャッピングヘッド36の側断面図である。キャッピングヘッド36において、調整部材36Cは、ベース部材36Aに向けたキャップ保持部材36Bの移動可能距離を調整するものである。図3は、調整部材36Cによりキャップ保持部材36Bのベース部材36Aに対する移動可能距離を0に設定したときの断面図である(間隙G=0)。一方、図4は調整部材36Cによりキャップ保持部材36Bのベース部材36Aに対する移動可能距離(間隙G)を0よりも大きい値(G>0)に調整したときの断面図である。
ベース部材36Aは、下部ユニット15Cに装着されるベース部44と、ベース部44に取り付けられ、下方へ延在してキャップ保持部材36B、調整部材36Cを収容する円筒状の外被部46とから構成される。ベース部44は、外被部46がその外周に取り付けられるベース部本体48と、ベース部本体48の中央部から上方に延出し、下部ユニット15Cの下端から挿入され、ベース部44を同ユニットに嵌着するためのロッド状のプラグ部50と、外被部46の内側にあって、ベース部本体48の略中央から下方に延出する中空円筒状のガイドボア部52を備える。
キャップ保持部材36Bは、ベース部44のガイドボア部52に摺動自在に嵌入されるシャフト部54と、キャップCの頂部に被せられ、キャップCを吸着・保持する吸着ヘッド部56とを備える。吸着ヘッド部56は、略円筒形を呈し、その先端面(底面)には、キャップCの頂部に適合する凹部56Rが形成される。吸着ヘッド部56の上面中央には、上記シャフト部54が直立して設けられ、シャフト部54の先端側は、円筒形を呈し、ガイドボア部52のボア52Bに摺動自在に嵌合される。これによりキャップ保持部材36Bのベース部44に対する上下運動および回転運動がガイドされる。
キャップ保持部材36Bの中心には、凹部56Rの中央からシャフト部54の先端まで連通する吸引通路57が形成される。また、ベース部材36Aの中心には、ボア52Bからプラグ部50の先端まで連通する吸引通路51が形成される。すなわち、キャップ保持部材36Bのシャフト部54がベース部材36Aのボア52Bに嵌合されると、吸引通路57、ボア52B、吸引通路51により、吸気経路40(図1参照)が形成される。
シャフト部54の吸着ヘッド部56に隣接する領域には、雄螺子が設けられた螺子部54Sが設けられる。そしてシャフト部54において、ボア52Bに挿入される円筒形の先端部と螺子部54Sとの間には、平坦面54Fと、その反対側(周方向に180°ずれた位置)に溝54Gが設けられる。
また、キャップ保持部材36Bの吸着ヘッド部56の上面周縁には、径方向外側に延出するフランジ部56Fが設けられ、ベース部材36Aの外被部46の下端には径方向内側へフランジ状に延出する係止部46Sが設けられる。すなわち、フランジ部56Fは、係止部46Sと係合し、キャップ保持部材36Bのベース部材36Aに対する下方への移動が規制される。
調整部材36Cは、シャフト部54の螺子部54Sと螺合する雌螺子を備える螺子部材58と、螺子部材58に組み付けられノブ付きボルト60が螺合されるとともに、ボールプランジャ62Pが挿通される孔が設けられた固定部材64と、ボールプランジャ62Pが設けられ、固定部材64に組み付けられるプランジャ保持部材62とを備える。後述するように、キャップ保持部材36Bと調整部材36Cの相対位置を固定する際には、ノブ付きボルト60の先端は、シャフト部54の平坦面54Fに係合し、ボールプランジャ62Pはシャフト部54の溝54Gに係合する。なお、外被部46の側面には、ノブ付きボルト60を挿通するための縦長の長孔46Hが設けられる。
調整スプリング38は、ガイドボア部52の周囲に巻回され、ベース部本体48と調整部材36Cの固定部材64との間に圧縮された状態で配置される。すなわち、調整部材36Cは調整スプリング38によりベース部材36Aに対して下向きに付勢され、フランジ部56Fは、係止部46Sに押し当てられる。
キャップ保持部材36Bと調整部材36Cの上下方向の相対位置は、キャップ保持部材36Bの螺子部54Sと調整部材36Cの螺子部材58の噛み合いにより調整される。ユーザは、ノブ付きボルト60を緩めた後、キャップ保持部材36Bを手動で回転して両者の軸方向への相対位置を調整し、ノブ付きボルト60を締めてその位置を固定する。なお、第1実施形態では、シャフト部54に平坦面54Fと溝54Gが設けられ、キャップ保持部材36Bを1回転する毎に平坦面54Fがノブ付きボルト60に正対するとともに、ボールプランジャ62Pが溝54Gに係合する。すなわち、キャップ保持部材36Bの回転は、弱い回転力に対しては平坦面54Fがノブ付きボルト60に正対する位置でボールプランジャ62Pにより規制され位置決めされる。そして、より強い回転力をキャップ保持部材36Bに加えるとボールプランジャ62Pの先端ボールが押し込まれキャップ保持部材36Bが回転される。
第1実施形態では、平坦面54Fをノブ付きボルト60に正対させた状態で、ノブ付きボルト60の先端を平坦面54Fに垂直に押し当ててキャップ保持部材36Bと調整部材36Cの相対位置を固定する。すなわち、第1実施形態では、種類の異なる容器(V1、V2)のフランジ(F1、F2)下面から打栓後のキャップCの頂面までの高さの違い(h)に応じて(図2参照)、キャップ保持部材36Bを回転させ、螺子部54Sの螺子ピッチPt(例えば0.5mm)を単位にキャップ保持部材36Bと調整部材36Cの軸方向位置が調整される。
図3では、フランジ部56Fが係止部46Sに当て付けられた状態において、固定部材64の上面(調整部材36Cの当接部65)がガイドボア部52の先端であるストッパ52Aに既に当接しているので、キャップ保持部材36Bと調整部材36Cは、ベース部材36Aの係止部46Sとガイドボア部52の間にピッタリと挟まれ、ベース部材36Aに対して移動できない。
一方、図4(a)の状態は、フランジ部56Fが係止部46Sに当て付けられた状態において、固定部材64とガイドボア部52の先端との間に間隙G(>0)が形成される。すなわち、キャップ保持部材36Bは、調整スプリング38の付勢力に抗して、調整部材36Cの当接部65をガイドボア部52の先端であるストッパ52Aに当接するまでキャッピングヘッド36内に押し込むことが可能である。図4(b)は、キャップ保持部材36Bが、キャッピングヘッド36内に間隙G分の距離押し込まれ、調整部材36Cの当接部65がガイドボア部52のストッパ52Aに当接された状態が示される。
次に図1〜図5を参照して、第1実施形態のキャッパ12による打栓時のキャッピングヘッド36の作動について説明する。
図5(a)、図5(b)は、図1のB−B断面に沿ったキャッパ12の1つのキャッピングユニット15の側断面図であり、図5(a)は、図2(a)に対応し、基準容器V1のキャッピングを行う場合に対応する。一方、図5(b)は、図2(b)に対応し、口部の高さが基準容器V1よりも高い容器V2のキャッピングを行う場合に対応する。図5には、キャッピングユニット15が最も下まで押し下げられ、キャッピングヘッド36に吸着されたキャップCが容器V1、V2の口に完全に押し込まれた状態が示される。
図2(a)、図5(a)のキャッピングヘッド36は、ベース部材36Aに対してキャップ保持部材36Bが相対移動できない図3の状態に調整されている。一方、図2(b)、図5(b)のキャピングヘッド36は、キャップ保持部材36Bがキャッピングヘッド36内に間隙Gの距離押し込み可能なように調整されている。
回転体28の回転によりキャッピングユニット15が位置P1に達すると、キャッピングユニット15はカム曲線に沿って下降され、キャップディスク20上のキャップ供給位置にあるキャップCに当接する。キャッピングユニット15は、更に僅かに下降され、キャップディスク20に押し当てられるが、このとき緩衝スプリング34が圧縮され、下部ユニット15Cとキャッピングヘッド36が隙間r分だけ上向きに移動し、衝撃を吸収する。キャップCは、凹部56R内において位置決めされ、吸気経路40を通した吸引によりキャッピングヘッド36に吸着される。
キャッピングユニット15が更に位置P2に達すると、キャピングユニット15は打栓のためカム曲線に沿って更に下降され、キャップCの容器V1、V2への打栓が開始される。B−B断面図位置において、キャッピングユニット15はカム曲線により最も下降され、キャップCは、容器V1、V2に完全に嵌め込まれる。その後、位置P4に到るまでに、キャップCの吸着が解除され、カム曲線に沿ってキャッピングユニット15が初期位置まで上昇される。
カム曲線は、基準容器V1の口部の高さに合わせて設計されているため、図3のようにキャップ保持部材36Bがベース部材36Aに対して固定され、キャッピングヘッド36が下部ユニット15Cと一体的に構成されていても、キャッピングユニット15がカム曲線に沿って最も下降されたときに、キャップCが容器V1の口部高さに合わせて押し込まれる。なお、キャッピンユニット最下降時には、図2に示されるように、下部ユニット15Cが中部ユニット15Bに向けて緩衝スプリング34の付勢力に抗して間隙r分上方に押し戻されるように構成されているため(図2参照)、打栓時にキャップCに衝撃力が掛かることが防止される。
一方、フランジ下(基準高さ)からの口部高さが基準容器V1よりもh分高い容器V2では、図3のようにキャップ保持部材36Bのベース部材36Aに対する相対値が固定されていると、キャッピングユニット15がカム曲線に沿って最も下降されるとき、キャップCが高さh分、容器V2に余分に押し込まれることになる。そのためキャップCには、過大な押圧力が掛かかり、塑性変形が発生したり、開閉キャップが開き下流側で蓋部が破損したりする可能性がある。
上述したように、第1実施形態では、容器の品種に応じた高さhに合わせて、キャップ保持部材36Bと調整部材36Cとの螺子係合を用いて両者の相対位置を調整可能とし、高さhに合わせて調整部材36Cの当接部65とベース部材36Aのストッパ52Aとの間に間隙Gを設ける。間隙Gは、高さhと同じ大きさ(G=h)、あるいはhよりも僅かに小さい値に設定される。
調整スプリング38のバネ定数は、緩衝スプリング34のバネ定数の1/4〜1/2倍に設定されているので、キャップCが容器V2の口部に当接し、更にキャッピングヘッド36が下降されると、調整スプリング38の圧縮により、キャップ保持部材36Bがベース部材36Aに向けて間隙G分上方へと移動される。その後更に緩衝スプリング34が圧縮され、下部ユニット15Cが隙間r分中部ユニット15Bに向けて上昇されて下部ユニット15Cが中部ユニット15Bに当接する。これにより、口部高さがh高い容器V2へのキャッピングにおいても、キャップCに過大な押圧力が掛かることはなく、キャップCに塑性変形が発生したり、キャップCが開閉キャップであっても打栓後に蓋部が開いたりすることがない。
なお、メインスプリング30は、主に打栓のための圧力を生じさせる打栓作用を担い、緩衝スプリング34は、キャップディスク20からのキャップCの取り出し、あるいは容器にキャップCが最初に当たる際に発生する衝撃の緩衝作用を担う。また調整スプリング38は、キャップ保持部材36Bが非打栓時に下方に位置決めされるように付勢する付勢作用を主に担う。
以上のように、第1実施形態のキャピングヘッドを用いたキャッパでは、口部高さが基準容器とは異なる容器に対しても、キャップ保持部材と調整部材との位置関係を調整するだけで対応してキャッピングを行うことができる。また、第1実施形態では、キャップ保持部材を回転させるだけで位置調整が可能であり、作業性が極めて高い。
次に図6を参照して本発明の第2実施形態のキャッピングヘッドの構成について説明する。図6は、図3、図4(a)に対応する第2実施形態のキャッピングヘッドの側断面図であり、図6(a)は、図3と同様にキャッピングヘッドに調整代を設けない状態、図6(b)は、図4(a)のようにキャッピングヘッドに間隙G分の調整代を設けた状態を示す。なお、以下の説明では、第1実施形態と同一の構成については同一参照符号を用い、その説明を省略する。
第1実施形態では、キャップ保持部材36Bがシャフト部54を備え、これがベース部材36Aのボア52Bと係合してキャップ保持部材36Bおよび調整部材36Cの上下運動をガイドした。しかし第2実施形態では、第1実施形態のキャップ保持部材36Bからシャフト部54を取り除き、調整部材66Cにシャフト部68を設け、これをベース部材36Aのボア52Bと係合してキャップ保持部材66Bおよび調整部材66Cの上下運動をガイドする。なお、その他の構成は、第1実施形態と同様である。また図6では、シャフト部に関わる構成以外のキャップ保持部材66B、調整部材66Cの詳細な構成は、図3、図4(a)と同じであるので省略されている。
以上のように、第2実施形態においても、第1実施形態と同様の効果を得ることができる。なお、第2実施形態において調整部材はベース部材に対して回転する必要がないので、シャフト部68の断面は、円形である必要はない。
また、第1、第2実施形態のキャッピングヘッドの変形例として、例えばキャップ保持部材の調整部材に対する昇降機構に螺子係合以外の機構を用いることも可能である。例えば、キャップ保持部材をスプライン等に沿って昇降させ、ボルトでその高さ(位置)を固定することも可能である。
次に図7を参照して、本発明の第3実施形態のキャッピングヘッドの構成について説明する。図7(a)の左半分は、第3実施形態のキャッピングヘッドの側面図であり、右半分は側断面図である。また図7(b)は、第3実施形態のキャッピングヘッドを下から見た底面図である。
第1、第2実施形態では、調整部材36C、66Cは、キャップ保持部材36B、66Bに固定された。すなわち、キャップ保持部材36B、66Bと調整部材36C、66Cは、ベース部材36Aに対して一体的に昇降し、調整部材36C、66Cの当接部65は、ベース部材36Aのストッパ52Aに当接した。一方、第3実施形態のキャッピングヘッドでは、調整部材がベース部材に固定され、調整部材の当接部が、昇降するキャップ保持部材に当接するように構成される。なお、以下の説明において、第1、第2実施形態と同様の構成に関しては、同一参照符号を用い、その説明を省略する。
図7に示されるように、第3実施形態のキャッピングヘッド70は、ベース部材70Aとキャップ保持部材70Bと、両者の間に介装される調整部材70Cとを備える。ベース部材70Aは、下部ユニット15Cに装着されるベース部72と、ベース部72の周に沿って略等間隔で取り付けられ、下方へ延在する4本のアーム部74と、アーム部74の各下端から径方向内側に向けて突出するストッパ爪74Sとを備える。また、ベース部72は、アーム部74がその外周に取り付けられるベース部本体と、ベース部本体の中央部から上方に延出し、下部ユニット15Cの下端から同ユニットに嵌装されるロッド状のプラグ部50と、ベース部本体の略中央から下方に延出する中空円筒状のボア部78とを備える。
ボア部78の内周には、雌螺子78Tが刻設され、円筒状の調整部材70Cの上部外周に設けられた雄螺子70Tと螺合される。すなわち、調整部材70Cとボア部78の螺子係合を調整することにより、調整部材70Cのベース部材70Aに対する上下方向の位置が調整可能である。
調整部材70Cは中空円筒状に形成され、その内側にはキャップ保持部材70Bの吸着ヘッド部80の略中央から上方に延出するシャフト部82が昇降自在に嵌入される。吸着ヘッド部80の上部は、径方向外側に延出するフランジ部80Fとして構成され、円筒状の調整部材70Cの所定高さには、径方向外側に延出するフランジ部84が設けられる。
フランジ部80F、84は、正対して配置され、両者の間には調整スプリング38が圧縮された状態で介装される。すなわち、キャップ保持部材70Bは、調整スプリング38により、ベース部材70Aに固定された調整部材70Cに対して下向きに付勢される。このとき、フランジ部80Fの下面は、アーム部74の各下端から内側に延出するストッパ爪74Sに当接し、係止される。
また、フランジ部80Fがストッパ爪74Sに係止された状態において、調整部材70Cの下端面に位置する当接部86とキャップ保持部材70Bのフランジ部80Fの上面に位置するストッパ88との間には大きさGの間隙が形成される。打栓時、キャップ保持部材70Bは、調整スプリング38に抗して調整部材70Cに向けてストッパ88が当接部86に当接するまで上昇可能である。
なお、吸着ヘッド部80の底面には、キャップCの頂部に適合する凹部56Rが形成され、その中心にはキャップ保持部材70Bの軸に沿って吸引通路57が形成され、ベース部材70Aのプラグ部50の吸引通路51に連通する。
以上のように、第3実施形態によっても、第1、第2実施形態と略同様の効果を得ることができる。
なお、本実施形態ではネック搬送を用いるキャッパを例に説明を行なったが、本発明は容器のフランジ以外の基準位置に対する口部高さが異なる場合、例えばびん台によって容器を搬送し、キャッピングするキャッパにも適用できる。びん台を用いる場合には、容器全長(高さ)の違いに応じて、間隙Gの大きさが設定される。また、本実施形態では、容器の品種の違いによる口部高さの違いに対応する場合を説明したが、本発明はキャップの高さ(品種)が異なる場合にも適用できる。
また、本実施形態では、調整スプリング、緩衝スプリング、メインスプリングなどの付勢部材としてスプリングを用いたが、これらにエラストマや、圧縮エア等の流体を用いる緩衝装置を用いることも可能である。なお、調整スプリングは、キャップディスクからキャップを取り出す際に、キャップ保持部材がヘッドの下端位置に位置するようにキャップ保持部材を下方に付勢する構成であればよく、本実施形態に限定されるものではない。
本実施形態では、調整手段が1つの調整部材から構成され、これがベース部材またはキャップ保持部材の一方に位置調整可能に固定されたが、例えば調整手段を独立した2つの調整部材から構成し、一方をベース部材に位置調整可能に固定し、他方をキャップ保持部材に位置調整可能に固定するとともに、両調整部材の間に間隙を設け、キャップ保持部材を付勢部材である調整スプリングで付勢する構成とすることもできる。なお、このような場合において、ベース部材、キャップ保持部材の一方の部材に固定された一方の調整部材の当接部は他方の調整部材の当接部に当接する。したがって請求項1における「他方」と言う用語には、他方の部材に固定された他方の調整部材が含まれる。また、2つの調整部材同士を位置調整可能に固定し、組み付けられた調整部材と、ベース部材およびキャップ保持部材との間に間隙を設け、キャップ保持部材を調整スプリングで付勢する構成とすることもできる。