JP6491567B2 - 電力ケーブル用バスダクト - Google Patents

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Description

本発明は、電力ケーブル用バスダクトに関する。
家屋やビル等の建築物に設けられる排気用または配線もしくは配管用のバスダクトには、耐火性材料が施されている。
例えば、特許文献1は( 1 ) 建築物の防火区画を画成する仕切り部に形成された第一の貫通孔と、( 2 )第一の貫通孔に挿通されたバスダクトと、( 3 ) 二以上の平面形状部材を同一平面上において組み合わせたものであって、第一の貫通孔と略同一の外周形状を有し、かつバスダクトが貫通するための第二の孔とを有する仕切り板と、を備えたバスダクト用防火区画貫通部構造について記載している。
特許文献2はダクト本体の外周および/または内周に熱膨張性耐火被覆材を備え、熱膨張性耐火被覆材は、無機繊維55〜85重量%、熱膨張性黒鉛5〜30重量%、無機質バインダー5〜25重量%および有機質バインダー5〜15重量%からなり、熱膨張性耐火被覆材に含まれる無機質バインダーは、融点が650〜1000℃の範囲である焼結性無機質材からなることを特徴とするダクトについて記載している。
特許文献3は、金属ダクトの外周面および金属ダクトの内周面の少なくとも一方に耐火被覆層を備えるものであって、耐火被覆層は、熱膨張許容層、熱膨張性耐火材層および金属層の少なくとも三層が、金属ダクト側から熱膨張許容層、熱膨張性耐火材層および金属層の順に配置されていることを特徴とする、耐火ダクトについて記載している。
特開2006-138144 特開2008-31800 特開2009-249976
バスダクト内に電力ケーブルを引き込んで建築物の天井面または床面に這わせる際に、長期間の使用による塵芥の付着等を理由として建築物内の施設でケーブル火災が発生する可能性が指摘されている。しかしながら、原子量発電所、石油プラント施設、高層ビル等の施設では火災発生時に容易に近づけないため、防火性能の更なる向上が望まれている。
バスダクト内に収納された電力ケーブルは、主としてバスダクト下面から火災による熱が伝えられるが、バスダクト内に複数の電力ケーブルが積み重なって収納されている場合、熱膨張性耐火層が重量物である電力ケーブルの下敷きとなって、押し潰され得る。
電力ケーブルの重量に抗しつつ、火の侵入を防ぐことができる電力ケーブル用バスダクトが求められている。
本発明の目的は、電力ケーブルの重量を支持しつつ電力ケーブルの耐火性を高めることができる電力ケーブル用バスダクトを提供することである。
本発明は以下の通りである。
項1.複数の電力ケーブルが収納されている電力ケーブル用バスダクトであって、バスダクトの内周に電力ケーブルの下敷きとなって熱膨張性耐火層が配置されており、自由状態の熱膨張性耐火層の厚みが10mm以上かつ50kW/m2で30分間加熱したときの膨張倍率が10倍以上である電力ケーブル用バスダクト。
項2.前記バスダクトが矩形であり、前記熱膨張性耐火層がバスダクトの内周の下面のみか、またはバスダクトの内周の下面と2つの側面のみに配置され、バスダクトの内周の上面には配置されていない項1に記載の電力ケーブル用バスダクト。
項3.前記バスダクトが矩形であり、前記熱膨張性耐火層は、バスダクトの内周に電力ケーブルの下敷きとなる第1の熱膨張性耐火層と、第1の熱膨張性耐火層とは異なる第2の熱膨張性耐火層とを含み、前記第2の熱膨張性耐火層はバスダクトの内周の上面または側面に配置されている項1に記載の電力ケーブル用バスダクト。
項4.前記電力ケーブルの下敷きとなった熱膨張性耐火層の50kW/m2で30分間加熱後の平均膨張倍率が3倍以上である項1に記載の電力ケーブル用バスダクト。
項5.熱膨張性耐火層が、ブチルゴム、熱膨張性黒鉛、リン酸エステルを含む熱膨張性シートである、項1〜3のいずれか一項に記載の電力ケーブル用バスダクト。
項6.熱膨張性耐火層を50kW/m2で30分間加熱したときの膨張倍率が10〜40倍である項1に記載の電力ケーブル用バスダクト。
本発明によれば、熱膨張性耐火層により電力ケーブルの重量を支持しつつ、電力ケーブルとバスダクトとの間に十分な耐火断熱層が形成される。これにより、電力ケーブルの耐火性を高めることができ、電力ケーブル用バスダクトにおける耐火性がより向上する。
本発明の第1実施形態の電力ケーブル用バスダクトの断面図。 本発明の第2実施形態の電力ケーブル用バスダクトの断面図。 本発明の第3実施形態の電力ケーブル用バスダクトの断面図。 実施例の試験系の略斜視図。
本発明を電力ケーブル用バスダクトに具体化した第1〜3実施形態について図1〜3に従って説明する。
(第1実施形態)
図1を参照すると、本発明の第1実施形態の電力ケーブル用バスダクト1の内部には、複数の電力ケーブル2(図では8個)が収納されている。バスダクト1の本体は、通常、アルミ、鋼鉄、ステンレス、銅等の金属製のものが使用されるが、これらに限定されない。バスダクト1の内周には、電力ケーブル2の下敷きとなって熱膨張性耐火層3が配置されている。電力ケーブル2は熱膨張性耐火層3と接触し、熱膨張性耐火層3はバスダクト1の内周に直接配置されている。本実施形態ではバスダクト1は断面が矩形であり、バスダクト1の内周は上面11、下面12、ならびに2つの側面13,14から構成されており、熱膨張性耐火層3はバスダクト1の内周の下面12と2つの側面13,14に配置され、バスダクト1の内周の上面11には配置されていない。
熱膨張性耐火層3はテープまたはシート状の成形体であり、それ自体に粘着性がある場合はバスダクト1の内周に直接接着され、それ自体に粘着性がない場合は、適宜、接着剤、粘着剤、粘着テープ等を用いてバスダクト1の内周に接着される。
バスダクト1は家屋、ビル、プラント、発電所、または工場等の建築物の天井面または床面に設けられる。バスダクト1の下方から火が来ると、下面12の熱膨張性耐火層3が加熱により膨張し、図1において電力ケーブル2を押し上げ、熱膨張性耐火層3とバスダクト1との間の空間および熱膨張性耐火層3と電力ケーブル2との空間を埋めていく。このため、バスダクト1の内部の空間が熱膨張した熱膨張性耐火層3で埋められ、電力ケーブル2の耐火性が高められる。後述するように、熱膨張性耐火層3の厚みが10mm以上かつ、50kW/m2で30分間加熱したときの膨張倍率(体積膨張率ともいう)が10倍以上である。ここでいう熱膨張性耐火層3の厚みは自由状態、つまり熱膨張性耐火層3に荷重が加わっていない場合の厚みを指し、膨張倍率は自由状態の膨張倍率を指す。熱膨張性耐火層3のシート厚みがある程度厚いことにより、耐火層が膨張した時に電力ケーブルに押しつぶされない。また、膨張倍率を10倍以上とすることで、今回の電力ケーブルによる荷重が加わった時でも荷重に対抗した十分な膨張が期待できる。熱膨張性耐火層3が複数層積層されている場合、少なくともそのうちの一層の厚みが10mm以上かつ膨張倍率が10倍以上であればよい。本実施形態の電力ケーブル用バスダクト1は、電力ケーブル2の重量を支持しつつ耐火性能を発揮できるという効果を奏する。
熱膨張性耐火層3を構成する耐火樹脂材料について以下、より詳しく説明する。耐火樹脂材料は、樹脂成分に熱膨張性黒鉛を含む樹脂組成物であり、例えば樹脂成分、熱膨張性黒鉛、およびリン化合物を含む樹脂組成物;樹脂成分、熱膨張性黒鉛、および無機充填剤を含む樹脂組成物;ならびに樹脂成分、熱膨張性黒鉛、無機充填剤、およびリン化合物を含む樹脂組成物等が挙げられる。
熱膨張性耐火層3は、樹脂組成物の各成分を単軸押出機、二軸押出機、バンバリーミキサー、ニーダーミキサー、混練ロール、ライカイ機、遊星式撹拌機等公知の装置を用いて混練し、公知の成形方法で成形することにより得ることができる。
樹脂成分としては、熱可塑性樹脂、熱硬化性樹脂、ゴム物質、およびそれらの組み合わせが挙げられる。
熱可塑性樹脂としては、例えば、ポリプロピレン系樹脂、ポリエチレン系樹脂、ポリ(1−)ブテン系樹脂、ポリペンテン系樹脂等のポリオレフィン系樹脂、ポリスチレン系樹脂、アクリロニトリル−ブタジエン−スチレン(ABS)系樹脂、ポリカーボネート系樹脂、ポリフェニレンエーテル系樹脂、(メタ)アクリル系樹脂、ポリアミド系樹脂、ポリ塩化ビニル系樹脂、フェノール系樹脂、ポリウレタン系樹脂、ポリイソブチレン等の合成樹脂類が挙げられる。
熱硬化性樹脂としては、例えば、ポリウレタン、ポリイソシアネート、ポリイソシアヌレート、フェノール樹脂、エポキシ樹脂、尿素樹脂、メラミン樹脂、不飽和ポリエステル樹脂、ポリイミド等が挙げられる。
ゴム物質としては、天然ゴム、イソプレンゴム、ブタジエンゴム、1,2−ポリブタジエンゴム、スチレン−ブタジエンゴム、クロロプレンゴム、ニトリルゴム、ブチルゴム、塩素化ブチルゴム、エチレン−プロピレンゴム、クロロスルホン化ポリエチレン、アクリルゴム、エピクロルヒドリンゴム、多加硫ゴム、非加硫ゴム、シリコンゴム、フッ素ゴム、ウレタンゴム等のゴム物質等が挙げられる。
これらの合成樹脂類及び/又はゴム物質は、一種もしくは二種以上を使用することができる。
これらの合成樹脂類及び/又はゴム物質の中でも、柔軟でゴム的性質を持っているものが好ましい。この様な性質を持つものは無機充填材を高充填することが可能であり、得られる樹脂組成物が柔軟で扱い易いものとなる。より柔軟で扱い易い樹脂組成物を得るためには、ブチルゴム等の非加硫ゴムやポリエチレン系樹脂が好適に用いられる。代わりに、樹脂自体の難燃性を上げて防火性能を向上させるという観点からは、エポキシ樹脂が好ましい。
熱膨張性黒鉛は、加熱時に膨張する公知の物質であり、天然鱗状グラファイト、熱分解グラファイト、キッシュグラファイト等の粉末を、濃硫酸、硝酸、セレン酸等の無機酸と、濃硝酸、過塩素酸、過塩素酸塩、過マンガン酸塩、重クロム酸塩、重クロム酸塩、過酸化水素等の強酸化剤とで処理してグラファイト層間化合物を生成させたものであり、炭素の層状構造を維持したままの結晶化合物の一種である。上記のように酸処理して得られた熱膨張性黒鉛は、更にアンモニア、脂肪族低級アミン、アルカリ金属化合物、アルカリ土類金属化合物等でさらに中和してもよい。
熱膨張性黒鉛の粒度は、20〜200メッシュが好ましい。粒度が200メッシュかそれより大きいと、黒鉛の膨張度が膨張断熱層が得るのに十分であり、また粒度が20メッシュかそれより小さいと、樹脂に配合する際の分散性が良く、物性が良好である。熱膨張性黒鉛の市販品としては、例えば、東ソー社製「GREP−EG」、GRAFTECH社製「GRAFGUARD」等が挙げられる。
さらに、耐火樹脂材料を構成する樹脂組成物は、膨張断熱層の強度を増加させ防火性能を向上させるために、上記の各成分に加えて、リン化合物を含んでもよい。リン化合物としては、特に限定されず、例えば、赤リン;トリフェニルホスフェート、トリクレジルホスフェート、トリキシレニルホスフェート、クレジルジフェニルホスフェート、キシレニルジフェニルホスフェート等の各種リン酸エステル;リン酸ナトリウム、リン酸カリウム、リン酸マグネシウム等のリン酸金属塩;ポリリン酸アンモニウム類;下記化学式(1)で表される化合物等が挙げられる。これらのうち、防火性能の観点から、赤リン、ポリリン酸アンモニウム類、及び、下記化学式(1)で表される化合物が好ましく、性能、安全性、コスト等の点においてポリリン酸アンモニウム類がより好ましい。
化学式(1)中、R1及びR3は、水素、炭素数1〜16の直鎖状あるいは分岐状のアルキル基、または、炭素数6〜16のアリール基を表す。R2は、水酸基、炭素数1〜16の直鎖状あるいは分岐状のアルキル基、炭素数1〜16の直鎖状あるいは分岐状のアルコキシル基、炭素数6〜16のアリール基、または、炭素数6〜16のアリールオキシ基を表す。
赤リンとしては、市販の赤リンを用いることができるが、耐湿性、混練時に自然発火しない等の安全性の点から、赤リン粒子の表面を樹脂でコーティングしたもの等が好適に用いられる。ポリリン酸アンモニウム類としては特に限定されず、例えば、ポリリン酸アンモニウム、メラミン変性ポリリン酸アンモニウム等が挙げられるが、取り扱い性等の点からポリリン酸アンモニウムが好適に用いられる。市販品としては、例えば、クラリアント社製「AP422」、「AP462」、Budenheim Iberica社製「FR CROS 484」、「FR CROS 487」等が挙げられる。
化学式(1)で表される化合物としては特に限定されず、例えば、メチルホスホン酸、メチルホスホン酸ジメチル、メチルホスホン酸ジエチル、エチルホスホン酸、プロピルホスホン酸、ブチルホスホン酸、2−メチルプロピルホスホン酸、t−ブチルホスホン酸、2,3−ジメチル−ブチルホスホン酸、オクチルホスホン酸、フェニルホスホン酸、ジオクチルフェニルホスホネート、ジメチルホスフィン酸、メチルエチルホスフィン酸、メチルプロピルホスフィン酸、ジエチルホスフィン酸、ジオクチルホスフィン酸、フェニルホスフィン酸、ジエチルフェニルホスフィン酸、ジフェニルホスフィン酸、ビス(4−メトキシフェニル)ホスフィン酸等が挙げられる。中でも、t−ブチルホスホン酸は、高価ではあるが、高難燃性の点において好ましい。前記のリン化合物は、単独で用いても、2種以上を併用してもよい。
熱膨張性耐火層3を構成する耐火樹脂組成物中のリン化合物の含有量は特に限定されないが、樹脂成分100重量部に対して10〜300重量部であることが好ましく、100〜300重量部であることがより好ましい。配合量が10重量部以上であると、膨張断熱層の強度を向上させる効果が十分であり、300重量部以下であると、機械的強度が維持される。
また、硬くまとまりのある残渣を必要とする場合は、熱膨張性黒鉛とリン化合物の合計量が樹脂成分100重量部に対して、20〜350重量部の範囲内にあることが好ましい。熱膨張性黒鉛とリン化合物の合計量が20重量部以上であると、膨張断熱層が形成されて十分な耐火性が得られ、350重量部以下であると機械的物性が維持される。より好ましくは20〜200重量部の範囲である。
さらに、熱膨張性黒鉛とリン化合物との重量比(熱膨張性黒鉛/リン化合物)は、0.01〜9の範囲内にあることが好ましい。熱膨張性黒鉛とリン化合物との重量比の範囲を0.01〜9とすることによって、膨張断熱層の形状保持性と高い耐火性能を得ることが可能となる。熱膨張性黒鉛およびリン化合物の配合比率が上記の範囲内であると、燃焼時に十分な膨張断熱層が形成される。
さらに、耐火樹脂材料を構成する樹脂組成物は、膨張断熱層が形成される際、熱容量を増大させ伝熱を抑制するとともに、骨材的に働いて膨張断熱層の強度を向上させるために、上記の各成分に加えて、無機充填剤を含んでもよい。無機充填剤としては特に限定されず、例えば、アルミナ、酸化亜鉛、酸化チタン、酸化カルシウム、酸化マグネシウム、酸化鉄、酸化錫、酸化アンチモン、フェライト類等の金属酸化物;水酸化カルシウム、水酸化マグネシウム、水酸化アルミニウム、ハイドロタルサイト等の含水無機物;塩基性炭酸マグネシウム、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、炭酸亜鉛、炭酸ストロンチウム、炭酸バリウム等の金属炭酸塩等が挙げられる。
また、無機充填剤としては、これらの他に、硫酸カルシウム、石膏繊維、ケイ酸カルシウム等のカルシウム塩;シリカ、珪藻土、ドーソナイト、硫酸バリウム、タルク、クレー、マイカ、モンモリロナイト、ベントナイト、活性白土、セピオライト、イモゴライト、セリサイト、ガラス繊維、ガラスビーズ、シリカ系バルン、窒化アルミニウム、窒化ホウ素、窒化ケイ素、カーボンブラック、グラファイト、炭素繊維、炭素バルン、木炭粉末、各種金属粉、チタン酸カリウム、硫酸マグネシウム「MOS」(商品名)、チタン酸ジルコン酸鉛、ステアリン酸亜鉛、ステアリン酸カルシウム、アルミニウムボレート、硫化モリブデン、炭化ケイ素、ステンレス繊維、ホウ酸亜鉛、各種磁性粉、スラグ繊維、フライアッシュ、脱水汚泥等が挙げられる。これらの無機充填剤は単独で用いても、2種以上を併用してもよい。
無機充填剤の粒径としては、0.5〜100μmが好ましく、より好ましくは1〜50μmである。無機充填剤は、添加量が少ないときは、分散性が性能を大きく左右するため、粒径の小さいものが好ましいが、0.5μm以上であると、分散性が良好である。添加量が多いときは、高充填が進むにつれて、樹脂組成物の粘度が高くなり成形性が低下するが、粒径を大きくすることで樹脂組成物の粘度を低下させることができる点から、粒径の大きいものが好ましいが、100μm以下の粒径が成形体の表面性、樹脂組成物の力学的物性の点で望ましい。
無機充填剤としては、例えば、水酸化アルミニウムでは、粒径18μmの「ハイジライトH−31」(昭和電工社製)、粒径25μmの「B325」(ALCOA社製)、炭酸カルシウムでは、粒径1.8μmの「ホワイトンSB赤」(備北粉化工業社製)、粒径8μmの「BF300」(備北粉化工業社製)等が挙げられる。
前記樹脂組成物は、前記熱可塑性樹脂やエポキシ樹脂等の樹脂成分100重量部に対し、前記熱膨張性黒鉛を10〜350重量部及び前記無機充填材を30〜400重量部の範囲で含むものが好ましい。
また、前記熱膨張性黒鉛および前記無機充填材の合計は、樹脂成分100重量部に対し、50〜600重量部の範囲が好ましい。
かかる樹脂組成物は加熱によって膨張し耐火断熱層を形成する。この配合によれば、前記耐火樹脂材料は火災等の加熱によって膨張し、必要な体積膨張率を得ることができ、膨張後は所定の断熱性能を有すると共に所定の強度を有する残渣を形成することもでき、安定した防火性能を達成することができる。
前記樹脂組成物における熱膨張性黒鉛及び無機充填材の合計量は、50重量部以上では燃焼後の残渣量を満足して十分な耐火性能が得られ、600重量部以下であると機械的物性が維持される。
さらに本発明に使用する前記樹脂組成物は、それぞれ本発明の目的を損なわない範囲で、必要に応じて、フェノール系、アミン系、イオウ系等の酸化防止剤の他、金属害防止剤、帯電防止剤、安定剤、架橋剤、滑剤、軟化剤、顔料、粘着付与樹脂、成型補助材等の添加剤、ポリブテン、石油樹脂等の粘着付与剤を含むことができる。
前記耐火樹脂材料からなる熱膨張性耐火層3は、火災時などの高温にさらされた際にその膨張層により断熱し、かつその膨張層の強度があるものであれば特に限定されないが、50kW/m2の加熱条件下で30分間加熱した後の体積膨張率が3〜50倍のものであれば好ましい。前記体積膨張率が3倍以上であると、膨張体積が前記樹脂成分の焼失部分を十分に埋めることができ、また50倍以下であると、膨張層の強度が維持され、火炎の貫通を防止する効果が保たれる。前記体積膨張率はより好ましくは、10〜40倍である。上述のように、膨張倍率を10倍以上に高く設定することで、電力ケーブルの荷重に対抗して膨張させることができる。
また、好ましくは、熱膨張性耐火層3の50kW/m2で30分間加熱後の平均膨張倍率は、3倍以上である。加熱後の平均膨張倍率は以下のように計算される。
平均膨張倍率={(電力ケーブルの荷重がある状態で加熱した後の熱膨張性耐火層の膨張残渣の最低点(最小厚み)÷(電力ケーブルの荷重がある状態の同じ最低点での燃焼前の厚み)+(電力ケーブルの荷重がある状態で加熱した後の熱膨張性耐火層の膨張残渣の最高点(最大厚み))÷(電力ケーブルの荷重がある状態の同じ最高点での燃焼前の厚み)}÷2
加熱後の平均膨張倍率が3倍以上であると、熱膨張性耐火層3とバスダクト1との間の空間および熱膨張性耐火層3と電力ケーブル2との空間を埋めるべく熱膨張性耐火層3が十分に膨張し、電力ケーブル2の耐火性が高められる。
(第2実施形態)
次に、本発明の第2実施形態の電力ケーブル用バスダクト1について説明する。第1実施形態と同じ構成については説明を省略する。
図2を参照すると、第2実施形態の電力ケーブル用バスダクト1の内部には複数の電力ケーブル2が収納され、電力ケーブル2の下敷きとなって熱膨張性耐火層3が配置されているが、熱膨張性耐火層3はバスダクト1の内周の下面12にのみ設けられており、バスダクト1の内周の上面11ならびに2つの側面13,14には設けられていない。
このような構成であっても、バスダクト1の下面から火が来ると、熱膨張性耐火層3は加熱により膨張し、電力ケーブル2を押し上げ、バスダクト1の内部の空間が熱膨張した熱膨張性耐火層3で埋められ、電力ケーブル2の耐火性が高められる。
よって、本発明の第2の実施形態の電力ケーブル用バスダクト1は第1の実施形態の電力ケーブル用バスダクト1と同様、電力ケーブル2の重量を支持しつつ耐火性能を発揮できるという効果を奏する。
(第3実施形態)
次に、本発明の第3実施形態の電力ケーブル用バスダクト1について説明する。図3を参照すると、第3実施形態の電力ケーブル用バスダクト1には、第1の熱膨張性耐火層3がバスダクト1の内周の下面12と2つの側面13,14に配置され、熱膨張性耐火層3とは異なる第2の熱膨張性耐火層4がバスダクト1の内周の上面11に配置されている。例えば、第1の熱膨張性耐火層3を構成する熱膨張性樹脂組成物の膨張開始温度は第2の熱膨張性耐火層4を構成する熱膨張性樹脂組成物の膨張開始温度よりも低く、バスダクト1の下方から火が到達したときに、バスダクト1の下面にある第1の熱膨張性耐火層3は早く膨張を開始するようにしてもよい。例えば、第1の熱膨張性耐火層3の熱膨張性樹脂組成物を構成する熱膨張性黒鉛としては、エア・ウォーター株式会社製50LTE−UN(膨張開始温度170℃)が挙げ、第2の熱膨張性耐火層4の熱膨張性樹脂組成物を構成する熱膨張性黒鉛としては、エア・ウォーター株式会社製CA−60(膨張開始温度210℃)が挙げられる。
このような構成であっても、熱膨張性耐火層3は加熱により膨張し、電力ケーブル2を押し上げ、バスダクト1の内部の空間が熱膨張した熱膨張性耐火層3で埋められ、電力ケーブル2の耐火性が高められる。
よって、本発明の第3の実施形態の電力ケーブル用バスダクト1は第1および2の実施形態の電力ケーブル用バスダクト1と同様、電力ケーブル2の重量を支持しつつ耐火性能を発揮できるという効果を奏する。
ここまで、本発明を第1〜3実施形態を例にとって説明してきたが、本発明はこれに限られず、以下のような種々の変形が可能である。
○上記の第1〜3の実施形態では、電力ケーブル2は熱膨張性耐火層3と接触し、熱膨張性耐火層3はバスダクト1の内周に接触していたが、電力ケーブル2と熱膨張性耐火層3との間、および/または熱膨張性耐火層3とバスダクト1との間には、金属、樹脂または金属と樹脂の複合材等からなる熱膨張性または非熱膨張性の別の層が介在していてもよい。
○上記の第1〜3の実施形態では、バスダクト1の断面が矩形であったが、バスダクト1の断面は円形等、他の形状であってもよい。この場合も、バスダクト1の内周のうち少なくとも下面には熱膨張性耐火層3が配置されるようにすれば、第1〜3の実施形態の電力ケーブル用バスダクト1と同様、電力ケーブル2の重量を支持しつつ耐火性能を発揮できるという効果を奏する。
実施例
実施例1
熱膨張性耐火層3として、熱膨張性黒鉛を含有する熱膨張性耐火シート(積水化学工業社製、商品名フィブロック シートタイプ、厚み10mm、膨張倍率10倍)を用いた。
まず、熱膨張性耐火シートのサンプルを98mm角にカットし、図4に示すように、亜鉛鉄板20を配置し、その上に熱膨張性耐火シートのサンプル21を配置し、サンプル21の上に亜鉛鉄板22を配置し、その上に200gの4つの分銅23を配置する。
この試験系を600℃に昇温しておいた電気炉の中に入れ、床下から加熱する耐火(加熱)試験(ISO834に従う)により、30分間サンプルを燃焼させる。
燃焼後、サンプル21を取り出し、膨張残渣の最低点と最高点を測定し平均厚みを計算し、平均厚みから燃焼前の荷重が加わっていないときの厚み(10mm)を除した値を平均膨張倍率とする。
実施例1の試験系の燃焼後の熱膨張性耐火シートは平均膨張倍率3倍の厚みで形状を保持していた。
実施例2
実施例1の4つの分銅の代えて、4本の電力ケーブル(直径10mm、長さ95mm)を熱膨張性耐火シートの上に隣り合うように並べ置いた以外は、実施例1と同様に仮加熱試験を行った。
加熱試験後に、電力ケーブルの周りの膨張した耐火シートを剥がして電力ケーブルの外観を観察したところ、ケーブルには、ほとんど損傷が見られなかった。
比較例1
熱膨張性耐火層として、熱膨張性黒鉛を含有する熱膨張性耐火テープ(積水化学工業社製、商品名フィブロック テープタイプ、厚み2mm、膨張倍率10倍)を用いたこと以外は、実施例1と同様に試験を行った。
燃焼後の熱膨張性耐火シートは、平均膨張倍率2倍の厚みで形状を保持していた。
比較例2
熱膨張性耐火層として比較例1と同じ熱膨張性耐火テープを用いた以外は、実施例2と同様に耐火試験を行った。
燃焼後のケーブルには、熱膨張性耐火シートが薄いために熱が電力ケーブルの被覆に伝わって生じた目視できる損傷が見られた。
1…バスダクト、2…電力ケーブル、3,4…熱膨張性耐火層、11…バスダクトの内周の上面、12…バスダクトの内周の下面、13,14…バスダクトの内周の側面。

Claims (6)

  1. 複数の電力ケーブルが収納されている電力ケーブル用バスダクトであって、バスダクトの内周に電力ケーブルの下敷きとなって熱膨張性耐火層が配置されており、自由状態の熱膨張性耐火層の厚みが10mm以上かつ50kW/m2で30分間加熱したときの膨張倍率が10倍以上である電力ケーブル用バスダクト。
  2. 前記バスダクトが矩形であり、前記熱膨張性耐火層がバスダクトの内周の下面のみか、またはバスダクトの内周の下面と2つの側面のみに配置され、バスダクトの内周の上面には配置されていない請求項1に記載の電力ケーブル用バスダクト。
  3. 前記バスダクトが矩形であり、前記熱膨張性耐火層は、バスダクトの内周に電力ケーブルの下敷きとなる第1の熱膨張性耐火層と、第1の熱膨張性耐火層とは異なる第2の熱膨張性耐火層とを含み、前記第2の熱膨張性耐火層はバスダクトの内周の上面または側面に配置されている請求項1に記載の電力ケーブル用バスダクト。
  4. 前記電力ケーブルの下敷きとなった熱膨張性耐火層の50kW/m2で30分間加熱後の平均膨張倍率が3倍以上である請求項1に記載の電力ケーブル用バスダクト。
  5. 熱膨張性耐火層が、ブチルゴム、熱膨張性黒鉛、リン酸エステルを含む熱膨張性シートである、請求項1〜3のいずれか一項に記載の電力ケーブル用バスダクト。
  6. 熱膨張性耐火層を50kW/m2で30分間加熱したときの膨張倍率が10〜40倍である請求項1に記載の電力ケーブル用バスダクト。
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