JP6491366B2 - アッセイカートリッジ - Google Patents

Description

本発明は、アッセイカートリッジおよびその要素、特に、ポイント・オブ・ケア、例えば、医師の仕事現場または患者のベッドサイドで使用可能なアッセイカートリッジに関する。

本出願者によって考案された既知のアッセイシステムが、国際公開第０２／０９０９９５号パンフレットに記載されている。サンプル、例えば、血液が、使い捨てアッセイカートリッジにセットされる。カートリッジは、少なくとも２つのウェル、および少なくとも２つの前記ウェルに配置可能なピペットを備えている。カートリッジが、カートリッジのピペットおよびウェルを使用してサンプルに対して診断アッセイを行うアッセイ装置または分析装置に装着される。この装置は、カートリッジから放射線を検出するための光検出器を有し得る。カートリッジ自体は、特定のアッセイに必要な試薬が予め充填されて顧客（例えば、医師）に供給することができる。同じ分析装置に適切なカートリッジを装着し、この分析装置を使用して種々のアッセイを行うことができる。実施できるアッセイの例として、血中の糖化ヘモグロビンの比率の測定、および尿中のアルブミンの測定が挙げられる。

このシステムは、Ａｘｉｓ−Ｓｈｉｅｌｄ（商標）のＡｆｉｎｉｏｎ（商標）ポイント・オブ・ケア分析システム（Ｐｏｉｎｔ−ｏｆ−Ｃａｒｅ Ａｎａｌｙｚｅｒ ｓｙｓｔｅｍ）として商品化に成功している。Ａｆｉｎｉｏｎ（商標）ＡＳ１００分析装置は、適合性のアッセイカートリッジを装着することができる市販の分析装置である。

図１は、従来技術のアッセイカートリッジを示している。このアッセイカートリッジは、ベース部材２およびキャップ部材４を備えている。ベース部材２は、６つのウェル４〜１４を画定し、このうちの４つのウェル８〜１４は試薬を含むことができ、最初はホイル蓋（不図示）で密封されている。キャップ部材４は、取り外し可能な先端部が毛細管のピペット１６、および膜（不図示）によって覆うことができる傾斜開口２０を有するピペット１８を備えている。ベース部材２は、キャップ部材４をベース部材２に取り外し可能に取り付けるために、キャップ部材４の対応するソケットまたは孔２４に係合する可撓性突出部２２を備えている。キャップ４は、３つのカッター（不図示）を備え、これらのカッターは、キャップ４をベース２にさらに付勢することによって４つのウェル８〜１４を密封しているホイル蓋に穴を開けることができる。

しかしながら、本出願者は、このようなカートリッジを用いては容易に行うことができない特定の望ましいアッセイが存在することに気付いた。

従って、第１の態様によると、本発明は、アッセイカートリッジを提供し、このアッセイカートリッジは、
少なくとも２つのウェルを画定するベース部材と、
前記ウェルの少なくとも１つに配置可能なピペットと、
ピペットを保持するように構成されたキャップ部材と、
キャップ部材をベース部材に取り外し可能に取り付けるための手段と、
少なくとも１つの別のウェルを画定する延長部材と、
延長部材がベース部材に取り付けられるときに、ピペットが、ベース部材のウェルの少なくとも１つに配置可能であり、かつ延長部材の別のウェルにも配置可能であるように、延長部材をベース部材に取り付けるための手段と、を備える。

さらなる態様によると、本発明は、アッセイカートリッジ用の部品のキットを提供し、このキットは、
少なくとも２つのウェルを画定するベース部材と、
前記ウェルの少なくとも１つに配置可能なピペットと、
ピペットを保持するように構成されたキャップ部材と、
少なくとも１つの別のウェルを画定する延長部材と、を含み、
ベース部材およびキャップ部材の一方または両方が、キャップ部材をベース部材に取り外し可能に取り付けるための手段を備え、ベース部材および延長部材の一方または両方が、延長部材がベース部材に取り付けられるときに、ピペットが、ベース部材のウェルの少なくとも１つに配置可能であり、かつ延長部材の別のウェルにも配置可能であるように、延長部材をベース部材に取り付けるための手段を備えている。

なおさらなる態様によると、本発明は、アッセイカートリッジを組み立てる方法を提供し、この方法は、
ピペットが、ベース部材のウェルの少なくとも１つに配置可能であり、かつ延長部材の別のウェルにも配置可能であるように、延長部材をベース部材に取り付けるステップであって、ベース部材が、少なくとも２つのウェルを画定し、延長部材が、少なくとも１つの別のウェルを画定する、ステップと、
ピペットを保持するキャップ部材をベース部材に取り外し可能に取り付けるステップと、を含む。

当業者には、このようなアッセイカートリッジが、２つの異なる部材によって画定されたウェル、または２つの異なる部材に形成されたウェルを有することが分かるであろう。これは、１つの部材のみにウェルが画定されているアッセイカートリッジでは得られない利点および新たな可能性を提供する。

延長部材は、例えば、ベース部材とは異なる材料から実質的に形成することができる。

一連の実施形態では、例えば、延長部材は、比較的不透明または放射線不透過性材料から実質的に形成することができ、ベース部材は、比較的透明または放射線透過性材料から実質的に形成することができる。このような構成は、有利に、光感受性試薬（ｌｉｇｈｔ−ｓｅｎｓｉｔｉｖｅ ｒｅａｇｅｎｔ）をカートリッジ内に保存または保持することができ、さらに、カートリッジのベース部材のウェルの（比較的透明な）壁を介して放射線測定を行うこともできる。

別の一連の実施形態では、部品のキットは、キットが保管されている間、延長部材がベース部材に接触しないようにする手段を備えることができる。例えば、延長部材は、パッケージング、例えば、気密バッグによって実質的に密封することができる。ベース部材も同様に、好ましくは延長部材とは別個にパッケージングすることができる。これにより、延長部材に収容された試薬を、ベース部材の試薬とは異なる条件、または異なる大気中に保存することができる。例えば、延長部材のウェルの１つまたは複数が、所定のレベルよりも高い湿度または水分から保護しなければならない試薬（例えば、凍結乾燥標準物質または対照物質（ｃｏｎｔｒｏｌ））を収容することができる一方、ベース部材のウェルの１つまたは複数が、液体試薬を収容することができ、逆も同様である。このような延長部材を、ベース部材とは異なる大気で保存し、ベース部材に接触しないようにすることにより、大気中への蒸発および部材の材料（例えば、プラスチック）を通る直接的な拡散の両方による、液体試薬から感湿性試薬（ｍｏｉｓｔｕｒｅ−ｓｅｎｓｉｔｉｖｅ ｒｅａｇｅｎｔ）への水分の移動が防止される。これにより、既知のアッセイカートリッジの使用では不可能であろう、液体および感湿性試薬を利用するアッセイが可能となる。

さらなる驚くべき利点は、アッセイカートリッジの製造を考えると理解することができる。本出願者は、例えば、均質な短いカートリッジの方が長いカートリッジよりもプラスチックで製造するのが容易であることに気付いた。言い換えると、ある製造プロセスでは、ベース部材および延長部材は、典型的には、それぞれが、ベース部材と延長部材との組み合わせと同様の全体寸法を有する単一部材よりも均質な構造（例えば、壁の厚みまたは化学組成において）となる。アッセイカートリッジの材料の不均質性は、アッセイカートリッジが分析装置によって操作されるときにこのカートリッジの損傷（例えば、割れ）を引き起こし得る構造的脆弱性をもたらすことがある。ベース部材の少なくとも一部における一貫した光学特性（例えば、均一な光透過性）は、ベース部材の壁を介してウェルの１つから放射線を検出すべき場合に重要であり得る。本発明を実施するアッセイカートリッジは、２つの部材にウェルを備えるため、単一部材に同数のウェルを有する既知のアッセイカートリッジよりも優れた性能を発揮し得る。

本出願者はまた、必要に応じて、例えば、５つのウェルを有するベース部材と組み合わせることができる、例えば、３つのウェルを有する比較的短い延長部材を製造する方が、例えば、８つのウェルを有する大きいベース部材を製造するよりも汎用性があり、かつ経済的であることにも気付いた。延長部材は、製造ラインでベース部材に取り付けても良いし、またはポイント・オブ・ケア、例えば、診療所または病院検査室で初めて取り付けても良い。例えば、血液に対する酵素反応を行うための５つのウェルを有するベース部材は、任意選択で、フィルターユニットを備える延長部材によって延長して本発明を実施するアッセイカートリッジとし、これにより、医師または使用者が望む場合は、全血ではなく血漿に対して反応を行うことができる。一部の構成では、延長部材が使用されるか否かによって、異なるキャップ部材が必要になり得る。

一部の実施形態では、延長部材は、３つのウェルを画定することができる。ベース部材は、５つまたは６つのウェルを画定することができる。しかしながら、本発明は、ベース部材および延長部材の特定の数のウェルに限定されるものではない。好ましい一連の実施形態では、アッセイカートリッジは、Ａｆｉｎｉｏｎ（商標）ＡＳ１００分析装置によって収容される大きさである。

アッセイカートリッジは、国際公開第０２／０９０９９５号パンフレットに記載されている任意選択の特徴または好ましい特徴の一部または全てを有することができる。特に、延長部材は、国際公開第０２／０９０９９５号パンフレットに記載されているベース部材の特徴を有することができる。延長部材および／またはベース部材の１つ、いくつか、または全てのウェルが、例えば、ウェルの長軸に対して約２０〜４０度、例えば、約３０度の角度で傾斜した傾斜床部を有することができる。延長部材および／またはベース部材のウェルの１つ、いくつか、または全ての壁は、壁を介して放射線を検出できるように透明とすることができる。従って、対応する米国特許第７，６３２，４６２号明細書が、参照により本明細書に組み入れられるものとする。

延長部材をベース部材に取り付けるための手段は、任意の適切な取り付け具とすることができる。この取り付けるための手段は、別個の部材、例えば、延長部材とベース部材を取り囲むワイヤーループとすることができる。しかしながら、好ましくは、延長部材は、この延長部材をベース部材に取り付けるための手段の少なくとも一部を構成する；例えば、ウェルを画定する壁と一体に形成される。

このような延長部材は、それ自体に独創性がある。従って、さらなる態様によると、本発明は、少なくとも１つのウェルを画定し、かつ延長部材をアッセイカートリッジのベース部材に取り付けるための手段を備えるアッセイカートリッジ延長部材を提供する。

いずれの上述の態様でも、好ましくは、延長部材およびベース部材の両方が、これらの２つの部材を互いに取り付けるための取り付け要素を備えている。ベース部材が、延長部材の嵌め合い突出部を収容する溝を画定するように構成しても良いし、または延長部材が、ベース部材の嵌め合い突出部を収容する溝を画定するように構成しても良い。溝は、細長く、例えば、ウェルの側面に対して垂直または平行にすることができる。溝は、２つの要素またはガイド間に画定することができる。溝は、部材の壁の凹部としても良いし、または要素もしくはガイドが、壁から外側に突き出ても良い。これらの要素またはガイドの一方または両方が、他方の部材の嵌め合い突出部が溝内にあるときに、この突出部を保持するフランジを備えることができる。嵌め合い突出部は、この嵌め合い突出部が溝内にあるときに、この突出要素またはガイドの１つまたは複数のフランジに係合するのに適した１つまたは複数のフランジを備えることができる。延長部材とベース部材は、溝と嵌め合い突出部との間の摩擦嵌めによって少なくともある程度は互いに弾性的に取り付けることができる。

この構成は、他の場合はカートリッジを操作するときに分析装置にとって困難となり得る２つの部材間の屈曲を防止する特に強い嵌め合いを可能にすることが分かった。溝は、嵌め合い突出部がスライドして溝に進入できるように一端で開口することができる。ベース部材および延長部材は、これらの部材が取り付けられたときに互いに接触して相対運動を防止する追加の安定化表面を備えることができる。

好ましい一連の実施形態では、溝は、ベース部材（または延長部材）の１つの壁に垂直かつ中心に下方に画定される。この部材は、壁の外側垂直縁に隣接した２つの垂直安定化表面をさらに備えることができる（垂直とは、ウェルに対して平行な方向である）。延長部材（またはベース部材）は、他方の部材に係合または接触するための中心嵌め合い突出部および外側安定化表面を備えるように同様に構成することができる。

溝は、例えば、延長部材およびベース部材が望ましい取り付け位置にあるときに嵌め合い突出部に接触するように構成された止め具を別の端部に備えることができる。カートリッジは、延長部材およびベース部材が望ましい整合位置にあるときに延長部材をベース部材に取り付けるためのラッチ手段を備えることができる。一部の実施形態では、一方の部材は、凹部または孔を備え、他方の部材は、弾性または可撓性突出部を備え、この弾性または可撓性突出部は、両方の部材が望ましい位置にあるときに凹部または孔に係合して分離させる力に抵抗することができる。ラッチ手段は、永久または一時的とすることができ；カートリッジは、ラッチ手段を解除するための手段を備えても良いし、備えなくても良い。

ベース部材および延長部材のウェルの開口は、好ましくは、２つの部材が取り付けられたときに一平面に延在する。これは、ホイルまたはキャップ部材によるウェルの密封を容易にし、しかも分析装置によるアッセイカートリッジの操作を単純にすることができる。

一連の好ましい実施形態では、ベース部材は、一列のウェルを画定し、延長部材は、１つのウェルまたは一列のウェルを画定し、アッセイカートリッジは、延長部材がベース部材に取り付けられたときにこれらのウェルが全て一列になるように構成されている。これは、アッセイを行うためにピペットの３次元の相対運動を必要とするのではなく、一列のウェルを含む一平面にあるカートリッジに対するピペットの運動のみが必要となるようにして、カートリッジを収容するように構成された分析装置のデザインを単純にすることができる。これにより、例えば、延長アッセイカートリッジを既存の分析装置、例えば、Ａｆｉｎｉｏｎ（商標）ＡＳ１００分析装置で使用することができ、これは、既知のアッセイカートリッジおよび延長アッセイカートリッジの操作を同じ分析装置で行うことができるという点で有利である。

ピペットは、先端部が毛細管のピペットとすることができる。ピペットは、先端部が膜のピペットとすることができる。ピペットは、好ましくは、延長部材の全てのウェルに配置可能である。ピペットの全てまたは一部を取り外し可能に支持することによって、またはピペットをキャップ部材に接着する、もしくはキャップ部材と一体に形成することによって、キャップ部材がピペットを保持することができる。一部の実施形態では、アッセイカートリッジは、サンプル、例えば、尿または血液を採取するための、アッセイカートリッジから取り外し可能な先端部が毛細管のピペットを備える。あるいは、またはこれに加えて、アッセイカートリッジは、キャップ部材に固着された先端部が膜のピペットを備えることができる。この先端部が膜のピペットは、適切な条件下でウェルの１つの壁を介して検出可能な放射線を放射し得る、膜に含浸された試薬を有することができ；例えば、白色光によって照らされたときの試薬の色が、アッセイの結果を決定し得る。ピペットの膜は、ピペットの軸に対して約２０〜約４０度の角度、例えば、約３０度傾斜させることができる。

キャップ部材は、ベース部材のウェルの少なくとも１つに配置可能であり、かつ延長部材の別のウェルにも配置可能な磁気部材を保持するように構成することができる。これは、ビーズベースのアッセイまたは磁気分離を行うのに有用であり得る。キャップ部材は、磁気部材に加えて、１つまたは複数の先端部が毛細管のピペットもしくは先端部が膜のピペット（または両方）を有することができる。

磁気部材は、キャップ部材に固着または取り外し可能に取り付けることができる。磁気部材は、好ましくは細長い。磁気部材は、内部全体または一部に永久磁石が配設されたスリーブを備えることができる。このスリーブは、実質的にプラスチック材料とすることができる。スリーブは、中空円筒とすることができる。スリーブは、円形の断面とすることができるが、好ましくは、実質的に矩形または正方形の断面である。スリーブは、好ましくは、一端、例えば、キャップ部材から最も離れた端部で閉じることができる。スリーブは、好ましくは、中実のプラスチック表面によってその端部を閉じることができ、このプラスチック表面は、平面とすることができ、かつ磁気部材の軸に対して約２０〜４０度の角度傾斜させることができる。スリーブは、実質的に磁石を封入することができる。磁石は、好ましくは、スリーブの長さの少なくとも一部に亘って、スリーブの内部断面を完全に占有し；このようなサイズ決定が、特に良好な性能を付与することが分かった。磁石は、スリーブの傾斜した端部に隣接した平行な傾斜面を有することができる。これにより、スリーブおよび磁石を、同様に傾斜した底部を有するどのウェルにも十分に挿入することができる。

このような磁気部材を使用して、アッセイで分析物を分離する、例えば、分析物を血漿または全血から分離することができる。

カートリッジが、先端部が毛細管のピペットを備える場合、この先端部が毛細管のピペットの毛細管は、任意の適切な材料から形成することができるが、好ましくは、ガラスまたはポリマーから実質的に形成される。ポリマーは、製造工程でのガラスの破損の問題を克服することが分かったため特に好ましい。

好ましい実施形態では、毛細管は、疎水性の熱可塑性ポリマーおよび親水性付与成分（ｈｙｄｒｏｐｈｉｌｉｚｉｎｇ ｃｏｍｐｏｎｅｎｔ）を含む、またはこれらから実質的に形成される。

毛細管の内面（または全ての表面）は、可溶性界面活性組成物、例えば、ＶｉｔｒｏＳｔｅａｌｔｈ（商標）（ＤＳＭ（商標））、または１つまたは複数の重合性ガス、例えば、ＰＥＣＶＤ（例えば、Ｐｌａｓｍａｔｅｃｈ Ｉｎｃ（商標）から入手可能）で処理することができる。これは、表面親水性を上昇させ、これにより、先端部が毛細管のピペットが、毛細管作用によってサンプルから望ましい量の液体を吸引できる十分な毛細管作用が得られる。これにより、通常は疎水性である合成ポリマー材料を用いて毛細管を形成することができる。

あるいは、好ましくは、ポリマーは、例えば、同時溶融によってこのポリマーに含められる１つまたは複数の親水性成分を含み得る。これは、表面コーティングよりも耐久性に優れ、より安価である。熱可塑性ポリマーと混合して同時溶融することができる親水性成分の例として、帯電防止剤、例えば、Ｈｏｓｔａｓｔａｔ（商標）ＨＳ−１（Ｃｌａｒｉａｎｔ（商標））、ＣＡＴＡＦＯＲ（商標）ＦＬ（Ｒｈｏｄｉａ（商標））、Ｎｏｒｏｐｌａｓｔ（商標）２００２、３０００、８０００、８５００（Ｃｅｃａ（商標））、およびＡｒｍｏｓｔａｔ（商標）３００、４００、６００、７００、２０００、２００２、３００２（ＡｋｚｏＮｏｂｅｌ（商標））が挙げられる。他の適切な成分は、特許出願：国際公開第２００６０９７５９７号パンフレットおよび同第０１５８９８７号パンフレットに開示されている。

一部の実施形態では、カートリッジは、結晶ポリスチレンから形成された毛細管を有する先端部が毛細管のピペットを備え、この結晶ポリスチレンは、ＶｉｔｒｏＳｔｅａｌｔｈ（商標）またはＰＥＣＶＤで後処理されるか、または溶融によって帯電防止剤Ａｒｍｏｓｔａｔ（商標）２００２が含められる。これにより、特に急速な毛細管充填が可能になることが分かった。

この考えは、それ自体が新規なものであると考えられ、従って、さらなる態様によると、本発明は、先端部が毛細管のピペットを提供し、前記毛細管の先端部は、親水性成分が含められた少なくとも１種類のポリマーから形成される。親水性成分は、好ましくは、ポリマーと同時溶融することによって含められる。上記説明された任意選択の特徴は、適切な場合には、本発明のこの態様の特徴とすることができる。

キャップ部材は、好ましくは、ベース部材と延長部材が互いに取り付けられたときにこのベース部材および延長部材のウェルを覆う、または実質的に覆う大きさである。カートリッジは、ベース部材および延長部材のウェルの開口とウェルを覆うキャップとの間に１つまたは複数のシールまたはストッパー、例えば、Ｏリングを備えることができる。

キャップ部材をベース部材に取り外し可能に取り付けるための手段は、任意の適切なタイプの取り付け具とすることができる。この取り付けるための手段は、別個の部材、例えば、キャップ部材およびベース部材を取り囲むワイヤーループとすることができる。しかしながら、好ましくは、キャップ部材およびベース部材はそれぞれ、例えば、キャップ部材の凹部または孔に係合できる弾性変形可能な突出部をベース部材に設けることによって、キャップ部材をベース部材に取り付けるための手段の一部を構成する。キャップ部材は、２つの異なる取り付け位置；例えば、取り付けられた位置、およびキャップ部材のカッターまたはストッパーなどがベース部材とより完全に係合する相互付勢位置（ｕｒｇｅｄ−ｔｏｇｅｔｈｅｒ ｐｏｓｉｔｉｏｎ）を画定する、２組の凹部または孔とすることができる。アッセイカートリッジは、キャップ部材を延長部材に取り付けるための手段を備えることができるが、この取り付け手段は、必ずしも必要ではない。実際、一部の実施形態では、延長部材がベース部材に取り付けられているときに、キャップ部材と延長部材との間の取り付けを単に外すことによって、キャップ部材を延長部材から分離できることが好ましい。なぜなら、このようなカートリッジは、延長部材およびキャップ部材に作用する追加の取り付け具を外すために既存の分析装置（例えば、Ａｆｉｎｉｏｎ（商標）ＡＳ１００分析装置）の変更を必要とせず、既存の分析装置に使用できるためである。

ベース部材および延長部材のそれぞれのウェルの１つまたは複数を、使用前にホイルで密封することができる。２つの別個のホイルシートを、それぞれの部材に１つずつ設けても良いし、または延長部材およびベース部材の両方のウェルを１枚のホイルシートによって密封しても良い。後者の構成は、例えば、出荷の前に工場で延長部材とベース部材が互いに取り付けられる場合に特に適切であり得る。

ウェルを覆うキャップ部材は、好ましくは、ウェルに配置可能なピペットを実際にウェルの中に挿入できるように、ウェルを覆う１つまたは複数のホイルシールを切断するためのホイルシールカッターを備えている。

本出願者は、国際公開第０２／０９０９９５号パンフレットに記載されているキャップ部材のカッター、およびアッセイカートリッジのホイルカッターの他の既知のデザインは、延長カートリッジに存在し得る多数のウェルにより、分析装置、例えば、Ａｆｉｎｉｏｎ（商標）ＡＳ１００分析装置に過度の負担をかけ得るため、本発明の少なくとも一部の実施形態には望ましくないことに気付いた。この過度の負担は、時間が経つと装置に損傷を与える恐れがある。

従って、キャップ部材は、好ましくは、ベース部材または延長部材のウェルを覆うホイルシールをせん断するための２つの刃を有するカッターを備え、各刃は、ウェルのそれぞれの壁に隣接したホイルをせん断するように構成されている。２つのそれぞれの壁は、好ましくは、ウェルの対向する側面に平行な壁である。各刃は、好ましくは線形であり、２つの刃は、好ましくは互いに平行である。カッターは、好ましくは、２つの壁間の線に沿ってホイルを切断するための、２つのせん断刃間に延在する第３の刃を備えている。この刃は、好ましくは、線形であり、２つのせん断刃に対して実質的に垂直である。この刃は、好ましくは、２つのせん断刃の端部から離れている。一部の好ましい実施形態では、３つの刃は、概ねＨ形の配置である。

ウェルの開口は、実質的に矩形とすることができ、カッターは、それぞれがウェルの開口の面積の実質的に半分である２つの矩形のフラップを形成するようホイルカバーを切断するように構成することができる。カッターは、ホイルの２つのフラップをウェルの中に折り曲げる、例えば、これらのフラップがウェルのそれぞれの壁に対して平行に延在して接触するような形状にすることができる。カッターの刃は、１つの以上の線形または湾曲した刃先を備えている。一連の実施形態では、カッターは、例えば、上記説明されたような３つの刃を有し、それぞれが、２つの線形の刃先を有する。せん断刃の一方または両方は、好ましくは、キャップ部材から離れる方向に向いた（即ち、使用の際はホイルに向く）点で１つになる２つの刃先を有する。第３の刃（存在する場合）は、好ましくは、２つの刃先を有し、それぞれの刃先は、キャップ部材から離れる方向に立ち上がって、せん断刃における点のそれぞれの１点に達している。

本出願者は、ウェルの２つの壁に沿ったホイルのせん断は、特定の他の構成、例えば、中心点で１つになり、ウェルの開口の中心でホイルに刺入する４つの刃先を有する場合よりも、カッターに加える力が少なくて済むことを見出した。好ましくは、アッセイカートリッジは、２０Ｎ未満の力で十分にキャップ部材をベース部材および延長部材に向かって付勢してこのベース部材および延長部材の全てのホイルで覆われたウェルのホイルを切り開くことができるようなアッセイカートリッジである。これは、時間が経つと装置を損傷させる恐れがある既知の分析装置の過度の磨耗を防止することができる。１つのフラップではなく２つのフラップを形成するようにホイルを切断することにより、ホイルがカッターによってウェルの中に折り曲げられたときにホイルがウェルの底部に向かって延びる距離が制限され、これにより、ウェル内の試薬と抵触する可能性を回避するという点でも有利である。

このカッターのデザインは、既知のアッセイカートリッジに使用しても同じ恩恵を得ることができる。従って、さらなる態様によると、本発明は、２つ以上のウェルを画定するベース部材および前記ウェルの少なくとも２つに配置可能なピペットを保持するように構成されたキャップ部材を備えたアッセイカートリッジに用いられるカッターを提供し、このカッターは、ウェルの１つを覆っているホイルシールをせん断するための２つの刃を備え、この２つの刃は、線形であり、かつ互いに平行であり、第３の刃が、これらのせん断刃の端部から離れて、この２つのせん断刃間に延在する。この態様は、このようなカッターを備えるアッセイカートリッジまで拡大される。

カッターは、キャップ部材に配設しても良いし、またはキャップ部材の一部としても良い。アッセイカートリッジは、国際公開第０２／０９０９９５号パンフレットに記載されているカートリッジ、またはＡｘｉｓ−Ｓｈｉｅｌｄ（商標）が販売するＡｆｉｎｉｏｎ（商標）カートリッジとすることができる。前の態様のいずれの任意選択の特徴も、このカッターまたはアッセイカートリッジの任意選択の特徴とすることができる。

いずれの上述の態様でも、キャップ部材は、ベース部材および延長部材に向かって付勢されたときにウェルの上端部に液密シールが形成されるように、ベース部材および延長部材の一部または全てのウェル（例えば、液体を含むウェルのみ）の上端部に対応する１つまたは複数の位置に弾性材料を備えることができる。このような材料は、例えば、キャップ部材にコーティングされた層、またはキャップ部材に取り付けられた（例えば、溶接された、または接着された）ディスクもしくはガスケットとすることができる。

この材料またはシールは、複数の連続した長さを有することができ、それぞれの長さが、ベース部材または延長部材のウェルの開口を画定する一部または全ての壁に一致するように構成された断面を有する（例えば、正方形、矩形、または円形）。シールは、キャップ部材がベース部材または延長部材に向かって付勢されたときにウェルの壁に隣接したベース部材または延長部材の表面に圧迫されてウェルの液密シールを形成する、または液密シールの形成に寄与するように構成することができる。

既知のシール１３８の断面は、図１３に示されている。一対の傾斜面１４０、１４２が、キャップ部材から離れる方向に、互いに向かって延びている。これらの傾斜面は、キャップ部材がベース部材に向かって付勢されたときに最初にベース部材と接触するように構成された水平縁１４４によってつながっている。

このようなシールは、本発明の実施形態に使用することができる。しかしながら、これは、シールがベース部材および延長部材の両方のウェルの周りに延在する場合に欠点を有し得ることに本出願者が気付いた。これは、分析装置がキャップ部材をベース部材および延長部材の両方に対して付勢しなければならない圧力が、典型的には、延長部材を備えていない同様のサイズのベース部材に必要な圧力よりも大きいためである；しかも、このような圧力は、分析装置に過度の負担をかけ得る。例えば、Ａｆｉｎｉｏｎ（商標）ＡＳ１００分析装置が２０Ｎを超える力を加える必要があるのは望ましくなく、このような場合、時間が経つと装置が損傷する恐れがある。

結果として、好ましい一連の実施形態では、キャップ部材は、少なくとも１つ、好ましくは２つの凹状曲面縁を備えた断面を有する細長い弾性変形可能なシールを備えている。従って、シールは、１つ、２つ、またはそれ以上の細長い凹状面を備えている。これらの面は、好ましくは、キャップ部材から離れる方向に、互いに近づいている。これらの面は、好ましくは、水平縁によってつなげられ、この水平縁は、キャップ部材がベース部材に向かって付勢されたときに最初にベース部材に接触するように構成されている。これらの曲面は、対称でも良いが、好ましくは非対称である；例えば、一方の曲面が丸い直角の湾曲に近く、他方の曲面が円弧に近い。このような構成では、ウェルの密封に適した程度にシールを圧縮（例えば、一部の実施形態では０．２〜０．３ｍｍの圧縮）する際に特に弱い力しか必要としないことが分かった。特に、図１３に示されているシールに必要な圧力よりも、大幅に弱い力しか必要とない。

このシールのデザインは、既知のアッセイカートリッジでも有利に使用することができ、シールの圧縮に必要な力の減少により、分析装置の磨耗を低減することができる。従って、さらなる態様によると、本発明は、アッセイカートリッジ用のシールを提供し、このシールは、細長く、弾性変形可能であり、少なくとも１つ、好ましくは２つの凹状曲面縁を備えた断面を有する。このシールは、前述の任意選択の特徴のいずれも有することができる。この態様は、このようなシールを備えるアッセイカートリッジまで拡大される。

いずれの上述の態様でも、延長部材は、そのウェルの底部に配設されたガラスフィルターを備えることができる。カートリッジの先端部が膜のピペットが、ガラスフィルターに押圧されてこのピペットに負圧がかかると、濾過作用が起こり得る。ガラスフィルターと微多孔膜の二重層をアッセイカートリッジに設けることにより、血液細胞の汚染および溶血のリスクを低減することができる。

いずれの上述の態様でも、延長部材は、磁石を備えることができる。この磁石は、延長部材のウェルの底部に配設しても良いし、または延長部材の内壁に隣接して配設しても良い。標的分析物を含むサンプルを、常磁性基体、例えば、常磁性マイクロスフィアに結合された特定の結合パートナーと混合することができる。このような混合は、好ましくは、磁石の磁場の影響の実質的に範囲外であるように、例えば、第３のウェルによって磁石を含むウェルから離間した、磁石から離れたウェルで行われる。この混合ウェルは、延長部材のウェルとすることができる。適切なインキュベーション時間の後、混合物を、磁石の磁場の影響の範囲内のウェルに移して、標的分析物をサンプルから分離することができる。分離された分析物を、洗浄後、例えば、ｐＨの低下によって特定の結合パートナーから分離してさらに処理しても良いし（例えば、ベース部材または延長部材のウェルの中で）、または特定の結合パートナーと結合したままさらに処理しても良い（例えば、ベース部材の試薬によって）。

別の態様によると、本発明は、本明細書に記載されたようなアッセイカートリッジの使用を含むアッセイ法を提供する。この方法は、生物学的サンプル中の分析物または生物学的サンプルの特性をアッセイする、例えば、血液中または血液由来サンプル中のコレステロール（ＣＨ）および／またはトリグリセリド（ＴＧ）および／または高密度リポタンパク質（ＨＤＬ）の濃度をアッセイするステップを含み得る。

さらなる態様によると、本発明は、アッセイカートリッジを使用するアッセイ法を提供し、このアッセイカートリッジは、
少なくとも２つのウェルを画定するベース部材と、
前記ウェルの少なくとも１つに配置可能なピペットと、
ピペットを保持するように構成されたキャップ部材と、
キャップ部材をベース部材に取り外し可能に取り付けるための手段と、
少なくとも１つの別のウェルを画定する延長部材と、
延長部材がベース部材に取り付けられるときに、ピペットが、ベース部材のウェルの少なくとも１つに配置可能であり、かつ延長部材の別のウェルにも配置可能であるように、延長部材をベース部材に取り付けるための手段と、を備え、このアッセイ法は、最初にピペットをベース部材のウェルに配置するステップと、次にピペットを延長部材のウェルに配置するステップを含む。サンプルまたは試薬をピペットからベース部材のウェルに移すことができ、逆も同様である。同様に、サンプルまたは試薬をピペットから延長部材のウェルに移すことができ、逆も同様である。

本明細書に記載されるどの態様または実施形態の任意選択の特徴または好ましい特徴も、適切な場合には、本明細書に記載されるその他の態様の任意選択の特徴または好ましい特徴とすることができる。

本発明の特定の好ましい実施形態を、添付の図面を参照しながら、単なる例として以下に説明する。

従来技術のカートリッジの斜視図である。 本発明を実施する、延長部に取り付けられたベース部材の斜視図である。 図２の一部の拡大図である。 接続されていないベース部材の斜視図である。 図４の一部の拡大図である。 接続されていない延長部材の斜視図である。 接続されていない延長部材の別の斜視図である。 ベース部材および延長部材に使用される蓋部材の底面の斜視図である。 蓋部材の一部のより詳細な斜視図である。 蓋部材の異なる斜視図である。 蓋部材の一部のさらなる斜視図である。 ２つの異なるカッターデザインのホイルシールを切断するために必要な力に関するグラフである。 従来技術のシールの断面図である。 本発明を実施するシールの断面図である。 同様に本発明を実施する異なるシールの断面図である。 図１３〜図１５に示されているシールを圧縮するために必要な力に関するグラフである。 本発明を実施するカートリッジに使用される磁気部材の垂直断面図である。 コレステロールの決定について本発明の実施形態と利用可能システムとを比較する実験結果のグラフである。 トリグリセリドについての別のこのようなグラフである。 ＨＤＬについての別のこのようなグラフである。 計算したＬＤＬについての別のこのようなグラフである。 本発明を実施するカートリッジを用いて測定したＢＮＰ濃度についての用量反応グラフである。 本発明を実施する異なるカートリッジを用いて測定したＢＮＰ濃度である。

図２は、本発明を実施するベース部材２６および延長部材２８を示している。ベース部材２６は、透明なプラスチック材料から形成されている。延長部材２８は、識別しやすいように異なる濃淡で示されているが、同じ透明プラスチックから形成することができる。代替の実施形態では、一方または両方の部材を不透明とすることができる。ベース部材２６は、一列の５つのウェル３０〜３８を画定し、このうちの４つのウェル３２〜３８は、傾斜した底部を有する。第１のウェル３０は、主に、先端部が毛細管のピペット（不図示）の収納領域であり、第２のウェル３２は、主に、先端部が膜のピペット（不図示）の収納領域である。

延長部材２８は、３つのウェル４０、４２、４４を一列に画定する。これらの第２のウェル４２および第３のウェル４４は、傾斜した底部を有する。延長部材２８のウェル４０、４２、４４およびベース部材２６の第２から第５のウェル３２〜３８は、主に、アッセイカートリッジが使用されるとき、および任意選択で、カートリッジが保管されるときに、試薬を収容することを目的としている。

ベース部材２６は、フランジ先端部４６〜５２を有する４つの可撓性上向き突出部を備え、これらのフランジ先端部４６〜５２を、キャップ部材（不図示）の貫通孔に嵌め込んでベース部材２６をキャップ部材に取り付けることができる。

図３は、ベース部材２６と延長部材２８との間の嵌め合い接続を詳細に示している。延長部材２８から延びた２つの細長い垂直突出部５４、５６を確認することができる。

図４は、延長部材２８から分離されているベース部材２６を示している。

図５は、ベース部材２６にある嵌め合い接続の要素を詳細に示している。２つの細長い垂直突出部５４、５６のそれぞれは、その外側の長さに沿ったフランジを備え、このフランジは、他方の突出部に向かって湾曲し、従って、突出部５４と５６との間に垂直な溝６２を画定する。ベース部材２６の底部から上方に延びた一対のプレート６４、６６は、延長部材２８がプレートの上面よりも下への移動を防止する高さ維持部、および延長部材２８がベース部材２６から離れる方向への傾動を防止する傾斜防止部の両方として機能する。２つの垂直突出部５４と５６との間の中心に位置し、かつベース部材２６の端面のほぼ中間の高さにある小さい突出部６８の下面は、延長部材２８がベース部材２６に取り付けられたときに延長部材２８を保持するためのロック用フックとして機能する。

図６および図７は、ベース部材２６から分離されている延長部材２８を示している。また、延長部材２８は、２つの細長い垂直突出部７０、７２を備え、これらの垂直突出部７０、７２のそれぞれは、他方の突出部から離れる方向に湾曲した、その外側の長さに沿ったフランジ７４、７６を備えている。垂直突出部７０、７２は、ベース部材２６の突出部５４、５６よりも互いに近接し、かつベース部材の突出部５４と５６との間に画定された溝６２内をスライドできる大きさである。２組の突出部およびフランジは、延長部材２８がベース部材２６に取り付けられたときに締り嵌めを形成することができる。垂直突出部５４、５６、７０、７２は、実質的に垂直にするだけでも良いが、そうではなく、部材２６、２８の底部に向かって共にやや先細にして、延長部材２８がベース部材２６に対して下がるにつれて締り嵌めの強さが増大するようにしても良い。この締り嵌めは、一部の実施形態では、ベース部材２６および延長部材２８が取り付けられるとこれらを望ましい位置に保持する他の手段が設けられているため、かなり緩めにすることができる。

図８は、横に置かれたキャップ部材８６を示している。ピペットは、分かりやすくするために示されていない。キャップ部材８６は、取り付けられたときに、図２に示されている結合されたベース部材２６および延長部材２８を覆う大きさである。キャップ部材８６の側面は、結合されたベース部材および延長部材の側面に全ての方向で覆いかぶさることができる。

キャップ部材８６は、その側壁に８つの貫通孔を備え、そのうちの４つの貫通孔８８〜９４を図８で確認することができる。ベース部材２６の４つのフランジ先端部４６〜５２が、貫通孔の下側の組９０、９４または上側の組８８、９２のいずれかに係合して、キャップ部材がベース部材から比較的遠い取り付け位置、またはこれらの部材が比較的近い相互付勢位置のいずれかにキャップ部材８６をベース部材２６に取り付けることができる。

一列の６つの下方を向いたカッター９６〜１０６が、ベース部材２６の第３から第５のウェル３４〜３８および延長部材２８の３つのウェル４０〜４４に整合するように、キャップ部材８６の内側水平面に沿って位置している。これらの６つのウェルは、最初はホイルシーティング（不図示）によって密封され、カッターは、キャップ部材８６が相互付勢位置に付勢されたときに切り開くように配置されている。

図１０は、先端部が毛細管のピペット１０８および先端部が膜のピペット１１０を備えたキャップ部材８６を示し、これらのピペットはそれぞれ、キャップ部材８６がベース部材２６に取り付けられると、ベース部材２６の第１の壁３０および第２の壁３２に配置されるように構成されている。また、最初の３つのカッター９６〜１００を取り囲んでいる細長い下方に突き出たゴムシール１０９、および次の３つのカッター１０２〜１０６を取り囲んでいるもう１つの同様のシール１１１も示されている。これらのシールは、これらの２つのシール間を接続する裏当てシートに接着しても良いし、またはこの裏当てシートで形成しても良い。

図１１は、下側から垂直上方に見たカッターの詳細図を示している。第１のカッター９６、第２のカッター９８、第３のカッター１００、第５のカッター１０４、および第６のカッター１０６は、同一のデザインであるが、第４のカッター１０２は異なる。第１のカッター９６は、外形が矩形であり、それぞれが２つの刃先を有する３つの線形の刃を備えている。一対の刃先１１２、１１４が、矩形の短い縁に沿って位置している。刃先１１２、１１４は、キャップ部材２６の大部分から離れる方向に点１１６に向かって下方に傾斜している。別の対の刃先１２０、１２２は、矩形の他方の短い縁に沿って位置し、同様に点１２４に向かって下方に傾斜している。第３の刃の隣接している刃先１１８、１２６は、短い縁の中間点に交わっている直線を形成し；一方の刃先１１８は、下方に傾斜して第１の点１１６で第１の対の刃先１１２、１１４に交わっている。他方の刃先１２６は、下方に傾斜して第２の点１２４で第２の対の刃先１２０、１２２に交わっている。

第４のカッター１０２は、中心点１３２で交わっている４つの刃先を備えている。第４のカッター１０２は、ホイルの中心に刺入するように動作する。第４のカッター１０２は、対応するウェルが、３刃カッターには余り適していない小さめの開口を有するため、異なるデザインである。

使用の際は、最終使用者（例えば、医師）が、延長部材２８がベース部材２６に取り付けられ、キャップ部材８６がベース部材２６に高い方の取り付け位置で取り付けられた状態でアッセイカートリッジを受け取ることができる。ベース部材２６の第３から第５のウェル３４〜３８および延長部材の３つのウェル４０〜４４は、それらの開口に亘って伸ばされ、ウェルを画定する壁の上面に接着された１つまたは複数のホイルシートによって最初は密封されている。一部または全てのウェルが、例えば、以下の実施例で説明されるように試薬を含み得る。

医師が、先端部が毛細管のピペット１０８をキャップ部材８６から取り外し、このピペットでサンプル（例えば、血液）を採取し、ピペットをキャップ部材８６に戻し、そしてカートリッジを分析装置（例えば、Ａｆｉｎｉｏｎ（商標）ＡＳ１００分析装置）に装着する。分析装置は、キャップ部材８６をベース部材２６に向かって付勢する。これにより、第１のカッター９６が、第３のウェル３４の矩形の開口の短い縁に沿って、短い縁の中間点から外側に向かってホイルシールをせん断すると共に、矩形の長い縁に対して平行なホイルの中心に沿った線で切断する。カッター９６の長い縁に沿った隆起部１２８、１３０が、ホイルの２つのフラップをウェル３４の内側の縁に対して押し込む。他の同一のカッターも同様に動作する。第４のカッター１０２は、ホイルの中心に刺入して４つのフラップを形成する。

次いで、分析装置は、キャップ部材８６をベース部材２６から取り外し、キャップ部材８６をベース部材２６および延長部材２８に対して移動させ、望ましいアッセイの実施に必要な場合は、先端部が毛細管のピペット１０８および先端部が膜のピペット１１０を様々なウェルに配置する。これに関する分析装置の動作は、国際公開第０２／０９０９９５号パンフレットに記載されている動作と実質的に同じである。アッセイが完了したら、キャップ部材８６を、相互付勢位置でベース部材２６に再び取り付け、これにより、シール１０９、１１１を圧縮してウェルの周りに液密シールを形成し、使用した試薬がカートリッジから漏れるのを防止する。

図１２は、カッターがホイルシールを切断するときにキャップ部材８６を相互付勢位置に移動させるために加えられるべき、変位に対する付勢力のグラフを示している。上の線１３４は、カッターの全てが第４のカッター１０２の刺入デザインに類似した刺入デザインを有する場合に必要な力を示している。必要な力は、６０Ｎを超えている。下の線１３６は、カッターが、図１０および図１１に示されているようなカッターである場合に必要な力を示している。この力は、２０Ｎを決して超えることがない。

図１３は、既に説明した従来技術のシールデザインを示している。

図１４および図１５は、共に本発明を実施する、シール１０９、１１１の２つの異なるデザインの断面を示している。第１のデザインでは、一対の凹状曲面１４８、１５０が、キャップ部材８６から離れる方向に互いに向かって延びている。これらの凹状曲面は、水平縁１５２によってつながっている。曲線１４８と１５０は鏡像である。第２のデザインでは、一対の凹状曲面１５６、１５８が、同様にキャップ部材８６から離れる方向に互いに向かって延びている。これらの凹状曲面は、水平縁１６０によってつながっている。しかしながら、ここでは、曲線１５６と１５８は鏡像ではなく、異なる式によって画定されている。この非対称は、特に優れた性能を付与することが分かっている。

図１６は、シール１０９、１１１をベース部材２６および延長部材２８に対して圧縮するときに、相互付勢位置にキャップ部材８６を移動させるために必要な、変位に対する付勢力をプロットしている。上の線１６２は、シールが図１３に示されているような既知のデザインを有する場合に必要な力を示している。下の線１６４は、シールが図１５に示されているようなシールである場合に必要な力を示している。本発明を実施するデザインを使用する場合、同じ力の場合、圧縮が有意に大きいことを示している。

図１７は、アッセイカートリッジの一部である磁気部材１１０’を示し、この磁気部材１１０’は、図２〜図１１に示されているカートリッジに類似しているが、先端部が膜のピペット１１０（図１０に示されている）の代わりに、サイズおよび形状が同様の磁気部材１１０’が設けられている。磁気部材１１０’は、細長く、キャップ部材に接続するための太い上部１６８および細いスリーブ部分１７０を有する。スリーブ部分１７０は、矩形断面１６８の中空円筒である。スリーブ部分１７０は、その一端が、傾斜した平面の表面１７２によって閉じられている。スリーブ部分１７０および傾斜面１７２は、プラスチック材料から形成することができる。スリーブ部分１７０は、このスリーブ部分の幅に亘り、かつスリーブ部分１７０の長さの大部分を占める永久磁石１７４を内部に収容している。

本発明を実施するカートリッジを用いたいくつかのアッセイの例を以下に説明する。

図２の延長部材２８のウェルは、試薬を収容することができる；あるいは、これらのウェルは、較正物質（液体または凍結乾燥）を収容する、血液分離ユニット、ワイパー（複数の分析物を測定するアッセイで交差汚染を最小限にする）を備える、または他の機能を有することができる。ベース部材２６および延長部材２８は、製造者がスナップ結合して組立ラインで単一体としてホイルで密封しても良いし、または別個に処理および密封して、顧客がスナップ結合しても良い。

実施例１
ベース部材２６を用いる酵素アッセイを次のように行うことができる。１５μＬの血清または血漿を、毛細管力によって先端部が毛細管のピペット１０８内に吸引し、この先端部が毛細管のピペット１０８をカートリッジに配置する。このカートリッジを、Ａｆｉｎｉｏｎ（商標）分析装置に挿入する。この器具では、先端部が毛細管のピペット１０８を第５のウェル３８に移動させて、サンプルを、典型的には２５０μＬの希釈バッファーと混合する。第３のウェル３４および第４のウェル３６には、典型的には１００〜１５０μＬの、分析物１の分析用の試薬１および分析物２の分析用の試薬２が予め添加されている。試薬および希釈されたサンプルに対してブランク測定を行う。先端部が毛細管のピペット１０８で、希釈サンプル（典型的には、５０〜１００μＬ）を第３のウェル３４および第４のウェル３６に移し、サンプルと試薬を混合する。測定する分析物によって、第２のブランク測定を行うことができる。反応混合物を加熱する。測定モード（終点、定点、または動的測定）によって、１回または数回の測定を行う。測定値を、カートリッジのバーコードで提供される検量線から補間によって濃度に変換する。

実施例２
９つの血清サンプル中のコレステロール（ＣＨ）およびトリグリセリド（ＴＧ）の濃度を、実質的に実施例１で説明されたＡｆｉｎｉｏｎ（商標）分析装置で測定した。使用する検量線を、ＣＲＭＬＮ研究室（Ｓｅａｔｔｌｅ，ＵＳＡ）で予め定量された６種類の標準物質から作成した。同時に、同じ９つのサンプルを、Ｓｉｅｍｅｎｓ（商標）試薬を用いて、製造者によって供給される校正システムをそれぞれ使用して市販のポイント・オブ・ケア分析装置、Ｃｈｏｌｅｓｔｅｃｈ（商標）ＬＤＸシステム（Ｌｉｐｉｄｐｒｏｆｉｌｅ−Ｇｌｕ）、および臨床検査器具ＡＤＶＩＡ ２４００によって測定した。得られた値を表１に示す。

実施例３
４２の血漿サンプルのＣＨ、ＴＧ、およびＨＤＬの濃度を、本発明を実施する３ウェル延長ユニット（図６に示されているものに類似）で延長されたカートリッジアッセイを用いて、実施例２で実質的に説明されたＡｆｉｎｉｏｎ（商標）分析装置で測定した。また、このカートリッジは、２種類のＨＤＬ試薬も含み、１つは非ＨＤＬのブロッキングに使用され、もう１つはＨＤＬを検出可能な産物に変換するために使用される。実施例２と同様に、血漿サンプルを、Ｃｈｏｌｅｓｔｅｃｈ（商標）ＬＤＸ Ｌｉｐｉｄｐｒｏｆｉｌｅ−ＧｌｕおよびＳｉｅｍｅｎｓ（商標）Ａｄｖｉａシステムで測定した。図１８〜図２１は、ＣＨ、ＴＧ、ＨＤＬ、およびＬＤＬについて得られた値に対して３つの方法を比較している。ＬＤＬは、直接は測定しなかったが、フリードワルド（Ｆｒｉｅｄｅｗａｌｄ）の式を用いて計算した。
ＬＤＬ＝ＣＨ−ＨＤＬ−ＴＧ／５（ｍｇ／ｄＬ）

実施例４
全血サンプルを、ウェルの１つの底部にガラスフィルターが取り付けられた本発明を実施する延長アッセイカートリッジ（図２に示されているカートリッジと同様）で濾過した。サンプルは、６連で試験を行った。全血を、毛細管力によって１５μＬの先端部が毛細管のピペットに吸引し、延長カートリッジに挿入した。サンプルを取り出して、２８５μＬの希釈バッファーと混合した。２００μＬを、先端部が毛細管のピペットによってガラスフィルターを備えたウェルに移した。次いで、先端部が膜のピペットをガラスフィルターの上にぴったりと配置した。先端部が膜のピペットの開口端部に、周囲圧力よりも低い圧力を加えると、希釈された全血がガラスフィルターに流れ、血液細胞がフィルターに捕集され、希釈された血漿がフィルターおよび微多孔膜を通過して、先端部が膜のピペットに流れた。圧力が上昇（空気を吸引）し始めたら、先端部が膜のピペットをガラスフィルターから取り外し、下げて空のウェルの中に入れ、周囲圧力よりも高い圧力を加えて濾過された血漿を排出した。ＮａＮＯ_２を用いて汚染ヘモグロビンをメトヘモグロビンに変換して、４１０ｎｍの波長で吸光度を測定した後に、血液汚染を測定した。メトヘモグロビンの既知の濃度から作成した検量線から補間によって吸光度をＨｂ（％）に変換した。結果を表２に示す。

実施例５
トリグリセリドおよび全コレステロールを終点測定を用いて決定するが、ＨＤＬに関連したコレステロールは、測定可能な終点を形成しないため、定点または動的測定を用いて決定しなければならない。終点測定では、測定が試薬の活性にほぼ無関係であるが、定点測定または動的測定は、試薬の活性に大きく左右される。従って、このようなアッセイは、あらゆる試薬の劣化を補正するために標準物質を用いることが推奨される。

１５μＬの血清または血漿を、毛細管力によって先端部が毛細管のピペットに吸引し、このピペットを、図２〜図１１に示されている、延長部材が透明な延長アッセイカートリッジに配置する。このカートリッジを、Ａｆｉｎｉｏｎ（商標）分析装置に挿入する。この器具では、先端部が毛細管のピペット１０８を第５のウェル３８に移動させて、希釈バッファーと混合する。１５０μＬのＨＤＬ試薬１を、第６のウェル４０から、凍結乾燥ＨＤＬ標準物質を含む第７のウェル４２に移す。希釈されたサンプル（典型的には、それぞれ３０μＬ）を、第６のウェル４０、第４のウェル３６、および第３のウェル３４に添加する。測定可能な終点を形成する酵素反応が、第３のウェル３４および第４のウェル３６で進行している間、サンプル中の非ＨＤＬ（第６のウェル４０）および標準物質（第７のウェル４２）は、Ｒ１試薬によってブロックされている。非ＨＤＬをブロックする十分な時間が経過したら（典型的には、２分間）、ＨＤＬ Ｒ２（典型的には、５０μＬ）を第８のウェル４４から第７のウェル４２に移し、非ＨＤＬがブロックされたサンプル（典型的には、１５０μＬ）を、第６のウェル４０から第８のウェル４４に移す。第７のウェル４２および第８のウェル４４の反応を、延長部材の透明な側面を介して監視して吸光度の上昇を測定し、終点を第３のウェル３４および第４のウェル３６で測定する。

吸光度を、カートリッジのバーコードで提供される事前に準備された検量線から補間によって濃度に変換する。標準物質の吸光度の上昇を使用して、あらゆる時間経過による試薬の劣化についてＨＤＬ検量線を補正する。

実施例６
０〜１００ｐｇ／ｍＬの範囲の６つのサンプル中のＢ型ナトリウム利尿ペプチド（ＢＮＰ）濃度を、本発明を実施する延長アッセイカートリッジを用いてＡｆｉｎｉｏｎ（商標）分析装置で２連で測定した。この延長アッセイカートリッジは、図２に示されているカートリッジに類似しているが、図１０に示されている先端部が膜のピペット１１０を備えず、延長部材が透明なポリマー材料から形成されている。磁石を、第６のウェル４０に配置した。試薬および量を表４に示す。サンプル（１５μＬ）を、０．５μｍの常磁性粒子に結合した抗ＢＮＰ抗体１（１．２５％）ならびにＨＲＰおよび抗ＢＮＰ抗体２でコーティングされた０．２μｍのラテックス粒子（０．３％）を含む、第８のウェル４４の試薬調合物（Ｒｅａｇｅｎｔ Ｆｏｒｍｕｌａｔｉｏｎ）（５μＬ）と反応させた。抗ＢＮＰ１−ＢＮＰ−抗ＢＮＰ２／ＨＲＰ複合体の形成を周囲温度で１０分間進行させ、次いで、洗浄バッファー（１００μＬ）を添加し、この混合物を第７のウェル４２に移した。結合したＢＮＰ／抗ＢＮＰ２／ＨＲＰを含む試薬調合物の常磁性粒子を、磁石によって第７のウェル４２と第６のウェル４０との間の壁に引き寄せた。非結合抗ＢＮＰ２／ＨＲＰを除去し、複合体と共に捕集された常磁性粒子を１５０μＬの洗浄バッファーで５回洗浄した。最後に、１５０μＬのＴＭＢを第７のウェル４２に添加し、６２５ｎｍで７５０秒間、吸光度の上昇を監視した。図２２は、得られた用量反応グラフを示している。得られた検出限界は５ｐｇ／ｍＬであった。

実施例７
０〜１００ｐｇ／ｍＬの範囲の５つのサンプル中のＢＮＰ濃度を、本発明を実施する延長アッセイカートリッジを用いてＡｆｉｎｉｏｎ（商標）分析装置で２連で測定した。この延長アッセイカートリッジは、図２に示されているカートリッジに類似しているが、図１０に示されている先端部が膜のピペット１１０が、図１７に示されている磁気部材と同様の磁気部材１１０’に置き換えられていた。試薬および量を表５に示す。サンプル（１５μＬ）を、０．５μｍの常磁性粒子に結合した抗ＢＮＰ抗体１（１．２５％）ならびにＨＲＰおよび抗ＢＮＰ抗体２でコーティングされた０．２μｍのラテックス粒子（０．３％）を含む、第７のウェル４２の試薬調合物（５μＬ）と反応させた。抗ＢＮＰ１−ＢＮＰ−抗ＢＮＰ２／ＨＲＰ複合体の形成を周囲温度で１０分間進行させ、次いで、洗浄バッファー（１６５μＬ）を添加し、磁気部材を希釈反応混合物に導入した。

結合したＢＮＰ／抗ＢＮＰ２／ＨＲＰを含む試薬調合物の常磁性粒子を磁石部材に引き寄せた。結合したＢＮＰ／抗ＢＮＰ２／ＨＲＰが付着した磁気部材を除去し、非結合抗ＢＮＰ２／ＨＲＰがウェルに残った。磁気部材を、第３のウェル３４、第４のウェル３６、および第８のウェル４４で十分に洗浄した。最後に、磁気部材を、第５のウェル３８のＴＭＢ溶液に浸漬し、６２５ｎｍで７５０秒間、吸光度の上昇を監視した。図２３は、用量反応グラフを示している。得られた検出限界は１８ｐｇ／ｍＬであった。

実施例８
５つの異なる磁石を、実施例７で説明された設定およびプロトコルならびに４００ｐｇ／ｍＬのＢＮＰを含むサンプルを用いて、常磁性マイクロスフィアの捕捉および発色について試験した。結果を表６に示す。磁石のサイズおよび形状が、常磁性マイクロスフィアの捕捉効率および分析性能に影響を与えることが分かった。最適な性能は、図１７に示されている構成に類似した磁気部材のスリーブの空洞部（１５×３．２×１．３）にぴったり適合する磁石で達成された。

要約すると、本発明の好ましい実施形態は、広範囲のアッセイを便利に、かつ有用に行うことができる新規なアッセイカートリッジを提供する。

２６…ベース部材、２８…延長部材、３０、３２、３４、３６、３８…ウェル、８６…キャップ部材、１０８、１１０…ピペット。

Claims (9)

1. ２つ以上のウェルを画定するベース部材、および前記ウェルの少なくとも２つに配置可能なピペットを保持するように構成されたキャップ部材を備えるアッセイカートリッジに用いられるカッターであって、前記ウェルの１つを覆うホイルシールをせん断するための、線形であって互いに平行な２つの刃、および前記２つのせん断刃間に延在し、前記せん断刃の端部から離間した第３の刃を備え、
   前記２つの刃のそれぞれの刃先は、前記ウェルの幅の中間点に向かって下方に傾斜しており、前記第３の刃は、前記中間点で前記２つの刃に交わっていると共に、逆Ｖ字形状を呈するようにその長さに沿って高さが変化する、カッター。
2. 前記２つの刃は、前記ウェルのそれぞれの壁に隣接したホイルをせん断するように構成されている、請求項１に記載のカッター。
3. 前記第３の刃は、前記２つの刃に対して垂直である。請求項１に記載のカッター。
4. 前記３つの刃は、概ねＨ形の配置である、請求項１に記載のカッター。
5. ２つの矩形フラップを形成するように前記ホイルシールを切断するように構成された、請求項１に記載のカッター。
6. 前記矩形フラップが、前記ウェルの開口の領域の実質的に半分である、請求項５に記載のカッター。
7. ２つ以上のウェルを画定するベース部材、および前記ウェルの少なくとも２つに配置可能なピペットを保持するように構成されたキャップ部材を備え、さらに、前記キャップ部材に配設された請求項１に記載のカッターを備える、アッセイカートリッジ。
8. ２つ以上のウェルを備えるアッセイカートリッジのホイルシールを切断するためのカッターであって、少なくとも１つのウェルが、前記カートリッジのベース部材に関連した延長部材にあり、前記カッターが、少なくとも２つの平行な刃先を有し、当該刃先が、前記刃先の角から前記刃先の中間点まで下方に傾斜するようなプロファイルを有し、これにより、前記カッターが、前記ホイルシールに最初に接触して前記ホイルシールを穿刺する前記中間点を規定し、その後、前記カッターが前記カートリッジに向かって付勢されたときに、前記カッターの前記傾斜した刃先が、前記ホイルが位置する前記ウェルの中心点から前記ウェルの外側の角部まで前記ホイルをせん断し、
   前記カッターが第３の刃をさらに備え、前記第３の刃は、前記第３の刃の刃先が前記刃先の中間点から前記刃先の角まで下方に傾斜するようなプロファイルを有し、これにより、前記第３の刃が切断すべきホイルに向かって付勢されたときに、前記第３の刃の長さに沿った前記中間点が前記ホイルに最後に接触する、カッター。
9. 前記カッターは、ウェルを覆うホイルの短い縁に沿って選択的に切断するように構成され、これにより前記ホイルによって覆われた前記ウェル内の液体に接触し難い切断ホイルフラップを形成する、請求項８に記載のカッター。

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