JP6489758B2 - 半導体装置 - Google Patents

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Description

本発明は、半導体装置に関するものである。
表面実装型のパッケージ構造をなす半導体部品に関する技術として、例えば特許文献1のようなものが提供されている。この特許文献1には、クワッドフラットパッケージ(QFP)として構成される半導体部品の実装方法が開示されている。この技術では、実装基板の実装面側に形成されたランド上にはんだを供給し、このはんだに対して、半導体部品のリードフレームを押圧しつつ加熱処理を行うことで、リードフレームとランドとをはんだ接合させている。
特開平6−85452号公報
ところで、半導体チップをモールド樹脂によって被覆してなるパッケージ部品では、大きな割合を占めるモールド樹脂の線膨張係数が実装基板の線膨張係数と異なっている。このため、例えば市場において熱サイクルが加わったときに、樹脂モールド部全体の伸縮度合いと、実装基板側の伸縮度合いとの差が大きくなり、樹脂モールド部と実装基板とを接合するはんだ接合部付近に応力が集中してしまうという問題がある。このような応力集中は、疲労破壊の要因となり得るため、はんだ接続の信頼性を高めるためにはこのような応力集中を確実に抑える必要がある。
本発明は、上述した課題を解決するためになされたものであり、半導体部品を実装基板に実装してなる半導体装置において、モールド部全体の線膨張係数と実装基板の線膨張係数を近づけることで、熱サイクル時の伸縮度合いの差を抑え、接合部に過剰な負荷が加わることを抑制することを目的とする。
請求項1の発明は、回路基板(5)と、
半導体チップ(23)をモールド部(20,220、320)によって被覆してなるモールド構造部(3,203,303)と、前記モールド構造を前記回路基板(5)に接続する接続部(27b)と、を有する半導体部品(2,202,302)と、
を備え、
前記モールド部(20,220、320)は、所定の樹脂材料からなるモールド樹脂部(21,221,321)と、前記モールド樹脂とは異なる材料からなる調整部(22,222,322)と、を有し、
少なくとも常温において、前記モールド構造の線膨張係数の体積平均値が、前記モールド構造において前記調整を前記モールド樹脂の材料に置換した構成の線膨張係数の体積平均値よりも前記回路基の線膨張係数に近似する構成であることを特徴とする。
請求項1の発明では、半導体チップを被覆するモールド部が、所定の樹脂材料からなるモールド樹脂部と、モールド樹脂部とは異なる材料からなる調整部とを備えた構成となっている。そして、少なくとも常温において、モールド構造部の線膨張係数の体積平均値が、モールド構造部において調整部をモールド樹脂部の材料に置換した構成の線膨張係数の体積平均値よりも回路基板の線膨張係数に近似する構成となっており、かつ、調整部が製品段階で取り外されないものである。
このように、本発明では、モールド部の一部の領域を、モールド樹脂部とは異なる材料によって構成された調整部の配置領域とし、この取り外されない調整部の存在により、モールド構造部の線膨張係数の体積平均値を回路基板の線膨張係数に近似させている。このため、熱サイクルが加わったときに、モールド構造部全体での伸縮度合いと、回路基板側での伸縮度合いとの差が小さくなり、伸縮度合いの差に起因する応力集中を確実に抑制することができる。よって、熱サイクルが加わったときでも、モールド構造部と回路基板とを接続する接続部などに過剰な負荷がかかりにくくなり、疲労破壊等の不具合がより生じにくくなる。
図1は、本発明の第1実施形態に係る半導体装置の要部を概略的に例示する平面図である。 図2は、図1のA−A断面を概略的に例示する概略断面図である。 図3は、図1、図2に示す半導体装置において回路基板に実装される半導体部品の外観及び内部構成を概略的に説明する説明図である。 図4は、図1、図2等に示す半導体装置(第1実施形態)のモールド構造部の体積平均値を算出する方法を説明する説明図である。 図5は、比較例となる半導体装置のモールド構造部の体積平均値を算出する方法を説明する説明図である。 図6は、半導体装置を構成する各材料の、温度と線膨張係数との関係を概略的に示すグラフである。 図7は、図1、図2に示す半導体装置における半導体チップ付近の上下の積層構造と、各層を構成する材料の線膨張係数との関係を説明する説明図である。 図8(A)は、比較例の半導体部品の断面構造を概略的に例示する概略断面図である。図8(B)は、図8(A)の比較例の半導体部品における半導体チップ付近の上下の積層構造と、各層を構成する材料の線膨張係数との関係を説明する説明図である。図8(C)は、図8(A)の比較例についてのリフロー温度時の反りの様子を概念的に説明する説明図である。 図9は、本発明の第2実施形態に係る半導体装置の要部を概略的に例示する平面図である。 図10は、図9のB−B断面を概略的に例示する概略断面図である。 図11は、図9、図10の半導体装置における半導体チップ付近の上下の積層構造と、各層を構成する材料の線膨張係数との関係を説明する説明図である。 図12は、本発明の第3実施形態に係る半導体装置の要部を概略的に例示する平面図である。 図13は、図12のC−C断面を概略的に例示する概略断面図である。 図14は、本発明の第4実施形態に係る半導体装置の要部を概略的に例示する平面図である。 図15は、図14のD−D断面を概略的に例示する概略断面図である。
[第1実施形態]
(半導体装置の概要)
以下、本発明を具現化した第1実施形態について、図面を参照して説明する。
図1、図2等に示す半導体装置1は、例えばエンジンECU(Electric Control Unit)などの車両用電子制御装置として構成されており、例えば、図示しない箱状のケースの内部に実装基板1a(回路基板5に半導体部品2や他の実装部品が実装されてなる基板)が収容された構造となっている。この実装基板1aは、回路基板5に対してマイコン、抵抗、トランジスタ、その他のIC等の各種電子部品が実装され、電子回路が構成されており、図1、図2等では、そのうちの1つの実装部品をなす半導体部品2を概念的に示している。なお、図1、図2等では、半導体装置1を構成する他の部品(ケースや半導体部品2以外の実装部品など)を省略して示しており、回路基板5については、一部の領域のみを概念的に示している。
以下では、図1、図2等に例示される半導体部品2及び回路基板5について重点的に説明する。図1、図2等に示すように、半導体装置1を構成する実装基板1aは、回路基板5の一方側の表面(第1板面5a)に、半導体チップ23を備えた半導体部品2が、例えば表面実装によって実装されている。
回路基板5は、半導体装置1を車両用電子制御装置として機能させるための回路基板であり、一般的な積層基板の形成方法によって製造された多層基板として構成されている。この回路基板5には、厚さ方向(板厚方向)一方側の第1板面5aと、第1板面5aの裏面側(厚さ方向他方側)の第2板面5bとが構成されており、図1、図2等に示す例では、第1板面5a上に半導体部品2やその他の部品が実装されている。図2の例では、実装された半導体部品2は、後述するモールド構造部3の下面(即ち、モールド部20の下面20a)が第1板面5aと離れて配置されており、下面20aと第1板面5aの間には、空気層からなる空間が構成されている。
また、回路基板5は、導体層と絶縁層とが交互に積層された多層構造となっている。本構成では、回路基板5を構成する複数の導体層として、例えば銅層として構成される6層の配線層5fが採用されている。なお、図2の例では、6層に構成される各配線層5fの積層構造を概略的に示しており、各配線層5fのパターンは様々に構成することができる。また、本構成では、多層基板を構成する複数の絶縁層として5層の樹脂層5cが採用されている。これら5層の樹脂層5cは、例えば、ガラス織布とエポキシ樹脂からなるFR−4が採用されている。なお、樹脂層5cの材質はこれに限定されるものではなく、例えば、熱可塑性樹脂、熱硬化性樹脂、セラミック、ガラス(例えばガラス布)と樹脂との複合体等の様々な公知材料を採用することができる。
半導体部品2は、例えばマイコンやICなどとして構成されており、図1〜図3の例ではQFP(Quad Flat Package)構造となっている。図2に示すように、半導体部品2は、主として、半導体素子に相当する半導体チップ23と、ダイパッド27aやリード部27bを構成するリードフレーム27と、半導体チップ23を被覆して外殻をなすモールド部20とによって構成されている。そして、半導体チップ23(ダイ)が図示しないダイボンド材によってダイパッド27aに固定されており、これらがモールド部20によって被覆されることで、モールド部20内に半導体チップ23等が埋め込まれた構造となっている。図1〜図3に示すように、モールド部20の側部には、モールド部20の内外に跨る構成で多数のリード部27bが配置されている。また、モールド部20の内部には、半導体チップ23とリード部27bのインナーリード(リード部27bのうち、モールド部20の内部に配置される部分)とを連結し、互いに電気的に接続する構成で、複数のボンディングワイヤ25が設けられている。なお、モールド部20の更に詳しい内容は後述する。
このように、本構成では、半導体チップ23をモールド部20によって被覆した形でモールド構造部3が構成されている。具体的には、モールド部20の外面(外部に露出する表面)よりも内側の領域がモールド構造部3の領域となっており、図1、図2等に示す例では、半導体部品2からアウターリード(リード部27bのうち、モールド部20の外側に配置される部分)を除いた部分がモールド構造部3に相当している。また、複数のリード部27bにおいてアウターリードに相当する部分が接続部の一例に相当し、モールド構造部3と回路基板5とを連結して接続する機能を有し、具体的には、例えば各リード部27bの先端部付近が回路基板5の表面側に形成された各導体層とはんだ部29によって接合され且つ電気的に接続された構成となっている。なお、図2等では、モールド構造部3の領域を二点鎖線ARにて概念的に示している。
(モールド構造部等の詳細)
次に、モールド構造部3や回路基板5の詳細について説明する。
モールド部20は、モールド構造部3の外郭をなす部分であり、図1に示すように、平面視したときの外形形状が略四角形状となるように構成されている。このモールド部20は、半導体チップ23を被覆して封止する機能を有しており、所定の樹脂材料からなるモールド樹脂部21と、モールド樹脂部21とは異なる材料からなる調整部22とによって構成されている。具体的には、図2、図3のように、モールド構造部3の下面部を構成するように調整部22が設けられており、モールド樹脂部21の下面の全領域を下方側から覆うように調整部22が配置されている。この構成では、モールド部20の下面20aの全体が調整部22の下面となっている。そして、調整部22は、半導体チップ23から離れた位置且つダイパッド27aから離れた位置において回路基板5の第1板面5aと対向するように回路基板5とは離間して配置されている。
図2、図3の例では、調整部22は、当該調整部22の配置領域全体で厚さが一定となっている。そして、調整部22の厚さは、モールド樹脂部21のいずれの位置の厚さよりも小さくなっており、調整部22の体積は、モールド樹脂部21の体積よりも小さくなっている。具体的には、図1のように、モールド樹脂部21を平面視したときの外形は、モールド部20の外形とほぼ同形状(同一の略四角形状)となっており、調整部22を平面視したときの外形も、モールド部20の外形とほぼ同形状(同一の略四角形状)となっている。そして、図2のように、モールド構造部3は、当該モールド構造部3の下面寄り所定範囲の側壁部が調整部22の側壁部によって構成されており、これよりも上側領域の側壁部がモールド樹脂部21の側壁部によって構成されている。このように、モールド構造部3は、全体的にモールド樹脂部21及び調整部22の厚さの均一化が図られている。つまり、水平方向(モールド構造部3の厚さ方向と直交する平面方向)において、バランス良くモールド樹脂部21及び調整部22が配置されているため、水平方向での線膨張係数の偏りが抑えられている。
このように構成される半導体装置1では、少なくとも常温において、モールド構造部3の線膨張係数の体積平均値(後述のβ1+β2+β3+β4)が、モールド構造部3において調整部22をモールド樹脂部21の材料に置換した構成(図8(A)に示す比較構造)の線膨張係数の体積平均値よりも回路基板5の線膨張係数(後述のβ5+β6)に近似する構成となっている。また、少なくとも常温において、モールド構造部3の線膨張係数の体積平均値(後述のβ1+β2+β3+β4)が、モールド構造部3から調整部22を除いた領域の線膨張係数の体積平均値よりも回路基板5の線膨張係数に近似する構成にもなっている。より望ましくは、少なくとも常温において、モールド構造部3の線膨張係数の体積平均値(後述のβ1+β2+β3+β4)と回路基板5の線膨張係数(後述のβ5+β6)とが等しい構成となるように、モールド樹脂部21の体積率と、調整部22の体積率と、調整部22の線膨張係数とが調整されている。
なお、本発明でいう「常温」は、日本工業規格(JIS Z 8703)で規定される「常温」を意味しており、具体的には、20℃±15℃の範囲(5℃〜35℃)である。つまり、少なくともこの常温範囲での各部材の線膨張係数が上述した関係を満たすようになっている。例えば、少なくとも25℃の室温において、モールド構造部3の線膨張係数の体積平均値(後述のβ1+β2+β3+β4)が、モールド構造部3において調整部22をモールド樹脂部21の材料に置換した構成(図8(A)に示す比較構造)の線膨張係数の体積平均値よりも回路基板5の線膨張係数(後述のβ5+β6)に近似する構成となっている。また、少なくとも25℃の室温において、モールド構造部3の線膨張係数の体積平均値(後述のβ1+β2+β3+β4)が、モールド構造部3から調整部22を除いた領域の線膨張係数の体積平均値よりも回路基板5の線膨張係数に近似する構成にもなっている。より望ましくは、少なくとも25℃の室温において、モールド構造部3の線膨張係数の体積平均値と回路基板5の線膨張係数とが等しい構成となるように、モールド樹脂部21の体積率と、調整部22の体積率と、調整部22の線膨張係数とが調整されている。
また、本発明では、図6のように、市場熱サイクル範囲として、モールド樹脂部21のガラス転移点Tgよりも低い所定範囲(例えば−40℃〜120℃)を想定しており、この所定範囲(例えば−40℃〜120℃)において、モールド構造部3の線膨張係数の体積平均値(後述のβ1+β2+β3+β4)が、モールド構造部3において調整部22をモールド樹脂部21の材料に置換した構成(図8(A)に示す比較構造)の線膨張係数の体積平均値よりも回路基板5の線膨張係数(後述のβ5+β6)に近似する構成となっている。また、この所定範囲(例えば−40℃〜120℃)において、モールド構造部3の線膨張係数の体積平均値(後述のβ1+β2+β3+β4)が、モールド構造部3から調整部22を除いた領域の線膨張係数の体積平均値よりも回路基板5の線膨張係数に近似する構成にもなっている。より望ましくは、この所定範囲(例えば−40℃〜120℃)において、モールド構造部3の線膨張係数の体積平均値(後述のβ1+β2+β3+β4)と回路基板5の線膨張係数(後述のβ5+β6)とが等しい構成となるように、モールド樹脂部21の体積率と、調整部22の体積率と、調整部22の線膨張係数とが調整されている。
このような構成を実現するためには、例えば、常温においてモールド樹脂部21の線膨張係数が回路基板5の線膨張係数よりも小さい構成であれば、調整部22は、常温での線膨張係数が回路基板5の線膨張係数よりも大きい材料を用いれば良い。逆に、常温においてモールド樹脂部21の線膨張係数が回路基板5の線膨張係数よりも大きい構成であれば、調整部22は、常温での線膨張係数が回路基板5の線膨張係数よりも小さい材料を用いれば良い。
以下の説明では、代表例として、常温でのモールド樹脂部21の線膨張係数が回路基板5の線膨張係数よりも小さく且つ調整部22の線膨張係数が回路基板5の線膨張係数よりも大きい構成について説明する。即ち、少なくとも5℃〜35℃の範囲では、モールド樹脂部21の線膨張係数が回路基板5の線膨張係数よりも小さく且つ調整部22の線膨張係数が回路基板5の線膨張係数よりも大きくなっている。なお、この代表例では、図6のように、市場熱サイクル範囲として想定される所定範囲(例えば−40℃〜120℃)において、モールド樹脂部21の線膨張係数が回路基板5の線膨張係数よりも小さく、且つ調整部22の線膨張係数が回路基板5の線膨張係数よりも大きい構成となっている。また、この例では、図6のように、調整部22の材料として線膨張係数の温度依存性が小さい材料が用いられ、調整部22において常温とはんだ部29の融点とで線膨張係数が変化する度合いが、モールド樹脂部21において常温とはんだ部29の融点とで線膨張係数が変化する度合いよりも小さくなっている。例えば、図6のように、少なくとも常温において調整部22の線膨張係数がモールド樹脂部21の線膨張係数よりも大きくなっており、具体的には、温度がモールド樹脂部21のガラス転移点Tgに達しない温度域において、調整部22の線膨張係数がモールド樹脂部21の線膨張係数よりも大きくなっている。一方、モールド樹脂部21のガラス転移点Tgを超えた温度域では、モールド樹脂部21の線膨張係数が調整部22の線膨張係数よりも大きくなっており、具体的には、ガラス転移点Tgを超えていれば、はんだ部29の融点に達するまでの温度範囲でも、リフロー工程を行うときの所定の最高温度(リフロー温度)に達するまでの温度範囲でも、モールド樹脂部21の線膨張係数が調整部22の線膨張係数よりも大きくなっている。
この代表例では、図1〜図3等に示す構成において、モールド樹脂部21が、例えばエポキシ樹脂などの公知の樹脂材料(例えば、常温での線膨張係数が所定値になるようにフィラーが調整されたエポキシ樹脂等)によって構成されている。また、調整部22の材料としては、線膨張係数、製造性、コスト面などを総合的に考慮すると、例えばアルミニウム、アルミニウム合金、銅、銅合金などが好適に用いられる。なお、調整部22は、常温においてモールド樹脂部21よりも線膨張係数が大きい材料であればよく、Mg,Zn,Snなどの金属材料であってもよく、モールド樹脂部21よりも線膨張係数の大きい公知の樹脂材料などであってもよい。
ここで、モールド構造部3における線膨張係数の体積平均値を算出する方法について説明する。半導体部品2のモールド構造部3は、各構成部材がそれぞれ個別に定められた割合で含まれており、ここでは、例えば、モールド構造部3の全体の体積Vaに占めるモールド樹脂部21の体積V1の割合(V1/Va)を体積率X1としている。また、モールド構造部3の全体の体積Vaに占めるモールド構造部3内のリードフレーム領域(インナーリード及びダイパッド27aの領域の相当するリードフレーム内部領域)の体積V2の割合(V2/Va)を体積率X2としている。また、モールド構造部3の全体の体積Vaに占める半導体チップ23の体積V3の割合(V3/Va)を体積率X3としている。また、モールド構造部3の全体の体積Vaに占める調整部22(以下、線膨張調整領域ともいう)の体積V4の割合(V4/Va)を体積率X4としている。なお、モールド部20の体積は、V1+V4となる。更に、常温でのモールド樹脂部21の線膨張係数をα1とし、常温でのリードフレーム27の線膨張係数をα2とし、常温での半導体チップ23の線膨張係数をα3とし、常温での調整部22の線膨張係数をα4としている。
そして、モールド樹脂部21の体積率X1と線膨張係数α1とを乗じた値β1(β1=X1×α1)を、モールド樹脂部21の線膨張係数の補正値(体積補正後の線膨張係数)とする。また、リードフレーム内部領域の体積率X2と線膨張係数α2とを乗じた値β2(β2=X2×α2)を、リードフレーム内部領域の線膨張係数の補正値(体積補正後の線膨張係数)とする。また、半導体チップ23の体積率X3と線膨張係数α3とを乗じた値β3(β3=X3×α3)を、半導体チップ23の線膨張係数の補正値(体積補正後の線膨張係数)とする。また、調整部22の体積率X4と線膨張係数α4とを乗じた値β4(β4=X4×α4)を、調整部22の線膨張係数の補正値(体積補正後の線膨張係数)とする。このように、構成部材ごとに、各構成部材の体積率と線膨張係数とをかけ合わせた補正値(体積補正後の線膨張係数)を求め、このように得られた全ての構成部材の補正値を加算して得られた値を、モールド構造部3の線膨張係数の体積平均値とする。
ここで、図4の例を用いて体積平均値の算出例を説明する。
図4の例では、モールド構造部3の全体の体積Vaが383mmである。モールド樹脂部21は、常温での線膨張係数が11ppm/℃の樹脂材料が用いられ、体積V1は、261.42mm、体積率X1は、68.26%となっている。また、リードフレーム内部領域は、線膨張係数が17ppm/℃の金属材料が用いられ、体積V2は25mm、体積率X2は、6.53%となっている。また、半導体チップ23は、全体の線膨張係数が3ppm/℃となっており、体積V3は8mm、体積率X3は、2.09%となっている。そして、調整部22の領域(線膨張調整領域)は、線膨張係数が23ppm/℃の材料が用いられ、体積V4は、88.58mm、体積率X4は、23.13%となっている。この例では、モールド樹脂部21の補正値β1は、β1=11×68.26/100の式で得られ、約7.508となる。また、リードフレーム内部領域の補正値β2は、β2=17×6.53/100の式で得られ、約1.110である。また、半導体チップ23の補正値β3は、β3=3×2.09/100の式で得られ、約0.063である。また、調整部22の領域(線膨張調整領域)の補正値β4は、β4=23×23.13/100の式で得られ、約5.320である。この例では、モールド構造部3の各構成部材の補正値β1、β2、β3、β4を全て加算して得られた値(β1+β2+β3+β4)がモールド構造部3の体積平均値であり、この体積平均値は、14.000となっている。そして、このように算出されるモールド構造部3の体積平均値は、回路基板5の線膨張係数と一致している。
本構成では、回路基板5においても、線膨張係数として体積平均値を用いることができる。即ち、回路基板5も、各構成部材がそれぞれ個別に定められた割合で含まれているため、回路基板5を構成する構成部材ごとに、各構成部材の体積率と線膨張係数とをかけ合わせた補正値(体積補正後の線膨張係数)を求め、このように得られた全ての構成部材の補正値を加算して得られた値を、回路基板5の線膨張係数(体積平均値)とすればよい。例えば、回路基板5において、回路基板5の全体の体積Vbに占める樹脂層5cの体積V5の割合(V5/Vb)を体積率X5とし、回路基板5の全体の体積Vbに占める配線層5fの体積V6の割合(V6/Vb)を体積率X6とする。そして、常温での樹脂層5cの線膨張係数をα5とし、常温での配線層5fの線膨張係数をα6とする。この場合、樹脂層5cの補正値β5は、β5=α5×X5となり、配線層5fの補正値β6は、β6=α6×X6となる。そして、回路基板5の線膨張係数の体積平均値は、β5+β6となる。このような回路基板5の体積平均値(即ち、β5+β6)が、上述したモールド構造部3の体積平均値(即ち、β1+β2+β3+β4)と一致するようにすればよい。
上述したように、本構成では、少なくとも常温において、モールド構造部3の線膨張係数の体積平均値(β1+β2+β3+β4)が、モールド構造部3において調整部22をモールド樹脂部21の材料に置換した構成(図8(A)に示す比較構造A1)の線膨張係数の体積平均値よりも回路基板5の線膨張係数(β5+β6)に近似する構成となっている。このような仮想的な置換構造(図8(A)に示す比較構造A1)での体積平均値の求め方は、上述したモールド構造部3での体積平均値の求め方と同様である。図8(A)のような比較構造A1では、図2等に示すモールド樹脂部21と同材料からなる領域(樹脂部121の領域)は、図2等に示すモールド部20の領域と一致するため、体積は、V1+V4となる。また、この領域(モールド樹脂部21と同材料からなる樹脂部121の領域)の体積率Y1は、(V1+V4)/Vaとなり、線膨張係数は、図2等に示すモールド樹脂部21の線膨張係数α1と同一である。従って、図8(A)に示す仮想的な比較構造A1における、当該領域(モールド樹脂部21と同材料からなる樹脂部121の領域)での線膨張係数の補正値(体積補正後の線膨張係数)をγ1とした場合、γ1=Y1×α1となる。また、図8(A)のような比較構造A1では、リードフレーム内部領域の体積率や線膨張係数は、図2等で示す代表例と同様であり、リードフレーム内部領域の線膨張係数の補正値(体積補正後の線膨張係数)をγ2とした場合、γ2=X2×α2となり、β2と同一である。また、図8(A)の比較構造A1では、半導体チップ23の体積率や線膨張係数は、図2等で示す構成と同様であり、半導体チップ23の線膨張係数の補正値(体積補正後の線膨張係数)をγ3とした場合、γ3=X3×α3となり、β3と同一である。なお、図8(A)の比較構造A1では、リードフレーム127の構成は図2等に示す代表例のリードフレーム27と同一であり、半導体チップ23の構成は、図2等に示す代表例の半導体チップ23と同一である。
図5には、図8(A)のような比較構造A1での体積平均値の算出例を説明している。なお、図5の例では、図8(A)の比較構造A1における置換前のモールド構造部3に相当する領域103の体積Vaは383mmである。また、モールド樹脂部21と同材質の樹脂部121は、常温での線膨張係数が11ppm/℃の樹脂材料が用いられ、体積(V1+V4)は350mmであり、体積率Y1は91.38%となっている。なお、図8(A)では、置換前に調整部22に相当する領域を二点鎖線BR1で示している。また、リードフレーム内部領域は、図2等に示す代表例と同様、線膨張係数が17ppm/℃の金属材料が用いられ、体積V2は25mm、体積率X2は、6.53%となっている。また、半導体チップ23は、図2等に示す代表例と同様、全体の線膨張係数が3ppm/℃となっており、体積V3は8mm、体積率X3は、2.09%となっている。この例では、モールド樹脂部21と同材質の樹脂部121の補正値γ1は、γ1=11×91.38/100の式で得られ、約10.052となる。また、リードフレーム内部領域の補正値γ2は、γ2=17×6.53/100の式で得られ、約1.110である。また、半導体チップ23の補正値γ3は、γ3=3×2.09/100の式で得られ、約0.063である。この例では、各構成部材の補正値γ1、γ2、γ3を全て加算して得られた値(γ1+γ2+γ3)が置換前のモールド構造部3に相当する領域103(比較構造A1でのモールド構造部)の体積平均値であり、この体積平均値は、11.225となっている。
このように、少なくとも常温において、比較構造A1におけるモールド構造部(領域103)の線膨張係数の体積平均値(γ1+γ2+γ3)は、図2等に示す代表例と比べて、回路基板5の線膨張係数(β5+β6)よりも大幅に小さくなっている。つまり、少なくとも常温では、モールド構造部3の線膨張係数の体積平均値(β1+β2+β3+β4)は、比較構造A1(モールド構造部3において調整部22をモールド樹脂部21の材料に置換した構成)の線膨張係数の体積平均値(γ1+γ2+γ3)よりも回路基板5の線膨張係数(β5+β6)に近似する構成となっている。
(第1実施形態の主な効果)
以上のように、本構成では、モールド部20の一部の領域を、モールド樹脂部21とは異なる材料によって構成された調整部22の配置領域とし、この調整部22の存在により、モールド構造部3の線膨張係数の体積平均値を回路基板5の線膨張係数に近似させている。このため、例えば図6に示す市場熱サイクル範囲において熱サイクルが加わったときに、モールド構造部3全体での伸縮度合いと、回路基板5側での伸縮度合いとの差が小さくなり、伸縮度合いの差に起因する応力集中を確実に抑制することができる。よって、熱サイクルが加わったときでも、モールド構造部3と回路基板5とを接続する接続部付近に過剰な負荷(伸縮度合いの差に起因する熱応力等)がかかりにくくなり、リード部27bと回路基板5とを接続するはんだ部29が疲労破壊してしまう等の不具合がより生じにくくなる。
具体的には、少なくとも常温において、モールド構造部3の線膨張係数の体積平均値と回路基板5の線膨張係数とが等しい構成となっている。このようにすることで、半導体装置1に対して繰り返しの熱サイクルが加わったとしても、モールド構造部3の全体での伸縮度合いと、回路基板5側での伸縮度合いとの差がより一層小さくなり、伸縮度合いの差に起因する応力集中をより一層抑えることができる。
また、本構成では、少なくとも常温において、モールド樹脂部21の線膨張係数が回路基板5の線膨張係数よりも小さく且つ調整部22の線膨張係数が回路基板5の線膨張係数よりも大きくなっている。常温において樹脂モールド領域の線膨張係数が回路基板の線膨張係数よりも小さい構成は市場において一般的であるため、このような関係とすれば、モールド樹脂部21や回路基板5の材料を選択する上での制限が抑えられる。そして、このようにモールド樹脂部21や回路基板5をそれほど制限することなく、モールド構造部全体として回路基板5と線膨張係数を近似させることができ、伸縮度合いを合わせやすくなる。
次に、リフロー時における半導体装置の熱反りの抑制効果について説明する。
ここでは、主に図6、図7、図8等を参照して説明する。図6では、モールド樹脂部21の温度と線膨張係数との関係を示す一点鎖線を符号L1で示している。また、調整部22の温度と線膨張係数との関係を示す太線の実線を符号L2で示している。また、回路基板5の温度と線膨張係数との関係を示す二点鎖線を符号L3で示している。更に、半導体チップ23の温度と線膨張係数の関係を示す実線を符号L4で示している。そして、リードフレーム27の温度と線膨張係数との関係を示す破線を符号L5で示している。
また、図7の左図は、図2等で示す半導体部品2における一部領域(モールド樹脂部21、半導体チップ23、リードフレーム27、調整部22が重なる領域AR1)の積層構造を概念的に示している。図7の右図は、縦軸が図7左図における厚さ方向(上下方向)の位置を示し、横軸が線膨張係数を示しており、常温時(具体的には25℃の室温時)での厚さ方向(上下方向)の位置と線膨張係数との関係を破線で示し、リフロー温度時での厚さ方向(上下方向)の位置と線膨張係数との関係を実線で示している。なお、図7のF1は、図8(B)等に示す領域BR1を調整部22の領域に置換したことによる常温時の線膨張係数の増大量(比較構造A1と比較した相対的な増大量)を概念的に示している。また、図7のF2は、図8(B)等に示す領域BR1を調整部22の領域に置換したことによるリフロー時の線膨張係数の減少量(比較構造A1と比較した相対的な減少量)を概念的に示している。また、図7の二点鎖線L1は、モールド構造部3の上下方向の中心位置を概念的に示しており、このL1の位置よりも上側がモールド構造部3の上半分領域であり、下側が下半分領域である。
また、図8(B)の左図は、図8(A)で示す比較構造A1の半導体部品における一部領域(樹脂部121、半導体チップ123、リードフレーム127が重なる領域AR2)の積層構造を概念的に示している。図8(B)の右図は、図8(B)左図における厚さ方向(上下方向)の位置と線膨張係数との関係を示しており、常温時(具体的には25℃の室温時)の厚さ方向(上下方向)の位置と線膨張係数との関係を破線で示し、リフロー温度時の厚さ方向(上下方向)の位置と線膨張係数との関係を実線で示している。なお、半導体チップ123の領域D2及びリードフレーム127の領域D3は、それぞれ半導体チップ23及びリードフレーム27と同一の構成部材であり、これらは常温時とリフロー温度時とで線膨張係数がほぼ変化しないようになっている。一方、樹脂部121は、モールド樹脂部21と同位置の材料からなり、この樹脂部121の領域D1,D4は、ガラス転移点Tgを超えたリフロー温度時に、常温時よりも線膨張係数が大幅に増大するようになっている。なお、図8の二点鎖線L2は、比較構造A1におけるモールド構造部3に相当する領域103の上下方向の中心位置を概念的に示しており、このL2の位置よりも上側が領域103の上半分領域であり、下側が下半分領域である。
ここで、比較構造A1のリフロー時の問題点について説明する。図8(A)で示す比較構造A1は、図8(B)左図のように、積層領域AR2において、上半分に配置される樹脂部121の厚さD1の方が、下半分に配置される樹脂部121の厚さD4よりも大きくなっている。このような比較構造A1では、半導体部品2を構成する材料が図6のような関係の場合(即ち、樹脂部121が図6で示すモールド樹脂部と同材質であり、半導体チップ123が図6で示す半導体チップと同一であり、リードフレーム127が図6で示すリードフレーム内部領域と同一である場合)、リフロー工程においてモールド構造部(領域103)の温度がガラス転移点Tgに達したときに、図8(B)右図のように、モールド構造部(領域103)の上半分領域において厚く配置された樹脂部121の線膨張係数が大幅に増大することになり、ガラス転移点Tg(ガラス転移温度)からリフロー温度(ガラス転移点Tgよりも高い温度であり、例えば250℃付近)までの温度範囲では、増大した線膨張係数に従って伸びることになる。ゆえに、リフロー温度時には、モールド構造部(領域103)における位置L2よりも上側の上半分領域の伸長度合い(特に、厚さ方向と直交する平面方向の伸長度合い)が大きくなる。一方、この比較構造A1では、領域103における位置L2よりも下側の下半分領域は、樹脂部121の厚さD4が上半分と比べて相対的に小さく、樹脂部121の配置量が相対的に小さいため、リフロー温度時での伸長度合いは上半分領域よりも小さくなる。このため、リフロー温度時には、上半分領域と下半分領域の伸長度合いの差により、図8(C)のような反りが生じてしまうことになる。
そこで、本発明では、図2、図7等で示すように、調整部22をモールド構造部3における位置L1よりも下側の下半分領域(具体的には下面部)のみに設け、リフロー時におけるモールド構造部3の反りを効果的に抑制している。
本構成では、図6のように、モールド構造部3に用いられるモールド樹脂部21及び調整部22は、モールド構造部3の温度がモールド樹脂部21のガラス転移点Tgに上昇するまでは、調整部22の線膨張係数がモールド樹脂部21の線膨張係数よりも大幅に大きくなっている。一方、モールド構造部3の温度がモールド樹脂部21のガラス転移点Tgを超えると、モールド樹脂部21の線膨張係数の増大により、調整部22の線膨張係数がモールド樹脂部21の線膨張係数を下回るようになっている。この構成では、図3のように構成された半導体部品2を回路基板5に実装するまでの期間において、モールド構造部3の温度がガラス転移点Tgに達するまでは、厚さ方向(上下方向)の各位置と線膨張係数との関係が図7の右図で示す破線のようになる。
そして、積層領域AR1において、モールド構造部3の上半分領域に配置されるモールド樹脂部21の厚さC1の方が、下半分領域に配置されるモールド樹脂部21の厚さC4よりも大きくなっている。また、モールド構造部3の上半分領域に配置されるモールド樹脂部21の厚さC1は、モールド構造部3の下半分領域に配置される調整部22の厚さC5よりも大きくなっている。つまり、ガラス転移点Tgに達するまでの温度状態のときには、モールド構造部3における位置L1よりも上側の上半分領域は、いずれの位置でも線膨張係数がモールド樹脂部21の線膨張係数以下となり、モールド構造部3の下半分領域では、多くの領域(リードフレーム27、調整部22の領域)の線膨張係数が、モールド樹脂部21の線膨張係数を超える関係となる。このため、図3のように構成された半導体部品2を回路基板5に実装するまでの期間において、モールド構造部3の温度がガラス転移点Tgに達するまでは、モールド構造部3の上半分領域よりも下半分領域の伸長度合いが大きくなり、モールド構造部3は、下側に凸となるような若干の反りが生じやすくなる。そして、このように温度がガラス転移点Tgに達するまでの間にリフロー温度時とは反対向きに反らせることで、リフロー温度時の反りを抑制している。
具体的には、モールド構造部3の温度がガラス転移点Tgに達した時には、図7右図の破線の関係から、図7右図の実線の関係に変化する。この場合、モールド構造部3の上半分領域に厚く配置されたモールド樹脂部21の線膨張係数が大幅に増大する。一方、下半分領域のモールド樹脂部21の厚さC4は上半分領域の厚さC1と比べて相対的に小さいため、この構成でも、リフロー温度時での伸長度合いは下半分領域の方が上半分領域よりも小さくなる。従って、リフロー温度時には、上半分領域と下半分領域の伸長度合いの差により上側に凸となる反りが生じやすくなるが、上述したようにモールド構造部3の温度がガラス転移点Tgに至る前には下側に凸となる反りを生じさせているため、リフロー温度時には、リフロー温度に至る前に上側に凸となった反りをキャンセルするような変形(反対側に凸になろうとする変形)が生じることになる。ゆえに、比較構造A1と比較して、リフロー時の上側への反りは確実に抑えられることになる。
更に、本構成では、調整部22のヤング率がモールド樹脂部21のヤング率よりも大きくなっている。このため、図8(A)のような比較構造A1と比較して、調整部22自体での変形抑制効果が加わり、上述した線膨張係数に基づく反り抑制効果と相乗的に作用してリフロー温度時の反りがより抑制されることになる。
[第2実施形態]
次に、図9〜図11等を参照して第2実施形態について説明する。第2実施形態に係る半導体装置201は、半導体部品202のみが第1実施形態の半導体部品2と異なる。具体的には、モールド部220のみが第1実施形態のモールド部20と異なり、それ以外の構成は第1実施形態の半導体装置1と同一である。よって、第1実施形態の半導体装置1と同一の部分については、半導体装置1と同一の符号を付し、詳細な説明を省略する。なお、モールド構造部203は、モールド部20をモールド部220に代えた点以外は第1実施形態のモールド構造部3と同一である。また、モールド部220は、モールド樹脂部221と調整部222の配置のみが第1実施形態のモールド部20と異なる。モールド樹脂部221の材料は、第1実施形態の代表例で説明したモールド樹脂部21の材料やその変更例と同様の材料を用いることができる。また、調整部222の材料は、第1実施形態の代表例で説明した調整部22の材料やその変更例と同様の材料を用いることができる。
以下の説明では、第2実施形態の代表例として、モールド樹脂部221の材料が第1実施形態の代表例のモールド樹脂部21と同一であり、調整部222の材料が第1実施形態の代表例の調整部22と同一である場合について説明する。
図9、図10で示すように、本構成に係る半導体装置201も、第1実施形態と同様の回路基板5に半導体部品202が実装された構成となっている。そして、実装される半導体部品202は、第1実施形態と同様の半導体チップ23をモールド部220によって被覆してなるモールド構造部203と、モールド構造部203を回路基板5に接続する接続部(第1実施形態と同様のリード部27b)とを有している。そして、本構成でも、モールド部220は、所定の樹脂材料からなるモールド樹脂部221と、モールド樹脂部221とは異なる材料からなる調整部222とを有している。
本構成でも、少なくとも常温において、モールド構造部203の線膨張係数の体積平均値が、モールド構造部203において調整部222をモールド樹脂部221の材料に置換した構成の線膨張係数の体積平均値よりも回路基板5の線膨張係数に近似する構成となっている。なお、モールド構造部203において調整部222をモールド樹脂部221の材料に置換した構成は、第1実施形態で説明した図8(A)の比較構造A1である。つまり、モールド構造部203の線膨張係数の体積平均値は、比較構造A1の領域103での線膨張係数の体積平均値よりも回路基板5の線膨張係数に近似する構成となっている。なお、比較構造A1における領域103での線膨張係数の体積平均値の求め方、及び回路基板5における線膨張係数の求め方(具体的には線膨張係数の体積平均値の求め方)は、第1実施形態と同一である。
また、モールド構造部203における線膨張係数の体積平均値の求め方も、第1実施形態のモールド構造部3の場合と同様である。即ち、モールド構造部203の全体の体積Vaに占めるモールド樹脂部221の体積V1の割合(V1/Va)を体積率X1とする。また、モールド構造部203の全体の体積Vaに占めるモールド構造部203内のリードフレーム領域(インナーリード及びダイパッド27aの領域の相当するリードフレーム内部領域)の体積V2の割合(V2/Va)を体積率X2とする。また、モールド構造部203の全体の体積Vaに占める半導体チップ23の体積V3の割合(V3/Va)を体積率X3とする。また、モールド構造部203の全体の体積Vaに占める調整部222(線膨張調整領域)の体積V4の割合(V4/Va)を体積率X4とする。なお、モールド部220の体積は、V1+V4となる。更に、常温でのモールド樹脂部221の線膨張係数をα1とし、常温でのリードフレーム27の線膨張係数をα2とし、常温での半導体チップ23の線膨張係数をα3とし、常温での調整部222の線膨張係数をα4としている。そして、モールド樹脂部221の体積率X1と線膨張係数α1とを乗じた値β1(β1=X1×α1)を、モールド樹脂部221の線膨張係数の補正値(体積補正後の線膨張係数)とする。また、リードフレーム内部領域の体積率X2と線膨張係数α2とを乗じた値β2(β2=X2×α2)を、リードフレーム内部領域の線膨張係数の補正値(体積補正後の線膨張係数)とする。また、半導体チップ23の体積率X3と線膨張係数α3とを乗じた値β3(β3=X3×α3)を、半導体チップ23の線膨張係数の補正値(体積補正後の線膨張係数)とする。また、調整部222の体積率X4と線膨張係数α4とを乗じた値β4(β4=X4×α4)を、調整部222の線膨張係数の補正値(体積補正後の線膨張係数)とする。このように、構成部材ごとに、各構成部材の体積率と線膨張係数とをかけ合わせた補正値(体積補正後の線膨張係数)を求め、このように得られた全ての構成部材の補正値を加算して得られた値(β1+β2+β3+β4)を、モールド構造部203の線膨張係数の体積平均値とする。
このようにして得られるモールド構造部203の線膨張係数の体積平均値(β1+β2+β3+β4)は、モールド構造部203から調整部222を除いた領域の線膨張係数の体積平均値よりも回路基板5の線膨張係数(具体的には、第1実施形態で説明したβ5+β6)に近似する構成となっている。より望ましくは、第1実施形態と同様、少なくとも常温において、モールド構造部203の線膨張係数の体積平均値(β1+β2+β3+β4)と回路基板5の線膨張係数(上述のβ5+β6)とが等しい構成となっている。なお、この構成でも、少なくとも常温において、モールド樹脂部221の線膨張係数が回路基板5の線膨張係数(具体的には線膨張係数の体積平均値)よりも小さく且つ調整部222の線膨張係数が回路基板5の線膨張係数(具体的には線膨張係数の体積平均値)よりも大きくなっている。このように、モールド部220の一部領域に調整部222が設けられているため、第2実施形態に係る構成でも、第1実施形態と同様の効果が得られる。
次に、リフロー時の反りの抑制について説明する。
本構成でも、調整部222の領域をモールド樹脂部221の材料で置換した置換構造は、図8(A)のような比較構造A1であり、この構造は上述したようにリフロー時の反りという問題がある。本構成でも、調整部222により、このようなリフロー時の反りを抑制している。以下では、図11等を参照してこの点について説明する。
図11の左図は、図10等で示す半導体部品202における一部領域(モールド樹脂部221、半導体チップ23、リードフレーム27、調整部222が重なる領域AR3)の積層構造を概念的に示している。図11の右図は、縦軸が図11左図における厚さ方向(上下方向)の位置を示し、横軸が線膨張係数を示しており、常温時(具体的には25℃の室温時)での厚さ方向(上下方向)の位置と線膨張係数との関係を破線で示し、リフロー温度時での厚さ方向(上下方向)の位置と線膨張係数との関係を実線で示している。なお、図11のF3は、図8(B)等に示す積層構造の上面部付近を調整部222の領域に置換したことによるリフロー温度時の線膨張係数の減少量(比較構造A1と比較した相対的な減少量)を概念的に示している。また、図11の二点鎖線L3は、モールド構造部203の上下方向の中心位置を概念的に示しており、このL3の位置よりも上側がモールド構造部203の上半分領域であり、下側が下半分領域である。
なお、図11の例では、積層領域AR3において、調整部222の厚さE1と上半分領域のモールド樹脂部221の厚さE2とが同程度となっており、これらの厚さE1、E2は、下半分領域のモールド樹脂部221の厚さE5と同程度であってもよく、この厚さE5よりも若干大きくても小さくてもよい。また、厚さE1、E2を加算した厚さは、図8(A)の比較構造における上半分領域の樹脂部121の厚さD1に相当する。また、半導体チップ23及びリードフレーム27は、第1実施形態と同構造であり、これらの厚さE3,E4は、それぞれ図7に示す厚さC2、C3と同程度である。
具体的には、図9、図10のように、モールド構造部203の上面部を構成するように調整部222が設けられており、モールド樹脂部221の上面の全領域を上方側から覆うように、半導体チップ23から離れた位置に調整部222が配置されている。この構成では、モールド部220の上面220bの全体が調整部222の上面となっている。また、調整部222は、当該調整部222の配置領域全体で厚さが一定となっており、調整部222の体積は、モールド樹脂部221の体積よりも小さくなっている。
本構成でも、図11のように、モールド構造部203に用いられるモールド樹脂部221及び調整部222は、モールド構造部203の温度がモールド樹脂部221のガラス転移点Tgに上昇するまでは、調整部222の線膨張係数がモールド樹脂部221の線膨張係数よりも大幅に大きくなっている。一方、モールド構造部203の温度がモールド樹脂部221のガラス転移点Tgを超えると、モールド樹脂部221の線膨張係数の増大により、調整部222の線膨張係数がモールド樹脂部221の線膨張係数を下回るようになっている。この構成では、半導体部品202を回路基板5に実装するまでの期間において、モールド構造部203の温度がガラス転移点Tgに達するまでは、厚さ方向(上下方向)の各位置と線膨張係数との関係が図11の右図で示す破線のようになる。この温度状態のときには、モールド構造部203の上半分領域と下半分領域とで線膨張係数の差がそれほど無いため、モールド構造部203にはそれほど反りが生じない。
一方、リフロー工程の進行に伴い、モールド構造部203の温度がガラス転移点Tgに達した場合には、図11右図の破線の関係から、図11右図の実線の関係に変化する。この構成では、モールド構造部203の上面部付近に配置された調整部222の領域で線膨張係数の増大が抑えられるため、上側に凸となる反りが確実に抑制されることになる。つまり、仮に調整部222の領域がモールド樹脂部221と同材質であった場合、図8(A)のように、リフロー温度時に上半分領域の大部分で線膨張係数が増大し、これが上側へ凸となる反りの主要因となるが、図11の構成では、上半分領域の一部に調整部222が配置されているため、この配置領域では、ガラス転移点Tg以上の温度域において線膨張係数がそれほど増大しないことになる(図11の減少量F3を参照)。従って、リフロー温度時であっても、上半分領域と下半分領域とで線膨張係数の差を小さくすることができ、上下の線膨張係数の差に起因する反りを確実に抑制することができる。
また、本構成でも、調整部222のヤング率がモールド樹脂部221のヤング率よりも大きくなっている。このため、図8(A)のような比較構造A1と比較して、調整部222自体での変形抑制効果が加わり、上述した線膨張係数に基づく反り抑制効果と相乗的に作用してリフロー温度時の反りがより抑制されることになる。
[第3実施形態]
次に、図12、図13等を参照して第3実施形態について説明する。第3実施形態に係る半導体装置301は、半導体部品302のみが第1実施形態の半導体部品2と異なる。具体的には、モールド部320のみが第1実施形態のモールド部20と異なり、それ以外の構成は第1実施形態の半導体装置1と同一である。よって、第1実施形態の半導体装置1と同一の部分については、半導体装置1と同一の符号を付し、詳細な説明を省略する。なお、モールド構造部303は、モールド部20をモールド部320に代えた点以外は第1実施形態のモールド構造部3と同一である。また、モールド部320は、モールド樹脂部321と調整部322の配置のみが第1実施形態のモールド部20と異なる。モールド樹脂部321の材料は、第1実施形態の代表例で説明したモールド樹脂部21の材料やその変更例と同様の材料を用いることができる。また、調整部322の材料は、第1実施形態の代表例で説明した調整部22の材料やその変更例と同様の材料を用いることができる。
以下の説明では、第3実施形態の代表例として、モールド樹脂部321の材料が第1実施形態の代表例のモールド樹脂部21と同一であり、調整部322の材料が、モールド樹脂部21とは異なる樹脂材料によって構成される場合を説明する。
図12、図13で示すように、本構成に係る半導体装置301も、第1実施形態と同様の回路基板5に半導体部品302が実装された構成となっている。そして、実装される半導体部品302は、第1実施形態と同様の半導体チップ23をモールド部320によって被覆してなるモールド構造部303と、モールド構造部303を回路基板5に接続する接続部(第1実施形態と同様のリード部27b)とを有している。そして、本構成でも、モールド部320は、所定の樹脂材料からなるモールド樹脂部321と、モールド樹脂部321とは異なる材料からなる調整部322とを有している。
本構成でも、少なくとも常温において、モールド構造部303の線膨張係数の体積平均値が、モールド構造部303において調整部322をモールド樹脂部321の材料に置換した構成の線膨張係数の体積平均値よりも回路基板5の線膨張係数に近似する構成となっている。なお、モールド構造部303において調整部322をモールド樹脂部321の材料に置換した構成は、第1実施形態で説明した図8(A)の比較構造A1である。つまり、モールド構造部303の線膨張係数の体積平均値は、比較構造A1の領域103での線膨張係数の体積平均値よりも回路基板5の線膨張係数に近似する構成となっている。なお、比較構造A1における領域103での線膨張係数の体積平均値の求め方、及び回路基板5における線膨張係数の求め方(具体的には線膨張係数の体積平均値の求め方)は、第1実施形態と同一である。
また、モールド構造部303における線膨張係数の体積平均値の求め方も、第1実施形態のモールド構造部3の場合と同様である。即ち、モールド構造部303の全体の体積Vaに占めるモールド樹脂部321の体積V1の割合(V1/Va)を体積率X1とする。また、上記体積Vaに占めるモールド構造部303内のリードフレーム領域(インナーリード及びダイパッド27aの領域の相当するリードフレーム内部領域)の体積V2の割合(V2/Va)を体積率X2とする。また、上記体積Vaに占める半導体チップ23の体積V3の割合(V3/Va)を体積率X3とする。また、上記体積Vaに占める調整部322(線膨張調整領域)の体積V4の割合(V4/Va)を体積率X4とする。なお、モールド部320の体積は、V1+V4となる。更に、常温でのモールド樹脂部321の線膨張係数をα1とし、常温でのリードフレーム27の線膨張係数をα2とし、常温での半導体チップ23の線膨張係数をα3とし、常温での調整部322の線膨張係数をα4としている。そして、体積率X1と線膨張係数α1とを乗じた値β1(β1=X1×α1)を、モールド樹脂部321の線膨張係数の補正値(体積補正後の線膨張係数)とする。また、体積率X2と線膨張係数α2とを乗じた値β2(β2=X2×α2)を、リードフレーム内部領域の線膨張係数の補正値(体積補正後の線膨張係数)とする。また、体積率X3と線膨張係数α3とを乗じた値β3(β3=X3×α3)を、半導体チップ23の線膨張係数の補正値(体積補正後の線膨張係数)とする。また、体積率X4と線膨張係数α4とを乗じた値β4(β4=X4×α4)を、調整部322の線膨張係数の補正値(体積補正後の線膨張係数)とする。このように、構成部材ごとに、各構成部材の体積率と線膨張係数とをかけ合わせた補正値(体積補正後の線膨張係数)を求め、このように得られた全ての構成部材の補正値を加算して得られた値(β1+β2+β3+β4)を、モールド構造部303の線膨張係数の体積平均値とする。
このようにして得られるモールド構造部303の線膨張係数の体積平均値(β1+β2+β3+β4)は、モールド構造部303から調整部322を除いた領域の線膨張係数の体積平均値よりも回路基板5の線膨張係数(具体的には、第1実施形態で説明したβ5+β6)に近似する構成となっている。より望ましくは、第1実施形態と同様、少なくとも常温において、モールド構造部303の線膨張係数の体積平均値(β1+β2+β3+β4)と回路基板5の線膨張係数(上述のβ5+β6)とが等しい構成となっている。なお、この構成でも、少なくとも常温において、モールド樹脂部321の線膨張係数が回路基板5の線膨張係数(具体的には線膨張係数の体積平均値)よりも小さく且つ調整部322の線膨張係数が回路基板5の線膨張係数(具体的には線膨張係数の体積平均値)よりも大きくなっている。このように、モールド部320の一部領域に調整部322が設けられているため、第3実施形態に係る構成でも、第1実施形態と同様の効果が得られる。
更に、本構成では、調整部322は、モールド構造部303の側面部に設けられている。具体的には、図12、図13で示すように、平面視矩形状に構成されるモールド構造部303の外周部全体に亘って当該モールド構造部303の側壁部を構成するように半導体チップ23から離れた位置に調整部322が環状且つ平面視矩形状に配置されている。この調整部322は、例えばモールド構造部303の側壁部全周に亘って高さ(上下方向の長さ)が一定となっており、具体的には、モールド構造部303の上面320bから下面320aに至るまでの高さとなっている。このようにモールド構造部303の側壁部全体に亘って一定の高さで連続的且つ環状に調整部322が配置されているため、調整部322の配置の偏りが抑えられ、モールド構造部303全体として線膨張係数がバランスよく調整される。
そして、このようにモールド構造部303の側壁部をなす調整部322から外側に延び出るように、複数のリード部27bが配置されている。本構成では、調整部322のヤング率がモールド樹脂部321のヤング率よりも小さくなっており、このように、アウターリードの基端付近に配置される調整部322のヤング率を小さくすることで、リード部27bのベンド効果の増大(即ち、リード変形可動範囲の増加)が図られ、はんだ部の接続信頼性を一層高めることができる。
[第4実施形態]
次に、図14、図15等を参照して第4実施形態について説明する。第4実施形態に係る半導体装置401は、第1実施形態の構成を全て含み、更に、モールド構造部3をはんだ440によって回路基板5に接合する構造が付加されている。よって、第1実施形態の半導体装置1と同一の部分については、半導体装置1と同一の符号を付して詳細な説明を省略し、付加された部分を重点的に説明することとする。例えば、モールド構造部3やリード部27bは、第1実施形態のモールド構造部3、リード部27bと同一である。また、回路基板5は、第1実施形態の回路基板5と同様であり、一方の板面5a側にはんだ440の接合領域(例えば銅層)を設けた点のみが具体化されている。
以下の説明では、第4実施形態の代表例として、モールド樹脂部21の材料が第1実施形態の代表例のモールド樹脂部21と同一であり、調整部22の材料が、第1実施形態の代表例の調整部22と同一材料(例えば、銅や銅合金)である場合について説明する。
図14、図15で示すように、本構成に係る半導体装置401も、第1実施形態と同様の回路基板5に半導体部品2が実装された構成となっている。そして、実装される半導体部品2は、第1実施形態と同様の半導体チップ23をモールド部20によって被覆してなるモールド構造部3と、モールド構造部3を回路基板5に接続する接続部(第1実施形態と同様のリード部27b)とを有している。そして、本構成でも、モールド部20は、所定の樹脂材料からなるモールド樹脂部21と、モールド樹脂部21とは異なる材料からなる調整部22とを有している。
本構成でも、少なくとも常温において、モールド構造部3の線膨張係数の体積平均値が、モールド構造部3において調整部22をモールド樹脂部21の材料に置換した構成の線膨張係数の体積平均値よりも回路基板5の線膨張係数に近似する構成となっている。具体的には、モールド構造部3の線膨張係数の体積平均値(第1実施形態で説明したβ1+β2+β3+β4)が、回路基板5の線膨張係数の体積平均値(第1実施形態て説明したβ5+β6)と一致している。
モールド構造部3において調整部22をモールド樹脂部21の材料に置換した構成は、第1実施形態で説明した図8(A)の比較構造A1である。つまり、モールド構造部3の線膨張係数の体積平均値は、比較構造A1の線膨張係数の体積平均値よりも回路基板5の線膨張係数に近似する構成となっている。なお、モールド構造部3の線膨張係数の体積平均値(β1+β2+β3+β4)の求め方、比較構造A1における領域103での線膨張係数の体積平均値の求め方、及び回路基板5における線膨張係数の求め方(具体的には線膨張係数の体積平均値の求め方)は、第1実施形態と同一である。
更に、本構成では、調整部22と回路基板5とがはんだ440によって接合されている。例えば、モールド構造部3側の調整部22が銅又は銅合金によって構成されており、回路基板5の上面部においてモールド構造部3の直下の位置には銅層などのはんだ接合層441が形成されている。そして、これら調整部22とはんだ接合層441とがはんだ440によって接合され、固定構造が強化されている。このようにすることで、市場熱サイクル等が加わったときでも、リード部27bと回路基板5とを接続するはんだ部29への応力をより低減することができ、はんだ部29を一層良好に保護できるようになる。
[他の実施形態]
本発明は上記記述及び図面によって説明した実施形態に限定されるものではなく、例えば次のような実施形態も本発明の技術的範囲に含まれる。
上述したいずれの実施形態の構成でも、回路基板5の全体の体積Vbに占める配線層5fの体積V6の割合が小さい場合、即ち、体積率X6が小さい場合には、樹脂層5cの線膨張係数α5を、回路基板5の線膨張係数として代用してもよい。この場合、少なくとも常温において、モールド構造部の線膨張係数の体積平均値(上述のβ1+β2+β3+β4)が、モールド構造部において調整部をモールド樹脂部の材料に置換した構成の線膨張係数の体積平均値よりも樹脂層5cの線膨張係数α5に近似する構成であればよい。例えば、少なくとも常温において、モールド構造部の線膨張係数の体積平均値(上述のβ1+β2+β3+β4)と樹脂層5cの線膨張係数α5とが等しい構成となるようにモールド樹脂部の体積率と、調整部の体積率と、調整部の線膨張係数とが調整されていてもよい。
上記実施形態では、少なくとも常温においてモールド樹脂部の線膨張係数よりも回路基板の線膨張係数の方が大きくなる例を示したが、いずれの実施形態の構成、或いはいずれの変更例であっても、常温において、回路基板の線膨張係数よりもモールド樹脂部の線膨張係数の方が大きくなる構成であってもよい。この場合、調整部は、モールド樹脂部よりも線膨張係数の低い材料を用いればよい。例えば、調整部として、モールド樹脂部よりも線膨張係数の低い樹脂材料や、Fe、W、Ti等の線膨張係数が比較的小さい金属を用いればよい。
第1実施形態では、調整部22がモールド構造部3の下面部に設けられた構成を例示し、第2実施形態では、調整部222がモールド構造部203の上面部に設けられた構成を例示したが、調整部がモールド構造部の下面部と上面部の両方に設けられていてもよい。或いは、調整部が、モールド構造部の上面部、下面部、側面部の全てに設けられていてもよい。
第1、第2、第4実施形態では、モールド樹脂部よりも調整部の方がヤング率が大きい構成を例示したが、調整部よりもモールド樹脂部の方がヤング率が大きい構成であってもよい。
第3実施形態では、調整部よりもモールド樹脂部の方がヤング率が大きい構成を例示したが、モールド樹脂部よりも調整部の方がヤング率が大きい構成であってもよい。
第4実施形態では、調整部と回路基板とをはんだによって接合する構成を例示したが、接合するための媒体はこの例に限られず、両部材を接合可能な公知の他の接着媒体を用いてもよい。
上記実施形態では、半導体装置1がエンジンECUとして構成される例を示したが、ボディ制御ECUや、ブレーキ制御ECU,エアバック制御ECUなど、他の車載用電子装置として構成されていてもよい。また、半導体装置1は、車載用電子装置に限られるものではなく、民生用の装置など、その他の様々な装置として適用可能である。
上記実施形態では、半導体部品2がQFP(Quad Flat Package)構造の半導体パッケージとして構成される例を示したが、BGA(Ball grid array)、PLCC(Plastic leaded chip carrier)、SOP(Small Outline Package)、SOJ(Small Outline J-leaded)などの、他の表面実装構造の半導体部品であってもよい。
上記実施形態では、半導体部品2としてマイコンを例示したが、半導体チップを備えた半導体部品であればよく、マイコン以外の他のICであってもよく、FETやIGBTなどの半導体素子などであってもよい。
1,201,301,401…半導体装置
2,202,302…半導体部品
3,203,303…モールド構造部
5…回路基板
20,220、320…モールド部
21,221,321…モールド樹脂部
22,222,322…調整部
23…半導体チップ

Claims (5)

  1. 回路基板(5)と、
    半導体チップ(23)をモールド部(20,220,320)によって被覆してなるモールド構造部(3,203,303)と、前記モールド構造部を前記回路基板に接続する接続部(27b)と、を有する半導体部品(2,202,302)と、
    を備え、
    前記モールド部は、所定の樹脂材料からなるモールド樹脂部(21,221,321)と、前記モールド樹脂部とは異なる材料からなる調整部(22,222,322)と、を有し、
    少なくとも常温において、前記モールド構造部の線膨張係数の体積平均値が、前記モールド構造部において前記調整部を前記モールド樹脂部の材料に置換した構成の線膨張係数の体積平均値よりも前記回路基板の線膨張係数に近似する構成であり、かつ、前記調整部が製品段階で取り外されず、
    前記調整部(322)は、前記モールド構造部(303)の側面部に設けられていることを特徴とする半導体装置(1,201,301,401)。
  2. 少なくとも常温において、前記モールド構造部(3,203,303)の線膨張係数の体積平均値と前記回路基板(5)の線膨張係数とが等しい構成であることを特徴とする請求項1に記載の半導体装置(1,201,301,401)。
  3. 少なくとも常温において、前記モールド樹脂部(21,221,321)の線膨張係数が前記回路基板(5)の線膨張係数よりも小さく且つ前記調整部(22,222,322)の線膨張係数が前記回路基板(5)の線膨張係数よりも大きいことを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の半導体装置(1,201,301,401)。
  4. 前記調整部(322)のヤング率が前記モールド樹脂部(321)のヤング率よりも小さいことを特徴とする請求項1に記載の半導体装置(301)
  5. 少なくとも常温において前記調整部(22,222,322)の線膨張係数が前記モールド樹脂部(21,221,321)の線膨張係数よりも大きく、前記モールド樹脂部(21,221,321)のガラス転移点(Tg)を超えた温度域では、前記モールド樹脂部(21,221,321)の線膨張係数が前記調整部(22,222,322)の線膨張係数よりも大きいことを特徴とする請求項1から請求項4のいずれか一項に記載の半導体装置(1,201,301,401)
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