以下、本発明の実施の形態を、本発明に係る非接触電力伝送システムを無人搬送車の充電システムとして用いた場合を例として、図面を参照して具体的に説明する。
図1〜図4は、第1実施形態に係る非接触電力伝送システムCを説明するための図である。図1は、非接触電力伝送システムCの全体構成を示す図である。図2は、高周波電源装置1の内部構成の詳細を示す回路図である。図3は、スイッチの一例を示す回路図である。図4は、切替制御処理を説明するためのフローチャートである。
非接触電力伝送システムCは、3台の無人搬送車E1〜E3の車体にそれぞれ備えられたバッテリD1〜D3を充電するための給電システムである。各無人搬送車E1〜E3は、所定の受電位置に移動することで、送電装置Aから非接触で電力を供給される。
送電装置Aは、床面に埋設されて配置されており、高周波電源装置1、送電ユニット21,22,23、スイッチ61,62,63、制御装置5、および、通信装置7を備えている。
高周波電源装置1は、高周波電力を送電ユニット21,22,23に供給するものである。高周波電源装置1は、いわゆる定電流源であり、一定の大きさの高周波電流を出力する。図2に示すように、高周波電源装置1は、直流電源装置11、電源制御装置12、スイッチング素子Qs、ダイオードD1、インダクタL1,L2,L3、および、コンデンサC1,C2,C3,C4,C10を備えている。高周波電源装置1は、直流電源装置11が生成した直流電力を、スイッチング素子Qsのスイッチング動作によって高周波電力に変換して出力する。
直流電源装置11は、直流電力を生成して出力するものである。直流電源装置11は、商用電源から入力される交流電圧(例えば、商用電圧200[V]など)を図示しない整流回路によって整流し、図示しない平滑回路によって平滑することで、直流電圧に変換する。そして、図示しないDC−DCコンバータによって、所定のレベル(目標電圧)の直流電圧に変換する。直流電源装置11は、電源制御装置12から入力される電圧制御信号S1によって、DC−DCコンバータの変換動作を制御することにより、整流、平滑後の直流電圧を所定のレベルの直流電圧に変換する。なお、直流電源装置11の構成は限定されず、所定の高周波電圧を出力するものであればよい。
スイッチング素子Qs、ダイオードD1、インダクタL1,L3、および、コンデンサC1,C3,C4,C10は、いわゆるE級アンプと同様の回路を構成する。E級アンプは、直流電源装置11より直流電力を入力され、高周波電力を生成して出力する。
コンデンサC10は、直流電源装置11に並列接続されており、直流電源装置11より入力される直流電圧を平滑化するものである。
インダクタL1は、直流電源装置11の高電位側の出力端子とスイッチング素子Qsとの間に直列接続されている。直流電源装置11が一定の直流電圧を出力することにより、インダクタL1は、スイッチング素子Qsに一定の直流電流を供給する。
スイッチング素子Qsは、電源制御装置12から入力される高周波制御信号S2に応じて、オン状態とオフ状態とを切り替えるものである。本実施形態では、スイッチング素子QsとしてMOSFET(Metal Oxide Semiconductor Field Effect Transistor)を使用している。なお、スイッチング素子QsはMOSFETに限定されず、バイポーラトランジスタ、IGBT(Insulated Gate Bipolar Transistor : 絶縁ゲート・バイポーラトランジスタ)などであってもよい。スイッチング素子Qsのドレイン端子は、インダクタL1の一方の端子(直流電源装置11の出力端子に接続されたのとは異なる方の端子)に接続されている。スイッチング素子Qsのソース端子は、直流電源装置11の低電位側の出力端子に接続されている。スイッチング素子Qsのゲート端子には、電源制御装置12から高周波制御信号S2が入力される。高周波制御信号S2は、所定の周波数f0(例えば、85[kHz]や13.56[MHz]など)でハイレベルとローレベルとを繰り返すパルス信号である。周波数f0は、スイッチング素子Qsをスイッチングさせる周波数なので、以下では「スイッチング周波数f0」と記載する場合がある。スイッチング素子Qsは、高周波制御信号S2がローレベルのときオフ状態になり、高周波制御信号S2がハイレベルのときオン状態になる。
ダイオードD1は、いわゆるフライホイールダイオードであって、スイッチング素子Qsのドレイン端子とソース端子との間に、逆並列に接続されている。すなわち、ダイオードD1のアノード端子はスイッチング素子Qsのソース端子に接続され、ダイオードD1のカソード端子はスイッチング素子Qsのドレイン端子に接続されている。ダイオードD1は、スイッチング素子Qsの切り替えによって発生する逆起電力による逆方向の高い電圧がスイッチング素子Qsに印加されないようにするためのものである。なお、スイッチング素子Qsが内部にダイオードの動作をする機能を有する場合は、ダイオードD1を設けないようにしてもよい。
コンデンサC1は、スイッチング素子Qsに並列接続されており、スイッチング素子Qsがオフ状態のときに電流が流れて、電気エネルギーを蓄積する。そして、コンデンサC1の両端電圧がピークになった後は放電を行い、電気エネルギーを放出する。そして、コンデンサC1の両端電圧がゼロになったタイミングで、スイッチング素子Qsがオフ状態からオン状態に切り替わる。
インダクタL3とコンデンサC3とは、直列接続されて共振回路LC3を構成している。インダクタL3およびコンデンサC3は、共振周波数がスイッチング周波数f0と一致するように設計される。共振回路LC3は、スイッチング素子Qsのドレイン端子とインダクタL1の一方の端子との接続点と送電ユニット21との間に、直列接続されている。共振回路LC3の共振特性により、出力電流が、共振周波数(スイッチング周波数f0)の正弦波状になる。なお、当該共振回路LC3が、本発明の「第1の共振回路」に相当する。
コンデンサC4は、共振回路LC3の出力側に、直流電源装置11に対して並列となるように、接続されている。コンデンサC4、インダクタL3およびコンデンサC3は、インピーダンス整合回路として機能する。また、コンデンサC3は、高周波電源装置1から出力される高周波電流から直流成分をカットする。
以上の構成から、スイッチング素子Qs、ダイオードD1、インダクタL1,L3、および、コンデンサC1,C3,C4,C10を備えたE級アンプは、電源制御装置12より入力される高周波制御信号S2に応じてスイッチング素子Qsがスイッチングすることで、スイッチング周波数f0の高周波電流を生成して出力する。
また、本実施形態においては、高周波電源装置1は、インダクタL2とコンデンサC2とが直列接続された共振回路LC2を、スイッチング素子Qsに並列接続させている。インダクタL2およびコンデンサC2は、共振周波数がスイッチング周波数f0の2倍の周波数と一致するように設計される。共振回路LC2は、スイッチング周波数f0の2倍の周波数成分(2次高調波成分)に対して、低インピーダンスとなり、スイッチング周波数f0の成分(基本波成分)およびその3倍の周波数成分(3次高調波成分)に対して、高インピーダンスとなる。なお、当該共振回路LC2が、本発明の「第2の共振回路」に相当する。
また、インダクタL1およびコンデンサC1からなるフィルタLC1も、共振回路LC2と組み合わせて、スイッチング周波数f0の2倍の周波数成分(2次高調波成分)に対して、低インピーダンスとなり、スイッチング周波数f0の成分(基本波成分)およびその3倍の周波数成分(3次高調波成分)に対して、高インピーダンスとなるように設計される。なお、コンデンサC1のキャパシタンスは、スイッチング素子Qsの内部の容量成分も考慮して設計される。
以上の構成から、発生した高周波電流のうちの2次高調波成分が共振回路LC2に流れ、スイッチング素子Qsのドレイン‐ソース間の2次高調波成分電流による発生電圧を抑制することができる。
電源制御装置12は、高周波電源装置1を制御するものであり、CPU(Central Processing Unit)、ROM(Read Only Memory)及びRAM(Random Access Memory)を備えるマイクロコンピュータやFPGA(Field-Programmable Gate Array)で構成される。
電源制御装置12は、フィードバック制御によって、直流電源装置11から出力される直流電圧のレベルを制御する。具体的には、電源制御装置12は、直流電源装置11の出力電圧と設定された目標電圧との偏差をゼロにするための制御パルス信号を生成する。そして、当該制御パルス信号を図示しないドライブ回路でDC−DCコンバータを駆動できるレベルに増幅して、電圧制御信号S1として直流電源装置11に出力する。これにより、電源制御装置12は、直流電源装置11から出力される直流電圧を目標電圧に制御して、直流電源装置11から一定の直流電圧を出力させることができる。また、電源制御装置12は、目標電圧を変更することで、直流電源装置11の出力電圧のレベルを変更する。
また、電源制御装置12は、基準クロックに基づいて、スイッチング周波数f0のパルス信号(なお、正弦波信号などでもよい)を生成し、当該パルス信号を図示しないドライブ回路でスイッチング素子Qsを駆動できるレベルに増幅して、高周波制御信号S2としてスイッチング素子Qsのゲート端子に出力する。
なお、高周波電源装置1の構成は限定されず、一定の大きさの高周波電流を出力するものであればよい。
送電ユニット21は、送電コイルLt1および共振コンデンサCt1を備えている。送電コイルLt1は、高周波電源装置1より供給される高周波電力を、受電装置B1(B2,B3)に送電するものである。送電コイルLt1は、渦巻状に巻回された平面コイルであり、コイル面が床面に対して略平行になるように配置されている。共振コンデンサCt1は、送電コイルLt1に直列接続されて、直列共振回路を構成するためのものである。なお、送電コイルLt1の形状は限定されない。
送電コイルLt1および共振コンデンサCt1は、共振周波数が高周波電源装置1より供給される高周波電力の周波数f0(スイッチング周波数f0)と一致するように設計される。すなわち、送電コイルLt1の自己インダクタンスLRと、共振コンデンサCt1のキャパシタンスCRとが、下記(1)式の関係になるように設計される。なお、高周波電源装置1が出力する高周波電圧の周波数が高い場合は、送電コイルLt1の巻線間の浮遊キャパシタンスを共振コンデンサCt1として用いるようにしてもよい。
送電ユニット22は、送電ユニット21と同様の構成であり、送電コイルLt2および共振コンデンサCt2を備えている。送電ユニット23も、送電ユニット21と同様の構成であり、送電コイルLt3および共振コンデンサCt3を備えている。送電ユニット21,22,23は、この順番で直列接続されて、高周波電源装置1に接続されている。
スイッチ61〜63は、それぞれ、送電ユニット21〜23の入力端子間に並列接続されている。スイッチ61(62,63)は、制御装置5より入力される切替信号に応じて、送電ユニット21(22,23)に高周波電流が流れる状態と、流れない状態とを切り替える。すなわち、切替信号がオン信号(ハイレベル信号)の場合、スイッチ61(62,63)は導通状態となり、送電ユニット21(22,23)の入力端子間が短絡されるので、高周波電源装置1からの高周波電流が送電ユニット21(22,23)に流れない。一方、切替信号がオフ信号(ローレベル信号)の場合、スイッチ61(62,63)は開放状態となり、高周波電源装置1からの高周波電流が送電ユニット21(22,23)に流れる。なお、切替信号がオン信号の場合に開放状態にして送電ユニット21(22,23)に高周波電流が流れるようにし、オフ信号の場合に導通状態にして送電ユニット21(22,23)に高周波電流が流れないようにしてもよい。
本実施形態では、図3に示すように、2つのMOSFET(Metal Oxide Semiconductor Field Effect Transistor)を逆直列接続したものをスイッチ61〜63として用いている。2つのMOSFETは、ソース端子同士が接続されている。一方のMOSFETのドレイン端子は、送電ユニット21(22,23)の一方の入力端子に接続されており、他方のMOSFETのドレイン端子は他方の入力端子に接続されている。そして、両者のゲート端子には、制御装置5から切替信号が入力される。切替信号がオン信号の場合、スイッチ61(62,63)に高周波電流が流れ、導通状態になる。
なお、スイッチ61〜63は、MOSFETを用いたものに限定されず、他の半導体スイッチを用いたものであってもよい。また、ソリッドステートリレー(半導体リレー)や、電磁接触器のような機械的なスイッチであってもよい。また、その他の構成で、各送電ユニット21〜23に高周波電流が流れる状態と、流れない状態とを切り替えるようにしてもよい。
制御装置5は、送電装置Aの制御を行うものである。制御装置5は、通信装置7から入力される信号に応じて、スイッチ61〜63の切り替えを行うための切替信号を出力する。当該切り替えの制御についての詳細は、後述する。
通信装置7は、無人搬送車E1〜E3の通信装置9との間で無線通信を行うものである。通信装置7は、通信装置9より受信した信号を、制御装置5に出力する。なお、通信装置7の通信方式や用いる電磁波の種類は限定されない。
受電装置B1は、無人搬送車E1の車体に配置されており、受電ユニット31、整流平滑回路41、制御装置8、および、通信装置9を備えている。
受電ユニット31は、受電コイルLr1、および、共振コンデンサCr1を備えている。受電コイルLr1は、送電コイルLt1〜Lt3のいずれかと磁気結合して、非接触で受電するものである。受電コイルLr1は、渦巻状に巻回された平面コイルであり、コイル面が床面に対して略平行になるように、無人搬送車E1の車体底面に配置されている。共振コンデンサCr1は、受電コイルLr1に並列接続されて、並列共振回路を構成するためのものである。なお、送電コイルLt1の形状は限定されない。
受電コイルLr1および共振コンデンサCr1は、送電コイルLt1および共振コンデンサCt1と同様に、共振周波数が高周波電源装置1より供給される高周波電力の周波数f0(スイッチング周波数f0)と一致するように設計される。なお、スイッチング周波数f0が高い場合は、受電コイルLr1の巻線間の浮遊キャパシタンスを共振コンデンサCr1として用いるようにしてもよい。
受電コイルLr1が送電コイルLt1〜Lt3のいずれかと磁気結合することで、受電装置B1は、送電装置Aから送電される高周波電力を受電する。すなわち、送電コイルLt1(L12,L13)に高周波電流が流れることで磁束が変化し、この磁束に鎖交する受電コイルLr1に高周波電流が流れる。これにより、送電装置Aから受電装置B1に、非接触で電力を伝送することができる。なお、無人搬送車E1〜E3が、床面に貼った磁気テープによって移動ルートを検出するタイプのものである場合、送電コイルLt1〜Lt3を磁気テープから離れた位置に配置する必要がある。また、この場合、無人搬送車E1〜E3の磁気テープを検出する検出部と、受電コイルLr1〜Lr3とは、離れた位置に配置されることになる。なお、後述するように、送電コイルLt1〜Lt3を床面以外に配置するようにしてもよい。
また、受電ユニット31および送電ユニット21〜23は、いずれも共振回路であり、送電ユニット21(22,23)から受電ユニット31へは、磁界共鳴方式により、非接触電力伝送が行われる。受電ユニット31が受電した電力は、整流平滑回路41に出力される。
整流平滑回路41は、受電ユニット31より出力される高周波電流を整流して、直流電流に変換するものである。整流平滑回路41は、4つのダイオードをブリッジ接続した全波整流回路を備えている(図5参照)。また、整流平滑回路41は、整流後の出力を平滑するための平滑回路も備えている(図5参照)。なお、整流平滑回路41の構成は限定されず、高周波電流を直流電流に変換するものであればよい。整流平滑回路41から出力される直流電流は、バッテリD1に供給される。
バッテリD1は、例えばリチウムイオン電池などの二次電池である。バッテリD1は、整流平滑回路41より出力される直流電力によって充電され、図示しないモータなどに電力を供給する。バッテリD1には、バッテリD1の充電状態に関係なく、一定大きさの電流が入力される。なお、二次電池の種類は限定されず、鉛蓄電池などであってもよい。また、バッテリD1に代えて、電気二重層キャパシタやリチウムイオンキャパシタを用いるようにしてもよい。
制御装置8は、無人搬送車E1の制御を行うものである。制御装置8は、無人搬送車E1が所定の受電位置に位置した場合に、送電開始信号を通信装置9に送信させる。送電開始信号は、送電装置Aに所定の送電ユニット(21,22,23)から送電を開始させるための信号であり、送電ユニット(送電コイル)を識別するための情報(例えば、送電ユニットのID番号)が含まれている。受電位置は、受電コイルLr1の中心の水平方向での位置と送電コイル(Lt1,Lt2,Lt3)の中心の水平方向での位置とが一致して、受電コイルLr1と送電コイル(Lt1,Lt2,Lt3)とが、最も強力に磁気結合できるようになる位置である。無人搬送車E1は、所定の受電位置に位置したことを検知するためのセンサを備えている。制御装置8は、センサからの入力に基づいて、無人搬送車E1が所定の受電位置に位置したことを検知し、いずれの送電コイル(Lt1,Lt2,Lt3)に対する受電位置であるかを判断する。
なお、無人搬送車E1が受電位置に位置したことを検知するための手法は限定されない。例えば、無人搬送車E1の水平方向の位置を検出し、あらかじめ設定されている各送電コイル(Lt1,Lt2,Lt3)の水平方向の位置との関係から検知するようにしてもよい。また、床面上の各送電コイル(Lt1,Lt2,Lt3)の位置にそれを示すマークを設け、無人搬送車E1に搭載されて床面を撮像する撮像センサによる撮像画像から当該マークを検出するようにしてもよい。また、無人搬送車E1がいずれかの受電位置に位置したことを検知するセンサと、当該受電位置がいずれの送電コイル(Lt1,Lt2,Lt3)に対する受電位置であるかを検知するセンサとを別々に設けてもよい。例えば、無人搬送車E1が床面に向けて所定の電磁波を出力し、床面上の各送電コイル(Lt1,Lt2,Lt3)の位置に設けられた反射部材で反射された電磁波を検出することでいずれかの受電位置に位置したことを検知し、無人搬送車E1の水平方向のおおまかな位置から、いずれの送電コイル(Lt1,Lt2,Lt3)に対する受電位置であるかを検知するようにしてもよい。また、無人搬送車E1および各送電コイル(Lt1,Lt2,Lt3)の両方に赤外線センサを設けて、双方の赤外線センサが相手の送信信号を受信して通信できる状態になった場合に、無人搬送車E1が受電位置に位置したと判断するようにしてもよい。
また、制御装置8は、バッテリD1が満充電状態になった場合に、送電を停止させるための送電停止信号を、通信装置9に送信させる。無人搬送車E1は、バッテリD1の充電電圧を検出する電圧センサを備えており、制御装置8は、電圧センサが検出した充電電圧が所定の閾値以上になった場合に、バッテリD1が満充電状態になったと判断する。制御装置8は、受電中の送電ユニット(21,22,23)を識別するための情報(例えば、送電ユニットのID番号)を図示しない記憶部に記憶している。制御装置8は、当該情報を、送電停止信号に含めて送信する。
通信装置9は、送電装置Aの通信装置7との間で無線通信を行うものである。通信装置9は、制御装置8より入力された信号を、通信装置7に送信する。なお、通信装置9の通信方式や用いる電磁波の種類は限定されない。
無人搬送車E2は、無人搬送車E1と同様の構成であり、受電装置B2およびバッテリD2を備えている。受電装置B2は、受電装置B1と同様の構成であり、受電コイルLr2および共振コンデンサCr2を備える受電ユニット32、整流平滑回路42、制御装置8、および、通信装置9を備えている。受電コイルLr2が送電コイルLt1〜Lt3のいずれかと磁気結合することで、送電装置Aから受電装置B2に、非接触で電力を供給することができる。また、無人搬送車E3も、無人搬送車E1と同様の構成であり、受電装置B3およびバッテリD3を備えている。受電装置B3は、受電装置B1と同様の構成であり、受電コイルLr3および共振コンデンサCr3を備える受電ユニット33、整流平滑回路43、制御装置8、および、通信装置9を備えている。受電コイルLr3が送電コイルLt1〜Lt3のいずれかと磁気結合することで、送電装置Aから受電装置B3に、非接触で電力を供給することができる。
図1においては、無人搬送車E1が送電コイルLt1に対する受電位置に位置しており、無人搬送車E2が送電コイルLt2に対する受電位置に位置しており、無人搬送車E3が送電コイルLt3に対する受電位置に位置している状態を示している。なお、無人搬送車E1(E2,E3)は、バッテリD1(D2,D3)の充電量が少なくなった時に、最寄りの受電位置に移動するので、各無人搬送車E1〜E3がどの受電位置に位置するかは任意である。また、無人搬送車E1〜E3のいずれか1台だけ、または、2台だけが、受電位置に位置している状態もある。
次に、スイッチ61〜63の切り替え制御について説明する。
制御装置5は、受電装置B1〜B3より受信する信号に応じて、スイッチ61〜63の切り替えを行う。制御装置5は、通信装置7より送電開始信号を入力された場合、送電開始信号に含まれる送電ユニット(21,22,23)を識別するための情報に基づいて、該当する送電ユニット(21,22,23)に対応するスイッチ(61,62,63)に、オフ信号である切替信号を出力する。また、制御装置5は、通信装置7より送電停止信号を入力された場合、送電停止信号に含まれる送電ユニット(21,22,23)を識別するための情報に基づいて、該当する送電ユニット(21,22,23)に対応するスイッチ(61,62,63)に、オン信号である切替信号を出力する。また、制御装置5は、高周波電源装置1が起動していない状態で送電開始信号を入力された場合は、高周波電源装置1を起動させる。具体的には、電源制御装置12に高周波制御信号S2を出力させるように指令を行う。また、すべての送電ユニット21〜23で送電の必要がなくなった場合、すなわち、いずれか1つの送電ユニット(21,22,23)のみが送電を行っている状態で、当該送電ユニットを識別するための情報を含んだ送電停止信号を入力された場合、制御装置5は、高周波電源装置1の運転を停止させる。具体的には、電源制御装置12に高周波制御信号S2の出力を停止させる指令を行う。
図4は、制御装置5が行う切替制御処理を説明するためのフローチャートである。当該切替制御処理は、送電装置Aが起動したときに開始され、送電装置Aが稼働している間、実行される。
まず、送電開始信号が受信されたか否かが判別される(S1)。受信された場合(S1:YES)、送電開始信号に含まれる識別情報に基づいて、対応するスイッチに、オフ信号である切替信号を出力する(S2)。次に、高周波電源装置1が起動しているか否かが判別される(S3)。具体的には、電源制御装置12が高周波制御信号S2を出力しているか否かによって判別される。高周波電源装置1が起動していない場合(S3:NO)、高周波電源装置1が起動され(S4)、ステップS1に戻る。具体的には、電源制御装置12に高周波制御信号S2を出力させるように指令を行う。一方、高周波電源装置1が起動している場合(S3:YES)、ステップS4を行わずに、ステップS1に戻る。これにより、識別情報に対応する送電ユニットに高周波電力が供給される。したがって、送電開始信号を送信した受電装置に送電が行われ、当該受電装置のバッテリが充電される。
ステップS1において、送電開始信号が受信されなかった場合(S1:NO)、送電停止信号が受信されたか否かが判別される(S5)。受信されなかった場合(S5:NO)、ステップS1に戻り、ステップS1およびS2が繰り返される。一方、受信された場合(S5:YES)、送電停止信号に含まれる識別情報に基づいて、対応するスイッチに、オン信号である切替信号を出力する(S6)。これにより、識別情報に対応する送電ユニットに高周波電力が供給されないようになる。そして、すべてのスイッチ61〜63がオンであるか否かが判別される(S7)。具体的には、制御装置5が各スイッチ61〜63に出力している切替信号が、すべてオン信号であるか否かによって判別する。すべてオン信号である場合(S7:YES)、高周波電源装置1の運転が停止され(S8)、ステップS1に戻る。具体的には、電源制御装置12に高周波制御信号S2の出力を停止させる指令を行う。すべてがオンでない場合(S7:NO)、まだ高周波電力の供給が継続されるため、ステップS8が行われずに、ステップS1に戻る。なお、切替制御処理の処理手順は、これに限られない。
次に、図5〜図6を参照して、各バッテリD1〜D3に供給される電流が、各バッテリD1〜D3の充電状態に関係なく一定になることを説明する。
図5は、図1に示す非接触電力伝送システムCを回路図で示したものである。図1の状態の場合、送電装置Aの制御装置5は、無人搬送車E1〜E3から受信した送電開始信号に基づいて、スイッチ61〜63に切替信号(オフ信号)を出力し、スイッチ61〜63が開放状態になる。したがって、図5においては、スイッチ61〜63がすべて開放されて、送電ユニット21〜23に高周波電流が流れ、受電コイルLr1が送電コイルLt1と磁気結合し、受電コイルLr2が送電コイルLt2と磁気結合し、受電コイルLr3が送電コイルLt3と磁気結合している状態を示している。
図6(a)は、図5に示す非接触電力伝送システムCのうちの、送電ユニット21と受電ユニット31を抜き出したものである。
送電ユニット21に印加される電圧をV1、入力される電流をI1とする。また、受電ユニット31から出力される電圧をV2、出力される電流をI2とする。なお、各電圧V1,V2および各電流I1,I2は、いずれもベクトルである。
一般的に、非接触電力伝送システムの等価回路は、磁気結合した送電コイルと受電コイルとを、3つのコイルで構成されたT型回路に置き換えて表すことができる。図6(a)に示す回路を、T型回路を用いて表した等価回路に変換すると、図6(b)に示す回路になる。図6(b)においては、図に示すように、コンデンサまたはコイルのインピーダンスをZ1〜Z4として表している。なお、各インピーダンスZ1〜Z4は、いずれもベクトルである。T型回路のコイルのうちの送電ユニット側のコイル(インピーダンスZ1に含まれるコイル)のインダクタンスは、送電コイルLtの自己インダクタンスから、送電コイルLtと受電コイルLrとの間の磁気結合による相互インダクタンスを減じたものとなる。T型回路のコイルのうちの受電ユニット側のコイル(インピーダンスZ3に含まれるコイル)のインダクタンスは、受電コイルLrの自己インダクタンスから、送電コイルLtと受電コイルLrとの間の磁気結合による相互インダクタンスを減じたものとなる。また、T型回路のコイルのうちの並列接続されたコイル(インピーダンスZ2に含まれるコイル)のインダクタンスは、送電コイルLtと受電コイルLrとの間の磁気結合による相互インダクタンスとなる。したがって、各インピーダンスZ1〜Z4は、下記(2)〜(5)式で表すことができる。なお、送電コイルLt1および受電コイルLr1の自己インダクタンスを、それぞれ、LtおよびLrとし、共振コンデンサCt1および共振コンデンサCr1のキャパシタンスを、それぞれ、CtおよびCrとしている。また、送電コイルLt1と受電コイルLr1の結合係数をkとしている。
図6(c)は、図6(b)に示す回路を、Fパラメータを用いて表した等価回路を示す図である。なお、Fパラメータの各要素A,B,C,Dは、いずれもベクトルであり、Fパラメータは、下記(6)式のようになる。
磁界共鳴の条件式であるZ1+Z2=Z2+Z3+Z4=0を、上記(6)式に代入すると、下記(7)式になる。これより、下記(8)式および上記(3),(4)式から、下記(9)式が求められる。
送電コイルLt1と受電コイルLr1の距離が変化しなければ、結合係数kは変化しない。したがって、上記(9)式より、受電ユニット31から出力される電流I2の大きさは、送電ユニット21に入力される電流I1の大きさに比例する。また、送電ユニット21〜23は直列接続されているので、送電ユニット21に入力される電流I1は、高周波電源装置1の出力電流である。直流電源装置11が出力する直流電圧が一定の場合、高周波電源装置1の出力電流の大きさは一定であり、電流I1も一定になる。したがって、直流電源装置11が出力する直流電圧が一定の場合、受電ユニット31の出力電流I2の大きさは、接続される負荷のインピーダンスなどに関係なく、一定である。つまり、受電ユニット31の出力は、一定の大きさの電流I2を出力する定電流源と考えることができる。受電ユニット31の出力電流I2の大きさが一定なので、整流平滑回路41によって整流および平滑化された電流は一定になる。したがって、バッテリD1に供給される電流は、バッテリD1の充電状態に関係なく一定になる。
同様に、直流電源装置11が出力する直流電圧が一定の場合、受電ユニット32(33)の出力電流の大きさも、接続される負荷のインピーダンスなどに関係なく一定であり、受電ユニット32(33)の出力も、一定の大きさの電流を出力する定電流源と考えることができる。受電ユニット32(33)の出力電流の大きさが一定なので、整流平滑回路42(43)によって整流および平滑化された電流は一定になる。したがって、バッテリD2(D3)に供給される電流は、バッテリD2(D3)の充電状態に関係なく一定になる。
また、送電コイルLt1〜Lt3の自己インダクタンスがいずれも同一のLtであり、受電コイルLr1〜Lr3の自己インダクタンスがいずれも同一のLrであり、送電コイルLt1と受電コイルLr1との結合係数、送電コイルLt2と受電コイルLr2との結合係数、送電コイルLt3と受電コイルLr3との結合係数がいずれも同一の結合係数kであれば、送電ユニット21〜23に入力される電流の大きさは同一なので、上記(9)式より、各受電ユニット31〜33から出力される電流の大きさは、いずれも同一となる。つまり、いずれの受電ユニット31〜33も、電力を供給する負荷のインピーダンスなどに左右されることなく、同じ大きさの電流を負荷に供給することができる。受電ユニット31〜33の出力電流の大きさが同一なので、整流平滑回路41〜43によって整流および平滑化された電流も同一になる。したがって、バッテリD1〜D3に供給される電流は、バッテリD1〜D3の充電状態に関係なく同一になる。なお、各結合係数などが完全に一致しなくても、略同一であれば、各受電ユニット31〜33から出力される電流の大きさは略同一となり、バッテリD1〜D3に供給される電流も略同一になる。
つまり、各送電コイルLt1〜Lt3の自己インダクタンスを略同一にし、各受電コイルLr1〜Lr3の自己インダクタンスを略同一にし、各結合係数が略同一になるようにしておけば、各バッテリD1〜D3の充電状態に関係なく、各バッテリD1〜D3に略同じ大きさの電流を一定の電流として供給することができる。また、このことは、受電ユニット(31,32,33)の数にも左右されない。例えば、スイッチ63が導通状態となって、送電コイルLt3と受電コイルLr3とが磁気結合していない場合でも、各バッテリD1、D2に略同じ大きさの電流を一定の電流として供給することができる。
図7は、図5に示す回路において、整流平滑回路41(42,43)およびバッテリD1(D2,D3)を負荷抵抗に置き換えて、シミュレーションを行ったときの各波形を示している。直流電源装置11が出力する直流電圧Vdcを200[V]、高周波制御信号S2を、周波数f=13.56[MHz]の矩形波信号としている。また、各送電コイルLt1〜Lt3の自己インダクタンス、各共振コンデンサCt1〜Ct3のキャパシタンス、各受電コイルLr1〜Lr3の自己インダクタンス、各共振コンデンサCr1〜Cr3のキャパシタンスを、それぞれ同じ値とし、各送電コイルと受電コイルの結合係数をk=0.5としている。受電ユニット31に接続する負荷抵抗の抵抗値を5[Ω]、受電ユニット32に接続する負荷抵抗の抵抗値を10[Ω]、受電ユニット33に接続する負荷抵抗の抵抗値を30[Ω]として、シミュレーションを行った。図7(a)はスイッチング素子Qsのドレイン‐ソース間電圧Vdsの波形を示しており、図7(b)は受電ユニット31の出力電流の波形を示しており、図7(c)は受電ユニット32の出力電流の波形を示しており、図7(d)は受電ユニット33の出力電流の波形を示している。
図7(a)に示されているように、スイッチング素子Qsのドレイン‐ソース間電圧Vdsは、500[V]未満となっており、直流電圧Vdc(200[V])に対して2.5倍程度に収まっている。一方、図2に示す共振回路LC2を削除してシミュレーションを行った場合は、スイッチング素子Qsのドレイン‐ソース間電圧Vdsは、700[V]以上となり(図示しない)、直流電圧Vdcに対して3.5倍以上になった。つまり、共振回路LC2によって、スイッチング素子Qsに発生する電圧を抑制できることが確認できた。
また、図7(b)〜(d)に示されているように、各出力電流の波形は、同一になっている。つまり、各受電ユニット31〜33に接続する負荷抵抗の抵抗値を異ならせていても、同じ大きさの電流が流れることが確認できた。また、各受電ユニット31〜33に接続する負荷抵抗の抵抗値を変化させても、各出力電流の波形に変化はなかった(図示せず)。したがって、接続される負荷に関係なく、各受電ユニット31〜33の出力電流の大きさが一定であることが確認できた。
図8は、図7のシミュレーションにおいて、スイッチ62を導通状態に切り替えた場合の各波形を示している。その他の条件は、図7のシミュレーションと同様である。図8(a)はスイッチング素子Qsのドレイン‐ソース間電圧Vdsの波形を示しており、図8(b)は受電ユニット31の出力電流の波形を示しており、図8(c)は受電ユニット32の出力電流の波形を示しており、図8(d)は受電ユニット33の出力電流の波形を示している。
図8(b),(d)に示されているように、受電ユニット31,33の出力電流の波形は、図7(b),(d)の波形と同じであり、図8(c)に示されているように、受電ユニット32の出力電流のみがゼロになっている。したがって、スイッチ(61,62,63)が開放状態になっている場合にのみ、電流が供給されることが確認できた。また、いずれかのスイッチ(61,62,63)が導通状態になっていても、他の出力電流に影響しないことが確認できた。
図9は、スイッチ61〜63の切り替えと送電状態の例について説明するための図である。
図9(a)は、どの受電位置にも無人搬送車Eが配置されておらず、スイッチ61〜63がすべて導通状態であり、高周波電源装置1からの電流が送電ユニット21〜23に流れない状態を示している。この時、高周波電源装置1はまだ起動していない。
図9(b)は、送電ユニット21の受電位置に無人搬送車E1が配置された状態を示している。このとき、送電装置Aは、無人搬送車E1からの送電開始信号を受信して、スイッチ61を開放状態に切り替えるので、送電ユニット21の入力端子間の短絡が開放され、高周波電源装置1が起動される。これにより、無人搬送車E1のバッテリD1の充電が行われる。また、高周波電源装置1が起動されても、スイッチ62,63は導通状態なので、送電ユニット22,23の入力端子間は短絡されており、送電ユニット22,23に電流が流れることはない。
図9(c)は、さらに、送電ユニット22の受電位置に無人搬送車E2が配置された状態を示している。このとき、送電装置Aは、無人搬送車E2からの送電開始信号を受信して、スイッチ62を開放状態に切り替えるので、送電ユニット22の入力端子間の短絡も開放され、送電ユニット22にも電流が流れる。高周波電源装置1は、すでに起動されているので、起動処理は行われない。これにより、無人搬送車E2のバッテリD2の充電も行われる。すなわち、無人搬送車E1と無人搬送車E2のバッテリが同時に充電される。このとき、バッテリD1およびバッテリD2は、それぞれの充電状態に関係なく、同じ大きさの電流で、定電流充電される。
図9(d)は、無人搬送車E1のバッテリD1が満充電になった状態を示している。このとき、送電装置Aは、無人搬送車E1からの送電停止信号を受信して、スイッチ61を導通状態に切り替えるので、送電ユニット21に電流が流れなくなる。しかし、スイッチ62は開放状態なので、高周波電源装置1の運転は停止されない。これにより、無人搬送車E2のバッテリD2の充電は継続される。
次に、第1実施形態に係る非接触電力伝送システムCの作用効果について説明する。
本実施形態によると、制御装置5は、受電装置B1〜B3より受信する信号に応じてスイッチ61〜63の切り替えを行い、受電位置に無人搬送車(E1,E2,E3)が配置され、かつ、配置された無人搬送車(E1,E2,E3)のバッテリ(D1,D2,D3)が満充電でない場合のみ、対応する送電ユニット(21,22,23)に高周波電力を供給する。したがって、送電が必要な送電ユニット(21,22,23)だけに電力を供給し、送電を行う必要がない送電ユニットには電力を供給しないようにすることができる。また、制御装置5は、すべてのスイッチ61〜63が導通状態になるまで、高周波電源装置1の運転を継続させる。したがって、いずれかの送電ユニット(21,22,23)への送電が不要になったとしても、他の送電ユニット(21,22,23)への送電は継続される。また、送電ユニット21,22,23は、1つの高周波電源装置1から電力を供給されるので、送電ユニット21,22,23毎に高周波電源装置1を設ける場合(図20参照)と比べて、製造コストを抑制することができる。
また、本実施形態によると、各送電ユニット21〜23は直列共振回路であり、各受電ユニット31〜33は並列共振回路である。また、高周波電源装置1は各送電ユニット21〜23に一定の大きさの高周波電流を出力し、送電ユニット21〜23から受電ユニット31〜23へは磁界共鳴方式で送電を行う。したがって、各受電ユニット31〜33の出力が定電流源の出力と等価になる。また、各受電ユニット31〜23から出力される電流の大きさは、いずれも略同一となる。このことは、バッテリD1〜D3の充電状態に左右されず、受電中の受電装置B1〜B3の数にも左右されない。したがって、どの受電装置(B1,B2,B3)が、いくつ受電中であっても、また、バッテリ(D1,D2,D3)の充電状態がまちまちであっても、バッテリ(D1,D2,D3)に出力される電流の大きさは一定であり、いずれの電流も略同じ大きさになる。これにより、バッテリ(D1,D2,D3)を、略同じ大きさの定電流で充電することができる。
また、本実施形態によると、高周波電源装置1は、1つのスイッチング素子Qsに高周波制御信号S2を入力することで、一定の大きさの高周波電流を、送電ユニット21〜23に出力することができる。高周波制御信号S2にデッドタイムを設ける必要がないので、高周波制御信号S2をスイッチング素子に出力するためのドライブ回路を単純な構成とすることができる。
また、本実施形態によると、高周波電源装置1のスイッチング素子Qsには、インダクタL2とコンデンサC2からなる共振回路LC2が並列接続されている。当該共振回路LC2は、スイッチング周波数f0の2倍の周波数成分(2次高調波成分)に対して、低インピーダンスとなり、スイッチング周波数f0の成分(基本波成分)およびその3倍の周波数成分(3次高調波成分)に対して、高インピーダンスとなる。したがって、高周波電源装置1で発生した高周波電流のうちの2次高調波成分は、共振回路LC2に流れ、スイッチング素子Qsのドレイン‐ソース間の2次高調波成分電流による発生電圧を抑制することができる。よって、スイッチング素子Qsを高耐圧のものにする必要がない。
なお、スイッチング周波数f0が高く(例えば10[MHz]以上)、受電位置が高周波電源装置1から離れている場合、高周波電源装置1および送電ユニット21〜23を接続する接続線の長さの影響が無視できなくなる。すなわち、接続線が長くなると、電流の定在波の影響で、接続線の各位置で電流の大きさが変わる。そのため、各送電ユニットの電流値が同じになるように、高周波電源装置1および送電ユニット21〜23の接続は、高周波電源装置1が出力する高周波の伝送波長の略2分の1の伝送線路を用いるのが望ましい。図10(a)は、高周波電源装置1および送電ユニット21〜23を接続する接続線を伝送線路TLにしたものである。図10(a)においては、送電装置Aのみを記載している。伝送線路TLを用いるようにした点以外は、図1に示す非接触電力伝送システムCと同一であり、同一または類似の要素には、同一の符号を付している。
図10(a)に示すように、伝送線路TLは、高周波電源装置1と送電ユニット21との間、送電ユニット21と送電ユニット22との間、および、送電ユニット22と送電ユニット23との間に、それぞれ直列接続されている。本実施形態においては、伝送線路TLを同軸ケーブルとしている。なお、伝送線路TLは、同軸ケーブルに限定されず、例えば、同軸管などであってもよい。
伝送線路TLの長さは、高周波電源装置1が出力する高周波の基本波の、伝送線路TLにおける伝送波長の略2分の1としている。高周波電源装置1が出力する高周波の伝送波長λは、周波数をfとして、伝送線路TL内の電波の速度をνとすると、λ[m]=ν[m/s]/f[Hz]で表わされる。同軸ケーブル(ポリエチレン製)上の電波の速度νは、真空中の電波の速度(3.0×108[m/s])の約66%程度なので、例えば、スイッチング周波数f0=13.56[MHz]とすると、高周波電源装置1が出力する高周波の伝送波長λは、λ=(3.0×108)×(66/100)/(13.56×106)≒14.60[m]となる。伝送線路TLの長さは、この伝送波長λの略2分の1であるので、14.60×(1/2)=7.30[m]となる。なお、上記同軸ケーブル上の電波の速度νを、真空中の電波の速度の約66%としたが、同軸ケーブル上の電波の速度は、用いる同軸ケーブルの波長短縮率(詳細には同軸ケーブルの絶縁材料)により異なる。したがって、伝送線路TLの長さは、用いる同軸ケーブルの種類に応じて、適宜変更すればよい。
図10(b)は、高周波電源装置1および送電ユニット21〜23を伝送線路TLで接続した場合に、図7および図8と同様のシミュレーションを行ったときの各波形を示している。各条件は、図7および図8のシミュレーションと同様である。1段目はスイッチング素子Qsのドレイン‐ソース間電圧Vdsの波形を示しており、2段目は受電ユニット31の出力電流の波形を示しており、3段目は受電ユニット32の出力電流の波形を示しており、4段目は受電ユニット33の出力電流の波形を示している。
図10(b)に示されているように、受電ユニット32の出力電流の波形は、位相が(1/2)π遅れて、受電ユニット31,33の出力電流の波形を反転したものとなっているが、電流の大きさは同じであることが確認できた。
なお、伝送線路TLの長さは、高周波電源装置1が出力する高周波の基本波の、伝送線路TLにおける伝送波長の略2分の1に限定されず、この自然数倍であってもよい。すなわち、伝送線路TLの長さは、伝送波長と同一、伝送波長の2分の3倍、伝送波長の2倍、…などであってもよい。高周波電源装置1および送電ユニット21〜23の接続を伝送線路TLで行うことにより、電流の定在波の影響を排除して、各送電ユニットの電流値が同じになるようにすることができる。
第1実施形態においては、受電装置B1(B2,B3)が、バッテリD1(D2,D3)が満充電状態になった場合に、送電停止信号を出力する場合について説明したが、これに限られない。例えば、充電を停止させるための操作ボタンを設けて、当該操作ボタンが押された場合に、送電停止信号を出力するようにしてもよい。また、受電装置B1(B2,B3)で何かの異常が発生した場合にも、送電停止信号を出力するようにしてもよい。
第1実施形態においては、無人搬送車E1〜E3が受電位置に位置した場合に、受電装置B1(B2,B3)が送電開始信号を出力する場合について説明したが、これに限られない。例えば、充電を開始させるための操作ボタンを設けて、当該操作ボタンが押された場合に、送電開始信号を出力するようにしてもよい。
第1実施形態においては、受電位置にあることを無人搬送車E1〜E3側で判断する場合について説明したが、これに限られない。無人搬送車E1〜E3が受電位置にあることを、送電装置A側で判断するようにしてもよい。この場合、送電装置Aがセンサによって無人搬送車E1〜E3が受電位置に位置したことを検知して、該当する送電ユニット(21,22,23)に対応するスイッチ(61,62,63)をオフにする。無人搬送車E1〜E3(受電装置B1〜B3)は、満充電時に送電停止信号に含めるために、送電ユニットを識別するための情報を入手して記憶しておく必要がある。なお、送電装置Aが無人搬送車E1〜E3を識別して、送電ユニット21〜23と無人搬送車E1〜E3との対応関係を記憶しておき、無人搬送車E1〜E3(受電装置B1〜B3)が、送電停止信号に、自分を識別するための情報を含めるようにしてもよい。この場合、送電停止信号に含まれる識別情報と、対応関係の情報から、オンにすべきスイッチ(61,62,63)を判断することができる。これらの変形例の場合、受電位置にあることを判断するための機構を無人搬送車E1〜E3側に設ける必要がないので、無人搬送車E1〜E3の小型化、軽量化に寄与する。
第1実施形態においては、受電装置B1(B2,B3)が、バッテリD1(D2,D3)が満充電になったか否かを判別する場合について説明したが、これに限られない。送電装置Aが判別するようにしてもよい。
図11は、バッテリD1(D2,D3)が満充電になったか否かを、送電装置Aが判別するようにした場合の、制御装置5が行う切替制御処理を説明するためのフローチャートである。図11に示すフローチャートは、図4に示すフローチャートにおいて、ステップS5をステップS11およびS12に置き換えたものである。その他のステップS1〜S4,S6~S8については変更がないので説明を省略する。
受電装置B1〜B3の各制御装置8は、電圧センサが検出した充電電圧の情報を検出電圧信号として、定期的に送電装置Aに送信する。検出電圧信号には、送電ユニットを識別するための情報(例えば、送電ユニットのID番号)が含まれている。
ステップS1において、送電開始信号が受信されなかった場合(S1:NO)、検出電圧信号が受信されたか否かが判別される(S11)。受信されなかった場合(S11:NO)、ステップS1に戻り、ステップS1およびS11が繰り返される。一方、受信された場合(S11:YES)、満充電であるか否かが判別される(S12)。具体的には、検出電圧信号の充電電圧の情報が所定の閾値と比較され、閾値以上であれば満充電であると判別される。満充電であると判別された場合(S12:YES)、検出電圧信号に含まれる識別情報に基づいて、対応するスイッチに、オン信号である切替信号を出力する(S6)。これにより、識別情報に対応する送電ユニットに高周波電力が供給されないようになる。一方、満充電であると判別されなかった場合(S12:NO)、ステップS1に戻る。なお、切替制御処理の処理手順は、これに限られない。
本変形例の場合、バッテリD1(D2,D3)が満充電になったか否かを送電装置Aが判別するので、受電装置B1〜B3の各制御装置8に満充電の判別機能を設ける必要がない。
上記第1実施形態においては、受電ユニット31〜33が並列共振回路である場合について説明したが、これに限られない。受電ユニット31〜33が直列共振回路である場合について、以下に説明する。
図12は、第2実施形態に係る非接触電力伝送システムC’の構成を示す回路図である。図12においては、送電装置Aは第1実施形態に係る送電装置Aと同一であり、受電装置B2’および受電装置B3’は受電装置B1’と同様なので、受電装置B1’のみを記載している。図12において、第1実施形態に係る非接触電力伝送システムC(図5参照)と同一または類似の要素には、同一の符号を付している。非接触電力伝送システムC’は、受電ユニット31’(32’,33’)が直列共振回路である点と、受電ユニット31’(32’,33’)と整流平滑回路41(42,43)との間に、電圧‐電流変換回路10が設けられている点で、第1実施形態に係る非接触電力伝送システムCと異なる。
受電ユニット31’は、共振コンデンサCr1が受電コイルLr1に直列接続されており、直列共振回路を構成している。受電コイルLr1および共振コンデンサCr1は、送電コイルLt1および共振コンデンサCt1と同様に、共振周波数がスイッチング周波数f0と一致するように設計される。なお、スイッチング周波数f0が高い場合は、受電コイルLr1の巻線間の浮遊キャパシタンスを共振コンデンサCr1として用いるようにしてもよい。受電装置B2’の受電ユニット32’および受電装置B3’の受電ユニット33’の構成も、受電ユニット31’と同様である。
電圧‐電流変換回路10は、電圧出力を電流出力に変換するものである。電圧‐電流変換回路10は、2つのインダクタL11,L12とコンデンサC11とを、T型に配置した回路である。インダクタL11とインダクタL12とは直列接続されており、受電ユニット31’(32’,33’)と整流平滑回路41(42,43)との間に、直列接続されている。そして、インダクタL11とインダクタL12との接続点に、コンデンサC11が並列接続されている。スイッチング周波数f0におけるインダクタL11,L12およびコンデンサC11の各インピーダンスの大きさが等しくなるように、各インダクタンスおよびキャパシタンスを決定している。
図13(a)は、図12に示す非接触電力伝送システムC’のうちの、送電ユニット21、受電ユニット31’および電圧‐電流変換回路10を抜き出したものである。
送電ユニット21に印加される電圧をV1、入力される電流をI1とし、受電ユニット31’から出力される電圧をV2、出力される電流をI2とし、電圧‐電流変換回路10の出力電圧をV3、出力電流をI3とする。つまり、整流平滑回路41に印加される電圧がV3、整流平滑回路41に入力される電流がI3となる。なお、各電圧V1,V2,V3および各電流I1,I2,I3は、いずれもベクトルである。
図13(a)に示す回路を、T型回路を用いて表した等価回路に変換すると、図13(b)に示す回路になる。図13(b)においては、図に示すように、コンデンサまたはコイルのインピーダンスをZ1〜Z3として表している。なお、各インピーダンスZ1〜Z3は、いずれもベクトルであり、下記(10)〜(12)式で表すことができる。なお、送電コイルLt1および受電コイルLr1の自己インダクタンスを、それぞれ、LtおよびLrとし、共振コンデンサCt1および共振コンデンサCr1のキャパシタンスを、それぞれ、CtおよびCrとしている。また、送電コイルLtと受電コイルLrの結合係数をkとしている。
図13(b)に示す回路をFパラメータを用いて表した場合、Fパラメータは、下記(13)式のようになる。なお、Fパラメータの各要素A,B,C,Dは、いずれもベクトルである。
磁界共鳴の条件式であるZ1+Z2=Z2+Z3=0を、上記(13)式に代入すると、下記(14)式になる。これより、下記(15)式および上記(11)式から、下記(16)式が求められる。
送電コイルLt1と受電コイルLr1の距離が変化しなければ、結合係数kは変化しない。したがって、上記(16)式より、受電ユニット31’から出力される電圧V2の大きさは、送電ユニット21に入力される電流I1の大きさに比例する。また、送電ユニット21〜23は直列接続されているので、送電ユニット21に入力される電流I1は、高周波電源装置1の出力電流である。直流電源装置11が出力する直流電圧が一定の場合、高周波電源装置1の出力電流の大きさは一定であり、電流I1も一定になる。したがって、直流電源装置11が出力する直流電圧が一定の場合、受電ユニット31’の出力電圧V2の大きさは、接続される負荷のインピーダンスなどに関係なく、一定である。つまり、受電ユニット31’の出力は、一定の大きさの電圧V2を出力する定電圧源と考えることができる。
図13(c)は、電圧‐電流変換回路10の回路を示している。図13(c)においては、図に示すように、コンデンサまたはコイルのインピーダンスをZ4〜Z6として表している。なお、各インピーダンスZ4〜Z6は、いずれもベクトルであり、下記(17)〜(19)式で表すことができる。なお、インダクタL11およびインダクタL12の自己インダクタンスを、それぞれ、L11およびL12とし、コンデンサC11のキャパシタンスをC11としている。
図13(c)に示す回路をFパラメータを用いて表した場合、Fパラメータは、下記(20)式のようになる。なお、Fパラメータの各要素A,B,C,Dは、いずれもベクトルである。
高周波電源装置1より供給される高周波電力の周波数f0(スイッチング周波数f0)におけるインダクタL11,L12およびコンデンサC11の各インピーダンスの大きさが等しくなるように、各インダクタンスやキャパシタンスを決定しているため、Z4+Z5=Z5+Z6=0となる。これを、上記(20)式に代入すると、下記(21)式になる。これより、下記(22)式および上記(18)式から、下記(23)式が求められる。
キャパシタンスC11は固定値なので、上記(23)式より、電圧‐電流変換回路10の出力電流I3の大きさは、受電ユニット31’から出力されて電圧‐電流変換回路10に入力される電圧V2の大きさに比例する。また、直流電源装置11が出力する直流電圧が一定の場合、受電ユニット31’の出力電圧V2の大きさは一定である。したがって、直流電源装置11が出力する直流電圧が一定の場合、電圧‐電流変換回路10の出力電流I3の大きさは、接続される負荷のインピーダンスなどに関係なく、一定である。つまり、電圧‐電流変換回路10の出力は、一定の大きさの電流I3を出力する定電流源と考えることができる。電圧‐電流変換回路10の出力電流I3の大きさが一定なので、整流平滑回路41によって整流および平滑化された電流は一定になる。したがって、バッテリD1に供給される電流は、バッテリD1の充電状態に関係なく一定になる。
同様に、直流電源装置11が出力する直流電圧が一定の場合、受電ユニット32’(33’)の出力電圧の大きさも、接続される負荷のインピーダンスなどに関係なく一定であり、受電ユニット32’(33’)の出力も、一定の大きさの電圧を出力する定電圧源と考えることができる。したがって、受電ユニット32’(33’)の後段にそれぞれ接続された電圧‐電流変換回路10の出力電流の大きさも、接続される負荷のインピーダンスなどに関係なく、一定である。つまり、各電圧‐電流変換回路10の出力は、一定の大きさの電流を出力する定電流源と考えることができる。各電圧‐電流変換回路10の出力電流の大きさが一定なので、整流平滑回路42(43)によって整流および平滑化された電流は一定になる。したがって、バッテリD2(D3)に供給される電流も、バッテリD2(D3)の充電状態に関係なく一定になる。
また、送電コイルLt1〜Lt3の自己インダクタンスがいずれも同一のLtであり、受電コイルLr1〜Lr3の自己インダクタンスがいずれも同一のLrであり、送電コイルLt1と受電コイルLr1との結合係数、送電コイルLt2と受電コイルLr2との結合係数、送電コイルLt3と受電コイルLr3との結合係数がいずれも同一の結合係数kであれば、送電ユニット21〜23に入力される電流の大きさは同一なので、上記(16)式より、各受電ユニット31’〜33’から出力される電圧の大きさは、いずれも同一となる。また、各電圧‐電流変換回路10のコンデンサC11のキャパシタンスが同一であれば、上記(23)式より、各電圧‐電流変換回路10から出力される電流の大きさは、いずれも同一となる。つまり、いずれの電圧‐電流変換回路10も、電力を供給する負荷のインピーダンスなどに左右されることなく、同じ大きさの電流を負荷に供給することができる。各電圧‐電流変換回路10の出力電流の大きさが同一なので、整流平滑回路41〜43によって整流および平滑化された電流も同一になる。したがって、バッテリD1〜D3に供給される電流は、バッテリD1〜D3の充電状態に関係なく同一になる。なお、各結合係数などが完全に一致しなくても、略同一であれば、各受電ユニット31〜33から出力される電流の大きさは略同一となり、バッテリD1〜D3に供給される電流も略同一になる。
つまり、各送電コイルLt1〜Lt3の自己インダクタンスを略同一にし、各受電コイルLr1〜Lr3の自己インダクタンスを略同一にし、各電圧‐電流変換回路10のコンデンサC11のキャパシタンスを略同一にし、各結合係数が略同一になるようにしておけば、各バッテリD1〜D3の充電状態に関係なく、各バッテリD1〜D3に略同じ大きさの電流を一定の電流として供給することができる。また、このことは、受電ユニット(31’,32’,33’)の数にも左右されない。
図14は、図12に示す回路において、図7と同様のシミュレーションを行ったときの各波形を示している。各条件は、図7のシミュレーションと同様である。図14(a)はスイッチング素子Qsのドレイン‐ソース間電圧Vdsの波形を示しており、図14(b)は受電ユニット31’に接続された電圧‐電流変換回路10の出力電流の波形を示しており、図14(c)は受電ユニット32’に接続された電圧‐電流変換回路10の出力電流の波形を示しており、図14(d)は受電ユニット33’に接続された電圧‐電流変換回路10の出力電流の波形を示している。
図14(a)に示されているように、スイッチング素子Qsのドレイン‐ソース間電圧Vdsは、図7(a)と同様、500[V]未満となっており、直流電圧Vdc(200[V])に対して2.5倍程度に収まっている。また、図7(b)〜(d)に示されているように、各電圧‐電流変換回路10各出力電流の波形は、同一になっている。つまり、各電圧‐電流変換回路10に接続する負荷抵抗の抵抗値を異ならせていても、同じ大きさの電流が流れることが確認できた。また、各電圧‐電流変換回路10に接続する負荷抵抗の抵抗値を変化させても、各出力電流の波形に変化はなかった(図示せず)。したがって、接続される負荷に関係なく、各電圧‐電流変換回路10の出力電流の大きさが一定であることが確認できた。
第2実施形態においても、送電が必要な送電ユニット(21,22,23)だけに電力を供給し、送電を行う必要がない送電ユニットには電力を供給しないようにすることができる。また、いずれかの送電ユニット(21,22,23)への送電が不要になったとしても、他の送電ユニット(21,22,23)への送電は継続される。また、送電ユニット21,22,23は、1つの高周波電源装置1から電力を供給されるので、送電ユニット21,22,23毎に高周波電源装置1を設ける場合(図20参照)と比べて、製造コストを抑制することができる。
また、第2実施形態においても、高周波電源装置1は、1つのスイッチング素子Qsに高周波制御信号S2を入力することで、一定の大きさの高周波電流を、送電ユニット21〜23に出力することができる。高周波制御信号S2にデッドタイムを設ける必要がないので、高周波制御信号S2をスイッチング素子に出力するためのドライブ回路を単純な構成とすることができる。
また、第2実施形態においても、高周波電源装置1のスイッチング素子Qsには、インダクタL2とコンデンサC2からなる共振回路LC2が並列接続されている。したがって、高周波電源装置1で発生した高周波電流のうちの2次高調波成分が共振回路LC2に流れ、スイッチング素子Qsのドレイン‐ソース間の2次高調波成分電流による発生電圧を抑制することができる。
また、第2実施形態によると、各送電ユニット21〜23は直列共振回路であり、各受電ユニット31’〜33’は直列共振回路である。また、高周波電源装置1は各送電ユニット21〜23に一定の大きさの高周波電流を出力し、送電ユニット21〜23から受電ユニット31’〜33’へは磁界共鳴方式で送電を行う。したがって、各受電ユニット31’〜33’の出力が定電圧源の出力と等価になる。また、受電ユニット31’〜33’の後段には、電圧‐電流変換回路10が接続されている。したがって、各電圧‐電流変換回路10の出力が定電流源の出力と等価になる。また、各電圧‐電流変換回路10から出力される電流の大きさは、いずれも略同一となる。したがって、どの受電装置(B1’,B2’,B3’)が、いくつ受電中であっても、また、バッテリ(D1,D2,D3)の充電状態がまちまちであっても、バッテリ(D1,D2,D3)に出力される電流の大きさは一定であり、いずれの電流も略同じ大きさになる。これにより、バッテリ(D1,D2,D3)を、略同じ大きさの定電流で充電することができる。
なお、第2実施形態においては、電圧‐電流変換回路10を、2つのインダクタL11,L12とコンデンサC11とをT型に配置した回路とした場合について説明したが、電圧‐電流変換回路10の回路構成は、上述したものに限定されない。例えば、1つのインダクタと2つのコンデンサとをT型に配置した回路としてもよいし、2つのインダクタと1つのコンデンサとをπ型に配置した回路としてもよいし、1つのインダクタと2つのコンデンサとをπ型に配置した回路としてもよい。
また、電圧‐電流変換回路10は、インダクタとコンデンサを組み合わせた回路に限定されない。電圧‐電流変換回路10は、受電ユニット31’(32’,33’)からの電圧出力を電流出力に変換するものであればよい。
図15は、第3実施形態に係る非接触電力伝送システムC”の構成を示す回路図である。図15においては、送電装置Aは第1実施形態に係る送電装置Aと同一であり、受電装置B2”および受電装置B3”は受電装置B1”と同様なので、受電装置B1”のみを記載している。図15において、第2実施形態に係る非接触電力伝送システムC’(図12参照)と同一または類似の要素には、同一の符号を付している。非接触電力伝送システムC”は、電圧‐電流変換回路10’の構成が、第2実施形態に係る非接触電力伝送システムC’の電圧‐電流変換回路10と異なっている。
電圧‐電流変換回路10’は、電圧出力を電流出力に変換するものである。電圧‐電流変換回路10’は、伝送線路TL’を備えている。伝送線路TL’は、受電ユニット31’(32’,33’)と整流平滑回路41(42,43)との間に直列接続されている。本実施形態においては、伝送線路TL’を同軸ケーブルとしている。なお、伝送線路TL’は、同軸ケーブルに限定されず、例えば、同軸管、基板上に形成された線路などであってもよい。
伝送線路TL’の長さは、受電ユニット31’(32’,33’)より入力される高周波(すなわち、高周波電源装置1が出力する高周波)の基本波の、伝送線路TL’における伝送波長の略4分の1としている。上述したように、スイッチング周波数f0=13.56[MHz]とした場合、高周波電源装置1が出力する高周波の基本波の、同軸ケーブル(ポリエチレン製)における伝送波長λは、約14.60[m]となる。伝送線路TL’の長さは、この伝送波長λの略1/4であるので、14.60×(1/4)≒3.65[m]となる。なお、高周波電源装置1が出力する高周波の周波数が低ければ低いほど、伝送波長λは長くなる。したがって、周波数が低い場合、長い伝送線路TL’を用いる必要があり、当該伝送線路TL’を受電装置B1”の筺体に収容するために、受電装置B1”の大きさを大きくしなければならない。よって、高周波電源装置1が出力する高周波の周波数は、6.78MHz以上であることが望ましい。
図16は、図15に示す非接触電力伝送システムC”のうちの、送電ユニット21、受電ユニット31’および電圧‐電流変換回路10’を抜き出したものである。
送電ユニット21に印加される電圧をV1、入力される電流をI1とし、受電ユニット31’から出力される電圧をV2、出力される電流をI2とし、電圧‐電流変換回路10’の出力電圧をV3、出力電流をI3とする。つまり、整流平滑回路41に印加される電圧がV3、整流平滑回路41に入力される電流がI3となる。なお、各電圧V1,V2,V3および各電流I1,I2,I3は、いずれもベクトルである。
送電ユニット21および受電ユニット31’は第2実施形態と共通しているので、直流電源装置11が出力する直流電圧が一定の場合、受電ユニット31’の出力電圧V2の大きさが、接続される負荷のインピーダンスなどに関係なく一定であることも同様である。
電圧‐電流変換回路10’の回路をFパラメータを用いて表した場合、Fパラメータは、下記(24)式のようになる。なお、Fパラメータの各要素A,B,C,Dは、いずれもベクトルである。Z0は伝送線路TL’の特性インピーダンスであり、βは位相定数(2π/λ)であり(λは伝送線路TL’における伝送波長)、lは線路長である。伝送線路TL’の線路長lは、伝送波長λの4分の1なので、β・l=π/2となる。したがって、Fパラメータは、下記(25)式のようになる。
これより、下記(26)式から、下記(27)式が求められる。
特性インピーダンスZ0は固定値なので、上記(27)式より、電圧‐電流変換回路10’の出力電流I3の大きさは、受電ユニット31’から出力されて電圧‐電流変換回路10’に入力される電圧V2の大きさに比例する。また、直流電源装置11が出力する直流電圧が一定の場合、受電ユニット31’の出力電圧V2の大きさは一定である。したがって、直流電源装置11が出力する直流電圧が一定の場合、電圧‐電流変換回路10’の出力電流I3の大きさは、接続される負荷のインピーダンスなどに関係なく、一定である。つまり、電圧‐電流変換回路10’の出力は、一定の大きさの電流I3を出力する定電流源と考えることができる。電圧‐電流変換回路10’の出力電流I3の大きさが一定なので、整流平滑回路41によって整流および平滑化された電流は一定になる。したがって、バッテリD1に供給される電流は、バッテリD1の充電状態に関係なく一定になる。
同様に、直流電源装置11が出力する直流電圧が一定の場合、受電ユニット32’(33’)の後段にそれぞれ接続された電圧‐電流変換回路10’の出力電流の大きさも、接続される負荷のインピーダンスなどに関係なく、一定である。つまり、各電圧‐電流変換回路10’の出力は、一定の大きさの電流を出力する定電流源と考えることができる。各電圧‐電流変換回路10’の出力電流の大きさが一定なので、整流平滑回路42(43)によって整流および平滑化された電流は一定になる。したがって、バッテリD2(D3)に供給される電流も、バッテリD2(D3)の充電状態に関係なく一定になる。
また、送電コイルLt1〜Lt3の自己インダクタンスがいずれも同一のLtであり、受電コイルLr1〜Lr3の自己インダクタンスがいずれも同一のLrであり、送電コイルLt1と受電コイルLr1との結合係数、送電コイルLt2と受電コイルLr2との結合係数、送電コイルLt3と受電コイルLr3との結合係数がいずれも同一の結合係数kであれば、送電ユニット21〜23に入力される電流の大きさは同一なので、上記(16)式より、各受電ユニット31’〜33’から出力される電圧の大きさは、いずれも同一となる。また、各電圧‐電流変換回路10’の伝送線路TL’の特性インピーダンスZ0が同一であれば、上記(27)式より、各電圧‐電流変換回路10’から出力される電流の大きさは、いずれも同一となる。つまり、いずれの電圧‐電流変換回路10’も、電力を供給する負荷のインピーダンスなどに左右されることなく、同じ大きさの電流を負荷に供給することができる。各電圧‐電流変換回路10’の出力電流の大きさが同一なので、整流平滑回路41〜43によって整流および平滑化された電流も同一になる。したがって、バッテリD1〜D3に供給される電流は、バッテリD1〜D3の充電状態に関係なく同一になる。なお、各結合係数などが完全に一致しなくても、略同一であれば、各受電ユニット31〜33から出力される電流の大きさは略同一となり、バッテリD1〜D3に供給される電流も略同一になる。
つまり、各送電コイルLt1〜Lt3の自己インダクタンスを略同一にし、各受電コイルLr1〜Lr3の自己インダクタンスを略同一にし、各伝送線路TL’の特性インピーダンスZ0を略同一にし、各結合係数が略同一になるようにしておけば、各バッテリD1〜D3の充電状態に関係なく、各バッテリD1〜D3に略同じ大きさの電流を一定の電流として供給することができる。また、このことは、受電ユニット(31’,32’,33’)の数にも左右されない。
第3実施形態においては、各電圧‐電流変換回路10’が、第2実施形態に係る各電圧‐電流変換回路10と同様に、定電圧出力を定電流出力に変換することができる。したがって、第3実施形態においても、第2実施形態と同様の効果を奏することができる。
上記第1ないし第3実施形態においては、高周波電源装置1がいわゆる一石のE級アンプを利用した場合について説明したが、これに限られない。例えば、図17(a)に示すように、プッシュプル回路で構成したアンプを利用するようにしてもよい。高周波電源装置1aは、E級アンプを正負対称に接続して、それぞれが一方の極性の信号のみを増幅するようにした、いわゆるプッシュプル方式のアンプを利用したものである。共振回路LC2も、それぞれの極性用に、2つ設けられている。この場合でも、高周波電源装置1aは、各スイッチング素子Qsに高周波制御信号S2を入力することで、一定の大きさの高周波電流を出力することができる。また、各スイッチング素子Qsには、インダクタL2とコンデンサC2からなる共振回路LC2がそれぞれ並列接続されている。したがって、2次高調波成分が共振回路LC2に流れ、スイッチング素子Qsのドレイン‐ソース間の2次高調波成分電流による発生電圧を抑制することができる。
また、高周波電源装置1に代えて、共振回路LC2を設けないようにした、いわゆるE級アンプを用いた高周波電源装置1bを備えるようにてもよい(図17(b)参照)。高周波電源装置1bも、スイッチング素子Qsに高周波制御信号S2を入力することで、一定の大きさの高周波電流を出力することができる。高周波制御信号S2にデッドタイムを設ける必要がないので、高周波制御信号S2をスイッチング素子に出力するためのドライブ回路を単純な構成とすることができる。なお、この場合、スイッチング素子Qsのドレイン‐ソース間電圧を抑制できないので、スイッチング素子Qsを高耐圧のものにする必要がある。
また、高周波電源装置1b(図17(b)参照)において、インダクタL1の代わりに伝送線路Kを設けた高周波電源装置1cを備えるようにしてもよい(図18(a)参照)。伝送線路Kは、電力を伝送するための線路であり、直流電源装置11の高電位側の出力端子とスイッチング素子Qsのドレイン端子との間に直列接続されている。本変形例においては、伝送線路Kを同軸ケーブルとしている。なお、伝送線路Kは、同軸ケーブルに限定されず、例えば、同軸管、基板上に形成された線路などであってもよい。
伝送線路Kの長さは、高周波電源装置1cが出力する高周波の基本波の、伝送線路Kにおける伝送波長の略4分の1としている。つまり、上記第3実施形態で説明した伝送線路TL’と同様のものを用いている。したがって、スイッチング周波数f0=13.56[MHz]の場合、伝送線路Kの長さは、約3.65[m]となる。なお、スイッチング周波数f0が低ければ低いほど、伝送線路Kも長くする必要がある。したがって、伝送線路Kを高周波電源装置1cの筺体に収容することを考慮すると、スイッチング周波数f0は、6.78MHz以上であることが望ましい。
スイッチング素子Qsのドレイン端子から伝送線路K側を見たインピーダンスは、スイッチング周波数f0の偶数倍の周波数成分に対して、低インピーダンスとなり、スイッチング周波数f0の成分(基本波成分)およびその奇数倍の周波数成分に対して、高インピーダンスとなる。高周波電源装置1cも、スイッチング素子Qsに高周波制御信号S2を入力することで、一定の大きさの高周波電流を出力することができる。高周波制御信号S2にデッドタイムを設ける必要がないので、高周波制御信号S2をスイッチング素子に出力するためのドライブ回路を単純な構成とすることができる。また、伝送線路Kが偶数次高調波成分に対して低インピーダンスとなるので、偶数次高調波成分が伝送線路Kに流れ、スイッチング素子Qsのドレイン‐ソース間の偶数次高調波成分電流による発生電圧を抑制することができる。
また、高周波電源装置1b(図17(b)参照)において、伝送線路部K’を設けた高周波電源装置1dを備えるようにしてもよい(図18(b)参照)。伝送線路部K’は、高周波電源装置1dで生成される高周波から、所定次数の高調波成分を減衰させるものである。伝送線路部K’は、伝送線路K1および伝送線路K2を備えている。
伝送線路K1は、一端がスイッチング素子Qsのドレイン端子に接続され、他端が開放された伝送線路である。伝送線路K2は、一端がスイッチング素子Qsのドレイン端子に接続され、他端が短絡された伝送線路である。本変形例においては、伝送線路K1,K2を、同軸ケーブルとしている。なお、伝送線路K1,K2は、同軸ケーブルに限定されず、例えば、同軸管、基板上に形成された線路などであってもよい。
伝送線路K1,K2の長さは、高周波電源装置1dが出力する高周波の基本波の、伝送線路K1,K2における伝送波長の略8分の1としている。上述したように、スイッチング周波数f0=13.56[MHz]とした場合、高周波電源装置1が出力する高周波の基本波の、同軸ケーブル(ポリエチレン製)における伝送波長λは、約14.60[m]となる。伝送線路K1,K2の長さは、この伝送波長λの略1/8であるので、14.60×(1/8)≒1.8[m]となる。なお、スイッチング周波数f0が低ければ低いほど、伝送線路K1,K2も長くする必要がある。したがって、伝送線路K1,K2を高周波電源装置1dの筺体に収容することを考慮すると、スイッチング周波数f0は、6.78MHz以上であることが望ましい。なお、当該伝送線路K1が、本発明の「第1の伝送線路」に相当し、当該伝送線路K2が、本発明の「第2の伝送線路」に相当する。
伝送線路部K’は、スイッチング周波数f0およびf0の奇数倍の周波数で、インピーダンスが無限大になり、f0の偶数倍の周波数で、インピーダンスが0「Ω」になる。つまり、伝送線路部K’には、高周波電源装置1dで生成される高周波の基本波および奇数倍高調波(3次高調波、5次高調波など)の電流は流れず、偶数倍高調波(2次高調波、4次高調波など)の電流が流れて、スイッチング素子Qsに発生する高調波成分の電圧を減衰させる。高周波電源装置1dも、スイッチング素子Qsに高周波制御信号S2を入力することで、一定の大きさの高周波電流を出力することができる。高周波制御信号S2にデッドタイムを設ける必要がないので、高周波制御信号S2をスイッチング素子に出力するためのドライブ回路を単純な構成とすることができる。また、偶数倍高調波成分が伝送線路K’に流れ、スイッチング素子Qsのドレイン‐ソース間の2次高調波成分電流による発生電圧を抑制することができる。
なお、高周波電源装置1,1a〜1d以外の高周波電源装置であっても、一定の大きさの高周波電流を出力することができる高周波電源装置であれば、本発明に用いることができる。
上記第1ないし第3実施形態においては、3台の無人搬送車E1〜E3を備えており、送電装置Aが3つの送電ユニット21〜23を備えている場合について説明したが、これに限られない。それぞれの数は限定されず、無人搬送車の数と送電ユニットの数とが一致しなくてもよい。
上記第1ないし第3実施形態においては、送電装置Aが床面に埋設されている場合について説明したが、これに限られない。例えば、送電コイルLt1〜Lt3のみが床面に埋設されるようにしてもよいし、送電コイルLt1〜Lt3を床面に埋設せずに床面上に配置するようにしてもよい。また、送電コイルLt1〜Lt3および受電コイルLr1〜Lr3が、床面に対して略平行となるように設けられる場合に限定されない。例えば、受電コイルLr1(L22,L23)を無人搬送車E1(E2,E3)の後部や側面に配置し、送電コイルLt1〜Lt3を壁面に配置して、送電コイルLt1〜Lt3および受電コイルLr1〜Lr3が床面に対して略垂直になるようにしてもよい。送電コイルLt1〜Lt3と受電コイルLr1〜Lr3とが略平行で向かい合う位置に配置できるように、それぞれ配置されていればよい。
上記第1ないし第3実施形態においては、本発明に係る非接触電力伝送システムを、無人搬送車に内蔵されたバッテリの充電に利用する場合を例として説明したが、これに限られない。例えば、電気自動車のバッテリなどへの充電にも、利用することができる。また、電動工具やノートパソコンなどの電気製品のバッテリに充電を行う場合にも、本発明を適用することができる。また、バッテリに充電するのではなく、受電装置に接続された電気製品などの負荷に直接、電力を供給する場合にも、本発明を適用することができる。この場合、平滑回路を備えないようにしてもよい。また、負荷に高周波電力をそのまま供給するのであれば、整流平滑回路を設けないようにしてもよい。また、整流後の直流電力を、インバータ回路で適切な交流電力に変換して用いるようにしてもよい。
図19は、第1実施形態に係る非接触電力伝送システムCを、電動工具の給電システムに適用した例を示している。図19において、第1実施形態に係る非接触電力伝送システムC(図1参照)と同一または類似の要素には、同一の符号を付している。なお、図19においては、受電装置B1〜B3の記載を簡略化している。非接触電力伝送システムCは、3台の電動工具E1’〜E3’にそれぞれ内蔵されたバッテリD1〜D3を充電するための給電システムである。なお、実際には、より多くの電動工具を充電できるようにすればいいが、ここでは3台の場合を例示している。
送電装置A2は、電動工具E1’〜E3’を収納するための収納部20が設けられた筐体を有している点で、第1実施形態に係る送電装置Aと異なるが、その他の内部構成は送電装置Aと共通する。送電コイルLt1〜Lt3は、それぞれ、収納部10の底面に対向する位置に配置されている。
電動工具E1’(E2’,E3’)は、受電装置B1(B2,B3)およびバッテリD1(D2,D3)を備えた、例えば電気ドリルなどの電動工具である。受電コイルLr1(Lr2,Lr3)は、電動工具E1’(E2’,E3’)の底面に対向する位置に配置されている。電動工具E1’(E2’,E3’)を底面を下にして収納部20に収納することで、受電コイルLr1(Lr2,Lr3)は、送電コイル(Lt1,Lt2,Lt3)と対向することになる。スイッチ61〜63の切り替えは、第1実施形態と同様にしてもよい。また、送電装置A2の各収納部20近辺に送電開始のためのボタンを設け、電動工具(E1’,E2’,E3’)を収納部20に収納したときに、当該ボタンを押すことで、スイッチ(S61,S62,S63)をオフにするようにしてもよい。また、各収納部20にセンサを設けて、電動工具(E1’,E2’,E3’)が収納されたことを検知して、自動的に、スイッチ(S61,S62,S63)をオフにするようにしてもよい。
本発明に係る非接触電力伝送システムおよび送電装置は、上述した実施形態に限定されるものではない。本発明に係る非接触電力伝送システムおよび送電装置の各部の具体的な構成は、種々に設計変更自在である。