JP5788819B2 - 電源装置、送電装置、および電力伝送システム - Google Patents

電源装置、送電装置、および電力伝送システム Download PDF

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Description

この発明は、電源装置、送電装置、および電力伝送システムに関し、特に、非接触電力伝送に用いられる電源装置、送電装置、および電力伝送システムに関する。
特開平7−142937号公報(特許文献1)は、高周波の電力を低損失で生成可能な電源装置として用いられるE級増幅回路の一構成を開示する。一般的に、E級増幅回路は、チョークコイルと、スイッチング素子と、スイッチング素子に並列に接続されるシャントキャパシタと、チョークコイルおよび負荷間に接続されるフィルタ回路とを含む。そして、このE級増幅回路においては、スイッチング素子およびシャントキャパシタに並列に、直列接続されたインダクタおよびキャパシタから成る直列共振回路が設けられる。
このような構成とすることにより、このE級増幅回路によれば、E級増幅回路の入力電力、出力電力、負荷抵抗の関係に設計上の許容範囲をもたせることができるとされる(特許文献1参照)。
特開平7−142937号公報
電磁誘導や磁界共振を用いて非接触で電力を伝送する非接触電力伝送が注目されている。非接触電力伝送を行なう電力伝送システムにおいて、E級増幅回路のような低損失の増幅回路を電源装置として用いることによって、非接触電力伝送の効率向上を図ることができる。
このような電力伝送システムにおいて過電圧が検出された場合、直ちに、電路を遮断したり、電源装置の動作を停止したりする必要がある。しかしながら、高周波の電力伝送システムにおいては、上記の遮断動作や停止動作によって電力の反射が発生し、電圧が低下するのに時間がかかる。
そこで、早期に電圧を低下させるために追加のスイッチング素子や放電抵抗等を設けることが考えられるが、その分コストが増加する。なお、上記のようなE級増幅回路においてスイッチング素子や放電抵抗等を追加すると、その追加された部品の寄生容量によって、零電圧スイッチングを実現するための回路特性が影響を受けるという問題もある。
それゆえに、この発明の目的は、過電圧の検出時に早期の電圧低下を低コストで実現可能な電源装置を提供することである。
また、この発明の別の目的は、過電圧の検出時に早期の電圧低下を低コストで実現可能な送電装置を提供することである。
さらに、この発明の別の目的は、過電圧の検出時に早期の電圧低下を低コストで実現可能な電力伝送システムを提供することである。
この発明によれば、電源装置は、増幅回路と、制御装置とを備える。増幅回路は、スイッチング素子を所定の条件でスイッチング動作させることにより、直流電源から供給される直流電力を交流電力に変換する。制御装置は、スイッチング素子の端子間電圧が過電圧検出用の第1の電圧を超えると、端子間電圧が直流電源の電圧よりも高く、かつ、第1の電圧よりも低くなるようにスイッチング素子を制御する。
好ましくは、増幅回路は、スイッチング素子と、チョークコイルと、フィルタ回路とを含む。チョークコイルは、スイッチング素子と直流電源との間に接続される。フィルタ回路は、スイッチング素子およびチョークコイル間の接続ノードと当該増幅回路に接続される負荷との間に接続される。電源装置は、電圧検出装置をさらに備える。電圧検出装置は、接続ノードの電圧を検出することによってスイッチング素子の端子間電圧を検出する。そして、制御装置は、接続ノードの電圧が第1の電圧を超えると、接続ノードの電圧が直流電源の電圧よりも高く、かつ、第1の電圧よりも低くなるようにスイッチング素子を制御する。
さらに好ましくは、フィルタ回路は、共振回路を含む。共振回路は、インダクタと容量素子とによって構成される。
好ましくは、第1の電圧は、スイッチング素子の定格電圧以下の電圧である。
好ましくは、所定の条件は、スイッチング素子の端子間電圧が略零の状態である。
好ましくは、制御装置は、ゲート信号生成部と、ゲート制御部と、切替部とを含む。ゲート信号生成部は、スイッチング素子を所定の条件でスイッチング動作させるためのスイッチング素子のゲート信号を生成する。ゲート制御部は、端子間電圧が直流電源の電圧よりも高く、かつ、第1の電圧よりも低くなるようにスイッチング素子のゲート電圧を制御する。切替部は、端子間電圧が第1の電圧を超えると、スイッチング素子のゲートの制御を、ゲート信号生成部により生成されるゲート信号に基づく制御からゲート制御部の出力に基づく制御に切替える。
さらに好ましくは、ゲート制御部は、第1の演算部と、第2の演算部とを含む。第1の演算部は、端子間電圧と第1の電圧との偏差を算出する。第2の演算部は、偏差を入力として比例微分制御を実行し、その制御結果をスイッチング素子のゲート信号として出力する。
また、好ましくは、ゲート制御部は、端子間電圧を第1の電圧と比較し、その大小比較結果をスイッチング素子のゲート信号として出力する。
また、この発明によれば、送電装置は、受電装置へ非接触で送電する送電装置であって、電源部と、送電部とを備える。電源部は、交流電力を生成する。送電部は、電源部により生成された交流電力を受電装置の受電部へ非接触で出力するように構成される。電源部は、増幅回路と、制御部とを含む。増幅回路は、スイッチング素子を所定の条件でスイッチング動作させることにより、直流電源から供給される直流電力を交流電力に変換する。制御部は、スイッチング素子の端子間電圧が過電圧検出用の第1の電圧を超えると、端子間電圧が直流電源の電圧よりも高く、かつ、第1の電圧よりも低くなるようにスイッチング素子を制御する。
好ましくは、増幅回路は、スイッチング素子と、チョークコイルと、フィルタ回路とを含む。チョークコイルは、スイッチング素子と直流電源との間に接続される。フィルタ回路は、スイッチング素子およびチョークコイル間の接続ノードと当該増幅回路に接続される負荷との間に接続される。電源部は、電圧検出部をさらに含む。電圧検出部は、接続ノードの電圧を検出することによってスイッチング素子の端子間電圧を検出する。そして、制御部は、接続ノードの電圧が第1の電圧を超えると、接続ノードの電圧が直流電源の電圧よりも高く、かつ、第1の電圧よりも低くなるようにスイッチング素子を制御する。
さらに好ましくは、フィルタ回路は、共振回路を含む。共振回路は、インダクタと容量素子とによって構成される。
好ましくは、第1の電圧は、スイッチング素子の定格電圧以下の電圧である。
好ましくは、所定の条件は、スイッチング素子の端子間電圧が略零の状態である。
好ましくは、制御部は、ゲート信号生成部と、ゲート制御部と、切替部とを含む。ゲート信号生成部は、スイッチング素子を所定の条件でスイッチング動作させるためのスイッチング素子のゲート信号を生成する。ゲート制御部は、端子間電圧が直流電源の電圧よりも高く、かつ、第1の電圧よりも低くなるようにスイッチング素子のゲート電圧を制御する。切替部は、端子間電圧が第1の電圧を超えると、スイッチング素子のゲートの制御を、ゲート信号生成部により生成されるゲート信号に基づく制御からゲート制御部の出力に基づく制御に切替える。
さらに好ましくは、ゲート制御部は、第1の演算部と、第2の演算部とを含む。第1の演算部は、端子間電圧と第1の電圧との偏差を算出する。第2の演算部は、偏差を入力として比例微分制御を実行し、その制御結果をスイッチング素子のゲート信号として出力する。
また、好ましくは、ゲート制御部は、端子間電圧を第1の電圧と比較し、その大小比較結果をスイッチング素子のゲート信号として出力する。
好ましくは、送電部の固有周波数と受電装置の受電部の固有周波数との差は、送電部の固有周波数または受電部の固有周波数の±10%以下である。
また、好ましくは、送電部と受電装置の受電部との結合係数は0.1以下である。
また、好ましくは、送電部は、送電部と受電装置の受電部との間に形成される磁界と、送電部と受電部との間に形成される電界との少なくとも一方を通じて、受電部へ送電する。磁界および電界は、送電部と受電部との間に形成され、かつ、特定の周波数で振動する。
また、この発明によれば、電力伝送システムは、送電装置から受電装置へ非接触で電力を伝送する電力伝送システムである。受電装置は、受電部を含む。受電部は、送電装置から非接触で受電するように構成される。送電装置は、電源部と、送電部とを含む。電源部は、交流電力を生成する。送電部は、電源部により生成された交流電力を受電部へ非接触で出力するように構成される。電源部は、増幅回路と、制御部とを含む。増幅回路は、スイッチング素子を所定の条件でスイッチング動作させることにより、直流電源から供給される直流電力を交流電力に変換する。制御部は、スイッチング素子の端子間電圧が過電圧検出用の第1の電圧を超えると、端子間電圧が直流電源の電圧よりも高く、かつ、第1の電圧よりも低くなるようにスイッチング素子を制御する。
この発明においては、増幅回路は、スイッチング素子を所定の条件でスイッチング動作させることにより、直流電源から供給される直流電力を交流電力に変換する。そして、スイッチング素子の端子間電圧が過電圧検出用の第1の電圧を超えると、端子間電圧が直流電源の電圧よりも高く、かつ、第1の電圧よりも低くなるようにスイッチング素子が制御される。これにより、増幅回路から直流電源へエネルギーが回生され、スイッチング素子の端子間電圧が速やかに低下する。したがって、この発明によれば、追加のスイッチング素子や放電抵抗を設けることなく、過電圧の検出時に早期の電圧低下を低コストで実現することができる。
この発明による電力伝送システムの全体構成図である。 図1に示す電源装置の構成図である。 電源装置が増幅モードで作動するときの波形図である。 図2に示すゲート制御部の機能ブロック図である。 主要な電圧および信号のタイミングチャートである。 送電装置から車両への非接触電力伝送を実現する電力伝送システムを示した図である。 電力伝送システムのシミュレーションモデルを示す図である。 送電部および受電部の固有周波数のズレと電力伝送効率との関係を示す図である。 電流源または磁流源からの距離と電磁界の強度との関係を示した図である。 変形例におけるゲート制御部の機能ブロック図である。 変形例における主要な電圧および信号のタイミングチャートである。
以下、本発明の実施の形態について、図面を参照しながら詳細に説明する。なお、図中同一または相当部分には同一符号を付してその説明は繰返さない。
図1は、この発明の実施の形態による電力伝送システムの全体構成図である。図1を参照して、この電力伝送システムは、送電装置100と、車両200とを備える。送電装置100は、パワーコントローラ10と、電源装置20と、送電部30とを含む。車両200は、受電部50と、整流回路60と、蓄電装置70と、動力生成装置80とを含む。
パワーコントローラ10は、たとえば、系統電源12や太陽電池14、蓄電装置16等から電力の供給を受ける。そして、パワーコントローラ10は、一定の直流電圧(電源電圧E)を生成し、その生成した直流電圧の電力を電源装置20へ供給する。
電源装置20は、パワーコントローラ10から電力を受けて高周波の交流電力を生成する。この電源装置20には、大電力を出力可能であり、かつ、零電圧スイッチングを行なうことにより低損失で作動可能な増幅回路が用いられる。送電部30は、電源装置20から高周波の交流電力の供給を受け、車両200の受電部50へ非接触で電力を伝送する。一例として、送電部30は、コイルおよびキャパシタを含む共振回路によって構成される。なお、電源装置20および送電部30の構成については、後ほど詳しく説明する。
一方、車両200において、受電部50は、送電装置100の送電部30から送出される電力を非接触で受電して整流回路60へ出力する。なお、一例として、受電部50も、コイルおよびキャパシタを含む共振回路によって構成される。この受電部50の構成についても、送電装置100の送電部30とともに後ほど詳しく説明する。
整流回路60は、受電部50から受ける交流電力を直流電力に変換し、その変換された直流電力を蓄電装置70へ出力することによって蓄電装置70を充電する。蓄電装置70は、再充電可能な直流電源であり、たとえばリチウムイオンやニッケル水素などの二次電池によって構成される。蓄電装置70は、整流回路60から出力される電力を蓄えるほか、動力生成装置80によって発電される電力も蓄える。そして、蓄電装置70は、その蓄えられた電力を動力生成装置80へ供給する。なお、蓄電装置70として大容量のキャパシタも採用可能である。
動力生成装置80は、蓄電装置70に蓄えられる電力を用いて車両200の走行駆動力を発生する。特に図示しないが、動力生成装置80は、たとえば、蓄電装置70から電力を受けるインバータ、インバータによって駆動されるモータ、モータによって駆動される駆動輪等を含む。なお、動力生成装置80は、蓄電装置70を充電するための発電機と、その発電機を駆動可能なエンジンを含んでもよい。
図2は、図1に示した電源装置20の構成図である。図2を参照して、電源装置20は、増幅回路110と、出力端子120と、パルス発生器130と、ゲート制御部140と、電圧検出部150とを含む。増幅回路110は、チョークコイル172と、スイッチング素子174と、キャパシタ176と、フィルタ回路178とを含む。
チョークコイル172は、パワーコントローラ10(図1)とノードNDとの間に接続され、ノードNDにスイッチング素子174が接続される。フィルタ回路178は、ノードNDと出力端子120との間に接続され、出力端子120に負荷160が接続される。なお、負荷160は、電源装置20から見た、電源装置20以降の負荷を総括的に示したものである。キャパシタ176は、ノードNDとフィルタ回路178との間の電力線PLに接続される。すなわち、キャパシタ176は、スイッチング素子174に並列に接続される。
チョークコイル172は、パワーコントローラ10から受ける電流を略一定にする。すなわち、チョークコイル172のインダクタンスは、パワーコントローラ10から受ける電流を略一定化できる程度に大きく設定される。
スイッチング素子174は、ゲート制御部140によって駆動される。スイッチング素子174には、代表的にはパワーMOSFET(Metal Oxide Semiconductor Field-Effect Transistor)が用いられるが、パワーMOSFETに代えてIGBT(Insulated Gate Bipolar Transistor)等のパワートランジスタを用いてもよい。なお、スイッチング素子174には、逆並列にダイオードが接続される。
フィルタ回路178は、直列接続されたキャパシタ180およびコイル182によって構成される共振回路である。フィルタ回路178は、スイッチング素子174のスイッチング動作によって電力線PLに生成される交流電力のうち所望の周波数成分を出力端子120へ通過させるためのフィルタとして機能する。
キャパシタ176は、増幅回路110の作動周波数および出力の負荷に基づいて、E級増幅回路の設計理論に従ってたとえば次式にてその容量Cが決定される。
C=8/{π(π2+4)ωR} …(1)
ここで、ω=2πfであり、fは作動周波数を示し、Rは負荷の大きさを示す。なお、スイッチング素子174は寄生容量を有するので、キャパシタ176の容量については、上記の算出値からスイッチング素子174の寄生容量を差引く必要がある。
パルス発生器130は、スイッチング素子174が零電圧スイッチングを行なうためのパルス信号(デューティー比50%)を発生してゲート制御部140へ出力する。パルス発生器130が発生するパルス信号の周波数は、この電源装置20により生成される交流電力の周波数である。電圧検出部150は、ノードNDの電圧すなわちスイッチング素子174のドレイン電圧Vdを検出し、その検出値をゲート制御部140へ出力する。なお、電圧検出部150がノードNDの電圧(ドレイン電圧Vd)を検出することは、スイッチング素子174の端子間電圧を検出することに相当する。
ゲート制御部140は、電圧検出部150によって検出されたドレイン電圧Vdを、ドレイン電圧Vdが過電圧であることを示す所定の警報電圧Vaと比較する。なお、この警報電圧Vaは、スイッチング素子174の定格電圧以下の値に設定され、たとえば、スイッチング素子174の定格電圧に、1よりも小さい所定の係数を乗算した値に設定される。そして、ドレイン電圧Vdが警報電圧Vaよりも低いときは、ゲート制御部140は、パルス発生器130が発生したパルス信号に基づいて、スイッチング素子174をスイッチング駆動する。
一方、ドレイン電圧Vdが警報電圧Vaを超えると、ゲート制御部140は、ドレイン電圧Vdに基づくアクティブゲート制御(以下「AGC(Active Gate Control)」とも称する。)を実行する。具体的には、ゲート制御部140は、予め定められた期間、ドレイン電圧Vdが、パワーコントローラ10の供給電圧(電源電圧E)よりも高く、かつ、警報電圧Vaよりも低くなるように、スイッチング素子174を駆動する。
より詳しくは、ドレイン電圧Vdが警報電圧Vaを超えることにより過電圧が検知されると、ゲート制御部140は、増幅回路110の動作モードを「増幅モード」から「制動モード」に切替える。増幅モードは、パルス発生器130からのパルス信号に基づいてスイッチング素子174の零電圧スイッチングを行なうことにより、パワーコントローラ10から供給される電力を低損失で増幅する動作モードである。
制動モードは、負荷160の負荷変動により電力線PLに過電圧が発生した場合に、電力線PLの電圧を速やかに低下させるための動作モードである。動作モードが制動モードになると、ゲート制御部140は、予め定められた期間AGCを実行し、ドレイン電圧Vdの平均値が、パワーコントローラ10の供給電圧(電源電圧E)よりも高く、かつ、警報電圧Vaよりも低くなるように、スイッチング素子174を駆動する。電源電圧Eよりもドレイン電圧Vdの平均値が高くなるようにスイッチング素子174を駆動するのは、ドレイン電圧Vdの平均値が電源電圧Eよりも低くなると、パワーコントローラ10から増幅回路110へ電流が流れて電力が流入するからである。なお、ゲート制御部140の構成については、後ほど詳しく説明する。
図3は、電源装置20が増幅モードで作動するときの波形図である。図3とともに図2を参照して、電圧Vgは、スイッチング素子174のゲート電圧を示し、電圧Vdは、スイッチング素子174のドレイン電圧を示す。また、電流Isは、スイッチング素子174に流れる電流を示し、電流Ioは、出力端子120から出力される電流を示す。
時刻t1において、ゲート電圧Vgが立ち上がり、スイッチング素子174がターンオンする。スイッチング素子174がオンしている間は、ドレイン電圧Vdは零であり、スイッチング素子174には電流Isが流れる。
時刻t2において、ゲート電圧Vgが立ち下がり、スイッチング素子174がターンオフする。電流Isは零となり、キャパシタ176が充電されることによりドレイン電圧Vdが上昇する。その後、フィルタ回路178(共振回路)の作用によってキャパシタ176の放電が始まり、ドレイン電圧Vdは低下する。キャパシタ176の容量は、スイッチング素子174の零電圧スイッチングを実現するために上記の式(1)に基づいて設計されており、スイッチング素子174がターンオンする時刻t3の直前にドレイン電圧Vdは零となる。
そして、時刻t3において、ゲート電圧Vgが再び立ち上がり、ドレイン電圧Vdが零の状態でスイッチング素子174がターンオンする。すなわち、スイッチング素子174の零電圧スイッチングが実現される。
図4は、図2に示したゲート制御部140の機能ブロック図である。図4を参照して、ゲート制御部140は、異常検出部210と、パルス幅延長部220とを含む。また、ゲート制御部140は、比較電圧生成部230と、減算部240と、比例微分制御部(以下「PD制御部」とも称する。)250と、切替部260と、ゲート駆動部270とをさらに含む。
異常検出部210は、電圧検出部150(図2)により検出された電圧(スイッチング素子174のドレイン電圧Vd)を警報電圧Vaと比較する。警報電圧Vaは、ドレイン電圧Vdの過電圧を検知するために設定される電圧しきい値であり、スイッチング素子174の定格電圧や、その定格電圧に1よりも小さい所定の係数を乗算した値に設定される。なお、所定の係数は、AGCの応答特性や、スイッチング素子174の定格電圧、パワーコントローラ10の供給電圧等に基づいて決定される。そして、ドレイン電圧Vdが警報電圧Vaを超えると、異常検出部210は、パルス幅延長部220へ出力される異常検知信号を活性化(たとえばH(論理ハイ)レベル)する。
パルス幅延長部220は、異常検出部210から受ける異常検知信号が活性化されると、予め定められた期間、切替部260へ出力されるAGC切替信号を活性化(Hレベル)する。なお、AGC切替信号が活性化される期間は、上述した制動モード時のAGC作動時間を定めるものであり、AGCが作動することによってドレイン電圧Vdの振動が所定範囲内に収束するまでの予測時間に基づいて決定される。なお、パルス幅延長部220は、たとえば、タイマ機能を有するカウンタや、単安定マルチバイブレータ等によって構成される。
比較電圧生成部230、減算部240、およびPD制御部250は、ドレイン電圧Vdに基づくAGCを実行する。比較電圧生成部230は、AGC作動時におけるドレイン電圧Vd(平均値)の基準電圧となる比較電圧Vrを生成する。比較電圧Vrの値は、チョークコイル172を介して受けるパワーコントローラ10から供給される電源電圧Eよりも高く、かつ、警報電圧Vaよりも低い値に設定される。
減算部240は、比較電圧生成部230から受ける比較電圧Vrを電圧検出部150により検出された電圧(ドレイン電圧Vd)から減算し、その演算結果をPD制御部250へ出力する。PD制御部250は、減算部240から受けるドレイン電圧Vdと比較電圧Vrとの偏差に基づいて比例微分演算を行ない、その演算結果を切替部260へ出力する。なお、比例微分演算に代えて比例演算のみとしてもよい。
切替部260は、端子T1〜T3を含む。端子T1は、パルス発生器130(図2)の出力端と接続され、スイッチング素子174が零電圧スイッチングを行なうためのパルス信号をパルス発生器130から受ける。端子T2は、PD制御部250の出力端と接続され、PD制御部250の制御出力を受ける。端子T3は、ゲート駆動部270に接続され、端子T1またはT2に受ける信号をゲート駆動部270へ出力する。具体的には、パルス幅延長部220から受けるAGC切替信号が活性化されていないとき、すなわち異常検出部210により異常(過電圧)が検出されていないとき、切替部260は、端子T3を端子T1と電気的に接続する。これにより、異常検出部210により異常(過電圧)が検出されていないときは、パルス発生器130により発生されるパルス信号がゲート駆動部270へ出力される。
一方、パルス幅延長部220から受けるAGC切替信号が活性化されているとき、すなわち異常検出部210により異常(過電圧)が検出されたとき、切替部260は、端子T3を端子T2と電気的に接続する。これにより、異常検出部210により異常(過電圧)が検出されたときは、PD制御部250の出力がゲート駆動部270へ出力される。
ゲート駆動部270は、切替部260から受ける信号に基づいて、スイッチング素子174を実際に駆動するためのゲート電圧を生成し、その生成されたゲート電圧をスイッチング素子174のゲート端子へ出力する。
図5は、この実施の形態における主要な電圧および信号のタイミングチャートである。図5とともに図2,4を参照して、時刻t11以前は、異常検出部210により過電圧異常は検出されておらず、異常検知信号およびAGC切替信号は、L(論理ロー)レベルである。スイッチング素子174のゲート電圧は、零電圧スイッチングを実現するための、パルス発生器130により発生されるパルス信号に基づいて変化し、これに応じてスイッチング素子174のドレイン電圧Vdも周期的に変化する。
時刻t11において、ドレイン電圧Vdが警報電圧Vaを超えると、異常検知信号がHレベルとなり、それに応じてAGC切替信号がHレベルとなる。そうすると、スイッチング素子174のゲート駆動が、パルス発生器130による駆動から、比較電圧生成部230、減算部240、およびPD制御部250により形成されるAGC回路による駆動に切替わる。これにより、ドレイン電圧Vdに基づくAGCによってスイッチング素子174のゲート電圧が制御され、警報電圧Vaよりも低い比較電圧Vrに基づいてドレイン電圧Vdが調整される。
なお、AGCの作動によって回路内のエネルギーがパワーコントローラ10側に回生されて減少することにより、ドレイン電圧Vdの振動が小さくなるとともに、ドレイン電圧Vdの振動中心も低下する。そして、ドレイン電圧Vdのピーク値が比較電圧Vrを下回ると、スイッチング素子174のゲートはオフ状態となり、回路内の振動エネルギーは回路内の損失によって減衰する。これにより、ドレイン電圧Vdは、最終的には、パワーコントローラ10の供給電圧(電源電圧E)に収束する。そして、AGC切替信号がHレベルとなってから所定期間が経過すると、AGC切替信号がLレベルとなり、AGCが終了する。
次に、送電装置100から車両200への電力伝送システムについて説明する。
図6は、送電装置100から車両200への電力伝送を実現する電力伝送システムを示した図である。なお、この図6に示される構成は一例であって、電力伝送を実現するための構成が図6の構成に限定されるものではない。
図6を参照して、送電装置100において、電源装置20と送電部30との間には、整合回路310と、同軸線路320とが設けられる(図1では図示せず)。整合回路310は、コイル312と、可変コンデンサ314とを含む。整合回路310は、可変コンデンサ314の容量を変化させることによってインピーダンスを変更することができる。この整合回路310においてインピーダンスを変更することによって、送電装置100のインピーダンスを車両200のインピーダンスと整合させることができる(インピーダンスマッチング)。なお、この整合回路310は、電源装置20に組込んでもよい。また、車両200側にインピーダンス整合機能を有する装置が存在する場合には、整合回路310を省略することも可能である。
同軸線路320は、整合回路310を送電部30と電気的に接続する。送電部30は、一次コイル332と、キャパシタ334とを含む。一次コイル332は、キャパシタ334とともに共振回路を形成し、電源装置20から供給される交流電力を車両200の受電部50へ非接触で送電する。なお、特に図示しないが、一次コイル332およびキャパシタ334によって閉ループを形成し、電源装置20から出力される交流電力を電磁誘導により一次コイル332へ供給する電磁誘導コイルを別途設けてもよい。キャパシタ334は、共振回路の固有周波数を調整するために設けられるものであり、一次コイル332の浮遊容量を利用して所望の固有周波数が得られる場合には、キャパシタ334を設けない構成としてもよい。
一方、車両200において、送電装置100の送電部30から送出された電力は、受電部50によって受電され、負荷部340へ出力される。負荷部340は、車両負荷342と、保護スイッチ344とを含む。車両負荷342は、受電部50以降の負荷を総括的に示したものであり、図1に示した整流回路60、蓄電装置70、および動力生成装置80に相当する。保護スイッチ344は、車両負荷342が意図しない受電を防止するために設けられる遮断器である。
受電部50は、二次コイル336と、キャパシタ338とを含む。二次コイル336は、キャパシタ338とともに共振回路を形成し、送電装置100の送電部30から送出される電力を非接触で受電する。なお、特に図示しないが、二次コイル336およびキャパシタ338によって閉ループを形成し、二次コイル336により受電された交流電力を電磁誘導により二次コイル336から取出して負荷部340へ出力する電磁誘導コイルを別途設けてもよい。キャパシタ338は、共振回路の固有周波数を調整するために設けられるものであり、二次コイル336の浮遊容量を利用して所望の固有周波数が得られる場合には、キャパシタ338を設けない構成としてもよい。
なお、この図6において、電源装置20以降の回路が、図2に示した負荷160に相当する。
以下に、送電装置100の送電部30から車両200の受電部50への非接触電力伝送について詳細に説明する。この電力伝送システムにおいては、送電部30の固有周波数と、受電部50の固有周波数との差は、送電部30の固有周波数または受電部50の固有周波数の±10%以下である。このような範囲に送電部30および受電部50の固有周波数を設定することで電力伝送効率を高めることができる。一方、上記の固有周波数の差が±10%よりも大きくなると、電力伝送効率が10%よりも小さくなり、電力伝送時間が長くなるなどの弊害が生じる。
なお、送電部30(受電部50)の固有周波数とは、一次コイル332およびキャパシタ334(二次コイル336およびキャパシタ338)によって構成される電気回路(共振回路)が自由振動する場合の振動周波数を意味する。なお、送電部30(受電部50)の共振周波数とは、一次コイル332およびキャパシタ334(二次コイル336およびキャパシタ338)によって構成される電気回路(共振回路)において、制動力または電気抵抗を零としたときの固有周波数を意味する。
図7および図8を用いて、固有周波数の差と電力伝送効率との関係とを解析したシミュレーション結果について説明する。図7は、電力伝送システムのシミュレーションモデルを示す図である。また、図8は、送電部および受電部の固有周波数のズレと電力伝送効率との関係を示す図である。
図7を参照して、電力伝送システム89は、送電部90と、受電部91とを備える。送電部90は、第1コイル92と、第2コイル93とを含む。第2コイル93は、共振コイル94と、共振コイル94に設けられたキャパシタ95とを含む。受電部91は、第3コイル96と、第4コイル97とを備える。第3コイル96は、共振コイル99とこの共振コイル99に接続されたキャパシタ98とを含む。
共振コイル94のインダクタンスをインダクタンスLtとし、キャパシタ95のキャパシタンスをキャパシタンスC1とする。また、共振コイル99のインダクタンスをインダクタンスLrとし、キャパシタ98のキャパシタンスをキャパシタンスC2とする。このように各パラメータを設定すると、第2コイル93の固有周波数f1は、下記の式(1)によって示され、第3コイル96の固有周波数f2は、下記の式(2)によって示される。
f1=1/{2π(Lt×C1)1/2}・・・(1)
f2=1/{2π(Lr×C2)1/2}・・・(2)
ここで、インダクタンスLrおよびキャパシタンスC1,C2を固定して、インダクタンスLtのみを変化させた場合において、第2コイル93および第3コイル96の固有周波数のズレと電力伝送効率との関係を図8に示す。なお、このシミュレーションにおいては、共振コイル94および共振コイル99の相対的な位置関係は固定とし、さらに、第2コイル93に供給される電流の周波数は一定である。
図8に示すグラフのうち、横軸は固有周波数のズレ(%)を示し、縦軸は一定周波数での電力伝送効率(%)を示す。固有周波数のズレ(%)は、下記の式(3)によって示される。
(固有周波数のズレ)={(f1−f2)/f2}×100(%)・・・(3)
図8からも明らかなように、固有周波数のズレ(%)が0%の場合には、電力伝送効率は100%近くとなる。固有周波数のズレ(%)が±5%の場合には、電力伝送効率は40%程度となる。固有周波数のズレ(%)が±10%の場合には、電力伝送効率は10%程度となる。固有周波数のズレ(%)が±15%の場合には、電力伝送効率は5%程度となる。すなわち、固有周波数のズレ(%)の絶対値(固有周波数の差)が、第3コイル96の固有周波数の10%以下の範囲となるように第2コイル93および第3コイル96の固有周波数を設定することで、電力伝送効率を実用的なレベルに高めることができることがわかる。さらに、固有周波数のズレ(%)の絶対値が第3コイル96の固有周波数の5%以下となるように第2コイル93および第3コイル96の固有周波数を設定すると、電力伝送効率をさらに高めることができるのでより好ましい。なお、シミュレーションソフトしては、電磁界解析ソフトウェア(JMAG(登録商標):株式会社JSOL製)を採用している。
再び図6を参照して、送電装置100の送電部30および車両200の受電部50は、送電部30と受電部50との間に形成される磁界および電界の少なくとも一方を通じて、非接触で電力を授受する。送電部30と受電部50との間に形成される磁界および/または電界は、特定の周波数で振動する。そして、送電部30と受電部50とを電磁界によって共振(共鳴)させることで、送電部30から受電部50へ電力が伝送される。
なお、上記では、送電部30および受電部50にコイル(たとえばヘリカルコイル)を採用したが、コイルに代えて、メアンダラインなどのアンテナなどを採用してもよい。メアンダラインなどのアンテナなどを採用した場合には、送電部30に特定の周波数の電流が流れることで、特定の周波数の電界が送電部30の周囲に形成される。そして、この電界を通して、送電部30と受電部50との間で電力伝送が行われる。
この電力伝送システムにおいては、電磁界の「静電磁界」が支配的な近接場(エバネッセント場)を利用することで、送電および受電効率の向上が図られている。
図9は、電流源または磁流源からの距離と電磁界の強度との関係を示した図である。図9を参照して、電磁界は3つの成分から成る。曲線k1は、波源からの距離に反比例した成分であり、「輻射電磁界」と称される。曲線k2は、波源からの距離の2乗に反比例した成分であり、「誘導電磁界」と称される。また、曲線k3は、波源からの距離の3乗に反比例した成分であり、「静電磁界」と称される。なお、電磁界の波長を「λ」とすると、「輻射電磁界」と「誘導電磁界」と「静電磁界」との強さが略等しくなる距離は、λ/2πと表わすことができる。
「静電磁界」は、波源からの距離とともに急激に電磁波の強度が減少する領域であり、この実施の形態に係る電力伝送システムでは、この「静電磁界」が支配的な近接場(エバネッセント場)を利用してエネルギー(電力)の伝送が行なわれる。すなわち、「静電磁界」が支配的な近接場において、近接する固有周波数を有する送電部30および受電部50(たとえば一対のコイル)を共鳴させることにより、送電部30から他方の受電部50へエネルギー(電力)を伝送する。この「静電磁界」は遠方にエネルギーを伝播しないので、遠方までエネルギーを伝播する「輻射電磁界」によってエネルギー(電力)を伝送する電磁波に比べて、共鳴法は、より少ないエネルギー損失で送電することができる。
このように、この電力伝送システムにおいては、送電部30と受電部50とを電磁界によって共振(共鳴)させることで、送電部30と受電部50との間で非接触で電力が伝送される。送電部30と受電部50との間に形成されるこのような電磁場は、たとえば、近接場共振(共鳴)結合場という場合がある。送電部30と受電部50との結合係数κは、たとえば、0.3以下程度であり、好ましくは、0.1以下である。当然のことながら、結合係数κが0.1〜0.3程度の範囲も採用することができる。結合係数κは、このような値に限定されるものでなく、電力伝送が良好となる種々の値をとり得る。
なお、電力伝送における、上記のような送電部30と受電部50との結合を、たとえば、「磁気共鳴結合」、「磁界(磁場)共鳴結合」、「磁場共振(共鳴)結合」、「近接場共振(共鳴)結合」、「電磁界(電磁場)共振結合」、「電界(電場)共振結合」等という。「電磁界(電磁場)共振結合」は、「磁気共鳴結合」、「磁界(磁場)共鳴結合」、「電界(電場)共振結合」のいずれも含む結合を意味する。
送電部30と受電部50とが上記のようにコイルによって形成される場合には、送電部30と受電部50とは、主に磁界(磁場)によって結合し、「磁気共鳴結合」または「磁界(磁場)共鳴結合」が形成される。なお、上記のように、送電部30と受電部50とにメアンダライン等のアンテナを採用することも可能であり、この場合には、送電部30と受電部50とは、主に電界(電場)によって結合し、「電界(電場)共鳴結合」が形成される。
以上のように、この実施の形態においては、増幅回路110のスイッチング素子174のドレイン電圧Vdが所定の警報電圧Vaを超えると、ドレイン電圧Vdが、パワーコントローラ10の供給電圧(電源電圧E)よりも高く、かつ、警報電圧Vaよりも低くなるように、スイッチング素子174が制御される(AGC)。これにより、増幅回路110からパワーコントローラ10へエネルギーが回生され、スイッチング素子174のドレイン電圧Vdが速やかに低下する。したがって、この実施の形態によれば、追加のスイッチング素子や放電抵抗を設けることなく、過電圧の検出時に早期の電圧低下を低コストで実現することができる。
[変形例]
上記の実施の形態では、過電圧を速やかに解消するための制動モード時に、ゲート制御部140において、電圧検出部150の検出電圧と比較電圧Vrとの偏差に基づくPD制御が実行されるものとしたが、この変形例では、電圧検出部150の検出電圧を比較電圧Vrと比較し、その大小比較結果に基づいてスイッチング素子174が駆動される。
図10は、この変形例におけるゲート制御部の機能ブロック図である。図10を参照して、このゲート制御部140Aは、図4に示したゲート制御部140の構成において、減算部240およびPD制御部250に代えて比較部280を含む。
比較部280は、電圧検出部150により検出された電圧(ドレイン電圧Vd)を受け、比較電圧生成部230から比較電圧Vrを受ける。そして、比較部280は、検出されたドレイン電圧Vdを比較電圧Vrと比較し、その大小比較結果を切替部260へ出力する。より詳しくは、比較部280は、ドレイン電圧Vdが比較電圧Vr以上のとき、切替部260に出力される信号を活性化(Hレベル)する。一方、比較部280は、ドレイン電圧Vdが比較電圧Vrよりも低いときは、切替部260に出力される信号を非活性化(Lレベル)する。なお、比較部280の出力に基づいてスイッチング素子174が駆動される場合(制動モード時)において、比較部280の出力が活性化されているとき、スイッチング素子174はオン状態となり、比較部280の出力が非活性化されているとき、スイッチング素子174はオフ状態となる。
なお、ゲート制御部140Aのその他の構成は、図4に示したゲート制御部140と同じである。また、この変形例における電源装置の全体構成は、図2に示した電源装置20と同じである。
図11は、この変形例における主要な電圧および信号のタイミングチャートである。図11とともに図2,10を参照して、時刻t11以前は、異常検出部210により異常は検出されておらず、異常検知信号およびAGC切替信号はLレベルである。
時刻t11において、ドレイン電圧Vdが警報電圧Vaを超えると、異常検知信号がHレベルとなり、それに応じてAGC切替信号がHレベルとなる。そうすると、スイッチング素子174のゲート駆動が、パルス発生器130による駆動から、比較電圧生成部230および比較部280により形成されるAGC回路による駆動に切替わる。これにより、ドレイン電圧Vdに基づくAGCによってスイッチング素子174のゲート電圧が制御され、警報電圧Vaよりも低い比較電圧Vrに基づいてドレイン電圧Vdが調整される。
そして、ドレイン電圧Vdは、最終的には、パワーコントローラ10の供給電圧(電源電圧E)に収束し、AGC切替信号がHレベルとなってから所定期間が経過すると、AGC切替信号がLレベルとなってAGCが終了する。
以上のように、この変形例においても、上記の実施の形態と同様の効果が得られる。また、PD制御部250(図4)に代えて比較部280を用いたので、より簡便な制御で増幅回路においてAGCを実現することができる。
なお、上記の実施の形態およびその変形例において、AGC作動時におけるドレイン電圧Vd(平均値)の基準電圧となる比較電圧Vrは、パワーコントローラ10から供給される電源電圧Eよりも高く、かつ、警報電圧Vaよりも低い値に設定されるものとしたが、電源電圧Eに応じて比較電圧Vrを可変としてもよい。すなわち、上記においては、パワーコントローラ10は、一定の電源電圧Eを生成するものとしたが、パワーコントローラ10に電力を供給する電源(たとえば、系統電源12や太陽電池14、蓄電装置16等)に応じて電源電圧Eを可変とする場合に、その電源電圧Eに応じて比較電圧Vrを可変としてもよい。これにより、比較電圧Vrを不必要に高める必要がなく、AGC作動時にドレイン電圧Vdを速やかに低減させることができる。
また、上記においては、E級零電圧スイッチング(ZVS(Zero Voltage Switching))増幅回路によって増幅回路110が構成される場合について代表的に説明したが、この発明は、スイッチング素子と電源(上記のパワーコントローラ10)との間にチョークコイルが設けられる構成の増幅回路全般に適用可能である。たとえば、この発明は、プッシュプル形式のE級ZVS増幅回路や、E級零電流スイッチング(ZCS(Zero Current Switching))増幅回路、F級増幅回路等にも適用可能である。
また、上記においては、車両を用いた非接触電力伝送システムに本発明の電源装置が適用される場合について説明したが、この発明は、携帯電話や家電製品などの車両以外の非接触電力伝送システムにも適用可能である。
また、上記においては、一次側の送電部30と二次側の受電部50とを電磁界によって共振(共鳴)させることで、一次側の送電部30から二次側の受電部50へ非接触で電力が伝送されるものとしたが、電磁誘導により一次側から二次側へ電力を伝送するシステムにもこの発明は適用可能である。
なお、上記において、パルス発生器130およびゲート制御部140(140A)は、この発明における「制御装置」および「制御部」の一実施例を形成し、パルス発生器130は、この発明における「ゲート信号生成部」の一実施例に対応する。また、減算部240は、この発明における「第1の演算部」の一実施例に対応し、PD制御部250は、この発明における「第2の演算部」の一実施例に対応する。
今回開示された実施の形態は、すべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は、上記した実施の形態の説明ではなくて特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
10 パワーコントローラ、12 系統電源、14 太陽電池、16,70 蓄電装置、20 電源装置、30 送電部、50 受電部、60 整流回路、80 動力生成装置、100 送電装置、110 増幅回路、120 出力端子、130 パルス発生器、140,140A ゲート制御部、150 電圧検出部、160 負荷、172 チョークコイル、174 スイッチング素子、176,180,334,338 キャパシタ、178 フィルタ回路、182,312 コイル、200 車両、210 異常検出部、220 パルス幅延長部、230 比較電圧生成部、240 減算部、250 PD制御部、260 切替部、270 ゲート駆動部、280 比較部、310 整合回路、314 可変コンデンサ、320 同軸線路、332 一次コイル、336 二次コイル、340 負荷部、342 車両負荷、344 保護スイッチ。

Claims (18)

  1. 流電源から供給される直流電力を交流電力に変換する増幅回路を備え、
    前記増幅回路は、
    スイッチング素子と、
    前記スイッチング素子と前記直流電源との間に接続されるチョークコイルと、
    前記スイッチング素子及び前記チョークコイル間の接続ノードと当該増幅回路に接続される負荷との間に接続されるフィルタ回路とを含み、さらに
    前記接続ノードの電圧を検出することによって前記スイッチング素子の端子間電圧を検出する電圧検出装置と、
    前記スイッチング素子を制御する制御装置とを備え、
    前記制御装置は、
    前記端子間電圧が過電圧検出用の第1の電圧よりも低いときは、前記スイッチング素子を所定の条件でスイッチング動作させるための前記スイッチング素子のゲート信号を生成し、
    前記端子間電圧が前記第1の電圧を超えると、前記端子間電圧が前記直流電源の電圧よりも高く、かつ、前記第1の電圧よりも低くなるように前記スイッチング素子のゲート電圧を制御する、電源装置。
  2. 前記フィルタ回路は、インダクタと容量素子とによって構成される共振回路を含む、請求項1に記載の電源装置。
  3. 前記第1の電圧は、前記スイッチング素子の定格電圧以下の電圧である、請求項1又は請求項2に記載の電源装置。
  4. 前記所定の条件は、前記端子間電圧が略零の状態である、請求項1からのいずれかに記載の電源装置。
  5. 前記制御装置は、
    前記スイッチング素子を前記所定の条件でスイッチング動作させるための前記スイッチング素子のゲート信号を生成するゲート信号生成部と、
    前記端子間電圧が前記直流電源の電圧よりも高く、かつ、前記第1の電圧よりも低くなるように前記スイッチング素子のゲート電圧を制御するためのゲート制御部と、
    前記端子間電圧が前記第1の電圧を超えると、前記スイッチング素子のゲートの制御を、前記ゲート信号生成部により生成される前記ゲート信号に基づく制御から前記ゲート制御部の出力に基づく制御に切替える切替部とを含む、請求項1からのいずれかに記載の電源装置。
  6. 前記ゲート制御部は、
    前記端子間電圧と前記第1の電圧との偏差を算出する第1の演算部と、
    前記偏差を入力として比例微分制御を実行し、その制御結果を前記スイッチング素子のゲート信号として出力する第2の演算部とを含む、請求項5に記載の電源装置。
  7. 前記ゲート制御部は、前記端子間電圧を前記第1の電圧と比較し、その大小比較結果を前記スイッチング素子のゲート信号として出力する、請求項5に記載の電源装置。
  8. 受電装置へ非接触で送電する送電装置であって、
    交流電力を生成する電源部と、
    前記電源部により生成された交流電力を前記受電装置の受電部へ非接触で出力するように構成された送電部とを備え、
    前記電源部は、直流電源から供給される直流電力を交流電力に変換する増幅回路を含み
    前記増幅回路は、
    スイッチング素子と、
    前記スイッチング素子と前記直流電源との間に接続されるチョークコイルと、
    前記スイッチング素子及び前記チョークコイル間の接続ノードと当該増幅回路に接続される負荷との間に接続されるフィルタ回路とを含み、
    前記電源部は、さらに
    前記接続ノードの電圧を検出することによって前記スイッチング素子の端子間電圧を検出する電圧検出部と、
    前記スイッチング素子を制御する制御部とを含み、
    前記制御部は、
    前記端子間電圧が過電圧検出用の第1の電圧よりも低いときは、前記スイッチング素子を所定の条件でスイッチング動作させるための前記スイッチング素子のゲート信号を生成し、
    前記端子間電圧が前記第1の電圧を超えると、前記端子間電圧が前記直流電源の電圧よりも高く、かつ、前記第1の電圧よりも低くなるように前記スイッチング素子のゲート電圧を制御する、送電装置。
  9. 前記フィルタ回路は、インダクタと容量素子とによって構成される共振回路を含む、請求項8に記載の送電装置。
  10. 前記第1の電圧は、前記スイッチング素子の定格電圧以下の電圧である、請求項8又は請求項9に記載の送電装置。
  11. 前記所定の条件は、前記端子間電圧が略零の状態である、請求項8から10のいずれかに記載の送電装置。
  12. 前記制御部は、
    前記スイッチング素子を前記所定の条件でスイッチング動作させるための前記スイッチング素子のゲート信号を生成するゲート信号生成部と、
    前記端子間電圧が前記直流電源の電圧よりも高く、かつ、前記第1の電圧よりも低くなるように前記スイッチング素子のゲート電圧を制御するためのゲート制御部と、
    前記端子間電圧が前記第1の電圧を超えると、前記スイッチング素子のゲートの制御を、前記ゲート信号生成部により生成される前記ゲート信号に基づく制御から前記ゲート制御部の出力に基づく制御に切替える切替部とを含む、請求項8から11のいずれかに記載の送電装置。
  13. 前記ゲート制御部は、
    前記端子間電圧と前記第1の電圧との偏差を算出する第1の演算部と、
    前記偏差を入力として比例微分制御を実行し、その制御結果を前記スイッチング素子のゲート信号として出力する第2の演算部とを含む、請求項12に記載の送電装置。
  14. 前記ゲート制御部は、前記端子間電圧を前記第1の電圧と比較し、その大小比較結果を前記スイッチング素子のゲート信号として出力する、請求項12に記載の送電装置。
  15. 前記送電部の固有周波数と前記受電装置の受電部の固有周波数との差は、前記送電部の固有周波数または前記受電部の固有周波数の±10%以下である、請求項8に記載の送電装置。
  16. 前記送電部と前記受電装置の受電部との結合係数は0.1以下である、請求項8に記載の送電装置。
  17. 前記送電部は、前記送電部と前記受電装置の受電部との間に形成される磁界と、前記送電部と前記受電部との間に形成される電界との少なくとも一方を通じて、前記受電部へ送電し、
    前記磁界および前記電界は、前記送電部と前記受電部との間に形成され、かつ、特定の周波数で振動する、請求項8に記載の送電装置。
  18. 送電装置から受電装置へ非接触で電力を伝送する電力伝送システムであって、
    前記受電装置は、前記送電装置から非接触で受電するように構成された受電部を含み、
    前記送電装置は、
    交流電力を生成する電源部と、
    前記電源部により生成された交流電力を前記受電部へ非接触で出力するように構成された送電部とを含み、
    前記電源部は、直流電源から供給される直流電力を交流電力に変換する増幅回路を含み
    前記増幅回路は、
    スイッチング素子と、
    前記スイッチング素子と前記直流電源との間に接続されるチョークコイルと、
    前記スイッチング素子及び前記チョークコイル間の接続ノードと当該増幅回路に接続される負荷との間に接続されるフィルタ回路とを含み、
    前記電源部は、さらに
    前記接続ノードの電圧を検出することによって前記スイッチング素子の端子間電圧を検出する電圧検出部と、
    前記スイッチング素子を制御する制御部とを含み、
    前記制御部は、
    前記端子間電圧が過電圧検出用の第1の電圧よりも低いときは、前記スイッチング素子を所定の条件でスイッチング動作させるための前記スイッチング素子のゲート信号を生成し、
    前記端子間電圧が前記第1の電圧を超えると、前記端子間電圧が前記直流電源の電圧よりも高く、かつ、前記第1の電圧よりも低くなるように前記スイッチング素子のゲート電圧を制御する、電力伝送システム。
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