JP6484102B2 - ポリオレフィン用結晶核剤及びその用途 - Google Patents

ポリオレフィン用結晶核剤及びその用途 Download PDF

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Description

本発明は、ポリオレフィンで形成された成形体における球晶の成長を抑制するためのポリオレフィン用結晶核剤及びこの結晶核剤を含むポリオレフィン組成物並びにこの組成物で形成された成形体及びその劣化を抑制する方法に関する。
水道用や温水用の配管やタンクとして、ポリエチレン(PE)やポリブテン(PB)等の樹脂配管やタンクが使用されている。近年、台所や風呂などの給湯設備の普及により、長時間に亘り、樹脂配管が温水や熱水などの加熱水に晒されることにより、樹脂配管が劣化し、亀裂などが生じることが問題となっている。特に、ポリエチレンは結晶成長が早く、成形時の高温下や加熱水に晒されることにより、結晶が成長し、脆化の原因となる。一方、ポリシランは、高い樹脂相溶性、撥水性、難燃性などを付与できる添加剤として知られている。
特開2003−268108号公報(特許文献1)には、1又は複数種のポリマーと、ポリシランからなる相溶化剤とを含むプラスチック材料が開示されている。この文献の実施例には、ポリエチレン製ガス管の廃材粉砕物100重量部と、数平均分子量2700の直鎖状ポリメチルフェニルシラン1重量部とを溶融混練して得られたストランド状チップ、前記廃材粉砕物100重量部と、末端がトリメチルシリル基で封止(封鎖)された数平均分子量2700の直鎖状ポリメチルフェニルシラン0.5重量部と、反応性相溶化剤0.5重量部とを溶融混練して得られたストランド状チップが記載されている。この文献では、ポリシランを樹脂の相溶化剤として用いることにより、廃棄プラスチックなどの機械的物性を改善する目的が記載されており、実施例でも、相溶化剤の配合により引張り降伏点強度が改善されることが示されている。
すなわち、この文献には、ポリシランを相溶化剤として使用することが開示されており、結晶化との関係や熱水(温水)に対する耐久性については記載されていない。
特開2008−201849号公報(特許文献2)には、超高分子量ポリエチレンの優れた特性(耐衝撃性など)を維持しつつ、引張強度などの機械的強度又は機械的特性を改善できる樹脂組成物として、超高分子量ポリエチレンとポリシランとで構成されている樹脂組成物が開示されている。この文献の実施例では、超高分子量ポリエチレン100重量部と、重量平均分子量500の直鎖状ポリメチルフェニルシラン5重量部とを溶融混練して得られるサンプルや、超高分子量ポリエチレン90〜70重量部と、ポリプロピレン10〜30重量部と、重量平均分子量500の直鎖状ポリメチルフェニルシラン5重量部とを溶融混練して得られるサンプルについて、熱変形温度、衝撃強度及び引張破断伸びが評価されている。
すなわち、この文献には、超高分子量ポリエチレンの改質剤が開示されているが、超高分子量ポリエチレンは、エンジニアリングプラスチックに分類される樹脂であり、汎用のポリオレフィンとは挙動が大きく異なる。さらに、この文献にも、ポリシランは超高分子量ポリエチレンの機械的特性を改善することが開示されているだけであり、結晶化との関係や熱水に対する耐久性については記載されていない。
福西佐季子ら,成形加工シンポジア,2013.10.31,「ポリシランブレンドポリエチレンの構造と物性評価」(非特許文献1)には、非架橋ポリエチレンにポリシランをブレンドして射出成形することにより、高温水への耐久性を向上することが記載されている。この文献には、重量平均分子量520及び数平均分子量340のポリシランを、非架橋ポリエチレンに対して3重量%又は6重量%添加することにより、ポリシランを添加しない非架橋ポリエチレンに比べて接触角や熱重量減少温度が増加すること、ラメラ組織は顕著な変化はなく、アモルファス相が減少し、結晶層が増加することで、高温水での耐久性が向上することが記載されている。
福西佐季子ら,成形加工,2014,「ポリシラン添加による温水用樹脂管の耐久性向上」(非特許文献2)には、非架橋ポリエチレンにポリシランをブレンドして押出成形することにより、高温水への耐久性を向上することが記載されている。この文献には、重量平均分子量600及び数平均分子量520のポリシランを、非架橋ポリエチレンに対して0.3重量%、1重量%又は3重量%添加することにより、ポリシランを添加しない非架橋ポリエチレンに比べて、酸化劣化や銅害が抑制されるとともに、球晶の肥大が抑制され、破断伸びの劣化を抑制でき、耐久性が向上したことが記載されている。
非特許文献1及び2には、ポリシランを用いることにより、温水に対する耐久性を向上することが記載され、非特許文献2には、球晶の成長を抑制することにより、ポリエチレンで形成された樹脂管の耐久性を向上できることが記載されている。しかし、これらのポリシランでも、ポリオレフィンで形成された成形体の劣化を抑制する効果は充分ではなく、温水を長期間流通させる配管としての耐久性は十分ではなかった。特に、球晶について開示されている非特許文献2でも、押出成形で得られたポリエチレン樹脂管において、ポリシランの配合により球晶のサイズは若干小さくなっているものの、5μmの球晶が成長している。
特開2003−268108号公報(特許請求の範囲、従来の技術、実施例) 特開2008−201849号公報(特許請求の範囲、実施例)
福西佐季子ら,成形加工シンポジア,2013.10.31,「ポリシランブレンドポリエチレンの構造と物性評価」(第363〜364頁) 福西佐季子ら,成形加工,2014,「ポリシラン添加による温水用樹脂管の耐久性向上」(第365〜366頁)
従って、本発明の目的は、ポリオレフィンで形成された成形体における球晶の成長を抑制できるポリオレフィン用結晶核剤及びこの結晶核剤を含むポリオレフィン組成物並びにこの組成物で形成された成形体及びその劣化を抑制する方法を提供することにある。
本発明の他の目的は、温水などの加熱水に晒されてもポリオレフィンで形成された成形体の結晶構造のムラや酸化などの劣化を抑制できるポリオレフィン用結晶核剤及びこの結晶核剤を含むポリオレフィン組成物並びにこの組成物で形成された成形体及びその劣化を抑制する方法を提供することにある。
本発明者らは、前記課題を達成するため鋭意検討した結果、重量平均分子量800以上のポリシランが、ポリオレフィンで形成された成形体における球晶の成長を抑制でき、ポリオレフィン用結晶核剤として優れることを見出し、本発明を完成した。
すなわち、本発明の結晶核剤は、ポリオレフィンで形成された成形体における球晶の成長を抑制するためのポリオレフィン用結晶核剤であって、重量平均分子量800以上のポリシランを含む。前記ポリシランの重量平均分子量は1000〜30000(特に1200〜2500)程度である。前記ポリシランは、末端が封止されていない鎖状ポリアルキルアリールシランであってもよい。前記ポリシランは、20℃で固体状であってもよい。
本発明には、ポリオレフィン及び前記結晶核剤を含む樹脂組成物も含まれる。前記ポリオレフィンのメルトマスフローレイトが0.07〜1.0g/10分程度である。前記ポリオレフィンの密度は0.930〜0.960kg/m程度である。前記ポリオレフィンはポリエチレン系樹脂であってもよい。前記ポリシランの割合は、ポリオレフィン100重量部に対して0.1〜6重量部程度である。
本発明には、前記樹脂組成物で形成された成形体も含まれる。本発明の成形体は、水と接触させる配管(特に加熱水を流通させる温水用配管)であってもよい。
本発明には、ポリオレフィンに前記結晶核剤を配合して成形体を形成することにより、加熱水と接触しても成形体が劣化するのを抑制する方法も含まれる。
本発明では、結晶核剤が重量平均分子量800以上のポリシランを含むため、ポリオレフィンで形成された成形体における球晶の成長を抑制できる。そのため、温水などの加熱水に晒されてもポリオレフィンで形成された成形体の劣化(結晶構造のムラや酸化劣化などに起因する機械的特性の低下)を抑制できる。
図1は、比較例1で得られた試験片の電子顕微鏡写真である。 図2は、比較例2で得られた試験片の電子顕微鏡写真である。 図3は、実施例1で得られた試験片の電子顕微鏡写真である。 図4は、実施例2で得られた試験片の電子顕微鏡写真である。 図5は、比較例3において110℃の温水に7000時間浸漬した試験片の破断伸びの変化を示すグラフである。 図6は、実施例3において110℃の温水に7000時間浸漬した試験片の破断伸びの変化を示すグラフである。 図7は、実施例4において110℃の温水に7000時間浸漬した試験片の破断伸びの変化を示すグラフである。
[結晶核剤]
本発明のポリオレフィン用結晶核剤は、ポリシランを含み、ポリオレフィンで形成された成形体における球晶の成長を抑制できる。すなわち、ポリオレフィン(特にポリエチレン系樹脂)で形成された成形体は、通常、結晶域と非晶域とを有しているが、成形体を形成するための加熱溶融や、成形後の加熱により、結晶域において、ラメラ晶が成長した断面円形状の球晶が成長(肥大)し、成形体を構成するポリエチレンの結晶構造にムラ(マイクロレベルでのムラ)ができる。そのため、球晶によるムラがウイークポイントとなって、成形体の機械的特性(可撓性や靱性など)が低下し、脆化が進行することにより、亀裂などが発生し易くなる。これに対して、本発明では、ポリシランを結晶核剤として用いることにより、球晶を瞬時にナノレベルで生成できるためか、成形時の加熱溶融における球晶の成長や、成形後の加熱による球晶の成長を抑制できる。
さらに、成形体が温水を長期間流通させる配管である場合、温水による加熱に加えて、銅などの金属成分の存在などにより、可撓性の低下に加えて、成形体においてフリーラジカルの発生が促進されてポリマーが分解し、最終的に酸化劣化する。このような酸化劣化に対しても、ポリシラン自身の撥水性により極性を有する物質との接触を抑制できるためか、酸化劣化も抑制できる。
なお、これまでの技術常識では、ポリオレフィンの結晶性が高くなると、硬さは上昇するものの、靱性(伸びなどの可撓性)は低下し、硬さと靱性とは両立困難なトレードオフの関係にあると考えられていた。これに対して、本発明では、特定のポリシランは、結晶構造に関係する物理的な側面と、酸化劣化に関係する化学的な側面の両面においてポリオレフィンに作用し、その劣化を抑制していると推定できる。特に、球晶の成長を抑制してマイクロレベルでの均一な結晶構造を実現できるため、硬さと靱性とのバランスを高度に両立できたと推定できる。
ポリシランは、Si−Si結合を有する直鎖状、環状、分岐鎖状、又は網目状の化合物であれば特に限定されないが、通常、下記式(1)及び(2)で表される構造単位のうち少なくとも1つの構造単位を有する場合が多い。
(式中、R〜Rは、同一又は相異なって、水素原子、ヒドロキシル基、有機基又はシリル基を示す)。
前記式(1)及び(2)において、R〜Rで表される有機基としては、炭化水素基(アルキル基、アルケニル基、シクロアルキル基、シクロアルケニル基、アリール基、アラルキル基)、これらの炭化水素基に対応するエーテル基(アルコキシ基、シクロアルキルオキシ基、アリールオキシ基、アラルキルオキシ基など)などが挙げられる。通常、前記有機基は、アルキル基、アルケニル基、シクロアルキル基、アリール基、アラルキル基などの炭化水素基である場合が多い。また、水素原子やヒドロキシル基、アルコキシ基、シリル基などは末端に置換している場合が多い。
前記式(1)及び(2)のR〜Rにおいて、アルキル基としては、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、ブチル、t−ブチル、ペンチル、ヘキシルなどのC1−14アルキル基(好ましくはC1−10アルキル基、さらに好ましくはC1−6アルキル基)が挙げられる。
アルコキシ基としては、メトキシ、エトキシ、プロポキシ、イソプロポキシ、ブトキシ、t−ブトキシ、ペンチルオキシなどのC1−14アルコキシ基が挙げられる。
アルケニル基としては、ビニル、アリル、ブテニル、ペンテニルなどのC2−14アルケニル基が挙げられる。
シクロアルキル基としては、シクロペンチル、シクロヘキシル、メチルシクロヘキシルなどのC5−14シクロアルキル基などが挙げられる。シクロアルキルオキシ基としては、シクロペンチルオキシ、シクロヘキシルオキシなどのC5−14シクロアルキルオキシ基などが挙げられる。シクロアルケニル基としては、シクロペンテニル、シクロヘキセニルなどのC5−14シクロアルケニル基などが挙げられる。
アリール基としては、フェニル、メチルフェニル(トリル)、ジメチルフェニル(キシリル)、ナフチルなどのC6−20アリール基(好ましくはC6−15アリール基、さらに好ましくはC6−12アリール基)などが挙げられる。アリールオキシ基としては、フェノキシ、ナフチルオキシなどのC6−20アリールオキシ基などが挙げられる。アラルキル基としては、ベンジル、フェネチル、フェニルプロピルなどのC6−20アリール−C1−4アルキル基などが挙げられる。アラルキルオキシ基としては、ベンジルオキシ、フェネチルオキシ、フェニルプロピルオキシなどのC6−20アリール−C1−4アルキルオキシ基などが挙げられる。
シリル基としては、シリル基、ジシラニル基、トリシラニル基などのSi1−10シラニル基(好ましくはSi1−6シラニル基)などが挙げられる。
また、R〜Rが、前記有機基(アルキル基、アリール基など)又はシリル基である場合には、その水素原子の少なくとも1つが、置換基(又は官能基)により置換されていてもよい。このような置換基(又は官能基)は、例えば、ヒドロキシル基、アルキル基、アリール基、アルコキシ基などの前記と同様の基であってもよい。
これらのうち、R〜Rは、アルキル基(例えば、メチル基などのC1−4アルキル基)、アリール基(例えば、フェニル基などのC6−20アリール基)などである場合が多く、少なくともアリール基を含むのが好ましい。
ポリシランが非環状構造(直鎖状、分岐鎖状、網目状)の場合、末端は、封止されていてもよいが、球晶の抑制効果が大きい点から、封止されていないのが好ましい。末端が封止されていないポリシランにおいて、末端のケイ素原子は、通常、前記有機基に加えて、水素原子、ヒドロキシル基、ハロゲン原子(塩素原子など)など(特にヒドロキシル基)を有している場合が多い。さらに、末端が封止されていないポリシランにおいて、末端のケイ素原子は、球晶の成長を抑制する効果が大きい点から、前記有機基として、アリール基(特にフェニル基などのC6−12アリール基)を含むのが好ましく、アリール基(特にフェニル基などのC6−12アリール基)及びアルキル基(特にメチル基などのC1−3アルキル基)を含むのが特に好ましい。
具体的なポリシランとしては、例えば、前記式(1)で表される構造単位を有する直鎖状又は環状ポリシラン、前記式(2)で表される構造単位を有するポリシラン(分岐鎖状又は網目状ポリシラン)、前記式(1)及び(2)で表される構造単位を組み合わせて有するポリシラン(分岐鎖状又は網目状ポリシラン)などが挙げられる。これらのポリシランにおいて、前記式(1)及び(2)で表される構造単位は、それぞれ、単独で又は2種以上組み合わせてもよい。なお、分岐鎖状又は網目状ポリシランは、下記式(3)で表される構造単位をさらに含んでいてもよい。
代表的なポリシランとしては、鎖状又は環状ポリシラン、例えば、ポリジアルキルシラン[例えば、ポリジメチルシラン、ポリメチルプロピルシラン、ポリメチルブチルシラン、ポリメチルペンチルシラン、ポリジブチルシラン、ポリジヘキシルシラン、ジメチルシラン−メチルへキシルシラン共重合体など]、ポリアルキルアリールシラン[例えば、ポリメチルフェニルシラン、メチルフェニルシラン−フェニルヘキシルシラン共重合体など]、ポリジアリールシラン(例えば、ポリジフェニルシランなど)、ジアルキルシラン−アルキルアリールシラン共重合体(例えば、ジメチルシラン−メチルフェニルシラン共重合体、ジメチルシラン−フェニルヘキシルシラン共重合体、ジメチルシラン−メチルナフチルシラン共重合体など)などが挙げられる。これらのポリシランは、単独で又は二種以上組み合わせて使用できる。
これらのうち、配管などの成形体の耐久性の向上効果が大きい点から、Rがアリール基(特にC6−20アリール基)であり、かつRがアリール基(特にC6−20アリール基)又はアルキル基(特にC1−6アルキル基)である構造単位(1)を有するポリシラン(特に鎖状又は環状ポリシラン)、例えば、ポリC1−6アルキルC6−20アリールシラン(例えば、ポリC1−3アルキルC6−10アリールシラン)、ポリジC6−20アリールシラン(例えば、ポリジC6−10アリールシラン)が好ましい。さらに、ポリオレフィンに対する相溶性に優れ、配管などの成形体の機械的特性を向上できる点から、鎖状ポリアルキルアリールシラン、環状ジアリールシランが好ましく、球晶の成長を抑制する効果が大きい点から、鎖状ポリアルキルアリールシラン(特に鎖状ポリC1−3アルキルC6−12アリールシラン)が好ましい。
ポリシランは、加熱により結晶化が進行するポリオレフィン中での自由度を担保できる点から、ポリオレフィンに対する反応性基(例えば、ラジカル重合性基)を実質的に含まないのが好ましく、前記反応性基を含まないのが特に好ましい。
ポリシランの重量平均分子量は、GPC(ポリスチレン換算)による測定方法において、800以上(例えば800〜50000程度)であればよいが、好ましくは1000〜30000(例えば1200〜25000)、さらに好ましくは1300〜20000(特に1400〜18000)程度である。ポリシランの分子量が小さすぎると、ポリオレフィン成形体における球晶の成長を抑制する効果が低下する。さらに、球晶の成長及び酸化劣化を高度に抑制できる点から、ポリシランの重量平均分子量は、例えば800〜5000(例えば1000〜3000)、好ましくは1200〜2500(例えば1300〜2000)、さらに好ましくは1400〜1800(特に1500〜1700)程度であってもよい。また、ブリードアウトが抑制され、球晶の成長及び酸化劣化を長期間に亘り抑制できる点から、ポリシランの重量平均分子量は、例えば3000〜30000、好ましくは5000〜25000、さらに好ましくは10000〜20000(特に15000〜18000)程度であってもよい。
ポリシランの平均重合度は、ケイ素原子換算(すなわち、一分子当たりのケイ素原子の平均数)で、例えば5〜500、好ましくは8〜300、さらに好ましくは10〜200(特に12〜150)程度であってもよい。
ポリシランは、室温(例えば20℃)で、液体状であってもよいが、球晶の成長を抑制する効果が大きい点から、固体状が好ましい。
結晶核剤は、ポリシランに加えて、他の成分(安定剤のなどの慣用の添加剤など)と組み合わせてもよいが、結晶核剤全体に対して90重量%以上のポリシランを含むのが好ましく、通常、ポリシラン単独で形成されている。他の成分と組み合わせる場合、他の成分の割合は、ポリシラン100重量部に対して0.01〜10重量部(特に0.1〜5重量部)程度である。
ポリシランは、慣用の方法、例えば、マグネシウムを還元剤としてハロシラン類を脱ハロゲン縮重合させる方法(「マグネシウム還元法」、WO98/29476号公報など)、アルカリ金属の存在下でハロシラン類を脱ハロゲン縮重合させる方法(「キッピング法」、J.Am.Chem.Soc.,110,124(1988)、Macromolecules,23,3423(1990)など)、電極還元によりハロシラン類を脱ハロゲン縮重合させる方法(J.Chem.Soc.,Chem.Commun.,1161(1990)、J.Chem.Soc.,Chem.Commun.897(1992)など)、金属触媒の存在下にヒドロシラン類を脱水素縮重合させる方法(特開平4−334551号公報など)、ビフェニルなどで架橋されたジシレンのアニオン重合による方法(Macromolecules,23,4494(1990)など)、環状シラン類の開環重合による方法などにより得ることができる。
[ポリオレフィン]
本発明の樹脂組成物は、前記結晶核剤及びポリオレフィンを含む。ポリオレフィンは、例えば、エチレン、プロピレン、1−ブテン、1−ペンテン、1−ヘキセン、3−メチルペンテン、4−メチルペンテンなどのα−オレフィン(特に、エチレン、プロピレンなどのα−C2−6オレフィン)を主要な重合成分とする重合体であってもよい。
前記α−オレフィン以外の共重合性単量体としては、例えば、(メタ)アクリル系単量体[例えば、(メタ)アクリル酸メチルや(メタ)アクリル酸エチルなどの(メタ)アクリル酸C1−6アルキルエステルなど]、不飽和カルボン酸類(例えば、無水マレイン酸など)、ビニルエステル類(例えば、酢酸ビニル、プロピオン酸ビニルなど)、ジエン類(ブタジエン、イソプレンなど)などが挙げられる。これらの単量体は、単独で又は二種以上組み合わせて使用できる。
ポリオレフィンとしては、例えば、ポリエチレン系樹脂、ポリブテン系樹脂などが挙げられる。これらのポリオレフィンは、単独で又は二種以上組み合わせて使用できる。
これらのポリオレフィンのうち、ポリエチレン系樹脂、ポリブテン系樹脂などのポリC2−4オレフィン系樹脂が好ましく、球晶の成長を抑制する効果が大きい点から、ポリエチレン系樹脂が特に好ましい。
ポリエチレン系樹脂は、エチレンホモポリマー(単独重合体)であってもよく、エチレンコポリマー(共重合体)であってもよい。コポリマーに含まれる共重合性単量体としては、例えば、オレフィン類(例えば、プロピレン、1−ブテン、1−ペンテン、1−ヘキセン、3−メチルペンテン、4−メチルペンテン、1−オクテンなどのα−C3−8オレフィンなど)、(メタ)アクリル系単量体[例えば、(メタ)アクリル酸メチルや(メタ)アクリル酸エチルなどの(メタ)アクリル酸C1−6アルキルエステルなど]、不飽和カルボン酸類(例えば、無水マレイン酸など)、ビニルエステル類(例えば、酢酸ビニル、プロピオン酸ビニルなど)、ジエン類(ブタジエン、イソプレンなど)などが挙げられる。これらの共重合性単量体は、単独で又は二種以上組み合わせて使用できる。これらの共重合性単量体のうち、プロピレン、1−ブテン、1−ヘキセン、4−メチルペンテン、1−オクテンなどのα−C3−8オレフィンが好ましい。共重合性単量体の割合は30モル%以下(例えば、0.01〜30モル%)、好ましくは20モル%以下(例えば、0.1〜20モル%)、さらに好ましくは10モル%以下(例えば、1〜10モル%)程度である。コポリマーは、ランダム共重合体、ブロック共重合体などであってもよい。
ポリエチレン系樹脂としては、例えば、低、中又は高密度ポリエチレン、直鎖状低密度ポリエチレン、エチレン−プロピレン共重合体、エチレン−ブテン−1共重合体、エチレン−プロピレン−ブテン−1共重合体、エチレン−(4−メチルペンテン−1)共重合体などが挙げられる。これらのポリエチレン系樹脂は、単独で又は二種以上組み合わせて使用できる。これらのポリオレフィン樹脂のうち、球晶の成長を抑制する効果が大きい点から、中又は高密度ポリエチレン(特に中密度ポリエチレン)が特に好ましい。
ポリオレフィン(特にポリエチレンなどのポリエチレン系樹脂)のメルトマスフローレイト(MFR)は、JIS K7210に準拠した測定方法において、例えば、0.07〜1.0g/10分、好ましくは0.1〜0.8g/10分、さらに好ましくは0.1〜0.7g/10分程度である。MFRが小さすぎると、成形体の耐久性が低下し、MFRが大きすぎると、成形性が低下するとともに、球晶の成長を抑制する効果が低下する虞がある。
ポリオレフィン(特に、ポリエチレンなどのポリエチレン系樹脂)の密度は、JIS K7112に準拠して、0.910〜0.960kg/m程度の範囲から選択できるが、水(特に加熱水)を流通又は収容するための配管やタンクに必要な強度を有し、かつ耐久性の向上効果も大きい点から、例えば0.930〜0.960kg/m、好ましくは0.930〜0.950kg/m、さらに好ましくは0.930〜0.940kg/m程度である。密度が小さすぎると、成形体の耐久性が低下し、大きすぎると、球晶の成長を抑制する効果が低下する虞がある。
ポリオレフィン(特に、ポリエチレンなどのポリエチレン系樹脂)の結晶化度は、例えば50〜70%、好ましくは50〜60%、さらに好ましくは55〜60%程度である。結晶化度が小さすぎると、成形体の耐久性が低下し、大きすぎると、球晶の成長を抑制する効果が低下する虞がある。なお、結晶化度の測定方法は、例えば、XRD(X線回折による面積法)の方法で測定できる。
[樹脂組成物の特性及び調製方法並びに成形体]
結晶核剤の割合は、ポリオレフィン100重量部に対して、例えば0.1〜10重量部(例えば0.15〜10重量部)、好ましくは0.2〜8重量部(例えば0.2〜6重量部)、さらに好ましくは0.25〜5重量部(特に0.3〜4重量部)程度である。さらに、結晶核剤は、少量であっても、高い効果を示し、結晶核剤の割合は、ポリオレフィン100重量部に対して、例えば0.1〜5重量部、好ましくは0.3〜3重量部、さらに好ましくは0.5〜2重量部(特に0.8〜1.5重量部)程度であってもよい。結晶核剤の割合が少なすぎると、成形体の耐久性が低下し、多すぎると、成形体の機械的特性が低下する上に、表面にブリードアウトして、配管の場合には水を汚染する虞がある。
本発明の樹脂組成物は、さらに慣用の添加剤、例えば、難燃剤、充填剤、安定剤(例えば、酸化防止剤、オゾン劣化防止剤、紫外線吸収剤、光安定剤など)、可塑剤、軟化剤、界面活性剤、滑剤、離型剤、帯電防止剤、着色剤などを含んでいてもよい。
本発明の樹脂組成物は、ブリードアウトを抑制でき、配管などの成形体の耐久性も向上できる点から、架橋剤(特に重合性基を有する架橋剤)を実質的に含まないのが好ましく、架橋剤を含まないのが特に好ましい。
本発明の樹脂組成物は、球晶の成長を抑制できるため、結晶性に均一性に優れており、ラマンによる結晶性パラメーターの分散度(110℃の温水に7000時間浸漬後における変化率)は100%以下であり、好ましくは50%以下、さらに好ましくは30%以下(例えば1〜30%程度)である。なお、ラマンによる結晶性パラメーターの分散度は、後述する実施例に記載の方法で測定できる。
本発明の樹脂組成物は、耐久性に優れ、加熱水に晒されても、機械的特性の低下が抑制され、例えば、110℃の温水中に7000時間浸漬後の破断伸びは150%以上、好ましくは200〜500%、さらに好ましくは300〜450%程度である。
さらに、本発明の樹脂組成物は、耐久性に優れ、加熱水に晒されても、酸化劣化も抑制され、例えば、110℃の温水中に3000時間浸漬後の酸化誘導時間は、60分以上、好ましくは70分以上、さらに好ましくは80分以上であってもよい。なお、酸化誘導時間は、後述する実施例に記載の方法で測定できる。
本発明の樹脂組成物は、結晶核剤とポリオレフィンとを慣用の方法により混合して調製でき、ペレット状などのポリオレフィンと結晶核剤とを溶融混合することにより調製してもよい。
本発明の成形体は、前記樹脂組成物で形成されていれば、特に限定されないが、内部で水と接触する成形体であるのが好ましい。このような成形体としては、水を流通又は収容するための配管又はタンク(容器)が好ましく、加熱水や金属成分を含む水に対する耐久性が高いため、水道用や温水用配管又はタンクが特に好ましい。金属成分としては、例えば、銅、亜鉛、鉄などを含む金属成分などが挙げられる。これらの金属成分のうち、ポリオレフィンの分解促進能が大きい点から、銅を含む金属成分を含む水に対して適用するのが好ましい。さらに、金属成分を含む温水や熱水などの加熱水に晒されると、ポリオレフィンの分解が促進されるため、加熱水を流通させる給湯器(温水器)や暖房器などの温水用配管又はタンク(特に温水用配管)として利用するのが特に好ましい。
本発明の成形体(配管など)は、慣用の成形法、例えば、射出成形法、射出圧縮成形法、押出成形法、ブロー成形法などにより、本発明の樹脂組成物を成形して形成できる。
本発明の成形体(配管など)の厚みは、1.0mm以上であればよく、例えば、1.0〜7.0mm、好ましくは1.0〜3.3mm、さらに好ましくは1.0〜2.1mm程度である。
以下に、実施例に基づいて本発明をより詳細に説明するが、本発明はこれらの実施例によって限定されるものではない。なお、以下の実施例及び比較例で得られた試験片の特性及び評価は次のようにして測定した。
[耐酸化性(OIT)]
熱分析装置(ティー・エイ・インスツルメント・ジャパン(株)製「Q20」)を用いて、実施例及び比較例で得られた試験片の酸化誘導時間(分)を測定した。測定は、室温〜210℃、昇温速度99.9℃/分において、窒素雰囲気を50ml/分で酸素を供給して酸素雰囲気に切り換えて行った。また、110℃の温水に試験片を3000時間及び5000時間浸漬させる前後において、酸化誘導時間(分)を測定した。
[融解熱量]
熱分析装置(ティー・エイ・インスツルメント・ジャパン(株)製「Q2000」)を用いて、110℃の温水にそれぞれ3000時間及び7000時間浸漬した試験片の融解熱量を測定した。詳しくは、2mgの試料について、窒素雰囲気下(50ml/分)、昇温速度10℃/分で昇温し、室温〜160℃で見られる吸熱ピークに対して熱量を算出した。熱量の算出は、ポリエチレンの融解ピークの面積を積分し、ポリエチレンの含有量で除した値を算出した。
[透過電子顕微鏡(TEM)観察]
電界放出型透過電子顕微鏡(日本電子(株)製「JEM−210M」)を用いて、温水に3000時間浸漬させる前後の試験片について、任意の10個の球晶サイズを測定し、平均値を算出した。
[ラマンによる結晶性分布]
110℃の温水に7000時間浸漬した試験片について、ラマンによる結晶性パラメーターの分散度を以下の条件で算出し、初期との変化率を算出した。
(条件)
使用装置:RENISHAW社製「inVia Reflex/StreamLine Plus」
励起光波長:532nm
空間分解能:1.3μm
測定範囲:50μm×50μm(総測定点数:1600)
結晶性パラメーター:結晶性のピーク1295cm−1と非晶性のピーク1305cm−1の強度比:I(1295cm−1)/I(1305cm−1)を算出し、1600点の測定結果の分散度(δ)を算出した。この分散度は、結晶性のばらつきを示すパラメーターである。
[引張試験]
JIS K7139に準拠し、ダンベル型試験片を作製し、引張試験機(インストロン社製「万能試験機」)を用いて、試験速度100mm/分で引張試験を行ない、破断伸びを測定した。なお、試験片は、110℃の温水に7000時間浸漬させ、浸漬による変化を評価した。
比較例1
射出成形機((株)ニイガタマシンテクノ製「NN1000」)を用いて、シリンダー温度240℃、スクリュー回転数が50rpmのもと、トップフィーダーからポリエチレン(ASTM D1238規格のPE−RT、メルトマスフローレイト0.64g/10分、密度0.933kg/m、結晶化度58.1%)を投入し、溶融混練して試験片を作製した。
比較例2
射出成形機のサイドフィーダーから、ポリエチレン97重量部に対して3重量部の割合でポリシラン(鎖状末端封止ポリメチルフェニルシラン、重量平均分子量600、末端:トリメチルシリル基)をポリエチレンに添加して混練する以外は比較例1と同様にして試験片を作製した。
実施例1
射出成形機のサイドフィーダーから、ポリエチレン97重量部に対して3重量部の割合でポリシラン(大阪ガスケミカル(株)製「SI−10−20」、末端が封止されてない直鎖状ポリメチルフェニルシラン、重量平均分子量1600)をポリエチレンに添加して混練する以外は比較例1と同様にして試験片を作製した。
実施例2
射出成形機のサイドフィーダーから、ポリエチレン97重量部に対して3重量部の割合でポリシラン(大阪ガスケミカル(株)製「SI−10−10」、末端が封止されてない直鎖状ポリメチルフェニルシラン、重量平均分子量16300)をポリエチレンに添加して混練する以外は比較例1と同様にして試験片を作製した。
比較例1〜2及び実施例1〜2で得られた試験片の耐酸化性(OIT)、融解熱量及び球晶サイズ、比較例1及び実施例1〜2で得られた試験片の結晶性分布(δの変化率)を評価した結果を表1に示す。
表1の結果から明らかなように、耐酸化性を示すOITは、実施例の試験片は、比較例の試験片よりも、7000時間の耐久試験後において1.5〜2倍程度高く、耐酸化性が長期使用後でも維持されていた。特に、低分子量のポリシランを添加して比較例2では、7000時間でほぼ無添加の比較例1と同様な値になっており、高分子量のポリシランを添加した実施例1及び2では顕著に耐久性が向上していた。
DSCによる融解熱量については、比較例及び実施例のいずれにおいても、融解熱量が増加し、結晶性は向上していた。
一方、TEMについては、比較例1及び2では、浸漬前にマイクロレベルで球晶が観察され、比較例1では浸漬後に球晶の成長が確認できたのに対して、実施例1及び2では浸漬前後のいずれでも球晶が観察されなかったため、仮に球晶が成長していたとしても、0.1μm未満であり、実施例1及び2では組織は微細化したと推定できる。TEM観察した結果を図1〜4に示す。これらの図から明らかなように、図3及び4では球晶が観察できないのに対して、図1及び2ではラメラ晶が放射状に成長した球晶が観察できる。
さらに、ラマンによる結晶性の分布について、比較例1では7000時間の試験後で分散度が4倍以上に大きくなり、結晶構造のムラが顕著に大きくなったのに対して、実施例1及び2では変化率は30%以内であった。
以上より、実施例1及び2においては、酸化防止性が顕著で、110℃、7000時間の温水浸漬後でも、この効果が顕著であることが特徴的であった。また、結晶構造において、比較例では浸漬後の結晶構造にムラが生じて不均一な組織に変化するのに対して、実施例では、球晶が観察されないほど微細化し、結晶構造にムラが生じないのが特徴的であった。低分子量のポリシランを添加した比較例2とは異なり、実施例では、核剤的な効果でポリエチレンの組織が変化したことを示している。
なお、結晶構造のムラは、結晶域と非晶域の界面において欠陥や応力集中をもたらすことになり、伸びの低下につながる。伸びの低下は、割れの生じ易さに直結し、温水配管のような内圧(応力)がかかった環境では、酸化などの化学的な劣化がない場合でも、長期使用によって結晶化による割れが発生する可能性がある。そこで、結晶核剤の種類による破断伸びの影響について、次のように実験を行った。
比較例3
試験片中のポリシランの割合を3重量%から1重量%又は0.5重量%に変更する以外は比較例2と同様の方法で試験片を作製した。
実施例3
試験片中のポリシランの割合を3重量%から1重量%又は0.5重量%に変更する以外は実施例1と同様の方法で試験片を作製した。
実施例4
試験片中のポリシランの割合を3重量%から1重量%又は0.5重量%に変更する以外は実施例2と同様の方法で試験片を作製した。
比較例3及び実施例3〜4で得られた試験片について引張試験を行い、破断伸びを測定した結果を表2及び図5〜7に示す。なお、比較例1の試験片についても破断伸びを測定した結果を表2及び図5〜7に併せて示す。
表2及び図5〜7から明らかなように、温水に浸漬後、比較例3の試験片では、5000時間を超える辺りから急激に破断伸びが低下するのに対して、実施例の試験片では破断伸びの低下は抑制された。
本発明の結晶核剤は、各種のポリオレフィンで形成された成形体の製造に利用できる。さらに、前記結晶核剤を含む成形体は、温水に対する耐久性を向上できるため、内部で水と接触する各種成形体に利用でき、例えば、水を流通させる水道用や温水用の配管やタンクなどに利用でき、加熱水に対する耐久性に優れる点から、給湯器(温水器)や暖房器における温水用配管やタンク(特に温水用配管)に好適に利用できる。

Claims (13)

  1. ポリオレフィンを加熱溶融して形成された成形体における球晶の成長を抑制するためのポリオレフィン用結晶核剤であって、重量平均分子量800以上であり、かつ末端が封止されていない鎖状ポリアルキルアリールシランを含む結晶核剤。
  2. 鎖状ポリアルキルアリールシランの重量平均分子量が1000〜30000である請求項1記載の結晶核剤。
  3. 鎖状ポリアルキルアリールシランの重量平均分子量が1200〜2500である請求項1又は2記載の結晶核剤。
  4. 鎖状ポリアルキルアリールシランが20℃で固体状である請求項1〜のいずれかに記載の結晶核剤。
  5. ポリオレフィン及び請求項1〜のいずれかに記載の結晶核剤を含む樹脂組成物。
  6. ポリオレフィンのメルトマスフローレイトが0.07〜1.0g/10分である請求項記載の樹脂組成物。
  7. ポリオレフィンの密度が0.930〜0.960kg/mである請求項又は記載の樹脂組成物。
  8. ポリオレフィンがポリエチレン系樹脂である請求項のいずれかに記載の樹脂組成物。
  9. 鎖状ポリアルキルアリールシランの割合が、ポリオレフィン100重量部に対して0.1〜6重量部である請求項のいずれかに記載の樹脂組成物。
  10. 請求項のいずれかに記載の樹脂組成物で形成された成形体。
  11. 水と接触させる配管である請求項10記載の成形体。
  12. 加熱水を流通させる温水用配管である請求項10又は11記載の成形体。
  13. ポリオレフィンに請求項1〜のいずれかに記載の結晶核剤を配合して成形体を形成することにより、加熱水と接触しても成形体が劣化するのを抑制する方法。
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