JP6482414B2 - 光学フィルム、それを用いた偏光板および液晶表示装置 - Google Patents

光学フィルム、それを用いた偏光板および液晶表示装置 Download PDF

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Description

本発明は、光学フィルム、それを用いた偏光板および液晶表示装置に関する。
近年、液晶表示装置は、テレビ、パソコン、携帯電話、デジタルカメラなどへの用途で広く用いられている。通常、液晶表示装置は、液晶セルの両側に偏光板を設けた液晶パネル部材を有し、バックライト部材からの光を液晶パネル部材で制御することにより表示が行われている。ここで、偏光板は偏光子と少なくとも1枚の光学フィルムを保護フィルム(偏光板保護フィルム)により構成されている。一般的な偏光子は延伸されたポリビニルアルコール(PVA)系フィルムをヨウ素又は二色性色素で染色することにより得られ、保護フィルムとしては種々の熱可塑性樹脂を用いたフィルムが用いられている。
偏光板保護フィルムを使用する目的の一つとして、偏光性能の劣化を抑制することが挙げられる。液晶表示装置は、テレビ等の室内用途以外に携帯デバイス等で室外用途に使用される機会が増加している。そのため、高温高湿環境下での使用されることが多くなり、偏光子が収縮することによる表示ムラが発生したり、偏光性能の低下による表示性能が劣化するなどの問題が発生してきている。
さらに、液晶表示装置は益々多様な用途、過酷な使用条件においての耐久性に対する要求が高まっており、従来よりも高いレベルの耐久性が求められるようになった。
偏光板の偏光性能の低下を防ぐために、含水率が低い偏光板保護フィルムを偏光子に積層などの試みがなされている。
偏光板保護フィルムに用いられる熱可塑性樹脂フィルムとして、セルロースアシレート系フィルムやアクリル系フィルム、環状オレフィン系フィルムが挙げられる。
セルロースアシレート系フィルムは偏光子との密着性に優れ、さらにハードコートなどの塗工液の密着にも優れるため、偏光板保護フィルムとして広く使用されている。近年、液晶表示装置は様々な環境で使用されることが多くなり、それに伴い偏光板もより厳しい高温高湿環境での耐久性が求められている。セルロースアシレート系フィルムを最表層の保護フィルムとして使用した偏光板では、保護フィルムの含水率が高く偏光板劣化が進んでしまうことが問題になっている。
セルロースアシレート系の含水率を下げるために、セルロースアシレートに含水率を低下させる添加剤を含有させる検討や、セルロースアシレートフィルム上に疎水的な層を設けることが試みられている。含水率を大きく低下させる素材はセルロースアシレートと親疎水性が大きく異なるため混合できずブリードアウトが発生してしまう。特許文献1、2では、セルロースアシレートと混合する素材として糖エステル系化合物やアミド基やエステル基など親水的な官能基が存在する化合物を使用している。これら化合物はセルロースアシレートと親疎水性が近くなってしまうため、含水率を大幅に低減させることはできず、結果として偏光子耐久性には不満が残るものであった。また、特許文献3では、疎水的な層を設けフィルムの透湿度を下げる試みが行われているが、疎水的な層の膜厚を十分に厚くしないとセルロースアシレートの含水率上昇を抑えきれず、疎水的な層が厚くなるとフィルム脆性が悪化し、フィルムに割れなどの問題が発生することがあった。
また、近年では含水率の低いアクリル系フィルムや環状オレフィン系の保護フィルムの使用も行われている(特許文献4、5)が、いずれのフィルムも偏光子やハードコートの密着性が悪い問題がある。さらに、環状オレフィンフィルムは基材が柔らかいため、ハードコード層を付与しても十分な耐傷性を得られず、液晶表示装置に使用されている偏光板保護フィルムの最表層には適さない。
特開2009−286931号公報 特開2013−3230号公報 特開2006−83225号公報 特開2012−3269号公報 特開2011−203400号公報
本発明は上記課題を鑑みて、偏光板保護フィルムの含水率を低下させることで、高温高湿耐久評価前後の偏光性能劣化を抑制でき、偏光子との密着性にも優れる光学フィルムを提供することを目的としている。
本発明では、鋭意検討の結果、含水率が低い化合物をセルロースアシレートと相溶性の高い化合物で覆ったコアシェル構造を有する化合物をセルロースアシレートに含ませるまたは積層することで、含水率が低く偏光板耐久性が改良され、偏光子との密着性にも優れた光学フィルムを作製出来ることを見出した。
すなわち、上記課題は、以下の手段により達成された。
<1>
少なくとも、コア部とシェル部を有するコアシェル構造を有する化合物とセルロースアシレートとを含む光学フィルムであって、上記コアシェル構造を有する化合物の含水率が1.3wt%未満であり、
上記コアシェル構造を有する化合物の単一分散比率が85%以上であることを特徴とする光学フィルムであって、
上記コアシェル構造を有する化合物のシェル部が、セルロースアシレート系ポリマーまたは下記一般式(II)で表されるエチレン性不飽和モノマーを重合して得られるポリマー、または下記一般式(II)で表されるエチレン性不飽和モノマーと少なくとも1種のその他のエチレン性不飽和モノマーとを共重合させて得られるポリマーである、光学フィルム。
一般式(II)
Figure 0006482414


式中、R は水素原子、脂肪族基、芳香族基、複素環基を表し、上記脂肪族基、芳香族基および複素環基は置換基を有していてもよい。Lは単結合、2価の脂肪族基、2価の芳香族基、2価の複素環基、−C(=O)−、−O−、−N(R2)−またはそれらの組合せを表し、上記2価の脂肪族基、2価の芳香族基および2価の複素環基は置換基を有していてもよい。R2は水素原子またはアルキル基を表す。
<2>
上記コアシェル構造を有する化合物におけるコア部の含有量が50〜99vol%である<1>に記載の光学フィルム。
<3>
上記コアシェル構造を有する化合物を40wt%以上含む<1>または<2>に記載の光学フィルム。
<4>
上記コアシェル構造を有する化合物の上記コア部が、オレフィン系ポリマー、ハロゲン置換オレフィン系ポリマー、環状オレフィン系ポリマー、脂環構造を有するアクリル系ポリマー、芳香族エステルポリマー、スチレン系ポリマー、芳香族ポリカーボネート系ポリマー、芳香族スルホン系ポリマー、金属酸化物である<1>〜<3>のいずれか一項に記載の光学フィルム。
<5>
上記コアシェル構造を有する化合物を含む上記光学フィルムとセルロースアシレートを含む層とが積層されている<1>〜<4>のいずれか一項に記載の光学フィルム。
<6>
上記光学フィルムの含水率が2.6wt%未満である<1>〜<5>のいずれか一項に記載の光学フィルム。
<7>
少なくとも、偏光子、<1>〜<6>のいずれか一項に記載の光学フィルムにより構成された偏光板。
<8>
<7>に記載の偏光板を含む液晶表示装置。
本発明は上記<1>〜<8>に関するものであるが、参考のためその他の事項(下記[1]〜[9]など)についても記載した。
[1]少なくとも、コアシェル構造を有する化合物とセルロースアシレートとを含む光学フィルムであって、
コアシェル構造を有する化合物の含水率が1.3wt%未満であり、
コアシェル構造を有する化合物の単一分散比率が85%以上である光学フィルム。
[2]コアシェル構造を有する化合物におけるコアの含有量が50〜99vol%であることを特徴とする[1]に記載の光学フィルム
[3]コアシェル構造を有する化合物を40wt%以上含むことを特徴とする[1]または[2]に記載の光学フィルム。
[4]上記コアシェル構造を有する化合物のシェル部が、セルロースアシレート系ポリマーまたは下記一般式(I)で表されるエチレン性不飽和モノマーを重合して得られるポリマー、または下記一般式(I)で表されるエチレン性不飽和モノマーと少なくとも1種のその他のエチレン性不飽和モノマーとを共重合させて得られるポリマーであることを特徴とする、[1]〜[3]に記載の光学フィルム。
一般式(I)
Figure 0006482414
[5]上記コアシェル構造を有する化合物のコア部が、オレフィン系ポリマー、ハロゲン置換オレフィン系ポリマー、環状オレフィン系ポリマー、脂環構造を有するアクリル系ポリマー、芳香族エステルポリマー、スチレン系ポリマー、芳香族ポリカーボネート系ポリマー、芳香族スルホン系ポリマー、金属酸化物である[1]〜[4]に記載の光学フィルム。
[6]上記コアシェル構造を有する化合物からなる層とセルロースアシレートを含む層とが積層されている[1]〜[5]に記載の光学フィルム。
[7][1]〜[6]に記載の光学フィルムであって、光学フィルムの含水率が2.6wt%未満である光学フィルム。
[8]少なくとも偏光子、[1]〜[7]に記載の光学フィルムにより構成された偏光板。
[9][8]に記載の偏光板を含む液晶表示装置。
本発明の光学フィルムは含水率が低く、偏光子との密着性も改善できる。この結果、高温高湿環境下での耐久性に優れる偏光板、液晶表示装置の提供が可能になった。
本明細書において「〜」を用いて表される数値範囲は、その前後に記載される数値を下限値および上限値として含む範囲を意味する。
[光学フィルム]
本発明の光学フィルムは、コアシェル構造を有する化合物とセルロースアシレートとを含む光学フィルムであって、コアシェル構造を有する化合物の含水率が1.3wt%未満であり、セルロースアシレートにコアシェル構造を有する化合物を10wt%混合したフィルム中においてコアシェル構造を有する化合物の85%以上が単一分散する、ことを特徴にしている。
[コアシェル構造を有する化合物]
本発明の光学フィルムは、コアシェル構造を有する化合物を含むことを特徴としている。コアシェル構造は、種々の素材の2種類(コア部と1つのシェル部)またはそれ以上(コア部と、1つ以上のシェル部)の交互層を有する。この種の化合物は、例えば、エマルション重合により製造することができる。コアシェル構造を有する化合物の形とサイズが、ブレンド中に変化しないように、1種以上の層を製造時に化学的に架橋させてもよい。
[コアシェル構造を有する化合物の含水率]
コアシェル構造を有する化合物の含水率は1.3wt%未満、好ましくは0.8wt%未満、特に好ましくは0.5wt%未満である。コアシェル構造を有する化合物の含水率が低いほど、光学フィルムの含水率を低減させる効果が大きくなる。
本明細書で記載している含水率は25℃80%RHで24時間以上調湿した後に計測した平衡含水率を指す。平衡含水率は上記温湿度に24時間放置した後に、平衡に達した試料の水分量をカールフィッシャー法で測定し、水分量(g)を試料質量(g)で除して算出したものである。
[コアシェル構造を有する化合物の分散性]
本発明でのコアシェル構造を有する化合物の単一分散比率は85%以上であることが好ましい。90%以上であることが更に好ましく、95%以上であることが最も好ましい。単一分散比率を85%以上とすることで、コアシェル構造を有する化合物のシェルとセルロースアシレートとの相溶性が向上することに加え、コアシェル構造を有する化合物のセルロースアシレート中での分散性、コアシェル構造を有する化合物のセルロースアシレート間の密着性、光学フィルムと偏光子との密着性、コアシェル構造を有する化合物の溶媒中での分散性が向上する。
上記単一分散性比率は下記の方法により導出する。
1) セルロースアシレートとコアシェル構造を有する化合物を、セルロースアシレート:コアシェル構造を有する化合物=90:10質量部となるように秤量、混合し、メチレンクロライド/メタノール=92/8重量%の混合溶媒に、固形分濃度が15重量%となるように攪拌、溶解する。
2) 温度25℃、相対湿度60%の環境下で、上記1)で作製した溶液をガラス板上に流延する。
3) 温度25℃相対湿度60%の環境下に1分放置した後、温度70℃の環境下に設置し10分間放置し、乾燥させる。
4) ガラス板から剥離したフィルムの四辺を固定し、更に温度140℃で30分間の環境下で乾燥させる。
フィルムの乾燥後の膜厚が40μmとした。
5) 乾燥したフィルムの空気界面側の表面を、走査型電子顕微鏡(SEM)を使用し10000倍で観察し、10μm×10μmの領域を無作為に5視野選択する。この5視野中に存在する全粒子数を計測し、全粒子数をAと定義する。
6) 5)で観察した粒子の中で、粒子同士が接触している粒子の個数を計測し、Bと定義した。下記式に基づき単一分散比率を算出した。
単一分散比率=(A−B)/A×100[%]
本発明のコアシェル構造を有する化合物は、化合物単体または化合物を溶媒と混合した状態で、分散処理を行ってもよい。分散処理は通常の分散機を使用し行うことができる。分散機は大きく分けてメディア分散機とメディアレス分散機に分けられる。メディア分散機としてはボールミル、サンドミル、ダイノミルなどが挙げられる。メディアレス分散機としては超音波型、遠心型、高圧型などがある。このような分散処理を行うことで、コアシェル構造を有する化合物の単一分散性を向上させることができる。
[コアシェル構造を有する化合物中のコア部の構成比率]
本発明で用いられるコアシェル構造を有する化合物のコア部の容積比率は、50〜99容積%であることが好ましく、60〜98容積%であることが好ましく、特に80〜97容積%であることが特に好ましい。コア部の容積比率が50容積%未満であると、含水率の低減効果が低下し、光学フィルムの含水率を効率的に下げることが出来なくなり、99容積%以上であると、コア部の周りを覆うシェル部が部分的になくなり、セルロースアシレートとの相溶性や溶媒中での分散性が低下することがある。また、シェル部が薄くなると偏光子との密着の際に使用する接着剤とシェル部との相互作用が十分に取れなくなり、偏光子との密着性が悪化する要因になる。
コアシェル構造を有する化合物のコア層の容積比率は以下のように確認できる。まずコアシェル構造を有する化合物単体を、SEMを使用し50000倍で観察する。化合物が球状粒子の場合、まず粒子全体の径(Rt)を計測し、半径Rの球の体積(Vt)を算出する。コア部とシェル部は異なるコントラストで撮影されるので、コア部の直径(Rc)を算出し、半径Rcの球の体積(Vc)を算出する。下記式に基づき、コア層の容積比率を算出し、粒子30個についての平均値をコア部の容積比率とした。
コア部の容積比率=Vc/Vt×100[%]
コアシェル構造を有する化合物の形状が異方性を有する場合も、球状の場合と同様に、SEMで観測した画像から粒子全体の体積と、コア部の体積を算出し、コア部の容積比率を計算すればよい。
[コアシェル構造を有する化合物のサイズ]
本発明で用いられるコアシェル構造を有する化合物のサイズは、1.0μm未満で有ることが好ましく、0.5μm未満で有ることが好ましく、さらに0.3μm未満で有ることが特に好ましい。上記範囲にあることで、セルロースアシレート中にコアシェル構造を有する化合物が分散している場合は、セルロースアシレートとコアシェル構造を有する化合物の屈折率差に起因する散乱を低減することが出来る。
[コアシェル構造を有する化合物の屈折率]
本発明で用いられるコアシェル構造を有する化合物の屈折率は、1.40〜1.60であることが好ましく、1.42〜1.55であることが好ましく、1.45〜1.52であることが特に好ましい。上記範囲にあることで、セルロースアシレートとコアシェル構造を有する化合物の屈折率差を小さくすることが出来、屈折率差に起因する散乱を低減することが出来る。屈折率は、コア層・シェル層の含水率を損なわない範囲で、素材の組成を変化させることで適宜調整することが出来る。
[コアシェル構造を有する化合物の製造]
コアシェル構造を有する化合物は公知の方法で作成することができる。例えば、特開平4−98201、特開2010−107616、特開2012−224750、米国特許出願第US−A−3833682号、同第3787522号、ドイツ特許出願第DE−A−2116653号、同第2253689号、同第4132497号、同第4131738号、同第4040986号、米国特許出願第US−A−31251904号及びドイツ特許出願第DE−A−3300526に開示された方法などを用いることができる。
[光学フィルム中のコアシェル構造を有する化合物の含量]
本発明の光学フィルム中のコアシェル構造を有する化合物の含量は、40wt%〜99wt%であることが好ましく、45〜97wt%であることが好ましく、特に50〜95wt%であることが好ましい。40wt%以下であると含水率低減効果が小さく、99wt%以上であると光学フィルムと偏光子との密着性の悪化やフィルムが脆くなることがある。
[シェル部の構造]
本発明で用いられるコアシェル構造を有する化合物におけるシェル層は、セルロースアシレートとの相溶性に関り、コアシェル構造を有する化合物のセルロースアシレート中での分散性、コアシェル構造を有する化合物のセルロースアシレート間の密着性、光学フィルムと偏光子との密着性、コアシェル構造を有する化合物の溶媒中での分散性、が向上する。
シェル部で使用することができるポリマーは、セルロースアシレート系ポリマー、セルロースアリレート系ポリマー、セルロースエーテル系ポリマーなどのセルロース誘導体系ポリマーや、下記ホモまたはコポリマー類である。コポリマー類は、2種以上のモノマーから構成されていてもよい。
ホモ及びコポリマー類は、以下のモノマー類:
アルキル及びアリールアクリレート類(但し、アルキル基は線状、環式若しくは分岐であってもよく、アリール基は、それ自体置換基を有していてもよい)、アルキル及びアリールメタクリレート類(但し、アルキル基は、線状、環式若しくは分岐であってもよく、アリール基は、それ自体置換基を有していてもよい)、置換アルキル及びアリールメタクリレート及びアクリレート類(但し、置換基は、線状、環式若しくは置換アルキル基または置換アリール基であってもよい)、アクリロニトリル及び置換アクリロニトリル類(例えば、メタクリロニトリル、α−メチレングルタロニトリル、α−エチルアクリロニトリル、α−フェニルアクリロニトリル)、アルキル−及びアリールアクリルアミド類、ビニルエステル及び置換ビニルエステル類、ビニルエーテル類及び置換ビニルエーテル類、ビニルアミド類及び置換ビニルアミド類、ビニルケトン類及び置換ビニルケトン類、ハロゲン化ビニル類及び置換ハロゲン化ビニル類から誘導されていてもよい。
特にセルロースアシレート系ポリマーや、下記一般式(II)で表されるエチレン性不飽和モノマーを重合して得られるポリマー、または下記一般式(II)で表されるエチレン性不飽和モノマーと少なくとも1種のその他のエチレン性不飽和モノマーとを共重合させて得られるポリマー(以下、特定のβ−ケトエステル構造を有するポリマーとも言う)はセルロースアシレートとの相溶性に優れるため好ましい。
一般式(II)
Figure 0006482414
(式中 は水素原子、脂肪族基、芳香族基、複素環基を表し、上記脂肪族基、芳香族基および複素環基は置換基を有していてもよい。Lは単結合、2価の脂肪族基、2価の芳香族基、2価の複素環基、−C(=O)−、−O−、−N(R2)−またはそれらの組合せを表し、上記2価の脂肪族基、2価の芳香族基および2価の複素環基は置換基を有していてもよい。R2は水素原子またはアルキル基を表す。)
上記特定のβ−ケトエステル構造を有するポリマーは、セルロースアシレートフィルムの含水率を低減する性能が高い上、セルロースアシレートと親和性良好であるため、本発明のコアシェル構造を有する化合物のシェル部と使用すると、セルロースアシレートとの接着性、偏光子との密着性が向上する。いかなる理論に拘泥するものでもないが、本発明のフィルムは、上記一般式(II)中のβ−ケトエステル構造がセルロースアシレート中の水素原子と相互作用することにより、上記効果が得られると考えられる。以下、特定のβ−ケトエステル構造を有するポリマーの構造の好ましい態様などについて説明する。
上記特定のβ−ケトエステル構造を有するポリマーは、下記一般式(III)で表される繰り返し単位を含むポリマーであることが好ましい。
一般式(III)
Figure 0006482414
一般式(III)中、R1は水素原子、脂肪族基、芳香族基または複素環基を表し、上記脂肪族基、芳香族基および複素環基は置換基を有していてもよい。Lは、単結合、あるいは、2価の脂肪族基、2価の芳香族基、2価の複素環基、−C(=O)−、−O−、−N(R2)−またはそれらの組合せを表し、上記2価の脂肪族基、2価の芳香族基および2価の複素環基は置換基を有していてもよい。R2は水素原子またはアルキル基を表す。
上記一般式(II)または(III)におけるR1は水素原子、脂肪族基、芳香族基または複素環基を表し、上記脂肪族基、芳香族基および複素環基は置換基を有していてもよい。上記R1における脂肪族基としては、アルキル基、アルケニル基、アルキニル基、シクロアルキル基などを挙げることができ、その中でも炭素数1〜6のアルキル基が好ましく、メチル基がより好ましい。上記R1における芳香族基としては、フェニル基、ナフチル基、ビフェニル基を挙げることができ、その中でもフェニル基が好ましい。上記における複素環基としては、ピリジル基、ピロリジル基、ピペリジル基、ピペラゾル基、ピロリル基、モルホリノ基、チアモルホリノ基、イミダゾリル基、ピラゾリル基、ピロリドニル基、ピペリドニル基を挙げることができ、その中でもモルホリノ基、ピリジル基が好ましい。上記脂肪族基、芳香族基または複素環基が有していてもよい置換基としては、例えば、炭素原子数1〜6のアルキル基(例えばメチル基、エチル基、イソプロピル基、tert−ブチル基、シクロペンチル、シクロヘキシル基)、炭素原子数2〜6のアルケニル基(例えばビニル基、アリル基、2−ブテニル基、3−ペンテニル基などが挙げられる。)、炭素原子数2〜6のアルキニル基(例えばプロパルギル基、3−ペンチニル基などが挙げられる。)、アミノ基(例えばアミノ基、メチルアミノ基、ジメチルアミノ基、ジエチルアミノ基、ジベンジルアミノ基)、アルコキシ基(例えばメトキシ基、エトキシ基、ブトキシ基などが挙げられる。)、アリールオキシ基(例えばフェニルオキシ基、2−ナフチルオキシ基)、アシル基(例えばアセチル基、ベンゾイル基、ホルミル基、ピバロイル基)、アルコキシカルボニル基(例えばメトキシカルボニル基、エトキシカルボニル基)、アリールオキシカルボニル基(例えばフェニルオキシカルボニル基)、アシルオキシ基(例えばアセトキシ基、ベンゾイルオキシ基。)、アシルアミノ基(例えばアセチルアミノ基、ベンゾイルアミノ基)、アルコキシカルボニルアミノ基(例えばメトキシカルボニルアミノ基)、アリールオキシカルボニルアミノ基(例えば(フェニルオキシカルボニルアミノ基)、スルホニルアミノ基(例えばメタンスルホニルアミノ基、ベンゼンスルホニルアミノ基)、スルファモイル基(例えばスルファモイル基、メチルスルファモイル基、ジメチルスルファモイル基、フェニルスルファモイル基)、カルバモイル基(例えばカルバモイル基、メチルカルバモイル基、ジエチルカルバモイル基、フェニルカルバモイル基)、アルキルチオ基(例えばメチルチオ基、エチルチオ基)、アリールチオ基(例えばフェニルチオ基)、スルホニル基(例えばメシル基、トシル基)、スルフィニル基(例えばメタンスルフィニル基、ベンゼンスルフィニル基)、ウレイド基(例えばウレイド基、メチルウレイド基、フェニルウレイド基)、リン酸アミド基(例えばジエチルリン酸アミド、フェニルリン酸アミド)、ヒドロキシ基、メルカプト基、ハロゲン原子(例えばフッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子)、シアノ基、スルホ基、カルボキシル基、ニトロ基、ヒドロキサム酸基、スルフィノ基、ヒドラジノ基、イミノ基、ヘテロ環基(例えばイミダゾリル基、ピリジル基、キノリル基、フリル基、ピペリジル基、モルホリノ基、ベンゾオキサゾリル基、ベンズイミダゾリル基、ベンズチアゾリル基)、シリル基(例えば、トリメチルシリル基、トリフェニルシリル基)を挙げることができ、その中でもメチル基、フルオロ基が好ましい。上記一般式(II)または上記一般式(III)におけるR1は、水素原子または脂肪族基であることが好ましく、水素原子または炭素数1〜6のアルキル基がより好ましく、水素原子またはメチル基であることが特に好ましく、メチル基であることがより特に好ましい。
上記一般式(II)または上記一般式(III)におけるLは単結合、2価の脂肪族基、2価の芳香族基、2価の複素環基、−C(=O)−、−O−、−N(R2)−またはそれらの組合せを表し、上記2価の脂肪族基、2価の芳香族基および2価の複素環基は置換基を有していてもよい。上記Lは、2価の脂肪族基、2価の芳香族基、−C(=O)−、または−L1−L2−であることが好ましい(但し、L1およびL2の一方が、−C(=O)−、−O−、−N(R2)−またはそれらの組合せを表し、他方が2価の脂肪族基、2価の芳香族基、2価の複素環基を表す。上記2価の脂肪族基、2価の芳香族基および2価の複素環基は置換基を有していてもよい。R2は水素原子またはアルキル基を表す。)。ここで、上記−L1−L2−はL1が主鎖に連結する。上記Lは−L1−L2−であることがより好ましい。上記Lは、L1が−C(=O)−、−O−、−N(R2)−またはそれらの組合せであり、かつ、L2が2価の脂肪族基、2価の芳香族基、2価の複素環基であることが特に好ましい。
上記Lにおける2価の脂肪族基としては、アルキレン基、アルキニル基であることが好ましく、炭素数1〜5の置換基を有していてもよいアルキレン基であることがより好ましく、エチレン基であることがより特に好ましい。上記Lにおける2価の芳香族基としては、炭素数6〜12の芳香族基が好ましく、フェニレン基、ナフチレン基であることが好ましく、置換基を有していてもよいフェニレン基であることがより好ましく、無置換のフェニレン基であることが特に好ましい。上記Lにおける2価の複素環基としては、ピリジレン基、ピロリジレン基、ピペリジレン基、ピペラジレン基、ピロリレン基、モルホリニレン基、チアモルホリレニン基、イミダゾリレン基、ピラゾリレン基、ピロリドニレン基、ピペリドニレン基を挙げることができ、その中でもモルホリニレン基が好ましい。上記2価の脂肪族基、2価の芳香族基および2価の複素環基が有していてもよい置換基としては、例えば、アルキル基、ハロゲン基を挙げることができ、その中でもアルキル基が好ましく、炭素数1〜6のアルキル基がより好ましく、メチル基が特に好ましい。上記L1は、−C(=O)−、−O−、−N(R2)−またはそれらの組合せであることが好ましく、上記−C(=O)−、−O−、−N(R2)−またはこれらの組合せとしては、−C(=O)−、−O−、−C(=O)−O−、−O−C(=O)−、−N(R2)−C(=O)−、−C(=O)−N(R2)−、−N(R2)−C(=O)−N(R2)−が好ましい。さらに上記L1は、−C(=O)−O−、−C(=O)−N(R2)−であることがより好ましく、−C(=O)−O−であることが特に好ましい。上記L2は2価の脂肪族基、2価の芳香族基、2価の複素環基であることが好ましく、炭素数1〜5の置換基を有していてもよいアルキレン基、フェニレン基、であることがより好ましく、炭素数1〜5の置換基を有していてもよいアルキレン基またはフェニレン基であることが特に好ましく、炭素数1〜5の置換基を有していてもよいアルキレン基であることがより特に好ましく、エチレン基であることがさらにより特に好ましい。なお、上記L1およびL2における上記2価の脂肪族基、2価の芳香族基および2価の複素環基の好ましい範囲は、上記Lにおける上記2価の脂肪族基、2価の芳香族基および2価の複素環基の好ましい範囲と同じである。
上記一般式(II)または上記一般式(III)におけるR1およびLの好ましい組み合わせは、上記一般式(II)または(III)におけるR1が水素原子またはメチル基であり、Lが2価の脂肪族基、2価の芳香族基、−C(=O)−、または−L1−L2−である態様である。より好ましくは、上記一般式(II)または(III)におけるR1が水素原子またはメチル基であり、LがL1−L2−である態様である。特に好ましくは、R1が水素原子またはメチル基であり、L1が−C(=O)−O−であり、L2が炭素数1〜5の置換基を有していてもよいアルキレン基である態様である。より特に好ましくは、R1が水素原子またはメチル基であり、L1が−C(=O)−O−であり、L2がエチレン基である態様である。すなわち、上記一般式(II)で表されるエチレン性不飽和モノマーがアセト酢酸エチルメタクリレートまたはアセト酢酸エチルアクリレートである態様がより好ましい。さらに、上記一般式(II)または(III)におけるR1がメチル基である態様がさらにより特に好ましく、すなわち、上記一般式(II)で表されるエチレン性不飽和モノマーがアセト酢酸エチルメタクリレートであることがさらにより特に好ましい。
上記R2は水素原子またはアルキル基を表す。上記R2は、それぞれ独立に水素原子または炭素数1〜6のアルキル基であることが好ましく、水素原子またはメチル基であることがより好ましく、水素原子であることが特に好ましい。
本発明に有用な上記特定のβ−ケトエステル構造を有するポリマーを構成することができるモノマー成分を下記に挙げるが、本発明はこれらの具体例に限定されるものではない。
Figure 0006482414
上記一般式(II)で表されるエチレン性不飽和モノマーは1種あるいは2種以上組み合わせて用いることができ、特に好ましくはアセト酢酸エチルメタクリレート、アセト酢酸エチルアクリレートまたはこれらの混合物である。ここで、上記一般式(II)で表されるエチレン性不飽和モノマーを2種以上組み合わせて用いる場合、得られる上記特定のβ−ケトエステル構造を有するポリマーはそれらのモノマーの共重合体となる。すなわち、上記特定のβ−ケトエステル構造を有するポリマーは上記一般式(II)で表されるエチレン性不飽和モノマー1種のみの単独重合体であってよく、上記一般式(II)で表されるエチレン性不飽和モノマーを2種組み合わせて用いて得られた共重合体であってもよい。上記一般式(II)で表されるエチレン性不飽和モノマーを2種組み合わせて用いて得られた共重合体の各モノマーに対応する繰り返し単位の組成比については特に制限はない。
本発明に用いられる上記一般式(II)で表されるエチレン性不飽和モノマーは市販品として入手または公知の文献を参照して合成することができる。
(その他の繰り返し単位)
上記特定のβ−ケトエステル構造を有するポリマーは、上記一般式(II)で表されるエチレン性不飽和モノマー1種または複数種由来の繰り返し単位以外に、その他の繰り返し単位を含んでいる共重合体であってもよい。その中でも、本発明では、上記特定のβ−ケトエステル構造を有するポリマーが、上記一般式(II)で表されるエチレン性不飽和モノマーと少なくとも1種のその他のエチレン性不飽和モノマーとを共重合させて得られるポリマーであることが好ましい。上記一般式(II)で表されるエチレン性不飽和モノマー由来の繰り返し単位とそのような添加剤の繰り返し単位とを共重合化させることで、アクリル系ポリマーやビニル系ポリマーなどの従来のポリマーでは透明性が損なわれる分子量や混合比でも高い相溶性を実現することができ、尚且つアクリル系ポリマーやビニル系ポリマーである従来のポリマーと同等以下の含水率を示すことができる。
以下、本発明の好ましい態様である、上記一般式(II)で表されるエチレン性不飽和モノマー1種または複数種由来の繰り返し単位を共重合化させたポリマーの態様について説明する。
また、上記その他の繰り返し単位を構成するためのモノマーとしては特に制限はないが、エチレン性不飽和モノマーであることが好ましい。上記一般式(II)で表されるエチレン性不飽和モノマーと共重合可能な上記エチレン性不飽和モノマーとしては、上記一般式(II)で表されるエチレン性不飽和モノマーでも上記一般式(II)で表されるエチレン性不飽和モノマー以外のその他のエチレン性不飽和モノマーでもよいが、上記一般式(II)で表されるエチレン性不飽和モノマー以外のその他のエチレン性不飽和モノマーが好ましい。
上記一般式(II)で表されるエチレン性不飽和モノマー以外のその他のエチレン性不飽和モノマーとしては、例えばメタクリル酸およびそのエステル誘導体(メタクリル酸メチル、メタクリル酸エチル、メタクリル酸プロピル、メタクリル酸ブチル、メタクリル酸i−ブチル、メタクリル酸t−ブチル、メタクリル酸オクチル、メタクリル酸シクロヘキシル、メタクリル酸アダマンチル、メタクリル酸イソボルニル、メタクリル酸2−ヒドロキシエチル、メタクリル酸2−ヒドロキシプロピル、メタクリル酸テトラヒドロフルフリル、メタクリル酸ベンジル、メタクリル酸ジメチルアミノエチル、メタクリル酸ジエチルアミノエチル等)、アクリル酸およびそのエステル誘導体(アクリル酸メチル、アクリル酸エチル、アクリル酸プロピル、アクリル酸ブチル、アクリル酸i−ブチル、アクリル酸t−ブチル、アクリル酸オクチル、アクリル酸シクロヘキシル、アクリル酸アダマンチル、アクリル酸イソボルニル、アクリル酸2−ヒドロキシエチル、アクリル酸2−ヒドロキシプロピル、アクリル酸テトラヒドロフルフリル、アクリル酸ベンジル、アクリル酸ジメチルアミノエチルアクリル酸ジエチルアミノエチル等)、アルキルビニルエーテル(メチルビニルエーテル、エチルビニルエーテル、ブチルビニルエーテル等)、アルキルビニルエステル(ギ酸ビニル、酢酸ビニル、酪酸ビニル、カプロン酸ビニル、ステアリン酸ビニル)、スチレン誘導体(スチレン、α−メチルスチレン、o−メチルスチレン、m−メチルスチレン、p−メチルスチレン等)、クロトン酸、マレイン酸、フマル酸、イタコン酸、アクリロニトリル、メタクリロニトリル、フマロニトリル、塩化ビニル、塩化ビニリデン、アクリルアミド、メタクリルアミド、アクリロイルモルホリン、メタクリロイルモルホリン、ビニルピロリドン、ビニルカルバゾール、ビニルケトン、ビニルピリジンなどの不飽和化合物等を挙げることができる。これらは1種単独で、または2種以上混合して、上記一般式(II)で表されるエチレン性不飽和モノマーと共重合させることができる。
これらの上記一般式(II)で表されるエチレン性不飽和モノマー以外のその他のエチレン性不飽和モノマーのうち、アクリル酸エステル、メタクリル酸エステル、アクリロニトリル、メタクリロニトリル、アクリロイルモルホリン、メタクリロイルモルホリン、アクリルアミド、メタクリルアミドからなる群から選ばれる少なくとも1つであることが好ましい。ここで、上記一般式(II)で表されるエチレン性不飽和モノマー以外のその他のエチレン性不飽和モノマーとしての上記(メタ)アクリル酸エステルは、(メタ)アクリル酸メチル、(メタ)アクリル酸2−ヒドロキシエチル、(メタ)アクリル酸t−ブチル、(メタ)アクリル酸アダマンチル、(メタ)アクリル酸イソボルニルであることが好ましく、(メタ)アクリル酸メチルであることがより好ましく、メタクリル酸メチルであることが特に好ましい。
(特定のβ−ケトエステル構造を有するポリマー組成比の規定)
上記特定のβ−ケトエステル構造を有するポリマー全体における、上記一般式(II)で表されるエチレン性不飽和モノマー由来の構造単位の含有量は0.1〜100モル%であることが好ましく、1〜100モル%であることがより好ましい。
[コア部の構造]
コア部の素材は、コアシェル構造を有する化合物の含水率に大きく影響する。コア部の含水率が低いほど、光学フィルムの含水率を低減させる効果が大きくなる。コア部の素材はポリマーであっても、シリカやアルミナなどの無機素材であってもよい。
コア部に使用する好ましいポリマーとしては、オレフィン系ポリマー(例えばポリエチレン、ポリプロピレン)、ハロゲン置換オレフィン系ポリマー(例えばポリ塩化ビニリデン)、環状オレフィン系ポリマー(例えばノルボルネン、ジシクロペンタジエン、テトラシクロドデセン、の開環重合体や付加重合体)、脂環構造を有するアクリル系ポリマー(例えばジシクロペンタニルアクリレート、ジシクロペンタニルメタアクリレート、トリシクロデカンジメタノールジメタクリレートなどのアクリレートの重合体)、芳香族エステルポリマー(例えばポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート)、スチレン系ポリマー(例えばポリスチレン、スチレンアクリロニトリル共重合体)、芳香族ポリカーボネート系ポリマー、芳香族スルホン系ポリマーが上げられる。上記ポリマーはホモポリマーであっても2種以上のモノマーから構成されるコポリマーでもよい。いかなる理論に拘泥するものでもないが、上記ポリマーの内、オレフィン系ポリマー、ハロゲン置換オレフィン系ポリマー、環状オレフィン系ポリマー、脂環構造を有するアクリル系ポリマー、スチレン系ポリマーは、ポリマー骨格中の極性基が少なく疎水的な性質を持つことで水の吸着を抑制していると考えられる。芳香族エステルポリマー、芳香族ポリカーボネートポリマー、芳香族スルホン系ポリマーは、分子鎖同士の相互作用が強く、分子鎖に水が吸着できないものと考えられる。
コア部に使用することができる無機素材はシリカ粒子、チタニア粒子、ジルコニア粒子、五酸化アンチモン粒子などが挙げられるが、セルロースアシレートと屈折率が近いためヘイズを発生しにくい観点からシリカ粒子が好ましい。
無機素材は、焼成シリカ粒子であることが特に好ましい。
焼成シリカ粒子は、加水分解が可能なシリコン化合物を水と触媒とを含む有機溶媒中で加水分解、縮合させることによってシリカ粒子を得た後、シリカ粒子を焼成するという公知の技術により製造することができ、たとえば特開2003−176121号公報、特開2008−137854号公報などを参照することができる。
焼成シリカ粒子を製造する原料のシリコン化合物としては特に限定されないが、テトラクロロシラン、メチルトリクロロシラン、フェニルトリクロロシラン、ジメチルジクロロシラン、ジフェニルジクロロシラン、メチルビニルジクロロシラン、トリメチルクロロシラン、メチルジフェニルクロロシラン等のクロロシラン化合物;テトラメトキシシラン、テトラエトキシシラン、テトライソプロポキシシラン、テトラブトキシシラン、メチルトリメトキシシラン、メチルトリエトキシシラン、トリメトキシビニルシラン、トリエトキシビニルシラン、3−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、3−クロロプロピルトリメトキシシラン、3−メルカプトプロピルトリメトキシシラン、3−(2−アミノエチルアミノ)プロピルトリメトキシシラン、フェニルトリメトキシシラン、フェニルトリエトキシシラン、ジメチルジメトキシシラン、ジメチルジエトキシシラン、3−グリシドキシプロピルメチルジメトキシシラン、3−グリシドキシプロピルメチルジエトキシシラン、3−クロロプロピルメチルジメトキシシラン、ジフェニルジメトキシシラン、ジフェニルジエトキシシラン、ジメトキシジエトキシシラン、トリメチルメトキシシラン、トリメチルエトキシシラン等のアルコキシシラン化合物;テトラアセトキシシラン、メチルトリアセトキシシラン、フェニルトリアセトキシシラン、ジメチルジアセトキシシラン、ジフェニルジアセトキシシラン、トリメチルアセトキシシラン等のアシロキシシラン化合物;ジメチルシランジオール、ジフェニルシランジオール、トリメチルシラノール等のシラノール化合物;等が挙げられる。上記例示のシラン化合物のうち、アルコキシシラン化合物が、より入手し易く、かつ、得られる焼成シリカ粒子に不純物としてハロゲン原子が含まれることが無いので特に好ましい。本発明にかかる焼成シリカ粒子の好ましい形態としては、ハロゲン原子の含有量が実質的に0%であり、ハロゲン原子が検出されないことが好ましい。焼成温度は特に限定されないが、800〜1300℃が好ましく、1000℃〜1200℃がより好ましい。
金属酸化物粒子の形状は、球形が最も好ましいが、不定形等の球形以外であっても問題無い。また、シリカ粒子については、結晶質でも、アモルファスのいずれでもよい。金属酸化物粒子は市販されている粒子を焼成して用いてもよい。具体的な例としては、IPA−ST−L(平均一次粒径50nm、日産化学工業(株)製シリカゾル)、IPA−ST−ZL(平均一次粒径80nm、日産化学工業(株)製シリカゾル)、スノーテックスMP−1040(平均一次粒径100nm、日産化学工業(株)製シリカ)、スノーテックスMP−2040(平均一次粒径200nm、日産化学工業(株)製シリカ)、シーホスターKE−P10(平均一次粒径150nm、日本触媒(株)製アモルファスシリカ)、シーホスターKE−P20(平均一次粒径200nm、日本触媒(株)製アモルファスシリカ)、ASFP−20(平均一次粒径200nm、日本電気化学工業(株)製アルミナ)などを好ましく用いることができる。さらに本願要件を満たすものであれば、市販されている粒子をそのまま用いても良い。
[セルロースアシレート]
本発明では、セルロースアシレートをフィルムの成分として含む。セルロースアシレートの1種を用いてもよいし、2種以上を用いてもよい。セルロースアシレートのアシル置換基は、例えばアセチル基単独からなるセルロースアシレートであっても、複数の異なったアシル置換基を有するセルロースアシレートを用いてもよく、異なったセルロースアシレートの混合物であってもよい。
本発明で使用されるセルロースアシレートの原料のセルロースとしては、綿花リンタや木材パルプ(広葉樹パルプ,針葉樹パルプ)等があり、いずれの原料セルロースから得られるセルロースアシレートでも使用でき、場合により混合して使用してもよい。これらの原料セルロースとしては、例えば、丸澤、宇田著,「プラスチック材料講座(17)繊維素系樹脂」,日刊工業新聞社(1970年発行)や発明協会公開技報公技番号2001−1745号(7頁〜8頁)に記載のセルロースを用いることができる。
本発明では、セルロースアシレートのアシル基は1種類だけでもよいし、あるいは2種類以上のアシル基が使用されていてもよい。本発明で使用されるセルロースアシレートは、炭素数2〜4のアシル基を置換基として有することが好ましい。2種類以上のアシル基を用いるときは、そのひとつがアセチル基であることが好ましく、その他に用いる炭素数2〜4のアシル基としてはプロピオニル基またはブチリル基が好ましい。これらのセルロースアシレートにより好ましい溶解性の溶液が作製でき、特に非塩素系有機溶媒において、良好な溶液の作製が可能となる。さらに粘度が低く、ろ過性のよい溶液の作製が可能となる。
まず、本発明に好ましく用いられるセルロースアシレートについて詳細に記載する。
セルロースを構成するβ−1,4結合しているグルコース単位は、2位、3位および6位に遊離のヒドロキシ基を有している。セルロースアシレートは、これらのヒドロキシ基の一部または全部をアシル基によりアシル化した重合体(ポリマー)である。
アシル置換度は、2位、3位および6位に位置するセルロースのヒドロキシ基のアシル化の度合いを示すものであり、全てのグルコース単位の2位、3位および6位のヒドロキシ基がいずれもアシル化された場合、総アシル置換度は3であり、例えば、全てのグルコース単位で、6位のみが全てアシル化された場合、総アシル置換度は1である。同様に、全グルコースの全ヒドロキシ基において、各々のグルコース単位で、6位か、2位のいずれか一方の全てがアシル化された場合も、総アシル置換度は1である。
すなわち、グルコース分子中の全ヒドロキシ基が全てアシル化された場合を3として、アシル化の度合いを示すものである。
アシル置換度の測定方法の詳細については、手塚他,Carbohydrate.Res.,273,83−91(1995)に記載の方法やASTM−D817−96に規定の方法に準じて測定することができる。
本発明で使用するセルロースアシレートの総アシル置換度をAとすると、Aは、1.5以上3以下(1.5≦A≦3.0)が好ましく、2.0〜2.97がより好ましく、2.4以上2.97が特に好ましい。上記置換度の範囲にあることでセルロースアシレートの含水率が低減できると共に、溶媒への溶解性が向上できる。
また、セルロースアシレートのアシル基としてアセチル基のみを用いたセルロースアセテートにおいては、総アセチル置換度をBとすると、Bは、2.0以上3以下(2.0≦B≦3.0)が好ましく、2.0〜2.97がより好ましく、2.4以上2.97未満がさらに好ましい。
本発明で使用するセルロースアシレートの炭素数2以上のアシル基としては、脂肪族のアシル基でも芳香族のアシル基でもよく特に限定されない。それらは、例えばセルロースのアルキルカルボニルエステル、アルケニルカルボニルエステル、芳香族カルボニルエステル、または芳香族アルキルカルボニルエステル(アラルキルカルボニルエステル)であり、これらは置換基を有していてもよい。上記炭素数2以上のアシル基は、アセチル、プロピオニル、ブタノイル、ペンタノイル、ヘプタノイル、ヘキサノイル、オクタノイル、デカノイル、ドデカノイル、トリデカノイル、テトラデカノイル、ヘキサデカノイル、オクタデカノイル、イソブタノイル、ピバロイル、シクロヘキサンカルボニル、オレオイル、ベンゾイル、ナフチルカルボニル、またはシンナモイルであることが好ましい。これらの中でも、アセチル、プロピオニル、ブタノイル、ドデカノイル、オクタデカノイル、ピバロイル、オレオイル、ベンゾイル、ナフチルカルボニル、またはシンナモイルがより好ましく、さらに好ましくはアセチル、プロピオニル、またはブタノイルのような炭素原子数2〜4のアシル基であり、さらに好ましくはアセチル(すなわち、セルロースアシレートが、セルロースアセテートである場合)である。
セルロースのアシル化において、アシル化剤として酸無水物や酸クロライドを用いた場合、反応溶媒である有機溶媒は、有機カルボン酸溶媒またはハロゲン溶媒(例えば、酢酸またはメチレンクロライド)が好ましく使用される。
触媒としては、アシル化剤が酸無水物である場合には、硫酸のようなプロトン性触媒が好ましく用いられ、アシル化剤が酸クロライド(例えば、CHCHCOCl)である場合には、塩基性化合物が用いられる。
最も一般的なセルロースの混合脂肪酸エステルの工業的合成方法は、アセチル基等のアシル基に対応する脂肪酸(例えば、アセチル基に対応する酢酸、プロピオニル基に対応するプロピオン酸、ペンタノイル基に対応する吉草酸等)または該脂肪酸の酸無水物を含む混合有機酸成分を用いて、セルロースをアシル化する方法である。
セルロースアシレートは、例えば、特開平10−45804号公報に記載されている方法により合成できる。
[その他の添加剤]
本発明の光学フィルム中には、レターデーション調整剤(レターデーション発現剤およびレターデーション低減剤)、可塑剤(重縮合エステル化合物(ポリマー)、多価アルコールの多価エステル、フタル酸エステル、リン酸エステル等)、紫外線吸収剤、酸化防止剤、マット剤、剥離促進剤等の添加剤を加えることもできる。
なお、本願明細書では、化合物群を標記するのに、例えば、リン酸エステル系化合物のように、「系」を組み込んで記載することがあるが、これは、上記の場合、リン酸エステル化合物と同じ意味である。
(レターデーション低減剤)
高分子レターデーション低減剤は、リン酸ポリエステルポリマー、スチレンポリマー、アクリルポリマー、およびこれらの共重合体から選択される少なくとも1種が好ましく、アクリルポリマーおよびスチレンポリマーから選択される少なくとも1種の負の固有複屈折を有するポリマーがより好ましい。
また、非リン酸エステル化合物である低分子量レターデーション低減剤も好ましく用いられる。非リン酸エステル化合物である低分子量レターデーション低減剤は、特に限定されないが、詳細は特開2007−272177号公報の段落番号0066〜0085に記載されている化合物が好ましい。
本発明に用いうるレターデーション低減剤は、好適なNzファクターを実現する観点から、Rth低減剤であることがより好ましい。Rth低減剤としては、アクリルポリマーおよびスチレンポリマー、特開2007−272177号公報に記載の一般式(3)〜(7)で表される低分子化合物等を挙げることができる。
光学フィルム中のレターデーション低減剤の含有量は、セルロースアシレートおよびコアシェル構造を有する化合物との総量を100質量部とした場合、0.01〜30質量部が好ましく、0.1〜20質量部がより好ましく、0.1〜10質量部であることが特に好ましい。添加量を30質量部以下にすることで、セルロースアシレートやシェル部との相溶性を向上させることができ、光学フィルムの透明性を高めることができる。2種類以上のレターデーション低減剤を用いる場合、その合計量が、上記範囲内であることが好ましい。
(レターデーション発現剤)
本発明の光学フィルムは、レターデーション値を発現するために、少なくとも1種のレターデーション発現剤を含有してもよい。
レターデーション発現剤としては、特に制限はないが、棒状または円盤状化合物からなるものや、上記非リン酸エステル化合物のうちレターデーション発現性を示す化合物を挙げることができる。棒状または円盤状化合物としては、少なくとも二つの芳香族環を有する化合物をレターデーション発現剤として好ましく用いることができる。
光学フィルム中、棒状化合物からなるレターデーション発現剤の含有量は、セルロースアシレートおよびコアシェル構造を有する化合物との総量を100質量部とした場合、0.1〜30質量部が好ましく、0.5〜20質量部がさらに好ましい。また、光学フィルム中、レターデーション発現剤中に含まれる円盤状化合物の含有量は、セルロースアシレートおよびコアシェル構造を有する化合物との総量を100質量部とした場合、3質量部未満が好ましく、2質量部未満がより好ましく、1質量部未満が特に好ましい。
円盤状化合物はフィルム厚み方向のレターデーション(Rthレターデーション)発現性において棒状化合物よりも優れているため、特に大きなRthレターデーションを必要とする場合には好ましく使用される。2種類以上のレターデーション発現剤を併用してもよい。
レターデーション発現剤は、250〜400nmの波長領域に最大吸収を有することが好ましく、可視領域に実質的に吸収を有していないことが好ましい。
レターデーション発現剤の詳細は公開技報2001−1745の49頁に記載されている。
(可塑剤(疎水化剤))
本発明の光学フィルムは、可塑剤(疎水化剤)として、多価アルコールの多価エステル化合物(以後、多価アルコールエステル可塑剤とも称す。)、重縮合エステル化合物(以後、重縮合エステル可塑剤とも称す。)および炭水化物化合物(以後、炭水化物誘導体可塑剤とも称す。)の中から選ばれる少なくとも一種の化合物を含有してもよい。
可塑剤は、光学フィルムのガラス転移温度(Tg)をできるだけ下げずに、光学フィルム中の含水率を低減できるものが好ましい。このような可塑剤を使用することにより高温高湿下において光学フィルム中の添加剤が偏光子層へ拡散するのを抑制し、偏光子性能の劣化を改良することができる。
以下に本発明に用いられる可塑剤について詳しく説明する。
(多価アルコールエステル可塑剤)
本発明では、多価アルコールエステル可塑剤の合成原料である多価アルコールは下記一般式(c)で表される。
一般式(c)
Rα−(OH)m
一般式(c)中、Rαはm価の有機基を表し、mは2以上の正の整数を表す。
上記一般式(c)で表される化合物の中でも、アドニトール、アラビトール、エチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、テトラエチレングリコール、1,2−プロパンジオール、1,3−プロパンジオール、ジプロピレングリコール、トリプロピレングリコール、1,2−ブタンジオール、1,3−ブタンジオール、1,4−ブタンジオール、ジブチレングリコール、1,2,4−ブタントリオール、1,5−ペンタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、ヘキサントリオール、ガラクチトール、マンニトール、3−メチルペンタン−1,3,5−トリオール、ピナコール、ソルビトール、トリメチロールプロパン、トリメチロールエタン、またはキシリトールを原料とすることが好ましく、トリエチレングリコール、テトラエチレングリコール、ジプロピレングリコール、トリプロピレングリコール、ソルビトール、トリメチロールプロパン、またはキシリトールがより好ましい。
多価アルコールエステル可塑剤は、炭素数5以上の多価アルコール、好ましくは炭素数5〜20の多価アルコールとモノカルボン酸から合成された多価アルコールエステルが好ましい。
多価アルコールエステル可塑剤の合成に使用するモノカルボン酸は、特に制限はなく、公知の脂肪族モノカルボン酸、脂環族モノカルボン酸、芳香族モノカルボン酸等が挙げられる。脂環族モノカルボン酸または芳香族モノカルボン酸を用いると透湿性、保留性を向上させる点で好ましい。
モノカルボン酸は以下の化合物を挙げることができるが、本発明はこれらに限定されるものではない。
脂肪族モノカルボン酸は、炭素数1〜32の直鎖または分岐の脂肪酸が好ましい。炭素数は1〜20がより好ましく、1〜10が特に好ましい。酢酸を含有させるとセルロースアシレートやシェル部との相溶性が増すため好ましく、酢酸と他のモノカルボン酸を混合して用いることも好ましい。
脂肪族モノカルボン酸は、酢酸、プロピオン酸、酪酸、吉草酸、カプロン酸、エナント酸、カプリル酸、ペラルゴン酸、カプリン酸、2−エチルヘキサンカルボン酸、ウンデシル酸、ラウリン酸、トリデシル酸、ミリスチン酸、ペンタデシル酸、パルミチン酸、ヘプタデシル酸、ステアリン酸、ノナデカン酸、アラキン酸、ベヘン酸、リグノセリン酸、セロチン酸、ヘプタコサン酸、モンタン酸、メリシン酸、およびラクセル酸から選ばれる少なくとも1種の飽和脂肪酸、または、ウンデシレン酸、オレイン酸、ソルビン酸、リノール酸、リノレン酸、およびアラキドン酸から選ばれる少なくとも1種の不飽和脂肪酸が好ましい。
脂環族モノカルボン酸は、シクロペンタンカルボン酸、シクロヘキサンカルボン酸、シクロオクタンカルボン酸、およびそれらの誘導体から選ばれる少なくとも1種が好ましい。
芳香族モノカルボン酸は、安息香酸、トルイル酸等の安息香酸のベンゼン環にアルキル基を導入したもの、ビフェニルカルボン酸、ナフタレンカルボン酸、テトラリンカルボン酸等のベンゼン環を2個以上有する芳香族モノカルボン酸、およびそれらの誘導体から選ばれる少なくとも1種が好ましい。なかでも安息香酸が好ましい。
多価アルコールエステル可塑剤の分子量は、特に制限はないが、300〜3000が好ましく、350〜1500が更に好ましい。このような分子量とすることで、フィルムからの揮発抑制に優れ、透湿性、セルロースアシレートやシェル部との相溶性を良好にすることができる。
多価アルコールエステル可塑剤の合成に使用するカルボン酸は1種類でもよいし、2種以上の混合であってもよい。また、多価アルコール中のヒドロキシ基は、全てエステル化してもよいし、一部をヒドロキシ基のままで残してもよい。
以下に、多価アルコールエステル可塑剤の具体例を示すが、本発明はこれらに限定されるものではない。
Figure 0006482414
Figure 0006482414
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(重縮合エステル可塑剤)
本発明の光学フィルムは、重縮合エステル可塑剤を含むことも好ましい。重縮合エステル可塑剤を含有させることで、湿度安定性、偏光板耐久性に優れた光学フィルムを得ることができる。
重縮合エステル可塑剤は、下記一般式(a)で表される少なくとも1種のジカルボン酸および下記一般式(b)で表される少なくとも1種のジオールを重縮合して得られる。
Figure 0006482414
一般式(a)、(b)中、Xは2価の炭素数2〜18の脂肪族基または2価の炭素数6〜18の芳香族基を表し、Zは2価の炭素数2〜8の脂肪族基を表す。
ここで、Xにおける2価の炭素数2〜18の脂肪族基は、飽和であっても不飽和であってもよく、2価の鎖状もしくは環状の脂肪族基(例えばシクロアルキレン基等)のいずれであってもよい。また、2価の鎖状の脂肪族基である場合は、直鎖状であっても、分枝状であってもよい。2価の脂肪族基の炭素数は2〜12がより好ましく、2〜6がさらに好ましい。その中でも、2価の炭素数2〜18の脂肪族基は、2価の鎖状の飽和脂肪族基が好ましく、鎖状のアルキレン基がより好ましく、直鎖状のアルキレン基がさらに好ましい。炭素数2〜18の鎖状の脂肪族基としては、例えば、エチレン、トリメチレン、テトラメチレン、ペンタメチレン、ヘキサメチレン、ヘプタメチレン、オクタメチレン、デカメチレン、ドデカチレン、プロピレン、2−メチルトリメチレン、2,2−ジメチルトリメチレン、シクロペンチレン、シクロヘキシレン等が挙げられる。
Xにおける2価の炭素数6〜18の芳香族基は、2価の芳香族炭化水素基でも2価の芳香族ヘテロ環基でもよい。2価の芳香族基としては、炭素数は、6〜15が好ましく、6〜12がさらに好ましい。2価の芳香族炭化水素基における芳香環は、ベンゼン環、ナフタレン環、アントラセン環、ビフェニル環またはターフェニル環が好ましく、ベンゼン環、ナフタレン環またはビフェニル環がより好ましい。2価の芳香族ヘテロ環基における芳香族ヘテロ環は、酸素原子、窒素原子または硫黄原子のうち少なくとも1つを環構成原子として含むものが好ましい。当該芳香族ヘテロ環は、フラン環、ピロール環、チオフェン環、イミダゾール環、ピラゾール環、ピリジン環、ピラジン環、ピリダジン環、トリアゾール環、トリアジン環、インドール環、インダゾール環、プリン環、チアゾリン環、チアジアゾール環、オキサゾリン環、オキサゾール環、オキサジアゾール環、キノリン環、イソキノリン環、フタラジン環、ナフチリジン環、キノキサリン環、キナゾリン環、シンノリン環、プテリジン環、アクリジン環、フェナントロリン環、フェナジン環、テトラゾール環、ベンズイミダゾール環、ベンズオキサゾール環、ベンズチアゾール環、ベンゾトリアゾール環またはテトラザインデン環が好ましく、ピリジン環、トリアジン環またはキノリン環がより好ましい。
Zは、2価の炭素数2〜8の脂肪族基を表す。2価の炭素数2〜8の脂肪族基は、飽和であっても不飽和であってもよく、2価の鎖状もしくは環状の脂肪族基(例えばシクロアルキレン基等)のいずれであってもよい。また、2価の鎖状の脂肪族基である場合は、2価の直鎖状であっても、分枝状であってもよい。2価の脂肪族基の炭素数は2〜6がより好ましく、2〜4がさらに好ましい。その中でも、2価の炭素数2〜8の脂肪族基は、2価の鎖状の飽和脂肪族基が好ましく、鎖状のアルキレン基がより好ましく、直鎖状のアルキレン基がさらに好ましい。炭素数5〜10の鎖状のアルキレン基は、例えば、エチレン、トリメチレン、テトラメチレン、ペンタメチレン、ヘキサメチレン、ヘプタメチレン、オクタメチレン、デカメチレン、プロピレン、2−メチルトリメチレン、2,2−ジメチルトリメチレン等が挙げられる。
なお、2価のシクロアルキレン基としてはシクロペンチレン、シクロヘキシレンが挙げられる。
一般式(b)で表される脂肪族ジオールは、より好ましくはエチレングリコール、1,2−プロパンジオール、および1,3−プロパンジオールから選ばれる少なくとも1種であり、重縮合エステル可塑剤の結晶化を防止する観点から、エチレングリコールおよび1,2−プロパンジオールから選ばれる少なくとも1種が特に好ましい。
重縮合エステル可塑剤の脂肪族ジオール残基中には、エチレングリコール残基が10mol%〜100mol%含まれることが好ましく、20mol%〜100mol%含まれることがより好ましい。
重縮合エステル可塑剤は、Xが上記の2価の芳香族基であるジカルボン酸(芳香族ジカルボン酸とも呼ぶ)の少なくとも1種と、Zが上記の脂肪族基であるジオール(脂肪族ジオールとも呼ぶ)の少なくとも1種とから得られる化合物が好ましい。使用する脂肪族ジオールの平均炭素数は2.5〜8.0が好ましい。また、少なくとも一種の芳香族ジカルボン酸とXが上記の2価の脂肪族基である少なくとも一種のジカルボン酸(脂肪族ジカルボン酸とも呼ぶ)との混合物と、少なくとも一種の平均炭素数が2.5〜8.0の脂肪族ジオールとから得られる重縮合エステル可塑剤も好ましい。
重縮合エステル可塑剤の説明において、ジカルボン酸またはジカルボン酸残基の平均炭素数の計算は、使用する全ジカルボン酸または重縮合エステル可塑剤中の全ジカルボン酸残基が有する炭素数の合計を使用するジカルボン酸のモル数または重縮合エステル可塑剤中のジカルボン酸残基のモル数で割った値である。例えば、全ジカルボン酸残基中、アジピン酸残基とフタル酸残基のそれぞれ50mol%ずつから構成される場合は、ジカルボン酸残基の平均炭素数7.0となる。ジオールまたはジオール残基の平均炭素数も同様に計算する。例えばエチレングリコール残基50mol%と1,2−プロパンジオール残基50mol%から構成される場合はジオール残基の平均炭素数2.5となる。
重縮合エステル可塑剤の数平均分子量(Mn)は500〜2000が好ましく、600〜1500がより好ましく、700〜1200がさらに好ましい。重縮合エステルの数平均分子量は500以上であれば揮発性が低くなり、光学フィルムの延伸時の高温条件下における揮散によるフィルム故障や工程汚染が抑制される。
また、2000以下であればセルロースアシレートやシェル部との相溶性が高くなり、製膜時および加熱延伸時のブリードアウトが抑制される。
重縮合エステル可塑剤の数平均分子量はゲルパーミエーションクロマトグラフィーによって測定、評価することができる。また、末端が封止のないポリエステルポリオールの場合、質量あたりのヒドロキシ基の量(以下、水酸基価とも言う)により算出することもできる。本発明において、水酸基価は、ポリエステルポリオールをアセチル化した後、過剰の酢酸の中和に必要な水酸化カリウムの量(mg)を測定して得ることができる。
芳香族ジカルボン酸と脂肪族ジカルボン酸との混合物をジカルボン酸成分として用いる場合は、ジカルボン酸成分の平均炭素数は、5.5〜10.0が好ましく、より好ましくは5.6〜8である。
平均炭素数を5.5以上にすることで耐久性により優れた偏光板を得ることができる。また、平均炭素数を10以下にすることでセルロースアシレートやシェル部との相溶性により優れ、光学フィルムの製膜過程でブリードアウトが抑制される。
芳香族ジカルボン酸を用いて得られた重縮合エステルには、芳香族ジカルボン酸残基が含まれる。本発明に用いる重縮合エステル可塑剤のジカルボン酸残基中、芳香族ジカルボン酸残基の比率は40mol%以上が好ましく、40mol%〜100mol%がより好ましい。
ジカルボン酸残基中の芳香族ジカルボン酸残基の比率を40mol%以上にすることで、十分な光学異方性を示す光学フィルムが得られ、耐久性に優れた偏光板を得ることができる。また、ジカルボン酸残基中の芳香族ジカルボン酸残基の比率を40mol%〜100mol%にすることでセルロースアシレートやシェル部の相溶性に優れ、光学フィルムの製膜時および加熱延伸時においてもブリードアウトが抑制される。
ジカルボン酸残基は重縮合エステルの部分構造であり、例えばジカルボン酸HOC(=O)−X−COHから形成されるジカルボン酸残基は−C(=O)−X−C(=O)−である。
重縮合エステル可塑剤の合成に用いることができる芳香族ジカルボン酸は、フタル酸、テレフタル酸、イソフタル酸、1,5−ナフタレンジカルボン酸、1,4−ナフタレンジカルボン酸、1,8−ナフタレンジカルボン酸、2,8−ナフタレンジカルボン酸および2,6−ナフタレンジカルボン酸から選ばれる少なくとも1種が好ましい。その中でもフタル酸、テレフタル酸および2,6−ナフタレンジカルボン酸から選ばれる少なくとも1種がより好ましく、フタル酸およびテレフタル酸から選ばれる少なくとも1種がさらに好ましい。
脂肪族ジカルボン酸を用いて得られた重縮合エステルには、脂肪族ジカルボン酸残基が含まれる。
重縮合エステル可塑剤の合成に使用する脂肪族ジカルボン酸は、シュウ酸、マロン酸、コハク酸、マレイン酸、フマル酸、グルタル酸、アジピン酸、ピメリン酸、スベリン酸、アゼライン酸、セバシン酸、ドデカンジカルボン酸および1,4−シクロヘキサンジカルボン酸から選ばれる少なくとも1種が好ましい。
脂肪族ジカルボン酸残基の平均炭素数は、5.5〜10.0が好ましく、5.5〜8.0がより好ましく、5.5〜7.0がさらに好ましい。脂肪族ジカルボン酸残基の平均炭素数が10.0以下であれば化合物の加熱減量が低減でき、光学フィルムウェブ乾燥時のブリードアウトによる工程汚染が原因と考えられる面状故障の発生を防ぐことができる。また、脂肪族ジカルボン酸残基の平均炭素数が5.5以上であれば相溶性に優れ、重縮合エステルの析出が起き難く好ましい。
重縮合エステル可塑剤中の脂肪族ジカルボン酸残基は、具体的には、コハク酸残基を含むことが好ましい。また、重縮合エステル可塑剤中に2種以上の脂肪族ジカルボン酸残基を含む場合には、当該脂肪族ジカルボン酸残基は、コハク酸残基とアジピン酸残基を含むことが好ましい。
重縮合エステル可塑剤には、ジオール残基が含まれる。
一般式(b)で表されるジオール化合物(HO−Z−OH)により形成されるジオール残基は−O−Z−O−である。
重縮合エステル可塑剤は、平均炭素数が2.0〜7.0の脂肪族ジオール残基を含むことが好ましく、平均炭素数が2.0〜4.0の脂肪族ジオール残基を含むことがより好ましい。
脂肪族ジオール残基の平均炭素数が7.0より小さいとセルロースアシレートやシェル層との相溶性が改善され、ブリードアウトが生じにくくなり、また、化合物の加熱減量が増大しにくくなり、光学フィルムウェブ乾燥時の工程汚染が原因と考えられる面状故障の発生が抑制される。また、脂肪族ジオール残基の平均炭素数が2.0以上であれば合成が容易である。重縮合エステル可塑剤中の脂肪族ジオール残基は、具体的には、エタンジオール、プロパンジオールおよびシクロヘキサンジメタノールを含むことが好ましい。
重縮合エステル可塑剤の末端は、封止せずにジオールもしくはカルボン酸のまま(すなわち、ポリマー鎖長末端が−OHまたは−COH)としてもよく、さらに−OH末端に対してモノカルボン酸または−COH末端に対してモノアルコールを反応させて、いわゆる末端封止を行ってもよい。なお、重縮合エステル可塑剤の末端を封止することで、常温での状態が固体形状となりにくく、ハンドリングが良好となる。また、湿度安定性、偏光板耐久性に優れた光学フィルムが得られる。
封止に用いるモノカルボン酸は、酢酸、プロピオン酸、ブタン酸および安息香酸から選ばれる少なくとも1種が好ましい。封止に用いるモノアルコールとしては、メタノール、エタノール、プロパノール、イソプロパノール、ブタノールおよびイソブタノールから選ばれる少なくとも1種が好ましく、メタノールが最も好ましい。重縮合エステルの末端に使用するモノカルボン酸の炭素数が7以下であると、化合物の加熱減量が小さくなり、面状故障の発生の抑制に優れる。
下記表1に重縮合エステル可塑剤の具体例J−1〜J−44を挙げるが、本発明はこれらに限定されるものではない。
Figure 0006482414
ここで、上記表1中の略称において、PAはフタル酸、TPAはテレフタル酸、AAはアジピン酸、SAはコハク酸、2,6−NPAは2,6−ナフタレンジカルボン酸をそれぞれ表す。
重縮合エステル可塑剤の合成は、常法によりジオールとジカルボン酸とのポリエステル化反応またはエステル交換反応による熱溶融縮合法、もしくは、これら酸の酸クロライドとグリコール類との界面縮合法のいずれかの方法によって容易に合成できる。なお、重縮合エステルは、村井孝一編者「可塑剤その理論と応用」(株式会社幸書房,昭和48年3月1日初版第1版発行)に詳細に記載されており、これらの化合物を使用することもできる。
本発明には、重縮合エステル可塑剤として、特開平05−155809号、特開平05−155810号、特開平5−197073号、特開2006−259494号、特開平07−330670号、特開2006−342227号、特開2007−003679号の各公報等に記載されている化合物を利用することもできる。
(炭水化物誘導体可塑剤)
本発明の光学フィルムは、さらに炭水化物誘導体可塑剤を含むことが好ましい。炭水化物誘導体可塑剤を含有させることで、湿度安定性、偏光板耐久性に優れた光学フィルムを得ることができる。
炭水化物誘導体可塑剤としては、単糖あるいは2〜10個の単糖単位を含む炭水化物の誘導体が好ましい。
炭水化物誘導体可塑剤を好ましく構成する単糖または多糖は、分子中の置換可能な基(例えば、ヒドロキシ基、カルボキシル基、アミノ基、メルカプト基等)の一部または全部が置換基により置換されている。炭水化物誘導体可塑剤が有しうる置換基としては、アルキル基、アリール基、アシル基等を挙げることができ、詳細は後述する。また、ヒドロキシ基をアルキル基やアリール基によって置換されて形成されるエーテル構造、ヒドロキシ基がアシル基によって置換されて形成されるエステル構造、アミノ基によって置換されて形成されるアミド構造やイミド構造等を挙げることができる。
単糖または2〜10個の単糖単位を含む炭水化物は、エリトロース、トレオース、リボース、アラビノース、キシロース、リキソース、アロース、アルトロース、グルコース、フルクトース、マンノース、グロース、イドース、ガラクトース、タロース、トレハロース、イソトレハロース、ネオトレハロース、トレハロサミン、コウジビオース、ニゲロース、マルトース、マルチトール、イソマルトース、ソホロース、ラミナリビオース、セロビオース、ゲンチオビオース、ラクトース、ラクトサミン、ラクチトール、ラクツロース、メリビオース、プリメベロース、ルチノース、シラビオース、スクロース、スクラロース、ツラノース、ビシアノース、セロトリオース、カコトリオース、ゲンチアノース、イソマルトトリオース、イソパノース、マルトトリオース、マンニノトリオース、メレジトース、パノース、プランテオース、ラフィノース、ソラトリオース、ウンベリフェロース、リコテトラオース、マルトテトラオース、スタキオース、バルトペンタオース、ベルバルコース、マルトヘキサオース、α−シクロデキストリン、β−シクロデキストリン、γ−シクロデキストリン、δ−シクロデキストリン、キシリトール、またはソルビトールが好ましい。
好ましくは、リボース、アラビノース、キシロース、リキソース、グルコース、フルクトース、マンノース、ガラクトース、トレハロース、マルトース、セロビオース、ラクトース、スクロース、スクラロース、α−シクロデキストリン、β−シクロデキストリン、γ−シクロデキストリン、δ−シクロデキストリン、キシリトール、ソルビトールであり、さらに好ましくは、アラビノース、キシロース、グルコース、フルクトース、マンノース、ガラクトース、マルトース、セロビオース、スクロース、β−シクロデキストリン、またはγ−シクロデキストリンであり、特に好ましくは、キシロース、グルコース、フルクトース、マンノース、ガラクトース、マルトース、セロビオース、スクロース、キシリトール、またはソルビトールである。
また、炭水化物誘導体可塑剤が有する置換基は、アルキル基(好ましくは炭素数1〜22、より好ましくは炭素数1〜12、特に好ましくは炭素数1〜8のアルキル基、例えば、メチル、エチル、プロピル、ヒドロキシエチル、ヒドロキシプロピル、2−シアノエチル、ベンジル基等)、アリール基(好ましくは炭素数6〜24、より好ましくは6〜18、特に好ましくは6〜12のアリール基、例えば、フェニル、ナフチル)、アシル基(アルキルカルボニル基、アリールカルボニル基、ヘテロ環カルボニル基を含み、好ましくは炭素数1〜22、より好ましくは炭素数2〜12、特に好ましくは炭素数2〜8のアシル基、例えばアセチル、プロピオニル、ブチリル、ペンタノイル、ヘキサノイル、オクタノイル、ベンゾイル、トルイル、フタリル、ナフトル等)が好ましい。また、アミノ基によって置換されて形成される好ましい構造として、アミド構造(好ましくは炭素数1〜22、より好ましくは炭素数2〜12、特に好ましくは炭素数2〜8のアミド、例えばホルムアミド、アセトアミド等)、またはイミド構造(好ましくは炭素数4〜22、より好ましくは炭素数4〜12、特に好ましくは炭素数4〜8のイミド、例えば、スクシンイミド、フタルイミド等)を挙げることができる。
炭水化物誘導体可塑剤が有する置換基は、アルキル基、アリール基およびアシル基から選ばれる少なくとも1種であることがより好ましく、さらに好ましくはアシル基である。
炭水化物誘導体可塑剤の好ましい例としては、以下のものを挙げることができるが、本発明はこれらに限定されるものではない。
キシローステトラアセテート、グルコースペンタアセテート、フルクトースペンタアセテート、マンノースペンタアセテート、ガラクトースペンタアセテート、マルトースオクタアセテート、セロビオースオクタアセテート、スクロースオクタアセテート、キシリトールペンタアセテート、ソルビトールヘキサアセテート、キシローステトラプロピオネート、グルコースペンタプロピオネート、フルクトースペンタプロピオネート、マンノースペンタプロピオネート、ガラクトースペンタプロピオネート、マルトースオクタプロピオネート、セロビオースオクタプロピオネート、スクロースオクタプロピオネート、キシリトールペンタプロピオネート、ソルビトールヘキサプロピオネート、キシローステトラブチレート、グルコースペンタブチレート、フルクトースペンタブチレート、マンノースペンタブチレート、ガラクトースペンタブチレート、マルトースオクタブチレート、セロビオースオクタブチレート、スクロースオクタブチレート、キシリトールペンタブチレート、ソルビトールヘキサブチレート、キシローステトラベンゾエート、グルコースペンタベンゾエート、フルクトースペンタベンゾエート、マンノースペンタベンゾエート、ガラクトースペンタベンゾエート、マルトースオクタベンゾエート、セロビオースオクタベンゾエート、スクロースオクタベンゾエート、キシリトールペンタベンゾエート、およびソルビトールヘキサベンゾエートから選ばれる少なくとも1種。
より好ましくは、キシローステトラアセテート、グルコースペンタアセテート、フルクトースペンタアセテート、マンノースペンタアセテート、ガラクトースペンタアセテート、マルトースオクタアセテート、セロビオースオクタアセテート、スクロースオクタアセテート、キシリトールペンタアセテート、ソルビトールヘキサアセテート、キシローステトラプロピオネート、グルコースペンタプロピオネート、フルクトースペンタプロピオネート、マンノースペンタプロピオネート、ガラクトースペンタプロピオネート、マルトースオクタプロピオネート、セロビオースオクタプロピオネート、スクロースオクタプロピオネート、キシリトールペンタプロピオネート、ソルビトールヘキサプロピオネート、キシローステトラベンゾエート、グルコースペンタベンゾエート、フルクトースペンタベンゾエート、マンノースペンタベンゾエート、ガラクトースペンタベンゾエート、マルトースオクタベンゾエート、セロビオースオクタベンゾエート、スクロースオクタベンゾエート、キシリトールペンタベンゾエート、およびソルビトールヘキサベンゾエートから選ばれる少なくとも1種。
さらに好ましくは、マルトースオクタアセテート、セロビオースオクタアセテート、スクロースオクタアセテート、キシローステトラプロピオネート、グルコースペンタプロピオネート、フルクトースペンタプロピオネート、マンノースペンタプロピオネート、ガラクトースペンタプロピオネート、マルトースオクタプロピオネート、セロビオースオクタプロピオネート、スクロースオクタプロピオネート、キシローステトラベンゾエート、グルコースペンタベンゾエート、フルクトースペンタベンゾエート、マンノースペンタベンゾエート、ガラクトースペンタベンゾエート、マルトースオクタベンゾエート、セロビオースオクタベンゾエート、スクロースオクタベンゾエート、キシリトールペンタベンゾエート、およびソルビトールヘキサベンゾエートから選ばれる少なくとも1種。
炭水化物誘導体可塑剤はピラノース構造あるいはフラノース構造を有することが好ましい。
本発明に用いられる炭水化物誘導体としては以下に示す化合物が特に好ましい。ただし、本発明で用いることができる炭水化物誘導体は、これらに限定されるものではない。
なお、以下の構造式中、Rはそれぞれ独立に任意の置換基を表し、複数のRは同一でも、異なっていてもよい。
下記表2〜5において、例えば表2では、8個のヒドロキシ基(Rがいずれも水素原子)であるものを、2種類のアシル化剤でアシル化したものであり、この2種類のアシル化剤で導入されたRの一方を「置換基1」、他方のRを「置換基2」として示し、置換度は、全ヒドロキシ基8個中の個数を表す。
全Rの数は、表3では5個、表4および5では8個である。ここで、「フェニルアセチル」は、−C(=O)−CH−Cを示す。
Figure 0006482414
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炭水化物誘導体可塑剤は、市販品として、例えば、東京化成社製、アルドリッチ社製のものを入手可能であり、また市販の炭水化物を既知のエステル化反応(例えば、特開平8−245678号公報に記載の方法)により容易に合成できる。
本発明の光学フィルム中の可塑剤の含有量は、セルロースアシレートとコアシェル構造を有する化合物を合わせた成分100質量部に対して1〜20質量部が好ましい。可塑剤の含有量をセルロースアシレートとコアシェル構造を有する化合物を合わせた成分100質量部に対して1質量部以上にすることで、偏光板耐久性の改良効果が得られやすく、また20質量部以下にすることで、ブリードアウトの発生が抑制される。光学フィルム中の可塑剤のさらに好ましい含有量は、セルロースアシレートとコアシェル構造を有する化合物を含む成分100質量部に対して2〜15質量部であり、特に好ましくは5〜15質量部である。
なお、これらの可塑剤は2種類以上添加してもよい。2種類以上添加する場合も、添加量の具体例および好ましい範囲は上記と同一である。
(偏光子耐久性改良剤)
本発明の光学フィルムは、下記一般式(IV)で表される化合物を含有しても良い。一般式(IV)記載の化合物のように、バルビツール酸が置換基として有する環構造を含む化合物を、セルロースアシレートを含有する光学フィルムに添加すると、偏光板耐久性を向上できる。
一般式(IV)
Figure 0006482414

一般式(IV)中、R、RおよびRは各々独立に、水素原子、アルキル基、シクロアルキル基、アルケニル基または芳香族基を表す。該アルキル基、シクロアルキル基、アルケニル基および芳香族基は置換基を有してもよい。ただし、R、RおよびRのいずれか1つが環構造を有する基が置換したアルキル基またはシクロアルキル基であり、かつR、RおよびRの中に存在する環構造は合計3個以上である。
上記R、RおよびRにおけるアルキル基の炭素数は、1〜20が好ましく、1〜10がより好ましく、1〜5がさらに好ましく、1〜3が特に好ましく、なかでもメチル基またはエチル基が好ましい。ただし、環構造を有する基が置換したアルキル基の場合、その炭素数は、7〜20が好ましく、7〜12がより好ましく、7〜10がさらに好ましい。環構造を有するアルキル基における環構造は、芳香族環(芳香族複素環を含む)であっても脂肪族環であってもよいが、芳香族炭化水素基または脂肪族環であることが好ましい。
上記R、RおよびRにおけるシクロアルキル基の炭素数は、3〜20が好ましく、3〜10がより好ましく、4〜8がさらに好ましく、5または6が特に好ましい。シクロアルキル基の具体例として、例えば、シクロプロピル、シクロペンチル、シクロへキシルが挙げられ、シクロヘキシルが特に好ましい。
上記R、RおよびRにおけるアルケニル基の炭素数は、2〜20が好ましく、2〜10がより好ましく、2〜5がさらに好ましい。例えば、ビニル、アリルが挙げられる。
上記R、RおよびRにおける芳香族基は、芳香族炭化水素基であっても芳香族複素環基であってもよいが、芳香族炭化水素基であることが好ましい。芳香族基の炭素数は、6〜20が好ましく、6〜16がより好ましく、6〜12がさらに好ましい。
芳香族基、なかでも芳香族炭化水素基としては、フェニル、ナフチルが好ましく、フェニルがより好ましい。
、RおよびRの上記の各基は、置換基を有してもよい。
該置換基としては、特に制限はなく、アルキル基(好ましくは炭素数1〜10で、例えばメチル、エチル、イソプロピル、t−ブチル、ペンチル、ヘプチル、1−エチルペンチル、ベンジル、2−エトキシエチル、1−カルボキシメチル等)、アルケニル基(好ましくは炭素数2〜20で、例えば、ビニル、アリル、オレイル等)、アルキニル基(好ましくは炭素数2〜20で、例えば、エチニル、ブタジイニル、フェニルエチニル等)、シクロアルキル基(好ましくは炭素数3〜20で、例えば、シクロプロピル、シクロペンチル、シクロヘキシル、4−メチルシクロヘキシル等)、アリール基(好ましくは炭素数6〜26で、例えば、フェニル、1−ナフチル、4−メトキシフェニル、2−クロロフェニル、3−メチルフェニル等)、ヘテロ環基(好ましくは炭素数0〜20のヘテロ環基で、環構成ヘテロ原子が酸素原子、窒素原子、硫黄原子が好ましく、5または6員環でベンゼン環やヘテロ環で縮環していてもよく、該環が飽和環、不飽和環、芳香環であってもよく、例えば、2−ピリジニル、3−ピリジニル、4−ピリジニル、2−イミダゾリル、2−ベンゾイミダゾリル、2−チアゾリル、2−オキサゾリル等)、アルコキシ基(好ましくは炭素数1〜20で、例えば、メトキシ、エトキシ、イソプロピルオキシ、ベンジルオキシ等)、アリールオキシ基(好ましくは炭素数6〜26で、例えば、フェノキシ、1−ナフチルオキシ、3−メチルフェノキシ、4−メトキシフェノキシ等)、
アルキルチオ基(好ましくは炭素数1〜20で、例えば、メチルチオ、エチルチオ、イソプロピルチオ、ベンジルチオ等)、アリールチオ基(好ましくは炭素数6〜26で、例えば、フェニルチオ、1−ナフチルチオ、3−メチルフェニルチオ、4−メトキシフェニルチオ等)、スルホニル基(好ましくはアルキルもしくはアリールのスルホニル基で、炭素数は1〜20が好ましく、例えば、メチルスルホニル、エチルスルホニル、ベンゼンスルホニル、トルエンスルホニル等)、アシル基(アルキルカルボニル基、アルケニルカルボニル基、アリールカルボニル基、ヘテロ環カルボニル基を含み、炭素数は20以下が好ましく、例えば、アセチル、ピバロイル、アクリロイル、メタクリロイル、ベンゾイル、ニコチノイル等)、アルコキシカルボニル基(好ましくは炭素数2〜20で、例えば、エトキシカルボニル、2−エチルヘキシルオキシカルボニル等)、アリールオキシカルボニル基(好ましくは炭素数7〜20で、例えば、フェニルオキシカルボニル、ナフチルオキシカルボニル等)、アミノ基(アミノ基、アルキルアミノ基、アリールアミノ基、ヘテロ環アミノ基を含み、好ましくは炭素数0〜20で、例えば、アミノ、N,N−ジメチルアミノ、N,N−ジエチルアミノ、N−エチルアミノ、アニリノ、1−ピロリジニル、ピペリジノ、モルホニル等)、スルホンアミド基(好ましくはアルキルもしくはアリールのスルホンアミド基で、炭素数は0〜20が好ましく、例えば、N,N−ジメチルスルホンアミド、N−フェニルスルホンアミド等)、スルファモイル基(好ましくはアルキルもしくはアリールのスルファモイル基で、炭素数は0〜20が好ましく、例えば、N,N−ジメチルスルファモイル、N−フェニルスルファモイル等)、アシルオキシ基(好ましくは炭素数1〜20で、例えば、アセチルオキシ、ベンゾイルオキシ等)、カルバモイル基(好ましくはアルキルもしくはアリールのカルバモイル基で、炭素数は1〜20が好ましく、例えば、N,N−ジメチルカルバモイル、N−フェニルカルバモイル等)、アシルアミノ基(好ましくは炭素数1〜20で、例えば、アセチルアミノ、アクリロイルアミノ、ベンゾイルアミノ、ニコチンアミド等)、シアノ基、ヒドロキシ基、メルカプト基またはハロゲン原子(例えばフッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子等)が挙げられる。
上記の置換基は、さらに上記の置換基で置換されていてもよい。例えば、トリフルオロメチルのようなパーフルオロアルキル基、アラルキル基、アシル基が置換したアルキル基等が挙げられる。
なお、これらの置換基は、R、R、Rの各基が有してもよい置換基のみでなく、本願明細書に記載の化合物における置換基に適用される。
ここで、R、RおよびRの各基が有してもよい上記の置換基のうち、アルキル基、アリール基、アルコキシ基、アルキルチオ基、アルキルスルホニル基、ハロゲン原子、アシル基が好ましく、アルキル基、アリール基、アルコキシ基、アシル基がより好ましく、アルキル基、アルコキシ基がさらに好ましい。
一般式(IV)で表される化合物は、R、RおよびRのいずれか1つが環構造を有する基が置換したアルキル基またはシクロアルキル基であるが、いずれか1つが環構造を有する基が置換したアルキル基であることが好ましい。
なかでも、Rが環構造を有する基が置換したアルキル基またはシクロアルキル基であるものが好ましい。
ここで、環構造を有する基の環は、ベンゼン環、ナフタレン環、シクロペンタン環、シクロヘキサン環、含窒素ヘテロ芳香環(例えば、ピロール環、ピラゾール環、イミダゾール環、オキサゾール環、チアゾール環、ピリジン環、インドール環、イソインドール環)が好ましい。
また、一般式(IV)で表される化合物は、R、RおよびRのうちの少なくとも2つが、置換基として環構造を有するアルキル基またはシクロアルキル基であることが好ましい。さらに、RおよびRが、各々独立に、置換基を有してもよいアルキル基、置換基を有してもよい芳香族基またはシクロアルキル基である場合が、なかでも好ましい。
一般式(I)で表される化合物は、R、RおよびRの置換基に存在する環構造の合計が最大4個であることがさらに好ましい。
は、環構造の基もしくはアシル基が置換してもよいアルキル基またはシクロアルキル基が好ましく、アリール基が置換したアルキル基、アシル基が置換したアルキル基(好ましくは、アシル基とアリール基が置換したアルキル基)またはシクロアルキル基がより好ましく、アリール基が置換したアルキル基またはシクロアルキル基がさらに好ましい。
以下、Rにおける、上記の好ましいアルキル基、シクロアルキル基をさらに説明する。
アルキル基のうち、無置換アルキル基としては、例えば、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、n−ブチル、n−ヘキシル、2−エチルヘキシル、n−オクチルが挙げられる。
環構造の基が置換したアルキル基としては、例えば、ベンジル、フェネチル、3−フェニルプロピル、ナフチルメチル等のアラルキル基、ピリジン−2−イルメチル、ピリジン−3−イルメチル、ピリジン−4−イルメチル、インドール−3−イルメチルが挙げられる。
アシル基が置換したアルキル基におけるアシル基は、アルキルカルボニル基、シクロアルキルカルボニル基、アリールカルボニル基が好ましく、環構造を有するシクロアルキルカルボニル基、アリールカルボニル基が、なかでも好ましく、アリールカルボニル基が特に好ましい。
上記のアルキルカルボニル基としては、例えば、アセチル、プロピオニル、ブチリル、ピバロイルが挙げられ、シクロアルキルカルボニル基としては、例えば、シクロプロピルカルボニル、シクロペンチルカルボニル、シクロヘキシルカルボニルが挙げられ、アリールカルボニル基としては、例えば、ベンゾイル、トルオイル、ナフトイルが挙げられる。
アシル基が置換したアルキル基は、例えば、2−アシルエチル基、3−アシルプロピル基、2−アシルプロピル基が挙げられ、2−アシルエチル基が好ましい。
アシル基が置換したアルキル基は、本発明においては、アシル基とともにアリール基が置換したアルキル基がなかでも好ましく、この場合のアリール基はフェニル基が好ましい。
アシル基とアリール基が置換したアルキル基としては、例えば、1−フェニル−2−ベンゾイルエチル、1−トリル−2−ベンゾイルエチルが挙げられる。
シクロアルキル基は、R、RおよびRで例示した基が挙げられる。
メカニズムは定かではないが、Rによる共役構造の拡張を抑制することにより一般式(IV)で表わされる化合物の吸収波長が短波長化していると考えられる。このような化合物とすることでセルロースアシレートと効果的に作用し、経時着色抑制やハードコート層との密着性向上に寄与していると考えられる。
一般式(IV)で表される化合物のうち、好ましい化合物を列挙すると以下の通りである。
・R、RおよびRのいずれか1つが、芳香族環が置換したアルキル基である化合物
なお、芳香族環が置換したアルキル基のなかでも、アルキル基に1個または2個のアリール基が置換したもの(2個のアリール基が置換した場合、同一炭素原子に置換していることが好ましい。)が好ましい。さらに、アルキル基にアリール基とアシル基(好ましくはアリーロイル基)が置換したものも好ましい。
・R、RおよびRのいずれか1つが、シクロアルキル基を含む基で、好ましくは、シクロアルキル基を含む基がシクロアルキル基である化合物
上記「R、RおよびRに存在する環構造が合計3個以上である」場合における環構造には、R、RまたはRの置換基の基本骨格そのものが環構造をとる場合の他、既に例示したように、R、RまたはRが有する置換基が環構造を有する形態も含まれる。
上記環構造としては、環状飽和炭化水素構造または芳香環構造(芳香族炭化水素構造または芳香族複素環構造)が好ましい。また、該環構造は縮環構造であってもよい。
上記環構造が環状飽和炭化水素構造である場合、当該環状飽和炭化水素構造は炭素数3〜20のシクロアルキル基として存在することが好ましい。より具体的には、シクロプロピル基、シクロペンチル基またはシクロへキシル基として存在することがより好ましく、シクロへキシル基として存在することが特に好ましい。
また、上記環構造が芳香環構造である場合、芳香族炭化水素構造であることが好ましい。当該芳香族炭化水素構造は、炭素数6〜20のアリール基として存在することが好ましい。より具体的には、フェニル基、ナフチル基として存在することがより好ましく、フェニル基として存在することが特に好ましい。
上記環構造は置換基を有してもよいが、無置換であることが好ましい。置換基を有する場合は、その好ましい範囲は、R、RおよびRの各基が有してもよい置換基と同様である。
一般式(IV)で表される化合物は、R、RおよびRが、アルキル基、アルケニル基またはアリール基であることがより好ましい。また、R、RおよびRが、それぞれ1個以上の環構造を有することがより好ましく、それぞれ環構造を1個有するのがさらに好ましい。
一般式(IV)で表される化合物の分子量は250〜1200が好ましく、300〜800がより好ましく、350〜600が特に好ましい。
分子量をこのような好ましい範囲にすることで、本発明の化合物におけるフィルムからの揮散抑制に優れ、透明性の高いフィルムを得ることができる。
以下に、本発明の一般式(IV)で表される化合物の具体例を示すが、本発明はこれらに限定されるものではない。
Figure 0006482414
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本発明の一般式(IV)で表される化合物は、尿素誘導体とマロン酸誘導体とを縮合させるバルビツール酸の合成法を用いて合成できることが知られている。窒素原子上に置換基を2つ有するバルビツール酸は、N,N’二置換型尿素とマロン酸クロリドを加熱するか、マロン酸と無水酢酸等の活性化剤を組合わせて加熱することにより得られ、例えば、Journal of the American Chemical Society,第61巻,1015頁(1939年)、Journal of Medicinal Chemistry,第54巻,2409頁(2011年)、Tetrahedron Letters,第40巻,8029頁(1999年)、国際公開第2007/150011号パンフレット等に記載の方法を好ましく用いることができる。
また、縮合に用いるマロン酸は、無置換のものでも置換基を有するものでもよく、Rに相当する置換基を有するマロン酸を用いれば、バルビツール酸を構築することにより本発明の一般式(IV)で表される化合物を合成することができる。また、無置換のマロン酸と尿素誘導体を縮合させると5位が無置換のバルビツール酸が得られるので、これを修飾することにより本発明の一般式(IV)で表される化合物を合成してもよい。
5位の修飾の方法としては、ハロゲン化アルキル等との求核置換反応やマイケル付加反応のような付加反応を用いることができる。また、アルデヒドやケトンと脱水縮合させてアルキリデンまたはアリーリデン化合物を生成させ、その後二重結合を還元する方法も好ましく用いることができる。例えば亜鉛による還元方法が、Tetrahedron Letters,第44巻,2203頁(2003年)に、接触還元による還元方法がTetrahedron Letters,第42巻,4103頁(2001年)やJournal of the American Chemical Society,第119巻,12849頁(1997年)に、NaBHによる還元方法が、Tetrahedron Letters,第28巻,4173頁(1987年)等にそれぞれ記載されている。これらはいずれも、5位にアラルキル基を有する場合やシクロアルキル基を有する場合に好ましく用いることができる合成方法である。
なお、本発明に用いる一般式(IV)で表される化合物の合成法は上記に限定されるものではない。
一般式(IV)で表される化合物の光学フィルム中の含有量は特に限定されないが、セルロースアシレートとコアシェル構造を有する化合物を合わせた100質量部に対して、0.1〜20質量部であることが好ましく、0.2〜15質量部であることがより好ましく、0.3〜10質量部であることが特に好ましい。
一般式(IV)で表される化合物の添加量を上記の範囲とすることで、透湿度を効果的に下げることが可能となり、またヘイズの発生が抑えられる。
一般式(IV)で表される化合物は水和物、溶媒和物もしくは塩の形態で添加してもよい。水和物は有機溶媒を含んでいてもよく、また溶媒和物は水を含んでいてもよい。即ち、「水和物」および「溶媒和物」には、水と有機溶媒のいずれも含む混合溶媒和物が含まれる。
溶媒和物が含む溶媒の例には、一般的な有機溶剤のいずれも含まれる。具体的には、アルコール(例えば、メタノール、エタノール、2−プロパノール、1−ブタノール、1−メトキシ−2−プロパノール、t−ブタノール)、エステル(例えば、酢酸エチル)、炭化水素(脂肪族もしくは芳香族炭化水素のいずれでもよく、例えば、トルエン、ヘキサン、ヘプタン)、エーテル(例えば、ジエチルエーテル、テトラヒドロフラン)、ニトリル(例えば、アセトニトリル)、ケトン(例えば、アセトン、2−ブタノン)等が挙げられる。好ましくは、アルコールの溶媒和物であり、より好ましくは、メタノール、エタノール、2−プロパノール、1−ブタノールである。これらの溶媒は、本発明の一般式(IV)で表される化合物の合成時に用いられる反応溶媒であっても、合成後の晶析精製の際に用いられる溶媒であってもよく、またはこれらの混合であってもよい。
また、二種類以上の溶媒を同時に含んでもよいし、水と溶媒を含む(例えば、水とアルコール(例えば、メタノール、エタノール、t−ブタノール)等)であってもよい。
塩としては、無機または有機酸で形成された酸付加塩が含まれる。無機酸は、ハロゲン化水素酸(塩酸、臭化水素酸)、硫酸、リン酸等が挙げられる。また、有機酸は、酢酸、トリフルオロ酢酸、シュウ酸、クエン酸が挙げられ、アルカンスルホン酸(メタンスルホン酸)、アリールスルホン酸(ベンゼンスルホン酸、4−トルエンスルホン酸、1,5−ナフタレンジスルホン酸)が挙げられる。
塩は、また、親化合物に存在する酸性部分が、金属イオン(例えばアルカリ金属塩、例えばナトリウム又はカリウム塩、アルカリ土類金属塩、例えば、カルシウムまたはマグネシウム塩、アンモニウム塩アルカリ金属イオン、アルカリ土類金属イオンまたはアルミニウムイオン)により置換されるか、あるいは有機塩基(エタノールアミン、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン、モルホリン、ピペリジン)と調整されたときに形成される塩が挙げられ、またこれらに限定されない。これらのうち好ましくはナトリウム塩、カリウム塩である。
(酸化防止剤)
本発明の光学フィルムは、酸化防止剤を含有することが好ましい。酸化防止剤を含有することにより、上記一般式(IV)で表される化合物の分解が抑制されより良好な偏光板耐久性の改良効果が得られる。
酸化防止剤としては、例えば、2,6−ジ−tert−ブチル−4−メチルフェノール、4,4'−チオビス−(6−tert−ブチル−3−メチルフェノール)、1,1'−ビス(4−ヒドロキシフェニル)シクロヘキサン、2,2'−メチレンビス(4−エチル−6−tert−ブチルフェノール)、2,5−ジ−tert−ブチルヒドロキノン、ペンタエリスリチル−テトラキス[3−(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート]等のフェノール系あるいはヒドロキノン系酸化防止剤が挙げられる。
トリス(4−メトキシ−3,5−ジフェニル)ホスファイト、トリス(ノニルフェニル)ホスファイト、トリス(2,4−ジ−tert−ブチルフェニル)ホスファイト、ビス(2,6−ジ−tert−ブチル−4−メチルフェニル)ペンタエリストールジホスファイト、ビス(2,4−ジ−tert−ブチルフェニル)ペンタエリスリトールジホスファイト等のリン系酸化防止剤やN,N−ジオクタデシルヒドロキシルアミン、N,N−ジベンジルヒドロキシルアミン等のヒドロキシルアミン系酸化防止剤を用いることも好ましい。
また、下記一般式(A)または後述の一般式(B)で表されるレダクトン類も本発明に用いる酸化防止剤として好ましい。
Figure 0006482414
一般式(A)中、RA1およびRA2は各々独立に、ヒドロキシ基、アミノ基、アシルアミノ基、アルキルスルホニルアミノ基、アリールスルホニルアミノ基、アルコキシカルボニルアミノ基、メルカプト基またはアルキルチオ基を表す。Xは炭素原子と酸素原子および/または窒素原子から構成され、−C(=O)−C(RA1)=C(RA2)−と共に5〜6員環を構成する非金属原子群を表す。
A1およびRA2はヒドロキシ基、アミノ基、アルキルスルホニルアミノ基またはアリールスルホニルアミノ基が好ましく、ヒドロキシ基またはアミノ基がより好ましく、ヒドロキシ基がさらに好ましい。
Xは、少なくとも1つの−O−結合を有し、−C(RA3)(RA4)−、−C(RA5)=、−C(=O)−、−N(Ra)−および−N=の1種または2種以上を組み合わせて構成されることが好ましい。ここで、RA3〜RA5およびRaは各々独立に、水素原子、炭素数1〜10の置換基を有してもよいアルキル基、置換基を有してもよい炭素数6〜15のアリール基、ヒドロキシ基またはカルボキシル基が好ましい。
Xを介して形成される上記の5〜6員環は、例えば、シクロペンテノン環(2−シクロペンテン−1−オン環;形成された化合物はレダクチン酸となる)、フラノン環〔2(5H)−フラノン環〕、ジヒドロピラノン環〔3,4−ジヒドロ−2H−ピラン−4−オン環(2,3−ジヒドロ−4H−ピロン環)、3,6−ジヒドロ−2H−ピラン−2−オン環、3,6−ジヒドロ−2H−ピラン−6−オン環(5,6−ジヒドロ−2−ピロン環)〕、3,4−ジヒドロ−2H−ピロン環が挙げられ、シクロペンテノン環、フラノン環、ジヒドロピロン環が好ましく、フラノン環、ジヒドロピロン環がさらに好ましく、フラノン環が特に好ましい。
これらの環は縮環していてもよく、該縮環する環としては、飽和環、不飽和環のいずれでもよい。
上記一般式(A)で表わされるレダクトン類のうち、下記一般式(A1)で表される化合物が好ましく、なかでも下記一般式(A2)で表される化合物が好ましい。
Figure 0006482414
一般式(A1)中、Ra1は水素原子、アルキル基、アリール基またはヘテロ環基を表し、それらは置換基を有していてもよい。
a1は置換基を有してもよいアルキル基が好ましく、−CH(ORa3)CHORa2がより好ましく、この場合、上記一般式(A2)で表される化合物となる。
一般式(A2)中、Ra2およびRa3は各々独立に、水素原子、アルキル基、アシル基またはアルコキシカルボニル基を表し、Ra2とRa3が互いに結合して環を形成してもよく、形成する環としては1,3−ジオキソラン環であることが好ましく、該環はさらに置換基を有していてもよい。ジオキソラン環を有する化合物は、アスコルビン酸とケトン類やアルデヒド類との反応による、アセタールもしくはケタール化で合成でき、原料のケトン類やアルデヒド類は特に制約なく用いることができる。
特に好ましい置換基の組合せのひとつは、Ra2がアシル基でRa3が水素原子である化合物であり、アシル基としては脂肪族アシル基と芳香族アシル基のどちらでもよく、脂肪族アシル基の場合には、炭素数が2〜30が好ましく、4〜24がより好ましく、8〜18がさらに好ましい。芳香族アシル基の場合には、炭素数は7〜24が好ましく、炭素数7〜22がより好ましく、炭素数7〜18がさらに好ましい。好ましいアシル基としては、ブタノイル、ヘキサノイル、2−エチルヘキサノイル、デカノイル、ラウロイル、ミリストイル、パルミトイル、ステアロイル、パルミトレイル、ミリストレイル、オレオイル、ベンゾイル、4−メチルベンゾイルおよび2−メチルベンゾイルを挙げることができる。
上記一般式(A)で表される化合物とともに、下記一般式(B)で表される化合物も好ましい。
Figure 0006482414
一般式(B)中、RB1およびRB2は各々独立に、水素原子、アルキル基、アルケニル基、シクロアルキル基、アリール基、アシル基、カルボキシ基、アミノ基、アルコキシ基、アルコキシカルボニル基または複素環基を表し、RB3およびRB4は各々独立に、ヒドロキシ基、アミノ基、アシルアミノ基、アルキルスルホニルアミノ基、アリールスルホニルアミノ基、アルコキシカルボニルアミノ基またはメルカプト基を表す。
B1およびRB2におけるアルキル基は、炭素数1〜10が好ましく、メチル、エチル、t−ブチルが好ましい。
B1およびRB2におけるアルキル基は、炭素数1〜10が好ましい。
B1およびRB2におけるアルケニル基は、炭素数2〜10が好ましく、ビニル、アリルが好ましく、特にビニルが好ましい。
B1およびRB2におけるシクロアルキル基は、炭素数3〜10が好ましく、シクロプロピル、シクロペンチル、シクロヘキシルが好ましい。
これらのアルキル基、アルケニル基、シクロアルキル基は置換基を有してもよく、該置換基はヒドロキシ基、カルボキシル基およびスルホ基から選ばれる少なくとも1種が好ましい。
なお、アルケニル基がビニルの場合、カルボキシル基が置換したビニル基も好ましい。
B1およびRB2におけるアリール基は、炭素数6〜12が好ましい。アリール基は置換基を有してもよく、該置換基はアルキル基、ヒドロキシ基、カルボキシル基、スルホ基、ハロゲン原子、ニトロ基およびシアノ基から選ばれる少なくとも1種が好ましい。
B1およびRB2におけるアシル基は、ホルミル、アセチル、イソブチリルまたはベンゾイルが好ましい。
B1およびRB2におけるアミノ基は、アミノ基、アルキルアミノ基、アリールアミノ基を含み、アミノ、メチルアミノ、ジメチルアミノ、エチルアミノ、ジエチルアミノ、ジプロピルアミノ、フェニルアミノ、N−メチル−N−フェニルアミノが好ましい。
B1およびRB2におけるアルコキシ基は、炭素数1〜10が好ましく、メトキシまたはエトキシが好ましい。
B1およびRB2におけるアルコキシカルボニル基はメトキシカルボニルが好ましい。
B1およびRB2における複素環基は、環構成ヘテロ原子が酸素原子、硫黄原子または窒素原子が好ましく、環構造が5員環または6員環であることが好ましい。該複素環基は、芳香族複素環基であっても飽和複素環基であっても、また縮環していても構わない。
複素環基における複素環は、ピリジン環、ピリミジン環、ピロール環、フラン環基、チオフェン環、ピラゾール環、ピペリジン環、ピペラジン環またはモルホリン環が好ましい。
B1およびRB2は、より好ましくは炭素数1〜6のアルキル基または炭素数6〜12のアリール基である。
B3およびRB4におけるアミノ基は、アミノ基、アルキルアミノ基、アリールアミノ基を含み、アミノ基やメチルアミノ、エチルアミノ、n−ブチルアミノ、ヒドロキシエチルアミノのようなアルキルアミノ基が好ましい。
B3およびRB4におけるアシルアミノ基は、アセチルアミノまたはベンゾイルアミノが好ましい。
B3およびRB4におけるアルキルスルホニルアミノ基は、メチルスルホニルアミノが好ましい。
B3およびRB4におけるアリールスルホニルアミノ基は、ベンゼンスルホニルアミノまたはp−トルエンスルホニルアミノが好ましい。
B3およびRB4におけるアルコキシカルボニルアミノ基は、メトキシカルボニルアミノが好ましい。
B3およびRB4はヒドロキシ基、アミノ基、アルキルスルホニルアミノ基またはアリールスルホニルアミノ基がより好ましい。
本発明に用いる酸化防止剤は、レダクトン類がより好ましく、具体例としては、特開6−27599号公報の段落番号0014〜0034に例示の化合物、特開平6−110163号公報の段落番号0012〜0020に例示の化合物、特開平8−114899号公報の段落番号0022〜0031に例示の化合物を挙げることができる。
なかでも、L−アスコルビン酸のミリスチン酸エステル、パルミチン酸エステル、ステアリン酸エステルが特に好ましい。
上記酸化防止剤を光学フィルムに添加するタイミングは、製膜される時点で添加されていれば特に限定されない。例えば、セルロースアシレートやコアシェル構造を有する化合物の合成時点で添加してもよいし、ドープ調製時に混合してもよい。
光学フィルム中の酸化防止剤の含有量は、セルロースアシレートやコアシェル構造をあわせた100質量部に対して、0.0001〜5.0質量部が好ましい。酸化防止剤の含有量を上記範囲内とすることで、十分な酸化防止効果と偏光子耐久性を得ることができる。光学フィルム中の酸化防止剤の含有量は、さらに好ましくは0.001〜1.0質量部であり、より好ましくは、0.01質量部〜0.5質量部である。
(ラジカル捕捉剤)
本発明の光学フィルムは、ラジカル捕捉剤を含有することが好ましい。ラジカル捕捉剤を含有することにより、上記一般式(IV)で表される化合物の分解が抑制され、より良好な偏光子の耐久性が得られる。
本発明に用いうるラジカル捕捉剤としては、下記一般式(H)で表される化合物(HALS)が好ましい。
Figure 0006482414
一般式(H)中、RH1およびRH2は各々独立に、水素原子または置換基を表し、R
H01〜RH04は各々独立にアルキル基を表す。
H1における置換基は特に限定はないが、アルキル基であるか、または窒素原子もしくは酸素原子でピペリジン環と結合する置換基が好ましい。窒素原子もしくは酸素原子でピペリジン環と結合する置換基は、アミノ基、アシルアミノ基、ヒドロキシ基、アルコキシ基、アリールオキシ基またはアシルオキシ基が好ましい。これらの基は置換基を有していてもよい。
H1における置換基は、アルキル基、アリール基もしくはヘテロ環基を有するアミノ
基、さらにはヒドロキシ基、アルコキシ基またはアシルオキシ基が好ましい。
H2における置換基は特に限定はないが、アルキル基(好ましくは炭素原子数1〜20、より好ましくは1〜12、さらに好ましくは1〜8であり、なかでも、メチル、エチル、イソプロピル、tert−ブチル、n−オクチル、2−エチルヘキシル、n−デシル、n−ヘキサデシル)、アルケニル基(好ましくは炭素原子数2〜20、より好ましくは2〜12、さらに好ましくは2〜8であり、さらに好ましくは、ビニル、アリル、2−ブテニルまたは3−ペンテニル)、アルキニル基(好ましくは炭素原子数2〜20、より好ましくは2〜12、さらに好ましくは2〜8であり、さらに好ましくは、プロパルギル、たは3−ペンチニル)、シクロアルキル基(好ましくは炭素数3〜20、より好ましくは3〜12、さらに好ましくは3〜8で、シクロプロピル、シクロペンチルまたはシクロヘキシル)、アリール基(好ましくは炭素数6〜30、より好ましくは6〜20、さらに好ましくは6〜12であり、さらに好ましくは、フェニル、ビフェニルまたはナフチル)、アミノ基(アミノ基、アルキルアミノ基、アリールアミノ基を含み、好ましくは炭素原子数0〜20、より好ましくは0〜10、さらに好ましくは0〜6であり、さらに好ましくは、アミノ、メチルアミノ、ジメチルアミノ、ジエチルアミノ、フェニルアミノ、N−メチル−N−フェニルアミノまたはジベンジルアミノ)、アルコキシ基(好ましくは炭素原子数1〜20、より好ましくは1〜12、さらに好ましくは1〜8であり、さらに好ましくは、メトキシ、エトキシ、ブトキシ)、シクロアルキルオキシ基(シクロアルキルオキシ基におけるシクロアルキル環は、好ましくは3〜8員環で、炭素数3〜20が好ましく、シクロアルキルオキシ基は、好ましくはシクロプロピルオキシ、シクロペンチルオキシ、シクロヘキシルオキシ)、アシル基(アルキルカルボニル基、アリールカルボニル基を含み、好ましくは炭素数2〜20、より好ましくは2〜16、さらに好ましくは2〜8であり、さらに好ましくは、アセチル、プロピオニル、2−エチルヘキサノイルまたはベンゾイル)、ヒドロキシ基またはオキシラジカル基(−O・)が好ましい。
H01〜RH04は、炭素数1〜6のアルキル基が好ましく、エチルまたはメチルがより好ましく、R01〜R04の全てが、メチルであることがさらに好ましい。
上記一般式(H)で表される化合物は、4−ヒドロキシ−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン、1−アリル−4−ヒドロキシ−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン、1−ベンジル−4−ヒドロキシ−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン、1−(4−t−ブチル−2−ブテニル)−4−ヒドロキシ−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン、4−ステアロイルオキシ−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン、1−エチル−4−サリチロイルオキシ−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン、4−メタクリロイルオキシ−1,2,2,6,6−ペンタメチルピペリジン、1,2,2,6,6−ペンタメチルピペリジン−4−イル−β(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)−プロピオネート、1−ベンジル−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン−4−イルマレイネート、ビス(2,2,6,6−テトラメチルピペリジン−4−イル)アジペート、ビス(2,2,6,6−テトラメチルピペリジン−4−イル)セバケート、ビス(1,2,3,6−テトラメチル−2,6−ジエチル−ピペリジン−4−イル)セバケート、ビス(1−アリル−2,2,6,6−テトラメチル−ピペリジン−4−イル)フタレート、1−アセチル−4−アセトキシ−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン、トリメリト酸−トリス(2,2,6,6−テトラメチルピペリジン−4−イル)エステル、1−アクリロイル−4−ベンジルオキシ−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン、
ジブチルマロン酸−ビス(1,2,2,6,6−ペンタメチル−ピペリジン−4−イル)エステル、ジベンジルマロン酸−ビス(1,2,3,6−テトラメチル−2,6−ジエチル−ピペリジン−4−イル)エステル、ジメチル−ビス(2,2,6,6−テトラメチルピペリジン−4−イルオキシ)−シラン,トリス(1−プロピル−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン−4−イル)−ホスフィット、トリス(1−プロピル−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン−4−イル)−ホスフェート,N,N′−ビス(2,2,6,6−テトラメチルピペリジン−4−イル)−ヘキサメチレン−1,6−ジアミン、テトラキス(2,2,6,6−テトラメチルピペリジン−4−イル)−1,2,3,4−ブタンテトラカルボキシレート、テトラキス(1,2,2,6,6−ペンタメチルピペリジン−4−イル)−1,2,3,4−ブタンテトラカルボキシレート、N,N’−ビス−(2,2,6,6−テトラメチルピペリジン−4−イル)−ヘキサメチレン−1,6−ジアセトアミド、1−アセチル−4−(N−シクロヘキシルアセトアミド)−2,2,6,6−テトラメチル−ピペリジン、4−ベンジルアミノ−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン、N,N’−ビス−(2,2,6,6−テトラメチルピペリジン−4−イル)−N,N’−ジブチル−アジパミド、N,N’−ビス(2,2,6,6−テトラメチルピペリジン−4−イル)−N,N’−ジシクロヘキシル−(2−ヒドロキシ)プロピレンンジアミン、N,N’−ビス−(2,2,6,6−テトラメチルピペリジン−4−イル)−p−キシリレン−ジアミン、4−ビス(2−ヒドロキシエチル)アミノ−1,2,2,6,6−ペンタメチルピペリジン、4−メタクリルアミド−1,2,2,6,6−ペンタメチルピペリジンおよびα−シアノ−β−メチル−β−[N−(2,2,6,6−テトラメチルピペリジン−4−イル)]−アミノ−アクリル酸メチルエステルから選ばれる少なくとも1種が好ましい。
さらに、好ましくは、N,N’,N”,N’”−テトラキス−[4,6−ビス−〔ブチル−(N−メチル−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン−4−イル)アミノ〕−トリアジン−2−イル]−4,7−ジアザデカン−1,10−ジアミン、ジブチルアミンと1,3,5−トリアジン・N,N’−ビス(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)−1,6−ヘキサメチレンジアミンとN−(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)ブチルアミンとの重縮合物(BASF社製 CHIMASSORB 2020FDL)、ジブチルアミンと1,3,5−トリアジンとN,N’−ビス(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)ブチルアミンとの重縮合物、ポリ〔{(1,1,3,3−テトラメチルブチル)アミノ−1,3,5−トリアジン−2,4−ジイル}{(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)イミノ}ヘキサメチレン{(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)イミノ}〕(BASF社製 CHIMASSORB 944FDL)、1,6−ヘキサンジアミン−N,N’−ビス(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)とモルホリン−2,4,6−トリクロロ−1,3,5−トリアジンとの重縮合物、ポリ[(6−モルホリノ−s−トリアジン−2,4−ジイル)〔(2,2,6,6,−テトラメチル−4−ピペリジル)イミノ〕−ヘキサメチレン〔(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)イミノ〕]等の、ピペリジン環がトリアジン骨格を介して複数結合した高分子量HALS、
または、コハク酸ジメチルと4−ヒドロキシ−2,2,6,6−テトラメチル−1−ピペリジンエタノールとの重縮合物、1,2,3,4−ブタンテトラカルボン酸と1,2,2,6,6−ペンタメチル−4−ピペリジノールと3,9−ビス(2−ヒドロキシ−1,1−ジメチルエチル)−2,4,8,10−テトラオキサスピロ[5,5]ウンデカンとの混合エステル化物等の、ピペリジン環がエステル結合を介して結合した高分子量HALSを好適に用いることができるが、本発明はこれらに限定されるものではない。
これらの中でも、ジブチルアミンと1,3,5−トリアジンとN,N’−ビス(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)ブチルアミンとの重縮合物、ポリ〔{(1,1,3,3−テトラメチルブチル)アミノ−1,3,5−トリアジン−2,4−ジイル}{(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)イミノ}ヘキサメチレン{(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)イミノ}およびコハク酸ジメチルと4−ヒドロキシ−2,2,6,6−テトラメチル−1−ピペリジンエタノールとの重縮合物から選ばれ、数平均分子量は2000〜5000が好ましい。
ラジカル捕捉剤としては、下記構造(Hα)で表される化合物(商品名、Sunlizer HA−622、株式会社ソート製)および下記構造(Hβ)で表される化合物も好適である。
Figure 0006482414
なお、上記構造(Hα)におけるmは2〜30である。
上記構造(Hα)または(Hβ)の化合物は、BASF社(旧チバ・スペシャルティ・ケミカルズ株式会社)製の商品名、CHIMASSORB 2020FDL(CAS−No.192268−64−7)、CHIMASSORB 944FDL(CAS−No.71878−19−8)およびTINUVIN 770DF(CAS−No.52829−07−9)、サンケミカル株式会社製の商品名、サイアソーブUV−3346(CAS−No.82541−48−7)、同サイアソーブUV−3529(CAS−No.193098−40−7)として上市され、入手可能である。
また、下記一般式(H1)で表される化合物は、塩基性が低く、偏光性能に対する副作用が小さいという理由から、本発明の光学フィルムに特に好ましく用いることができる。
Figure 0006482414
一般式(H1)中、ZH1はアルキル基、シクロアルキル基またはアリール基を表し、YH1は水素原子または置換基を表す。RH01〜RH04は、上記一般式(H)のR
01〜RH04と同義であり、好ましい態様も同一である。
H1は置換基を有してもよいアルキル基またはシクロアルキル基が好ましく、分岐構造を有する無置換アルキル基、アリール基を置換基として有するアルキル基またはシクロアルキル基がより好ましく、シクロアルキル基がさらに好ましい。なお、ZH1が有する置換基は特に限定しない。
H1におけるアルキル基の炭素数は1〜20が好ましく、1〜14がさらに好ましい。ZH1におけるシクロアルキル基の炭素数は3〜20が好ましく、3〜14がさらに好ましい。また、ZH1におけるアリール基の炭素数は6〜20が好ましく、6〜14がさらに好ましい。
H1は置換基が好ましい。YH1における置換基は特に限定されないが、窒素原子または酸素原子でピペリジン環と結合する置換基が好ましく、また、置換基を有していてもよいアミノ基、ヒドロキシ基、アルコキシ基(炭素数は、好ましくは1〜20、より好ましくは1〜14)、アリールオキシ基(炭素数は、好ましくは6〜20、より好ましくは6〜12)、またはアシルオキシ基(炭素数は、好ましくは2〜20、より好ましくは2〜14)であることがより好ましく、炭素数1〜10のアルキル基、炭素数6〜12のアリール基またはヘテロ環基を置換基として有するアミノ基、ヒドロキシ基、炭素数1〜10のアルコキシ基、または炭素数2〜10のアシルオキシ基がさらに好ましい。
一般式(H1)で表される化合物は、特にピペリジン環の窒素(N)が、ZH1で表される置換基を有していてもよいアルキル基またはアリール基と、エーテル結合している点に特徴がある。この「N−O−ZH1」の構造を含む上記一般式(H1)で表されるピペリジン骨格を有する化合物を、本願明細書では「NOZH1型」と呼ぶ。
その他、ピペリジン環の窒素(N)に水素のみが直接結合した化合物は「NH型」と呼び、窒素(N)にメチル基のみが直接結合した化合物は「NCH型」と呼ぶ。NH型およびNCH型は、NOZH1型と比較して塩基性が強い。本発明では塩基性の弱いNOZH1型の化合物を用いることで、偏光板に本発明の光学フィルムを組み込んで高温高湿下で長期間使用した際の偏光子性能劣化をより効果的に抑制することができる。
一般式(H1)で表されるNOZH1型の化合物は、所定のピペリジン骨格を有するものであれば限定されないが、下記一般式(H1−1)または(H1−2)で表される化合物が好ましい。
Figure 0006482414
一般式(H1−1)、(H1−2)中、RH01〜RH04は、上記一般式(H)におけるRH01〜RH04と同義であり、好ましい範囲も同じである。ZH2は置換基を有してもよいアルキル基またはアリール基を表す。RH11およびRH12は各々独立に、アルキル基、アリール基、アシル基または複素環基を表す。RH13は水素原子、アルキル基、アシル基またはアリール基を表す。
H2の好ましい範囲は、上記一般式(H1)のZH1と同じである。
H11は水素原子またはアルキル基がより好ましく、水素原子または炭素数1〜6のアルキル基が特に好ましく、プロピル基またはブチル基がより特に好ましい。
H12はアルキル基または複素環基がより好ましく、炭素数1〜6のアルキル基または環員数1〜2の窒素原子を含む複素環基が特に好ましく、トリアジンが特に好ましい。 RH13は水素原子、炭素数1〜12のアルキル基または炭素数1〜12のアシル基が好ましく、炭素数1〜12のアシル基が特に好ましい。
上記RH11〜RH13における上記の各基は置換基で置換されていてもよい。このような置換基としては、例えば、一般式(H1)からYH1を取り除いた置換基を有していてもよい。
上記一般式(H1−1)または(H1−2)で表される化合物は、下記一般式(H1−a)〜(H1−c)で表される化合物が好ましい。
Figure 0006482414
一般式(H1−a)〜(H1−c)中、RH11およびRH12、RH13、ZH1およびZH2は、各々、上記RH11およびRH12、RH13、ZH1およびZH2と同様であり、好ましい範囲も同じである。RH01〜RH04は上記一般式(H)における
H01〜RH04と同義であり、好ましい範囲も同じである。
一般式(H1−c)中、RH05〜RH06は各々独立にアルキル基を表し、RHaおよびRHbは各々独立に水素原子、アルキル基、アリール基または複素環基を表し、WH1は置換基を表す。
以下に上記一般式(H)で表される化合物の好ましい例を示すが、本発明はこれらに限定されるものではない。
Figure 0006482414
Figure 0006482414
上記化合物HA−11(製品名「TINUVIN 152」、チバ・スペシャルティ・ケミカルズ株式会社製、CAS−No. 191743−75−6)および化合物HA−
12(製品名「FLAMESTAB NOR 116 FF」、チバ・スペシャルティ・ケミカルズ株式会社製、CAS−No. 191680−81−6)は市場から容易に入手可能である。
また、下記化合物HA−13(製品名「TINUVIN 123」、チバ・スペシャルティ・ケミカルズ株式会社製、CAS−No. 129757−67−1)もラジカル捕
捉剤として好ましく用いることができる。
Figure 0006482414
なお、上記一般式(H)で表される化合物は、上述のように商業的に入手してもよいが、合成により製造したものを用いてもよい。上記一般式(H)で表される化合物の合成方法としては特に制限はなく、通常の有機合成における手法により合成可能である。また、精製方法としては、蒸留、再結晶、再沈、ろ過剤・吸着剤を用いる方法を適宜使用することができる。さらに、通常市販される安価に入手可能なものは上記一般式(H)で表される化合物単独ではなく、混合物であることもあるが、本発明においては、ラジカル捕捉剤として機能する限り、製造方法、組成、融点、酸価等によらず利用することができる。
上記一般式(H)で表される化合物は、その分子量に制限はないが、光学フィルムからの揮発抑制の観点から、下記の分子量のように、ある程度高分子である方が好ましい。適度な分子量に調整することで、セルロースアシレートやコアシェル構造を有する化合物との相溶性に優れ、透明性の高いフィルムが得られる。
従って、上記一般式(H)で表される化合物の分子量は300〜100000が好ましく、500〜50000がより好ましく、700〜30000が特に好ましい。
上記一般式(H)で表される化合物を光学フィルムに添加するタイミングは、製膜される時点で添加されていれば特に限定されない。例えば、セルロースアシレートやコアシェル構造を有する化合物の合成時点で添加してもよいし、ドープ調製時に混合してもよい。
光学フィルム中の上記一般式(H)で表される化合物の含有量は、セルロースアシレートやコアシェル構造を有する化合物を合わせた100質量部に対して、0.0001〜5.0質量部が好ましい。光学フィルム中の上記一般式(H)で表される化合物の含有量を上記範囲内とすることで、十分な酸化防止効果と偏光子耐久特性を得ることができる。光学フィルム中の上記一般式(H)で表される化合物の含有量は、さらに好ましくは0.001〜2.0質量部であり、さらに好ましくは、0.01〜1.0質量部である。
(紫外線吸収剤)
本発明の光学フィルムに、偏光板または液晶等の劣化防止の観点から、紫外線吸収剤を加えてもよい。紫外線吸収剤は、波長370nm以下の紫外線の吸収能に優れ、かつ良好な液晶表示性の観点から、波長400nm以上の可視光の吸収が少ないものが好ましく用いられる。本発明に用いられる紫外線吸収剤は、ヒンダードフェノール化合物、ヒドロキシベンゾフェノン化合物、ベンゾトリアゾール化合物、サリチル酸エステル化合物、ベンゾフェノン化合物、シアノアクリレート化合物およびニッケル錯塩化合物から選ばれる少なくとも1種が好ましい。
ヒンダードフェノール化合物に特に制限はないが、2,6−ジ−tert−ブチル−p−クレゾール、ペンタエリスリチル−テトラキス〔3−(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート〕、N,N'−ヘキサメチレンビス(3,5
−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシ−ヒドロシンナミド)、1,3,5−トリメチル−2,4,6−トリス(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシベンジル)ベンゼンおよびトリス−(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシベンジル)−イソシアヌレートから選ばれる少なくとも1種が好ましい。
ベンゾトリアゾール化合物に特に制限はないが、2−(2’−ヒドロキシ−5’−メチルフェニル)ベンゾトリアゾール、2,2−メチレンビス〔4−(1,1,3,3−テトラメチルブチル)−6−(2H−ベンゾトリアゾール−2−イル)フェノール〕、(2,4−ビス−(n−オクチルチオ)−6−(4−ヒドロキシ−3,5−ジ−tert−ブチルアニリノ)−1,3,5−トリアジン、トリエチレングリコール−ビス〔3−(3−tert−ブチル−5−メチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート〕、N,N'−
ヘキサメチレンビス(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシ−ヒドロシンナミド)、1,3,5−トリメチル−2,4,6−トリス(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシベンジル)ベンゼン、2−(2'−ヒドロキシ−3',5'−ジ−tert
−ブチルフェニル)−5−クロルベンゾトリアゾール、2−(2'−ヒドロキシ−3',5'−ジ−tert−アミルフェニル)−5−クロルベンゾトリアゾール、2,6−ジ−tert−ブチル−p−クレゾール、およびペンタエリスリチル−テトラキス〔3−(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート、2−(3,5−ジ−tert−アミル−2−ヒドロキシフェニル)ベンゾトリアゾール、2−(2H−ベンゾトリアゾール−2−イル)−6−(1−メチル−1−フェニルエチル)−4−(1,1,3,3−テトラメチルブチル)フェノール〕から選ばれる少なくとも1種が好ましい。
これらの化合物は、市販品ではチヌビン99−2、チヌビン109、チヌビン171、チヌビン320、チヌビン326、チヌビン327、チヌビン328、チヌビン329、チヌビン343、チヌビン900、チヌビン928、チヌビンP、チヌビンPS等のチヌビン類があり、これらはいずれもBASF社の製品であり、好ましく使用できる。
光学フィルム中の紫外線吸収剤の含有量は、質量ベースで1ppm〜10%が好ましく、1ppm〜5.0%がより好ましく、10ppm〜3.0%がさらに好ましい。
(劣化防止剤)
セルロースアシレートやコアシェル構造を有する化合物の劣化防止剤として、過酸化物分解剤、ラジカル禁止剤、金属不活性化剤として知られる添加剤を用いても良い。これらの安定化剤としては例えば、特開2006−251746号公報の段落番号0074〜0081、0082〜0117に記載の化合物が挙げられる。
また、アミン類も劣化防止剤として知られており、例えば特開平5−194789号公報の段落番号0009〜0080に記載の化合物や、トリ−n−オクチルアミン、トリイソオクチルアミン、トリス(2−エチルヘキシル)アミン、N,N−ジメチルドデシルアミン等の脂肪族アミンが挙げられる。
また、2個以上のアミノ基を有する多価アミン類を用いることも好ましく、多価アミンとしては、第一級または第二級のアミノ基を2個以上有しているものが好ましい。2個以上のアミノ基を有する化合物としては、含窒素ヘテロ環化合物(ピラゾリジン環、ピペラジン環等を有する化合物)、ポリアミン系化合物(鎖状もしくは環状のポリアミンで、例えば、ジエチレントリアミン、テトラエチレンペンタミン、N,N’−ビス(アミノエチル)−1,3−プロパンジアミン、N,N,N’,N”,N”−ペンタキス(2−ヒドロキシプロピル)ジエチレントリアミン、ポリエチレンイミン、変性ポリエチレンイミン、シクラムを基本骨格して含む化合物)等が挙げられる。
該多価アミノの具体例としては、ジエチレントリアミン、トリエチレンテトラミン、テトラエチレンペンタミン、ペンタエチレンヘキサミン、ジプロピレントリアミン、トリプロピレンテトラミン、アミノエチルエタノ−ルアミン、ポリエチレンイミン、エチレンオキサイド変性ポリエチレンイミン、プロピレンオキサイド変性ポリエチレンイミン、ポリアリルアミン、ポリビニルアミン、N’,N'−テトラキス(2−ヒドロキシエチル)エ
チレンジアミン、N,N,N’,N’−テトラキス(2−ヒドロキシプロピル)エチレンジアミン、N,N,N’,N”,N”−ペンタキス(2−ヒドロキシプロピル)ジエチレントリアミン等が挙げられる。また、市販品では、例えば、(株)日本触媒社製エポミンSP−006、SP−012、SP−018、PP−061等が挙げられる。
光学フィルム中の劣化防止剤の含有量は、質量ベースで1ppm〜10%が好ましく、1ppm〜5.0%がより好ましく、10ppm〜5000ppmがさらに好ましい。
(マット剤)
本発明の光学フィルムには、フィルムすべり性、および安定製造の観点からマット剤を加えてもよい。マット剤は、無機化合物のマット剤であっても、有機化合物のマット剤であってもよい。
無機化合物のマット剤は、ケイ素を含む無機化合物(例えば、二酸化ケイ素、焼成ケイ酸カルシウム、水和ケイ酸カルシウム、ケイ酸アルミニウム、ケイ酸マグネシウム等)、酸化チタン、酸化亜鉛、酸化アルミニウム、酸化バリウム、酸化ジルコニウム、酸化ストロンチウム、酸化アンチモン、酸化スズ、酸化スズ・アンチモン、炭酸カルシウム、タルク、クレイ、焼成カオリンおよびリン酸カルシウムから選ばれる少なくとも1種が好ましく、更に好ましくはケイ素を含む無機化合物および酸化ジルコニウムから選ばれる少なくとも1種であるが、光学フィルムの濁度をより低減する観点から、二酸化ケイ素を用いるのが特に好ましい。
二酸化ケイ素の微粒子は、例えば、アエロジルR972、R974、R812、200、300、R202、OX50、TT600(以上日本アエロジル(株)製)等の商品名を有する市販品が使用できる。酸化ジルコニウムの微粒子は、例えば、アエロジルR976およびR811(以上日本アエロジル(株)製)等の商品名で市販されているものが使用できる。
有機化合物のマット剤に特に制限はないが、シリコーン樹脂、フッ素樹脂およびアクリル樹脂から選ばれる少なくとも1種のポリマーが好ましく、中でも、シリコーン樹脂が好ましい。シリコーン樹脂の中でも、特に三次元の網状構造を有するものが好ましく、例えば、トスパール103、トスパール105、トスパール108、トスパール120、トスパール145、トスパール3120およびトスパール240(以上東芝シリコーン(株)製)等の商品名を有する市販品が使用できる。
これらのマット剤を光学フィルムに添加するタイミングは、製膜される時点で添加されていれば特に限定されない。例えば、セルロースアシレートやコアシェル構造を有する化合物と溶媒を混合する段階で添加物を含有させてもよいし、セルロースアシレートやコアシェル構造を有する化合物と溶媒で混合溶液を作製した後に、添加物を添加してもよい。
更にはドープを流延する直前に添加混合してもよく、その混合はスクリュー式混練をオンラインで設置して行われることが好ましい。具体的には、インラインミキサーのような静的混合機を用いることが好ましい。また、インラインミキサーとしては、例えば、スタチックミキサーSWJ(東レ静止型管内混合器Hi−Mixer)(東レエンジニアリング製)のようなものが好ましい。
なお、インライン添加に関しては、濃度ムラ、粒子の凝集等をなくすために、特開2003−053752号公報に記載の方法を用いることができる。さらに、添加剤のブリードアウトが少なく、かつ層間の剥離現象もなく、しかも滑り性が良好で透明性に優れた位相差フィルムとするために特開2003−014933号公報に記載の方法を用いることもできる。
光学フィルム中のマット剤の含有量は、0.05〜1.0質量%が特に好ましい。このような値とすることで、光学フィルムのヘイズが大きくならず、実際に液晶表示装置に使用した場合、コントラストの低下および輝点の発生等の不都合の抑制に寄与する。また、上記のキシミ、耐擦傷性を実現することができる。これらの観点から光学フィルム中のマット剤の含有量は0.05〜1.0質量%が特に好ましい。
(剥離促進剤)
本発明の光学フィルムは公知の剥離促進剤を添加してもよい。上記公知の剥離促進剤としては、例えば特開2006−45497号公報の段落番号0048〜0081に記載の化合物、特開2002−322294号公報の段落番号0077〜0086に記載の化合物、特開2012−72348号公報の段落番号0030〜0056に記載の化合物等を、好ましく用いることができる。
有機酸としては、特開2002−322294号公報の段落番号0079〜0082に記載の化合物が挙げられ、例えば、クエン酸、シュウ酸、アジピン酸、コハク酸、リンゴ酸、酒石酸等が挙げられる。
さらに有機酸としては、アミノ酸類も好ましく、例えば、アスパラギン、アスパラギン酸、アデニン、アラニン、β−アラニン、アルギニン、イソロイシン、グリシン、グルタミン、グルタミン酸、セリン、チロシン、トリプトファン、トレオニン、ノルロイシン、バリン、フェニルアラニン、メチオニン、リシン、ロイシン等が挙げられる。
有機酸は遊離酸として用いてもよく、アルカリ金属塩、アルカリ土類金属塩、遷移金属を含む重金属の塩が挙げられる。各塩の金属のうち、アルカリ金属は、リチウム、カリウム、ナトリウム等が例示でき、アルカリ土類金属は、カルシウム、マグネシウム、バリウム、ストロンチウム等が例示できる。遷移金属を含む重金属は、アルミニウム、亜鉛、スズ、ニッケル、鉄、鉛、銅、銀等が例示できる。また、炭素数5以下の置換、無置換のアミン類の塩も好ましく、該塩のアミンとしては、例えばアンモニウム、メチルアミン、エチルアミン、プロピルアミン、ブチルアミン、ジメチルアミン、トリメチルアミン、トリエチルアミン、ヒドロキシエチルアミン、ビス(ヒドロキシエチル)アミン、トリス(ヒドロキシエチル)アミン等が例示できる。好ましい金属は、アルカリ金属ではナトリウム、アルカリ土類金属ではカルシウム、マグネシウムである。これらのアルカリ金属、アルカリ土類金属はそれぞれ単独もしくは二種以上組み合わせて使用でき、アルカリ金属とアルカリ土類金属とを併用してもよい。
多価カルボン酸誘導体としては、エステル化合物とアミド化合物が好ましい。
カルボン酸成分は、多価のカルボン酸で、該カルボン酸は、脂肪族または芳香族のいずれのカルボン酸であっても構わないが、脂肪族カルボン酸が好ましい。脂肪族カルボン酸は、飽和、不飽和であっても、直鎖状、分岐鎖状または環状の脂肪族のカルボン酸が好ましく、置換基を有していても構わない。該置換基は、アルキル基、アルケニル基、アリール基、ヒドロキシ基、アミノ基、アルコキシ基、アルケニルオキシ基、アシルオキシ基、アシルアミノ基が挙げられる。
芳香族カルボン酸は、フタル酸、テレフタル酸、イソフタル酸、1、3、5−ベンゼントリカルボン酸等が挙げられ、脂肪族カルボン酸は、シュウ酸、マロン酸、コハク酸、グルタル酸、アジピン酸、セバシン酸が挙げられ、置換基を有する脂肪族カルボン酸としては、リンゴ酸、クエン酸、酒石酸が挙げられる。
多価カルボン酸エステルは、アルコール成分である、エステル官能基の−C(=O)−O−の酸素原子に結合する基が、置換、無置換のアルキル基〔例えば、メチル、エチル、イソプピル、t−ブチル、2−エチルヘキシル、−CHCHO−(CHCH)n−C等〕、アルケニル基(例えば、ビニル、アリル、2−メチル−2−プロペニル、2−ブテニル、オレイル等)が好ましく、該アルコール成分(酸素原子に結合する基)の総炭素数は1〜200が好ましく、1〜100がより好ましく、1〜50がさらに好ましい。該アルキル基およびアルケニル基が有してもよい置換基は、アルコキシ基、アルケニルオキシ基、ヒドロキシ基、アシルルオキシ基が好ましく、アルコキシ基がより好ましい。該アルコキシ基やアルケニルオキシ基は、(ポリ)オキシアルキレン基を含むものが好ましく、特に、この(ポリ)オキシアルキレン基が、ポリ(オキシエチレン)基、(ポリ)オキシプロピレン基、(ポリ)オキシブチレン基が好ましい。
また、アルコール成分における原料のアルコールは、1価であっても多価であってもよく、多価アルコールは、例えば、エチレングリコール、プロピレングリコール、グリセリン、ペンタエリスリトールが挙げられ、これらのヒドロキシ基部分(−OH)が、ポリオキシアルキレンオキシ基となったもの〔例えば、−(OCHCH)n−OH、−(OC)nOH〕も好ましい。
多価カルボン酸アミドは、アミン成分のアミン化合物が、第一級または第二級のいずれでもよく、特に限定されない。アミド官能基の−C(=O)−N<の窒素原子に置換する置換基は、アルキル基〔例えば、メチル、エチル、イソプピル、t−ブチル、2−エチルヘキシル、−CHCHO−(CHCH)n−C等〕、アルケニル基(例えば、ビニル、アリル、2−メチル−2−プロペニル、2−ブテニル等)が好ましく、該アミン成分であるアミン化合物の総炭素数は1〜200が好ましく、1〜100がより好ましく、1〜50がさらに好ましい。該アルキル基およびアルケニル基が有してもよい置換基は、アルコキシ基、アルケニルオキシ基、ヒドロキシ基、アシルルオキシ基、アミノ基、アシルアミノ基が好ましく、アルコキシ基がより好ましい。該アルコキシ基やアルケニルオキシ基は、(ポリ)オキシアルキレン基を含むものが好ましく、特に、この(ポリ)オキシアルキレン基が、ポリ(オキシエチレン)基、(ポリ)オキシプロピレン基、(ポリ)オキシブチレン基が好ましい。また、このようなポリオキシアルキレン部分構造が、グリセリンを介して、分岐したポリオキシアルキレン基を含むことも好ましい。
また、アミン成分における原料のアミン化合物は、1価であっても多価であってもよい。
多価カルボン酸誘導体のうち、未反応で遊離可能なカルボキシル基を有する有機酸モノグリセリドが特に好ましく、その市販品としては、例えば、理研ビタミン(株)社製ポエムK−37V(グリセリンクエン酸オレイン酸エステル)、花王社製ステップSS(グリセリンステアリン酸/パルミチン酸コハク酸エステル)等が挙げられる。
上記界面活性剤としては、特開2006−45497号公報の段落番号0050〜0051に記載の化合物、特開2002−322294号公報の段落番号0127〜0128に記載の化合物を好ましく用いることができる。ノニオン系の界面活性剤として具体的にはポリオキシエチレンアルキルエーテル、ポリオキシエチレンアルキルフェニールエーテル、ポリオキシエチレン−ポリオキシプロピレングリコール、多価アルコール脂肪酸部分エステル、ポリオキシエチレン多価アルコール脂肪酸部分エステル、ポリオキシエチレン脂肪酸エステル、ポリグリセリン脂肪酸エステル、脂肪酸ジエタノールアミド、トリエタノールアミン脂肪酸部分エステル、ポリエーテルアミンが挙げられる。また、市販品としては、ナイミーンL−202、スタホームDO、スタホームDL(日油)等が挙げられる。
上記キレート剤は、鉄イオン等金属イオンやカルシウムイオン等のアルカリ土類金属イオン等の多価金属イオンに配位(キレート)できる化合物であり、アミノポリカルボン酸、アミノポリホスホン酸、アルキルホスホン酸、ホスホノカルボン酸に代表されるような各種キレート剤のいずれを用いてもよい。キレート剤としては、特公平6−8956号、特開平11−190892号、特開2000−18038号、特開2010−158640号、特開2006−328203号、特開2005−68246号、特開2006−306969号の各公報に記載の化合物を用いることができる。
具体的には、エチレンジアミンテトラ酢酸、ヒドロキシエチルエチレンジアミントリ酢酸、ジエチレントリアミンペンタ酢酸、ニトリロトリ酢酸、トリエチレンテトラミンヘキサ酢酸、シクロヘキサンジアミン四酢酸、ヒドロキシエチルイミノジ酢酸、エチレングリコールビス(2−アミノエチルエーテル)テトラ酢酸、1,3−ジアミノプロパンテトラ酢酸、ホスホン酸、1−ヒドロキシエチリデン−1,1−ジホスホン酸、ニトリロ−N,N,N−トリメチレンホスホン酸、エチレンジアミン−N,N,N,N−テトラメチレンホスホン酸、エチレンジアミン−ジ(o−ヒドロキシフェニル酢酸)、DL−アラニン−N,N−ジ酢酸、アスパラギン酸−N,N−ジ酢酸、グルタミン酸−N,N−ジ酢酸、セリン−N,N−ジ酢酸、ポリアクリル酸、イソアミレン−マレイン酸共重合体、アクリル酸−マレイン酸共重合体、アクリル酸−メタクリル酸共重合体、ケイ酸、グルコン酸、ヒドロキシベンジルイミノジ酢酸、イミノジ酢酸、等が挙げられる。また、油溶性のキレート剤を用いることも好ましい。市販品としては、テークランDO(ナガセケムテックス株式会社)、キレストMZ−2、キレストMZ−8(キレスト株式会社)を用いることができる。
[光学フィルムの構成と物性]
(フィルムの層構造)
本発明の光学フィルムは、単層であっても、2層以上の積層体であってもよい。
本発明の光学フィルムが2層以上の積層体である場合は、2層構造または3層構造であることがより好ましく、3層構造であることが好ましい。3層構造は、1層のコア層(以下、基層とも言う)と、該コア層を挟んで互いに対向するスキン層(スキンA層およびスキンB層という。)から構成されることが好ましい(スキンB層/コア層/スキンA層)。
なお、スキンA層とスキンB層を総称して、スキン層(または表層)とも言う。
本発明の光学フィルムは、各層中におけるセルロースアシレートのアシル置換度は均一であっても、複数のセルロースアシレートを一つの層に混在させてもよいが、各層中におけるセルロースアシレートのアシル置換度は全て一定であることが光学特性の調整の観点から好ましい。また、本発明のセルロースアシレートフィルムが3層構造であるとき、両面の表面層に含まれるセルロースアシレートは同じアシル置換度のセルロースアシレートを用いることが、製造コストの観点から好ましい。
(弾性率)
本発明の光学フィルムの弾性率の範囲は特に限定されないが、製造適性およびハンドリング性の観点から1.0GPa〜7.0GPaが好ましく、2.0GPa〜6.5GPaがより好ましい。
(光弾性係数)
本発明の光学フィルムの光弾性係数の絶対値は、好ましくは8.0×10−12/N以下、より好ましくは6×10−12/N以下、さらに好ましくは5×10−12/N以下である。樹脂フィルムの光弾性係数を小さくすることにより、該樹脂フィルムを偏光板保護フィルムとして液晶表示装置に組み込んだ際に、高温高湿下におけるムラ発生を抑制できる。光弾性係数は、特に断らない限り、以下の方法により測定し算出するものである。
光弾性率の下限値は特に限定されないが、0.1×10−12/N以上が実際的である。
−光弾性率の算出方法−
フィルムを3.5cm×12cmに切り出し、荷重無し、250g、500g、1000g、1500gのそれぞれの荷重におけるReをエリプソメーター(M150[商品名]、日本分光(株))で測定し、応力に対するRe変化の直線の傾きから算出することにより光弾性係数を測定する。
(含水率)
本発明の光学フィルムの含水率は4.0%未満であることが好ましく、3.5%未満であることが好ましく、2.6%未満であることが特に好ましい。上記範囲となることで、光学フィルムを含む偏光板の耐久性を向上させることが出来る。含水率は25℃80%RHで24時間以上調湿した後に計測した平衡含水率を指す。平衡含水率は上記温湿度に24時間放置した後に、平衡に達した試料の水分量をカールフィッシャー法で測定し、水分量(g)を試料質量(g)で除して算出したものである。
(透湿度)
光学フィルムの透湿度は、JIS Z0208の透湿度試験(カップ法)に準じ、温度40℃、相対湿度90%RHの雰囲気中、試料を24時間に通過する水蒸気の質量を測定し、試料面積1mの値に換算することにより評価することができる。
本発明の光学フィルムの透湿度は、1000g/m・day以下であることが好ましく、600g/m・day以下がより好ましく、100g/m・day以下であることが特に好ましい。透湿度を上記範囲とすることで、耐久試験中に偏光子に入り込む水分量を低減でき、偏光板の劣化を抑制することができる。透湿度の下限値は特に限定されないが、0.1g/m・day以上が実際的である。
(ヘイズ)
本発明の光学フィルムは、ヘイズが、1%以下が好ましく、0.7%以下がより好ましく、0.5%以下が特に好ましい。ヘイズを上記上限値以下にすることにより、フィルムの透明性がより高くなり、光学フィルムとしてより用いやすくなるという利点がある。ヘイズの下限値は特に限定されないが、0.001%以上が実際的である。
ヘイズは、光学フィルム40mm×80mmを、25℃、相対湿度60%の環境下で、ヘイズメーター(HGM−2DP、スガ試験機)を用いて、JIS K7136に従って測定する。
本発明の光学フィルムの平均膜厚は、10〜100μmが好ましく、15〜80μmがより好ましく、15〜70μmがさらに好ましい。15μm以上にすることにより、ウェブ状のフィルムを作製する際のハンドリング性が向上し好ましい。
本発明の光学フィルムで、セルロースアシレートとコアシェル構造を有する化合物が混合されてなる場合、混合層の好ましい膜厚範囲は、10〜100μmが好ましく、15〜80μmがより好ましく、20〜70μmがさらに好ましい。この範囲とすることで、耐久試験時に偏光子に浸入する水分量を低減することが出来る。
本発明の光学フィルムで、セルロースアシレートの層とコアシェル構造を有する化合物からなる層が積層されている場合、コアシェル構造を有する化合物からなる層の膜厚は5μm〜80μmであることが好ましく、10〜60μmであることが好ましく、20〜40μmであることが特に好ましい。上記範囲に入ることで、光学フィルム全体の含水率を低減できると共に、耐久試験時に偏光子に浸入する水分量を低減することが出来る。
3層以上の積層構造を有する場合、基層にセルロースアシレートとコアシェル構造を有する化合物が混合された層、またはコアシェル構造を有する化合物単体の層とするのも好ましい形態である。フィルム両面の表層のみをセルロースアシレートからなる層とすることで、偏光子やハードコートとの密着に優れた光学フィルムとすることが可能となる。
(フィルム幅)
本発明の光学フィルムのフィルム幅は700〜3000mmが好ましく、1000〜2800mmがより好ましく、1100〜2500mmが特に好ましい。
<光学フィルムの製造方法>
本発明の光学フィルムの製造方法は、特に限定されるものではないが、溶融製膜法又は溶液製膜法により製造することが好ましい。溶液製膜法(ソルベントキャスト法)による製造がより好ましい。本発明の光学フィルムは、ソルベントキャスト法により製造されることが好ましい。ソルベントキャスト法を利用した光学フィルムの製造例については、米国特許第2,336,310号、同第2,367,603号、同第2,492,078号、同第2,492,977号、同第2,492,978号、同第2,607,704号、同第2,739,069号および同第2,739,070号の各明細書、英国特許第640731号および同第736892号の各明細書、並びに特公昭45−4554号、同49−5614号、特開昭60−176834号、同60−203430号および同62−115035号等の各公報を参考にすることができる。また、上記光学フィルムは、延伸処理を施されていてもよい。延伸処理の方法および条件については、例えば、特開昭62−115035号、特開平4−152125号、同4−284211号、同4−298310号、同11−48271号等の各公報を参考にすることができる。
(流延方法)
溶液の流延方法としては、調製されたドープを加圧ダイから金属支持体上に均一に押し出す方法、一旦金属支持体上に流延されたドープをブレードで膜厚を調節するドクターブレードによる方法、逆回転するロールで調節するリバースロールコーターによる方法等があるが、加圧ダイによる方法が好ましい。加圧ダイにはコートハンガータイプやTダイタイプ等があるが、いずれも好ましく用いることができる。またここで挙げた方法以外にも、従来知られているセルローストリアセテート溶液を流延製膜する種々の方法で実施することができ、用いる溶媒の沸点等の違いを考慮して各条件を設定することにより、それぞれの公報に記載の内容と同様の効果が得られる。
・共流延
本発明の光学フィルムの形成においては共流延法(重層同時流延)、逐次流延法、塗布法等の積層流延法を用いることが好ましく、共流延法を用いることが、安定製造および生産コスト低減の観点から特に好ましい。
共流延法により2層以上の光学フィルムを製造する場合には、先ず、各層用の溶液(ドープ)を調製する。続いて、各層用の流延用ドープを別のスリット等から同時に押出す機能をもつ流延用ギーサからドープを押出して、流延用支持体(バンドまたはドラム)の上に、各層用ドープを同時に流延し、適当な時期に支持体から剥ぎ取って、乾燥しフィルムを成形する。
・逐次流延法
逐次流延法では、流延用支持体の上に先ず第1層用の流延用ドープを流延用ギーサから押出して、流延し、乾燥あるいは乾燥することなく、その上に第2層用の流延用ドープを流延用ギーサから押出して流延する要領で、必要なら第3層以上まで逐次ドープを流延・積層して、適当な時期に支持体から剥ぎ取って、乾燥しフィルムを成形する。
・塗布法
塗布法は、一般的には、コア層のフィルムを溶液製膜法によりフィルムに成形し、表層に塗布する塗布液を調製し、適当な塗布機を用いて、片面ずつまたは両面同時にフィルムに塗布液を塗布・乾燥して積層構造のフィルムを成形する方法である。
光学フィルムを製造するのに使用される、エンドレスに走行する流延用支持体(金属支持体)としては、表面がクロムメッキによって鏡面仕上げされたドラムや表面研磨によって鏡面仕上げされたステンレスベルト(バンドといってもよい)が用いられる。使用される加圧ダイは、金属支持体の上方に1基または2基以上設置してもよい。2基以上設置する場合には、流延するドープ量をそれぞれのダイに振り分けてもよい。複数の精密定量ギアポンプからそれぞれの割合でダイにドープを送液してもよい。流延に用いられるドープ(樹脂溶液)の温度は−10〜55℃が好ましく、より好ましくは25〜50℃である。その場合、工程の全ての溶液温度が同一でもよく、または工程の各所で異なっていてもよい。
また、上記金属支持体の材質については特に制限はないが、SUS製(例えば、SUS316)であることがより好ましい。
(剥離)
本発明の光学フィルムの製造では、上記ドープ膜を上記金属支持体から剥ぎ取る工程を含むことが好ましい。
(延伸処理)
本発明の光学フィルムの製造方法では、製膜された延伸する工程を含むことが好ましい。光学フィルムの延伸方向はフィルム搬送方向と搬送方向に直交する方向(幅方向)のいずれでもよいが、フィルム搬送方向に直交する方向(幅方向)であることが、後に続く該フィルムを用いた偏光板加工プロセスの観点から好ましい。
幅方向に延伸する方法は、例えば、特開昭62−115035号、特開平4−152125号、同4−284211号、同4−298310号、同11−48271号等の各公報に記載されている。長手方向の延伸の場合、例えば、フィルムの搬送ローラーの速度を調節して、フィルムの剥ぎ取り速度よりもフィルムの巻き取り速度の方を速くするとフィルムは延伸される。幅方向の延伸の場合、フィルムの巾をテンターで保持しながら搬送して、テンターの巾を徐々に広げることによってもフィルムを延伸できる。フィルムの乾燥後に、延伸機を用いて延伸すること(好ましくはロング延伸機を用いる一軸延伸)もできる。
本発明の光学フィルムを偏光子の保護膜として使用する場合には、偏光板を斜めから見たときの光漏れを抑制するため、偏光子の透過軸と本発明の樹脂フィルムの面内の遅相軸を平行に配置する必要がある。連続的に製造されるロールフィルム状の偏光子の透過軸は、一般的に、ロールフィルムの幅方向に平行であるので、上記ロールフィルム状の偏光子とロールフィルム状の光学フィルムからなる保護膜を連続的に貼り合せるためには、ロールフィルム状の保護膜の面内遅相軸は、フィルムの幅方向に平行であることが必要となる。従って幅方向により多く延伸することが好ましい。また延伸処理は、製膜工程の途中で行ってもよいし、製膜して巻き取った原反を延伸処理してもよい。
幅方向の延伸は5〜100%の延伸が好ましく、より好ましくは5〜80%、特に好ましくは5〜40%延伸を行う。なお、未延伸とは延伸が0%であることを意味する。延伸処理は製膜工程の途中で行ってもよいし、製膜して巻き取った原反を延伸処理してもよい。前者の場合には残留溶剤量を含んだ状態で延伸を行ってもよく、残留溶剤量=(残存揮発分質量/加熱処理後フィルム質量)×100%が0.05〜50%で好ましく延伸することができる。残留溶剤量が0.05〜5%の状態で5〜80%延伸を行うことが特に好ましい。なお、延伸0%を未延伸とする。
(乾燥)
本発明の光学フィルムの製造方法では、光学フィルムを乾燥する工程と、乾燥後の本発明の樹脂フィルムをガラス転移温度(Tg)−10℃以上の温度で延伸する工程とを含むことが、レターデーション発現性の観点から好ましい。
本発明の光学フィルムの製造に係わる、金属支持体上におけるドープの乾燥は、一般的には、金属支持体(ドラムまたはベルト)の表面側、つまり金属支持体上にあるウェブの表面から熱風を当てる方法、ドラムまたはベルトの裏面から熱風を当てる方法、温度コントロールした液体をベルトやドラムのドープ流延面の反対側である裏面から接触させて、伝熱によりドラムまたはベルトを加熱し表面温度をコントロールする裏面液体伝熱方法等があるが、裏面液体伝熱方式が好ましい。流延される前の金属支持体の表面温度は、ドープに用いられている溶媒の沸点以下であれば何度でもよい。乾燥を促進し、かつ、金属支持体上での流動性を失わせるためには、使用される溶媒の内の最も沸点の低い溶媒の沸点より1〜10℃低い温度に設定することが好ましい。なお流延ドープを冷却して乾燥することなく剥ぎ取る場合はこの限りではない。
フィルム厚さの調整は、所望の厚さになるように、ドープ中に含まれる固形分濃度、ダイの口金のスリット間隙、ダイからの押し出し圧力、金属支持体速度等を調節すればよい。
以上のようにして得られた、光学フィルムの長さは、1ロール当たり100〜10000mで巻き取るのが好ましく、より好ましくは500〜7000mであり、さらに好ましくは1000〜6000mである。巻き取る際、少なくとも片端にナーリングを付与するのが好ましく、ナーリングの幅は3mm〜50mmが好ましく、より好ましくは5mm〜30mm、高さは0.5〜500μmが好ましく、より好ましくは1〜200μmである。これは片押しであっても両押しであってもよい。
大画面用液晶表示装置の光学補償フィルムとして用いる場合は、例えば、フィルム幅を1470mm以上として成形するのが好ましい。また、本発明の偏光板保護フィルムには、液晶表示装置にそのまま組み込むことが可能な大きさに切断されたフィルム片の態様のフィルムのみならず、連続生産により、長尺状に作製され、ロール状に巻き上げられた態様のフィルムも含まれる。後者の態様の偏光板保護フィルムは、その状態で保管・搬送等され、実際に液晶表示装置に組み込む際や偏光子等と貼り合わされる際に、所望の大きさに切断されて用いられる。また、同様に長尺状に作製されたポリビニルアルコールフィルム等からなる偏光子等と、長尺状のまま貼り合わされた後に、実際に液晶表示装置に組み込む際に、所望の大きさに切断されて用いられる。ロール状に巻き上げられた光学補償フィルムの一態様としては、ロール長が2500m以上のロール状に巻き上げられた態様が挙げられる。
(光学特性のバラつき)
本発明の光学フィルムを位相差フィルムとして用いる場合、光学特性のバラつきを低減させることで、偏光板加工後の偏光性能のバラつきを低減させることが出来る。位相差フィルムの面内レターデーションをRe、厚さ方向のレターデーションをRthとしたときに、全幅のRe値のバラつきが±5nmであることが好ましく、±3nmであることが更に好ましい。また、Rth値のバラつきは±10nmが好ましく、±5nmであることが更に好ましく、±3nmであることが特に好ましい。また、長さ方向のRe値、及びRth値のバラつきも幅方向のバラつきの範囲内であることが好ましい。以上のようにして得られた光学フィルムロールは、フィルムの遅相軸方向が、巻き取り方向(フィルムの長手方向)に対して、±2度であることが好ましく、更に±1度の範囲であることが好ましい。または、巻き取り方向に対して直角方向(フィルムの幅方向)に対して、±2度であることが好ましく、更に±1度の範囲にあることが好ましい。特にフィルムの遅相軸方向が、巻き取り方向(フィルムの長手方向)に対して、±0.3度以内であることが好ましい。あるいはフィルムの幅手方向に対して±0.3度以内であることが好ましい。
(機能層)
本発明の光学フィルムは、フィルムの少なくとも一方の表面に、膜厚0.1〜20μmの機能層をさらに積層してもよい。この機能層の種類は特に限定されないが、ハードコート層、反射防止層(低屈折率層、中屈折率層、高屈折率層など屈折率を調整した層)、防眩層、帯電防止層、紫外線吸収層、透湿度低減層などが挙げられる。機能層は、1層であっても良いし、複数層設けても良い。機能層の積層方法は特に限定されないが、本発明の光学フィルムを形成するための環状オレフィン系樹脂組成物との共流涎により設けることが好ましく、本発明の光学フィルム上に塗設して設けることも好ましい。
また、機能層として、反射防止層(低屈折率層、中屈折率層、高屈折率層など屈折率を調整した層)、防眩層、帯電防止層、紫外線吸収層、透湿度低減層、等を作製するために、機能層化合物には各種添加物を添加しても良い。
機能層の厚みは、0.01〜100μmであることがより好ましく、0.02〜50μmであることが特に好ましい。さらに、透湿度を低減する機能層としては、厚み0.1〜20μmであることがより特に好ましい
(表面処理)
本発明の光学フィルムは、場合により表面処理を行うことによって、フィルムと他の層(例えば、偏光子、下塗層及びバック層)との接着の向上を達成することができる。例えばグロー放電処理、紫外線照射処理、コロナ処理、火炎処理、酸又はアルカリ処理を用いることができる。ここでいうグロー放電処理とは、10−3〜20Torrの低圧ガス下でおこる低温プラズマでもよく、更にまた大気圧下でのプラズマ処理も好ましい。プラズマ励起性気体とは上記のような条件においてプラズマ励起される気体をいい、アルゴン、ヘリウム、ネオン、クリプトン、キセノン、窒素、二酸化炭素、テトラフルオロメタンの様なフロン類及びそれらの混合物などがあげられる。これらについては、詳細が発明協会公開技報(公技番号 2001−1745、2001年3月15日発行、発明協会)にて30頁〜32頁に詳細に記載されており、本発明において好ましく用いることができる。
(偏光板)
本発明の偏光板は、偏光子と、本発明の光学フィルムとを少なくとも有する。
本発明の偏光板は、偏光子と、該偏光子の片面または両面に本発明のフィルムを有することが好ましい。偏光子には、ヨウ素系偏光子、二色性染料を用いる染料系偏光子やポリエン系偏光子がある。ヨウ素系偏光子および染料系偏光子は、一般にポリビニルアルコール系フィルムを用いて製造する。本発明の光学フィルムを偏光板保護膜として用いる場合、偏光板の作製方法は特に限定されず、一般的な方法で作製することができる。得られた光学フィルムをアルカリ処理し、ポリビニルアルコールフィルムをヨウ素溶液中に浸漬延伸して作製した偏光子の両面に完全ケン化ポリビニルアルコール水溶液を用いて貼り合わせる方法がある。アルカリ処理の代わりに特開平6−94915号公報、特開平6−118232号公報に記載されているような易接着加工を施してもよい。保護膜処理面と偏光子を貼り合わせるのに使用される接着剤は、例えば、ポリビニルアルコール、ポリビニルブチラール等のポリビニルアルコール系接着剤や、ブチルアクリレート等のビニル系ラテックス等が挙げられる。
本発明の光学フィルムの偏光子への貼り合せ方は、偏光子の透過軸と本発明の光学フィルムの遅相軸が実質的に直交となるように貼り合せることが好ましい。本発明の液晶表示装置において、偏光板の透過軸と本発明の光学フィルムの遅相軸が、実質的に直交であることが好ましい。ここで、実質的に直交であるとは、本発明の光学フィルムの主屈折率nxの方向と偏光板の透過軸の方向とが90°±10°の角度で交わっていることを意味し、90°±5°の角度で交わっていることが好ましく、90°±1°の角度で交わっていることがより好ましい。貼り合せに際してこのように角度調整することで、偏光板クロスニコル下での光抜けをより低減することができる。遅相軸の測定は、公知の種々の方法で測定することができ、例えば、複屈折計(KOBRA DH、王子計測機器(株)製)を用いて行うことができる。
本発明の偏光板は、液晶表示装置にそのまま組み込むことが可能な大きさに切断されたフィルム片の態様の偏光板のみならず、連続生産により、長尺状に作製され、ロール状に巻き上げられた態様(例えば、ロール長2500m以上や3900m以上の態様)の偏光板も含まれる。大画面液晶表示装置用とするためには、偏光板の幅は1470mm以上とすることが好ましい。本発明の偏光板の具体的な構成については、特に制限はなく公知の構成を採用できるが、例えば、特開2008−262161号公報の図6に記載の構成を採用することができる。
[液晶表示装置]
本発明の液晶表示装置は、液晶セルおよび本発明の偏光板を有する。
本発明の液晶表示装置は液晶セルと該液晶セルの両側に配置された一対の偏光板を有する液晶表示装置であって、上記偏光板の少なくとも一方が本発明の偏光板であるIPS、OCBまたはVAモードの液晶表示装置であることが好ましい。典型的な液晶表示装置の内部構成を図1に示した。本発明の液晶表示装置の具体的な構成としては特に制限はなく公知の構成を採用できる。また、特開2008−262161号公報の図2に記載の構成も好ましく採用することができる。
以下に実施例を挙げて本発明をさらに具体的に説明する。以下の実施例に示す化合物、使用量、割合、処理内容、処理手順等は、本発明の趣旨を逸脱しない限り、適宜、変更することができる。従って、本発明の範囲は以下に示す具体例に限定されるものではない。
[平均粒子径の測定]
溶液中に分散しているポリマー粒子の体積平均粒子径(Mv)は、マイクロトラックUPA150(日機装株式会社製)を用いて測定した。脱イオン水で希釈したものを測定試料として用いた。測定は、水、またはメチルエチルケトンの屈折率、およびそれぞれのポリマー粒子の屈折率を入力し、計測時間600秒、SignalLevelが0.6〜0.8の範囲内になるように試料濃度を調整して行った。
[重合転化率の評価]
得られた重合物を、熱風乾燥機内にて120℃で1時間乾燥して固形成分量を求め、100×固形成分量/仕込み単量体(%)により重合転化率(%)を算出した。
[コアシェル構造を有する化合物の合成]
<合成例1−1>
(コア部の合成1)
耐圧重合機中に、脱イオン水200質量部、リン酸三カリウム0.03質量部、エチレンジアミン四酢酸二ナトリウム(EDTA)0.002質量部、硫酸第一鉄・7水和塩0.001質量部、及びドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム(SDBS)1.55質量部を投入し、撹拌しつつ十分に窒素置換を行なって酸素を除いた後、ノルボルネン(NB)174質量部を系中に投入し、45℃に昇温した。パラメンタンハイドロパーオキサイド(PHP)0.03質量部、続いてナトリウムホルムアルデヒドスルホキシレート(SFS)0.10質量部を投入し重合を開始した。重合開始から3、5、7時間目それぞれに、パラメンタンハイドロパーオキサイド(PHP)0.025質量部を投入した。また、重合開始4、6、8時間目それぞれに、EDTA0.0006質量部、及び硫酸第一鉄・7水和塩0.003質量部を投入した。重合15時間目に減圧下残存モノマーを脱揮除去して重合を終了し、ポリノルボルネンを主成分とするコア部を含む水溶液(C11)を得た。得られた水溶液に含まれるコア部は粒子構造を有しており、粒子の体積平均粒子径は90nm、重合転化率は98%であった。
<合成例1−2>
(コア部の合成2)
耐圧重合機中に、コア部を含む水溶液(C11)を固形分で7質量部、脱イオン水200質量部、リン酸三カリウム0.03質量部、EDTA0.002質量部、及び硫酸第一鉄・7水和塩0.001質量部を投入し、撹拌しつつ十分に窒素置換を行なって酸素を除いた後、ノルボルネン(NB)108質量部を系中に投入し、45℃に昇温した。パラメンタンハイドロパーオキサイド(PHP)0.02質量部、続いてSFS0.10質量部を投入し重合を開始した。重合開始から24時間目まで3時間おきに、それぞれ、PHP0.025質量部、及びEDTA0.0006質量部、及び硫酸第一鉄・7水和塩0.003質量部を投入した。重合30時間目に減圧下残存モノマーを脱揮除去して重合を終了し、ポリノルボルネンを主成分とするコア部を含む水溶液(C12)を得た。コア部は粒子構造を有しており、微粒子の体積平均粒子径は160nm、重合転化率は98%であった。
<合成例1−3>
(コア部へのシェル部の形成)
3Lガラス容器に、上記で得た水溶液(C12)1575質量部(ポリノルボルネン粒子510質量部相当)および脱イオン水315質量部を仕込み、窒素置換を行いながら60℃で撹拌した。EDTA0.024質量部、Fe0.006質量部、SFS1.2質量部を加えた後、グラフトモノマー混合物(メタクリル酸メチル(AAEM)682質量部、2−アセトアセトキシエチルメタクリレート(AAEM)162質量部)、およびクメンヒドロパーオキサイド(CHP)0.3質量部)の混合物を2時間かけて連続的に添加しグラフト重合した。添加終了後、更に2時間撹拌して反応を終了させた。グラフト共重合体物を塩化カルシウムで塩析凝固、熱処理、乾燥を行ない、白色粉末状のコアシェル構造を有する化合物 P1を得た。P1は粒子構造を有しており、P1の体積平均粒子径は200nmであった。
<合成例2>
合成例1−3のグラフトモノマー混合物をAAEM1621部に変更した以外は合成例1−1〜1−3と同様に重合を行い、体積平均粒子径が200nmのコアシェル構造を有する化合物 P2を得た。
<合成例3>
合成例1−3のグラフトモノマー混合物をアクリル酸メチル(MA)651部に変更した以外は合成例1−1〜1−3と同様に重合を行い、体積平均粒子径が200nmのコアシェル構造を有する化合物 P3を得た。
<合成例4>
合成例1−3のグラフトモノマー混合物をMMA583部、2−ヒドロキシエチルメタクリレート227部に変更した以外は合成例1−1〜1−3と同様に重合を行い、体積平均粒子径が200nmのコアシェル構造を有する化合物 P4を得た。
<合成例5>
合成例1−1のNBを56部、合成例1−2のNBを35部、合成例1−3のグラフトモノマー混合物をMMA2046部、AAEM486部に変更した以外は合成例1−1〜1−3と同様に重合を行い、体積平均粒子径が200nmのコアシェル構造を有する化合物 P5を得た。
<合成例6>
合成例1−3のグラフトモノマー混合物をMMA84部、AAEM20部に変更した以外は合成例1−1〜1−3と同様に重合を行い、体積平均粒子径が200nmのコアシェル構造を有する化合物 P6を得た。
<合成例7>
合成例1−3のグラフトモノマー混合物をMMA758部に変更した以外は合成例1−1〜1−3と同様に重合を行い、200nmのコアシェル構造を有する化合物 P7を得た。
<合成例8−1>
(コア部の合成1)
以下の組成の混合物をガラス製反応器に仕込み、窒素気流中で撹拌しながら80℃に昇温したのち、ジシクロペンタニルアクリレート(DCPA)52部、メタクリル酸アリル1部からなる単量体混合物とt−ブチルハイドロパーオキサイド0.1部との混合液のうち25%を一括して仕込み、45分間の重合を行なった。
脱イオン水 220部
ホウ酸 0.3部
炭酸ナトリウム 0.03部
N−ラウロイルサルコシン酸ナトリウム 0.09部
ソディウムホルムアルデヒドスルフォキシレート 0.09部
エチレンジアミン四酢酸−2−ナトリウム 0.006部
硫酸第1鉄 0.002部
続いてこの混合液の残り75%を1時間にわたって連続添加した。添加終了後、同温度で2時間保持し重合を完結させ、DCPAを主成分とするコア部(C21)を得た。また、この間に0.2部のN−ラウロイルサルコシン酸ナトリウムを追加した。コア部(C21)は粒子構造を有しており、の体積平均粒子径は71nm、重合転化率は98%であった。
<合成例8−2>
(コア部の合成2)
得られたコア部(C21)を窒素気流中で80℃に保ち、過硫酸カリウム0.1部を添加したのち、ジシクロペンタニルアクリレート59.7部、メタクリル酸アリル1部からなる単量体混合物を5時間にわたって連続添加した。この間にオレイン酸カリウム0.1部を3回に分けて添加した。モノマー混合液の添加終了後、重合を完結させるためにさらに過硫酸カリウムを0.05部添加し2時間保持した。得られたDCPAを主成分とするコア部(C22)は粒子構造を有しており、の体積平均粒子径は160nm、重合転化率は99%であった。
<合成例8−3>
(コア部へのシェル部の形成)
コア部(C22)を80℃に保ち、過硫酸カリウム0.02部を添加したのちメタクリル酸メチル13.1部、2−アセトアセトキシエチルメタクリレート3.1部の単量体混合物を1時間にわたって連続添加した。モノマー混合液の追加終了後1時間保持しグラフト共重合体物を得た。重合転化率は99%であった。グラフト共重合体物を塩化カルシウムで塩析凝固、熱処理、乾燥を行ない、白色粉末状のコアシェル構造を有する化合物(P8)を得た。P8は粒子構造を有しており、得られた体積平均粒子径は200nmであった。
<合成例9>
合成例8−1のDCPAをAAEM54部、合成例8−2のDCPAをAAEM62部に変更した以外は合成例8−1〜8−3と同様に重合を行い、体積平均粒子径が200nmのコアシェル構造を有する化合物 P9を得た。
<合成例10>
合成例8−1のDCPAをMMA25部、合成例8−2のDCPAをMMA29部に変更した以外は合成例8−1〜8−3と同様に重合を行い、体積平均粒子径が200nmのコアシェル構造を有する化合物 P10を得た
<合成例11>
[シリカ粒子A1の合成]
撹拌機、滴下装置および温度計を備えた容量200Lの反応器に、メチルアルコール67.54kgと、28質量%アンモニア水(水および触媒)26.33kgとを仕込み、撹拌しながら液温を33℃に調節した。一方、滴下装置に、テトラメトキシシラン10・20kgをメチルアルコール5.59kgに溶解させた溶液を仕込んだ。反応器中の液温を33℃に保持しながら、滴下装置から上記溶液を1時間かけて滴下し、滴下終了後、さらに1時間、液温を上記温度に保持しながら撹拌することにより、テトラメトキシシランの加水分解および縮合を行い、シリカ粒子前駆体を含有する分散液を得た。この分散液を、瞬間真空蒸発装置(ホソカワミクロン(株)社製クラックス・システムCVX−8B型)を用いて加熱管温度175℃、減圧度200torr(27kPa)の条件で気流乾燥させることにより、シリカ粒子A1を得た。平均粒径は160nm、粒径の分散度(Cv値):3.5%であった。
[焼成シリカ粒子A2の作製]
シリカ粒子A1 5kgをルツボに入れ、電気炉を用いて1050℃で1時間焼成した後、冷却して、次いで粉砕機を用いて粉砕し、分級前焼成シリカ粒子を得た。さらにジェット粉砕分級機(日本ニューマ社製IDS−2型)を用いて解砕および分級を行うことにより焼成シリカ粒子A2を得た。得られたシリカ粒子の平均粒径は160nm、粒径の分散度(Cv値):3.5%であった。
[シランカップリング剤C1の合成]
還流冷却器、温度計を付けたフラスコに信越化学工業製KBE−9007 13.6gとペンタエリスリトールトリアクリレート16.4gとジラウリン酸ジブチル錫0.1g、トルエン70.0gを添加し、室温で12時間撹拌した。撹拌後、メチルハイドロキノン500ppmを加え、減圧留去を行いC1を得た。
Figure 0006482414
[シランカップリング剤処理シリカ粒子の作製]
分級前焼成シリカ粒子A2 5kgを、加熱ジャケットを備えた容量20Lのヘンシェルミキサ(三井鉱山株式会社製FM20J型)に仕込んだ。焼成シリカ粒子A2を撹拌しているところに、C1 45gを、メチルアルコール90gに溶解させた溶液を滴下して混合した。その後、混合撹拌しながら150℃まで約1時間かけて昇温し、150℃で12時間保持して加熱処理を行った。加熱処理では、掻き落とし装置を撹拌羽根とは逆方向に常時回転させながら、壁面付着物の掻き落としを行った。また、適宜、へらを用いて壁面付着物を掻き落とすことも行った。加熱後、冷却し、ジェット粉砕分級機を用いて解砕および分級を行い、シランカップリング剤処理シリカ粒子A3−C1を得た。いずれも平均粒径は165μm、粒径の分散度(Cv値):3.7%であった。
得られたシリカ粒子A3−C1を80℃に保ち、過硫酸カリウム0.02部を添加したのちメタクリル酸メチル13.1部、2−アセトアセトキシエチルメタクリレート3.1部の単量体混合物を1時間にわたって連続添加した。モノマー混合液の追加終了後1時間保持しグラフト共重合体物を得た。重合転化率は99%であった。グラフト共重合体物を塩化カルシウムで塩析凝固、熱処理、乾燥を行ない、白色粉末状のコアシェル素材(P11)を得た。得られた体積平均粒子径は200nmであった。
[セルロースアシレートの調製]
総アセチル置換度2.86のセルロースアシレートCA1を調製した。これは、触媒として硫酸(セルロース100質量部に対し7.8質量部)を添加し、アシル置換基の原料となるカルボン酸を添加し40℃でアシル化反応を行った。またアシル化後に40℃で熟成を行った。さらにこのセルロースアシレートの低分子量成分をアセトンで洗浄し除去した。CA1と同様にして、アセチル置換度2.42のセルロースアシレートCA2と、アセチル置換度1.60、プロピオニル置換度0.90のセルロースアシレートCA3を調製した。
[光学フィルムの作製]
実施例1
(ドープの調製)
下記の組成物をミキシングタンクに投入し、攪拌して各成分を溶解し、溶液を調製した。
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溶液の組成
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総アセチル置換度2.86、重合度370のセルロースアセテートCA1
45.0質量部
コアシェル構造を有する化合物 P1
55.0質量部
メチレンクロライド(第1溶媒) 257.2質量部
メタノール(第2溶媒) 65.1質量部
n−ブタノール(第3溶媒) 3.3質量部
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(流延)
ドラム流延装置を用い、上記のように調製したドープをステンレス製の流延支持体(支持体温度−9℃)へ流延口から均一に流延した。各層のドープ中の残留溶媒量が略70質量%の状態で剥ぎ取り、フィルムの幅方向の両端をピンテンターで固定し、残留溶媒量が3〜5質量%の状態で、幅方向に1.15倍(15%)延伸しつつ乾燥した。その後、熱処理装置のロール間を搬送することにより、さらに乾燥し、実施例1の光学フィルムを得た。得られた光学フィルムの厚みは40μm、幅は1480mmであった。
実施例2〜12、実施例15〜16、比較例1〜3
表6記載のように、コアシェル構造を有する化合物 P2〜P11、コアシェル構造を有する化合物の含有量、セルロースアシレートの種類を変えて、実施例1と同様に光学フィルムを作製した。
実施例13
(ドープ1の調製)
下記の組成物をミキシングタンクに投入し、攪拌して各成分を溶解し、溶液を調製した。さらに調製した溶液を超音波分散機で30分間分散させた。
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ドープ1の組成
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コアシェル構造を有する化合物 P1 100.0質量部
メチレンクロライド(第1溶媒) 316.0質量部
メタノール(第2溶媒) 80.0質量部
n−ブタノール(第3溶媒) 4.1質量部
―――――――――――――――――――――――――――――――――――
(ドープ2の調製)
下記の組成物をミキシングタンクに投入し、攪拌して各成分を溶解し、溶液を調製した。
―――――――――――――――――――――――――――――――――――
ドープ2の組成
―――――――――――――――――――――――――――――――――――
総アセチル置換度2.86、重合度370のセルロースアセテートCA1
100.0質量部
メチレンクロライド(第1溶媒) 257.2質量部
メタノール(第2溶媒) 65.1質量部
n−ブタノール(第3溶媒) 3.3質量部
―――――――――――――――――――――――――――――――――――
(流延)
ドラム流延装置を用い、上記のように調製したドープ1とドープ2を、ドープ2を流延支持体面側にし、ドープ1の乾燥後膜厚が20μm、ドープ2の乾燥後膜厚が20μmとなるようにステンレス製の流延支持体(支持体温度−9℃)に流延口から均一に流延した。各層のドープ中の残留溶媒量が略70質量%の状態で剥ぎ取り、フィルムの幅方向の両端をピンテンターで固定し、残留溶媒量が3〜5質量%の状態で、幅方向に1.15倍(15%)延伸しつつ乾燥した。その後、熱処理装置のロール間を搬送することにより、さらに乾燥し、実施例13の光学フィルムを得た。得られた光学フィルムの総厚みは40μm、幅は1480mmであった。
実施例14
実施例13で、ドープ1の乾燥後膜厚が30μm、ドープ2の乾燥後膜厚が10μmとなるように変更し、同様に光学フィルムを作製した。
Figure 0006482414
[含水率の評価]
コア層に使用した素材粉末、シェル層に使用した素材粉末、および作製した光学フィルムを25℃80%RHの環境で24時間調湿した。調湿したサンプルを、カールフィッシャー水分測定装置(平沼産業(株)社製、AQ−2100)にて含水率を計測した。計測した結果を表6に記載した。
[剥離力の評価]
(偏光子の作製)
平均重合度約2400、ケン化度99.9モル%以上のポリビニルアルコールからなる厚み75μmのポリビニルアルコールフィルムを、30℃の純水に浸漬した後、ヨウ素/ヨウ化カリウム/水の質量比が0.02/2/100の水溶液に30℃で浸漬した。その後、ヨウ化カリウム/ホウ酸/水の質量比が12/5/100の水溶液に56.5℃で浸漬した。
引き続き、8℃の純水で洗浄した後、65℃で乾燥して、ポリビニルアルコールフィルムにヨウ素が吸着配向された偏光子を得た。延伸は、主に、ヨウ素染色およびホウ酸処理の工程で行ない、トータル延伸倍率は5.3倍であった。
(水系接着剤の調製)
アセトアセチル基変性ポリビニルアルコール(日本合成化学工業(株)製ゴーセファイマー Z−200、4%水溶液の粘度=12.4mPa・sec、ケン化度=99.1モル%)を純水に溶解し、10%濃度の水溶液を調製した。このアセトアセチル基変性ポリビニルアルコール水溶液と、架橋剤となるグリオキシル酸ナトリウムとを、前者:後者の固形分質量比が1:0.1となるように混合し、さらに水100部に対してアセトアセチル基変性ポリビニルアルコールが2.5部となるように純水で希釈して、接着剤組成物を調製した。
(貼り合わせ)
実施例1〜16および比較例1〜3の光学フィルムを鹸化処理し、上記で作製した水系接着剤を使用し、上記の偏光子の片面に貼り合わせた。偏光子のもう一方の面には、日本ゼオン社製ゼオノアフィルムZF14(100μm)を二軸延伸し、面内レタデーションRe50nm、膜厚方向のレタデーションRth110nm、膜厚50μmとしたフィルムの両面を400W・min/mの条件でコロナ放電照射したフィルムを貼り合わせた。なお、実施例13および14の光学フィルムはセルロースアシレート層が偏光子側となるように貼り合わせた。
鹸化処理は以下のように行った。フィルムを60℃に調温した2.5mol/Lの水酸化ナトリウム水溶液(けん化液)に30秒間浸漬した後、フィルムを水洗し、その後、0.05mol/Lの硫酸水溶液に30秒浸漬し、更に水洗浴を通した。そして、エアナイフによる水切りを3回繰り返し、水を落とした後に120℃の乾燥ゾーンに60秒間滞留させて乾燥し、鹸化処理したフィルムを作製した。
(剥離力の計測)
作製した偏光板の光学フィルム側にアクリル系粘着剤シートを貼合した。得られた粘着剤付き偏光板を幅25mm、長さ約200mmの試験片に裁断し、その粘着剤面をソーダガラスに貼合した後、オートクレーブ中、圧力5kgf/cm、温度50℃で20分間の加圧処理を行い、さらに、温度23℃、相対湿度60%の雰囲気下で1日放置した。この状態で、引張り試験機((株)エー・アンド・デイ製RTF−1210)を用いて、試験片の長さ方向一端(幅25mmの一辺)のトリアセチルセルロースフィルムと偏光子をつかみ、温度23℃、相対湿度60%の雰囲気下、クロスヘッドスピード(つかみ移動速度)200mm/分で、90°剥離試験(JIS K 6854−1:1999 「接着剤−はく離接着強さ試験方法−第1部:90度はく離」に準拠する)を行い、光学フィルムと偏光子との間の接着力を評価し、下記基準で評価した。
A:剥離力が5N/25mm以上
B:剥離力が3N/25mm以上5N未満
C:剥離力が3N/25mm未満
(偏光板耐久性の評価)
本発明において、偏光板の偏光度は、日本分光(株)製自動偏光フィルム測定装置VAP−7070を用いて、以下の方法により測定し算出した。
本発明の偏光板を、粘着剤を介してガラスの上に貼り付けたサンプル(5cm×5cm)を2つ作製した。この際、本発明の光学フィルムがガラスと反対側(空気界面)
側になるように貼り付ける。偏光度測定はこのサンプルのガラスの側を光源に向けてセットして測定する。2つのサンプルをそれぞれ測定し、その偏光度の平均値を算出する。その後、90℃90%RHで72時間経時保存した後に同様の方法で偏光度を測定した。経時前後の偏光度の変化を求め、これを偏光板耐久性として下記基準で評価した。
A:経時前後の偏光度の変化が0.5%未満
B:経時前後の偏光度の変化が0.5〜0.8%
C:経時前後の偏光度の変化が0.8%を超える
表6記載の通り、本発明実施例1〜16のフィルムは含水率が低減され、偏光板形態では耐久試験前後での偏光度変化が抑制された結果となり、さらに偏光子との密着性に優れる結果となった。この結果、本発明の偏光板を使用することで、以上に示したような優れた性能の液晶表示装置が作製できる。

Claims (8)

  1. 少なくとも、コア部とシェル部を有するコアシェル構造を有する化合物とセルロースアシレートとを含む光学フィルムであって、前記コアシェル構造を有する化合物の含水率が1.3wt%未満であり、
    前記コアシェル構造を有する化合物の単一分散比率が85%以上であることを特徴とする光学フィルムであって、
    前記コアシェル構造を有する化合物のシェル部が、セルロースアシレート系ポリマーまたは下記一般式(II)で表されるエチレン性不飽和モノマーを重合して得られるポリマー、または下記一般式(II)で表されるエチレン性不飽和モノマーと少なくとも1種のその他のエチレン性不飽和モノマーとを共重合させて得られるポリマーである、光学フィルム。
    一般式(II)
    Figure 0006482414


    式中、R は水素原子、脂肪族基、芳香族基、複素環基を表し、上記脂肪族基、芳香族基および複素環基は置換基を有していてもよい。Lは単結合、2価の脂肪族基、2価の芳香族基、2価の複素環基、−C(=O)−、−O−、−N(R2)−またはそれらの組合せを表し、上記2価の脂肪族基、2価の芳香族基および2価の複素環基は置換基を有していてもよい。R2は水素原子またはアルキル基を表す。
  2. 前記コアシェル構造を有する化合物におけるコア部の含有量が50〜99vol%である請求項1に記載の光学フィルム
  3. 前記コアシェル構造を有する化合物を40wt%以上含む請求項1または2に記載の光学フィルム。
  4. 前記コアシェル構造を有する化合物の前記コア部が、オレフィン系ポリマー、ハロゲン置換オレフィン系ポリマー、環状オレフィン系ポリマー、脂環構造を有するアクリル系ポリマー、芳香族エステルポリマー、スチレン系ポリマー、芳香族ポリカーボネート系ポリマー、芳香族スルホン系ポリマー、金属酸化物である請求項1〜のいずれか一項に記載の光学フィルム。
  5. 前記コアシェル構造を有する化合物を含む前記光学フィルムとセルロースアシレートを含む層とが積層されている請求項1〜のいずれか一項に記載の光学フィルム。
  6. 前記光学フィルムの含水率が2.6wt%未満である請求項1〜のいずれか一項に記載の光学フィルム。
  7. 少なくとも、偏光子、請求項1〜のいずれか一項に記載の光学フィルムにより構成された偏光板。
  8. 請求項に記載の偏光板を含む液晶表示装置。
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